JP2000320674A - 低フリクション摩擦材およびその製造方法 - Google Patents
低フリクション摩擦材およびその製造方法Info
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Abstract
摩擦係数の低さとを兼ね備えた低フリクション摩擦材、
およびこのような低フリクション摩擦材の製造方法を提
供する。 【解決手段】 鉄系基材2の表面に炭素膜3を形成した
のち、炭素膜3の一部を除去することによって、あるい
は基材2の表面にあらかじめマスキングを施した状態で
炭素膜3を形成することによって、摩擦面に炭素膜3と
共に基材2を露出させる。
Description
の摺動部分に適用される摩擦材に係わり、さらに詳しく
は、鉄系基材と炭素膜からなり、無潤滑下での摩擦係数
の低さと潤滑下での摩擦係数の低さとの両立を可能に
し、特に潤滑油中の極圧添加剤との相乗効果が得られる
低フリクション摩擦材と、このような低フリクション摩
擦材の製造方法に関するものである。
来から多くの研究がなされている。例えば、プラズマC
VDやPVDイオンプレーティング,イオンビーム蒸着
などによって、硬質のアモルファスカーボン(a−C)
やダイヤモンド、水素化カーボン(a−C:H),メタ
ル含有アモルファスカーボン(a−MeC:H),ダイ
ヤモンドライクカーボン(DLC)などの炭素膜が得ら
れ、これらの膜に関する成膜方法や膜質の改善について
の提案が数多くなされている(例えば、特開平6−13
8035号公報等)。
な用途が期待されることから、これまでの間に広範囲の
研究が行われ、近年では成膜装置の発展などによってコ
スト的な問題も徐々に解消されつつあることから、工業
的にも適用範囲が大きく広がってきている。
の固体潤滑性と硬さを挙げることができる。すなわち、
摩擦面に炭素膜による表面処理を施した場合、摩擦面に
おける摩擦係数を下げると共に、耐摩耗性を向上させる
効果が得られるということであり、表面硬さについて
も、ビッカース硬さで優に1000を超えるものも多
く、このためにDLC膜を始めとする炭素膜は、摩擦/
摩耗特性の観点から極めて魅力的な特性を備えた表面処
理材料と言うことができる。
から、これまで宇宙関係やデバイス関係など無潤滑環境
での用途に注目されてきたが、摩擦/摩耗特性に優れる
点から潤滑油中で用いられる部品への表面処理としての
用途も今後拡がっていくことが予想される。つまり、潤
滑油中においても接触部位をミクロ的に見た場合には、
摩擦する固体同士が潤滑油を介することなく直接接触す
るメタルコンタクトと呼ばれる状況も存在することか
ら、潤滑下においても炭素膜の固体潤滑性を活かしたフ
リクションの低減効果が期待でき、これらの炭素膜を潤
滑油中の部品にも応用しようとするアイディアである
が、潤滑油中での摺動では、流体圧の影響によって油膜
が接触部位の間に発生し、いわゆるメタルコンタクトの
割合は無潤滑下の摺動に較べて圧倒的に少なく、単に従
来からある炭素膜を適用しただけでは、フリクションの
低減に限界があるという問題点があった。
潤滑油においても、これまでに摺動部品の摩擦/摩耗特
性を改善するために多くの改善がなされてきており、そ
の一つとして極圧添加剤の開発が挙げられる。特に金属
系極圧添加剤は、鉄を主体とする摩擦面に対して摺動時
に反応被膜を生成し、この被膜によって摩擦/摩耗特性
が改善される。特にモリブデン系極圧添加剤では、摺動
中に摩擦面に固体潤滑材として知られるMoS2 が生成
され、フリクションが大幅に減少する。しかし、鉄系基
材が炭素膜によって被覆されてしまえば反応被膜が生成
せず、このような効果が得られなくなるという問題点が
あって、これら問題点の解消が炭素膜を用いた摩擦面に
おける無潤滑環境の摩擦/摩耗特性に加えて、潤滑下で
の摩擦/摩耗特性をも改善するための課題となってい
た。
における上記課題に着目してなされたものであって、無
潤滑下での摩擦係数の低さと、潤滑下での摩擦係数の低
さとを兼ね備えた低フリクション摩擦材と、このような
低フリクション摩擦材の製造方法を提供することを目的
としている。
件をさまざまに組み合わせた広範囲な摩擦試験を実施
し、炭素膜について種々の解析を行ってきた結果、潤滑
油中で用いられる部品に対して炭素膜による表面処理を
施したとしても、表面処理のない鉄のみを主体とした従
来のものに比べ、必ずしも期待どおりのフリクション低
減効果が得られない場合があることが確認されている。
を用いた場合には、潤滑下においても炭素膜によるフリ
クション低減効果が得られるにも拘らず、例えばモリブ
デン系などの極圧添加剤を含む潤滑油を用いた場合で
は、添加剤による効果が表面処理を施さない鉄のみのも
のと比較して、必ずしも同等なフリクション低減効果が
得られないことがあった。
に、摩擦試験後に摩擦面の表面分析を行った結果、摺動
表面が鉄のみの場合にはモリブデン系極圧添加剤による
反応被膜が観察され、固体潤滑材の一種であるMoS2
(2硫化モリブデン)の存在が確認されたのに対し、炭
素膜を摩擦面に被覆した場合には試験後の摩擦面に添加
剤の構成元素の吸着はほとんど認められず、反応被膜の
生成を確認することができなかった。また、摩耗防止剤
として機械用潤滑油に広範囲に添加されている亜鉛系極
圧添加剤を含む潤滑油での試験においても同様に、摺動
表面が鉄の場合には反応被膜が認められるものの、炭素
膜を摩擦面とした場合には反応被膜が認められず、鉄が
炭素膜により被覆されることによって、極圧添加剤の本
来の作用が抑制されているものと推定された。
て、炭素膜と共に鉄系材料からなる基材を摩擦面に露出
させたところ、摩擦面上に反応被膜を生成させることが
でき、炭素膜の固体潤滑性による効果と潤滑油中の添加
剤に基づく反応被膜による効果が両立し、さらにそれぞ
れの効果が双方の効果を補完し合う相乗効果が得られ、
無潤滑下での摩擦係数の低さと、潤滑下での摩擦係数の
低さとを兼ね備えた摩擦材が得られることを見出だすに
至った。
あって、本発明の請求項1に係わる低フリクション摩擦
材は、鉄系材料からなる基材と、その表面に形成された
炭素膜からなり、摩擦面に炭素膜と共に基材が露出して
いる構成としたことを特徴としており、低フリクション
摩擦材におけるこのような構成を前述した従来の課題を
解決するための手段としている。
態様として請求項2に係わる摩擦材においては、摩擦面
における鉄系基材の露出面積を5%以上70%未満とす
ることができ、同じく実施態様として請求項3に係わる
低フリクション摩擦材は、モリブデン系極圧添加剤を含
む潤滑油と共に使用することが望ましい。さらに実施態
様として請求項4に係わる低フリクション摩擦材は、摺
動面における鉄系基材の露出面積を20%以上70%未
満として、内燃機関のバルブリフター、もしくはカムシ
ャフトとバルブリフターの間に挿入されるシムとして適
用することができ、請求項5に係わる低フリクション摩
擦材は、鉄系基材の露出面積を5%以上50%未満とし
て、内燃機関のピストンリングにおけるシリンダブロッ
クのボア面との摺動面に適用することができ、請求項6
に係わる低フリクション摩擦材は、鉄系基材の露出面積
を同様に5%以上50%未満として、内燃機関のシリン
ダブロックボア面におけるピストンリングおよびピスト
ンとの摺動面に適用することができる。
摩擦材の製造方法は、鉄系材料からなる基材の表面に炭
素膜を形成したのち、炭素膜の一部を除去して摩擦面に
炭素膜と共に基材を露出させる構成とし、低フリクショ
ン摩擦材の製造方法におけるこのような構成を前述した
従来の課題を解決するための手段としたことを特徴とし
ている。
方法の実施態様として、請求項8に係わる製造方法にお
いては、炭素膜を形成したのち、レーザテキスチャリン
グ,リゾグラフィーあるいはドライエッチング加工によ
り炭素膜の一部を除去する構成とし、同じく実施態様と
して請求項9に係わる製造方法においては、鉄系基材の
表面にあらかじめ凹凸を形成したのち、炭素膜を形成
し、平面加工して摩擦面に炭素膜と共に鉄系基材を露出
させる構成としたことを特徴としている。このとき、請
求項10に記載しているように、凹凸の高低差の最大値
が0.5μm以上10μm未満の波目形状を基材表面に
形成すること、さらには請求項11に記載しているよう
に、その波目のピッチを10μm以上2mm未満の範囲
とすることが望ましい。
クション摩擦材の製造方法は、鉄系基材の表面に部分的
にマスキングを施したのち、炭素膜を形成して摩擦面に
炭素膜と共に鉄系基材を露出させる構成としたことを特
徴としている。
方法において炭素膜を形成するに際しては、請求項13
に記載しているように、CVD法またはPVD法を適用
することができる。
潤滑下におけるフリクション低減のメカニズムとしては
次のように考えられる。
部位では摺動部材が直接接触するメタルコンタクトの状
況が発生するが、摩擦面に炭素膜と共に鉄系材料基材を
露出させることによって、この摺動部位において、炭素
膜による固体潤滑性に加え、基材が摩擦表面に露出した
部位においては添加剤の反応被膜が生成し、この被膜に
よる固体潤滑性が得られる。例えば、MoS2単体の摩
擦係数は一般に0.01よりも低いとされており、この
値は炭素膜について報告されている摩擦係数に比べても
低く、炭素膜のみの場合に比べてより大きなフリクショ
ン低減効果が得られる。
生成されるものであるから、反応被膜の状態は摩擦部位
における潤滑条件,摺動条件,添加剤の劣化状態などに
大きく依存することになる。摩擦特性に影響すると考え
られる反応被膜の厚さや分布などの量的なものは、生成
と摩耗のバランスによって決まる。被膜の生成は化学反
応によるため、化学反応に必要な温度や圧力などがある
一定以上のレベルとなる荷重や滑り速度などの負荷が必
要となる。また、負荷が大きすぎたり、潤滑油の供給量
が極端に少ない場合など摩耗速度が生成速度を上回る条
件においては反応被膜は安定して存在せず、反応被膜に
よるフリクション低減は期待できないことになる。
は、最初から存在する炭素膜による作用と異なり、条件
によっては必ずしも一律ではないため、フリクション低
減作用を安定して得るためには、炭素膜の共存が必要と
考えられる。炭素膜の表面硬さは、ビッカース硬さで優
に1000を超えるものが多く、低フリクション特性と
相俟って優れた耐摩耗性を示す。すなわち、本発明に係
わる低フリクション摩擦材において、炭素膜は強固なマ
トリックスとしての役割を果たし、摩擦面に露出した基
材の摩耗が間接的に抑制されることにつながる。
擦材は、鉄系材料からなる基材とその表面の炭素膜から
なり、摩擦面に炭素膜と共に前記基材が露出した構造の
ものであって、炭素膜本来の固体潤滑性に基づく低フリ
クション特性(無潤滑環境)と、潤滑油中に含まれる極
圧添加剤と摩擦面に露出する基材中の鉄との反応生成物
による低フリクション特性(潤滑環境)とが両立し、特
に潤滑油中の添加剤との相乗作用によって大幅なフリク
ション低減効果が得られるものであるが、このときの鉄
系基材の摩擦面への露出面積としては、例えば請求項2
に記載しているように、5%以上70%未満とすること
が望ましい。すなわち、鉄系基材の露出面積が5%に満
たない場合には、基材に含まれる鉄と潤滑油中の添加剤
との反応が不十分となって反応被膜が得られず、潤滑油
中におけるフリクション低減効果が十分に得られなくな
り、露出面積が70%以上となった場合には、炭素膜の
露出面積が相対的に少なくなって炭素膜の固体潤滑性に
よる無潤滑下のフリクション低減効果が得られなくな
る。
クション低減効果が得られることから、請求項3に記載
しているように、モリブデン系極圧添加剤を含む潤滑油
と共に使用することが望ましい。このようなモリブデン
系極圧添加剤としては、例えばモリブデンジチオカルバ
メート(MoDTC)を使用することができる。当該添
加剤は、摺動時に摩擦面上において基材中に含まれる鉄
との化学反応によって、固体潤滑材として機能するMo
S2を含む被膜を生成し、著しいフリクション低減効果
が得られる。
果が最も顕著となる潤滑条件は、境界潤滑域での使用で
あり、エンジン部品(内燃機関)においては、カムシャ
フトとバルブリフターまたはカムシャフトとバルブリフ
ター間に隙間調整のために挿入されるシムとの間の摺
動、あるいはシリンダボアとピストンまたはピストンリ
ングとの間の摺動がこれに相当する。したがって、この
ような低フリクション摩擦材は、請求項4に記載してい
るように、内燃機関のバルブリフターあるいはシムとし
て、請求項5に記載しているようにピストンリングのシ
リンダボアとの摺動面、さらには請求項6に記載してい
るようにシリンダボアにおけるピストンリングおよびピ
ストンとの摺動面に適用することができる。
またはシムとの摺動の場合には、シリンダボアとピスト
ンリングの摺動に比べて潤滑油が潤沢に供給されること
から潤滑油中の添加剤との反応による被膜生成効果をよ
り大きくすることが期待できるため、鉄系基材の露出面
積割合を20%以上70%未満とすることが望ましい。
一方、シリンダボアとピストンリングの摺動の場合に
は、摺動部に供給される潤滑油は、ピストン下方からの
吹き掛けとなるためカムとリフターまたはシムとの摺動
に比べて少なく、また燃焼室近傍では表面温度がかなり
上昇するため、潤滑油中の添加剤との反応被膜よりも摩
擦面上の炭素膜による固体潤滑性の効果が支配的とな
る。したがって、シリンダボアとピストンリングおよび
ピストンとの摺動部位の摩擦面における基材の露出面積
割合については5%以上50%未満とすることが望まし
い。
ば請求項7に記載しているように、鋼や鋳物などの鉄系
材料からなる基材の表面に炭素膜を形成したのち、例え
ば機械加工やラップ加工、あるいは請求項8に記載して
いるようなレーザテキスチャリング,リゾグラフィーあ
るいはドライエッチング加工によって、基材上に形成さ
れた炭素膜を部分的に除去することによって摩擦面に炭
素膜と共に基材の一部を露出させるようにして製造する
ことができる。
ように、成膜に先だって基材表面を部分的にマスキング
を行い、マスキング部分に炭素膜が形成されないように
することによって基材の一部を露出させることも可能で
ある。
が大きく、摺動条件の厳しい部位への適用においては、
炭素膜表面と基材表面との段差を小さく抑えることが必
要となる場合があり、このような観点から請求項9に記
載しているように、基材の表面に、例えば機械加工,化
学研磨,電解研磨,あるいは放電加工などを施すことに
よってあらかじめ凹凸を与えた上で炭素膜を形成し、し
かるのち、例えば機械加工により平面加工することによ
って、摩擦面に基材を段差なく露出させることができ
る。
0および11に記載しているように、凸部と凹部の高低
差の最大値を0.5μm以上10μm未満の範囲とし、
そのピッチを10μm以上2mm未満の範囲とした波目
形状とすることが望ましい。すなわち、凹凸高低差の最
大値については、成膜後に平面加工を施すことから形成
される炭素膜の厚さによって規制される。そして、炭素
膜の厚さは成膜方法と成膜条件によって設定され、一般
に工業的に用いられている炭素膜の厚さはほとんどの場
合10μm程度以下である。したがって、凹凸の最大値
が10μm以上となった場合には、それだけ厚い炭素膜
の形成が必要となり、炭素膜の厚さが厚くなると成膜後
に生じる残留応力が高くなる傾向がある。また、凹凸の
最大値が0.5μmに満たない場合には、基材の露出面
積の調整が困難になると共に、基材上に残存する炭素膜
の厚さが薄くなることから基材の変形に追随することが
できなくなって剥離の可能性が生じる。また、凹凸のピ
ッチが10μmに満たない場合には、同様に基材の露出
面積の調整が困難になり、2mm以上の場合には、成膜
後のラップ加工に際して、砥石の連れまわりによって面
位置よりも低い凹部の炭素膜まで過剰に研磨されてしま
い、炭素膜および基材の所望の面積率を得ることが難し
くなる傾向がある。
求項13に記載しているように、CVD法(化学蒸着
法)またはPVD法(物理蒸着法)を適用することがで
きる。すなわち、炭素膜自体の成膜はいずれの方法でも
可能であり、PVD法を適用した場合には、ターゲット
にグラファイトを用いることが多いため炭素膜は炭素の
みから構成される。CVD法では、プラズマCVDによ
る成膜が主流であり、原料として炭化水素系ガスを用い
ることが多く、このため成膜時に水素が混入し、炭素膜
内に水素が含まれることになる。いずれの炭素膜も無潤
滑下において良好な固体潤滑性を示し、しかも高い硬度
が得られ、本発明に係わる低フリクション摩擦材に好適
なものとなる。
ン摩擦材は、鉄系材料からなる基材の表面に炭素膜を備
え、炭素膜と基材とが摩擦面に露出した状態のものであ
るから、炭素膜の固体潤滑性による低フリクション特性
と、潤滑油中に含まれる極圧添加剤と基材中の鉄との反
応生成物による低フリクション特性とを兼ね備えたもの
とすることができ、潤滑油中の添加剤との相乗効果によ
って摩擦/摩耗特性を大幅に改善することができるとい
う極めて優れた効果をもたらすものである。
態様として請求項2に係わる摩擦材においては、鉄系基
材の摩擦面への露出面積が5%以上70%未満の範囲の
ものであるから、鉄系基材の露出面積が5%以上の場合
には、基材中の鉄と潤滑油中の添加剤との反応が過不足
のないものとなると共に、炭素膜の摩擦面への露出面積
も適度なものとなって、反応被膜による潤滑油中におけ
るフリクション低減効果と炭素膜の固体潤滑性による無
潤滑下におけるフリクション低減効果をバランスよく両
立させることができ、同じく実施態様として請求項2に
係わる低フリクション摩擦材においては、添加剤として
モリブデン系極圧添加剤を含む潤滑油と共に使用するも
のであるから、摺動時に基材中に含まれる鉄との化学反
応によってMoS 2 を含む被膜が生成され、特に
顕著なフリクション低減効果を得ることができる。
フリクション摩擦材は、内燃機関のバルブリフターある
いはシムに適用され、しかも鉄系基材の摩擦面への露出
面積を20%以上70%未満の範囲としたものであるか
ら、摺動面に豊富に供給される潤滑油中におけるフリク
ション低減効果を最大限に活用することができ、請求項
5に係わる低フリクション摩擦材は、ピストンリングの
シリンダボアとの摺動面に適用され、鉄系基材の摩擦面
への露出面積を5%以上50%未満の範囲としたもので
あるから、潤滑油の供給が比較的少ない摺動面において
炭素膜による固体潤滑性を活用することができ、請求項
6に係わる低フリクション摩擦材は、シリンダボアにお
けるピストンリングおよびピストンとの摺動面に適用さ
れ、鉄系基材の摩擦面への露出面積を同様に5%以上5
0%未満の範囲としたものであるから、潤滑油の供給が
比較的少ない摺動面において炭素膜による固体潤滑性を
最大限に活用することができるという優れた効果がもた
らされる。
摩擦材の製造方法においては、鉄系材料からなる基材の
表面に形成された炭素膜を部分的に除去して鉄を含む基
材を摩擦面に露出させるようにしているので、本発明に
係わる低フリクション摩擦材を容易に得ることができる
という極めて優れた効果がもたらされる。
造方法の実施態様として請求項8に係わる製造方法にお
いては、レーザテキスチャリング,リゾグラフィーある
いはドライエッチング加工によって基材上の炭素膜を部
分的に除去するようにしているので、加工精度に優れ、
用途に応じた所望の露出面積を備えた低フリクション摩
擦材を容易に得ることができ、同じく実施態様として請
求項9に係わる低フリクション摩擦材の製造方法におい
ては、基材の表面にあらかじめ凹凸を形成した上で炭素
膜を形成したのち、基材表面の炭素膜を平面加工するこ
とによって摩擦面に基材を露出させるようにしているの
で、炭素膜表面と基材表面との間に段差のない摺動面を
得ることができ、面圧や滑り速度などが大きく摺動条件
の厳しい部位への適用が可能になる。
材の製造方法の実施態様として請求項10および請求項
11に記載された製造方法においては、基材表面に形成
する凹凸形状を、その高低差の最大値が0.5μm以上
10μm未満、ピッチが10μm以上2mm未満の範囲
とした波目形状としているので、炭素膜の剥離や残留応
力を生じることなく、基材の表面を所望の露出面積率で
炭素膜から露出させることができる。
リクション摩擦材の製造方法においては、鉄系材料から
なる基材の表面に部分的にマスキングを施した状態で炭
素膜を形成するようにしているので、摩擦面の炭素膜の
間から鉄を含む基材の一部を露出させることができ、本
発明に係わる低フリクション摩擦材を容易に得ることが
できるという極めて優れた効果がもたらされる。
リクション摩擦材の製造方法においては、上記炭素膜を
CVD法あるいはPVD法によって基材表面に形成する
ようにしているので、高い硬度を備え、無潤滑下におい
て良好な固体潤滑性を示す炭素膜を得ることができる。
明する。
SCM415からなる基材2の表面に、炭素膜としてダ
イヤモンドライクカーボン(DLC)をCVD法によっ
て成膜した後、摩擦面全体に対する基材2の露出面積率
がそれぞれ23%および30%となるように、形成され
た炭素膜3の一部を機械加工によって除去し、基材2の
表面を摩擦面上に露出させることによって、図1(a)
に示すようなディスク材(低フリクション摩擦材)1を
得た。なお、図1(a)において、ディスク材1の基材
2と炭素膜4の間には中間層4が形成されている。
材1を鋼炭素クロム軸受鋼SUJ2(JIS G 48
05)からなるピン型試験片3本と組み合わせ、表1に
示す試験条件のもとにピン/ディスク型摩擦試験を行
い、無潤滑環境と、モリブデン系極圧添加剤を含む潤滑
油による潤滑環境とでそれぞれ摩擦係数を測定して、各
ディスク材1の摩擦特性についてそれぞれ調査した。こ
れらの結果を表2に示す。
ーボン(DLC)からなる炭素膜3をCVD法あるいは
PVD法によって成膜した後、形成された炭素膜3の一
部をドライエッチング、レーザテキスチャリングおよび
リゾグラフィ−によってそれぞれ除去することにより、
図1(a)と同様の構造を有し、摩擦面に対する基材2
の露出面積率がそれぞれ55%、63%および45%の
ディスク材1を得た。
材1を用いて、同様のピン/ディスク型摩擦試験を実施
し、各ディスク材1の摩擦特性についてそれぞれ調査し
た。これらの結果を表2に併せて示す。
化学研磨あるいは機械加工によって、それぞれの大きさ
の凹凸を備えた波目形状をあらかじめ形成し、ダイヤモ
ンドライクカーボン(DLC)あるいはアモルファスカ
ーボン(a−C)からなる炭素膜3をCVD法あるいは
PVD法によって成膜した。そして、炭素膜が形成され
た摩擦面にラップ加工による平面加工を施すことによっ
て、図1(b)に示すような平坦な摩擦面を備え、基材
2の露出面積率がそれぞれ62%、50%、68および
31%のディスク材1を得た。
材1を用いて、同様のピン/ディスク型摩擦試験を実施
し、各ディスク材1の摩擦特性についてそれぞれ調査し
た。これらの結果を表2に併せて示す。
キングを施した上で、アモルファスカーボン(a−C)
からなる炭素膜3をPVD法によって成膜したのち、マ
スキング剤を除去することによって、図1(a)と同様
の構造を備え、摩擦面に対する基材2の露出面積率がそ
れぞれ45%のディスク材1を得た。
材1を用いて、同様のピン/ディスク型摩擦試験を行
い、その摩擦特性について調査した。この結果を表2に
併せて示す。
ンドライクカーボン(DLC)をCVD法によって成膜
した。そして、この炭素膜3を除去することなく被覆し
たままでディスク材とし、同様のピン/ディスク型摩擦
試験を行い、その摩擦特性について調査した。この結果
を表2に併せて示す。
材表面に形成された炭素膜を部分的に除去することによ
って、あるいはあらかじめ凹凸形状を設けた基材表面に
形成された炭素膜を基材と共に平面加工することによっ
て、さらにはあらかじめマスキングを施した基材表面に
炭素膜を形成することによって、摩擦面に炭素膜と共に
鉄を含有する基材面が露出するようにした本発明の実施
例1ないし10に係わる低フリクション摩擦材(ディス
ク1)を用いた摩擦試験では、潤滑下、無潤滑下のいず
れにおいても低い摩擦係数を示した。これに対し、基材
の上に炭素膜を被覆したままのディスクを用いた比較例
においては、無潤滑下においては本発明に係わる低フリ
クション摩擦材と同等の性能を示すものの、潤滑下にお
いては潤滑油中の添加剤との反応被膜が得られず、摩擦
係数を低下させることはできないことが確認された。
の構造例を示す概略断面図である。 (b) 本発明に係わる低フリクション摩擦材の他の構
造例を示す概略断面図である。
Claims (13)
- 【請求項1】 鉄系材料からなる基材と、その表面に形
成された炭素膜からなり、摩擦面に炭素膜と共に基材が
露出していることを特徴とする低フリクション摩擦材。 - 【請求項2】 摩擦面における基材の露出面積が5%以
上70%未満であることを特徴とする請求項1記載の低
フリクション摩擦材。 - 【請求項3】 モリブデン系極圧添加剤を含む潤滑油と
共に使用されることを特徴とする請求項2記載の低フリ
クション摩擦材。 - 【請求項4】 摺動面における基材の露出面積が20%
以上70%未満であって、内燃機関のバルブリフター、
もしくはカムシャフトとバルブリフターの間に挿入され
るシムに適用されていることを特徴とする請求項3記載
の低フリクション摩擦材。 - 【請求項5】 基材の露出面積が5%以上50%未満で
あって、内燃機関のピストンリングにおけるシリンダブ
ロックのボア面との摺動面に適用されていることを特徴
とする請求項3記載の低フリクション摩擦材。 - 【請求項6】 基材の露出面積が5%以上50%未満で
あって、内燃機関のシリンダブロックボア面におけるピ
ストンリングおよびピストンとの摺動面に適用されてい
ることを特徴とする請求項3記載の低フリクション摩擦
材。 - 【請求項7】 鉄系材料からなる基材の表面に炭素膜を
形成したのち、炭素膜の一部を除去して摩擦面に炭素膜
と共に基材を露出させることを特徴とする請求項1ない
し請求項6のいずれかに記載の低フリクション摩擦材の
製造方法。 - 【請求項8】 炭素膜を形成したのち、レーザテキスチ
ャリング,リゾグラフィーあるいはドライエッチング加
工により炭素膜の一部を除去することを特徴とする請求
項7記載の低フリクション摩擦材の製造方法。 - 【請求項9】 基材の表面にあらかじめ凹凸を形成した
のち、炭素膜を形成し、平面加工して摩擦面に炭素膜と
共に基材を露出させることを特徴とする請求項7記載の
低フリクション摩擦材の製造方法。 - 【請求項10】 基材の表面に形成された凹凸が波目形
状をなし、その高低差の最大値が0.5μm以上10μ
m未満であることを特徴とする請求項9記載の低フリク
ション摩擦材の製造方法。 - 【請求項11】 波目のピッチが10μm以上2mm未
満であることを特徴とする請求項10記載の低フリクシ
ョン摩擦材の製造方法。 - 【請求項12】 鉄系材料からなる基材の表面に部分的
にマスキングを施したのち、炭素膜を形成して摩擦面に
炭素膜と共に基材を露出させることを特徴とする請求項
1ないし請求項6のいずれかに記載の低フリクション摩
擦材の製造方法。 - 【請求項13】 CVD法またはPVD法によって炭素
膜を形成することを特徴とする請求項7ないし請求項1
2のいずれかに記載の低フリクション摩擦材の製造方
法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11126741A JP2000320674A (ja) | 1999-05-07 | 1999-05-07 | 低フリクション摩擦材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11126741A JP2000320674A (ja) | 1999-05-07 | 1999-05-07 | 低フリクション摩擦材およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000320674A true JP2000320674A (ja) | 2000-11-24 |
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ID=14942767
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11126741A Pending JP2000320674A (ja) | 1999-05-07 | 1999-05-07 | 低フリクション摩擦材およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2000320674A (ja) |
Cited By (8)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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-
1999
- 1999-05-07 JP JP11126741A patent/JP2000320674A/ja active Pending
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