JP2000323320A - 軟磁性フェライト粉末の製造方法および積層チップインダクタの製造方法 - Google Patents

軟磁性フェライト粉末の製造方法および積層チップインダクタの製造方法

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JP2000323320A
JP2000323320A JP2000044832A JP2000044832A JP2000323320A JP 2000323320 A JP2000323320 A JP 2000323320A JP 2000044832 A JP2000044832 A JP 2000044832A JP 2000044832 A JP2000044832 A JP 2000044832A JP 2000323320 A JP2000323320 A JP 2000323320A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温での焼結性に優れたNi−Cu−Znフ
ェライト粉末を製造できる方法を提供する。また、この
フェライト粉末を用いて積層チップインダクタを製造す
る方法を提供する。 【解決手段】 Fe、Ni、CuおよびZnを主成分と
する軟磁性フェライト粉末を製造する方法であって、原
料粉末の仮焼物と水とを含むスラリー中に、有機添加剤
を存在させる工程を設け、前記有機添加剤として、水酸
基およびカルボキシル基を有する有機化合物またはその
中和塩もしくはそのラクトンを用いるか、ヒドロキシメ
チルカルボニル基を有する有機化合物、酸として解離し
得るエノール型水酸基を有する有機化合物またはその中
和塩を用いる軟磁性フェライト粉末の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低温焼結が可能な
軟磁性フェライト粉末を製造する方法と、この方法によ
り製造された軟磁性フェライト粉末を用いて積層チップ
インダクタを製造する方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種電子機器の小型化、軽量化技
術の進展はめざましいものがあり、それに伴い、各部品
の表面実装化が急速に進められている。特にインダクタ
素子は、磁性体とコイルとを一体化した、いわゆるチッ
プインダクタを用いることが多く、その性能向上が望ま
れている。
【0003】チップインダクタでは、磁性体として酸化
物磁性材料であるNi−Cu−Znフェライトを用い、
コイル用の導体としてAgまたはAg−Pd合金を用い
ることが一般的である。
【0004】チップインダクタの製造に際しては、ま
ず、Fe、Ni、Cu、Znをそれぞれ含む原料化合物
をボールミル等で混合した後、仮焼し、得られた仮焼物
を粉砕して軟磁性フェライト粉末を得る。この軟磁性フ
ェライト粉末を、バインダおよび溶媒と混練して磁性体
ペーストを調製する。また、導体粉末を、バインダおよ
び溶媒を混練して、導体ペーストを調製する。そして、
これらのペーストの印刷を繰り返して磁性体層と導体層
とを積層した後、焼成し、さらに、外部電極を形成して
チップインダクタを得る。
【0005】ところで、チップインダクタの高性能化を
図るためには、フェライトが十分に緻密化し、しかもこ
のとき導体と反応せず、導体に断線等の不具合が発生し
ないことが必須である。導体としては、電気抵抗が小さ
いことからAg単体を用いることが好ましいが、Agは
融点が960℃と低い。したがって、導体とフェライト
との反応、導体の断線や剥離等を生じさせずに高性能化
を図るためには、Agの融点以下で、しかもできるだけ
低い温度、例えば920℃以下で焼成することが好まし
い。
【0006】しかし、Ni−Cu−Znフェライト粉末
を920℃以下で焼成した場合、フェライトの緻密化が
進行せず、透磁率等の電気特性に優れたフェライト焼結
体が得られにくいことが指摘されている。
【0007】Ni−Cu−Znフェライト焼結体の製造
方法は、例えば本出願人による特開平5−175032
号公報に記載されている。同公報には、空気より酸素濃
度の低い雰囲気中で焼成することにより、フェライト焼
結体の密度が向上する旨が記載されており、その実施例
では870℃で焼成を行っている。また、本出願人によ
る特公平6−30297号公報には、酸化鉄と、2価の
金属(M2)の酸化物(ただしM2は、ニッケルおよび/
または銅、あるいはこれに亜鉛を加えたもの)とを含む
フェライトの主組成に、Li2Oと、4価の金属(M4
の酸化物(ただしM4はチタン、スズおよびゲルマニウ
ムの1種以上)とを添加することにより、950℃以下
での低温焼成が可能になったことが記載されている。
【0008】しかし、雰囲気制御や組成制御を行うこと
なく低温での焼成を可能にする手段については、従来提
案されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低温
での焼結性に優れたNi−Cu−Znフェライト粉末を
製造できる方法を提供することであり、また、このフェ
ライト粉末を用いることにより、積層チップインダクタ
の製造に際して低温での焼成を可能とすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(7)の本発明により達成される。 (1) Fe、Ni、CuおよびZnを主成分とする軟
磁性フェライト粉末を製造する方法であって、原料粉末
の仮焼物と水とを含むスラリー中に、有機添加剤を存在
させる工程を設け、前記有機添加剤として、水酸基およ
びカルボキシル基を有する有機化合物またはその中和塩
もしくはそのラクトンを用いるか、ヒドロキシメチルカ
ルボニル基を有する有機化合物、酸として解離し得るエ
ノール型水酸基を有する有機化合物またはその中和塩を
用いる軟磁性フェライト粉末の製造方法。 (2) 前記有機添加剤の添加量が、仮焼物に対し0.
05〜3.0重量%である上記(1)の軟磁性フェライ
ト粉末の製造方法。 (3) 前記スラリー中に、前記仮焼物に由来するFe
イオンおよび/またはCuイオンが、合計で前記仮焼物
の0.005〜2重量%含まれる上記(1)または
(2)の軟磁性フェライト粉末の製造方法。 (4) 前記水酸基およびカルボキシル基を有する有機
化合物がグルコン酸またはクエン酸である上記(1)〜
(3)のいずれかの軟磁性フェライト粉末の製造方法。 (5) 前記酸として解離し得るエノール型水酸基を有
する有機化合物がアスコルビン酸である上記(1)〜
(3)のいずれかの軟磁性フェライト粉末の製造方法。 (6) 前記スラリー中にアンモニアが添加されている
上記(1)〜(5)のいずれかの軟磁性フェライト粉末
の製造方法。 (7) 上記(1)〜(6)のいずれかの方法により製
造された軟磁性フェライト粉末を用いて磁性層を形成す
る工程を有する積層チップインダクタの製造方法。
【0011】
【作用および効果】本発明者は、仮焼物を湿式粉砕して
Ni−Cu−Znフェライト粉末を製造する際に、スラ
リー中に上記有機添加剤を存在させることにより、その
フェライト粉末の焼結温度を低下させ得ることを見いだ
した。具体的には、焼成温度を、Ag電極との同時焼成
が可能な920℃以下とした場合でも、十分な密度と初
透磁率とを有する焼結体が得られることがわかった。
【0012】スラリー中においてフェライトの仮焼物と
上記有機添加剤とを共存させたときに、どのようなメカ
ニズムにより低温での焼結が可能となるかは明確ではな
い。ただし、本発明者がスラリー中の金属イオン量を調
べたところ、Cuイオンの量およびFeイオンの量が、
上記有機添加剤の有無に強く影響を受けることがわかっ
た。具体的には、スラリー中において、それぞれフェラ
イト仮焼物に由来するCuイオンおよびFeイオンの合
計量が、最終的にフェライト仮焼物の0.005〜2重
量%となる場合、特に、CuイオンとFeイオンとが共
に0.01〜1.0重量%となる場合に、低温で焼結で
きるという効果が明瞭に現れることがわかった。このこ
とから、フェライト仮焼物から溶出したこれらの金属イ
オンが、微粉砕された仮焼物に再付着し、これが焼結助
剤として働くことにより、低温での焼結が可能になった
とも考えられる。CuイオンとFeイオンとの合計が少
なすぎると、低温での焼結が困難となる。一方、上記範
囲を超えるイオンを溶出させるためには、有機添加剤の
添加量を著しく多くする必要があるため、好ましくな
い。両イオンの合計量が2重量%以下の範囲で、低温焼
結効果は十分に実現する。
【0013】本発明において、有機添加剤に加えスラリ
ー中にアンモニアを添加すれば、本発明の効果はより向
上する。
【0014】なお、本発明で用いる有機添加剤のうち、
例えば、酒石酸、l−アスコルビン酸、クエン酸につい
ては、泥漿鋳込成形法において成形性向上を目的とした
分散剤として公知である(「ファインセラミックスの成
形と有機材料」第187〜188ページ、斎藤勝義著、
株式会社シーエムシー発行)。また、グルコン酸ナトリ
ウムは、コンクリート工業における分散剤として公知で
ある(「分散・凝集の化学」第92〜95ページ、森山
登著、産業図書発行)。しかし、これらの分野におい
て、上記有機添加剤はいずれも分散剤として利用されて
いる。
【0015】また、WO98/25278号公報には、
酸化物磁性材料を製造するに際し、粉砕時の水スラリー
中に、本発明で用いる有機添加剤を添加する提案がなさ
れている。しかし、同公報では、上記有機添加剤を、磁
場配向を行う際に配向度を向上させるための分散剤とし
て利用している。また、同公報には、六方晶フェライト
磁石における分散効果は記載されているが、軟磁性フェ
ライト粉末に関する実施例は記載されておらず、針状の
軟磁性フェライト粒子の磁場配向に有効である旨の記載
があるだけである。また、同公報には、上記有機添加剤
を用いて製造した場合に、軟磁性フェライト粉末が低温
で焼結可能となることについては、記載も示唆もない。
【0016】これに対し本発明では、上記有機添加剤を
軟磁性フェライトの水スラリー中に添加することによ
り、従来知られていない全く新しい効果を実現させる。
なお、本発明者の実験によれば、有機添加剤を添加して
も、軟磁性フェライト仮焼物の粉砕に要する時間(一定
の比表面積となるまでの粉砕時間)は実質的に短縮され
ない。したがって上記有機添加剤は、軟磁性フェライト
粉末に対して分散効果は示さないと考えられる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明により製造される軟磁性フ
ェライト粉末は、Ni−Cu−Znフェライトから構成
される。本発明では、フェライトの組成によらず、低温
での緻密な焼結が可能となる。したがって、本発明が適
用されるNi−Cu−Znフェライトの主成分組成は、
特に限定されず、一般的な組成範囲から、要求特性など
に応じて適宜選択すればよい。主成分酸化物をそれぞれ
Fe23、NiO、CuOおよびZnOで表すと、一般
的な組成範囲は、例えば Fe23:35〜50モル%、 NiO :4〜50モル%、 CuO :4〜16モル%、 ZnO :5〜40モル% である。すなわち、本発明は、Fe23含有量の多い高
透磁率材にも、Fe23含有量の少ない低透磁率材にも
適用できる。主成分酸化物の含有量限定理由は、以下の
とおりである。Fe23が少なすぎると非磁性相の生成
量が増大して損失増大の原因となり、Fe23が多すぎ
ると焼結性が著しく悪くなってしまう。NiOが少なす
ぎると損失が大きくなり、NiOが多すぎると高価にな
ってしまう。CuOが少なすぎると焼結性が悪くなって
しまい、CuOが多すぎると相対的にNiOが少なくな
るため、損失が大きくなってしまう。ZnOが少なすぎ
ると透磁率が低くなってしまい、ZnOが多すぎるとキ
ュリー温度が低くなりすぎる。
【0018】フェライト粉末中には、上記主成分酸化物
のほか、副成分ないし不可避的不純物として他の金属酸
化物、例えば、Co、W、Bi、Si、B、Mn、Z
r、Ca、Ta、Mo、P、Y、Mg等の酸化物が必要
に応じて含まれていてもよい。
【0019】本発明では、軟磁性フェライト粉末を以下
に説明する方法により製造する。
【0020】まず、原料粉末の仮焼物を製造する。原料
粉末には、Ni−Cu−Znフェライトの製造に通常用
いられる各種原料、すなわち、酸化物または焼成により
酸化物となる各種化合物を用いればよい。仮焼は、酸化
性雰囲気中、通常は空気中で行えばよく、仮焼温度(保
持温度)は、通常、700〜900℃、仮焼時間(温度
保持時間)は、通常、0.5〜10時間とすることが好
ましい。
【0021】このようにして得られた仮焼物を水と混合
し、粉砕用スラリーを調製する。そして、この粉砕用ス
ラリーに対し湿式粉砕を行い、仮焼物を所定の粒径ある
いは比表面積まで粉砕した後、乾燥して、軟磁性フェラ
イト粉末を得る。
【0022】本発明では、上記粉砕用スラリー中に、有
機添加剤を存在させる。有機添加剤は、粉砕前、粉砕中
および粉砕後のいずれの時点で添加してもよい。スラリ
ー中に有機添加剤が存在し、これによりスラリー中に金
属イオンが溶出していれば、本発明の効果は実現する。
【0023】湿式粉砕の時間は特に限定されず、仮焼物
の平均粒径が0.4〜2.0μm程度、あるいは仮焼物
の比表面積が3〜11m2/g程度、好ましくは3〜8m2/g
程度となるように、粉砕手段などの各種条件に応じて適
宜決定すればよい。なお、粉砕手段は特に限定されず、
通常、ボールミル、アトライター、振動ミル等を用いる
ことが好ましい。ところで、低温で焼結するためには、
仮焼物を微細な径まで粉砕すればよいことが知られてい
るが、微細となるように強力な粉砕を長時間行うと、ジ
ルコニアボールや鉄ボールなどからなる粉砕媒体が摩耗
し、それによる仮焼物のコンタミネーションが問題とな
る。これに対し本発明では、仮焼物の平均粒径や比表面
積が上記範囲となる程度の比較的粗い粉砕を行っても、
低温焼結が可能なので、粉砕媒体の摩耗による仮焼物の
コンタミネーションが生じにくく、安定した特性のフェ
ライトが得られる。
【0024】粉砕用スラリー中の仮焼物の含有量、すな
わち固形成分の濃度は、好ましくは15〜50重量%、
より好ましくは20〜35重量%である。固形分濃度が
低すぎても高すぎても、粉砕効率および粉砕の均一性が
低くなってしまう。
【0025】次に、有機添加剤について説明する。本発
明で用いる有機添加剤は、水酸基およびカルボキシル基
を有する有機化合物であるか、その中和塩であるか、そ
のラクトンであるか、ヒドロキシメチルカルボニル基を
有する有機化合物であるか、酸として解離し得るエノー
ル型水酸基を有する有機化合物であるか、その中和塩で
あり、これらのうちでは酸として働くものが好ましい。
【0026】上記各有機化合物は、炭素数が好ましくは
3〜20、より好ましくは4〜12であり、かつ、好ま
しくは、酸素原子と二重結合した炭素原子以外の炭素原
子の50%以上に水酸基が結合しているものである。な
お、水酸基の結合比率は、上記有機化合物について限定
されるものであり、有機添加剤そのものについて限定さ
れるものではない。例えば、有機添加剤として、水酸基
およびカルボキシル基を有する有機化合物(ヒドロキシ
カルボン酸)のラクトンを用いるとき、水酸基の結合比
率の限定は、ラクトンではなくヒドロキシカルボン酸自
体に適用される。
【0027】上記有機化合物の基本骨格は、鎖式であっ
ても環式であってもよく、また、飽和であっても不飽和
結合を含んでいてもよい。
【0028】有機添加剤としては、具体的にはヒドロキ
シカルボン酸またはその中和塩もしくはそのラクトンが
好ましく、特に、グルコン酸(C=6;OH=5;CO
OH=1)またはその中和塩もしくはそのラクトン、ラ
クトビオン酸(C=12;OH=8;COOH=1)、
酒石酸(C=4;OH=2;COOH=2)またはこれ
らの中和塩、グルコヘプトン酸γ−ラクトン(C=7;
OH=5)が好ましい。そして、これらのうちでは、低
温焼結における特性向上効果が高く、しかも安価である
ことから、グルコン酸またはその中和塩もしくはそのラ
クトンが好ましい。
【0029】ヒドロキシメチルカルボニル基を有する有
機化合物としては、ソルボースが好ましい。
【0030】酸として解離し得るエノール型水酸基を有
する有機化合物としては、アスコルビン酸が好ましい。
【0031】なお、本発明では、クエン酸またはその中
和塩も有機添加剤として使用可能である。クエン酸は水
酸基およびカルボキシル基を有するが、酸素原子と二重
結合した炭素原子以外の炭素原子の50%以上に水酸基
が結合しているという条件は満足しないが、本発明の効
果は実現する。
【0032】上記した好ましい有機添加剤の一部につい
て、構造を以下に示す。
【0033】
【化1】
【0034】なお、有機添加剤は2種以上を併用しても
よい。
【0035】有機添加剤の添加量は、仮焼物に対し、好
ましくは0.05〜3.0重量%、より好ましくは0.
10〜2.0重量%である。有機添加剤が少なすぎると
本発明の効果が不十分となる。一方、有機添加剤が多す
ぎると、成形体や焼結体にクラックが発生しやすくな
る。
【0036】なお、有機添加剤が水溶液中でイオン化し
得るもの、例えば酸や金属塩などであるときには、有機
添加剤の添加量はイオン換算値とする。すなわち、水素
イオンや金属イオンを除く有機成分に換算して添加量を
求める。また、有機添加剤が水和物である場合には、結
晶水を除外して添加量を求める。
【0037】また、有機添加剤がラクトンからなると
き、あるいはラクトンを含むときには、ラクトンがすべ
て開環してヒドロキシカルボン酸になるものとして、ヒ
ドロキシカルボン酸イオン換算で添加量を求める。
【0038】本発明では、有機添加剤に加え、スラリー
中にアンモニアを存在させることが好ましい。アンモニ
アの添加により、より低温での焼結が可能となり、ある
いは、同じ温度であればより緻密な焼結体が得られる。
アンモニアは、アンモニア水として添加すればよい。な
お、アンモニアを添加すると、スラリー中のイオン量、
特にFeイオン量が増える傾向となる。ただし、アンモ
ニア添加量が多すぎると、イオン溶出がかえって抑制さ
れることもあるので、アンモニア添加量は仮焼物に対し
5重量%以下とすることが好ましい。また、アンモニア
添加による効果を十分に発揮させるためには、アンモニ
ア添加量を仮焼物に対し0.1重量%以上とすることが
好ましい。アンモニアは、粉砕前、粉砕中および粉砕後
のいずれの時点で添加してもよいが、通常、有機添加剤
と同時に添加すればよい。
【0039】上述した手順により製造された軟磁性フェ
ライト粉末は、様々な用途に適用できるが、特に、各種
インダクタの磁性体コアの製造に好適である。インダク
タの磁性体コアは、軟磁性フェライト粉末を成形して焼
成することにより製造される。本発明により製造される
軟磁性フェライト粉末は、酸化性雰囲気中、通常は空気
中で焼成すればよい。焼成温度(保持温度)は、通常、
800〜1100℃、焼成時間(保持時間)は、通常、
1〜6時間とすればよい。ただし、本発明により製造さ
れる軟磁性フェライト粉末は、920℃以下で焼成した
場合でも、磁性体コアとして十分な特性が得られる。し
たがって、本発明により製造される軟磁性フェライト粉
末は、Ag電極と同時焼成する必要がある積層チップイ
ンダクタの製造に、特に好適である。なお、Ag電極を
有する積層チップインダクタの製造に際して、Agとの
反応によるフェライトの特性低下を十分に抑えるために
は、焼成温度を910℃以下、特に900℃以下とする
ことが好ましいが、このような低温で焼成した場合で
も、磁性体コアとして十分な特性を得ることができる。
【0040】次に、積層チップインダクタおよびその製
造方法について説明する。
【0041】図3に示される積層チップインダクタは、
磁性層6と内部導体5とを積層して構成されるインダク
タチップ体10と、このインダクタチップ体10表面に
設けられた外部電極41、45とを有する。
【0042】積層チップインダクタ各部の構成は、従来
公知の各種構成から選択すればよく、例えば、外形はほ
ぼ直方体状とされる。そして、通常、図3に示されるよ
うに、磁性層6内において内部導体5は螺旋状に配置さ
れて内部巻線を構成し、その両端部は外部電極41、4
5に接続される。外部電極41、45は単独の電極層と
してもよいが、さらに、Cu、Ni、Snあるいはハン
ダ等から形成される被覆層を設けてもよい。このような
被覆層は、ハンダ付けの際のハンダ濡れ性、ハンダ耐熱
性を向上させる。内部導体5の巻線パターンは特に限定
されない。巻数は用途に応じ適宜選択すればよいが、通
常、1.5〜15.5ターン程度とする。
【0043】積層チップインダクタ各部の寸法は特に限
定されず、用途に応じて適宜決定すればよい。例えば磁
性層の厚さは20〜100μm程度とすればよい。外部
電極の厚さは、通常、10〜100μm程度とすればよ
く、被覆層を含めた合計厚さは15〜130μm程度と
すればよい。外部電極の幅は目的に応じて選定すればよ
いが、通常、0.2〜0.4mm程度とすればよい。内部
導体5の厚さは、通常、5〜30μm程度とすればよ
い。インダクタチップ体10の寸法も用途に応じて適宜
決定すればよいが、通常、(1.0〜4.5mm)×
(0.5〜3.2mm)×(0.6〜2.0mm)程度とす
ればよい。
【0044】内部導体5に含有される導電材は、比抵抗
の小さいAgを主体とするものであることが好ましい。
Agを主体とする導電材としては、Ag、または、Ag
−Pd、Ag−Pt、Ag−Pd−Pt等のAg合金が
好ましく、特にAgが好ましい。Ag合金中のAgの含
有率は、75質量%以上であることが好ましい。
【0045】外部電極41、45には、Agを主体とす
る導電材を用いることが好ましい。Agを主体とする導
電材としては、AgまたはAg合金が好ましく、特にA
gが好ましい。また、Ag合金としては、Ag−Pd合
金、Ag−Cu合金が好ましく、これらのうちではAg
−Pd合金が好ましい。Ag合金中のAgの含有率は、
75質量%以上であることが好ましい。外部電極中に
は、硼珪酸鉛ガラス等の各種ガラスが含有されていても
よい。
【0046】積層チップインダクタの製造に際しては、
まず、磁性体ペースト、内部導体ペーストおよび外部電
極ペーストを調製する。
【0047】磁性体ペーストは、本発明により製造した
軟磁性フェライト粉末を、有機ビヒクルと混練して調製
することができる。有機ビヒクルとは、バインダを有機
溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバ
インダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニ
ルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すれ
ばよい。また、用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷
法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオ
ール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各
種有機溶剤から適宜選択すればよい。磁性体ペーストを
水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤
などを水に溶解させた水系ビヒクルと、軟磁性フェライ
ト粉末とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶
性バインダは特に限定されず、例えば、ポリビニルアル
コール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いれ
ばよい。
【0048】内部導体ペーストは、上記導電材、あるい
は焼成により上記導電材となる各種酸化物、有機金属化
合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練
して調製することができる。
【0049】外部電極ペーストは、上記した内部導体ペ
ーストと同様にして調製すればよい。
【0050】積層チップインダクタを印刷法により製造
する場合、まず、磁性体ペーストと内部導体ペーストと
を、内部導体ペーストがコイルパターンとなるように、
PETフィルム等からなる基体上に交互に印刷して、積
層体を形成する。次に、所定の形状および寸法となるよ
うに切断してグリーンチップとした後、基体から剥離す
る。一方、シート法により製造する場合、まず、磁性体
ペーストを用いてグリーンシートを形成し、グリーンシ
ートに導通のためのスルーホールを穿設する。次いで、
グリーンシートに内部導体ペーストを印刷してこれらを
積層し、得られた積層体を切断してグリーンチップとす
る。次いで、いずれの方法の場合でも、グリーンチップ
を焼成してインダクタチップ体を得、このインダクタチ
ップ体に外部電極ペーストを印刷ないし転写して焼成す
ることにより、積層チップインダクタを得る。外部電極
用ペーストの焼成条件は、例えば、600〜800℃に
て10分間〜1時間程度とすることが好ましい。
【0051】このようにして製造された積層チップイン
ダクタは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装
され、各種電子機器等に使用される。
【0052】なお、本発明により製造される軟磁性フェ
ライト粉末は、積層チップインダクタに限らず、積層型
のインダクタ部を有する各種チップ部品、例えばLC複
合部品などにも適用できる。
【0053】
【実施例】実施例1〜5 Fe23:49モル%、 NiO:18モル%、 CuO:12モル%、 ZnO:21モル% の比率となるようにこれらの酸化物を秤量し、湿式メデ
ィア攪拌型粉砕機を用いて4時間湿式混合した。この湿
式混合には、分散媒として純水を用いた。
【0054】次いで、混合物をスプレードライヤーによ
り乾燥し、700℃で2時間仮焼して、Ni−Cu−Z
nフェライトの仮焼物を得た。
【0055】この仮焼物を純水と混合して、粉砕用スラ
リーを調製した。この粉砕用スラリー中の固形分(仮焼
物)濃度は、25重量%とした。なお、スラリー中に
は、表1に示すように、有機添加剤、またはこれとアン
モニアとを添加した。なお、アンモニアは、濃度50重
量%のアンモニア水として添加した。表1に示す有機添
加剤およびアンモニアの添加量は、仮焼物に対する添加
量である。
【0056】この粉砕用スラリーを、湿式メディア攪拌
型粉砕機で7時間粉砕した後、スプレードライヤーで乾
燥することにより、Ni−Cu−Znフェライト粉末を
得た。この粉砕により、フェライト粉末の比表面積は
4.4m2/g(平均粒径1.4μm)となった。粉砕後、
スラリー中の金属イオンをICP発光分析法により測定
し、仮焼物に対するCuイオンおよびFeイオンそれぞ
れの重量比を求めた。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】このフェライト粉末100gに、バインダ
としてポリビニルアルコール1.0gを添加して混合
し、顆粒とした。この顆粒を、98MPa(1000kgf/c
m2)の圧力でプレス成形し、直径21mmのリング状成形
体を得た。この成形体を、図1および図2に示す温度に
2時間保つことにより焼成し、Ni−Cu−Znフェラ
イト焼結体を得た。
【0059】この焼結体の密度を、アルキメデス法に準
じて測定した。また、この焼結体の100kHzにおける
初透磁率を、LCR METER 4274A(HEWLETT PACKARD社製)
で測定した。焼成温度と密度との関係を図1に、焼成温
度と初透磁率との関係を図2に、それぞれ示す。
【0060】比較例1 粉砕用スラリーに有機添加剤およびアンモニアのいずれ
も添加しなかったほかは上記実施例と同様にして焼結体
を作製し、上記実施例と同様な測定を行った。結果を図
1および図2に示す。なお、上記実施例と同様にしてス
ラリー中のイオン量を測定した結果、Cuイオンおよび
Feイオンは検出されなかった。
【0061】評価 図1および図2から、本発明の効果が明らかである。す
なわち、軟磁性フェライト粉末を製造する際の湿式粉砕
工程において、スラリー中に所定の有機添加剤を添加し
た実施例1〜5では、焼成温度を900℃程度と低くし
た場合でも、4.8g/cm3以上の十分な密度が得られ、
また、150を超える十分な初透磁率が得られている。
一方、有機添加剤を添加しなかった比較例1では、低温
焼成時の焼結体密度および初透磁率のいずれもが、実施
例1〜5に比べ大きく劣っている。
【0062】なお、上記実施例で製造した軟磁性フェラ
イト粉末を磁性層材料として用い、かつ、Agを内部導
体材料として用いて、焼成温度を910℃として積層チ
ップインダクタを作製したところ、図1および図2に示
される特性に応じた優れたインダクタ特性が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ni−Cu−Znフェライト焼結体について、
焼成温度と焼結体の密度との関係を示すグラフである。
【図2】Ni−Cu−Znフェライト焼結体について、
焼成温度と焼結体の初透磁率との関係を示すグラフであ
る。
【図3】積層チップインダクタの構成例の一部を切り欠
いて示す平面図である。
【符号の説明】
5 内部導体 6 磁性層 10 インダクタチップ体 41、45 外部電極

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe、Ni、CuおよびZnを主成分と
    する軟磁性フェライト粉末を製造する方法であって、 原料粉末の仮焼物と水とを含むスラリー中に、有機添加
    剤を存在させる工程を設け、前記有機添加剤として、水
    酸基およびカルボキシル基を有する有機化合物またはそ
    の中和塩もしくはそのラクトンを用いるか、ヒドロキシ
    メチルカルボニル基を有する有機化合物、酸として解離
    し得るエノール型水酸基を有する有機化合物またはその
    中和塩を用いる軟磁性フェライト粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記有機添加剤の添加量が、仮焼物に対
    し0.05〜3.0重量%である請求項1の軟磁性フェ
    ライト粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記スラリー中に、前記仮焼物に由来す
    るFeイオンおよび/またはCuイオンが、合計で前記
    仮焼物の0.005〜2重量%含まれる請求項1または
    2の軟磁性フェライト粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記水酸基およびカルボキシル基を有す
    る有機化合物がグルコン酸またはクエン酸である請求項
    1〜3のいずれかの軟磁性フェライト粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記酸として解離し得るエノール型水酸
    基を有する有機化合物がアスコルビン酸である請求項1
    〜3のいずれかの軟磁性フェライト粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記スラリー中にアンモニアが添加され
    ている請求項1〜5のいずれかの軟磁性フェライト粉末
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかの方法により製
    造された軟磁性フェライト粉末を用いて磁性層を形成す
    る工程を有する積層チップインダクタの製造方法。
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