JP2000323770A - プラスチック光ファイバおよびプラスチック光ファイバレーザ - Google Patents

プラスチック光ファイバおよびプラスチック光ファイバレーザ

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Yasuhiro Koike
康博 小池
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Keio University
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Keio University
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチック光ファイバレーザの発振部に用
いられるプラスチック光ファイバの耐久性を改善する。 【解決手段】 プラスチック光ファイバレーザ用のプラ
スチック光ファイバはポリマー材中に光活性媒質を混入
して形成される。本発明では前記ポリマー材を、水酸基
を有しない第1のモノマー材と水酸基を有する第2のモ
ノマー材との共重合により得るものとしており、且つ第
2のモノマー材の第1のモノマー材に対する比率を5〜
15wt%となるようにしている。 【効果】 本発明によると、従来は数百発程度の励起パ
ルスで出力が大幅に低下していたのに対し、励起パルス
照射数が10〜20万発レベルの耐久性を得ることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック光フ
ァイバレーザの発振部に用いられるプラスチック光ファ
イバに関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック光ファイバレーザ(POF
レーザ)は、ポリマー材で形成した光ファイバ構造の光
導波路中に光活性媒質をドープ(混入)してなる発振部
を有し、この発振部に励起光を例えばパルス化して照射
することで、パルス的なレーザ発振を得る(例えば「プ
ラスチック光ファイバレーザ」、POFコンソーシアム
編、共立出版、1997年)。そのため、ファブリペロ
ー共振器型レーザのような精巧なアライメント調整を必
要としないし、またプラスチック光ファイバ(POF)
を用いた光ファイバ通信の信号光源として用いた場合
に、POFと直接に接続することが可能であるし、さら
に多様な光活性媒質を利用できることから、近紫外から
遠赤外までの広い範囲で任意に発振波長を選択すること
ができるなど、多くの長所を持っている。しかし、PO
Fレーザには実用に耐えうるものが未だ得られていな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】POFレーザに実用的
なものが未だ得られていないことの大きな要因として、
一般に有機色素が用いられる光活性媒質の耐久性の問題
がある。すなわち励起光により有機色素が変性するなど
し、これにより経時的に出力が低下する問題である。例
えば現在まで報告されている事例において最も耐久性の
優れたものであっても、数百発程度の励起パルスで出力
が大幅に低下してしまう。
【0004】ただ、POFレーザは、上記のように極め
て簡易なレーザヘッドを構成することが可能である。こ
のためレーザヘッドを例えばカートリッジ式にして交換
が容易であるようにすることが可能であることから、そ
れほど長時間の耐久性は必ずしも必要としない。実際に
どの程度の耐久性が必要であるについての明確な基準は
ないが、一般的には励起パルス数万発を越える耐久性が
最低限でも必要と考えられる。すなわち現在では励起パ
ルス数百発程度である耐久性を数万発程度まで高めるこ
とができれば、POFレーザの実用化における重要な問
題点を克服できるということである。したがって本発明
の目的は、POFレーザについて耐久性の向上を図るこ
とにあり、より具体的にはPOFレーザの発振部に用い
られるPOFの耐久性を改善することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明者はレーザ用P
OFの耐久性を改善するために様々な実験を繰り返して
きたが、その過程でPOFにおけるポリマー材中に水酸
基(OH基)のあることが耐久性に大きく影響するとの
知見を得た。すなわちPOFにおけるポリマー材には水
酸基を有しないものを用いるのが従来の一般的な考え方
であるが、本願発明者の実験によると、適量の水酸基を
有するポリマー材を用いることで耐久性を大幅に向上さ
せ得ることが分かった。
【0006】水酸基が耐久性の改善に働く理由は必ずし
も定かでないが、以下のような作用機序を推測すること
はできる。レーザ用POFの耐久性は上記のように光活
性媒質として一般に用いられる有機色素の励起光による
変性に関係している。このことは励起光により有機色素
が発光するメカニズムと関係している。すなわちPOF
レーザ用の有機色素は、それが有する二重結合や三重結
合あるいはそれらの共役系構造からなる光活性部位にお
いて励起光による発光を生じる。それと同時に、光活性
部位が励起光により壊される可能性も一定の比率であ
り、これが耐久性を決定する大きな要因となっている。
このことから、光活性部位の励起光による損傷を有効に
抑制できれば、耐久性を効果的に改善できる可能性のあ
ることが分かる。一般に、光活性部位の安定性はその周
囲にある原子団や分子における軌道電子の影響を受け
る。そしてこのような光活性部位の安定性に影響を与え
る原子団として水酸基が特に有効に働くと考えられる。
つまり水酸基が光活性媒質の発光部位である光活性部位
の安定性を高めるのに効果的に作用し、この結果、レー
ザ用POFの耐久性が優れて改善されるということであ
る。
【0007】また適量の水酸基を有するポリマー材を得
るには、水酸基を有しないモノマー材と水酸基を有する
モノマー材との共重合によることになるが、この場合、
水酸基を有するモノマー材が水酸基を有しないモノマー
材への有機色素の溶解性を助けるのに機能する。このた
めポリマー材中に有機色素をより均一に分散させること
ができる。そして一般的に、有機色素のポリマー材中へ
の分散が高いほどレーザ発振効率がよくなる、つまり有
機色素の利用効率がよくなるが、このことも耐久性の改
善に寄与すると考えられる。
【0008】以上のように水酸基は耐久性の改善に働
く。しかしその一方で、ポリマー材中の水酸基が過剰に
なると、レーザ用POFの作製で必要となるポリマー材
の熱延伸加工などに困難を来すことも実験から分かっ
た。そしてその具体的な程度については、水酸基を有し
ないモノマー材(第1のモノマー材)に対し、一つの水
酸基を有するモノマー材(第2のモノマー材)を共重合
させる一般的な場合であると、第2のモノマー材の第1
のモノマー材に対する比率は最大で15wt%程度であ
り、これを越えると実質的に熱延伸が不可能となり、熱
延伸性に関して良好な範囲は10wt%前後であるとの
データが得られた。したがって、耐久性という点では水
酸基が多いほど好ましいことを考慮すると、5〜15w
t%の比率が実効的に有効な範囲であると言える。なお
過剰な水酸基の存在により熱延伸が困難になる理由とし
ては、水酸基に起因してポリマー材に架橋が生じ、これ
により熱延伸性が阻害される、ということが推測され
る。
【0009】本発明は以上のような知見に基づくもので
あり、ポリマー材中に光活性媒質を混入して形成され、
POFレーザの発振部に用いられるPOFについて、前
記ポリマー材を、水酸基を有しない第1のモノマー材と
水酸基を有する第2のモノマー材との共重合により得る
ようにし且つ、第2のモノマー材の第1のモノマー材に
対する比率を5〜15wt%とするようにしている。
【0010】POF用のポリマー材には、透明性に優れ
ることが求められ、メタクリル酸系またはアクリル酸系
を用いるの好ましい。特に好ましいのはメタクリル酸系
の代表的な透明材料であるメタクリル酸メチル(メチル
メタクリレート;MMA)を第1のモノマー材とし、第
2のモノマー材としてメタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル(2−ヒドロキシエチルメタクリレート;HEMA)
を用いることである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明を実施する形態には、光フ
ァイバ構造に関して、コア部における屈折率が均一であ
るステップインデックス形(SI形)とコア部における
屈折率が例えば二次曲線的な分布を形成するグレーデッ
ドインデックス形(GI形)が可能である。より好まし
くは、発振光の閉じ込め効果の大きいGI形とする。
【0012】また本発明を実施する上では種々のモノマ
ー材を用いることができるが、特に重要である透明性を
考慮すると、メタクリル酸系またはアクリル酸系のモノ
マー材を用いることが好ましい。これらのモノマー材と
しては以下のようなものを挙げることができる。水酸基
を有しない第1のモノマー材として、例えばメタクリル
酸メチル(MMA)、メタクリル酸2、2、2−トリフ
ルオロエチル(3FMA)、メタクリル酸ベンジル(B
zMA)、メタクリル酸エチル(EMA)、メタクリル
酸n−ブチル(nBMA)、メタクリル酸n−プロピル
(nPMA)、メタクリル酸n−ヘキシル(nHM
A)、メタクリル酸イソプロピル(iPMA)、メタク
リル酸1−フェニルエチル(1PhEMA)、メタクリ
ル酸2−フェニルエチル(2PhEMA)。また水酸基
を有する第2のモノマー材として、例えばメタクリル酸
2−ヒドロキシエチル(HEMA)、メタクリル酸2−
ヒドロキシプロピル(HPMA)、アクリル酸2−ヒド
ロキシエチル(HEAA)、アクリル酸2−ヒドロキシ
プロピル(HPAA)。
【0013】同様に、光活性媒質についても種々のもの
を用いることができる。例えば光活性媒質として通常用
いることのできる有機色素の代表的な例としては、一般
にレーザ色素と呼ばれる色素がある。例えばRhodamine
B 、Rhodamine 6G、Rhodamine 19 Perchlorateなどのロ
ーダミン系有機色素やCoumarin 120、Coumarin 2などの
クマリン系有機色素、あるいはOxazine 4 Perchlorate
、Oxazine 170 Perchlorate などのオキサリン系有機
色素をその例として挙げることができ、この他にもCarb
ostyril 124 、Fluorescein 、Cryptocyanine なども挙
げることができる。
【0014】GI形のPOFについては既に多くの製造
方法が既に知られている。例えば特開平4−97302
号公報、特開平4−97303号公報、WO93/08
488号公報、特開平2−16504号、特開平8−1
14714号公報、特開平8−114715号公報など
にその例が開示されている。これらの中でも、WO93
/08488号公報に開示される方法をより好ましいも
のとして用いることができる。WO93/08488号
公報に開示の方法は、モノマーの重合過程を利用して屈
折率分布用の物質(ドーパント)を拡散させることで所
望の屈折率分布を形成する方法であり、通常、以下のプ
ロセスを含む。
【0015】全体のプロセスはプリフォームの作製とこ
れから熱延伸によりPOFを得るプロセスに分けられ
る。プリフォームの作製は、円筒状の重合管内でモノマ
ーを重合開始剤および連鎖移動剤の添加の下で重合させ
て行なう。重合管にはガラス管やポリマー管を用い、ポ
リマー管を用いた場合にはこのポリマー管をクラッド層
としてそのまま利用することができる。またポリマー管
を用いる場合には、これを特定のポリマー材料、つまり
作製しようとするPOFのポリマー材料と同じかまたは
近い組成のポリマー材料で作製することで、界面ゲル効
果を利用することができ、屈折率分布をより急峻な形で
形成することが可能である。すなわちモノマーの重合時
にポリマー管のポリマーがモノマー液により膨潤し、こ
れによりポリマー管とモノマー液の界面で優先的に重合
が進行するようになり、この結果、ドーパントがプリフ
ォームの中心に寄せ集められやすくなり、より急峻な分
布による屈折率分布の形成が可能となる。
【0016】重合管内でのモノマーの重合は、熱重合に
よる場合であれば、先ず例えば70℃程度のウォーター
バスやオイルバスで数時間程度予備的に加熱すること
で、ある程度粘度が高まった状態にし、それから通常は
重合管を水平した状態で例えば2000rpm程度の速
度で回転させながら、例えば70℃程度に加熱して行な
う。この回転重合は通常、15時間以上かけて行なう。
【0017】このようにして所望の太さのプリフォーム
が得られたらこれを延伸装置で熱延伸してPOFとす
る。熱延伸は通常、200℃前後に加熱し、数〜数十m
/分程度の巻取り速度で行なう。
【0018】このようにして得られたPOFは、例えば
上記の「プラスチック光ファイバレーザ」において説明
されるような構造としてその発振部に組み込むことでP
OFレーザを形成することができる。
【0019】
【実験例1】以下に、熱延伸性に関する実験例を説明す
る。水酸基を有しない第1のモノマー材にMMAを用
い、水酸基を有する第2のモノマー材にHEMAを用
い、ドーパントとしてリン酸トリフェニル(TPP)を
用い、連鎖移動剤として1−ブタンチオール(nBM)
を用い、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプ
ロピルカーボネート(Pb−I)を用いた。重合のため
のモノマー液の組成、重合条件および熱延伸条件は次の
通りである。
【0020】組成;MMA:HEMA=85〜95:1
5〜5(重量比)、TPP20wt%、nBM0.15
wt%、Pb−I0.3wt%。重合条件;上記組成の
モノマー液をガラス管に充填して、90℃のオイルバス
中で27時間加熱した。その後、乾燥機中において11
0℃で46時間熱処理を行なった。熱延伸条件;150
℃より5℃刻みで240℃まで昇温しながら延伸を試み
た。
【0021】実験結果;MMAとHEMAの比率を上記
の範囲で3ポイントずつ変えながら熱延伸性を試した結
果、MMA:HEMA=90:10まで良好な延伸性を
得られるが、それを越えると徐々に延伸しづらくなり、
MMA:HEMA=85:15の条件が延伸できる限界
であった。
【0022】
【実験例2】以下に、耐久性に関する実験例を説明す
る。水酸基を有しない第1のモノマー材にMMAを用
い、水酸基を有する第2のモノマー材にHEMAを用
い、光活性媒質として有機色素であるローダミンB(2-
[6-(diethylamino)-3-(diethylamino)-3H-xanthen-9-y
l]benzoic acid )とローダミン6G(2-[6-(ethylamin
o)-3-(ethylamino)-2,7-dimethyl-3H-xanthen-9-yl]-et
hyl)を用いた。モノマー組成や重合条件などは上記の
実験例1に準じており、有機色素の添加量は100pp
mである。またローダミン6G添加のPOFを用いたP
OFレーザでは590nmのレーザ光を励起光とし、ロ
ーダミンB添加のPOFを用いたPOFレーザでは61
8nmのレーザ光を励起光とした。
【0023】実験結果;ローダミン6G添加のPOFの
場合、半値幅は6nm、変換効率は26%、そして変換
効率が半分になるまでの励起パルス照射数は14000
0発であった。一方、ローダミンB添加のPOFの場
合、半値幅は8nm、変換効率は23%、そして変換効
率が半分になるまでの励起パルス照射数は200000
発であった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリマー材中に光活性媒質を混入して形
    成され、プラスチック光ファイバレーザの発振部に用い
    られるプラスチック光ファイバにおいて、前記ポリマー
    材は、水酸基を有しない第1のモノマー材と水酸基を有
    する第2のモノマー材との共重合により得られたもので
    あり、且つ第2のモノマー材の第1のモノマー材に対す
    る比率が5〜15wt%とされていることを特徴とする
    プラスチック光ファイバ。
  2. 【請求項2】 第1、第2の各モノマー材がメタクリル
    酸系またはアクリル酸系である請求項1に記載のプラス
    チック光ファイバ。
  3. 【請求項3】 第1のモノマー材がメタクリル酸メチル
    であり、第2のモノマー材がメタクリル酸2−ヒドロキ
    シエチルである請求項2に記載のプラスチック光ファイ
    バ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載
    のプラスチック光ファイバを発振部に用いたプラスチッ
    ク光ファイバレーザ。
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