JP2000325937A - 汚染環境の生物学的浄化方法 - Google Patents

汚染環境の生物学的浄化方法

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JP2000325937A
JP2000325937A JP11139853A JP13985399A JP2000325937A JP 2000325937 A JP2000325937 A JP 2000325937A JP 11139853 A JP11139853 A JP 11139853A JP 13985399 A JP13985399 A JP 13985399A JP 2000325937 A JP2000325937 A JP 2000325937A
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microorganism
injected
protozoa
injection
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Hiroaki Ishida
浩昭 石田
Kanji Nakamura
寛治 中村
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Kurita Water Industries Ltd
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Kurita Water Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストかつ簡単な操作で、汚染環境を効率
よく浄化することができる汚染環境の生物学的浄化方法
を提案する。 【解決手段】 培養槽1aで培養した微生物a2aを含
む培養液を、注入井3の下端から汚染地下水路17に注
入し、汚染地下水路17および汚染土壌16中の汚染物
質を分解すると、注入した微生物a2aを捕食した原生
動物の個体数が増加するので、この時微生物b2bを含
む培養液を微生物a2aの場合と同様に注入井3の下端
から汚染地下水路17に注入し、微生物b2bにより汚
染物質を分解し、さらにこのような微生物a2aおよび
微生物b2bの注入を交互に繰り返し、汚染環境を浄化
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有害物質で汚染さ
れた土壌または地下水等の汚染環境を生物学的に浄化す
る汚染環境の生物学的浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機塩素化合物等の化学物質その他の有
害物質により土壌または地下水等の環境が汚染される
と、その汚染は長期にわたって続き、また汚染が広範囲
に拡散するので、汚染環境の浄化が必要になる。このよ
うな有害物質で汚染された土壌または地下水を浄化する
場合、汚染から年数が経過していない、比較的範囲の狭
い高濃度の汚染に対しては物理化学的な処理が有効であ
るが、ある程度の時間が経過し、拡散や地下水の流れに
よって汚染物質が広範囲に広がった後の低濃度汚染に対
しては生物学的な浄化が効果的であると言われている。
【0003】土壌または地下水中の有害物質を生物学的
に浄化するには、有機物や栄養塩および酸素などを汚染
サイトに添加し、対象汚染物質を分解できる微生物を現
場に生育させることが必要であり、また場合によっては
温度やpH等の環境条件の制御が必要な場合もある。そ
して対象汚染物質が生物易分解性であり、その分解微生
物が現場サイトにある一定量以上存在する場合は、特定
の微生物を外部から添加せず、現場に土着する微生物を
処理に利用するのが一般的である。しかし、現場サイト
に分解菌がほとんど存在しない場合や、汚染物質が生物
難分解性であり、汚染物質を基質とした増殖だけでは高
い分解効率が得られない場合や、その汚染物質をエネル
ギー源や炭素源として増殖できる微生物が地球上に存在
しない場合などは、外部から特定の分解微生物を添加
し、処理の効率化を図ることが必要である。
【0004】ところで特定の微生物を汚染サイトに注入
する場合、対象とする土壌または地下水中にはもともと
他の様々な生物が存在するため、これらが添加した微生
物の機能や生育を阻害する場合がある。中でも原生動物
による添加微生物の捕食は大きな問題であり、特にfl
agellateやciliateと呼ばれる原生動物
は微生物を捕食しながら急速に増殖するため、数時間の
内に添加した微生物のほとんどを食べ尽くしてしまう場
合がある(K.Christoffersen,et
al.,Micro.Ecol.,30,p67−7
8)。
【0005】現場環境下にもともと存在する微生物は、
増殖と原生動物による捕食が均衡を保っているか、ある
いは生物膜を形成したり、糸状性になったりすることに
よって原生動物による捕食を防ぎながら(M.W.Ha
hn,et al.,Appl.Environ.Mi
crobiol.,64,p1910−1918)生育
していると考えられる。しかし、汚染サイトとは異なる
環境で培養された後に現場へ注入される微生物の場合、
原生動物の捕食に対する備えを持たないため、添加後速
やかに原生動物の餌食になってしまう可能性が高い。
【0006】現場にて増殖可能なタイプの微生物であっ
ても、増殖速度よりも捕食される速度が大きければ、菌
数は時間と共に減少してしまう。増殖速度の方が捕食速
度より大きい場合でも、捕食される分、見かけの増殖速
度は低下する。いずれにしろ、汚染物質の処理効果は原
生動物の捕食によって大幅に低下してしまうことにな
る。さらに、もともと現場の環境下では増殖することが
できない、使い捨てタイプの分解微生物の場合、本来の
機能を十分に発揮する前に原生動物に捕食されて、添加
菌体量当たりの処理効果が著しく低下してしまう結果に
なる。
【0007】このような、原生動物の捕食を防ぐ方法と
して、微生物をポリビニルアルコールやポリアクリルア
ミド等の高分子化合物を用いて包括固定化する方法(例
えば特開平7−97673号)、微生物を吸水性ポリマ
ーに保持させて汚染環境に注入して浄化する方法(例え
ば特開平7−124543号)が提案されている。しか
し、これら従来の方法はコスト高になるほか、微生物を
固定化または保持させる操作が複雑で熟練を要するなど
の問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、低コ
ストかつ簡単な操作で、汚染環境を効率よく浄化するこ
とができる汚染環境の生物学的浄化方法を提案すること
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、汚染物質浄化
能を有する微生物を汚染環境に注入して浄化する方法に
おいて、捕食する原生動物が異なる2種以上の微生物を
順次注入することを特徴とする汚染環境の生物学的浄化
方法である。
【0010】特定の原生動物による微生物の捕食の影響
は、対象とする微生物の種類に依存することが知られて
いる(J. M. Gonzalez, et al., Appl. Environ. Micro
biol., 56, p1851-1857)。これは対象微生物の形態や
運動性等によって各原生動物にとっての捕食のしやすさ
が異なっているためであると考えられる。従って、汚染
環境中のある地点から1種類の微生物を添加し続ける
と、この微生物を好んで捕食する原生動物がその地点で
どんどん増殖する。このため、微生物添加による環境浄
化の効果は、注入初期に比べて時間の経過とともに減少
する。
【0011】そこで本発明の汚染環境の生物学的浄化方
法においては、汚染物質浄化能を有する微生物であっ
て、捕食する原生動物が異なる2種以上の微生物を順次
汚染環境に注入(添加)する。捕食する原生動物が異な
る2種以上の微生物を順次注入すると、原生動物の菌相
が変化する時間分だけ、1種類の微生物を添加する場合
よりも微生物の機能を有効に利用できる。
【0012】注入する微生物は、環境浄化機能が同程度
の微生物を組み合せて利用するのが好ましい。捕食する
原生動物が異なっているかどうかは、浄化対象となる土
壌や地下水に微生物を順次添加した場合と、単独で添加
した場合の微生物の菌体数の変化を比較することにより
調べることができる。
【0013】本発明において浄化の対象となる汚染環境
は、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン(TC
E)、cis−1,2−ジクロロエチレン、trans
−1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレ
ン、ビニルクロリド、塩化メチル、ジクロロメタン、ク
ロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、
1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタ
ン、1,1,2−トリクロロエタン、1,3−ジクロロ
プロペン、1,2−ジクロロプロパン、クロロベンゼ
ン、ジクロロベンゼン、PCB、ダイオキシン類等の有
機塩素化合物;ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、
キシレン、多環芳香族化合物、重金属などの有害物質に
より汚染された土壌または地下水などの環境である。こ
のような環境には汚染源が河川や湖沼である場合には、
これらの河川や湖沼も含まれる。
【0014】このような汚染環境を浄化するために添加
する微生物は、汚染環境に含まれる汚染有害物質を分解
または無害化して浄化する汚染物質浄化能を有する微生
物である。このような微生物はその後の効果の持続性の
観点から次の2つのタイプに分けることができる。その
一つは、現場にて増殖でき、一度注入すれば処理効果が
継続するタイプのものである。それに対し、他の一つは
現場では増殖できず、添加した微生物が一定の機能を発
揮した後、やがてはその機能を失う使い捨てタイプのも
のである。
【0015】本発明で使用する微生物は、上記二つのい
ずれのタイプのものでもよく、自然界から単離された純
粋培養菌、純粋培養菌の数種類を混合した微生物群、対
象汚染物質に対する高い分解活性を示すような条件で集
積された混合微生物、自然界に存在する微生物よりも高
い分解能を示すように遺伝子組換え操作によって改良さ
れた遺伝子組換え体、およびこれらの混合物などが使用
できる。
【0016】上記遺伝子組換え体としては、例えばトリ
クロロエチレン(TCE)を分解できるように改変され
た遺伝子組換え体であるPseudomonas putida KN1-10A
(環境工学研究論文集、Vol.33、p165−17
5、1996)、Ralstonia sp. KN1-200A(Pseudomona
s putida KN1-200Aが改名されたものであり、Pseudomon
as putida KN1-200Aについては特開平11−18773
号に詳しく記載されている)、Ralstonia sp. KN1-210A
Pseudomonas putida KN1-210Aが改名されたものであ
り、Pseudomonas putida KN1-210Aについては特開平1
1−18774号に詳しく記載されている)などがあげ
られる。これらの組換え体は、TCEを酸化分解できる
酵素フェノールヒドロキシラーゼをコードする遺伝子
が、フェノール誘導なしに発現するように改変された遺
伝子組換え体である。その他にも、塩素化エチレン分解
能を有するEscherichia coli KWI-10(通商産業省工業
技術院生命工学工業技術研究所に、FERM P−13
966の微生物受託番号で寄託されており、その菌株的
性質および培養方法等については特開平7−14388
2号に記載されている)などがあげられる。これらの組
換え体はTCEを基質として増殖することはできないた
め、土壌または地下水に添加した菌体は一定量のTCE
を分解した後、死滅する。
【0017】このような有用な機能を持った特定の微生
物を自然環境に添加する際、それらを捕食し効果を減少
させてしまうのは原生動物であり、その中で特に問題と
なるのはflagellateやciliateなどで
ある。これらは微生物を捕食することによって急速に増
殖していく。このため、第1回目の注入では、微生物に
より浄化の効果が得られるが、時間が経過するとともに
原生動物に捕食されて微生物の菌体数は減少し、一方原
生動物の個体数が増加するので、浄化の効果は小さくな
る。原生動物の個体数が増加した状態で微生物の注入を
継続しても、注入した微生物は原生動物に捕食されるの
で、効果は小さい。しかし、捕食する原生動物が異なる
2種以上の微生物を順次注入すると、原生動物の個体数
が減少した後再び微生物を注入することになるので、第
1回目の注入の場合と同様に効果が得られる。
【0018】注入の方法は微生物を汚染された土壌表面
に散布する方法、注入管から土壌中に注入する方法、地
下水源に注入する方法などがある。浄化の方法はこれら
の微生物を注入するだけでよい場合もあるが、微生物の
種類によっては水、酸素、栄養源等を供給することもで
きる。
【0019】同一の微生物を注入する間隔は、注入する
環境により異なり、一概に限定することはできないが、
通常2日以上、好ましくは3〜7日間の間隔を置いて注
入するのが好ましい。注入する間隔は、予備試験などに
より、原生動物の減少速度を予め求めておくことにより
決定することができる。また注入は目的の浄化度が得ら
れるまで、何度でも繰り返し行うことができる。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、捕食する原生動物が異
なる2種以上の微生物を順次注入するようにしたので、
低コストかつ簡単な操作で、汚染環境を効率よく浄化す
ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の方法を図面を用いて説明
する。図1は微生物を汚染地下水に注入して浄化する例
を示す実施例の模式的断面図であり、微生物aおよび微
生物bの2種類の微生物を順次注入する場合の例であ
る。図において、1a、1bは培養槽、2aは微生物
a、2bは微生物b、3は注入井、15は表面土壌、1
6は汚染土壌、17は汚染地下水路、18は不透水層で
ある。注入井3は表面土壌15からその下端が汚染地下
水路17に到達するように形成されている。
【0022】図1の方法では、培養槽1aに微生物供給
路5aから植種用微生物aを添加した後、培養する微生
物a2aが資化できる有機物および栄養塩類を栄養素供
給路6aから添加し、必要により送気路7aから空気ま
たは酸素を送気するとともに、撹拌機8aで撹拌しなが
ら培養する。培養は微生物a2aの増殖に最適な温度、
pHに制御しながら行うのが好ましい。また上記と同様
に、培養槽1bにおいて微生物b2bを培養する。
【0023】上記のようにして培養した微生物a2aを
含む培養液を、ポンプ10aにより注入井路11aを通
して注入井3に導入し、注入井3の下端から汚染地下水
路17に注入する。この時、微生物b2bの注入は行わ
ない。
【0024】このようにして汚染地下水路17中に注入
された微生物a2aは、地下水の流れ(図1では、左か
ら右)に乗って下流に拡散するとともに、汚染土壌16
中にも入り込む。このようにして汚染地下水路17およ
び汚染土壌16に注入された微生物a2aの作用により
汚染環境中の汚染物質が分解される。時間が経過すると
ともに、注入した微生物a2aを捕食した原生動物の個
体数が増加するので、時間の経過とともに浄化の効果は
低下する。
【0025】この時、前記微生物b2bを含む培養液
を、微生物a2aの場合と同様に、ポンプ10bにより
注入井路11bを通して注入井3に導入し、注入井3の
下端から汚染地下水路17に注入する(図1では、微生
物a2aが注入された場合が図示されており、微生物b
2bの場合の図示は省略されている)。この時、微生物
a2aの注入は行わない。この場合、微生物b2bを捕
食する原生動物の個体数は増加していないので、微生物
b2bにより汚染物質が分解され、環境がさらに浄化さ
れる。時間が経過するとともに、注入した微生物b2b
を捕食した原生動物の個体数が増加するので、時間の経
過とともに浄化の効果は低下する。
【0026】この時、再び前記と同様に微生物a2aを
注入する。この時点では、餌となる微生物a2aがなく
なっているので、微生物a2aを捕食する原生動物の個
体数は減少しており、このため注入された微生物a2a
の環境浄化効果は第1回目の注入の場合と同様に発揮さ
れ、汚染環境中の汚染物質がさらに分解される。このよ
うに、微生物a2aおよび微生物b2bの注入を交互に
繰り返す。図1では2種類の微生物が使用されている
が、3種類以上の微生物を順次注入することもできる。
上記のように、捕食する原生動物が異なる2種以上の微
生物の注入を順次繰り返すことにより、簡単に、効率よ
く、しかも低コストで汚染環境を浄化することができ
る。
【0027】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。製造
例で使用したプラスミドおよび微生物は次の通りであ
る。
【0028】《ラルストニア sp. KWI−9(Ra
lstonia sp. KWI-9)》フェノール資化能を有し、トル
エン資化能を有さない塩素化エチレン分解性菌株であ
る。塩素化エチレン分解性はフェノールの共存により著
しく阻害される。ラルストニア sp. KWI−9
は、シュードモナス プチダ KWI−9(Pseudomona
s putida KWI-9)が改名されたものであり、シュードモ
ナス プチダKWI−9菌株は通商産業省工業技術院生
命工学工業技術研究所に、FERMBP−6356(微
工研菌寄第P−13109号より移管)の微生物受託番
号で寄託されており、その菌株的性質および培養方法等
については特開平6−70753号に記載されている。
他の微生物や原生動物が存在しない系におけるトリクロ
ロエチレン分解量は約0.05g/g−cellであ
る。 《エセリシア コリー KWI−10(Escherichia co
li KWI-10)》塩素化エチレン分解性菌株であり、塩素
化エチレン分解性はイソプロピル−β−D−チオガラク
トフィラノサイド(IPTG)の添加によって発現す
る。トルエン分解酵素todC1C2BAが組み込まれ
たプラスミドpJHF3051を、エセリシア コリー
JM109に導入した組換え菌であり、通商産業省工
業技術院生命工学工業技術研究所に、FERM P−1
3966の微生物受託番号で寄託されている。その菌株
的性質および培養方法等については特開平7−1438
82号に記載されている。他の微生物や原生動物が存在
しない系におけるトリクロロエチレン分解量は約0.0
17g/g−cellである。
【0029】《E. coli S17-1株》IncP系プラスミドR
P4を染色体上に内在する大腸菌であって、作成方法は
BIO/TECHNOLOGY 1, 784-791(1983)に記載されており、
またUS. Department of Agriculture, Northern Region
al Research Centerに寄託されている(Accession No.
B-15483, US. Patent 4,680,264)。 《pTrc99A》タンパク質の発現ベクターpKK233-2(ファ
ルマシア社の製品コード番号27-4935-01)の誘導体。こ
のプラスミドはファルマシア社から市販されており、製
品コード番号は27-5007-01である。
【0030】製造例1 《1.Ralstonia sp. KN1-200Aの作製》Ralstonia sp.
KWI-9の染色体上にコードされている塩素化エチレン分
解能を有するフェノールヒドロキシラーゼ遺伝子群を、
図2に示す。塩素化エチレン分解のための必須遺伝子
は、pheAからpheEまでの5つの遺伝子群(塩素化エチレ
ン分解遺伝子群)である。またpheA上流のpheZは塩素化
エチレン分解促進遺伝子である。pheZの上流に、下記方
法によりtacプロモーターを導入した。そしてRalstonia
sp. KN1-200Aを、以下に示すように相同的組換えによ
って作製した(図2参照)。
【0031】1)相同的組換えに必要なpheZ上流の相同
部分の取得pheZ 上流の1.1kbをPCRで合成するために、以下
のプライマーペアを用い、Ralstonia sp. KWI-9の染色
体をテンプレートとした。 Upper Primer: 5'-GGG GAA TTC GGG GGA GGG GGT AAG GGG GTG GTG-3' Lower Primer: 5'-GGG CCC GGG AAG AGC GTG CCA GCT GGC GCA AAC-3' (Upper PrimerのアンダーラインはEcoRIサイト、Lower
PrimerのアンダーラインはSmaIサイトを示す。)
【0032】2)PCR合成された相同部分の1.1k
bの EcoRI-SmaI 断片のpKNA82(図3参照)への挿入 PCR合成された相同部分の1.1kbの EcoRI-SmaI
断片(図2においてF1で示されている断片)は、左右
PacIサイトを有するプラスミドベクターpKNA82のEcoR
I-SmaIの部分に挿入した。
【0033】3)相同的組換えに必要なpheZおよびpheA
の一部分を有する相同部分の取得pheZ およびpheAをPCR合成により取得するため、以下
のプライマーペアーを用いて、Ralstonia sp. KWI-9の
染色体をテンプレートとした。 Upper Primer: 5'-GGG GGA TCC CGC AAT AGA GGC CAT ACC GCC CA-3' Lower Primer: 5'-CGC GGA TCC GGC GGT TTC CTC AGG CGG CAA GGC-3' (Upper PrimerおよびLower PrimerのアンダーラインはB
amHIサイトを示す。)
【0034】合成されたDNA断片は、BamHIとSalIで消化
し、pheZの開始点からpheA中のSalIサイトまでの1kb
BamHI-SalI 断片(図2においてF2で示されている
断片)をもう一つの相同部分とした。
【0035】4)PCR合成された相同部分の1kbの
BamHI-SalI 断片のpKNA82への挿入 PCR合成された相同部分の1kbの BamHI-SalI 断片
(F2)は、前記2)ですでに挿入されたEcoRI-SmaI
断片(F1)に続いてpKNA82の BamHI-SalIに挿入し
た。
【0036】5)相同な断片に挟まれたSmaI-BamHIサイ
トへのtacプロモーターの挿入 F1およびF2の2個の断片が挿入されたpKNA82におい
て、まず左側(F1)の相同部分の右端のSmaIサイトに
HindIIIリンカー(d(pCAAGCTTG))を挿入した。次に、
このプラスミドをHindIIIおよびBamHIで切断し、この部
分に以下のtacプロモーター(二本鎖DNA、表示は一
本鎖DNA)をHindIIIおよびBamHIで切断後挿入した。 5'-AAG CTT ACT CCC CAT CCC CCT GTT GAC AAT TAA TCA TCG GCT CGT ATA ATG TGT GGA ATT GTG AGC GGA TAA CAA TTT CAC ACA GGA AAC AGG ATC C-3' (アンダーライン部はHindIIIおよびBamHIサイトを示す。)
【0037】6)tacプロモーターを含む相同部分のpMO
K180への挿入tac プロモーターを含む相同部分は、PacIで切り出し、
図2に示すpMOK180のPacIサイトに挿入した。作製され
たプラスミドは、E. coli S17-1株に導入した後、下記
のようにしてRalstonia sp. KWI-9と接合し、相同的組
換えによってtacプロモーターが染色体上のpheZ上流に
組み込まれた組換え体Ralstonia sp. KN1-200Aを選出し
た。
【0038】7)染色体上への挿入 相同的組換えを行う際には、供与菌のE. coli S17-1に
上記6)のtacプロモーターを含むpMOK180プラスミドを
導入後、LB液体培地(トリプトン10g、酵母エキス
5gおよびNaCl 5gを蒸留水1 literに溶解)
で、37℃で一晩培養し、同時に受容菌であるRalstoni
a sp. KWI-9株を30℃で、LB培地で一晩培養し、各
々の培養液0.5mLから菌体を遠心分離で集菌した。
これらの菌体は、生理食塩水(0.8%NaCl)1m
Lで懸濁、混合した上で、再び遠心分離で集菌、上澄み
を捨て、生理食塩水1mLで洗浄した。この洗浄操作を
再び繰り返し、沈殿させた後、混合菌体は50μLの生
理食塩水に懸濁させ、LB培地上の直径25mm、孔径
0.22μmの滅菌ミリポアフィルター上に滴下させ、
30℃で10時間接合させた。その後、フィルター上の
菌体を1mLの生理食塩水に懸濁させ、希釈液を無機塩
類、フルクトース20mMおよびカナマイシン100μ
g/mLを含む寒天培地に塗布し、30℃で3〜4日間
培養し、前記プラスミドすべてが染色体に挿入された菌
株を選出した。
【0039】8)Ralstonia sp. KN1-200Aの選出 上記7)で作製された菌株をLB液体培地で一晩培養
後、希釈液を20μg/mLのXガル(すなわち5−ブ
ロモ−4−クロロ−3−インドイル−β−D−ガラクト
シド)を含むLB寒天培地に塗布し、青いコロニーに混
じって観察された白いコロニーをpMOK180が抜け落ちた
菌株として選出した。この中から、0.1Mのカテコー
ルをスプレーすることによって黄変する菌株(tacプロ
モーターの働きによってカテコール−2,3−オキシゲ
ナーゼをコードするpheFが発現するため)を、tacプロ
モーターがpheZ上流に挿入されたRalstonia sp. KN1-20
0Aとして選出した。
【0040】9)pKNA82の作製(図3参照) ファルマシア製のpTrc99AのlacIqおよびtrcプロモータ
ー部分を、EcoT22IおよびNcoIで切断、削除し、得られ
た断片をT4ポリメラーゼで両端を平滑化した後、PacI
リンカー(d(pTTAATTAA))を挿入した。上記プラスミドの
マルチクローニングサイト内のHindIIIサイトをHindIII
で切断、T4ポリメラーゼで平滑化処理し、ここにもう
一つのPacIリンカー(d(pGTTAATTAAC))を挿入した。この
プラスミドをpKNA82とした。
【0041】10)pMOK180の作製 pMOK180は、環境工学研究論文集 Vol. 33, pp165-175
(1996)に記載された方法により作製した。pMOK180はpBR
322由来のori遺伝子を使用し、可動化に必要な遺伝子は
pKT240のmobAmobBoriTを使用した。またマーカーと
しては、pCH110由来のgptプロモーターおよびlacZを含
む断片を利用した。
【0042】実施例1、比較例1 図4は実施例において用いた浄化装置の試験装置を示す
フロー図である。図4において、21は処理槽(内径4
0mm、高さ750mm、有効容積942mL)であ
り、内部に平均粒径0.35mm、比重2.6g/cm
3、空隙率0.42の土壌22が充填されている。処理
槽21の下部には原水路23およびこれに合流する菌体
注入路24が連絡し、上部に処理水路25が連絡してい
る。この装置を、下記浄化試験に使用した。
【0043】汚染物質をトリクロロエチレン(TCE)
とし、前述の製造例1で得た遺伝子組換え体Ralstonia
sp. KN1-200A株、およびEscherichia coli KWI-10株を
用いて以下の浄化試験を行った。
【0044】1)菌体懸濁液の調製 LB培地で培養したRalstonia sp. KN1-200A株をリン酸
緩衝液(5mM PO 4、pH7.0)で遠心洗浄した
後、再び新鮮なリン酸緩衝液に懸濁させ、これをRalsto
nia sp. KN1-200A懸濁液(菌体濃度=1500mg/
L、以下単にKN1-200A懸濁液という場合がある)とし
た。またEscherichia coli KWI-10株を、20mMグル
コース、1mMチアミンおよび100μg/mLアンピ
シリンを含む無機培地を用いて37℃で培養し、菌体濃
度OD600が0.8〜1.0に達した時点で、液中濃度
が1mMになるようにイソプロピル−β−D−チオガラ
クトフィラノサイド(IPTG)を添加した。さらに1
時間培養した後、リン酸緩衝液(5mM PO4、pH
7.0)で遠心洗浄した。その後、再び新鮮なリン酸緩
衝液に懸濁させ、これをEscherichiacoli KWI-10懸濁液
(菌体濃度=1500mg/L、以下単にKWI-10懸濁液
という場合がある)とした。
【0045】2)Ralstonia sp. KN1-200Aの生菌数測定 テトラサイクリンを10μg/mLの濃度で含むR2A
寒天培地に、数段階希釈したサンプル液を塗布し、30
℃で培養した。1週間後、生育したコロニーをカウント
することによって、Ralstonia sp. KN1-200A株の生菌数
を求めた。なお、他の微生物が共存する系では、コロニ
ーの形態からRalstonia sp. KN1-200A株のコロニーと他
の微生物のコロニーとを区別し、測定した。
【0046】3)Escherichia coli KWI-10の生菌数測
定 アンピシリンを100μg/mLの濃度で含むLB寒天
培地に、数段階希釈したサンプル液を塗布し、37℃で
培養した。2日後、生育したコロニーをカウントするこ
とによって、Escherichia coli KWI-10の生菌数を求め
た。
【0047】4)Fill & Draw方式による半
連続TCE分解実験 容量157mLのガラスバイアル瓶を模擬地下水(脱塩
素水道水)で満たし、菌体を2.5mg/L、TCEを
約500μg/L添加し、20℃の室内で10〜11日
間静置した。その間、経時的にTCE濃度の変化を測定
した。10〜11日後、バイアル中の液の半分を捨て、
新たに同量の脱塩素水道水を添加し、再び菌体を2.5
mg/L、TCEを約500μg/L添加し、20℃の
室内で10〜11日間静置した。その間、経時的にTC
E濃度の変化を測定した。以上の操作を数回繰り返し行
った。結果を図5および図6に示す。
【0048】5)土カラム中でのTCE分解実験 図4の試験装置に川砂(粒径0.35mm)を充填した
後、TCEを約500μg/Lの濃度で含んだ脱塩素水
道水(原水)を40mL/d、HRT=10日の条件で
通水した。約30日間、予備通水を行った後、菌体懸濁
液を菌体注入路24から3〜4日に一度、液中の平均濃
度が2.5mg/Lとなるように注入した。処理槽21
としてのカラムは4本同じものを用意し、カラムAには
Ralstonia sp. KN1-200Aのみ(比較例1)、カラムBに
Escherichia coli KWI-10のみ(比較例2)、カラム
CにはRalstonia sp. KN1-200AとEscherichia coli KWI
-10とを交互に注入(実施例1)し、カラムDはコント
ロールとして微生物を添加しなかった。結果を図7に示
す。
【0049】6)結果 Fill & Draw方式による半連続TCE分解
実験 図5の結果からわかるように、Ralstonia sp. KN1-200A
のみ(比較例1)、Escherichia coli KWI-10のみ(比
較例2)、Ralstonia sp. KN1-200AとEscherichia coli
KWI-10とを交互に注入(実施例1)した系のいずれ
も、初回注入のTEC分解量に比べて、Fill &
Draw方式による半連続TCE分解実験の繰り返しに
伴って、2回目以降のTEC分解量が低下する傾向が見
られ、4回目以降のTEC分解量はほぼ一定になった。
これは、脱塩素水道水に含まれていた原生動物の個体数
が微生物の添加によって増加した結果、捕食される菌体
数が増加したためと考えられる。
【0050】比較例1および2に比べて、実施例1は2
回目以降のTCE分解量の低下する割合が小さく、定常
に達した時点で1回のRUNあたりのTCE分解量も比
較例1の1.4倍、比較例2の1.7倍であった。これ
は、Ralstonia sp. KN1-200AおよびEscherichia coli K
WI-10を捕食する原生動物の種類が異なるため、交互注
入によって液中で増殖する原生動物が変化する分、微生
物への影響が低下したためと考えられる。
【0051】交互注入する実施例の場合、各菌体にとっ
ての菌体添加の間隔が、単独注入する比較例の場合より
も見かけ2倍となるため、再添加時の原生動物の個体数
が自己分解によって減少していると考えられる。実際
に、単独注入と交互注入のRUN7回目(交互注入はRa
lstonia sp. KN1-200Aを注入)とRUN8回目(交互注
入は8回目Escherichia coli KWI-10を注入)の最終菌
体濃度(培地を入れ換える直前の菌体濃度)を比較する
と、交互注入(実施例1)の方が単独注入(比較例)よ
りもそれぞれ56倍、123倍高かった(図6)。また
以上の結果から、Ralstonia sp. KN1-200Aを捕食する原
生動物とEscherichia coli KWI-10を捕食する原生動物
とは種類が異なっていることがわかる。
【0052】土カラム中でのTCE分解実験 図7の結果からわかるように、Ralstonia sp. KN1-200A
のみ(比較例1)を添加した場合のTCE分解量は約1
64μg/L、Escherichia coli KWI-10のみ(比較例
2)の場合は約131μg/Lであるのに対して、Rals
tonia sp. KN1-200AとEscherichia coli KWI-10とを交
互に注入した場合(実施例1)のTCE分解量は約21
2μg/Lであった。以上の結果から、異なる種類の微
生物を交互に注入する手法がTCEの分解に有効である
ことが確認された。
【0053】
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:33 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成プライマーDNA 配列の特徴 存在位置:4..9 他の情報:EcoRIサイト 特徴を決定した方法:S 配列 GGGGAATTCG GGGGAGGGGG TAAGGGGGTG GTG 33
【0054】 配列番号:2 配列の長さ:33 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成プライマーDNA 配列の特徴 存在位置:4..9 他の情報:SmaIサイト 特徴を決定した方法:S 配列 GGGCCCGGGA AGAGCGTGCC AGCTGGCGCA AAC 33
【0055】 配列番号:3 配列の長さ:32 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成プライマーDNA 配列の特徴 存在位置:4..9 他の情報:BamHIサイト 特徴を決定した方法:S 配列 GGGGGATCCC GCAATAGAGG CCATACCGCC CA 32
【0056】 配列番号:4 配列の長さ:33 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成プライマーDNA 配列の特徴 存在位置:4..9 他の情報:BamHIサイト 特徴を決定した方法:S 配列 CGCGGATCCG GCGGTTTCCT CAGGCGGCAA GGC 33
【0057】 配列番号:5 配列の長さ:97 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成プロモーターDNA 配列の特徴 存在位置:1..6 他の情報:HindIIIサイト 特徴を決定した方法:S 特徴を表す記号:promoter 存在位置:7..91 特徴を決定した方法:S 存在位置:92..97 他の情報:BamHIサイト 特徴を決定した方法:S 配列 AAGCTTACTC CCCATCCCCC TGTTGACAAT TAATCATCGG CTCGTATAAT GTGTGGAATT 60 GTGAGCGGAT AACAATTTCA CACAGGAAAC AGGATCC 97
【図面の簡単な説明】
【図1】2種類の微生物を汚染地下水に注入して浄化す
る例を示す実施例の模式的断面図である。
【図2】フェノールヒドロキシラーゼ遺伝子群(pheR
pheG)およびtacプロモーター挿入に必要な相同部分のp
KNA82への挿入過程を示す概略図である。
【図3】プラスミドpKNA82の制限酵素切断位置を示す概
略図である。
【図4】実施例で用いた浄化装置の試験装置を示すフロ
ー図である。
【図5】実施例1および比較例1、2の結果を示すグラ
フである。
【図6】実施例1および比較例1、2の結果を示すグラ
フである。
【図7】実施例1および比較例1、2の結果を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1a、1b 培養槽 2a 微生物a 2b 微生物b 3 注入井 5a、5b 微生物供給路 6a、6b 栄養素供給路 7a、7b 送気路 8a、8b 撹拌機 10a、10b ポンプ 11a、11b 注入井路 15 表面土壌 16 汚染土壌 17 汚染地下水路 18 不透水層 21 処理槽 22 土壌 23 原水路 24 菌体注入路 25 処理水路pheApheBpheCpheDpheE 塩素化エチレン分解遺
伝子pheZ 塩素化エチレン分解促進遺伝子pheF 機能不明な遺伝子pheG カテコール−2,3−オキシゲナーゼ遺伝子pheR フェノールによって誘導される調節遺伝子tac tacプロモーター Amp アンピシリン耐性遺伝子 Km カナマイシン耐性遺伝子lacZ β−ガラクトシダーゼ遺伝子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/20 C12N 1/20 F // C12N 1/21 1/21 15/09 ZNA 15/00 ZNAA Fターム(参考) 2E191 BA12 BA13 BA15 BB01 BD20 4B024 AA17 BA08 CA03 DA09 EA04 FA03 FA04 FA10 GA11 GA30 4B065 AA26X AA44X AA44Y AA86X AB01 AC20 BA02 BA30 BB04 BB40 BC50 CA27 CA28 CA56 4D004 AA41 AB06 AB07 AC07 CA18 CC07 4D027 AC02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 汚染物質浄化能を有する微生物を汚染環
    境に注入して浄化する方法において、捕食する原生動物
    が異なる2種以上の微生物を順次注入することを特徴と
    する汚染環境の生物学的浄化方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002200480A (ja) * 2000-12-28 2002-07-16 Shinichi Ueda 土壌浄化方法
JP2006231222A (ja) * 2005-02-25 2006-09-07 Matsushita Electric Ind Co Ltd 土壌の浄化システムおよび土壌の浄化監視装置

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