JP2000328286A - 錫−銀系合金電気めっき浴 - Google Patents

錫−銀系合金電気めっき浴

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JP2000328286A
JP2000328286A JP11138903A JP13890399A JP2000328286A JP 2000328286 A JP2000328286 A JP 2000328286A JP 11138903 A JP11138903 A JP 11138903A JP 13890399 A JP13890399 A JP 13890399A JP 2000328286 A JP2000328286 A JP 2000328286A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第一錫化合物、銀化合物、キレート剤、光沢
剤 (好ましくは非イオン界面活性剤) 、酸化防止剤を含
有する酸性の錫−銀系合金電気めっき浴において、硫酸
を用いて建浴した場合にも安定に長期保存でき、Biまた
はCuを含有する三元合金めっき皮膜の形成も可能な錫−
銀系合金電気めっき浴を得る。 【解決手段】 キレート剤として、一般式: R1-S(CH2C
H2S)n-R2 (式中、R1およびR2は同じでも異なっていても
よく、それぞれ−CH2OH 、−C2H4OH、−C3H6OH、−CH2N
H2、−C2H4NH2 、−C3H6NH2 から選ばれ、nは1〜3の
整数である) で示されるチオエタン化合物を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、錫−鉛合金ハンダ
の代わりに使用可能な錫−銀系合金めっき皮膜を形成す
るための錫−銀系合金電気めっき浴に関し、シアン化合
物を使用しなくても、浴中の金属の析出を防止して浴を
安定に保持でき、かつ硫酸を用いて建浴できる、酸性の
錫−銀系合金電気めっき浴に関する。
【0002】
【従来の技術】鉛による地下水汚染等の環境汚染が問題
となり、鉛含有製品に対する規制が強化されつつある。
そのため、従来より各種製品においてハンダ付けに使用
されてきた錫−鉛合金 (ハンダ合金) を無鉛ハンダに変
更する動きが強まっている。無鉛ハンダとしては、融点
が比較的低く、かつ耐熱疲労特性のよい錫−銀系合金が
主流となっている。低融点化の目的で錫−銀合金にビス
マスまたは銅といった第三元素を添加した錫−銀系三元
合金も知られている。
【0003】電子部品やプリント基板等のハンダ付けに
おいては、良好なハンダ付け性を保持するためにハンダ
付け部位にハンダめっきを施すことがあり、高温にさら
すことができない場合には電気めっきが利用される。こ
のハンダめっきも、従来は錫−鉛合金めっきが主に利用
されてきたが、鉛化合物を含有する電気めっき浴を使用
することから、ハンダめっきについても無鉛めっきに切
り換えることが望まれるようになってきた。
【0004】無鉛ハンダめっきとしては、ハンダ付け用
合金と同様に、錫−銀系合金めっきが有望であり、特に
ハンダ付けを銀−錫系合金で行う場合には、ハンダめっ
きも同じ合金とすることが好ましい。銀−錫系合金電気
めっきは、ハンダ付け用以外に、電気接点などの用途に
も利用されている。
【0005】従来の銀−錫系合金電気めっきは、ピロリ
ン酸−シアン浴、シアン−アンモニア浴等のシアン浴を
用いて一般に行われてきた。これは、銀イオン (Ag+ )
にシアン化物イオン (CN- ) を配位させてシアノ銀錯体
[Ag(CN)]- を形成し、銀イオンを浴中で安定化させて、
銀と錫を一緒に共析させるためである。浴中の銀イオン
を安定化させておかないと、めっき浴中でAgイオンとSn
イオン (Sn2+) との間の酸化還元反応が起こり、Agが析
出すると共に、Snイオンは不安定なSn+4イオンになって
沈殿し易くなるため、めっき浴の安定性が著しく損なわ
れる。また、銀と錫は析出電位が著しく異なるため、Ag
イオンが安定化していないと、銀が優先的に最初に析出
し、銀と錫を一緒に共析させることができない。
【0006】しかし、周知のように、シアン化合物は猛
毒であるので、シアン浴を用いない銀−錫系合金電気め
っき浴が望まれており、非シアン浴に関してこれまでに
多くの提案がなされている。例えば、ピロリン酸−ヨウ
素型のめっき浴が特開平9−296274号、同10−36995
号、同10−102277号、および同10−102283号各公報に提
案されている。
【0007】特開平9−296289号公報には、ビスマスお
よび/または銅を含有する錫−銀系合金めっき用のピロ
リン酸−ヨウ素型のめっき浴が開示されている。しか
し、ピロリン酸−ヨウ素型の電気めっき浴は、一般に浴
管理が難しく、生産性が低いという問題点がある。
【0008】特開平9−143786号公報には、チオ尿素系
化合物、チアゾール系化合物、スルフェンアミド系化合
物、チウラム系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、
ビスフェノール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合
物、有機チオ酸系化合物から選んだ含イオウ化合物をAg
+ イオンの置換防止剤として配合し、アルカンスルホン
酸もしくはアルカノールスルホン酸で浴を酸性にした、
シアン化物を含有しない銀または銀合金の酸性電気めっ
き浴が開示されている。
【0009】特開平9−170094号公報には、チオアミド
化合物 (チオ尿素化合物) およびチオール化合物から選
ばれた含イオウ化合物を含有し、アルカンスルホン酸お
よび/またはスルファミン酸で酸性にした、シアン化物
を含有しない錫−銀合金酸性めっき浴が開示され、特開
平10−204675号公報には、芳香族チオール化合物および
芳香族スルフィド化合物から選ばれた含イオウ化合物を
含有する同様の酸性めっき浴が開示されている。
【0010】特開平10−204676号公報には、硫酸、リン
酸、ホスホン酸、ヒドロキシカルボン酸、アルカンスル
ホン酸およびアルカノールスルホン酸から選ばれた酸
と、チオ尿素と、非イオン界面活性剤と、メルカプト基
含有芳香族化合物、ジオキシ芳香族化合物および不飽和
カルボン酸から選ばれた添加剤とを含有する、銀−錫合
金電気めっき浴が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】含イオウ化合物で銀イ
オンを安定化させた錫−銀合金酸性めっき浴では、前述
したピロリン酸−ヨウ素型めっき浴に伴う問題点は解消
されるが、従来のこの種のめっき浴にはなお次のような
問題点が残っていた。
【0012】まず、上記の含イオウ化合物を含有する浴
は酸性浴であって、pH調整用の酸を含有する。酸として
は、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸、ス
ルファミン酸等の有機酸が使用されている。特開平10−
204676号公報には、酸として硫酸も挙げられているが、
酸が硫酸単独である実施例はなく、硫酸を有機酸(例、
グルコン酸)と併用して建浴した実施例しかない。この
種の浴において酸は非常に多量に使用される(例、有機
酸の場合 100〜500 g/L)ため、硫酸に比べて高価で、か
つ酸性度の低い (使用量が多くなる) 有機酸を使用する
と、めっき浴のコストがかなり高くなる。
【0013】電気錫めっき用の酸性めっき浴は、通常は
硫酸を用いて建浴されている。錫−銀合金電気めっき用
の酸性めっき浴も、同様に硫酸を用いて建浴できれば、
めっき浴コストがかなり低下する。しかし、従来の錫−
銀合金酸性めっき浴は、硫酸を用いて建浴すると浴が不
安定になるため、アルカンスルホン酸等の有機酸を使用
せざるを得ず、コスト高になっていた。
【0014】前述したように、ピロリン酸−ヨウ素型の
錫−銀合金めっき浴については、ビスマスまたは銅を含
有するめっき浴を用いて、三元合金化しためっき皮膜を
形成することが知られている (特開平9−296289号公
報) 。錫−銀合金めっきに少量のビスマスまたは銅を添
加して三元合金めっきにすると、錫−銀二元合金よりも
融点が下がり、ハンダ付け性が向上する。しかし、含イ
オウ化合物を含有する錫−銀合金めっき浴については、
このような三元合金化が可能な錫−銀系合金めっき浴は
これまで知られていなかった。
【0015】本発明は、硫酸を用いて建浴した場合にも
めっき浴が安定で、浴管理が容易であり、かつビスマス
または銅といった第三金属を含有する銀−錫系三元合金
めっき皮膜の形成も可能な、錫−銀系合金めっき浴を提
供することを課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記
(1)〜(4) を含有し、好ましくはさらに下記(5) および
(6) も含有する錫−銀系合金電気めっき浴により、上記
課題が解決される。
【0017】(1) 可溶性第一錫化合物、(2) 可溶性銀化
合物、(3) 一般式: R1-S(CH2CH2S)n-R2 (式中、R1およ
びR2は同じでも異なっていてもよく、それぞれ−CH2OH
、−C2H4OH、−C3H6OH、−CH2NH2、−C2H4NH2 、−C3H
6NH2 から選ばれ、nは1〜3の整数である) で示され
るチオエタン化合物、(4) 硫酸およびスルホン酸から選
ばれた少なくとも1種の酸、(5) 非イオン界面活性剤、
(6) 酸化防止剤。
【0018】このめっき浴は、さらに可溶性銅化合物ま
たは可溶性ビスマス化合物を含有させることができ、そ
れにより錫と銀に加え、銅またはビスマスを含有する三
元合金のめっき皮膜を形成することができる。
【0019】本発明に係る酸性の錫−銀合金電気めっき
浴は、安定性に優れ、少なくとも一ヶ月は金属成分の沈
殿を生ずることなく保存できる。このめっき浴を用いて
電気めっきを行うと、銀の優先析出を生ずることなく、
錫−銀系合金めっき皮膜が形成され、めっき皮膜の合金
組成はめっき浴中の錫イオンと銀イオンにより制御する
ことができる。また、めっき皮膜は、針状、樹枝状、粉
状、粒状等の析出物、ヤケ、コゲ等のない、緻密で白色
無光沢の好ましい外観を有する。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明のめっき浴は、可溶性第一
錫化合物、可溶性銀化合物、チオエタン化合物、ならび
に硫酸およびスルホン酸から選ばれた少なくとも1種の
酸を含有し、好ましくはさらに非イオン界面活性剤や酸
化防止剤を含有する。チオエタン化合物は、Agイオンと
錫イオンを安定化させるキレート剤として作用する。ま
た、めっき皮膜を三元合金化する場合には、ビスマス化
合物または銅化合物を含有させる。
【0021】チオエタン化合物以外のめっき浴の成分に
ついては、従来の錫−銀合金めっき浴、または錫めっき
浴もしくは銀めっき浴において使用されてきたものでよ
い。いずれの成分も、1種または2種以上の化合物を使
用することができる。以下に、これらの成分についても
簡単に説明するが、この説明で例示した化合物に限られ
るものではない。
【0022】可溶性第一錫化合物と可溶性銀化合物は、
硫酸および/またはスルホン酸の水溶液中に溶解するも
のであればよい。第一錫化合物の例としては、メタンス
ルホン酸第一錫等のスルホン酸塩、硫酸第一錫、塩化第
一錫等の無機酸塩、グルコン酸第一錫、クエン酸第一
錫、乳酸第一錫等の有機酸塩が挙げられる。可溶性銀化
合物は通常は第一銀化合物であり、具体例としては、酸
化第一銀、メタンスルホン酸銀などのスルホン酸塩、硫
酸銀、塩化銀等の無機酸塩、グルコン酸銀、クエン酸
銀、乳酸銀等の有機酸塩が挙げられる。
【0023】同様に、ビスマス化合物または銅化合物を
めっき浴に含有させる場合も、上記の酸水溶液に溶解す
る化合物であれば特に制限されない。使用できるビスマ
ス化合物の例は、塩化ビスマス、ヨウ化ビスマス、硫酸
ビスマス、クエン酸ビスマス、グルコン酸ビスマス、メ
タンスルホン酸ビスマス等が挙げられる。銅化合物の例
としては、塩化第一銅、塩化第二銅、硫酸銅、メタンス
ルホン酸銅、クエン酸銅、グルコン酸銅等が挙げられ
る。
【0024】めっき浴を安定化させるためのキレート剤
として用いるチオエタン化合物は、一般式: R1-S(CH2C
H2S)n-R2で示される化合物である。式中、R1およびR2
同じでも異なっていてもよく、それぞれ−CH2OH 、−C2
H4OH、−C3H6OH、−CH2NH2、−C2H4NH2 、−C3H6NH2
ら選ばれ、nは1〜3の整数である。
【0025】酸としては、硫酸および/またはスルホン
酸を使用する。即ち、硫酸だけを使用して建浴も、安定
なめっき浴が得られる。スルホン酸としては、アルカン
スルホン酸やアルカノールスルホン酸が好ましいが、ベ
ンゼンスルホン酸類 (例、トルエンスルホン酸) やフェ
ノールスルホン酸類 (例、クレゾールスルホン酸) も使
用できる。アルカンスルホン酸およびアルカノールスル
ホン酸は非置換でも適当な置換基で置換されたものでも
よい。これらのスルホン酸の例としては、メタンスルホ
ン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、プロパンスル
ホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、クロ
ロプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエタン−1−ス
ルホン酸、2−ヒドロキシペンタンスルホン酸、2−ス
ルホ酢酸、2−スルホプロピオン酸、スルホコハク酸な
どが例示される。
【0026】以上の成分の好ましい浴中濃度は次の通り
である: ・第1錫化合物:Sn濃度として1〜100 g/L 、特に10〜
60 g/L; ・銀化合物:Ag濃度として0.01〜80 g/L、特に 0.1〜10
g/L; ・銅またはビスマス化合物 (使用する場合) :Cuまたは
Bi濃度として0.01〜50 g/L、特に 0.1〜10 g/L; ・全金属濃度:5〜100 g/L 、特に10〜80 g/L; ・キレート剤 (チオエタン化合物) : 0.1〜200 g/L 、
特に 0.5〜80 g/L; ・酸 (硫酸および/またはスルホン酸) :50〜400 g/L
、特に80〜300 g/L 。
【0027】本発明のめっき浴のpHは通常は1より低い
強酸性である。酸が硫酸である場合には、スルホン酸を
使用する場合に比べて、酸濃度が低くてよい。例えば、
スルホン酸を使用する場合の濃度の60〜80%程度の濃度
で十分である。酸濃度またはキレート剤の濃度が低すぎ
ると、浴が不安定となって、沈殿が発生し易くなる。キ
レート剤濃度が高すぎると、析出めっき皮膜の外観が悪
化することがある。
【0028】本発明のめっき浴には、従来より錫−銀合
金電気めっき浴、或いは銀電気めっき浴もしくは錫電気
めっき浴に添加されてきた各種添加剤の1種もしくは2
種以上を所望により添加することができる。この種の添
加剤の例として、光沢剤、酸化防止剤等がある。
【0029】光沢剤としては、錫めっきまたは銀めっき
の光沢剤として使用されてきたものが使用できる。例え
ば、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、水溶性
高分子 (例、ポリエチレングリコール、ポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドン等) 、ケトン類 (例、ベ
ンザールアセトン、アセトフェノン) 、アルデヒド類
(例、ホルマリン、バレルアルデヒド、サリチルアルデ
ヒド、バニリン等) 等が挙げられる。
【0030】好ましい光沢剤は非イオン界面活性剤であ
る。非イオン界面活性剤としては次のものが例示され
る: 一般式:R−O−(A)n−H (式中、Rはアルキル基
もしくはアルケニル基、Aは-CH2CH2O- (=エチレンオ
キシ基) 、-CH2-CH(CH3)O- (=プロピレンオキシ基) 、
およびそれらの組合わせ、nは1〜40の整数) で示され
る、飽和もしくは不飽和アルコールのアルキレンオキサ
イド付加物; 一般式:R'−Ar−O−(A)n−H (式中、R'は水素ま
たはアルキルもしくはアルケニル基、Arはフェニル、ナ
フチル等の芳香族炭化水素基、Aおよびnは上記と同
じ) で示される、フェノールもしくはナフトールまたは
アルキルもしくはアルケニルフェノールもしくはナフト
ールのアルキレンオキサイド付加物; 一般式:R−COO−(A)n−H (式中、R、Aおよ
びnは上記と同じ) で示される、飽和もしくは不飽和脂
肪酸のアルキレンオキサイド付加物; 一般式:R−N[(A)n−H]2 (式中、R、Aおよびn
は上記と同じ) で示される、飽和もしくは不飽和脂肪族
アミンのアルキレンオキサイド付加物。
【0031】上記の各非イオン界面活性剤の具体例を例
示すると次の通りである: メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノ
ール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、アリル
アルコール等の飽和または不飽和アルコールのエチレン
オキサイド (EO) 付加物またはエチレンオキサイド/
プロピレンオキサイド (EO/PO) 付加物; オクチルフェノール、ノニルフェノール、α−ナフト
ール、β−ナフトール等のEO付加物またはEO/PO
付加物; オレイン酸、ラウリル酸、ステアリン酸などの飽和ま
たは不飽和脂肪酸のポリオキシエチレンエステル; ラウリルアミン、ステアリルアミン、ヤシ油アミン等
の飽和もしくは不飽和脂肪族アミンのEO付加物または
EO/PO付加物。
【0032】光沢剤、特に非イオン界面活性剤のめっき
浴中の濃度は従来と同様でよく、好ましくは 0.1〜50 g
/L、特に1〜30 g/Lである。
【0033】第1錫イオン(Sn2+ ) のめっき浴中での酸
化を防止するため、錫めっき浴に一般に添加される酸化
防止剤を本発明のめっき浴にも含有させることが好まし
い。このような酸化防止剤の例としては、フェノール、
カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロ
ール等のヒドロキシ芳香族化合物や、L−アスコルビン
酸、ソルビトール等が挙げられる。酸化防止剤の浴中濃
度は一般に 0.5〜10 g/L程度である。
【0034】本発明のめっき浴の残部は水である。本発
明の錫−銀系合金電気めっき浴のめっき条件は特に制限
されないが、好ましいめっき条件は次の通りである。
【0035】陰極電流密度: 0.1〜50 A/dm2、 温度:15〜40℃ (室温でよい) 、 陽極:錫、銀、錫−銀合金等の可溶性陽極、または白
金、白金めっきチタン材、カーボン等の不溶性陽極。
【0036】被めっき基体は、電気めっき可能な導電性
を有するものであれば、特に制限はない。絶縁性の基体
の場合には、例えば、無電解めっき等により表面を金属
で被覆して導電性を付与することにより、電気めっきを
施すことができる。本発明のめっき浴は、特にチップ部
品、フープ材、リードフレーム、半導体パッケージ、バ
ンプ、プリント基板等のハンダ付けを要求される電子部
品の錫−銀系合金めっきに好適である。
【0037】めっき方法は、ラック法でもバレル法でも
よく、またフープ、噴流等による高速めっき法を採用し
てもよい。陰極電流密度は、めっき方法に応じて上記範
囲内で適宜設定することが好ましい。
【0038】
【実施例】以下に、実施例および比較例の錫−銀系合金
電気めっき浴を示す。いずれのめっき浴もpHは1未満で
あった。なお、以下に示すめっき浴組成において、硫酸
は98%硫酸を使用し、その添加量をH2SO4 濃度に換算し
て示す。
【0039】
【実施例1】下記組成 (残部は水) の酸性錫−銀合金電
気めっき浴を調製した。このめっき浴にキレート剤とし
て使用した 3,6−ジチアオクタン−1,8 −ジオールは、
上記一般式においてR1=R2=−C2H4OH、n=1の化合物
である。
【0040】
【表1】
【0041】
【実施例2】下記組成 (残部は水) の酸性錫−銀合金電
気めっき浴を調製した。
【0042】
【表2】
【0043】
【実施例3】下記組成 (残部は水) の酸性錫−銀合金電
気めっき浴を調製した。本例では、酸としてメタンスル
ホン酸を使用したため、酸の濃度が実施例1、2より高
い。このめっき浴にキレート剤として使用した 3,6−ジ
チアオクタン−1,8 −ジアミンは、上記一般式において
R1=R2=−C2H4NH2、n=1の化合物である。
【0044】
【表3】 成 分 濃度 (g/L) Sn2+ (メタンスルホン酸第一錫として供給) 40.0 Ag+ (メタンスルホン酸銀として供給) 2.5 メタンスルホン酸 140.0 3,6-ジチアオクタン-1,8-ジアミン 10.0 β−ナフトールのEO(20モル)付加物 10.0 カテコール 2.0
【0045】
【実施例4】下記組成 (残部は水) の酸性錫−銀−ビス
マス合金電気めっき浴を調製した。
【0046】
【表4】
【0047】
【実施例5】下記組成 (残部は水) の酸性錫−銀−銅合
金電気めっき浴を調製した。
【0048】
【表5】 成 分 濃度 (g/L) Sn2+ (メタンスルホン酸第一錫として供給) 40.0 Ag+ (メタンスルホン酸銀として供給) 2.5 Cu2+ (メタンスルホン酸銅として供給) 0.3 メタンスルホン酸 140.0 3,6-ジチアオクタン-1,8-ジオール 10.0 ヤシ油アミンのEO(15モル)付加物 15.0 レゾルシノール 2.0
【0049】
【比較例1】キレート剤 (3,6-ジチアオクタン-1,8-ジ
オール) を添加しなかった以外は実施例1と同じであ
る、下記組成 (残部は水) の酸性錫−銀合金電気めっき
浴を調製した。
【0050】
【表6】
【0051】
【比較例2】キレート剤を従来品であるトリメチルチオ
尿素に変更した以外は実施例2と同じである、下記組成
の酸性錫−銀合金電気めっき浴 (残部は水) を調製し
た。
【0052】
【表7】
【0053】
【比較例3】キレート剤を従来品であるチオ尿素に変更
した以外は実施例3と同じである、下記組成の酸性錫−
銀合金電気めっき浴 (残部は水) を調製した。
【0054】
【表8】 成 分 濃度 (g/L) Sn2+ (メタンスルホン酸第一錫として供給) 40.0 Ag+ (メタンスルホン酸銀として供給) 2.5 メタンスルホン酸 140.0 チオ尿素 4.0 β−ナフトールのEO(20モル)付加物 10.0 カテコール 2.0
【0055】
【実験結果】1. めっき浴の安定性 上記実施例および比較例の各酸性めっき浴をフタ付きガ
ラスビンに入れて室温で静置し、1時間、1週間および
1カ月後の沈殿の有無を目視で判断した。結果(○:沈
殿なし、×:沈殿あり) を次の表9に示す。
【0056】
【表9】
【0057】表1からわかるように、キレート剤として
チオエタン化合物を用いた本発明の錫−銀系合金酸性め
っき浴は、硫酸を用いて建浴しても、メタンスルホン酸
を使用した場合と同様に優れた安定性を示し、沈殿を生
ずることなく1カ月以上保存することができた。これに
対し、キレート剤が存在しない比較例1では、1時間以
内に沈殿が生成した。キレート剤がメチルチオ尿素で、
硫酸を使用して建浴した比較例2では1カ月で沈殿を生
じ、めっき浴が使用不能になった。キレート剤がチオ尿
素である比較例3では、メタンスルホン酸を使用して建
浴しても、1週間でめっき浴に沈殿が発生した。
【0058】2.ハルセル試験 上記実施例のめっき浴を用いて、ハルセル内で、基板の
銅板または42アロイ(42%Ni−Fe合金) 板に錫−銀系
合金電気めっきを下記条件で行った。
【0059】通電:3A×3分 温度:25℃ 陽極:錫板 得られたハルセルパターンの5A/dm2の位置での錫−銀
系合金めっき皮膜の各金属の析出比率を原子吸光光度法
により分析した結果を次の表10に示す (残部は錫) 。い
ずれのめっき皮膜も、ハルセルパターンの白色無光沢部
分では緻密で良好な外観を示すものであった。
【0060】
【表10】
【0061】表10からわかるように、本発明の錫−銀系
合金めっき浴により、錫−銀二元合金めっき皮膜のみな
らず、錫−銀−銅または錫−銀−ビスマス三元合金めっ
き皮膜も形成することができ、めっき皮膜中の合金元素
の含有量をめっき浴中の組成によって制御することがで
きる。
【0062】
【発明の効果】本発明により、硫酸を用いて建浴した場
合にも安定で、沈殿を生ずることなく長期保存が可能
で、浴管理が容易な酸性の錫−銀系合金電気めっき浴が
実現できる。それにより、錫−銀系合金電気めっきコス
トの低下が可能となる。本発明の電気めっき浴は、銀の
優先析出を押さえて、錫−銀二元合金のみならず、錫−
銀−銅または錫−銀−ビスマスといった三元合金のめっ
き皮膜も形成することができ、形成されためっき皮膜は
緻密な白色無光沢の好ましい外観を呈する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 千田 数久 愛知県刈谷市野田町場割50番地 ユケン工 業株式会社内 Fターム(参考) 4K023 AB04 AB34 BA06 BA29 CA01 CB05 CB08 CB33 4K024 AA21 BB09 BB11 CA01 CA02 GA14

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1) 可溶性第一錫化合物、(2) 可溶性銀
    化合物、(3) 一般式: R1-S(CH2CH2S)n-R2 (式中、R1
    およびR2は同じでも異なっていてもよく、それぞれ−CH
    2OH 、−C2H4OH、−C3H6OH、−CH2NH2、−C2H4NH2 、−
    C3H6NH2 から選ばれ、nは1〜3の整数である) で示さ
    れるチオエタン化合物、ならびに(4)硫酸およびスルホ
    ン酸から選ばれた少なくとも1種の酸、を含有すること
    を特徴とする、錫−銀系合金電気めっき浴。
  2. 【請求項2】 さらに、(5) 非イオン界面活性剤と、
    (6) 酸化防止剤、を含有する、請求項1記載の錫−銀系
    合金電気めっき浴。
  3. 【請求項3】 さらに可溶性銅化合物または可溶性ビス
    マス化合物を含有する、請求項1または2記載の錫−銀
    系合金電気めっき浴。
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