JP2000328323A - 断熱防護服および気体層の形成方法 - Google Patents

断熱防護服および気体層の形成方法

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JP2000328323A
JP2000328323A JP11140633A JP14063399A JP2000328323A JP 2000328323 A JP2000328323 A JP 2000328323A JP 11140633 A JP11140633 A JP 11140633A JP 14063399 A JP14063399 A JP 14063399A JP 2000328323 A JP2000328323 A JP 2000328323A
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heat
gas
protective clothing
layer
heat insulating
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JP11140633A
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English (en)
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Koichi Sumida
幸一 隅田
Makio Atsumi
真喜男 厚見
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 極低温液体などを取扱う際に着用する防護服
を軽量化する。 【解決手段】 断熱防護服10は、極低温や高温に対し
て耐久性を有する防護服11の内側に、エアバッグ15
が着脱可能である。エアバッグ15は、身体の胸部や腹
部などの体幹部分を覆う形状を有し、ポケット13内に
挿入して、面ファスナ14で固定することができる。エ
アバッグ15は軽量で、内部の気体層は良好な断熱効果
を有するので、断熱防護服10の着用者を有効に保護す
ることができる。通常は、エアバッグ15を膨張させな
いでおき、突発的な漏洩事故発生時に膨張させるように
すれば、断熱防護服10を着用しての通常の作業を楽に
行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極低温液体、さら
には液化天然ガス(以下、「LNG」と略称する)に代
表される可燃性ガスの極低温液体が突発的な事故等で漏
洩した際に用いる断熱防護服、および断熱防護服に使用
する気体層の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液体窒素およびLNGに代表される極低
温液体を取扱う作業所、若しくは運搬用車両において
は、冬季には防寒着として使用するとともに、突発的な
極低温液体の漏洩事故時に安全な緊急避難、および応急
修理を可能とする作業服を備える必要がある。特にLN
Gに代表される可燃性ガスの極低温液体を取扱う作業所
若しくは車両等においては、突発的な事故等により漏洩
した極低温液体が、何らかの原因で引火し、燃焼した場
合にも安全な避難を可能とする必要がある。極低温液体
を取扱う作業所において突発的な極低温液体の漏洩が予
想される場合、漏洩の発生に対して安全な緊急避難、人
命救助、漏洩箇所の応急修理が可能な作業服としては特
願平9−283921で提案されているものがある。
【0003】図18は、特願平9−283921で提案
されている耐冷作業服の生地構造を示す。一番外側に
は、芳香族ポリアミド繊維織布による基布1から成るア
ウターが配置される。基布1の内側には、インナーと呼
ばれる裏地2を構成する生地が配置される。インナーの
最も外側には、第1の裏地として芳香族ポリアミド繊維
織布3が配置される。芳香族ポリアミド繊維織布3の内
側には、記憶形状ポリマから成る透湿防水フィルム4が
コーティングされている。透湿防水フィルム4の内側に
は芳香族ポリアミド繊維フェルトによる厚さ4mmの中
綿5が挿入され、その内側には第2の裏地としての芳香
族ポリアミド繊維織布6が配置される。中綿5と芳香族
ポリアミド繊維織布6とは、キルティング加工で一体化
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図18に示すような生
地構造の作業服を着用すれば極低温液体を取扱う作業所
において突発的な極低温液体の漏洩などの発生に対し
て、安全な緊急避難、人命救助、漏洩箇所の応急修理等
は可能となるけれども、作業服重量は約6kgと重く、
活動的ではない。このため常時着用は困難であり、その
着用も1人で行う場合は長時間を要する。キルティング
加工の素材となる中綿5には、難燃性化学繊維フェルト
を多用するために、JIS T 8118の定める静電気
帯電防止作業服の規格を満足させるためには、様々な対
策が必要となる。
【0005】本発明の目的は、軽量かつ断熱性を向上さ
せることができる断熱防護服および断熱防護服の断熱層
として好適な気体層の形成方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、外部の温度に
対する耐性を備える防護服と、防護服の内側に設けら
れ、気体を保持する断熱層とを含むことを特徴とする断
熱防護服である。
【0007】本発明に従えば、防護服は外部の温度に対
する耐性を備えるので、防護服を着用して極低温液体の
漏洩時などに必要となる活動を行うことができる。防護
服の内側には気体を保持する断熱層が設けられるので、
外部の温度の影響を防護服の着用者に伝わりにくくする
ことができる。断熱層は気体を保持しているので、軽量
で有効な断熱効果を発揮させることができる。
【0008】また本発明で前記断熱層は、前記防護服の
内側に着脱可能であることを特徴とする。
【0009】本発明に従えば、断熱層は防護服の内側に
着脱可能であるので、緊急時のみ断熱層を着用し、緊急
時以外では断熱層を取外して防護服を着用しての作業を
容易にすることができる。断熱層を取外しても、防護服
は外部の温度に対する耐性を備えているので、極低温液
体などの漏洩が突発的な事故によって発生しても、防護
服の内側に断熱層を装着するまで着用者を保護すること
ができる。防護服の内側に断熱層を装着すれば、さらに
長時間にわたって着用者を保護することが可能となる。
【0010】また本発明で前記断熱層は、気体を供給し
て膨張させることが可能な気体層であり、該気体層に空
気を供給して膨張させる気体供給手段を備えることを特
徴とする。
【0011】本発明に従えば、断熱層が気体を供給して
膨張させることが可能な気体層であるので、容易に軽量
化することができる。気体層は、気体供給手段から気体
を供給して膨張させるので、液体層が気体によって膨張
すれば断熱効果を一層向上させ、外部の温度から着用者
を有効に保護することができる。気体層を膨張させない
状態では、良好な活動性を保つことができる。
【0012】また本発明で前記気体供給手段は、前記外
気の温度を検出する温度検出器と、温度検出器が予め定
める低温度または高温度を検出するときに、前記気体の
膨張を開始させる制御装置とを含むことを特徴とする。
【0013】本発明に従えば、気体供給手段は、外気の
温度を検出する温度検出器と、温度検出器によって予め
定める低温度または高温度が検出されるときに、気体の
膨張を開始させる制御装置とを含むので、極低温液体が
漏洩したときや、さらにLNGなどの引火時で高温にな
ったときなどに、気体層を膨張させて、着用者の有効な
保護を自動的に図ることができる。
【0014】また本発明は、前記気体層を形成する材質
として、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリ4フッ化
エチレン、フッ化ビニル重合体、難燃グレードポリエチ
レンテレフタレート、フッ素系樹脂コーティングを行っ
た芳香族ポリアミド、またはシリコーン系樹脂コーティ
ングを行った芳香族ポリアミドのうちのいずれかが選定
されることを特徴とする。
【0015】本発明に従えば、たとえば−100℃の低
温においても柔軟性を損なわなく、150℃の高温でも
溶解しない芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリ4フッ
化エチレン、フッ化ビニル重合体、難燃グレードポリエ
チレンテレフタレート、フッ素系樹脂コーティングを行
った芳香族ポリアミド、またはシリコーン系樹脂コーテ
ィングを行った芳香族ポリアミドのうちのいずれかが気
体層を形成する材質として選択されるので、低温時や高
温時に膨張して、有効な断熱作用を果すことができる。
【0016】また本発明で前記断熱層は、炭素繊維フェ
ルトで形成されることを特徴とする。
【0017】本発明に従えば、断熱層として炭素繊維フ
ェルトを用いるので、嵩比重が小さく、軽量化を図るこ
とができる。また炭素繊維フェルトは導電性を有するの
で、静電気による可燃性ガスへの引火の可能性をなくす
ことができる。
【0018】また本発明で前記断熱層は、芳香族ポリア
ミド繊維フェルトで形成されることを特徴とする。
【0019】本発明に従えば、断熱層として芳香族ポリ
アミド繊維フェルトを用いるので、嵩比重を小さくし、
軽量化を図ることができる。
【0020】また本発明で前記断熱層は、前記防護服を
身体に着用するときに、身体の体幹部分を覆う形状を有
することを特徴とする。
【0021】本発明に従えば、断熱層で防護服を身体に
着用するときに身体の体幹部分を覆うことができるの
で、低温や高温にさらされると致命的な胸部や腹部など
の体幹部分を、有効に保護することができる。
【0022】また本発明で前記防護服は、表面の基布と
裏面の裏地との間に、炭素繊維フェルトの中綿を有する
ことを特徴とする。
【0023】本発明に従えば、防護服内の中綿として、
炭素繊維フェルトを有するので、防護服からの静電気の
発生を防止し、可燃性ガスを取扱う際の引火の可能性を
なくすことができる。
【0024】さらに本発明は、外部の温度に対する耐性
を備える防護服の内側に設けられ、気体によって膨張可
能な気体層の形成方法であって、芳香族ポリアミド繊維
の布にフッ素系樹脂またはシリコーン系樹脂でコーティ
ングを施して袋体を形成し、該袋体によって、防護服の
内側に着脱可能な気体層を形成することを特徴とする気
体層の形成方法である。
【0025】本発明に従えば、芳香族ポリアミド繊維の
布にフッ素系樹脂またはシリコーン系樹脂のコーティン
グを施して、形成される袋体に気体を供給して膨張させ
て気体層を形成することができるので、極低温でも高温
でも有効な気体層を得ることができ、気体による断熱効
果を有効に発揮させることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態と
しての断熱防護服10の概略的な構成を裏面側を展開し
て示す。断熱防護服10は、防護服11の裏地12の表
面にポケット13を設け、ポケット13内部に面ファス
ナ14を備える。ポケット13内には、断熱層としての
エアバッグ15を収納し、面ファスナ14で固定するこ
とができる。エアバッグ15は、防護服11を身体に着
用したときに、空気を供給して膨張させることができ
る。エアバッグ15には、気体供給手段としてのシリコ
ーンチューブ16と逆止弁付バルブ17とが設けられ、
着用状態で逆止弁付バルブ17から着用者が口で空気を
吹込み、膨張させることができる。
【0027】図2は、図1に示すエアバッグ15の形状
を示す。エアバッグ15は、図1の防護服11を身体に
着用したときに、身体の胸部および腹部などの体幹部分
の前面を覆う形状を有する。エアバッグ15は、左右に
分けて設けられ、必要に応じて図1のポケット13内に
挿入し、膨張させることができる。また、エアバッグ1
5は、膨張させた状態でも、ポケット13に対して挿入
または引出しが可能であり、不要時には膨張させた状態
のまま取外して保管しておき、必要時に膨張させたまま
の状態で着用することもできる。さらに中間の膨張状態
で着脱し、必要時にはエアバッグ15をポケット13に
挿入して、さらに膨張させるようにすることもできる。
エアバッグ15は、内部に保有する空気層によって断熱
作用を行うので、空気層の厚さを大きくするように膨張
させる方が断熱効果の点では好ましい。ただし、エアバ
ッグ15が膨張すると断熱防護服10を着用する際の作
業性が悪くなるので、防護の必要性がない通常時には、
エアバッグ15の膨張を行わない方が好ましい。
【0028】図3は、図1の防護服11の生地構成を示
す。図3(a)はエアバッグ15を膨張させていないと
きの構成、図3(b)はエアバッグ15を膨張させてい
るときの構成をそれぞれ示す。生地構成は、作業服とし
ての外側から芳香族ポリアミド繊維織布による基布2
1、裏地22およびエアバッグ15による空気層23か
ら構成される。基布21の裏側には、透湿防水フィルム
24として、多孔質フッ素樹脂ポリマのコーティングが
施されている。基布21と裏地22との間には、芳香族
ポリアミド繊維フェルトによる厚さ2mmの中綿25が
挿入されている。中綿25の裏地22とは、中綿25が
偏らないように、キルティング加工し一体化されてい
る。エアバッグ15は、難燃性ポリマフィルム若しくは
気密性膜をコーティングした難燃性繊維による織布が形
成され、芳香族ポリアミド繊維織布によるポケット13
で裏地22に固定されている。なお、芳香族ポリアミド
繊維織布は、たとえば帝人株式会社から「コーネック
ス」という商標で発売されているものを使用することが
できる。透湿防水フィルム24は、各社から「ゴアテッ
クス」、「ミクロテックス」などの商標で発売されてい
る。
【0029】図4は、本実施形態の断熱防護服10に用
いるエアバッグ15の断熱性能の試験装置30の概略的
な構成を示す。図4(a)は試験装置30を正面視した
状態、図4(b)は底面視した状態をそれぞれ示す。単
管31は、ステンレス鋼製であり、軸線方向の上端は、
ステンレス鋼製の蓋32を溶接して封止している。単管
31の軸線方向下端側は開口し、開口部の周囲にステン
レス鋼製のフランジ33が取付けられる。蓋32には、
液体窒素34注入用のステンレス鋼製のパイプ35と、
窒素ガス放出用のパイプ36とを取付ける。
【0030】エアバッグ15等の生地を試験するため
に、フランジ33とフランジ37との間にエアバッグ1
5等の生地を挟み、ボルト38でフランジ33とフラン
ジ37との間を締め付ける。この状態で、単管31内の
空間はパイプ35,36を除いて密閉される。パイプ3
5からは液体窒素34を注入し、単管31内で気化して
膨張した窒素は、パイプ36から大気中に放出される。
単管31内の窒素の圧力を計測するための圧力計39を
設ける。パイプ35からは、圧力計39が計測する圧力
が2kgf/cm2Gとなるように、液体窒素34を注
入する。
【0031】図5は、図4の(b)に示すような下面中
央で、エアバッグ15等の生地の温度を測定した結果を
示す。図5で、丸印のプロットは図1の防護服11の生
地のみ、すなわち図3の基布21および裏地22のみを
用いた場合の温度変化を示し、四角印のプロットは、エ
アバッグ15を挿入した場合の温度変化を示す。エアバ
ッグ15を挿入することによって、約30℃の断熱性向
上が認められる。また、三角印のプロットは、図18に
示すような特願平9−283921で提案している耐冷
服の生地についての試験結果を示す。この耐冷服生地に
対しても、本実施形態のエアバッグ15挿入時の耐熱性
は、約10℃向上していることが認められる。
【0032】図6は、本実施形態のエアバッグ15とし
て、内部を小間割りする形状を示す。図中の破線は、接
着部分を表す。エアバッグ15の大きさは、防護服11
として前身頃と同等の面積を有する。「タイプ1」は断
続した縦線状に小間割りし、中央部分を比較的あけて対
角線状に小間割りし、「タイプ3」は連続的な縦線で小
間割りし、「タイプ4」は断続した縦線および横線で小
間割りし、「タイプ5」は中央部分をあまりあけないで
対角線上の小間割りを行い、「タイプ6」は縦線と横線
の断続部分が、交互に入り組むように小間割りし、「タ
イプ7」は小さな気泡が多く形成されるように小間割り
している。
【0033】図7は、図5の各タイプのエアバッグ15
を、膨張させるのに要する時間を測定する試験装置40
の概略的な構成を示す。エアバッグ15には、空気注入
用のチャーブ41を取付けて、ガス流量計42を介して
ポンプ43から空気注入し、空気注入量と注入時間とを
測定する。なお、注入圧力は成人男子の呼気圧力を想定
して、40mmHgで行い、その圧力は圧力計44で管
理する。試験結果は、次の表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】試験の結果、タイプ4およびタイプ6で比
較的均一な厚さのエアバッグ15が得られることが判明
した。対角線方向に接着を行ったタイプ2およびタイプ
5は、接着部の端部に皺がよる傾向が見られた。また、
小間割りを多くした方が膨らませるのに必要な空気(内
容積)は少なく、エアバッグ15の厚さは薄くなる傾向
が見られた。次にエアバッグ15を膨らませるのに必要
な時間は、内容量に依存しており、小間割り数が多くな
るほど短い時間で膨らませることができる結果が得られ
ている。本実施形態では、均一な厚さが得られ、かつ膨
張させる時間が短いタイプ6をベースにしている。
【0036】図8は、低温に対する防護作用を試験する
ための液体窒素照射試験の概要を示す。試験は、綿製下
着と綿ポリエステル製の作業着を装着し、その上に本実
施形態による断熱防護服10を装着したサーマルマネキ
ン45に、液体窒素46を圧力2kgf/cm2G、距
離50cmの試験条件で前方2方向から照射して、サー
マルマネキン45の表面温度の変化を測定して行う。図
8(a)は試験状態を側面視して示し、図8(b)は試
験状態を平面視して示す。液体窒素45の噴出量は、毎
秒300ccとする。
【0037】図9は、図8に示す液体窒素照射試験で
の、サーマルマネキン45の表面の温度変化を示す。黒
丸印は図18に示す生地構造の耐冷服をサーマルマネキ
ン45に装着させたときの温度変化を示し、白丸印は本
実施形態の断熱防護服10でエアバッグ15を膨張させ
ない状態でサーマルマネキン45に着用させたときの温
度変化を示し、三角印はエアバッグ15を膨張させたと
きの温度変化を示す。エアバッグ15を膨らませていな
い断熱防護服10では、15分間で約45℃の温度低下
が認められるけれども、エアバッグ15を膨らませたと
きの温度低下は、液体窒素照射15分間で約15℃であ
り、優れた断熱性を示している。また、図18の生地に
よる耐冷服では、液体窒素照射15分間で約20℃の温
度低下が認められ、本実施形態による断熱防護服10の
優れた断熱性能が証明された。
【0038】次に、本実施形態の断熱防護服10の火炎
防護性を説明する。消防服等の火炎に対する防護性を評
価する試験方法として、ISO DIS 9151による
火炎防護性試験がある。この試験は、試験生地の片面
(実際には消防服等の表生地側)を80KW/m2の熱
量のガスバーナの炎に暴露させ、反対側の生地表面温度
が24℃上昇する時間を測定するものである。そして、
消防服開発の目安としてこの時間を15秒間としてい
る。そこで、本実施形態の断熱防護服10の火炎防護性
試験を実施した。試験結果を、次の表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】エアバッグ15を膨らませていない生地で
あっても24℃温度上昇時間は16.5秒であり、エア
バッグ15を膨らませた生地に至っては22.3秒と、
通常の消防服よりも優れた火炎防護性を示している。加
えて各部品生地に、難燃性の芳香族ポリアミド100%
や炭素繊維を使用していることを考慮すると、本実施形
態の断熱防護服10は火災発生時の消防活動においても
充分使用可能な作業服であることが照明される。
【0041】図10は、本発明の実施の他の形態として
のエアバッグ50の概略的な形状を示す。本実施形態の
エアバッグ50は、身体の前面と背面とを保護するライ
フジャケットタイプの形状を有する。前面と背面とは、
肩部でつながっている。エアバッグ50の内容積は、合
計で約7リットルであり、成人男子の標準的な呼気で約
30秒で膨らませることができる。なお、図2に示すエ
アバッグ15の内容積は、両方で約3.5lであり、成
人男子の呼気で4〜5秒で膨張させることができる。
【0042】図11は、図10のエアバッグ50に、呼
気を吹込む気体供給手段としてのシリコーンチューブ5
1および逆止弁付バルブ52を設けた状態を示す。この
ようなエアバッグ50は、航空機などに備えられるライ
フジャケットと同様に、緊急時にシリコーンチューブ5
1を口にくわえ、呼気で膨張させることができる。
【0043】図12は、本発明の実施のさらに他の形態
として、エアバッグ15,50の膨張を、自動的に行う
構成を示す。空気などの気体は、高圧ボンベ55内に圧
縮して貯蔵し、開閉弁56を制御装置57が制御して、
高圧ボンベ55内の気体をエアバッグ15,50内に供
給すれば、エアバッグ15,50を瞬間的に膨張させる
ことができる。制御装置57には、温度検出器58が接
続され、防護服外部の温度を検出し、外部の温度が予め
設定される低温、たとえば−100℃、あるいは高温た
とえば150℃に達すると、開閉弁56が開いて高圧ボ
ンベ55内の気体がエアバッグ15,50を膨張させる
ように制御される。エアバッグ15,50を膨張させる
ための気体を供給する気体供給手段としては、たとえば
消火器などで実用されているように、化学的に気体を発
生させたり、自動車のエアバッグ装置と同様に膨張させ
るような構成も可能である。
【0044】また、エアバッグ15,50を形成する材
質としては、芳香族ポリアミド、ポリイミド、「テフロ
ン」などの商標で発売されているポリ4フッ化エチレ
ン、フッ化ビニル重合体、あるいは難燃グレードPET
(ポリエチレンテレフタレート)を用いることが好まし
い。特に、フッ素系樹脂またはシリコーン系樹脂をコー
ティングした芳香族ポリアミドは、極低温でも柔軟であ
り、高温でも溶融しにくいので好ましい。このような材
質でエアバッグ15,50を形成する際には、袋体とし
て形成し、図6に示すような接着を行えばよい。
【0045】図13は、本発明の実施のさらに他の形態
として、断熱層として気体層の代わりにフェルト断熱材
60を用いる生地構成を示す。本実施形態で、図3に示
す生地構成に対応する部分には同一の参照符を付し、重
複する説明を省略する。フェルト断熱材60は、綿ファ
スナ61によって図1に示す断熱防護服10に着脱可能
である。フェルト断熱材60は、炭素繊維フェルト62
を芳香族ポリアミド繊維織布63で挟み込んで縫製して
ある。
【0046】図14は、フェルト断熱材60を前身頃の
形状に形成し、裏地22に綿ファスナ61で着脱する状
態を示す。図15は、フェルト断熱材60を体幹部分の
前面および背面を覆うような形状で形成し、綿ファスナ
61を介して裏地22に着脱可能な構成を示す。
【0047】図16は、図4に示す試験装置30を用い
て、本実施形態のフェルト断熱材60の断熱性の試験を
行った試験結果を示す。黒丸印はフェルト断熱材60を
取外した状態での試験結果を示し、三角印がフェルト断
熱材60を用いる場合の試験結果を示す。比較のため
に、白丸印で図18に示す耐冷服の生地についての試験
結果を示す。フェルト断熱材60を装着すれば、装着し
ない場合に比べて約25℃の断熱性向上が認められる。
また図18に示す耐冷服生地よりも、約5℃の断熱性の
向上が認められる。
【0048】図17は、本実施形態のフェルト断熱材6
0について、図8に示すような液体窒素照射試験を行っ
た試験結果を示す。黒丸印はフェルト断熱材60を装着
した状態、三角印はフェルト断熱材60を取外した状態
を示す。フェルト断熱材60を装着していない状態で
は、15分間で約40℃の温度低下が認められるけれど
も、フェルト断熱材60を装着した状態では、約15℃
の温度低下であり、優れた断熱性が示されている。ま
た、図18で示す耐冷服の生地では、白丸印で示すよう
に15分間で約20℃の温度低下が認められ、本実施形
態のフェルト断熱材60による優れた断熱性能が照明さ
れる。フェルト断熱材60としては、炭素繊維フェルト
を用いることが好ましい。炭素繊維フェルトの嵩密度は
12kg/m3であり、芳香族ポリアミド繊維フェルト
の嵩密度は65kg/m3であるので、炭素繊維フェル
トでフェルト断熱材60を構成すれば、芳香族ポリアミ
ド繊維でフェルト断熱材60を形成する場合に比較して
約1.6kgの軽量化を図ることができる。また、図1
8に示す生地構成では、断熱層として芳香族ポリアミド
繊維フェルトを使用し、これに比較すれば、断熱層が1
枚少なくなって、さらに1.4kgの軽量化を図り、全
体で2.5kgの軽量化を図ることができる。断熱防護
服で、低温断熱性能および火炎防護性を低下させること
なく、2.5kgの軽量化を実現し、かつ装着が簡単に
なるので、断熱性能を保持しながらも事故や災害に対す
る機敏な対応と通常の防寒服や消防服と同等の運動機能
性とを持たせることが可能となる。
【0049】なお、本実施の形態についても、表2と同
様な火炎防護性試験を行い、次の表3に示すような良好
の結果を得ることができた。
【0050】
【表3】
【0051】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、防護服の
内側に気体を保持する断熱層を設け、軽量化で着用者の
有効な保護とを図ることができる。
【0052】また本発明によれば、断熱層は防護服の内
側に着脱可能であるので断熱層を装着しない状態で断熱
服を着用して作業等を容易に行い、必要に応じて断熱層
を装着して有効に着用者を保護することができる。
【0053】また本発明によれば、断熱層は気体によっ
て膨張可能な気体層であるので、不要時には膨張させ
ず、必要時のみ膨張させて、不要時には作業性を損なわ
ず、必要時には一層有効な断熱効果を発揮させることが
できる。
【0054】また本発明によれば、外気の温度が予め定
める低温度または高温度になると、気体層が自動的に膨
張し、着用者を有効に保護することができる。
【0055】また本発明によれば、気体層は低温時にも
柔軟性を失わず、高温時にも溶融しにくい材質で形成さ
れるので、防護服の着用者の作業の障害となりにくく、
極低温時や高温時に着用者を有効に保護することができ
る。
【0056】また本発明によれば、断熱層を炭素繊維フ
ェルトで形成するので、軽量で有効な断熱を行い、かつ
静電気の発生による可燃性ガスなどへの引火の危険を回
避することができる。
【0057】また本発明によれば、断熱層を芳香族ポリ
アミド繊維フェルトで形成するので、軽量で有効な断熱
を行うことができる。
【0058】また本発明によれば、断熱層は身体の体幹
部分を覆うことができるので、身体にとって致命的な体
幹部分を、有効に保護することができる。
【0059】また本発明によれば、防護服での静電気の
発生を防止することができ、可燃性ガスを取扱う際の引
火の危険を避けることができる。
【0060】さらに本発明によれば、防護服の内側に設
けられる気体層を、芳香族ポリアミド繊維の布にフッ素
系樹脂またはシリコーン系樹脂でコーティングを施して
形成する袋体で、容易に形成することができる。袋体
は、芳香族ポリアミド繊維の布から形成されるので、−
100℃以下の低温でも柔軟性を失わず、150℃の高
温にも溶融しないで、気体を保持して着用者を有効に保
護することができる。芳香族ポリアミド繊維の布には、
フッ素系樹脂またはシリコーン系樹脂のコーティングが
施されているので、気密性を向上させ、膨張させる気体
を有効に止めて、膨張状態を継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の断熱防護服10の裏面
側の展開図である。
【図2】図1のエアバッグ15の正面図である。
【図3】図1の断熱防護服10の生地構成を示す簡略化
した断面図である。
【図4】断熱性能の試験装置30の概略的な構成を示す
正面図および底面図である。
【図5】断熱性能の試験結果の一例を示すグラフであ
る。
【図6】図1のエアバッグ15についての小間割り状態
をタイプ別に示す図である。
【図7】図6の各タイプのエアバッグ15を膨張させる
のに要する時間の試験装置40の概略的な構成を示す配
管系統図である。
【図8】液体窒素照射試験の概要を示す側面図および平
面図である。
【図9】液体窒素照射試験結果の一例を示すグラフであ
る。
【図10】本発明の実施の他の形態としてのエアバッグ
50の概略的な形状を示す正面図および背面図である。
【図11】図10のエアバッグ50を膨張させるための
構成を示す正面図である。
【図12】本発明の実施のさらに他の形態として、図1
のエアバッグ15や図10のエアバッグ50を自動的に
膨張させる構成を示す配管系統図である。
【図13】本発明の実施のさらに他の形態としての生地
構成を示す簡略化した断面図である。
【図14】図13のフェルト断熱材60の形状の一例を
示す簡略化した正面図である。
【図15】図13のフェルト断熱材60の形状の他の例
を示す簡略化した正面図である。
【図16】図13のフェルト断熱材60に関連して、図
4の試験装置30による試験結果を示すグラフである。
【図17】図13のフェルト断熱材60に関連して、図
8の液体窒素照射試験結果を示すグラフである。
【図18】先行技術の耐冷服の生地構成を示す簡略化し
た断面図である。
【符号の説明】
10 断熱防護服 11 防護服 12,22 裏地 13 ポケット 14,61 面ファスナ 15,50 エアバッグ 16,51 シリコーンチューブ 17,52 逆止弁付バルブ 21 基布 23 空気層 24 透湿防水フィルム 25 中綿 30,40 試験装置 55 高圧ボンベ 57 制御装置 58 温度検出器 60 フェルト断熱材 62 炭素繊維フェルト 63 芳香族ポリアミド繊維織布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A41D 31/00 503 A41D 31/00 503F 503N 31/02 31/02 H

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部の温度に対する耐性を備える防護服
    と、 防護服の内側に設けられ、気体を保持する断熱層とを含
    むことを特徴とする断熱防護服。
  2. 【請求項2】 前記断熱層は、前記防護服の内側に着脱
    可能であることを特徴とする請求項1記載の断熱防護
    服。
  3. 【請求項3】 前記断熱層は、気体を供給して膨張させ
    ることが可能な気体層であり、 該気体層に空気を供給して膨張させる気体供給手段を備
    えることを特徴とする請求項1または2記載の断熱防護
    服。
  4. 【請求項4】 前記気体供給手段は、 前記外気の温度を検出する温度検出器と、 温度検出器が予め定める低温度または高温度を検出する
    ときに、前記気体の膨張を開始させる制御装置とを含む
    ことを特徴とする請求項3記載の断熱防護服。
  5. 【請求項5】 前記気体層を形成する材質として、芳香
    族ポリアミド、ポリイミド、ポリ4フッ化エチレン、フ
    ッ化ビニル重合体、難燃グレードポリエチレンテレフタ
    レート、フッ素系樹脂コーティングを行った芳香族ポリ
    アミド、またはシリコーン系樹脂コーティングを行った
    芳香族ポリアミドのうちのいずれかが選定されることを
    特徴とする請求項3または4記載の断熱防護服。
  6. 【請求項6】 前記断熱層は、炭素繊維フェルトで形成
    されることを特徴とする請求項1または2記載の断熱防
    護服。
  7. 【請求項7】 前記断熱層は、芳香族ポリアミド繊維フ
    ェルトで形成されることを特徴とする請求項1または2
    記載の断熱防護服。
  8. 【請求項8】 前記断熱層は、前記防護服を身体に着用
    するときに、身体の体幹部分を覆う形状を有することを
    特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の断熱防護
    服。
  9. 【請求項9】 前記防護服は、表面の基布と裏面の裏地
    との間に、炭素繊維フェルトの中綿を有することを特徴
    とする請求項1〜8のいずれかに記載の断熱防護服。
  10. 【請求項10】 外部の温度に対する耐性を備える防護
    服の内側に設けられ、気体によって膨張可能な気体層の
    形成方法であって、 芳香族ポリアミド繊維の布にフッ素系樹脂またはシリコ
    ーン系樹脂でコーティングを施して袋体を形成し、 該袋体によって、防護服の内側に着脱可能な気体層を形
    成することを特徴とする気体層の形成方法。
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