JP2000329657A - シミュレーション装置および方法ならびにシミュレーション用制御プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

シミュレーション装置および方法ならびにシミュレーション用制御プログラムを記録した記録媒体

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JP2000329657A
JP2000329657A JP13816099A JP13816099A JP2000329657A JP 2000329657 A JP2000329657 A JP 2000329657A JP 13816099 A JP13816099 A JP 13816099A JP 13816099 A JP13816099 A JP 13816099A JP 2000329657 A JP2000329657 A JP 2000329657A
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series data
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Naoto Fukushima
直人 福島
Etsuo Katsuyama
悦生 勝山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積分値を循環させることなくシミュレーショ
ンを行えるようにして、低コストの演算手段であっても
高い精度のシミュレーションを行えるようにすること。 【解決手段】 時系列データに基づいて車両挙動制御を
実行しない車両の運動を演算する第1車両モデルaと、
この第1車両モデルaと並列に設けられ、時系列データ
に基づいて車両挙動制御を実行する車両の運動を演算す
る第2車両モデルbと、これら車両モデルa,bの出力
の差分を求める差分演算手段cと、この差分演算手段c
が演算した差分を時系列データに加算する加算手段d
と、を設け、差分演算手段cにおいて求めた、車両挙動
制御を実行していない第1車両モデルaの車両運動と、
車両挙動制御を実行している第2車両モデルbの車両運
動との差分を循環させるようにして、積分値を循環させ
ない構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車において、
例えば左右の駆動輪の駆動力配分を変えたり、あるいは
4輪の内の所定の輪に制動力を発生させるなどして、車
両にヨーモーメントを発生させて車両挙動を制御する車
両挙動制御装置の制御結果をシミュレーションする技術
に関する。
【0002】
【従来の技術】駆動輪の左右の駆動力配分を任意に変更
させたり、任意の車輪に制動力を与えたりして、車両の
挙動を制御する車両挙動制御装置が知られている。この
ような装置にあっては、装置の制御品質を向上させて行
くにあたって、この装置の制御により車両挙動が実際に
どのように変化するかを、実験により確認する作業を繰
り返す必要がある。
【0003】この作業の手間の削減をはかるため、従
来、ラピッドコントロールタイピング(以下、RCPと
する)と称する手法が提案されている。これは、制御系
CAEソフトを用いて、まずシミュレーションにより制
御ロジックを検討し、これをそのまま実車のコントロー
ラにダウンロードするもので、プロトタイプの開発効率
化に有効である。
【0004】このような従来技術として、図15に示す
ようなものが知られている。車両運動シミュレーション
を行う場合は、一般に、操舵入力と制駆動入力を設定し
て、車輪や車体の運動を計算する。図15は、これをブ
ロック線図で示したもので、図において、01は入力デ
ータであり、ここでは、操舵角,駆動力,制動力を入力
している。02は車両モデルであり、タイヤフォース演
算手段03と積分手段04と慣性力演算手段05とを備
えている。タイヤフォース演算手段03は、入力データ
に基づいてタイヤフォースを演算するもので、ここで
は、タイヤモデルなどが設定され、タイヤの前後力や横
力やヨーモーメントなどを演算するよう構成されてい
る。積分手段04は、前後速度や横速度やヨーレイトを
演算するよう構成されている。また、積分手段04の出
力は、タイヤフォース演算手段03に戻されるととも
に、慣性力演算手段05に入力されて求められた慣性力
が積分手段04に入力されるよう構成されている。
【0005】したがって、上述の従来技術では、実際の
走行を行ったときの操舵力,制駆動力の時系列データを
予め求めておき、これを入力データとして装置に入力し
て、シミュレーションを行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記車両挙動制御装置
において、上記RCPを進める上では、タイヤ限界域に
おけるシミュレーション制度の確保が課題となってい
る。一般に、タイヤモデルは、タイヤ限界域では精度が
落ち、タイヤ発生力に誤差が生じるものであるが、上述
の従来技術では、この精度が落ちた値を積分手段04に
おいて積分し、さらにこの積分値を、タイヤフォース演
算手段03や慣性力演算手段05の演算に戻すもので、
このように、誤差が積分されて循環されるため、シミュ
レーション精度が落ちてしまうという問題があった。そ
して、この問題を解決するためには、タイヤフォース演
算手段03における演算式を、実車にきわめて近い高い
精度のもの、例えば、サスペンションにあっては緩衝器
の特性やスプリングの特性やブッシュの特性やサスペン
ション剛性などに関し、実車に完全に対応した値が得ら
れるように設定する必要があり、この場合、演算式が複
雑になって、大型のコンピュータを用いないと演算が行
えず、非常にコストがかかってしまうという問題があっ
た。
【0007】本発明は、上述の問題点に着目してなされ
たもので、積分値を循環させることなくシミュレーショ
ンを行えるようにして、低コストの演算手段であっても
高い精度のシミュレーションを行えるようにすることを
目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的達成のため、
本発明のシミュレーション装置は、図1のクレーム対応
図に示すように、時系列データに基づいて車両挙動制御
を実行しない車両の運動を演算する第1車両モデルa
と、この第1車両モデルaと並列に設けられ、時系列デ
ータに基づいて車両挙動制御を実行する車両の運動を演
算する第2車両モデルbと、これら車両モデルa,bの
出力の差分を求める差分演算手段cと、この差分演算手
段cが演算した差分を時系列データに加算する加算手段
dと、を備え、前記第1車両モデルaには、前記時系列
データに基づき車両挙動制御を実行しない車両の所定の
車両諸元に応じてタイヤフォースを演算する第1タイヤ
フォース演算手段a1と、前記時系列データに基づき車
体の慣性力を演算する第1慣性力演算手段a2と、この
第1慣性力演算手段a2ならびに前記第1タイヤフォー
ス演算手段a1の出力を積分して車両の運動を求める第
1積分手段a3と、が設けられ、前記第2車両モデルb
には、前記加算手段dから入力される前記時系列データ
に差分を加算したデータに基づき挙動制御を実行する車
両の所定の車両諸元に応じて車両のタイヤフォースを演
算する第2タイヤフォース演算手段b1と、前記加算手
段dから入力される差分を加算した時系列データに基づ
き車体の慣性力を演算する第2慣性力演算手段b2と、
この第2慣性力演算手段b2の出力ならびに前記第2タ
イヤフォース演算手段b1の出力を積分して車両の運動
を求める第2積分手段b3と、が設けられていることを
特徴とする。したがって、差分演算手段cにおいて演算
される差分は、車両挙動制御を実行していない第1車両
モデルaの車両運動と、車両挙動制御を実行している第
2車両モデルbの車両運動との差であって、これは、車
両挙動制御による制御分に相当する。そして、この制御
分の運動に相当する値が、第2車両モデルbの第2タイ
ヤフォース演算手段b1や慣性力演算手段b2に対して
戻されるものであり、従来のように、積分値がそのまま
戻されるのではないため、積分値が循環されて誤差が大
きくなるのを防止することができる。また、第1車両モ
デルaと第2車両モデルbとで、車両挙動制御分以外に
部分は共通して相殺されることになるため、車両を示す
制御式の簡略化を図ることができるものであり、したが
って、この演算を行うコンピュータの簡略化を図ること
ができる。
【0009】また、請求項2に記載の発明は、プログラ
ムされたコンピュータによって、走行に関する時系列デ
ータに基づいてタイヤフォースの演算式ならびに車両の
慣性力を求める積分演算式を有した車両モデルを用い車
両運動を求めるシミュレーション方法において、時系列
データに基づいて、車両挙動制御を実行しない車両用の
第1車両モデルの車両運動を求める第1の手順と、この
第1の手順と並列に行われる手順であって、時系列デー
タに後述する差分を加えた後述する第4の手順で得られ
る加算データに基づいて、車両挙動制御を実行する第2
車両モデルの運動を求める第2の手順と、前記第1の手
順により得られた非制御車両の運動と、第2の手順によ
り得られた制御車両の運動との差分を求める第3の手順
と、この第3の手順により得られた差分と、入力される
走行に関する時系列データとを加算する第4の手順と、
を実行して、積分値を循環させることなくシミュレーシ
ョンを行うように構成したことを特徴とする。
【0010】また、請求項3に記載の発明は、コンピュ
ータによって、走行に関する時系列データに基づいてタ
イヤフォースの演算式ならびに車両の慣性力を求める積
分演算式を有した車両モデルを用い車両運動を求めるシ
ミュレーションを実行させるシミュレーション制御用プ
ログラムを記録した記録媒体であって、前記シミュレー
ション制御用プログラムは、時系列データに基づいて、
車両挙動制御を実行しない車両用の第1車両モデルの車
両運動を求める第1の手順と、この第1の手順と並列に
行われる手順であって、時系列データに後述する差分を
加えた後述する第4の手順で得られる加算データに基づ
いて、車両挙動制御を実行する第2車両モデルの運動を
求める第2の手順と、前記第1の手順により得られた非
制御車両の運動と、第2の手順により得られた制御車両
の運動との差分を求める第3の手順と、この第3の手順
により得られた差分と、入力される走行に関する時系列
データとを加算する第4の手順と、を実行して、積分値
を循環させることなくシミュレーションを行うように構
成されていることを特徴とする。
【0011】なお、上述のシミュレーション装置および
方法ならびにシミュレーション制御用プログラムを記録
した記録媒体において、前記時系列データとして、車両
前後速度,車両横速度,ヨーレイトを用いてもよいし、
あるいは、前記時系列データとして、車両前後速度,車
両横スリップ角,ヨーレイトを用いてもよい。また、こ
れらの時系列データは、走行時の実測データを用いるこ
とが好ましい。このように、時系列データとして、車両
前後速度,車両横速度または車両横スリップ角,ヨーレ
イトを用いることにより、少ないパラメータで車両の運
動状態を正確に把握することができるものであり、した
がって、簡単な演算装置により精度の高い演算が可能と
なる。さらに、実測データに基づくことにより、シミュ
レーションの信頼性がいっそう向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。まず、実施の形態を説明する前
に、前輪の舵角δ、ヨーレイトψ、横力Fなどの関係に
ついて説明する。図2は車体3自由度(前後、左右,ヨ
ー)、各輪1自由度の計7自由度の車両モデルを示し、
タイヤは簡便なブラシモデルとした。なお、図におい
て、lfは重心から前輪の車軸までの距離であり、この
例では1.20m、lrは重心から光臨の車軸までの距
離であり、この例では1.30m、ltfは前輪のトレ
ッドであり、この例では1.48m、ltrは後輪のト
レッドであり、この例では1.47m、βはスリップ
角、δは舵角、Fxiは前後方向力、Fyiは横力、V
は車体速、△ψはヨーレイトである。
【0013】また、車体の3自由度運動方程式(1)〜
(3)を以下に記述する。車輪の運動モデル,タイヤ特
性,隣家中の演算式は、今後の検討に直接影響を与えな
いため、ここでは記述を省略する。
【0014】 (d/dt)V1-△ψV1=(1/m)F1t …(1) (d/dt)V1+△ψV1=(1/m)F1t …(2) (d/dt)△ψ=(1/I )M1t …(3) なお、上記式で mは車両質量、 Iは慣性ヨーモーメ
ントである。ここで、 V1=Vcosβ、 V1
-Vsinβ、F1t=ΣFxi、F1t= Σ
yi、M1t =( Fy1+ Fy2)l-( F
y3+ Fy4)l +(1/2)(- Fx1+ F
x2)ltf +(1/2)(- Fx3+ Fx4) l
trである。
【0015】(実施の形態)次に、実施の形態について
説明する。図3は、実施の形態のシュミレーション装置
を示すブロック図である。この図において、10は入力
手段であって、予め行った実走行時の車両時系列データ
である V( 前後力), V(横力 ),△ψ(ヨー
レイト)に関するデータを入力する。
【0016】11は第1車両モデルであって、この第1
車両モデル11は、第1タイヤフォース演算手段11a
と第1慣性力演算手段11bと第1積分手段11cとを
備えている。第1タイヤフォース演算手段11aは、予
め設定されたタイヤモデル,車輪駆動力,輪荷重に基づ
いて入力手段から送られたデータに応じてタイヤフォー
スF1t, F1t, M1t を演算する。 第
1慣性力演算手段11bは、 V,V,△ψか
ら慣性力F1i,F1iを求める。第1積分手
段11cは、前記第1タイヤフォース演算手段11aか
ら入力されたタイヤフォースF1t, F1t
M1tと 第1慣性力演算手段11b で求めた慣性力F
1i,F1iとを積分して、 車両運動V
, V1,△ψ1を求める。なお、前記V( 前
後力), V(横力 ),△ψ(ヨーレイト)の関係
は、図4に示すとおりである。
【0017】次に、図において12は第2車両モデルで
あって、第2タイヤフォース演算手段12aと第2慣性
力演算手段12bと第2積分手段12cとを備えてい
る。第2タイヤフォース演算手段12aは、後述の加算
手段14において、前記入力手段10からの車両時系列
データと、後述の差分演算手段13において求められた
前記第1車両モデル11の出力と第2車両モデル12の
出力との差分△Vx,△Vy,△△ψと、を加算した
値V , V ,△ψを入力し、前記タイヤフォ
ースF1t, F1t, M1t に挙動制御装置
(DYC)による制御分を加えた値、すなわちF2t
=F1t +△ Ft ,F2t=F1t
+△ Ft , M2t=M1t+△Mt を演算する。
第2慣性力演算手段12bは、 V , V ,△ψ
から慣性力F2i,F2iを求める。第2積分
手段12cは、前記第2タイヤフォース演算手段12a
から入力されたタイヤフォースF2t, F2
, M2tと第2慣性力演算手段12bで得た慣
性力F2i,F2iとを積分して、車両運動V
,V2,△ψ2を求める。
【0018】そして、上述のように、差分演算手段13
は、第1車両モデル11の車両運動V1, V1
△ψ1と第2車両モデル12の車両運動V2, V2
,△ψ2との差分△Vx,△Vy,△△ψを求めるも
のである。また、前記加算手段14は、上記差分△V
x,△Vy,△△ψと時系列データV, V,△ψ
とを加算するものである。
【0019】すなわち、本実施の形態にあっては、実走
行時の車両挙動の時系列データを第1車両モデル11に
入力し、一方、挙動制御装置(DYC)の制御分を上乗
せした第2車両モデル12には、第1車両モデル11と
第2車両モデル12との積分出力の差分と車両挙動の時
系列データとの和を入力する。そして、慣性力の演算に
は積分結果を入力することなく V, V,△ψおよ
びV , V ,△ψを入力するようにしてい
る。したがって、積分値が循環されることがなく、特
に、精度が落ちるタイヤ限界域において、誤差が循環さ
れることがなく、精度の向上が図られる。
【0020】ここで、慣性力の演算に積分結果を用いて
いないことから、第1車両モデルおよび第2車両モデル
とも、運動力学を満たさなくなることは否定できない。
しかしながら、第2車両モデルのタイヤ発生力の制御に
よる変化分と、第1車両モデルと第2車両モデルの積分
出力の差分との間には、運動力学的関係が満たされてい
ることで、上記精度は高い。よって、本実施の形態の出
力は、挙動制御装置(DYC)の制御結果を示すもので
あり、高いシミュレーション精度が得られる。
【0021】そして、本実施の形態では、第1車両モデ
ル11と第2車両モデル12の差分で制御結果を知るこ
とができるため、第1タイヤフォース演算手段11aお
よび第2タイヤフォース演算手段12aにおけるタイヤ
フォースモデルの精度を高くする必要がなく、よって、
パソコンなどの簡単な演算装置による演算が可能であ
り、低コストの手段により、上記のように高い精度を得
ることができる。
【0022】次に、上述した運動力学的合理性について
説明を加える。図3のブロック線図の積分ブロックと、
慣性力計算ブロックに示した数式を用いて、△Ft
△Ft,△Mtと、△ V, △V,△△ψとの
間の関係式を導く。まず、△ Vに関して、 (d/dt)△ V =(1/m)(d/dt)[∫( F2t+F2i) dt- ∫( F1t+F1i)dt ] =(△Ft/m)+(1/m)( F2i+F1i) …(4) 上式右辺第2項の慣性力を車両状態量で書き直すと、 (d/dt)△ V-V・△△ψ-△ψ・△V-△V・△△ψ =△Ft/m …(5) 同じく△Vに関して、 (d/dt)△ V =(1/m)(d/dt)[∫( F2t +F2i )dt- ∫( F1t +F1i )dt ] =(△Ft /m)+(1/m)( F2i +F1i ) …(6) 上式右辺第2項の慣性力を車両状態量で書き直すと、 (d/dt)△ V -V ・△△ψ-△ψ・△V -△V ・△△ψ =△Ft /m …(7) 同じく△△ψに関して、 (d/dt)△ △ψ =(1/ I )(d/dt)∫(M2t - M1t )dt …(8) =(1/ I )△Mt …(9) 一方、図4に示すように、剛体が外力を受けてV
,△ψで平面運動している状況下で、△ Ft
△ Ft , △Mtが加わった場合の運動の変動分△
, △V,△△ψの方程式は、上記(5)(7)
(9)式と一致する。図中の F , F , Mt
は、平面運動V, V,△ψを生じさせる外力であ
るが、上記変動分の運動式に陽には現れてこない。
【0023】以上により、図3の△ Ft , △ Ft
, △Mtと△V, △V,△△ψの間の運動力
学的合理性は確認された。
【0024】次に、図2に示す諸元の後輪駆動車を用い
て、ドライ路30R旋回から緩やかなリバースステアリ
ングを起こさせる実験を行った。このデータを用いて、
本実施の形態のシミュレーションを行い、精度の検証と
有効性を把握した。
【0025】まず、タイヤモデルの精度は、実車の前後
加速度、横加速度のデータと、シミュレーションのタイ
ヤ発生力/車両質量の比較で概略を把握できる。図5,
6に示すように、両者は比較的よく一致している。
【0026】次に、30R旋回時の時系列データを入力
し、0.01secの固定積分でシミュレーションを行
った、挙動制御装置(DYC)については、後輪の左右
駆動力配分制御を想定して、次式(10)の簡単なロジ
ックを設定し、シミュレーションを行ってみた。 Tm=-Kw(V3-V4)/(V3+V4) …(10) ここで、Tmは後左輪に加わるトルク、右輪はこの逆ト
ルクが加わる。Kwは定数、V3,V4はそれぞれ後左
輪,後右輪の速度である。
【0027】車体挙動の結果を図7〜図9に示す。ここ
では、挙動を分かりやすくするため、表示を旋回半径、
スリップ角、ヨーレイトに変更している。図中の制御な
しは(10)式で、Tm=0とした場合であり、結果は
入力した実車時系列データと同じになる。制御ありを見
ると、リバース挙動が緩和されることがわかる。ここで
重要なことは、(10)式の制御で生じた△ Ft
△ Ft , △Mtと、図7〜図9の制御ありなしの
差の間には、車両運動力学的関係が成り立っていること
である。このため、制御時の車体挙動も高い精度が確保
されている。
【0028】次に、各輪挙動についてシミュレーション
結果を示す。図10に制御なしの場合の後輪の挙動を示
す。簡単なタイヤモデルを使用している割にはよい精度
を示している。図11〜図14に、各輪のタイヤ発生力
とスリップ比との関係が制御で変化する様子を示す。い
ずれも、縦軸は輪荷重で基準化している。図10により
制御なし時の車輪挙動は精度が高いことが明らかである
から、図11〜図14の制御なしデータはほぼ実験値を
再現していると考えてよい。さらに、制御時の車体挙動
データも精度が高く、これらが各輪のスリップ比とスリ
ップ角とに反映されるため、制御時データも高い精度が
確保されていると考えられる。
【0029】以上説明したとおり、本実施の形態では、
タイヤ特性誤差の積分の循環をなくすパラレルループシ
ミュレーションを用いたため、制御によるタイヤ発生力
変化分と、第1車両モデル11と第2車両モデル12と
の出力差との間には、車両運動力学的関係が満たされて
おり、車体3自由度でタイヤはブラシモデルという簡単
な車両モデルでありながら、制御効果を精度よく把握で
きる。したがって、安価な演算手段を用いても精度の高
いシミュレーションを実行できるという効果を奏する。
【0030】以上図面により実施の形態について説明し
てきたが、本発明は上記実施の形態の構成に限定される
ものではない。例えば、実施の形態では、挙動制御装置
(DYC)として左右の駆動力配分を変化させる装置を
想定したが、4輪の任意の輪に制動力を発生させる装置
を想定することもできる。
【0031】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明のシミュ
レーション装置および方法ならびにシミュレーション用
制御プログラムを記録した記録媒体では、タイヤ特性誤
差の積分の循環をなくすパラレルループシミュレーショ
ンを用いるよう構成したため、制御によるタイヤ発生力
変化分と、第1車両モデルと第2車両モデルとの出力差
との間には、車両運動力学的関係が満たされており、簡
単な車両モデルを用いても制御効果を精度よく把握でき
るものであり、したがって、安価な演算手段を用いても
精度の高いシミュレーションを実行できるという効果を
奏する。
【0032】さらに、時系列データとして、車両前後速
度,車両横速度または車両横スリップ角,ヨーレイトを
用いることにより、少ないパラメータで車両の運動状態
を正確に把握することができるものであり、したがっ
て、簡単な演算装置により精度の高い演算が可能とな
る。加えて、実測データに基づくことにより、シミュレ
ーションの信頼性がいっそう向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシミュレーション装置を示すクレーム
対応図である。
【図2】車両モデルを示す図である。
【図3】実施の形態のシミュレーション装置を示すブロ
ック線図である。
【図4】剛体によりモデルを示す図である。
【図5】タイヤモデルの精度を示すデータ図である。
【図6】タイヤモデルの精度を示すデータ図である。
【図7】実施の形態のシミュレーション結果を示すデー
タ図である。
【図8】実施の形態のシミュレーション結果を示すデー
タ図である。
【図9】実施の形態のシミュレーション結果を示すデー
タ図である。
【図10】実施の形態における各輪のシミュレーション
結果を示すデータ図である。
【図11】実施の形態の各輪のタイヤ発生力とスリップ
比の関係が制御により変化する様子を示す図である。
【図12】実施の形態の各輪のタイヤ発生力とスリップ
比の関係が制御により変化する様子を示す図である。
【図13】実施の形態の各輪のタイヤ発生力とスリップ
比の関係が制御により変化する様子を示す図である。
【図14】実施の形態の各輪のタイヤ発生力とスリップ
比の関係が制御により変化する様子を示す図である。
【図15】従来技術を示すブロック線図である。
【符号の説明】 a 第1車両モデル a1 第1タイヤフォース演算手段 a2 第1慣性力演算手段 a3 第1積分手段 b 第2車両モデル b1 第1タイヤフォース演算手段 b2 第1慣性力演算手段 b3 第1積分手段 c 差分演算手段 d 加算手段 10 入力手段 11 第1車両モデル 11a 第1タイヤフォース演算手段 11b 第1慣性力演算手段 11c 第1積分手段 12 第2車両モデル 12a 第2タイヤフォース演算手段 12b 第2慣性力演算手段 12c 第2積分手段 13 差分演算手段 14 加算手段

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 時系列データに基づいて車両挙動制御を
    実行しない車両の運動を演算する第1車両モデルと、こ
    の第1車両モデルと並列に設けられ、時系列データに基
    づいて車両挙動制御を実行する車両の運動を演算する第
    2車両モデルと、これら車両モデルの出力の差分を求め
    る差分演算手段と、この差分演算手段が演算した差分を
    時系列データに加算する加算手段と、を備え、 前記第1車両モデルには、前記時系列データに基づき車
    両挙動制御を実行しない車両の所定の車両諸元に応じて
    タイヤフォースを演算する第1タイヤフォース演算手段
    と、前記時系列データに基づき車体の慣性力を演算する
    第1慣性力演算手段と、この第1慣性力演算手段ならび
    に前記第1タイヤフォース演算手段の出力を積分して車
    両の運動を求める第1積分手段と、が設けられ、 前記第2車両モデルには、前記加算手段から入力される
    前記時系列データに差分を加算したデータに基づき挙動
    制御を実行する車両の所定の車両諸元に応じて車両のタ
    イヤフォースを演算する第2タイヤフォース演算手段
    と、前記加算手段から入力される差分を加算した時系列
    データに基づき車体の慣性力を演算する第2慣性力演算
    手段と、この第2慣性力演算手段の出力ならびに前記第
    2タイヤフォース演算手段の出力を積分して車両の運動
    を求める第2積分手段と、が設けられていることを特徴
    とするシミュレーション装置。
  2. 【請求項2】 プログラムされたコンピュータによっ
    て、走行に関する時系列データに基づいてタイヤフォー
    スの演算式ならびに車両の慣性力を求める積分演算式を
    有した車両モデルを用い車両運動を求めるシミュレーシ
    ョン方法において、 時系列データに基づいて、車両挙動制御を実行しない車
    両用の第1車両モデルの車両運動を求める第1の手順
    と、 この第1の手順と並列に行われる手順であって、時系列
    データに後述する差分を加えた後述する第4の手順で得
    られる加算データに基づいて、車両挙動制御を実行する
    第2車両モデルの運動を求める第2の手順と、 前記第1の手順により得られた非制御車両の運動と、第
    2の手順により得られた制御車両の運動との差分を求め
    る第3の手順と、 この第3の手順により得られた差分と、入力される走行
    に関する時系列データとを加算する第4の手順と、を実
    行して、積分値を循環させることなくシミュレーション
    を行うように構成したことを特徴とするシミュレーショ
    ン方法。
  3. 【請求項3】 コンピュータによって、走行に関する時
    系列データに基づいてタイヤフォースの演算式ならびに
    車両の慣性力を求める積分演算式を有した車両モデルを
    用い車両運動を求めるシミュレーションを実行させるシ
    ミュレーション制御用プログラムを記録した記録媒体で
    あって、 前記シミュレーション制御用プログラムは、 時系列データに基づいて、車両挙動制御を実行しない車
    両用の第1車両モデルの車両運動を求める第1の手順
    と、 この第1の手順と並列に行われる手順であって、時系列
    データに後述する差分を加えた後述する第4の手順で得
    られる加算データに基づいて、車両挙動制御を実行する
    第2車両モデルの運動を求める第2の手順と、 前記第1の手順により得られた非制御車両の運動と、第
    2の手順により得られた制御車両の運動との差分を求め
    る第3の手順と、 この第3の手順により得られた差分と、入力される走行
    に関する時系列データとを加算する第4の手順と、を実
    行して、積分値を循環させることなくシミュレーション
    を行うように構成されていることを特徴とするシミュレ
    ーション制御用プログラムを記録した記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記時系列データとして、車両前後速
    度,車両横速度,ヨーレイトを用いたことを特徴とする
    請求項1記載のシミュレーション装置。
  5. 【請求項5】 前記時系列データとして、車両前後速
    度,車両横スリップ角,ヨーレイトを用いたことを特徴
    とする請求項1記載のシミュレーション装置。
  6. 【請求項6】 前記時系列データとして、走行時の実測
    データを用いたことを特徴とする請求項4または5記載
    のシミュレーション装置。
  7. 【請求項7】 前記時系列データとして、車両前後速
    度,車両横速度,ヨーレイトを用いたことを特徴とする
    請求項2記載のシミュレーション方法。
  8. 【請求項8】 前記時系列データとして、車両前後速
    度,車両横スリップ角,ヨーレイトを用いたことを特徴
    とする請求項2記載のシミュレーション方法。
  9. 【請求項9】 前記時系列データとして、走行時の実測
    データを用いたことを特徴とする請求項7または8記載
    のシミュレーション装置。
  10. 【請求項10】 前記時系列データとして、車両前後速
    度,車両横速度,ヨーレイトを用いたことを特徴とする
    請求項3記載のシミュレーション制御用プログラムを記
    録した記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記時系列データとして、車両前後速
    度,車両横スリップ角,ヨーレイトを用いたことを特徴
    とする請求項3記載のシミュレーション制御用プログラ
    ムを記録した記録媒体。
  12. 【請求項12】 前記時系列データとして、走行時の実
    測データを用いたことを特徴とする請求項10または1
    1記載のシミュレーション制御用プログラムを記録した
    記録媒体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003344226A (ja) * 2002-05-22 2003-12-03 Tokyu Car Corp 軌跡出力装置、軌跡出力方法、軌跡出力プログラム及び記録媒体
EP1544760A3 (en) * 2003-12-18 2006-05-31 Nissan Motor Company, Limited Three dimensional road-vehicle modeling system
US7315804B2 (en) 2002-09-04 2008-01-01 Nissan Motor Co., Ltd. Engineering assist method and system

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