JP2000330554A - Midiデータを用いた音響情報の表現方法・表示方法・表示媒体およびmidiデータの再生方法 - Google Patents

Midiデータを用いた音響情報の表現方法・表示方法・表示媒体およびmidiデータの再生方法

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JP2000330554A
JP2000330554A JP11143745A JP14374599A JP2000330554A JP 2000330554 A JP2000330554 A JP 2000330554A JP 11143745 A JP11143745 A JP 11143745A JP 14374599 A JP14374599 A JP 14374599A JP 2000330554 A JP2000330554 A JP 2000330554A
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Toshio Motegi
敏雄 茂出木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 MIDIデータを用いて、高い精度で所望の
音響情報を表現し、これを音符形式で表示する。 【解決手段】 縦軸に音階軸S,横軸に時間軸tをとっ
た表示画面上で、MIDIデータを、三角形の音符図形
Zの集合として表示する。音符図形Zの底辺の上下位置
は、音階(ノートナンバーN1)を示し、左右位置は演
奏タイミングt1〜t2を示し、音符図形Zの高さVon
は、演奏強度(ベロシティー)を示す。MIDIデータ
内のチャネル番号を示すデータを利用して、再生時の位
相角θを指定する。音符図形Zについて設定された位相
角θは、音符図形Zの表示色として示す。音符図形Zを
再生する場合、所定のMIDI音源内の音響波形W(N
1)に基く音を、タイミングt1に対して位相角θに相
当する時間だけずらして提示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音響情報をMID
Iデータを用いて表現する技術に関し、更に、このMI
DIデータを符号の形式で表示する技術およびこのMI
DIデータを再生する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】パーソナルコンピュータの普及ととも
に、MIDI(Music Instrument Digital Interface)
規格による符号データ(MIDIデータ)が広く利用さ
れるようになってきている。現在では、汎用のパーソナ
ルコンピュータにMIDI音源やスピーカシステムなど
を接続し、専用のアプリケーションソフトウエアを組み
込むだけで、MIDIデータを取り扱う環境が整うた
め、個人レベルのユーザーでも、MIDIデータを十分
に利用することができるようになってきている。このM
IDIデータは、いわゆるDTM(Desk Top Music)と
呼ばれる作曲や編曲作業や楽器演奏の練習などに盛んに
利用されている。
【0003】MIDI規格は、もともと電子楽器の楽器
音を記録するために提唱された規格であり、MIDIデ
ータ自身には、音の波形は含まれていない。MIDIデ
ータには、基本的には、どの音程を、どのようなタイミ
ングで、どのような強さで鳴らすか、という情報が含ま
れているだけなので、このMIDIデータを再生するに
は、所定の楽器音の波形データを格納したMIDI音源
を別途用意する必要がある。たとえば、ピアノを例にと
れば、どの鍵盤キーを、どのようなタイミングで、どの
程度の強さで叩くか、という演奏操作がMIDIデータ
として記録されることになる。
【0004】このように、MIDIデータ自身は、楽譜
上の音符に近いものであり、時間軸に沿って羅列された
ノートの集合として音を表現するデータとなっている。
たとえば、現在、標準的に利用されているSMF(Stan
dard MIDI File)フォーマットによるMIDIデータで
は、個々のノートのオン・オフのタイミング、音程(ノ
ートナンバー)、音の強さ(ベロシティー)が指定され
ることになる。個々のノートは音符もしくは音符に準じ
た符号で表示することが可能であるため、多くのDTM
システムは、MIDIデータの内容を音符もしくは音符
に準じた表現形式で表示する機能をもっている。したが
って、DTMシステムのオペレータは、システム内のM
IDIデータを、ディスプレイ画面上において、音符な
どの集合からなる楽譜の形式で把握することができる。
DTMシステムによっては、音符の代わりに矩形符号を
配置したいわゆるMIDIスコアの形式で表示を行う機
能も有している。
【0005】最近、このようなMIDIデータの特徴に
着目して、任意の音響情報をMIDIデータを用いて表
現しようという提案がなされている。MIDIデータ
は、本来、楽器音を表現するために生まれたものである
が、人の話声、自然界の音、心臓の鼓動音など、楽器に
限らず種々の音響情報をMIDIデータで近似的に表現
することは可能である。たとえば、特開平10−247
099号公報、特開平11−73199号公報、特開平
11−73200号公報、特開平11−95753号公
報などには、アナログ音響信号をMIDIデータで符号
化し、MIDIデータで近似的に表現する技術が開示さ
れている。また、特開平10−253429号公報に
は、このようなMIDIデータを、音符に準じた符号で
表示する技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、任意
の音響情報をMIDIデータを用いて表現する技術を利
用すれば、MIDIデータという極めて少ない情報によ
って任意の音響情報を再現できるようになり、また、M
IDIデータを音符などを用いて表示することにより、
任意の音響情報を視覚的な情報として提示することがで
きるようになる。したがって、このユニークな手法は、
様々な分野での応用性が期待される。
【0007】しかしながら、この手法は、いわば音符の
集合によって任意の音響情報を表現する、という原理に
基くものであるため、表現の自由度は大きく制限され、
本来の音響情報を正確に表現することは困難である。
【0008】そこで、本発明はより高い精度で本来の音
響情報を表現することができるMIDIデータを用いた
音響情報の表現方法を提供することを目的とし、また、
そのような表現方法によって得られたMIDIデータを
表示したり、再生したりする方法を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】(1) 本発明の第1の態
様は、MIDIデータを用いた音響情報の表現方法にお
いて、ノートオンまたはノートオフのいずれかを指示す
る情報と、特定のノートナンバーを指示する情報と、こ
の特定のノートナンバーに関するベロシティーを指示す
る情報と、を含むMIDIデータを用いて、表現対象と
なる音響情報を、時間軸に沿って羅列されたノートの集
合として表現し、このMIDIデータ内に、各ノートを
MIDI音源によって再生する際の音響波形の位相を指
示する情報を含ませるようにしたものである。
【0010】(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1
の態様に係る音響情報の表現方法において、音響波形の
位相を指示する情報を、チャネルを示すデータとしてM
IDIデータ内に格納するようにしたものである。
【0011】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1
の態様に係る表現方法によってノートの集合として表現
された音響情報を、音符または音符に準じた符号として
視覚的に把握可能な態様で表示するための表示方法にお
いて、時間軸および音階軸が定義された表示面上に、個
々のノートを、対応する時間軸上の位置および対応する
音階軸上の位置に配置された音符図形として表示し、か
つ、個々の音符図形ごとに、当該音符図形を再生する際
の音響波形の位相を指示する情報を表示するようにした
ものである。
【0012】(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3
の態様に係る表示方法において、音符図形の色に基い
て、音符図形の形状に基いて、音符図形の向きに基い
て、または、音符図形の付近に表示された文字に基い
て、当該音符図形についての位相を指示する情報を表示
するようにしたものである。
【0013】(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4
の態様に係る表示方法において、エンドレスな色相環上
の各色を特定の位相角に対応づけ、音符図形の色に基い
て、当該音符図形についての位相角を指示するようにし
たものである。
【0014】(6) 本発明の第6の態様は、上述の第3
〜第5の態様に係る表示方法を用いて、音響情報を音符
図形により物理的媒体上に表示するようにしたものであ
る。
【0015】(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1
の態様に係る表現方法によって音響情報が表現されたM
IDIデータを再生する方法において、MIDIデータ
によって表現される各ノートをMIDI音源によって再
生する際に、音響波形の位相を指示する情報に基いて各
音響波形の再生開始時点を早めるようにしたものであ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施形態
に基づいて説明する。
【0017】§1.MIDIデータの一般形式 図1は、現在、最も標準的に利用されているSMF(St
andard MIDI File)フォーマットによるMIDIデータ
の形式を示す図である。図示のとおり、このMIDIデ
ータは、「ノートオン」データもしくは「ノートオフ」
データが、「デルタタイム」データを介在させながら存
在する。「デルタタイム」データは、1〜4バイトのデ
ータで構成され、所定の時間間隔を示すデータである。
一方、「ノートオン」データは、全部で3バイトから構
成されるデータであり、1バイト目はノートオン符号
「90 H」に固定されており(後述するように、チャネ
ル番号0の場合。 Hは16進数を示す)、2バイト目に
ノートナンバーNを示すコードが、3バイト目にベロシ
ティーVonを示すコードが、それぞれ配置される。ノー
トナンバーNは、音階(一般の音楽でいう全音7音階の
音階ではなく、ここでは半音12音階の音階をさす)の
番号を示す数値であり、このノートナンバーNが定まる
と、たとえば、ピアノの特定の鍵盤キーが指定されるこ
とになる(C−2の音階がノートナンバーN=0に対応
づけられ、以下、N=127までの128通りの音階が
対応づけられる。ピアノの鍵盤中央のラの音(A3音)
は、ノートナンバーN=69になる)。ベロシティーV
onは、音の強さを示すパラメータであり(もともとは、
ピアノの鍵盤などを弾く速度を意味する)、Von=0〜
127までの128段階の強さが定義される。
【0018】同様に、「ノートオフ」データも、全部で
3バイトから構成されるデータであり、1バイト目は常
にノートオフ符号「80 H」に固定されており(チャネ
ル番号0の場合)、2バイト目にノートナンバーNを示
すコードが、3バイト目にベロシティーVoff を示すコ
ードが、それぞれ配置される。「ノートオン」データと
「ノートオフ」データとは対になって用いられ、この一
対のデータにより1つのノート(音符)についての発音
開始操作および発音終了操作が表現されることになる。
たとえば、「90 H,69,80」なる3バイトの「ノ
ートオン」データは、ノートナンバーN=69に対応す
る鍵盤中央のラのキーを押し下げる操作(ラの音符の発
音開始操作)を表現し、以後、同じノートナンバーN=
69を指定した「ノートオフ」データが与えられるま
で、そのキーを押し下げた状態が維持される(実際に
は、ピアノなどのMIDI音源波形を用いた場合、有限
の時間内に、ラの音の波形は減衰してしまう)。そし
て、ノートナンバーN=69を指定した「ノートオフ」
データは、たとえば、「80 H,69,50」のような
3バイトのデータとして与えられ、このような「ノート
オフ」データは、鍵盤中央のラのキーから指を離す操作
(ラの音符の発音終了操作)を表現する。なお、「ノー
トオフ」データにおけるベロシティーVoff の値は、た
とえばピアノの場合、鍵盤キーから指を離す速度を示す
パラメータになる。
【0019】別言すれば、特定のノート(音符)に関す
る情報が、同一ノートナンバーNを引用した「ノートオ
ン」データと「ノートオフ」データとのデータ対によっ
て表現されることになる。すなわち、特定のノート(音
符)に関して、「ノートオン」データにより発音開始操
作(たとえば、ピアノの鍵盤キーを押し下げる操作)が
記述され、「ノートオフ」データにより発音終了操作
(たとえば、鍵盤キーから指を離す操作)が記述され
る。また、この特定のノートの発音時間(発音開始操作
から発音終了操作に至るまでの時間:実際に楽器の音が
鳴り始めてから鳴り終わるまでの時間とは必ずしも一致
しない)は、「ノートオン」データと、これと対になる
「ノートオフ」データとの間に介在するデルタタイムに
よって定まる。
【0020】図2に、具体的なMIDIデータの構成例
を示す。図2(a) に示す例は、ノートナンバーN1で示
されるノート(音符)の演奏情報を、MIDIデータで
記述したものである。データd1は、1〜4バイトから
なるデルタタイムT1を示すデータ(必要なバイト数
は、デルタタイムの長さによって異なる)である。この
デルタタイムのデジタル値は、たとえば、T1=1/7
68秒のようなスケーリングを予め定義しておくことに
より、時間を示す値となる。データd2は、ノートナン
バーN1で示されるノート(以下、単にノートN1とい
う)の発音開始操作を記述した「ノートオン」データで
あり、1バイト目にノートオン符号:90H 、2バイト
目にノートナンバー:N1、3バイト目にベロシティ
ー:Vonの各コードが配置されている。たとえば、ピア
ノの場合、ノートN1に対応する鍵盤キーを、ベロシテ
ィーVonで示される強さ(速度)で押し下げるという発
音開始操作を示すことになる。続くデータd3は、1〜
4バイトからなるデルタタイムT2を示すデータであ
り、やはり具体的な時間を示す値となる。最後のデータ
d4は、ノートN1の発音終了操作を記述した「ノート
オフ」データであり、1バイト目にノートオフ符号:8
0H 、2バイト目にノートナンバー:N1、3バイト目
にベロシティー:Voff の各コードが配置されている。
たとえば、ピアノの場合、ノートN1に対応する鍵盤キ
ーから、ベロシティーVoff で示される強さ(速度)で
指を離すという発音終了操作を示すことになる。
【0021】こうして、図2(a) に示すデータd1〜d
4によって、ノートN1に関する演奏情報が記述される
ことになる。このように、MIDIデータでは、同一の
ノートナンバーNを引用した一対のデータ(「ノートオ
ン」データおよび「ノートオフ」データ)によって、特
定のノートに関する演奏情報が示される。また、「ノー
トオン」データや「ノートオフ」データで示される発音
開始操作や発音終了操作を実行するタイミングは、先行
する「デルタタイム」データに基づいて定まる。たとえ
ば、このMIDIデータを再生する際の基準時刻をt0
とすれば、データd2で示される発音開始操作の時刻
は、これに先行する「デルタタイム」データd1に基づ
いて定まり、具体的には、時刻(t0+T1)の時点で
発音開始操作が実行される。同様に、データd4で示さ
れる発音終了操作の時刻は、これに先行する「デルタタ
イム」データd1,d3に基づいて定まり、具体的に
は、時刻(t0+T1+T2)の時点で発音終了操作が
実行される。したがって、この例の場合のノートN1の
発音時間は、デルタタイムT2に一致する。
【0022】図2(b) に示す例は、ノートN1の演奏時
間とノートN2の演奏時間とが一部重なり、和音が発生
する例である。まず、最初のデータd1によって、デル
タタイムT1が示され、続くデータd2によって、ノー
トN1についての発音開始操作が示される。次のデータ
d3によって、再びデルタタイムT2が示され、続くデ
ータd4によって、ノートN2についての発音開始操作
が示される。すなわち、この時点では、2つのノートN
1,N2が同時に発音している状態になり、和音として
の再生が行われることになる。続くデータd5によっ
て、デルタタイムT3が示され、データd6によって、
ノートN2についての発音終了操作が示される。更に、
データd7によって、デルタタイムT4が示され、最後
のデータd8によって、ノートN1についての発音終了
操作が示される。
【0023】結局、この図2(b) に示すデータd1〜d
8のうち、一対のデータd2,d8は、同一のノートナ
ンバーN1を引用してノートN1に関する演奏情報を記
述したデータであり、一対のデータd4,d6は、同一
のノートナンバーN2を引用してノートN2に関する演
奏情報を記述したデータということになる。ここで、個
々の操作を行うべき時刻は、やはり先行するデルタタイ
ムに基づいて定まることになる。すなわち、このMID
Iデータを再生する際の基準時刻をt0とすれば、デー
タd2で示されるノートN1の発音開始操作は時刻(t
0+T1)、データd4で示されるノートN2の発音開
始操作は時刻(t0+T1+T2)、データd6で示さ
れるノートN2の発音終了操作は時刻(t0+T1+T
2+T3)、データd8で示されるノートN1の発音終
了操作は時刻(t0+T1+T2+T3+T4)とな
り、ノートN1の発音時間は、T2+T3+T4とな
り、ノートN2の発音時間は、T3となる。
【0024】なお、上述の説明では、チャネル番号が0
という前提の下で、ノートオン符号「90 H」およびノ
ートオフ符号「80 H」が固定であると述べたが、これ
らの符号の下位4ビットは必ずしも0に固定されている
わけではなく、チャネル番号0〜15のいずれかを特定
するコードとして利用できる。このような複数のチャネ
ルを利用すれば、各チャネルごとにそれぞれ別々の楽器
の音色についてのオン・オフを指定することができる。
【0025】図3は、図1に示す「ノートオン」データ
のビット構成を示す図である。図示のとおり、「ノート
オン」データは、ノートオン符号を示す第1バイトBY
1,ノートナンバーNを示す第2バイトBY2,ベロシ
ティーVonを示す第3バイトBY3という3バイトのデ
ータから構成されているが、細かなビット構成は次のと
おりである。まず、第1バイトBY1では、実際のノー
トオン符号が上位4ビットの「1001」で示され、こ
の上位4ビットの値は固定であるが、図に「****」
と示された下位4ビットはチャネル番号0〜15のいず
れかを特定するコードとして利用される。チャネル番号
が0の場合は、下位4ビットが「0000」になるた
め、第1バイトBY1は上述したように「90 H」にな
る。続く、第2バイトBY2では、MSBは必ず「0」
に固定されており、図に「*******」と示された
下位7ビットによりノートナンバーN(0〜127の1
28通り)が示される。同様に、第3バイトBY3で
は、MSBは必ず「0」に固定されており、図に 「*
******」と示された下位7ビットによりベロシテ
ィーVon(0〜127の128通り)が示される。
【0026】一方、図4は、図1に示す「ノートオフ」
データのビット構成を示す図である。図示のとおり、
「ノートオフ」データは、ノートオフ符号を示す第1バ
イトBY1,ノートナンバーNを示す第2バイトBY
2,ベロシティーVoff を示す第3バイトBY3という
3バイトのデータから構成されており、細かなビット構
成は次のとおりである。まず、第1バイトBY1では、
実際のノートオフ符号が上位4ビットの「1000」で
示され、この上位4ビットの値は固定であるが、図に
「****」と示された下位4ビットはチャネル番号0
〜15のいずれかを特定するコードとして利用される。
チャネル番号が0の場合は、下位4ビットが「000
0」になるため、第1バイトBY1は上述したように
「80 H」になる。続く、第2バイトBY2では、MS
Bは必ず「0」に固定されており、図に「******
*」と示された下位7ビットによりノートナンバーN
(0〜127の128通り)が示される。同様に、第3
バイトBY3では、MSBは必ず「0」に固定されてお
り、図に「*******」と示された下位7ビットに
よりベロシティーVoff (0〜127の128通り)が
示される。
【0027】このように、複数のチャネルを利用する場
合には、「ノートオン」データも、「ノートオフ」デー
タも、第1バイトBY1の下位4ビットにチャネル番号
が格納されることになる。この場合、同一のノートナン
バーを引用している「ノートオン」データと「ノートオ
フ」データとが存在しても、それだけでは、これらのデ
ータが同一のノートを表現する一対のデータ(当該ノー
トの発音開始操作と発音終了操作とを表現するデータ)
ということにはならない。たとえば、「90A8 6C
H」なる3バイトからなる「ノートオン」データに後続
して、「81A8 6C H」なる3バイトからなる「ノ
ートオフ」データが存在していた場合、両データはいず
れも同一のノートナンバー「A8」を引用しているが、
前者はチャネル番号0に関する「ノートオン」データで
あり、後者はチャネル番号1に関する「ノートオフ」デ
ータであるため、それぞれ異なるノートを表現するため
のデータということになる。
【0028】結局、複数のチャネルを利用する場合に
は、同一のノートナンバーを引用しており、かつ、同一
のチャネル番号を引用している「ノートオン」データと
「ノートオフ」データとが存在する場合にのみ、両デー
タは同一のノートを表現する一対のデータと認識される
ことになる。たとえば、「93 A8 6C H」なる3
バイトからなる「ノートオン」データに後続して、「8
3 A8 6C H」なる3バイトからなる「ノートオ
フ」データが存在していた場合であれば、両データはい
ずれも同一のノートナンバー「A8」を引用し、かつ同
一のチャネル番号3を引用しているので、両データは同
一のノートを表現する一対のデータとして認識されるこ
とになる。
【0029】§2.MIDIデータの表示方法 上述したように、MIDIデータは、個々のノート(音
符)についての情報を記述したデータであるから、一般
の音符として五線譜上に表示することが可能である。し
かしながら、五線譜の形態の楽譜は、楽器音を表現する
これまでの伝統的な手法としては、既に完成されたもの
であるが、「MIDIデータの正確な表示」という観点
からは不完全なものである。すなわち、個々の音符によ
り、音程と音長の情報は表現されているが、音の強さの
情報(ベロシティー)は欠けてしまっている。このよう
な五線譜の表示形態の欠点を補うために、たとえば、特
開平10−253429号公報には、音符に準じた音符
図形を用いて個々のノートを表示する手法が開示されて
いる。この手法によると、台形あるいは長方形からなる
音符図形という音符に準じた符号が定義され、横軸に時
間軸t、縦軸に音階軸Sをとった二次元座標上に、この
音符図形を配置することにより、楽譜の形態での表示が
行われることになる。この表示方法によれば、音の強さ
の情報を、台形あるいは長方形の両側辺の長さとして表
現することができるようになる。また、特願平11−0
58432号明細書には、音符に準じた符号として、三
角形からなる音符図形を用い、MIDIデータを視覚的
に把握可能な態様で表示する方法が開示されている。
【0030】このように、音符図形を用いた表示方法と
しては、台形、長方形、三角形というように種々の図形
を用いる例が提案されているが、いずれの場合も、時間
軸およびノートナンバー軸(音階軸)が定義された表示
面上に、個々のノートを、対応する時間軸上の位置およ
び対応するノートナンバー軸上の位置に、音符図形とし
て表示する、という点では共通している。ここでは、三
角形の音符図形を用いた例を簡単に述べておく。
【0031】図5は、この三角形の音符図形の基本形状
および配置形態を示す図であり、この三角形の音符図形
によって、特定のノートに関する演奏情報が表現される
ことになる。図示のように、横軸に時間軸t、縦軸に音
階軸S(後述するように、この音階軸Sは音の強さを示
すための軸としても機能する。)をとった二次元座標系
が譜面上に定義され、この譜面上に個々の音符図形が配
置される。ここで、三角形からなる音符図形は、必ず一
辺が時間軸tに対して平行となる状態に配置される。こ
こでは、便宜上、この時間軸tに対して平行な一辺を、
この三角形の底辺と呼ぶことにする。図5の左側に示さ
れた音符図形Z1の場合、底辺B1が上方に位置する形
態となっているが、図5の右側に示された音符図形Z2
の場合は、逆に、底辺B2が下方に位置する形態となっ
ている。もちろん、これらのいずれの形態を採ってもか
まわず、また、両形態を混在して用いるようにしてもか
まわない(音符の場合でも、バーを上方につける形態
と、下方につける形態とが混在して用いられている)。
【0032】このような三角形の音符図形によって、次
のような演奏情報を表現することができる。まず、この
音符図形の底辺の音階軸S上の位置によって、対象とな
る音符(MIDIデータで表現される特定のノート)の
音階を示すノートナンバーNが表現される。たとえば、
音符図形Z1の底辺B1および音符図形Z2の底辺B2
は、いずれも音階軸S上の位置Nに割り付けられている
ので、両音符図形Z1,Z2はいずれもノートナンバー
Nに対応する音符を表現していることになる。このよう
に、音符図形の底辺の縦座標軸に関する割付位置に基づ
いて、ノートナンバーNを表現する手法を採れば、音符
図形が譜面の上方に割り付けられていれば高音を示し、
下方に割り付けられていれば低音を示すことになり、音
符を用いた通常の楽譜に共通した概念で音程を把握する
ことができる。
【0033】一方、音符図形を構成する三角形の高さ
(底辺と頂点との距離)に基づいて、対象となる音符の
発音開始操作の強さを示すベロシティーVonが表現され
る。図5に示す音符符号Z1では、頂点が底辺B1の下
方に位置し、音符符号Z2では、頂点が底辺B2の上方
に位置するが、いずれも底辺と頂点との距離は同じVon
であり、両音符図形は、いずれもノートナンバーNに対
応する音を、Vonなる強さで発音開始する演奏操作を示
していることになる。なお、§1で述べたように、MI
DIデータには、発音開始操作の強さを示すベロシティ
ーVonとともに、発音終了操作の強さを示すベロシティ
ーVoff が含まれているが、ここに示す三角形の音符図
形を用いる表示方法では、後者に関する情報は表示され
ない。これは、後者の情報は前者の情報に比べて重要度
が低く、たいていの楽器では、省略しても支障がないた
めである。たとえば、ピアノの場合、前者は鍵盤を叩く
速度を示しているのに対し、後者は鍵盤から指を放す速
度を示しており、前者にくらべて後者の重要性は低く、
後者の情報表示を省略しても、大きな問題は生じない。
【0034】また、各音符図形の底辺の左端位置は、対
象となる音符の発音開始操作の時間軸上での位置tonを
表現しており、底辺の右端位置は、対象となる音符の発
音終了操作の時間軸上での位置toff を表現している。
図示の例の場合、音符図形Z1は、時刻ton1において
発音開始操作を行い、時刻toff 1において発音終了操
作を行う演奏操作を示しており、この音符の発音時間は
底辺B1の長さに相当するD1となる。また、音符図形
Z2は、時刻ton2において発音開始操作を行い、時刻
toff 2において発音終了操作を行う演奏操作を示して
おり、この音符の発音時間は底辺B2の長さに相当する
D2となる。
【0035】このような基本形状および配置形態をもつ
音符図形を用いれば、音の強さの情報をも含めた正確な
MIDIデータを、視覚的に把握可能ないわゆる楽譜と
しての態様で表示させることができる。たとえば、音符
図形Z1の底辺B1の上下方向の配置に基づいて、音程
を把握することができる。これは、通常の音符の機能と
同じである。また、音符図形Z1の左右方向の配置に基
づいて、演奏時刻を把握することができる。特に、時間
軸tの流れに沿って、底辺B1の左端の時間軸上の位置
が発音開始操作の位置ton1を示し、底辺B1の右端の
時間軸上の位置が発音終了操作の位置toff 1を示すの
で、1つの音符の演奏タイミングを容易に把握すること
ができる。通常の音符の場合、四分音符や八分音符な
ど、音符の形態を変えることにより発音時間を表現する
ことになるが、図示の音符図形では、演奏タイミングの
より直感的な把握が可能になる。そして、更に、音符図
形を構成する三角形の高さによって、発音開始操作にお
ける音の強さが表現されている。一般に、波形図では、
振幅強度を縦方向の長さで表現することが多いが、この
ように縦方向の長さで強度を示す手法は、直感的に受け
入れやすい。すなわち、縦方向に長い音符図形は、振幅
の大きな音を表現しているものとして直感的に把握する
ことができる。このような音の強さの表現は、通常の音
符では行うことができない。
【0036】図2(a) に示すMIDIデータを、三角形
の音符図形を用いて表現すると次のようになる。まず、
音符図形の底辺の左端位置tonは、時間軸tの基準点t
0の座標値を0とした場合、ton=T1(データd1に
よって示されるデルタタイム)となり、底辺の右端位置
toff は、toff =T1+T2となる。すなわち、この
音符図形の横幅D1=T2である。また、音符図形の高
さVonは、Von=V1(データd2内のベロシティー)
となり、底辺の縦軸上の位置Nは、N=N1(データd
2あるいはd4内のノートナンバー)となる。
【0037】同様に、図2(b) に示すMIDIデータ
を、三角形の音符図形を用いて表現した例を図6に示
す。前述したように、図2(b) のMIDIデータは、ノ
ートN1に関する情報を記述したデータ対d2,d8
と、ノートN2に関する情報を記述したデータ対d4,
d6とによって構成されているが、前者は音符図形Za
により表現され、後者は音符図形Zbにより表現されて
いる。
【0038】すなわち、音符図形Zaの底辺の左端位置
t1は、時間軸tの基準点t0の座標値を0とした場
合、t1=T1(データd1によって示されるデルタタ
イム)となり、底辺の右端位置t4は、t4=T1+T
2+T3+T4(データd8に先行する「デルタタイ
ム」データの総和)となる。よって、音符図形Zaの底
辺の長さDa=T2+T3+T4である。また、音符図
形Zaの高さは、データd2内のベロシティーV1とな
り、底辺の縦軸上の位置は、N1(データd2あるいは
d8内のノートナンバー)となる。
【0039】一方、音符図形Zbの底辺の左端位置t2
は、時間軸tの基準点t0の座標値を0とした場合、t
2=T1+T2(データd4に先行する「デルタタイ
ム」データの総和)となり、底辺の右端位置t3は、t
3=T1+T2+T3(データd6に先行する「デルタ
タイム」データの総和)となる。よって、音符図形Zb
の底辺の長さDb=T3である。また、音符図形Zbの
高さは、データd4内のベロシティーV2となり、底辺
の縦軸上の位置は、N2(データd4あるいはd6内の
ノートナンバー)となる。
【0040】図2(b) に示すようなMIDIデータその
ものから、ノートN1,N2の関係を把握することは困
難であるが、図6に示すような表示形態を採れば、ノー
トN1,N2の音程の関係、演奏タイミングの関係、強
さの関係、を直感的に把握することが可能になる。図7
は、多数の音符を三角形の音符図形によって表示した一
例を示す図である。図示されている例では、音符図形群
Q1やQ2において、複数の音符図形が重なっている
が、三角形の音符図形は、複数の音符図形が重なった場
合にも、個々の音符図形を認識しやすいという特徴を有
している。なお、このような音符図形の表示は、コンピ
ュータのディスプレイ画面上に行うこともできるし、プ
リンタなどを用いて紙などの物理的媒体上に行うことも
可能である。
【0041】§3.MIDIデータへの位相情報の導入 MIDIデータは、本来、楽器音を表現するために生ま
れたものであるが、MIDIデータによって表現可能な
音響情報は、必ずしも楽器音だけに限定されるものでは
ない。そもそもMIDIデータ自身には、音響波形は含
まれておらず、MIDIデータを再生した場合にどのよ
うな音色の音響情報が提示されるかは、再生時に用いる
MIDI音源内の音響波形に依存することになる。たと
えば、MIDI音源内のピアノの音響波形を用いて再生
を行えば、実際に提示される音響情報はピアノの演奏音
になるが、フルートの音響波形を用いて再生を行えば、
実際に提示される音響情報はフルートの演奏音になる。
同様にして、波の音の音響波形を音源とした再生を行え
ば、波の音を提示することができるし、心臓の鼓動音の
音響波形を音源とした再生を行えば、鼓動音を提示する
ことができる。
【0042】前述したように、特開平10−24709
9号公報、特開平11−73199号公報、特開平11
−73200号公報、特開平11−95753号公報な
どには、MIDIデータのもつこのような特徴に着目
し、任意のアナログ音響信号をMIDIデータで符号化
し、MIDIデータで近似的に表現する技術が開示され
ている。もちろん、このような技術は、いわば音符の集
合によって任意の音響情報を表現する、という発想に基
くものであるため、表現の自由度は大きく制限され、本
来意図している任意の音響情報を完全に表現することは
できない。しかしながら、§2においても述べたよう
に、MIDIデータは、音符あるいは音符に準じた符号
により、視覚的に把握可能な態様で表示することができ
るため、音響情報を解析する上では非常に利用価値が高
く、任意の音響情報をMIDIデータを用いて表現する
技術は、種々の分野での利用が期待されている。
【0043】本発明の目的は、音響情報をMIDIデー
タを用いて表現する際に、表現の精度を高めることにあ
り、その基本概念は、MIDIデータに位相情報を導入
することにより、表現の自由度を高める点にある。以
下、この基本概念について説明する。
【0044】ここでは、§2で説明したような三角形の
音符図形で表示されるMIDIデータを再生する場合を
考える。たとえば、図8に示すような音符図形Zで表示
されるMIDIデータを再生するものとしよう。この音
符図形Zの底辺の音階軸S上の位置はN1であるから、
この音符図形Zは、ノートナンバーN1なる音階に相当
する音響波形を用いて演奏されることになる。すなわ
ち、利用するMIDI音源に用意されているノートナン
バーN1に対応する音響波形に基く振動を提示すること
によって、この音符図形Zで表示されるMIDIデータ
の再生が行われることになる。図8に示す音響波形W
(N1)は、このような音響波形の一例を示している。
この音響波形W(N1)の周波数は、ノートナンバーN
1に対応した周波数になり、その振幅は、ノートオン時
のベロシティーVon(音符図形Zの高さに相当)に対応
したものになる。また、この音響波形W(N1)の実際
の再生期間(音響波形に基く振動が提示される期間)
は、音符図形Zの底辺の長さDに基いて定められ、基本
的には、発音開始操作のタイミングt1から、発音終了
操作のタイミングt2に至までの期間となる。ただ、用
いる音源によっては、発音終了操作のタイミングt2を
過ぎてもしばらく振動が提示され続ける場合もある。た
とえば、ピアノのような音源では、発音開始操作のタイ
ミングt1は鍵盤のキーを押し下げるタイミングを示
し、発音終了操作のタイミングt2は鍵盤のキーから指
を離すタイミングを示すことになり、鍵盤のキーから指
を離すとダンパーの作用により振動は直ちに抑えられて
しまうため、実際に振動が提示されている期間は、t1
〜t2の期間になる。ところが、管楽器などを音源とし
て用いた場合には、発音開始操作のタイミングt1は息
を吹き込み始めるタイミングを示し、発音終了操作のタ
イミングt2は息の吹き込み終了のタイミングを示すこ
とになる。このため、管内に残った振動がタイミングt
2を過ぎても提示され続けることになる。
【0045】以上のように、MIDIデータを再生する
場合、実際には、音源として用意した音響波形に基く振
動が提示されることになるが、この音響波形の位相につ
いては、これまで何ら留意されることはなかった。本発
明では、この音響波形の位相にも留意し、表現の自由度
を高める手法が採られる。
【0046】図9(a) 〜(d) は、図8に示すタイミング
t1の近傍を、時間軸を拡大して詳細に示した図であ
る。図9(a) に示す音響波形W(N1)は、ノートナン
バーN1に対応した波形であり、図9(b) に示す音響波
形W(N2)は、ノートナンバーN2に対応した波形で
ある。この例では、ノートナンバーN2はノートナンバ
ーN1の1オクターブ上の音(周波数が2倍の音)とな
っている。ここで、図9(a) ,(b) のいずれも、各音響
波形の再生開始時点Pは、タイミングt1に一致してお
り、正弦波の位相角を0とした場合、いずれも再生開始
時点Pにおける位相角θ=0となっている。一般的なM
IDI音源では、各音響波形の再生開始時点Pの位相
は、どのノートナンバーでも共通であり、たとえば、位
相角θ=0に設定されている。このようなMIDI音源
を用いて、従来のMIDIデータを再生した場合、図9
(a) ,(b) に示すように、発音開始操作のタイミングt
1における再生音響波形の位相角θは常に0になる。
【0047】ここで、このMIDI音源の音響波形の位
相角をずらすことを考える。たとえば、図9(a) ,(b)
に示す音響波形の位相をそれぞれ+π/2だけずらして
みると、それぞれ図9(c) ,(d) のようになる。すなわ
ち、発音開始操作のタイミングt1における再生音響波
形の位相角θがπ/2となるので、各音響波形は余弦波
として提示されることになる。もっとも、このような位
相の相違は、単一の音符を再生する限りにおいては、人
間の耳では識別が困難であり、有意差を感じさせること
ができない。すなわち、図8に示す音符図形Zのみを再
生する際に、音響波形W(N1)の位相角θを0に指定
しても、+π/2に指定しても、人間の耳では有意差を
認識することはできない。しかしながら、複数の音符図
形が時間軸上で重なって再生される場合、各音響波形相
互の位相関係は、有意差として認識されるファクターと
なる。たとえば、図7に示す音符図形群Q1は、同一時
間帯に配置された3つの音符図形から構成されている
が、これら3つの音符図形が同一位相の音響波形で再生
される場合と、異なる位相の音響波形で再生される場合
とを比べると、実際に再生される音響情報には有意差が
生じることになる。特に、これら3つの音符図形が、互
いに倍音の関係になっているような場合、位相がすべて
揃っていれば、全体として和音が再生されることになる
が、相互の位相がずれていると、和音は得られなくな
る。
【0048】このように、全く同一のMIDIデータ
を、全く同一のMIDI音源を用いて再生したとして
も、個々の音符の再生に用いる音響波形の位相を変える
ことにより、実際に再生される音響情報は変わってく
る。別言すれば、MIDIデータに、個々の音符を再生
する際の音響波形の位相を指示する情報を含ませておく
ようにすれば、それだけ音響情報を表現するための自由
度が向上し、結果的に、より精度の高い表現が可能にな
る。これが本発明の基本概念である。
【0049】MIDIデータに位相を指示する情報を含
ませるためには、SMFフォーマットによるMIDIデ
ータの場合、チャネルを示すデータを利用すると便利で
ある。SMFフォーマットによるMIDIデータの「ノ
ートオン」データおよび「ノートオフ」データのビット
構成は、既に述べたように、図3および図4に示すよう
なものになる。ここで、第1バイトBY1の下位4ビッ
トは、チャネル番号を示す情報として利用されている
が、これを位相を示す情報として利用することも可能で
ある。たとえば、この4ビットで示される0〜127の
範囲のデジタル値を、0〜+2πの範囲の位相角に割り
当てるようにすれば、位相角θ自身を表現することがで
きる。この場合、同一のノートを示す「ノートオン」デ
ータおよび「ノートオフ」データでは、位相角θの値と
して同一のデジタル値を設定するようにする。これは、
既に述べたように、第1バイトBY1の下位4ビットお
よび第2バイトBY2の全8ビットが完全に一致するよ
うな「ノートオン」データと「ノートオフ」データとの
対が、同一のノートの発音開始操作および発音終了操作
を示す1組のデータとして認識されるためである。
【0050】たとえば、「94 A8 6C H」なる3
バイトからなる「ノートオン」データに後続して、「8
4 A8 6C H」なる3バイトからなる「ノートオ
フ」データが存在していた場合、両データの第1バイト
BY1の下位4ビットはいずれも「4 H」であり、第2
バイトBY2はいずれも「A8」であるから、両データ
は同一のノートを示す1組のデータとして認識されるこ
とになる。このノートは、所定のMIDI音源のノート
ナンバー「A8」に対応する音響波形によって再生され
ることになるが、第1バイトBY1の下位4ビット(再
生時の位相を指示する情報)はいずれも「4 H」である
から、この音響波形は、たとえば、+π/2だけ(「4
H」に対応した位相角だけ)位相をずらした状態で再生
されることになる。
【0051】なお、音響波形を所定の位相角だけずらし
た状態で再生するには、音響波形の再生開始時点を当該
位相角だけ早めるような処理を行うと簡単である。たと
えば、図9(c) に示すように、音響波形W(N1)を位
相角θ=+π/2だけずらした状態で再生するには、再
生開始時点Pを本来の発音開始操作タイミングt1より
もΔT1だけ早めるようにすればよい。この場合、本来
であれば、この音響波形W(N1)は、タイミングt1
において鳴り始めるべきであるところ、それよりもΔT
1だけ早い時点から鳴り始めてしまうことになるが、実
用上は大きな問題は生じない。また、図9(d) に示すよ
うに、音響波形W(N1)を位相角θ=+π/2だけず
らした状態で再生するには、同様に、再生開始時点Pを
本来の発音開始操作タイミングt1よりもΔT2だけ早
めるようにすればよい。
【0052】§4.位相情報を有するMIDIデータの
表示方法 既に、§2において説明したように、MIDIデータ
は、音符または音符に準じる符号を用いて、視覚的に把
握可能な態様で表示することができる。たとえば、一般
的な五線譜上の音符としてMIDIデータを表現した場
合、個々のノートがいわゆる「おたまじゃくし」の形態
をした音符図形によって表示される。あるいは、図7に
示すような三角形の音符図形によって、個々のノートを
表示することも可能である。§3で述べた位相情報を有
するMIDIデータを、このような音符図形を用いて表
示する場合、個々の音符図形についての位相情報をも表
示すると便利である。たとえば、図7に示す例の場合、
各音符図形を構成する三角形の底辺の上下方向の位置に
よって当該音符の音階(ノートナンバー)を認識するこ
とができ、底辺の左右方向の位置によって当該音符の演
奏タイミングを認識することができ、三角形の高さによ
って当該音符の演奏強度を認識することができる。ここ
で、更に、当該音符を再生する際の音響波形の位相情報
を何らかの形で認識することができるようにしておけ
ば、MIDIデータに含まれているすべての情報を視覚
的に提示することが可能になる。
【0053】位相情報を表示するための最適な方法は、
音符図形の色を用いる方法である。たとえば、位相角θ
を0〜+2πの範囲で定義したとすると、θ=0なる位
相は、θ=+2πなる位相と等しくなり、2πの周期で
一巡することになる。一方、色については、エンドレス
な色相環を用いた定義方法が古くから知られており、た
とえば、図10に示す色相環では、赤,橙,黄,緑,
青,藍,紫,赤,橙,黄,緑,…と循環することにな
る。そこで、この色相環上の色と位相角θとを図示のよ
うに対応づければ、色によって0〜+2πの範囲の位相
角θを表現することができる。
【0054】このように、音符図形の色によって位相角
を示す方法の利点は、どのような形状の音符図形にも適
用が可能であるという点である。いわゆる「おたまじゃ
くし」の形態をした一般的な音符に適用できるのはもち
ろんのこと、図7に示すような三角形の音符図形にも適
用でき、その他どのような形状の音符図形にも適用可能
である。また、色は直観的な把握が容易な識別要素であ
り、複数の音符図形について、位相が揃っているか否か
を直ちに認識することが可能になる。たとえば、図7に
示す音符図形群Q2を構成する2つの音符図形が、全く
同一色で表示されていれば、この2つの音符図形は同位
相であると視覚的に認識することができる。また、2つ
の音符図形が、赤と橙のように類似色である場合には、
位相差は比較的小さいが、赤と青のように反対色である
場合には、位相差は大きい、と判断することも可能であ
る。
【0055】もちろん、位相情報を表示するための方法
は、音符図形の色を用いる方法に限定されるわけではな
い。図11は、三角形の音符図形の形状に基いて、当該
音符図形についての位相情報を示すようにした例であ
る。図11(a) ,(b) ,(c) に示す三角形は、いずれも
底辺と高さが等しい三角形であり、同一の音程、音長、
強度をもったノートを示す音符図形である。しかしなが
ら、頂点位置に基いて形状が互いに異なっており、この
形状の相違(別言すれば、頂点位置の相違)によって、
位相角θの相違を示すことが可能になる。一方、図12
は、三角形の音符図形の向きに基いて、当該音符図形に
ついての位相情報を示すようにした例である。また、図
13は、いわゆる「おたまじゃくし」の形態をした一般
的な音符の付近に、文字(角度を示す数値)を併記する
ことにより、当該音符についての位相情報を示すように
した例である。
【0056】以上、本発明を図示する実施形態に基いて
説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるも
のではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。
たとえば、MIDIデータへ位相情報を付加する方法と
して、上述の実施形態では、第1バイトBY1の下位4
ビット(本来は、チャネル番号を示すビット)によって
位相角を示すようにしたが、下位2ビットだけを用いて
位相角を示し、残りの2ビットでチャネル番号を示すよ
うなことも可能である。
【0057】
【発明の効果】以上のとおり本発明に係る音響情報の表
現方法によれば、位相情報をもったMIDIデータによ
り音響情報を表現することができるため、より高い精度
で所望の音響情報を表現することができるようになる。
また、本発明によれば、位相情報をもったMIDIデー
タを、視覚的に認識可能な態様で表示したり、再生した
りすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】現在、最も標準的に利用されているSMF(St
andard MIDI File)フォーマットによるMIDIデータ
の形式を示す図である。
【図2】具体的なMIDIデータの構成例を示す図であ
る。
【図3】図1に示すMIDIデータにおける「ノートオ
ン」データのビット構成を示す図である。
【図4】図1に示すMIDIデータにおける「ノートオ
フ」データのビット構成を示す図である。
【図5】MIDIデータを表示するための三角形の音符
図形の基本形状および配置形態を示す図である。
【図6】図2(b) に示すMIDIデータを、音符図形で
表示した例を示す図である。
【図7】三角形の音符図形を用いてMIDIデータを表
示した楽譜を示す図である。
【図8】1つの音符図形Zと、これを再生する際に利用
される音響波形W(N1)との関係を示す図である。
【図9】MIDIデータの発音開始操作タイミングt1
と音響波形との位相関係を示すグラフである。
【図10】エンドレスな色相環と位相角との対応例を示
す図である。
【図11】音符図形の形状により位相情報を表示した一
例を示す図である。
【図12】音符図形の向きにより位相情報を表示した一
例を示す図である。
【図13】音符図形の付近に表示された文字により位相
情報を表示した一例を示す図である。
【符号の説明】
B1,B2…音符図形の底辺 BY1〜BY3…データを構成するバイト D,D1,D2,Da,Db…発音時間 d1〜d8…MIDIデータの各部 N,N1,N2…ノートナンバー P…音響波形の再生開始時点 Q1,Q2…音符図形群 S…音階 T,T1〜T4…デルタタイム t0…基準となる時刻 t1〜t4…時刻(操作タイミング) ton1,ton2…発音開始操作(ノートオン)の時刻 toff 1,toff 2…発音終了操作(ノートオン)の時
刻 V1〜V4…ベロシティー(音の強さ) Von…発音開始操作(ノートオン)のベロシティー Voff …発音終了操作(ノートオン)のベロシティー W(N1),W(N2)…MIDI音源内の音響波形 Z,Z1,Z2,Za,Zb…音符図形 θ…位相角 ΔT1,ΔT1…位相差に相当する時間

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音響情報をMIDIデータを用いて表現
    する方法であって、 ノートオンまたはノートオフのいずれかを指示する情報
    と、特定のノートナンバーを指示する情報と、この特定
    のノートナンバーに関するベロシティーを指示する情報
    と、を含むMIDIデータを用いて、表現対象となる音
    響情報を、時間軸に沿って羅列されたノートの集合とし
    て表現し、このMIDIデータ内に、各ノートをMID
    I音源によって再生する際の音響波形の位相を指示する
    情報を含ませることを特徴とするMIDIデータを用い
    た音響情報の表現方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の表現方法において、 音響波形の位相を指示する情報を、チャネルを示すデー
    タとしてMIDIデータ内に格納することを特徴とする
    MIDIデータを用いた音響情報の表現方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載された表現方法によって
    ノートの集合として表現された音響情報を、音符または
    音符に準じた符号として視覚的に把握可能な態様で表示
    する方法であって、 時間軸および音階軸が定義された表示面上に、個々のノ
    ートを、対応する時間軸上の位置および対応する音階軸
    上の位置に配置された音符図形として表示し、かつ、個
    々の音符図形ごとに、当該音符図形を再生する際の音響
    波形の位相を指示する情報を表示するようにしたことを
    特徴とするMIDIデータを用いた音響情報の表示方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の表示方法において、 音符図形の色に基いて、音符図形の形状に基いて、音符
    図形の向きに基いて、または、音符図形の付近に表示さ
    れた文字に基いて、当該音符図形についての位相を指示
    する情報を表示するようにしたことを特徴とするMID
    Iデータを用いた音響情報の表示方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の表示方法において、 エンドレスな色相環上の各色を特定の位相角に対応づ
    け、音符図形の色に基いて、当該音符図形についての位
    相角を指示するようにしたことを特徴とするMIDIデ
    ータを用いた音響情報の表示方法。
  6. 【請求項6】 請求項3〜5のいずれかに記載の表示方
    法を用いて、音響情報を音符図形により物理的媒体上に
    表示したことを特徴とするMIDIデータを用いた音響
    情報の表示媒体。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載された表現方法によって
    音響情報が表現されたMIDIデータを再生する方法で
    あって、 MIDIデータによって表現される各ノートをMIDI
    音源によって再生する際に、音響波形の位相を指示する
    情報に基いて各音響波形の再生開始時点を早めるように
    することを特徴とするMIDIデータの再生方法。
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