JP2000333697A - ミトコンドリア活性の測定方法及び測定キット - Google Patents

ミトコンドリア活性の測定方法及び測定キット

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JP2000333697A
JP2000333697A JP2000118328A JP2000118328A JP2000333697A JP 2000333697 A JP2000333697 A JP 2000333697A JP 2000118328 A JP2000118328 A JP 2000118328A JP 2000118328 A JP2000118328 A JP 2000118328A JP 2000333697 A JP2000333697 A JP 2000333697A
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lactic acid
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mitochondrial
kit
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JP2000118328A
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Carla Bovina
ボビナ カーラ
Giorgio Lenaz
レナズ ジョージオ
Sante Tura
トゥラ サンテ
Lucia Catani
カタニ ルチア
Pich Milena Merlo
メルロ ピッチ ミレナ
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Universita di Bologna
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    • C12Q1/26Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving oxidoreductase
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明では、簡便かつ再現性の良いミトコン
ドリア活性の測定方法を求める。 【解決手段】 本発明では、血小板のΔ乳酸を測定する
ことによってミトコンドリア活性を決定する方法を提供
する。そのために、発色剤3-アセチル- ピリジン-NAD+
及び牛心臓のLDH 酵素を用いた新規な乳酸測定法を提供
する。更に、本方法に依る診断用キットを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミトコンドリア活
性の測定方法に関する。更に本発明は、血小板のミトコ
ンドリア活性測定用の診断キットに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】周知の通り、反応性酸
素種(ROS) は、種々の病理過程に根元的に関わってい
る。それらは、全ての生体高分子を攻撃することから、
病原因と考えられる細胞構造の劣化を招き、そのために
多くの変性疾患、例えばガンや老化を導く。ROS を生化
学及び病理学的に理解するために、主にミトコンドリア
が、集中的に研究されている。ミトコンドリアは、その
呼吸鎖においてROS を生産する有力器官であり、特に、
巧妙な酸化的リン酸化反応に影響を受けやすいからであ
る。ミトコンドリア老化説は、常時ROS に曝されている
細胞が徐々に損傷を受け、特にミトコンドリアDNA の無
作為な誤変化を介して、そのエネルギー機能の効率が徐
々に低下し、その結果細胞死に至るという考えに基づい
ている。
【0003】この様な考えから、人間における老化及び
老化関連疾患では、ミトコンドリア活性を考慮する必要
がある。本活性は、ミトコンドリアを有する細胞、例え
ば血小板、においてのみ直接に検査できる。血液中の血
小板は、ミトコンドリアを有するもので、しかも非侵襲
的に容易に採取できるので、特に適した系である。
【0004】周知の通り、血小板は、機能するためのエ
ネルギーを、一部解糖系から、そして一部ミトコンドリ
アによる酸化的リン酸化から獲得している。その最も重
要な機能は、血液凝固機構の一部を担う凝集過程であ
り、そして生理学的な刺激による分泌顆粒の開口放出で
ある。血小板の凝集にはエネルギーが必要であり、それ
は、解糖系及び酸化的リン酸化によって生産されたATP
として保存されている。呼吸鎖を阻害すると、血小板凝
集が部分的に抑制されることから、その機能のためのエ
ネルギーは、主に、しかし完全にではなく、解糖系ATP
によって供給されていることが指摘されている。
【0005】この様なことから、ミトコンドリア活性の
測定方法が、依然として求められている。特に、血小板
を用いたミトコンドリア活性の測定方法が、求められて
いる。より明確には、血小板における解糖系及びミトコ
ンドリア系による両ATP 量を測定することによって、ミ
トコンドリア活性を測定する方法が求められている。
【0006】ミトコンドリア損傷の指標として血小板を
利用することは、老化及び老化関連疾患に伴う変化が、
全ての細胞に認められ、そして血小板も、一般的な生体
エネルギー変化を反映するという事実に基づいている。
【0007】本発明の1つの目的は、ミトコンドリア活
性の測定方法を提供することである。本発明のもう1つ
の目的は、血小板を用いたミトコンドリア活性の測定方
法を提供することである。本発明のもう1つの目的は、
血小板における解糖系及びミトコンドリア系による両AT
P 量を測定することによって、ミトコンドリア活性を測
定する方法を提供することである。
【0008】本発明の更に別の目的は、ミトコンドリア
活性によって、個別且つ特注の生物年齢指標としての生
物活性指標(生物指標)を提供することである。本発明
のもう1つの目的は、ミトコンドリア活性によって、ミ
トコンドリア活性を介した老化に伴う疾患に罹る傾向の
指標としての生物指標を提供することである。本発明の
もう1つの目的は、ミトコンドリア活性によって、ミト
コンドリア活性の変化が関与する任意の病理の診断上及
び予後上の指標としての生物指標を提供することであ
る。
【0009】本発明のもう1つの目的は、輸血用バッグ
内の血液の保存性を評価する指標を提供することであ
る。本発明の最後の、しかしやはり重要である目的は、
血小板のミトコンドリア活性を測定するための診断用キ
ット(微量測定法)を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】これらの目的及び、以下
に記載される他の目的を達成するために、本発明者は、
血小板のΔ乳酸を測定することによってミトコンドリア
活性を測定する方法を開発した。本発明はまた、血小板
のΔ乳酸を測定することによって、血小板のミトコンド
リア活性を測定するための診断用キット(微量測定法)
にも関する。前記の方法及びキットの基本的な特徴を、
主要な請求項に記す。発明の範囲を限定するものでない
が、特に好ましい実施態様を、二次的な請求項に記す。
【0011】本発明の対象であるミトコンドリア活性の
測定方法では、阻害剤によってミトコンドリアの呼吸鎖
を阻害し、その様にして、いわゆるパスツール効果を介
して解糖系及びミトコンドリア系の両ATP 量を測定す
る。
【0012】ミトコンドリア系のATP 量(mitATP)は、Δ
乳酸(ミトコンドリア呼吸鎖阻害剤によって阻害した血
小板による乳酸生産量−未阻害血小板による乳酸生産量
(Ctl))に相当する。解糖系のATP 量(glycATP) は、Δ乳
酸(未阻害血小板による乳酸生産量(Ctl)−解糖系阻害
剤によって阻害した血小板による乳酸生産量) に相当す
る。
【0013】解糖系で生成したピルビン酸は、クレブス
回路及び呼吸鎖を介して効率的に酸化されるので、細胞
質中の乳酸脱水酵素によってピルビン酸から生成される
乳酸レベルは低いか、又はゼロとなる。対照的に、ミト
コンドリア活性が低下又は停止すると、解糖系で生成し
たNADHの過剰な還元力によってピルビン酸が乳酸に還元
される。同時に、時間あたり一定のATP 生産を維持する
ために、解糖系が刺激される。ミトコンドリア活性が無
い場合、解糖系は、グルコース1分子からATP2分子と
乳酸2分子を生成する。ミトコンドリアが阻害された場
合に刺激された乳酸生成量は、阻害されたミトコンドリ
アによって生成されるATP 量に等しい。
【0014】本発明者は、Δ乳酸(ミトコンドリアが阻
害された場合、より多くの乳酸が生成する)と、異なる
部類に属する個体との間に関係があることを見出した。
本発明者は、老年者の血小板におけるΔ乳酸が、若年者
に比べて少ないことを見出した。このことから、老年者
の血小板において、ミトコンドリア系のエネルギー変化
があること、そしてミトコンドリアの指標を用いる調査
にとって、血小板が有用な材料であることが示される。
【0015】Δ乳酸は、下記の様に表せる: Δ乳酸=AA−Ctl 、ただし、 AA=特異的呼吸鎖阻害剤の存在下に血小板が生産する乳
酸量; Ctl =特異的阻害剤の非存在下に血小板が生産する乳酸
量。
【0016】本発明者は、特定の特異的阻害剤、例え
ば、血小板の凝集を抑制するアンチマイシンA 、を用い
ることが有効であることを見出した。この阻害剤によっ
て、呼吸鎖が阻害され、ATP 生産量が低下し、その結果
血小板の凝集が低下する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の方法は、全身性の又は血
液性の疾患に罹っていない男性及び女性被験者(供与
者)の試料に対して行われた。供与者は、血小板の活性
を妨害すると考えられる薬物治療(例えばアセチルサリ
チル酸及び/又はその誘導体)を受けていない者とし
た。18〜30歳の若年者(コントロール)、そして65〜10
2 歳の老年者を、供与者として選んだ。全ての実験操作
で、血小板凝集を抑えるために、シリコンガラス又はプ
ラスティック製の実験器具を用いた。止血帯を用いない
様にするために、静脈血の採取前に、少なくとも30分間
供与者を安静にした。
【0018】好ましくは、3〜20mlの血液を採取した。
好ましくは、クエン酸三ナトリウムやクエン酸などの緩
衝液から選んだ緩衝液0.5 〜5mlを加えたシリンジによ
って、血液を採取した。この採取血液に対して最初の分
離を行った。好ましくは、供与者から得た血液試料を、
約300g (g=重力加速度9.81m/s2) で、5〜15分間、18〜
25℃で遠心した。遠心した試料は、上清と呼ぶ上部分画
と、赤血球ペレットを含む底部分画とに分かれる。この
上清に、血小板多含有血漿(PRP) が含まれる。この最初
の分離によって、血液試料から血小板多含有血漿(PRP)
が分離される。
【0019】PRP を取り出し、含まれている血小板数を
細胞計数器で決定する。PRP 中の白血球及び赤血球の混
入は、最小限であった。
【0020】この様にして得たPRP を、好ましくは、
0.2〜1mlの容量で多数に分けた。阻害剤の存在及び非
存在下に、これらのPRP に対して最初のインキュベーシ
ョンを行った。この最初のインキュベーションを、好ま
しくは2〜4時間、温度制御付きの水槽内で、25〜40度
で、好ましくは30〜38℃で行う。使用する阻害剤は、全
ての生理学的基質が入り込む共通の段階で呼吸鎖を阻害
する特異的阻害剤であり、ロテノン、シアン化カリウ
ム、アンチマイシン、オリゴマイシンの中から選ばれ、
好ましくはアンチマイシンA が使用される。
【0021】最初のインキュベーションの終了時に、阻
害剤の存在下又は非存在下にインキュベーションしたPR
P 試料に対して、二番目の分離を行った。好ましくはPR
P 試料を、1500g で5〜20分間、18〜25℃で遠心した。
遠心した試料は、血小板少含有血漿(PPP) 上清と呼ぶ上
層分画と、血小板を含有する底部分画とに分かれる。PP
P 上清には、最初のインキュベーション中に血小板によ
って生産された乳酸が含まれる。二番目の分離によっ
て、最初のインキュベーション中に血小板によって生産
された乳酸が、血小板多含有血漿(PRP) から分離され
る。
【0022】二番目の分離によって得られた乳酸を定量
した。上層のPPP 上清分画を直接用いて、乳酸を定量し
てもよいし、又はこれを−80℃で保存してもよい。必要
に応じてPPP 上清分画を解凍して、乳酸を定量する。市
場において既知の任意方法で、乳酸定量を行い得る。本
発明者は、市場において既知の定量法の代わりとなる乳
酸定量法を見出した。
【0023】本発明の1つの目的は、発色剤として3-ア
セチル- ピリジン-NAD+ を用いた分光光学的な乳酸測定
法を提供することである。3-アセチル- ピリジン-NAD+
の分子吸光係数εは、 9.1mM-1cm-1である。
【0024】本発明の乳酸測定法は、次の反応式に基づ
いている: この酵素LDH を、市場において既知のものから選んでよ
い。この酵素LDH として牛心臓由来のものが、好まし
い。3-アセチル- ピリジン-NADH は、λ=363nmで最大吸
光を示す。
【0025】本発明の乳酸測定法は、診断上問題となる
乳酸濃度の全域において感度がより高い点で、市場にお
いて既知の方法とは異なる。本方法は、低濃度の乳酸を
扱う場合、従来方法よりも感度が良いので、低濃度の乳
酸を測定するために特に推奨される。
【0026】血小板数は変えないで、血小板の最初のイ
ンキュベーション時間を減らすことによって、あるい
は、最初のインキュベーション時間は変えないで、血小
板数を減らすことによって、血小板が生産する乳酸濃度
が低くなる。本発明の乳酸測定法の感度が高いことか
ら、乳酸測定を短時間で行うこと、及び/又は使用する
血小板数を減らすことが可能となる。使用する血小板数
を減らせることは、供与患者から採取する血液量を減ら
せることを意味する。本発明のミトコンドリア活性測定
法は、Δ乳酸を、ミトコンドリア活性に結び付けるもの
である。
【0027】乳酸測定が、非常に低濃度域、例えば0〜
15μg/mlで行われる場合、血漿由来の乳酸を除くことが
好ましい。この欠点を克服するために、本発明者は、血
小板を洗浄する方法を完成した。本発明は、他の血液細
胞から血小板を分離する際に行われ得る、血小板の洗浄
法にも関する。この洗浄法は、インキュベーション期間
中に生産する低レベルの乳酸を正確に定量するために有
効である。
【0028】本発明のミトコンドリア活性測定法では、
少なくとも1回の洗浄が期待され、例えば、最初の分離
後で、最初のインキュベーション前に行われる。必要な
ら、洗浄に続いて、最初のインキュベーション前に、三
番目の分離を行ってよい。例えば、最初のインキュベー
ションを行うためのPRP 試料を、洗浄溶液によって、1:
0.5 〜1:5 の割合に希釈した。この洗浄溶液は、NaCl,
Tris/HCl(pH7.4), Na-EDTA及びグルコースを含んで成
る。この洗浄溶液で希釈したPRP を、三番目の分離とし
て、1500g で5〜20分間遠心した。この遠心によって得
られた底部の血小板ペレットを、再び同一の洗浄溶液中
に縣濁した。三番目の分離によって、廃棄する上清の洗
浄溶液から、底部の血小板ペレットが分離される。この
血小板の洗浄過程後に、前記通り本方法の同じ過程を継
続する。
【0029】血小板の洗浄が加わることで、血漿由来の
乳酸が除去されるので、低濃度の試料において、より正
確且つ高感度に、乳酸測定を行い得る。また、非洗浄血
小板に混入している血漿由来の高レベル乳酸を除去した
後では、乳酸濃度の小差を検知できることから、この洗
浄によってインキュベーション時間を減らすことができ
る。
【0030】
【実施例】最初の実験として、事前洗浄無しに、阻害剤
AA(呼吸鎖阻害剤アンチマイシンA)及びDOG(解糖系阻害
剤デオキシグルコース)の存在下に3時間インキュベー
ションした場合の、若年者及び老年者由来のヒト血小板
におけるΔ乳酸を測定した。その結果を図1に示す。そ
の値は、括弧内の個体数を用いて180 分間のインキュベ
ーションした場合のもので、平均±標準偏差として表
す。図1において、 Ctl :阻害剤AA非存在下での血小板による乳酸生産量; AA:阻害剤AA存在下での血小板による乳酸生産量; DOG :阻害剤DOG 存在下での血小板による乳酸生産量;
及び、 ミトコンドリア系ATP/解糖系ATP (mitATP/glycATP) :
Δ乳酸(AA-Ctl)/ Δ乳酸(Ctl-DOG) 、である。表の縦列
AAとCtl とを比較した結果から、AAの添加が、若年者及
び老年者の両者において、乳酸生産を増加させることが
判る。更に、若年者及び老年者において、ミトコンドリ
ア系ATP/解糖系ATP の比率の有意差が認められる(p<0.0
25) 。
【0031】更に図1から、インキュベーション前の細
胞縣濁液中に存在する血漿由来の乳酸を基礎値から差し
引く必要があることが判る。その値1.44±0.25及び1.97
±0.90は、血漿由来乳酸が混入しているので、あまりに
高い。ただし、血漿乳酸が混入していても、ミトコンド
リア系ATP/解糖系ATP の値11.76 及び5.93は有意である
が、Δ乳酸(AA-Ctl)の値2.42及び2.02は、血漿乳酸の混
入のために不正確である。従って、解糖系を抑制して、
基礎乳酸量を求めるために、解糖系阻害剤、例えばデオ
キシグルコース(DOG) の存在下にインキュベーションす
る必要もある。前記通り、本発明者は、血小板の洗浄法
を完成した。この方法によって、新たに生産されない血
漿乳酸を全体から除くことができるので、アンチマイシ
ンA の非存在下に生産された低レベル乳酸でさえも、正
確に定量できる。
【0032】2番目の実験として、若年者の血小板にお
いて、洗浄処理後に、アンチマイシンA の存在下及び非
存在下でインキュベーションした場合の、Δ乳酸を測定
した。図2のデータから、乳酸生産量は、基礎条件下で
はかなり低いこと(解糖系ATP=0.18) 、阻害剤と共にイ
ンキュベーションすることで、その値の約25倍まで刺激
されたことが判る。それらのパラメーターから、基礎の
解糖系乳酸量と、阻害剤添加後の乳酸量との差が計算で
き(Δ乳酸=4.39)、そしてそのΔ乳酸/基礎乳酸の相対
比率、すなわちミトコンドリア系ATP/解糖系ATP の比率
(24.4)が得られる。図2のデータから、解糖系での基質
レベルのリン酸化に帰因されるATP 収量と、ミトコンド
リア呼吸鎖での酸化的リン酸化に帰因されるATP 収量と
を用いて計算して、基礎条件下では、酸化的リン酸化を
経るグルコースの流れが、全代謝量の60%を超えるこ
と、一方ピルビン酸レベルでの乳酸形成が、40%未満で
あることが判明する。
【0033】1つの実験として、若年被験者26人(年齢
19〜30歳)及び老年被験者26人(年齢67〜87歳)から得
た血小板を用いて、その2群の血小板を洗浄してから、
3時間インキュベーションした。図3のデータから、下
記の差異が示される。 a)基礎乳酸生産は、老年被験者においてより高い(Ctl=
0.85 対0.45) ; b)アンチマイシンA 共存下での乳酸生産は、老年被験者
においてわずかにより低い(AA=3.47対4.18) ; c)Δ乳酸値は、若年者に比べて老年者において有意によ
り低い(p=0.0002); d)ミトコンドリア系ATP/解糖系ATP の比率も、老年被験
者において有意により低い。 この結果を、Δ乳酸値及びミトコンドリア系ATP/解糖系
ATP の比率の分布として、図4に図示する。両パラメー
ター値は、老年者において明らかにより低い。
【0034】本発明の対象である、血小板のΔ乳酸の測
定に基づくミトコンドリア活性測定法は、明らかに再現
され得るものであり、それを有意に障害するものは、認
められない。指摘したデータから、老年被験者の血小板
において、解糖系でのATP 生産に対するミトコンドリア
の酸化的リン酸化によるATP 生産が、有意に低下してい
ることが判る。本発明者は、血小板中の生体エネルギー
が、全細胞中の生体エネルギーを適切に表すという理論
に基づいて、個体全体のミトコンドリア活性の生物指標
として、ミトコンドリア活性を測定する方法を提案す
る。従って、本発明者が見出した血小板での変化は、種
々の組織における同様の変化を反映すると当然考え得
る。従って、容易に得られる血球細胞を用いて、ミトコ
ンドリアの障害を測定することが可能であり、故にミト
コンドリア活性によって、個体の優れた生物指標が提供
される。
【0035】本発明者が提案した本決定法は、ミトコン
ドリア全体におけるATP エネルギー収量の測定に基づい
ているので、酸化的リン酸化系内の変化部位には無関係
である。このことは、本方法は、応用が効きやすく、AT
P 生産の低下を導くミトコンドリアの種々の部位の変化
を検知できることを意味する。本発明者は、ミトコンド
リアの変化が確かめられ、又は疑われている病理におい
て、すなわち、老化に関係する変性疾患及びミトコンド
リアの遺伝子疾患において、この生物指標を利用する予
定である。更に、この決定法は、例えば輸血用バッグの
血液において血小板の比活性を評価するためにも、使用
され得る。
【0036】血小板の乳酸測定の実例 一人の被験者に由来する血液試料を用いて測定を行っ
た。前記通りに分離及び洗浄を行った血小板を、阻害剤
アンチマイシンA 非存在下(Ctl) 及び阻害剤アンチマイ
シンA 存在下(AA)でインキュベーションして、種々の時
間間隔で(30, 60, 90, 120, 150 分、最後に180 分)乳
酸生産を測定した。以下の血小板を用いて検査した: ・各検査毎に50 x106 個の細胞(血小板);この結果を
図5と7Aに示す。 ・各検査毎に100 x106個の細胞(血小板);この結果を
図6と7Bに示す。
【0037】以下の実験から、結果に再現性があること
が確認される: a)被験者から採取する血液量、すなわちバッグから注ぐ
量、を半分(20mlから10ml)にして、半分量の血小板を
用いる; b)通常の研究用分析機器に合わせて、インキュベーショ
ン時間を、先の実験で行った3時間から減らす。
【0038】相対的に少数の血小板によって短時間に生
産される乳酸の濃度は低いので、感度がより高い本発明
の乳酸測定法を用いた。凍結に伴う細胞の超微細構造変
化を抑えるために、血小板の単離及び洗浄の全行程を10
〜37℃で行った。血小板の凝集を抑えるために、全操作
に、シリコンガラス又はプラスティック製の実験機器を
用いた。
【0039】採血 安静にした薬物治療を受けていない供与者から、クエン
酸及びクエン酸三ナトリウム溶液6mlを含んだシリンジ
によって、血液34mlを採取した。前記通りに、血小板を
調製し、そして洗浄した。
【0040】分割した血小板縣濁液(100x106/500μl 及
び50x106/500μl)を、温度制御付きの水槽中で、37℃で
アンチマイシンA 非共存下(コントロール)及びアンチ
マシンA 共存下(20μg/試料)にインキュベーションし
た。
【0041】種々の検査において、0, 30, 45, 60, 90,
120, 150, 180分後にインキュベーションを停止し、22
40g で10分間遠心を行った。血小板が生産した乳酸を含
んでいる上清を、定量時まで−80℃で保存した。
【0042】乳酸定量 本発明の乳酸量測定法は、分光光学的な手法であり、以
下の反応式に基づいている: この酵素LDH として牛心臓由来のものが、好ましい。乳
酸定量のために、363nmの吸光変化を追跡する。この波
長で、3-アセチル- ピリジン-NAD+ の分子吸光係数ε
は、 9.1mM-1cm-1である。
【0043】分光光度計用容器内で、0.01M のホウ酸緩
衝液(pH9.20) 0.8mlに、3-アセチル- ピリジン-NAD+ (2
0mg/ml) 0.1ml 、上清1ml、及び乳酸脱水素酵素(LDH 5
mg/ml) 0.01ml を加えて、直接定量を行った。5分後
に、363nm の吸光を、LDH 酵素溶液を加えなかったブラ
ンクに対して測定した。
【0044】乳酸濃度を、2つの較正曲線:0〜15μg
乳酸/ml 用と15〜50μg 乳酸/ml 用のものを用いて計算
した。図5と6を参照のこと。試料中の乳酸濃度に応じ
て、適当に2つの較正曲線を使った。
【0045】図5、6、7A及び7Bは、2つの細胞濃度(5
0x106 及び100x106)において、アンチマイシンA 非存在
下(Ctl) 及びアンチマイシンA 存在下(AA)での経時的な
乳酸生産を示すものである。乳酸生産の傾向は、考慮し
た全ての場合で直線的である。特に、コントロールの傾
向を表す2つの直線間、及びアンチマイシンA 処理した
試料を表す2つの直線間において相同性が認められる。
このことは、各時間間隔における値の差(Δ乳酸)が、
再現性を示すことを意味する。従って、このΔ乳酸値
は、ミトコンドリア活性を表すと言い得る。
【0046】50x106の血小板を含む調製液における適時
の乳酸生産量は、2倍数の血小板を含む調製液における
生産量よりも約50%少ない。この結果から、丁度10mlの
血液試料から調製した血小板を使用しても、満足行く様
に本検査を行い得ることが判る。
【0047】更に、乳酸生産の直線的な傾向と本方法の
高感度性を考えると、ほんの60分後にインキュベーショ
ンを停止してもよく、従って、分析に必要な時間を3分
の2ほど短縮し得る。一方、少容量中で多数の血小板を
利用できる場合、例えば輸血用バッグ(バッフィーコー
ト)を利用する場合には、インキュベーション時間を更
に減らし得る。
【0048】本方法では、2つの較正曲線によって、2
つの低濃度域(0〜15μg/ml及び15〜50μg/ml) におい
て、再現性良く乳酸を測定する方法が提供される。通常
行われている方法及び市販キットでは、低濃度において
結果を再現することが難しい。
【0049】乳酸値を測定するための分光光度測定用試
験管内において、種々の過程及びインキュベーションを
行って定量することによって、本方法の手順を最適化で
きるだろう。これによって、分析者の仕事を簡単にし得
る。
【0050】本発明のもう1つの目的は、ミトコンドリ
ア活性を測定するためのキット(微量法)を提供するこ
とである。本キットには、2つの容器が梱包される。1
番目の容器A には、血小板の洗浄及びインキュベーショ
ンに必要な試薬及び材料が用意される。2番目の容器B
には、乳酸の定量に必要な試薬及び材料が用意される。
例えば、100 回の検査を行うための血小板ミトコンドリ
ア活性用キットの梱包品は、下記を含んで成る:
【0051】血小板の洗浄及びインキュベーション用
(容器A) a)下記組成の血小板洗浄用緩衝液200ml を含む1つの密
閉無菌ボトル: 0.12M NaCl; 0.03M Tris/HCl, pH7.4; 3mM Na-EDTA; 5mM グルコース; b) 無水エタノール100 μl 中に縣濁されるアンチマイ
シン粉末1mgを含む1つの密閉暗色ガラスボトル。 乳酸定量用(容器B) a)分光光度計用の1mlプラスティック容器100 個; b)2回蒸留水2.5ml 中に縣濁される3-アセチル- ピリジ
ン-NAD+ 50mgを各々含む4つの密閉ボトル; c)5mg/mlの牛心臓LDH 酵素の硫酸アンモニウム溶液1.5m
l を含む1つのボトル; d)0.01M ホウ酸ナトリウム緩衝液pH9.2 を含む1つのボ
トル。 本キットは、4℃で保存する必要がある。
【図面の簡単な説明】
本発明の実施態様を説明するために、以下の図が参照さ
れる。
【図1】図1は、若年者及び老年者の血小板における、
阻害剤AA及びDOG の存在下での乳酸生産を示す表であ
る。
【図2】図2は、若年者の洗浄血小板における乳酸生産
を示す表である。
【図3】図3は、若年者及び老年者の血小板における、
阻害剤AAの存在下での乳酸生産を示す表である。
【図4】図4は、若年者及び老年者の血小板における乳
酸生産を示すグラフである。
【図5】図5は、50x106の血小板による乳酸生産の経時
変化を示すグラフである。
【図6】図6は、100x106 の血小板による乳酸生産の経
時変化を示すグラフである。
【図7】図7Aは、50x106の血小板による乳酸生産を示す
表である。図7Bは、100x106 の血小板による乳酸生産を
示す表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 サンテ トゥラ イタリア国,40137 ボローニャ,ビア カバリーナ 8 (72)発明者 ルチア カタニ イタリア国,48018 ファエンツァ,コル ソ ユーロパ 6 (72)発明者 ミレナ メルロ ピッチ イタリア国,40129 ボローニャ,ビア エル.スパダ 37

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血小板のΔ乳酸を測定することによるミ
    トコンドリア活性の測定方法であって、必ずしも連続す
    る必要はないが、下記の過程を含んで成る方法: a)血液試料から血小板多含有血漿を分離すること; b)過程a)で得た血小板多含有血漿を、阻害剤の存在下で
    インキュベーションすること; c)過程a)において得た血小板多含有血漿を、阻害剤の非
    存在下でインキュベーションすること; d)過程b)及びc)において血小板が生産した乳酸を、血小
    板多含有血漿から分離すること; e)過程d)において得られた乳酸を定量すること; f)過程e)において定量された2つの値の差として、血小
    板のΔ乳酸を決定すること。
  2. 【請求項2】 過程a)の分離後、且つ過程b)及びc)のイ
    ンキュベーション前に、少なくとも1回の血小板の洗浄
    を含んで成る、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 血小板の洗浄に続いて、過程b)及びc)の
    インキュベーション前に分離を行う、上記請求項のいず
    れかに記載の方法。
  4. 【請求項4】 過程d)において得られた乳酸を定量する
    ために、発色剤3-アセチル- ピリジン-NAD+ 及び牛心臓
    のLDH 酵素を使用する、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 過程a)の分離後、且つ過程b)及びc)のイ
    ンキュベーション前に、少なくとも1回の血小板の洗浄
    を含み、そして過程e)の定量において発色剤3-アセチル
    - ピリジン-NAD+ 及び牛心臓のLDH 酵素を使用する、請
    求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 過程e)の定量が、下記の化学量論的な反
    応に従う、上記請求項のいずれかに記載の方法:
  7. 【請求項7】 その阻害剤が、特異的呼吸鎖阻害剤であ
    り、且つロテノン、シアン化カリウム、アンチマイシン
    A 及びオリゴマイシンの中から選択される、上記請求項
    のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 その特異的呼吸鎖阻害剤が、アンチマイ
    シンA である、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 その阻害剤が、特異的解糖系阻害剤であ
    り、且つデオキシグルコース(DOG) である、請求項1〜
    6のいずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】 血小板のΔ乳酸を基にして、血小板に
    おける解糖系ATP 量とミトコンドリア系ATP 量とを測定
    表示する、上記請求項のいずれかに記載の方法。
  11. 【請求項11】 過程b)及びc)のインキュベーション
    を、25〜40℃の温度で2〜4時間行う、請求項1に記載
    の方法。
  12. 【請求項12】 測定したミトコンドリア活性を、細胞
    レベルにおけるミトコンドリアの損傷を検出するための
    生物指標として用いる、上記請求項のいずれかに記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 測定したミトコンドリア活性を、ミト
    コンドリアの変化が確認されているか又は疑われている
    病理、老化に関連する変性疾患、あるいはミトコンドリ
    アの遺伝子疾患における生物指標として用いる、請求項
    12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 測定したミトコンドリア活性を、血液
    バッグ内の血小板活性を評価するために用いる、請求項
    12に記載の方法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかに記載の方法
    に従って、血小板のΔ乳酸を測定することによってミト
    コンドリア活性を測定するためのキットであって、洗浄
    緩衝液及び特異的阻害剤を含んでいる、血小板の洗浄及
    びインキュベーション用の容器A 、及び、分光光度計用
    容器、発色剤、酵素、及び緩衝液を含んでいる、乳酸定
    量用の容器B 、を含んで成るキット。
  16. 【請求項16】 容器A の洗浄緩衝液が、NaCl, Tris/H
    Cl,pH7.4, Na-EDTA及びグルコースを含んで成る、請求
    項15のキット。
  17. 【請求項17】 特異的阻害剤が、アンチマイシンA で
    ある、請求項15のキット。
  18. 【請求項18】 発色剤が、3-アセチル- ピリジン-NAD
    + である、請求項15のキット。
  19. 【請求項19】 酵素が、牛心臓のLDH 酵素である、請
    求項15のキット。
  20. 【請求項20】 容器B の緩衝液が、ホウ酸ナトリウム
    緩衝液である、請求項15のキット。
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