JP2000337481A - 樹脂製プーリ - Google Patents

樹脂製プーリ

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JP2000337481A JP14765599A JP14765599A JP2000337481A JP 2000337481 A JP2000337481 A JP 2000337481A JP 14765599 A JP14765599 A JP 14765599A JP 14765599 A JP14765599 A JP 14765599A JP 2000337481 A JP2000337481 A JP 2000337481A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外径円周表面の凹凸精度及び寸法安定性に優
れ、かつ長期耐熱性や強度特性及び耐塩化カルシウム性
に優れた信頼性の高い樹脂製プーリを提供する。 【解決手段】 転がり軸受1と、該転がり軸受1の周囲
に前記転がり軸受1と一体的に形成された樹脂部2とを
備えた樹脂製プーリにおいて、樹脂部2の外径円周表面
の凹凸量が2〜30μmに形成されていることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂製プーリに関
し、より詳しくは自動車に搭載される補機類の駆動用ベ
ルトやその他のベルトのテンショナ用、或いはアイドラ
プーリ等として使用される樹脂製プーリに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車の補機類を駆動するベ
ルトの案内用プーリとして、転がり軸受の外周に樹脂を
一体成形してなる樹脂製プーリが採用されている。この
種の樹脂製プーリは、射出成形用金型内の所定位置に転
がり軸受を配置し、該転がり軸受の外輪外周部と射出成
形用金型との間に画成される空間部に溶融樹脂を流し込
んで射出成形することにより製造される。
【0003】樹脂製プーリにおいては、ベルトを案内す
る外周部の成形精度を向上させることが製品品質上最も
重要とされており、外周部の成形精度が悪い場合には真
円度不良となり、駆動時にベルトの振れに起因する振動
や異常音が発生する。一方、ベルト張力に耐える強度特
性と連続負荷使用による耐熱性、更には耐塩化カルシウ
ム性等が要求される。
【0004】そこで、このような真円度を向上させ、且
つ、強度、耐熱性及び耐塩化カルシウム性を併せ持たせ
る技術として、射出成形時に溶融樹脂が流入するゲート
の配設位置を工夫して該溶融樹脂の金型への流入を制御
する一方、成形用に使用する樹脂材料として、ガラス繊
維を15〜40重量%程度充填した強化ナイロン66、
強化ナイロン610、強化ナイロン612、或いはポリ
フェニレンサルファイドとミネラルの複合材料を使用し
たり、強化ガラス繊維として、ガラス繊維を43重量%
含有した6ナイロン、66ナイロン、11ナイロン、1
2ナイロン等のポリアミド樹脂を使用した樹脂製プーリ
が提案されている( 特開平7−63249号公報、特開
平8−4883号公報参照) 。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
樹脂製プーリにおいては、射出成形によって製造される
ため、溶融した高温状態から常温に冷却固化する際の相
変化によって成形収縮が生じる。また、成形用材料には
上述の如く主としてガラス繊維強化樹脂を用いることが
多く、樹脂の流動方向とその直角方向によるガラス繊維
の配向性によって更に成形収縮の差異が拡大する。かか
る成形収縮によってベルトを案内する樹脂製プーリの真
円度(樹脂部の外径円周表面の凹凸量)が悪化するた
め、上記従来の樹脂製プーリではベルトの振動や異常音
の防止対策としては、未だ充分ではないという問題点が
あった。
【0006】―方、成形精度を向上させるミネラル高含
有樹脂組成物を用いた樹脂製プーリは、真円度は良好で
あるが、圧砕強度が低下し、ベルト駆動連続負荷時の強
度に対する長期信頼性に問題があった。また、上記従来
の樹脂製プーリにおいては、樹脂材料として、ガラス繊
維強化66ナイロンやガラス繊維強化ナイロン6、ガラ
ス繊維強化ナイロン11、ガラス繊維強化ナイロン1
2、ガラス繊維強化ナイロン612、ガラス繊維強化ナ
イロン610を用いることがあるが、これらの樹脂から
形成される樹脂製プーリは、強化ナイロン66や強化ナ
イロン6の場合には、耐塩化カルシウム性に弱く、強度
が低下するという問題がある。
【0007】また、上述の強化ナイロン66及び強化ナ
イロン6を除く強化ナイロンによって形成される樹脂製
プーリでは、耐塩化カルシウム性は良好であるが、長期
耐熱性が充分でないという問題があり、強化ナイロン6
6及び強化ナイロン6については、吸水量が多く、耐塩
化カルシウム性に乏しいことと併せ、吸水時の膨潤及び
乾燥時の収縮による寸法変化が大きいため、樹脂製プー
リの寸法安定性が悪いという問題があった。
【0008】本発明は、このような問題点に鑑みなされ
たものであって、真円度(樹脂部の外径円周表面の凹凸
量)及び寸法安定性に優れ、かつ長期耐熱性や強度特性
及び耐塩化カルシウム性に優れた信頼性の高い樹脂製プ
ーリを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る樹脂製プーリは、転がり軸受と、該転が
り軸受の周囲に前記転がり軸受と一体的に形成された樹
脂部とを備えた樹脂製プーリにおいて、前記樹脂部の外
径円周表面の凹凸量が2〜30μmに形成されているこ
とを特徴としている。
【0010】前記凹凸量を2〜30μmに形成するため
に、所定の金型を用いて樹脂製プーリを成形し、該成形
品の真円度を樹脂製プーリの幅端面から軸方向に所定寸
法(例えば1mm)置きに測定して周方向の凹凸を計測
し、型表面に前記成形品と逆凹凸となるようなカウンタ
ー加工を施した金型を用いることにより、樹脂部の外径
円周表面の凹凸量が2〜30μmに形成された樹脂製プ
ーリを得ることができる。
【0011】また、樹脂とガラス繊維及びミネラルとの
混合比率を樹脂が50〜70重量%に対し、ガラス繊維
とミネラルとの比を1:1.3〜1.8とした成形材料
で成形することによって、上記品質を満足する樹脂製プ
ーリを得ることができる。一方、コスト高になるが、真
円度の悪い樹脂製プーリの外径面を切削及び研削するこ
とによっても上記品質を満足する樹脂製プーリを得るこ
とができる。
【0012】このように樹脂製プーリの樹脂部の外径円
周表面の凹凸精度は上述の方法より得ることができる。
更に、樹脂製プーリの樹脂部の成形材料として、低吸水
性及び耐熱性を有するPA9T樹脂組成物又は吸水性の
殆ど無いSPS樹脂(シンジオタクチックポリスチレン
樹脂)組成物を用いることにより、耐熱性、耐塩化カル
シウム性及び寸法安定性を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態の
一例である樹脂製プーリの正面図、図2は図1のA−A
線断面図、図3は凹凸量の測定方法を説明するための説
明図、図4は圧砕強度の試験方法を説明するための説明
図、図5はPA66樹脂、PA9T樹脂及びSPS樹脂
でのガラス繊維と炭酸カルシウムとの混合比による圧砕
強度と凹凸量との関係を示すグラフ図、図6は凹凸量と
騒音との関係を示すグラフ図、図7は耐塩化カルシウム
性を調べるための試験装置の概略図、図8は図7の右側
面図、図9は耐塩化カルシウム試験の試験条件を示す時
間−温度特性図、図10はPA66樹脂、PA9T樹脂
及びSPS樹脂による経時寸法変化を示すグラフ図であ
る。
【0014】図1及び図2において、樹脂製プーリは、
転がり軸受1と、該転がり軸受1の周囲に該転がり軸受
1と一体的に形成された樹脂部2とから構成されてい
る。樹脂部2は、具体的には、転がり軸受1の外輪に固
着された内径円筒部3と、ベルト案内面4を有する外径
円筒部5と、該外径円筒部5と内径円筒部3との間に形
成された円板部6とを有し、更に、該円板部6には多数
のリブ7が放射状に形成されている。また、内径円筒部
3には所定ピッチ円で等間隔でもって、多数のゲート8
が形成されており、これらゲート8に溶融樹脂が流し込
まれ、射出成形により樹脂製プーリの製造がなされる。
【0015】しかして、樹脂部2は樹脂と充填剤の複合
材となっている。すなわち、上述の如く、射出成形され
て得られる樹脂製プーリにおいては、駆動時におけるベ
ルトの振れに起因する振動発生を抑制して騒音を低減す
るためにはベルトを案内する外径円周部の真円度が良好
であることが求められる。また、一方でベルト張力に耐
える機械的強度と耐熱性が良好であることが求められ
る。更には、耐塩化カルシウム性や寸法安定性が求めら
れる。
【0016】そこで、本出願人等が鋭意研究した結果、
樹脂部2の外径円周部の真円度と駆動時の騒音に相関が
あることが判明した。その結果から樹脂部2の外径円周
表面の凹凸量が2〜30μmが良好であることが判っ
た。また、射出成形で一体に形成される樹脂製プーリの
樹脂部2の外径円周表面の凹凸量を2〜30μmの範囲
に形成させる方法として、上述の如く、射出成形におい
ては成形収縮と樹脂の流動方向と直角方向による強化繊
維の配向性によって更に成形収縮差が生じ、外径真円度
が悪くなることは明らかであるから、樹脂製プーリを所
定の金型を用い成形し、該樹脂プーリ成形品の樹脂部2
の外径円周表面の周方向の凹凸を幅端面から軸方向に1
mm置きに測定し、該成形品の外径真円度(凹凸量)と
その真円形状の位相を合わせ、該成形品の凹凸と樹脂製
プーリの外径円周部を構成する金型表面に該成形品とは
逆凹凸となるような凹凸をカウンター加工により設け
る。この金型を用いて樹脂製プーリを成形することによ
って、外径真円度の良好な樹脂製プーリを得られること
が判った。
【0017】また、樹脂製プーリの樹脂部2の外径円周
表面の凹凸量を2〜30μmに形成する方法として、樹
脂が50〜70重量%に対し、該樹脂に充填されるガラ
ス繊維とミネラルとの混合比を1:1.3〜1.8とし
た成形材料を用いることによって、成形収縮の際に異方
性を発現して外径真円度の良好な樹脂製プーリが得られ
ることが判った。
【0018】ガラス繊維とミネラルとの混合比について
は、ミネラルの割合を増加させることにより、外径真円
度は向上することは明白であるが、樹脂製プーリの圧砕
強度が低下し、実用的で無いことが判った。そこで、外
径真円度と強度の両者を満足させることを狙った結果、
上記のように、ガラス繊維とミネラルとの混合比が1:
1.3〜1.8が良好であり、更には1:1.4〜1.
7がより好ましいことが判った。
【0019】さらに、樹脂製プーリの強度はベルト張力
に対する長期の強度信頼性という観点から圧砕強度で6
00kgf以上(常用ベルト張力の5〜6倍以上)ある
ことが好ましい。一方、コスト高になるが、射出成形で
一体に形成された樹脂製プーリの外径円周部に対して切
削加工または研削加工を施すことによって、樹脂製プー
リの樹脂部2の外径円周表面の凹凸量を2〜30μmの
範囲にするようにしてもよい。
【0020】また、樹脂材料としては、66ナイロン、
46ナイロン、本発明で用いる低吸水で耐塩化カルシウ
ム性、寸法安定性に優れるSPS及びPA9T、直鎖状
PPSを使用することができる。尚、各種のエンジニア
リングプラスチックを使用することができるが、自動車
の補機類駆動用として使用するためには耐熱性を有する
樹脂材料が好ましく、UL規格(長期耐熱)に規定する
温度指数が少なくとも100°C以上あることが好まし
い。
【0021】
【実施例】次に、本発明の実施例について詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。 [第1の実施例]第1の実施例では、表1に示す割合の
組成物を用いて実施例1〜5及び比較例1〜4の樹脂製
プーリを作成し、各種試験及び測定を実施した。
【0022】実施例1,5及び比較例1の樹脂組成物は
耐熱6,6ナイロン樹脂としてデュポンジャパン(株)
製の「ザイテル(商品名)70G−33L(ガラス繊維
33重量%含有)」を用いた。実施例2,3,4及び比
較例2,3,4の樹脂組成物は耐熱66ナイロン樹脂と
して宇部興産(株)製の「宇部ナイロン(商品名)20
20U」を、また、ガラス繊維として富士ファイバーガ
ラス(株)製のガラス短繊維「FESS−015―04
13」(平均繊維長500μm、繊維径10μm)を、
そして、ミネラルとして備北粉化工業(株)製炭酸カル
シウム 「ソフトン(商品名)」を使用した。
【0023】樹脂組成物の製造には池貝鉄工(株)製の
二軸押出機を用い、表1に示す組成割合なるように、ガ
ラス繊維と炭酸カルシウムは定量サイドフィーダーによ
り添加投入し、所定条件下で混練、造粒し、ペレット状
の樹脂組成物を得た。次いで、樹脂製プーリ成形用金型
(以下、金型と略す。)を射出成形機に取り付けてから
金型を開き、次いで、予熱した転がり軸受を金型の所定
位置に装着した後、型締めを行い、しかる後、転がり軸
受の外輪と金型との間に形成される空間部に溶融した樹
脂材料を射出する。そしてその後、溶融樹脂材料を冷却
して固化させた後、金型を開き成形品を取り出して樹脂
製プーリを得た。
【0024】本実施例における成形条件は以下の通りで
ある。 樹脂溶融温度:285〜295°C 金型温度:80°C 射出圧力:90〜120MPa 次に、このようにして得られた樹脂製プーリについて、
圧砕強度試験、騒音、樹脂外径真円度、外径表面の凹凸
を測定した。
【0025】表1はナイロン66樹脂の重量%、該ナイ
ロン66樹脂に充填されるガラス繊維及び炭酸カルシウ
ムの組成、プーリ外径真円度、プーリ外径表面の凹凸、
圧砕強度試験、騒音等の測定結果を示している。実施例
1の樹脂製プーリの作成に当たっては、先行して実施例
2〜4及び比較例1〜4の樹脂製プーリを上記樹脂組成
物と金型を用いて作成した後に、比較例1の樹脂製プー
リの外径真円度及び凹凸の測定を行ない、その測定結果
から実施例1の樹脂製プーリの外径面を形成する金型表
面に比較例1の樹脂製プーリの外径凹凸形状とは逆凹凸
の形状をカウンター加工により設けた金型を用いて実施
例1の樹脂製プーリを作成した。
【0026】実施例5の樹脂製プーリは比較例1で作成
した樹脂製プーリを用い、該プーリの外径表面を軸受内
径基準で旋削加工して得た。
【0027】
【表1】
【0028】次に、上述した樹脂製プーリの圧砕強度試
験、真円度、凹凸、騒音の測定方法について説明する。 真円度及び凹凸 樹脂製プーリの外径真円度及び凹凸を評価するために、
実施例1〜5及び比較例1〜4の樹脂製プーリの外径幅
方向のゲート側端面から12mm位置(樹脂製プーリの
幅Bの中央)までの真円度及び凹凸を真円度測定器(東
京精密(株)製のロンコム52A)を用いて測定した。
凹凸については、図3に示すように、隣合う凹凸の差b
を円周上各々測定し、bの最大値をもって樹脂製プーリ
の凹凸量とした。なお、凹凸の測定範囲については、樹
脂製プーリの幅をB、樹脂製プーリの幅方向の端面から
の軸方向の測定長さをeとした場合に、e/B=0.2
5±0.05となるように測定範囲を設定する。 圧砕強度試験 製造された樹脂製プーリの強度を評価するために、実施
例1〜5及び比較例1〜4の樹脂製プーリを、図4に示
すように、プーリ外径部を上下方向に加圧し圧砕強度を
油圧式耐圧試験機(前川製作所(株)製のWAC−20
−DC)を用い測定した。 騒音 実施例1〜5及び比較例1〜4の樹脂製プーリを回転数
4000rpmで回転させて、その時の騒音状態をSO
UND LEVEL METER RIONNA−24
を用い音圧(dB)を測定し、75dB以上をNGと
し、また異音に関しては聴覚でもって判断した。
【0029】表1から明らかなように、金型表面にカウ
ンター加工を施した金型を用いて形成された実施例1の
樹脂製プーリは真円度及び凹凸量も少なく、騒音レベル
も73dBと良好である。また、ガラス繊維と炭酸カル
シウムの混合比を1:1.3以上にした組成物で形成さ
れた実施例2〜4の樹脂製プーリについても、プーリ外
径の凹凸量は何れも30μm以下であり、騒音レベルも
74〜74.5dBと良好である。
【0030】外径表面の凸部を旋削加工によって削除し
た実施例5の樹脂製プーリについては、真円度及び凹凸
は極めて良く、その結果として騒音レベルも70dBと
極めて良好であるが、旋削工程を経ることによるコスト
高は避けられない。ガラス繊維と炭酸カルシウムとの混
合比が1:1である比較例3の樹脂製プーリ及びガラス
繊維のみを含有した樹脂組成物で形成された比較例1の
樹脂製プーリは外径真円度並びに外径の凹凸が大きくな
り、騒音レベルも75dB以上あり何れもNGである。
尚、聴覚では音圧レベル以上に騒音の差位を感しる。
【0031】また、ガラス繊維と炭酸カルシウムとの混
合比が1:2である比較例4の樹脂製プーリは外径真円
度並びに外径の凹凸も小さく、騒音レベルも73.2d
Bと良好であるが、圧砕強度が不足している。炭酸カル
シウムのみを用いた樹脂組成物で形成された比較例2の
樹脂製プーリは成形時に異方性が発現できることによ
り、成形収縮のバランスが良好となり真円度及び凹凸が
極めて改善され、その結果として、騒音レベル72dB
と良好であるが、圧砕強度が480kgfと小さく樹脂
製プーリの長期ベルト張力耐久に対する信頼性が乏し
い。
【0032】圧砕強度は、図5に示すように、ガラス繊
維量の増加に伴って強度が向上し、逆にミネラル量が増
加することによって強度低下を示す。圧砕強度を常用ベ
ルト張力の5〜6倍以上必要と考えると、約600kg
f以上の圧砕強度が要求される。従って、図5に示すよ
うに、圧砕強度の下限値はガラス繊維1に対しミネラル
1.8以下の範囲となる。また、上記の凹凸量は騒音の
関係から30μm以下が要求されるため、図5より、ガ
ラス繊維1に対してミネラル1.3以上の範囲となる。
このことから、樹脂製プーリの組成は樹脂部が50〜7
0重量%に対し、ガラス繊維とミネラル(炭酸カルシウ
ム)の混合比は1:1.3〜1.8の範囲が良好であ
り、より好ましくは1:1.4〜1.7の範囲が良い。
【0033】騒音の評価結果から樹脂部2の外径円周表
面の凹凸量と騒音には、図6に示すように明らかに相関
があることが判明し、前記凹凸量は、2〜30μmが良
好であることが判った。 [第2の実施例]第2の実施例では、実施例1〜3、比
較例1〜4の樹脂製プーリを作成した。各樹脂製プーリ
の樹脂材料としては、ガラス繊維強化PA9T(商品名
「ジェネスタ」(株)クラレ製)を使用し、充填材とし
ては、炭酸カルシウム(商品名「ソフトン」備北粉化工
業(株)製)を使用した。すなわち、ガラス繊維強化P
A9Tペレットに対し、所定量の炭酸カルシウムを二軸
押出機(池貝鉄工(株)製)に投入し、所定条件下で混
練、造粒し、ペレツト状の樹脂組成物を得た。
【0034】次いで、樹脂製プーリ成形用金型(以下、
金型と略す。)を射出成形機に取り付けてから該金型を
開き、次いで、予熱した転がり軸受を金型の所定位置に
装着した後、型締めを行い、しかる後、転がり軸受の外
輪と金型との間に形成される空間部に溶融した樹脂材料
を射出する。そしてその後、溶融樹脂材料を冷却して固
化させた後、金型を開き成形品を取り出して樹脂製プー
リを得た。
【0035】本実施例における成形条件は以下の通りで
ある。 樹脂溶融温度:315〜340°C 金型温度:130〜150°C 射出圧力:90〜120Mpa 次に、このようにして得られた樹脂製プーリについて、
圧砕強度試験、騒音、樹脂部の外径真円度、外径表面の
凹凸を測定した。
【0036】表2に測定結果を示す。
【0037】
【表2】
【0038】実施例1〜3及び比較例1はPA9T樹脂
60重量%にガラス繊維と炭酸カルシウムの混合比を
1:1〜1.8の樹脂組成物で作成された樹脂製プーリ
の測定結果を示し、比較例2は33重量%ガラス繊維強
化PA9T樹脂のみで作成された樹脂製プーリ、比較例
3は未強化PA9T樹脂に33重量%の炭酸カルシウム
を充填した樹脂組成物で作成した樹脂製プーリ、比較例
4は33重量%ガラス繊維強化66ナイロン(商品名
「ザイテル70G−33L」デュポンジャパンリミテッ
ド製)を使用して作成した樹脂製プーリの測定結果を示
す。
【0039】次に、各樹脂製プーリの耐塩化カルシウム
試験と寸法安定性の測定方法について説明する。尚、圧
砕強度試験、真円度、凹凸、騒音の測定方法は上述した
第1の実施例と同様であるのでその説明を省略する。 耐塩化カルシウム試験 耐塩化カルシウム試験に使用したラジアル荷重負荷装置
を図7及び図8に示す。このラジアル荷重負荷装置9
は、サポート軸10と圧縮コイルばね11を備えてい
る。この装置を恒温槽の中に入れ、該ラジアル荷重負荷
装置9に実施例1〜3及び比較例1〜4の樹脂製プーリ
Pを装着し、ラジアル荷重100kgfを負荷する。図
9に示すサイクルでもって20〜110°Cの間を1サ
イクルとし、2サイクル毎に樹脂製プーリを塩化カルシ
ウム50%水溶液に浸漬し、評価試験をする。該サイク
ルを10回繰り返して樹脂製プーリの外観を観察した。
すなわち、1サイクルを4時間とし、恒温槽は最初20
°Cに設定しておき、直ちに(約30分)110°Cに
昇温して2時間保持した後、直ちに(約30分)冷却し
20°Cにして1時間保持する。
【0040】該2サイクル毎に樹脂製プーリを上記塩化
カルシウム水溶液中に浸漬して、評価試験を継続する。
但し、夜間は20°Cの恒温槽中に放置とし、塩化カル
シウム水溶液に浸漬する間以外は全て樹脂製プーリには
上記100kgfのラジアル荷重が負荷されている。合
計10サイクル繰り返した後、試験品となった樹脂製プ
ーリの外観を観察した。すなわち、該樹脂製プーリにク
ラック(割れ)が発生していないか否かを調査し、該ク
ラックの発生の有無により製品の良否を判定をした。 寸法安定性 樹脂製プーリの寸法安定性を評価するために、表2に示
す組成で作成された樹脂製プーリを40°C、相対湿度
60%の恒温槽中で500時間吸水処理を実施し、樹脂
製プーリの外径寸法を幅方向中央部直交2箇所を測定
し、経時変化を求めた。寸法変化率0.2%以上をNG
とした。
【0041】表2から明らかなように、耐塩化カルシウ
ム試験においては、比較例4の樹脂製プーリの樹脂材料
である吸水率の多い66ナイロンは吸水によりナイロン
分子間が広がり、分子中に塩化カルシウムが入ることに
より、徐々に強度低下が起こり、本評価試験では微細な
クラックが発生した。一方、実施例1〜3、比較例1〜
3のPA9T樹脂製プーリは低吸水のために、耐塩化カ
ルシウム性は良好であった。
【0042】第2の実施例における樹脂部2の外径円周
表面の凹凸量と騒音の関係は第1の実施例と同様な結果
であり、図5に示すように、ガラス繊維とミネラル( 炭
酸カルシウム) の混合比から前記凹凸量が30μm以下
にするにはガラス繊維1に対しミネラル1.3以上の範
囲となる。そして、圧砕強度についても第1の実施例と
同様な関係にあり、ガラス繊維の増加に伴い樹脂製プー
リの圧砕強度が向上する。また、逆にミネラルの増加に
伴い圧砕強度が低下する。
【0043】前述のベルト張力に対する安全率から60
0kgf以上の圧砕強度が必要とするとガラス繊維1に
対しミネラルは1.8以下の範囲となる。これらを満足
させるにはガラス繊維とミネラルの混合比をこの凹凸量
と圧砕強度の関係から両者1:1.3〜1.8の範囲が
良好であり、更には1:1.4〜1.7がより好まし
い。
【0044】尚、本実施例のPA9T樹脂は低吸水性で
あり、水分による膨張・収縮の影響が少なく、図10に
示すように、寸法変化が小さいことから、寸法安定性の
良い樹脂製プーリを得られ安定したベルト張力を維持す
ることができる。 [第3の実施例]第3の実施例では、実施例1〜3、比
較例1〜3の樹脂製プーリを作成した。各樹脂製プーリ
の樹脂材料としては、ガラス繊維強化SPS(商品名
「ザレック」出光石油化学(株)製)を使用し、充填材
としては、炭酸カルシウム(商品名「ソフトン」備北粉
化工業(株)製)を使用した。すなわち、ガラス繊維強
化SPSペレットに対し、所定量の炭酸カルシウムを二
軸押出機(池貝鉄工(株)製)に投入し、所定条件下で
混練、造粒し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
【0045】次いで、樹脂製プーリ成形用金型( 以下、
金型と略す。) を射出成形機に取り付けてから該金型を
開き、次いで、予熱した転がり軸受を金型の所定位置に
装着した後、型締めを行い、しかる後、転がり軸受の外
輪と金型との間に形成される空間部に溶融した前記樹脂
材料を射出する。そしてその後、溶融樹脂材料を冷却し
て固化させた後、金型を開き成形品を取り出して樹脂製
プーリを得た。
【0046】本実施例における成形条件は以下の通りで
ある。 樹脂溶融温度:285〜300°C 金型温度:80〜100°C 射出圧力:90〜120MPa 次に、このようにして得られた樹脂製プーリについて、
耐塩化カルシウム試験、圧砕強度試験、騒音、樹脂部2
の外径真円度、外径表面の凹凸を測定した。
【0047】表3に測定結果を示す。実施例1〜3はS
PS樹脂にガラス繊維1に対しミネラル(炭酸カルシウ
ム)1.3〜1.8の割合の樹脂組成物で作成された樹
脂製プーリの測定結果を示し、比較例1は40重量%ガ
ラス繊維強化SPS樹脂のみで形成された樹脂製プーリ
の測定結果を示し、比較例2は未強化SPS樹脂に30
重量%の炭酸カルシウムを充填した樹脂組成物で作成し
た樹脂製プーリの測定結果を示し、比較例3は33重量
%ガラス繊維強化66ナイロン(商品名「ザイテル70
G−33L」デュポンジャパンリミテッド製)を使用し
て形成した樹脂製プーリの測定結果を示した。
【0048】なお、各樹脂製プーリの耐塩化カルシウム
試験、外径真円度、外径凹凸、圧砕強度試験、騒音の測
定方法は第1の実施例及び第2の実施例と同様な方法で
行った。
【0049】
【表3】
【0050】表3から明らかなように、耐塩化カルシウ
ム試験においては、比較例3の樹脂製プーリの樹脂材料
である吸水率の多い66ナイロンは吸水によりナイロン
分子間が広がり、分子中に塩化カルシウムが入ることに
より、徐々に強度低下が起こり、本評価試験では微細な
クラックが発生した。一方、実施例1〜3、比較例1,
2のSPS樹脂製プーリは殆ど吸水しないために、耐塩
化カルシウム性は良好であった。
【0051】外径真円度及び外径凹凸は樹脂の流動方向
と直角方向の成形収縮差の少ないSPS樹脂製のプーリ
は66ナイロン樹脂製のプーリと比べ僅かであるが良好
である。第1の実施例及び第2の実施例と同様に、樹脂
製プーリに必要な強度特性及び音持性は表3及び図5に
示すように、樹脂製プーリ外径の凹凸量が30μm以下
になるためのガラス繊維とミネラルの割合は1:1.3
以上の範囲であり、圧砕強度600kgfからくるガラ
ス繊維とミネラルの割合は1:1.8以下である。この
ことから、音と強度を兼ね備えた樹脂製プーリを得るた
めのガラス繊維とミネラルの混合比は1:1.3〜1.
8の範囲が良好である。更に好ましくは1.4〜1.7
の範囲である。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように本発明は、ベルト案
内面の表面精度が良く、ベルト駆動時に発生する振動及
び騒音を抑制することができ、かつ、実用適性な圧砕強
度を有することから品質上信頼性のある樹脂製プーリを
得ることができる。また、樹脂製プーリの樹脂部の成形
材料として、低吸水性及び耐熱性を有するPA9T樹脂
組成物又は吸水性の殆ど無いSPS樹脂(シンジオタク
チックポリスチレン樹脂)組成物を用いることにより、
耐熱性、耐塩化カルシウム性及び寸法安定性を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例である樹脂製プーリ
の正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】凹凸量の測定方法を説明するための説明図であ
る。
【図4】圧砕強度の試験方法を説明するための説明図で
ある。
【図5】PA66樹脂、PA9T樹脂及びSPS樹脂で
のガラス繊維と炭酸カルシウムとの混合比による圧砕強
度と凹凸量との関係を示すグラフ図である。
【図6】凹凸量と騒音との関係を示すグラフ図である。
【図7】耐塩化カルシウム性を調べるための試験装置の
概略図である。
【図8】図7の右側面図である。
【図9】耐塩化カルシウム試験の試験条件を示す時間−
温度特性図である。
【図10】PA66樹脂、PA9T樹脂及びSPS樹脂
による経時寸法変化を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1… 転がり軸受 2…樹脂部 3…内径円筒部 4…ベルト案内面 5…外径円筒部 6…円板部 7…リブ 8…ゲート 9…ラジアル荷重負荷装置 10…サポート軸 11…圧縮コイルばね P…軸受一体型の樹脂製プーリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢嶋 宏一 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 渡辺 利樹 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 赤羽 幸広 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 山崎 涼一 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J031 AA01 BC05 CA01 CA02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転がり軸受と、該転がり軸受の周囲に前
    記転がり軸受と一体的に形成された樹脂部とを備えた樹
    脂製プーリにおいて、前記樹脂部の外径円周表面の凹凸
    量が2〜30μmに形成されていることを特徴とする樹
    脂製プーリ。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6464264B1 (en) * 1999-09-24 2002-10-15 Tokai Rubber Industries, Ltd. Heat resisting resin based engaging and holding member
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