JP2000339623A - 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド及びその製造方法

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JP2000339623A
JP2000339623A JP11142849A JP14284999A JP2000339623A JP 2000339623 A JP2000339623 A JP 2000339623A JP 11142849 A JP11142849 A JP 11142849A JP 14284999 A JP14284999 A JP 14284999A JP 2000339623 A JP2000339623 A JP 2000339623A
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film
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thin
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JP11142849A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Iwano
康弘 岩野
Masayoshi Hiramoto
雅祥 平本
Hirosuke Mikami
寛祐 三上
Hiroyasu Tsuji
弘恭 辻
Hiroshi Sakakima
博 榊間
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録密度の向上には、渦電流損失が増大する
という問題を解決する事が重要であり、記録ヘッドの上
部コア層及び下部コア層として低磁歪で、且つ高電気抵
抗率、高飽和磁束密度、高透磁率の軟磁性材料が求めら
れている。 【解決手段】 TaMbXcNdOe(但し、添え字のa〜
eは原子量%を示す。TはFe系合金の磁性金属、Mは
Be、Mg、Ca、Sr、XはY、La、Ti、Zr、
Hf、V、Nb、Ta又はランタン系希土類元素の内夫
々少なくとも1種)なる組成式で表され、a〜eなる原
子量%が所定の範囲にあり、主として、平均結晶粒径が
15nm以下の金属磁性結晶粒と、金属磁性結晶粒を略
覆った粒界生成物よりなり、金属磁性結晶粒の主組成が
Tで、また粒界生成物が少なくともM及びXの酸化物ま
たは窒化物を含む物質であり、また飽和磁束密度が0.
8T以上、電気抵抗率が80μΩcm以上の磁性膜で形
成された事を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばハードディ
スクなどの磁気応用製品に搭載される薄膜磁気ヘッドに
おいて、特に上部コア層および下部コア層に用いられる
軟磁性膜の材質を改良し、高電気抵抗率化並びに磁気特
性を向上させた薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気デバイスの高周波化に伴い、
100MHz以上の周波数で軟磁気特性に優れた磁性材
料が求められている。磁気ヘッドのコア等に用いられる
軟磁性材料に求められる特性は、高電気抵抗率、高飽和
磁束密度、高透磁率、低保磁力等である。従来、1T程
度以上の高飽和磁束密度を実現するために、磁性金属粒
の表面に酸化物を形成し、それを焼結した複合材料が特
開平4−21739で提案されており、また酸化物とし
てMg−O、Ca−O、Si−O、Al−O、Ti−O
などを用いることが、特開平6−120020で提案さ
れている。一方、磁性体を構成する磁性結晶粒はサイズ
を20nm程度以下に微細化することで、軟磁気特性が
向上することが、日本金属学会誌53(1989)24
1におけるFeNbCuSiBをはじめとする研究によ
り報告されている。また、これらの複合材料と微細化を
兼ね備えることで軟磁気特性の向上と高飽和磁束密度化
を両立した材料として、スパッタリング法により成膜さ
れた、FeMNO(M=Be、Mg、Al、Si、Ca
他)材料が特開平7−86035で提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来提案されたFeM
NO材料は、スパッタリング時に成膜したFeおよびM
元素がそれぞれの元素の酸化あるいは窒化物生成自由エ
ネルギーの差によってM元素が選択酸化あるいは選択窒
化することにより、bcc結晶構造を持つFe微結晶と
その粒界を形成するMOあるいはMN化合物に2相分離
することで作製される。しかしながら、スパッタリング
法は、ターゲット元素を原子あるいは分子レベルに分解
して、基板上で合成を行う手法であり、またスパッタリ
ング時のエネルギーのみで、それぞれの元素が完全な2
相分離を行うことは実質的に困難である。このために成
膜直後では、FeMNO材料のFe微結晶には必然的に
OあるいはNまたはM元素が固溶される。このために、
Feを主組成とする微結晶がbcc構造を保っていて
も、材料の磁歪定数が1×10−5程度以上に大きくな
る、あるいはFeの結晶磁気異方性エネルギーが大きく
なるなどのために軟磁気特性が劣化するという課題があ
った。従って工業応用上これらの材料を作製する場合、
僅かな組成ずれなどの影響により、大面積で低磁歪、高
軟磁気特性を制御することが困難である。これは発明者
らによるFeSiO、FeMgOなどの独自検討の結果
明らかになったことである。また2相分離を進行させる
には、FeMNOの成膜時の基板温度を上げる、或いは
成膜後に熱処理を行う等によりほぼ達成できるが、これ
らの必要熱処理温度は一般に400℃以上となるため
に、結晶粒の粗大化による軟磁気特性の劣化や、それ以
下の低温プロセスが必要なデバイスでは使用できないと
いう課題があった。また一般に、磁気デバイスは、同一
のデバイスでも、そのサイズ、使用周波数などによって
要求される最適な飽和磁束密度と電気抵抗率の関係が異
なることが知られている。しかしながら従来、最適な調
整の方法が知られていない。
【0004】本発明は、上記の課題を解決し、上部コア
層及び下部コア層に用いられる軟磁性膜の材質を改良し
て、高電気抵抗率で高飽和磁束密度等の磁気特性を向上
させた薄膜磁気ヘッドとその製造方法を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の薄膜磁気ヘッドは、下部シールド層上に磁気
抵抗効果素子層と前記磁気抵抗効果素子層の両側にハー
ドバイアス層、その上面に電極層を成膜形成した再生ヘ
ッド部と、再生ヘッド部の上部シールド機能を兼ね備え
た下部コア層とギャップ層を介して下部コア層に対向す
る上部コア層と下部コア層及び上部コア層に磁界を与え
る巻線コイル層で形成される記録ヘッド部からなる薄膜
磁気ヘッドにおいて、下部コア層及び上部コア層が、T
aMbXcNdOe(但し、添え字のa、b、c、d、
eは原子量%を示す。TはFeあるいは30%以上のF
eとCo、Niのうちの少なくとも1種からなる合金か
ら選ばれた磁性金属、MはBe、Mg、Ca、Sr、B
aから選ばれた少なくとも1種、XはY、La、Ti、
Zr、Hf、V、Nb、Taまたはランタン系希土類元
素から選ばれた少なくとも1種)なる組成式で表され、 a+b+c+d+e=100 45≦a≦85 5.5≦b≦28 0.5≦c≦16 6≦b+c≦28.6 0.4<b/c<56 0≦d≦10 8≦d+e≦40 の範囲であり、主として、平均結晶粒径が15nm以下
である金属磁性結晶粒と、前記金属磁性結晶粒を略覆っ
た粒界生成物よりなり、前記金属磁性結晶粒の主組成が
前記Tで、また前記粒界生成物が少なくとも前記M及び
前記Xの酸化物又は窒化物を含む物質であり、また飽和
磁束密度が0.8T以上、電気抵抗率が80μΩcm以
上である軟磁性材料で形成されるようにした構成を有し
ている。
【0006】この構成による組成範囲の膜を作製する
と、金属磁性結晶粒子内に固溶するMあるいはXが少な
いために、元素固溶による磁歪や結晶磁気異方性エネル
ギーの増大が比較的小さな磁性膜を形成できる。またM
あるいはXは酸化あるいは窒化して主に磁性結晶粒子の
粒成長を抑制するとともに、高抵抗の粒界を形成するこ
とができる。ここでMおよびXはTに対して比較的、難
固溶性の材料である。また何れの元素も酸化あるいは窒
化物生成自由エネルギーがTより低いという特徴を持つ
が、特にMは酸化物生成自由エネルギーが大きく、また
X元素は窒化物生成自由エネルギーが大きい傾向があ
る。このとき本発明ではMあるいはXと酸素、窒素の組
み合わせ比率を選択することで、粒界の幅あるいは、磁
性結晶粒子の被覆率を制御できるために、軟磁気特性と
ともに広範な範囲での飽和磁束密度と電気抵抗率を任意
に選択できる。またアルカリ土類金属であるMは一般に
反応性が非常に高いため、工業上での取り扱い上、安定
な化合物状態で使用することが望ましい。例えば、Mが
Caである場合、Ca単体で扱うよりもCaO、さらに
望ましくは、MとXの酸化物であるCaTiO3やCa
ZrO3として取り扱う方が容易である。この材料を例
えばFeとCaTiO3をAr雰囲気下でスパッタリン
グにより合成した場合、発明者らの実験では磁性膜中に
は化学量論比よりも多くのOが含まれることが分かって
いる。この過剰なOは、Feに固溶することで磁歪を増
大させるが、例えばXの一つであるTiを補うことで、
Feへの過剰固溶を抑制でき、結果として磁歪等を低く
することができる。これらはCaだけでなくMに含まれ
る元素に対して全て共通の現象であることを確認してい
る。このように、異なる酸化物、窒化物生成自由エネル
ギーをもつMおよびXが、T中にとけ込む過剰なO,N
と選択的に反応することで、磁性膜の磁歪を制御するこ
とが容易にできる。またTの量の下限は、飽和磁束密度
を1T以上にするために、45%以上であることが必要
で、上限はTを微細化するM、X、O、Nの必要量から
85%以下である。MとXの合成は、Tを微細化するた
めに少なくとも6%は必要で、飽和磁束密度を十分高く
保つために28.5%以下であることが必要である。M
の量は少なくとも5.5%以上、またXの量は0.5%
以上あれば効果が見られる。またMとXの比は0.4〜
56の範囲であれば、軟磁気特性を有する範囲で様々な
値の電気抵抗率を制御できる。これは、M−O酸化物を
用いた磁性膜が比較的低抵抗から軟磁気特性を得られる
のに対し、X−O酸化物を用いた磁性膜が、比較的高抵
抗から軟磁性を生じる傾向があるためであると考察して
いる。またOとNは電気抵抗率を80μΩcmとするた
めに8%以上必要である。N元素はO元素より添加量に
対する抵抗増加率が少ないために、広範な範囲での電気
抵抗率の制御を可能にする。また、酸素、窒素量の合計
が40%を超えると、結晶粒界が厚くなりすぎるため
に、磁性結晶粒子同士の交換相互作用が弱くなり、高電
気抵抗率化するものの軟磁気特性が劣化する。
【0007】また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、前記構
成において、TをFe、MをMgとした、FeaMgb
XcNdOe(但し、添え字のa、b、c、d、eは原
子量%を示す。XはY、La、Ti、Zr、Hf、V、
Nb、Taまたはランタン系希土類元素から選ばれた少
なくとも1種)なる組成式で表され、 a+b+c+d+e=100 50≦a≦85 5.5≦b≦25.5 0.5≦c≦11 6≦b+c≦26 1≦b/c≦51 0≦d≦10 8≦d+e≦35 の範囲であり、飽和磁束密度が1T以上である軟磁性材
料で形成されるようにした構成を有している。
【0008】この構成によって、特に高電気抵抗率、軟
磁気特性とともに高飽和磁束密度を有することができ
る。ここでMgはFeに対して比較的難固溶であるとと
もにFeとの間に金属間化合物を生成し難い。このため
にFeへの固溶による磁歪や結晶磁気異方性エネルギー
の増大が比較的小さく、且つFeとMg−OあるいはM
g−Nの相分離ばかりでなく、Fe、Mgそのものが相
分離するために、非磁性元素添加量の全体量が比較的少
なくても、Fe結晶を微細化できる。その結果として磁
性膜の高飽和磁束密度化と軟磁性が両立できる。またM
g、Xは酸化あるいは窒化して主に磁性結晶粒子の粒成
長を抑制するとともに、高抵抗の粒界を形成する。特に
Mgと異なる酸化物あるいは窒化物生成自由エネルギ
ー、あるいはMgとは異なるα−Fe中での拡散速度を
持つXを本発明の組成範囲で組み合わせることで、Fe
中に溶け込むOあるいは過剰なN量を制御でき、その結
果、磁歪等を調整することもできる。
【0009】Feの量の下限は、飽和磁束密度を1Tよ
り大きくするために、50%以上であることが必要で、
上限はFeの微細化、膜の高電気抵抗率化をするMg、
X、O、Nの必要量から85%以下である。MgとXの
合計は、Feを微細化と膜の高電気抵抗率化のために少
なくとも6%は必要である。ここでXの量は0.5%以
上あれば、効果が見られる。またMgの量がX以上であ
ることで電気抵抗率の広範な範囲での制御が可能とな
る。またOとNは電気抵抗率を80μΩcmとするため
に8%以上必要である。ここでN元素はO元素より添加
量に対する抵抗増加率が少ないために、広範な範囲での
電気抵抗率の制御を可能にする。また、飽和磁束密度の
観点から酸素、窒素量の合計は35%を上限とする。
【0010】また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、前記構
成において、d=0の時、Mの最大価数の酸化物をM
O、Xの最大価数の酸化物をXOn(但し、1≦n≦
2.5)で表すと、 e≦(b×1+c×n)×1.35 の範囲であるようにした構成を有している。
【0011】この構成による磁性膜では、特に低磁歪と
高電気抵抗率が両立できる。ここで、MOは、BeO、
MgO、CaO、SrO、BaOから選ばれた少なくと
も1種を意味する。XがY、La、ランタン系希土類元
素の酸化物ではn=1.5、Ti、Zr、Hfの酸化物
ではn=2、V、Nb、Taの酸化物ではn=2.5を
とり、これらの中から一種以上選ばれたときは、nはそ
の混合比率に従った平均値をとる。ここで、eの値が
(b×1+c×n)×1.35を超える場合は磁歪が大
きくなる。eの値はさらに好ましくは (b×1+c×n)×0.9≦e≦(b×1+c×n)
×1.1 の範囲であるときに、さらに低磁歪と高電気抵抗率、軟
磁気特性と高飽和磁束密度の両立が達成できる。
【0012】また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、XがZ
r、Nb、Hf、Taであるようにした構成を有してい
る。
【0013】この構成による磁性膜では、特に添加によ
る磁歪低下の効果が大きい。またその含有量は特に、飽
和磁束密度を優先する場合さらに好ましくは0.5≦c
≦5である。
【0014】また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、Tの5
%以下をRu、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Auか
ら選ばれた少なくとも1種と置換した構成を有してい
る。
【0015】この構成による磁性膜では、特に飽和磁束
密度が1.4T以上の磁性膜において、耐食性を高める
ことができる。ここで置換量は好ましくは0.5%以上
で、また置換による飽和磁束密度の低下を抑制するため
に5%以下が好ましい。
【0016】また本発明の薄膜磁気ヘッドは、膜垂直方
向に、少なくともM元素が組成変調されたようにした構
成を有している。
【0017】この構成による磁性膜では、軟磁気特性と
同時に高飽和磁束密度が実現しやすい。
【0018】また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、前記組
成変調の周期が10nm以下であるようにした構成を有
している。
【0019】この構成により、さらに軟磁気特性が高い
磁性膜を実現することができる。
【0020】また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、下部シールド層上に磁気抵抗効果素子層と磁気抵抗
効果素子層の両側にハードバイアス層、その上面に電極
層を成膜形成した再生ヘッド部と、再生ヘッド部の上部
シールド機能を兼ね備えた下部コア層とギャップ層を介
して下部コア層に対向する上部コア層と下部コア層及び
上部コア層に磁界を与える巻線コイル層で形成される記
録ヘッド部からなる薄膜磁気ヘッドにおいて、下部コア
層及び上部コア層が、MおよびOを主として、M酸化物
をスパッタすることにより形成されるようにした方法を
有している。
【0021】この方法によって形成される磁性膜は、M
およびOを主として、M酸化物をスパッタすることによ
り、より少ないMおよびOの添加量で磁性結晶粒を微細
化できる。
【0022】また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、下部コア層及び上部コア層が、金属および化合物を
適度に配置した複合タ−ゲットを用いたスパッタリング
法で、タ−ゲットに対し、少なくとも2方向に稼働して
いる基板上に成膜を行うようにした方法を有している。
【0023】この方法によれば、比較的大面積において
も均一な組成の膜を作製することができる。
【0024】また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、下部コア層及び上部コア層が、同一電極上で金属お
よび化合物を適度に配置した複合タ−ゲットを用いたス
パッタリング法、或いは少なくとも2つ以上の異なる電
極上の金属タ−ゲットおよび化合物タ−ゲットを用いた
スパッタリング法において、基板側にバイアスを印加し
ながら成膜を行うようにした方法を有している。
【0025】この方法によって、磁性膜中の主に酸素あ
るいは窒素量を本発明の好ましい範囲に制御することが
容易にできる。
【0026】また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、350℃以下の熱処理を伴うようにした方法を有し
ている。
【0027】この方法によって、優れた軟磁気特性を示
す薄膜磁気ヘッドを作成することができる。
【0028】以上により、前記各構成の磁性膜は、下部
コア層および上部コア層に必要な性質を満たすことので
きる軟磁性材料であるため、これらのうちいずれかの軟
磁性材料の組成比を適正に調節して下部コア層および上
部コア層に使用すれば、高密度記録化および高周波数記
録化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造することができ
る。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、下部シールド層上に磁気抵抗効果素子層と前記磁気
抵抗効果素子層の両側にハードバイアス層、その上面に
電極層を成膜形成した再生ヘッド部と、前記再生ヘッド
部の上部シールド機能を兼ね備えた下部コア層とギャッ
プ層を介して下部コア層に対向する上部コア層と下部コ
ア層及び上部コア層に磁界を与える巻線コイル層で形成
される記録ヘッド部からなる薄膜磁気ヘッドにおいて、
下部コア層及び上部コア層が、TaMbXcNdOe
(但し、添え字のa、b、c、d、eは原子量%を示
す。TはFeあるいは30%以上のFeとCo、Niの
うちの少なくとも1種からなる合金から選ばれた磁性金
属、MはBe、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれた少
なくとも1種、XはY、La、Ti、Zr、Hf、V、
Nb、Taまたはランタン系希土類元素から選ばれた少
なくとも1種)なる組成式で表され、 a+b+c+d+e=100 45≦a≦85 5.5≦b≦28 0.5≦c≦16 6≦b+c≦28.6 0.4<b/c<56 0≦d≦10 8≦d+e≦40 の範囲であり、主として、平均結晶粒径が15nm以下
である金属磁性結晶粒と、前記金属磁性結晶粒を略覆っ
た粒界生成物よりなり、前記金属磁性結晶粒の主組成が
前記Tで、また前記粒界生成物が少なくとも前記M及び
前記Xの酸化物又は窒化物を含む物質であり、また飽和
磁束密度が0.8T以上、電気抵抗率が80μΩcm以
上である軟磁性材料で形成されることを特徴としたもの
であり、組成範囲の膜を作製すると、金属磁性結晶粒子
内に固溶するMあるいはXが少ないために、元素固溶に
よる磁歪や結晶磁気異方性エネルギーの増大が比較的小
さな磁性膜を形成できる。またMあるいはXは酸化ある
いは窒化して主に磁性結晶粒子の粒成長を抑制するとと
もに、高抵抗の粒界を形成することができる。また、M
あるいはXと酸素、窒素の組み合わせ比率を選択するこ
とで、粒界の幅あるいは、磁性結晶粒子の被覆率を制御
できるために、軟磁気特性とともに広範な範囲での飽和
磁束密度と電気抵抗率を任意に選択できる。更に、異な
る酸化物、窒化物生成自由エネルギーをもつMおよびX
が、T中にとけ込む過剰なO,Nと選択的に反応するこ
とで、磁性膜の磁歪を制御することが容易にできる。
【0030】また、本発明の請求項2に記載の発明は、
下部コア層及び上部コア層が、FeaMgbXcNdO
e(但し、添え字のa、b、c、d、eは原子量%を示
す。XはY、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta
またはランタン系希土類元素から選ばれた少なくとも1
種)なる組成式で表され、 a+b+c+d+e=100 50≦a≦85 5.5≦b≦25.5 0.5≦c≦11 6≦b+c≦26 1≦b/c≦51 0≦d≦10 8≦d+e≦35 の範囲であり、飽和磁束密度が1T以上である軟磁性材
料で形成されることを特徴としたものであり、この構成
によって、特に高電気抵抗率、軟磁気特性とともに高飽
和磁束密度を有することができる。ここでMgはFeに
対して比較的難固溶であるとともにFeとの間に金属間
化合物を生成し難い。このためにFeへの固溶による磁
歪や結晶磁気異方性エネルギーの増大が比較的小さく、
且つFeとMg−OあるいはMg−Nの相分離ばかりで
なく、Fe、Mgそのものが相分離するために、非磁性
元素添加量の全体量が比較的少なくても、Fe結晶を微
細化できる。その結果として磁性膜の高飽和磁束密度化
と軟磁性が両立できる。またMg、Xは酸化あるいは窒
化して主に磁性結晶粒子の粒成長を抑制するとともに、
高抵抗の粒界を形成する。特にMgと異なる酸化物ある
いは窒化物生成自由エネルギー、あるいはMgとは異な
るα−Fe中での拡散速度を持つXを本発明の組成範囲
で組み合わせることで、Fe中に溶け込むOあるいは過
剰なN量を制御でき、その結果、磁歪等を調整すること
もできる。
【0031】また、本発明の請求項3に記載の発明は、
d=0の時、Mの最大価数の酸化物をMO、Xの最大価
数の酸化物をXOn(但し、1≦n≦2.5)で表す
と、 e≦(b×1+c×n)×1.35 の範囲であることを特徴としたものであり、この構成に
よる磁性膜では、特に低磁歪と高電気抵抗率が両立でき
る。
【0032】また、本発明の請求項4に記載の発明は、
d=0の時、Mの最大価数の酸化物をMO、Xの最大価
数の酸化物をXOn(但し、1≦n≦2.5)で表す
と、 (b×1+c×n)×0.9≦e≦(b×1+c×n)
×1.1 の範囲であることを特徴としたものであり、この範囲内
にあるeの値はより好ましい値となり、さらに低磁歪と
高電気抵抗率、軟磁気特性と高飽和磁束密度の両立が達
成できる。
【0033】また、本発明の請求項5に記載の発明は、
XがZr、Nb、Hf、Taであることを特徴としたも
のであり、この構成による磁性膜では、特に添加による
磁歪低下の効果が大きく得られる。またその含有量は特
に、飽和磁束密度を優先する場合さらに好ましくは0.
5≦c≦5である。
【0034】また、本発明の請求項6に記載の発明は、
Tの5%以下をRu、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、
Auから選ばれた少なくとも1種と置換したことを特徴
としたものであり、この構成による磁性膜では、特に飽
和磁束密度が1.4T以上の磁性膜において、耐食性を
高めることができる。ここで置換量は好ましくは0.5
%以上で、また置換による飽和磁束密度の低下を抑制す
るために5%以下が好ましい。
【0035】また、本発明の請求項7に記載の発明は、
膜垂直方向に、少なくともM元素が組成変調されたこと
を特徴としたものであり、この構成による磁性膜では、
軟磁気特性と同時に高飽和磁束密度が容易に実現でき
る。
【0036】また、本発明の請求項8に記載の発明は、
組成変調の周期が10nm以下であることを特徴とした
ものであり、さらに軟磁気特性が高い磁性膜を実現する
ことができる。
【0037】また、本発明の請求項9に記載の発明は、
下部シールド層の上に磁気抵抗効果素子層と前記磁気抵
抗効果素子層の両側にハードバイアス層、その上面に電
極層を成膜形成した再生ヘッド部と、再生ヘッド部の上
部シールド機能を兼ね備えた下部コア層とギャップ層を
介して下部コア層に対向する上部コア層と下部コア層及
び上部コア層に磁界を与える巻線コイル層で形成される
記録ヘッド部からなる薄膜磁気ヘッドにおいて、下部コ
ア層及び上部コア層が、MおよびOを主として、M酸化
物をスパッタすることにより形成されることを特徴とし
たものであり、この方法によって形成される磁性膜は、
より少ないMおよびOの添加量で磁性結晶粒を微細化で
きる。
【0038】また、本発明の請求項10に記載の発明
は、下部コア層及び上部コア層が、金属及び化合物を適
度に配置した複合ターゲットを用いたスパッタリング法
で、ターゲットに対し、少なくとも2方向に稼働してい
る基板上への成膜により形成されることを特徴としたも
のであり、この方法によれば、比較的大面積においても
均一な組成の膜を作製することができる。
【0039】また、本発明の請求項11に記載の発明
は、下部コア層及び上部コア層が、粉末状の金属及び化
合物を焼き固めて形成した焼結ターゲットを用いたスパ
ッタリング法で、ターゲットに対し、少なくとも2方向
に稼働している基板上への成膜により形成されることを
特徴としたものであり、この方法によっても、比較的大
面積においても均一な組成の膜を作製することができ
る。
【0040】また、本発明の請求項12に記載の発明
は、下部コア層及び上部コア層が、同一電極上で金属及
び化合物を適度に配置した複合ターゲットを用いたスパ
ッタリング法、或いは粉末状の金属および化合物を焼き
固めて形成した焼結ターゲットを用いたスパッタリング
法、或いは少なくとも2つ以上の異なる電極上の金属タ
ーゲットおよび化合物ターゲットを用いたスパッタリン
グ法において、基板側にバイアスを印加しながら成膜を
行うことにより形成されることを特徴としたものであ
り、この方法によって、磁性膜中の主に酸素あるいは窒
素量を本発明の好ましい範囲に制御することが容易にで
きる。
【0041】また、本発明の請求項13に記載の発明
は、350℃以下の熱処理を伴うことを特徴としたもの
であり、この方法によって、優れた軟磁気特性を示す薄
膜磁気ヘッドを作成することができる。
【0042】本発明の構造、組成を持つ磁性薄膜は低ガ
ス圧雰囲気で蒸着法により形成することが最良である。
蒸着法の中では、高周波マグネトロンスパッタリング、
直流スパッタリング、対向タ−ゲットスパッタリング、
イオンビ−ムスパッタリング等に代表されるスパッタリ
ング法や、基板付近に反応性ガス導入部を持つ、反応性
スパッタリング法、あるいは基板付近に反応性ガス導入
部を持ち、蒸着材料を溶解する溶解部をもった反応性蒸
着法等が好ましい。スパッタリング法で本発明を実施す
る際に、特に、酸素あるいは窒素元素の供給源として酸
化物あるいは窒化物を用いる場合、まず本発明の磁性膜
のそれぞれ成膜後の組成を考慮して組成決定した金属ま
たは合金と、酸化物、窒化物、金属元素等の添加元素を
同一電極上に適度に配置した複合タ−ゲットを用いたス
パッタ法、あるいは複数の電極上に配置した金属、合
金、酸化物または窒化物のタ−ゲットを同時放電し、基
板上に元素供給を同時に行うコ・スパッタ法、あるいは
複数の電極上に配置された金属、合金、酸化物または窒
化物のタ−ゲット直上近辺に、基板を順次移動させ成膜
を行うタンデム法等が好ましい。ここで複合タ−ゲット
を使用する場合は、添加物ペレットの配置個所に対応す
る基板内の膜組成分布の影響を押さえるために、基板自
身が、少なくとも2方向に移動することが好ましい。こ
れはコ・スパッタ、タンデムスパッタを行う場合につい
てもそれぞれ組成均一化の効果がある。
【0043】また、タンデムスパッタを行う際に、それ
ぞれのタ−ゲットからの成膜速度と、各タ−ゲット上で
の基板の滞在あるいは移動時間を調整することで本発明
の磁性膜の好ましい組成変調構造を形成することができ
る。同様に、このような組成変調は、タ−ゲット上の入
射角を周期的に変化させること、あるいは反応性ガスを
スパッタリング時に周期的に導入することでも達成でき
る。また何れの成膜方法を用いる場合においても、基板
に対して一方向に磁界をかけながら成膜を行うこと、あ
るいは一方向に磁界をかけながら、350℃以下程度で
熱処理することで磁性膜に一軸異方性を形成することが
できる。
【0044】以下の実施の形態について、磁性膜はRF
マグネトロンスパッタリングを用いて作製した。基板温
度として、室温から100℃程度に幅があるのは、成膜
時のエネルギ−による自然昇温であり、実際には300
℃以下程度であれば本実施の形態に示される例の好まし
い磁性薄膜を作製することが可能である。膜構造はX線
回折(XRD)、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて
観察した。また組成分析はEPMA、また抗磁力はBH
ル−プトレ−サ−、飽和磁束密度はVSMで評価した。
【0045】以下、本発明の実施の形態について説明す
る。
【0046】(実施の形態1)図1に記録媒体の側から
見た薄膜磁気ヘッドの断面図を示す。下部シールド層1
の上に磁気抵抗効果素子層2が成膜され、その磁気抵抗
効果素子層2の両側にハードバイアス層3が積層成膜さ
れ、更にハードバイアス層3の上面に電極4が成膜さ
れ、再生ヘッド部11が形成される。次に、磁気抵抗効
果素子層2と電極4の上に下部コア層5が成膜され、更
に下部コア層5の上にギャップ層6を介して下部コア層
5に対向し、かつ他の一部で下部コア層5と接触(接触
部は図示せず)して上部コア層7が成膜され、上部コア
層7が下部コア層5に接触している部分で上部コア層7
を周回して巻線コイル(図示せず)が形成され、記録ヘ
ッド部12が形成される。下部コア層5は記録ヘッド部
12のコア機能と再生ヘッド部11の上部シールド機能
とを兼ね備えている。
【0047】本発明は上述の下部コア層及び上部コア層
に適した材料組成に関するものであり、下部コア層及び
上部コア層としてのFeaMbXcNdOe膜について
検討した結果を示す。
【0048】実験条件は次の通りである。
【0049】基板:非磁性セラミックス基板またはSi
基板(Si基板は組成分析用) 基板温度:室温〜100℃ タ−ゲット:3インチのFe上に 5×5mmの酸化物
焼結チップおよび、5×5mmの金属元素のチップを下
記の組成になるように配置。用いた酸化物チップの一部
は、化学量論比よりも酸素量が少ない、酸素欠陥がある
ものを使用した。 タ−ゲットサイズ:3インチ 放電ガス圧:8mTorr 放電電力:200W スパッタガス:ArまたはAr+O2 表1に、250℃の真空中で熱処理した後の磁性膜の磁
気特性と組成を示す。磁性膜の厚みはすべて1μmとし
た。また表中実施例と記載しているものは、抗磁力2
(Oe)以下、電気抵抗率が80μΩcm以上、飽和磁
束密度が0.8T以上、且つ磁歪が0.7×10−5以
下のものを示している。一方、比較例としては、抗磁
力、電気抵抗率、飽和磁束密度、磁歪の何れか1つ以上
が上記の値を満たしていないものを不足物性として書き
記している。
【0050】
【表1】
【0051】表1より、FeaMbXcNdOe(但
し、添え字のa、b、c、d、eは原子量%を示す。M
はBe、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれた少なくと
も1種、XはY、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、
Taまたはランタン系希土類元素から選ばれた少なくと
も1種)なる組成式で表され、 a+b+c+d+e=100 45≦a≦85 5.5≦b≦28 0.5≦c≦16 6≦b+c≦28.5 0.4<b/c≦56 0≦d≦10 8≦d+e≦40 の範囲であるときに、高抵抗と高飽和磁束密度を有する
軟磁気特性が得られることがわかる。これらの磁性膜
は、X線回折とTEM観察より何れも、主として平均結
晶粒径が15nm以下である金属磁性結晶粒とこの金属
磁性結晶粒をほぼ覆った粒界生成物よりなっていること
が分かった。またこの金属磁性結晶粒は主にα−Feで
できており、また粒界生成物は、少なくともMおよびX
の酸化物または窒化物を含む物質であった。
【0052】同時に、d=0の時、Mの最大価数の酸化
物をMO、Xの最大価数の酸化物をXOn(但し、1≦
n≦2.5)で表すと、 e≦(b×1+c×n)×1.35 の範囲である時に低磁歪が得られ、特に、 (b×1+c×n)×0.9≦e≦(b×1+c×n)
×1.1 の範囲であるものは0.5×10−5以下の優れた軟磁
気特性を示した。
【0053】また、表1の実施例に示した膜のFeの5
%以下をRu、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Auか
ら選ばれた少なくとも1種と置換したところ、飽和磁束
密度や磁気特性の劣化をほとんど起こさずに、耐食性が
向上する効果があることが分かった。
【0054】また、表1の実施例のFeの70%以下を
Co、Niのうちの少なくとも1種からなる合金で置換
された磁性金属を用いた場合も上記の組成範囲で優れた
高飽和磁束密度と高抵抗、軟磁性を両立することを確認
している。
【0055】本実施の形態1では磁性膜は室温で成膜を
行っているが、成膜時の基板温度を水冷等を用いて冷却
する、或いは基板温度が200℃以下、好ましくは15
0℃以下でも作製できることを他の検討から確認した。
【0056】また、本実施の形態1では、250℃の真
空中で熱処理を行ったが、本実施の形態1で示された磁
性膜は、成膜直後から軟磁性を発現し、350℃以下の
熱処理であれば軟磁気特性がほとんど変化しないことを
確認している。
【0057】特に、一軸磁場中で成膜する、或いは一軸
磁場中で150℃以上350℃以下の熱処理を行うこと
で、本実施の形態1の膜には一軸磁気異方性が付与され
ることを確認した。またこの結果、これらの磁性膜を本
発明の薄膜磁気ヘッドのように、少なくとも磁化困難軸
方向に励磁するデバイスに応用した場合、100MHz
以上の高周波でも渦電流損失と共鳴損失が少ない高特性
を実現できる。
【0058】また、本実施の形態1では、タ−ゲット上
に酸化物チップを配置した複合タ−ゲットを用いている
が、例えばFeMXの焼結タ−ゲットなどをAr+O2
混合ガス中等でスパッタするいわゆる反応性スパッタ法
を用いても同様の磁性膜が作製できることを確認してい
る。
【0059】また、本実施の形態1では、基板はタ−ゲ
ットに対して固定した状態でスパッタリングを行った
が、複合タ−ゲットに対して基板位置を回転(公転、自
転を含む)させるあるいはタ−ゲットに対して前後、左
右など2方向に平行移動する等、少なくとも2方向に稼
働している基板上に成膜を行うことで、組成の均一性が
向上し、磁歪をはじめとする磁気特性が、さらに表1の
実施例の値より向上することを確認している。
【0060】また、本実施の形態1の様に、同一電極上
で金属および化合物を適度に配置した複合タ−ゲットを
用いたスパッタリング法、あるいは少なくとも2つ以上
の異なる電極上の金属タ−ゲットおよび化合物タ−ゲッ
トを用いたスパッタリング法において、基板側にバイア
スを印加しながら成膜を行うことで、膜中の酸素量を制
御することができ、その結果磁性膜のO組成量を、本発
明の範囲の好ましい範囲に制御できることを確認してい
る。
【0061】(実施の形態2)本発明の実施の形態2と
して、FeaMgbXcNdOe 膜について検討した
結果を示す。
【0062】実験条件は次の通りである。
【0063】基板:非磁性セラミックス基板、Siまた
はC基板(Si基板とC基板は組成分析用) 基板温度:室温〜100℃ タ−ゲット:3インチのFe上に 5×5mmのSiO
2あるいはMgOチップあるいはMg3N2チップおよ
び、5×5mmの金属元素のチップを下記の組成になる
ように配置。
【0064】タ−ゲットサイズ:3インチ 放電ガス圧:8mTorr 放電電力:200W スパッタガス:Ar 表2に、250℃の真空中で熱処理した後の磁性膜の磁
気特性と組成を示す。磁性膜の厚みはすべて1μmとし
た。
【0065】表2に示すように、FeMgO系材料に元
素を添加したところ、Feと固溶性の高いSiやAlで
は磁歪が低下せず、実施例bf〜実施例bqに示したよう
に、Feと難固溶性である元素についてわずか0.5%
の添加から、磁歪の低下とともに、抵抗率の上昇が確認
された。その他、同様に、Feに対して難固溶性である
ランタン系希土類元素について添加効果を調べたとこ
ろ、同様の効果が見られた。
【0066】
【表2】
【0067】また、特に磁歪低下の効果はZr、Nb、
Hf、Taで顕著である。以上の実施例の磁性膜の飽和
磁束密度は何れも1T以上で、X線回折で求めた磁性結
晶粒子の平均結晶粒径は15nm以下であった。このう
ち、実施例amについてTEM観察したところ、α−F
eの微結晶が、粒界生成物でほぼ覆われた形をした複合
構造を持ち、粒界生成物は、結晶性の低い、非晶質と見
なせる構造を持っていた。またこの粒界生成物の組成
は、少なくとも、MgとNbの酸化物を含んでいること
が分かった。
【0068】次にスパッタガスをArまたは、Arガス
にO2またはN2を適度に加えた混合ガスを用いて、様
々な組成について、磁気特性を調べた。
【0069】表3に、250℃の真空中で熱処理した後
の磁性膜の磁気特性と組成を示す。磁性膜の厚みはすべ
て1μmとした。また表中実施例と記載しているものは
抗磁力2(Oe)以下、電気抵抗率が80μΩcm以
上、飽和磁束密度が1T以上且つ磁歪が0.7×10−
5以下のものを示してる。一方、比較例としては、抗磁
力、電気抵抗率、飽和磁束密度、磁歪の何れか1つ以上
が上記の値を満たしていないものを不足物性として書き
記している。なお、a、b、c、d、eは何れも磁性膜
をFeaMgbXcNdOe(XはY、La、Ti、Z
r、Hf、V、Nb、Taまたはランタン系希土類元
素)と組成式で表したときの原子量%で、nは、d=0
の時のMの最大価数の酸化物をMO、Xの最大価数の酸
化物をXOn(但し、1≦n≦2.5)で表したときの
値で、XがY、La、ランタン系希土類元素の酸化物で
は1.5、Ti、Zr、Hfの酸化物では2、V、N
b、Taの酸化物では2.5をとる。
【0070】
【表3】
【0071】表3より、磁性膜をFeaMgbXcNd
Oe(但し、添え字のa、b、c、dは原子量%を示
す。XはY、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta
またはランタン系希土類元素)なる組成式で表した場
合、 a+b+c+d+e=100 50≦a≦85 5.5≦b≦25.5 0.5≦c≦11 6≦b+c≦26 1≦b/c≦51 0≦d≦10 8≦d+e≦35 の範囲であるときに、高抵抗と高飽和磁束密度を有する
軟磁気特性が得られることがわかる。これらの磁性膜
は、X線回折とTEM観察より、何れも主として平均結
晶粒径が15nm以下である金属磁性結晶粒と、この金
属磁性結晶粒をほぼ覆った粒界生成物よりなっているこ
とが分かった。またこの金属磁性結晶粒は主にα−Fe
でできており、また粒界生成物は、少なくともMおよび
Xの酸化物または窒化物を含む物質であった。
【0072】同時に、d=0の時、Mの最大価数の酸化
物をMO、Xの最大価数の酸化物をXOn(但し、1≦
n≦2.5)で表すと、 e≦(b×1+c×n)×1.35 の範囲である時に低磁歪が得られ、特に、 (b×1+c×n)×0.9≦e≦(b×1+c×n)
×1.1 の範囲であるものは0.5×10−5以下の優れた軟磁
気特性を示した。
【0073】また、表3中の実施例に示した膜のFeの
5%以下をRu、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au
から選ばれた少なくとも1種と置換したところ、飽和磁
束密度や磁気特性の劣化をほとんど起こさずに、耐食性
が向上する効果があることが分かった。
【0074】本実施の形態2では磁性膜は室温で成膜を
行っているが、成膜時の基板温度を水冷等を用いて冷却
にする、或いは基板温度が200℃以下、好ましくは1
50℃以下でも作製できることを他の検討から確認し
た。また、本実施の形態2では、250℃の真空中で熱
処理を行ったが、表3の実施例で示された磁性膜は、成
膜直後から軟磁性を発現し、350℃以下の熱処理であ
れば、軟磁気特性がほとんど変化しないことを確認して
いる。特に一軸磁場中で成膜する、あるいは一軸磁場中
で150℃以上350℃以下の熱処理を行うことで、実
施例として示された磁性膜には一軸磁気異方性が付与さ
れることを確認した。この結果、これらの磁性膜を本発
明の薄膜磁気ヘッドのように、少なくとも磁化困難軸方
向に励磁するデバイスに応用した場合、100MHz以
上の高周波でも渦電流損失と共鳴損失が少ない高特性を
実現することができる。
【0075】また本実施の形態2では、タ−ゲット上に
MgOチップを配置した複合タ−ゲットを用いている
が、例えばFeMgX焼結タ−ゲットなどをAr+O2
混合ガス中等でスパッタする、いわゆる反応性スパッタ
法を用いても、同様の磁性膜が作製できることを確認し
ている。また、本実施の形態2では基板はタ−ゲットに
対して、固定した状態でスパッタリングを行ったが、複
合タ−ゲットに対して、基板位置を回転(自転、公転)
させる、あるいはタ−ゲットに対して前後左右などに平
行移動する等、少なくとも2方向に稼働している基板上
に成膜を行うことで、組成の均一性が向上し、磁歪をは
じめとする磁気特性がさらに表2の実施例に示した値よ
り向上することを一部の組成で確認している。
【0076】また、本実施の形態2に示すように、同一
電極上で金属および化合物を適度に配置した複合タ−ゲ
ットを用いたスパッタリング法、あるいは少なくとも2
つ以上の異なる電極上の金属タ−ゲットおよび化合物タ
−ゲットを用いたスパッタリング法において、基板側に
バイアスを印加しながら成膜を行うことで、膜中の酸素
量を制御することができ、その結果、磁性膜のO組成量
を、本発明の範囲の好ましい範囲に制御でき、磁歪をは
じめとする軟磁気特性を制御できることを確認してい
る。
【0077】(実施の形態3)本発明の実施の形態3に
ついて説明する。
【0078】異なる2つのタ−ゲットを異なる電極で放
電しながら、それぞれのタ−ゲット直上近辺に基板を交
互に移動させる一種のタンデムスパッタ法を用いて、F
eMgHfO磁性膜を作製した。
【0079】実験条件は次の通りである。
【0080】基板:非磁性セラミックス基板、Si基板
(Si基板は組成分析用) 基板温度:水冷 タ−ゲット:4インチのFe上に5×5mmのHfチッ
プをのせた複合タ−ゲットおよび4インチのMgタ−ゲ
ット 放電ガス圧:5mTorr 放電電力:Fe複合タ−ゲット 220W、Mgタ−ゲ
ット 300W スパッタガス:基板がFe+Hfタ−ゲット上ではAr
のみ、基板がMgタ−ゲット上ではAr+O2 基板の移動周期を変化させることで、それぞれのタ−ゲ
ット上での一回当たりの通過時間(一回毎の実質的な成
膜時間)を変化させ、FeHf層とMgO層の成膜周期
を変化させた。
【0081】何れの磁性膜も全体としての膜組成はほ
ぼ、Fe61.5Mg16Hf1.5O21とした。比較とし
てFeタ−ゲット上にMgOチップとHfチップを配置
し成膜した無周期(従って周期長は膜厚)のFe61.5
Mg16Hf1.5O21を作製した。
【0082】表4に250℃の真空中で熱処理した後の
磁性膜の磁気特性と組成を示す。磁性膜の厚みはすべて
1μmとした。
【0083】
【表4】
【0084】図2に表4の結果を、横軸を周期長(n
m)、縦軸を磁歪(×10-5)にして示す。
【0085】表4の実施例の膜は、0.1molの食塩水
中に浸食した結果、周期が短くなるにつれ高耐食性を示
した。特に成膜周期長が10nm以下の膜では小さな磁
歪と高抵抗を両立していることが分かる。これらの膜を
オ−ジェデプスプロファイルで膜厚方向の組成変調を調
べたこところ、実施例efの膜では実質的に比較例eaと判
別が困難であったが、実施例ee、実施例edでは主として
Mgの組成変調が確認できた。従って、少なくとも膜厚
方向に、M元素が組成変調された磁性膜でその組成変調
の周期が10nm以下であることで、優れた軟磁気特性
とともに高抵抗の磁性膜を実現できることが分かった。
【0086】本実施の形態3では、タンデムスパッタに
よる組成変調膜の作製例を示したが、その他の実験か
ら、FeHfMg焼結タ−ゲット等を、Arガスで放電
中に、周期的に酸素ガスを導入する、パルスリアクティ
ブスパッタリングによっても類似の構造と磁気特性を得
ることを確認している。
【0087】また、本実施例中の組成に関わらず、本発
明の好ましい組成範囲であれば、同様の効果を得ること
を確認している。
【0088】
【発明の効果】以上のように本発明は、下部シールド層
上に磁気抵抗効果素子層と磁気抵抗効果素子層の両側に
ハードバイアス層、その上面に電極層を成膜形成した再
生ヘッド部と、再生ヘッド部の上部シールド機能を兼ね
備えた下部コア層とギャップ層を介して下部コア層に対
向する上部コア層と下部コア層及び上部コア層に磁界を
与える巻線コイル層で形成される記録ヘッド部からなる
薄膜磁気ヘッドにおいて、下部コア層及び上部コア層に
本発明の組成及び構造を持つ磁性膜を用いることによ
り、両コア層の材料に適した、磁歪定数が低く、かつ高
周波での軟磁気特性に優れ、高い飽和磁束密度および高
電気抵抗率を有した優れた磁性材料を得ることができる
という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】記録媒体の側から見た薄膜磁気ヘッドの断面図
【図2】成膜周期長と磁歪の関係を示すグラフ
【符号の説明】
1 下部シールド層 2 磁気抵抗効果素子層 3 ハードバイアス層 4 電極 5 下部コア層 6 ギャップ層 7 上部コア層 11 再生ヘッド部 12 記録ヘッド部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三上 寛祐 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 辻 弘恭 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 榊間 博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5D033 BA05 BB43 DA01 DA03 5D034 BA02 BA12 BA18 BB08 BB12 DA07

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部シールド層上に磁気抵抗効果素子層
    と前記磁気抵抗効果素子層の両側にハードバイアス層、
    その上面に電極層を成膜形成した再生ヘッド部と、前記
    再生ヘッド部の上部シールド機能を兼ね備えた下部コア
    層とギャップ層を介して前記下部コア層に対向する上部
    コア層と前記下部コア層及び上部コア層に磁界を与える
    巻線コイル層で形成される記録ヘッド部からなる薄膜磁
    気ヘッドにおいて、前記下部コア層及び前記上部コア層
    が、TaMbXcNdOe(但し、添え字のa、b、
    c、d、eは原子量%を示す。TはFeあるいは30%
    以上のFeとCo、Niのうちの少なくとも1種からな
    る合金から選ばれた磁性金属、MはBe、Mg、Ca、
    Sr、Baから選ばれた少なくとも1種、XはY、L
    a、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Taまたはランタン
    系希土類元素から選ばれた少なくとも1種)なる組成式
    で表され、 a+b+c+d+e=100 45≦a≦85 5.5≦b≦28 0.5≦c≦16 6≦b+c≦28.6 0.4<b/c<56 0≦d≦10 8≦d+e≦40 の範囲であり、主として、平均結晶粒径が15nm以下
    である金属磁性結晶粒と、前記金属磁性結晶粒を略覆っ
    た粒界生成物よりなり、前記金属磁性結晶粒の主組成が
    前記Tで、また前記粒界生成物が少なくとも前記M及び
    前記Xの酸化物又は窒化物を含む物質であり、また飽和
    磁束密度が0.8T以上、電気抵抗率が80μΩcm以
    上である軟磁性材料で形成されることを特徴とする薄膜
    磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記下部コア層及び前記上部コア層が、
    FeaMgbXcNdOe(但し、添え字のa、b、
    c、d、eは原子量%を示す。XはY、La、Ti、Z
    r、Hf、V、Nb、Taまたはランタン系希土類元素
    から選ばれた少なくとも1種)なる組成式で表され、 a+b+c+d+e=100 50≦a≦85 5.5≦b≦25.5 0.5≦c≦11 6≦b+c≦26 1≦b/c≦51 0≦d≦10 8≦d+e≦35 の範囲であり、飽和磁束密度が1T以上である軟磁性材
    料で形成されることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 d=0の時、Mの最大価数の酸化物をM
    O、Xの最大価数の酸化物をXOn(但し、1≦n≦
    2.5)で表すと、 e≦(b×1+c×n)×1.35 の範囲であることを特徴とする請求項1或いは請求項2
    のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 d=0の時、Mの最大価数の酸化物をM
    O、Xの最大価数の酸化物をXOn(但し、1≦n≦
    2.5)で表すと、 (b×1+c×n)×0.9≦e≦(b×1+c×n)
    ×1.1 の範囲であることを特徴とする請求項1或いは請求項2
    のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 XがZr、Nb、Hf、Taであること
    を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の薄
    膜磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 Tの5%以下をRu、Rh、Ir、P
    d、Pt、Ag、Auから選ばれた少なくとも1種と置
    換したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか
    に記載の薄膜磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 膜垂直方向に、少なくともM元素が組成
    変調されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいず
    れかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 組成変調の周期が10nm以下であるこ
    とを特徴とする請求項7記載の薄膜磁気ヘッド。
  9. 【請求項9】 下部シールド層上に磁気抵抗効果素子層
    と前記磁気抵抗効果素子層の両側にハードバイアス層、
    その上面に電極層を成膜形成した再生ヘッド部と、前記
    再生ヘッド部の上部シールド機能を兼ね備えた下部コア
    層とギャップ層を介して前記下部コア層に対向する上部
    コア層と前記下部コア層及び上部コア層に磁界を与える
    巻線コイル層で形成される記録ヘッド部からなる薄膜磁
    気ヘッドにおいて、 前記下部コア層及び前記上部コア層が、前記Mおよび前
    記Oを主として、M酸化物をスパッタすることにより形
    成される請求項1〜請求項8のいずれかに記載の薄膜磁
    気ヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記下部コア層及び前記上部コア層
    が、金属及び化合物を適度に配置した複合ターゲットを
    用いたスパッタリング法で、前記ターゲットに対し、少
    なくとも2方向に稼働している基板上への成膜により形
    成される請求項9記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記下部コア層及び前記上部コア層
    が、粉末状の金属及び化合物を焼き固めて形成した焼結
    ターゲットを用いたスパッタリング法で、前記ターゲッ
    トに対し、少なくとも2方向に稼働している基板上への
    成膜により形成される請求項9記載の薄膜磁気ヘッドの
    製造方法。
  12. 【請求項12】 前記下部コア層及び上部コア層が、同
    一電極上で金属及び化合物を適度に配置した複合ターゲ
    ットを用いたスパッタリング法、或いは粉末状の金属お
    よび化合物を焼き固めて形成した焼結ターゲットを用い
    たスパッタリング法、或いは少なくとも2つ以上の異な
    る電極上の金属ターゲットおよび化合物ターゲットを用
    いたスパッタリング法において、基板側にバイアスを印
    加しながら成膜を行うことにより形成される請求項9〜
    請求項11のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方
    法。
  13. 【請求項13】 350℃以下の熱処理を伴う請求項9
    〜請求項12のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造
    方法。
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