JP2000342085A - フィルムによる樹木治療方法および樹木保護方法 - Google Patents

フィルムによる樹木治療方法および樹木保護方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬剤を用いずに且つ手間がかからない方法に
より腐らん病等の治療を行う樹木の治療方法、および虫
の発生を抑えて見た目もよい樹木の保護方法を提供す
る。 【解決手段】 樹木の枝幹に発生した腐らん病、赤衣病
あるいはいぼ皮病等を治療する際に、該腐らん病、赤衣
病あるいはいぼ皮病等の患部12に、一方の面14bが
白色、他方の面14aが有色に形成されているフィルム
14を、他方の面14aを樹木側に向けて密着させて巻
きつけることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹木に発生した腐
らん病等の病気や傷を効果的に治療する樹木治療方法、
および樹木の日焼け防止や空洞部を保護する樹木保護方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】樹木の枝幹に生じる病気としては腐らん
病、赤衣病、いぼ皮病などさまざまな種類がある。以
下、これら樹木に生じる病気の一例として腐らん病につ
いて説明する。りんごや西洋ナシ等の果樹に多く発生す
る腐らん病は、木の幹、枝に発生し、最終的にはりんご
や西洋ナシの木を枯死させる病気である。この腐らん病
は、嚢子菌類に属する病原菌が、樹勢が弱った木の枝、
幹等に感染することによって引き起こされる。腐らん病
の初期の段階(4月〜6月頃に生じる)では、樹皮の一
部が暗褐色になって水膨れのように膨らむ病斑が発生す
る。この病斑が拡大して枝や幹を一周するようになる
と、この病斑から上の部分が枯死する。この後、病斑に
は子座と呼ばれる黒色の粒子が生じる。この子座の中に
柄子殻が入っている。雨などにより病斑が湿潤すると、
子座の中の柄子殻から糸くず状の柄子角(柄胞子の固ま
り)が噴出する。この柄子角が他の幹や枝に付着するこ
とで、付着した幹や枝が感染する。また、夏期には病斑
は乾燥して陥没するが、秋期には再び病斑は拡大して子
座の中に子嚢殻が作られ、この子嚢殻内には子嚢胞子が
できる。この子嚢胞子は飛散して他の幹や枝を感染させ
る。
【0003】腐らん病に感染した場合の対策として、感
染した枝や幹を切断して焼却する方法がある。しかし、
切断等により木に傷ができると、この傷からの感染も生
じるため、切り口には薬剤を塗布することが行われる。
また、主幹に感染した場合には患部周辺の樹皮を削り取
って薬剤を塗布するようにする。この場合に、削り取っ
た樹皮は必ず焼却する等の処置が必要である。
【0004】また、上述したような患部の切断・削り取
りといった方法以外にも、患部に泥を厚さ5cm程度に
塗布して、そのまま藁などで巻き付ける泥巻き法も行わ
れている。この泥巻き法では患部の削り取りを行わなく
とも患部の上からそのまま泥を巻き付けることで患部の
治療が行える。このような泥巻き法によって患部の治療
ができる明確なメカニズムについては、現在のところ不
明ではある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】腐らん病の治療方法と
して、上述した患部の切断・削り取りといった方法では
必ず切り口や削り取った傷痕が生じるため、傷からの感
染を防止し、また患部の殺菌のために必ず薬剤を塗布す
ることが必要となる。このような薬剤は、土壌を汚染さ
せることにもなるし、人体にも悪影響を及ぼすことが考
えられるため、できるだけ使用しないことが望ましい。
また、枝や幹の切断、あるいは樹皮の削り取りが多けれ
ばかえって樹勢が衰えてしまうという課題もある。ま
た、泥巻き法において、泥を厚さ5cm程度にも塗布す
ることはかなりの重労働であり、しかも泥の重量や作業
性が悪くなるという問題から高い位置の枝や幹に巻くこ
とはできないといった課題がある。なお、腐らん病等の
治療以外でも樹木に傷がついたり、切断等による切り口
が生じることがある。かかる場合でも傷跡などには腐ら
ん病等の感染防止のために薬剤を塗布する必要があり、
上述したように薬剤は、土壌を汚染させることにもなる
し、人体にも悪影響を及ぼすことが考えられるため、で
きるだけ使用しないことが望ましいという課題がある。
また、台風などによって枝折れが生じた場合、折れた部
分を速やかに保湿し、同時に補強により支える必要があ
るが、これら保湿と補強の2つの要求を同時に満たす事
はできないといった課題がある。
【0006】さらに、樹木は、葉や枝などの日光を遮る
ものがない場合に、日光が当たりすぎると日焼けにより
枯死してしまう。そこで、これを防止するためには藁な
どを樹木に巻き付けることが従来から行われている。し
かし、藁を巻き付けると藁が虫等の発生源となるととも
に、見た目も悪いといった課題がある。また、樹木に生
じた空洞部には雨水が入り込み、雑菌が繁殖して腐りや
すく、虫の住処となっている場合も多いため、空洞内に
赤土やコンクリートを詰めたりして保護している。しか
し、このような方法では空洞部の保護に手間がかかると
共に、殺虫等が有効に行えないという課題がある。
【0007】そこで、本発明の目的は、薬剤を用いずに
且つ手間がかからない方法により腐らん病等の治療を行
う樹木の治療方法、および虫の発生を抑えて見た目もよ
い樹木の保護方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために、腐らん病等の病斑が日当たりのよい場所
に多く生じること、および地中には病斑が生じていない
ことから、日光および空気の遮断により腐らん病の病原
菌を死滅させることができるのではないかと考え、本発
明に到達した。すなわち、本発明にかかるフィルムを用
いた樹木の治療方法によれば、樹木に発生した腐らん
病、赤衣病あるいはいぼ皮病等を治療する際に、該腐ら
ん病、赤衣病あるいはいぼ皮病等の患部に、一方の面が
白色、他方の面が有色に形成されているフィルムを、前
記他方の面を樹木側に向けて密着させて巻きつけること
を特徴としている。この方法によれば、フィルムにより
患部が密封されて空気が遮断され、過湿状態になると共
に、フィルムの内側面が有色で遮光性が高く日光を遮断
するため、薬剤等を用いずに簡単な方法で腐らん病等の
病原菌の生存環境を悪化させ、治療を施すことができ
る。
【0009】また、前記腐らん病、赤衣病あるいはいぼ
皮病等の患部を削り取った後、該削り取った箇所に、一
方の面が白色、他方の面が有色に形成されているフィル
ムを、前記他方の面を樹木側に向けて密着させて巻きつ
けるようにすれば、腐らん病等の病気治療をさらに確実
なものとすることができる。しかも、患部が密封される
ことで削り取った患部が適度な湿度に保たれ、削り取っ
た跡のカルス(癒合組織)の形成を促すので、削り取っ
た後であっても早期の回復が見込まれる。さらに、樹木
に生じた傷、切り口あるいは枝折れ部分等に、一方の面
が白色、他方の面が有色に形成されているフィルムを、
前記他方の面を樹木側に向けて密着させて巻きつけるこ
とによれば、傷跡が適度な湿度に保たれ、カルス(癒合
組織)の形成を促して早期の回復が見込まれると共に、
フィルムの強靱性による物理的な保護も図ることができ
る。また、前記フィルムの他方の面は黒色とすると遮光
性が良くなり好適である。
【0010】さらに、本発明にかかるフィルムを用いた
樹木保護方法によれば、樹木の日焼けを防止する際に、
日焼けを防止する部分に、一方の面が白色、他方の面が
有色に形成されているフィルムを、前記他方の面を樹木
側に向けて密着させて巻きつけるようにすれば、内側の
有色面で日光を遮断し、外側の白色面で日光を反射する
ので、極めて効率よく日焼けを防止できる。また、藁と
違って虫などの発生もなく、見た目もよい。また、樹木
に生じた空洞部を閉塞するように、一方の面が白色、他
方の面が有色に形成されているフィルムを、前記他方の
面を樹木側に向けて密着させて巻きつけることにより、
空洞部への雨水、虫の侵入を防ぐことができ、適度な湿
度を保ってカルス(癒合組織)の形成を促す。また、空
洞内に殺虫剤を入れておけば殺虫効果も高まる。なお、
前記フィルムの他方の面は黒色とすると遮光性が良くな
り好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】まず、本発明に用いられるフィル
ムについて述べる。フィルムは、ポリエチレンテレフタ
レート樹脂を押出し成形して延伸配向したポリエステル
フィルムを用いるとよい。ポリエステルフィルムは、極
めて強靱であって、且つ防水性や気密性も高い。また、
本発明では、このようなポリエステルフィルムの一方の
面を白色、他方の面を黒色等の有色にしたものを用いて
樹木に巻き付けるようにする。なお、本発明書中での樹
木としては、果樹、庭木、街路樹、天然木等を含める概
念である。
【0012】このようなポリエステルフィルムを、樹木
の腐らん病、赤衣病あるいはいぼ皮病等(以下、単に腐
らん病等という)の患部に密着させて巻き付ければ、防
水性により患部への雨水の進入を防止するため、患部の
子座の中の柄子角の流出を防止して他の部位への感染を
防止できる。また、患部から子嚢胞子が飛散しようとし
てもポリエステルフィルムによって阻止される。さら
に、他の雑菌等の侵入をも防止することができる。この
場合、患部を削り取った後にポリエステルフィルムを巻
き付けても、患部を削り取らずにそのままポリエステル
フィルムを巻き付けてもよい。また、ポリエステルフィ
ルムの気密性により、患部への空気の供給が阻止され
る。このため、好気性菌であると考えられる腐らん病等
の病原菌の繁殖を抑えることができる。ただし、患部へ
の空気の供給を阻止するためにはポリエステルフィルム
を隙間なく巻き付けることが必要となる。そこで、巻き
付ける際にはポリエステルフィルムの幅方向を少しずつ
重ね合わせて巻き付けると共に、巻き始めと巻き終わり
には接着テープあるいは伸縮性のある紐等で隙間が生じ
ないように固定するとよい。
【0013】本発明に用いるポリエステルフィルムは、
一方の面を白色、他方の面を黒色等の有色にしている。
本発明では、ポリエステルフィルムの有色の面を樹木側
にして巻き付けるので、日光が当たっても遮光の効果に
より患部には光が届かないようにすることができる。す
なわち、光が当たる場所で繁殖力が強まり、暗い場所で
は、繁殖力が弱まると考えられている腐らん病等の病原
菌の繁殖を抑制することができる。さらに、巻き付けた
ときには白色の面が表面上に現れる。このため、日光を
ポリエステルフィルムで反射しやすく、ポリエステルフ
ィルムを巻き付けた内部の温度上昇を抑えることがで
き、ポリエステルフィルムを巻き付けた箇所が弱らない
ようにすることができる。
【0014】一方、ポリエステルフィルムは、木の外側
に現れる一方の面を白色にしたことにより、人目を引き
やすく目立ち易くなる。つまり、農園等で白色の幹等を
見つけたときには、その場所に腐らん病等が感染してい
るということが一目で分かるために、巻き付けた場所を
忘れてしまうということもなく巻き付けた後の処理も行
いやすくなる。巻き付けた場所が直ぐに分かるため、そ
の周囲にさらに感染していないか注意して観察すること
ができる。その箇所は物理的に弱くなって枝折れの危険
があるので台風や収穫を前に補強すべき注意箇所とな
る。さらに、従来の泥巻き法等では泥と藁とが幹や枝に
巻き付けてあり、また薬剤は赤色や黄色に着色してあ
り、大変見苦しいという問題もあったが、樹木の外側に
白色がくるようにポリエステルフィルムを巻き付けるこ
とにより、見た目にも美しくなり、農場の美観性を高め
ることもできる。
【0015】なお、上述してきたポリエステルフィルム
は、腐らん病の患部のみならず、枝などを切断した後の
切り口や、傷等の外科治療にも用いることができる。切
り口や傷等にポリエステルフィルムを巻き付けることに
よって、種々の病原菌あるいは害虫の侵入を防止し、し
かも巻き付けた部位には適度な湿度や温度が維持される
ために、傷の治癒によるカルス(融合組織)の形成が極
めて早い。また、極めて強靱なポリエステルフィルムを
密着させて巻き付けるために、傷や枝折れ部分の物理的
な保護も図ることができる。
【0016】さらに、日当たりのよい場所に生えている
枝や幹で日焼けによる樹皮の枯死を防止するために、上
述してきたポリエステルフィルムを日焼けを防止しよう
とする部位に巻き付けてもよい。特に、移植時や台風に
よる枝葉のいたみにより枝や幹があらわになったような
ときに有効である。また、樹木に生じた空洞部を閉塞す
るようにポリエステルフィルムを巻き付ければ、空洞部
を塞いで雨水の侵入を防ぎ、適度な湿度を保持するため
カルスの形成を促す。また空洞部内に虫害が発生してい
るときは、ポリエステルフィルムを巻き付ける前に、空
洞部内に殺虫剤を散布しておくとよい。このようにすれ
ば、殺虫剤が外部へ流出してしまうことなく、殺虫効果
を長期間持続させておくことができる。
【0017】
【実施例】図1に、本実施例の概略を示す。20年生の
「ふじ」りんご樹の主幹10(直径25cm程度)に、
4月上旬、腐らん病の病斑が発生した。この病斑部分の
樹皮の削り取りを行った後、削り取った部分12に厚さ
0.025mm、裏面側14aが黒色、表面側14bが
白色のポリエステルフィルム14を、黒色側が「ふじ」
の主幹10側を向くように巻き付けた。巻き付ける際に
は、削り取った部分12の周囲の健康な部分も含めて巻
き付けた。また、隙間ができないように、5cm程度づ
つ重ね合わせて巻き付けるようにした。図1の17が、
重ね合わせた部分である。ここでは、ポリエステルフィ
ルム14の巻き始めと巻き終わりの部分は、解けること
がないように伸縮性のある紐16でしばるようにした
が、巻き始めの部分は巻き付けた部分に差し込んでおけ
ば解けないため、必ずしも紐16等でしばるようにしな
くともよい。6カ月後に、ポリエステルフィルム14を
除去して削り取った部分を観察したところ、削り取った
傷痕を取り囲むように新しいカルス(融合組織)の形成
が認められた。このようなポリエステルフィルム14を
巻き付けた場合のカルスの形成速度は、ポリエステルフ
ィルム14を巻き付けずに放置した場合よりも1〜2か
月程度早いと見られる。さらに、傷痕での再発、他の幹
や枝への感染も見られなかった。
【0018】以上本発明につき好適な実施例を挙げて種
々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるもので
はなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を
施し得るのはもちろんである。
【0019】
【発明の効果】本発明に係るフィルムを用いた樹木治療
方法によれば、りんごや洋ナシ等に発生する腐らん病、
赤衣病あるいはいぼ皮病の他への感染を防止すると共
に、空気および日光を遮断して病原菌の繁殖を抑制する
ので、腐らん病等の蔓延を防止し、患部の治療を促すこ
とができる。しかも、このような効果は農薬等の薬剤を
使用することなく行うことができるので、環境を汚染す
ることなく、人体への悪影響をも無くすことができる。
しかもポリエステルフィルムの巻き付けた後の外側の色
が白色となり、見た目に美しく、且つ目立つので樹木園
内での感染箇所も発見しやすいといった著効も奏する。
また、フィルムを用いた樹木保護方法によれば、虫など
を発生させることなく、且つ見た目もよくしつつ、枝や
幹の日焼けによる樹皮の枯死を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樹木の治療方法の概略を示す説明
図である。
【符号の説明】
10 主幹 12 削り取った部分 14 ポリエステルフィルム 16 伸縮性のある紐 17 重ね合わせた部分

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹木の枝幹に発生した腐らん病、赤衣病
    あるいはいぼ皮病等を治療する際に、 該腐らん病、赤衣病あるいはいぼ皮病等の患部に、一方
    の面が白色、他方の面が有色に形成されているフィルム
    を、前記他方の面を樹木側に向けて密着させて巻きつけ
    ることを特徴とするフィルムによる樹木治療方法。
  2. 【請求項2】 前記腐らん病、赤衣病あるいはいぼ皮病
    等の患部を削り取った後、 該削り取った箇所に、一方の面が白色、他方の面が有色
    に形成されているポリエステルフィルムを、前記他方の
    面を樹木側に向けて密着させて巻きつけることを特徴と
    する請求項1記載のフィルムによる樹木治療方法。
  3. 【請求項3】 樹木に生じた傷、切り口あるいは枝折れ
    部分等に、一方の面が白色、他方の面が有色に形成され
    ているフィルムを、前記他方の面を樹木側に向けて密着
    させて巻きつけることを特徴とするフィルムによる樹木
    治療方法。
  4. 【請求項4】 前記フィルムの他方の面は黒色であるこ
    とを特徴とする請求項1、2または3記載のフィルムに
    よる樹木治療方法。
  5. 【請求項5】 樹木の日焼けを防止する際に、 日焼けを防止する部分に、一方の面が白色、他方の面が
    有色に形成されているフィルムを、前記他方の面を樹木
    側に向けて密着させて巻きつけることを特徴とするフィ
    ルムによる樹木保護方法。
  6. 【請求項6】 樹木に生じた空洞部を閉塞するように、
    一方の面が白色、他方の面が有色に形成されているフィ
    ルムを、前記他方の面を樹木側に向けて密着させて巻き
    つけることを特徴とするフィルムによる樹木保護方法。
  7. 【請求項7】 前記フィルムの他方の面は黒色であるこ
    とを特徴とする請求項5または6記載のフィルムによる
    樹木保護方法。
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