JP2000342585A - 超音波診断装置 - Google Patents

超音波診断装置

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JP2000342585A
JP2000342585A JP11159473A JP15947399A JP2000342585A JP 2000342585 A JP2000342585 A JP 2000342585A JP 11159473 A JP11159473 A JP 11159473A JP 15947399 A JP15947399 A JP 15947399A JP 2000342585 A JP2000342585 A JP 2000342585A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】カラードプラ、カラーアンギオ、スペクトラム
ドプラを装備した超音波診断装置において、周波数解析
誤差の低減、情報欠落の低減、回路規模の縮小、レンジ
ゲートの広域化、クラッタやノイズの除去効果向上、平
均流速、パワー、分散以外の血流情報を表示すること。 【解決手段】本発明の超音波診断装置は、被検体に対し
て超音波を送受信すると共にこの送受信により得られた
エコー信号からドプラ信号を検波する送受信部2と、ド
プラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系列を2
次元情報として求める複素高速フーリエ変換部43と、
任意のROI内のスペクトラム系列を深さ方向及び方位
方向それぞれに関して重み付け積分をすることによりス
ペクトラムドプラモードに対応するスペクトラム系列を
求める後処理部49とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波診断装置に
係り、特にカラードプラ、カラーアンギオ及びスペクト
ラムドプラ処理の合体と検出能、感度、計測精度の改良
に関する。
【0002】に関する。
【0003】
【従来の技術】血流ドプラの信号処理に関して、生体か
らの反射信号成分は低周波でパワーの大きいクラッタ成
分が混入しており、周波数解析器で解析する際に微少な
血流成分を感度良く検出するためには、周波数解析器
(具体的には自己相関による平均流速、分散、パワーの
推定)に入力する前に、ハイパスフィルタ(HPF)で
クラッタ成分を十分に除去する必要があった。特に、H
PFではクラッタ成分を適応型を持って除去する必要が
あるため、自己相関前にクラッタ成分で変調をかけ、直
流成分(DC)をシフトするなどの大がかりな処理が必
要であった。
【0004】図23に、従来のカラードプラ及びカラー
アンギオの信号処理部を示している。送受信部(T&
R)から出力されるドプラ信号(複素の直交検波成分で
送信バースト長に連動して帯域制限をした信号)を適応
型ウォールフィルタ(AWF;Adaptive Wa
ll Filter)に入力し、低周波のクラッタ成分
に対して、(1)クラッタ成分の初期位相の補正(もし
くはクラッタ成分の平均周波数による変調でクラッタ自
体をDCに落とす)と、(2)クラッタ成分の振幅や周
波数によるHPFのゲインやカットオフ周波数へのフィ
ードバック適応制御という2種類の処理を施して、アダ
プティブにクラッタ成分を除去していた。
【0005】次の自己相関部(AC;Auto Cor
relation)では、クラッタ成分除去後のドプラ
成分のパルスペア(Pulse Pair)を計算し、
カラードプラ部で、平均流速(V)、分散(T)、パワ
ー(P)の推定値を計算する。
【0006】また、自己相関の出力(C0 ,Real
(C1 ),Imag(C1 ))は、アンギオ部に入力さ
れ、フレームメモリ(FM)により時間的な平滑処理を
受けパワーや方向付きパワー、つまりカラーアンギオデ
ータを計算し出力する。
【0007】カラードプラ部とアンギオ処理部の出力
は、切り替えられ、独立にパワー値によるブランク、平
均流速値によるブランクがかけられ、クラッタ成分やノ
イズの強い部分が除去されてから、ディジタルスキャン
コンバータ(DSC)部へ出力される。ディジタルスキ
ャンコンバータ部では、スキャンコンバージョン(S
C)処理やラスタ間補間、水平方向補間、フレーム間の
時間補間を行い画像を平滑化する。
【0008】ディジタルスキャンコンバータの出力は、
カラーモード時はカラードプラデータ(平均流速、パワ
ー、分散;VPT)であり、アンギオモード時はパワー
もしくは方向付きパワーデータ(C0 C1 )であり、後
処理によりコントラスト、リジェクション、速度ブラン
クなどの処理を行いRGB対応のルックアップテーブル
(LUT)でRGBタイプのビデオ信号に変換する。こ
こで白黒のエコー画像のディジタルスキャンコンバータ
の出力と合成しモニタに出力する。
【0009】従来の超音波診断装置の特にカラー/アン
ギオ信号処理部の詳細を図24に示している。送受信部
(T&R)からドプラ成分の検波後の出力(IQの2c
h)がカラーデータ再配置部(CDR;Color D
ata Rearrangement)に入力される。
【0010】カラーデータ再配置部では、カラースキャ
ンのラスタの並べ替えと、データのバッファリングとを
行うための大容量のメモリで構成されており、RD/W
Rアドレスの制御によって並列同時受信CH、交互スキ
ャン段数によるデータシーケンスの並べ替えパケット化
を行う。これによりラスタ毎にかつ距離方向の画素単位
でカラースキャンのデータが単位化されて出力される。
【0011】次に、クラッタを除去するための適応型の
ハイパスフィルタを通過する。カラーデータ再配置部出
力は、クラッタ成分が支配的なためその位相と振幅を検
出し適応制御により位相補正、IIRで構成されるHPF
のカットオフ値や内部レジスタの初期値やゲインをダイ
ナミックに設定する。HPFの出力は自己相関処理部
(AC;Auto Correlation)で、パワ
ーC0 と、複素の直交検波信号C1 (実数部Re,虚数
部Im;位相ベクトル)を計算し、移動平均部(MA;
moving Average)部で距離方向の平滑化
を行う。
【0012】次にゲイン補正をおこなったカラーアンギ
オC0 C1 からカラードプラ部で平均流速V(Velo
city)、パワーP(Power)、分散T(Tur
burance)の推定計算を行い、平均速度と分散を
5bit程度に納め、パワーを対数的に圧縮して、カラ
ー用スキャンコンバータ(DSC;Color Dig
ital Scan Converter)へ出力され
る。一方、フレームメモリからカラーアンギオ処理部へ
入力され、そこでIIR型のフレームサイクル(超音波
のスキャン周期をフィルタのサンプリング周期とする)
の時間平滑フィルタで時間方向に平滑化されパワーと方
向付パワーとして出力される。パワーと方向付パワーと
に関する信号を、ここでは便宜上、パワーもしくは方向
付きパワーのカラーアンギオ(C0 C1 )と呼ぶことに
する。このパワーもしくは方向付きパワーのカラーアン
ギオ(C0 C1 )は、8bit程度に対数圧縮されカラ
ーディジタルスキャンコンバータに出力される。
【0013】このような従来技術の欠点、問題点として
以下の3点がある。 (1)自己相関(AC)法の方式自体の欠点 AC法は、パルスペアという複素数の自己相関により、
信号の平均周波数やパワーを計算するが、その過程で計
算誤差を発生しやすい。特に、生体からのドプラ信号に
は血流成分以外に生体組織のクラッタ成分が含まれる。
【0014】クラッタ成分のパワーが血流成分に対して
強い場合には信号の平均流速がDC(クラッタ成分の低
周波)側にひっぱられるため、AC処理の入力前でAW
Fなどでクラッタ成分を十分に除去する必要がある。
【0015】クラッタ成分を十分に除去できない場合に
は血流信号がDCにひっぱられ、あたかもそこには血液
が流れていないかのように表示されてしまう。また、適
応型ウォールフィルタAWFでも診断部位によってはク
ラッタを除去できない場合が多々ある。
【0016】(2)カラードプラのブランク処理の欠点 カラードプラのパワーブランク処理(P−BLK)と速
度ブランク処理(V−BLK)後に、ディジタルスキャ
ンコンバータで時間空間的な平滑化をしているが、十分
なダイナミックレンジがないため、飽和や切り捨てによ
り画質/感度の両面で劣化して、情報が欠落してしま
う。これは、現在、カラーモードのパワー表示とカラー
アンギオ表示とが別在していることからもわかる。
【0017】(3)カラードプラとカラーアンギオの回
路実現規模が大きい。 上記に絡むがアンギオとカラーの信号処理を現在2系統
独立して持っているが、同じパワーの時間平滑化をディ
ジタルスキャンコンバータのフレームメモリ(FM)で
Color Persistenceで実現すると同時
に、アンギオ用フレームメモリでカラーアンギオとして
実現している。AC処理以降はカラードプラ処理と全く
同じ(ダイナミックレンジは異なるが)処理をアンギオ
信号処理でも並列に実行している。すなわち、カラー処
理とディジタルスキャンコンバータのフレームメモリ、
アンギオ処理とアンギオフレームメモリは全く同じ機能
である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、カラ
ードプラ、カラーアンギオ、スペクトラムドプラを装備
した超音波診断装置において、周波数解析の計算誤差を
減らすこと、平滑化処理の際に低いダイナミックレンジ
に起因する情報の欠落を低減すること、スペクトラムド
プラ、カラードプラ、カラーアンギオの回路規模を小さ
くすること、スペクトラムドプラのレンジゲートを2次
元的に広域化すること、クラッタやノイズの除去効果を
向上すること、平均流速、パワー、分散以外の血流情報
を表示することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明による超音波診断
装置は、被検体に対して超音波を送受信する手段と、前
記送受信により得られたエコー信号からドプラ信号を検
波する手段と、前記ドプラ信号からフーリエ変換により
スペクトラム系列を2次元情報として求める手段と、任
意のROI内のスペクトラム系列を深さ方向及び方位方
向それぞれに関して重み付け積分をすることによりスペ
クトラムドプラモードに対応するスペクトラム系列を求
める手段とを具備することを特徴としている。
【0020】本発明による超音波診断装置は、被検体に
対して超音波を送受信する手段と、前記送受信により得
られたエコー信号からドプラ信号を検波する手段と、前
記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系列
を2次元情報として求める手段と、前記スペクトラム系
列から血流に関する平均速度、パワー、分散を2次元情
報として求める手段と、前記ドプラ信号に対して自己相
関処理及びローパスフィルタをかけてクラッタ成分に関
する平均速度、パワー、分散を2次元情報として求める
手段と、前記クラッタ成分に関する平均速度、パワー、
分散の少なくとも1つを、前記血流に関する平均速度、
パワー、分散の少なくとも1つと比較して、血流信号と
クラッタ成分とノイズとを判別する手段と、前記クラッ
タ成分又はノイズと判別された点をブランクする手段と
を具備することを特徴としている。
【0021】本発明による超音波診断装置は、被検体に
対して超音波を送受信する手段と、前記送受信により得
られたエコー信号からドプラ信号を検波する手段と、前
記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系列
を2次元情報として求める手段と、前記ドプラ信号に対
して自己相関処理及びローパスフィルタをかけてクラッ
タ成分に関する平均速度、パワー、分散を2次元情報と
して求める手段と、前記クラッタ成分に関する平均速
度、パワー、分散に基づいてクラッタ成分のスペクトラ
ム系列正規分布モデルを計算し、前記スペクトラム系列
から減算する手段と、前記減算されたスペクトラム系列
から血流に関する平均速度、パワー、分散を2次元情報
として求める手段とを具備することを特徴としている。
【0022】本発明による超音波診断装置は、被検体に
対して超音波を送受信する手段と、前記送受信により得
られたエコー信号からドプラ信号を検波する手段と、前
記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系列
を2次元情報として求める手段と、前記スペクトラム系
列から血流に関する平均速度、パワー、分散を2次元情
報として求める手段と、前記ドプラ信号に対して自己相
関処理及びローパスフィルタをかけてクラッタ成分に関
する平均速度、パワー、分散を2次元情報として求める
手段と、前記クラッタ成分に関する平均速度とパワーと
深さとに応じた平滑化関数に従って前記血流に関する平
均速度、パワー、分散を空間的且つ時間的に平滑化する
手段とを具備することを特徴としている。
【0023】本発明による超音波診断装置は、被検体に
対して超音波を送受信する手段と、前記送受信により得
られたエコー信号からドプラ信号を検波する手段と、前
記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系列
を2次元情報として求める手段と、前記スペクトラム系
列から血流に関する平均速度を2次元情報として求める
手段と、前記2次元関心領域内の複数点の平均速度を重
み付け加算して血流インデックスを計算する手段とを具
備することを特徴としている。
【0024】本発明による超音波診断装置は、被検体に
対して超音波を送受信する手段と、前記送受信により得
られたエコー信号からドプラ信号を検波する手段と、前
記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系列
を2次元情報として求める手段と、前記スペクトラム系
列から血流に関する平均速度を2次元情報として求める
手段と、前記2次元関心領域内の複数点の平均速度の中
の最大値を血流インデックスとして抽出する手段とを具
備することを特徴としている。
【0025】本発明による超音波診断装置は、被検体に
対して超音波を送受信する手段と、前記送受信により得
られたエコー信号からドプラ信号を検波する手段と、前
記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系列
を2次元情報として求める手段と、前記スペクトラム系
列から血流に関する平均速度を2次元情報として求める
手段と、前記2次元関心領域内の複数点の平均速度のバ
ラツキを血流インデックスを計算する手段とを具備する
ことを特徴としている。
【0026】本発明による超音波診断装置は、被検体に
対して超音波を送受信する手段と、前記送受信により得
られたエコー信号からドプラ信号を検波する手段と、前
記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系列
を2次元情報として求める手段と、前記スペクトラム系
列から血流に関するパワーP(i) を求める手段と、平均
速度VFFT を、 VFFT =P1/P0 ただし、P1は、パワーP(i) の重み付け加算値 P0は、トータルパワー により計算する手段とを具備し、 前記パワーP(i) にかける重み付け関数は、変数iの多
次方程式で与えられることを特徴としている。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明を
好ましい実施形態により詳細に説明する。まず、自己相
関法(AC法)とFFT法とのノイズに対する耐性等の
特性について比較検討する。図1(a)に自己相関法
(AC法)の計算ブロックを示し、図1(b)に高速フ
ーリエ変換法(FFT法)の計算ブロックを示してい
る。ここでは平均速度ω、分散σ、パワーPについての
み比較する。結論としては、方式的にFFT法がAC法
に比べ計算精度が高い。その理由を理解するために、各
々の計算手順について説明する。
【0028】まず、周波数解析器への入力信号X(t)
は、次の(1)式で与えられる。
【0029】
【数1】
【0030】(自己相関法)自己相関法では、入力X
(t)の複素共役XC(t)と掛け合わせて自己相関関
数C(τ)を得る。
【0031】
【数2】
【0032】自己相関関数C(τ)を1回微分したもの
をC1(τ)とすると、
【0033】
【数3】
【0034】となる。C1(τ)の1次モーメントが得
られるので、自己相関法の平均角周波数ωACは、
(5)式で定義される。
【0035】
【数4】
【0036】実際の計算を簡略化するために、自己相関
関数C(τ)を実数部と虚数部とに分けて(6)式のよ
うに表現する。
【0037】
【数5】
【0038】上記成分で0次モーメントQ0、1次モー
メントQ1、2次モーメントQ2を定義し、分散σAC
を近似的に求めると、(10)式が得られる。
【0039】
【数6】
【0040】(FFT法)(1)式の入力信号X(t)
に対してフーリエ変換を行うと、(11)式で示す複素
数のスペクトラムY(j.ωk)が得られる。ここで、
kは、周波数軸の目盛りに相当する。
【0041】
【数7】
【0042】また、パワースペクトラムは、Y(j.ω
k)と複素共役なYC(j.ωk)を掛けて、(12)
式のAk系列で表現できる。
【0043】
【数8】
【0044】平均速度ωFFTは、パワースペクトラム
の系列を使って、(13)式のように定義される。
【0045】
【数9】
【0046】パワースペクトラムを使って、0次モーメ
ントP0、1次モーメントP1、2次モーメントP2を
定義し、FFT法による分散σFFTを(17)式で表
現することができる。
【0047】
【数10】
【0048】自己相関法とFFT法とでは、トータルパ
ワーについては同じであり差異はないが、図2(a)、
図2(b)、図3(a)、図3(b)、図4に示すよう
に、平均流速と分散に関しては計算精度を比較するの
に、クラッタ(低周波成分)による影響の度合いと、ノ
イズ成分による影響の度合いは、差異がある。
【0049】図5に、本実施形態に係るカラードプラ/
カラーアンギオ/スペクトラムドプラの3つのモードを
装備した超音波診断装置の概略的な構成を示している。
図5に示すように、超音波プローブ(Probe)1に
は送受信部(T&R)2が双方向接続されている。超音
波プローブ1を介して受信されたエコーは、送受信部2
で整相加算され、そして直交検波にかけられる。この直
交検波信号は、カラードプラ/カラーアンギオ/スペク
トラム信号処理ユニット3に供給される。この信号処理
ユニット3は、カラードプラデータ(平均速度、パワ
ー、分散)VPTと、カラーアンギオデータC0 C1
と、スペクトラムデータとを生成するために、前処理部
(Pre Proc.)31と、複素高速フーリエ変換
部(FFT)32と、適応型後処理部(Adaptiv
e Post Proc.)33と、適応型制御部(A
daptive Controll)34と、アンギオ
処理部(Angio)35と、アンギオ用フレームメモ
リ(FM)36と、VPT計算部(VPT CAL)3
7とから構成されている。
【0050】カラードプラデータ(平均速度、パワー、
分散)VPTと、カラーアンギオデータC0 C1 とは、
カラー用ディジタルスキャンコンバータ(DSC)4
と、RGB対応ルックアップテーブル(RGBLUP)
4とを介してディスプレイ(Display)7に送ら
れる。また、スペクトラムデータは、白黒用ディジタル
スキャンコンバータ(DSC)5と、RGB対応ルック
アップテーブル4とを介してディスプレイ7に送られ
る。
【0051】なお、本実施形態に係る超音波診断装置
は、図5の構成に代えて、図6のように構成してもよ
い。両構成の大きな相違点としては、図5では、アンギ
オ用フレームメモリ36とディジタルスキャンコンバー
タ4内のフレームメモリとの両方が存在するが、アンギ
オ用フレームメモリ36にはスペクトラム系列データP
m、ディジタルスキャンコンバータ4のフレームメモリ
には血流パラメータとして抽出されたカラードプラデー
タVPTと、パワーもしくは方向付きパワーデータとし
てのカラーアンギオデータC0 C1 と、スペクトラムド
プラのピリオドグラムのイメージの情報が貯えられる。
【0052】一方、図6では、アンギオ機能をディジタ
ルスキャンコンバータ(DSC)8に持たせているた
め、アンギオ用フレームメモリ36の代わりに、ディジ
タルスキャンコンバータ8内のフレームメモリで処理す
る。ディジタルスキャンコンバータ8のフレームメモリ
には、スペクトラム系列データPm、適応制御により得
られたクラッタ成分のカラードプラデータ(平均速度、
パワー、分散)の推定値VPTが貯えられ、ディジタル
スキャンコンバータ8のフレームメモリ出力に基づいて
VPT計算部(VPT CAL)37でカラードプラデ
ータVPTを計算したり、スペクトラムドプラのパワー
表示の計算を行うようになっている。なお、図6では、
ディジタルスキャンコンバータ5は、Bモード画像(断
層像)のためだけに用いられ、この断層像データはマル
チプレクサ(MUX)10を介してRGBルックアップ
テーブル6に供給される。
【0053】図7には、図5のカラードプラ/カラーア
ンギオ/スペクトラムドプラ信号処理ユニット3の詳細
な構成を示している。送受信部3からIチャンネルとQ
チャンネルで出力されるドプラ信号に対して、カラーデ
ータ再配置部(CDR;Color Data Rea
rrangement)41でデータバッファリングと
並べ替えとを行う。カラーデータ再配置部41ではカラ
ーのスキャンに応じた並べ替えの他、パルスドプラ(P
W)や連続波ドプラ(CW)のデータのバッファリング
とカラードプラ/スペクトラムドプラ同時モード時のC
DR出力の制御を行う。このカラーデータ再配置部41
の出力にはヘッダ情報がつけられ後段での処理に応じて
パケット化を行い出力される。
【0054】カラーデータ再配置部41の出力は、前処
理部42に入力される。ここでは主に3種類の信号処理
を行う。まず前段ハイパスフィルタでDC(直流成分)
や振幅の大きな低周波のクラッタ成分を除去し、後段の
ダイナミックレンジを狭くとっても飽和が起こり難くす
る。ただし、後段のダイナミックレンジが十分あれば不
要である。なお、前段ハイパスフィルタの出力をドプラ
のオーディオ処理に入力する可能性がありそこでは時間
軸上の処理で広いダイナミックレンジがとれないため必
要であり、後段の適応制御部44の入力としてDC成分
を落としておいたほうが良い。
【0055】前処理部42において、前段ハイパスフィ
ルタを通過した信号は外挿補間部で実際の入力データよ
りも外挿により多くのデータを出力する。カラーの1画
素の血流情報を得るためのデータ数をNとすると後段の
窓処理で重み付けされるため端部の情報の欠落を補うた
めにあらかじめ外挿し、例えば2×N個にして出力す
る。この際、中心部は真のデータNであるが端部は中心
部から外挿関数によって推定した値を埋め込む。
【0056】この外挿補間部の出力は、次のウインドウ
処理部(窓関数処理部)に入力される。ここではハニン
グ(Hanning)、ハミング(Hamming)、
ブラックマン(Blackmann)、カイザー(Ka
iser)などの一般的な窓関数を自由に設定できる機
能があり、入力データに窓関数を掛ける。これによりス
ペクトラムドプラのサイドローブを落とす効果がある。
【0057】前処理部42の出力は、複素高速フーリエ
変換部(CFFT;ComplexFast Four
ier Transform)43と、適応制御部44
とに入力される。適応制御部44は、ローパスフィルタ
(LPF)と自己相関処理部(AC)とを有し、自己相
関によるクラッタ成分の平均速度Vacと、自己相関に
よるクラッタ成分の分散Tacと、自己相関によるクラ
ッタ成分のパワーPacとを計算し出力する。
【0058】複素高速フーリエ変換部43では、カラー
のデータ数Nに対して外挿、窓関数によって処理された
2×N個よりも大きな2のべき乗データでのフーリエ変
換処理を行う。このとき2のべき乗データのデータのな
い部分は0を挿入し、FFTデータ数を補う。複素高速
フーリエ変換部43からは、パワースペクトラム系列の
データが出力される。パワースペクトラム系列の出力以
外に複素数のスペクトラムドプラを出力することも可能
である。
【0059】複素高速フーリエ変換部43の出力は、適
応型後段ハイパスフィルタ(Adaptive Pos
t HPF)45に入力される。ここではもうひとつの
入力である自己相関によるクラッタ成分の平均速度Va
c,自己相関によるクラッタ成分のパワーPac,自己
相関によるクラッタ成分の分散Tacのパラメータによ
り、クラッタ成分のパワースペクトラムを正規分布にモ
デル化し、複素高速フーリエ変換部43のスペクトラム
系列から引き算することによって、周波数空間上でクラ
ッタ成分をダイナミックに除去することが可能である。
つまり、スペクトラム(周波数空間)上でクラッタ成分
をダイレクトに除去することが可能である。適応型後段
ハイパスフィルタ45からは、クラッタ成分を高精度で
除去した対象(血流)に関するパワースペクトラム(も
しくは複素スペクトラムドプラ)の系列Pmが出力され
る。複素高速フーリエ変換部43の出力段ではスペクト
ラムの距離方向の平滑化を行い、距離方向に滑らかなス
ペクトラム系列を得る。
【0060】複素高速フーリエ変換部43から出力され
るスペクトラム系列Pmと、自己相関によるクラッタ成
分の平均速度Vac,自己相関によるクラッタ成分のパ
ワーPac,自己相関によるクラッタ成分の分散Tac
と、制御用のパケットのヘッダー情報とが、次のアンギ
オ処理部(Angio)46に入力される。アンギオ処
理部46は、アンギオ用フレームメモリ47を持ち、ス
ペクトラム系列データPm,自己相関によるクラッタ成
分の平均速度Vac,自己相関によるクラッタ成分のパ
ワーPac,自己相関によるクラッタ成分の分散Tac
を独立な次元の値として処理する。
【0061】図8(c)に、アンギオ用フレームメモリ
47の1画素単位のデータの構成を示した。図8(b)
が従来装置のアンギオ用フレームメモリのデータである
が、本発明のアンギオ用フレームメモリ47のデータの
構成は図8(c)に示すようにスペクトラム系列データ
Pm,自己相関によるクラッタ成分の平均速度Vac,
自己相関によるクラッタ成分のパワーPac,自己相関
によるクラッタ成分の分散Tac,IP(ヘッダ情報の
一部で画素の深さ方向のアドレスY、方位方向のアドレ
スX、時間方向のアドレスT、スキャンモードデータな
ど)で構成されている。データの型も、本例では、単精
度フローティングを使用しているが、ダイナミックレン
ジに応じて如何様にもできる。なお、図8(a)は従来
装置のDSCのフレームメモリの画素単位のカラードプ
ラのデータ構成を示している。
【0062】これらのスペクトラム系列データPm,自
己相関によるクラッタ成分の平均速度Vac,自己相関
によるクラッタ成分のパワーPac,自己相関によるク
ラッタ成分の分散Tacのそれぞれに対して空間的且つ
時間的な平滑化を行う。その関数はグリーン関数で、そ
の係数はプローブ1やパルス繰り返し周波数(PRF)
や送信条件(フォーカス、送信波形等)で設定がかわ
り、距離方向とクラッタ成分の情報とに対して、ダイナ
ミックに変化させることが可能で画質の均質化と感度を
最適化するために用いる。
【0063】上記グリーン関数の係数とは具体的に空間
方向は2次元のカーネルフィルタの重み付け、時間軸方
向にはフィルタの応答(時定数)を変化させる。クラッ
タ成分のパワーが大きい時には空間的にも時間的にも平
滑化の度合いを小さくすることでクラッタを低減させ
る。
【0064】アンギオ処理部46からスペクトラム/V
PT計算部(Spect.VTPcal)48には、平
滑化(アベレージング)されたスペクトラム系列データ
APmが出力され、また後処理部(Post Pro
c.)49には、平滑化された自己相関によるクラッタ
成分のパワーAPacと、平滑化された自己相関による
クラッタ成分の平均速度AVacと、平滑化された自己
相関によるクラッタ成分の分散ATacとが出力され
る。スペクトラム/VPT計算部48では、平滑化(ア
ベレージング)されたスペクトラム系列データAPmか
ら血流成分の平均流速Vfft、血流成分のパワーPf
ft、血流成分の分散Tfftを計算し出力する。
【0065】上記以外にスペクトラムドプラ計算の特質
を生かしてV+ ,V- ,P+ ,P-表示や前段のアンギ
オ処理部46と連動してPI,RIの計算が可能であ
る。
【0066】後処理部49では、血流成分の平均流速V
fftと、血流成分のパワー速Pfftと、血流成分の
分散Tfftと、平滑化されたクラッタ成分の平均速度
AVacと、平滑化されたクラッタ成分のパワーAPa
cと、平滑化されたクラッタ成分の分散ATacと、平
滑化されたスペクトラム系列データAPmとを入力し、
移動平均処理(Moving AV)、PWドプラ用の
レンジゲート積分処理(PW RG.)、ブランク処理
(Blank)などを行う。
【0067】移動平均処理では、カラードプラやカラー
アンギオの信号に対してブランク信号処理と連動して、
クラッタやノイズ成分を除去する処理を行い、またPW
ドプラ信号に対しては距離方向、方位方向に対して2次
元的な重み付け積分を行い、レンジゲート(RG)を従
来のような1次元ではなく距離方向と方位方向とに拡が
ったROI化(広域化)して、その形状をサンプリング
する生体部位にマッチさせることができる。ブランク信
号処理は、血流成分のVfft,Pfft,Tfftの
情報以外に、クラッタ成分の平均速度AVac、クラッ
タ成分のパワーAPac、クラッタ成分の分散ATac
の情報を基に、クラッタとノイズの除去をより明確にで
き、クラッタやノイズ成分をブランクする。
【0068】後処理部49の出力は、出力バッファマル
チプレクサ(OB MUX)50に入力され、操作者指
示に応じた表示モード(カラードプラ/カラーアンギオ
/スペクトラムドプラ)にあわせて出力データを切り替
える。また、後段のディジタルスキャンコンバータ4、
5に転送するタイミングをあわせるため時間緩衝の機能
を持つ。
【0069】以上のように、FFT法(高速フーリエ変
換法)を、カラードプラ/カラーアンギオ/スペクトラ
ムドプラで共有させて、スペクトラム系列を2次元で取
得することができるので、時間軸で適応処理していたク
ラッタフィルタの信号処理を、周波数空間上で行い、フ
レームメモリ47にスペクトラム系列(パワースペクト
ラムもしくは複素数のスペクトラム)のフォームで保存
し、周波数単位でパワーを計算し、そしてその結果を基
に平均速度等の推定を行うことができるため、血流信号
がクラッタに引っ張られることなく、しかも信号処理途
中にデータの切り捨てがなく滑らかな画像が得られる。
しかもカラードプラ/カラーアンギオ/スペクトラムド
プラ信号処理を、FFTという同一の系で同一の信号処
理で実現できるため、ハードやプロセッサの負担が軽く
なる。
【0070】また、従来では、図9(a)に示すよう
に、PWドプラでのレンジゲートは1本のラスタ上の1
次元範囲に制限されていたが、本実施形態では、アンギ
オ用フレームメモリ47にはスペクトラム系列Pmが2
次元情報として蓄えられているため、後処理部49にお
いて、図9(b)に示すように、レンジゲートを深さ方
向及び方位方向それぞれに関して任意の幅に設定して、
つまり任意の位置に任意の大きさで関心領域ROIとし
て設定し、両方向に2次元的に重み付け積分をかけて、
スペクトラムドプラモードのスペクトラム系列を得るこ
とができる(レンジゲートのROI化)。しかもその範
囲内の血流成分のパワーPfft(x,y)に対して任
意の重み付けを両方向にかけて加算し、プローブ1の送
受信音場による感度補正等をすることができる。
【0071】図10には、本実施形態で採用可能な2次
元的なレンジゲートとその感度分布について示してい
る。図10(a)は従来同様の1次元のレンジゲートマ
ークで、同図(b)にその感度分布を示している。この
1次元のレンジゲートでは深さ方向に1次元的なサンプ
リングのため、マークは深さ方向の幅のみを示し、その
深さに応じた送受信の音場により感度分布が一意に決ま
ってしまう。その形状は概ねティアドロップ状でフォー
カスの影響でレンジゲートの場所によっては方位方向の
感度が広がって、スペクトラム成分のブロードニング等
の悪影響を及ぼすこともあった。
【0072】本実施形態では、スペクトラム情報が2次
元で得られるので、2次元のレンジゲートを採用するこ
とができる。図10(c)、図10(e)、図10
(g)、図10(i)に2次元のレンジゲートの一例
(球形、ピラミッド形、均一方形、均一円形)を示し、
それぞれの感度分布を図10(d)、図10(f)、図
10(h)、図10(j)に示している。実際の計算と
しては、後処理部33で、
【0073】
【数11】
【0074】の重み付け加算処理を行う。ここで、(x
0 、y0 )は、レンジゲートマークの表示座標の中心点
であり、Piはフレームメモリ47から出力されるPm
(パワースペクトラム系列)、SPiは重み付けされた
スペクトラムデータである。W(x、y)は重み付け関
数であり、位置に応じて重み係数を変えられるようにな
っている。適当な重み付け関数により、送受信音場の影
響を補正することも可能である。W(x、y)は、(2
m+1)×(2n+1)画素分の大きさを持つため、
m、nのパラメータを変化させ、レンジゲートマークの
大きさを深さ方向と方位方向とに任意に変更することが
できる。
【0075】ここで、スペクトラムドプラの新規なイン
デックスとして、後処理部49でVFFT が2次元で得ら
れているので、それらをドプラのレンジゲート形状で重
み付け加算すれば、SVmean(VFFT の空間的平均流
速)、SVmax (VFFT のレンジゲート内最大流速)、
VV(VFFT のレンジゲート内のばらつき)を、
【0076】
【数12】
【0077】として計算することができる。(19)式
のSVmeanの重み付け関数W(x、y)は、(18)式
と同じであり、表示座標(x0 ,y0 )を中心とした
(2m+1)×(2n+1)サイズのカーネル部分であ
る。(20)式のmax()関数は、(2m+1)×
(2n+1)領域の中のVFFT の最大値を抽出する関数
である。目的によっては、W(x、y)の重み関数を掛
けるようにしてもよい。
【0078】(19)式のSVmeanと、(20)式のS
Vmax は、従来のスペクトラムドプラのインデックスV
mean、Vmax が、レンジゲート積分後の1次元情報から
得たインデックスであるのに対して、2次元情報から得
たインデックスであるので、計測精度が格段に向上す
る。
【0079】これら新規なインデックスSVmean(VFF
T の空間的平均流速)、SVmax (VFFT のレンジゲー
ト内最大流速)、VV(VFFT のレンジゲート内のばら
つき)は、後処理部49で計算された2次元のVFFT を
使って計算される。図2に示した自己相関とFFTとに
比較結果から分かるように、ノイズが小さいときには、
VFFT は、VACに比べて、小さな値になってしまう。こ
のときVFFT は平均流速という意味では、正確に計算さ
れているが、見かけ上の感度では、VFFT よりも、自己
相関によるVACの方が、値としては高いので、観察者に
実力以上に好印象を与えることもある。
【0080】VFFT の計算式は、
【0081】
【数13】
【0082】で1次モーメントを意味しているので、こ
の重み付け関数f(i)を、図11(a)のP1(オリ
ジナル)を、図11(b)のガンマ様曲線に変形するよ
うに、例えば、f(i)=α・i3 を与えることで、ド
プラ信号の感度が十分なときにはクラッタに引っ張られ
ない特性を得ることができる。図11(c)にシュミレ
ーション結果を示した。これから本発明の妥当性が分か
る。なお、図11(c)は、VFFT とVACと1次モーメ
ント補正V1FFTの比較であり、2周波数入力モデルでク
ラッタ成分と信号成分とのパワー差による計算精度への
影響を調査した結果である。なお、縦軸において、VF
は、FFT法により得た平均流速であり、VA はAC法
により得た平均流速であり、V1Fは1次モーメントに補
正をかけたFFT法による平均流速を示している。ここ
では、クラッタ成分の周波数はπ/64とし、信号成分
の周波数は15・π/64とした。また、横軸におい
て、1ステップ1dBで信号パワー/クラッタパワーの
比を+30dBから−20dBまでスィープしている。
また、目盛り20で信号パワーとクラッタパワーが同じ
レベル(0dB)になる。このパワー比0dBを境に、
AC法による平均流速計算では、FFT法に比べて、ク
ラッタパワーが増大するにつれ低いほうへ引っ張られて
しまう。f(i)=α・i3 なるカーブをV1Fで使用し
た例で、実際には、α=1.22程度の補正を使用し
た。
【0083】また、図12,図13に示すように、適応
型制御部44の出力Vac、Pac、Tacはハイパス
フィルタ45を通っていないため、クラッタ成分の平均
速度/パワー/分散に対応するが、計算部48の出力V
fft、Pfft、Tfftはハイパスフィルタ45を
通過しているので、血流成分の平均速度/パワー/分散
に対応している。つまり、必ずPac≧Pfftとな
り、また多くの場合、Vfft≧Vacとなる。従っ
て、α・Vac以下(αはプリセットされた係数)にな
る点だけを、高確率でクラッタ成分が支配的である点と
してブランクすることができる。これにより従来のDS
C4前でのブランク処理で欠落していた情報が欠落せ
ず、最終のRGBルックアップテーブル6まで保存され
るので、感度のよい画像が得られる。
【0084】また、適応型後HPF45では、図14
(a)に示す理想的なフィルタ特性に、図14(b)に
示すFFT43のデータ数Nの時間窓の影響を考慮した
特性をコンボリューションした図14(c)に示すフィ
ルタ特性に従ってフィルタすることにより、低周波数成
分の広がりも最適化することができる。
【0085】また、適応型後HPF45において、図1
5(b)に示す自己相関により得たクラッタ成分のVa
c,Pac,Tacから正規分布のクラッタモデルを計
算し、それを図15(a)に示すFFT43からのスペ
クトラム系列から減算する、つまり自己相関結果から計
算したクラッタモデルをスペクトラム系列から周波数空
間上でダイレクトに引き算することにより、図15
(c)に示すように平均速度等のクラッタ成分によるD
C側への引っ張られがなくなり、またクラッタ成分を高
精度に除去した血流成分に関するスペクトラム系列が高
精度で得られる。
【0086】ここで、図16(a)に示すように、クラ
ッタ成分が十分大きいときには、図16(b)の自己相
関結果から正規分布で近似するクラッタモデルは比較的
信頼性が高く、図16(c)に示すようにクラッタ除去
特性は良好で、血流成分のみを比較的高精度に抽出でき
る。しかし、腹部血流等では、図16(d)に示すよう
に、クラッタが比較的小さく、この場合には、図16
(e)に示すように、その自己相関結果から正規分布で
近似するクラッタモデルは実際には血流成分のモデルに
近似的になってしまうので、図16(f)に示すよう
に、血流成分が消去されてしまう可能性がある。
【0087】これを回避するために、例えば図17に示
すようなVACの絶対値に応じて変動する補正関数W(|
VAC|)で図16(g)のようにクラッタモデルP′
(f)を補正することで、
【0088】
【数14】
【0089】図16(h)のように血流成分が消去され
てしまう事態を回避することができる。
【0090】また、アンギオ処理部46は、図18に示
すように、アンギオ用フレームメモリ47として方位方
向、深さ方向、時間軸方向に関する3次元バッファを持
っているので、例えば個の3軸に関するVacの積分に
よる線形な平滑化処理を考えた場合、例えば深さ方向に
深くなるに従い、その平滑化関数の積分定数を大きくす
ることで、つまり、クラッタ成分に関する平均速度とパ
ワーと深さとに応じた平滑化関数に従って血流に関する
平均速度、パワー、分散をフレーム平滑化することで、
黒ヌケのない滑らかな画像を得ることができる。また、
自己相関によるクラッタ成分のパワーPacが大きいと
き、その位置での積分定数を小さくして、クラッタ成分
の表示面積、残存時間を小さく且つ短くすることができ
る。Vac、Pacに応じて積分定数を変化させるよう
にしてもよい。
【0091】本発明は、上述した実施形態に限定される
ことなく、種々変形して実施可能である。従来のカラー
ドプラやカラーアンギオでは、自己相関法による平均流
速やパワー(トータルパワー)が正側成分/負側成分が
混在した状態で計算されていた。例えば、本実施形態で
は、パワースペクトラムが2次元で得られているので、
任意の周波数成分を取り出して、平均流速やパワー(ト
ータルパワー)を計算することができる。従って、ゼロ
シフト量に応じた正側のパワー成分、負側のパワー成分
のみを選択的に抽出することができる。
【0092】図19(a)にオリジナルのスペクトラム
分布を示している。自己相関法では、上述した(7)式
より、Q0なるトータルパワーが得られるが、(3)式
に示す計算仮定上、正負を区別できずに混在してしま
う。また、自己相関法では、(8)式のQ1なる平均速
度においても、(4)式の計算過程上、正負両方のベク
トルの合成として計算されるため、ドプラの感度が低
く、ノイズに埋もれた血流信号では血流抽出が困難にな
る。
【0093】そこで、図19(b)、図19(c)に示
すように、FFT法ではスペクトラムが得られるので、
正側速度、正側パワー、負側速度、負側パワーを分離で
きる。これにより、正側速度V+ 、正側パワーP+ 、負
側速度V- 、負側パワーP-を、
【0094】
【数15】
【0095】のように計算することができる。
【0096】こうして得られた正側速度V+ 、正側パワ
ーP+ 、負側速度V- 、負側パワーP- を、本来のVFF
T やPFFT の代わりに切り換えて表示する。この切り換
え条件を、図20に示す。これにより図2に示すよう
に、従来の自己相関法でクラッタに平均流速が引っ張ら
れることも、FFT法でノイズに平均流速が引っ張られ
ることもなくなり、微弱な血流信号の検出が可能とな
り、カラードプラやアンギオの診断能が向上する。
【0097】さらに、カラードプラやアンギオのゼロシ
フトを定義し直すと、ゼロシフト時に、従来に比べて、
パワーと平均流速の正確性が向上する。従来のカラード
プラのゼロシフトは、周波数解析後のVAC(自己相関に
よる平均流速)を、ディジタルスキャンコンバータで表
示する際の色付けを行うLUT(ルックアップテーブ
ル)で色調と流速との対応付けを変化させているため、
順流と逆流とが混在する信号の場合、それが折り返りを
起こす流速で発生したものなのか、単純に順逆が混在し
ているのか何れであるかを判別し難かった。
【0098】本方式によると、ゼロシフトに応じて、
(15)式に示すように、1次モーメントの荷重をナイ
キスト(fs /2、−fs /2;fs はサンプリング周
波数)より長くしてかけることができるので、平均流速
の計算精度が向上する。図21(a)はゼロシフトをか
けないときの例であり、(15)式のように、正負対称
の1次モーメントによる重みがかかり、計算範囲は−f
s /2から+fs /2までの範囲になる。一方、図21
(b)は、ゼロシフトを+fz を与えたときの計算範囲
を示していて、それは、−fs /2+fz から+fs /
2+fz の範囲であり、ゼロシフト時の平均流速VFFT
は、
【0099】
【数16】
【0100】となり、図21(e)に示したように、折
り返りを考慮した正確なVFFT が得られる。この図21
(e)は、VFFT とVACとで+π/2のゼロシフトの比
較を示しており、周波数スィープで0から2・πまで周
波数を変化させた。縦軸において、VF は、FFT法に
よる平均流速、VA はAC法による平均流速、V0Fは+
π/2のゼロシフトしたFFT法による平均流速を表し
ている。一方、横軸において、周波数スィープは0から
2・π(0からfs まで)とした。FFT法のゼロシフ
トでは、+π/2シフトさせた量に応じて平均流速が+
0.5を越えて、+0.75まで延びる。
【0101】なお、図21(c)にはゼロシフトのない
ときの図21(a)の重みに対応する1次モーメントを
示し、図21(d)にはゼロシフト+fz のないときの
図21(b)の重みに対応する1次モーメントを示して
いる。これにより、従来の自己相関法の平均流速VACが
表示色の対応付けの変更で、ゼロシフトを実現していた
のに対して、本方式では、全く正解な計算結果が得られ
るため、折り返し血流の判別が正確にできる。従来は、
乱流領域は、ノイズ領域と同じで、順逆の区別がつかな
かったが、本方式により、より明確に順逆の血流を判別
することができる。
【0102】また、ECG(心電信号)で心拍同期をと
ってインデックスPI(PulsatilityIndex) 、RI(Resi
stance Index)を計算し、それをカラーマッピングする
ことも考えられる。スペクトラムが2次元で得られてい
ることをベースとして、発展させることができる。後処
理部49で、ECGのR波をトリガにして、2次元マッ
プ上の各点のスペクトラムのECGトリガ時のVFFT 値
をVED、次のECGトリガがくるまでのVFFT の最大
値をVps、最小値をVMINとし、比較計算し、各点の代
表的な値を逐次蓄えておく機能と、それを基にしてP
I,RIをECGトリガ毎に出力し、表示する機能を持
たせてもよい。
【0103】図22のECGトリガt1で、トリガがか
かり、次のトリガt2までの時間をT2とし、t1時点
でのVFFT をVED、t1からt2までの期間のVFFTの
最大値をVps、最小値をVMINとした場合、
【0104】
【数17】
【0105】を逐次蓄えておき、それらを基にインデッ
クスPI,RIを逐次計算し、2次元マッピングする。
【0106】
【数18】
【0107】(35)式、(37)式のインデックスは
VEDをベースとしたPI,RIであり、(35)式、
(37)式のインデックスはVMIN をベースとしたP
I,RIである。
【0108】なお、(30)式乃至(34)式を計算す
る際に、VFFT(t)の時間変化の値を利用した方が、特に
平均流速以外にスペクトラムの最大パワーをプロットし
た最大流速の波形を基にしたものでもよい。それには様
々なバリエーションが考えられ、PI,RI以外に、例
えば、SAT(Systolic Acceleration Ratio) 、図22
中のT1に相当するものや、SAR(Systolic Accelera
tion Ratio) がある。
【0109】
【数19】
【0110】この(39)式のような収縮期の加速度を
パラメータ化したものや、ATI(Acceleration Time I
ndex)
【0111】
【数20】
【0112】のような加速期間をパラメータとしたもの
がバリエーションとして考えられる。
【0113】上記PI,RI,SAT,SAR,ATI
等の血流インデックスの2次元カラーマッピング化によ
り血管狭窄の重症度判定や末梢血管抵抗性判定が容易に
なり、従来、スペクトラムドプラで1点の波形解析をし
ていたところが、2次元でECG同期のリアルタイムで
可視化することができる。
【0114】
【発明の効果】本発明によれば、フーリエ変換によりス
ペクトラム系列を2次元情報として取得するので、カラ
ードプラ/カラーアンギオ/スペクトラムドプラを同一
の系で同一の信号処理で実現でき、ハードやプロセッサ
の負担が軽くなる。
【0115】また、従来ではPWドプラでのレンジゲー
トは1本のラスタ上の1次元範囲に制限されていたが、
本発明では、レンジゲートをROI化することができ
る。
【0116】また、本発明では、自己相関及びローパス
フィルタの出力は、ハイパスフィルタを通っていないた
め、クラッタ成分の平均速度/パワー/分散に対応す
る。なお、必ず、クラッタ成分のパワー≧FFTによる
血流のパワーとなり、また多くの場合、FFTによる血
流の平均速度≧クラッタ成分の平均速度となるので、こ
れに基づいて、血流に関するパワーがクラッタ成分に関
するパワー以上になる点、血流に関する平均速度がクラ
ッタ成分に関する平均速度以下になる点をクラッタ成分
が支配的である点として高精度でブランクすることがで
きる。
【0117】また、本発明では、自己相関により得たク
ラッタ成分の平均速度、パワー、分散からクラッタ成分
のスペクトラム系列を正規分布としてモデル化すること
ができる。従って、FFTで求めたスペクトラム系列か
ら、クラッタ成分のスペクトラム系列正規分布モデルを
減算することにより、平均速度等のクラッタ成分による
DC側への引っ張られがなくなり、またクラッタ成分を
高精度に除去した血流成分に関するスペクトラム系列が
高精度で得られる。
【0118】また、本発明によれば、クラッタ成分に関
する平均速度とパワーと深さとに応じた平滑化関数に従
って血流に関する平均速度、パワー、分散をフレーム平
滑化するので、クラッタ成分の表示面積、残存時間を小
さく且つ短くして、黒ヌケのない滑らかな画像を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、自己相関法(AC法)とFF
T法との計算ブロックを示す図。
【図2】本発明において、自己相関法(AC法)とFF
T法との平均流速に関する比較と、分散に関する比較と
を示す図。
【図3】図2に対応するシュミレーション結果を示す
図。
【図4】図2に対応するシュミレーション結果を示す
図。
【図5】本発明の一実施形態に係る超音波診断装置の構
成を示すブロック図。
【図6】本発明の一実施形態に係る超音波診断装置の他
の構成を示すブロック図。
【図7】図5のカラードプラ/カラーアンギオ/スペク
トラム処理ユニットの詳細な構成を示すブロック図。
【図8】図5のアンギオ用フレームメモリの1画素単位
のデータ構成を示す図。
【図9】図7の後処理部におけるスペクトラムドプラの
レンジゲートのROI化を示す図。
【図10】本実施形態における様々なレンジゲートマー
クとそれぞれの感度分布を示す図。
【図11】本実施形態において、1次モーメントP1 の
重みカーブを示す図。
【図12】図7の後処理部の入出力を示す図。
【図13】図7の後処理部のブランク処理の説明図。
【図14】図7の適応型後HPFのフィルタ特性を示す
図。
【図15】図7の適応型後HPFにおけるクラッタ成分
の除去処理の説明図。
【図16】本実施形態において、クラッタ除去の問題点
とその解決法の説明図。
【図17】図16の解決法で用いる補正カーブの一例を
示す図。
【図18】図7のアンギオ用フレームメモリのデータ構
造を示す模式図。
【図19】本実施形態において、新規な血流インデック
スの説明図。
【図20】図19の血流インデックスの表示例を示す
図。
【図21】本実施形態において、ゼロシフトの有無それ
ぞれのスペクトラム計算領域を示す図。
【図22】本実施形態において、ECGトリガ同期内の
ED、VPS、VMIN の表示例を示す図。
【図23】従来のカラードプラ/カラーアンギオ対応の
超音波診断装置の構成図。
【図24】従来のカラードプラ/カラーアンギオ対応の
超音波診断装置の他の構成図。
【符号の説明】
1…超音波プローブ、 2…送受信部、 3…カラードプラ/カラーアンギオ/スペクトラムドプ
ラ信号処理ユニット、 4…カラー用ディジタルスキャンコンバータ、 5…白黒用ディジタルスキャンコンバータ、 6…RGBルックアップテーブル、 7…ディスプレイ、 31…前処理部、 32…複素高速フーリエ変換部、 33…適応型後処理部、 34…適応型制御部、 35…アンギオ処理部、 36…アンギオ用フレームメモリ、 37…VPT計算部。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体に対して超音波を送受信する手段
    と、 前記送受信により得られたエコー信号からドプラ信号を
    検波する手段と、 前記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系
    列を2次元情報として求める手段と、 任意のROI内のスペクトラム系列を深さ方向及び方位
    方向それぞれに関して重み付け積分をすることによりス
    ペクトラムドプラモードに対応するスペクトラム系列を
    求める手段とを具備することを特徴とする超音波診断装
    置。
  2. 【請求項2】 被検体に対して超音波を送受信する手段
    と、 前記送受信により得られたエコー信号からドプラ信号を
    検波する手段と、 前記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系
    列を2次元情報として求める手段と、 前記スペクトラム系列から血流に関する平均速度、パワ
    ー、分散を2次元情報として求める手段と、 前記ドプラ信号に対して自己相関処理及びローパスフィ
    ルタをかけてクラッタ成分に関する平均速度、パワー、
    分散を2次元情報として求める手段と、 前記クラッタ成分に関する平均速度、パワー、分散の少
    なくとも1つを、前記血流に関する平均速度、パワー、
    分散の少なくとも1つと比較して、血流信号とクラッタ
    成分とノイズとを判別する手段と、 前記クラッタ成分又はノイズと判別された点をブランク
    する手段とを具備することを特徴とする超音波診断装
    置。
  3. 【請求項3】 被検体に対して超音波を送受信する手段
    と、 前記送受信により得られたエコー信号からドプラ信号を
    検波する手段と、 前記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系
    列を2次元情報として求める手段と、 前記ドプラ信号に対して自己相関処理及びローパスフィ
    ルタをかけてクラッタ成分に関する平均速度、パワー、
    分散を2次元情報として求める手段と、 前記クラッタ成分に関する平均速度、パワー、分散に基
    づいてクラッタ成分のスペクトラム系列正規分布モデル
    を計算し、前記スペクトラム系列から減算する手段と、 前記減算されたスペクトラム系列から血流に関する平均
    速度、パワー、分散を2次元情報として求める手段とを
    具備することを特徴とする超音波診断装置。
  4. 【請求項4】 被検体に対して超音波を送受信する手段
    と、 前記送受信により得られたエコー信号からドプラ信号を
    検波する手段と、 前記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系
    列を2次元情報として求める手段と、 前記スペクトラム系列から血流に関する平均速度、パワ
    ー、分散を2次元情報として求める手段と、 前記ドプラ信号に対して自己相関処理及びローパスフィ
    ルタをかけてクラッタ成分に関する平均速度、パワー、
    分散を2次元情報として求める手段と、 前記クラッタ成分に関する平均速度とパワーと深さとに
    応じた平滑化関数に従って前記血流に関する平均速度、
    パワー、分散を空間的且つ時間的に平滑化する手段とを
    具備することを特徴とする超音波診断装置。
  5. 【請求項5】 被検体に対して超音波を送受信する手段
    と、 前記送受信により得られたエコー信号からドプラ信号を
    検波する手段と、 前記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系
    列を2次元情報として求める手段と、 前記スペクトラム系列から血流に関する平均速度を2次
    元情報として求める手段と、 前記2次元関心領域内の複数点の平均速度を重み付け加
    算して血流インデックスを計算する手段とを具備するこ
    とを特徴とする超音波診断装置。
  6. 【請求項6】 被検体に対して超音波を送受信する手段
    と、 前記送受信により得られたエコー信号からドプラ信号を
    検波する手段と、 前記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系
    列を2次元情報として求める手段と、 前記スペクトラム系列から血流に関する平均速度を2次
    元情報として求める手段と、 前記2次元関心領域内の複数点の平均速度の中の最大値
    を血流インデックスとして抽出する手段とを具備するこ
    とを特徴とする超音波診断装置。
  7. 【請求項7】 被検体に対して超音波を送受信する手段
    と、 前記送受信により得られたエコー信号からドプラ信号を
    検波する手段と、 前記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系
    列を2次元情報として求める手段と、 前記スペクトラム系列から血流に関する平均速度を2次
    元情報として求める手段と、 前記2次元関心領域内の複数点の平均速度のバラツキを
    血流インデックスを計算する手段とを具備することを特
    徴とする超音波診断装置。
  8. 【請求項8】 被検体に対して超音波を送受信する手段
    と、 前記送受信により得られたエコー信号からドプラ信号を
    検波する手段と、 前記ドプラ信号からフーリエ変換によりスペクトラム系
    列を2次元情報として求める手段と、 前記スペクトラム系列から血流に関するパワーP(i) を
    求める手段と、平均速度VFFT を、 VFFT =P1/P0 ただし、P1は、パワーP(i) の重み付け加算値 P0は、トータルパワー により計算する手段とを具備し、 前記パワーP(i) にかける重み付け関数は、変数iの多
    次方程式で与えられることを特徴とする超音波診断装
    置。
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