JP2000353529A - 高分子膜への炭素薄膜の形成方法およびこの方法を利用した固体高分子型燃料電池の製造方法 - Google Patents

高分子膜への炭素薄膜の形成方法およびこの方法を利用した固体高分子型燃料電池の製造方法

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JP2000353529A
JP2000353529A JP11165328A JP16532899A JP2000353529A JP 2000353529 A JP2000353529 A JP 2000353529A JP 11165328 A JP11165328 A JP 11165328A JP 16532899 A JP16532899 A JP 16532899A JP 2000353529 A JP2000353529 A JP 2000353529A
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carbon thin
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polymer film
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Harumichi Nakanishi
治通 中西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 撥水シート上に確実に炭素薄膜を形成すると
ともに、この炭素薄膜を精度良く高分子膜に転写できる
方法、およびこの方法を利用して製造される固体高分子
型燃料電池を提供する。 【解決手段】 撥水性に優れるブランクシート2に炭素
薄膜20を形成した後に、この炭素薄膜20を高分子膜43に
転写することにより行われる高分子膜への炭素薄膜の形
成方法において、高分子膜43への炭素薄膜20の転写を、
ブランクシート2と高分子膜43とを異なる温度に加熱し
た状態、たとえば高分子膜43の加熱温度を当該高分子膜
43のガラス転移温度よりも低い温度とし、ブランクシー
ト2の加熱温度を、高分子膜43のガラス転移温度よりも
高く、当該ブランクシート2の融点よりも低い温度に加
熱した状態で炭素薄膜20を高分子膜43に押圧した後、ブ
ランクシート2を剥離することにより行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子膜への炭素
薄膜の形成方法およびこの方法を利用して固体高分子膜
上に触媒層を形成する固体高分子型燃料電池の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、負極活物質としての水素
を、プラチナ(白金)などの触媒と接触させて電子とプ
ロトンに解離した後、このプロトンを正極活物質として
の酸素と反応させて水が得られるという反応機構に基づ
いている。すなわち、燃料電池では、水素ガスから放出
された電子の移動により起電力が生じるようになされて
いる。
【0003】このような原理により起電力を生じる燃料
電池もまた、一般的な電池と同様に、正極、負極および
電解質を有しており、その電解質の種類により、アルカ
リ型、固体高分子型、リン酸型、溶融炭酸塩型および固
体酸化物型などに大別できる。たとえば、固体高分子型
の燃料電池では、正極および負極の間に、固体高分子と
してのイオン交換膜が、その両面に触媒層が設けられた
状態で介在させられた構成とされる。各触媒層は、たと
えば炭素粒にプラチナなどの触媒を担持させた触媒粒に
より多孔質層として構成されている。
【0004】このような触媒層は、燃料電池の厚みや使
用される触媒量の低減を目的として、もしくはガスを通
し易くするため、極力薄く形成することが望まれる。そ
こで、撥水シート上にインクを塗布した後にインクの溶
剤成分を飛ばして炭素薄膜を形成し、この炭素薄膜をイ
オン交換膜上に転写して触媒層とする方法が提案されて
いる。この方法では、先に、撥水シート上にインクを塗
布・乾燥させて成膜するようになされている。撥水シー
ト上には、大きな厚みに液体を塗布することができない
ことから、結局、撥水シート上には薄い炭素膜を形成す
ることが可能である。そればかりか、インクの溶剤成分
を撥水シート上において飛ばしてしているので、イオン
交換膜がインクの溶剤成分によって被毒しないといった
利点もある。そして、このようにして形成された炭素薄
膜は、この炭素薄膜とイオン交換膜とが接触した状態
で、たとえば各々が160℃程度に加熱された一対のプ
レス型に挟み込ん加熱・押圧することにより、イオン交
換膜上に転写される。つまり、撥水シート上に形成され
た炭素薄膜の厚みに応じた触媒層がイオン交換膜上に転
写されることから、イオン交換膜上には厚みの小さい触
媒層を形成することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た触媒層の形成方法としては、撥水シート上に炭素薄膜
を形成するのは必ずしも容易ではなく、たとえ炭素薄膜
が良好に形成されたとしても、これをイオン交換膜に対
して適切に転写するのは困難である。
【0006】すなわち、第1に、撥水シートは当然に濡
れ性が悪いため、一定の平面的な広がりをもってインク
を塗布するのが困難であり、所望通りに炭素薄膜を形成
するのが容易ではない。第2に、イオン交換膜に炭素薄
膜が確実に接着されないといった問題がある。この原因
としては、転写時におけるイオン交換膜内の水分の存
在、炭素薄膜内の不純物の存在、あるいは転写時に撥水
シートやイオン交換膜に加えられる圧力の大きさなどが
考えらえるが、本発明者がこれらの原因を極力除去した
状態で転写を行ってみたが、根本的な解決には至らなか
った。
【0007】本発明は、上記した事情のもとで考え出さ
れたものであって、撥水シート上に確実に炭素薄膜を形
成するとともに、この炭素薄膜を精度良く高分子膜に転
写できる方法、およびこの方法を利用した固体高分子型
燃料電池の製造方法を提供することをその課題としてい
る。
【0008】
【発明の開示】上記の課題を解決するため、本発明で
は、次の技術的手段を講じている。
【0009】すなわち、本発明の第1の側面により提供
される高分子膜への炭素薄膜の形成方法は、撥水性に優
れるブランクシートに炭素薄膜を形成した後に、この炭
素薄膜を高分子膜に転写することにより行われる高分子
膜への炭素薄膜の形成方法であって、高分子膜への炭素
薄膜の転写は、ブランクシートと高分子膜とを異なる温
度に加熱した状態で炭素薄膜を高分子膜に押圧した後、
高分子膜からブランクシートを剥離することにより行わ
れることを特徴としている。
【0010】従来においては、同一温度に加熱された一
対のプレス型間に高分子膜やブランクシートを挟持した
状態で、ブランクシートから高分子膜への炭素薄膜の転
写が行われていた。つまり、ブランクシートと高分子膜
とが同じ温度に加熱された状態で炭素薄膜の転写が行わ
れていた。ところが、炭素薄膜をブランクシートから適
切に剥離することができる温度と、炭素薄膜が高分子膜
に適切に接着される温度とが必ずし同程度であるとは限
らず、むしろ、これらの温度が同程度であることのほう
が考え難い。そこで、本発明者はこの点に着目し、転写
時におけるブランクシートおよび高分子膜の加熱温度
を、意図的に異なる温度とする本発明をするに至った。
【0011】すなわち、本発明においては、たとえばブ
ランクシートの加熱温度を、ブランクシートから炭素薄
膜を適切に剥離することができる温度範囲内に設定する
一方で、高分子膜の加熱温度を、炭素薄膜の接着に適し
た温度範囲内に設定することができる。このような温度
にブランクシートや高分子膜を加熱すれば、ブランクシ
ートからは炭素薄膜が適切に剥離されるとともに、高分
子膜に炭素薄膜が適切に接着されるのはいうまでもな
く、ブランクシートから高分子膜に対して、確実かつ再
現性良く炭素薄膜を転写することができる。
【0012】また、撥水性に優れるブランクシートに対
しては、高分子膜に対して直接炭素薄膜を形成する場合
と比較して、より薄い膜を形成することができるのは上
述した通りである。したがって、先にブランクシートに
炭素薄膜を形成した後に、この炭素薄膜を高分子膜に転
写する方法では、高分子膜に直接炭素薄膜を形成する場
合と比較して、より薄い膜を形成することができる。
【0013】炭素薄膜の転写時における高分子膜の加熱
温度、すなわち炭素薄膜が適切に接着される温度範囲と
しては、たとえば当該高分子膜のガラス転移温度よりに
低い温度が挙げられる。つまり、ガラス転移温度よりも
高い温度に高分子膜を加熱した場合には、高分子膜がゴ
ム状態となってしまい炭素薄膜の転写が困難となる。そ
の一方で、転写される炭素薄膜との接着性を高めるべ
く、高分子膜の表面がある程度軟化(ゴム状化)してい
ることが好ましいから、高分子膜をガラス転移温度に近
い温度に加熱した状態で、炭素薄膜の転写を行うのが好
ましい。
【0014】ブランクシートの加熱温度、すなわち炭素
薄膜を適切に剥離することができる温度としては、たと
えば高分子膜のガラス転移温度よりも高く、当該シート
の融点よりに低い温度が挙げられる。これは、高分子膜
のガラス転移温度よりも低い温度では、炭素薄膜とブラ
ンクシートとの間の結合を十分に切断することができな
い一方、ブランクシートの融点よりも高い温度ではブラ
ンクシートが溶けてしまい、またブランクシートが炭素
薄膜がこびりついて適切に剥離することができないから
である。
【0015】ブランクシートとしては、たとえばポリテ
トラフルオロエチレンやポリクロロトリフルオロエチレ
ンなどのフッ素樹脂製のものが挙げられ、高分子膜とし
ては、たとえばペルフルオロスルホン酸ポリマー製のも
のが挙げられる。この場合、転写時のブランクシートの
加熱温度は、150〜200℃程度とされ、高分子膜の
加熱温度は、80〜130℃とされる。
【0016】より具体的には、高分子膜への炭素薄膜の
転写は、たとえば150〜200℃に加熱されたプレス
型と、たとえば80〜130℃に加熱されたプレス型の
間に、炭素薄膜が形成されたブランクシートおよび高分
子膜を挟持することによって行われる。このとき、ブラ
ンクシートや高分子膜に加えられる圧力は、たとえば5
0〜100MPaとされ、その転写時間(加熱時間)
は、たとえば30〜300秒間とされる。
【0017】ここで、ブランクシートへの炭素薄膜の形
成は、たとえばブランクシートの表面をコロナ放電また
はプラズマ放電により処理した後に、当該処理面に炭素
を含むインクを塗布し、インクを乾燥ないし焼成するこ
とより行われる。
【0018】コロナ放電やプラズマ放電によりブランク
シートの表面を処理した場合には、シート表面の濡れ性
が改善されるため、ブランクシート表面に、一定の平面
的広がりをもって均一かつ薄く炭素薄膜を形成すること
ができる。
【0019】ブランクシートへのインクの塗布には、た
とえばスクリーン印刷、スピンコーティング、ロールコ
ーティングあるいはポッティングなどの手法が採用され
るが、とくにスクリーン印刷が好適に採用される。
【0020】インクとしては、炭素粉末(カーボンブラ
ック)を、たとえばグリセリンなどの有機溶媒に懸濁さ
せたコロイド溶液が好適に使用される。また、高分子膜
への転写の際に、炭素薄膜が高分子膜に好適に接着さ
れ、プロトンの膜への進入を良好にするため、インク内
に高分子膜を構成する高分子の単量体もしくは重合体を
混合しておくのが好ましい。
【0021】さらに、ブランクシートに炭素薄膜を形成
する別の方法としては、ブランクシートに1Hz〜40
0kHzの振動を与えた状態でインクを塗布し、インク
を乾燥ないし焼成する方法が挙げられる。好ましくは、
ブランクシートへのインクの塗布は一滴ずつ行われ、イ
ンクの乾燥はインクを一滴塗布するごとに行われる。
【0022】ブランクシートに振動、とくに超音波振動
を与えた状態では、ブランクシート表面の濡れ性が改善
される。このため、振動を付与しつつインクを塗布する
方法においても、ブランクシートの表面に均一かつ薄く
炭素薄膜を形成することができる。また、インクを一滴
塗布するごとにこのインクを乾燥させる方法では、必要
以上に当該シートの厚み方向にインクが塗布されること
もなく、インク滴の径に応じた厚みに炭素薄膜を形成す
ることができる。
【0023】また、本発明の第2の側面では、電解質と
しての固体高分子膜の両面に、それぞれ触媒層が設けら
れ、かつ上記固体高分子膜が一対の電極の間に介在させ
られた構成の固体高分子型燃料電池の製造方法であっ
て、上記触媒層を、触媒および炭素を有するインクを用
いた上述した本発明の第1の側面に記載した炭素薄膜の
形成方法により形成することを特徴とする、固体高分子
型燃料電池の製造方法が提供される。
【0024】上述したように、本発明の第1の側面にお
いて記載した炭素薄膜の形成方法を採用すれば、固体高
分子膜に対して直接的に炭素薄膜(触媒層)を形成する
場合と比較して、より厚みの小さい触媒層を形成するこ
とができる。これにより、固体高分子型燃料電池全体の
厚みを低減することができるばかりが、使用される触媒
量を少なくすることもできる。
【0025】ところで、上記構成の燃料電池では、一方
の触媒層(負極触媒層)において負極活物質としての水
素ガスが水素イオンと電子に解離され、水素イオンが固
体高分子膜を通過して他方の触媒層(正極触媒層)に移
動し、電子が一方の電極を介して燃料電池の外部に取り
出される。正極触媒層においては、正極活物質としての
酸素ガスが、燃料電池の外部から供給された電子や固体
高分子膜を通過して移動してきた水素イオンと反応して
水が生成する。そして、正極触媒層において生成した水
は、通常、電極側に移動するが、触媒層の厚みを小さく
設定しておけば、固体高分子膜への水の逆拡散を適切に
促進することができる。すなわち、本発明の製造方法に
より提供される固体高分子型燃料電池のように、触媒層
の厚みが低減されていれば、正極触媒層において生じた
水をイオン交換膜に逆拡散させてイオン交換膜を好適に
湿潤化することができる。また、正極触媒層において生
じた水を利用できれば、ガス流路、とくに酸素ガスの流
路に水が溜まってガスの流通が妨げられるといった事態
も適切に回避することができる。
【0026】なお、固体高分子膜は、水素イオンを選択
的に通過させるもの、具体的には、ポリスチレン系の陽
イオン交換膜、たとえばペルフルオロスルホン酸ポリマ
ーが好適に使用される。このポリマーは、水により湿潤
した場合にプロトン導電性を示すものであり、負極触媒
層において水素ガスの解離により生じたプロトン(水素
イオン)が水和した状態で透過し、正極触媒層に移動す
るようになされている。このため、正極触媒層において
生じた水を逆拡散させ、固体高分子膜を湿潤化できるこ
との意義は大きい。なお、固体高分子膜の厚みは、たと
えば0.13〜0.25mm程度に設定される。
【0027】また、本側面に係る製造方法で使用される
インクには、炭素粉末に加えて、触媒も含まれている必
要がある。この触媒は、たとえば予め炭素粉末や他の担
体に担持させておいてもよく、また炭素粉末などに担持
されていない状態(固体粉末やイオンの状態)でインク
内に共存させておいてもよい。なお、負極触媒層を構成
する触媒としては、たとえば白金、金、ニッケル、炭化
タングステンなどが挙げられ、正極触媒層を構成する触
媒としては、たとえば白金、金、銀、ロジウムなどが挙
げられる。
【0028】本発明のその他の特徴および利点は、以下
に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、図1は
固体高分子型燃料電池が直列的に集合した燃料電池スタ
ックの全体斜視図、図2は固体高分子型燃料電池の分解
斜視図、図3は固体高分子型燃料電池を構成するプレー
トの対角線に沿って、当該固体高分子型燃料電池を断面
したときの断面図およびその要部拡大図、図4および図
5はイオン交換膜への触媒層を形成する方法を説明する
ために図である。
【0030】燃料電池スタック4は、図1に示したよう
に隣り合う燃料電池40どうしで一枚のプレートを共用す
る複数の固体高分子型燃料電池40が直列的に並べられた
状態で、エンドプレート4A,4Bの間にボルト締めに
より挟持された格好とされており、一方のエンドプレー
ト4A側と他方のエンドプレート4B側とが4つの連通
孔4a〜4dを介して連通している。
【0031】各固体高分子型燃料電池40は、図2および
図3に示したように第1のプレート41および第2のプレ
ート42と、これらのプレート41,42の間に介在する固体
高分子膜としてのイオン交換膜43と、このイオン交換膜
43と第1のプレート41または第2のプレート42との間に
介在する負極集電体44または正極集電体45と、負極集電
体44または正極集電体45の周りを囲むようにして配置さ
れた第1ガスケット47または第2ガスケット48と、を備
えて大略構成されている。
【0032】各プレート41,42は、全体が金属や合金、
たとえばカーボン、チタンあるいはステンレス鋼などの
導体よって形成されており、四隅のそれぞれには、厚み
方向に貫通する第1から第4貫通孔41a〜41d,42a〜
42dが設けられている。そして、各プレート41,42にお
ける一面41A,42A側には、図2における左右方向に延
びる複数の個別溝部41e,42eが上下方向に並べぶよう
にして形成されており、各個別溝部41e,42eの一端部
どうしが上下方向に延びる第1共通溝部41f,42fによ
って、他端部どうしが第2共通溝部41g,42gによって
それぞれ繋げられている。第1共通溝部41f,42fは、
対角配置された第1および第2貫通孔41a,41b,42
a,42bのうちの第1貫通孔41a,42aに連通してお
り、第2共通溝部41g,42gは、第2貫通孔41b,42b
に連通している。各プレート41,42の他面41B,42Bに
も、図面上には明確に表れていないが、一面41A,42A
側と同様な個別溝部および共通溝部がそれぞれ形成され
ており、各共通溝部が第3貫通孔41c,42cまたは第4
貫通孔41d,42dに連通している。つまり、各プレート
41,42の一面41A,42A側に正極活物質としての酸素ガ
ス用の流路が形成され、他面側41B,42B側に負極活物
質としての水素ガス用の流路が形成されて、隣り合う燃
料電池40どうしで一枚のプレート41,42を共用してい
る。
【0033】なお、各燃料電池40がスタック4を構成す
る状態では、第1および第2のプレート41,42の第1貫
通孔41a,42aどうしが同軸上に位置し、同様に、第2
ないし第4貫通孔41b〜41d,42b〜42dも同軸上に位
置するようにして第1および第2のプレート41,42が配
置される。
【0034】イオン交換膜43は、その四隅に第1および
第2のプレート41,42に対応して貫通孔43a〜43dが形
成されており、その一面および他面には、負極触媒層43
Aおよび正極触媒層43Bがそれぞれ形成されている。
【0035】イオン交換膜43は、プロトン導電性を示す
ものであり、水素イオンを選択的に通過させるものであ
る。このイオン交換膜43としては、たとえばポリスチレ
ン系の陽イオン交換膜であるペルフルオロスルホン酸ポ
リマーが採用されるが、このポリマーは、水により湿潤
した場合に導電性を示し、水素イオンが水和した状態で
通過する。
【0036】負極触媒層43Aは、たとえば炭素粒の表面
にプラチナを担持させた触媒粒で構成された多孔質層と
されており、水素分子や水素イオンが通過可能とされて
いる。この負極触媒層43Aでは、供給された水素ガス
が、水素イオンと電子に解離される。一方、正極触媒部
43Bは、たとえば炭素粒の表面にプラチナとロジウムと
を共存担持させた触媒粒で構成された多孔質層とされて
おり、酸素分子が通過可能とされている。この正極触媒
層43Bでは、水素イオンが、酸素および電子と反応して
水が生成される。
【0037】上記した構成の負極触媒層43Aや正極触媒
層43Bは、図4に示したように、ブランクシート2に対
して炭素薄膜20を形成する炭素薄膜形成工程と、図5に
示したように、炭素薄膜をイオン交換膜43に転写する工
程と、を経て形成される。
【0038】炭素薄膜形成工程は、ブランクシート2に
対してコロナ放電またはプラズマ放電を行うことによっ
てブランクシート2の濡れ性を向上させてから(図4
(a))、炭素粉末と触媒を含むインクをブランクシー
ト上に塗布し、これを乾燥させることによって行われる
(図4(b))。
【0039】ブランクシート2としては、触媒層43A,
43Bを極力薄く形成するという観点から、撥水性に優れ
るもの、たとえばポリテトラフルオロエチレンやポリク
ロロトリフルオロエチレンなどといったフッ素樹脂製の
ものが好適に使用される。通常、撥水性に優れるフッ素
樹脂製のシート上には、一面に広がるインク層を形成す
るのは困難であるが、上記のように、当該シートに対し
てコロナ放電などにより処理を施して濡れ性を向上させ
てからインクを塗布すれば、非常に小さな厚みのインク
層を塗布形成することができる。
【0040】インクとしては、先に説明したように、炭
素粉末と触媒を含み、これらがグリセリンなどの有機溶
媒によってコロイド溶液とされたものが使用される。触
媒は、炭素粉末に担持させておいてもよいし、触媒を固
体粉末またはイオンの状態として炭素粉末に担持されて
いない状態で共存させておいてもよい。また、インク
は、溶液、懸濁液またはペーストのいずれの形態であっ
てもよい。ところで、負極触媒層43Aにおいては、水素
を水素イオンと電子に解離する必要があることから、負
極触媒層43Aに使用する触媒としては、白金、金、ニッ
ケル、炭化タングステンなどが挙げられ、正極触媒層43
Bにおいては、酸素を水素イオンや電子と反応させる必
要があることから、正極触媒層43Bに使用する触媒とし
ては、白金、金、銀、ロジウムなどが挙げられる。
【0041】ブランクシート2へのインクの塗布は、た
とえばスクリーン印刷、スピンコーティング、ロールコ
ーティングやポッティングにより行われるが、とくにス
クリーン印刷が好適に採用される。
【0042】インクの乾燥には、種々の方法を採用する
ことができる。たとえば、30分〜数時間程度自然乾燥
させることにより行ってもよいし、さらに減圧下(1〜
50KPa)で乾燥させてもよい。もちろん、インクが
塗布されたブランクシート2を、たとえば電気炉内に導
入して強制的にインクを乾燥させてもよい。このようし
てインクを乾燥させれば、図4(b)に示したように、
インクの液体成分が蒸発し、ブランクシート2に固体の
炭素薄膜が形成される。
【0043】ブランクシート2上の炭素薄膜20を、イオ
ン交換膜43に転写する工程は、一対のプレス型3A,3
Bの間に、炭素薄膜20がイオン交換膜43に接触するよう
にしてイオン交換膜43とブランクシート2を挟持して、
イオン交換膜43およびブランクシート2の双方を加熱し
た後(図5(a))、ブランクシート2を剥離すること
によって行われる(図5(b))。
【0044】イオン交換膜43としては、上記したように
ペルフルオロスルホン酸ポリマー製のものが好適に使用
されるが、この場合、イオン交換膜43の加熱温度は、当
該ポリマーのガラス転移温度よりも低い130℃程度に
設定され、ブランクシート2の加熱温度は、先のガラス
転移温度よりも高く、ブランクシート2の融点よりに高
い温度である150〜200℃程度に設定される。イオ
ン交換膜43の加熱温度を130℃程度とすれば、イオン
交換膜43の表面をある程度軟化でき、これにより炭素薄
膜20との接着性が高めることができ、また、必要以上に
イオン交換膜43が軟化して、プレス型3Bやブランクシ
ート2にこびりついてしまうこともない。一方、ブラン
クシート2の加熱温度を150〜200℃程度とすれ
ば、ブランクシート2と炭素薄膜2との結合を適切に切
断し、また、ブランクシート2がプレス型3Aや炭素薄
膜20にこびりついてしまうこともなく、ブランクシート
2から適切に炭素薄膜20を剥離することができる。さら
に、炭素薄膜20がイオン交換膜43より高温である間に非
常に良好に転写される。
【0045】負極集電体44は、負極触媒層43Aにおいて
水素ガスから解離した電子を集めて燃料電池40の外部に
取り出せるようにし、また供給された水素ガスが負極触
媒層43Aに達するように水素ガスを通過させるものであ
る必要がある。このため、たとえば炭素系素材(カーボ
ンブラックなどの炭素粉末、黒鉛、炭素繊維など)、ニ
ッケル、ニッケル−クロム合金、ニッケル−コバルト合
金、銀、チタン、タンタル、酸化物半導体などの素材に
よって多孔質体として形成されるが、とくに、炭素系素
材が好適に採用される。
【0046】正極集電体45は、外部から電子を受け取っ
て、この電子を正極触媒部43Bに供給できるようにし、
また供給された酸素ガスが正極触媒層43Bに達するよう
に酸素ガスを通過させる必要があることから、負極集電
体44と同様に、たとえば炭素系素材によって多孔質体と
して形成される。
【0047】第1および第2ガスケット47,48は、イオ
ン交換膜43と第1または第2のプレート41,42との間の
封止状態、ひいては隣り合うプレート41,42どうしの封
止状態を高めるためのものである。全体形状としては、
その中央部に集電体44(45)と同程度の面積を有する開
口47A,48Bが設けられた矩形枠状とされており、枠隅
には、第1および第2のプレート41,42の各貫通孔41a
〜41d,42a〜42dに対応して貫通孔47a〜47d,48a
〜48dが設けられている。
【0048】以上の構成とされた燃料電池40では、イオ
ン交換膜43、および各ガスケット47,48の各部材には、
各プレート41,42に形成された貫通孔41a〜41d,42a
〜42dに対応して、各々に貫通孔が形成されている。し
たがって、図3に良く表れているように、燃料電池40の
状態では、各部材に設けられた貫通孔どうしが繋がって
おり、燃料電池スタック4の状態においても、各部材の
貫通孔どうしが繋がって、エンドプレート4A,4Bの
外部にまで通じる第1から第4連通孔4a〜4dを形成
している(図1参照)。これらの連通孔4a〜4dのう
ち、対角に位置する第1および第2連通孔4a,4b
は、各プレート41,42の一面41A,42A側に設けられた
個別溝部41e,42eないし共通溝部41f,42f,41g,
42gとそれぞれ連通しており(図3参照)、残りの2つ
の連通孔4c,4dは、図面上には明確に表れていない
が他面41B,42B側に設けられた個別溝部ないし共通溝
部とそれぞれ連通している。
【0049】つまり、燃料電池スタック4の外部から、
他方のエンドプレート4B側を入り口として、第3およ
び第4連通孔4c,4dのいずれか一方または双方から
水素ガスを供給すれば、全てのプレート41,42の他面41
B,42B側の個別溝部や共通溝部に水素ガスが通じられ
る。また、第1および第2貫通孔4a,4bのいずれか
一方または双方から酸素ガスを供給すれば、全てのプレ
ート41,42の一面41A,42A側の個別溝部41e,42eや
共通溝部41f,41g,42f,42gに酸素ガスが通じられ
る。なお、酸素ガスは、通常、空気の状態で供給され
る。
【0050】各燃料電池40においては、たとえば第3連
通孔4cや第4連通孔4dを通過する水素ガスの一部が
第1プレート41の他面41B側に形成された個別溝部や共
通溝部に供給され、この水素ガスが負極集電体44を通過
し、負極触媒層43Aで水素イオンと電子に解離される
(下記反応式(1))。
【0051】
【化1】
【0052】この反応の際に生じた電子は、負極集電体
44に集められるが、この電子は第1のプレート41を介し
て当該第1のプレート41を共用する隣の燃料電池40の正
極集電体45に供給される(図1および図3参照)。一
方、負極触媒層43Aにおける反応の際に生じた水素イオ
ンは、水和状態でイオン交換膜43を通過し(下記反応式
(2))、正極触媒層43Bに移動する。
【0053】
【化2】
【0054】この正極触媒層43Bにはさらに、第2のプ
レート42を共用する隣の燃料電池40の負極集電体44から
電子が供給され、また第3連通孔4cや第4連通孔4d
を通過する空気(酸素ガス)の一部が第2プレート42の
一面42A側に形成された共通溝部42g,42f、個別溝部
42eおよび正極集電体45を介して供給される。このよう
にして酸素ガス、電子および水素イオンが供給された正
極触媒層43Bでは、これらが反応して水が生成する(下
記反応式(3))。なお、このとき生じた水の一部は、
正極触媒層43Bを逆拡散してイオン交換膜43に供給され
る。
【0055】
【化3】
【0056】以上に説明した燃料電池スタック4 では、
1の燃料電池40の負極集電体44に集められた電子は、隣
の燃料電池40の正極集電体45に供給される。そして、電
子の流れ方向の最下流に位置する燃料電池40の負極集電
体44に集められた電子は、外部回路を経由して、電子の
流れ方向の最上流に位置する燃料電池40の正極集電体45
に供給される。すなわち、燃料電池スタック4内におい
ては、電子が全体として一定の方向に流れ、最下流の燃
料電池40から最上流の燃料電池40には外部回路を経由し
て電子が循環させられるようになされている。そして、
外部回路においてエネルギを取り出して利用するように
なされている。
【0057】
【実施例】以下、比較例とともに実施例について説明す
る。
【0058】
【実施例1】本実施形態では、ブランクシート(日東電
工社製;「ニトクロン」)の一面側にインクを塗布・乾
燥させて炭素薄膜を形成した後に、この炭素薄膜を高分
子膜としてのイオン交換膜(デュポン社製;「ナフィオ
ン」)に転写した。
【0059】ブランクシートには、コロナ放電機(TA
NTEC AS社(デンマーク)製;「Model H
V05−2」)を用いて、当該装置における電極間の印
加電圧を10KVとしたときに発生するコロナ放電を予
め与えておいた。インクとしては、その白金担持量が3
7.7wt%となるようにして予めプラチナを担持させ
ておいたカーボンブラック(粒子径が20〜30nm)
0.1gを、ナフィオン溶液(デュポン社製;「ナフィ
オン溶液5%」)0.667gおよびグリセリン(和光
純薬工業社製;「グリセリン試薬」)5gと混合攪拌し
て作製されたものを用いた。インクの塗布は、その乾燥
後の塗布量および塗布面積が1gおよび100cm2
なるようにして、スクリーン印刷により行った。インク
の乾燥は、常温・常圧で1時間行った後に、減圧下(1
Pa)でさらに2時間行った。
【0060】炭素薄膜の転写は、一対のプレス型の間
に、炭素薄膜がイオン交換膜と接触するようにしてブラ
ンクシートとイオン交換膜とを加熱状態で挟持した後
に、ブランクシートを剥離することにより行った。ブラ
ンクシート側を加熱する第1プレス型の加熱温度は15
5℃とし、イオン交換膜側を加熱する第2プレス型の加
熱温度は100℃とした。また、これらのプレス型で
は、ブランクシートおよびイオン交換膜を、70MPa
の圧力で、60秒間挟持した。
【0061】以上のような方法により、ブランクシート
への炭素薄膜の形成を10回試み、各サンプルについて
炭素薄膜の形成状態を目視により確認した。そして、炭
素薄膜の形成が成功したサンプルについてのみ、イオン
交換膜への炭素薄膜の転写を試み、炭素薄膜の転写状態
を目視により観察した。ブランクシートへの炭素薄膜の
形成状態およびイオン交換膜への炭素薄膜の転写状態を
目視により観察した結果を表1に示した。
【0062】
【実施例2】本実施例においては、実施例1と同様にし
てブランクシートに炭素薄膜を形成し、炭素薄膜の形成
状態を目視により確認した。そして、炭素薄膜の形成が
成功したサンプルについて、イオン交換膜への炭素薄膜
の転写を試みた。イオン交換膜への炭素薄膜の転写は、
第1プレス型の温度を170℃、第2プレス型の温度を
120℃として行った以外は実施例1と同様とした。ブ
ランクシートへの炭素薄膜の形成状態およびイオン交換
膜への炭素薄膜の転写状態を目視により観察した結果は
表1に示した。
【0063】
【実施例3】本実施例においては、実施例1と同様にし
てブランクシートに炭素薄膜を形成し、炭素薄膜の形成
状態を目視により確認した。そして、炭素薄膜の形成が
成功したサンプルについて、イオン交換膜への炭素薄膜
の転写を試みた。イオン交換膜への炭素薄膜の転写は、
第1プレス型の温度を200℃、第2プレス型の温度を
130℃として行った以外は実施例1と同様とした。ブ
ランクシートへの炭素薄膜の形成状態およびイオン交換
膜への炭素薄膜の転写状態を目視により観察した結果は
表1に示した。
【0064】
【実施例4】本実施例においては、実施例1と同様にし
てブランクシートに炭素薄膜を形成し、炭素薄膜の形成
状態を目視により確認した。そして、炭素薄膜の形成が
成功したサンプルについて、イオン交換膜への炭素薄膜
の転写を試みた。イオン交換膜への炭素薄膜の転写は、
各プレス型によるブランクシートおよびイオン交換膜の
挟持圧力を100MPaとして行った以外は実施例1と
同様とした。ブランクシートへの炭素薄膜の形成状態お
よびイオン交換膜への炭素薄膜の転写状態を目視により
観察した結果は表1に示した。
【0065】
【実施例5】本実施例においては、実施例1と同様にし
てブランクシートに炭素薄膜を形成し、炭素薄膜の形成
状態を目視により確認した。そして、炭素薄膜の形成が
成功したサンプルについて、イオン交換膜への炭素薄膜
の転写を試みた。イオン交換膜への炭素薄膜の転写は、
各プレス型によるブランクシートおよびイオン交換膜の
挟持圧力を50MPaとして行った以外は実施例1と同
様とした。ブランクシートへの炭素薄膜の形成状態およ
びイオン交換膜への炭素薄膜の転写状態を目視により観
察した結果は表1に示した。
【0066】
【実施例6】本実施例においては、実施例1と同様にし
てブランクシートに炭素薄膜を形成し、炭素薄膜の形成
状態を目視により確認した。そして、炭素薄膜の形成が
成功したサンプルについて、イオン交換膜への炭素薄膜
の転写を試みた。イオン交換膜への炭素薄膜の転写は、
各プレス型によるブランクシートおよびイオン交換膜の
挟持時間を100秒として行った以外は実施例1と同様
とした。ブランクシートへの炭素薄膜の形成状態および
イオン交換膜への炭素薄膜の転写状態を目視により観察
した結果は表1に示した。
【0067】
【実施例7】本実施例においては、実施例1と同様にし
てブランクシートに炭素薄膜を形成し、炭素薄膜の形成
状態を目視により確認した。そして、炭素薄膜の形成が
成功したサンプルについて、イオン交換膜への炭素薄膜
の転写を試みた。イオン交換膜への炭素薄膜の転写は、
各プレス型によるブランクシートおよびイオン交換膜の
挟持時間を30秒として行った以外は実施例1と同様と
した。ブランクシートへの炭素薄膜の形成状態およびイ
オン交換膜への炭素薄膜の転写状態を目視により観察し
た結果は表1に示した。
【0068】
【実施例8】本実施例においては、ブランクシートに予
めコロナ放電を与えなかった以外は実施例1と同様にし
て炭素薄膜を形成し、炭素薄膜の形成状態を目視により
確認した。そして、炭素薄膜の形成が成功したサンプル
について、実施例1と同様にしてイオン交換膜への炭素
薄膜の転写を試みた。ブランクシートへの炭素薄膜の形
成状態およびイオン交換膜への炭素薄膜の転写状態を目
視により観察した結果は表1に示した。
【0069】
【比較例1】本比較例においては、実施例1と同様にし
てブランクシートに炭素薄膜を形成し、炭素薄膜の形成
状態を目視により確認した。そして、炭素薄膜の形成が
成功したサンプルについて、イオン交換膜への炭素薄膜
の転写を試みた。イオン交換膜への炭素薄膜の転写は、
第1プレス型の温度を155℃、第2プレス型の温度を
155℃として行った以外は実施例1と同様とした。ブ
ランクシートへの炭素薄膜の形成状態およびイオン交換
膜への炭素薄膜の転写状態を目視により観察した結果は
表1に示した。
【0070】
【比較例2】本比較例においては、実施例1と同様にし
てブランクシートに炭素薄膜を形成し、炭素薄膜の形成
状態を目視により確認した。そして、炭素薄膜の形成が
成功したサンプルについて、イオン交換膜への炭素薄膜
の転写を試みた。イオン交換膜への炭素薄膜の転写は、
第1プレス型の温度を120℃、第2プレス型の温度を
120℃として行った以外は実施例1と同様とした。ブ
ランクシートへの炭素薄膜の形成状態およびイオン交換
膜への炭素薄膜の転写状態を目視により観察した結果を
表1に示した。
【0071】
【比較例3】本比較例においては、実施例1と同様にし
てブランクシートに炭素薄膜を形成し、炭素薄膜の形成
状態を目視により確認した。そして、炭素薄膜の形成が
成功したサンプルについて、イオン交換膜への炭素薄膜
の転写を試みた。イオン交換膜への炭素薄膜の転写は、
第1プレス型の温度を170℃、第2プレス型の温度を
140℃として行った以外は実施例1と同様とした。ブ
ランクシートへの炭素薄膜の形成状態およびイオン交換
膜への炭素薄膜の転写状態を目視により観察した結果は
表1に示した。
【0072】
【比較例4】本比較例においては、実施例1と同様にし
てブランクシートに炭素薄膜を形成し、炭素薄膜の形成
状態を目視により確認した。そして、炭素薄膜の形成が
成功したサンプルについて、イオン交換膜への炭素薄膜
の転写を試みた。イオン交換膜への炭素薄膜の転写は、
各プレス型によるブランクシートおよびイオン交換膜の
挟持圧力を30MPaとして行った以外は実施例1と同
様とした。ブランクシートへの炭素薄膜の形成状態およ
びイオン交換膜への炭素薄膜の転写状態を目視により観
察した結果は表1に示した。
【0073】
【比較例5】本比較例においては、実施例1と同様にし
てブランクシートに炭素薄膜を形成し、炭素薄膜の形成
状態を目視により確認した。そして、炭素薄膜の形成が
成功したサンプルについて、イオン交換膜への炭素薄膜
の転写を試みた。イオン交換膜への炭素薄膜の転写は、
各プレス型によるブランクシートおよびイオン交換膜の
挟持時間を25秒として行った以外は実施例1と同様と
した。ブランクシートへの炭素薄膜の形成状態およびイ
オン交換膜への炭素薄膜の転写状態を目視により観察し
た結果を表1に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明に係る高
分子膜への炭素薄膜の形成方法では、ブランクシートに
対して確実に炭素薄膜を形成することができるととも
に、この炭素薄膜を適切に高分子膜に転写することがで
きる。つまり、本発明では、高分子膜上に、膜厚の小さ
な炭素膜を形成することができる。また、高分子膜への
炭素薄膜の形成方法は、固体高分子型燃料電池の触媒電
極を形成する方法としても好適に採用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体高分子型燃料電池が直列的に積層された燃
料電池スタックの一例を表す全体斜視図である。
【図2】固体高分子型燃料電池の分解斜視図である。
【図3】固体高分子型燃料電池を、これを構成するプレ
ートの対角線に沿って断面したときの断面図およびその
要部拡大図である。
【図4】イオン交換膜への触媒層の形成方法を説明する
ために図である。
【図5】イオン交換膜への触媒層の形成方法を説明する
ために図である。
【符号の説明】
2 ブランクシート 20 炭素薄膜 4 燃料電池スタック 40 燃料電池 41 第1のプレート 42 第2のプレート 43 イオン交換膜(高分子膜) 43A 負極触媒層 43B 正極触媒層 44 正極集電体 45 正極集電体 47 負極側ガスケット 48 正極側ガスケット

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 撥水性に優れるブランクシートに炭素薄
    膜を形成した後に、この炭素薄膜を高分子膜に転写する
    ことにより行われる高分子膜への炭素薄膜の形成方法で
    あって、 高分子膜への炭素薄膜の転写は、ブランクシートと高分
    子膜とを異なる温度に加熱した状態で炭素薄膜を高分子
    膜に押圧した後、高分子膜からブランクシートを剥離す
    ることにより行われることを特徴とする、高分子膜への
    炭素薄膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 炭素薄膜の転写時における高分子膜の加
    熱温度は、当該高分子膜のガラス転移温度よりも低い温
    度とされ、ブランクシートの加熱温度は、高分子膜のガ
    ラス転移温度よりも高く、当該ブランクシートの融点よ
    りも低い温度とされる、請求項1に記載の燃料電池。
  3. 【請求項3】 ブランクシートがフッ素樹脂製であると
    ともに高分子膜がペルフルオロスルホン酸ポリマー製で
    あり、転写時のブランクシートの加熱温度が150〜2
    00℃とされるとともに高分子膜の加熱温度が80〜1
    30℃とされる、請求項2に記載の燃料電池。
  4. 【請求項4】 高分子膜への炭素薄膜の押圧は、ブラン
    クシートと高分子膜とを、加熱された一対のプレス型の
    間に、50〜100MPaの圧力下で30〜300秒間
    加熱挟持することによって行う、請求項1ないし3のい
    ずれか1つに記載の燃料電池。
  5. 【請求項5】 ブランクシートへの炭素薄膜の形成は、
    ブランクシートの表面をコロナ放電またはプラズマ放電
    により処理した後に、当該処理面に炭素粉末を含むイン
    クを塗布し、乾燥させることによって行われる、請求項
    1ないし4のいずれか1つに記載の高分子膜への炭素薄
    膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 ブランクシートへの炭素薄膜の形成は、
    ブランクシートに1Hz〜400kHzの振動を与えた
    状態で炭素粉末を含むインクを塗布し、乾燥させること
    によって行われる、請求項1ないし4のいずれか1つに
    記載の高分子膜への炭素薄膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 ブランクシートへのインクの塗布は一滴
    ずつ行われ、インクの乾燥はインクを一滴塗布するごと
    に行われる、請求項6に記載の高分子膜への炭素薄膜の
    形成方法。
  8. 【請求項8】 両面に触媒層が設けられた電解質として
    の固体高分子膜が、一対の電極の間に介在させられた構
    成の固体高分子型燃料電池の製造方法であって、 上記触媒層を、炭素および触媒をそれぞれ有するインク
    を用いた、請求項1ないし7に記載したいずれか1つの
    炭素薄膜の形成方法により形成することを特徴とする、
    固体高分子型燃料電池の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1278260A4 (en) * 2001-01-19 2007-08-01 Matsushita Electric Industrial Co Ltd METHOD FOR MANUFACTURING ELECTROLYTIC FILM-ELECTRODE LINK OF FUEL CELL
JP2010123258A (ja) * 2008-11-17 2010-06-03 Dainippon Printing Co Ltd 剥離装置、及びこれを使用した接合体の製造方法
WO2021206430A1 (ko) * 2020-04-06 2021-10-14 주식회사 엘지에너지솔루션 전고체 전지 및 상기 전고체 전지를 제조하는 방법

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