JP2000355754A - フッ化膜を有する部材の製造方法、これに使用する被処理部材およびフッ化膜を有する耐蝕性シール部材 - Google Patents

フッ化膜を有する部材の製造方法、これに使用する被処理部材およびフッ化膜を有する耐蝕性シール部材

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JP2000355754A
JP2000355754A JP16659799A JP16659799A JP2000355754A JP 2000355754 A JP2000355754 A JP 2000355754A JP 16659799 A JP16659799 A JP 16659799A JP 16659799 A JP16659799 A JP 16659799A JP 2000355754 A JP2000355754 A JP 2000355754A
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Japan
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fluoride film
corrosion
film
fluoride
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JP16659799A
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Kiyoshi Araki
清 新木
Yasufumi Aihara
靖文 相原
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属、セラミックス、これらの複合材料からな
る基体1と、基体の表面を被覆するフッ化膜とを備える
部材を製造する際に、シール面5、6等の特定部位には
フッ化膜が生成せず、他の部分に良質なフッ化膜を生成
させる。 【解決手段】基体1の表面の少なくとも一部に、フッ素
原子を含有する固形有機物からなるマスキング材9A、
9Bを設け、基材1の表面にフッ化膜を形成し、次いで
基体1の表面からマスキング材9A、9Bを除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フッ化膜を備える
部材の製造方法、この製造方法に使用する被処理部材、
およびこの製造方法によって好適に製造される耐蝕性シ
ール部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セラミックスや金属の表面に、フッ化
膜、特にフッ化アルミニウム膜を生成させることによっ
て、ハロゲン系ガスやそのプラズマに対する耐蝕性を改
善することが知られている。米国特許第5,306,8
95号には、窒化アルミニウムまたはアルミナの表面に
三フッ化アルミニウム膜を形成することか開示されてい
る。また、特開平2−263972号公報には、アルミ
ニウムの表面に、フッ化アルミニウム膜を生成させる方
法が開示されている。また、特開平10−88367号
公報によれば、金属アルミニウムの表面にフッ化アルミ
ニウム膜を形成することにより、表面の蒸気または液体
に対する親和性を付与し、液体を表面に接触させたとき
の液体の分散、蒸発を促進させ、伝熱性を向上させてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記のよ
うなフッ化膜を、真空装置用フランジ(JIS B22
90)に対して適用することを試みた。例えば図1
(a)、(b)に示すように、こうしたフランジ1は、
環状本体2と、環状本体の一方の端部に形成されている
平面座形フランジ部3と、他方の端部に形成されている
溝形フランジ部4とを備えている。5、6はシール面で
ある。複数のフランジ1を連結する際には、一方のフラ
ンジ1の平面座形フランジ部3のシール面5を、他方の
フランジ1の溝形フランジ部4のシール面6と対向さ
せ、シール溝7内のO−リング、ガスケットによってシ
ールを行う。
【0004】本発明者は、こうしたタイプの真空フラン
ジ1を、半導体製造装置において使用するために、真空
フランジ1の表面に前記のフッ化膜を形成し、シールを
行ってみた。ところが、真空フランジ1を他の真空フラ
ンジ1や配管へとボルト締結した後に、フッ化膜にクラ
ックが入り、腐食性ガスの漏れが生ずることがあった。
【0005】本発明の課題は、金属、セラミックスまた
はこれらの複合材料からなる基体と、この基体の表面を
被覆するフッ化膜とを備えている、フッ化膜を有する部
材を製造するのに際して、シール面などの特定部位には
フッ化膜が生成せず、他の部分には良質なフッ化膜を生
成させ得るようにすることである。
【0006】また、本発明の課題は、真空フランジのよ
うな耐蝕性シール部材において、腐食性ガスへの耐蝕性
をフッ化膜によって著しく向上させるのと共に、腐食性
ガスの漏れを防止できるようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属、セラミ
ックスまたはこれらの複合材料からなる基体と、基体の
表面を被覆するフッ化膜とを備えている、フッ化膜を有
する部材を製造する方法であって、基体の表面の少なく
とも一部にフッ素原子を含有する固形有機物からなるマ
スキング材を設け、基体の表面にフッ化膜を形成し、次
いで基体の表面からマスキング材を除去することを特徴
とする。
【0008】また、本発明は、金属、セラミックスまた
はこれらの複合材料からなる基体の表面にフッ化膜を生
成させるための被処理部材であって、被処理部材が、基
体と、基体の表面の少なくとも一部に設けられている、
フッ素原子を含有する固形有機物からなるマスキング材
とを備えていることを特徴とする。
【0009】また、本発明は、フッ化膜を有する耐蝕性
シール部材であって、耐蝕性シール部材が、腐食性ガス
に対して曝露されるべき耐蝕面と、真空状態を保持する
ためのシール面とを備えており、耐蝕面がフッ化膜によ
って被覆されており、シール部材がフッ化膜によって被
覆されておらず、露出していることを特徴とする。
【0010】基体の表面の少なくとも一部にフッ素原子
を含有する固形有機物からなるマスキング材を設け、基
体の表面にフッ化膜を形成し、次いで基体の表面からマ
スキング材を除去することによって、基体の所要部分に
フッ化膜を生成させつつも、マスキング材の部分にはフ
ッ化膜が生成せず、かつフッ化膜のエッジの寸法精度も
十分に高くなった。
【0011】フッ素原子を含有する固形有機物の形成方
法は特に限定されないが、溶射法、焼き付け法によって
皮膜を形成できる。また、フッ素原子を含有する固形有
機物のフィルムを、基体の表面に、粘着層によって粘着
させたり、接着したり、あるいはラミネート加工によっ
て貼りつけることができる。
【0012】フッ素原子を含有する固形有機物として
は、樹脂またはエラストマーが好ましい。この樹脂また
はエラストマーの中では、いわゆるフッ素樹脂が特に好
ましい。フッ素樹脂としては、具体的には、ポリテトラ
フルオロエチレン、ポリテトラフルオロクロルエチレ
ン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリジ
クロルジフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロルエ
チレンなどが挙げられる。フッ素樹脂の融点は100−
350℃が好ましい。
【0013】マスキング材の厚さは、フッ化膜を生成さ
せるための原料からの腐食に耐えるために、5μm以上
であることが好ましい。
【0014】本発明において、フッ化層とは、フッ素を
何らかの形で含有する層のことを言い、あらゆるフッ化
処理によって得られた層を含む。フッ化層は、金属元
素、窒素、炭素、酸素を含んでいてもよい。フッ化層は
フッ素化合物からなる層であってもよい。このフッ素化
合物とはフッ素を化学量論比率で含有する化合物、例え
ばフッ化アルミニウム等の金属フッ化物を含む。
【0015】本発明の好適な実施形態においては、基体
がアルミニウム原子を含有する材質からなり、フッ化膜
が、フッ化アルミニウムからなる主結晶相を含む。こう
した基体は、例えばアルミナ、窒化アルミニウムのよう
なアルミニウム原子を含むセラミックス、あるいはアル
ミニウム、アルミニウム合金がある。
【0016】また、フッ化層の厚さは、特に下限はない
が、耐蝕性シール部材に対して適用する場合には、耐蝕
性の観点から、0.05μm以上とすることが好まし
い。フッ化層の厚さの上限は特に限定しないが、フッ化
膜の基体への密着強度の観点からは、1mm以下である
ことが好ましい。
【0017】また、好適な実施形態においては、基体の
表面にマスキング材を設けた後に、フッ化物を含有する
気相または液相中に基体を設置し、基体のうちマスキン
グ材が設置されていない領域にフッ化膜を生成させる。
このように、気相または液相中でフッ化膜を生成させる
場合には、通常は基体の表面に全面にわたってフッ化膜
が生成する。このため、本発明の方法によって、基体の
一部に前記のマスキング材を設置し、フッ化膜の生成を
防止することが必要不可欠である。
【0018】基体の表面にフッ化膜を生成させる方法は
特に限定されず、公知の気相法、液相法を利用できる。
しかし、本出願人は、特願平10−43251号明細
書、特願平11−23926号明細書において、フッ化
アルミニウム膜を基体の表面に生成させる方法を開示し
ている。以下、これらの方法について述べる。
【0019】1つの方法においては、固体状のフッ素化
合物を入れた容器中に基体を設置し、この容器を加熱す
ることによって、基体を前記固体状のフッ素化合物の分
解ガスと共に熱処理し、基体の表面にフッ化膜を生成さ
せる。
【0020】この製造方法によって、少なくともアルミ
ニウム原子を含有する基体の表面にフッ化層が形成され
るメカニズムについては、以下のように推察される。
【0021】例えば、フッ素化物固体としてNaHF2
を入れた容器を加熱し、このNaHF2 が所定温度以上
に加熱されると、下記(1)式に示すように、NaHF
2 が熱分解してフッ化水素(HF)を生成する。 NaHF2 →NaF+HF (1)
【0022】一方、アルミニウムを含有した基体の表面
には、アルミナ(Al23 )不動態膜が生成してい
る。そして、このアルミナ不動態膜が前記HFと下記
(2)式にしたがって反応して、アルミナが三フッ化ア
ルミニウム(AlF3)に転化することにより、基体の
表面にフッ化層が生成する。 Al2 3 +6HF→2AlF3 +3H2 O (2)
【0023】熱処理は、200℃以上で行うことが好ま
しく、250℃以上で行うことが更に好ましい。これに
より、例えば、上記(1)に示す熱分解の速度、及び
(2)式に示す反応速度が向上するため、比較的厚いフ
ッ化層を短時間で形成することができる。
【0024】また、熱処理における温度の上限は特に限
定されるものではないが、反応に使用する容器の耐熱温
度を考慮すると、350℃であることが好ましく、さら
には300℃であることが好ましい。
【0025】熱処理の時間は、固体状のフッ素化合物の
量や熱処理温度、さらにはフッ化層の厚さに依存して変
化するが、通常は5〜40時間の間で行う。
【0026】本発明の製造方法において使用することの
できるフッ素化合物としては、例えば、反応式(1)及
び(2)に基づいて基体の表面にフッ化層を形成できる
ものであれば特に限定されるものでない。しかしなが
ら、比較的低い温度で熱分解して反応性に富むHFを容
易に生成できることから、熱分解温度が100〜300
℃の範囲にあるフッ素化合物を使用することが好まし
い。具体的には、NaHF2 、KHF2 、及びNH4
2 などを例示することができる。そして、これらのフ
ッ素化合物の中でもNaHF2 及びKHF2 の少なくと
も一方であることが好ましい。
【0027】本成膜方法においては、フッ素化合物は固
体状であることが必要である。フッ素化合物を水などの
溶媒に溶解し、液体状にして使用すると、フッ素化合物
の熱分解などが十分に行われなくなる。その結果、基体
の表面にフッ化層を形成することが困難となる。
【0028】固体状のフッ素化合物には、バルク状のも
の、あるいは粒子状のもの、さらには粉末状のものが含
まれる。但し、入手が容易であることから粉末状のもの
を用いることが好ましい。また、粉末状のものは表面積
が大きいため、比較的短時間で粉末全体の温度を均一に
することができる。従って、(1)式に示すような熱分
解を短時間行うことができ、基体表面へのフッ化層の形
成を比較的短時間で行うことができる。粒子状のフッ化
物化合物を用いる場合、上述した内容を考慮すると、そ
の平均粒径は0.1〜200μmであることが好まし
い。
【0029】2つめの成膜方法においては、基体を構成
する材質が少なくともアルミニウム原子を含有するセラ
ミックスであり、基体をフッ化水素酸に浸漬し、かつ加
熱処理することにより、基体の表面にフッ化アルミニウ
ム膜を生成させる。
【0030】この成膜方法においては、下記式で示され
る反応により、基体の表面にフッ化アルミニウム膜を形
成することができる。 Al2 3 +6HF→2AlF3 +3H2 O (3)
【0031】本成膜方法で使用できる基体は、少なくと
もアルミニウムを含有していることが必要である。具体
例としては、アルミナ(Al2 3 )、窒化アルミニウ
ム(AlN)、ムライト(3Al2 3 ・2SiO2
およびスピネル(MgO・Al2 3 )を例示できる。
【0032】基体の表面におけるフッ化膜の厚さを均一
化するという観点から、フッ化水素酸の濃度を1〜50
重量%とすることが好ましい。
【0033】所定温度に加熱した後、室温で放置するよ
うな加熱冷却試験を行っても、剥離やクラックの発生し
ないフッ化アルミニウム膜を形成するためには、フッ化
水素酸の濃度は1〜40重量%であることが好ましい。
さらに、所定温度に加熱した後、水中冷却するような加
熱急冷試験を行っても、剥離やクラックの発生しないフ
ッ化アルミニウム膜を形成するためには、5〜30重量
%であることが好ましい。
【0034】フッ化アルミニウム膜をより短時間で形成
するとともに、上記同様に、加熱冷却試験において、剥
離やクラックの発生しないフッ化アルミニウム膜を形成
するためには、100〜250℃の温度で行うことが好
ましく、さらに、加熱急冷試験において、剥離やクラッ
クの発生しないフッ化アルミニウム膜を形成するには、
130〜200℃で行うことが好ましい。
【0035】上記のような条件で、厚さ1〜50μmの
フッ化アルミニウム膜を形成するために要する時間は、
5〜20時間であり、従来の気相成長法及びプラズマ処
理法などに比較して、処理時間が短く、生産性が良好と
なる。また、テフロン容器と乾燥器などの簡便な加熱装
置しか必要としないことからコストを低く抑えることが
できる。
【0036】基体の表面からマスキング材を除去するに
は、次の手順によることが好ましい。マスキング材の融
点以上で、大気中熱処理してマスキング材を融解させ、
その後、洗浄して洗い流す方法がある。熱処理後の洗浄
で、マスキング材を容易に除去するためには、大気中に
おける熱処理温度は300℃以上、1000℃以下とす
ることが好ましく、容易にマスキング材を除去できるよ
うにするためには、500℃以上とすることが好まし
く、基体がアルミニウムやアルミニウム合金である場合
には、基体の変形を避けるため、630℃以下とするこ
とが好ましい。また、熱処理後の洗浄のみによって、熱
処理後のフッ化膜を容易に除去できない場合には、水ペ
ーパー等で軽くこすって除去してもよい。
【0037】融解熱処理以外のマスキング材の除去方法
としては、熱処理を行わずに、研削、水ペーパー研磨等
のように機械的に除去する方法がある。この場合は、主
にマスキング材のみに機械的加工が加わり、基体には機
械加工がほとんど加わらないので、基体に後加工ダメー
ジが少ないという利点がある。かりに基体にマスキング
材を設けることなく、基体の全面にフッ化膜を形成し、
フッ化膜の一部を機械研削によって除去した場合には、
基体には不可避的に後加工ダメージが残る。
【0038】本発明の製造方法により製造した部材の用
途は、限定されておらず、例えば耐蝕性部材、伝熱部
材、その他の構造部材として利用できる。
【0039】耐蝕性部材としては、熱CVD装置、プラ
ズマCVD装置などの半導体製造装置やフラットパネル
ディスプレイ製造装置に使用される部材、例えば、赤外
線ランプ加熱によって発熱するサセプター、半導体加熱
用セラミックスヒーター及びセラミックスヒーターの発
熱面に設置されるサセプター、静電チャック用電極が埋
設されているサセプター、静電チャック用電極及び抵抗
発熱体が埋設されているサセプター、高周波プラズマ発
生用電極が埋設されているサセプター、高周波プラズマ
発生用電極及び抵抗発熱体が埋設されたサセプター、シ
ャワー板を例示できる。
【0040】また、耐蝕性部材としては、真空状態を保
持するための耐蝕性シール部材を例示できる。この耐蝕
性シール部材は、腐食性ガスに対して曝露されるべき耐
蝕面と、真空状態を保持するためのシール面とを備えて
おり、シール面がマスキング材によって被覆されてお
り、耐蝕面がマスキング材によって被覆されておらず、
露出している。こうした耐蝕性シール部材の形態は特に
限定されないが、真空フランジを含む。
【0041】真空フランジは、ハロゲン系腐食性ガスや
そのプラズマを輸送するためのガス供給管として機能す
る。このガス供給管は、熱CVD装置、プラズマCVD
装置のような反応装置(フラットパネルディスプレイ製
造装置や半導体製造装置)にガスを供給するのに使用で
き、また、KrF、ArF、F2エキシマレーザーのよ
うなエキシマレーザー発生装置に、フッ素ガスやフッ素
化合物ガスを供給するのに使用できる。
【0042】また、真空フランジの内部を反応室とする
ことができる。この場合には、真空フランジの内部に、
ハロゲン系ガスを流し、真空フランジの内側でプラズマ
を発生させる。あるいは、真空フランジの内側にフッ素
ガスやフッ素化合物ガスを供給し、真空フランジの内部
で励起させ、エキシマレーザーを発生させる。
【0043】以下、図2−図5を参照しつつ、真空フラ
ンジについての実施形態を説明する。図2は被処理部材
10を示す断面図である。真空フランジ1のシール面5
の全面にわたって、マスキング材9Aを設け、被覆す
る。また真空フランジ1のシール面6の全面にわたっ
て、シール溝7の表面を含めて、マスキング材9Bによ
って被覆する。環状本体2の外側面2bおよび内側面2
aにはマスキング材を設けない。
【0044】この状態で真空フランジ1の表面に、前述
したようにしてフッ化膜を形成し、次いでマスキング材
9A、9Bを除去することによって、図3に示す真空フ
ランジ11が得られる。図3においては、処理前の真空
フランジ2の外側面2bおよび内側面2aに全面にわた
ってフッ化膜13A、13Bが形成されており、シール
面5、6、シール溝7内にはフッ化膜が形成されていな
い。この状態で、シール面5、6を、他の真空フランジ
1のシール面5、6、あるいは外部の構造部材に対し
て、ボルトによって締結したときには、シール面5、6
は腐食性ガスに対してほとんど曝露されないので腐食が
生じず、環状本体の内側空間8からシール面5、6を介
したガスの漏れは生じない。
【0045】これに対して、図4に示す真空フランジ1
5のように、処理前の真空フランジ1の表面の全面がフ
ッ化膜16によって被覆されている場合には、シール面
5、6、シール溝7上に存在するフッ化膜のために、ガ
ス漏れが生ずることを見いだした。この理由は、ボルト
締結によってフッ化膜に圧力が加わったときに、フッ化
膜にマイクロクラックが発生するためと思われる。例え
ば、図5に示すように、一方の真空フランジ15の平面
座形フランジ部3のシール面5と、他方の真空フランジ
15の溝形フランジ部4のシール面6とを結合する際に
は、ガスケット19をシール溝7内に収容し、シール面
5と6とを対向させ、ボルト締結によって矢印A方向へ
と圧力を加える。この際にフッ化膜16へと、シール面
やガスケットから不均等に圧力が加わり、マイクロクラ
ック発生の原因になるものと思われる。
【0046】真空フランジ等の耐蝕性シール部材の材質
は、前述したように、セラミックス、金属あるいはこれ
らの複合材料を例示でき、特にはアルミニウム原子を含
有するセラミックスやアルミニウムの純金属または合金
が好ましい。また、鋼の表面にニッケル−リンメッキを
施した材質であってよい。
【0047】ハロゲン系腐食性ガスとしては、NF3
CF4 、CHF3 、CCl4 、BCl3 、Cl2 2
を使用できる。
【0048】シール溝内に収容するガスケットの材質
は、アクリロニトリルゴム−ブタジエン系合成ゴムやフ
ッ素ゴムであってよいが、前記の反応装置やエキシマレ
ーザーの場合には、銅、銅合金が好ましい。
【0049】以下、具体的な実施例について述べる。
【0050】(実施例1)アルミニウム(JIS 50
52合金)からなる、図1に示す形状の真空フランジ1
を、10重量%水酸化ナトリウム水溶液に1分間浸漬し
て脱脂し、十分に水洗した。次いで、真空フランジ1
を、10%硝酸水溶液に1分間浸漬してエッチングし、
十分に水洗し、乾燥した。シール面5、6に、四フッ化
エチレン樹脂の一種であるPFA樹脂の分散液を塗布
し、乾燥し、380℃で10分間焼き付けた。この塗布
および焼き付け工程を10回繰り返し、図2に示すよう
に、膜厚50μmのフッ素樹脂膜9A、9Bをシール面
5、6上に形成した。
【0051】こうして得た被処理部材10を、ニッケル
製チャンバー内に収容し、100%フッ素ガスを流し、
300℃で5時間、フッ化処理を行った。フッ化処理後
のフランジについて、大気中で、500℃で3時間熱処
理したところ、シール面5、6上の皮膜9A、9Bが粉
状になり、アセトン中での超音波洗浄後に拭き取ること
によって、樹脂はシール面から容易に剥落した。この
後、ESCAを使用してシール面を観測したところ、フ
ッ素は検出されなかった。シール面以外の部分では、膜
厚0.1μm程度のフッ化膜が観測された。
【0052】この真空フランジ11を、メタルシールを
用いて治具に対して固定し、市販のヘリウムリーク検出
器によってシール面からリークを調べたところ、測定限
界以下であった。
【0053】また、この真空フランジ11を、550℃
に保持されたチャンバー内に設置し、NF3ガスを75
sccm、N2ガスを100sccmの流量で流し、チ
ャンバー内の圧力を0.1Torrに保持した後、80
0Wの電力を投入し、誘導結合プラズマ方式の高周波プ
ラズマを発生させ、5時間曝露させた。この結果、シー
ル面以外には外観上腐食は認められなかった。シール面
のみは、粉状のフッ化アルミニウムが堆積しており、こ
の堆積はシール面から容易に剥落した。
【0054】(比較例1)実施例1と同様にして、真空
フランジの表面のフッ化処理を行った。ただし、シール
面にフッ素樹脂膜を形成しなかった。
【0055】製造した真空フランジについて、ESCA
を用いて観察したところ、真空フランジの表面の全面に
わたって、膜厚0.1μm程度のフッ化膜が生成してい
た。また、この真空フランジについて、実施例1と同様
にしてヘリウムガスのリークを測定したところ、ヘリウ
ムガスのリークが認められた。
【0056】(実施例2)実施例1と同様にして真空フ
ランジのフッ化処理を行った。ただし、フッ化処理後の
大気中での熱処理を、600℃で3時間行った。
【0057】この結果、シール面5、6上のフッ素樹脂
膜は粉状になり、アセトン中で超音波洗浄した後に拭き
取ることによって、樹脂が容易に剥落した。また、ES
CAによる観測結果、ヘリウムガスリークの試験結果
は、実施例1と同様であった。
【0058】(実施例3)実施例1と同様にして真空フ
ランジのフッ化処理を行った。ただし、処理前の真空フ
ランジ1の表面に、液体性フッ素ゴム(大平化成株式会
社製 Fシリーズ)を塗布し、焼き付けすることによっ
て、フッ素ゴム皮膜9A、9Bを形成した。フッ化処理
後の真空フランジ11について、大気中、450℃で1
0時間熱処理を行ったところ、シール面上のゴム膜が粉
状になり、アセトン中で超音波洗浄した後に拭き取るこ
とによって、ゴムが容易に剥落した。また、ESCAに
よる観測結果、ヘリウムガスリークの試験結果は、実施
例1と同様であった。
【0059】(実施例4)アルミニウム(JIS 60
61合金)からなる真空フランジ1を、10重量%水酸
化ナトリウム水溶液に1分間浸漬して脱脂し、十分に水
洗した。次いで、真空フランジ1を、10%硝酸水溶液
に1分間浸漬してエッチングし、十分に水洗し、乾燥し
た。シール面5、6に、厚さ100μmの、市販の熱可
塑性4フッ化エチレン樹脂フィルムを、380℃、圧力
2MPaで15分間熱間圧着した。
【0060】テフロン容器中に、平均粒径10μmのN
aHF2 粉末1gを収容した。テフロンメッシュをNa
HF2 粉末上に載置した後、テフロンメッシュ上に、前
記の被処理部材10を設置した。テフロンメッシュを介
在させることによって、被処理部材10が、NaHF2
粉末と直接接しないようにした。このテフロン容器をス
テンレス容器に入れ、このステンレス容器を密閉した
後、ステンレス容器を乾燥機に入れ、180℃で16時
間熱処理した。その後、室温放置によって、内部温度が
30℃以下になるまで冷却した。
【0061】フッ化処理後のフランジ11について、大
気中、550℃で3時間熱処理を行ったところ、シール
面上のゴム膜が粉状になり、アセトン中で超音波洗浄し
た後に拭き取ることによって、ゴムが容易に剥落した。
フランジ11の表面をX線回折法によって観測したとこ
ろ、アルミニウム結晶からのピークと、AlF3 結晶か
らのピークとが観察された。また、ESCAによる観測
結果、ヘリウムガスリークの試験結果は、実施例1と同
様であった。
【0062】(実施例5)市販のアルミナ粉末(平均粒
径0.5μm)を、スリップキャスト法によって成形
し、1600℃で焼成し、機械加工することによって、
アルミナ焼結体からなるフランジ1を製造した。フラン
ジ1のシール面に、PFA樹脂の分散液を塗布し、乾燥
し、380℃で10分間焼き付けた。この塗布および焼
き付け工程を10回繰り返し、膜厚50μmのフッ素樹
脂膜をシール面5、6上に形成した。
【0063】こうして得られた被処理部材10を、テフ
ロン容器内に、15%フッ化水素酸水溶液に浸漬したま
まで密封し、180℃で15時間熱処理し、室温まで冷
却し、フッ化水素酸よりフランジを取り出した。
【0064】フッ化処理後のフランジ11について、大
気中、500℃で3時間熱処理を行ったところ、シール
面上の樹脂が粉状になり、アセトン中で超音波洗浄した
後に拭き取ることによって、樹脂が容易に剥落した。フ
ランジ11の表面を、走査型電子顕微鏡、XRD、ES
CAによって観察したところ、シール面はアルミナのま
まであったのに対して、シール面以外の表面は、膜厚5
0μmのフッ化アルミニウムが形成されていた。
【0065】このフランジ11のヘリウムガスリークの
試験結果は、実施例1と同様であった。また、このフラ
ンジ11を、実施例1と同じ条件でフッ素ガスプラズマ
に曝露させたところ、シール面以外は外観上腐食が認め
られず、シール面のみは粉状のフッ化アルミニウムが堆
積し、その堆積は容易に剥落した。
【0066】(比較例2)実施例5と同様にしてフラン
ジ1を作製した。次いで、シール面にフッ素樹脂膜を形
成する工程のみを行わず、他はまったく実施例5と同様
にしてフランジ1をフッ化処理した。走査型電子顕微鏡
およびXRDを用いて観察したところ、フランジ1の表
面の全面にわたって、膜厚50μm程度のフッ化アルミ
ニウム膜が形成されていた。また、このフランジ11に
ついてガスリーク試験を行ったところ、ヘリウムガスの
リークが認められた。
【0067】(実施例6)実施例5と同様にしてフラン
ジ1を作製し、フランジ1をフッ化処理した。ただし、
シール面5、6上には、フッ素樹脂膜を形成せず、その
代わりに、4フッ化エチレン樹脂の一種であるポリテト
ラフルオロエチレンの接着性フィルムを貼付した。
【0068】フッ化処理後のフランジ11を、大気中、
500℃で3時間熱処理したところ、シール面上のフィ
ルムが粉状になり、アセトン中で超音波洗浄した後に拭
き取ることによって、フィルムが容易に剥落した。ま
た、ESCAによる観測結果、ヘリウムガスリークの試
験結果は、実施例1と同様であった。
【0069】(実施例7)市販のアルミナ粉末(平均粒
径0.5μm)を、スリップキャスト法によって成形
し、1600℃で焼成し、機械加工することによって、
アルミナ焼結体からなるフランジ1を製造した。フラン
ジ1のシール面に、PFA樹脂の分散液を塗布し、乾燥
し、380℃で10分間焼き付けた。この塗布および焼
き付け工程を10回繰り返し、膜厚50μmのフッ素樹
脂膜をシール面5、6上に形成した。こうして得られた
被処理部材10を、ニッケル製チャンバー中で、100
%フッ素ガスのフロー中で、350℃、15時間フッ化
処理した。
【0070】フッ化処理後のフランジ11について、大
気中、650℃で5時間熱処理を行ったところ、シール
面上の樹脂が粉状になり、アセトン中で超音波洗浄した
後に拭き取ることによって、樹脂が容易に剥落した。フ
ランジ11の表面を、走査型電子顕微鏡、XRDによっ
て観察したところ、シール面はアルミナのままであった
のに対して、シール面以外の表面は、膜厚0.1μm程
度のフッ化アルミニウムが形成されていた。
【0071】このフランジ11のヘリウムガスリークの
試験結果は、実施例1と同様であった。また、このフラ
ンジ11を、実施例1と同じ条件でフッ素ガスプラズマ
に曝露させたところ、シール面以外は外観上腐食が認め
られず、シール面のみは粉状のフッ化アルミニウムが堆
積し、その堆積は容易に剥落した。
【0072】また、このフランジ11を、実施例1と同
様にして高周波プラズマに対して曝露したところ、シー
ル面以外には外観上腐食は認められなかった。シール面
のみは、粉状のフッ化アルミニウムが堆積しており、こ
の堆積はシール面から容易に剥落した。
【0073】(比較例3)実施例7において、シール面
にPFA膜を形成する工程のみを行わず、他は実施例7
と同様にしてフランジをフッ化処理した。フランジの表
面を、走査型電子顕微鏡、XRDによって観察したとこ
ろ、フランジの表面の全面にわたって、膜厚0.1μm
程度のフッ化アルミニウムが形成されていた。このフラ
ンジは、シール面からヘリウムガスのリークが認められ
た。
【0074】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれ
ば、金属、セラミックスまたはこれらの複合材料からな
る基体と、この基体の表面を被覆するフッ化膜とを備え
ている、フッ化膜を有する部材を製造するのに際して、
シール面などの特定部位にはフッ化膜を生成させること
なく、他の部分には良質なフッ化膜を生成させ得る。ま
た、耐蝕性シール部材において、腐食性ガスへの耐蝕性
をフッ化膜によって著しく向上させるのと共に、腐食性
ガスの漏れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、フッ化処理前の真空フランジ1を概
略的に示す斜視図であり、(b)は、真空フランジ1の
断面図である。
【図2】マスキング材9A、9Bが設けられている被処
理部材10を概略的に示す断面図である。
【図3】フッ化処理後の真空フランジ11を概略的に示
す断面図である。
【図4】表面の全面にわたってフッ化膜16が形成され
ている真空フランジ15を概略的に示す断面図である。
【図5】溝形フランジ部4と平面座形フランジ3とのシ
ール部分を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1 フッ化処理前の真空フランジ 2環状本体 2a 耐蝕面 3 平面座形フランジ部
4 溝形フランジ部 5、6 シール面 7 シール溝 9A、
9B マスキング材 10 被処理部材
11、15 フッ化処理後の真空フランジ 13
A、13B、16 フッ化膜 19 ガスケット A ボルト締結によってシール面に加わる圧力の方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 41/85 C04B 41/85 B Fターム(参考) 4F100 AA05B AB01A AB10 AB10A AD00A BA02 EH902 EJ012 EJ422 GB51 GB90 JB02 JB02A 4G076 AA05 AB01 AB02 BA09 BD02 BF01 CA10

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属、セラミックスまたはこれらの複合材
    料からなる基体と、この基体の表面を被覆するフッ化膜
    とを備えている、フッ化膜を有する部材を製造する方法
    であって、 前記基体の表面の少なくとも一部にフッ素原子を含有す
    る固形有機物からなるマスキング材を設け、この基体の
    表面にフッ化膜を形成し、次いで基体の表面からマスキ
    ング材を除去することを特徴とする、フッ化膜を有する
    部材の製造方法。
  2. 【請求項2】前記基体がアルミニウム原子を含有する材
    質からなり、前記フッ化膜が、フッ化アルミニウムから
    なる主結晶相を含むことを特徴とする、請求項1記載の
    フッ化膜を有する部材の製造方法。
  3. 【請求項3】前記基体の表面に前記マスキング材を設け
    た後に、フッ化物を含有する気相または液相中に基体を
    設置し、この基体のうちマスキング材が設けられていな
    い領域に前記気相または液相を接触させることによって
    前記フッ化膜を生成させることを特徴とする、請求項1
    または2記載のフッ化膜を有する部材の製造方法。
  4. 【請求項4】前記基体を構成する前記材質が少なくとも
    アルミニウム原子を含有する金属またはセラミックスで
    あり、前記フッ化膜がフッ化アルミニウム膜であり、固
    体状のフッ素化合物を入れた容器中に前記基体を収容
    し、この容器を加熱することによって、基体を前記固体
    状のフッ素化合物の分解ガスとともに熱処理し、基体の
    表面にフッ化アルミニウム膜を生成させることを特徴と
    する、請求項3記載のフッ化膜を有する部材の製造方
    法。
  5. 【請求項5】前記基体を構成する前記材質が少なくとも
    アルミニウム原子を含有するセラミックスであり、この
    基体をフッ化水素酸に浸漬し、かつ加熱処理することに
    より、基体の表面にフッ化アルミニウム膜を生成させる
    ことを特徴とする、請求項3記載のフッ化膜を有する部
    材の製造方法。
  6. 【請求項6】前記マスキング材を前記基体の表面に塗
    装、貼付けまたは熱圧着によって形成することを特徴と
    する、請求項1−5のいずれか一つの請求項に記載のフ
    ッ化膜を有する部材の製造方法。
  7. 【請求項7】金属、セラミックスまたはこれらの複合材
    料からなる基体の表面にフッ化膜を生成させるための被
    処理部材であって、 この被処理部材が、前記基体と、基体の表面の少なくと
    も一部に設けられている、フッ素原子を含有する固形有
    機物からなるマスキング材とを備えていることを特徴と
    する、被処理部材。
  8. 【請求項8】前記基体がアルミニウム原子を含有する材
    質からなり、前記フッ化膜が、フッ化アルミニウムから
    なる主結晶相を含むことを特徴とする、請求項7記載の
    被処理部材。
  9. 【請求項9】前記マスキング材が前記基体の表面に塗
    装、貼付けまたは熱圧着によって形成されていることを
    特徴とする、請求項7または8記載の被処理部材。
  10. 【請求項10】前記基体が、真空状態を保持するための
    耐蝕性シール部材であり、耐蝕性シール部材が、腐食性
    ガスに対して曝露されるべき耐蝕面と、真空状態を保持
    するためのシール面とを備えており、シール面が前記マ
    スキング材によって被覆されており、耐蝕面が前記マス
    キング材によって被覆されておらず、露出していること
    を特徴とする、請求項7−9のいずれか一つの請求項に
    記載の被処理部材。
  11. 【請求項11】フッ化膜を有する耐蝕性シール部材であ
    って、 耐蝕性シール部材が、腐食性ガスに対して曝露されるべ
    き耐蝕面と、真空状態を保持するためのシール面とを備
    えており、耐蝕面がフッ化膜によって被覆されており、
    シール面がフッ化膜によって被覆されておらず、露出し
    ていることを特徴とする、耐蝕性シール部材。
  12. 【請求項12】前記シール部材が真空フランジであり、
    真空フランジが、環状本体と、環状本体の少なくとも一
    方の端部に設けられているフランジ部とを備えており、
    前記耐蝕面が環状本体の内側面であり、前記シール面が
    フランジ部に設けられていることを特徴とする、請求項
    11記載の耐蝕性シール部材。
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