【発明の詳細な説明】
哺乳動物のプロホルモンコンバターゼ
発明の分野
本発明はプロテアーゼ、特に成熟酵素、より詳しくはスブチリシン−ケキシン
科のそれに関する。
発明の背景
スブチリシン−ケキシン科の莫大な数の酵素が知られ、そしてそれらは全てタ
ンパク質前駆体上の塩基性残基を認識且つ切断できる特徴を有する。これらは互
いとは一及び二塩基性残基を含む特異的な配列を切断するその能力により相違す
る。これらはまた互いとはその組織及び細胞内分布により相違する。哺乳動物に
おいて、プロホルモンコンバターゼ1〜6が既に知られている。新規のホルモン
コンバターゼの部分アミノ酸配列がヒト鱗状癌腫細胞系 BENから得られている。
このアミノ酸配列はオーストラリア国のグループにより、その発明者の一人が開
催した1995年3月2日〜8日にレークタホー(Lake Tahoe)CA州で開いたキース
トーン(Keystone)会議で開示された。このグループはポスター(アブストラク
ト番号B7−102,J.Cellular Biochemistry,付録19B,1995,p243)を紹介し
、それにおいて新規の成熟酵素が BEN細胞において甲状腺傍ホルモン放出タンパ
ク質と一緒に同時発現されることを示した。ヌクレオチド配列は開示されていな
い。
発明の記述
本発明の目的はラット細胞から単離された新規の酵素であって前
記ヒト酵素の部分アミノ酸配列とかなり高度な相同性を示し、且つ以降ラットプ
ロホルモンコンバターゼ7(rPC7)と称するものを提供する。この酵素はスブ
チリシン−ケキシン科の新しいメンバーである。この酵素は遍在的な細胞分布を
有するが、その存在は免疫系細胞において極めて著しいものである。ラットの脾
臓から得られるcDNAが部分配列決定され、そして rPC7のアミノ酸配列がそれか
ら推定できた。更に、ヒトPC7の部分アミノ酸配列をコードするcDNAも得られ、
その配列は前記オーストラリア国のグループにより紹介されたものと同一のペプ
チド配列をコードする。ラット及びヒトPC7は種変異体であり、そして rPC7と
同じ活性を有するタンパク質をコードするその他の変異体を誘導することは当業
者の能力の範囲内に属するものであるため、PC7核酸変異体は総括的に本発明の
範囲に属する。より詳しくは、機能的なアレル変異体及びPC7保存性置換に至る
核酸置換が考慮される。
本発明のその他の目的はヒト及びラットPC7に共通するペプチドの提供にある
。これらのペプチドは様々な種のPC7遺伝子生成物に結合できる抗体の生産を誘
引するために利用できうる。
本発明の更なる目的はPC7に特異的な抗体の提供にある。これらの抗体は、ラ
ットとヒトのPC7部分タンパク質配列間に存在する配列の類似性を頼りとするな
ら、種間のタンパク質配列の保存性を前提に、様々な哺乳動物の種の細胞又は組
織の中のPC7の存在又は量を検定するのに有用である。これらの抗体はPC7の存
在及び/又は量を検出するための診断試薬として有用である。従って、細胞又は
組織中のPC7の存在及び/又は量を検出するためのキット及び方法も本発明の観
点である。キット及び方法はウェスタンブロット、免疫化学及び免疫学的アッセ
イの如き様々な目的のために考えつかれる。
PC7核酸、特に様々な哺乳動物種の細胞又は組織の中に存在するメッセンジャ
ーRNA を検定するための核酸プローブ及びオリゴヌクレオチド並びに方法及びキ
ットも本発明の目的である。方法及びキットは様々な方式、例えばポリメラーゼ
連鎖反応(PCR)の如きのための増幅方法、in situ ハイブリダイゼーション、ノ
ーザンブロット、並びに電気泳動により分離され、転写され、そしてラベル化プ
ローブ及びオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせたDNA フラグメントの検出
のための方式において開発される。
診断試薬及びプローブはこの新規な酵素の検定において有用である。陰性又は
陽性結果はその使用者に、細胞内に存在する注目のタンパク質のタンパク質前駆
体が、その前駆体がPC7により認識可能な塩基性残基を担持するか否かで、切断
されるか否かの情報を提供するであろう。かかる有用性はこの科のその他のメン
バーに関して既に実証されている。例えば、副腎皮質細胞系、 AtT−20において
、PC2の欠如はアルファーMSn 及びベーターEnd の生産性の欠如と相関し、一方
この細胞のPC2コード配列により補完はこれら2種類のPOMC遺伝子生成物の生産
を可能にする。別の例として、反応性低血糖症はPC1発現の欠失に相関する。タ
ンパク質前駆体に対する各プロホルモンコンバターゼの切断の特異性に基づき、
この新規の酵素は既に公知のコンバターゼにとっては劣る基質であることのわか
っている前駆体の成熟化において有用でありうる。
PC7及びそのサブフラグメントをコードする核酸配列はセンス又はアンチセン
ス状態でプラスミドベクターにおいてクローニングできるインサートを構成する
。これらのベクターは細菌性プラスミド、ファージ及び発現ベクターである。PC
7センスインサートを含んで成る組換ベクターはPC7遺伝子生成物を生産するの
に有用である。PC7アンチセンスインサートを含んで成る組換発現ベクターはPC
7遺伝子の発現を休止させるのに有用である。
PC7に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドはPC7遺伝子発現を休止する
のにも有用である。
PC7により切断可能な基質の一つはHIV エンベロープ糖タンパク質 gp160であ
る。このタンパク質の切断は前駆 gp16Oの活性及び融合原性(fusiogenic)形態で
ある gp120とgp41の生産を供す。PC科メンバーの全てがgp160 を gp120/gp41へ
とプロセシングすることができる。そのうち、PC4のみが試験されており、なぜ
ならこの酵素は雄の生殖細胞の中に専ら局在しているからである。試験したPC科
メンバーの全てがgp16O を切断できるが、HIV 感染のための主要標的において局
在するもの、即ちフリン、PC7及びPC5のみが活性ウィルス糖タンパク質の形成
を担う良好な候補である。フリン及びPC7はCD4+リンパ球細胞系の中で発現さ
れる酵素である。PC5は研究したCD4+細胞系の全てに局在する。
従来の報告はフリンが gp160のタンパク質分解成熟にとって重要ではあるが必
須ではないことを示した(Ohnishi,Y.ら(1994)J.virol.68 : 4075-4079 及びG
u,M.ら(1995)FEBS Lett.365 : 95-97)。フリンは gp120をgp77及びgp53生成物
へと更に切断でき、その切断特異性はフリンのみに認められる。従って、PC7は
HIV標的細胞において gp160から gp120を形成できるその他のプロセシング酵素
である。従って、本発明の目的は gp160の gp120/gp41生成物に至る変換を妨げ
る方法を提供し、この方法はg p160mRNAをフリンアンチセンス構築体及びPC7の
アンチセンス構築体を含んで成る核酸と接触させて gp160の切断を担うプロセシ
ング酵素の発現を休止させる工程を含んで成る。任意的に、mRNA又はPC5をコー
ドする対応のcDNAに対するアンチセンスヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチ
ドが更に含まれる。
gp120形成は HIV感染能にとって必須であるため、本発明の更なる目的は HIV
ウィルスによる感染に感受性である被検体のAIDSの発症を予防するための方法の
提供にあり、その方法はフリン及びPC7の前記アンチセンス構築体を含んで成る
組成物を投与する工程を含んで成る。このアンチセンス構築体はフリン及びPC7
をコードするmRNA又は対応のcDNAに対する完全アンチセンス配列又は前記完全ア
ンチセンス配列のオリゴヌクレオチドフラグメントを含んで成りうる。任意的に
、PC5をコードするmRNA又は対応のcDNAに対するアンチセンスヌクレオチド又は
オリゴヌクレオチドが更に含まれる。PC7を休止させる目的のために用いられる
アンチセンス構築体を含んで成る組成物が本発明の目的である。より詳しくは、
gp16Oに至る成熟を担うプロテアーゼを休止させることのできるものが本発明
の目的である。
かかる組成物及び方法は処置被検体に対して著しく有害な作用を有し得るため
、これらの組成物は HIV感受性器官又は細胞をターゲッティングできる製剤の中
にこのようなアンチセンス構築体又はオリゴヌクレオチドが含まれた状態で含ん
で成るものであろうことが考えつく。かかる製剤は例えばwo96/10339 に記載の
如きリポソーム、又は任意のその他のリポソーム、好ましくは HIV感受性器官又
は細胞の中で優先的に蓄積し易いものを含みうる。その他のタイプの製剤にはナ
ノエリトロソーム、例えばLejeune ら(1994)Anticancer Research 14 : 915-9
20に記載のものを含みうる。 HIV感染に対して感受性である器官又は細胞に対す
るターゲッティングの特異性を強めるため、このリポソームをかかる器官又は細
胞の膜マーカーに特異的なリガンドにコンジェゲーションさせることが考えつく
°
PC7に関する染色は高いパーセンテージでダウン症候群又はアル
ツハイマー病に苦しむ患者の脳並びに老人患者の脳において、特にプラク(plaq
ue)及びタングル(tangle)において観察されるため、本発明の更なる目的はそ
れらに冒された患者のこれらの病気の一つを診断する方法を提供し、この方法は
PC7に特異的なラベル化抗体又は抗体フラグメントを適量でこれらの患者に投与
し、そしてこのような病気の存在の指標として脳のプラク及びタングルの中に蓄
積したラベルを検出することを含んで成る。
これらの病気を診断するための別の方法は脳脊髄液体の如き生物学的サンプル
中の抗体又は抗体フラグメントに対するPC7結合を測定することであろう。
PC7の機能はこれらの病気に対して予防的であり得、そしてその遺伝子発現の
活性化又は遺伝子導入を介するPC7の過剰発現はプラク及びタングルの発症を打
破する新規なアプローチでありうる。
発明の説明
本発明は特定の実施例及び添付図面により以降詳細に説明し、その目的は本発
明の限定ではなく、その例示にある。
図面の簡単な説明
図1はラット、マウス及びヒト細胞系における(上図)、並びにラット組織に
わたる(下図)PC7のノーガンブロット分析である。PC7mRNAの推定のおよその
サイズは 4.0〜4.2kb である。示している22種の樹立細胞系は〔A〕に種の構成 的分泌細胞:
HepG2(肝細胞癌腫、ヒト)、Cos-1(腎臓、アフリカングリーン
モンキー)、BSC40(アフリカングリーンモンキーの腎上皮細胞)、BRL-3A(肝
細胞、バッファロラット)、Y1(副腎皮質、マウス)、LoVo(結腸アデノ癌腫
、ヒト)、NIH/3T3(胚、マウス)、LtK-(接続組織
、マウス)、TM3(精巣Leydig細胞、マウス)、TM4(精巣Sertoli 細胞、マウ
ス)、Caco−2(結腸アデノ癌腫、ヒト)及びLLC-PK1(近位腎小管上皮細胞、ブ
タ)。〔B〕10 種の内性分泌顆粒含有調節細胞:Neuro 2A(神経芽腫、マウス
)、NG-108(神経芽腫グリオームハイブリド、ラット−マウス)、SK−N−MIXC
(感覚上皮細胞、ヒト)、GH4C1(体乳腺発育細胞、ラット)、GH3(体乳腺発育
細胞、ラット)、AtT-20(コルチコトロフ、ラット)、αT3−1(性腺剌激細
胞、マウス)、Rin m5F(インスリノーマ、ラット)、PC12(褐色細胞腫、ラッ
ト)及びBTC-3(インスリノーマ、マウス)。
図2はラットの(A)胸腺、(C)脾臓及び(E)リンパ節におけるPC7のmR
NA分布を実証するin situ ハイブリダイゼーション組織化学の結果を示す。ハイ
ブリダイゼーションシグナルの特異性は、センス鎖RNA プローブとハイブリダイ
ズさせたB,D及びFに示す隣接コントロールと対比させたときに実証される。
これらのデーターはPC7がCD4+及びCD8+細胞を含む様々なリンパ球サブ集団に
おいて発現されることを示す。CD4+細胞は HIVレトロウィルスによる感染の標
的であり、従ってPC7の存在はウィルス感染に必要とされる表層糖タンパク質 g
p160の活性化にとって重要でありうる。
図3はラットPC7の部分cDNA及び推定アミノ酸配列を示す(この配列は活性酵
素の全構造をカバーする)。
図4はラット(上図)及びヒト(下図)PC7の部分ヌクレオチド配列の整合を
示し、ここで同一配列は垂直線分により接続した。
図5はヒト(上図)及びラット(下図)活性PC7の部分アミノ酸配列の整合を
示し、ここでPC7特異的エピトープに感受性な配列に下線を付した。PC 7の発現の歴史
1995年3月2〜8日にレークタホーCA州で開かれた本発明の一人が開催した最
近のキーストーン会議の際、オーストラリア国のグループは、ヒト鱗状癌腫細胞
系 BENから単離したPCR フラグメントを基礎とする新規のスブチリシン−ケキシ
ン様コンバターゼの推定部分アミノ酸配列を示すポスター(アブストラクト番号
B7−102,J.Cellular Biochemistry,付録19B,1995,p243)を紹介した
°オーストラリア国のグループにより紹介されたアミノ酸データー 下線を付したアミノ酸は共通縮重センス及びアンチセンスオリゴヌクレオチド
の開発を可能にする配列を示す。PC 7のヒトタンパク質配列を基礎とする縮重オリゴヌクレオチドの開発の選り抜 きの戦略
このアミノ酸配列を基礎に縮重オリゴヌクレオチドを開発し、こ
れは発明者が BEN細胞の全 RNA及びラット下垂体mRNA由来の同等のmRNA由来の同
一のアミノ酸配列をコードするcDNAを単離することを可能にした。
hPC 7に対するセンスオリゴヌクレオチド hPC 7に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド PCR クローン由来のラット及びヒトのPC7の推定ヌクレオチド及びアミノ酸配列
ラット下垂体全 RNA及びオリゴ−dTに対して逆転写酵素 PCRを利用し、本発明
者は第一鎖cDNAを増幅した。次いでこれらを94℃で20sec、52℃で1min 及び72℃
で2min の典型的な PCR反応で30サイクルにおいてセンス及びアンチセンス共通
オリゴヌクレオチドによりプライミングした。285nt の増幅cDNAをベクター PCR
IIの中にサブクローニングし、そしていくつかの陽性クローンを自動 ALFシー
ケンサーにより配列決定した。R14と称する一のクローンはラットPC7配列を供
し、それをノーザンブロット分析、in situ ハイブリダイゼーション、及びラッ
トの脾臓からラムダgtll cDNA ライブラリーをスクリーニングするために用いた
。2種類のその他のクローンを単離し、それらは完全タンパク質をコードする長
いラットcDNA列の同定を可能にした。活性酵素はSEQ ID NO:5のアミノ酸残基12
6〜783 によりコードされる。BEN細胞から得られる RNAから出発して、同じ戦略
を利用してヒトPC7のcDNA配列を単離した。285bpのフラグメントが得られ、そ
して配列決定した。ヒトPC7の部分cDNA配列はSEQ ID NO:4に規定してある。SE
Q ID NO:4から推定したアミノ酸配列は全体的にオーストラリア国のグループに
より開示
された配列内に含まれる。
次にラットの285bp プローブ(PCRフラグメント)を利用して細胞系の多重度の
ノーザンブロット並びにラットの組織及び細胞におけるin situ ハイブリダイゼ
ーション研究を実施した。ノーザンブロット上の結果は図1に示し、in situ ハ
イブリダイゼーションから得られるものは図2に示す。このデーターはPC7と称
するこの新規のmRNAの下記の特性を明示する。
1)ノーザンブロット分析から、PC7転写体は調べた全ての組織及び細胞にお
いて遍在的に発現されることが認められ、フリンに類似の広範な分布が示唆され
、なぜならそれは構成的及び調節分泌経路により細胞において発現されるからで
ある。
2)in situ 及びノーザンのデーターの総合はPC7が結腸、脾臓、胸腺及びリ
ンパ節において最も豊富に発現されることを示唆した。これらは全てリンパ系組
織である。
3)樹立細胞系内のPC7の細胞発現の分析は全ての細胞におけるPC7の遍在発
現を確証せしめたが、更にはマウス、ラット、ヒト及びブタの如き様々な種にお
けるその配列保存性も示した。PC7の最も豊富な起源は性腺剌激細胞に由来する
マウスの下垂体アルファーT3−1細胞系及びマウスインスリノーマ由来のベー
ターTC3細胞系、マウスの線維芽細胞系LtK -1及びラットの褐色細胞腫PC12であ
った。
4)更に、ヒト結腸癌腫LoVo細胞系におけるPC7の発現が有意であり、なぜな
らこの細胞系はフリン活性を欠くからである。この細胞系はPACE4及びフリンを
発現することで事実上知られる〔Seildah
09〕。しかしながら、LoVoフリンは点突然変異を有し、それはこの細胞系におい
てそれを不活性な酵素に効率的にしてしまう〔Takaha
shi,S.,Kasai,K.,Hatsuzawa,K.,Kitamura,N.,Misumi,Y., Ikehara,Y.
,Murakami,K.and Nakayama,K.(1993)Biochem.Hiophys.Res.Commun.19
5,1019-1026.〕。
5)フリン以外の酵素がHIV gp160 表層糖タンパク質をプロセシングすること
が、〔1〕この前駆体を gp120/gp41へと活性化するLoVo細胞の能力に基づき〔
0hnishi,Y.,Shioda,T.,Nakayama,K.,Iwata,S.,Gotoh,B.,Hamaguchi,
M.and Nagai,Y.(1994)J.Virol.68,4075-4079〕並びに〔2〕in vitro g
p160がフリン及びPC1の双方により gp120/gp41へとプロセシングされることを
実証する本発明者により紹介された結果に基づき〔Decroly,E.,Vandenbranden
,M.,Ruysschaert,J.M.,Cogniaux,J.,Jacob,G.S.,Howard,S.C.,Mar
nd Seidah,N.G.(1994)J Biol Chem 269 (16),12240-12247〕可能であると
いう証拠が示された。しかしながら、本発明者の研究所において、 gp160が様々
な細胞系においてPACE4,PC1,PC2,PC5及びそのアイソフォームPC5/6−
Bと一緒に発現されたとき、フリンが最も良好なgp160 のプロセシング酵素であ
ることがわかった。また、LoVo細胞はたとえそれがフリン活性を欠くにしてもこ
の前駆体を効率的にプロセシングできうる。このことはフリンがAIDSウィルス g
p160の良好な候補的なプロセシング酵素であるにもかかわらず、LoVo細胞の中に
存在する別の、しかしながら不明な酵素もこの仕事を成し遂げることができるこ
とを示唆する。PC7は第2の候補的な酵素であると期待され、そして gp160の弱
いプロセッサーであるPACE4ではないと考えられる。PC5も第三の候補でありう
ることは否定できない。しかしながら、PC5は研究した全てのCD4+ 細胞におい
て発現されるわけではなかった。ラット脾臓PC7の推定ヌクレオチド及びアミノ酸配列
この配列は図3に示し、そしてアミノ酸及びヌクレオチド配列はそれぞれSEQ
ID NO:5及び6に規定する。図3を参照すると、活性部位Asp150,His191及びSe
r369(太字、下線付き)、オキシアニオンホールAsn292(太字)〔◆◆〕、並び
に推定チモゲン活性化部位Arg Ala Lys Arg 〔↓〕が強調してある。これらの
アミノ酸残基をまたぐアンチセンスオリゴヌクレオチドはPC7の発現を休止する
ものと考えられる。3つの推定Asn130.138.204.474グリコシル化部位も示す〔●
●●〕。そのうち、Asn204は活性部位を占めるDNA ストレッチ内に位置する。シ
ステイン残基をまたぐアンチセンスオリゴヌクレオチドは適正にフォルディング
する分子の発現に影響を及ぼしうる。これは特にCys195.208.300.361残基が適任
に位置するHis191,Asn204,Asn292及びSer369のそれぞれをコードする配列のま
わりのDNA のストレッチの場合である(図3参照)。上記のアミノ酸残基は全て
アンチセンスオリゴヌクレオチドのデガインにおける選り抜きの標的である。そ
の他のAsn163部位はPro166残基の観点においてN−グリコシル化について有用で
ない。推定のSer,Thrリン酸化〔★★〕及ひTyr 硫酸化〔★〕部位を示し、そし
て予測のSer リン酸化を有する変異Arg Arg Gly Ser Leu 配列を示す。最後に、
推定トランスメンブラン定着ドメインである疎水性配列に下線を付した:
推定ポリアデニル化シグナルAATAAAも強調した。選定の開始メチオニンはヌクレ
オチド218 に認められ、36アミノ酸シグナルペプチド(−36〜−1)を供する。
in−phase ATG の存在及び停止コドンTAA を表示した。
有用なデーターは免疫系及びウィルス感染症の病理学において重
要な意味を有するであろう。これらの考察は以下に基づく:
a)ラット及びヒトの双方に由来するPC7の触媒ドメインのアミノ酸配列はPC
7かフリンに対して類似の切断特異性を有し、そして単独塩基性残基及び塩基残
基の対の双方を認識するであろうことがわかる。更に、フリンの有用な特異性に
基づき〔Siezen,RJ,Creemers,JWM and Van de Ven,WJM(1994)Enr.J.Bio
chem.222,255-266〕、PC7は、切断部位がArg-Glu-Lys-Arg-↓であり、そして
Glu がP3位を占めているHIV gp160 の如き切断部位(P3において)の3個残
基前に存在する負に帯電したアミノ酸を有する前駆体を切断するのに一層良く適
しうることが示唆される。
b)PC7は遍在分布し、そしてその発現はHIV ウィルスにより感染されうるCD
4+ 細胞を含む免疫系組織及び細胞において特に豊富である。従って、PC7は H
IV gp160からgp12O/gp41への変換を阻害するためにそれに対する将来的なイン
ヒビターが開発されうる選り抜きの標的である。インヒビターはとりわけ標的細
胞中のPC7の発現を休止させることのできるアンチセンス核酸又はオリゴヌクレ
オチドでありうる。
c)科のその他の全てのメンバーが RRGDLである点、PC7のP−ドメイン内の
RRGSL 配列の固有の存在は際立つ。これはPC7の固有性を意味し、そして RGD配
列を認識する表層インテグリンレセプターとの可能な相互作用を否定しうる。PC 7の配列とスブリチリシン−ケキシン科のその他のメンバーとの整合
この整合(図示せず)はPC7が祖先的なPC遺伝子生成物であることを示し、な
ぜならそれが4種の酵母株に由来する酵母ケキシン様酵素 Kex2,Krp,Kex1及
びXRP-6を最も良く拠態するからである。哺乳動物PCにおいて、最も近縁したメ
ンバーはPC1及びPC2であ
る。命名法
この新規の遺伝子生成物はPC7と称し、なぜならこれはスブチリシン−ケキシ
ン科の7番目のメンバーであるからである。この名称PC7は最近、報告されたラ
ット配列がこの科の7番目のメンバーであるということを誤って示唆するように
公開された〔Tsuji.AS ら、Biochem Biophys.Res.Commun.202,1452-1459,1
994〕。しかしながら、配列整合は公開されたラットPC7配列が、公開されてい
るラットPACE4〔Johnson,RC ら、Endocrinology 135,1178-1185,1994〕以外
のなにものでもないことを明示した。従って、本発明者は名称PC7を保つことを
決め、なぜならそれがコンバターゼの発見の順序におけるこの酵素のランクを正
確に反映するからである。プローブとして有用なオリゴヌクレオチド
ラット及びヒトのPC7についてのヌクレオチド配列が得られたため、どれが様
々な種におけるPC7の存在及び/又は量を検出するのに有用な保存配列であるか
を推定することが今可能となった。ヒトとラットの配列の対比を図4に示す。こ
の整合は38個のヌクレオチドストレッチ(SEQ ID NO:6のヌクレオチド1043と10
80との間にある)がラットとヒトとの間で絶対的に保存されていることを示し、
それがこれらの種とその他の種におけるPC7の発現についての有効な特異的なプ
ローブとして用いられることを示唆する。この配列をセンス及びアンチセンス方
向で哺乳動物科のその他の6種のメンバーと対比したとき、本発明者は最良の整
合性がラットのフリン、PC4,PC2及びPC5で計算され、63%の同一性であった
。従って、高ストリンジェンシーで実施するハイブリダイゼーションは様々な哺
乳動物種におけるPC7にとっての特異的なシグナルを供するであろう。以下のオ
リゴヌクレオチド及び長さ約15ヌクレオチド以上のそ
の一部はストンジェンシー条件下でPC7にとっての同一の特異的なシグナルを供
するであろう:
これらは、SEQ ID NO:2及び3を有するオリゴヌクレオチド並びにその反転配列
(SEQ ID NO:11及び12)と共に、PC7をコードする核酸、好ましくはmRNAの存在
及び/又は量を慣用の検定手順(例えばノーザンブロット、in situ ハイブリダ
イゼーション)を検定するための診断試薬又は診断キットの成分として利用され
る。細胞サンプル(細胞、組織、そのリゼート又は細胞画分)を上記のオリゴヌ
クレオチドと選定の条件下で接触させ、そしてPC7の存在の指標としてハイブリ
ダイズしたオリゴヌクレオチドの存在及び/又は量を検定する工程を含んで成る
PC7の検出方法も新規である。むろん、これらのオリゴヌクレオチド又はそれよ
り短いサブセット、並びにPC7をその他の種と整合させたときの保存配列に基づ
いてデザインされたその他のオリゴヌクレオチドが増幅方法におけるプライマー
として利用できる。PC 7に対する特異的な抗体の開発
ラットとヒトのPC7のペプチド配列の整合を図5に示す。配列
HisGlnLeuGlyLysAlaAlaLeuGlnHis (SEQ ID NO:9;SEQ ID NO:5の
アミノ酸残基 265〜274 に対応)は2種間で絶対的に保存されていた。それはそ
の他のPCと2個のアミノ酸同一性のみを有していた(下線)。このペプチド配列
は従ってPC7に特異的な抗体を生起するための選り抜きの配列と考えられる。ラ
ットPC7に固有なその他の17個のアミノ酸配列もPC7に対して特異的な抗体の生
産を及
ぼすことのできる抗原と推定される:
(SEQ ID NO:10;SEQ ID NO:5のアミノ酸 485〜501 に対応)。この配列はC末
端領域に位置し、それはPC7と科のその他のメンバーとの最大の相違度を示した
。この領域は様々な種の組織又は細胞におけるPC7を認識する抗体の生産を可能
にする種間の十分な類似の度合いを示すであろうと仮定する。当業界に公知の技
術を利用することによりこれらのペプチドに対して生起させた抗体が得られ、そ
して慣用の検定手順(例えばウェスタンブロット、免疫組織化学、イムノアッセ
イ)においてPC7の存在及び/又は量を検定する診断試薬又は診断キットの成分
として用いられる。細胞サンブル(細胞、組織、そのリゼート又は細胞画分)を
特定の抗−PC7診断試薬と、PC7に対する抗体の結合を可能にする条件下での接
触、そしてPC7の存在の指標として結合抗体の存在及び/又は量を検定すること
を含んて成るPC7の検定方法も新規である。その他の哺乳動物PC7酵素のプロービング
PC7 DNAの一部又は全体をその他の種における同じ酵素をクローニグするため
、cDNAもしくはゲノムライブラリーをスクリーニングするためのプローブとして
のcDNA、又は本明細書に概略する PCRプログラムのいづれかを利用して、用いる
ことができうる。上記の診断キット及び方法に有用なオリゴヌクレオチドは PCR
を開始するためのプライマーとして利用し得る。組換プラスミド及び宿主
慣用の技術及び市販のプラスミドを用い、様々な組換プラスミドがこの度構築
できうる。発現ベクターは適合性宿主細胞においてPC7を生産するのに極めて有
用てある。PC7のcDNAをPRcCMV又はpCDNA-neo(Invitrogen)の如き発現ベクター
の中にアンチセンス方向で
全体的に又は部分的に挿入し、そしてこれらの宿主細胞においてこれらの組換ベ
クターをトランスフェクション又はリポフェクションにより導入し、これらの細
胞内でのPC7遺伝子の発現を休止させることも考慮される。この手順はPC7の存
在が所望されないタンパク質前駆体を生産する細胞系において利用してよく、又
はPC7の生産の欠如に関連する病気を曝露するために用いてよい。PC7欠陥(休
止PC7)である遺伝子導入マウスの生産は関連の病気が曝露されるであろう「ノ
ックアウト」動物モデルとして特に考慮され、但しかかる休止化が胚又は新生動
物に対して致命的でないことが前提とされる。ダウン症候群及びアルツハイマー病のマーカーとしてのPC7
天然PC7を認識する特異的なPC7抗体を用い、我々は関連の被検者から死後に
得た数多くのダウン症候群及びアルツハイマー病脳におけるPC7免疫反応性を評
価した。コントロールとして、我々は正常な脳の免疫反応性を調べた。標的とし
た領域は海馬、並びに前頭及び側頭皮質とした。PC7の染色はダウン症患者の 1
00%及びアルツハイマー病脳の70%に認められ、そしてコントロールでは認めら
れなかった。神経病(プラク、タングル等)を有する高齢者のコントロール脳の
みが若干のPC7免疫反応性を示した。従って、我々はPC7がアルツハイマー病に
おけるプラクについての非常に良好なマーカーである、更には早期マーカーであ
ると考えた。従って、脳の中のPC7の測定はADの早期発症を推定する手段であり
うる。大脳骨髄流体又は末梢(よりはるかにアクセス可能な標的)のいづれかに
おけるPC7の測定がこの病気の発症のある程度の指標を供しもしうる可能性もあ
る。PC7の機能は予防的であり得、それ故その遺伝子発現の活性化又は遺伝子導
入を介するPC7の過剰発現はプラク及びタングルの発症を防ぐ新規のアプローチ
を開発する手段でありうる
°
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C12Q 1/68 G01N 33/50 T
G01N 33/50 33/53 D
33/53 C12N 5/00 B
//(C12N 5/10
C12R 1:91)
(31)優先権主張番号 08/545,562
(32)優先日 平成7年10月19日(1995.10.19)
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,
CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,H
U,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ
,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,
MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,R
O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM
,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN
(72)発明者 クレティアン,ミシェル
カナダ国,ケベック エイチ2ブイ 1ゼ
ット8,モントリオール,ヌメロ 104,
シュマン コート−サント−カテリーヌ,
1