JP2000502711A - 同種異系パラクリンサイトカイン腫瘍ワクチン - Google Patents

同種異系パラクリンサイトカイン腫瘍ワクチン

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、(a)腫瘍細胞株を得て、(b)該腫瘍細胞株を、未修飾の腫瘍細胞株と比べて増加したレベルのサイトカインを産生することができるように修飾し、(c)該腫瘍細胞株を得た腫瘍と同じタイプの腫瘍である少なくとも1つの腫瘍を有する哺乳類宿主に、該腫瘍細胞株(該腫瘍細胞株は該宿主と同種異系であり、かつMHCがマッチしていない)を投与することを含む癌の治療方法を提供する。本発明はまた、膵臓腫瘍細胞株、かかる腫瘍細胞株を得るための方法および培地、ならびに精製された膵臓腫瘍細胞株の細胞を含有する組成物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 同種異系パラクリンサイトカイン腫瘍ワクチン 米国連邦が支援する研究および開発においてなされた 発明に対する権利に関する陳述 本発明はナショナル インスティテューツ オブ ヘルスが与えた認可第CA 62924号、およびナショナル インスティテューツ オブ ヘルスおよびナ ショナル キャンサー インスティテュートが共同で与えた認可第CA5784 2号のもとで政府に援助されて成された。政府は本発明における一定の権利を有 しうる。 発明の技術分野 本発明は同種異系腫瘍細胞株(allogeneic tumor cell line)、すなわち、宿主 と遺伝子的に異なる腫瘍細胞株を用いる癌の治療方法に関する。詳細には、本発 明は同種異系膵臓腫瘍細胞株を用いる膵臓癌の治療方法に関する。本発明はまた 、膵臓腫瘍細胞株、かかる細胞株を得るための方法および培地、ならびに精製さ れた膵臓腫瘍細胞株の細胞を含有する組成物に関する。 発明の背景 ヒト腫瘍細胞が細胞ゲノム中にその悪性表現型の原因となる複数の特異的改変 を含むことが一般に認められている。これらの改変は細胞の増殖と分化を制御す る遺伝子の発現または機能に影響を及ぼす。例えば、典型的にはこれらの変異は 腫瘍遺伝子、またはγas のような細胞のトランスフォーメーションの正のエフ ェクター中に、および負の成長調節因子をコードする腫瘍抑制遺伝子(または劣 性腫瘍遺伝子)中に認められ、その機能を失うとP53,Rb1,DCC,MCC,NF1,およ びWT1のようなトランスフォームされた表現型の発現を結果としてもたらす。 変異は膵臓癌腫(カルシノーマ)および結腸直腸癌腫(カルシノーマ)を含め た通常のヒト腫瘍の全てにおいて検出されている。今日までに、トランスフォー ミングγas 遺伝子(すなわち、12,13および61番目の重要な位置の一つに改変 されたアミノ酸を有する蛋白質をコードするH-γas,K-γas,またはN-γas の変 異型) がヒトの癌で最も頻繁に同定された腫瘍遺伝子である。Barbacid,Ann .Rev.Bio chem.56,779-827 (1987)により報告されているように、γas 腫瘍遺伝子は膀 胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、直腸、および胃の癌腫(カルシ ノーマ)において;リンパ球系および骨髄系の造血腫瘍において;繊維肉腫およ び横紋筋肉腫のような間葉由来の腫瘍において;および黒色腫、奇形癌腫(テラ トカルシノーマ)、神経芽細胞腫、およびグリオームを含めた他の腫瘍において 見い出されている。Bos,Cancer Research, 49,4682-4689 (1989)に記載されて いるように、特に、γas 変異は膵臓の腺癌(アデノカルシノーマ)の患者の90 %以上で同定されている。 膵臓の腫瘍は非常に悪性であり、一般に死に到る。実際、膵臓癌は米国におけ る癌関連死の原因の第5位である。現在行われている治療法は切除不可能な腫瘍 (すなわち、局部的に進行したまたは転移性の癌)の患者には効果が少ないかま たは効果がない。同様に、切除することのできる局在的な疾患の患者にとって、 現在の技術水準の放射線療法および化学療法と組み合わせたアジュバント療法は 穏やかな効果しか示さないうえに、かなりの治療毒性の犠牲を払わなければなら ない。アジュバント療法を受ける癌患者の71%以上は結局は再発性疾患により 死ぬ。これらの理由から、現在、より効果的な治療が癌に、特に進行したおよび 限定期の膵臓癌の両方に必要である。 免疫療法は癌の治療において治療的アプローチになる可能性がある。免疫療法 は、自然に発生する腫瘍を拒絶する免疫系の不全が腫瘍抗原に対して適切に応答 する免疫系の不全に関連するという前提に基づいている。機能している免疫系に おいて、腫瘍抗原はプロセシングされ、主要組織適合遺伝子複合体(major histo -compatibility complex,MHC)クラスIおよびII分子〔これはヒトの場合、 「ヒト白血球関連」(“human leukocyte associated”,HLA)分子ともいう 〕においては細胞表面上に発現される。抗原と複合体を形成すると、MHCクラ スIおよびII分子はそれぞれCD8+およびCD4+T細胞により認識される。こ の認識により、二次的な細胞シグナルのセットと、細胞間の相互作用を媒介し、 宿主 防御を剌激して疾患を退ける特異的サイトカイン(すなわち可溶性のいわゆる「 生物学的応答調節物質(biological response modifier)」)のパラクリン放出 が生じる。次いでサイトカインの放出が抗原特異的T細胞の増殖をもたらす。 従って、活性免疫療法は、腫瘍細胞を典型的には腫瘍の近傍に注射して、新た なあるいは増強された全身性免疫応答を生じさせることを含む。腫瘍に対する全 身性T細胞応答を増強するこの免疫療法的アプローチの能力は先に開示されてい る。例えば、特に、国際出願WO92/05262、Fearon et al.,Cell60, 397-403(1990)、およびDranoff et al.,Proc .Nat1.Acad.Sci.90,3539-35 43(1993)参照。注射された腫瘍細胞は通常その免疫原性を増強するために、非 特異的アジュバントと混合したり、またはサイトカインもしくは他の免疫共同刺 激分子を発現するように細胞を遺伝子的に修飾することにより改変されている。 使用する腫瘍細胞は自己由来、すなわち、治療中の宿主と同じ宿主由来であって よい。あるいは、腫瘍細胞はMHCがマッチする、すなわち同じか少なくとも幾 つかは同じMHC複合体分子を有する別の宿主由来であってよい。 臨床研究者らは、種々の理由により、MHCがマッチする腫瘍細胞より自己由 来腫瘍細胞を使用することを好むこともあるし、逆のこともある。すなわち、各 患者の腫瘍は、他の患者からの組織学的に類似する、MHCがマッチする腫瘍細 胞で見い出される腫瘍抗原とは異なる独特の組み合わせの腫瘍抗原を発現するの で、自己由来細胞が好ましい。例えば、Kawakami et al.,J .Immunol.,148,63 8-643(1992); Darrow et al.,J .Immunol.,142, 3329-3335(1989)およびHom et al.,J .Immunother.10,153-164 (1991)参照。ヒト黒色腫抗原を評価す る研究により、同じMHCタイプが同様に共有されているか否かにかかわらず、 これまでに同定された全てのヒト腫瘍抗原が少なくとも50%の患者の腫瘍で共 有されていることが確認されている。患者自身の腫瘍からの細胞を用いれば、腫 瘍またはMHC抗原をマッチさせる必要をなくすことができる。 対照的に、自己由来腫瘍細胞ワクチンの使用は、ワクチン製造のために各患者 を外科的に手術して患者の腫瘍のサンプルを得る必要があるので、MHCがマッ チする腫瘍細胞が好ましい。自己由来腫瘍細胞ワクチンの製造に必要な新鮮なヒ ト腫瘍外植片をインビトロで増殖させることは、労力集約型であり技術が要求さ れ、高度に専門的な研究施設をもってしてもほとんどの組織学的タイプのヒト腫 瘍で不可能であることが多い。さらに、各患者の腫瘍からのワクチンの製造は非 常に高価である。また、培養において自己由来細胞の継代培養を続けると、この ような細胞の抗原性組成は、その細胞株が由来する初代腫瘍(primary tumor) に比べて変化し、細胞がワクチンとして有効でなくなる可能性がかなりある。こ のような変化は株化された全ての細胞株で避けられないが、自己由来細胞を腫瘍 ワクチンとして使用するについては、このアプローチを用いて治療中の各患者の 最初に単離したそれぞれの細胞株の凍結保存品を維持する必要があるだろう。 自己由来およびMHCがマッチする細胞を腫瘍ワクチンとして用いることに関 連するこれらの欠点に基づいて、Jaffee et al.,Seminars in Oncology22,8 1-91 (1995)で報告されているように、他の研究者らは代わりの腫瘍ワクチンを 探究してきた。Huang et al.,Science, 264, 961-965(1994)の最近の結果は この提案と関連がある。すなわち、この研究以前には、腫瘍ワクチンストラテジ ーは、ワクチン接種腫瘍細胞がそれらのMHCクラスIおよびII分子上で腫瘍抗 原を提示する抗原提示細胞(antigen presenting cell,APC)として機能し 、免疫応答のT細胞武装を直接活性化するという理解に基づいていた。対照的に 、Huang らの結果は、ワクチン接種腫瘍細胞ではなくむしろ宿主の専門的なAP Cが免疫応答のT細胞武装を準備することを示す。腫瘍ワクチン細胞はGM−C SFのようなサイトカインを分泌し、腫瘍骨髄由来APCの領域を補充する。骨 髄由来APCはプロセシングのために腫瘍の細胞蛋白質の全体を取り込み、次い でそのMHCクラスIおよびII分子上で抗原性ペプチドを提示する。このように して、APCは免疫系のCD4+およびCD8+T細胞の両方の武装を準備し、宿 主腫瘍の抗原性エピトープに特異的な全身性抗腫瘍免疫応答を生じさせる。これ らの結果は癌治療において自己由来またはMHCがマッチする腫瘍細胞を用いる 必要がないかもしれないことを示唆する。 他の結果は同種異系MHC遺伝子(すなわち、同じ種の遺伝子的に異なる個体 からの遺伝子)の導入が腫瘍免疫原性を増強しうることを示唆する。詳細には、 Jaffee et al.,(前記)およびHuang et al.,(前記)で報告されているように 、あるケースでは、同種異系MHCクラスI分子を発現する腫瘍の拒絶反応は、 その後の修飾されていない親腫瘍の抗原投与に対して増強された全身性免疫応答 を生じさせた。これは、Itaya et al.,Cancer Res., 47,3136-3140 (1987)に より「異種発生(xenogenization)」として記載された一般的現象の例(腫瘍細 胞に外来抗原をコードする遺伝子を導入することにより腫瘍ワクチンの力価が増 強される)を示すと考えられる。 従って、自己由来またはMHCがマッチする腫瘍細胞の使用に依存しない、ま たそのような使用に関連する困難性や欠点を回避する癌の治療方法、特に膵臓癌 の治療方法に対する要求が依然としてある。本発明はこのような方法、ならびに 該方法を実施するために必要な構成要素を提供する。本発明のこれらのそして他 の目的および利点は、更なる発明の特徴とともに本明細書に記載する発明の説明 から明らかとなるであろう。 発明の要旨 本発明は、(a)腫瘍細胞株を得て、(b)該腫瘍細胞株を、未修飾の腫瘍細 胞株と比べて増加したレベルのサイトカインを産生することができるように修飾 し、(c)該腫瘍細胞株を得た腫瘍と同じタイプの腫瘍である少なくとも1つの 腫瘍を有する哺乳類宿主に、該腫瘍細胞株を投与することを含む癌の治療方法を 提供する。該腫瘍細胞株は該宿主と同種異系であり、かつMHCがマッチしてい ない(not MHC-matched)。特に、本発明は同種異系膵臓腫瘍細胞株を用いる膵 臓癌の治療方法を提供する。本発明はまた、膵臓腫瘍細胞株、かかる腫瘍細胞株 を得るための方法および培地、ならびに精製された膵臓腫瘍細胞株の細胞を含有 する組成物を提供する。 好適な実施態様の説明 本発明の癌の治療方法は、(a)腫瘍細胞株を得て、(b)該腫瘍細胞株を、 未修飾の腫瘍細胞株と比べて増加したレベルのサイトカインを産生することがで きるように修飾し、(c)該腫瘍細胞株を得た腫瘍と同じタイプの腫瘍である少 なくとも1つの腫瘍を有する哺乳類宿主に、該腫瘍細胞株を投与することを含む 含む。投与された腫瘍細胞株は該宿主と同種異系であり、かつMHCがマッチし ていない。 本発明の方法は癌治療に用いることができる。本発明において「癌の治療」と は、治療的応答を達成する目的で本明細書に記載する腫瘍細胞株を宿主に投与す ることを包含する。特に、治療的応答は腫瘍抗原に対する全身性免疫応答(すな わち、T細胞応答)である。このような応答は腫瘍増殖の減衰および/または腫 瘍退縮をモニターすることにより評価することができる。「腫瘍増殖」は腫瘍の 大きさおよび/または腫瘍の数の増加を包含する。「腫瘍退縮」は腫瘍質量の減 少を包含する。 本発明において「癌」は、異常な細胞増殖と接触阻止現象のないことを特徴と する癌、特に上皮由来の癌を包含し、このことは腫瘍形成により証明することが できる。この語は腫瘍内に局在化する癌、および腫瘍内に局在化していない癌( 例えば、腫瘍から浸潤により局所的に拡大した癌細胞)を包含する。従って、本 発明による治療に関して、いかなるタイプの癌も標的にすることができる。例え ば、このアプローチは好ましくは、切除した癌の局所アジュバント療法、および 膀胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、直腸、および胃の癌腫(カル シノーマ)のような腫瘍増殖の局所コントロールを含めた幾つかの臨床計画に適 用することができるが、これらに限定されるものではない。またこの方法は好ま しくは、腫瘍が肉腫(例えば、繊維肉腫または横紋筋肉腫)、リンパ球系または 骨髄系の造血腫瘍、または黒色腫、奇形癌腫(テラトカルシノーマ)、神経芽細 胞腫、またはグリオームを含めた他の腫瘍(これらに限定されるものではない) であるとき治療に用いることができる。 好ましくは本発明の方法は膵臓癌の治療に用いることができる。従って、本発 明はまた、(a)膵臓腫瘍細胞株を得て、(b)該腫瘍細胞株を、未修飾の腫瘍 細胞株と比べて増加したレベルのサイトカインを産生することができるように修 飾し、(c)少なくとも1つの膵臓腫瘍を有する哺乳類宿主に、該腫瘍細胞株( 該腫瘍細胞株は該宿主と同種異系であり、かつMHCがマッチしていない)を投 与することを含む膵臓癌の治療方法を提供する。 この癌の治療方法は広範な種類の異なる宿主を用いて効果的に行うことができ る。例えば、本方法は種々の真核生物宿主で行うことができるが、好ましくは、 げっ歯類、サル、チンパンジー、ネコ、イヌ、有蹄類(例えば反芻動物またはブ タ)、ならびに特にヒトの宿主を含めた哺乳類宿主(これらに限定されるもので はない)で行うことができる。腫瘍細胞株 本明細書に記載するように、「腫瘍細胞株」は腫瘍に元来由来する細胞を包含 する。このような細胞は典型的には、インビボで何らかの変化を受けて、理論的 に培養において無限増殖性を有する。すなわち、限られた時間の間だけ培養する ことができる初代細胞と異なる。さらに、このような細胞は好ましくは感受性動 物に注射された後、腫瘍を形成することができる。 本発明によれば、腫瘍細胞株はいかなる腫瘍由来であってもよく、例えば、膀 胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、直腸、および胃の癌腫(カルシ ノーマ);リンパ球系または骨髄系の造血腫瘍;繊維肉腫または横紋筋肉腫のよ うな間葉由来の腫瘍;または黒色腫、奇形癌腫(テラトカルシノーマ)、神経芽 細胞腫、またはグリオームを含めた他の腫瘍が挙げられる。好ましくは腫瘍細胞 株は膵臓腫瘍由来である。 癌の治療方法において用いられる腫瘍細胞株はいかなる適当な手段によっても 得ることができるが、好ましくは、(a)哺乳類宿主から腫瘍のサンプルを得て 、(b)該腫瘍サンプルから単細胞懸濁液を形成させ、(c)該腫瘍細胞をペレ ットにし、(d)該腫瘍細胞をプレーティングすることを含む一般的な方法で得 る。より詳細には、腫瘍のサンプルは典型的に外科手術の時に得ることができる 。腫 瘍サンプルは続いて滅菌操作を用い、組織損傷を最小限にするようにして処理お よび操作する。組織サンプルを滅菌容器内の氷上に置き、クリーンベンチ(labor atory laminar flow hood)に移す。腫瘍細胞株の単離に用いる腫瘍の部分を小片 に細切する。腫瘍の残りの部分は−70℃で保存する。次いでコラゲナーゼIの 溶液を用いて、腫瘍の薄片を単細胞懸濁液に消化する。この消化は室温でまたは 加温して行うことができる。好ましくは、消化は37℃で混合物を振とうしなが ら、例えば振とうインキュベーター中で行う。 次いで単細胞懸濁液をペレットにし、このペレットを少容量の組織培養培地に 再懸濁することができる。再懸濁した細胞を培養における細胞の増殖に適当な組 織培養培地に、約2×105腫瘍細胞/mlの密度で播種することができる。好 ましくは培地は、重炭酸塩緩衝系および種々のアミノ酸とビタミンを利用する培 地のような、多くのタイプの細胞培養の増殖を維持するための広範な適用性を有 するものである。最適には培地はRPMI−1640培地である。培地は必要に 応じて(例えば、腫瘍細胞の増殖に必要なとき、または未分化状態で腫瘍細胞を 維持するのに必要なとき)、種々の追加の因子を含有してもよい。 培養物は約5〜7%CO2の存在下、約35〜40℃で維持することができる 。腫瘍細胞培養物は必要に応じて、すなわち、典型的には1〜10日毎に流加し 再培養することができる。腫瘍細胞はまた、初代腫瘍培養物(primary tumorcul tures)以上に増殖し得る他の細胞(例えば、間質細胞)を除去するためにディ ファレンシャルトリプシナイゼーション(differential trypsinization)に付 してもよい。好ましくは、そのようなディファレンシャルトリプシナイゼーショ ンは約5〜10日毎に行う。 腫瘍細胞の実質的に純粋な培養物が得られたと考えられるとき、必要に応じて 、培養物の相対純度を決定するために、また得られた腫瘍細胞株を特徴付けるた めに種々の試験を行うことができる。例えば、本明細書でさらに説明するような 、細胞株中の特定の遺伝子配列の存在、または特定の表現型形質を調べることが できる。 腫瘍細胞株を単離する方法は、好ましくは、膵臓腫瘍細胞株を単離するために 用いることができる。このような膵臓腫瘍細胞株は同様に、膵臓癌の治療方法に 用いることができ、(a)哺乳類宿主から膵臓腫瘍のサンプルを得て、(b)該 腫瘍サンプルから単細胞懸濁液を形成させ、(c)該腫瘍細胞をペレットにし、 (d)該腫瘍細胞をプレーティングすることにより得ることができる。従って、 本発明は、実質的に精製された腫瘍細胞株、特に実質的に精製された膵臓腫瘍細 胞株を提供する。 望ましくは、単離工程の一部として、膵臓腫瘍細胞を、膵臓腫瘍細胞の培養に 最適化された増殖培地にプレーティングする。好ましくは、この培地はRPMI −1640培地である。最適にはこの培地はさらに胎児血清、インスリン、およ びインスリン様増殖因子1および2を含有する。好ましくは胎児血清はウシ胎児 血清であり、約5〜約30%、より好ましくは約10〜約25%、最適には約20 %の濃度で含有される。また、好ましくはインスリンはヒトインスリンであり、 培地中に約0.02〜約2.0U/ml、より好ましくは約0.1〜約1.0U /ml、最適には約0.2U/mlの濃度で含有される。インスリン様増殖因子 1および2はそれぞれ、好ましくは培地中に約0.001〜約0.1μg/ml 、より好ましくは約0.005〜約0.05μg/ml、最適には約0.01μ g/mlの濃度で含有される。 培地および培地成分は容易に入手可能であり、例えば、市販業者から得ること ができる。そのような市販業者には、JRH Biosciences (Lenexa,KS),Gibco BR L (Gaithersberg,MD),Hyclone Labs.(Logan,UT),Sigma Biosciences (St.L ouis,MO),Cell Sys.Corp.(Kirkland,WA),Intergen Co.(Purchase,NY),E li Lilly and Co.(Indianapolis,IN),Biofluids,Inc.(Rockville,MD)および同様 の製品を製造する他の業者が含まれるが、これらに限定されるものではない。 好ましくは腫瘍細胞株(望ましくは膵臓腫瘍細胞株である)は、腫瘍遺伝子ま たは腫瘍抑制遺伝子中に変異を含み、腫瘍細胞株の腫瘍形成性、および宿主腫瘍 からの由来を確認することができる。変異はtγk,ks3,hst,γas,myc,p53,m as,Rb1,DCC,MCC,NF1,およびWT1を含めた(これらに限定されるものではない )いかなる腫瘍遺伝子または腫瘍抑制遺伝子中で起こってもよい。最適には腫瘍 細胞株はγas 変異を含む。好ましくは変異はH-γas,K-γas,およびN-γasのγ as遺伝子のうちの一つのコドン12,13または61に存在する。最適には変異はγas 遺伝子のコドン12、好ましくはK-γas 遺伝子のコドン12に存在する。 γas 変異により特徴付けられる腫瘍細胞株を用いることは、γas 遺伝子を腫 瘍形成性にする変異が、例えばBos,(前記)およびBarbacid,(前記)により報 告されているように既に特徴付けられているので有利である。これは、γas 腫 瘍蛋白質を生じさせることが知られているアミノ酸の変換を組み入れたペプチド を容易に合成することができ、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の標的として評 価できることを意味する。これらのペプチドに対する宿主免疫応答はワクチン接 種の前および後のどちらでも評価することができる。 腫瘍細胞株(好ましくは膵臓細胞株)は、該腫瘍細胞を他の細胞から区別する さらなる性質によっても特徴付けることができ、例えば、インビトロまたはイン ビボにおける細胞生存をモニターするために用いることができる。そのような性 質の例として、特定の蛋白質(望ましくは細胞表面蛋白質)に対する抗体染色が 挙げられる。好ましくは、本発明の膵臓腫瘍細胞株は、サイトケラチンに対する 抗体を用いる組織化学的染色を行ったとき、サイトケラチン染色を示す。従って 、本発明は、Panc 4.14.93,Panc 1.28.94,Panc 6.3.94,Panc 8.13.94,Panc 9.6.94,Panc 12.1.94,Panc 2.3.95,Panc 4.3.95,Panc 4.21.95,Panc 5.4.9 5,および特にPanc 10.5.92を含めた好適な膵臓腫瘍細胞株を提供するが、これら に限定されるものではない。サイトカイン 本発明の癌治療方法において、好ましくは、腫瘍細胞株(例えば、膵臓腫瘍細 胞株)は未修飾の腫瘍細胞株、または修飾された腫瘍細胞株が由来する親腫瘍細 胞株と比べて増加したレベルのサイトカインを産生することができるように修飾 されている。「サイトカイン」は、この語が当業者に理解されているように、宿 主に存在する腫瘍に対する宿主免疫系の応答性を増強するいかなる免疫強化蛋白 質(糖蛋白のような修飾蛋白質を含む)でもよい。好ましくはサイトカインはそ れ自体は宿主に対して免疫原性ではなく、免疫系の細胞の活性を活性化または増 強することにより免疫を増強する。 本明細書で用いるように、サイトカインはインターフェロン(例えば、IFN α、IFNβ、およびIFNγ)、インターロイキン(例えば、IL−1からI L−11)、腫瘍壊死因子(例えば、TNFαおよびTNFβ)、エリスロポエ チン(EPO)、マクロファージコロニー剌激因子(M−CSF)、顆粒球コロ ニー刺激因子(G−CSF)および顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子( GM−CSF)のような蛋白質を包含する。好ましくはサイトカインはいかなる 源からのGM−CSFでもよく、最適にはサイトカインはマウスまたはヒトGM −CSFである。 本発明において腫瘍細胞株を「修飾する」とは、対象とするサイトカインの発 現増加をもたらすことのできるベクターを腫瘍細胞株に与えることを含む。「ベ クター」は、プラスミド、ウイルスまたは他のビヒクルのようなDNA分子を包 含し、これは一またはそれ以上の異種または組換えDNA配列(例えば、機能的 プロモーターおよびおそらくエンハンサーの制御下にある、対象とするサイトカ イン遺伝子またはサイトカインをコードする配列)を含有し、この語が当業者に 理解されているようにベクターとして機能し得るものである。適当なウイルスベ クターとしては、シミアンウイルス40、ウシパピローマウイルス、エプスタイ ン−バーウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、 モロニーマウス白血病ウイルス、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイ ルス、およびラウス肉腫ウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。 ベクターまたは他のDNA配列に関して「組換え」というときは、天然から単 離された際には通常結合していないDNA配列が結合していることを単に意味す るだけである。「遺伝子」は蛋白質をコードするいかなる核酸配列でもよく、ま たは初期mRNA分子である。遺伝子はコーディング配列に加えていかなる非コ ーディング配列(例えば、調節配列)を含んでいてもよいが、「コーディング配 列」は非コーディングDNAを含まない。「プロモーター」はRNAポリメラー ゼの結合を指示し、それによりRNA合成を促進するDNA配列である。「エン ハンサー」は近傍の遺伝子の転写を剌激または阻害するDNAのシス作動性エレ メントである。転写を阻害するエンハンサーは「サイレンサー」とも呼ばれる。 エンハンサーはどちらの方向にも、数キロ塩基対(kb)まで離れていても、さ らに転写領域の下流に位置していても機能し得る点で、エンハンサーはプロモー ターにのみ見つかる配列特異的DNA結合蛋白質とのDNA結合部位(これは「 プロモーターエレメント」とも呼ばれる)と異なる。 真核生物腫瘍細胞、または特に哺乳類のような動物腫瘍細胞(例えば、ヒト腫 瘍細胞)に核酸を導入するために適したいかなる適当なベクターも用いることが できる。好ましくは、ベクターは腫瘍細胞と適合性であり、例えば、サイトカイ ン遺伝子またはコーディング配列の発現を付与することができるものであり、腫 瘍細胞内で安定に維持されるか、相対的に安定に維持される。望ましくはベクタ ーは複製の開始点を含む。好ましくはベクターはいわゆる「マーカー」機能も含 み、該「マーカー」機能によりベクターを同定し選択することができる(例えば 、抗生物質耐性遺伝子)。サイトカインコーディング配列が導入されるとき(す なわち、それ自体のプロモーターを有するサイトカイン遺伝子と対照的に)、最 適にはベクターは、コーディング配列の発現を制御することができ、コーディン グ配列に機能的に連結するプロモーターも含有する。プロモーターがコーディン グ配列の転写を指示することができるとき、コーディング配列はプロモーターに 「機能的に連結する」(例えば、コーディング配列とプロモーターの両方が一緒 になって天然または組換えサイトカイン遺伝子を構成するとき)。 本明細書で用いるように、サイトカイン「遺伝子」または「コーディング配列 」は、該遺伝子またはコーディング配列が、サイトカインの特徴的な機能(すな わち、宿主免疫応答を刺激する能力)を有する蛋白質を発現させることができる 、 または該蛋白質内に発現されうるのであれば、天然から単離したか、または全合 成もしくは部分合成したかにかかわらず、サイトカインのゲノミックまたはcD NA配列、そのより大きい配列およびより小さい配列およびその変異体を包含す る。これらは、遺伝子またはコーディング配列を修飾する手段は当分野でよく知 られており、商業的に入手可能なキットを用いて行うこともできる(例えば、Ne w England Biolabs,Inc.,Beverly,MA; Clontech,PaloAlto,CA)。サイトカ イン遺伝子またはコーディング配列は適当ないかなる源からのものでもよく、例 えば、ヒトのようないかなる哺乳類種から単離されたものでもよい。しかしなが ら、好ましくは、サイトカイン遺伝子またはコーディング配列はGM−CSF配 列を含有し、特にヒトまたはマウスGM−CSF cDNA配列を含めたヒトま たはマウスGM−CSF遺伝子またはコーディング配列を含有する(例えば、Ca ntrell et al.,Proc .Natl.Acad.Sci.82,6250-6254 (1985)に記載)。 本発明の組換えベクターにおいて、好ましくはすべての適切な転写、翻訳およ びプロセシングシグナル(例えば、スプライシングおよびポリアデニレーション シグナル)は、サイトカイン遺伝子またはコーディング配列がそれが導入された 腫瘍細胞内で適切に転写および翻訳されるように、ベクター上に正しく配置され ている。宿主細胞内での適切な発現を確実にするためのこのようなシグナルの操 作は、当業者の知識および技術の範囲でよく知られている。サイトカイン遺伝子 はそれ自体のプロモーターにより制御される(すなわち、機能的に連結する)が 、別のプロモーター(構成的プロモーターを含む)、例えば、アデノウイルスタ イプ2(Ad2)またはタイプ5(Ad5)主要後期プロモーター(MLP)お よび三分リーダー(tripartite leader)、サイトメガロウイルス(CMV)前 初期プロモーター/エンハンサー、ラウス肉腫ウイルス末端反復配列(RSV− LTR)、およびその他のものをサイトカインコーディング配列の発現を命令す るために用いることもできる。 あるいは、組織特異的プロモーター(すなわち、所定の組織で優先的に活性化 され、その活性化が起こった組織内で結果として遺伝子産物を発現するプロモー タ−)をベクター中に用いることができる。そのようなプロモーターとしては、 膵臓腺房細胞で活性なエラスターゼI遺伝子調節領域(Swift et al.,Cell38 ,639-646 (1984)およびMacDonald,Hepatology7, 425-515,(1987)に記載); 膵臓β細胞で活性なインスリン遺伝子調節領域(Hanahan,Nature315, 115-12 2 (1985)に記載);アルブミンまたはα1−アンチトリプシンの肝細胞特異的プ ロモーター(Frain et al.,Mol .Cell.Biol.10,991-999 (1990)およびCili berto et al.,Ce1141,531-540 (1985)に記載);および共に肝臓で活性なア ルブミンおよびα1−アンチトリプシン遺伝子調節領域(Pinkert et al.,Genes and Devel.1, 268-276(1987)およびKelsey et al.,Genes andDevel.1, 1 61-171 (1987)に記載)が挙げられるが、これらに限定されない。 同様に、結腸癌腫(カルシノーマ)に対する癌胎児性抗原(Schrewe et al.,M ol.Cell Biol., 10, 2738-2748(1990)に記載)のような腫瘍特異的プロモーター をベクター中に用いることができる。同じ系統の中で、異なる発生段階で選択的 に活性化されるプロモーター(例えば、グロビン遺伝子は胎児と成人では異なっ て転写される)を特定のタイプの癌の遺伝子治療に用いることができる。 別の選択肢は、IL−8プロモーター(TNFに対して応答性である)、また は6−16プロモーター(インターフェロンに対して応答性である)のような誘 導性プロモーターを用いることであり、あるいは宿主に存在するかまたは外来的 に投与することのできる、他のサイトカインまたは他の因子に応答性である他の 同様のプロモーターを用いることである。サイトカイン誘導性プロモーターを使 用することはサイトカイン遺伝子の自己誘導性発現を可能にするというさらなる 利点がある。本発明によれば、所望の結合能とプロモーター強度を有する限り、 どのようなプロモーターも突然変異誘発により変化させることができる。 従って、本発明は、上記で定義するようなサイトカインをコードする核酸配列 を含有し、本発明の癌治療方法で使用することのできるベクターを提供する。特 に、本発明はGM−CSFをコードする核酸配列を含有する組換えベクターを提 供する。よって、好ましくは、本発明はpcDNA 1/Neoと呼ばれるベク ターを提供する。これは本明細書でさらに説明する。 本発明の方法において、インビトロで細胞(好ましくは株化された腫瘍細胞株 の細胞であり、特に膵臓腫瘍細胞株である)にサイトカイン遺伝子またはコーデ ィング配列を導入するために組換えベクターを使用することができる。インビト ロで細胞にベクターを運ぶために種々の方法を使用することができる。例えば、 そのような方法としては、エレクトロポレーション、リポソームを用いる膜融合 、DNAでコーティングしたマイクロプロジェクタイルを用いる高速発砲法、リ ン酸カルシウム−DNA沈殿物とのインキュベーション、DEAE−デキストラ ン媒介トランスフェクション、修飾ウイルス核酸を用いるインフェクション、単 細胞への直接マイクロインジェクションなどが挙げられる。他の方法も利用可能 であり、当業者に知られている。このように、本発明は、未修飾の腫瘍細胞株と 比べて増加したレベルのサイトカイン(好ましくはGM−CSF)を産生するこ とができるように修飾されている、実質的に精製された腫瘍細胞株を提供する。 修飾された腫瘍細胞により産生されたサイトカインのレベルは、免疫剌激応答 を得る目的で本発明に関して重要である。好ましくは、修飾された(例えば、ト ランスフェクトされたまたは形質転換された)腫瘍細胞株は、未修飾の(すなわ ち、親の)腫瘍細胞株で観察されるサイトカインのレベルより増加したレベルの サイトカインを産生する。より好ましくは、修飾された細胞株は35ng/106 細胞/24時間より多いサイトカイン分泌を生じさせるレベルのサイトカインを 産生する。修飾された腫瘍細胞株の投与 哺乳類宿主への腫瘍細胞株の修飾された細胞の「投与」とは、修飾された(す なわち、サイトカイン産生性)腫瘍細胞を宿主に実際に物理的に導入することを いう。修飾された腫瘍細胞株を宿主に導入する、いかなるそして全ての方法を本 発明では意図している。該方法はいかなる特定の導入手段に依存するものではな く、またそのように解釈すべきではない。導入手段は当業者によく知られており 、本明細書においても例示されている。 好ましくは、修飾された腫瘍細胞株は、該細胞株を得た腫瘍と同じタイプの腫 瘍である少なくとも1つの腫瘍を有する宿主(すなわち、該宿主はそれ以上の腫 瘍を有していてもよい)に投与される。「同じタイプの腫瘍」とは、組織学的に 類似の、すなわち、治療すべき組織/器官の構造および性質の点で類似の腫瘍を 包含する。投与された腫瘍細胞株は宿主腫瘍と共通する幾つかの抗原(例えば、 腫瘍抗原またはMHC抗原)を有しうると予想されるが、本発明の目的の為に、 投与された腫瘍細胞と宿主腫瘍とは共通のMHC抗原を有する必要はない。同様 に、投与された腫瘍細胞株と宿主腫瘍の間で腫瘍抗原が異なっていてもよく、腫 瘍細胞株の投与が宿主腫瘍に対する全身性(すなわち、T細胞媒介)応答をもた らすことができるのに十分な共通性があることが好ましい。従って、本発明は宿 主に対して同種異系の(すなわち、遺伝子的に異なる)、宿主とMHCがマッチ していない腫瘍細胞株の投与を包含する。本発明によれば、腫瘍細胞株が宿主と 共通のMHC抗原をいずれも共有していないとき、または腫瘍細胞ワクチンを用 いるときに典型的にMHCがマッチするMHC抗原(例えば、MHCクラスI抗 原、特にHLA−A2)のいずれも宿主と共有していないとき、腫瘍細胞株は宿 主と「MHCがマッチしていない(not MHC-matched)」ということである。 本発明はインビボにおける腫瘍へのサイトカインのパラクリン送達を行うので 、好ましくは、遺伝子的に修飾された腫瘍細胞株(例えば、修飾された膵臓腫瘍 細胞株)は治療すべき腫瘍のごく近傍に投与される。「ごく近傍」とは、修飾さ れた腫瘍細胞により放出されるサイトカインが宿主細胞腫瘍に治療的効果を及ぼ すことができるような距離を意味する。最適には、修飾された腫瘍細胞株は腫瘍 自体には直接注射しない。 また、好ましくは、修飾された腫瘍細胞株(例えば、修飾された膵臓腫瘍細胞 株)を、投与の前に細胞複製およびインビボにおける腫瘍形成の可能性を防止す るために放射線照射する。腫瘍細胞を放射線照射するには、通常、腫瘍細胞を組 織培養プレートにプレーティングし、137Cs源を用いて室温で照射する。好ま しくは、細胞を約50〜約200rad/分、より好ましくは約120〜約140 rad/分の線量速度で照射する。好ましくは、大部分の細胞、すなわち好まし くは約100%の細胞のインビトロにおける増殖を阻害するのに十分な総線量を 細胞に照射する。よって、望ましくは、約10,000〜20,000rad、 最適には約15,000radの総線量を細胞に照射する。 さらに、修飾された腫瘍細胞株(例えば、トランスフェクトされた膵臓腫瘍細 胞株)は、最適には免疫原性を増強するために投与の前に処理される。好ましく は、この処理は、本明細書で説明するように、さらに遺伝子操作、例えば、他の サイトカインまたは免疫共同刺激機能を導入するような遺伝子操作、または例え ば、フロイント完全または不完全アジュバント、細菌およびマイコバクテリアの 細胞壁成分を含有するエマルジョンなどを含めた非特異的アジュバント(これら に限定されるものではない)との混合を含む。使用方法 同種異系腫瘍細胞株、特に同種異系膵臓腫瘍細胞株を、患者自身の腫瘍に対す る全身性抗腫瘍免疫応答を生じさせる目的で、組織学的に類似の腫瘍を有する患 者にワクチン接種するために用いることができる。 投与を容易にするために、修飾された同種異系腫瘍細胞株(すなわち、修飾さ れた同種異系膵臓腫瘍細胞株)を、適当なそして医薬的に許容しうる担体または 希釈剤と共にインビボ投与に適した医薬組成物または移植片(インプラント)に 製造することができる。このような組成物または移植片(インプラント)を製造 する手段は当分野で知られている(例えば、Remington's Pharmaceutical Scien ces ,第16版,Mack編,(1980)参照)。適当な場合、腫瘍細胞株は錠剤、カプセ ル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、座剤、注射剤、吸入剤、またはエアロゾル 剤のような固体、半固体、液体または気体状の製剤に、それぞれの投与経路用の 通常の方法で製剤化することができる。標的組織または器官に到達するまで組成 物の放出および吸収を防止または最小限にするために、あるいは組成物の時間が 定められた放出を確実にするために当分野で公知の手段を利用することができる 。しかしながら、好ましくは、本発明の組成物の効果をなくさない医薬的に 許容される形態を用いる。従って、望ましくは、修飾された同種異系腫瘍細胞株 (すなわち、修飾された同種異系膵臓腫瘍細胞株)は、平衡塩類溶液、好ましく はハンクスの平衡塩類溶液を含有する医薬組成物に製造することができる。 従って、本発明は医薬的に許容される担体および腫瘍細胞株を含有する医薬組 成物を提供する。好ましくは、本発明は医薬的に許容される担体および膵臓腫瘍 細胞株、詳細には該腫瘍細胞株がPanc 10.5.92であり、特にPanc 10.5.92のよう な、腫瘍細胞株が増加したレベルのサイトカイン(最適にはGM−CSF)を産 生するように修飾されている腫瘍細胞株を含有する医薬組成物を提供する。 医薬投与形態において、組成物は単独でまたは適当な組み合わせで、ならびに 他の医薬的に活性な化合物および治療方法と組み合わせて用いることができる。 例えば、癌の治療(特に膵臓癌の治療)に本発明の方法を適用する場合、このよ うな治療は他の癌(特に膵臓癌)の治療手段(例えば、外科的切除、放射線照射 、化学療法など)と組み合わせて用いることができる。 本発明の医薬組成物は、特定の効果を達成するために種々の経路により、また 哺乳類(特にヒト)の体の種々の部位に送達することができる。一以上の経路を 投与に用いることができるが、ある特定の経路が別の経路よりも迅速かつ効果的 な反応を与えることが当業者には理解されるであろう。局所または全身送達は、 体腔への製剤の適用または滴注、エアロゾルの吸入または通気を含む投与により 、あるいは筋肉内、静脈内、門脈内、肝臓内、腹腔内、皮下、または皮内投与を 含む非経口導入により行うことができる。好ましくは送達は皮内投与により行う ことができる。 本発明の組成物は、単独でまたは他の活性薬剤との適当な組み合わせで、各投 与単位(例えば、茶さじ1杯、錠剤、液剤、または座剤)が所定量の組成物を含 む単位投与形態で提供することができる。本明細書で用いる「単位投与形態」と いう語は、ヒトおよび動物の患者にとって単回投与形態として適当な物理的に分 離した単位をいい、各単位は所望の効果を生じさせるのに十分な量として算出さ れた所定量の本発明の組成物を、単独でまたは他の活性薬剤と組み合わせて、適 当な場合、医薬的に許容される希釈剤、担体、またはビヒクルと共に含有する。 本発明の新規な単位投与形態の詳細については、特定の宿主における医薬組成物 に関連する特定の薬力学により決定される。 好ましくは、本明細書でさらに説明するように、組成物中に十分な数の修飾さ れた腫瘍細胞が存在し、宿主細胞によりサイトカインが発現されるように宿主内 に導入され、続く腫瘍部位へのAPCの補充により、残存する宿主腫瘍に対して このような治療を行わないときに比べてより大きい免疫応答が生じる。従って、 投与される宿主細胞の量は、投与経路を考慮に入れなければならないし、所望の 治療(すなわち、免疫強化)応答を達成するために十分な数の腫瘍細胞が導入さ れるようにしなければならない。さらに、本明細書に記載する組成物に含有され る各活性薬剤の量(例えば、各細胞当たりの接触する量、またはある体重当たり の量)は適用ごとに異なる。一般に、修飾された腫瘍細胞の濃度は好ましくは少 なくとも約1×106〜約1×109腫瘍細胞、より好ましくは1×107〜約5 ×108腫瘍細胞を提供すれば十分であるが、より多い、例えば5×108細胞よ り多い、またはより少ない、例えば1×107細胞より少ない適当な量を利用す ることもできる。 これらの値は、本発明を実施するために本発明の方法を最適化した後に、実施 者により利用される各成分の範囲の一般的なガイダンスを与えるものである。本 明細書に記載するそのような範囲は、特定の適用において正当だと認められるで あろうように、成分のより多いまたはより少ない量の使用を排除するものではな い。例えば、実際の投与量および投与スケジュールは、組成物が他の医薬組成物 と組み合わせて投与されるかにより、または個人間の薬物動態、薬物素質、およ び代謝の相違により変わり得る。当業者は特定の状況における必要性に従って必 要な調整を容易に行うことができる。さらに、組成物の有効量は癌細胞(特に膵 臓癌細胞)の増殖を阻害することが知られている他の化合物との類似性によりさ らに概算することができる。 当業者はまた、本発明の組成物を投与したときに治療的(すなわち、全身性免 疫)応答をモニターするための手段を知っている。特に、治療的応答は腫瘍増殖 の減衰および/または腫瘍退縮をモニターすることにより評価することができる 。治療に対する応答における腫瘍増殖の減衰または腫瘍退縮は、当業者に知られ ている幾つかのエンドポイント法(例えば、腫瘍の数、腫瘍質量または大きさ、 または転移の減少/予防を含む)を用いてモニターすることができる。記載した これらの方法は包括的なものではなく、特定の適用に適したさらなる方法が当業 者には明らかであろう。実施例 以下の実施例は本発明をさらに説明するものであり、本発明の範囲を限定する と解釈すべきでないことは言うまでもない。 実施例1 この実施例は、本発明の同種異系腫瘍細胞株を得て培養する方法を説明する。 11の同種異系膵臓腫瘍細胞株をジョンズホプキンス病院で膵十二指腸切除を 受けた患者から発生させた。これらの細胞株は、外科切除時に得た新鮮なヒト膵 臓腫瘍外植片から発生した。すなわち、腫瘍切除のとき速やかに、検体を滅菌容 器内の氷上に置き、実験室内の組織培養クリーンベンチ(laminar flow tissuec ulture hood)に移した。以後の全ての操作は標準的な滅菌組織培養技術を用い 、種々の市販業者(例えば、JRH Biosciences (Lenexa,KS),Gibco BRL(Gaithe rsberg,MD),Hyclone Labs.(Logan,UT),Sigma Biosciences (St.Louis,MO ),Cell Sys.Corp.(Kirkland,WA),Intergen Co.(Purchase,NY),Eli Lilly and Co.(Indianapolis,IN),Biofluids,Inc.(Rockville,MD)および同様 の製品を製造する業者)からの培地および試薬を用いて行った。 腫瘍細胞株の単離に用いられる腫瘍の部分を、直径約数ミリメートルの大きさ の小片に細切した。この小片を約15mgのコラゲナーゼIを含有する溶液中に 入れ、振とうインキュベーター中で37℃にて単細胞懸濁液に消化した。次いで 、膵臓腫瘍細胞懸濁液を重力遠心分離に5分間付し、細胞をペレットにした。こ のペレットを再懸濁し、25cm2組織培養フラスコ中の20%ウシ胎児血清、 培 地500ml当たり100単位(U)のヒトインスリン、および培地500ml 当たりそれぞれ5μgのインスリン様増殖因子1および2を含有するRPMI− 1640培地に約1〜2×106個の生存細胞を播種することによりプレーティ ングした。培養物を25cm2組織培養フラスコに入れ、約5〜7%CO2の加湿 インキュベーター内で約37℃にてインキュベートした。 初代細胞培養物を、5〜10日毎にディファレンシャルトリプシナイゼーショ ンに付し、初代膵臓腫瘍培養物以上に繰り返して増殖する間質細胞の大部分を除 去した。得られた腫瘍細胞株を特徴付けるため、ならびに間質細胞および非悪性 上皮細胞と比較して悪性上皮細胞の存在を評価するために幾つかの試験を用いた 。すなわち、間葉由来の細胞から上皮由来の細胞を区別するために、サイトケラ チンに対する抗体を用いる組織化学的染色を行った。得られた11の腫瘍細胞株 の全てを、主としてあるいはもっぱら上皮細胞のみに含まれるサイトケラチン染 色により特徴付けた。これを表1に示す。 表1.膵臓細胞株のサイトケラチン染色 *サイトケラチン7および18 また、発生した全ての腫瘍細胞株を、細胞株の起源が悪性であること、ならび に培養における細胞株の遺伝子安定性を実証するために、インビトロ培養の前に 元の腫瘍検体で観察されるのと同じγas 変異を維持しているかを評価した。表 1に示すように、これらの全ての株は、腫瘍細胞株が由来する元の腫瘍と同一の γas 変異を有することが確認された。腫瘍細胞株に存在するコドン12変異は コードされたRas 腫瘍蛋白質にAsp→Gly変換を生じさせ、コドン13修飾 はSer→Gly変換を生じさせる。さらに、全ての腫瘍細胞株は高レベルのM HCクラスI抗原を発現することが観察された。4つの株のうち2つ(すなわち 、Panc 10.5.92およびPanc 9.6.94)はまた、上昇したレベルのMHCクラスII 抗原を発現する。膵臓腫瘍細胞株は培養で容易に増殖させることができ、倍加時 間は約72時間である。 この実施例で用いた同種異系膵臓腫瘍細胞株を誘導する方法は、他の種類の同 種異系腫瘍細胞株の発生および単離に同様に用いることができる。 実施例2 この実施例は、本発明の同種異系腫瘍細胞株を、増加した量のサイトカインを 産生するように修飾する方法を説明する。サイトカイン顆粒球−クロファージコ ロニー剌激因子(GM−CSF)は、前臨床腫瘍モデルにおいて全身性抗腫瘍応 答を生じさせることが他のサイトカインに比べて潜在的により強力なので(Dran off et al.,Proc .Natl.Acad.Sci.90,3539-3542 (1993))、実施例1に記 載したPanc細胞株 10.5.92を同種異系腫瘍細胞株の代表例として使用し、GM− CSFを分泌するように修飾した。 これを行うために、組換えヒトGM−CSF遺伝子をpcDNA 1/Neo にクローニングした。全てのクローニング反応およびDNA操作は当業者によく 知られた方法を用いて行い、これは、例えば、Maniatis et al.,MolecularClon ing :A Laboratory Manual ,第2版,(Cold Spring Harbor Laboratory,NY,( 1982))に記載されている。これらの反応に用いられる酵素は市販業者(例えば 、New England Biolabs,Inc.,Beverly,MA; Clontech,Palo Alto,CA; Boehr in ger Mannheim,Inc.,Indianapolis,INなど)から得て、製造業者の推奨に従っ て用いた。 プラスミドpcDNA 1/Neoは、サイトメガロウイルス(CMV)プロ モーターの制御下でヒトGM−CSFサイトカインをコードする配列、および別 のCMVプロモーターによって同じく制御されるネオマイシン耐性遺伝子を含有 する。CMVプロモーターは、大部分の真核細胞で相対的に高レベルの遺伝子発 現を制御することができるので使用した(Boshart et al.,Cell41,521-530( 1985))。ヒト黒色腫細胞株に遺伝子を導入するためにこのベクターを用いる初 期研究により、続くネオマイシン耐性に対する選択の後、35ng/106細胞 /24時間より多いGM−CSFの分泌レベルが達成されたことが確認される。 これらの初期研究はpcDNA 1/Neoプラスミドが機能することを示す。 さらに、これはマウスモデルにおいて適当な抗腫瘍免疫応答を生じさせるのに必 要なGM−CSFの量である。すなわち、GM−CSF遺伝子を担持するレトロ ウイルスベクターが形質導入された、またはされていない腫瘍細胞を種々の濃度 で用いる希釈実験により、B16−F10腫瘍系において、35ng/106細 胞/24時間より少ないGM−CSF分泌は、この閾値を越えるレベルの分泌で 見られる強力な抗腫瘍免疫を生じさせることができないことが確認される。これ らの知見は、関連する腫瘍抗原の源であるワクチン接種腫瘍細胞の部位に、直接 、高い持続したレベルのGM−CSFを送達することの重要性を強調する。 Panc株10.5.92にpcDNA 1/Neoをエレクトロポレーションによりト ランスフェクトし、続いて限界希釈法によりクローニングした。GM−CSFレ ベルをELISAにより測定し、GM−CSF依存性TF−1細胞を用いるバイ オアッセイ(Kitamura et al.,Blood, 73,375-380 (1989))により確認した。 得られたトランスフェクトされた膵臓腫瘍細胞株で観察されたGM−CSF分泌 レベルは約90ng/106腫瘍細胞/24時間である。トランスフェクトされ た腫瘍細胞の放射線照射は、該細胞の複製を防止するが、該細胞がGM−CSF を分泌し、培養において1週間まで代謝活性を維持することはできる。放射線照 射は137Cs源を用いて約120〜140rad/分の線量速度で行い、約15 ,000radの総線量を照射する。 この実施例で用いた方法は、増加した量のサイトカインを産生することができ る他の腫瘍細胞株を生じさせるのにも用いることができ、該腫瘍細胞株は同様に ワクチンとして用いることができる。 実施例3 この実施例は、宿主へのGM−CSF投与に関するさらなる研究を説明する。 さらなる研究により、GM−CSF分泌がこのサイトカインの公知のパラクリ ン生理学に一致する必要があることが確認される。特に、前記の実施例で説明し たように、分泌は関連する抗原(すなわち、腫瘍細胞)の部位で行われなければ ならず、高レベルが数日間にわたり維持されなければならない(Dranoff et al. ,(前記);Golumbek et al.,Cancer Research, 53,1-4(1993))。しかしなが ら、腫瘍細胞自体がGM−CSF分泌の源である必要はない(Golumbek et al.,( 前記))。レトロウイルス的に形質導入されたサイトカイン発現腫瘍細胞に見られ るのと同様の免疫学的防御および組織学的浸潤が、腫瘍細胞と共に注射された生 分解性ポリマーからGM−CSFが徐々に放出されるときに起こりうる。また、 第二の非交差反応腫瘍をGM−CSF分泌腫瘍と共に注射すれば、両方の腫瘍に 対する免疫学的防御を生じさせることができる。しかしながら、単に腫瘍細胞と 共に可溶性GM−CSFを注射することは、このサイトカインの持続した局所的 レベルを与えないし、全身性免疫を生じさせない(Golumbek et al.,(前記))。 従って、インビボにおけるサイトカインの送達に、宿主細胞とMHCがマッチし ない同種異系腫瘍細胞を用いることの有効性を調べた。 マウスモデルでは、傍観者である同種異系腫瘍細胞によるGM−CSFの送達 によって生じる抗腫瘍免疫が、標的腫瘍細胞自体によりGM−CSFが送達され るときに達成される抗腫瘍免疫に匹敵することが実証された。詳細には、これら の実験では、放射線照射したCT26結腸癌腫(カルシノーマ)細胞を、レトロ ウイルス的に形質導入されたCT26細胞により、あるいはレトロウイルス的に 形質導入されたB16−F10細胞により送達されるGM−CSFと共にBAL B/cマウスに皮下投与でワクチン接種した。2週間後、マウスに野性型株CT 26を注射により再度抗原投与した。このCT26腫瘍細胞株は何らかの内因性 免疫原性を有する。しかしながら、ワクチン接種部位でGM−CSFが分泌され たとき、同系のまたは同種異系の腫瘍のいずれによっても高い程度の防御がみと められた。どの程度までか、あるいはどの機構によるかは明らかでないが、同種 異系腫瘍細胞は抗腫瘍免疫を増強することができ、これらのデータはGM−CS Fの同種異系送達が少なくとも自己由来腫瘍送達と同じぐらい有効である可能性 を強く示唆する。 実施例4 この実施例は、本発明の遺伝子的に修飾された同種異系腫瘍細胞株を宿主に投 与することによる癌の治療方法を説明する。 35ng/106腫瘍細胞/24時間より多いレベルのGM−CSFを分泌す る腫瘍細胞株を得て使用する。修飾された腫瘍細胞をトリプシン処理により組織 培養フラスコから回収する。細胞を通常の生理食塩水を用いて洗浄し、ペレット にし、ハンクスの平衡塩類溶液、またはインビボに導入するために適当な他の塩 溶液に再懸濁する。細胞は約1×107〜約1×1010腫瘍細胞/mlの濃度、 最適には約1×108〜約5×109腫瘍細胞/mlの濃度で再懸濁する。この再 懸濁混合物の約0.1mlをワクチンとして使用する。従って、好ましくは約1 ×106〜約1×109腫瘍細胞を注射し、そして最適には約1×107〜約5× 108腫瘍細胞を全体として注射する。マウスでは修飾された腫瘍細胞を皮下注 射するが、ヒトでは好ましくは細胞を皮内注射する。注射は好ましくは腫瘍の近 傍にする。最適にはワクチンを腫瘍自体には直接注射しない。また、ヒトにおけ るワクチン接種で用いる腫瘍細胞の量は、マウスにおけるワクチン接種で用いる 量のおおよそ約10倍以上である。 修飾された腫瘍細胞のインビボでの複製を防ぐために、注射の前に修飾された 腫瘍細胞を、例えば、実施例2に記載するように137Cs源を用いて放射線照射 することができる。修飾された腫瘍細胞はまた、その免疫原性を増強するように 改変することができる。例えば、細胞をさらに遺伝子操作することができ(例え ば、他のサイトカインまたは免疫刺激核酸配列を挿入することにより)、あるい は細胞を非特異的アジュバント(例えば、フロイント完全または不完全アジュバ ント、細菌およびマイコバクテリアの細胞壁成分を含有するエマルジョンなど) と混合することができる。 本発明は種々の腫瘍、例えば、膀胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵 臓、直腸、または胃の癌腫(カルシノーマ);リンパ球系または骨髄系の造血腫 瘍;繊維肉腫または横紋筋肉腫のような間葉由来の腫瘍;または黒色腫、奇形癌 腫(テラトカルシノーマ)、神経芽細胞腫、またはグリオームを含めた他の腫瘍 を有する哺乳類、特にヒトに用いることができる。好ましくは、本発明は膵臓癌 の治療に用いることができる。また、患者は、本明細書で説明するような免疫療 法の前、または免疫療法に加えて(すなわち、同時にまたは直後に続いて)、無 制限数の癌治療用の方法(例えば、外科的切除、放射線照射、化学療法など)で 治療し得ることが予想される。 本明細書において明記した全ての文献(特許、特許出願、および刊行物を含む )は、言及したことで、その全体が本明細書に組み入れられるものである。 好適な実施態様を強調して本発明を説明したが、当業者には好適な実施態様を 変更しうることができ、本発明は、本明細書で特に説明した以外でも実施できる ことを意図していることが明らかであろう。従って、以下の請求の範囲により定 義される発明の精神および範囲内に包含される全ての変形を本発明は包含する。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1998年1月9日(1998.1.9) 【補正内容】 請求の範囲 1.(補正後)初代腫瘍に由来しており、未修飾の腫瘍細胞株と比べて増加した レベルのサイトカインを産生するように修飾されている腫瘍細胞株を哺乳類宿主 に投与することを含む哺乳類宿主の癌の治療方法であって、該哺乳類宿主は、該 腫瘍細胞株が由来する腫瘍と同じタイプの腫瘍を少なくとも1つ有し、該腫瘍細 胞株は該宿主と同種異系であり、かつMHCがマッチしておらず(not MHC-match ed)、該腫瘍細胞株の該宿主への投与は該宿主の癌を治療する、癌の治療方法。 2.(補正後)(a)哺乳類宿主からの初代腫瘍から腫瘍細胞のサンプルを得て 、 (b)該腫瘍細胞のサンプルから単細胞懸濁液を形成させ、 (c)該腫瘍細胞をペレットにし、 (d)該腫瘍細胞をプレーティングすることにより、該腫瘍細胞株を初代腫瘍 から由来して得る請求の範囲1記載の方法。 3.(補正後)初代膵臓腫瘍に由来しており、未修飾の膵臓腫瘍細胞株と比べて 増加したレベルのサイトカインを産生するように修飾されている膵臓腫瘍細胞株 を哺乳類宿主に投与することを含む哺乳類宿主の膵臓癌の治療方法であって、該 啼乳類宿主は、該腫瘍細胞株が由来する腫瘍と同じタイプの腫瘍を少なくとも1 つ有し、該腫瘍細胞株は該宿主と同種異系であり、かつMHCがマッチしておら ず、該腫瘍細胞株の該宿主への投与は該宿主の癌を治療する、膵臓癌め治療方法 。 4.(補正後)(a)哺乳類宿主からの初代膵臓腫瘍から腫瘍細胞のサンプルを 得て、 (b)該腫瘍細胞のサンプルから単細胞懸濁液を形成させ、 (c)該腫瘍細胞をペレットにし、 (d)該腫瘍細胞をプレーティングすることにより、該膵臓腫瘍細胞株を初代 膵臓腫瘍から由来して得る請求の範囲3記載の方法。 5.(補正後)該腫瘍細胞株が由来する少なくとも1つの腫瘍のごく近傍で、該 腫瘍細胞株を該哺乳類宿主に投与する請求の範囲1〜4のいずれか1項に記載の 方法。 6.(補正後)該腫瘍細胞株を投与の前に放射線照射する請求の範囲1〜4のい ずれか1項に記載の方法。 7.(補正後)該腫瘍細胞株を、免疫原性を増強するために投与の前に処理する 請求の範囲1〜4のいずれか1項に記載の方法。 8.(補正後)該腫瘍細胞株を、遺伝子操作により、または非特異的アジュバン トとの混合により処理する請求の範囲7記載の方法。 9.(補正後)該腫瘍細胞株が腫瘍遺伝子または腫瘍抑制遺伝子中に変異を含む 請求の範囲1〜4のいずれか1項に記載の方法。 10.(補正後)該変異がγas 遺伝子中にある請求の範囲9記載の方法。 11.(補正後)該サイトカインがGM−CSFである請求の範囲1〜4のいず れか1項に記載の方法。 12.(補正後)初代膵臓腫瘍に由来し、実質的に精製された膵臓腫瘍細胞株。 13.(補正後)該腫瘍細胞株が、未修飾の腫瘍細胞株と比べて増加したレベル のサイトカインを産生するように修飾されている請求の範囲12記載の腫瘍細胞 株。 14.(補正後)該サイトカインがGM−CSFである請求の範囲13記載の腫 瘍細胞株。 15.(補正後)該腫瘍細胞株が、H-γas,K-γasまたはN-γas のコドン12 、13または61に変異を含み、細胞表面サイトケラチン、高レベルのMHCク ラスI抗原および上昇したレベルのMHCクラスII抗原を発現する請求の範囲1 3記載の腫瘍細胞株。 16.(補正後)医薬的に許容される担体および請求の範囲12〜15のいずれ か1項に記載の腫瘍細胞株の細胞を含有する医薬組成物。 17.(補正後)(a)哺乳類宿主からの初代膵臓腫瘍から腫瘍細胞のサンプル を得て、 (b)該腫瘍細胞のサンプルから単細胞懸濁液を形成させ、 (c)該腫瘍細胞をペレットにし、 (d)該腫瘍細胞を、胎児血清、インスリン、およびインスリン様増殖因子1 および2を含有する増殖培地にプレーティングすることを含む、請求の範囲12 記載の腫瘍細胞株を得る方法。 18.(補正後)該培地がインスリンを約0.1〜約1.0U/mlの濃度で、 インスリン様増殖因子1を約0.005〜約0.05μg/mlの濃度で、およ びインスリン様増殖因子2を約0.005〜約0.05μg/mlの濃度で含有 する請求の範囲17記載の方法。 19.(補正後)インスリンを約0.1〜約1.0U/mlの濃度で、インスリ ン様増殖因子1を約0.005〜約0.05μg/mlの濃度で、およびインス リン様増殖因子2を約0.005〜約0.05μg/mlの濃度で含有する初代 膵臓腫瘍細胞の培養用増殖培地。 20.(削除) 21.(削除) 22.(削除) 23.(削除) 24.(削除) 25.(削除) 26.(削除) 27.(削除)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK, MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR ,TT,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 パードル、ドリュー エム. アメリカ合衆国、メリーランド州 20833、 ブルックヴィル、ジェームズ クリーク コート、19400 (72)発明者 ルヴィッスキー、ハイアム アイ. アメリカ合衆国、メリーランド州 21117、 オウイングズ ミルズ、ウォータースパウ ト コート、12624

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. (a)腫瘍細胞株を得て、 (b)該腫瘍細胞株を、未修飾の腫瘍細胞株と比べて増加したレベルのサイト カインを産生することができるように修飾し、 (c)該腫瘍細胞株を得た腫瘍と同じタイプの腫瘍である少なくとも1つの腫 瘍を有する哺乳類宿主に、該腫瘍細胞株(該腫瘍細胞株は該宿主と同種異系であ り、かつMHCがマッチしていない(not MHC-matched))を投与することを含 む癌の治療方法。 2. 該腫瘍細胞株を該腫瘍のごく近傍に投与する請求の範囲1記載の方法。 3. 該腫瘍細胞株を投与の前に放射線照射する請求の範囲1記載の方法。 4. 該腫瘍細胞株を、免疫原性を増強するために投与の前に処理する請求の範 囲1記載の方法。 5. 該処理が遺伝子操作または非特異的アジュバントとの混合を含む請求の範 囲4記載の方法。 6. (a)哺乳類宿主から腫瘍のサンプルを得て、 (b)該腫瘍サンプルから単細胞懸濁液を形成させ、 (c)該腫瘍細胞をペレットにし、 (d)該腫瘍細胞をプレーティングすることにより該腫瘍細胞株を得る請求の 範囲1記載の方法。 7. 該腫瘍細胞株が腫瘍遺伝子または腫瘍抑制遺伝子中に変異を含む請求の範 囲1記載の方法。 8. 該サイトカインがGM−CSFである請求の範囲1記載の方法。 9. (a)膵臓腫瘍細胞株を得て、 (b)該腫瘍細胞株を、未修飾の腫瘍細胞株と比べて増加したレベルのサイト カインを産生することができるように修飾し、 (c)少なくとも1つの膵臓腫瘍を有する哺乳類宿主に、該腫瘍細胞株(該腫 瘍細胞株は該宿主と同種異系であり、かつMHCがマッチしていない)を投与す ることを含む膵臓癌の治療方法。 10. 該腫瘍細胞株を該腫瘍のごく近傍に投与する請求の範囲9記載の方法。 11. 該腫瘍細胞株を投与の前に放射線照射する請求の範囲9記載の方法。 12. 該腫瘍細胞株を、免疫原性を増強するために投与の前に処理する請求の 範囲9記載の方法。 13. 該処理が遺伝子操作または非特異的アジュバントとの混合を含む請求の 範囲12記載の方法。 14. (a)哺乳類宿主から膵臓腫瘍のサンプルを得て、 (b)該腫瘍サンプルから単細胞懸濁液を形成させ、 (c)該腫瘍細胞をペレットにし、 (d)該腫瘍細胞をプレーティングすることにより該膵臓腫瘍細胞株を得る請 求の範囲9記載の方法。 15. 該腫瘍細胞株が腫瘍遺伝子または腫瘍抑制遺伝子中に変異を含む請求の 範囲9記載の方法。 16. 該変異がγas 遺伝子中にある請求の範囲15記載の方法。 17. 該サイトカインがGM−CSFである請求の範囲9記載の方法。 18. 実質的に精製された膵臓腫瘍細胞株。 19. 該腫瘍細胞株がPanc 10.5.92である請求の範囲18記載の腫瘍細胞株。 20. 該腫瘍細胞株が、未修飾の腫瘍細胞株と比べて増加したレベルのサイト カインを産生することができるように修飾されている請求の範囲18記載の腫瘍 細胞株。 21. 該サイトカインがGM−CSFである請求の範囲20記載の腫瘍細胞株 。 22. 医薬的に許容される担体および請求の範囲18記載の腫瘍細胞株の細胞 を含有する医薬組成物。 23. 医薬的に許容される担体および請求の範囲19記載の腫瘍細胞株の細胞 を含有する医薬組成物。 24. (a)哺乳類宿主から膵臓腫瘍のサンプルを得て、 (b)該腫瘍サンプルから単細胞懸濁液を形成させ、 (c)該腫瘍細胞をペレットにし、 (d)該腫瘍細胞をプレーティングすることを含む、請求の範囲18記載の腫 瘍細胞株を得る方法。 25. 該腫瘍細胞を、胎児血清、インスリン、およびインスリン様増殖因子1 および2を含有する増殖培地にプレーティングする請求の範囲24記載の方法。 26. 胎児血清、インスリン、およびインスリン様増殖因子1および2を含有 する膵臓腫瘍細胞の培養用増殖培地。 27. 該培地がインスリンを約0.1〜約1.0U/mlの濃度で、インスリ ン様増殖因子1を約0.005〜約0.05μg/mlの濃度で、およびインス リン様増殖因子2を約0.005〜約0.05μg/mlの濃度で含有する請求 の範囲26記載の培地。
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