【発明の詳細な説明】
B リンパ球による抗体放出を刺激する組成物および方法 関連出願の相互参照
本出願は、本明細書に参照として組み入れられる1993年11月10日に提出された
出願第08/150,510号の一部継続出願である、1994年9月30日に提出された出願第
08/315,492号の継続出願である、1995年6月6日に提出された親係属出願第08/4
67,146号の一部継続出願である。
政府の利権
本明細書に記載する本発明は、本発明者らまたは代理人にいかなる特許権使用
料を支払うことなく、政府の目的のために製造、認可、および使用してもよい。
発明の分野
本発明は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイ
キン-2(IL-2)、インターロイキン-3(IL-3)および万能(universal)T細胞エ
ピトープ(TCE)のようなT細胞刺激ペプチドを、単独または組み合わせて含む組
成物、およびインターフェロン-γ(IFN-γ)と共に、そのような因子を単独ま
たは組み合わせて含む組成物に関する。組成物は、哺乳類Bリンパ球による抗体
放出の刺激に有用である。本発明はまた、Bリンパ球による抗体放出を刺激する
組成物を同定するためのインビトロアッセイ系にも関する。
Bリンパ球による抗体放出の刺激は、感染症および疾患の有害な効果を予防、
治療および/または改善しようとする動向において有用である。この有用性は、
正常な条件下で、および免疫抑制または免疫無防備条件下で、哺乳類の免疫応答
を強めるためのアジュバントにも及ぶ。新規組成物はまた、ヒト免疫系を強める
他の免疫療法と併せて用いることができる。
発明の背景
ヒト免疫系は、病気および疾患に対してヒトの体を防御するために共に作用す
る、重複する機能を有する多数の異なるタイプの細胞から成る。免疫系の細胞は
、複雑な多機能および相互連絡関係を有する。
GM-CSF、IL-2、IL-3、およびIFN-γは全てサイトカインである。「サイトカイ
ン」とは、BおよびTリンパ球細胞(「B細胞」および「T細胞」)ならびにナチュ
ラルキラー(「NK」)細胞のような、免疫系の細胞の応答を制御する化合物の一
クラスである。「サイトカイン」は、インデューサーとの接触時に特定の細胞集
団によって放出され、細胞間メディエーターとして作用する非抗体蛋白質の一般
名である。「リンフォカイン」は、特定の抗原またはその他の刺激との接触時に
、感作されたリンパ球によって放出され、細胞性または液性免疫の発揮に役立つ
可溶性物質である。
「サイトカイン」および「リンフォカイン」という用語は相互交換可能となっ
た。これらの化合物の名称を単純にしようとして、1979年に開催された第二回国
際リンフォカインワークショップの参加者のあるグループが、異なる集団の白血
球間の伝達シグナルとして作用する蛋白質の能力に基づいて、統一命名系を開発
するために、「IL」と省略される「インターロイキン」という用語を提唱した。
今日まで、その全てではないがほとんどがT細胞によって産生される、21個の
異なるサイトカインが同定されている。それぞれが独自の分子配置を有し、異な
る作用を果たす。多くの既知のサイトカインが、B細胞において明白な活性を有
することが示されている。インビトロでは、リンフォカインIL-1、IL-2、IL-4、
IL-5、IL-6、IL-10、IFN-γ、およびTGF-β(トランスフォーミング増殖因子-β
)が、B細胞増殖、免疫グロブリン分泌を増強させ、さもなければ分泌されたIg
のサブクラスに影響を及ぼすような働きをすることが示されている。調べたシス
テムに応じて、上記リンフォカインの一つまたは多くを加えれば、インビボでの
抗体産生を増加させ、または分泌された抗体のアイソタイプ(すなわち、IgG、I
gM、IgE、IgA等)を変化させることが示された。B細胞増殖に影響を及ぼすと報
告されているリンフォカインには、IL-1、IL-2、IL-4、およびIL-10が含まれ、B
細胞分化およびIg分泌に影響を及ぼすと報告されているものには、IL-2、IL-5、
IL-6、TGF-β、およびIFN-γが含まれる。
インビトロでIg分泌を増強すると報告されたサイトカインのいずれも、インビ
ボでは顕著な役割を持たないことが示された。このように、IL-2、IL-5、IL-6ま
たはIFN-γに特異的なモノクローナル抗体を注入しても、抗原刺激抗体産生は有
意に抑制されない。
このことから、生理的条件下では、B細胞分化は単に直接的なT細胞相互作用に
のみ依存する、またはまだ知られていないその他のサイトカインがこの段階を媒
介することが示唆される。
T細胞活性化を刺激する抗原(いわゆる胸腺依存性抗原または「TD抗原」)に
対する免疫応答は、Igを分泌するためにはB細胞とT細胞との直接的な相互作用に
依存するが、これは、T細胞活性化を誘導できない抗原には当てはまらない。T細
胞非依存型である抗原(「TI抗原」)は、直接的なまたは間接的なT細胞の助け
がなくとも高レベルの抗体産生を誘導する。このように、B細胞分化およびTI抗
原に対する免疫グロブリン分泌を制御する事象は、まだ定義されていない経路に
依存するに相違ない。免疫グロブリン分泌に至るB細胞分化は、コンピテント液
性抗体系の基礎をなす最終的事象であるため、この段階を制御する事象またはサ
イトカインを定義することは、免疫応答を増強または抑制するための方法をデザ
インするのに非常に貴重である。
本発明の速やかな認識を可能にするため、免疫グロブリン、抗体、リンパ球、
B細胞、T細胞、およびNK細胞の主な既知の機能を、バックグラウンドとして以下
に簡単に説明する。同様に、B細胞増殖または抗体分泌に影響を及ぼすと報告さ
れているサイトカイン、すなわち、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、TGF
-β、およびIFN-γの既知の活性についても簡単な概要を示す。GM-CSFおよびIL-
3の既知の活性の概要も同様に提供する。参考文献材料は、基礎免疫学(Fundamn ental Immunology
)、第二版、ウィリアムE.ポール(William E. Paul,M.D.)編
(Raven Press,New York 1989);基礎免疫学(Fundamnental Immunology)、第
三版、ウィリアムE.ポール(William E.Paul,M.D.)編(Raven Press,New York
1993);インターフェロン:原理と医学的応用(Interferon:Principles and M edicalApplications
)、バロンら(S.Baron)編(ガルベストンのテキサス大学
医学分校(The University of Texas Medical Branch)、ガルベストン、テキサス
1992);サイトカインハンドブック(The Cytokine Handbook)、アンガス・ト
ンプソン(Angus Thompson)編(Academic Press Inc.,サンジエゴ、CA 1992)
;およびサイトカインハンドブック(The Cytokine Handbook)、第二版、アン
ガス・トンプソン(Angus Thompson)編(Academic Press Inc.,サンジエゴ、C
A 1994)を含み、これらは全て本明細書に特に参照として組み入れられる。
ヒトを含む哺乳類は、無数の有機体に毎日直面している。これら有機体による
感染症に対して宿主を守る本質的役割を果たす免疫系の主要な成分は、液性抗体
である。抗体は免疫グロブリンとしても知られる蛋白質分子で、抗体産生を刺激
する異物粒子に対して強い特異性を有する。例えば、「細菌A」による全身感染
では、「細菌A」に対して強い親和性で結合するが「細菌B」には結合しない抗体
が誘導される。同様に、「細菌B」は、「細菌A」と交叉反応しない抗「細菌B」
抗体を誘導する。
免疫グロブリン(Ig)は、1対の軽(L)[低分子量]κ鎖(κまたはλ)、お
よび1対の重(H)鎖(γ、α、μ、δ、およびε)という2対のポリペプチド
鎖からなり、4つ全てがジスルフィド結合で互いに結合している、構造的に関連
する蛋白質のクラスである。H鎖およびL鎖は共に、抗原結合に関与し、Ig分子が
異なれば高度に可変的である領域を有する。さらに、HおよびL鎖は、非可変また
は定常である領域を含む。H鎖の構造的および抗原的特性に基づき、Igは、IgG、
IgA、IgM、IgD、およびIgEアイソタイプに分類される。H鎖の違いに基づくIgGの
サブクラスは、IgG1等と呼ばれる。
リンパ球は、リンパ節、脾臓、胸腺、扁桃、パイエル板(小腸組織)、および
時には骨髄のような、体内のリンパ組織において形成される白血球細胞である。
個々のリンパ球は、構造的に関係する抗原の限られたグループに反応することに
関するという点において専門化されている。この関与は、所定の抗原と免疫系の
最初の接触前から存在し、リンパ球の膜上の抗原特異的受容体(すなわち、免疫
グロブリン)の存在によって発現される。有機体が事実上いかなる抗原にも反応
する能力は、それぞれが明確な抗原に特異的な受容体を有する、異なるクローン
のリンパ球が非常に大多数存在することによって得られる。その結果、リンパ球
は非常に不均一な細胞集団である。
リンパ球は、それらの受容体の特異性のみならず、機能的特性においても互い
に異なる。大きく分けて2つのクラス、すなわちBリンパ球およびTリンパ球、の
リンパ球が認識されている。これらの2つのクラスに加えて、特定の「非特異的
」細胞障害反応を媒介するリンパ様細胞が知られている。これらはナチュラルキ
ラー(NK)細胞を含む。
「B細胞」としても知られるBリンパ球は、ごく部分的にわかっているに過ぎな
い複雑な一連の分化事象によって造血幹細胞に由来するある種のリンパ球である
。B細胞は、抗体分泌細胞の前駆体であり、このように、免疫グロブリンの産生
に関与する。B細胞の細胞表面受容体は、細胞表面上の発現を専門とする抗体ま
たは免疫グロブリン分子である。新たに分化したB細胞は、初め、唯一IgMクラス
の表面Igを発現する。B細胞の成熟に関連して、B細胞表面には別の免疫グロブリ
ンアイソタイプが出現する。
サイトカインに反応して抗体を放出するためには、B細胞をまず活性化しなけ
ればならない。抗原による膜Ig蛋白質分子のクロスリンケージ(クロスリンケー
ジ依存性B細胞活性化)、T細胞との直接遭遇(ヘルパーT細胞または例えば、CD4
0リガンドのようなヘルパーT細胞関連分子)、またはマイトゲンとの遭遇を含む
、B細胞を活性化する多くの方法がある。そのような遭遇では、抗原はB細胞表面
Igによって認識されるエピトープを提示する。
各B細胞は、同一の可変領域を有する多数の膜Ig分子を有するため、最適な膜I
g媒介クロスリンケージ活性化は、細胞表面受容体の高レベルクロスリンケージ
によって得られ、これには細胞表面Igが認識するエピトープの1つ以上のコピー
を抗原が提示することが必要である。多くの単純な蛋白質抗原はこの能力を有し
ないが、そのような必要条件は、多糖類ならびに、微生物およびDNAの表面のよ
うな反復エピトープを有する他の抗原によって満たされる。これらの抗原には、
肺炎球菌、連鎖球菌、および髄膜炎菌のような、多くの医学的に重要な微生物の
被膜多糖類がある。
膜Igのクロスリンケージも同様に、B細胞の消失または不活化に至ることを示
す多くのデータがある。一般に、特定のタイプの受容体クロスリンケージ事象は
、それらが特異的刺激シグナルの非存在下で起これば、活性化よりむしろ不活化
に至ると考えられている。多糖類上に発現される高度反復エピトープは、おそら
く受容体媒介刺激の大きさのため、共刺激が存在しなくとも活性化に至る可能性
がある。
Tリンパ球、または「T細胞」は、胸腺由来の、長期生存する(数ヶ月から数年
)免疫学的に重要な細胞で、細胞性免疫に関与する。T細胞は、「ヘルパーT細胞
」、「サプレッサーT細胞」、および「キラーT細胞」として知られる機能的に異
なる集団からなる。遅延型過敏症および関連する免疫現象に関与するT細胞もま
た知られている。
ナチュラルキラー細胞、または「NK細胞」は、特定の「非特異的」細胞障害反
応を媒介するリンパ様細胞である。そのような非特異的細胞障害反応は、Tまた
はB細胞によって用いられる系とは異なる認識系を用いて、特定のタイプの腫瘍
細胞を殺す。接触相互作用を通じて一つの細胞タイプから他の細胞タイプを殺す
ことは、免疫系の自己防御の主なイフェクター効果の一つを構成する。
これらの細胞に加えて、他の化合物、サイトカインは宿主の防御に重要な役割
を果たしている。サイトカインの一つのグループがインターロイキンである。
IL-1は、主として炎症性サイトカインであるが、IL-2および他のサイトカイン
は主としてリンパ球の増殖因子である。IL-1は、単球によって合成されるポリペ
プチドホルモンである。炎症、損傷、免疫チャレンジ、または感染症の際にIL-1
が産生されるが、その多様な生物学的特性のため、このサイトカインは疾患の発
病に影響を及ぼすように思われる。動物では、IL-1は低血圧症およびショックの
強力な誘発物質である。IL-1は視床下部に作用して発熱を引き起こし、および骨
格筋に直接作用して蛋白質異化を促進する。
T細胞増殖因子としても知られるIL-2は、Tヘルパーおよびサプレッサーリンパ
球の双方によって産生されるリンフォカインおよびペプチドホルモンである。こ
のサイトカインはT細胞、B細胞、NK細胞、リンフォカイン活性化キラー(LAK)
細胞、単球、マクロファージ、および乏突起膠細胞の増殖および分化に直接作用
を及ぼす。
多コロニー刺激因子としても知られるIL-3は、造血系内の多数の標的細胞に作
用する。このサイトカインは造血増殖因子(HPGF)のいずれに対しても最も広い
標的特異性を有し、造血幹細胞(すなわち、血球の前駆体)の産生および分化を
刺激することができ、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球、肥満細胞、
巨核球、および赤血球系細胞を生じる。
IL-3とB細胞との関連は、本発明より以前は不明であった。実際1994年の時点
では、IL-3の標的細胞の範囲には、TおよびB-リンパ球系列に関与する細胞は含
まれ
ないと考えられており、IL-3がB細胞の発達に重要な直接作用を有するという強
力な証拠はなかった。シュレーダー(J.W.Schrader)、「第5章:インターロイ
キン-3」サイトカインハンドブック(The Cytokine Handbook)第二版、アンガ
ス・トムソン(Angus Thomson)編、84頁(Academic Press,New York,1994)
。
IL-3はT細胞および肥満細胞によって合成されるが、B細胞によるIL-3の分泌は
報告されていない。いくつかの報告により、IL-3はSAC(ポリクローナルアクチ
ベーター)およびIL-2によって活性化されたヒトB細胞によるIg分泌の適度の増
強を誘導することができることが証明された。例えば、シャ(Xia)ら「ヒト組
換え型IL-3は正常なB細胞の増殖因子である」、J.of Inmmunology,148,491〜497
(1992)は、IL-3がB細胞に富む細胞集団の増殖を増強すると報告した。同様に
、タドモリら(Tadmori)「ヒト組換え型IL-3はB細胞分化を刺激する」、J.of I mmunolog
y,142,1950〜1955(1989)は、IL-3が、B細胞を含む扁桃細胞からの、
または細菌抗原によって活性化される末梢血由来のB細胞に富む集団における、I
gG分泌を刺激すると報告した。さらに、マツモトら(Matsumoto)「組換え型イ
ンターロイキン-3による抗IgM活性化非アトピー性ヒトB細胞におけるIgE合成の
誘導」、Int.Arch.Allergy Appln.Immunol.89,24〜30(1989)は、ヒト組換え型
IL-3が正常なB細胞またはTおよびBリンパ球の混合物によるIgE合成を増強し、IL
-1、IL-2、IL-5、IL-6、GM-CSF、G-CSF、M-CSF、およびIFN-γはIgE合成を誘導
できないことを報告した。マツモトら(Matsumoto)はまた、抗IL-3抗体を加え
てもその活性を逆転できないため、IgE合成の誘導に関与するT細胞上清中の因子
としてIL-3を結論的に特定することができないと述べた。
これらの結果は、細胞増殖におけるIL-3媒介増強に起因していた。これらの試
験では、B細胞は電子的にソーティングされておらず、したがって、高度に精製
されていなかった。このように、Ig増強効果は、集団に数多く混入している非B
細胞、非T細胞に対するIL-3の作用を反映する可能性があり、したがってこれら
の実験からIL-3がB細胞に直接作用しているか否かを決定することができない。
さらに、先行の実験では、B細胞はサイズに従って分画されていなかった。この
ように、B細胞の前活性化状態について考えられる役割は扱われていなかった。
本発明とはさらに対照的に、キモトら(Kimoto)「組換え型マウスIL-3はイン
ビボでTまたはBリンパ球発生を刺激することができないが、T細胞依存型抗原に
対する免疫応答を増強する」、J.of Immunology,140,1889〜1894(1988)は、
マウス組換え型IL-3を装填した浸透圧ミニポンプを有するマウスが、リンパ様臓
器においてBおよびT細胞の総数に増加を示さないと報告した。さらに、キモトら
(Kimoto)は、IL-3がリンパ球またはそれらの前駆体に直接作用しないが、おそ
らくアクセサリ細胞に作用することによって、T細胞依存型抗原に対する液性免
疫応答を増強する可能性があることを示唆した。
IL-4はB細胞刺激因子1(BSF-1)およびB細胞分化因子としても知られる糖蛋白
質である。これは、B細胞増殖、Igクラススイッチ、T細胞増殖および分化、マク
ロファージ活性化を共刺激し、肥満細胞増殖を制御、および造血前駆細胞を共刺
激するように機能する。
B細胞増殖因子II(BGF-II)、T細胞代行因子、IgA-増強因子および好酸球コロ
ニー刺激因子としても知られるIL-5は、Tリンパ球および肥満細胞によって産生
される糖蛋白質である。このサイトカインは、骨髄における好酸球コロニーの分
化を促進すると共に、コロニー刺激因子としての2つの機能を有する。IL-5は、
インビボで抗原によってプライミングされたB細胞による特異的インビトロ抗体
産生を誘導する。IL-5はインビトロで分化因子として作用するが、インビボでは
分化因子として作用しないように思われる。
BSF-II、ハイブリドーマ/プラスマサイトーマ増殖因子、インターフェロン-
β2、および肝細胞刺激因子としても知られるIL-6は、リンパ様および非リンパ
様細胞の双方によって産生される糖蛋白質である。このサイトカインは、免疫応
答、急性期反応、および造血を制御する。IL-6は、mRNAレベルでB細胞株に作用
し、分泌型のIgの生合成を誘導する。IL-5に加えて、IL-6もまた、非常に厳密な
条件下で分化因子として機能することが示されている。調べた他の全ての既知の
T細胞またはマクロファージ由来因子は、増殖因子を加えなければB細胞を活性化
してIgを分泌させることができない。
サイトカイン合成阻害因子としても知られるIL-10は、T細胞、マクロファージ
、および他の細胞タイプによって生成される。このサイトカインは、肥満細胞お
よびB細胞の増強または刺激に加えて、サイトカイン合成およびいくつかの微生
物
活性を含む、いくつかのマクロファージ機能を阻害する。IL-10は、抗CD40抗体
または抗原受容体のクロスリンクによって活性化されるヒトB細胞の強い増殖を
引き起こす。
インターロイキンに加えて、他のサイトカインの特徴付けもなされている。コ
ロニー刺激因子(CSF)は造血に主に関するグループの因子である。それらは、
インビトロで骨髄細胞のクローン的増殖を刺激する蛋白質として定義される。
顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、造血細胞の増殖また
は分化を調節する糖蛋白質増殖因子である。この増殖因子は、異なる条件下で、
T細胞、マクロファージ、内皮細胞、間質細胞、繊維芽細胞、肥満細胞、および
その他を含む多くの異なる細胞によって産生される。GM-CSFの主な作用は、顆粒
球-マクロファージ集団における、生存、分化、ならびに増殖および機能活性の
制御を含む。本発明より以前には、GM-CSFがB細胞による抗体の放出を刺激する
ことができることを示す報告はない。
最後に、生体免疫系において機能するもう一つのクラスのサイトカインは、イ
ンターフェロン(IFN)である。IFNは、細胞に対してその他の多くの重要な作用
を発揮することに加えて、ウイルス複製を阻害することによって、抗ウイルス防
御の第一線への主な関与物質である。IFNは感染から細胞を防御するように直接
的には作用しない。むしろ、それらは、隣接細胞においてウイルスの増殖を停止
させる蛋白質の生成を刺激し、このようにして感染から細胞を保護する。
IFNは、細胞の起源および誘導方法に基づいて、3つのグループ、α、βおよ
びγに分類される。IFN-αおよびIFN-βの産生は専門化された細胞機能ではなく
、おそらく有機体の全ての細胞がこれらのIFNを産生することが可能である。
いかなる細胞にも起こりうるIFN-αおよびIFN-β合成とは対照的に、IFN-γの
産生はT細胞およびNK細胞の機能である。IFN-γ誘発物質は全て、ポリクローナ
ル的に(マイトゲンまたは抗原)、またはクローン的に制限された抗原特異的な
方法でT細胞を活性化する。ヒトIFN-γは活性化ヒトB細胞の増殖を促進し、ヒト
B細胞の培養において、IL-2と相乗作用して免疫グロブリン軽鎖合成を増強する
ことができる。
*****
様々なヒト免疫細胞の機能を記述した短い考察、およびIL-1、IL-2、IL-3、IL
-4、IL-5、IL-6、IL-10、GM-CSF、およびIFN-γの既知の活性から、ヒト免疫系
が極めて多様であることが示される。しかし、このレベルの知識をもってしても
、免疫系の複雑さを完全に理解することはできない。数多くのギャップが依然と
して存在する。例えば、サイトカインが免疫系の細胞の反応を制御することによ
って、細胞間メディエーターとして作用することを除いて、サイトカインの特性
に関して一般的言明を行うことは不可能である。このように、当技術分野には、
免疫系をよりよく理解し、免疫障害を治療するさらなるおよび優れた方法を提供
するための必要性が依然として存在する。
発明の概要
本発明は、新規かつ改良された免疫療法に対する当技術分野の必要性を満たす
。IL-2、IL-3、GM-CSF、万能TCE、およびIFN-γを用いた新規組成物および方法
は、現在の免疫療法のアジュバントと共に、免疫障害の改善および新規治療を可
能にする。
本発明は、B細胞による抗体放出の刺激に有効な量が存在する、GM-CSFおよびI
L-2またはIL-3を、単独または組合せのいずれで含む組成物を目的とする。本発
明のもう一つの目的は、得られた複合体が蛋白質と結合し、その複合体がさらに
多糖類と結合される、B細胞による抗体放出の刺激に有効な量が存在する、GM-CS
FおよびIL-2またはIL-3を、単独または組合せのいずれで含む組成物である。本
発明はまた、インビトロでのTもしくはB細胞増殖またはインビトロ抗体産生によ
って確立されたように、免疫応答に関わる細胞の応答性を増加させることによっ
て免疫反応性を増強させることができるその他のリンフォカインの併用を含む。
GM-CSF、IL-2、またはIL-3活性を保持しているGM-CSF、IL-2、またはIL-3の分子
的に操作された断片もそれぞれ、本発明に用いることができる。
本発明のもう一つの目的は、その全てがB細胞による抗体放出の刺激に有効量
存在する、GM-CSF、IL-2、またはIL-3を、単独または組合せでIFN-γと共に含む
組成物である。
本発明のもう一つの目的は、多糖類にさらに結合しうる、蛋白質に非抗原特異
的に結合された万能TCEを含む組成物である。もう一つの態様において、万能TCE
は、多糖類に直接的に結合される。
本発明のもう一つの目的は、新規組成物および薬学的に許容される担体を含む
薬学的組成物である。
B細胞による抗体放出を刺激するために、GM-CSF、IL-2、IL-3、IFN-γ、およ
び万能TCEを含む新規組成物を利用することもまた発明に含まれる。B細胞による
抗体放出の刺激法を用いて、例えば、正常または免疫無防備状態でのワクチン接
種に対する哺乳類の免疫応答を増強することができる。
本発明のもう一つの目的は、ワクチンのアジュバントとしての新規組成物の利
用である。例えば、血液系に存在する免疫細胞の迅速な刺激を可能にするように
、多くのワクチンが現在静脈内または筋肉内に投与されている。新規組成物を、
担体分子に共有結合された融合蛋白質として、混合された融合蛋白質として、ま
たはその他のあらゆる組合せとして、投与されるワクチンと組み合わせることに
よって、抗体反応の程度は全身および局所レベルの双方で増加しうる。
本発明のもう一つの目的は、抗体産生が、自己免疫疾患のように病原性である
ような条件でのGM-CSF、IL-3、およびIFN-γの中和である。
組成物を用いて、インビトロまたはインビボにおけるモノクローナル抗体産生
を最適にすることもできる。例えば、動物をインビボで抗原および組成物で感作
することができる。または、リンパ球のインビトロでの刺激または感作による抗
体の産生は、新規組成物の存在下で増強することができる。これは、ヒトモノク
ローナル抗体の産生には特に有用である。
本発明はまた、B細胞による抗体放出の刺激に有用な組成物の同定を可能にす
る新規アッセイ系を目的とする。インビボ抗体刺激を模したこのアッセイ系には
、デキストラン結合型抗Ig抗体と高度精製B細胞とが含まれる。抗Igデキストラ
ン結合物は、インビボで抗原によって誘導されるB細胞の活性化に匹敵するメカ
ニズムによって、膜Igを通じてB細胞を有効かつポリクローナル的に活性化させ
る。
本発明のその他の目的および利点は、以下の説明に一部記載し、本説明から一
部明らかとなると思われ、または本発明を実践することにより理解されると思わ
れる。本明細書に組み入れられ、その一部を構成している添付の図面および表は
、本説明と共に本発明の原理を図示し、説明するのに役立つ。図面の簡単な説明 図1
:様々な培地におけるB細胞によるIgM分泌(ng/ml)を測定した。培養培地
は図面の左側に沿って記載する。調べた組成物は、デキストラン結合型抗IgD抗
体、IL-1、およびIL-2を含む培地において最高のIgM分泌を示した。この培地に
親出願に記述した細胞培養からの上清、RA5-SN、およびGM-CSF、またはIL-3を加
えた。対照組成物もまた測定した。RA5-SN上清は、GM-CSFおよびIL-3を共に含む
が、調べた他の組成物と比較してB細胞による有意なIgM分泌を示した。図2
:様々な濃度のIL-3またはGM-CSFの存在下または非存在下において、B細胞
をデキストラン結合型抗IgD抗体(3ng/ml)+IL-1(150 U/ml)+IL-2(150 U/
ml)によって活性化した。IgM分泌は培養開始後6日目にELISAによって測定した
。図3
:GM-CSFおよびIL-3を様々な濃度で加えて、活性化B細胞によるIgM分泌(ng
/ml)を測定した。GM-CSFを10 U/mlおよびIL-3を約3 U/ml加えると、約4650 ng
/mlという最大IgM分泌が得られた。図4
:IL-3(10 U/ml)またはGM-CSF(10 U/ml)の存在下または非存在下で、B
細胞をデキストラン結合型抗IgD抗体(3 ng/ml)+IL-1(150 U/ml)+IL-2(1
50 U/ml)によって活性化した。さらに、抗IL-3(10 μg/ml)および/または抗
GM-CSF(10 μg/ml)抗体を加えた。抗IL-3または抗GM-CSFを加えない対照も作
製した。IgM濃度は培養開始後6日目にELISAによって測定した。図5
:AF7上清におけるデキストラン結合型抗IgD抗体活性化B細胞について、活
性化B細胞によるIgH分泌(ng/ml)を測定した。IgM分泌は以下の2つ以上を含む
様々な培地中で測定した:IL-1、IL-2、αIL-3、およびαGM-CSF。図6
:IL-3(100 U/ml)および/またはGM-CSF(100 U/ml)の存在下または非存
在下で、B細胞をデキストラン結合型抗IgD抗体(3 ng/ml)+IL-1(150 U/ml)
+IL-2(150 U/ml)によって活性化させた。生存細胞(トリパンブルーを排除し
た細胞)を培養開始後4日目に血球計算盤を用いて計数した。複製培養における
IgM濃度は培養開始後6日目にELISAによって測定した。データは2つの培養の平
均値±平均の標準誤差として表す。図7
:IL-3(100 U/ml)+GM-CSF(100 U/ml)の存在下または非存在下で、B細
胞をデキストラン結合型抗IgD抗体(3 ng/ml)+IL-1(150 U/ml)+IL-2(150
U
/ml)によって活性化した。複製培養中のIgM濃度を、対照組成物、0時間にIFN-
γを加えた組成物、および24時間にIFN-γを加えた組成物について、ELISAによ
って測定した。データは2つの培養の平均値±平均の標準誤差として表す。図8
:酵母発現ベクターの概略図。図9
:ニッケルアガロースカラムおよびサイジングゲルでの精製前後のプロテイ
ンA-IL2(PA-IL2)産物を含むクーマシーブルー染色ゲル。図10
:抗IL-2(左側のゲル)および抗プロテインA(PA)(右側のゲル)でブロ
ットしたプロテインA-IL2(PA-IL2)のイムノブロット。IL2およびPAは対照とし
て泳動させる;プロテインAは、プロテインAの切断型で融合を行ったため、融合
産物より高い分子量で泳動する。図11
:融合産物におけるIL2の機能的活性。IL2反応性であるCTLL株5×103個のH
T2細胞を、IL2またはプロテインA-IL2と共にし、48時間後にチミジンの取り込み
を測定した。図12
:A)精製プロテインA-IL2(PA-IL2)融合産物、B)プロテアーゼを含まな
い酵母からのPA-IL2を含む非精製濃縮上清、のサイズ排除HPLC(ベックマンSEC
2000)。上清については精製は行わず、より低い分子量の切断産物と共に「クリ
ーナー」産物がプロテアーゼ・フリーのトランスフェクト酵母において得られた
ことを示している。図13
:精製プロテインD(レーン1および2)ならびに分子操作した万能TCE-プ
ロテインD(TCE-プロテインD、レーン4)およびプロテインA(対照として、レ
ーン5)をSDS PAGE上で流し、クーマシーブルーによって染色した(上段パネル
)。第二のゲルは抗プロテインDとイムノブロットした(下段のパネル)。図は
、蛋白質およびTCE-プロテインDが均一になるまで精製されたことを示している
。
好ましい態様の説明
本発明は、単独および併用してB細胞による抗体分泌を100倍増強させるサイト
カインの組成物について記述する。組成物は、B細胞による抗体の放出を刺激す
るのに有効な量の、IL-2、IL-3、およびGM-CSFを、単独または組み合わせて含む
。IFN-γと共に、全て、B細胞による抗体の放出を刺激するのに有効な量で存在
する、IL-2、IL-3、およびGM-CSFを単独または組み合わせて含む組成物も本発明
に含
まれる。より好ましくは、組成物は、CD40リガンド(CD40L)、または少なくと
も一つの別のサイトカイン、またはその組合せをさらに含む。また、より好まし
くは、組成物は、CD40リガンド(CD40L)、万能TCE、または少なくとも1つの他
のサイトカイン、またはその組合せをさらに含む。万能TCEとは、非抗原特異的
な強いT細胞刺激ペプチドで、B細胞エピトープを有しないものを意味する。強い
T細胞刺激とは、当業者に既知のT細胞増殖アッセイにおいて反映されるように、
強力にT細胞を刺激できることを意味する。ペプチドとは、約8個〜20個のアミ
ノ酸残基の分子、好ましくは11〜18残基の分子を意味する。非抗原特異的とは、
ペプチドが、多様な抗原特異性にわたって、遺伝的背景が異なるT細胞を刺激す
ることを意味する。B細胞エピトープを有しないことは、エピトープがB細胞によ
って認識されず、したがって、エピトープに対して特異的な抗体産生を誘導しな
いことを意味する。ペプチドは蛋白質に化学結合していてもよく、または当業者
に周知の方法に従って融合蛋白質を構築してもよい。ペプチドは当業者に既知の
方法に従って、CDAPを含む多糖類に結合してもよい。
最も好ましくは、組成物は、GM-CSF、IL-3、またはその組合せ、IFN-γ、CD40
L、およびIL-1+IL-2を含む。もう一つの最も好ましい態様において、組成物は
、GM-CSF、IL-3、またはその組合せ、IFN-γ、CD40L、万能TCEおよびIL-1+IL-2
を含む。また、最も好ましくは、組成物は、GM-CSF、IL-3、IFN-γ、CD40L、万
能TCE、およびIL-1+IL-2、または蛋白質に結合されさらに多糖類に結合された
、上記のいくつかもしくは全ての組合せを含む。
IL-2またはIL-3またはGM-CSFによって媒介されるIg分泌の増強は、典型的に10
〜50倍の範囲内で、IL-3とGM-CSFを併用すれば100倍までの増強が誘導される。
好ましくは、GM-CSFおよびIL-3は、インビトロで約1〜約10 U/mlで存在する。
インビボの量は、当技術分野で周知のように、しかるべくスケールアップされる
。より好ましくは、GM-CSFおよびIL-3は約10〜約100 U/mlで存在し、特に約100
U/mlで存在する。
B 細胞刺激剤としてのIL-3、GM-CSF、およびIFN-γの同定
本発明より以前には、GM-CSFまたはIL-3が、B細胞に直接作用して抗体の放出
を刺激すること、またはGM-CSFおよびIL-3がB細胞に対して相乗的におよび直接
的に
作用して抗体の放出を刺激することは知られていなかった。その上、GM-CSFはこ
れまで、成熟B細胞機能の直接制御には関与していなかった。同様に、IFN-γを
刺激後24時間に加えても、それ自身は最適な抗体分泌を刺激することができない
こと、またIL-3およびGM-CSFを単独または併用した場合に活性がさらに増強され
ることもわかっていなかった。
親出願第08/150,510号において記述された組成物には、IL-3およびGM-CSFが含
まれていた。初期の実験で、電子的にソーティングされた高度精製B細胞のIg分
泌反応は、少数の「非T非B」細胞を含むB細胞に富む集団より有意に低いことが
決定された。これらの所見に基づき、最初の出願は、NK細胞および/またはNK細
胞由来サイトカインが、抗Igデキストラン刺激B細胞においてIg分泌を増強しう
ることを示した。
親出願はまた、B細胞によるIg分泌を増強するT細胞クローン(TH1またはTH2)
に由来する上清を開示した。実験で、この増強がIL-1、IL-2、IL-5、IL-6、また
はIL-10によるものではないと決定された。驚くべきことに、分化誘導活性は、G
M-CSFおよびIL-3の存在によることが発見された。GM-CSFおよびIL-3を抗Igデキ
ストラン刺激細胞に加えると、Ig分泌が誘導された。逆に、抗GM-CSFおよび/ま
たは抗IL-3を加えると、T細胞上清の刺激活性は減少した。
Ig分泌はさらに、IL-2を加えることによって、IFN-γを培養24時間後に加える
ことによって、またはIFN-γ+IL-2を加えることによってさらに増強しうること
が判明した。Ig分泌の最高レベルは、培養開始時にIL-2、IL-3、およびGM-CSFを
抗Igデキストラン刺激細胞に加えた場合、ならびにIFN-γを1日後(抗Igデキス
トランによる刺激後24時間)に加えた場合に誘導された。B細胞活性化の直後にI
FN-γを加えても、刺激効果は増強されないか、またはIL-3もしくはGM-CSFの刺
激効果の増強が最小である。このように、IFN-γを加える時期は、B細胞による
抗体の放出をさらに増強するために重要である。この知見は本発明より以前には
報告されていなかった。
IL-3もしくはGM-CSF、またはIL-3+GM-CSFの活性によりTH1またはTH2由来上清
の分化活性が説明できるか否か調べるために、抗IL-3または抗GM-CSF抗体の中和
量を加えることによるIg分泌に及ぼされる効果を分析した。各抗体はIg分泌の有
意な抑制を媒介したが、抗IL-3および抗GM-CSFの併用では、TH1-またはTH2由来
上清の存在下で抗Igデキストラン刺激細胞のIg分泌の80%以上の抑制を誘導した
。
IL-3およびGM-CSFは、B細胞によるIg分泌を増強しうるという所見および抗IL-
3+抗IL-GM-CSFはIg分泌を抑制できるという所見は、完全に予想外であった。そ
の上、培養開始後24時間に加えたIFN-γが、IL-3およびGM-CSFの刺激効果を増強
することも驚くべきことであった。これらの所見はこれまで報告されていなかっ
た。
薬学的組成物
薬学的組成物もまた本発明に含まれる。該組成物は、有効量のIL-3およびGM-C
SFの、単独または組合せのいずれかと、薬学的に許容される担体とを含む。薬学
的に許容される担体と共に、有効量のIL-3およびGM-CSFの単独または組合わせと
、有効量のIFN-γとを含む薬学的組成物もまた本発明に含まれる。
治療は、薬学的組成物を静脈内、腹腔内、体内注射、関節内、脳室内、くも膜
下、筋肉内、皮下、鼻腔内、膣内、経口によって、またはいかなるその他の適当
な投与法によって投与することを含む。該組成物はまた、特定の部分へ筋肉内ま
たは皮下のいずれかによる注射のように、局所的に投与してもよい。
GM-CSF、IL-3、およびIFN-γについては、いかなる薬学的に許容される担体も
用いることができる。担体は、水、石油、動物油、植物油、ピーナッツ油、大豆
油、鉱物油、ゴマ油等を含む油のような滅菌液体であることができる。静脈内投
与の場合、水が好ましい担体である。生理食塩液、水溶性デキストロースおよび
グリセロール溶液もまた、特に注射可能な溶液の場合、液体担体として用いるこ
とができる。適当な薬学的担体は、参照として組み入れられる、「レミントンの
製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第18版(ゲナロ(A.Ge
nnaro)編、Mack Pub.,Easton,Pa.,1990)に記述されている。
組成物を含むワクチンアジュバント
本発明はまた、本発明の組成物を含むワクチンアジュバントを包含する。多く
のワクチンが現在、血液系に存在する免疫細胞を迅速に刺激するため、静脈内ま
たは筋肉内投与されている。新規組成物を投与すべき薬物と併用することによっ
て、抗体反応の程度は局所的にも全身的にも増加する。
インビトロアッセイでは、抗IgMまたは抗IgD抗体は、デキストランのような多
価の形状で存在する場合、効率よく作用して全てのB細胞を活性化する。この高
レベルの活性化により、高度精製B細胞の利用と併せて、B細胞による抗体の放出
を刺激する化合物の同定が可能となる。しかし、この反応はインビボでは望まし
くない。患者において、目標は、抗原に対して特異的な受容体を有するごく少数
のB細胞だけを活性化することである。ワクチンの特異的抗原は、特異的B細胞受
容体とクロスリンクするように作用する。対照的に、抗Igデキストランを用いた
インビトロモデルは全ての抗原受容体とクロスリンクするように作用する。
ワクチンアジュバントとして用いる場合、好ましくは、本発明の組成物は、デ
キストランまたは細菌の被膜多糖類のような、多価担体分子と結合させる。肺炎
球菌、連鎖球菌、および髄膜炎菌の被膜多糖類が好ましい。GM-CSF、IL-2または
IL-3、GM-CSFもしくはIL-3活性を保持しているGM-CSF、IL-2もしくはIL-3の分子
的操作断片、またはその組合せは、独立して多価担体に結合させることができる
。または、GM-CSF、IL-2、およびIL-3を共に融合して、または別の蛋白質と融合
して融合蛋白質を形成することができ、これを同様に多価担体に結合することが
できる。ワクチンのその他の多様な変形は当業者には明らかであると思われる。
本出願は、サイトカインの遅いが長期にわたる輸送を可能にする抗サイトカイ
ン-サイトカイン複合体の利用を含む。複合体はワクチンの抗原との混合物とし
て投与することができ、または複合体はワクチンの抗原に結合することができる
。
さらにもう一つの態様において、ワクチンアジュバントは、CD40L、GM-CSF、I
L-3、またはIFN-γ以外の1つ以上のサイトカイン、またはその組合せを含む。C
D40Lおよび1つ以上のサイトカイン、または万能TCEもまた、多価担体に結合さ
せることができる。
結合型ワクチンにおいて用いられる組成物
結合型ワクチンを形成するためには、ワクチンの抗原および本発明の組成物を
、デキストランまたは細菌の被膜多糖類のような、多価担体分子に共有結合する
ことができる。肺炎球菌、連鎖球菌、および髄膜炎菌の被膜多糖類が好ましい。
抗原は、ワクチン接種すべき疾患に対して特異的なペプチドまたは蛋白質であ
る。
ワクチン投与時の液性免疫応答をさらに最適にするため、CD40もしくは少なく
とも1つの他のサイトカイン、または万能TCE、またはその組合せを多価担体に
結合させることができる。
表IIIは、本発明の組成物を用いる典型的なワクチンを示す。表に記すように
、いくつかのワクチンは結合型ワクチンである。結合の方法は当業者に周知で、
参照として組み入れられる、ブランズウィックら(Brunswick)、J .Immunol.14 0
:3364(1988)のヘテロライゲーション法;ウォン(Wong S.S.)「蛋白質結合
とクロスリンクの化学(Chemistry of Protein Conjugates and Crosslinking)
」、CRC Press,Boston(1991);およびブレンクレーら(Brenkeley)「色素、
ハプテン、およびクロスリンク剤による蛋白質結合物の調製法の簡単な概要(Br
iefSurvey of Methods for Preparing Protein Conjugates With Dyes,Haptens
and Cross-Linking Agents)」、Bioconjugate Chemistry、3、1号(1992年1
月)を含む。好ましい共有結合法は、その開示が本明細書に参照として特に組み
入れられる、1993年9月23日に提出された、いわゆる「CDAP」結合法の出願第07
/124,491号の一部継続出願である、1995年3月22日に提出された出願第08/408,7
17号の一部継続出願である、1995年6月7日に提出された出願第08/482,661号に
述べられている。組成物の使用法
本発明のさらなる目的は、B細胞による抗体放出を刺激するために、IL-2、IL-
3、およびGM-CSFを単独または組み合わせて含む組成物、ならびにIFN-γと共に
、IL-2、IL-3、およびGM-CSFを単独または組み合わせて含む組成物の利用である
。
治療に適当な宿主には、適当ないかなる哺乳類も含まれる。好ましい宿主は、
新生児、成人、および免疫欠損患者を含むヒトである。
組成物は、適当ないかなる投与法でも投与することができる。組成物の好まし
い投与法は、皮下、静脈内、鼻腔内、粘膜経路、経口、筋肉内、またはその組合
せを含む。
用いる化合物の投与量は、年齢、個人差、症状、投与方法等に応じて変化し、
当業者には容易に決定することができる。GM-CSFおよびIL-3の典型的な投与量は
、ネムナイティス(J.Nemunaitis)、「顆粒球マクロファージコロニー刺激因子
:前臨床開発から臨床応用までのレビュー(Granulocyte-macrophage-colony-st
imulating factor:a review from preclinical development to clinical appl
ication)」、Transfusion,33,70〜83(1993);リーシュケら(Lieschke)、「
顆粒球コロニー刺激因子と顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(Granulocyt
e-Colony-Stimulating Factor and Granulocyte-Macrophage-Colony-Stimulatin
g Factor(前半)」The N.Eng J.of Med.327,28〜35(1992);リーシュケら(
Lieschke)、「顆粒球コロニー刺激因子と顆粒球マクロファージコロニー刺激因
子(Granulocyte-Colony-Stimulating Factor and Granulocyte-Macrophage-Col
ony-Stimulating Factor(後半)」The N.Eng J.of Med.327,99〜106(1992)
;シュルツら(Schulz)「組換え型インターロイキン-3および顆粒球マクロファ
ージコロニー刺激因子によるアジュバント療法」、Pharmc.Ther.52.85〜94(19
92);ホールツァーら(Hoelzer)「新生物疾患患者の治療におけるインターロ
イキン3単独とGM-CSFとの併用」、Seminars in Hematology,28,suppl.2(4月
)17〜24(1991)に示される。組成物を用いた中和方法
本発明のもう一つの目的は、狼瘡、全身性ループスエリテマトーデス(SLE)
、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血管炎、グレーヴス病、アレルギー反応
等のような自己免疫疾患におけるように、抗体の産生が病原性である条件下でGM
-CSF、IL-3、およびIFN-γの活性を中和する方法である。
中和ワクチンの構築に関しては、サイトカインに対する抗体を作製する。当業
者は、特異的抗体を得るためのよく確立された方法に通じている。次に抗体を患
者に投与する。抗体の半減期を増加させるため、抗体を担体に結合することがで
きる。モノクローナル抗体産生を最適にするための組成物の利用法
組成物を同様に用いて、インビトロまたはインビボでのモノクローナル抗体産
生を最適にすることができる。例えば、関係する抗原および組成物を含む溶液を
インビボで注射することによって、動物を感作することができる。組成物はB細
胞による抗体の放出を刺激するため、特定の抗原と結合した組成物の投与により
特異的抗原に対する抗体産生が最適化される。
当業者は、そのような免疫のための技法と共に、本明細書の開示に照らして抗
体を誘導し、その放出を刺激するために必要な抗原および組成物の用量を熟知し
ていると思われる。
または、抗体産生のためのリンパ球のインビトロ刺激または感作は、新規組成
物の存在下で増強することができる。そのような刺激および感作の教示は、本明
細書の開示に照らして適用する抗原および組成物の適当量の決定と共に、当技術
分野の通常技術の範囲内である。該方法はヒトモノクローナル抗体の産生に特に
有用である。B 細胞による抗体の放出を刺激するのに有用な組成物を同定するアッセイ系
本発明のさらなる態様は、インビボ抗体刺激を模する新規インビトロアッセイ
系の開発である。このアッセイ系では、B細胞による抗体の放出を刺激する組成
物の同定が可能である。
休止B細胞は抗体を放出しないため、抗体放出を測定する前に、まずそれらを
活性化させなければならない。本発明において、抗IgMまたは抗IgD抗体は、特に
参照として組み入れられる、スナッパーら(Snapper)「マウス辺縁帯および濾
胞B細胞による増殖、Ig分泌、およびIgクラススイッチのインビトロ比較分析(C
omparative In Vitro Analysis of Proliferation,Ig Secretion,and Ig Clas
s Switching by Murine Marginal Zone and Follicular B Cells)」、J.of lmm unology
.150.2737〜2745(1993)に述べるように、高分子量デキストラン(すな
わち、MW=2.0×106)に共有結合し、多糖類担体上に多価抗原を作製する。この
技法は、2価の抗Ig分子を、ピコモル濃度においてもB細胞膜Igを通じて持続的
および反復的にシグナル伝達を誘導することができる、極めて刺激的な多価結合
物に変換する。抗Igデキストラン結合物は、高レベルのB細胞増殖を、非結合抗I
gによって刺激されたよりも10,000倍低い濃度である、1 pg/mlもの低濃度で刺
激する。B細胞の活性化は、抗原特異性に関わりなく起こる。抗Igデキストラン
は、サイトカインの非存在下では、休止B細胞による抗体放出を刺激しない。B細
胞による抗体の放出を刺激するサイトカインを加えると、高レベルのIg分泌が認
められる。
これまで、抗原受容体を通じてのB細胞の活性化は、例えば、デキストランの
ような高分子量多糖類に結合した抗免疫グロブリン(Ig)抗体を用いて最適に得
る
ことができることが知られていた。しかし、これまでアッセイで用いられるB細
胞は高度に精製されていなかったため、B細胞による抗体の放出を刺激する組成
物をスクリーニングすることは不可能であった。B細胞上清中に混入している細
胞はしばしば、B細胞による抗体放出を刺激することができる十分量のサイトカ
インを分泌する。したがって、調べた組成物の刺激効果が、加えられた組成物ま
たは混入物質によるものであるか否かを決定することができなかった。
対照的に、本発明は、アッセイ系に高度精製B細胞を用いる。好ましくは、B細
胞は電子的にソーティングして高度精製B細胞を得る。高度精製B細胞を用いれば
、多価mIgクロスリンクを通じて活性化されたB細胞による抗体の放出に及ぼす物
質の刺激効果を測定することが可能になる。この系は本発明より以前には記述さ
れていなかった。実際、このアッセイ系の発見前には、B細胞による抗体の放出
に及ぼす唯一の特徴的な刺激活性について組成物を試験することができなかった
。
*****
本発明の予想外の効果は、以下の実験に示し、図1〜12に描写する。
本発明を全般的に記述してきたが、例示の目的でのみ本明細書に提供され制限
を意図するものではない特定の実施例を参照することによって、より完全な理解
が得られる。実施例1
この実施例は、親出願で報告された細胞上清のB細胞抗体刺激活性が一つの既
知のサイトカインによるものではなかったことを示している。
材料および方法:国立癌研究所(Naitonal Cancer Institute)(フレデリッ
ク、MD)から雌性DBA/2マウスを得て、7〜10週齢で使用した。用いた培養培地
は、10%ウシ胎児血清(シグマ、セントルイス、MO)、L-グルタミン(2 mM)
、2-メルカプトエタノール(0.05 mM)、ペニシリン(50 μg/ml)およびストレ
プトマイシン(50 μg/ml)を補添したRPMI1640(バイオフルーイッズ(Biofluid
s)、ロックビル、MD)であった。
デキストラン結合抗IgD抗体は、Hδa/1(モノクローナルマウスIgG2b(bアロ
タイプ))抗マウスIgD(aアロタイプ)を高分子量デキストラン(2×106 MW
)に結合することによって調製した。約9個のデキストラン結合抗IgD抗体を各
デキス
トラン分子に結合させた。FITC-抗-CD3εmAb(2C11)はファーミンゲン(Pharmin
gen)(サンジエゴ、CA)から購入した。
PE-標識アフィニティー精製ポリクローナルヤギ抗マウスIgM抗体は、サザン・
バイオテクノロジー・アソシエーツ(Southern Biotechnology Associates)(バ
ーミンガム、AL)から購入した。マウス組換え型IL-1およびIL-2はそれぞれ、ス
テファニー・ボーゲル(Stephanie Vogel)博士(USUHS、ベセスダ、MD)および
モーリス・ゲイトリー(Maurice Gately)博士(ホフマン・ラ・ロッシュ、ナト
レー、NJ)の厚意により供与された。組換え型マウスIL-3およびGM-CSFはファー
ミンゲン(Pharmingen)より購入した。ポリクローナルヤギ抗マウスIL-3およびGM
-CSF抗血清はいずれも、R&Dシステムズ(R&D Systems)(ミネアポリス、MN)よ
り購入した。
機能的アッセイは96ウェル平底コスタープレート(コスター(Costar)、ケンブ
リッジ、MA)で実施した。培養細胞を、6%CO2を含む湿潤大気中で37℃で、1
×105細胞/mlを全量200 μLでインキュベートした。
ポリクローナルIgM濃度はELISAによって測定した。毎回のアッセイで用いたIg
M標準曲線との比較によって定量を行った。
B細胞の調製および培養:B細胞に富む集団を脾細胞から得た。ラット抗Thy-1
、抗CD4、および抗CD8モノクローナル抗体で処置し、その後モノクローナルマウ
ス抗ラットIgkおよび補体によって、T細胞を除去した。細胞を70、65、60、およ
び50%パーコール溶液(密度はそれぞれ、1.086、1.081、1.074、および1.062 g
/ml)から成る不連続パーコール勾配上での密度に基づいて分画した。高密度(
小さい、休止)細胞は70〜65%界面から回収し、〜90%B細胞を含んでいた。次
に、FITC-抗-CD3ε+PE-抗-IgM抗体で染色後、EPICSエリートサイトメーター(
コールター・コーポレーション(Coulter Corp.)、ヒアラ、FL)上で膜(m)IgM+CD
3-細胞の電子的細胞ソーティングによって高度精製B細胞を得た。ソーティング
した細胞を直ちに再分析したところ、一貫して>99%B細胞であることが判明し
た。これらの細胞を全ての実験に用いた。
TH1マウス細胞株をクローニングして実験に用いた。親出願に記述のように、B
細胞による抗体の放出を刺激する組成物を単離した。組成物の成分の同一性を決
定するために、IL-1、IL-2、IL-3等に対して特異的なモノクローナル抗体を組成
物に加え、次に活性を測定することによって、既知の全てのサイトカインの活性
を系統的に抑制した。
組成物は、2つの独立したB細胞抗体放出剌激剤である、IL-3およびGM-CSFを
含むため、既知のサイトカインをそれぞれ一つずつ抑制する実験を行っても、測
定された活性を完全に抑制する結果にはならなかった。実施例2
この実施例は、親出願において同定されたT細胞培養の上清、GM-CSF、およびI
L-3の相対的な刺激効果を測定する。
様々な培地におけるB細胞によるIgM分泌(ng/ml)を測定した。培養培地を図
1の左側に沿って記載する。培養培地は、抗IgDデキストランおよびIL-1+IL-2;
抗IgDデキストランおよびIL-4;可溶性CD40リガンドおよびIL-1+IL-2;可溶性C
D40リガンドおよびIL-4、膜CD40リガンド;膜CD40リガンドおよびIL-1+IL-2;
ならびに膜CD40およびIL-4であった。調べた組成物は、親出願において記述され
た細胞培養上清、RA5-SN、GM-CSFNおよびIL-3であった。各培地について対照の
組成物も同様に調べた。
図1に示すように、調べた組成物は、デキストラン結合抗IgD抗体、IL-1およ
びIL-2を含む培地において最高のIgM分泌を示した。GM-CSFおよびIL-3の双方を
有するRA5-SN上清は、調べた他の組成物と比較してB細胞による有意なIgM分泌を
示した。実施例3
この実施例は、IL-3およびGM-CSFが活性化B細胞によるIg分泌を刺激すること
を示している。
様々な濃度のIL-3またはGM-CSFの存在下または非存在下で、デキストラン結合
抗IgD抗体(3ng/ml)+IL-1(150 U/ml)+IL-2(150 U/ml)によって、B細胞
を活性化した。IgM分泌は培養開始後6日目にELISAによって測定した。
電子的にソーティングした精製休止B細胞は増殖したが、デキストラン結合抗I
gD抗体またはデキストラン結合抗IgD抗体+IL-1+IL-2による活性化に反応してI
gを分泌することができなかった。親出願で報告したように、抗CD3-活性化CD4+T
H1およびTH2クローンから得られた上清は、デキストラン結合抗IgD抗体+IL-1+
IL-2で刺激したB細胞による強いIg分泌反応を誘導する。この剌激はIL-4およびI
L-5非依存的である。
TH1およびTH2クローンは、活性化によってIL-3、GM-CSF、およびTNF-αを分泌
する能力を有するため、これらのサイトカインがIg分泌を誘導するか否かを調べ
た。
サイトカインは、対数で0.1〜1000 U/mlの最終濃度で増加させて力価を測定し
た。TNF-αはIg合成に全く作用を及ぼさなかった。対照的に、IL-3およびGM-CSF
は、デキストラン結合抗IgD抗体+IL-1+IL-2のみで認められた分泌を上回るIg
分泌の有意な増強を刺激した(図2)。IL-3およびGM-CSFはいずれも、100 U/ml
で最適なIg分泌反応を刺激し、それぞれ19倍および9倍増強した。IL-3またはGM
-CSFに反応した、低いが有意な量のIg合成の誘導は、1〜10 U/mlでもなお認め
られた。
多数の実験では、IL-3およびGM-CSFによって媒介されるIg分泌の増加の程度は
、典型的に10〜50倍の範囲であった(図3)。用量反応、またはIg分泌の誘導の
最適レベルのいずれに対しても、IL-3とGM-CSFとの間で有意差は認められなかっ
た。実施例4
この実施例は、抗IL-3および抗GM-CSF抗体がIL-3およびGM-CSFに反応してそれ
ぞれIg分泌の誘導を特異的に阻害することを示している。
IL-3(10 U/ml)またはGM-CSF(10 U/ml)の存在下または非存在下でデキスト
ラン結合抗IgD抗体(3ng/ml)+IL-1(150 U/ml)+IL-2(150 U/ml)によって
、B細胞を活性化した。さらに、抗IL-3(10 μg/ml)および/または抗GM-CSF(
10 μg/ml)抗体を加えた。抗IL-3または抗GM-CSF(10 μg/ml)を加えない対照
も同様に調製した。IgM濃度は培養開始後6日目にELISAによって測定した。
抗IL-3および抗GM-CSF抗体は、IL-3およびGM-CSFのそれぞれのIg誘導活性を特
異的および完全に阻害した(図4)。これらの抗体は、単独または組合せで、デ
キストラン結合抗IgD抗体+IL-5活性化に反応するIg分泌に効果を及ぼさなかっ
た(データは示していない)。また結果から、抗IL-3および抗GM-CSF抗体の組合
せ
が、CD4+TH1またはTH2クローンのいずれかからの上清のIL-4+IL-5非依存的Ig誘
導活性を有意に減少させうることが証明された。IL-3およびGM-CSFは、CD40媒介
シグナル伝達系路を通じて活性化されたB細胞によるIg分泌を誘導できないこと
も証明された。実施例5
この実施例は、IL-3およびGM-CSFがデキストラン結合抗IgD抗体によって活性
化されたB細胞によるIg分泌を誘導するが、非結合型の抗IgD抗体による活性化で
はIg分泌を誘導しないことを証明している。この実施例はまた、IL-3およびGM-C
SFがIL-1+IL-2と相乗的に作用することを示している。
多価であるが、2価ではないmlgクロスリンケージは、サイトカイン媒介Ig分
泌およびクラススイッチを共刺激する。この実施例では、IL-3またはGM-CSFに反
応するIg分泌の共剌激に対して、デキストラン結合抗IgD抗体(Hδa/1 mAb)を
非結合型の抗IgD抗体(Hδa/1 mAb)と比較した。
B細胞をまず、AF7上清、αIL-4、およびαIL-5と共に培養した。AF7上清に関
して、C57BL/6マウスに由来するKLH-特異的、Iab-制限、CD4+T細胞クローンを確
立し、標準的な方法によって維持した。AF7は、IL-4の産生に基づくTH2クローン
で、IL-2およびIFN-γの産生が欠如している。
以下のようにAF7細胞の培養から、サイトカインを含む上清を得た。組織培養
ウェルを37℃で3時間、抗CD3 mAb(2C11)10 μg/mlのPBS溶液でインキュベー
トし、次に新鮮なPBSで3回洗浄した。休止状態に戻らせ、抗原、APC、およびIL
-2による刺激後7日目のAF7細胞を、抗CD3-コーティングプレートに様々な時間
、1×106細胞/mlで加え、そこから無細胞上清を得て、-20℃または4℃のいず
れかで保存した。後者の場合では、上清は回収して1〜2週間以内に細胞アッセ
イに用いた。
次に、IL-1(150 U/ml)+IL-2(150 U/ml)の存在下または非存在下で、B細
胞をデキストラン結合抗IgD抗体(Hδa/1-dex、3ng/ml)または非結合(Hδa/1
、30 μg/ml)抗IgD抗体と共に培養した。対照組成物は、結合型または非結合型
デキストランを含まなかった。IL-3(100ml)および/またはGM-CSF(100 U/ml
)を加え、IL-3またはGM-CSFを加えない対照組成物を調製した(図5)。IgM濃
度は
、培養開始後6日目にELISAによって測定した。
結合型デキストラン(Hδa/1-dex)とは対照的に、非結合型デキストラン(H
δa/1)は、IL-3またはGM-CSFの存在下ではIg分泌の共刺激剤としては無効であ
った(表1)。非結合型デキストランは、細胞サイズの増加およびMHCクラスII
誘導の増加のような、初期B細胞活性化事象を誘導できるにも関わらず、これら
の結果が得られた。IL-3またはGM-CSF単独では、Igを検出可能なほど分泌するよ
うに休止B細胞を誘導することができなかった(表1)。しかし、IL-3およびGM-
CSFをデキストラン結合抗IgD抗体活性化細胞の培養中に加えると、細胞外IL-1+
IL-2の非存在下では、デキストラン結合抗IgD抗体単独による刺激と比較してそ
れぞれ、7.4倍および5.4倍のIg分泌誘導が起こった。デキストラン結合抗IgD抗
体のみで活性化した細胞にIL-1+IL-2を加えても、Ig分泌はそれ以上増加しなか
った。
IL-3またはGM-CSFとIL-1+IL-2との併用により、デキストラン結合抗IgD抗体
+IL-1+IL-2単独で活性化したB細胞培養で認められた場合と比較して、Ig分泌
は48倍および75倍増強された。このように、IL-1+IL-2は、デキストラン結合抗
IgD抗体活性化休止B細胞によるIg分泌の誘導に関して、IL-3またはGM-CSFと強く
相乗的である。
表 I 培地 刺激レベル
Hδa/1-dex 65
IL-3 <24
GM-CSF <24
Hδa/1-dcx+IL-3 480
Hδa/1-dex+GM-CSF 350
Hδa/1-dex+IL-1+IL-2 57
Hδa/1-dex+IL-1+IL-2+IL-3 2750
Hδa/1-dex+IL-1+IL-2+GM-CSF 4250
Hδa/-1 <24
Hδa/-1+IL-1+IL-2 <24
Hδa/-1+IL-1+IL-2+IL-3 <24
H δa/-1+IL-1+IL-2+GM-CSF <24 実施例6
この実施例はIL-3およびGM-CSFが共に、主にIg分泌へのB細胞分化の剌激を
通じて作用することを示している。
IL-3およびGM-CSFがIg分泌を増強するメカニズムを明らかにするため、IL-3お
よびGM-CSFが細胞の過増殖に及ぼす効果をIg分泌と比較して決定した。
B細胞を、IL-3(100 U/ml)および/またはGM-CSF(100 U/ml)の存在下また
は非存在下で、デキストラン結合抗IgD抗体(3ng/ml)+IL-1(150 U/ml)+IL
-2(150 U/ml)で活性化した。生存細胞(トリパンブルーを排除した細胞)を血
球計算盤を用いて培養開始後4日目に計数した。複製培養におけるIgM濃度は、
培養開始後6日目にELISAによって測定した。データは2つの培養の平均値±平
均の標準誤差として表す。
IL-3は、生存細胞過増殖(outgrowth)において有意な、しかし2倍未満の増
強を剌激したのに対し、GM-CSFは細胞増殖の程度に有意な効果を示さなかった(
図6)。3H-チミジンの取り込みに基づいてDNA合成を評価する試験は、これらの
知見と一致している。
IL-3およびGM-CSFに反応した複製培養のIg分泌の誘導はそれぞれ、13.8倍およ
び13.6倍であった。これらの結果は、IL-3およびGM-CSFの主な効果が、細胞当た
りに分泌されたIgの平均量の強い増加を刺激することで、培養中に存在する細胞
の総数を増強しないことを示している。このように、このデータから、IL-3およ
びGM-CSFが、多価抗原受容体クロスリンクを通じて活性化される休止B細胞に対
する分化因子であることが強く示唆される。IL-3およびGM-CSFの組合せ作用は、
それぞれのサイトカインの最適用量を用いると、一貫して、付加的なIg分泌反応
以上の反応を引き起こした(図6)。これらのデータは、IL-3およびGM-CSFが相
乗的に作用することを示している。同様の程度の相乗効果は、IL-1+IL-2の非存
在下でデキストラン結合抗IgD抗体によって活性化した細胞に対するIL-3とGM-CS
Fとの併用によっても認められた(データは示していない)。実施例7
この実施例は、CD40LをB細胞組成物に加えた場合のB細胞の抗体分泌に及ぼす
刺激効果を証明する。
B細胞を、デキストラン結合抗IgD抗体(3ng/mlまたは0.3ng/ml)+IL-1(150
U/ml)+IL-2(150 U/ml)で活性化させた。対照組成物、IL-3+GM-CSFを加え
た組成物、およびIL-3+GM-CSF+CD40リガンド(CD40L)を加えた組成物に関し
て、複製培養でのIgM濃度をELISAによって測定した(表II)。IL-3およびGM-CSF
は、100 U/mlで存在していた。CD40Lは最終濃度10 μg/mlで加えた組換え型可溶
性CD8-CD40リガンド融合蛋白質の形状であった。融合蛋白質は、コネチカット州
リッジフィールドにあるベーリンガー・インゲルハイム・ファーマシューティカ
ルズ・インク(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals,Inc.)のケーリー博士
(M.Kehry)から供与された。 最も有意な結果(61,250 ng/ml)は、3ng/mlの抗IgD-dexおよびIL-3+GM-CSF
+CD40Lを含む組成物で得られた。しかし、低濃度の多価活性化因子(抗IgD-deX
の0.3ng/ml)においても、有意なIgM分泌が得られた(42,125 ng/ml)。このよ
うに、低濃度の結合物においても、CD40Lを担体に含めることによって、極めて
強力な抗体放出反応を得ることができる。実施例8
この実施例は、IFN-γをB細胞の刺激後24時間に加えた場合のB細胞の抗体分泌
に及ぼす剌激効果を示している。
B細胞を、IL-3(100 U/ml)+GM-CSF(100 U/ml)の存在下または非存在下で
、デキストラン結合抗IgD抗体(3ng/ml)+IL-1(150 U/ml)+IL-2(150 U/ml
)で活性化させた。複製培養におけるIgM濃度は、対照組成物、IFN-γを0時間
に加
えた組成物、およびIFN-γを24時間に加えた組成物に関して、ELISAによって測
定した。データは2つの培養の平均値±平均の標準誤差として表す(図7)。
抗-IgD-dex活性化B細胞およびIL-1+IL-2を含む組成物は、IFN-γを加えない
場合では最少のIgM分泌(885 ng/ml)、およびIFN-γを0時間に加えた場合でも
最少の分泌(975 ng/ml)を示した。IFN-γをB細胞の刺激後24時間に加えたとこ
ろ、抗体分泌は11,250 ng/mlに跳ね上がった。
抗-IgD-dex活性化B細胞、IL-1+IL-2、およびIL-3+GM-CSFを含む組成物では
、さらに有意な結果が得られた。IFN-γを含まない培地では、抗体分泌は21,250
ng/mlと測定された。驚くべきことに、IFN-γを0時間に加えると抗体分泌は7,
250 ng/mlに抑制された。しかし、IFN-γをB細胞の刺激後24時間に加えると、相
乗反応が起こり、ほぼ200,000 ng/mlもの抗体分泌を生じた。実施例9
この実施例は、本発明の組成物を用いた典型的ワクチンおよびワクチンアジュ
バントを提供する。
表IIIは、本発明の組成物を用いた典型的ワクチンを示す。表に示すように、
いくつかのワクチンは結合ワクチンである。結合法は当業者には周知で、参照と
して組み入れられる、ブランズウィックら(Brunswick)、J .Immunol.140:3364
(1988)のヘテロライゲーション法;ウォン(Wong S.S.)「蛋白質結合物とク
ロスリンクの化学(Chemistry of Protein Conjugates and Crosslinking)」、
CRCPress,Boston(1991);およびブレンクレーら(Brenkeley)「色素、ハプ
テン、およびクロスリンク剤による蛋白質結合物の調製法の簡単な概要(Brief
Survey of Methods for Preparing Protein Conjugates With Dyes,Haptens and
Cross-Linking Agents)」、Bioconjugate Chemistry、3、1号(1992年1月)
を含む。
多価担体は、インビトロで用いられる多価結合物(すなわち抗-IgD-dex)に置
き換えられる。そのような担体は、例えば、デキストラン、または肺炎球菌、連
鎖球菌、または髄膜炎菌のような細菌からの被膜多糖類でありうる。多糖類は、
ワクチンについて想定される使用により、医学的に適切であっても適切でなくと
もよい。
サイトカインはGM-CSF、IL-3、IFN-γまたはその組合せであることができる。
この実施例は制限することを意図しているわけではなく、ワクチンの他のタイ
プは、本発明の明細書および実践を考慮することにより当業者には明らかとなる
と思われる。
表IIIワクチンの構造および成分
1.サイトカイン*+抗原(混合);水溶液で同時投与、徐放粒子、アジュバン
ト等。
2.サイトカイン+抗原+多価担体;サイトカイン、抗原、またはその双方を直
接担体に結合することができる;すなわち:
3.サイトカイン−抗原;共有結合による直接結合
4.多価担体に結合(共有結合)したサイトカイン−抗原、すなわち:
5.サイトカイン−抗原(融合蛋白質)
6.多価担体に結合(共有結合)したサイトカイン−抗原(融合蛋白質)
7.ペプチド−サイトカイン(融合蛋白質)+抗原
8.融合蛋白質、抗原または双方が多価担体に結合している、ペプチド−サイト
カイン(融合蛋白質)+抗原
9.サイトカイン−多価担体、すなわち:
10.抗体複合体(すなわち、IL-3+抗IL-3)+抗原
11.抗体複合体(すなわち、IL-3+抗IL-3)+抗原+多価担体(サイトカイン、
抗原、またはその双方を担体に結合することができる)
12.抗サイトカイン抗体;これは中和ワクチンである
13.抗サイトカイン抗体+多価担体;これは中和ワクチンである
14.実施例1〜13のワクチンは、CD40Lを混合または多価担体に結合して加える
ことによってさらに修飾することができる
15.実施例1〜14のワクチンは、IL-1+IL-2のような、GM-CSF、IL-3またはINF-
γ以外のサイトカインを、混合または多価担体に結合させて1つ以上加えること
によって、さらに修飾することができる。*
サイトカインはGM-CSF、IL-3、IFN-γまたはその組合せでありうる。
*****
まとめると、実験結果は、IL-3および/またはGM-CSFがB細胞による抗体の放
出を刺激すること、および併用するとこれらのサイトカインは相乗的に作用して
B細胞による抗体の放出を刺激することを示している。この誘導は、抗IL-3およ
び抗GM-CSF抗体によってそれぞれ特異的に阻害される。培養後24時間に加えたIF
N-γの刺激効果も同様に示す。
IL-3およびGM-CSFの効果は、実験モデルにおいてデキストラン結合抗Ig抗体に
よって媒介されるように、多価抗原受容体クロスリンケージによって増強される
。IL-3およびGM-CSFの効果も同様に、高レベルの膜Igクロスリンクを誘導しない
抗原によって増強してもよい。デキストラン結合抗Ig抗体およびIL-1+IL-2は共
に、最適なIL-3およびGM-CSF媒介Ig分泌にとって必要であるが、IL-3およびGM-C
SFは共に、デキストラン結合抗Ig抗体単独で活性化された細胞による適度のIg分
泌反応を剌激する。これは、IL-3およびGM-CSFが、B細胞の分化因子として直接
作用できることを証明する最初の報告である。
さらに、GM-CSF、IL-3、IL-1+IL-3、および培養後24時間に加えたIFN-γの使
用により、最大抗体分泌が得られたが、抗体分泌の適度の増加もまた、培養後24
時間にIFN-γを加えただけでも認められた。実施例10
この実施例は、サイトカイン-蛋白質融合産物の調製を示す。
A.プラスミドの構築 YEpFlag-1発現プラスミド(コダック・サイエンティフ
ィック・イメージング・システムズ)を、融合蛋白質のクローニングおよび発現
に用いた。YEpFlag-1ベクターは:酵母における制御発現のためのADH2プロモー
タ
ー、酵母における選択のためのトリプトファンマーカー、および酵母における蛋
白質分泌のためのα因子を含む。ベクターはまた、多クローニング部位、アンピ
シリン耐性遺伝子、およびFlagペプチド配列も含む。KpnlおよびBamHI制限部位
への融合蛋白質DNAの挿入により、Flagペプチド配列および、α因子ペプチド配
列から14塩基対が除去された。融合蛋白質の精製を容易にするため、6個のヒス
チジン残基をそのC末端に加え、それによりNi-NTA樹脂への結合およびNi-NTA樹
脂からの酸溶出が可能となった。この方法は、Flagペプチドをその後酵素的に除
去する必要がなく、大量の精製が可能となるため、Flag依存的精製より優れてい
る。α因子細胞外分泌ペプチド配列の3'末端から除去された14塩基対は、PCRに
よって戻された。
融合蛋白質を構築する前に、個々の蛋白質をまず個別にクローニングした。プ
ロテインD、肺炎球菌表面蛋白質A(プロテインA)およびニューモリジン(pneum
olysin)は、ソンら(son)、Infect.and Immun.632,696〜699(1995年2月);
ランゲルマンら(Langermann)、J.Exp.Med.180、2277〜2286(1994年12月);
およびウォーカーら(Walker)Infect.and Immun.55,5,1184〜1189(1987年5
月)に記述の方法に従ってクローニングした。融合蛋白質は、N末端上のサイト
カインを、6個のグリシン残基によって、C末端上の6個のヒスチジンテール部
を含む抗原蛋白質と結台させることによって構築した。
B.IL-2、GM-CSFプラスミドの構築 プラスミドを含むヒトIL-2またはマウスG
M-CSF cDNAを用いて、PCRの鋳型とした。5'プライマーはKpnl制限部位および除
去されたα因子の塩基対、ならびに蛋白質のN-末端の最初の18塩基を含んでいた
。
3'プライマーは蛋白質のC-末端の最後の18塩基、リンカーとしてサイトカイン配
列とSmal制限部位との間の3個のグリシンコドンを含んでいた。PCR産物およびY
EpFlagプラスミドをKpnlおよびSmal制限エンドヌクレアーゼで消化し、ライゲー
ションした。大腸菌DH 10Bコンピテント細胞をライゲーション混合物によって形
質転換し、アンピシリン耐性クローンを選択して、プラスミドDNAをいくつかの
クローンから精製した。IL-2およびGMCSF遺伝子の存在はPCRによって決定した。
配列はアプライド・バイオシステムズ(Applied BioSystems)DNAシークエンシ
ングシステムを用いてチェックし、組換え型プラスミドをpYIL2およびpYGMとし
て同定
した。
C.肺炎球菌表面蛋白質A(PA)、プロテインD、およびニューモリジン(Ply)プ
ラスミド構築 肺炎球菌(S.pneumonia)Rx1からのゲノムDNAをPAおよびPly双
方の鋳型として用いた。インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)の免疫グ
ロブリンD-結合蛋白質(PD)のクローニング遺伝子を有するプラスミド(pHIC 3
48)をPCRの鋳型として用いて、末端での都合のよい制限部位(SmaIおよびBamHI
)でPD-遺伝子断片を得た。3'プライマーはヒスチジンの6コドンおよび停止コ
ドンを含んでいた。蛋白質のC-末端のヒスチジンテールはNi-NTA樹脂(キアゲン
(Qiagen))を用いる精製に役立つ。PCR産物を、酵母培養において発現および分
泌を提供させる、pYEPFLAG-1発現ベクター(コダック・サイエンティフィック・
イメージング・システム(Kodak Scientific Imaging System))のSma IとBam HI
部位との間でクローニングした。正しいPD-遺伝子コピーを含むプラスミドをp Y
PDと同定した。PAの遺伝子は切断されて888 bpとなり、T細胞活性化のエピトー
プ(アラバマ大学のラリー・マクダニエル(Larry McDaniel)博士から入手)と
共に、そのB細胞抗原性エピトープを保持しているPAのその部分をコードする。P
CR断片はSmaI制限部位、融合蛋白質の成分間のリンカーとして3個のグリシンコ
ドン、PA配列(Ply配列)、6個のヒスチジンコドン(蛋白質精製に用いられる
ヒスチジン6個の配列)、停止コドンおよび3'末端でのBamHI制限部位を含む。P
CR産物をSmaIとBamHI部位との間のYEpFlag1にクローニングした。形質転換後、
クローンをアンピシリン耐性によって選択した。PAまたはPly遺伝子の存在はPCR
によって検出した。プラスミドをpYPAおよびPlyと命名し、クローニングした配
列の精度は、アプライド・バイオシステムズ・モデル373A DNAシークエンシング
システムでの配列分析によって確認した。
D.融合蛋白質プラスミドの構築 PAおよびPLYに対する配列を含むSmaI/BamHI
断片を、それぞれのプラスミドから切り出し、SmalおよびBamHIで消化したpYIL2
またはpYGMのいずれかとライゲーションした。新しい融合蛋白質発現プラスミド
をシークエンシングして、pIL2PA(IL2+PA)、pIL2Ply(IL2+Ply)、pGMPA(G
MCSF+PA)、pGMPly(GMCSF+Ply)と命名した。
E.Pan DRエピトープペプチド(PDREP)-MHCクラスII制限T細胞に対する「万能
」
エピトープに対する1本鎖配列のクローニング アレキサンダーら(Alexande r
)、Immunity,1,751〜761(1994)の記事に記述のように、PDREPの一つは構
造aKFVAAWTLKAAaを有する。本発明者らの構築物では、融合蛋白質の一部を形成
するこのPDREPは、同じ構造を有するが、末端のL-アラニン残基がD-アラニンに
置換している。
PDREPの配列を含むDNAの断片を作製するために、2つの相補的合成オリゴヌク
レオチドの混合物を90℃に加熱し、徐々に冷却した。必要であれば、オリゴヌク
レオチドの5'末端をアニーリングの前にリン酸化した。
アガロースゲル電気泳動により、二本鎖断片(〜60 b.p.)の存在が示された
。センス鎖は53bでアンチセンス鎖は57bである。5'末端で、断片はKpnl制限部位
に対応する粘着末端、クローニング時に排除されたαリーダーペプチドコドンの
復元のための配列、PDREPおよびブラント3'末端に対する39 b.p.を有した。この
断片は、KpnlおよびSmalで消化したPYPAとライゲーションした。アンピシリン耐
性クローンからのDNAをPCRによって分析してシークエンシングする。
3重のPDREP配列DNA断片を作製するため、78塩基の二本鎖配列PDREP断片をそ
れぞれの合成オリゴヌクレオチドのアニーリングによって生成した。ライゲーシ
ョンのいくつかの段階の後、本発明者らは、KpnlとBamHI部位との間、完全な大
きさのαリーダーペプチド配列、PDREPに対する3個の39塩基対配列、およびPA
切断遺伝子を含む構築物を得た。
F.酵母の形質転換 BJ3505のトリプトフアン(-)酵母のスターター培養を、YP
D培地25 mlの凍結ストックから30℃で一晩培養した。一晩の培養液から新鮮なYP
D培地100 mlを接種し、280 nmでのO.D.が.3〜.5となるまで一晩インキュベート
した。次に、酵母および融合蛋白質プラスミドを、刊行されているプロトコルに
従って電気穿孔用に調製した。電気穿孔は、1.5KeV、200オーム、25 uFに設定し
たバイオラッド(BioRad)遺伝子パルサーを用いて実施した。電気穿孔した酵母を
選択培地プレート上に播種すると、3〜5日で形質転換コロニーが出現した。
G.融合蛋白質発現酵母の単離 形質転換したコロニーを発現プレート上で増
殖させることによって、融合蛋白質分泌クローンを選択した。発現プレートは、
発現培地寒天プレートの上部に、ニトロセルロースおよび次に酢酸セルロースフ
ィ
ルターを載せることによって調製した。コロニーをプレート上で3〜5日増殖さ
せた後、ニトロセルロースを除去して、イムノブロットを行った。膜を1×TBS
ツィーン20(TBS20)で2時間洗浄/ブロックし、各抗蛋白質抗体と共に1時間
インキュベートした。膜を1×TBS20で1時間洗浄して、その後ウサギ抗マウスI
gG抗体中で1時間インキュベートし、次に1×TBS20でさらに1時間洗浄した。
膜をアルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ウサギ1g中で1時間インキュベートし
、TBS20で1時間洗浄してBCIPで展開した。蛋白質分泌が陽性のコロニーを選択
して、一晩インキュベートした後60%グリセロール中で凍結した拡大用培地の25
mlを接種した。
H.バッチ融合蛋白質産生 形質転換酵母のスターター培養25 mlを凍結ストッ
クから調製した。スターター培養からの10 mlを拡大用培地の1 Lに加え、30℃で
240回転/分で振とうさせながらインキュベートした。培養液を接種3日後に回
収し、上清を2000回転/分で遠心することによって回収し濾過滅菌した。次に培
地を5倍濃縮し、アミクロン攪拌セルを用いて2×PBSの10倍量で透析した。
I.精製 濃縮培地をもとの培養容積1L当たり1 mlのNi-NTA樹脂(キアゲン(Q
iagen))と共に2時間、回転シェーカー上でインキュベートすることによって、
ヒスチジンの6残基を含む融合蛋白質を精製した。培地およびNi-NTAを小さい10
cmのカラムに加えて、Ni-NTAを1×PBS1 Lで洗浄した。蛋白質は2.5 M酢酸ナト
リウム、pH 4.5を用いて溶出した。
分画を回収し、280 nmでのO.D.を測定して、相対的蛋白質濃度を決定した;O.
D.が0.1以上の分画をプールして1×PBS pH 7.4に対して透析した。もとの培地
からの培地試料、濃縮培地、および精製蛋白質を、SDS変性ゲル上で電気泳動さ
せ、クーマシーブルーで染色するか、イムノブロットを行った。イムノブロット
用のゲルをファルマシア・ノバブロットシステム(Pharmasia's NovaBlot)を用
いてニトロセルロース上に移し、上記のようにイムノブロットを行った。蛋白質
同定用の対照は、融合蛋白質を有しないpYEPプラスミドを有する酵母からの培地
、ならびにIL-2およびPSP-Aに対する陽性対照であった。クーマシーブルーで染
色したゲル上の蛋白質バンドを分子量マーカーと比較して、融合蛋白質の大きさ
を推定した。ヒスチジンタグを有しない組換え蛋白質は、5100HRカラム上でのイ
オン交
換によって単離した。純度はSDS PAGEおよび融合蛋白質の各成分のイムノブロッ
トによりアッセイした。試料はまた、ベックマン・ウルトラスフェリゲル(Beck
man Ultraspherigel)2000ゲル濾過カラム上で分析的HPLCによって調べてもよい
。最終産物のサイトカイン活性を調べた。
J.蛋白質またはサイトカイン蛋白質の多糖類への結合
Pn14(スミスクライン(SmithKlin)またはATCC)は、1-シアノ-4-ジメチルアミ
ノピリジニウム・テトラフルオロボレート(CDAP)を用いて、上記のようにアミ
ンで誘導する。簡潔に述べると、CDAP(100 mg/mlアセトニトリル溶液)の30 μ
lを加え、30秒後に0.2 Mトリメチルアミン(TEA)30 μlを加えることによって
、Pn14 1ml(10 mg/ml水溶液)を活性化させた。2分の時点で、0.5Mヘキサン
ジアミンの0.75 M HRPES、pH 7.5溶液0.5 mlを加えた。1.5時間後、産物をP6カ
ートリッジ(バイオラッド(BioRad)で脱塩し、生理食塩液で平衡にして限外濾過
によって濃縮し、再度脱塩した。アミン含量は、ヴィダルら(Vidal)、J.Imm.M
ethods,1986,86,155の方法によって、および多糖類はモンシニーら(Monsigny
)、Anal.Chem.1988,175,525の方法によってアッセイした。
蛋白質は0.15 M HEPES、pH7.5中で5〜20 mg/mlにして、0.1 MストックのDMF
溶液から20倍モル過剰のN-サクシニミジルS-アセチルチオアセテート(SATA、プ
ロケム(ProChem)、ロックフォード、IL)でチオール化した。室温にて暗所で2
時間インキュベートした後、P6カートリッジ(バイオラッド)を用いてサンプル
を脱塩して、10 mM NaAc、0.1 M NaCl、2 mM EDTA、pH5で平衡にし、セントリ
コン30(Centricon 30)装置(アミコン(Amicon))を用いて10〜20mg/mlに濃縮し
た。
NH2-Pn14を、Pn141mg当たり0.1 M Nヒドロキシサクシニミジルヨードアセテ
ート(SIA、プロケム、ロックフォード、IL)10 μlでヨードアセチル化し、2
時間後に脱塩して上記のように濃縮した。
チオール化蛋白質およびヨードアセチル化Psを合わせて、0.5 Mヒドロキシル
アミンの0.75 M HEPES溶液 pH7.5の1/9容量を加えることによって反応を開始さ
せた。一晩の反応の後、溶液をメルカプトエタノール中で1時間0.2 mMにするこ
とによって、反応を消失させ、その後10 mMヨードアセトアミドで10分インキュ
ベー
トした。結合物をS400HRゲル濾過カラムに通し、PBSで平衡にした。高分子量材
料をプールして、ミレックス(Millex)GVフィルター(ミリポア(Millipore))を
通過させることによって濾過滅菌した。結合物を、蛋白質についてはバイオラッ
ド蛋白質アッセイを用いてアッセイし、多糖類については上記のモンシニーら(
Monsigny)の方法によって、上述のようにアッセイした。
K.「万能」T細胞エピトープの多糖類への結合
N末端システインを含む万能T細胞エピトープペプチドをDTTで還元し、G10カラ
ム上で脱塩し、10 mM酢酸ナトリウム、pH 5で平衡にし、HEPES緩衝液、pH 7.5
中でヨードアセチル化多糖類と反応させた。または、1段階プロセスを用いても
よい。ペプチドをN末端ヒドラジドで合成し、CDAP活性化多糖類とpH5で直接反
応させた。いずれの方法によっても、一晩の反応後、結合物を生理食塩液で透析
して、濾過滅菌してもよい。ペプチドはその絶対スペクトルから定量し、多糖類
はモンシニーら(Monsigny)の方法によってアッセイした。
L.抗蛋白質および抗多糖類抗体反応の増強の測定
マウスに対し、蛋白質、蛋白質-サイトカインまたは蛋白質-サイトカイン-多
糖類の0.01〜10 μgを皮下注射し、抗蛋白質および抗多糖類反応を14、28および
52日後に測定した。抗体反応はELISAによって決定した。得られた増強された抗
蛋白質および抗多糖類反応を表IVに示す。
表 IV
PspA-IL2-Pn14ワクチン構築物による
抗蛋白質および抗多糖類反応増強の誘導
M.万能T細胞エピトープおよび結合型肺炎球菌多糖類タイプ14で操作したワクチ
ン構築物に反応したインビトロT細胞増殖の測定
排出リンパ節からのT細胞を、対照または実験的ワクチンを接種したマウスか
ら精製した。細胞は2.5×104〜2×105個/ウェルで、存在する細胞源としてマ
イトマイシンC処理脾細胞5×104個と共に培養した。結果は表Vに示す。
表 V
万能T細胞エピトープ(TCE)で操作したワクチン構築物に
反応したインビトロT細胞増殖マウスを万能T細胞エピトープ(TCE)、プロテインD-TCE、またはプロテインD-T
CE-肺炎球菌多糖類タイプ14のCFA溶液で免疫した。10日後、排出リンパ節を分離
して、様々な刺激と共に培養した。チミジン取り込みは4日後に測定した。T細
胞増殖は、PD-TCE-Pn14で免疫した群では幾分低く、これはおそらく、多くの重
要なエピトープに影響を及ぼしうるPD-TCEと多糖類との化学結合の結果であると
考えられる。
本発明を十分に記述したため、本明細書に記述の本発明の範囲から逸脱するこ
となく、多くの変更および修正を加えることができることは当業者には明らかで
あると思われる。添付の請求の範囲は、制限を加えるものではない。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C07K 14/535 C07K 14/535
14/54 14/54
17/06 17/06
19/00 19/00
C12N 15/09 C12N 15/00 A
【要約の続き】