JP2000506518A - 免疫原性分子および、アジュバントとして顆粒球―マクロファージコロニー刺激因子を含有する組成物 - Google Patents

免疫原性分子および、アジュバントとして顆粒球―マクロファージコロニー刺激因子を含有する組成物

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クヌート,アレクサンダー
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Abstract

(57)【要約】 顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(“GM−CSF”)が、対象に投与するとアジュバントとして作用することが見いだされた。GM−CSFと免疫原性成分との組成物、およびこれら組成物におけるGM−CSFのみの利用法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 免疫原性分子および、アジュバントとして顆粒球−マクロファージコロニー刺激 因子を含有する組成物発明の分野 本発明は特に、腫瘍拒絶抗原前駆体(“TRAP”)および腫瘍拒絶抗原(“T RA”)と称されるクラスの分子に関する免疫応答の発生において有用な組成物 に関する。免疫応答は、とりわけ、TRAPおよびTRAに対する抗体の産生、 および、TRAと主要組織適合分子(“MHC”)とからなる複合体に対して特 異的なT細胞の生成を含む。そのようなT細胞および抗体は、例えば、マウス、 ラット、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、又はその他の非−ヒト動物において産生するこ とができ、そして、腫瘍の存在を同定するための診断方法において利用できる。 本組成物は、メラノーマ、または形成異常母斑(dysplastic nevi)、などのガン 性の病気を患う患者、あるいは、細胞のトランスフォーメーションが起こった患 者に投与し、腫瘍、ガン細胞、およびトランスフォーム細胞に対する免疫応答を 引き起こすことによって、治療上にも利用することができる。先行技術の背景 宿主(ホスト)生物体によるガン細胞の認識、または認識の欠如に関する研究 は多くの異なる方向において行われてきた。この分野の理解は、基礎的な免疫学 および腫瘍学両方についての相当の理解を有することを前提とする。 マウス腫瘍における初期の研究では、腫瘍(細胞)が同系の動物へと移植され た際、それらが(移植された)腫瘍細胞の拒絶を引き起こす分子を示すことが明 らかにされた。これら分子は受容動物におけるT−細胞によって“認識”され、 細胞溶解性T−細胞応答を引き起こし、移植された細胞が溶解される。この証拠 は、最初、メチルコラントレンなどの、化学発ガン剤によってイン・ヴィトロで 誘導された腫瘍について得られた。腫瘍によって発現され、T−細胞応答を誘発 する抗原はそれぞれの腫瘍によって異なることが判明した。化学発ガン剤による 腫瘍の誘発、および、細胞表面抗原における相違に関する、一般的な教示につい てはプレーン(Prehn)他,J.Natl.Canc.Inst.18:769-778(1957);クライン(Klein )他,Cancer Res.20: 1561-1572(1960);グロス(Gross),Cancer Res.3:326-333(1943),バソムブリオ (Basombrio),Cancer Res.30:2458-2462(1970)を参照。このクラスの抗原は“ 腫瘍特異移植抗原”または“TSTA”として知られるようになった。化学発ガ ン剤によって誘発される場合のそのような抗原の提示の観察に続いて、紫外線照 射によってイン・ヴィトロで誘発される腫瘍の場合にも同様の結果が得られた。 クリプケ(Kripke),J.Natl.Canc.Inst.53:333-1336(1974)を参照。 T−細胞を介する免疫応答が前述のタイプの腫瘍について観察されるのに対し 、自然発症の腫瘍は一般的に非−免疫原性であると考えられていた。従ってそれ らはその腫瘍を保有する患者において、腫瘍に対する応答を引き起こす抗原を提 示しないと考えられていた。ヒューイット(Hewitt)他,Brit.J.Cancer33:241-259 (1976)を参照。 tum-抗原のファミリーを提示する細胞ラインは、その開示内容を参考文献 として本出願に合体させる、ブーン(Boon)他,J.Exp.Med.152:1184-1193(1980) に記載されているように、マウス腫瘍細胞または細胞ラインを突然変異誘発する ことによって得た免疫原性の変異体(variant)である。詳細に説明すると、tu m-抗原は、同系のマウスにおいて免疫応答を発生させず、そして腫瘍の形成を 導く腫瘍細胞(即ち“tum+”細胞)を突然変異させることによって得られる ものである。それらのtum+細胞を突然変異誘発すると、それらは同系のマウ スによって拒絶されるようになり、腫瘍を形成しなくなる(従って“tum-”) 。その開示内容を参考文献として本出願に合体させる、ブーン(Boon)他,Proc.Na tl.Acad.Sci.USA74:272(1997)を参照。多くのタイプの腫瘍がこの現象を示す ことが明らかにされている。例えば、フロスト(Frost)他,Cancer Res.43:125( 1983)を参照。 tum-変異体は、それらが免疫拒絶プロセスを誘発するために進行性の腫瘍 を形成することができないと考えられる。この仮説を支持する証拠は“tum- ”変異体、即ち通常は腫瘍を形成しない変異体が、亜致死線量照射により免疫系 が抑制されたマウスにおいては腫瘍を形成することができるということ、ファン ・ペル(Van Pel)他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA76:5282-5285(1979);および、肥満 細胞腫P815の腹腔内注射されたtum-細胞が12−15日間は指数関数的 に増え、その後、リンパ球とマクロファージの流入の間においてわずか数日の間 に排除される(ウィッ テンホーヴ(Uyttenhove)他,J.Exp.Med.152:1175-1183(1980))という観察を含 むものである。さらなる証拠は、マウスは同じtum-変異体への後の攻撃を、 後の細胞の攻撃とともに、免疫抑制量の照射を行った場合においても抑えること ができるような免疫記憶を獲得するという観察を含む。(ブーン(Boon)他,Pro c.Natl.Acad.Sci.USA 74:272-275(1977);ファン・ペル(Van mPel)他,前出;ウ ィッテンホーヴ(Uyttenhove)他,前出)。それより後の研究によって、自然発症 の腫瘍が突然変異誘発をかけられると、応答を発生させる免疫原性の変異体が生 じるということが判った。実際、それらの変異体はもとの腫瘍に対して免疫防御 応答を誘発することができた。ファン・ペル(Van Pel)他,J.Exp.Med.157:1992- 2001(1983)を参照。従って、同系の拒絶応答に関して標的である腫瘍において、 いわゆる“腫瘍拒絶抗原”の提示を誘発することができることが示された。外来 の遺伝子を自然発症の腫瘍にトランスフェクトした場合にも類似の結果が得られ た。この事についてはフィアソン(Fearson)他,Cancer Res.48:2975-1980(1988 )を参照。 あるクラスの抗原が腫瘍細胞の表面上に提示され、細胞傷害性T細胞によって 認識され、溶解を引き起こすということが認識されるようになった。このクラス の抗原を以後、“腫瘍拒絶抗原”または“TRA”と称することにする。TRA は抗体応答を誘発する可能性と誘発しない可能性がある。これらの抗原に関して なされてきた研究の範囲は、イン・ヴィトロでの細胞溶解性T細胞キャラクタラ イゼーション研究、即ち、特定の細胞溶解性T細胞(以後、“CTL”と称する )サブセットによる抗原の同定の研究によるものである。前記サブセットは提示 された腫瘍拒絶抗原を認識すると増殖し、抗原を提示する細胞は溶解される。キ ャラクタライゼーション研究により、抗原を発現する細胞を特異的に溶解するC TLクローンが同定されてきた。この研究の例は、レヴィ(Levy)他,Adv Cance r Res.24:1-59(1977);ブーン(Boon)他,J.Exp.Med.152:1184-1193(1980);ブル ンナー(Brunner)他,J.Immunol.124:1627-1634(1980);マリャンスキー(Maryan ski)他,Eur.J.Imunol.124:1627-1634(1980);マリャンスキー(Maryanski)他,E ur.J.Imunol.12:406-412(1982);パッラディーノ(Palladino)他,Canc.Res.47:5 074-5079(1987)において見ることができる。このタイプの分析は、主要組織適合 抗原、男性特異H−Y抗原、およびここに記載した“tum−”抗原と称される クラスの抗原を含む、 CTLによって認識される他のタイプの抗原について必要とされる。 前述の対象の腫瘍の例はP815として知られているものである。参考文献と して本出願にその開示内容を合体させる、デ・プレーン(DePlaen)他,Proc.Natl. Acad.Sci.USA 85:2274-2278(1988);スジコーラ(Szikora)他,EMBO J 9:1041-10 50(1990)およびシビル(Sibille)他,J.Exp.Med.172:35-45(1990)を参照。P8 15腫瘍は、メチルコラントレンでDBA/2マウスにおいて誘発され、イン・ ヴィトロの腫瘍および細胞ラインの両方として培養された肥満細胞腫である。こ のP815ラインから突然変異誘発によって、P91A(デ・プレーン(DePlaen ),前出)、35B(スジコーラ(Szikora),前出)およびP198(シビル(Si bille),前出)と称される変異体を含む多くのtum-変異体が生じている。腫 瘍拒絶抗原と比較して、−そしてこれが鍵となる差違である−、tum-抗原は 腫瘍細胞が突然変異誘発された後にのみ存在する。腫瘍拒絶抗原は突然変異誘発 を受けないで、所与の腫瘍の細胞上に存在する。したがって、前記文献を参照す ると“P1”と称されるラインなどの細胞ラインはtum+であるということが でき、誘発されてtum-変異体を生じさせることができる。tum-表現型は親 細胞ラインの表現型と異なるため、tum-細胞ラインのDNAにおいて、それ らのtum+親ラインと比べて差異があることが期待され、そしてこの差異を利 用してtum-細胞において問題となる遺伝子の位置決定を行うことができる。 その結果、P91A、35BおよびP198などのtum-変異体の遺伝子が、 当該遺伝子のコード領域における点突然変異によって、それらの正常な対立遺伝 子と異なっているということが判った。スジコーラ(Szikora)およびシビル(Si bille)、前出、そしてラークウィン(Lurquin)他,Cell 58:293.303(1989)を 参照。これは本発明のTRAに関するケースではないということが判明した。こ れらの論文はまた、tum-抗原に由来するペプチドはCTLによる認識のため にLd分子によって提示されることをも示すものであった。P91AはLdによっ て提示され、P35はDdによって、そしてP198はKdによって提示される。 参考文献としてその両方の内容を本出願に合体させる、先行する特許出願PC T/US92/04354および米国特許第5,342,774号は、とりわけ 、プロseシングされて腫瘍拒絶抗原、即ち“TRA”となる、種々のTRAP を コードする遺伝子および他の核酸分子に関する発明を記載している。前記PCT 対象出願の一部である配列番号1−26は、種々のTRAPをコードする遺伝子 の配列、および以後、MZ2−Eと称されるMAGE−1 TRAP由来のTR A(配列番号26)を提供している。 これら遺伝子は単離精製された腫瘍拒絶抗原前駆体およびTRA自体について のソースとして有用である。これらはいずれも、抗原が“マーカー”となるガン の治療のための薬剤、および、以下に記載するように、腫瘍学への種々の診断お よび監視(サーベイランス)アプローチとして利用できる可能性がある。例えば 、tum-細胞は、異なるtum-抗原およびtum+細胞を提示する細胞を溶解 するCTLを産生するのに利用できることが知られている。例えば、参考文献と してその開示内容を本出願に合体させる、マリャンスキー(Maryanski)他,Eur.J. Immunol 12:401(1982);およびファン・デン・エインデ(Van den Eynde)他,Mo dern Trends in Leukemia IX(1990年6月)を参照。腫瘍拒絶抗原前駆体はその 遺伝子をトランスフェクトした細胞において発現され、そして問題の腫瘍に対す る免疫応答を生じさせるのに利用できる。 ヒト新生物(腫瘍)に相当するケースにおいて、自己混合リンパ球−腫瘍細胞 培養(以後“MLTC”と称する)は、しばしば自己腫瘍細胞を溶解するがナチ ュラルキラー標的(ターゲット)、自己EBV−トランスフォームB細胞、そし て自己線維芽細胞は溶解しない反応リンパ球を産生する、ということが観察され てきた(アニチーニ(Anichini)他,Immunol.Today 8:385-389(1987)を参照)。こ の応答は、特にメラノーマに関してよく研究されており、MLTCが末梢血液細 胞または腫瘍浸潤性(infiltrating)リンパ球のいずれかを用いて行われてきた。 この分野における文献の例には、クヌート(Knuth)他,Proc,Natl.Acad.Sci.US A 86:2804-2802(1984);ムカージ(Mukherji)他,J.Exp.Med.158:240(1983);ヘリ ン(Herin)他,Int.J.Canc.39:390-396(1987);トパリアン(Topalian)他,J.Chn .Oncol 6:839-853(1988)が含まれる。安定な細胞溶解性T細胞クローンはMLT C反応細胞に由来するものであり、それらのクローンは腫瘍細胞に対して特異的 である。ムカージ(Mukherii)他、前出、ヘリン(Herin)他、前出、クヌート (Knuth)他、前出を参照。それら自己CTLによって腫瘍細胞上で認識される 抗原は培養のアー ティファクト(人為的結果)を反映しているとは思えない。というのは、それら はィン・ヴィヴォで腫瘍細胞上にみられるからである。トパリアン(Topahan) 他、前出;デジョヴァンニ(Degiovanni)他,Eur.J.Immunol.20:1865-1868(1990) 。これらの知見は、特異的なマウス腫瘍拒絶抗原前駆体に対する遺伝子を単離す るためのここに用いられた技術と連関して、ヒト腫瘍上に提示されるTRAの腫 瘍拒絶抗原前駆体をコードする核酸配列の単離を導くものである。現在、それに 限定されるものではないが、特定の腫瘍が非常に特徴的なものを含む腫瘍拒絶抗 原前駆体をコードする核酸配列を単離することが可能であり、以下にその効果が 記載される。 別の研究では、主要組織適合遺伝子複合体、即ち“MHC”として知られるク ラスの分子による、TRAの提示に注目している。これらの分子のヒトの形態は “ヒト白血球抗原”即ち“HLA”である。この研究の結果、この分野に関する いくらかの予期できなかった発見がなされた。具体的には、参考文献としてその 開示内容を本出願に合体させる米国特許第5,405,940号および5,46 2,871号には、HLA-A1分子によって提示されるノナペプチドが教示さ れている。この参考文献は特定のHLA分子に対する特定のペプチドの特異性が 判明すれば、特定のペプチドが1つのHLA分子に結合するであろうと推測され る、ということを教示している。これらのペプチドはまた、トラヴァーサリ(Tr aversari)他,J.Exp.Med.176:1453-1457(1992)に示されている。これは重要なこ とである。なぜなら、異なる個体は異なるHLA表現型を有するからである。そ のため、特定のペプチドまたは特定のモチーフ、そしてそれらのメンバーである ペプチドが、ある特定のHLA分子に対するパートナーであると同定されたこと が、診断上および治療上の効果を有しているとしても、その効果はその特定のH LA表現型を有する個体に対してしか適切ではないのである。細胞異常は一つの 特定のHLA表現型に限られるものではないため、また、標的化療法(targeted therapy)には、問題の異常細胞の表現型に関する相当な知識が必要とされるため 、この分野に於いて更なる研究を行う必要がある。 1993年1月22日出願で参考文献として本出願にその内容を合体させる米 国特許出願第008,446号には、MAGE−1発現産物がプロセシングされ て第2のTRAになるという事実が開示されている。この第2のTRAはHLA − Cw★1601分子によって提示される。この開示は1つの所与のTRAPから 複数のTRAが生じることができるということを示している。 参考文献として本出願にその内容を合体させる米国特許第5,487,974 号には、チロシナーゼが腫瘍拒絶抗原前駆体であるとして記載されている。これ はKwonの米国特許第4,898,814により公知の分子である。この参考文献 はいくらかの正常細胞(例えば、メラノサイト)によって作られる分子が腫瘍細 胞中でプロセシングされてHLA−A2分子によって提示される腫瘍拒絶抗原を 生じるということを開示している。これによって提示されるペプチドが、同じく 参考文献として本出願にその内容が合体される、1993年4月28日出願の米 国特許出願第54,714号に記載されている。HLA分子によって提示される 別のチロシナーゼ由来のペプチドが、参考文献として本出願にその内容が合体さ れる、1994年2月28日および1994年4月26日出願の、第203,0 54号および第233,305号に示されている。 TRAである他のペプチドが更に別の特許出願に記載されている。参考文献と して本出願にその内容が合体される、1994年2月14日出願の米国特許出願 第195,186号には、MAGE−1由来であってHLA−Cw★1601と 複合体を形成する3つのペプチドが示されている。1994年2月15日出願の 第196,630号には関連のない腫瘍拒絶抗原である、いわゆる、“BAGE ”遺伝子、及びそれに由来するペプチドが開示されている。これはプロセシング されるとHLA−Cw★1601に提示される。Melan−Aと称される腫瘍 拒絶抗原前駆体に対するさらなるコード配列が、参考文献として本出願にその内 容が合体される、 1993年3月18日出願の第32,978号において示されている。この遺伝 子に対するより広範囲の配列が、参考文献として本出願にその内容が合体される 、 1994年7月8日出願の第272,351号に示されている。参考文献として 本出願にその内容が合体される、1993年7月22日出願の第96,039号 には、腫瘍拒絶抗原前駆体GAGEの配列が示されている。 MHC分子によって提示された時に細胞溶解性T細胞による溶解を引き起こす 一連のペプチドが第217,186号、第08/217,188号、および第2 17,187号に示されている。これらはすべて1994年3月24日出願で、 参考文献 として本出願にその内容が合体される。これら出願のうち、第1のものはHLA −A2によって提示されるMAGE−3由来のペプチドを開示している。5つの ペプチドが問題となっている。第2の出願は、HLA−A2.1分子と複合体を 形成すると考えられている、MAGE−2由来の11の配列を提供している。こ れらの出願のうち最後のものは、HLA−A2と複合体を形成する2つの別のM AGE−3由来のペプチドを開示している。1994年4月1日出願で、参考文 献として本出願にその内容が合体される第190,411号は、それらを投与し た宿主動物中で抗体の産生を引き起こすという点で、免疫原性である、MAGE −1由来の3つのペプチドを示している。1994年6月3日出願で、参考文献 として本出願にその内容が合体される第253,503号は、さらなる腫瘍拒絶 抗原前駆体遺伝子とそれに由来し、HLA−B44分子によって提示されるペプ チドとを教示している。さらに、参考文献として本出願にその内容が合体される 、クーリ(Couhe),イケダ(Ikeda)およびブーン‐ファラー(Boon-Falleur) の出願第316,231号には、DAGEとして知られる腫瘍拒絶抗原前駆体を コードする配列が示されている。DAGEは腫瘍細胞上にほとんど普遍的にみら れ、正常細胞の発現に関しては精巣細胞にのみみられる。このことによってそれ は特にガンの診断およびここに開示される適用において有用である。以上にリス トしたものは、TRAPおよびTRAの文献を網羅するものとは思われないが、 その多様性とそれらの物質がT細胞の増殖を引き起こすだけでなく、抗体の産生 も刺激するという事実を示すために提供されるものである。抗体産生細胞がハイ ブリドーマを生成するためのソースとして利用可能であり、そしてハイブリドー マがモノクローナル抗体を産生するということはよく知られている。従って、こ こで“抗体”という用語を使用する場合、それはポリクローナル抗体とモノクロ ーナル抗体の両方を包含する。 すべて参考文献として本出願にその内容が合体される、米国特許出願第142 ,368号、第190,411号、そして第315,961号は、ワクチン、免 疫原性組成物(immunogenic composition)などを生成するために、TRAPまた はTRAと、アジュバントとしての様々な物質とを組み合わせることの有用性を 論じている。アジュバントとは、広義では、免疫応答を促進する物質である。し ばしば、アジュバントとして、フロイント完全アジュバント、または百日咳死菌 生物体が選 択され、ミョウバン(alum)沈降抗原(precipitated antigen)と組み合わせて用い られる。アジュバントについての一般的な議論は、参考文献として本出願にその 内容が合体される、ゴディング(Goding),Monoclonal Antibodies:Principles & Practice(第2版、1986年)61−63頁に提供されている。ゴディン グ(Goding) は、しかし、問題となる抗原が低分子量のものであるか、または、 免疫原性が不十分である場合、免疫原性担体に結合させることが推奨される、と 指摘している。ゴディング(Goding)によると、そのような分子は一般的に分子 量約1000以下である。ゴディング(Goding)、283頁によって示唆されてい る担体には、キーホールリンペットヘモシアニン、ウシ血清アルブミン、卵白ア ルブミン(オボアルブミン)そしてトリ(fowl)免疫グロブリンがある。 しかし、そのような担体について問題となるのは、それらがしばしばそれ自体 でも免疫原性となるということである。従って、免疫応答は特異的ではないもの となり、その一部、大部分、または全部が免疫原そのものよりむしろ担体分子に 対して向けられる可能性がある。 アジュバントに関する当該技術における開発の例は、参考文献として本出願に その開示内容が合体される、ケンシル(Kensil)他の米国特許第5,057,5 40号である。ケンシル(Kensil)他は、免疫原性組成物においてアジュバント として有用な種々のサポニン抽出物の調製法を開示している。天然物であるので 、この抽出物は完全には規定されていない。ケンシル(Kensil)は、QA−7、 QA−19、およびQA−21(QS−21とも称される)を含む種々の抽出物 をどのように調製するのかについて完全に実施可能な開示を提供している。ウシ 血清アルブミン(“BSA”)を種々の抽出物と組み合わせる実験(例8および 9)、そしてネコ白血病ウイルス組み換え糖タンパク質“gp7OR△がテスト され、続いて水酸化アルミニウム(ミョウバン)に吸収させる実験が示されている 。しかしテストされたこれら2つの免疫原は、それら独自で免疫原性であると予 想される(gp7OR△は70kdの分子量を有し、血清アルブミンはほぼ同じ 分子量を有する)。それ自体では不十分であるか、または非−免疫原性であると 考えられ、従って、応答を誘発するにはミョウバン(alum)吸収の使用か、もしく はハプテンの担体の使用が必要であろうと予想されるような分子については、全 く実験が行われなかった。 参考文献として本出願にその内容が合体される、防衛公開7697275に対 応する、PCT出願WO9219758において、“MTP−MF59”と称さ れるアジュバントが開示されている。このアジュバントは熱帯熱マラリア原虫タ ンパク質、“Pfs−25−B”と組み合わせて用いられている。この組み合わ せは伝達遮断ワクチン(transmission blocking vaccine)として記載されている 。熱帯熱マラリア原虫タンパク質はそれ自体で免疫原性となるのに十分に大きい ものである。従って、改良したアジュバントが、非−免疫原性と推定されるタン パク質およびペプチドと組み合わせて、免疫学的に有効な組成物を生成するのに 利用可能である、ということを示す当該技術は無い。このことは特に、先に概要 を述べたようなTRAPおよびTRA分子にあてはまる。 顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(以下、“GM−CSF”と称する )は、SDS−PAGEで約18−32kDA、またはゲル濾過によると30k DAの分子量を有する、公知のサイトカインである。それは127アミノ酸を含 む。この分子についての他の特性は、例えば、参考文献として本出願にその開示 内容が合体される、アッガーワル(Aggarwal)他,Human Cytokines:Handbook Fo r Basic And Chnical Research(Blackwell Scientific Pubhcations,1992)、特 に第14章における、クロシャー(Crosier)他,“Granulocyte-Macrophage Colon y Stimulating Factor”に要約されている。GM−CSFに関する特許文献は膨 大にある。この文献の例は、すべて参考文献として本出願にその内容が合体され る、米国特許第5,437,994号、5,211,974号、5,199,9 42号、5,198,417号、5,178,855号そして5,162,11 1号である。これらの特許は、レシピエントの顆粒球および/またはマクロファ ージの集団の増大が望ましい、もしくは必要であるような、特定の疾病および症 状の治療に関する領域におけるGM−CSFの種々の利用法を開示している。こ れらの参考文献はどれも望ましくないか、または必要ではない。これらの参考文 献には、前述の例によって提示した意味において、GM-CSFのアジュバント としての利用を教示するものはない。今回、GM−CSFが特定の免疫原に対す る免疫応答を改善、増強、または誘発するためのアジュバントとして利用可能で あるような性質を有することが判明した。これが、本発明の主題であり、以下に より詳細に記載される。図面の簡単な説明 図1A、1Bおよび1Cは、それぞれ患者(patient)NW28,NW29およ びNW30におけるペプチド特異的CTLの誘導を示す。好適実施例の詳細説明 例1 この例は後に続く更なる実験のための背景情報として意図されたものである。 これらの実験において、すべての患者はステージIVまたは高リスクステージ IIIのいずれかの悪性メラノーマを患っている。ステージIVメラノーマの場 合には、患者は1年の平均余命(median survival)を有し、長期生存の可能性は 15%のみである。バルチ(Balch)他,Cutaneous Melanoma(ジェイ・ビー・ リッピンコット(J.B.Lippincott),Philadelphia,1992)を参照。高リスクス テージIIIメラノーマの場合には、患者は1−2年の平均余命を有し、長期生 存の可能性は9%である。バルチ(Balch)、前出。このような患者の治療法に対 する新しいアプローチが必要であることは明らかであろう。 患者のプールはいかなる手術からも完全に回復した患者に限定される。さらに 、患者は、治療前の4週間はいかなる化学療法も免疫療法も受けていてはならな い。そして治療前の6週間はニトロソ尿素薬を受けていてはならない。患者らは また、少なくとも3ヶ月は生存が期待される者でなければならず、カルノフスキ ー(Karnofsky)パフォーマンスステイタスが60%またはそれ以上であらなけれ ばならず、実験室結果は以下の通りである。 顆粒球 > 2,500/ul リンパ球 > 700/ul 血小板 > 100,000/ul 血清クレアチニン > 2 mg/dl 血清ビリルビン > 2 mg/dl 患者はHLA−A2発現についての検査の結果が陽性でなければならず、その両 方 の分子の発現がメラノーマに関連しているMelan A遺伝子およびgp10 0についての検査の結果が陽性でなければならない。これらの分子の発現の検査 はPCRまたは抗体アッセイによって、ここには記載しない周知の方法を使用し て行った。患者は18歳以上でなければならず、書面による同意を行う権利のあ る者でなければならない。 臨床診察で重大な心臓疾患(NYHAクラスIIIまたはIV)、抗生物質を 必要とする活動性(active)感染症または出血障害などのいかなる他の重篤の疾病 を示すような患者、抗ヒスタミン薬、非−ステロイド性抗炎症薬、またはコルチ コステロイドを投与されているような患者は、除外された。免疫不全を患う患者 、以前に脾臓摘出、または脾臓に対する放射線療法を受けた患者も除外された。 更に、妊娠、授乳、または出産時期にある患者は除外された(適切な受胎調節( 避妊)法が使用されていない場合)。最後に、中枢神経系の転移疾患が存在する 場合、その患者は除外された。 治療プロトコールの一部として、すべての患者は通院患者として治療され、そ して完全な、視覚検査を含む前処置検診を受けた。白斑について、完全な神経学 上および皮膚科学の状態検査が要求された。 このプロトコールに対して適格であるとされたNW28、NW29、NW30 、NW33、そしてNW37と称される5人の患者が以下のペプチドの注射を受 けた。 Tyr Met Asp Gly Thr Met Ser Gln Val(配列番号1) Glu Ala Ala Gly Ile Gly Ile Leu Thr Val(配列番号2) Tyr Leu Glu Pro Gly Pro Val Thr Ala(配列番号3) Leu Leu Asp Gly Thr Ala Thr Leu Arg Leu(配列番号4) Gly Ile Leu Gly Phe Val Phe Thr Leu(配列番号5) Met Leu Leu Ala Val Leu Tyr Cys Leu(配列番号6) 5人の患者のうち3人(即ち、NW30,33および37)は、前前腕部および 大腿にこれら6つのペプチドそれぞれ100ugの注射を受けた(注射部位はこ のプロトコールにおいてそれぞれの注射についてずらした)。ペプチドは、配列 番号1については0.3mlのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)、または水溶性で ない配列番号2−5についてはジメチルスルホキシドを含有する0.3mlのP BS中に混合 した(combined)100ugのペプチドとして投与した。DMSOに含有されたペ プチド溶液は、配列番号2および5については5%の濃度で、配列番号3および 4については10%の濃度で添加した。 完成したセットのペプチド注射は、以下の表1のスケジュールに従って投与さ れた。注射は互いに10cm以上の距離を隔てて、別々の部位に行った。ペプチ ドは注射中に混合しなかった。 残りの2人の患者(即ち、NW28およびNW29)は、以下の表2に概要を 示すように異なるスケジュールでペプチド投与された。具体的にはこれらの患者 は1週間にわたって、それぞれのペプチド100ugを毎週投与され、その後、 注射を受けない4週間の中断をおいた。このパターンを次に更に3回繰り返し、 患者NW29については8週間のブロック(8week blocks)を、全部で4回行った 。 患者NW28については、6回の4週間のブロック(six 4 weekblocks)を別に すれば、このプロトコールに従った。例2 先に示したように、例1は本発明の核心である諸実験の先行であると考えられ る。 例1のプロトコールの完備に続いて、患者らは皮下に、1日当たり75でのG M−CSFによる全身的な前処理を受けた。注射スケジュールは以下の表1、表 2に示す。 GM-CSFの最初の投与の3日後、患者らは配列番号1−5をそれぞれ10 0ug、および配列番号6のペプチドを100ug皮内注射された。注射は体の 異なる部位においておこなった。遅延型過敏症(DTH)反応を48時間後に測 定した。第8日に第2ラウンドのペプチド免疫化が行われ、そしてその48時間 後にDTH反応を測定した。以下の表3は、DTHアッセイの結果を示す。この 表において“−”は反応がないことを示し、(+)は直径が>4mmの発赤および 硬結を示し、“+”は直径が>8mmの発赤を示す。“++”は中心壊死を示す 。 DTH反応は、ペプチド注射部位における少なくとも4mmの皮膚の発赤およ び触知できる硬結として定義される。DTH反応は注射されたペプチドの、皮膚 に位置する抗原提示細胞上での、MHCクラスI分子(この場合HLA−A2分 子)に 対する結合の結果であると考えられる。それによってCD4+およびCD8+Tリ ンパ球が関与するペプチド特異的細胞反応が起こる。DTH反応は、GM−CS F投与前の患者のプールにおいてもテストした。 5人の患者すべてにおいて、配列番号5に対して、GM−CSF前処理後の方 がGM−CSF前処理無しよりもより激しい反応を示した。これは配列番号6に もあてはまった。配列番号2については、患者のうち1人がGM−CSF前処理 の後の方が前処理の前よりも強いDTH反応を示した。 “新規な”DTH反応も観察された。いくつかのペプチドはGM−CSFの前 処理無しでは、全くまたは観察可能なDTH反応は引き起こさなかったが、GM −CSF前処理後にはそのような反応を示した。配列番号2について、5人の患 者のうち3人がGM−CSF前処理後に反応を示した。配列番号3については、 5人の患者のうち2人がGM−CSFの前処理後にのみ応答を示し、配列番号1 を用いた場合については、5人の患者のうち2人が前処理後に応答を示した。例3 DTH応答が再活性化できるかどうかを判定することも興味深い問題であった 。これをテストするために、先に示したプロトコールに従って、最初のDTH実 験を行った1週間後に、患者の皮内にペプチド注射した。患者のうち3人は配列 番号2のペプチドに対して再活性化(reactivation)を示し、5人のうち1人は配 列番号5に対して再活性化を示した。 この実験において、およびすべての他の実験において、HLA−A1分子に結 合するコントロールペプチドを使用した。患者はHLA−A1陰性であった。D TH反応はいずれの場合にも観察されなかった。例4 次に、本研究の対象の細胞溶解性T細胞応答の性質を研究するために、更なる 実験を行った。 表3に示すペプチドを使用した。前述の患者のうち3人、即ち、NW28、 NW29およびNW30についてテストした。全員が測定可能な転移性の疾病を 有 していた。これらの患者に100ugの各ペプチド(最終容積200ul)を、 疾病のない部位に少なくとも互いに10cm間隔を開けて皮内に注射した。ペプ チドの注射に好ましい部位は、臍周囲の領域、大腿の前部、および前腕の内側部 であった。注射を、週に1度、4回繰り返した。第4回目の免疫化サイクルの間 に、GM−CSFを注射し(皮下に75ug)、注射は毎日行った。GM−CS Fの注射はペプチド免疫化の3日前から始め、注射後2日間続けた。 CTL応答を測定するために、T2細胞のサンプル(1サンプル当たり106 個の細胞)を、まず、空の(empty)MHC分子を安定化することが知られている 、2ugのmAb2.1とともにインキュベートした。ボドマー(Bodmer)他,N ature342:443-446(1989)を参照。次にT2細胞を100μCiのNa(51Cr) O4で標識し、1回洗浄し、1ug/mlのペプチドを追加した無血清培地中に 再懸濁した。細胞を室温で1時間インキュベートした。これら細胞を次に周知の 技術に従ってペプチドでパルスした(pulsed)。 次に反応細胞を添加した。これらは患者から採取した末梢血リンパ球(PBL )であり、取り出した後使用時まで凍結し、そして解凍し、10%ヒト血清、L −アスパラギン(50mg/l)、L−アルギニン(242mg/)そしてL− グルタミン(300Mg/l)を追加したRPMI1640中で洗浄した。これ らPBLを48穴プレートに0.5mlの培地中にて播種した(1x106細胞/ ウェル)。残りのPBLを3000ラドで照射し、β2ミクログロブリン(2.5 ug/ml)、および10ug/mlのペプチドを追加した無血清RPMI1m l中に再懸濁し、そして室温で1時間インキュベートした。刺激細胞(即ち、ペ プチドをパルスしたT2細胞)を再懸濁し、そしてIL−2(25U/ml、最 終容積=1ml/ウェル)とともにMLTCに1x107細胞/ウェルとなるよ うに添加した。7日後、反応細胞を収集し、洗浄し、そして24穴プレートに移 した。ペプチドを1ug/mlで添加した。14日目、反応細胞を細胞傷害性ア ッセイのために収集した。このアッセイをここで説明する。 PBLが反応細胞として作用し、そしてペプチドをパルスしたT2細胞(標的 細胞)にPBLを、エフェクター/標的比90、30、10、3および1で添加 した。NK活性をブロックするために、標識していないK562細胞を反応細胞 に80: 1の比で添加した。コントロールとしてペプチドをパルスしていないT2細胞も 使用した。 51Cr標識された標的(1000細胞/ウェル)および50ulの反応CTL 懸濁液の混合物を、次に円錐状96穴マイクロタイタープレート中で、5%CO2 を含む水飽和雰囲気にて37℃で4時間インキュベートした。プレートを20 00xgで5分間遠心分離し、100ulの上清を取り出し、遊離の(free)放射 能をy−カウンターで測定した。 特異的51Cr放出の百分率を下記式に従って決定した。 最大51Cr放出は標識された標的細胞に100ulのNonided P40 1%(Sigma)を添加することによって得られた。自発的51Cr放 出は、細胞に取り込まれた全カウントの5%から10%の範囲であった。ペプチ ドで標識されていないT2細胞からの51Cr放出量は3%から10%の範囲であ った。ペプチド特異的溶解活性がE:T比90:1において20%を越えた場合 、CTL応答は陽性であるとされた。 結果は表3に示す。3人の患者のうち2人(NW28およびNW29)におい て、合成のメラノーマ関連ペプチド単独の皮内接種でCTLを誘導した。 GM−CSFをアジュバントとして投与した第4サイクルのペプチド免疫化の 間において、CTL反応性の増強がみられた。表3に示すように、3人の患者す べてが1つのペプチドに対して増強したCTL活性を示し、ある患者は別のペプ チドに対して増大した応答を示し、そして別の患者は更に別のペプチドに対して 増強した活性を示した。これらの結果は図1A、1B、および1Cにも示されて いる。 表1 患者NW30.33および37についてのスケジュール 表 1 − 続き表2 患者NW28およびNW29についてのスケジュール 表 2 − 続き表 3 メラノーマ関連ペプチドの皮内接種後のDTH反応 例5 例1−4において述べたすべての患者は研究開始時に、進行中の転移性メラノ ーマを有していた。患者NW28は左鎖骨上の部分に、皮膚に浸潤している切除 不可能なリンパ節転移を有していた。ペプチドのみでの免疫化を用いた場合、臨 床検査と超音波検査により疾病の安定化が記録された。ペプチドにGM−CSF を加えての免疫化の8週間後には、皮膚の腫瘍浸潤は消失し、測定可能な腫瘤( 腫瘍塊)の部分的な退縮が記録された。患者NW29は多くの大動脈傍(paraaor tal)および腸骨傍(parailiacal)のリンパ節転移と、1つの肝転移を有していた 。ペプチドのみでのワクチン注射を用いた場合、2つの大動脈傍病巣のわずかな 退縮がCTスキャンによって記録されたが、その他の病巣は安定なままであった 。ペプチドにGM−CSFを加えての免疫化の8週間後には、肝転移は完全に退 縮(消失)した。2つの大動脈傍リンパ節と1つの腸骨傍リンパ節は、CTスキ ャンにより評価したところ、部分的な退縮を示した。新しい転移病巣は検出され なかった。患者NW30はその左大腿において増大している局所再発を有してい たが、それは以前に1月間隔で3回切除されていた。最初の免疫化の時点でこの 腫瘍は直径1.2cmであった。ペプチドのみでの免疫化の開始から8週間後に は、さらなる腫瘍の成長は検出されなかった。ペプチドにGM−CSFを加えて のワクチン注射の8週間後には、腫瘤は完全に退縮した。新しい転移病巣は検出 されなかった。 前述の諸例は、GM−CSFが、それが、理論的には細胞表面上のMHC分子 に結合するはずである分子に対するT細胞応答を増強または誘発し、それによっ てそれら分子からなる複合体に対する細胞溶解性T細胞の増殖を引き起こすとい う点において、アジュバントとして機能することを示す。本出願において提供さ れるDTH反応研究は明らかにそのことを示している。このイン・ヴィヴォでの 有効性は、同じタイプの反応がイン・ヴィトロで起こるであろうということの証 拠であると考えられる。なぜなら、応答の基礎となる原理は同じであるからであ る。同様に、記載およびテストされたペプチドの既知の免疫応答はT細胞応答で ある。しかしながら、適切な分子を用いた場合、同等のB細胞応答も誘発または 増強されうるということを疑う根拠はない。 本発明の免疫原は、それである必要はないが、好ましくは、TRAP、TRA 、 およびこれらを組み合わせたものであり、そしてそれらがハプテン、担体、ミョ ウバン沈降物(precipitated alum)または、通常免疫原性が不十分であるか、不 十分であると予想される物質に組み合わせられるいかなる物質をも含まないこと を意味する。特に好適な態様において組成物(composition)は、本質的に免疫原 と前記アジュバントとからなる。 使用されるTRAP、TRA等の免疫原の量は、免疫化の目的およびそれを投 与される対象(subject)によって異なるであろう。例えば、TRAを提示するガ ン細胞の存在を診断するといった目的に使用可能なマウス抗体を産生する場合で あれば、タンパク質またはペプチドの量は、前述の例に記戟したようなイン・ヴ ィヴォ治療方法において使用される量よりも少なくてよいであろう。一般的に、 好適な投与量は1回の投与量当たり約1ugから約750ugのタンパク質また はペプチドの範囲とすることができる。好適な態様では、約10ugから約50 0ugの範囲である。最も好ましくは、1回の投与量当たり概して約30ugか ら約300ugを使用するのがよい。もちろん、本発明の治療上の局面の関係に おいて、研究者は投与量を変更するであろう。例えば、生後6ヶ月の乳児は、成 人とは異なる投薬量を必要とするであろう。投与方法も様々なものとすることが でき、好適な形態は経口、皮下、筋肉内、静脈内、および腹腔内の投与である。 例えば、組成物におけるTRAPまたはTRAタンパク質またはペプチドなど の、免疫原の選択は当業者によって決定可能なパラメーターに依存するであろう 。例えば、異なるTRAは、異なるMHC分子によって提示されるということは 当業者に周知である。従って、ある対象(患者:subject)が、周知の技術を用い て、腫瘍細胞の表面上にHLA−A2分子を提示するとタイプされたとすると、 例えば、HLA-Cw★1601、HLA−A1、HLA−B24、HLA-B8 、HLA−B44、HLA−Cw6等によって提示されるTRAではなく、HL A−A2分子によって提示されるTRAが使用されるであろう。これらMHC分 子すべてが腫瘍拒絶抗原を提示するということが知られている。同様に、ポリメ ラーゼ連鎖反応(“PCR”)、溶解研究、および他の当業者に周知のアッセイ方 法などの技術を使用して、どの腫瘍拒絶抗原前駆体の遺伝子または複数の遺伝子 が対象となる患者によって発現されているかを判定することができる。これによ ってどのタンパク質また はペプチドを使用するべきかの決定を行うことができるであろう。また、例とし て、もし対象の腫瘍細胞がMAGE−1ではなくMAGE−3を発現していると すれば、免疫化において使用されるペプチドはMAGE−1ではなくMAGE− 3由来のものとすべきである。 従って、本発明の組成物は免疫原とGM−CSFを含み、そこにおいてGM− CSFはアジュバントとして有効な量存在する。前記2つの構成成分は組み合わ されてもよく、または、例えばキットの一部分として別々の部分(separate port ions)として提供されてもよい。配列番号1、2、3、5および6の特定のペプ チドが免疫原として好適であるが、ここに記載した種々のTRAなどの、いずれ の免疫原も本発明の範囲内に含まれる。 対象において免疫応答を引き起こすための方法も本発明の一部である。この方 法は、対象にGM−CSFを投与し、つづいて免疫原性物質を投与することから なる。必要という訳ではないが、随意に、GM−CSFの投与に先立って対象に 免疫原を投与してもよい。 前記諸例はペプチドとGM−CSFとのワクチン接種がDTH反応と免疫反応 の両方を引き起こすことを示すが、アジュバントとしてのGM−CSFの使用が 明らかに本発明の一部であることは、当業者に理解されるであろう。ガン(例え ばメラノーマ)のような種々の病的状態が、MHC分子とそれらに特異的に結合 するペプチドとの相互作用によっが形成される、CTLエピトープの提示によっ て特徴づけられるということは周知である。従って、本発明の1つの態様は対象 に対する免疫応答を誘発または増強するのに十分な量のGM−CSFを個体に投 与することにより、免疫応答を誘発または増強することである。そのように処置 される個体は、前に言及したような、細胞溶解性T細胞にとってエピトープまた は標的として作用することになる、細胞表面上におけるMHCとペプチドとから なる複合体の提示といった、病的状態に関連する特徴を示す患者(subject)であ ろう。B細胞応答のような他のタイプの免疫応答は、当業者に周知であり、ここ で詳細に述べる必要はないであろう。 投与の間の時間間隔は様々なものとすることができるが、好ましくは約2日か ら約2週間であり、最も好ましくは2日から1週間(即ち7日)である。従って 所与 のプロトコールは、第1日目の免疫原の投与から始まって、続いて第3日目にG M−CSFを投与し、そしてさらに第5日目に更なる免疫原の投与を行うものと することができる。その後、免疫原およびGM−CSFが投与されない期間をお いて、その中断の後繰り返して免疫化を行うようにして、このようなパターンの 免疫化を、例えば2から10回、最も好ましくは2から4回繰り返すのがよいで あろう。また、このような一定期間の免疫化と中断とを所与のプロトコールにお いて繰り返すことができる。 使用される免疫原とGM−CSFの量は特定の使用によって、異なるものとす ることができる。しかし、免疫原の一回の投与量は、好ましくは概して約10u gから約5000ugであり、さらに好ましくは約50ugから約2500ug であり、最も好ましくは約100ugから約1000ugである。GM−CSF については、一回の投与量あたり、10ugから約100ugの投与量が好まし い。可能な投与方法は、皮内の、皮下の、および静脈内の投与、持効性製剤の形 態の皮下挿入などを含む。当業者に周知のすべての投与形態が本発明に含まれる 。 ここに記載した好適な分子を“腫瘍”拒絶抗原、および“腫瘍”拒絶抗原前駆 体と称したが、治療上、および診断上の関係におけるそれらの使用はガン自体を 越える範囲に及ぶことを意図している。骨折整復の母斑(diaplastic nevis)の ような、それ自体ガンではないが、それを患う個体の細胞が実際にトランスフォ ーメーションによって特徴づけられる病的状態は当業者に周知である。すべての そのような状態が本発明によって意図される範囲に含まれる。 本発明の他の態様は、当業者にとって明らかであり、ここで繰り返す必要はな い。 ここに使用した用語および表現は、限定ではなく記載の用語として使用された ものであり、従って、これらの用語および表現を使用するに当たって、図示およ び記載された特徴構成又はその一部のいかなる均等物も除外する意図は無く、本 発明の枠内で様々な改変が可能であると理解される。 (1)一般情報: (i)出願人: ヤーガー,エルケ;クヌート,アレクサンダー (ii)発明の名称:免疫原性分子および、アジュバントとして顆粒球−マクロフ ァージコロニー刺激因子を含有する組成物 (iii)配列の数:6 (iv)連絡先: (A)宛名 : フェルフェ・アンド・リンチ (B)通り名 : サード・アベニュー805 (C)都市名 : ニューヨーク・シティ (D)州名 : ニューヨーク (E)国名 : アメリカ合衆国 (F)郵便番号: 10022 (v) コンピュータ読み取り可能フォーム (A)媒体型式: 3.5インチ フロッピーディスク,360kbメモリ (B)コンピュータ: IBM PS/2 (C)オペレーティング・システム: PC-DOS (D)ソフトウェア: ワードパーフェクト(Wordperfect) (vi)現在の出願データ: (A)出願番号: (B)出願日: (C)分類 : 435 (vii)先の出願データ: (A)出願番号: 08/598,909 (B)出願日 : 1996年2月9日 (C)分類 : 435 (viii)弁理士/代理人情報: (A)氏名 : ハンソン,ノーマン,ディ (B)登録番号: 30,946 (C)参照/書類番号: LUD5438-PCT (ix)通信情報: (A)電話 : (212)688-9200 (B)ファックス: (212)838-3884

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 免疫原性組成物であって (a)免疫原、および (b)前記組成物においてアジュバントとして作用するのに十分な量の顆粒球 −マクロファージコロニー刺激因子、 とからなる免疫原性組成物。 2. 前記免疫原がタンパク質である、請求項1の免疫原性組成物。 3. 前記免疫原がペプチドである、請求項1の免疫原性組成物。 4. 前記タンパク質が腫瘍拒絶抗原前駆体である、請求項2の免疫原性組成物 。 5. 前記ペプチドが腫瘍拒絶抗原である、請求項3の免疫原性組成物。 6. 前記腫瘍拒絶抗原が細胞表面上でHLA−A2分子に結合する、請求項5 の免疫原性組成物。 7. 前記腫瘍拒絶抗原が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5 、および配列番号6からなるグループから選択される、請求項6の免疫原性組成 物。 8. 前記組成物が(a)および(b)の別々の部分からなる、請求項1の免疫 原住組成物。 9. 免疫原性応答を発生させる方法であって、それを必要とする対象に、 (i)アジュバントとして有効な量のGM−CSF、それに続いて (ii)免疫原 とを投与することからなる免疫原性応答を発生させる方法。 10.更に、前記GM−CSFの投与に先立って前記対象に追加量の前記免疫原 を投与することを含む、請求項9の方法。 11.前記GM−CSFの投与後約2日から約2週間までに前記免疫原を投与す ることからなる、請求項9の方法。 12.前記GM−CSFの投与前約2日から約2週間までに追加量の前記免疫原 を投与することからなる、請求項10の方法。 13.前記免疫原を1回の投与量当たり約10ugから約1000ugの範囲の 量投与する、請求項9の方法。 14.前記免疫原性応答が、細胞溶解性T細胞応答である、請求項9の方法。 15.前記タンパク質を1回の投与量当たり約10ugから約100ugの範囲 の量投与することからなる、請求項14の方法。 16.前記GM−CSFを1回の投与量当たり約10ugから約5000ugの 範囲の量投与することからなる、請求項9の方法。 17.前記GM−CSFを1回の投与量当たり約10ugから約100ugの範 囲の量投与することからなる、請求項16の方法。
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