JP2000506691A - 収音及び再生システム - Google Patents

収音及び再生システム

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Abstract

(57)【要約】 図を参照すると、仮想音源を再生するところの音場再生システム(1)は、1対のラウドスピーカ(2)の形をとるラウドスピーカ手段と、複数チャンネルの入力信号音(4)に応答してラウドスピーカを駆動するためのラウドスピーカドライブ手段から構成される。このラウドスピーカ(2)は受聴者の前方に近接して配置された2つのラウドスピーカから構成され、放射された出力(5)は、受聴者(6)の方へ、その1点に向かう角度が6度から20度の間の範囲で、好ましくは10度と定めれるように向けられる。ラウドスピーカ(2)は1つの箱(7)の中に隣接して配置される。ラウドスピーカからの出力(5)は、ラウドスピーカ(2)からの距離r0が0.2mから4.0mの間である1点(8)に集中して向かっていく。ラウドスピーカ(2)の中心間の距離ΔSは、45cmかそれ以下が好ましい。ラウドスピーカドライブ手段は、入力信号u1とu2、出力信号ν1とν2とを有する1つのフィルタ対から構成される。フィルタは最小自乗平均(LMS)近似により設訃され、クロストークキャンセレーション手段、頭部回折伝達関数(HRTF)と/またはモデリングディレイ手段を用いる、あるいは組み込むことによって供給される。

Description

【発明の詳細な説明】 収音及び再生システム 発明の背景 この発明は音の収音(録音)と再生系(システム)に関するものであり、特に 、少なくとも2つのラウドスピーカによるステレオ音響再生システムに関してい る。 ここで、ある空間において、受聴者の2つの耳元において再生された音圧は、 所望の仮想音源の位置にある実音源によって生じる音圧と等しいとき、ある与え られた位置において、受聴者に仮想音源と呼ばれる、音源がそこに存在している ような印象を与えることができる。このように、人間における仮想の聴取の実現 はヘッドフォン、またはラウドスピーカによって可能となり、両手法はそれぞれ に利点、問題点を有する。 ヘッドフォンを使用する際は、そのシステムが実施されている音場環境に応じ てよって所望の信号を処理する必要はない。しかし、ヘッドフォンによるバイノ ーラル音源の再生では、時々、”頭内に”ある特定の音源が定位し、前方と後方 の定位が曖昧であるという問題点が生じる。一般に受聴者に仮想音源が明らかに 外部に、つまり”頭外に”存在するような印象を与えることは非常に困難である 。 ラウドスピーカを使用する際には、仮想音源を頭外に存在させることはさほど 困難ではないが、要求する効果を得るためには比較的精密な(洗練された)ディ ジタル信号処理技術を必要とし、知覚される仮想音源の音質はラウドスピーカの 特性と、再生音場特性に依存する。 2つのラウドスピーカを使用する場合、2つの所望の信号を空間上の2点に非 常に正確に再生することができる。この2点が偶然にも受聴者の2つの耳の位置 に設定された場合、受聴者に対して非常に明確な音像 を提供することができる。この手法は、受聴者に対して典型的には見開き60度の 位置に、広い間隔をもって配置された2つのラウドスピーカを使用している様々 な異なるシステムによってすでに実現されている。このようなラウドスピーカ配 置を採用する場合に、直面する基本的な問題の1つは、明確に仮想音源の再生は 非常に制限された領域のみか、あるいは受聴者の頭部を囲む小さな”バブルのよ うな”領域のみであることである。もし、受聴者の頭部が数センチメータ以上側 方に移動すれば、仮想音源によって創造される音像は完全に所望とは異なったも のとなる。従って、広い間隔を有して配置された2つのラウドスピーカによる仮 想音源再生は受聴者の頭部の移動に対して強くない。 ここで我々は、多少驚いたが、近接して配置された2つのラウドスピーカを用 いた仮想音源再生システムは、頭部の移動に対して非常にロバスト(強い)であ ることを発見した。つまり、システムの挙動は目立って劣化することなく、受聴 者頭部を囲む小さな”バブルのような”領域は、十分に拡大する。さらに、近接 してラウドスピーカを配置することによって、2つのラウドスピーカを1つのス ピーカキャビネットに収納することが可能となる。 ここまでで、紹介した発明にて再生される音場は、ポイントモノポールとポイ ントダイポールを結合することによって生じる音場の近似であるが、この発明は 便宜上”ステレオ・ダイポール”と呼ばれる。 発明の概要 記載した発明の1つの局面によると、音響再生システムは、ラウドスピーカと 、少なくとも単一チャネルからの信号に反応してラウドスピーカを駆動させるた めのラウドスピーカのドライバとで構成され、ラウドスピーカとは近接して配置 された2つのラウドスピーカで、その間隔 は受聴者に対して6度から20度の間の角度であるものを意味し、ラウドスピーカ ドライブとはフィルタ群により構成されるものである。 包括する角度は8度から12度の間であってもよいが、10度が望ましい。 フィルタ群とは、1つかそれ以上のクロストークキャンセル手段、最小自乗平 均近似手段、仮想音源再生手段、頭部回折伝達手段、周波数レギュラライゼーシ ョン手段、モデリングディレイ手段から構成される。 ラウドスピーカ対は2つが接していても(縁を共有していても)よいが、中央 に45cm以上にならない空間がもうけられている方が望ましい。 このシステムは、その最適は受聴位置がラウドスピーカから0.2m〜4.0m、でき れば前記ラウドスピーカより約2.0m、の距離における頭部の位置となるように設 計されているのが望ましい。あるいはラウドスピーカから0.2m〜1.0mの距離にお ける頭部の位置である。 ラウドスピーカの中心は、実際には並列に揃えて配置されるか、またはそれぞ れのラウドスピーカの軸が1点に向くように傾斜して配置される。 ラウドスピーカは単一のキャビネットに収納される。 ラウドスピーカのドライバはディジタルフィルタ手段であるのが好ましい。 記載した発明の第2の局面によると、ステレオ音響再生システムは、近接して 配置された2つのラウドスピーカで、その間隔は受聴者に対して6度から20度の 間の角度であり、2つのラウドスピーカを1つのキャビネットに収納し、ラウド スピーカドライブは、受聴者の頭部回折伝達関数(HRTF)を代表するものを用い て、設計されたフィルタ手段と、ラウドスピーカの駆動信号を前記のフィルタ手 段に入力する手段である。 記載した発明の第3の局面によると、ステレオ音響再生システムは、近接して 配置された2つのラウドスピーカで、その間隔は受聴者に対して6度から20度の 間の角度であり、前記のラウドスピーカから0.2m〜4.0mのある点を向いており、 単一のキャビネットの中に並べられるものである。 記載した発明の第4の局面によると、この発明は、録音と、その後に通常のス テレオアンプと、録音を行う際に用いられたフィルタ手段を使用し、近接して配 置されたラウドスピーカ対から再生を行うことでも実現され、それにより、スピ ーカへの入力の際にフィルタ手段を供給する必要性を取り除く。 録音で使用されるフィルタ手段は、第1と第2の局面において採用されたシス テムにおけるフィルタ手段と同様の特性を有することが好ましい。 発明の第5の局面は、通常のステレオ録音から、前記のフィルタ手段を使った さらにその上の録音を創造することが可能である。その発展した録音は、ラウド スピーカの入力を、できれば単一のキャビネットに並べて配置された、近接した ラウドスピーカ対に供給するのに使用できる。 従って、そのフィルタ手段が発展した録音において用いられ、利用者が、彼自 身がフィルタ手段を供給する必要がないまま、実質的に通常のアンプを使用でき ることは、高く評価に値する。 発明の第6の局面は、ステレオ、あるいは多チャンネル録音された信号を、第 1か第2の局面において採用されたシステムにおけるフィルタ手段に導入するこ とによって実施される音の録音である。 図面の簡単な説明 記載された発明の様々な局面の例は、関連する図表を参照しながら実例のみで 記述される。ここで: 図1(a)はこの発明の一般的な原理を示した平面図であり、 図1(b)はラウドスピーカの配置補正問題の概要を示し、図1(c)はブロック図 であり、 図2(a)、2(b)、2(c)は、単一のキャビネットに収納されたラウドスピーカ の形状がどのように異なるかを示した前面図であり、 図3はラウドスピーカ対から受聴者の両耳までの電気音響的な伝達関数と角度 θを示し、 図4(a)、4(b)、4(c)、4(d)は、図3において4通りの異なったラウドスピ ーカ対の配置をした場合の、システムのクロストークキャンセルを実現するフィ ルタ群の周波数応答の振幅特性であり、 図5は受聴者の頭部が側方に移動した際のクロストークキャンセレーションの 効果を示す時に用いる幾何学的な配置を定義し、 図6(a)から6(n)は、異なったラウドスピーカ対の配置をした場合の、受聴者 の両耳において再生された信号の振幅特性が示されており、 図7は、ラウドスピーカとマイクロフォンの幾何学的な配置を示す。ここで、 θは受聴者の頭部の中心からみたラウドスピーカの見開きの角度であり、r0はそ の点から2つのラウドスピーカ間の中心の位置までの距離であり、 図8a、8bは、a)クロストークキャンセレーションと、b)仮想音源イメージン グに必要な伝達関数、信号、フィルタの定義し、図9a、9b、9cは、ラウドスピーカの見開き角度θが60度(a)、20度(b)、10 度(c)受の3通りの場合において、受聴者の右耳の位置で完全なクロストークキ ャンセレーションを実現するために要求される、2つの入力音源信号(太線:ν1 (t)、細線:ν2(t))の時間応答である。ここで θが減少するに従って、オーバーラップ部分は増加しており、 図10a、10b、10c、10dは、(a)、(b)、(c)、(d)モノポール・ダイポール結合の 場合に、受聴者の右耳にて完全なクロストークキャンセレーションを達成するた めに調整された、4通りの異なった音源の構成による再生音場を示したものであ り、 図11aと11bは、生じた音波への受聴者の頭部の影響を補正も考慮されたクロス トークキャンセレーションシステムによる再生音場を示す。ラウドスピーカの見 開き角度は60度である。図11aは図10aと同じであり、図11bは図11bと同じである が、ラウドスピーカの見開き角度は10度である。図11bの場合、示されたプロッ トは図10のcと同じであり、 図12a、12b、12cは、ラウドスピーカの見開き角度が60度(図12(a))、20度(図1 2(b))、10度(図12(c))の3通りの場合において、(1.0m)の位置に仮想音源を生成 するために要求される、2つの入力音源信号(太線:ν1(t)、細線:ν2(t))の 時間応答を示す。ここでθが減少するにつれて、ν1(t)とν2(t)の両方の効果的 な持続時間も減少し、 図13a、13b、13c、13dは、(a)、(b)、(c)、(d)モノポール・ダイポール結合の 場合に、(1m,0m)の位置に仮想音源を生成するように調整された4つのことなっ た音源の形成により再生された音場を示し、 図14a、14b、14c、14d、14e、14fは、仮想音源を生成するために必要なイン パルス応答ν1(n)とν2(n)であり、 図15a、15b、15c、15d、15e、15fは、図14に示されたインパルス 図18a、18b、18c、18d、18e、18fは、図17に示した位相特性の差をとった結果 であり、 図19a、19b、19c、19d、19e、19fは、図14のインパルス応答に対応するハニン グパルス応答ν1(n)と−ν2(n)である。ここで、ν2(n)は-ν2(n)をプロットす ることにより位相において効果的にインバースされており、 図20a、20b、20c、20d、20e、20fは、図19のハニングパルス応答ν1(n)とν2(n )の和をとったもので、 図21a、21b、21c、21dは、クロストークキャンセレーションシステ 図22aと22bは、図21が周波数応答に相当する2つのフィルタのハニングパルス 応答h1(n)と−h2(n)(a)と、それらの和(b)であり、 図23a、23bでは、所望の信号d1(n)とd2(n)と、左方に5cmの位置に頭部のある 受聴者の両耳において再生される信号w1(n)とw2(n)を比較しており(所望の波面 はハニングパルスであり)、 図24a、24bは、所望の信号d1(n)とd2(n)と右方に5cm頭部がずれた受聴者の両 耳における再生信号w1(n)とw2(n)を比較した結果である。所望の波面はハニング パルスである。 好ましい実施例の説明 図1(a)より、仮想音源イメージングを供給する音響再生システム1は、ラウド スピーカ対2からなるラウドスピーカ手段と、複数の音響チャンネル4からの出 力信号反応してラウドスピーカ2を駆動するための、ラウドスピーカドライブ手 段3とからなる。 ラウドスピーカ2は、近接して配置されたラウドスピーカ対で形成 され、発生された出力5は直接に受聴者6に与えられる。ラウドスピーカ2は、 受聴者6に対して見開き角度θが6度から20度の間の角度の向きに限定されるよ うに、配置される。 この例では、見開き角度は実質上、約10度である。 ラウドスピーカ2は、単一のキャビネット7の中に並べて隣り合わせに配置さ れる。ラウドスピーカ2からの出力5は、ラウドスピーカから距離r0が0.2mから 4.0mの間の位置8に集中される。この例において、位置8はラウドスピーカ2よ り約2.0mである。 2つのラウドスピーカ2の中心間の距離ΔSは、45.0cmかそれ以下が望ましい 。ここで図2(b)と図2(c)において、ラウドスピーカ手段は幾つかのラウドスピ ーカユニットから形成され、この距離は、特に低周波数の音を発生する場合に適 用される。 ラウドスピーカドライブ手段3は入力u1とu2と出力ν1とν2であるディジタル フィルタ対で構成される。2つの異なったディジタルフィルタシステムは図7と 図8を参照しながら後述される。 ラウドスピーカ2は、実質上は並列に配置される。しかしながら、お互いのラ ウドスピーカの中心軸を1点に集中させるような方法で、配置する方法でもあり 得る。 図1において、受聴者から見て2つのラウドスピーカ2の見開きの角度θは、 通常のステレオ録音の受聴とミキシングにおいて従来は60度の見開き角度が推奨 されているのに反して、約10度である。従って、2つの処理された信号ν1とν2 を受聴者の前方に直接におかれたスピーカキャビネット7の中のスピーカ2に入 力することによって、1人の受聴者に対して十分に空間的な音像を確実に生成す ることが可能であるような2つのラウドスピーカを内蔵した単一の”箱”7を製 作することができる。 良好な仮想音源の再生を保証するディジタルフィルタの設計方法については既 にヨーロッパ特許番号0434691、特許明細書番号WO94/01981、特許申請番号PCT/ GB98/02005にて明確にされている。 ここに記されている発明全般における原理は、明細書PCT/GB98/02005の図3に も記載されている。これらの原理は本申請書の図1(b)と図9(c)にも示されてい る。 ラウドスピーカの配置補正問題は、図1(b)に概要が、図1(c)にブロック図が 示されている。ここで、信号u1とu2は通常のステレオ録音における再生信号を意 味する。ディジタルフィルタA1とA2は、理想的に配置された仮想のラウドスピー カへの入力と受聴者の両耳との間の伝達関数である。また、実音源と仮想音源の 両方の位置は受聴者に対して対称であると仮定されるので、ディジタルフィルタ はそれぞれが2対2のフィルタ行列を有する2つだけである。 電気音響的な伝達関数の行列C(z)は、ラウドスピーカへの入力信号[ν1(n)ν2 (n)]のベクトルと受聴者の両耳において再生される信号のベクトルト[w1(n)w2(n )]との関係と定義される。逆フィルタ行列H(z)は、誤差信号e1(n)とe2(n)の時間 自乗平均値の和が最小であることを保証するように設計される。これらの誤差信 号は、受聴者の両耳において再生された信号[w1(n)w2(n)]と所望の再生信号[d1( n)d2(n)]の差を意味する値である。この発明において、これらの所望の信号は、 再生に使用される実際のラウドスピーカ音源の位置から十分に離れている距離を おいて配置された仮想音源対により生成される信号として定義される。フィルタ 行列A(z)は、一般に通常のステレオ録音に関連する入力信号[u1(n)u2(n)]に対し て、これら所望の信号を定義するために用いられる。行列の要素A(z)とC(z)は、 受聴者の頭部回折伝達関数(HRTF)と記載される。これらのHRTFは、PCT/GB95/020 05において明確にされる幾つかの方法により導出するこ とができる。特に本発明を実施するに際して有効であるとわかった1つの技術( 技法)は、事前に採取されたHRTFのデータベースを使用することである。また、 PCT/GB95/02005にあるように、逆フィルタH(z)は通常、良好な近似において、左 のラウドスピーカに入力される信号は受聴者の左耳にのみ再生され、右のラウド スピーカに入力される信号は受聴者の右耳にのみ再生されることを保証する、ク ロストークキャンセレーションフィルタの行列Hx(z)を算出することにより導出 される;つまり、ΔはモデリングディレイでありIは単位行列であるとき、良好 な近似C(z)H(z)=z- ΔIである。逆フィルタ行列H(z)は、H(z)=Hx(z) A(z)から算出 される。ここで、クロストークキャンセレーション行列Hx(z)を算出することに より、バイノーラル録音されたものに対しても本発明を用いることが可能である 。この場合、2つの信号[u1(n)u2(n)]はダミーへッドの両耳において録音された 信号である。これらの信号は、クロストークキャンセレーションフィルタ行列の 入力として用いられ、その後フィルタ出力はラウドスピーカへ送られ、それによ りu1(n)とu2(n)は受聴者の両耳において再生される信号の良好な近似であること が保証される。しかしながら通常は、信号u1(n)とu2(n)は従来のステレオ録音で の信号であり、それらは、受聴者の両耳で再生される信号が空間上に離された仮 想ラウドスピーカ音源により再生されるように設計された逆フィルタ行列H(z)の 入力とされる。 図2には1つのキャビネットの中に入れられた2つのラウドスピーカのユニッ トをどのように異なって構成するか、その3つの例を示す。それぞれのラウドス ピーカ2が1つのフルレンジユニットのみで構成されるとき、2つのユニットは 図2(a)のように互いに隣り合わせで配置されるべきである。それぞれのラウド スピーカが2つかそれ以上のユニットで構成されるとき、それらのユニットは、 低域周波数用ユニット10、 中域周波数ユニット11、高域周波数ユニット12とし、図2(b)と図2(c)に示され るように様々の方法で配置することができる。 受聴者の頭部の前方に配置された2つのラウドスピーカ2を用い、ここで我々 は仮想音源イメージシステムの挙動が、2つのラウドスピーカの見開き角度θに どのように依存するかを考慮する。この問題の幾何学的な配置を図3に示す。ラ ウドスピーカーマイクロフォン(2/15)配置は対称であるので、電気音響的な伝達 関数はC1(z)とC2(z)の2つだけである。従って、(ラウドスピーカ入力信号のベ クトルと受聴者の両耳において生成される信号のベクトルとの関係であるところ の)伝達関数行列C(z)は下記の構造をもつ: 同様に、クロストークキャンセレーション行列の要素はH1(z)とH2(z)の2つの みである。従ってクロストークキャンセレーション行列Hx(z)は下記の構造を持 つ: Hx(z)の要素は、明細書番号PCT/GB95/02005の中で詳細に記述されている技法 のなかで、特に好ましくは周波数領域におけるアプローチを用いて、算出する事 ができる。ここで、Hx(z)の中に見られる不都合な好ましくない影響を防ぐため に、通常はレギュラライゼーションを採用することが必要である。 C(z)が比較的に複雑でないとき、クロストークキャンセレーション行列Hx(z) は最も容易に算出される。例えば、無響室内で測定された伝達関数よりも残響室 にて測定された伝達関数の逆行列を求めることの方が困難である。さらに、すべ ての周波数領域において完全な逆処理が行 われたとしても、周波数応答が比較的にスムースである逆フィルタのセットの方 が、周波数応答が激しく変動しているフィルタのセットよりも、より”自然”で あり、”色付け”されていない音を出すと仮定することは正当である。この理由 により、我々は研究者がインターネット上から使用できるようにMIT Media Lab から提供されているHRTFのデータベースを得ている。それぞれのHRTFは、無響室 においてサンプリング周波数を44.1kHzとし、水平面内にて5度毎に測定された 結果である。我々はデータベースの簡易バージョンを使用する。それぞれのHRTF は、128の係数に保持するためにトランケーションする前にラウドスピーカ応答 をイコライジングされている。(我々はまた、それぞれの値が-1から1の範囲に 収まるようにHRTFを補正している) 図4は、ラウドスピーカの見開きが、a)60度、b)20度、c)10度、d)5度と4種 類に異なる場合の周波数応答Hx1(z)とHx2(z)を示す。使用されるフィルタはそれ ぞれ1024点の係数で構成され、それらは前述の周波数領域における逆処理の方法 により算出される。レギュラライゼーションは行われていないが、たとえそうで あっても標本化による望ましくない”ラップアラウンド(wrap-around)”の効果 は深刻な問題ではなく、すべての実際的な目的に対し、前可聴周波数帯域にわた って逆処理は完全である。それでも、ラウドスピーカの角θが減少するに従って 、超低周波数での応Hx1(z)Hx2(z)は増加することは重要なことである。これは、 ラウドスピーカが互いに近づくように移動されるにしたがって、クロストークキ ャンセレーションを達成するためにはより多くの低周波数の出力が必要となるこ とを意味している。これは2つの深刻な問題を引き起こす。つまり、1つ目は、 システムから低周波数を出力するために要求されるパワーはラウドスピーカと補 助アンプを正常に保持することにとって危険であり得るということ;もう1つは 、たとえ機器がそれを 出力することができたとしても、所望の受聴位置から離れたある位置において再 生された音(の振幅)は比較して高いであろうということである。明らかに、実 際には音を所望の受聴位置から離れた方へ向ける結果として、ラウドスピーカを 非常に無理に駆動することは望ましくない。従って、所望の位置において低周波 数音を十分に再生するために、それ以下では実用上不可能となる、最小のラウド スピーカの見開きシータがある。しかし、実音源と仮想音源が近くない場合のみ は、ラウドスピーカを無理に駆動しなければならないということを指摘しておく ことは有意である。仮想音源がラウドスピーカと近接している場合、システムは 自動的に電気的な入力をほとんどすべて直接ラウドスピーカに向ける。 ここで、クロストークキャンセレーションフィルタのみが図4に示され、角度 θが減少するにつれて、低周波数の周波数応答の位相差は、180度(パイラジア ン)に近づいていく。 仮想音源イメージングシステムの挙動は、主にクロストークキャンセレーショ ンの効果の度合いにより決定されると仮定することは正当である。従って、もし 受聴者の右耳では何も受聴されず、左耳では単一のインパルスを生成することが 可能であれば、どのような信号も左耳に再生することができる。対称性により、 右耳においても同様の議論が成り立つ。受聴者の頭部が移動するにしたがって、 左と右の耳に再生される信号は変化する。一般に言えることは、ラウドスピーカ の方に向かって、あるいは遠ざかっていくような頭部の回転、移動は、クロスト ークキャンセレーション効果の著しい劣化の原因とはならない。しかしながら、 側方への頭部の移動に対して、クロストークキャンセレーション効果は比較的敏 感である。例えば、受聴者の頭部が左方向に18cm移動すると、右耳のほとんどは ”ラウドゾーン(loud zone)”内に移動する。従って、受聴者の頭部が15cm以上 側方に移動した場合、十分はクロストークキ ャンセレーションの効果を期待すべきではない。 我々は、ここで、受聴者の頭部が側方に距離dx移動した場合の、クロストーク 抑圧の効果を定量的に評価する。変数dxは図5に示す。所望の信号は左耳での単 一インパルスであり右耳では無音であると仮定される時、左耳において再生され る信号に対する振幅スペクトルは理想的には0dBであり、右耳に再生される信号 のスペクトルはできるだけ小さいのが理想的である。従って、我々は受聴者の頭 部が本来受聴するべき位置から外れた場合における、クロストーク抑圧の効果を 評価するには、両耳に再生された信号を用いることが可能である。 任意の位置における受聴者の両耳への再生信号を算出するためには、補間が必 要である。受聴者の位置が移動するにしたがって、頭部の中心とラウドスピーカ との角度θも変化する。これは、測定されたHRFTのデータベースの中で最も近い 2つのHRTFの間を線形補間することで修正される。例えば、正確な角度が91度で あれば、処理されたHRTFは C91(k)=0.8C90(k)+0.2C95(k) から導かれる。ここでkはFFTにより算出された周波数スペクトルのk’番目で ある。ラウドスピーカと受聴者の頭部の中心6との距離r0(図1)の変化に対応 してHRTFを修正することはさらに困難である。問題は、距離の変化は通常サンプ リング間隔の整数値の遅延(あるいは進み)に対応せず、したがって角度補正さ れたHRTFのインパルス応答をほんの少しのサンプル分だけシフトさせることが必 要となる。ディジタル列を少しだけシフトすることは重要なことである。この特 定の場合において、距離が1.0mmかそれ以下の場合のみこの技法は正確である。 したがって、この微少遅延技術の効果は、空間軸上にて1.0mm×1.0mm内の最も近 いポイントにより本当の耳の位置の近似となる。 図6は、2つのラウドスピーカ間の角度θが60度(a,c,e,g,i,k,m) と10度(b,d,f,h,j,l,n)で、bの値を-15cm(a,b)、-10cm(c,d)、-5cm(e,f)、0cm(g, h)、5cm(i,j)、110cm(k,l)、15cm(m,n)とした場合における再生信号の振幅特性 である。角度θが60度の場合、クロストーク抑圧量は受聴者が頭部を5cm程側 方に移動した場合においても1kHzまでの帯域でのみ十分であることが見られる 。これに比較して、角度θが10度の場合、クロストーク抑圧は、受聴者の頭部が 側方に10cm移動しても4kHzの帯域まで十分である。したがって、2つのラウ ドスピーカが近くなるほど、受聴者のシステムの挙動は頭部の移動に対してより ロバストである。しかしながら、このセクションでは、最も悪い状態でのクロス トークの抑圧の場合について考慮していることを指摘するべきである。例えば、 ラウドスピーカの位置に仮想音源がある場合は、明らかに仮想音源の音像はロバ ストである。一般的に言えば、システムは完全なクロストークキャンセレーショ ンをしようとしている場合よりも、仮想音像を生成しようとしている場合におい て、実用上常に良好に動く。 中心の音像を明確に生成することは、とりわけ重要である。映画会社(業界) において、左右前方のラウドスピーカとは別のセンタースピーカが長い間使われ てきた(さらに通常は幾つかのサラウンドスピーカも使われている)。プログラ ム(映画作品)において最も重要な部分はしばしばこの中心の位置に割り当てら れる。特に会話の部分と、その他の、例えばサウンドトラック中のボーカルのよ うな人間の声の信号についてはそうである。通常のステレオ再生においてラウド スピーカの見開き角度θが60度に設定される傾向にある理由は、もしサウンドス テージがそれ以上拡げられると、中央のイメージがはっきりしなくなってくるか らである。一方、近接してラウドスピーカを配置すると、よりはっきりした中央 のイメージが得られ、したがって、本発明はすばらしい中央のイメージを作り出 す上で利点を有する。 フィルタ設計処理は、ラウドスピーカは自由音場においてモノボールのように 振る舞うという仮定の上に成り立っている。実際のラウドスピーカにこのような パフォーマンスを期待することは明らかに非現実的で楽観的である。それにもか かわらず、”ステレオダイポール”配置を採用した本発明による仮想音源イメー ジングは、マルチメディア分野において多くの場合に使用されている小型のアク ティブスピーカのように、ラウドスピーカがあまり上質でない場合においても、 実用上十分良好である。低周波数を十分に出力できない場合でも、このシステム は十分に働くことは大変驚くべきことである。最も重要な点は2つのラウドスピ ーカの周波数特性の違いである。2つのラウドスピーカの特性が類似している限 り、つまりそれらが”よくマッチしている”場合、このシステムは良好に作動す る。しかしながらそれらの特性が明らかに異なっている場合は、仮想音像が一貫 して片側へよる(バイアス)傾向を引き起こす。つまり、均等に拡がったサウン ドステージ上に、”偏った(side-heavy)”再生となる。これを解決するためには 、よくマッチングしている2つのラウドスピーカが同じキャビネットに収納され ていることをしっかりと保証することである。 または、2つのラウドスピーカが事実上同じように駆動するように、片方のラ ウドスピーカに入力するフィルタをイコライジングすることも可能である。 本発明によるステレオシステムは、テストにおいてしばしば数人の受聴者は聞 き慣れる必要があるが、一般に大変聴きやすい。処理ではオリジナルの録音物に 対して、ほんの少しの色づけしかされない。近接したラウドスピーカ配置の主な 利点は、頭部の移動に対してロバスト(強い)であることで、これは受聴者の頭 部の周りに心地よく大きな”バブル”を作り出す。 例えばポップ音楽や映画のサウンドトラックのような従来のステレオ音源を本 発明を用いて生成された2つの仮想音源を通して再生する場合、視聴において、 受聴者はしばしば、それらの音源がラウドスピーカを見開き角度θが60度である 従来の方法で再生されたときよりも、再生の全体の音質の点でより良好であると 知覚する。この理由の1つは、見開き角度10度のラウドスピーカは、すばらしい 中央のイメージを与えるので、仮想音源の角度θを60度から90度に増加させるこ とができることである。このようにサウンドステージを拡げることは大変好まし い。 本発明のシステムを通したバイノーラル音源再生はとても確かなので、知覚し た音像に対応する実際の音源を見ようと、受聴者がしばしばラウドスピーカから 目を離す。ダミーヘッド録音における高さの情報もまた、受聴者に与えられる; 例えばジェット機が頭の上を通り過ぎる音は大変現実的である。 本発明の考えられる限界の1つは、受聴者の側方や後方には確かな仮想音像を 生成できないことである。確かな音像は、確実に水平面内にほぼ140度の広がり を持った弧の内側と(まっすぐ前方よりプラスマイナス70度)、正中面内の約90度 の範囲(水平面に対してプラス60度とマイナス30度)にのみ生成することができ る。受聴者の後方の音像については、しばしば鏡に映したように前方に知覚され る。例えば、受聴者の真後ろに音像を生成しようとすると、それは真っ正面にあ るように知覚される。これは音の物理的なエネルギーは常に受聴者前方のラウド スピーカより発生されていることも起因している。もちろん後方の音像が要求さ れた場合は、受聴者の真後ろにさらに本発明によるシステムを付け加えることも 可能である。 実際には、システムの性能は利用目的に応じて様々に違った形で要 求される。例えば、コンピュータゲームと一緒に利用される音への要求は、高品 質のハイファイシステムによって再生される音に比べて、格段におちる。一方、 あまりよくないハイファイシステムはコンピュータゲームに採用されうる。明ら かに、どのような目的で使用するかを考慮することなしに、音響再生システムを ”良い”か”悪い”だけで分類することはできない。この理由で、我々はどのよ うにクロストークキャンセレーションネットワークを構築するかということにつ いて3つの例をあげる。 考え得る最もシンプルなクロストークキャンセレーションネットワークは、US 特許の3236949、’見かけの音源伝送装置’の中で、アタール(Atal)とシュレ ーダ(Shroeder)によって提案されている。彼らの特許は従来の60度に広げたラ ウドスピーカ配置について記述しているが、それでも彼らの原理はどんなラウド スピーカの配置にも採用できる。ラウドスピーカが自由音場においてモノポール のように振る舞うとされ、C(z)の中の4つの伝達関数のz変換は、以下のように 与えられる。 ここで、n1はラウドスピーカから近い方の耳に音が到達するまでの、サンプリン グ間隔であり、n2はラウドスピーカからもう一方の耳に音が到達するまでのサン プリング間隔である。n1とn2は、両方とも整数と仮定される。C(z)の逆処理を行 うことは用意である。n1<n2であるので、直接(exact)の厳密な逆フィルタは安 定であり、1つの係数で構成されるIIRフィルタ(無限インパルス応答型フィル タ)により実現することができる。従ってハードウェアを構築することは大変容 易である。この方法で設計されたフィルタを用いて再生された音は大変”不自然 ”で”色づけ”されているが、ゲームのような用途には十分である。 それぞれが比較的短い係数で構成される4つのFIRフィルタを用いると、シス テムの確実なパフォーマンスを得ることができる。サンプリング周波数が44.1kH zの場合、MITから提供されているHRTFのデータベースを用いて、正確な定位と自 然で色づけのない音を得るには、係数は32点で十分である。これらの伝達関数の 長さ(128点)はそれらの逆フィルタ(32点)よりも長いので、逆フィルタは、 その問題点を欧州特許番号0434691に記述されているような、時間領域での直接 行列逆フィルタ演算(記述されている方法は逆フィルタ処理の決定的最小自乗法 )により算出されなければならない。しかしながら低周波数(f<500Hz)のための クロストークキャンセレーションのための短い逆フィルタを使用するのにかかる コストは十分に削減される。それにもかかわらず、マルチメディアコンピュータ のような用途にとって、ほとんどのラウドスピーカは、いずれにしろ、それらの 周波数を十分に出力することはできず、従って、これらの用途には短いフィルタ セットで十分である。 受聴者の両耳に低周波数の所望の信号を非常に正確に再生するためには、フィ ルタ長の長い逆フィルタを用いることが必要である。理想的には、それぞれのフ ィルタは少なくとも1024点のフィルタ係数から構成されるべきである(または( タップの)短いIIRフィルタとFIRフィルタを結合することによっても達成できる )。長い逆フィルタは、例えばPCT/GB95/02005の中で記述されていうような、周 波数領域で処理する方法で算出するのが最も都合がよい。我々が知る限り、この システムを実時間処理で実現するようなディジタル信号処理システムは、商業的 に見あたらない。このようなシステムは家庭用のハイエンド・ハイファイシステ ムや、ホームシアターなどに利用されるか、あるいは、放送や録音をさらに伝送 や保存するまえに符号化する”マスター”システムに利用される。 問題点と本発明によって解決する方法を図7から図13を参照しながら、さらに 説明すると、以下のようになる。これらの図は、仮想音源イメージングの問題点 に関係しており、これらは、ラウドスピーカがポイントモノポールであり、受聴 者の頭部は発生した音波に影響しないと、単純化した仮定がなされたときに起こ る。 問題の幾何学的な配置を図7に示す。距離Δsで離された2つのラウドスピー カ(音源)は、x1-軸上にx2-軸におよそ対称に配置される。我々は、受聴者がラ ウドスピーカに対して正面に距離r0m離れた位置にいることを創造する。受聴者 の両耳は、距離ΔMで離された2つのマイクロフォンによって表され、それらは またx2軸に対してほぼ対称である(左のマイクロフォンが右耳に対応し、右のマ イクロフォンが左耳に対応する)。受聴者の位置からみてラウドスピーカは角度 θで拡げられる。ラウドスピーカからマイクロフォンまでの4つの距離のうち、 2つだけが異なる;すなわち、r1は最短(直接経路)で、r2は遠い(クロストー ク経路)。左と右のラウドスピーカへの入力はそれぞれV1とV2で表され、左と右 のマイクロフォンの出力はそれぞれW1とW2で表される。便宜上、2つの変数を提 案する。 これは、常に1より小さい値である”利得”であり、これは経路差r2-r1を音が伝搬するのにかかる時間に対応する正の遅延である。 システムが単一の周波数を処理している場合、我々はラウドスピーカへの入力 とマイクロフォンからの出力を説明するのに、複素表示を用 いることができる.したがって、我々はV1、V2、W1、W2は複素数のスカラーであ ると仮定する。ラウドスピーカの入力とマイクロフォンの出力は2つの伝達関数 と を通して関係している。 これらの2つの伝達関数を用いて、ラウドスピーカへの入力の関数としてのマ イクロフォンからの出力は便宜上、ベクトルー行列積で表される。 w=Cv ここで、 自由空間にあるモノポールから放射される音場はpmo で与えられ、ここでωは角周波数、ρ0は媒質の密度、qは音源の強さ、kはc0 が音速、rが音源から音場のポイントまでの距離であるときの波数ω/c0である 。Vが で定義される場合、伝達関数Cはで与えられる。 図7に示されているシステムは、1対の所望の信号D1とD2をマイクロフォンの 位置で再生するを目的としている。従って、W1をD1と等しく、W2をD2と等しくす ることが要求される。対になった所望の信号は、意識的には基本的に2つの異な った対象として明確にされている;クロストークキャンセレーションか、仮想音 源イメージングである。両方の場合において、2つの線形フィルタH1とH2は1つ の入力信号Dを操作し以下のようになる。 v=Dh ここで、 これは図8aと8bに示されている。完全なクロストークキャンセレーション( 図8a)は、信号が受聴者の片耳で完全に再生され、もう一方の耳では何も受聴 されないことを要求する。もし我々が受聴者の左耳に所望の信号D2を生成したい ならば、D1は零でなければならない。一方、仮想音源イメージング(図8b)で は、受聴者の両耳に再生させる信号は、仮想音源が再生された位置に存在する実 音限によって生成される信号と(共通の遅延と共通のスケール因子までも)同一 であることが要求される。 D2をDだけではなく、DとC1の積であると定義することは、周波数応答関数V1と V2に対応する時間応答が因果性を満たす(これは、時間領域において、所望の信 号に時間遅延と距離減衰を引き起こすが、その”形状”は影響されない)ことを 保証するので、有益なことである。Vに ついて線形方程式システム を解くことにより、我々はを得る。 時間応答vを得るために、1/(1-g2exp(-j2ωτ))の項を級数展開を用いて以下 のように書き直す。 結果は、 となる。 vの逆フーリエ変換ののち、vは時間の関数として書き表され、 ここで、*は畳み込み、δはデルタ関数である。第1のデルタ関数は時間t=0の時 発生し、次のデルタ関数は2τ離れて起こる。従って、アタール(Atal)他から 解るように、v(t)は本質的には再帰型であるが、そうであったとしても、D(t)が 因果で安定である限り、v(t)が因果で安定であることが保証される。この解決方 法は、D(t)が非常に短いパルスで(もっと厳密にいえば、τより短い)場合に、 物理的に容易に説明できる。初めに、右のラウドスピーカは受聴者の左耳で受聴 されるパルスを送り出す。その信号が左耳に到達後、時間τだけ遅れて、何も受 聴さ れない(到達しない)はずの受聴者の右耳に、このパルスは到達するので、この パルスを打ち消すために、左のラウドスピーカから負のパルスが生成されなけれ ばならない。この負のパルスは受聴者の右耳において、最初のパルスの到達から 2τ後に到達するので、その結果、右のラウドスピーカからもう1つの正のパル スを生成する必要があるが、このパルスはまた、受聴者の左耳に不必要なパルス を与えてしまう。最終的には、右のラウドスピーカは正のパルス列を発生し、左 のラウドスピーカは負のパルス列を発生する。それぞれのパルス列において、個 々のパルスは周期1/2τの”ringing”周波数f0毎で発生する。もしD(t) の長さがタウに比べて短くないならば、個々のパルスはもはやそれぞれに完全に 分離されずにオーバーラップすることは、直感的に明らかである。このことは図 9a、9b、9cに示されており、これらは、ラウドスピーカの間隔を決定する角 度θが60度、20度、10度であるときに、所望の対象を達成するために必要である ところの出力源の時系列である。ここでθ=10°対して、出力信号はほぼ正反対 である。 音源入力 図9a、9b、9cは、ラウドスピーカの見開き角度が、60度(図9a)、20度(図 9b)、10度(図9c)となる3つの異なった場合における2つの音源の入力を示す 。受聴者の距離は0.5mであり、マイクロフォンの間隔(頭部の直径)は18cmであ る。所望の信号はハニングパルスであり、以下のように表現される。 ここで、ω0は3.2kHz(このパルスの最初の零は6.4kHzであり、した がってこのエネルギーのほとんどは3kHz以下に集中している)の2π倍である。 これらの3つのラウドスピーカ角度60度、20度、10度に対して、それぞれに対応 する固有(リンギング)周波数は、1.9KHz、5.5kHz、11kHzである。もし、受聴 者が音源に対して近接し過ぎていなければ、直接経路とクロストーク経路が平行 に並んでいると仮定することによって、τは良好に近似できる。 さらにラウドスピーカの間隔が十分に狭いと仮定すれば、sin(θ/2)は これらの3つのラウドスピーカ角度60度、20度、10度に対して、 する。例えば、θがゼロになる場合に、2つの点音源によって生成される音場は 、コーディネイトされたシステムにおける元々の位置にある1つのモノポールと 1つのダイポールによって生成される音場と等しくなるような場合において、こ の制限が見られる。 のオーバーラップも多くなることは明らかである。これは、明らかに グ周波数はほとんど完全に抑圧され、ν1(t)とν2(t)は両者とも単純に指数 的に減衰するということは、直感的に明らかである(それらは両者ともtが大き いときにゼロに戻るという意味で減衰する)。しかしながら、 かである。したがって、近接して配置された1対のラウドスピーカにより完全な クロストークキャンセレーションを実現するためには、低周波に対して非常に大 きな出力が必要である。クロストークキャンセレーシヨンの問題は低周波の不良 であるために、これは起こる。この所望でない特性は物理学上の問題によって引 き起こされ、クロストークキャンセレーションシステムを実際に実現しようとす るときに、無視できないことである。 図10a、10b、10c、10dは4つの異なった音源の構成により再生された音場を示 す:ラウドスピーカの見開き角度は60度(図10a)、20度(図102、10度(図10c)の3 つであり、モノポール点音源とダイポール点音源の足し合わせにより生成された 音場を図10dに示す。図10a、10b、10cに示された音場は、図9a、9b、9c0に示 された入力音源によって生成されたモノである。4つの図は、それぞれ、9つの 音場の’スナップショット’かフレームで構成される。フレームは最上段左から 最下段右に向かって”読みとる順番に”連続して並べられており、最上段左は、 時間的に最も早く(t=0.2/c0)、下段右は最も遅い時刻(t=1.0/c0)である。個々の フレームの時間の進む間隔は0.1/c0であり、これは 音波が10cmを伝搬するのに 必要な時間と等しい。所望の信号の正規化(normalisation)は、右のラウドス ピーカが正確に時間t=0で音波を発生し始め、左のラウドスピーカが時間(τ)後 に音波を発生し始めることを保証する。それぞれのフレームは、(-0.5m<x1<0.5m ,0<x2<1)の範囲で、点で算出される。ラウドスピーカとマイクロフォンの位置は 円で表示される。1より大きい値は、白で、-1より小さい値は黒で表示され、 -1から1の間の値は随時適切に濃淡をつけてある。 図10aはθが60度の場合のクロストークキャンセレーション原理について示し ている。右のラウドスピーカからの正のパルス列と、右のラウドスピーカからの 負のパルス列が容易に確認できる。両方のパルス列は、リンギング周波数1.9kHz で発生されている。右のラウドスピーカからの最初のパルスだけが右のマイクロ フォンで観測される。しかしながら、音場の他の場所では、元のハニングパルス の’コピー’が多く見ら、それは2つのマイクロフォンのすぐ近傍でも見られる ので、この設定は頭部の移動に対してあまりロバストではない。 ラウドスピーカの開き角が20度に狭まった場合(図10b)、再生音場はよりシン プルになる。所望のハニングパルスはここでは、右のマイクロフォンの方へ向か って発生し、よりシンプルな’クロストーク抑圧ライン’は左のマイクロフォン を通して拡がっている。リンギング周波数は主要な波面の後方にさざ波として現 れる。 ラウドスピーカの開き角がさらに10度に狭まった場合(図10c)、リンギング周 波数の効果は最も除去され、音場内のほとんどの場所で見られる変動は、オリジ ナルのハニングパルスが減衰し遅延した単一のコピーのみである。このことは、 ラウドスピーカの見開き角を狭くすることにより、頭部の移動に対する本システ ムのロバスト性を向上させることを示唆している。しかしながら、2つのモノポ ール音源が非常に近接すると、ニアフィールド効果として、低周波数の出力が大 きいことが顕著になってくる。 図10dは、モノポール点音源とダイポール点音源の足し合わせにより生成され た再生音場を示す。この音源の結合は”リンギング”を完全に防ぐためであり、 したがって再生音場は非常に’きれい’である。2つのモノポールが10度の開き である場合も、予想通り、ニアフィール ド要素を含んでいる。ここで図10cと図10dが類似していることを指摘する。これ は、ラウドスピーカをさらに近接するように移動させても、再生音場に変化はな いことを意味している。 りも十分に低い間は、再生音場は、モノポールーダイポール結合点音源により生 成された音場と類似している。ラウドスピーカの見開き角θを減らすことにより 、リンギング周波数を上昇することができるが、θが小さすぎると、低周波数に 対する正確なクロストークキャンセレーションを達成するためには、ラウドスピ ーカからの非常に大きな出力が必要となる。実際には、ラウドスピーカの見開き 角は10度がよい妥協点である。 ここで、θがゼロに向かって減少するにしたがって、所望の対象を生成するた めの音場の解は、正確にモノポール点音源とダイポール点音源の結合による音場 のようになる。 実際には、受聴者頭部は発生した音場の、特に高周波数に対して影響を与える が、そうであっても、低周波数における再生音場の空間特性は上述の通り、事実 上保存される。このことは図11aと図11bに示されており、それぞれ図10aと図10c に相当する。図11aと図11bは、クロストークキャンセレーションが受聴者の右耳 で完全に実現されるように入力を調整された1対のラウドスピーカによって再生 された剛球近傍の音場を示す。 散乱波による音場を算出するために採用された解析方法では、発生する波面は平 面であると仮定された。これは2つのラウドスピーカは非常に遠くにあると仮定 することに相当する。剛球の直径は18cmであり、再生音場は60×60平方の領域内 、31×31点にて計算された。所望の信号は、自由音場内の例で用いられたものと 同じ、主なエネルギーが3kHz 以下に集中している様なハニングパルスである。図11aはラウドスピーカの見開 き角度が60度、図11bは10度の場合について検討している。これらの結果を算出 するために、以下に記載されるような、ディジタルフィルタ設計法が採用された 。、 クロストークキャンセレーションシステムをどのように算出するかを知れば、 仮想音源を生成することは、原理的には簡単である。それぞれの耳におけるクロ ストークキャンセレーション問題は解決されたのち、2つの結果は足し合わされ る。ラウドスピーカにとっては、完全なクロストークキャンセレーションをある 1点で実現するよりは、仮想音源を再生するための信号を生成する方が数倍も容 易である。 仮想音源イメージング問題は図8bに示される。我々は、モノポール音源が受 聴空間のどこかに位置していると想像する。この音源から受聴者の耳元までの伝 達関数はC1とC2と同様の種類であり、それらはA1とA2と表される。クロストーク キャンセレーションの場合のように、因果性を満たすために所望の信号を正規化 すると都合が良い。従って、所望の信号はD1=DC1A1/A2とD2=DC1で定義される。 この定義において、仮想音源は右半分の平面内(x1>0となる位置)に存在すると 仮定される。クロストークキャンセレーションの場合のように、Cv=dをvについ て解くことにより入力音源は算出でき、時間領域応答は逆フーリエ変換を行うこ とで決定される。この結果は、それぞれの入力音源はDと2つのデルタ関数の減 衰列の和との畳み込みであり、片方が正、もう片方は負である。これは、音源が 1つのパルスだけではなくて、2つの正のパルスを再生する必要があることを考 えれば、驚くことではない。従って、ν2(t)の’負の部分’と結合されたν1(t) の’正の部分’は受聴者の左耳にパルスを生成し、ν2(t)の’正の部分’と結合 されたν1(t)の’負の部分’は受聴者の右耳にパルスを生成する。これは図12a 、12b、12cに示 される。ここでθ=10の時、2つの入力音源はほとんど同じか、ほぼ正反対であ る。 音源入力 図12aなどは図9aなどに示されたものに相当する入力音源を示すが(ラウドス ピーカの見開き角度θが60度、20度、10度の3通り)、クロストークキャンセレ ーションシステムに対してではなく、仮想音源イメージングシステムについてで ある。仮想音源は(1m、0m)の位置であり、これは受聴者からみて真っ正面から 左に45度の位置を意味する。θが60度の場合(図12a)、正負両者のパルス列はν1 (t)とν2(t)においてはっきりと見て取れる。θが20度に減少すると(図12b)、正 負のパルス列は打ち消し合うようになる。これはθが10度になると(図12c)、さ らにはっきりとする。この場合、2つの入力信号が比較的短い持続時間(この持 続時間は仮想音源から発生したパルスがマイクロフォンに到達する時間差)を有 した方形波のようになる。このように、パルス列の正と負の部分が打ち消し合う ことの利点は、入力音源から低周波数の要素を十分に除去することであり、それ 故に実際にはクロストークキャンセレーションシステムよりも仮想音源イメージ ングシステムを実現する方が容易である。 再生音場 図13a、13b、13c、13dは、図10aなどで示された再生音場の9つの’スナップ ショット’のもう1つのセットであるが、クロストークキャンセレーションシス テムによってではなく、(1m、0m)の位置(各フレームの右下の角の位置)の仮想 音源によるものである。図10aなどのように、図はラウドスピーカの見開き角度 を減少させると、どのように再生 音場がシンプルになっていくかを表している。その限界では、リンギングはもは や見られず、所望の信号に相当する2つのパルスのみが音場内に存在する。 図13(a)などに示されているのは、主な周波数成分が3kHz以下のハニングパル スを用いて得た結果である。これらのシミュレーションから、両耳にパルスが到 達した真の時刻は、正確に仮想音源によって生成されるであろう到達時刻をシミ ュレートしている。バイノーラル(両耳)受聴における音像定位のメカニズムは 、与えられた方向にある音源によって両耳で生成されたパルスの、到達時間差に 大変依存しており、これは低周波数音源の定位を支配する手がかりであることが よく知られている。2つの近接したラウドスピーカを用いることは、これらの到 達時刻差は良好に再現されていることを保証するのに非常に効果的な方法である のは明らかである。しかし高周波数に対しては、その定位のメカニズムは2つの 耳での音の強さの差により依存することが知られている(高周波数信号の包絡線 のシフトがみられるが)。したがって、仮想音源イメージングを実際に実現する 際には、人間の頭部によるシャドー効果や回折効果を考慮することが重要である 。 式(8)に与えられる自由音場の伝達関数は音場再生を基本物理学的に解析す る際に有用であるが、これらはもちろん、ラウドスピーカから受聴者の鼓膜まで の正確な伝達関数の近似値でしかない。これらの伝達関数は、通常、HRTF(頭部 回折伝達関数)と呼ばれる。実際のHRTFを、測定する、あるいはモデリングする 方法は沢山ある。剛球は頭部付近の音場を数学的に計算することができるので、 この目的にとつて有用であるが、発生した音波に対する受聴者の両耳と胴体によ る影響を考慮しない。ダミーヘッドや人間で測定されたを用いる方法もある。こ れらの測定は、部屋とラウドスピーカの応答(特性)を含む場合も含まない場合 もある。実際のHRTFを得ようとする際に考慮するもう1つの重要な局面は、音源 から受聴者までの距離である。1m以上の距離では、音源がそれ以上に受聴者離れ るように移動しても(減衰や遅延は考慮しないが)、与えらた方向のHRTFは変化し ない。したがって、’遠方音場(far field)’のある閾値以上では、単一のHRTF のみが必要となる。しかし、ラウドスピーカから受聴者までの距離が短い場合は (例えばコンピュータの前に着席している場合)、’遠方音場’のHRTFを用いるよ りは、’距離にマッチングした’HRTFを用いる方がよい、と仮定することは正当 である。 たとえHRTFが得られたとしても、多チャンネルシステムは実際には常に非最小 位相成分を含むことを認識することは重要である。非最小位相成分を正確に補正 することができないことはよく知られている。これを未熟な技術で補正しようと 下結果、インパルス応答が非因果で不安定なフィルタができる。この問題を解決 する1つの方法は、フィルタの振幅特性が所望の信号の振幅特性と同じになるよ うな一組の非最小位相系フィルタを設計することである(CooperのUS Patent番号 5,333,200を参照)。しかし、これらの最小位相系フィルタは所望の信号の位相 特性とマッチできず、従って、再生信号の時間応答は所望の信号のそれと必然的 に異なるであろう。これは、例えばハニングパルスのような、所望の波面の形状 が最小位相系フィルタにより歪められることを意味する。 最小位相系を採用するのに代わり、本発明では、最小自乗近似とレギュラライ ゼーションを融合したマルチチャネルフィルタ設計手法(PCT/GB95/02005)を採用 し、これは、周波数領域あるいは時間領域において定義される、所望の信号と耳 元での再生信号との自乗誤差を最小にすることを保証する、因果で安定なディジ タルフィルタを算出するものである。このフィルタ設計手法は、受聴者の両耳で 再生された信号が 所望の信号の波面のほぼ同じに複製されることを保証する。低周波数では、受聴 者の頭部を囲む比較的大きな領域で、定位のメカニズムに大変重要である位相( 到達時刻)差は正確に再生される。高周波数では、受聴者の両耳に再生されるこ とを要求される強度差(振幅差)が正確に再生される。上述のように、フィルタ を設計するとき、HRTFは高周波数にて両耳間の強度差を決定するのに特に重要で あるので、受聴者のHRTFを含むことは特に重要である。 レギュラライゼーションは非正常の問題に採用される。非正常とは、所望の信 号を再生するために、ラウドスピーカから大変に大きな出力が必要とされる場合 (2つの近接したラウドスピーカにより低域周波数において完全なクロストーク を実現しようとする場合)の問題を説明するのに用いられる。レギュラライゼー ションは、事前に決定されたある周波数が、過度にブーストされないことを保証 するように作用する。モデリングディレイ手段は、フィルタが多チャンネル系の 最小位相成分を補正するとこができるようにするために用いられる(PCT/GB95/02 005)。モデリングディレイにより、フィルタからの出力は、典型的には数ミリ秒 くらいの、わずかな量だけ遅延される。 フィルタ設計手法の目的は、クロストークキャンセレーションシステムか、あ るいは仮想音源イメージングシステムを実現するために用いられる実際に実現可 能であるディジタルフィルタ行列を決定することである。フィルタ設計手法は、 時間領域か周波数領域、あるいは、時間/周波数領域両方のハイブリッド型の方 法にて実施される。与えられたモデリングディレイとレギュラライゼーションの 選択により、同じ最適フィルタですべてのシステムの実現が可能となる。 時間領域フィルタ設計 時間領域でのフィルタ設計手法は、最適フィルタの係数が比較的に小さい場合 に特に有効である。最適フィルタは反復法か直接法により求められる。反復法は メモリー使用の点で非常に効果的であり、ハードウェアでの実時間実現に適して いるが、収束に時間がかかる。直接法では、最小自乗の観点で線形方程式を解く ことにより最適フィルタを見つけることができる。この方程式は または、Cv=dで、ここでC、v、dは以下の通りである。 ここで、 であり、c1(n)とc2(n)は、ラウドスピーカから受聴者の両耳までの電気音響的伝 達関数のインパルス応答であり、それぞれがNc点の係数を有する。ベクトルv1と v2は、ラウドスピーカの入力を表し、従って、Nvが2つのインパルス応答それぞ れのフィルタのタップ数であるとき、v1=[ν1(0)...ν1(Nν-1)]T、v2=[ν2(0). ..ν2(Nν-1)]Tとなる。同様に、d1とd2は受聴者の両耳で再生されるはずの信号 を表し、これは、d1=[d1(0)...d1(Nc+Nν-2)]T、d2=[d2(0)...d2(Nc+Nν-2)]Tと なる。モデリングディレイは、右半分dを同量のmサンプルで作る、2つのイン パルス応答のそれぞれを遅らせることを含む。最適フィルタvは、 で与えられ、ここでβはレギュラライゼーションパラメータである。 フィルタ長の長いFIRフィルタは低周波数において十分なクロストークキャン セレーションを達成するために必要であり、この方法は、仮想音源イメージング システムのためのフィルタを設計するにより適している。しかし、もし、低周波 数をブーストするために、単一点IIRフィルタが含まれていると、クロストーク キャンセレーションシステムを設計するためには、時間領域でのフィルタ設計法 を採用することがより現実的である。IIRフィルタは所望の信号を修正ためにも 用いることが可能で、最適フィルタがある特定の周波数を過度にブーストしてし まうことを防ぐ働きもする。 周波数領域フィルタ設計法 時間領域での設計法に代わるものとして、‘速い逆処理’と呼ばれる周波数領 域での方法がある(PCT/GB95/02005)。これは非常に速く、実現が容易であるが、 最適フィルタの係数が大きい時にのみ良好な働きをする。実際の実現方法は簡単 である。周波数の離散的な多くの点で方程式CV=Dを解くことにより、周波数応答 V1とV2を計算するのが基本的な考え方である。ここで、Cは電気音響的な伝達関 数の周波数応答 を含んだ、複合行列であり、VとDは、それぞれがラウドスピーカ入力の周波数応 答と所望の信号を含んだ、V=[V1 V2]TとD=[D1 D2]Tとなる複合行列である。FFT は周波数領域に入ったりでたりするために用いられ、V1とV2の逆FFTの“円状シ フト”は、モデリングディレイを行うために用いられる。FFTがV1とV2の周波数 応答をNV点でサンプルする際に用いられるとき、これらの周波数におけるそれら の値は、 で与えられ、ここで、βはレギュラライゼーションパラメータ、Hは元の行列を 転置し、その共役をとることを表す記号で、kはk'番目の周波数に相当する; これは複素数 exp(j2πk/Nν) に相当する周波数を意味する。 与えられたβの値に対して、最適フィルタν1(t)とν2(t)のインパルス応答を 算出するためには、以下の手順が必要となる。 1. インパルス応答c1(n)、c2(n)、d1(n)、d2(n)をNvポイントでFFTを行うこと で、C(k)とD(k)を計算する。 2. それぞれのkにおけるNvの値について、上記の方程式からV(k)を計算する 3. V(k)の要素のNv点の逆FFTを行い、v(n)を計算する。 4. v(n)の個々の要素をmだけ円状シフトし、モデリングディレイを実行する。 例えば、もしv1(k)の逆FFTが{3,2,1,0,0,0,0,1}であれば、3 点の円状シフトを実行した後は{0,0,1,3,2,1,0,0}である。 mの正確な値は重要ではない;Nv/2の値はほんの少しの場合を除いて、良好に 働くようである。レギュラライゼーションパラメータβを適当な値に設定するこ とは必要であるが、βの正確な値はいつも重要ではなく、何度か‘トライ&ゴウ ’を繰り返すことで決定することができる。 関連するフィルタ設計手法は、特異値分解(singular valuedecomposition) 法(SVD)を用いている。これは非正常(悪性の)逆処理問題の解に用いられる ことがよく知られており、個々の周波数ことに採用することが可能である。 速い逆処理アルゴリズムはそれぞれの周波数に対してレギュラライ ゼーションを採用するので、レギュラライゼーションパラメータを周波数の関数 として明確に示すことは容易である。 時間/周波数領域ハイブリッド型フィルタ設計 速い逆処理アルゴリズムは、実際には任意の多くの点の離散的な周波数におい て、最適フィルタの周波数応答を算出するので、最適フィルタの周波数応答を連 続な周波数として扱うことが可能である。時間領域手法はこの周波数応答を近似 するのに用いられる。これは周波数に依存するリークを短い最適フィルタマトリ ックスに取り入れることができるという利点がある。 フィルタの特性 ラウドスピーカが近接した場合に、確かな仮想のイメージを生成するために、 2つのラウドスピーカの入力は注意深く揃えられなければならない。図12で示し たように、2つの入力はほとんど同じか、あるいは反対である:それらの間の時 間差は通常大変小さなものであり、これは受聴者の耳へ音が到達する到達時刻は 正確であることを保証する。受聴者の頭部が実際のHRTFを用いることでモデル化 されている場合においてさえも、これらのことは仮想音源の音像位置の範囲に対 しても同様であることを以下に示す。 図14ー20は、ラウドスピーカの2つの入力ν1とν2を、ラウドスピーカの見開 き角度θと音像の位置の組み合わせが6通りに異なった場合について比較したも のである。これらの組み合わせは以下の通りである。ラウドスピーカ見開き角10 度の場合において音像の位置が、a)15度、b)30度、c)45度、d)60度である。音像 位置が45度の場合において、ラウドスピーカの見開き角が、e)20度、f)60度の組 み合わせである。 この情報はそれぞれの図においても示されている。仮想音源の位置は、真っ正面 に対して反時計回りで測定され、つまりこれはすべての音像は受聴者に対して左 前方に存在し、ラウドスピーカの見開き角度の外側にあることを意味する。15度 の位置の音像は前方にある音像と最も近く、60度の位置の音像は左側方に向かっ て最も遠方である。図14ー20に示されたすべての結果は、MITのメディア研究室 にて、KEMARダミーヘッドを用いて測定され提供されている頭部回折伝達関数の データベース用いて算出された。時間領域におけるすべての数列は、サンプリン グ周波数44.1kHzで、すべての周波数応答は周波数帯域0Hzから10kHzまでの線形 のx軸にて表示されている。 図14はインパルス応答ν1(n)とν2(n)である。それぞれのインパルス応答は12 8点のであり、それらは時間領域にて直接法で算出された。帯域が大変広いので 、高周波数において応答の構造を見ることは困難であるが、しかしそれでもν1( n)は主に正であり、ν2(n)は負である。 図15はリニアスケールにおいて、図14で示されたインパルス応答 ピーカの見開きに対して2つの振幅特性は類似している。低周波数に対して、こ の両ラウドスピーカからは比較的に大きな出力を要求されるが、およそ2kHzま での周波数でその応答は滑らかに減少していることが見てとれる。2Khzから4k Hzの間では、応答は滑らかで比較的平坦である。60度の見開きに対しては、1番 のラウドスピーカが全体の周波数帯域において支配的である。 図16は、リニアスケールにおいて、図15で示された周波数応答の振幅間の比を 示している。ラウドスピーカの見開きが10度の場合、2つの振幅差は10kHz以下 のほとんどの周波数で2以下である。2つのラウドスピーカの入力が低周波数に おいて適度にブーストされている場合 でさえ、2つの応答の比は2kHz以下で特に滑らかである。 図17は、図15の周波数特性のアンラップ(unwrapped)位相特性である。共通 の遅延に相当する位相の特徴は、6対のそれぞれ(サンプリング間隔における6 つの遅延は、a)31、b)29,c)28,d)27,e)29,f)33である)から取り去ら れている。この目的は、応答をできる限り平坦にすることであり、そうでなけれ ば位相応答は、大きな負の傾斜を有することになり、これはプロットにおいて詳 細を検討することを不可能にする。ラウドスピーカの見開き20度と60度に相当す る位相応答は(図f中、y軸上)、はっきりと異なった傾斜を有するにもかかわら す、見開き10度では2つの位相応答はほとんど平坦であることがわかる。 図18は図17で示された位相応答間の差を示している。ラウドスピーカの見開き 10度において、差はπから0までの間である。これは角度θが10度のラウドスピ ーカの場合、10kHz以下のいかなる周波数においても2つのラウドスピーカの入 力は同位相ではないことを意味している。8kHz以下の周波数では、2つのラウ ドスピーカの入力の位相差は十分であり、その絶対値は常にπ/4(45度と等しい )より大きい。100HZ以下では、2つの入力は逆位相に非常に近い。2KHZ以下で は、位相差は-πラジアンから-π+1ラジアン(-180度から-120度までと等しい) の間であり、4kHz以下では、位相差は-πラジアンから-π+π12ラジアン(-180 度から-90度までと等しい)の間である。これはラウドスピーカの見開きが20度 と60度の場合ではない。これは仮想音源の音像をラウドスピーカの見開き角度の 外側に生成するためには、ステレオダイポールへの入力は十分な周波数帯域にお いてほとんど、でも完全にではないが、逆位相でなければならない。上述したよ うに、もし2つのラウドスピーカの周波数特性が十分に同じであれば、ラウドス ピーカの振動間の位相差はラウドスピーカへの入力の位相差と十分に等しいであ ろう。 もちろん、2つの等しい入力信号がそれぞれのラウドスピーカに与えられた場 合、2つのラウドスピーカは十分に同位相で振動することも言及しておく。 自由音場における解析によって、2つのラウドスピーカの入力が“同位相”と なる最小の周波数は、“リンギング”周波数である。上述したように、3つのラ ウドスピーカの見開き角度10度、20度、60度に対して、リンギング周波数はそれ ぞれ1.8kHz、5.4kHz、10.8kHzであり、図18において最初の零点交差が生じる周 波数とよく一致している。OHzにおいて2つのラウドスピーカの入力は常に正確 に逆位相である。また、人間の定位のメカニズムが高周波数において時間差に対 してセンシティブでないとしても、位相応答の正確な一致は高周波数においても 重要である。これは、それによって受聴者の両耳において再生された信号の振幅 は正確であることを保証する2つのラウドスピーカの、それぞれから放射されて いる音の干渉が原因である。いくつかの応用に対しては、制限された周波数帯域 内において、2つのラウドスピーカの入力が強制的に同位相になるようにするこ とが望ましいであろう。例えば、これは低周波数の緩やかなブーストを防ぐため か(類似の技術は、ビニールレコードのためにマスターを切断するときに、非常 に低周波数を強制的に同位相にするために用いられた)、あるいは、“スウィー トスポット”は非常に狭い領域に限られているが、非常に高周波数において再生 された音の色付けを防ぐために実現された。ある周波数帯域において、位相応答 が正確にマッチングされていない場合、仮想音源のみかけの像は、例えば1/3オ クターブバンドの雑音のような、その帯域内に特にエネルギーが集中している信 号によって乱される。しかしながら、過渡音の特性を有した信号に対して、みか けの像は、十分な周波数帯域において位相応答が正確にマッチングしている限り は、また良好に動作する。 ここで記載された位相特性差は、類似したラウドスピーカの振動の差を引き起 こす。したがって、例えば低周波数において、ラウドスピーカの振動は180度逆 位相に近くなる(例えばラウドスピーカの見開き角度を10度としたときは2kHz である。) 図19は、所望の波面が、周波数帯域がおよそ3kHzのハニングパスルであると きのν1(n)とν2(n)を示す(図12と13に示された自由音場における解析と同様に) 。ν2(n)はν1(n)とどのように類似しているかを見るために逆処理される。受聴 者の両耳に音が到達する到達時間が正確であることを保証する2つのパルス間の 差は非常に小さい。ここで図12において示された結果と図19で示された結果はよ く一致している(図19cは図12cに、19eは12bに、19fは12aに相当する)。 図20は図19にプロットされたインパルス応答間の差を示す。V2(n)は図19では 逆処理されているので、この差はν1(n)とν2(n)の和の差異である。ラウドスピ ーカの見開きが10度の場合、和の信号のほとんどに寄与する2つのパルスのオン セットは大変に小さい。 2つの近接したラウドスピーカを用いてクロストークキャンセレーションシス テムを実現するために、位相と振幅において、よくマッチされたフィルタを用い ることは重要である。ラウドスピーカが近づくように移動するにつれて、ダイレ クト経路とクロストーク経路はより類似するので、ラウドスピーカが比較的離れ た場合よりも近接した場合にはより多くの抑圧されなければならないクロストー クが存在する。 大変に正確なクロストークキャンセレーションフィルタを明確にすることの重 要性は周波数領域での手法を用いて算出されたフィルタセットの特性を考慮する ことによって示される。それぞれ128点の係数で構成されたフィルタと頭部回折 伝達関数はMITのデータベースから供給される。Hの対角要素はh1であり、非対角 要素はh2である。 は、それらの振幅特性であり、図21bは2つの差異である(224点のもので遅延を 取り除いた後の)位相特性であり、図21dはそれらの差異で らの差異は非常に小さい(8kHz以下の周波数で5dB以内である)。見開き角度10 度のラウドスピーカを用いた仮想音源イメージングでは、2つのフィルタは10kH z以下のいかなる周波数においても同位相ではなく、8kHz以下の周波数では、位 相差の絶対値はpi/4ラジアン(45度に相当する)より常に大きい。 図22は2つのフィルタのハニングパルス応答(a)とそれらの和(b)である。2つ のインパルス応答は正確に一致するか正反対であることに非 実現されなければ、実際このシステムのパフォーマンスは劣化するようになる。 ステレオダイボールへの2つの入力は正確にマッチしていることが重要である という意味で、ステレオダイポールが受聴者の頭部移動に対してどのようにロバ ストであるかということは顕著に優れた点である。これは図23と24に示されてい る。受聴者の頭部が左に5cm移動した場合(図23)と、右に5cm移動した場合( 図24)での、左耳に再生された信号(ω1(n)、実線、左の列)と右耳の信号(ω2 (n)、実線、右の列)は所望の信号d1(n)とd2(n)と比較された。所望の波面は主 なエネルギーが3kHz以下に集中しているハニングパルスであり、仮想音像は、 真っ正面から45度の位置である。頭部回折伝達関数はMITのデータベースから得 られ、ラウドスピーカへの入力は図19cにプロットされたものと同一である(ν2( n)はこの図では逆処理されている)。 図23は、受聴者頭部が5cm左(仮想音像の方に、図5を参照)に移 動したした場合の、受聴者の両耳で再生された信号である。図より、見開き60度 のラウドスピーカによって受聴者の両耳にて再生された信号は所望の信号と完全 に一致してはいないが、見開き10度のラウドスピーカによるシステムのパフォー マンスは顕著な影響を受けていない。 図24は、受聴者頭部が5cm右(仮想音像から遠ざかる方に)に移動したした場 合に、受聴者の両耳で再生された信号である。これは仮想音源が左のラウドスピ ーカにほぼ近接しているにもかかわらず、見開き60度のラウドスピーカ配置によ るパフォーマンスに深刻な劣化を引き起こす。しかしながら見開き10度のラウド スピーカ配置には頭部移動による顕著な影響は見られない。 ステレオダイポールは5チャンネル録音音源を伝送するのに用いることも可能 である。したがって、およそ近似的に設計されたフィルタ受聴者の前方と後方の 両方に仮想のラウドスピーカを配置するのに用いられる。このような仮想のラウ ドスピーカは通常、5チャンネル録音の音源を伝送するのに用いられる実際のラ ウドスピーカと同等であろう。 受聴者の後方に正確な仮想音像を再生できることが重要であるとき、第2のス テレオダイポールを受聴者の真後ろに設置することができる。第2の後方ダイポ ールは、例えば2つのサラウンド後方スピーカを実現するために用いられる。ま た1つのラウドスピーカの上にもう1つを設置した2つの近接したラウドスピー カは、水平面の外側に知覚される仮想音像の音質を改良することが考えられる。 複数のステレオダイポールを結合することは、全3次元のサラウンド音を実現す ることに用いられるであろう。 いくつかのステレオダイポールが、数人の受聴者に対して用いらる場合、ステ レオダイポール間のクロストークは、上述された種類のディジタルフィルタ設計 手法を用いることで修正されることができる。この ようなシステムは、例えば、車室内のエンターテイメントシステムやテレビ会議 システムなどに用いられる。 引き続いて近接した1対のラウドスピーカを通して再生されるための録音物は 、本発明によるフィルタからの出力信号を録音することにより製作される。図1 (a)によれば、例えば、出力信号ν1とν2は録音され、この録音物は引き続いて 個人の再生機で近接した1対のラウドスピーカを通して再生される。 ここで用いられたように、用語‘ステレオダイポール‘は本発明を叙述するた めに用いられ、‘モノポール‘とは、空間内の1点においてその体積速度を変動 させる理想的な音源を叙述するのに用いられ、‘ダイポール‘は、媒質に与えら れる力を変動させる理想的な音源を叙述するために用いられる。 本発明によるディジタルフィルタを用いることによって、オーディオ信号を大 変に正確に複製することが望ましいが、技術に熟知したものにとっては、ここで 明らかにされたディジタルフィルタの特性を近似するアナログフィルタを実現す ることが可能であるべきである。 したがって、ここで明らかにされたが、ディジタルフィルタの代わりにアナロ グフィルタを用いることは可能であると考えられるし、このような代用によって 、複製の精度は劣化することが考えられる。 単一の音のチャンネル入力にしろ2つ以上のラウドスピーカが用いられること もある(図8(a)、図8(b)を参照)。 ここまででは記述されていないが、従来の動電型ラウドスピーカ(moving coi l loudspeaker)の代わりに、トランスデューサー手段を用いることも可能であ る。例えば、特にコンパクト化の目的で特に小さなトランスデューサーが要求さ れる場合は、ピエゾエレクトリック、またはピエゾセラミックのアクチュエータ を使用することも可能である。 要求され、可能であれば、ここに記述されたいかなる形態(特徴)や配置は, 他の形態(特徴)や配置に加えられ、あるいは置き換えられる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1998年2月13日(1998.2.13) 【補正内容】 請求の範囲 1. ラウドスピーカ手段と、少なくとも1つの音響チャンネルからの信号に応答 してラウドスピーカを駆動するためのラウドスピーカドライブ手段を含む音場再 生システムであって、ラウドスピーカ手段が、受聴者に対して見開き角度が6度 から20度の間で定められる1対の近接して配置されたラウドスピーカ対を含み、 ラウドスピーカドライブ手段はフィルタ手段を含み、フィルタ手段の特性が、前 記受聴者の位置からの角度が60度のような、実質上は20度よりも大きい角度に 対する仮想のラウドスピーカの位置にラウドスピーカの仮想のイメージを生成す るように選択された、音場再生システム。 2. フィルタ手段が少なくとも1対のフィルタを含み、フィルタ対の1つの出力 が前記ラウドスピーカ対の1つのラウドスピーカに与えられ、フィルタ対のもう 一方のフィルタの出力が前記ラウドスピーカ対の1つのラウドスピーカに与えら れ、そのフィルタ対の出力が予め定める4kHz以下の可聴周波数帯域において互 いに逆位相であるが、しかし完全に逆位相ではない、2つのラウドスピーカの振 動を引き起こす、請求項1に記載の音場再生システム。 3. 見開き角度が8度から12度の間である請求項1又は2に記載の音場再生シス テム。 4. 見開き角度が約10度である請求項3に記載の音場再生システム。 5. 受聴者の頭部が予め定める受聴位置から側方に10cm移動した場合 でも、およそ4kHzまでで受聴者の両耳の周りの領域で仮想音源に対応する所望 の信号の再生が十分であるように、フィルタ手段が調整された請求項4に記載の 音場再生システム。 6. 低域可聴周波数帯域が100Hzから4kHzである、請求項2又は、それぞれが請 求項2に加えられた請求項3ないし5の何れかに記載の音場再生システム。 7. 逆位相の周波数帯域が200Hzから2kHzである、請求項2又は、それぞれが請 求項2項に加えられた請求項3ないし5の何れかに記載の音場再生システム。 8. それぞれのラウドスピーカに同一の入力信号が与えられた場合に2つのラウ ドスピーカが実質的に同位相で振動する、先行する請求項の何れかに記載の音場 再生システム。 9. フィルタ手段からラウドスピーカへの入力信号が周波数帯域100Hzから8kHz の間では同位相になることがない請求項8に記載の音場再生システム。 10.周波数帯域100Hzから4kHzでは2つのラウドスピーカの入力信号が同位相に なることがない請求項9に記載の音場再生システム。 11.フィルタ手段が少なくとも1対のフィルタを含み、フィルタ対の1つの出力 が前記ラウドスピーカ対の1つのラウドスピーカに与えられ、フィルタ対のもう 一方の出力が前記ラウドスピーカ対の1つの ラウドスピーカに与えられ、周波数帯域100Hzから4kHzではフィルタ対の周波数 応答は実質的に逆位相になる請求項1に記載の音場再生システム。 12.フィルタ対の周波数関数が実質的に逆位相となる周波数帯域が100Hzから2kH zである請求項11に記載の音場再生システム。 13.見開き角度が実際に実質的に10度である請求項11又は12に記載の音場再生シ ステム。 14.フィルタ手段が最小自乗平均近似を採用することで設計される先行する請求 項の何れかに記載の音場再生システム。 15.受聴者の両耳に再生された信号が所望の信号の波形の複製となるように、耳 元での所望の信号と再生された信号との自乗誤差を最小にする請求項14に記載の 音場再生システム。 16.フィルタ手段が頭部回折伝達関数(HRTF)手段を備える先行する請求項の何 れかに記載の音場再生システム。 17.頭部回折伝達関数がフィルタ行列を用いて表現される請求項16に記載の音場 再生システム。 18.予め定める信号周波数がブーストされることの制限処理を行うためのレギュ ラライゼーション手段を備える請求項1ないし17の何れかに記載の音場再生シス テム。 19.モデリングディレイ手段を備える請求項1項ないし18の何れかに記載の音場 再生システム。 20.ラウドスピーカの中心間の距離が約45cmを超えない請求項1ないし19の何れ かに記載の音場再生システム。 21.受聴に際して受聴者の頭部の最適な位置が前記ラウドスピーカから0.2m〜4.0 mの間である請求項1ないし20の何れかに記載の音場再生システム。 22.前記頭部位置が前記ラウドスピーカから0.2m〜1.0mである請求項21に記載の 音場再生システム。 23.前記頭部位置が前記ラウドスピーカから約2.0mである請求項21に記載の音場 再生システム。 24.ラウドスピーカの中心が互いに並列に並んでいる請求項1ないし23の何れか に記載の音場再生システム。 25.ラウドスピーカの中心の軸が1点に集中するように互いに向き合っている特 許請求の範囲第1項から第23項の何れか1項に記載の音場再生システム。 26.ラウドスピーカが単一のキャビネットに収納されている請求項1ないし25の 何れかに記載の音場再生システム。 27.フィルタ手段が2対のフィルタを含み、それぞれが2チャンネルステレオ録 音の片チャンネルを処理する請求項1ないし26の何れかに記載の音場再生システ ム。 28.予め定める受聴者の位置に対して見開き角度が6度から20度であると定めら れた1対の近接したラウドスピーカと、2つのラウドスピーカを収納した単一の キャビネットと、受聴者のHRTF(頭部回折伝達関数)表現を用いて設計されたフ ィルタ手段の形態をとるラウドスピーカドライブ手段と、ラウドスピーカドライ ブの信号を前記フィルタ手段に入力するための手段とを備え、前記フィルタ手段 の特性が、前記受聴者の位置からの角度が60度のような、実質上は20度よりも 大きい角度に対する仮想のラウドスピーカの位置にラウドスピーカの仮想のイメ ージを生成するように選択された、ステレオ音場再生システム。 29.モデリングディレイを備える請求項28に記載のステレオ音場再生システム。 30.受聴者に対して見開き角度が6度から20度であると定められ、1対の近接配 置されたラウドスピーカであって、該ラウドスピーカからの距離が0.2mから4.0m の位置で1点に集中するように向き合わされ、ラウドスピーカが単一のキャビネ ットに収納された、ステレオ音場再生システム。 31.フィルタ手段がラウドスピーカを駆動するために用いられる請求項 30に記載のステレオ音場再生システム。 32.前記フィルタ手段がディジタルフィルタ手段を含む請求項1ないし29の何れか 又は請求項31に記載のステレオ音場再生システム。 33.音響信号から前記音場録音を生成するために採用されたフィルタ手段を用い 、予め定める受聴者の位置に対して見開き角度が6度から20度であると定められ た1対の近接したラウドスピーカを通してステレオアンプを用いて再生される音 場録音であって、そうでなければ、受聴者が居るとされた位置に対して60度の ような実質的に20度よりも大きい見開き角度で配置され、そうすることにより仮 想のラウドスピーカイメージを生成するために、ラウドスピーカへの入力におい て仮想音像イメージングのためのフィルタ手段を必要とすることを回避するラウ ドスピーカ対を通しステレオアンプを用いて再生されることに適しており、前記 音場録音を生成するために採用された前記フィルタ手段が、請求項1ないし32の 何れのに記載の音場再生システムにおいて用いられたフィルタ手段と同様の特徴 を有する、音場録音。 34.請求項2に特徴づけられるフィルタ手段にステレオ又は複数チャンネル録音 された信号を与えることによって生成される請求項32に記載の音場録音。 35.前記フィルタ手段がディジタルフィルタ手段を含む請求項33又は34に記載の 音場録音。 36.添付される明細書を参照し、上記に記載される音場録音システム。 37.添付される明細書を参照し、上記に記載されるように生成される請求項33に 記載の音場録音。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 濱田 晴夫 東京都101千代田区神田錦町2―2 東京 電機大学情報通信工学科内 【要約の続き】 デリングディレイ手段を用いる、あるいは組み込むこと によって供給される。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. ラウドスピーカ手段と、少なくとも1つの音響チャンネルからの信号に応答 してラウドスピーカを駆動するためのラウドスピーカドライブ手段とを含む音場 再生システムであって、前記ラウドスピーカ手段は受聴者に対して見開き角度が 6度から20度の間で定められる1対の近接して配置されたラウドスピーカ対を含 み、ラウドスピ一カドライブ手段はフィルタ手段を含む、音場再生システム。 2. 見開き角度が8度から12度の間である請求項1記載の音場再生システム。 3. 見開き角度が約10度である請求項1又は2に記載の音場再生システム。 4. フィルタ手段は少なくとも1対のフィルタを含み、対のうちの1つのフィル タの出力は1つのラウドスピーカに与えられ、もう1つのフィルタの出力はもう 一方のラウドスピーカに与えられる、2つのラウドスピーカを有する請求項2又 は3に記載の音場再生システム。 5. 1対のフィルタの出力が、周波数帯域100Hzから4kHzの間でそれぞれが実質 上逆位相となる2つのラウドスピーカの振動を引き起こす請求項4に記載の音場 再生システム。 6. 逆位相の周波数範囲が200Hzから2kHzである請求項5に記載の音場再生シス テム。 7. 同一の入力信号がそれぞれのラウドスピーカに与えられた場合、2つのラウ ドスピーカは実質上、お互いに同位相で振動する請求項4に記載の音場再生シス テム。 8. 周波数帯域が100Hzから8kHzの範囲では1対のフィルタから2つのラウドス ピーカに入力される信号が同位相になることがない請求項7に記載の音場再生シ ステム。 9. 周波数帯域が100Hzから4kHzの範囲では、2つのラウドスピーカの入力信号 が同位相になることがない請求項8に記載の音場再生システム。 10.周波数帯域100Hzから4kHzの間ではフィルタ対の周波数応答が実質上は互い に逆位相である請求項4ないし9の何れかに記載の音場再生システム。 11.フィルタ対の周波数関数が互いに実質上は逆位相である周波数帯域が100Hzか ら2kHzである請求項10に記載の音場再生システム。 12.見開き角度が実質上10度である請求項4ないし11の何れかに記載の音場再生 システム。 13.フィルタ手段が最小自乗平均近似を採用することによって設計される請求項 1ないし12の何れかに記載の音場再生システム。 14.受聴者の両耳に再生された信号が所望の信号の波面の複製となるように、耳 元での所望の信号と再生された信号との自乗誤差を最小にすることによる請求項 13に記載の音場再生システム。 15.クロストークキャンセレーション手段を備える請求項1ないし14の何れかに 記載の音場再生システム。 16.仮想音源イメージング手段を備える請求項1ないし15の何れかに記載の音場 再生システム。 17.頭部回折伝達関数(HRTF)手段を備える請求項1ないし16の何れかに記載の 音場再生システム。 18.頭部回折伝達関数はフィルタ行列を用いて表現される請求項17に記載の音場 再生システム。 19.事前に決定された信号周波数がブーストされることの制限処理を行うための レギュラライゼーション手段を備える請求項1ないし18の何れかに記載の音場再 生システム。 20.モデリングディレイ手段を備える請求項1ないし19の何れかに記載の音場再 生システム。 21.ラウドスピーカの中心間の距離が約45cmを超えない請求項1ないし20の何れ かに記載の音場再生システム。 22.受聴に際して受聴者の頭部の最適な位置が前記ラウドスピーカから0.2m〜4.0 mの間である請求項1ないし21の何れかに記載の音場再生システム。 23.前記頭部位置が前記ラウドスピーカから0.2m〜1.0mである請求項22に記載の 音場再生システム。 24.前記頭部位置が前記ラウドスピーカから約2.0mである請求項22に記載の音場 再生システム。 25.ラウドスピーカの中心が互いに並列に並んでいる請求項1ないし24の何れか に記載の音場再生システム。 26.ラウドスピーカの中心の軸が1点に集中するように互いに向き合っている請 求項1ないし24の何れかに記載の音場再生システム。 27.ラウドスピーカが単一のキャビネットに収納されている請求項1ないし26の 何れかに記載の音場再生システム。 28.フィルタ手段が2対のフィルタを含み、それらの1つ1つが2チャンネルのス テレオ録音の1つのチャンネルを処理する請求項1ないし27の何れかに記載の音 場再生システム。 29.受聴者に対して見開き角度が6度から20度に定められた一対の近接配置され たラウドスピーカと、2つのラウドスピーカを収納する単一のキャビネットと、 受聴者のHRTF(頭部回折伝達関数)表現を 用いて設計されたフィルタ手段と、ラウドスピーカドライブの信号を前記フィル タ手段に入力する手段とを含むステレオ音場再生システム。 30.モデリングディレイを備える請求項29に記載のステレオ音場再生システム。 31.受聴者に対して見開き角度が6度から20度に定められた一対の近接配置され たラウドスピーカであって、該ラウドスピーカからの距離が0.2mから4.0mの位置 で1点に集中するように向き合わされ、前記ラウドスピーカが単一のキャビネッ トに収納されたステレオ音場再生システム。 32.フィルタ手段がラウドスピーカを駆動するために用いられる請求項31に記載 のステレオ音場再生システム。 33.前記フィルタ手段がディジタルフィルタ手段を含む請求項1ないし30の何れ か又は請求項32に記載の音場再生システム。 34.ステレオアンプと、ラウドスピーカの入力にフィルタ手段を必要とすること を避けるために前記音場録音に採用されたフィルタ手段を用い、1対の近接した ラウドスピーカを通して再生されるための音場録音。 35.請求項4項ないし14に記載のフィルタ手段と同様の特性を有するフィルタ手 段を採用する請求項34に記載の音場録音。 36.請求項4ないし14に特徴づけられるフィルタ手段にステレオ又は複数チャン ネル録音された信号を与えることによる音場録音。 37.前記フィルタ手段がディジタルフィルタ手段を含む請求項34、35又は36に記 載の音場録音。 38.添付される明細書を参照し、上記に記載される音場録音システム。 39.請求項1ないし33の何れかに記載の音場再生システムを通して再生されるた めの音場録音。 40.添付される明細書を参照し、上記に記載されるように生成される請求項39に 記載の音場録音。
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