JP2000507095A - ネズミα(1,3)フコシルトランスフェラーゼFuc―TVII、それをコードするDNA、その製造法、それを認識する抗体、それを検出するためのイムノアッセイ、このようなDNAを含むプラスミド、およびこのようなプラスミドを含む細胞 - Google Patents

ネズミα(1,3)フコシルトランスフェラーゼFuc―TVII、それをコードするDNA、その製造法、それを認識する抗体、それを検出するためのイムノアッセイ、このようなDNAを含むプラスミド、およびこのようなプラスミドを含む細胞

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Abstract

(57)【要約】 シアリルルイスX決定基を合成することができるネズミ白血球αフコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子をクローニングした。

Description

【発明の詳細な説明】 ネズミα(1,3)フコシルトランスフェラーゼFuc−TVII、それをコー ドするDNA、その製造法、それを認識する抗体、それを検出するためのイムノ アッセイ、このようなDNAを含むプラスミド、およびこのようなプラスミドを 含む細胞 発明の背景 発明の分野 本発明は、ネズミα(1,3)フコシルトランスフェラーゼ、Fuc−TVI I、このようなネズミα(1,3)フコシルトランスフェラーゼ、Fuc−TV IIをコードするDNA、このようなDNAを含むプラスミド、このようなプラ スミドで形質転換した細胞、これらの細胞を培養することによるネズミα(1, 3)フコシルトランスフェラーゼ、Fuc−TVIIの製造法、ネズミα(1, 3)フコシルトランスフェラーゼ、Fuc−TVIIに特異的に結合するモノク ローナル抗体、およびこのようなモノクローナル抗体を用いてネズミα(1,3 )フコシルトランスフェラーゼ、Fuc−TVIIを検出するためのイムノアッ セイに関する。背景の説明 白血球と内皮細胞との間の細胞接着現象は、血管樹から血中白血球の流出(exi t)を促進する作用をする。細胞接着分子のセレクチンファミリー、およびそれら の対レセプターは、この工程の初期に機能して、白血球と内皮細胞単層との間の 移行性接着接触(transient adhesive contacts)を媒介する。これらのセレクチ ン依存性接着接触は、白血球に影響を与える剪断力と一緒になって、内皮単層に 沿って白血球の「回転」を引き起こす。白血球が回転すると、白血球の活性化、 堅い白血球−内皮細胞付着、経内皮移動などの引き続く現象を促進する(T.A.S pringer,Cell,vol.76,pp.301-314(1994);R.P.McEver et al.,J.Biol.C hem.,vol.270,pp.11025-11028(1995))。 活性化した血管内皮細胞によって発現されるE−およびP−セレクチンは、白 血球によって示される糖タンパク質の対レセプターを認識する。これらのセレク チンのそれぞれは、炎症に関する白血球回転を伝達する作用をすることができる 。L−セレクチンは、余りよく理解されていない内皮細胞リガンドとの相互作用 による活性化した血管内皮への白血球の接着の伝達にも関与している(M.L.Arbo nes et al.,Immunity,vol.1,pp.247-260(1994);K.Ley et al.,J.Exp.M ed.,vol.181,pp.669-675(1995))。対照的に、白血球L−セレクチンは、リン パ節とパイアー斑内に高内皮性小静脈(HEV)を整列している分化した立方体 様細胞によって提示される(displayed)糖タンパク質カウンターレセプターを認 識する。これに関するL−セレクチン依存性の接着相互作用は、リンパ球のリン パ性集合体へのトラフィキング(trafficking)(リンパ球「ホーミング」)を促 進する作用をする。 3種類のセレクチンファミリーメンバーのそれぞれに共通のNH2−末端のC −型哺乳類レクチンドメインは、白血球(E−およびP−セレクチンリガンド) (R.P.McEver et al.,J.Biol.Chem.,vol.270,pp.11025-11028(1995);A.Va rki,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,vol.91,pp.7390-7397(1994))、または HEV(L−セレクチン)(S.D.Rosen et al.,Curr.Opin.Cell Biol.,vol .6,pp.663-673(1994))によって発現される(displayed)特異的なオリゴ糖リガ ンドとのカルシウム依存性相互作用による細胞接着を伝達する。E−およびP− セレクチンに対する生理学的リガンド活性は、シアリル・Lewis x(sL ex)[NeuNacα2,3Galβ1,4(Fucα1,3)GlcNAc −R]と呼ばれる非還元末端の四糖(A.Varki,Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A.,vol.91,pp.7390-7397(1994))、および/またはそのジフコシル化変 異体(T.P.Patel et al.,Biochemistry,vol.33,pp.14815-14824(1994))の発 現に決定的に依存している。しかしながら、E−およびP−セレクチンは、異な る状況でこのオリゴ糖を認識する。P−セレクチン依存性の細胞接着は、sLex がP−セレクチン糖タンパク質リガンド1(PSGL−1)と呼ばれる特異タ ンパク質上に存在するセリンおよびトレオニン結合オリゴ糖によって発現される (displayed)とき、最適となる(K.L.Moore et al.,J.Cell.Biol.,vol.188 ,pp.445-456(1992);D.Sako et al.,Cell,vol.75,pp.1179-1186(1993))。 sLexで修飾されたPSGL−1も、E−セレクチンに対する高アフィニティ ーカウンターレセプターを表すと思われる(D.Asa et al.,J.Biol.Chem.,vo l.270,pp.11622-11670(1995);K.D.Patel et al.,J.Clin.Invest.,vol .96,pp.1887-1896(1995))。E−セレクチンリガンド1(ESL−1)と呼ば れる異なった白血球糖タンパク質(M.Steegmaler et al.,Nature,vol.373,p p.615-620(1995))およびそのα(1,3)フコシル化し、アスパラギンに結合 したオリゴ糖も、E−セレクチンカウンターレセプターとして機能することがあ る。 HEV上の生理学的L−セレクチンカウンターレセプターは、糖タンパク質で あるGlyCAM−1(L.A.Lasky et al.,Cell,vol.69,pp.927-938(1992) )、CD34(S.Baumhueter et al.,Science,vol.262,pp.436-438(1993)) 、およびMadCAM−1(E.L.Berg et al.,Nature,vol.366,pp.695-698(1 993))によって表される。生化学的検討は、これらの分子のL−セレクチンリガ ンド活性も、グリコシル化による翻訳後修飾に決定的に依存していることを示し ている。初期の研究には、シアリル化および硫酸化の要件が詳細に記載され(Y.I mai et al.,J.Cell Biol.,vol.113,pp.1213-1221(1991))、α(1,3) フコシル化の要件が暗示され、これらの修飾はセリンおよび/またはトレオニン 結合グリカンの成分であることが示されていた。更に最近のオリゴ糖構造解析で は、この研究が敷衍され、高アフィニティーL−セレクチンリガンド活性はsL ex決定基の硫酸化変異体によって変化することが暗示されている。 NeuNAcα2,3(SO46)Galβ1,4(Fucα1,3)GlcN Ac−R(S.Hemmerich et al.,Biochemistry,vol.33,pp.4820-4829(1994) ;S.Hemmerich et al.,Biochemistry,vol.33,pp.4830-4835(1994);S.Hemm erich et al.,J.Biol.Chem.,vol.270,pp.12035-12047(1995))。 sLexの発現は、1種類以上のα(1,3)フコシルトランスフェラーゼの 細胞系譜特異的発現によって決定される(S.Natsuka et al.,Curr.Opin.Stru c.Biol.,vol.4,pp.683-691(1994))。これらの酵素は、ドナー基質GDP− フコースを用い、α1,3−結合フコースの共通の3’−シアリル−N−アセチ ル−ラクトースアミン前駆体への付加を伴うグリコシル転移を触媒する。sLex の硫酸化変異体の発現は、硫酸塩修飾された3’−シアリル−N−アセチルラ クトースアミン前駆体で作用するα(1,3)フコシルトランスフェラーゼ活性 または次に硫酸化によって修飾されたsLex残基を生成するものの系譜特異的 発現によっても変化すると考えることができる。 白血球でのセレクチンリガンド発現に関与する(複数の)α(1,3)フコシ ルトランスフェラーゼの本体は余り画定されておらず、HEV特異的α(1,3 )フコシルトランスフェラーゼは報告されていない。今日までに、5種類の異な るヒトα(1,3)フコシルトランスフェラーゼがクローニングされている(J. F.Kukowska-Latallo et al.,Genes & Dev.,vol.4,pp.1288-1303(1990);B. W.Weston et al.,J.Biol.Chem.,vol.267,pp.24575-24584(1992);B.W.W eston et al.,J.Biol.Chem.,vol.267,pp.4152-4160(1992);J.B.Lowe et al.,J.Biol.Chem.,vol.266,pp.17467-17477(1991);S.E.Goelz et al. ,Cell,vol.63,pp.1349-1356(1990);R.Kumar et al.,J.Bio1.Chem. ,vol.266,pp.21777-21783(1991);S.Natsuka et al.,J.Biol.Chem.,vol .269,pp.16789-16794(1994);K.Sasaki et al.,J.Biol.Chem.,vol.269 ,pp.14730-14737(1994))。ノーザンブロット法および分子クローニング分析法 によれば、これらのうちの2個であるFuc−TIV(J.B.Lowe et al.,J.B iol.Chem.,vol.266,pp.17467-17477(1991);S.E.Goelz et al.,Cell,vol .63,pp.1349-1356(1990);R.Kumar et al.,J.Biol.Chem.,vol.266,pp .21777-21783(1991))およびFuc−TVII(S.Natsuka et al.,J.Biol. Chem.,vol.269,pp.16789-16794(1994);K.Sasaki et al.,J.Biol.Chem. ,vol.269,pp.14730-14737(1994))と呼ばれるものは、白血球細胞で発現され 、セレクチンリガンド発現に重要な関与を行う可能性のあるものであることが暗 示されている。しかしながら、この過程におけるFuc−TIV(ELAM−1 リガンドフコシルトランスロケーションまたはELFTとしても知られている) の役割は、明らかになっていない。Fuc−TIV/ELFTは、非シアリル化 N−アセチル−ラクトースアミン前駆体を効率的に用いてLex残基を発現させ ることができるが(J.B.Lowe et al.,J.Biol.Chem.,vol.266,pp.17467-1 7477(1991);R.Kumar et al.,J.Biol.Chem.,vol.266,pp.21777-21783(19 91))、この酵素は総ての細胞に関してLex発現を決定することはできず、白血 球または白血球の前駆細胞でこれを行う能力は示されていない。対照的に、Fu c−TVIIは、sLex合成が生化学的に可能な検討を行なった総ての哺乳類 細胞に関してsLex発現を決定することができることは明らかである(S.Natsu ka et al.,J.Biol.Chem.,vol.269,pp.16789-16794(1994);K.Sasaki et al.,J.Biol.Chem.,vol.269,14730-14737(1994))。硫酸化sLex決定基 によって表されるL−セレクチンリガンドの合成に関与するその能力については 、いずれの酵素も試験されていない。 従って、他のα(1,3)フコシルトランスフェラーゼ、およびこれを製造す るのに有用な方法、細胞、プラスミドおよびDNAが必要とされている。また、 このようなα(1,3)フコシルトランスフェラーゼの検出に有用な抗体および イムノアッセイも求められている。 発明の概要 従って、本発明の目的は、新規なα(1,3)フコシルトランスフェラーゼを 提供することである。 本発明のもう一つの目的は、このα(1,3)フコシルトランスフェラーゼを コードする新規なDNAを提供することである。 本発明のもう一つの目的は、このようなDNAを含む新規なプラスミドを提供 することである。 本発明のもう一つの目的は、このようなプラスミドで形質転換した新規な細胞 を提供することである。 本発明のもう一つの目的は、このような形質転換細胞を培養することによって 上記のようなα(1,3)フコシルトランスフェラーゼを製造するための新規な 方法を提供することである。 本発明のもう一つの目的は、このようなα(1,3)フコシルトランスフェラ ーゼに特異的に結合する新規なモノクローナル抗体を提供することである。 本発明のもう一つの目的は、このようなモノクローナル抗体を用いて上記のよ うなα(1,3)フコシルトランスフェラーゼを検出するための新規なイムノア ッセイを提供することである。 本発明のもう一つの目的は、上記のようなα(1,3)フコシルトランスフェ ラーゼによって残基をフコシル化する新規な方法を提供することである。 上記および他の目的は、以下の詳細な説明から明らかになるものであり、α( 1,3)フコシルトランスフェラーゼFuc−TVIIの本発明者らによるクロ ーニングによって達成されたものである。図面の簡単な説明 添付図面に関して考察するとき、下記の詳細な説明を参照することによって更 に理解されるので、本発明およびそれに付随する利点の多くの更に完全な理解が 得られる。 第1a図は、ネズミFuc−TVII遺伝子およびcDNAの構造および機能 的活性を示す。ネズミFuc−TVII遺伝子の複合エクソン構造を最上段に示 す。模式図の下の番号はイントロン−エキソン境界のヌクレオチド位置、および 遺伝子座の既知配列の最初(1)および最後(3520)のヌクレオチドに相当する。イ ントロン−エクソン境界は、cDNA配列を相当するゲノムDNA配列と比較す ることによって画定される(第2図参照)。「ATG」の直ぐ上の模式図の番号 は、下記に詳細に説明するように、3種類の可能性のある開始コドンのそれぞれ における最初のヌクレオチドのヌクレオチド位置に相当する。「STOP」の直 ぐ上の模式図の番号は、エキソン3bに局在した翻訳終止コドン(TGA;塩基 対1900〜1902)のヌクレオチド位置であって、cDNA6および10で 表されるcDNAクラスのヌクレオチド996〜998における開始コドンによ って開始される潜在的オープン・リーディング・フレームを切断するものに相当 する(詳細については本分を参照されたい)。ネズミ細胞毒性T−リンパ球細胞 系14〜7fdから単離されたFuc−TVIIcDNAの5種類の構造的に異 なるクラスの代表的メンバーは、遺伝子構造模式図の下に模式的に表されている 。示されたcDNAは、最長の5’伸長を有するそれぞれのクラスの代表的メン バーである。それぞれのクラスで単離されたcDNAの数は、「cDNAの数」 と表示した欄に示されている。それぞれのcDNAを、COS−7細胞で一過性 発現を行った(実施例の実験手順を参照)。次に、トランスフェクションしたC OS−7細胞を、フローサイトメトリー分析に付し、それぞれのcDNAによっ て決定された細胞表面グリコシル化表現型を特性決定した。この酵素をコードす る コトランスフェクションしたプラスミドベクターによってコードされたクロラム フェニコールアセチルトランスフェラーゼ活性によって決定されるトランスフェ クション効率に規格化したトランスフェクションした個体数のシアリルLewi s x陽性細胞の画分(モノクローナル抗体CSLEX−1で陽性染色)を、「 CSLEX−1陽性の比率」と表示した欄に示す。これらの結果は、ネガティブ コントロールベクターpCDM8で得られた2%染色のバックグラウンド上で観 察された抗原陽性細胞の画分を表している。抽出物もトランスフェクションした 細胞から調製して、受容体として5mMシアリル−N−アセチルラクトースアミ ンを用いてイン・ビトロでのα(1,3)フコシルトランスフェラーゼアッセイ に付した(実施例の実験手順を参照)。(トランスフェクション効率について規 格化した)それぞれのcDNAによってコード化されたα(1,3)フコシルト ランスフェラーゼの特異活性を、「Sp.Act.(cpms/μg/時)」と 表示した欄に示す。 第1b図は、cDNA3,5,6,10および14によってCOS−7細胞で 発現されたポリペプチドのウェスタン・ブロット分析の結果を示す。上記の第1 a図に示したα(1,3)フコシルトランスフェラーゼアッセイで使用した抽出 物も、抗原アフィニティー精製抗Fuc−TVII抗体を用いてウェスタン・ブ ロット分析に付した。それぞれの型のトランスフェクションした細胞抽出物から 分析したタンパク質の量を変化させ、精確にフローサイトメトリーおよびα(1 ,3)フコシルトランスフェラーゼ活性分析について第1a図に上記したように トランスフェクション効率に対して規格化を行った。細胞抽出物をSDS−ポリ アクリルアミドゲル電気泳動によって分画し、PVDF膜にエレクトロブロッテ ィングし、Fuc−TVII発現ベクターでコードしたポリペプチドを、実施例 の実験手順に記載されているように、抗原アフィニティー精製ウサギ抗−Fuc −TVII抗体、ヤギ抗−ウサギIgG−ペルオキシダーゼ複合体、および市販 の 向上した化学発光試薬(ECL、Amersham)でプロービングすることによって同 定した。 第2図は、単離したマウスFuc−TVII遺伝子のヌクレオチドおよび推定 アミノ酸配列を示す。DNA配列は、ネズミFuc−TVII遺伝子座を含むフ ァージから誘導した。cDNA(第1a図)に含まれるDNA配列を上のケース に示し、イントロン位置に相当するDNA配列を下のケースに示す。cDNA配 列によって予言されたアミノ酸配列を、単一文字コードで示す。本分で詳細に説 明するように、別のスプライシング現象により、次に3種類の異なるポリペプチ ドをコードすることができる異なるcDNAを生成する。一つのタンパク質は、 ヌクレオチド位置996〜998に局在化したメチオニンコドンで開始すること が予想されている(389残基、44,492Da;cDNA5;第1図)。第 二のタンパク質は、ヌクレオチド位置1947〜1949に局在化したメチオニ ンコドンで開始することが予想されている(342残基、39,424Da;c DNA6,10および14;第1図)。第三のタンパク質は、ヌクレオチド位置 2126〜2128に局在化したメチオニンコドンで開始することが予想されて いる(318残基、36,836Da;cDNA3並びに総ての他のcDNA; 第1図)。 第3aおよびb図は、ネズミFuc−TVII遺伝子の組織特異的発現パター ンを示す。ネズミ組織および細胞系から精製したオリゴ−dT精製mRNA(5 μg)をアガロースゲル電気泳動によって分画し、ナイロンハイブリダイゼーシ ョン膜にブロッティングし、マウスFuc−TVII遺伝子座のコード領域から 誘導した979塩基対のDNAセグメントでプローブした(ヌクレオチド222 8〜3207;第2図および実施例の実験手順を参照)。kbでのRNA分子サ イズ標準を、それぞれのパネルの左に表示する。次に、それぞれのブロットをス トリッピングし、放射能標識したニワトリグリセルアルデヒド3−リン酸デヒド ロゲナーゼプローブで再プロービングし、RNA試料が完全なままであり等量で 装填されたことを確かめた(実施例の実験手順を参照)。 第3a図は、マウス組織、およびネズミT−リンパ球細胞系14−7fd(1 4FD)から単離したポリアデニル化RNAを示す。 第3b図は、マウス骨髄および脾臓、および培養したネズミ白血球細胞系から 単離したポリアデニル化RNAを示す。細胞系は、下記の系譜を表す。MEL, ネズミ赤白血病細胞系;P388およびRAW(RAW 264.7),マクロ ファージ;EL4,T細胞;S107,63(TH2.54.63)および18 0.1,B細胞系(ハイブリドーマ)。 第4図は、ネズミリンパ節およびパイアー斑のFuC−TVII転写体のイン ・シトゥ(in situ)でのハイブリダイゼーション分析の結果を示す。腋窩リン パ節(末梢リンパ節と表示された欄;パネルA,B,C)、腸間膜リンパ節(腸 間膜リンパ節と表示された欄;パネルD,E,F)、およびパイアー斑(パイア ー斑と表示された欄;パネルG,H,I)の連続した厚みが10μmの凍結切片 を、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色し(H&Eと表示された列;パネルA ,D,G,明視野照明を用いる5倍の倍率の写真)、または実施例の実験手順に 記載されているように、インシトゥハイブリダイゼーション処理を行なった。イ ンシトゥハイブリダイゼーションを施した隣接する切片を、ネズミFuc−TV II遺伝子座の塩基対2196〜2497から誘導した35S−標識アンチセンス RNAプローブでプロービングし(アンチセンスと表示した列;パネルB,E, H)、またはネズミFuc−TVII遺伝子座の塩基対2196〜2497から 誘導した35S−標識したネガティブコントロールセンスRNAプローブでプロー ビングした(センスと表示した列;パネルC,F,I)。インシトゥハイブリダ イゼーション処理を行なった切片は、暗視野照明を用いて5倍で写真撮影した。 パネルB,EおよびHの白色部分は、Fuc−TVIIアンチセンスプローブが Fu c−TVII転写体を同定する部位(すなわち、パネルBおよびEでは、高内皮 性小静脈性内皮細胞;パネルHでは、高内皮性小静脈性内皮細胞および管腔に位 置した細胞(リンパ球様集合体上の白色染色した「キャップ」))に相当する( 詳細については、本文を参照)。 第5aおよびb図は、リンパ球様集合体高内皮性小静脈性内皮細胞でのFuc −TVII、MECA−79およびL−セレクチンリガンドの発現の免疫組織化 学的同時局在化を示す。 第5a図は、HEVにおけるFuc−TVII、MECA−79およびL−セ レクチンリガンドの同時局在化発現を示す。腋窩リンパ節(末梢リンパ節と表示 された欄)、腸間膜リンパ節(腸間膜リンパ節と表示された欄)、およびパイア ー斑(パイアー斑と表示された欄)の連続した厚みが10μmの凍結切片を、抗 原アフィニティー精製ウサギポリクローナルアンチネズミFuc−TVII(F uc−TVIIと表示された列)、モノクローナル抗体MECA−79(MEC A−79と表示された列)、ネズミL−セレクチン/ヒトIgMキメラ(L−s el/IgMキメラと表示された列)、またはEDTAの存在下で染色したL− セレクチン/IgMキメラ(L−sel/IgMキメラ+EDTAと表示された 列)で染色した。次いで、切片に結合した一次免疫組織化学的試薬を、実施例の 実験手順に記載の方法で、フルオロクロムで標識した二次免疫化学的試薬(Fu c−TVIIについては、FITC結合(緑色)アンチヒトIgM;META− 79については、ローダミン結合(赤色)アンチラットIgM)を用いて検出を 行った。これらの着色した検出法では、これらの実験の元の写真の黒および白色 再生時に白色部分を生じる。従って、「緑色」および「赤色」領域は、白色領域 として現れる。顕微鏡写真は、実施例の実験手順に記載の蛍光顕微鏡法を用いて 、40倍の倍率で撮影した。 第5b図は、末梢リンパ節HEVのアンチ−Fuc−TVIIによる染色を高 倍率に拡大したものである。第5b図のパネルAの薄灰色部分は、MECA−7 9染色に相当する。第5b図のパネルAの白色部分は、アンチ−Fuc−TVI I抗体で染色した部分に相当する。腋窩リンパ節の10μmの厚みの凍結切片を 、抗原アフィニティー精製アンチ−Fuc−TVII抗体およびアンチ−MEC A−79抗体で同時に染色した(「免疫抗体」と表示したパネル)。切片に結合 した抗体は、第5a図の説明および実施例の実験手順に記載したのと全く同様に してフルオロクロムに結合した二次抗体試薬を用いて検出した。同じ腋窩リンパ 節の直ぐ隣りの10μmの厚みの凍結切片を、代わりに一対のネガティブコント ロール抗体(正常ウサギIgG、および正常ラットIgM;「非免疫抗体」と表 示したパネル)で同時に染色し、「免疫抗体」パネルで用いたのと同じ方法で展 開した。顕微鏡写真は、実施例の実験手順に記載した蛍光顕微鏡法を用いて40 0倍の倍率で撮影した。 好ましい態様の詳細な説明 従って、第一の態様では、本発明は、新規な酵素であるネズミα(1,3)フ コシルトランスフェラーゼFuc−TVIIを提供する。好ましくは、この酵素 は、第1a図に示される遺伝子によって2種類の異なるATG開始コドンの一つ を用いてコードされたポリペプチドに相当する2種類のアミノ酸配列の一つを有 する。従って、第一の態様では、本発明の酵素は、第1図のcDNA5および第 2図のヌクレオチド位置996〜1149および2067〜3079に相当する DNAによってコードされたものに相当するアミノ酸配列を有する。もう一つの 態様では、この酵素は、第1図のcDNA6,10または14によってコードさ れたものに相当し、第2図に示されたヌクレオチド位置1947〜1959およ び2067〜3079に相当するヌクレオチド配列を有するアミノ酸配列を有す る。これらの2つの態様では、アミノ酸配列は、 (1)第2図のヌクレオチド位置996〜1149によってコードされたア ミ ノ酸配列のC末端を第2図のヌクレオチド位置2067〜3079によってコー ドされたアミノ酸配列のN末端に連結することによって得られたもの、および (2)第2図のヌクレオチド位置1947〜1959によってコードされた アミノ酸配列のC末端を第2図のヌクレオチド位置2067〜3079によって コードされたアミノ酸配列のN末端に連結することによって得られたもの に相当すると理解すべきである。 本発明の酵素は、この酵素の活性が保持されるならば、上記アミノ酸配列の一 つであって、タンパク質のアミノ末端で5個までのアミノ酸配列が付加され、欠 失され、または置換されているものを有することもできる。なお、酵素が、下記 の実施例に記載されているようにGDP−フコースから3’−シアリル−N−ア セチルラクトースアミンヘフコースを移行させる元の酵素の特異活性の少なくと も10%、好ましくは少なくとも1/3、更に好ましくは少なくとも1/2を保 持する場合には、酵素はその活性を保持すると考えられる。 本発明は、新規な融合タンパク質であって、本発明の酵素のいずれかがプロテ インA、ストレプトアビジン、c−mycの断片、マルトース結合タンパク質、 IgG、IgM、アミノ酸タグなどのポリペプチドに結合しているものも提供す る。好ましくは、本発明に融合したポリペプチドは、本発明の酵素のアミノ末端 に融合する。更に、本発明の酵素に融合したポリペプチドは、原核細胞または真 核細胞から培地への融合タンパク質の放出を促進し、その(アフィニティー)精 製および可能ならば固相マトリックス上での固定を可能とするように選択される のが好ましい。 このような融合タンパク質の例としては、ポリペプチド、例えばプロテインA が第2図のヌクレオチド位置2067〜2069によってコードされたグリシン 残基または第2図のヌクレオチド位置2162〜2164によってコードされた プロリン残基のアミノ基に融合しているものが挙げられる。 もう一つの態様では、本発明は、ネズミFuc−TVIIまたは本発明による 融合タンパク質をコードする新規なDNA配列を提供する。好ましくは、本発明 のDNA配列は、上記の2個のアミノ酸配列をコードするあらゆるものである。 従って、第一の態様では、DNA配列は、第1図のcDNA5によってコードさ れたものに相当するアミノ酸配列を有しかつ第2図のヌクレオチド位置996〜 1149および2067〜3079に相当する配列を有するポリペプチドをコー ドする任意のものである。もう一つのの態様では、DNA配列は、第1図のcD NA6、10、または14によってコードされるものに相当する配列を有しかつ 第2図に示されるヌクレオチド位置1947〜1959および2067〜307 9に相当する配列を有するタンパク質をコードする任意のものである。 勿論、タンパク質がその活性を保持するならば、DNA配列は、上記のものの いずれかに相当するタンパク質であって、5個までのアミノ酸残基がタンパク質 のアミノ末端で付加され、欠失され、または置換されているものをコードするこ とができる。また、DNA配列は、本発明の融合タンパク質のいずれかをコード することもできる。 好ましい態様では、DNA配列は、第2図に示される996〜1149位およ び2067〜3079位に相当するヌクレオチド配列をゆうする。もう一つの態 様では、DNA配列は、第2図に示されるヌクレオチド配列の1947〜195 9位および2067〜3079位に相当するヌクレオチド配列を有する。 これらの好ましいDNA配列では、DNA配列は、 (1)第2図のヌクレオチド位置996〜1149に相当する配列3’末端 を第2図のヌクレオチド位置2067〜3079に相当する配列の5’末端に連 結することによって得られたもの、および (2)第2図のヌクレオチド位置1947〜1959に相当する配列の3’ 末端を第2図のヌクレオチド位置2067〜3079に相当する配列の5’末端 に 連結することによって得られたもの に相当すると理解すべきである。 もう一つの組の好ましいDNA配列としては、第2図のヌクレオチド位置99 6〜3079に相当する配列を有するDNA、および第2図のヌクレオチド位置 1947〜3079に相当する配列を有するDNAが挙げられる。 第2図に示される完全長DNA配列のクローニングを、下記の実施例で詳細に 説明する。この配列の短い長さの断片並びに本発明の他のDNA配列は、固体状 態DNA合成または位置指定突然変異誘発のような常法によって得ることができ る(Maniatis,T.et al.,分子クローニング:実験室便覧(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Press、コールド・スプリング・ハ ーバー、ニューヨーク(1989年)、およびAusebel,F.M.,et al.,分子生 物学の最新のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)、John W iley & Sons、ニューヨーク(1989年))。 更にもう一つの態様では、本発明は、本発明によるDNA配列を含む新規なプ ラスミドまたはベクターを提供する。本発明のプラスミドは、クローニングベク ターまたは発現プラスミドのいずれかであることができる。好ましいプラスミド またはベクターは、本発明のDNA配列をpCDM8、pcDNA1、pREP 8、pCEP4、PTZ18などのプラスミドまたはベクターに挿入することに よって得られるものである。発現プラスミドの場合には、本発明のDNA配列は 、プロモーターから下流のプラスミドに、および正確なリーディング・フレーム および転写配向で、挿入するのが好ましい。本発明によるDNA配列の正確なリ ーディング・フレームおよび転写配向での任意の通常の発現プラスミドへの挿入 、および本発明のDNA配列の通常のクローニングベクターへの挿入は、通常の 組換えDNA技術を用いて熟練技術者が容易に行なうことができる。 本発明は、本発明によるプラスミドまたはベクターを含む形質転換細胞も提供 する。好ましい宿主細胞としては、哺乳類細胞が挙げられる。好ましい宿主細胞 としては、チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞、COS細胞などが挙げられる。 このような宿主細胞の本発明によるプラスミドまたはベクターを用いる形質転換 は、常法Ausebel,F.M.et al.,分子生物学における最新のプロトコール(Curr ent Protocols in Molecular Biology)、John Wiley & Sons、ニューヨーク(1 989年)を用いて行なうことができる。 更にもう一つの態様では、本発明は、培地中で本発明による形質転換細胞を酵 素を産生するのに十分な時間培養することによって本発明の酵素を産生する方法 を提供する。好ましくは、細胞を第1a図に示されるcDNA5、cDNA6、 cDNA10、またはcDNA14のような発現プラスミドで、本発明のDNA の1態様が挿入されているものに形質転換した。温度、媒質などの特定の培養条 件により、形質転換細胞の型および個性が変化する。しかしながら、適当な条件 を選択することは、十分に熟練技術者の能力の範囲内にある。例えば、様々な細 胞の型について好適な培養条件は、Ausebel,F.M.et al.,分子生物学における 最新のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley & Sons、ニューヨーク(1989年)に教示されており、上記文献の内容は、そ の開示の一部として本明細書に引用される。 もう一つの態様では、本発明は、本発明の酵素に特異的に結合する新規なモノ クローナルまたはポリクローナル抗体を提供する。これらの抗体は、Harlow,E .et al.、抗体:実験室便覧(Antibodies:A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Press、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1988年) に記載されているような常法を用いて産生することができ、上記文献の内容は、 その開示の一部として本明細書に引用される。好ましくは、本発明の抗体は、モ ノクローナル抗体である。本発明の抗体は、放射能標識、発色団(例えば、蛍光 標識)、または酵素(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ)のような任意 の通常の標識で標識することができる。 本発明は、試料中の本発明の酵素の検出および/または定量のための新規なイ ムノアッセイも提供する。本発明のイムノアッセイは、本発明の酵素に特異的に 結合する本発明のモノクローナルまたはポリクローナル抗体の1種類以上を用い ている。好ましくは、本発明のイムノアッセイでは、モノクローナル抗体を用い ている。本発明のイムノアッセイは、競争アッセイ、サンドイッチアッセイ、ま たは置換アッセイ、例えばHarlow,E.et al.、抗体:実験室便覧(Antibodies:A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールド・スプ リング・ハーバー、ニューヨーク(1988年)に記載されているようなもので あることができ、放射能標識、発色団、または酵素、例えばセイヨウワサビペル オキシダーゼによって生成されるシグナルに依存することがある。 本発明のDNA配列、酵素、プラスミド、細胞および方法は、多くの用途を有 する。例えば、本発明は、GDP−Fuc:NeuNAcα(2,3)−β−D −Gal(1,4)−D−GlcNAcα(1,3)フコシルトランスフェラー ゼとして機能することができる特異的なこれまで発見されていなかったタンパク 質配列をコードする以前には発見されていなかったネズミDNA配列を提供する 。これらの酵素は、本発明のDNA配列によって発現すると、哺乳類細胞内で、 これらの細胞上で特異的細胞表面複合糖質構造のデ・ノボ発現を生成する働きを する。これらの構造は、シアリルLewis x決定基{NeuAcα(2,3 )Galβ(1,4)[Fucα(1,3)]GlcNAc−R}であって、R が下になっている複合糖質−糖タンパク質、糖脂質、遊離オリゴ糖、またはヒド ロキシル基であるものに対する抗体によって認識される。これらの酵素は、発生 段階特異的胎児性抗原I(SSEA−1またはLewis x;構造Galβ( 1,4)[Fucα(1,3)]GlcNAc)、Lewis a構造またはシ アリルLewis a構造として知られる特異的細胞表面複合糖質構造のデ・ノ ボ発 現を生じないことが示されている。この酵素は、本明細劃己載のクローニングし たDNA配列によって発現されるときには、DNA配列を発現する細胞から調製 される抽出物でアッセイするときにその名称で暗示される酵素的に作用すること も示されている。この酵素のオリゴ糖生成物は、α(2,3)シアリル化した「 II型」ラクトースアミン受容体のGlcNAc残基にα1,3配置で連結した フコースを表す。この生成物を、以後シアリルLewis x決定基と呼ぶ。便 宜上、この反応は、下記の式で示される。 GDP−フコースのNeuNAcα(2,3)Galβ[SO4−6]Glc NAcへの移行も、同様に進行する。 この酵素は、下記に示されるものに類似または同一の他のオリゴ糖前駆体であ って、下線部のGalまたはGalNAc残基が別の分子(単糖またはオリゴ糖 、修飾されたシアリル酸残基、または硫酸塩など)で置換されており、簡単のた め以後シアリルLewis xとも表されるこれらの分子上のGlcNAc残基 へα(1,3)結合のフコースを移行するものを用いることもできる。 Galα(1,3)Galβ(1,4)GlcNAc−R NeuNAcα(2,3)[GalNAcβ(1,4)]Galβ(1,4)G lcNAc−R NeuNAcα(2,3)GalNAcβ(1,4)GlcNAc−R N−グリコリルNeuα(2,3)Galβ(1,4)GlcNAc−R SO4−3−Galβ(1,4)GlcNAc−R NeuNAcα(2,3)[SO4−6]Galβ(1,4)GlcNAc− RNeuNAcα(2,3)[SO4−6]Galβ(1,4)[SO4−6]G lcNAc−R (上記式中、RはNに結合したまたはOに結合したオリゴ糖残基または主鎖であ る)。 本発明の触媒ドメインの配置は、数種類の構造的に類似した酵素の触媒ドメイ ンと比較することによって推定される。具体的な実用的特徴としては、下記のも のが挙げられる。 i. (バイオテクノロジー工業による診断薬および治療薬の生産のための) この酵素の生成物を表すシアリルLewis x決定基による細胞表面、細胞内 または分泌タンパク質または脂質上でのオリゴ糖の翻訳後修飾に関する特異的可 能性を有する動物細胞系の構築。 具体的には、本明細書に記載のクローニングしたDNA配列は、通常は同系酵 素またはその生成物(オリゴ糖上のシアリルLewis x決定基)を発現しな いが、適当な(複数の)オリゴ糖前駆体およびGDP−フコースの発現を保持し ている哺乳類細胞系に標準的手法によって導入され、「センス」方向でその細胞 に転写され、細胞表面、細胞内または分泌タンパク質または脂質上のオリゴ糖の シアリルLewis x決定基を発現することができる細胞系を生成することが できる。あるいは、これらのクローニングしたDNA配列を、標準的手法によっ て、同系酵素およびその生成物(シアリルLewis x決定基)を発現する哺 乳類細胞系に導入して、「アンチ−センス」方向でその細胞に転写して、細胞表 面、細胞内または分泌タンパク質または脂質上のシアリルLewis x決定基 を発現することができない細胞系を生成することができる。細胞中での本発明の DNA配列の導入および「アンチ−センス」転写は、Maniatis,T.et al.,分 子クローニング:実験室便覧(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールド・スプリング・ハーバー、ニュー ヨーク(1989年)に記載されているような常法を用いて行なうことができ、 上記文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。あるいは、( 複数の)同系酵素を発現する哺乳類細胞中の内因性の(複数の)GDP−Fuc :NeuNAcα(2,3)−β−D−Gal(1,4)−D−GlcNacα (1,3)フコシルトランスフェラーゼは、相同組換え技術によって、または本 発明のDNA配列を用いる「アンチ−センス」オリゴヌクレオチド法によって、 または本発明のDNA配列からまたは構造的に関連しているが他は野生型のα( 1,3)フコシルトランスフェラーゼから突然変異誘発および遺伝学的選択法に よって誘導される内因性の(複数の)GDP−Fuc:NeuNAcα(2,3 )−β−D−Gal(1,4)−D−GlcNacα(1,3)フコシルトラン スフェラーゼを不活性化する極めて有力なネガティブ突然変異体フコシルトラン スフェラーゼ配列によって、本発明のDNA配列を用いて不活性化することがで きる。 この方法を用いて、本発明のクローニングしたDNA配列およびそれらの同系 酵素によって決定される特異的翻訳後修飾によって有用性または効力が変化する 診断薬または治療薬材料を産生するのに適した宿主細胞である動物細胞系を構築 することができる。例えば、多くの治療用タンパク質またはペプチド、組替え体 など生物学的効果は、それらに共有結合している(複数の)オリゴ糖構造によっ て決定的に変化することが知られている。これらのオリゴ糖の構造は、主として 、これらの治療用生成物を産生するのに用いられる細胞で見出だされるグリコシ ルトランスフェラーゼの数および種類の関数である。動物細胞および幾つかの酵 母は、これらのグリコシル化反応を行なうのに適しているが、総ての動物細胞ま たは酵母によって総てのグリコシルトランスフェラーゼ酵素が産生されるのでは ないので、幾つかのオリゴ糖構造(本発明の酵素によって生成されるシアリルL ewis x決定基など)は、それらによって産生されない。逆も正しく、すな わ ち産生細胞は、本明細書記載のDNA配列によってコードされるGDP−Fuc :NeuNAcα(2,3)−β−D−Gal(1,4)−D−GlcNacα (1,3)−フコシルトランスフェラーゼに類似のまたは同一のグリコシルトラ ンスフェラーゼを発現することができる。シアリルLewis x決定基は、哺 乳類または他の真核宿主によって産生される天然または組替え治療または診断薬 (糖タンパク質または糖脂質)の生物学的活性を(よかれ悪かれ)変化させるこ とがあると思われる。これらの組替え化合物を産生するのにバイオテクノロジー 産業で用いられる真核宿主細胞を、DNA配列情報および本発明に記載の関連情 報を用いて変化させ、所望な宿主で本明細書に記載のクローニングした配列の総 てまたは一部を発現することによってシアリルLewis x決定基を組替え生 成物上のオリゴ糖に付加することができる。あるいは、シアリルLewis x 決定基を、トランスフェクションした「アンチ−センス」ベクター構築物、組替 えに基づいた遺伝子不活性化、「アンチ−センス」オリゴヌクレオチド法、また は上記の最有力なネガティブ突然変異体フコシルトランスフェラーゼの使用によ り、これらの宿主細胞で産生される生成物から除去することができる。 この工程に用いた古い「方法」としては、この特定の酵素、または適当に修飾 した組替えまたは天然生成物の産生のために同様なまたは同一の方法で機能する 酵素を発現するまたは発現しない細胞系を同定する経験的方法が挙げられる。こ の特定の翻訳後修飾能力を有する細胞系は天然には存在せずまたは適当に修飾し た生成物の高水準の産生に特に適してはいないことがあるので、これは常に最適 ではない。あるいは、経験的に同定された動物細胞系によって産生された治療薬 材料上に存在する好ましくないシアリルLewis x決定基を、化学的または 酵素的に除去しなければならず、この工程は費用がかかったりまたは非効率的で あることがある。これらの古い方法に対して、上記手法と共同したクローニング した機能的な本発明のDNA配列を用いることの利点としては、糖タンパク質ま たは糖脂質のオリゴ糖上にシアリルLewis x決定基を生成する能力を特異 的に欠いている細胞系を構築する能力が挙げられる。適正に構築されたこれらの 細胞系では、好ましくないシアリルLewis x決定基を除去する目的での治 療薬または診断薬材料の化学的または酵素的処理の必要性は全くなくなる。更に 、シアリルLewis x決定基が、動物細胞によって産生される特定の診断ま たは治療生成物に望ましいことが見出だされる場合には、これらの残基を生成さ せる目的で、細胞系を本発明のクローニングしたDNA配列で処理することがで きる。 ii. (酵素反応器などでの)オリゴヌクレオチドの効率的な酵素合成およ び産生に適した試薬の単離 オリゴヌクレオチドは、臓器移植の分野での免疫調節試薬としての治療用途を 有することがある。特に、可溶性および固相オリゴ糖は、Lewis血液型群系 などの臓器提供者と受容者との主要な血液型群抗原系の差による不適合などの場 合の抗体によって伝達される臓器移植拒絶反応をブロックまたは改善するための 治療薬として使用されることがある。同様に、可溶性オリゴ糖は、細菌性、ウイ ルス性または寄生虫性病原体が侵襲する動物組織の表面に見られる複合糖質「受 容体」へのこれらの病原体の付着をブロックすることによって機能する治療薬と しても用いられることがある。例えば、Lewis血液型群のオリゴ糖抗原の一 部は、幾つかの形態の尿路病原性細菌の「受容体」として作用している証拠があ る。更に、このような複合糖質は、発生および分化過程での細胞間および細胞と それらの環境との間の接着現象の調節に関与している。これらの現象としては、 精子の卵への結合、および着床の開始時における受精卵の子宮壁への付着を媒介 する初期現象が挙げられる。これらの観察は、例えば(生物学的に「自然な」オ リゴ糖分子の避妊薬としての用途があることを示唆している。更に、シアリルL ewis x決定基を含む特異的複合糖質は、免疫系の細胞間、およびある種の 腫瘍細胞と血管樹を整列させる内皮細胞の表面との間の接着の媒介に重要な役割 を演じている接着分子のセレクチンファミリーのリガンドとして包含されている 。報告された観察により、本明細書記載のクローニングしたフコシルトランスフ ェラーゼ配列は、抗炎症および抗腫瘍転移機能を有する薬学特性を有するオリゴ 糖型分子を構築するのに用いることができ、かつ急性肺疾患(ARDS)および 心筋梗塞の後の組織再灌流における生命を脅かすような組織の損傷を防止するこ とができることが確認されている(例えば、Buerke,M.,et al.,J.Clin.Inv est.,vol.93,pp.1140-1148(1994);Mulligan,M.S.,et al.,Nature,vol. 364,pp.149-151(1993);およびMulligan,M.S.,et al.,J.Exp.Med.,178, pp.623-631(1993)を参照されたい)。 現在は、シアリルLewis x決定基を含むオリゴ糖の薬学上有用な量は、 化学合成(非効率的で費用がかかる方法)、(多量の動物または植物材料の処理 および他の混入オリゴ糖から所望なオリゴ糖を精製する必要が多い費用がかかり 、非効率的方法を用いる)天然供給源からの単離、または他の組替えα(1,3 )フコシルトランスフェラーゼを用いるグリコシルトランスフェラーゼによって 補助される合成法によって生産されている。本発明は、本明細書において、多量 の精製GDP−Fuc:NeuNAcα(2,3)−β−D−Gal(1,4) −D−GlcNAcα(1,3)−フコシルトランスフェラーゼを合成する機構 を提供する。これは、シアリルLewjs x決定基を含む構造の酵素的合成が 可能な酵素バイオリアクター(例えば、Ball,et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol 114,pp.5449-5451(1992)に記載されているような溶液状、または酵素の触媒 ドメインに融合したプロテインA残基を介する固相マトリックス上に固定された 酵素)を構築するのに用いることができた。これは、様々な理由から、シアリル Lewis x決定基を含む構造の化学合成または天然資源からのそれらの精製 を伴うまたは他の既知のα(1,3)フコシルトランスフェラーゼを用いること に よる方法よりも効率的である。第一に、必要な化合物だけが酵素基質であり、こ れらは容易に得られまたは合成される。第二に、このような構造の酵素合成は、 基質加水分解の所望な生成物およびヌクレオチド二リン酸生成物だけを生成する 。この後者の化合物は、動物細胞におけるこれらの反応の天然の副生成物として 見出だされ、比較的毒性がなく、オリゴ糖合成生成物から容易に分離することが できる。対照的に、化学合成法は、典型的には除去しなければならずかつ有毒で もある副反応の多数の生成物を生じる。同様に、天然資源からのオリゴ糖の精製 は、天然材料に含まれる他の混入オリゴ糖を除去する必要がある。第三に、酵素 触媒は、予想外に効率的であり、基質をほとんど完全に生成物に転換することが できる。対照的に、オリゴ糖上でのシアリルLewis x決定基の化学合成は 、多段階工程であり、各段階の収率は100%よりかなり低いことがあり、現在 用いられている化学合成法の累積効率は、酵素的合成で可能な効率には近づかな い。同様に、天然資源からのシアリルLewis x決定基を有するオリゴ糖の 精製では、混入している関係のないオリゴ糖から所望なオリゴ糖を分離するのに ようする精製法に固有なかなりの損失を伴い、所望なオリゴ糖の単離が非効率的 になることがある。本発明のDNA配列によってコードされるGDPFuc:N euNAcα(2,3)−β−D−Gal(1,4)−D−GlcNAcα(1 ,3)−フコシルトランスフェラーゼは、これまで動物組織では同定されていな かった。しかしながら、理論的には、この活性は、合成目的で動物組織から部分 的に精製することができる。しかしながら、これらの精製は、主としてこれらの 酵素は典型的には極めて低い存在量で含まれているので、それ自身典型的には非 効率的である。本発明は、この酵素を多量に産生することができる2種類の機構 を提供する。第一に、これは、比較的多量の酵素を産生する動物細胞の構築およ び選択によって行なうことができる。あるいは、次に、本発明の核酸配列を、標 準的組替えDNA技術によって用いて、哺乳類宿主細胞、真菌、酵母において、 または他 の真核細胞を基剤とする系(すなわち、バキュロウイルス哺乳類宿主)を用い、 または原核性宿主でグリコシルトランスフェラーゼを多量に産生させることがで きる。更に、この酵素をコードする配列を、標準的分子クローニング法または突 然変異誘発によって修飾して、野生型酵素より所望な新規特性を有する組替えフ コシルトランスフェラーゼを生成させることができる。例えば、この修飾は、酵 素をバイオリアクターで一層安定で、固定に一層適するようにし、または特定の 基質に対する触媒効率を一層向上させるようにすることができる。 iii. 検索試薬として直接用いられる、または検索用途にGDPFuc:N euNAcα(2,3)−β−D−Gal(1,4)−D−GlcNAcα(1 ,3)−フコシルトランスフェラーゼに対する抗体を生成させるのに用いられる 組替えGDPFuc:NeuNAcα(2,3)−β−D−Gal(1,4)− D−GlcNAcα(1,3)−フコシルトランスフェラーゼの産生に適した試 薬の単離 本発明は、オリゴ糖および糖タンパク質の構造および機能を検討するための検 索手段として用いることができる本発明の酵素(上記ii.を参照されたい、すな わち特別に構築された動物細胞、またはこれらの酵素をコードする天然または合 成遺伝子による)を多量に産生する2種類の方法を提供する。同様に、この方法 によって産生された酵素、またはこの方法によって提供された核酸配列および誘 導タンパク質配列を用いて、(合成ペプチドまたは組替えタンパク質による)こ の酵素に対する抗体を生成させることができる。これらの抗体を検索試薬として 用いて、これらの酵素の生合成および加工を検討することもでき、本明細書記載 の総ての用途を目的とするそれらの精製における助剤として用いることもできる 。 iv.診断試薬としてのグリコシルトランスフェラーゼに対する抗体 α(1,3)フコシルトランスフェラーゼの異常発現は、ヒトの悪性疾患と関 連しており、この酵素は多数のヒト組織に関する悪性疾患の早期検出の腫瘍マー カーとして作用することができることを示している。酵素腫瘍マーカーは、典型 的には競合グリコシルトランスフェラーゼ活性により非特異性を施すことができ る活性分析法によって体液中で分析されてきた。これらの分析法は、不活性酵素 を主要マーカーとして用いることができるが、酵素活性分析法によっては検出さ れない可能性があるので、感受性が鈍いこともある。本発明は、この酵素に対す る抗体(GDP−Fuc:NeuNAcα(2,3)−β−D−Gal(1,4 )−D−GlcNAcα(1,3)−フコシルトランスフェラーゼをコードする クローニングしたDNA配列から誘導される情報から構築される合成ペプチドに 対する、または真核または原核宿主によって産生された組替え酵素に対するモノ クローナルおよびポリクローナル抗体)を生成する機構を提供する。このように して産生したこのGDP−Fuc:NeuNAcα(2,3)−β−D−Gal (1,4)−D−GlcNAcα(1,3)−フコシルトランスフェラーゼに特 異的な抗体を用いて、酵素活性分析法を凌ぐ特異性および感受性で体液中のこの グリコシルトランスフェラーゼを検出し定量して、悪性疾患の早期検出のための 方法として用いることができる。 v. フコシルトランスフェラーゼ阻害剤または不活性化剤のための天然およ び合成化合物のスクリーニングに用いる組替え酵素 シアリルLewis x決定基は、E−セレクチンおよびP−セレクチンのカ ウンターレセプターの必須成分である。関連化合物は、L−セレクチンの候補リ ガンドである。これらのレセプター−カウンターレセプターは、白血球((再循 環現象での)通常の好中球、単球、好酸球、リンパ球、およびある種のTリンパ 球)を血管樹に残し、ヒトの正常な炎症現象またはヒトの病的炎症現象(例えば 、ARDS、組織再潅流時の損傷、および他の現象の宿主)に関与させる作用を 行なう。本発明のGDP−Fuc:NeuNAcα(2,3)−β−D−Gal (1,4)−D−GlcNAcα(1,3)−フコシルトランスフェラーゼ遺伝 子は、ヒト白血球で発現し、シアリルLewis x生合成に中心的役割を演じ ているので、この酵素の薬理学的阻害剤は、白血球のシアリルLewis x発 現を少なくし、急性および慢性セレクチン依存性炎症状態におけるヒトまたは他 の動物で使用する抗炎症性医薬品として作用する。本明細書に記載のGDP−F uc:NeuNAcα(2,3)−β−D−Gal(1,4)−D−GlcNA cα(1,3)−フコシルトランスフェラーゼは、天然生成物または化学的ライ ブラリーの化合物を(スクリーニングアッセイにおいて組替え酵素またはこの酵 素を発現する細胞系を用いて)同定する「スクリーニング法」により、または( 組替え酵素による酵素の三次構造を解決した後、酵素の触媒活性または他の本質 的機能を阻害する分子のデザインまたは同定による)「合理的な薬剤デザイン」 法によりこの酵素を阻害する化合物を同定する手段を表している。 多数の研究が、細胞のオリゴ糖での多数の細胞表面シアリルLewis x決 定基とその細胞を悪性疾患のように転移させる能力との間の関連に注目してきた 。ここで因果関係があれば、本発明の酵素を阻害する薬剤を抗腫瘍薬として用い ることができる。本開示に記載の試薬は、クローニングした配列を標準的手法で 用いて比較的多量のフコシルトランスフェラーゼを産生させることができるので 、抗フコシルトランスフェラーゼ活性の化合物をスクリーニングに有用であるこ とを示すことができる。これは、可能性のある阻害剤の効果を純粋な酵素で試験 するので、スクリーニングに役立ち、全細胞抽出物でまたは部分的に精製した酵 素を用いて見られるような結果の混同はない。 vi.分泌または細胞関連複合糖質での新規な複合糖質構造を生じるためのグ リコシルトランスフェラーゼ基質特異性の処理法 本発明は、クローニングしたGDP−Fuc:NeuNAcα(2,3)−β −D−Gal(1,4)−D−GlcNAcα(1,3)−フコシルトランスフ ェラーゼ遺伝子であって、適当な転移および遺伝学的選択法で用いるとき、野生 型酵素によって生成されるものとは異なるグルコース結合を生成する突然変異体 GDP−Fuc:NeuNAcα(2,3)−β−D−Gal(1,4)−D− GlcNAcα(1,3)−フコシルトランスフェラーゼを生成することができ るものを提供する。これらの新規結合は、天然に存在することがありまたは存在 することができず、それらが結合する分子の生物学的活性を向上させる残基とし て用いることができる。この酵素は、他のα(1,3)フコシルトランスフェラ ーゼに対する一次配列類似性を維持しており、かつ異なる組の受容体基質利用特 性を示すので、指定突然変異誘発を考えることもできる。あるいは、突然変異誘 発および選択法を用いて、有力なネガティブ的に作用する突然変異体GDP−F uc:NeuNAcα(2,3)−β−D−Gal(1,4)−D−GlcNA cα(1,3)−フコシルトランスフェラーゼを生成させることもできる。この ような酵素の(複数の)生成物が所望でない場合には、このようにして生成した 有力なネガティブ突然変異体を用いて内因性グリコシルトランスフェラーゼ活性 を不活性化することができる。例えば、オリゴ糖からの各種の糖結合(フコース 、マンノースなど)をイン・ビトロおよびイン・ビボで加水分解するフコシダー ゼとして作用する突然変異体GDP−Fuc:NeuNAcα(2,3)−β− D−Gal(1,4)−D−GlcNAcα(1,3)−フコシルトランスフェ ラーゼを生成させることもできる。 vii. このフコシルトランスフェラーゼ座における遺伝子型形成個体 本明細書で詳細に説明されるDNA配列によってコードされるものと類似のフ コシルトランスフェラーゼが存在しないことは、数種類のファミリーで認められ ている。このような不在が有害な表現型と関連している場合には、このクローニ ングした遺伝子セグメントに相当する遺伝子内またはこれに結合した制限断片長 多型などのDNA配列多型を用いて、遺伝学的カウンセリングの目的でこの座に おける個体の遺伝子型形成を行なうことができる。同様に、本明細書記載の遺伝 子セグメントがこのような有害な表現型に原因的に関連している場合には、この ような表現型の分子的基礎を本明細書に記載の遺伝子セグメントの研究によって 解明することができる。 viii.抗炎症医薬として作用する阻害薬の同定および産生 ヒト白血球でシアリルLewis x形成を阻害する化合物が、毒性を持たな いならば、白血球におけるシアリルLewis xの合成を防止して、炎症の際 に細胞が炎症を起こした血管内皮に(セレクチンを介して)結合することができ なくすることによって、抗炎症性医薬として作用し、血管外の炎症作用に関与す ることができないので、このような化合物を同定する目的で多くの努力が払われ てきている。このような分子に対する一つの候補標的は、Fuc−TVII酵素 である。白血球およびリンパ球集合体の高内皮性小静脈で有意な量で発現され、 シアリルLewis x決定基も合成することができるのは、既知のフコシルト ランスフェラーゼだけであるので、他の既知のフコシルトランスフェラーゼのい ずれよりも良好な候補である。更に、この酵素の欠損について遺伝学的処理を施 したマウスの白血球は、E−セレクチンおよびP−セレクチンの機能的リガンド の発現を欠いており、炎症部位への白血球の移動が欠損していることを特徴とす る付随する免疫欠損を示す。これらの観察は、Fuc−TVIIが白血球セレク チンリガンド発現を制御することを示しており、医薬化合物または手段によるこ の酵素の阻害は、セレクチン依存性の炎症が病理学的なものであるヒトの疾患で 治療効果を有することがある抗炎症作用を表すことを示している。組替えFuc −TVIIの利用可能性は、阻害薬についての化学的ライブラリーおよび天然生 成物ライブラリーをスクリーニングする目的で高スループットアッセイ(highthr oughput assays)で用いられるので、このような阻害化合物の同定が容易になる 。更に、組替え形態の酵素または組替え技術によって作成した酵素の誘導体を用 いて、機能的に重要な表面(すなわち、GDP−フコース結合ポケット、金属 結合ポケット、オリゴ糖受容体基質結合ポケットなど)の形態を包含するその三 次配座を決定することができる。次に、「合理的薬剤デザイン」法を用いて、阻 害薬として作用する形態学的相補性を有する分子を同定または合成することがで きる。 ix.シアリルLewis x四糖の「1ポット」のイン・ビボ合成 シアリルLewis x四糖、および幾つかの誘導体は、セレクチン依存性炎 症の動物モデルでの抗炎症性分子として作用することが示されている(例えば、 M.Buerke et al.,J.Clin.Invest.,vol.93,pp.1140-1148(1994);M.S.Mul ligan et al.,Nature,vol.364,pp.149-151(1993);およびM.S.Mulligan et al.,J.Exp.Med.,vol.178,pp.623-631(1993)を参照されたい)。これら の分子は、現在臨床試験を行われている。シアリルLewis x分子の化学合 成は、非常に費用がかかる。従って、グリコシルトランスフェラーゼを用いた合 成法であって、組替えグリコシルトランスフェラーゼを用いてシアリルLewi s x残基の特異的かつ効率的合成を行なう方法が開発された。これらの系は、 グリコシルトランスフェラーゼに必要なヌクレオチド糖基質を連続的に形成する 追加の酵素(下記の工程図には示されていない)を伴う(Ichikawa et al.,J. Am.Chem.Soc.,vol.114,p.9283(1992)を参照されたい)。以前に存在して いる酵素の性質により、従来の合成法では、「二ポット」合成で進行しなければ ならず(下記を参照)、最初のポットのシアリル化生成物を(Rxn#1の)非 シアリル化中間生成物から分離した後、Rxn#3を行なう第二の「ポット」に 加えなければならない。これは、利用可能なフコシルトランスフェラーゼ(すな わち、Fuc−TVII、Fuc−TV、およびFuc−TVI)はGalβ( 1,4)GlcNAc(Lewis xを形成)およびNeuNAcα(2,3 )Galβ(1,4)GlcNAc(シアリルLewis xを形成)に移動す るので、競争反応(Rxn#4)を回避するために必要であった。Lewis xは任意の既知のα(2,3)シアリルトランスフェラーゼによってシアリル 化することができないので(Rxn#5)、Lewis xが形成すると、Rx n#2の基質を消費することによって収率が著しく減少する。 この問題は、Fuc−TVIIを用いて回避することができる。この酵素は、 Galβ(1,4)GlcNAc上で作用することができないので、最初のポッ トに入れることができる。Rxn #2の生成物が製造されるまでは、これは作 用せず、この時点でRxn #3を完結することになる。従って、Fuc−TV IIは、下記のような1ポット合成が可能である。 1ポット合成 本発明の他の特徴は、下記の典型的な態様の説明の経過において明らかになる ものであり、これらの態様は、本発明の例示の目的で示したものであり、発明の 制限しようとするものではない。 実施例 実験手順 細胞培養 COS−7細胞(K.M.Gersten et al.,J.Biol.Chem.,vol.2 70,pp.25047-25056(1995))、CHO−Tag細胞(P.L.Smith et al.,J.Bio l.Chem.,vol.269,pp.15162-15171(1994))、および培養したネズミ血液細胞 系(B細胞系S107、(M.L.Atchison et al.,Cell,vol.48,pp.121-128( 1987));T細胞系EL4(L.J.Old et al.,Cancer Res.,vol.25,pp.813-81 9(1965);B細胞ハイブリドーマ系TH2.54.63(T.Hamano et al.,J.Im munol.,vol.130,pp.2027-2032(1983));B細胞ハイブリドーマ系180.1 (M.Hummel et al.,J.Immunol.,vol.138,pp.3539-3548(1987));Frie ndネズミ赤白血球系MEL(D.Singer et al.,Proc.Natl.Acad.S ci.U.S.A.,vol.71,pp.2668-2670(1974);B.L.Weber et al.,Science,vol .249,pp.1291-1293(1990));マクロファージ細胞系RAW264.7(P.Ralp h et al.,J.Immunol.,vol.119,pp.950-954(1977);W.C.Raschke et al., Cell,vol.15,pp.261-267(1978));マクロファージ細胞系P388D1(H.S.K oren et al.,J.Immunol.,vol.114,pp.894-897(1975));および細胞毒性T −細胞系14−7fd(T.J.Braciale et al.,J.Exp.Med.,vol.153,pp.9 10-923(1981);M.E.Andrew et al.,J.Immunol.,vol.132,pp.839-844(1984 ))の供給源および成長条件。 抗体 本明細書で用いられるモノクローナル抗体の供給源は、以前に記載さ れている(抗−Lewis x/抗−SSEA−1(D.Solter et al.,Proc.N atl.Acad.Sci.U.S.A.,vol.75,pp.5565-5569(1978));抗−Hおよび抗−L ewis a(K.M.Gersten et al.,J.Biol.Chem.,vol.270,pp.25047-25 056(1995));抗−シアリルLewis x/CDLEX(K.Fukushma et al.,C ancer Res.,vol.44,pp.5279-5285(1984));抗−シアリルLewis a(D.C hia et al.,Cancer Res.,vol.45,pp.435-437(1985));抗−VIM−2抗体( B.A.Macher et al.,J.Biol.Chem.,vol.263,pp.10186-10191(1988));フ ルオレセインと複合化したヤギ抗−マウスIgMおよびIgG抗体;Sigma)。 MECA−79(P.R.Streeter et al.,J.Cell Biol.,vol.107,pp.1853-1 862(1988))は、Louis PickerおよびEugene Butcher両博士(スタンフォード大学 )のご好意により寄贈された。 cDNAクローニング マウスFuc−TVIIcDNAは、マウス細胞毒 性T細胞系14−7fd(P.L.Smith et al.,J.Biol.Chem.,vol.269,pp.15 162-14171(1994))から構築したcDNAライブラリーから、コロニーハイブリダ イゼーション法(T.Maniatis et al.,分子クローニング:実験室便覧(Molecula r Cloning:A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Pres s、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1982年))およびヌク レオチド2053〜2285に相当するマウスFuc−TVII遺伝子(第2図 )のセグメントを用いて単離した。 ネズミゲノムライブラリースクリーニング マウス3T3細胞DNA(Strat agene)から調製したゲノムライブラリーからの約1.0×106個の組替えλフ ァージを、ヒトFuc−TVII遺伝子(ヌクレオチド571〜894)の32 4bpセグメントと、以前に報告された低ストリンジェンシーハイブリダイゼー ション法(K.M.Gersten et al.,J.Biol.Chem.,vol.270,pp.25047-25056( 1995);K.M.Gersten et al.,博士論文,pp.66-98,University of Michigan, Ann Arbor,ミシガン(1995年))を用いてプラークハイブリダイゼーション によってスクリーニングした。独特な制限パターンを有するファージ由来のDN AをSacIで消化して、ヒトFuc−TVIIプローブと交差ハイブリダイゼ ーションした2.6kb断片をゲル精製し、pTZ19R(Pharmacia LKB Biote chnology,Inc.)のSacI部位にクローニングした。単一のインサートを含む 代表的なサブクローンをpMFuc−TVIIと命名した。2.6kbインサー トのDNA配列を、T7DNAポリメラーゼ(Sequenase,United States Bioche mical Corp.)および隣接プラスミド配列によって合成されたオリゴヌクレオチド プライマーを用いてジデオキシチェインターミネーション法(F.Sanger et al. ,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,vol.74,pp.5463-5467(1977))によって決 定した。配列データを用いて、追加の合成プライマーをデザインした後、これを 用いてpMFuc−TVIIにおけるSacIインサートの残りの部分を配列決 定した。配列分析は、University of Wisconsin Genetics Computor Group(GCG) の配列分析ソフトウェアパッケージ(J.Devereux et al.,Nucleic Acids Res. ,vol.12,pp.387-395(1984))およびIBI Pustell Sequence Analysis Softwar eパッケージ(IBI)を用いて行なった。配列整列を、GCGパッケージのGa p機能で集めた。 COS−7細胞およびCHO−Tag細胞のトランスフェクションおよび分析 COS−7細胞を、以前に報告されたDEAE−デキストラントランスフェ クション法を用いて、各種のFuc−TVII発現ベクターでトランスフェクシ ョンした(J.F.Kukowska-Latallo et al.,Genes & Dev.,vol.4,pp.1288-1 303(1990);T.Maniatis et al.,分子クローニング:実験室便覧(Molecular Clo ning:A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールド ・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1982年))。CHO−Tag細胞 を、以前に修飾したように(P.L.Smithetal.,J.Biol.Chem.,vol.269,pp. 15162-15171(1994))、リポソームを基剤とした試薬(N−[2,3−ジオレオイ ルオキシ)プロピル」−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチルスルフェー ト、DOTAP、Boehringer Mannheim)を用いてプラスミドDNAでトランス フェクションした。 一過性トランスフェクションした細胞を、トランスフェクションの72時間後 に回収し、以前に記載したように(B.W.Weston et al.,J.Biol.Chem.,vol. 267,pp.24575-24584(1992))染色媒質で希釈したモノクローナル抗体で染色し た。抗−Lewis a、抗−Hおよび抗−シアリルLewis x抗体を10 μg/mlで用いた。抗−Lewis xは、1:1000の希釈倍率で用いた 。抗−シアリルLewis aは、1:500の希釈倍率で用いた。抗−VIM −2抗体は、1:200の希釈倍率で用いた。次いで、細胞を、フルオレセイン イソチオシアネート結合ヤギ抗−マウスIgMまたは抗−マウスIgGで染色し て、以前に記載の方法でFACScan(Becton-Dickinson)上で分析を行なった (B.W.Weston et al.,J.Bio1.Chem.,vol.267,pp.24575-24584(1992))。 細胞を、プラスミドpCDM8−CAT(P.L.Smith et al.,J.Biol.Chem., vol.269,pp.15162-15171(1994))を用いてコトランスフェクションを行ない、 こ れらの細胞から調製された抽出物をクロラムフェニコールアセチルトランスフェ ラーゼ活性分析に付し(P.L.Smith et al.,J.Biol.Chem.,vol.269,pp.15 162-15171(1994))、トランスフェクション効率に対するフローサイトメトリーお よびウェスタン・ブロットデータを考慮した。 フコシルトランスフェラーゼアッセイ Fuc−TVII発現ベクターで一 過性トランスフェクションしたCOS−7細胞を、トランスフェクションの72 時間後に回収し、抽出物を以前に報告した通りにこれらの細胞から調製した(J.F .Kukowska-Latallo et al.,Genes & Dev.,vol.4,pp.1288-1303(1990);B.W .Weston et al.,J.Biol.Chem.,vol.267,pp.4152-4160(1992))。これら の抽出物を、α(1,3)フコシルトランスフェラーゼアッセイに付し(B.W.We ston et al.,J.Biol.Chem.,vol.267,pp.24575-24584(1992))、総容量を 20μlに集めた。反応混合物は、3μM GDP−[14C]フコース、20m M受容体(N−アセチルラクトースアミン、ラクトース、ラクト−N−ビオース I、2’−フコシルラクトース(Sigma)、または3’−シアリル−N−アセチル ラクトースアミン(Oxford Glycosystems))、50mMカコジレート緩衝液、p H6.2、5mM ATP、10mM L−フコース、15mM MnCl2、 および反応の経過中に(1時間)ほぼ線状反応条件を生じるのに十分な量の細胞 抽出物タンパク質(GDP−フコース基質の15%未満の消費)を含んでいた。 コントロール反応は、反応混合物に受容体を省くことによって調製し、これらの 反応で得られた値を、相当する受容体を含む反応から差し引いた。このバックグ ラウンド放射能は、再現可能にアッセイの総放射能の1%未満であり、製造業者 から得たGDP−[14C]フコースに含まれる遊離の[14C]フコースに相当す る。同一の酵素調製物を、異なる受容体基質を用いる酵素活性の測定のためのア ッセイに用いた。 中性受容体(N−アセチルラクトースアミン、ラクトース、ラクト−N−ビオ ースI、2’−フコシルラクトース、いずれもSigma製)を含む反応を、20μ lエタノールおよび560μl水を加えて停止した。試料を15,000×gで 5分間遠心分離し、50μlの分量をシンチレーションカウンティングに付し、 反応における放射能の総量を測定した。200μlの分量を、Dowex 1X2-400、 ギ酸型(J.F.Kukowska-Latallo et al.,Genes & Dev.,vol.4,pp.1288-1303 (1990);B.W.Weston et al.,J.Biol.Chem.,vol.267,pp.4152-4160(1992) 400μlを含むカラムに適用した。カラムを水2mlで洗浄し、カラムによっ て保持されない放射性反応生成物をシンチレーションカウンティングによって定 量した。受容体NeuNAcα2→3Galβ1→4GlcNAc(Oxford Glyc osystems,Inc.)との反応を、5.0mMリン酸ナトリウム緩衝液,pH6.8 980μlを加えることによって停止した。次いで、試料を15,000×g で5分間遠心分離し、500μlの分量をリン酸型で調製したDowex 1X8-200カ ラム(1ml)に適用した。反応生成物を集めて、上記のようにして定量した(B .W.Weston et al.,J.Biol.Chem.,vol.267,pp.24575-24584(1992))。 ウサギ抗−Fuc−TVII抗体の生成 PCRを用いて、酵素の「幹」お よび触媒ドメインに相当するネズミFuc−TVII遺伝子のセグメントを、塩 基対2194〜2224および3053〜3085;第2図;5’プライマーgc gcggatccCACCATCCTTATCTGGCACTGGCCTTTCACC;3’プライマーgcgcggatccAGTTCAA GCCTGGAACCAGCTTTCAAGGTCTTC;BamHl部位に下線を施した)に相当するPC Rプライマーを用いて増幅した(J.B.Lowe,Seminars in Cell Biology,vol.2 ,pp.289-307(1991))。PCRは、1.5分、94℃の変性段階および2.0分 、72℃アニーリング/伸長段階からなる増幅20回を用いて完了した。次に、 PCR生成物を、T7Escherichia coli発現ベクターpET−3bのBamHI 部位にクローニングした(F.W.Studier et al.,Methods Enzymol.,vol.185, pp.60-89(1990))。正確な配向の単一インサートを含む(pET−3b−Fuc − TVII幹/catと呼ばれる)1つのクローンのインサートを配列決定して、 DNA増幅の際にエラーが導入されなかったことを確認した。組替えFuc−T VII融合タンパク質をpET−3b−Fuc−TVII幹/catを有する中 期−対数相E.coli(BL21 Lys S)を3時間誘導することによって産生した(K.M. Gersten et al.,博士論文,pp.66-98,UniversityofMichigan,Ann Arbor,ミ シガン(1995年);F.W.Studier et al.,Methods enzymol,vol.185,pp .60-89(1990))。次に、細菌を集めて、細菌懸濁液を凍結した後、融解するこ とによってリーシスした。細菌性ゲノムDNAを音波処理によって剪断した後、 可溶性および不溶性材料を遠心分離によって分離した。Fuc−TVIIタンパ ク質は、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動によって測定した通り、不溶性画 分に見出だされた(E.Harlow et al.,抗体:実験室便覧(Antibodies:A Laborat ory Manual),Cold Spring Harbor Laboratory,コールドスプリングハーバー, ニューヨーク(1988年))。 組替え体E.coliから誘導されるFuc−TVIIをSDS−ポリアクリルアミ ドゲル電気泳動によって分画し、Fuc−TVIIを含むゲルのセグメントを切 り出した後、ウサギ免疫の抗原として用いた。ウサギ免疫化供給物は購入した(P el-Freeze Biologicals; Rogers,アリゾナ)。最初に、3羽のウサギのそれぞれ を、完全Freundのアジュバントと混合した粉末化したポリアクリルアミドゲルス ライス中Fuc−TVIIを総量で約200μgで皮下免疫した。引き続く免疫 化は、抗原を不完全Freundのアジュバントに投与したことを除き、14日間隔で 本質的に同一の方法で行なった。総数で約6回の二次免疫化の最後のものの10 日後に抗血清を集めた。 抗−Fuc−TVII抗体の抗原アフィニティー精製 pET−3b−Fu c−TVII幹/catのインサートをBamHIで消化することによって放出 させ、E.coli発現ベクターpATH10(T.J.Koerner et al.,Methods Enzy mol.,vol.194,pp.477-490(1991))のBamHI部位の間にクローニングし、 Fuc−TVII配列にフレームで融合したE.coliアントラニレートシンター ゼ配列から誘導される融合タンパク質を生成した。この組替え融合タンパク質を 、E.coli菌株DH5α(M9培地中0.0125%インドールアクリル酸で6 時間誘導)で発現した。細菌を集め、洗浄して、50mM TrisHCl、p H7.5、5mM EDTA中リゾチームで処理し、0.65%NP−40,0 .38M NaClで処理した後、最大マイクロチップセッティングで20秒間 音波処理(Vibracell,Sonics and Materials,Inc.,ダンバリー,コネチカット )により崩壊させた(T.J.Koerner et al.,Methods Enzymol,vol.194,pp.47 7-490(1991))。封入体を50mM TrisHCl、pH7.5,5mM ED TAで2回洗浄し、1%SDS、12mM TrisHCl、5%グリセロール 、1%2−メルカプトエタノール中で100℃まで加熱することによって可溶化 させ、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に付した。分画したタンパク質 を、電気ブロッティング(1mA/cm2)によってPVDF膜(Bio-Rad Labor atories,ヘラクレス,カリフォルニア)に移した。次に、膜を、10%ウシ血清 アルブミンおよび0.2%Tween-20を含むPBSで4℃で4〜6時間ブロックし た。組み替えFuc−TVII融合タンパク質を含む膜のストリップを、0.5 mlのウサギ抗−マウスFuc−TVII抗血清で4℃で一晩インキュベーショ ンし、3%ウシ血清アルブミンおよび0.2%Tween−20を含むPBS 2.5mlで希釈した。次に、膜を室温で、PBS,0.05%Tween-20で洗浄 し、小切片にスライスし、結合した抗体を、氷上の膜断片を450μlTris −グリシン,pH2.5中でインキュベーションすることによって溶出した。上 清を集めて、100μlの1M Tris−HCl,pH8.0で直ちに中和し た。溶出手順は1秒間行ない、2種類の溶出液をプールし、続いて免疫組織化学 的手続きに用いた。ウェスタン・ブロット分析 細胞抽出物は、トランスフェクションの72時 間後にトランスフェクションしたCOS−7細胞から調製した。抽出物は、50 mM Tris−HCl(pH6.8)、1%SDS、および10%グリセロー ルを含んでいた。抽出物を、調製後直ちに3分間煮沸し、使用まで凍結保管した 。タンパク質含量は、BCA試薬法を用いて測定した。抽出物をSDS−PAG E用に、ジチオトレイトールを0.1Mの最終濃度まで、ブロモフェノールブル ーを0.05%の最終濃度まで加えることによって調製した。次いで、試料を煮 沸し、10%SDS−ポリアクリルアミドゲルによる電気泳動によって分画した 。電気泳動の後、タンパク質をPVDF膜(Biorad)に電気移動した。膜を濯いだ 後、10%ウシ血清アルブミンおよび0.2%Tween-20を含むリン酸緩衝食塩水 ,pH7.4中で4℃で12〜14時間ブロックした。ブロットをリン酸緩衝食 塩水,pH7.4、0.2%Tween-20中で室温にて洗浄し、抗原アフィニティー 精製ウサギ抗−Fuc−TVII抗体の1:200の希釈率でプローブした。次 に、ブロットを洗浄し、セイヨウワサビ結合抗−ウサギ免疫グロブリン(Sigma) の1:2500希釈率でプローブした。次に、ブロットを濯ぎ、ECL試薬(Ame rsham,英国)に暴露し、オートラジオグラフィに付した。 ノーザンブロット分析 総RNAを、マウス(FVB/N)組織および培養 した細胞系から、公表された手続きを用いて調製した(T.Maniatis et al.,分 子クローニング:実験室便覧(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨ ーク(1982年))。オリゴ−dT−精製ポリA+RNA試料を、ホルムアル デヒドを含む1.0%アガロースゲル中で電気泳動し、ナイロン膜(Hybond-N,A mersham)に移した。ノーザンブロットを、1×PE、5×SSC、0.5%ドデ シル硫酸ナトリウム、および150μg/mlの剪断を加えたサケ精子DNA中 42℃で2時間プレハイブリダイゼーションした。ブロットを、pMFuc− TVII中のインサートから単離したα[32P]で標識した974bpのEag I−EcoRI断片を含むプレハイブリダイゼーション溶液で42℃で18時間 ハイブリダイゼーションした。Eagl部位をヌクレオチド2228〜2233 に配置し、EcoRI部位は塩基対3202〜3207に亙っている。ブロット を沸騰している0.1SDS中でストリッピングし、ニワトリグリセルアルデヒ ド3−リン酸デヒドロゲナーゼプローブ(A.Dugaiczyk et al.,Biochemistry, vol.22,pp.1605-1613(1983))で再ハイブリダイゼーションして、RNA試料 が完全なままであり、等量で載荷されたことを確認した。 マウスL−セレクチン/IgMキメラ組織化学的プローブの構築 マウスL −セレクチンcDNA(M.H.Siegelman et al.,Science,vol.243,pp.1165- 1172(1989))は、University of Texas Southwesten Medical Center、ダラス、 テキサスのMark Siegelman博士の好意により提供された。細胞外ドメインを、そ のトランスメンブランドメインの結合点でHphl消化物に続いてアダプターの リチゲーション(litigation)で切断した。CH2、CH3、およびCH4ドメイ ンを含むヒトIgMcDNA(Dr.Ernie Kawasakiの好意により提供された)を 、L−セレクチンをコードするオープン・リーディング・フレームをヒトIgM のCH2、CH3、およびCH4ドメインをコードするオープン・リーディング ・フレームに融合する方法でL−セレクチン配列のアダプター修飾末端に連結し た。この断片を、SRαプロモーターに関してセンス配向でSRαプロモーター の直ぐ下流のベクターSRα−PCDM8に挿入した。このベクターを、DEA Eデキストラントランスフェクション法を用いてCOS−7細胞に導入した(J.F .Kukowska-Latallo et al.,Genes & Dev.,vol.4,pp.1288-1303(1990);T. Maniatis et al.,分子クローニング:実験室便覧(Molecular Cloning:A Labora tory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールド・スプリング ・ハーバー、ニューヨーク(1982年))。トランスフェクションの3日後に 、 トランスフェクションした細胞から培地を回収して、新たな培地(DMEM,1 0%FCS,P/S,Q)に置き換え、4日後に回収した。L−セレクチン/I gMキメラを、ヤギ抗−ヒトIgMアガロース上でアフィニティークロマトグラ フィーによって精製して、約40倍に濃縮した。 免疫組織化学的手続き 末梢(腋窩)および腸間膜リンパ節、およびパイア ー斑を、マウスから屠殺直後に単離した。これらのリンパ様組織をOCT培地( Tissue-Tek,Miles,エルクハート,インディアナ)に埋設し、Leica 2800N低温 槽で切断し、ガラス顕微鏡スライド上に集めた。 抗−Fuc−TVIIで染色される切片を、氷上でリン酸緩衝食塩水中2%パ ラホルムアルデヒド中で20分間固定した。切片を室温でリン酸緩衝食塩水で濯 ぎ、室温でリン酸緩衝食塩水中50mM NH4Clで急冷した後、水で簡単に 濯いだ。次に、組織を、氷上で100%メタノールで20分間浸透性にし、リン 酸緩衝食塩水で再水和した後、室温でブロッキング溶液A(2%ヤギ血清、0. 05%Triton X-100、0.05%Tween 20を含むリン酸緩衝食塩水)で30分間 インキュベーションした。ブロッキング溶液を吸引し、切片をブロッキング溶液 A中で5μg/mlの最終濃度で用いた抗原アフィニティー精製抗−Fuc−T VIIで7℃で一晩インキュベーションした。一晩インキュベーションした後、 抗−Fuc−TVII/ブロッキング溶液を除去し、スライドをリン酸緩衝食塩 水で洗浄し、ブロッキング溶液Aで1:200倍に希釈したFITC接合ヤギ抗 −ウサギIgG試薬(Sigma)で室温にて1時間インキュベーションした。次に、 スライドを、シチフルオル(citifluor)(Citifluor Products,Chemical Laborat ory,The University,Canterbury,Kent CT2 7NH)を設けたリン酸緩衝食塩水中 で室温で洗浄し、免疫蛍光顕微鏡法(Leitz DM RB顕微鏡)によって検討した。 モノクローナル抗体MECA−79(P.R.Streeter et al.,J.Cell Biol., vol.107,pp.1853-1862(1988))で染色を行なう切片を、2%パラホルムアル デヒド/リン酸緩衝食塩水中で氷上に固定し、室温でリン酸緩衝食塩水で洗浄し 、室温で50mM NH4Cl/リン酸緩衝食塩水で20分間急冷した。次に、 スライドを水で簡単に濯ぎ、100%メタノールで20分間氷上で浸透性化し、 リン酸緩衝食塩水中で再水和した後、ブロッキング溶液A(2%ヤギ血清、0. 05%Triton X-100、0.05%Tween 20を含むリン酸緩衝食塩水)で室温にて 一晩インキュベーションした。次に、ブロッキング溶液を吸引し、切片を、ブロ ッキング溶液A中でMECA−79を5μg/mlの濃度で1時間7℃でインキ ュベーションした。次いで、切片を、リン酸緩衝食塩水で室温で十分に洗浄した 。次いで、洗浄した切片を、ブロッキング溶液A中で1:200倍の希釈率で用 いたTRITC接合ヤギ抗−ラットIgM試薬(Jackson ImmunoResearch、ペン シルバニア)を用いて、室温で1時間インキュベーションした。次に、スライド をシチフルオルを設けたリン酸緩衝食塩水で室温で3回洗浄し、検討を行なった 。 L−セレクチン/IgMキメラで染色を行なう切片を1%パラホルムアルデヒ ド、0.1Mカコジレート,pH7.1中で20分間氷上で固定した後、Tri s緩衝食塩水,pH7.4で洗浄した。L−セレクチン/IgMキメラを、3m M CaCl2または5mM EDTAを補足したブロッキング溶液B(2%ヤ ギ血清を含むTris緩衝食塩水,pH7.4)中60μg/mlの濃度で切片 に適用し、7℃で一晩インキュベーションを行なった。次いで、切片を、3mM CaCl2O補足した氷冷Tris緩衝食塩水で十分に洗浄した。次に、切片を 、ブロッキング溶液Bで1:200倍に希釈し、3mM CaCl2または5m M EDTAを補足したビオチニル化ヤギ抗−ヒトIgM試薬(Sigma)で、7℃ で1時間インキュベーションした。次に、切片を、3mM CaCl2を補足し た氷冷Tris緩衝食塩水で洗浄し、3mM CaCl2を補足したブロッキン グ溶液Bで1:200倍に希釈したFITC接合ストレプトアビジン試薬(Vecto r Labs、バーリンガム、カリフォルニア)を用いて7℃で1時間インキ ュベーションした。スライドを、3mM CaCl2を補足し、シチフルオルを 設けた氷冷Tris緩衝食塩水で洗浄し、免疫蛍光顕微鏡法(Leitz DM RB顕微 鏡)によって検討した。 インシトゥでのハイブリダイゼーション法 インシトゥでのハイブリダイゼ ーション法を、公表された手続きの変法を用いて行なった(D.G.Wilkinson,イ ンシトゥハイブリダイゼーション:実際的方法(In Situ Hybridization:A Pract ical Approach),IRL Press,Oxford University Press,オックスフオード、英 国)。新鮮なネズミ腋窩リンパ節、腸間膜リンパ節、およびパイアー斑をOCT 培地(Tissue-Tek,MILES,エルクハート,インディアナ)中に埋設し、イソペ ンタン中液体窒素上で急速凍結した。低温槽切片(10pM)をSuperfrost/Plu s顕微鏡スライド(Fisher Scientific,ピッツバーグ,ペンシルバニア)上に集 め、新たに調製した4%パラホルムアルデヒド/PBS中で30分間氷上で固定 し、PBSで2回洗浄し、50mM Tris−HCl,pH7.5、5mM EDTA中1μg/mlプロテイナーゼKで、室温にて5分間消化した。次いで 、スライドをPBSで洗浄し、再度4%パラホルムアルデヒド中で固定し、水で 濯ぎ、0.25%無水酢酸/0.1Mトリエタノールアミン,pH8.0で10 分間室温で処理した。アセチル化に続いて、PBS、次いで0.85%NaCl での室温洗浄を行なった。次に、スライドを、等級付けした一連のエタノールの 水溶液(30%、50%、80%、95%、100%エタノール)中で脱水した 。風乾した切片に、35Sで標識したRNAをセンスまたはアンチセンスの配向で 含むハイブリダイゼーション溶液を重層した。RNAプローブは、組替え体T7 またはSp6RNAポリメラーゼを用いて、ベクターpCDNAI(Invitrogen) にサブクローニングしたマウスFuc−TVII遺伝子(塩基対2197〜24 94,第2図)のコード領域から誘導されるDNAセグメントに隣接するT7ま たはSp6プロモーター配列上で開始するイン・ビトロ転写手続きによって 誘導された。ハイブリダイゼーション溶液は、50%脱イオンホルムアミド、0 .3M NaCl、20mM Tris HCl,pH8.0、5mM EDT A、10mMリン酸緩衝液,pH8.0、10%硫酸デキストラン、1X デン ハート溶液(T.Maniatis et al.,分子クローニング:実験室便覧(Molecular C loning:A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コール ド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1982年))、0.5mg/ml 酵母tRNA、10mMジチオトレイトール、および107cpm/mlの放射 能標識したプローブを含んでいた。ハイブリダイゼーション溶液を、切片上でカ バースリップおよびDPX配設培地(BDH Lab Supplies,プール,英国)でシー ルした。ハイブリダイゼーションを、5X 標準食塩水クエン酸塩(Standard Sa line Citrate)(SSC)で加湿したシールした容器で55℃で16時間行なっ た。ハイブリダイゼーションの後、DPX配設培地シールを除き、スライドを5 5℃で5X SSC、10mMジチオトレイトールで洗浄した後、65℃で30 分間ホルムアミド洗浄緩衝液(50%ホルムアミド、2×SSC、20mMジチ オトレイトール)で洗浄した。次に、スライドを、37℃で、0.5MNaCl 、10mM Tris−HCl,pH7.5、5mM EDTAで洗浄した。次 に、スライドを、RNAアーゼA(1μg/ml)で37℃で30分間消化し、 ホルムアミド緩衝液で洗浄した後、2×SSC、次いで0.1×SSCで洗浄し た。スライドを、等級付けした一連のエタノールの0.3M酢酸アンモニウム溶 液(30%、50%、80%、95%、100%エタノール)で脱水し、風乾し て、NTB2液体エマルション(Kodak)でコーティングした。2〜3週間の暴露 時間の後、エマルションを製造業者によって示唆された手続きを用いて展開した 。次に、切片を、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、Leitz DMRB顕微鏡を 用いて明視野および暗視野様式で検討を行ない、撮影した。結果 ハイブリダイゼーションスクリーンは、新規なネズミα(1,3)フコシルト ランスフェラーゼ座を同定する。 新規なネズミα(1,3)フコシルトランスフェラーゼ遺伝子を単離する努力 において、ネズミのゲノムDNAファージライブラリーをヒトLewisα(1 ,3)フコシルトランスフェラーゼ(Fuc−TIII)(J.F.Kukowska-Lata llo et al.,Genes & Dev.,vol.4,pp.1288-1303(1990))の触媒ドメインに相 当するプローブで、低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件を用いて スクリーニングした(実験手順を参照されたい)。1種類のファージであって、 ヒトα(1,3)フコシルトランスフェラーゼファミリー(Fuc−TIII− VI)の4種類の以前にクローニングしたメンバーによってコードされたアミノ 酸配列と約40%のアミノ酸配列類似性を有する翻訳リーディング・フレームを 有するインサートを含むものを単離した(J.F.Kukowska-Latallo et al.,Genes & Dev.,vol.4,pp.1288-1303(1990);B.W.Weston et al.,J.Biol.Chem. ,vol.267,pp.24575-24584(1992);B.W.Weston et al.,J.Biol.Chem.,vol .267,pp.4152-4160(1992);J.B.Lowe et al.,J.Biol.Chem.,vol.266,p p.17467-17477(1991);S.E.Goelz et al.,Cell,vol.63,pp.1349-1356(199 0);R.Kumar et al.,J.Biol.Chem.,vol.266,21777-21783(1991))。 このゲノム配列に相当する転写体を同定するため、オープン・リーディング・ フレームを表すファージインサートのセグメントを用いて、マウス細胞系および 組織から調製したノーザンブロットをプローブした。このプローブに相当する転 写体を、ネズミ細胞毒性T−細胞系14−7fdで同定した(T.J.Braciale et al.,J.Exp.Med.,vol.153,pp.910-923(1981);M.E.Andrew et al.,J.lm munol.,vol.132,pp.839-844(1984))。この細胞系から構築されたcDNAラ イブラリー(P.L.Smith et al.,J.Biol.Chem.,vol.269,pp.15162-15 171(1994)を、ファージインサートのセグメントとのハイブリダイゼーションに よってスクリ-ニングし、16種類のハイブリダイゼーション陽性コロニーを生 成した。総てで16種類のcDNAクローンを、相当するゲノムDNAの配列と 同様に測定した(第1a図)。この配列データの解析により、この座は、別のス プライシング現象および恐らくは別の転写開始現象から誘導された複数の構造的 に異なる転写体を生成することを示している。5クラスのcDNAが同定された (第1図)。これらのcDNA配列の解析により、ヒトFuc−TIII、Fu c−TIV、Fuc−TV、およびFuc−TVIに対するアミノ酸配列類似性 を有するオープン・リーディング・フレームの翻訳を開始する働きをすることが ある3種類のメチオニンコドンが同定されている(第2図)。これらのメチオニ ンコドンの位置は、異なるサイトゾルドメイン(エキソン2および/または3に よってコードされる)を有するが、同一のゴルジ体に局在した触媒ドメイン(エ キソン4によってコードされる)を有するα(1,3)フコシルトランスフェラ ーゼの合成を予想している。1つの比較的多量に存在するクラスのcDNA(c DNA14で表される)は、ヌクレオチド1947のメチオニンコドンで開始す るオープン・リーディング・フレームを保持している。このリーディング・フレ ームは、アミノ酸9〜31から誘導される疎水性のトランスメンブランセグメン トを有する342残基の39,424DaのII型トランスメンブランタンパク 質を予想している(第2図)。ヌクレオチド2126のインフレームメチオニン コドンは、318残基の36,836Daのポリペプチドであって、ヌクレオチ ド1947で開始されたより長いリーディング・フレームによって予想されたポ リペプチドの疎水性のトランスメンブランセグメント内で開始するものを予想し ている。同様な構造上の配置は、cDNA6および10によって表される2種類 の他のcDNAクラスで認められる。しかしながら、これらの2種類のcDNA は、ヌクレオチド996に相当するメチオニンコドンを有する追加の上流エキソ ンを含む点でcDNA14とは異なる。このメチオニンコドンによって開始され た翻訳リーディング・フレームは、ヌクレオチド1947のメチオニンコドンに 近い位置のエキソン2における終止コドンによって切断され、従ってヒトα(1 ,3)フコシルトランスフェラーゼと類似性を共有するポリペプチドを生成する ことはできない。しかしながら、cDNA5では、エキソン2が存在しないため 、ヌクレオチド996のメチオニンコドンによって生成した翻訳リーディング・ フレームは、エキソン4における配列とインフレームで継続することができる。 この配置は、cDNA14によって予想されたタンパク質について画定された同 じ推定上のトランスメンブランセグメントを有する389残基の44,492D aのII型トランスメンブランタンパク質の合成を予想している(第2図)。最 後に、cDNA3は、エキソン4のスプライス受容体部位とヌクレオチド212 6のメチオニンコドンとの間でそれぞれ開始する比較的多量に存在するクラスの cDNAの代表例である。このクラスのcDNAは、他のクラスのcDNAに相 当するタンパク質について予想されたトランスメンブランセグメント内で開始す る318残基の36,836Daのポリペプチドを予想している。 これらのネズミcDNAによって予想されたポリペプチドは、その時点で知ら れている4種類のヒトα(1,3)フコシルトランスフェラーゼ(Fuc−TI II、IV、VおよびVI)に対する一次配列類似性を共有するため、それらの 1個以上がα(1,3)フコシルトランスフェラーゼとして機能すると思われる 。しかしながら、ネズミペプチド配列は、これらのヒト酵素のそれぞれに対する ほぼ同等の配列類似性を共有するので、それらのいずれかのネズミ同族体を表さ ず、従ってFuc−TVIIと命名されるものと思われる。この名称は、このネ ズミ遺伝子を用いて、ヒトFuc−TVIIをコードするcDNAを単離する引 き続く研究によって正当化された(S.Natuska et al.,J.Biol.Chem.,vol.2 69,pp.16789-16794(1994))。 3種類の推定的開始コドンのいずれも、翻訳開始のKozakの法則と一致する配 列に関しては埋設されていない(第2図)(M.Kozak,Cell,vol.44,pp.283- 292(1986))。これらの開始コドンおよび同族のcDNAのいずれが予想された( 複数の)ポリペプチドをコードするかを決定し、この座がα(1,3)フコシル トランスフェラーゼをコードすることを確かめるため、COS−7細胞をそれぞ れのクラスの代表的なcDNAでトランスフェクションし、トランスフェクショ ン生成物を(i)cDNAによって決定される細胞表面に局在したフコシル化オリ ゴ糖抗原を同定し、(ii)cDNAによってコードされたポリペプチドを同定して 、定量子、(iii)イン・ビトロα(1,3)フコシルトランスフェラーゼ活性分 析を用いてトランスフェクション生成物細胞抽出物におけるcDNAによって決 定されるα(1,3)フコシルトランスフェラーゼ活性を同定し、部分的に特性 決定するために分析を行なった。 5クラスの内の3個に代表的なcDNA(cDNA6、10および14)(第 1図)は、トランスフェクションによってCOS−7細胞に導入されるときには 、比較的高濃度の細胞表面に局在したsLeX発現(それぞれ35.1%、21 .8%、および16.5%、2%のバックグラウンドより高い)を決定する。c DNA5も、COS−7細胞での細胞表面sLeX発現を、cDNA6、10お よび14によって決定されるsLeX発現水準より低い水準(9%陽性細胞)で 指示している。対照的に、これら4種類のcDNAのいずれも、Lewis x 、Lewis a、またはシアリルLewis x決定基の発現を指示しない。 これらの結果は、それぞれのcDNAにおける2個の潜在的なメチオニンイニシ エーターコドンが、翻訳を効率的に指示し、α(1,3)フコシルトランスフェ ラーゼ活性を生成することができることを示している。これらの観察は、更に、 このα(1,3)フコシルトランスフェラーゼ活性がsLeX決定基を形成する ためにα(2,3)シアリル化ラクトースアミンを基剤としたグリカン構造を用 い ることができることを示しているが、この活性は、中性のII型オリゴ糖Lew is x前駆体、Lewis a異性体に対する中性またはα(2,3)シアリ ル化I型前駆体も効率的に利用しない。これらの4種類のcDNA総ては、CO S−7細胞における定量的に同一の細胞表面抗原プロフィールを定量的に指示す るので、それぞれは、個々にまたは一緒にポリペプチドであって、個々にまたは 一緒に本質的に同一の受容体基質特異性を維持するものの発現を指示すると思わ れる(少なくとも検討を行なった4種類の抗原について)。 cDNA5、6、10、および14で得られた結果とは対照的に、cDNA3 は検出可能なsLeX発現を指示しない。この結果は、このcDNAのヌクレオ チド2126でのメチオニンコドンが同族mRNAの翻訳の開始を効率的に促進 せず、従って機能的に有意な濃度の酵素活性をコードしないことを示唆している 。あるいは、このcDNAは、α(1,3)フコシルトランスフェラーゼ活性を 持たないポリペプチドをコードすることがある。 これら5種類のcDNAをLewis xおよびsLeX決定基の発現に重要な 別の細胞系(CHO−Tag細胞)で発現すると、定量的に同一の結果が得られ た。COS−7細胞とは異なり、この細胞系は、内部的にフコシル化したVIM −2決定基(NeuAcα2,3Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ 1,4−(Fucα1,3)GlcNAc−R)を形成することもできる(B.W. Weston et al.,J.Biol.Chem.,vol.267,pp.24575-24584(1992))。CHO −Tag細胞で発現するときには、cDNAのいずれもVIM−2エピトープの 発現を指示しないことが分かった。一緒に考慮すると、これらの結果は、cDN Aの総てではなくとも、幾つかは、末端のα(2,3)シアリル化ラクトースア ミン単位上でN−アセチルガラクトースアミン残基のα(1,3)フコシル化を 触媒することができるα(1,3)フコシルトランスフェラーゼ活性をコードす ることができるが、α(2,3)シアリル化ポリラクトースアミン前駆体上の 内部N−アセチルガラクトースアミン残基や中性のII型前駆体についてはそう ではないことを示している。 それぞれのcDNAに特徴的なsLex発現効率が相当するタンパク質の発現 の水準と相関することを確かめるため、トランスフェクションしたCOS−7細 胞の細胞抽出物を、予想したポリペプチドの組替え形態に対して生じたアフィニ ティー精製ウサギポリクローナル抗体を用いてウェスタン・ブロット分析を行な った(第1b図)。cDNA6、10および14でトランスフェクションした細 胞は、分子量が35kDa〜37kDaの2種類の主要な形態のタンパク質を発 現する。少量の数種類の他のタンパク質も、これらの細胞で明らかである。これ ら3種類のcDNAによって生じた免疫反応性タンパク質の量は、それぞれによ って指定されたsLex発現の濃度と相関する。この観察は、それぞれによって 指定された相対的sLex発現水準は、それぞれの相当するmRNAが翻訳され る効率によって変化し、従って同族のポリペプチドの相対的な細胞内蓄積によっ て変化することを示している。 cDNA5でトランスフェクションした細胞は、複数の免疫反応性ポリペプチ ドも含む(第1b図)。これらのタンパク質の最も多量に存在する対は、cDN A6、10および14でトランスフェクションした細胞で検出されたタンパク質 よりも速やかに移動し、cDNA6および10によって指定される免疫反応性タ ンパク質とほぼ同様な量である。cDNA5は、これら2種類のcDNAよりも 低水準の細胞表面sLex発現を指示するので、cDNA5でトランスフェクシ ョンした細胞に見られる低Mr免疫反応性ポリペプチドは、cDNA6、10お よび14によってコードされるタンパク質よりも実質的に低い特異的酵素活性を 維持し、またはCOS−7細胞におけるsLex発現を指示することが余りでき ない。最後に、cDNA3でトランスフェクションした細胞は、如何なる検出可 能な免疫反応性タンパク質も含まない。これは、このcDNAの塩基対2126 での推定的イニシエーターコドンが免疫反応性生成物の翻訳を開始せず、このc DNAはCOS−7細胞へのトランスフェクションの後sLex発現を生成しな いという観察と一致している。 上記にまとめたフローサイトメトリーおよびウェスタン・ブロット分析から誘 導される結論は、同じ細胞抽出物で行なわれたイン・ビトロでのα(1,3)フ コシルトランスフェラーゼアッセイの結果によって支持されている。これらのア ッセイは、cDNA5、6、10、および14でトランスフェクションした細胞 が、ヌクレオチドドナー基質GDP−フコースから低分子量受容体3’−シアリ ル−N−アセチルラクトースアミン(SLN;NeuNAcα2,3Galβ1 ,4GlcNAc)へ14Cで標識したフコースを移行することができる酵素活性 を含むことを示している(第1a図)。それぞれのcDNAについて、この反応 の生成物は、イオン抑制アミン吸着HPLCによって分画すると、放射能標識し たsLeX四糖標準と共に同時溶出する。これらの4種類のcDNAのそれぞれ によって指示されたα(1,3)フコシルトランスフェラーゼ活性は、中性受容 体基質N−アセチルラクトースアミンまたはラクト−N−ビオースIを用いない 。また、cDNA3でトランスフェクションした細胞から調製した抽出物は、3 ’−シアリル−N−アセチルラクトースアミンで試験したときにも、中性受容体 基質N−アセチルラクトースアミンまたはラクト−N−ビオースIで試験したと きにも、検出可能なα(1,3)フコシルトランスフェラーゼ活性を含まない。 これらの結果は、上記にまとめたフローサイトメトリーデータと完全に一致して おり、この座が、末端がα(2,3)結合シアル酸残基で置換しているII型受 容体基質を明らかに必要としているα(1,3)フコシルトランスフェラーゼ活 性をコードすることを示している。一緒に考慮すれば、これらの結果は、特異的 スプライシング(differential splicing)および/または転写開始現象は、α( 1,3)フコシルトランスフェラーゼ活性の水準を制御することができ、従って 、そ れぞれの転写体が翻訳される効率によって変化する機構を介して細胞表面sLe x発現水準を制御することができることを示唆している。 マウスFuc−TVII座の転写は、骨髄および肺に見られる細胞に限定され る。 ノーザンブロット分析は、Fuc−TVII座に相当する転写体が、成熟マウ スの若干の組織だけで検出可能な濃度にまで蓄積することを示している(第3図 )。多量の転写体の蓄積は、肺および骨髄に見られるだけであり、脾臓、すい臓 および骨格筋では極めて微量が認められる。培養したネズミ血液細胞型細胞系の ノーザンブロット分析では、Fuc−TVII転写体はマウス細胞毒性T系14 −fd(Fuc−TVIIcDNAのクローニングに使用)およびマウスT細胞 系EL4(L.J.Old et al.,Cancer Res.,vol.25,pp.813-819(1965))に比較 的多量に存在することを示している。ネズミマクロファージ由来の系RAW(P.Ra lph et al.,J.Immunol.,vol.119,pp.950-954(1977);W.C.Raschke et al. ,Cell,vol.15,pp.261-267(1978))およびP388(H.S.Koren et al.,J. Immunol.,vol.114,pp.894-897(1975))では、転写体の蓄積は余り多くはない 。Fuc−TVII転写体は、ネズミ赤白血球細胞系MEL(D.Singer et al.,P roc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,vol.71,pp.2668-2670(1974);B.L.Weber et al.,Science,vol.249,pp.1291-1293(1990))でも、または3種類のネズミ B−リンパ系譜細胞系[S107(M.L.Atchison et al.,Cell,vol.48,pp. 121-128(1987));TH2.54.63(T.Hamano et al.,J.Immunol.,vol.13 0,pp.2027-2032(1983));180.1(M.Hummel et al.,J.Immunol.,vol.1 38,pp.3539-3548(1987))]でも認められない。 骨髄および肺はいずれも、数種類の大きさの異なる転写体、例えば大きさが約 1.6および2.2kbの2種類の多量に存在する転写体、および約3.0kb の僅かな転写体を維持している。これらの3種類の転写体は、ネズミ14−7f d細胞毒性T細胞系で見られた3種類の極めて多量に存在する転写体と大きさが 類似している。これらの観察は、骨髄および肺の細胞が、14−7fd細胞での cDNAクローニング検討を特徴とするものに構造が類似した別にスプライシン グした転写体を生じることを示唆している。これらのデータは、骨髄では、Fu c−TVII座が骨髄様およびT−リンパ球様系譜に割り当てられた細胞で転写 されるが、B−リンパ球様系譜細胞型では転写されないことを示唆し、このフコ シルトランスフェラーゼの発現は、骨髄様およびT−リンパ球様系譜細胞型での セレクチンリガンド発現と相関していることを示唆している。 Fuc−TVIIは、末梢リンパ節、腸間膜リンパ節、およびパイアー斑の高 内皮性小静脈の内側を覆っている内皮細胞で発現する。 肺におけるノーザンブロットシグナルに関与する肺における細胞型の同一性は 、インシトゥハイブリダイゼーション分析によって開示された。これらの検討に より、摘出した肺内部の側部気管リンパ節(paratracheal lymph nodes)のFuc −TVII転写体を同定したが、他の細胞型では同定されなかった。これらの節 での発現のパターンは、Fuc−TVII転写体は、これらの節内部の高内皮性 小静脈に局在していることを示唆していた。シアリルLewis x決定基の硫 酸化誘導体がHEV特異性L−セレクチンリガンドに見られる末端オリゴ糖残基 を表すことを示唆している最近の観察結果と一緒に考察すると(S.Hemmmerich e t al.,Biochemistry,vol.33,pp.4830-4835(1994);S.Hemmerich et al.,J .Biol.Chem.,vol.270,pp.12035-12047(1995))、これらのHEVでのFu c−TVII転写体の検出は、このフコシル化オリゴ糖の合成における、および リンパ球ホーミングの制御におけるこの座の可能な役割を示唆している。Fuc −TVIIのHEV特異性発現を更に特性決定するため、これを、L−セレクチ ンリガンド発現が十分に特性決定されている末梢リンパ節、腸間膜リンパ節、お よびパイアー斑でのインシトゥハイブリダイゼーション分析を用いて系統的に評 価した(S.D.Rosen et al.,Curr.0pin.Cell Biol.,vol.6,pp.663-673(19 94))。これらの解析(第4図)は、Fuc−TVII転写体が、3種類のリンパ 様集合体総てのHEVに容易に検出され得る水準まで蓄積することを示している 。インシトゥハイブリダイゼーションシグナルは、パイアー斑を覆っている腸管 腔表面を覆っている細胞の集合ではアンチ−センスFuc−TVIIプローブで も得られる。これらは上皮細胞であると推定され、いわゆるM細胞と呼ばれるこ とがあるが(R.L.Owen,Gastroenterology,vol.72,pp.440-451(1977))、そ れらの正確な同一性は未知のままである。 上記のように、総てのFuc−TVII由来の転写体がタンパク質生成物を生 じるものではない。従って、免疫組織化学的解析を用いてHEVに検出されるF uc−TVII転写体がFuc−TVIIポリペプチド発現を伴うことを確認し 、このような発現がL−セレクチンリガンド発現と同時局在化する(co-localize s)ことを確認した。Fuc−TVIIペプチドに対して生じたウサギポリクロー ナル抗体は、3種類総てのリンパ様集合体でのHEV内の内皮細胞で細胞内染色 パターンを生じる(第5図)。アンチ−Fuc−TVII抗体で見られる核周囲 の細胞内染色パターンは、この酵素がゴルジ装置に局在しており、L−セレクチ ンリガンド活性を有するフコシル化オリゴ糖の合成に関与することがあるという 概念と一致している。3種類のリンパ様集合体のそれぞれにおいて、免疫反応性 のFuc−TVIIの発現は、HEVを染色し、HEVへのL−セレクチン結合 と干渉することが以前に示されたMECA−79抗体によって認識されたエピト ープの発現と同時局在している(P.R.Streeter et al.,J.Cell Biol.,vol.1 07,pp.1853-1862(1988))。Fuc−TVII発現は、組替えマウスL−セレク チン/ヒトIgMキメラタンパク質で検出されたように、HEV上のL−セレク チンリガンドの発現とも同時局在している。これらの観察は、Fuc−TVII が、HEV由来のL−セレクチンリガンドのシアリル化、硫酸化、およびα(1 ,3) フコシル化候補のオリゴ糖成分の合成に関与することがあることを示している。 動物での細胞表面のフコシル化オリゴ糖の機能を理解するための努力において 、初期に細胞表面がフコシル化したオリゴ糖の発現を制御する座の組織特異的発 現パターンを特性決定するための試薬として用いられたネズミα(1,3)フコ シルトランスフェラーゼ遺伝子を単離するためのプログラムを確立した。これら の試薬およびそれらの応用から収集された情報は、最終的にはそれらの発現パタ ーンを摂動することによって同族の細胞表面フコシル化オリゴ糖の機能を解明す るトランスジェニック法と共に用いられるであろう。 本明細書に記載した交差ハイブリダイゼーション法では、触媒ドメインに相当 する位置におけるヒトFuc−TsIII、V、およびVI遺伝子の保存された 部分から誘導されるセグメントと交差ハイブリダイゼーションする新規なゲノム 配列を生じた。このネズミのゲノム座の単離の後、機能解析では、Fuc−TV IIと呼ばれ、単離の時点ではα(1,3)フコシルトランスフェラーゼファミ リーにとって独特な構造的特徴と触媒活性を有するα(1,3)フコシルトラン スフェラーゼをコードすることが示された。特に、この座は、2個以上のエキソ ンに亙ってC分布したコード領域を維持することが知られている唯一のα(1, 3)フコシルトランスフェラーゼであり、かつ異なる細胞質ドメインを特徴とす る構造的に異なるポリペプチドを生成する可能性を有する複数の異なる開始コド ンを有するが、本質的に同一の触媒活性を有する最初のフコシルトランスフェラ ーゼであった。それぞれのFuc−TVIIイソ酵素の触媒活性は、α2,3シ アリル化II型N−アセチルラクトースアミン前駆体を用いることができ、中性 のII型、中性I型またはシアリル化I型N−アセチルラクトースアミン基質を 用いることはできないことを特徴とする。同様な観察は、続いて単離されたFu c−TVIIのヒト同族体についてなされている(S.Natsuka et al.,J.Biol .Chem.,vol.269,pp.16789-16794(1994);K.Sasaki et al.,J.Biol.Che m.,vol.269,pp.14730-14737(1994))。この触媒特異性およびこの遺伝子の白 血球特異的発現パターンは、E−およびP−セレクチンリガンド活性に本質的な α2,3シアリル化、α1,3フコシル化ラクトースアミングリカンを生成する 生合成過程において極めて重要な役割を果たしていることを強く示唆している。 更に、この酵素の欠損について遺伝子操作したマウスの白血球は、E−セレクチ ンおよびP−セレクチンの機能的リガンドの発現を欠き、炎症部位への白血球の 移動を欠くことを特徴とする同時免疫欠損を示す。これらの観測は、Fuc−T VIIが白血球セレクチンリガンド発現を制御することを示し、この酵素の医薬 化合物またはマニューバー(maneuvers)による阻害は、セレクチン依存性炎症が 病的であるヒト疾患における治療効果を有することがある抗炎症法を表すことを 示している。 本明細書記載の作業で得られた他の観察は、L−セレクチンのリガンドのオリ ゴ糖成分の合成の指示におけるFuc−TVIIの役割を示唆している。Rosen とその共同研究者らが示したように、HEV上のL−セレクチンリガンドは、ム チン型糖タンパク質GlyCAM−1、CD34、およびMAdCAM−1によ って示されるO−結合炭水化物決定基に相当する(L.A.Lasky et al.,Cell,vo l.69,pp.927-938(1992);S.Baumhuester et al.,Science,vol.262,pp.436-4 38(1993))。それらの初期の生化学的分析では、L−セレクチンリガンド活性に 関するオリゴ糖は、シアリル化、硫酸化、および可能な場合にはフコシル化され ていることを示している(Y.Imai et al.,J.Cell Biol.,vol.113,pp.1213 -1221(1991))。Rosenグループによる更に最近の構造解析は、これらのオリゴ糖 のキャッピング基が、シアリルsLeX残基の硫酸化誘導体に相当し、硫酸塩は 末端のガラクトース残基の6−ヒドロキシルを介して[NeuNAcα2,3( SO46)Galβ1,4(Fucα1,3)GlcNAC−R]またはサブ末 端のN−アセチル−グルコースアミン残基の6−ヒドロキシルを介して[N euNAcα2,3Galβ1,4(SO46)(Fucα1,3)GlcNA c−R]、または両方によって結合しているという過程と一致している(S.Hemm erich et al.,Biochemistry,vol.33,pp.4820-4829(1994);S.Hemmerich et al.,Biochemistry,vol.33,pp.4830-3835(1994);S.Hemmerich et al.,J.B iol.Chem.,vol.270,pp.12035-12047(1995))。これらの構造の非フコシル化 形態も同定されているが、生理学的なL−セレクチンリガンドの活性にはフコー スが必要であるという証拠は形式的なままである。 このような非フコシル化構造の同定は、これらのシアリル化および硫酸化分子 は、HEV内皮細胞で発現したα(1,3)フコシルトランスフェラーゼの受容 体基質を表すという可能性を示唆している。Fuc−TVII座の発現がこれら の細胞でのL−セレクチンリガンド発現と同時局在しているという本発明者らの 観察は、Fuc−TVIIがこれに関して働くことがあることを示唆している。 更に、Fuc−TVIIの欠損について遺伝子操作したマウスは、リンパ節への L−セレクチン依存性リンパホーミングを欠き、末梢および腸間膜リンパ節、お よびパイアー斑の抗内皮性小静脈でのL−セレクチンリガンド活性の発現を欠い ている。これらの観察は、Fuc−TVIIがHEVセレクチンリガンド発現を 制御することを示し、この酵素の医薬化合物またはマニューバー(maneuvers)に よる阻害は、セレクチン依存性リンパ球輸送が病的であるヒト疾患における治療 効果を有することがある抗炎症法を表すことを示している。硫酸化およびシアリ ル化ラクトースアミン残基がFuc−TVIIのような酵素の受容体基質を表す という概念は、Fuc−TVII(E.V.Chandrasekaran et al.,Biochem.Bio phys.Res.Commun.,vol.201,pp.78-89(1994))およびFuc−TV(P.R.Scu dder et al.,Glycobiology,vol.4,pp.929-933(1994))がシアリル化、硫酸 化したラクトースアミン型受容体を用いることができることを示唆する研究によ って支持されている。GlyCAM−1の生合成についての研究から得られる 間接的証拠も、この仮定と一致している(S.Hemmerichetal.,Biochemistry,vo l.33,pp.4820-4829(1994);D.Crommie et al.,J.Biol.Chem.,vol.270, pp.22614-22624(1995))。しかしながら、本発明者らの結果は、非硫酸化体Ne uNAcα2,3Galβ1,4GlcNAcがFuc−TVIIによってイン ・ビトロおよびイン・ビボで用いられることを示している。生化学的分析は、こ のシアリル化分子のGlcNAc残基の6−O硫酸化により、マウスFuc−T VIIによって効果的に用いられる基質を生成することを示している。従って、 この硫酸化分子などがHEV内皮細胞でFuc−TVIIによって利用されるか どうかを決定しなければならない。例えば、このような分子の生合成過程は画定 すべきであるが、Fuc−TVIIはこの過程において重要な役割を果たしてい ることは明らかである。 顆粒細胞および他の白血球によって発現されるL−セレクチンは、これらの細 胞の未だ未画定の細胞外内皮細胞カウンターレセプターを介して活性化した血管 内皮への接着を媒介することを示している証拠がある(M.L.Arbones et al.,Im munity,vol.1,pp.247-260(1994);K.Ley et al.,J.Exp.Med.,vol.181 ,pp.669-675(1995))。この(複数の)カウンターレセプターの化学的性質は知 られていないので、このリガンドの合成におけるFuc−TVIIの役割も推測 であり、本実験室の最新の研究の主題である。とにかく、Fuc−TVIIが白 血球で発現し、E−およびP−セレクチンのリガンドの合成を支持することがで きることを示す以前の観察と共に、Fuc−TVIIの存在しないマウスはE− 、P−およびL−セレクチンのリガンドを欠いているという証拠と共に考慮する と、Fuc−TVIIがHEV上でL−セレクチンリガンドと同時発現するとい う説明は、Fuc−TVIIがこれら3種類総てのセレクチンのリガンドの合成 、およびセレクチン依存性白血球輸送の制御のマスター制御座であることを示し ている。 明らかに、本の多数の修飾および変更が、上記の教示から可能である。従って 、本発明は、添付の請求の範囲内において、本明細書に具体的に記載されている 以外でも実施することができることを理解すべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 45/00 C07K 16/40 C07K 16/40 C12N 9/10 C12N 5/10 G01N 33/53 D 9/10 33/573 A G01N 33/53 C12N 5/00 B 33/573 A61K 37/52 (72)発明者 ジョン、ビー.ロウ アメリカ合衆国ミシガン州、アン、アーバ ー、ウォーターシェッド、ドライブ、830 (54)【発明の名称】 ネズミα(1,3)フコシルトランスフェラーゼFuc―TVII、それをコードするDNA、 その製造法、それを認識する抗体、それを検出するためのイムノアッセイ、このようなDNAを 含むプラスミド、およびこのようなプラスミドを含む細胞

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. アミノ酸サブ配列を含んでなるアミノ酸配列を有するポリペプチドであ って、上記アミノ酸サブ配列が、 (a) 第2図に示されるヌクレオチド配列の966〜1149位および2067 〜3079位に相当するDNA配列によってコードされたアミノ酸配列、および (b) 第2図に示されるヌクレオチド配列の1947〜1959位および206 7〜3079位に相当するDNA配列によってコードされたアミノ酸配列、 からなる群から選択されることを特徴とする、ポリペプチド。 2. アミノ酸サブ配列を含んでなるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコ ードするDNAの単離配列であって、上記アミノ酸サブ配列が、 (a) 第2図に示されるヌクレオチド配列の966〜1149位および2067 〜3079位に相当するDNA配列によってコードされたアミノ酸配列、および (b) 第2図に示されるヌクレオチド配列の1947〜1959位および206 7〜3079位に相当するDNA配列によってコードされたアミノ酸配列、 からなる群から選択されることを特徴とする、単離配列。 3. 第2図に示されるDNA配列の966〜1149位および2067〜3 079位に相当するDNAサブ配列を含んでなる、請求項2に記載のDNA配列 。 4. 第2図に示されるDNA配列の1947〜1959位および2067〜 3079位に相当するDNAサブ配列を含んでなる、請求項2に記載のDNA配 列。 5. アミノ酸サブ配列を含んでなるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコ ードするDNAの配列を含んでなるプラスミドであって、上記アミノ酸サブ配列 が、 (a) 第2図に示されるヌクレオチド配列の996〜1149位および2067 〜3079位に相当するDNA配列によってコードされたアミノ酸配列、および (b) 第2図に示されるヌクレオチド配列の1947〜1959位および206 7〜3079位に相当するDNA配列によってコードされたアミノ酸配列、 からなる群から選択されることを特徴とする、プラスミド。 6. 第2図に示されるDNA配列の996〜1149位および2067〜3 079位に相当するDNA配列を含んでなる、請求項5に記載のプラスミド。 7. 第2図に示されるDNA配列の1947〜1959位および2067〜 3079位に相当するDNA配列を含んでなる、請求項5に記載のDNA配列。 8. アミノ酸サブ配列を含んでなるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコ ードするDNAの配列を含んでなるプラスミドを含んでなる形質転換細胞であっ て、上記アミノ酸サブ配列が、 (a) 第2図に示されるヌクレオチド配列の996〜1149位および2067 〜3079位に相当するDNA配列によってコードされたアミノ酸配列、および (b) 第2図に示されるヌクレオチド配列の1947〜1959位および206 7〜3079位に相当するDNA配列によってコードされたアミノ酸配列、 からなる群から選択されることを特徴とする、形質転換細胞。 9. 上記プラスミドが、第2図に示されるDNA配列の996〜1149位 および2067〜3079位に相当するDNA配列を含んでなる、請求項8に記 載の形質転換細胞。 10. 上記プラスミドが、第2図に示されるDNA配列の1947〜195 9位および2067〜3079位に相当するDNA配列を含んでなる、請求項8 に記載の形質転換細胞。 11. アミノ酸サブ配列を含んでなるアミノ酸配列を有するポリペプチドに 特異的に結合する抗体であって、上記アミノ酸サブ配列が、 (a) 第2図に示されるヌクレオチド配列の996〜1149位および2067 〜3079位に相当するDNA配列によってコードされたアミノ酸配列、および (b) 第2図に示されるヌクレオチド配列の1947〜1959位および206 7〜3079位に相当するDNA配列によってコードされたアミノ酸配列、 からなる群から選択されることを特徴とする、抗体。 12. モノクローナル抗体である、請求項11に記載の抗体。 13. (i) 上記ポリペプチドを含むことがある試料を、このポリペプチド に特異的に結合する抗体と接触させて、抗体−ポリペプチド複合体を形成させ、 (ii) 上記抗体−ポリペプチド複合体を検出する ことを含んでなるポリペプチドのイムノアッセイであって、 上記ポリペプチドが、アミノ酸サブ配列を含んでなるアミノ酸配列を有し、上 記アミノ酸サブ配列が、 (a) 第2図に示されるヌクレオチド配列の996〜1149位および2067 〜3079位に相当するDNA配列によってコードされたアミノ酸配列、および (b) 第2図に示されるヌクレオチド配列の1947〜1959位および206 7〜3079位に相当するDNA配列によってコードされたアミノ酸配列、 からなる群から選択されることを特徴とする、イムノアッセイ。 14. 第2図に示されるDNA配列のヌクレオチド位置966〜3079に 相当するDNAサブ配列を含んでなる、DNAの単離配列。 15. 第2図に示されるDNA配列のヌクレオチド位置1947〜3079 に相当するDNAサブ配列を含んでなる、DNAの単離配列。 16. アミノ酸サブ配列を含んでなるアミノ酸配列を有するポリペプチドを コードするDNA配列を含んでなるプラスミドを含んでなる形質転換細胞を培養 してなる、ポリペプチドの産生法であって、上記アミノ酸サブ配列が、 (a) 第2図に示されるヌクレオチド配列の996〜1149位および2067 〜3079位に相当するDNA配列によってコードされたアミノ酸配列、および (b) 第2図に示されるヌクレオチド配列の1947〜1959位および206 7〜3079位に相当するDNA配列によってコードされたアミノ酸配列、 からなる群から選択されることを特徴とする、方法。
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