JP2000512484A - ヒト・ヒアルロナン・レセプター - Google Patents

ヒト・ヒアルロナン・レセプター

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Abstract

(57)【要約】 本発明はヒトRHAMMのゲノムおよびcDNA配列ならびにヒトの悪性疾患に対する診断試験法および予後試験法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 ヒト・ヒアルロナン・レセプター 技術分野 本発明は、ヒアルロン酸仲介運動性に関するレセプターまたはRHAMM(Rec eptor for Hyaluronic Acid Mediated Motility)として知られている、ヒト・ヒ アルロナン(hyaluronan)・レセプターに関する。より詳しくは、ヒト・ヒアルロ ナン・レセプターのゲノム性DNA配列に関する。 背景技術 本明細書の説明では、末尾に掲げている引用文献を参照する。 ヒアルロナンは、細胞外マトリックスの至る所に存在し、細胞の移動、増殖、 トランスフォーメーションにリンクして合成される大きなグリコサミノグリカン である。このグリコサミノグリカンは、その生物効果の多くに介在する特定のタ ンパク質・レセプターを介して細胞表面と相互作用する。 このようなレセプターの一つがRHAMMである。RHAMMのcDNAの起 源は、ネズミ3T3繊維芽細胞cDNA発現ライブラリー(Hardwick et al.,(1 982))からクローニングされたものであって、これまでに数種のRHAMMイソ フォーム(isoform)がネズミ遺伝子内でコードされていることが見出されている( Entwistle et al.,(1995))。 RHAMMはrasトランスフォーメーション経路におけるrasの下流で作用する (Hall et al,1995)。RHAMMはネズミの細胞が発現過度となると、焦点接着 ターンオーバー(focal adhesion turnove)を制御し、細胞の移動を要求して、 トランスフォーメーションする(Hall et al.,1995)。 発明の概要 本発明の一実施態様は、ヒトRHAMM1、ヒトRHAMM2、ヒトRHAM M3、ヒトRHAMM4およびヒトRHAMM5からなる群から選ばれるタンパ ク質をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸である。 本発明の他の実施態様は、 (a)配列番号3のうちの少なくとも10個の連続したヌクレオチドからなる ヌクレオチド配列と、 (b)配列番号3のうちの少なくとも15個の連続したヌクレオチドからなる ヌクレオチド配列と、 (c)配列番号3のうちの少なくとも20個の連続したヌクレオチドからなる ヌクレオチド配列と からなる群から選ばれるヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸である。 本発明のさらに他の実施態様は、ヒトRHAMMタンパク質の結合ドメイン少 なくとも一個をコードするヌクレオチドまたはHAの結合力を保持するフラグメ ントまたはその同族体を含んでなる単離された核酸である。 本発明のさらに他の実施態様は、表1に掲げるヌクレオチド配列のエキソン少 なくとも一個のヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸である。 本発明のさらに他の実施態様は、配列番号50のアミノ酸配列をコードするヌ クレオチド配列を含んでなる単離された核酸である。 本発明のさらに他の実施態様は、ある動物またはその祖先のゲノムが、 (a)ヒトRHAMM遺伝子のエキソン少なくとも一個のヌクレオチド配列の 挿入と、 (b)ヒトRHAMMタンパク質を少なくとも一個コードするヌクレオチド配 列の挿入と、 (c)内因性RHAMM遺伝子の失活と からなる群から選ばれる変更を引き起こす少なくとも一個の組み換え構成体の挿 入に より変更されている遺伝子導入動物を提供する。 本発明のさらに他の実施態様は、ヒトRHAMM1、ヒトRHAMM2、ヒト RHAMM3、ヒトRHAMM4およびヒトRHAMM5からなる群から選ばれ る実質的に純粋なタンパク質を提供する。 本発明のさらに他の実施態様は、 (a)配列番号4のアミノ酸配列の少なくとも5個の連続したアミノ酸残基と 、 (b)配列番号4のアミノ酸配列の少なくとも10個の連続したアミノ酸残基 と、 (c)配列番号4のアミノ酸配列の少なくとも15個の連続したアミノ酸残基 と からなる群から選ばれるアミノ酸配列からなる実質的に純粋なペプチドを提供す る。 本発明のさらに他の実施態様は、ヒトRHAMMの結合ドメイン少なくとも一 個からなる実質的に純粋なペプチドを提供する。 本発明のさらに他の実施態様は、配列番号50のアミノ酸配列を持つ実質的に 純粋なペプチドを提供する。 本発明のさらに他の実施態様は、ヒトRHAMMタンパク質の抗原決定基と選 択的に結合する抗体を提供する。 本発明のさらに他の実施態様は、 ヒトRHAMMタンパク質少なくとも一個の調製物を用意し、 この調製物を候補化合物に接触させ、 RHAMMタンパク質とこの候補化合物との結合を検出する 各ステップからなる、ヒトRHAMMタンパク質と選択的に結合することができ る化合物を同定する方法を提供する。 本発明のさらに他の実施態様は、腫瘍を持つ哺乳動物の予後を評価する方法に おいて、この哺乳動物からサンプルを採取し、RHAMMタンパク質の発現が高 いと予後不良であることを示す腫瘍サンプル中のRHAMMタンパク質の発現濃 度を測定することからなる方法を提供する。 本発明のさらに他の実施態様は、RHAMM遺伝子の発現過度を特徴とするヒ トの障害を予防または治療する医薬組成物ににおいて、 (a)RHAMM遺伝子の優勢なサプレッサー突然変異体と、 (b)ヒトRHAMM・cDNAに対するアンチセンス配列と、 (c)薬学的に許容できる担体に担持してある、ヒトRHAMM遺伝子のエキ ソン8に対するアンチセンス配列と からなる群から選ばれるヌクレオチド配列の有効量からなる医薬組成物を提供す る。 本発明のさらに他の実施態様は、RHAMM遺伝子の発現過度を特徴とするヒ トの障害を予防または治療する方法において、 (a)RHAMM遺伝子の優勢なサプレッサー突然変異体と、 (b)ヒトRHAMM・cDNAに対するアンチセンス配列と、 (c)ヒトRHAMM遺伝子のエキソン8に対するアンチセンス配列と からなる群から選ばれるヌクレオチド配列の有効量を該哺乳動物に投与すること からなる方法を提供する。 本発明のさらに他の実施態様は、ヒトにおける細胞移動を抑止する方法におい て、 (a)ヒトRHAMMタンパク質と特異的に結合する抗体と、 (b)ヒトRHAMMのHA結合ドメインからなるペプチドと からなる群から選ばれる薬剤の有効量を該ヒトに投与することからなる方法を提 供する。 図面の簡単な説明 本発明の実施態様の一部については、添付図面を参照しながら説明する。 図1はヒトRHAMMのcDNAのクローニング戦略を示す図である。ヒトR HAMMのcCNAのコード付け部は白抜きの矩形で表し、開始コドン(ATG )と終始コドン(TAA)は、5’UTRおよび3’UTRと同様に示してある 。各クローンとRT-PCR産物中でコードされているヌクレオチド部は一本の 線で示してい る。 図2はマウス、ラット、ヒトのRHAMMのHA結合ドメインのアミノ酸配列 を比較する図である。結合ドメインに含まれているアミノ酸配列は特定間隔を開 けて、各種ヒアルロナン結合モチーフX1−An−X2の末端に対応している。こ れをマウス配列中でアミノ酸402〜412(配列番号1)とアミノ酸424〜 433(配列番号2)としてアンダーラインしてある。数字は発表されているマ ウスRHAMM2(Hardwick et al.,1992)内のHA結合ドメイン中のアミノ酸 の位置を示している。ラットとヒトの結合ドメイン中でマウス配列と同一なアミ ノ酸は点で表している。 図3はRHAMMに対する抗体を使って、フォルマリンで固定し、パラフィン で包埋したヒト乳癌組識の免疫組識化学染色を示す図である。これらのサンプル 片はメチル・グリーンで対比染色がしてある。腫瘍細胞とストローマの染色強さ は同じではない。A,B,Cでは、各細胞(矢印)の腫瘍の染色が最大で、腫瘍 全般が染色されている(矢印先端)。DはRHAMMに対して腫瘍細胞とストロー マがはっきりと染色されている。Eは腫瘍中核と細胞質がはっきりと染色されて いる。Fでは腫瘍が染色されていない。倍率はAとFが400X、B,DとEが 250X、Cが650Xである。 図5は原発性乳癌患者全般の生存を示すKaplan-Meier生存曲線である。上部二 曲線は結節のない患者、下部二曲線は結節のある患者である。白いシンボルは、 最大全般RHAMM染色が1単位未満の腫瘍で、黒いシンボルはこの値が≧1単 位の腫瘍である。 図6は転移のない原発性乳癌患者の生存を示すKaplan-Meier生存曲線である。 上部二曲線は結節のない患者、下部二曲線は結節のある患者である。白いシンボ ルは、最大全般RHAMM染色が1単位未満の腫瘍で、黒いシンボルはこの値が ≧1単位の腫瘍である。 図7はヒトRHAMMイソフォーム1〜5に対するエキソン7および8の有無 を示 す図である。 詳細な発明の説明 本発明者らは表1に示すヒトRHAMMのゲノム配列を得た。ヒトRHAMM 遺伝子の長さは25.4キロベースで、エキソン17個からなっている。 本発明者らはまた、RHAMMの全長cDNAを得て、その配列を決定した。 健康なヒト乳房由来のcDNAは2175ヌクレオチドのオープン読み取り枠( 配列番号3)を持ち、アミノ酸725個からなるポリペプチド(配列番号4)をコ ードし、分子量84kDaに対応している。 抗体R3、即ちネズミRHAMM aa425-443に対する抗体をプローブとして用い 、健康なヒト乳房細胞系MCF−10Aをウエスターン法により分析したところ 、84、70と60kDaの特定RHAMMタンパク質バンド3個があった。8 4kDaのタンパク質をコードする情報を代替的スプライシング(alternative splicing)または翻訳後調節することにより、分子量70kDaの主要なタンパ クを生成することができる。また、第二ATGコドン(+346、aa 116) は完全なKozak構成を持っており、in vivoで好適に用いられて、70kD aのタンパクを造ることができる。さらにまた、ヒトRHAMM・cDNAはマ イナーな84kDaのタンパク質種に対応しているかもしれない。この可能性は、非 トランスフォメーション細胞では少量のネズミRHAMM4が発現することから 示唆されている(Entwistle et al.,1995)。上記の結果と、ヒトRHAMM・c DNAおよびRT−PCR産物の両方に5’非コード領域に終止コドン、枠内に 開始メチオニンが存在することから、cDNAは全長であることが分かる。 図7に示す通り、これまでにヒトRHAMMタンパク質が数種のイソフォーム に存在することが見出されている。同様のイソフォームがマウスでも同定されて いる。完全なcDNAに対応する最も長いイソフォームはRHAMM5と名付け られている。このタンパク質のうちで、RHAMM5で見られるシグナル・ペプ チドを欠いている より短いものはRHAMM4と名付けられている。 RHAMM4とRHAMM5は両方とも、エキソン7と8を含んでいる。その 代わり、スプライシングされたイソフォーム1と3は、各々エキソン7と8を欠 いている。最も短いイソフォームであるRHAMM2はエキソン7と8の両方が なく、本明細書の初頭で説明したマウスRHAMMに対応している。 表2では、全長(full length)のヒトRHAMM・cDNAとネズミRHAM M4・cDNA(配列番号5)を比較している。図中、同一のヌクレオチドは垂 直の破線で示しており、並び(alignment)を維持するに必要なヌクレオチドの間 隙はダッシュで示し、開始および終止コドンは太字で示している。 表3では、表2のヌクレオチドによってコードされている、ヒトRHAMMア ミノ酸配列と、ネズミ・アミノ酸配列(配列番号6)とを比較している。 同一のアミノ酸は垂直の破線で示し、保存的変化は+印で示している。HA結 合ドメイン2個は太字で示し、ネズミRHAMM4のエキソン8にはアンダーラ インがしてある。並びを維持するに必要なアミノ酸欠損はダッシュで示し、終止 コドンは星印で示している。比較するマウスとヒトRHAMMイソフォーム間の 相同率は85%である。 (表2と3で二重アンダーラインしてある)ネズミRHAMM・cDNA中に コードされているアミノ酸繰り返し配列5個のうち、1個のみがヒトRHAMM ・cDNAに存在している。 代替的にスプライシングされたエキソン8はネズミ細胞の細胞運動度、増殖、 トランスフォーメーションに重要であることがこれまでに証明されている(Entwi stle,1994;Hall,1995)。ヒト組識のRHAMM発現を再吟味することにより、ほ とんどの正常組識はヒトRHAMM1イソフォームを含有するが、検出されるよ うなRHAMM4は含有していないことが証明された。対照的に、腫瘍組識や傷 害に応答する正常組識は、RHAMM4イソフォームの発現を示す。 その代わり、スプライシングされたヒトエキソン8(配列番号16)はアミノ 酸配列VSIEKEKIDEKSETEKLLEYIEEIS(配列番号50) をコードしている。 以前より説明されているように(国際出願WO93/21312公報)、ネズミRHA MMは共通結合モチーフ、X1−An−X2,を示している。図中、X1とX2は塩 基性アミノ酸残基であり、Anは中性または塩基性アミノ酸残基7または8個か らなるアミノ酸配列である。このモチーフ数種は、ネズミRHAMM結合ドメイ ン2個中、ネズミRHAMM2アミノ酸配列のアミノ酸402〜412と424 〜433で存在している。図2と表3で見られる如く、この結合モチーフはラッ トとヒトのRHAMM結合ドメインに完全に保存されている。ヒトRHAMMで は、結合ドメインはアミノ酸配列KQKIKHVVKLK(配列番号1)および KLRCQLAKKK(配列番号7)からなっている。核酸 本発明の一連の実施態様は、本明細書で開示するヒトRHAMM核酸配列に対 応する、またはこれに関する単離された核酸を提供する。 本発明の他の一連の実施態様は、ヒトRHAMM配列のサブセットまたはその 補体を含む核酸を単離することを提供する。このような配列はプローブとPCR プライマーとして有用性がある。RHAMMタンパク質の発現 本発明のさらに他の実施態様は、ヒトRHAMMタンパク質のコード付け配列 が内因性または外因性5’および/または3’制御部に操作上密着している核酸 を提供する。 例えば、操作上外因性制御部に密着しているヒトRHAMMタンパク質の完全 なORFは、ヒトRHAMMの全長タンパク質を発現させるのに用いることがで きる。制御部は、原核細胞または真核細胞の遺伝子、そのウイルスやこれらの組 み合せの発 現を制御する配列から選ぶことができる。このような制御部には、例えば、lac 系、trp系、tac系やtrc系が含まれるが、但しこれらのみには限定されない。制 御体(regulatory elements)は誘発性のものか、抑制性のものを選んで、コード 付けしている核酸によってトランスフォーメーションされた細胞中で、ヒトRH AMM遺伝子が発現するのを制御することができるようにする。その代わりに、 コード付け部を操作上制御体に密着させて、組識を選らんでヒトRHAMM遺伝 子を組識特異的に発現させても良い。 RHAMMイソフォーム、またはその一部選んで、それだけを発現させるため には、適当なコード付けヌクレオチド配列を選択しなければならない。 原核または真核発現系を形成して、そのヌクレオチド配列を選んで、プラスミ ドその他のベクターに組み入れ、さらにこのプラスミドやベクターを生きている 細胞に組み入れることによってもタンパク質を発現させることができる。原核お よび真核発現系によって、タンパク質の各種重要機能ドメインが融合タンパク質 を回収することができ、従って、この融合タンパク質を結合、構造や機能の研究 に使うことも出来るし、また適当な抗体を形成するために用いることも出来る。 典型的な発現ベクターには、遺伝子に対応するmRNAの大量合成を指示する プロモーターが含有されている。また、これらのベクターには、宿主生物内でベ クターが自律的に複製することを可能にする配列、細胞が選択に適するベクター を含有することを可能にする遺伝特質をコードする配列や、mRNA翻訳の効率 を向上させる配列が含まれている。一部のベクターには、細胞を選択条件下で増 殖することによりこれらの細胞を遊離させることを可能にするネオマイシン耐性 のような選択すべきマーカーが含有されている。ベクターをゲノムDNAと一体 化させる細胞系を産生することにより、遺伝子産物を連続生産することもできる 。 真核発現系によって、発現タンパク質の適当な発現と翻訳後調節を行うことが できる。このことにより、生物活性の適切な発現と翻訳後調節を決定し、且つ遺 伝子の5‘部に所在する制御体とタンパク質発現の組織制御におけるその役割を 確認する 遺伝子および遺伝子産物の研究が可能となる。さらにまた、タンパク質を大量生 産して単離精製すること、タンパク質を発現する細胞をタンパク質に対して生成 された抗体の機能分析系として使用すること、薬理製剤の効果の試験またはシグ ナル形質導入系の成分の試験、および正常な完全タンパク質、その特定部分、天 然多型現象や人工産生変異タンパク質の機能研究も可能となる。制限酵素消化、 DNAポリメラーゼの充填(fill-in)、エキソヌクレアーゼ欠損、末端デオキシ ヌクレオチドの延長(extension)、合成またはクローニングされたDNA配列の 結窄、および特定オリゴヌクレオチドとPCRの併用による部位指示性配列の変 更などの方法を用いて、DNA配列を変えることができる。 ヌクレオチド配列を選んで、これを適当な発現ベクターに含有させ、リン酸カ ルシウム・トランスフェクション、DEAEデクストラン・トランスフェクショ ン、エレクロポレーション、微量注射、原形質体の融合やリポソーム仲介トラン スフェクションを含むトランスフォーメーション法により適当なE.coli菌 株に組み入れる。 適当な宿主細胞としては、E.coli、シュードモナス、枯草菌その他のB acillus、その他の細菌、イースト、真菌、(発現にバキュロウイルス・ ベクターを用いる)昆虫、マウスその他の動物またはヒトの組織細胞、あるいは CosまたはCHOなどの細胞系を挙げることができるが、これらのみに限定さ れない。 適当なタンパク質の組み換え発現方法は、Sambrook et al.(1989) が説明している。実質的に純粋なタンパク質 本発明のさらに他の実施態様は、ヒトRHAMMタンパク質、ヒトRHAMM タンパク質のフラグメントおよびヒトRHAMMタンパク質のフラグメントを含 む融合タンパク質の実質的に純粋な製剤を提供する。本明細書で説明する如く、 タンパク質、フラグメントおよび融合タンパク質はヒトRHAMMタンパク質に 対する抗体の産生、および本明細書で説明する如く、診断治療方法に有用性があ る。 本発明は、ヒトRHAMN4タンパク質の完全なアミノ酸配列の部分配列 (subsequences)であるアミノ酸配列からなる、実質的に純粋なタンパク質また はペプチドを提供する。本発明は、本明細書で開示するヒトRHAMMアミノ酸 配列の連続アミノ酸少なくとも4〜5個、好ましくは連続アミノ酸6〜10個、 より好ましくは連続アミノ酸50〜100個に対応する配列からなる実質的に純 粋なタンパク質またはペプチドを提供する。本発明のタンパク質またはペプチド は、ゲル濾過クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、高速液体クロマ トグラフィまたはRHAMM免疫親和性精製法などの標準的なタンパク質製法に よって、単離したり、精製することができる。例えば、グルタチオントランスフ ェラーゼ(GST)でタンパク質を融合タンパク質として発現し、グルタチオン ・カラムを用いる親和性精製法によって精製することができる。ヒトRHAMM は、例えば、ヨーロッパ特許公報第721012A2号でのネズミRHAMMに ついての説明と同様にして、発現させ、精製することができる。抗体 本発明のさらに他の実施態様は、ヒトRHAMMタンパク質またはその一部ま たは抗原決定基を選択的に結合する抗体を提供する。このような抗体は当業者に 知られている従来法により調製することができる。 抗体産生に使用するヒトRHAMMタンパク質またはその一部は、本明細書の 他のところに記載されているように、ここに開示するヌクレオチド配列またはそ の一部を発現させて調製することができる。 短いペプチドには、抗原として作用する、担体タンパク質に担持されているペ プチドを選び、これからなる融合タンパク質を調製する必要がある。 このようにして選択されたRHAMMタンパク質またはペプチドまたは融合タ ンパク質をウサギその他の実験動物に注射してポリクロナール抗体を生成する。 週単位の間隔をおいて追加抗原量を注射した後、ウサギその他の実験動物から 採 血して、血清を単離する。血清は直接使用するか、あるいはポリクロナール抗体 を使用前に親和性クロマトグラフィを含む各種の方法で精製する。 当業者には理解できるよラに、モノクロナール抗体も産生することができる。 RHAMMタンパク質またはペプチドを選び、所望の場合には担体タンパク質に 担持させて、これをフロインドアジュバントに溶解した溶液をマウスに注射する 。3週間かけて3回注射した後、マウスの脾臓を切除し、リン酸緩衝食塩水(P BS)に再懸濁する。脾臓細胞はリンパ球源としての役割を果たすと同時に、そ の一部は適当な特異性を持つ抗体を産生する。その後、永久増殖する骨髄腫類縁 細胞(myeloma partner cell)と融合させ、融合産物をHATなどの選択能力を 持つ薬剤の存在下多数の組織培養ウェル中で平板培養する。その後、ウェルをイ ライザ(ELISA)でスクリーニングして、結合抗体を生成する細胞を含有するウェ ルを確認する。その後も平板培養を続け、3週間後再びウェルのスクリーニング を行って、抗体産生細胞を確認する。ウェルの90%以上がはっきりと抗体を産 生する単クローンを含有するようになるまで数種のクローニング法を実施する。 この方法により、抗体を産生する安定したクローン系が確立する。その後、プロ テインA・セファロースを用いるアフィニテイークロマトグラフィ、イオン交換 クロマトグラフィならびにこれらの方法の変法や組み合せによってモノクロナー ル抗体を精製する。プラスミドを生成して好適な宿主中で所望のモノクロナール 抗体を発現させる組み換え法によって、短くした(truncated version)のモノ クロナール抗体も産生することができる。 RHAMMまたは一以上のそのHA結合ドメインに対する抗体は、HA結合を 阻害して細胞移動を抑制する。RHAMM/HA相互作用は腫瘍遺伝子や成長因 子が仲介する細胞移動に関与するので、HA結合能力を保持している、ヒトRH AMMあるいはその変異体またはフラグメントに対する抗体は細胞移動関連疾患 を治療的に抑制する手段を提供する。これらの疾患としては、腫瘍の侵襲、出産 欠陥、急性および慢性炎症傷害、パーキンソンおよびハンチントン病を含むアル ツハイマーその他病態の 痴呆、AIDS、糖尿病、自己免疫疾患、角膜形成異常および栄養過多、火傷、 外科的創、および癒着、発作と多発性硬化が挙げられる。RHAMMまたはその 構成ペプチドを用いて抑制することができる、細胞移動に関連するその他の状況 には、CNSと脊髄の再生、避妊および試験管内受精と胚の成長がある。 RHAMMに対する抗体は、これまでに試験管内でヒト精子の運動能をよくせ いすること、また試験管内の系でヒト精子によってハムスタ卵子の受精を抑制す ることが証明されている。 抗体生成の好適な方法は、例えば、Antibody Engineering:A Practical Guide ,Borrebaek,Ed.,W.H.Freeman and Company,New York(1992)またはAntibody Engi neerihg ,2nd Edition,Borrebaek,Ed.,Oxford University Press,Oxford(1995)で 説明されている。トランスフォーメーションされた細胞 本発明のさらに他の実施態様は、本発明の核酸でトランスフォーメーションま たはトランスフェクションされた真核あるいは原核いずれかの細胞または細胞系 を提供する。このような細胞または細胞系は、本明細書で説明するヒトRHAM Mタンパク質またはそのフラグメントの調製に有用である。また、診断治療法の モデル系としても有用である。 本発明の核酸を含有する適当なベクターを調整する方法、およびこれらのベク ターを使って細胞のトランスフォーメーションする方法は、当業者に知られてお り、例えば、Sambook et al.,(1989)でもそのレビューが掲載されている。乳癌の診断または予後徴候インジケーター さらに他の実施態様は、RHAMMが発現過多であるか、否かを判定すること により悪性が疑われている組織のスクリーニングを行う。この場合、発現過多は 悪性であることを示している。 本発明のさらに他の実施態様は、乳癌患者の予後の評価方法を提供する。 乳房腫瘍の組織検査において、極めて高濃度のRHAMMが細胞や細胞中の小 さな主患部に存在(最大染色)することが認められた。これらの細胞は一定して 存在してはいなかったが、RHAMMの全般染色の増加と相関していた。より重 要なことは、これらの異常細胞の存在は治療結果が不良であることを示す予後徴 候であった事である(p=0.02)。最大染色(maximum staining)と全般染色(genera l staining)を合併して新しい統計パラメーター(max-general)として、RHA MM発現の高さを結節状態と腫瘍サイズの予後徴候値に有意に加えることとした (p=0.016およびp=0.008)。地理的に異なる地域から来院した第二患者群のRHA MM mRNA濃度を分析して、RHAMMの乳癌への関与をさらに評価した。 この第二の研究では、ヒト組織中のRHAMM mRNA発現は、腫瘍グレード の高さ、ならびに合併パラメーターの低さと有為の関連性があった(高腫瘍グレ ード、ERは負で、リンパ節は正)(p=0.0357およびp=0.0213)。 腫瘍サイズとリンパ節は、Cox比例危険モデル(Cox proportional hazard mod el)により乳癌患者全般の生存を予想するのに有意なパラメーターであることが 立証された。一般に腫瘍内でのRHAMM発現と、RHAMMを非常に発現する 単細胞または小細胞群の出現との間には関係があるように見えた。両タイプの染 色を表す合併点数(combined score)は結節状態と転移のない生存の予後徴候値 を上昇させる事になったので、この関係は腫瘍の進行の一因となる。極めて高濃 度のRHAMMを発現する単細胞は、このHAレセプターを高濃度で発現する細 胞の背景から発生したと考えられる。 免疫組織化学研究により、、全般および最大のRHAMMタンパク質発現は合 併して、リンパ球結節の状態が示す生存と関速するが、ER/PRの状態や腫瘍 グレードとは無関係である事が証明された。mRNAの発現に焦点を当てた第二 研究から、予後徴候について同様の結果を得、ER/PRの状態と腫瘍グレード の高さとの有意の関連性も成立された。この差は第二研究で用いたRT−PCR によるRHAMMの検 出方法の感度がより高かったことが原因であるかもしれない。エキソン8ペプチド ヒトエキソン8(配列番号16)によりコードされているペプチド(配列番号 50)とそれに対する抗体は、好ましくはペプチドとKLHなどの他の抗原とを 共役させた後に、従来法により合成することができる。当業者が理解するように 、共役抗原をマウスに接種することにより、脾臓細胞を得、ハイブリドーマを産 生することができる。従来法によるスクリーニングを実施して、エキソン8ペプ チドに最大の親和力を有するハイブリドーマ産生モノクロナール抗体を得る。抗 体を選んで使用して従来型イライザ(ELISA)を造り、ヒト血清やヒト組織のスク リーニングを行い、エキソン8によってコードされているペプチドを含有する可 溶のRHAMMを得る。健康患者から得た標準値との比較によって、発現過多や 腫瘍の存在を示すことができる。 その代わりに、エキソン8に対する抗体を位相ディスプレーライブラリから創 り出しても良い。 その代わりに、ヒト腫瘍の生検サンプル中のエキソン8発現濃度を組織化学的 手段により検査して(パラフィン切片、凍結切片)、考えられる予後徴候のインジ ケーターとしても良い。 組織化学は、例えば、Wang et al.,1992が前報で説明しているように、エキソ ン8ペプチドに対する抗体をプローブとして用いる従来法によって実施すること ができる。 可溶のネズミGST−RHAMM融合タンパク質は細胞運動能を抑制すると共 に、細胞周期G2Mの細胞を阻害することが証明されている。細胞運動能に対す る溶解性融合タンパク質の効果は、ヒアルロナン結合ドメインによるもので、こ れらのヒアルロナン結合ドメインをコードするペプチドによって擬態することが できる。しかしながら、細胞周期の阻害に対する溶解性タンパク質の効果は現在 のところ分かっていないが、RHAMM2に含まれていて、従って、繰り返し配 列であると思われる。 本発明者らによってヒトRHAMMイソフォームのcDNAが提供されたので 、上記で説明したように、RHAMM1、2、3、4や5を含むヒトイソフォー ムの何れかを従来型発現系で発現する事により溶解性ヒトRHAMMタンパク質 を産生する手段が与えられる事になった。溶解性RHAMMイソフォームは、細 胞関連RHAMMと溶解性RHAMMとの比率を調整することによって、細胞移 動と細胞周期を制御するRHAMMの細胞表面形態(the cell surface form of RHAMM)に用いるRHAMMリガンドの効用を変える手段として使用することが できる。ネズミによる結果に基づき、RHAMM2は細胞運動能と細胞周期に関 連する事象を十分に制御できると見込まれている。しかしながら、腫瘍の進行に 関わる事象の制御には他のRHAMMイソフォームが必要とされるかもしれない 。と言うのはこれらの補足的イソフォームは、(腫瘍形成に関連する)エキソン 7と8をコードしているからであり、この点でこれらのエキソンをコードしてい ないRHAMM2とは異なっている。これらの溶解性ヒトRHAMMタンパク質 は、外傷の治療、火傷、移植後の炎症の整復、腫瘍の増殖と転移の予防に臨床使 用することができる。ヒトRHAMMイソフォームと、溶解性タンパク質の産生 のためにはヒトRHAMM cDNAを使用することが必要なネズミRHAMM イソフォームとの間には配列に顕著な差異があって、この差異のため(単一のア ミノ酸変化に対して発生する)免疫応答がヒトでは発生せず、融合タンパク質の 有益な効果が否定されている。RHAMM遺伝子導入動物モデル 本発明のさらに他の実施態様は、胚形成、増殖、発育の期間中におけるRHA MM遺伝子の役割を確認し、遺伝子が可能な療法のテストに関連しているか、関 与している疾患の理解に役立つよう、非ヒト、遺伝子導入動物モデルの製造に関 する。本発明において、RHAMM遺伝子の発現と悪性、特に乳癌との関係を研 究するために、遺伝子導入動物を開発することは特に好適である。 マウスは飼育が容易、比較的安価で、さらに給餌が容易であるため、遺伝子導 入 動物に用いられることが多い。遺伝子導入動物は、移植遺伝子を保持し、即ち、 遺伝子をクローニングした後、投入して、安定的に組み入れ、この遺伝子を次ぎ の世代受け継がせるものである。本発明においては、ヒトRHAMM遺伝子をク ローニングして、動物のゲノムに安定的に組み入れる。この代わりに、悪性発生 の原因であると考えられているコード領域であるエキソン8を含まないRHAM M配列といった、遺伝子配列の一部を変えたものを使用しても良い。この様にし て、動物が成長し、悪性が始まる期間中に、代替的にスプライシングされている 遺伝子産物の特定機能を検討して、治療戦略を開発することができる。 ある種のヒト遺伝子配列を保持している遺伝子導入動物を造るには、数種の方 法がある。ヒトRHAMM遺伝子配列に特定の変化を発生させることも、戦略の 一つである。in vitroで用いられている各種の酵素法や化学法によって変化を造 ることができる。最も広く普及している方法の一つは、特定のオリゴヌクレオチ ドを突然変異原として用い、DNA配列中に正確なデザインの欠損、挿入、点変 異を発生させることである。第二には、野生型ヒト遺伝子および/またはヒト化 ネズミ遺伝子を,相同性組み換え法により挿入することができる。(単個または複 数個の)変化させたヒト遺伝子または変異ヒト遺伝子は、野生型または変異体ま たは人工プロモーター体を使って、ゲノム構成体あるいはミニ遺伝子構成体とし て挿入することも可能である。より一般的には、相同性組み換え法により内因性 遺伝子のフラグメントを人工的に変更したものを挿入することにより内在性ネズ ミ遺伝子のノックアウト(knock-out)を達成することができる。この方法では、 相同性組み換え法により変異対立遺伝子を、胚幹細胞中に投入する。研究されて いる遺伝子の対立遺伝子中にノックアウト変異体を含有する胚幹細胞は、マウス の初期胚に投入する。その結果、移植ES細胞と宿主細胞の両方から誘導された 組織を含むキメラであるマウスが得られる。キメラマウスは、交配させて変異が 生殖系に組み入れられているか、否かを評価する。これらのキメラマウス各々は 、ノックアウト突然変異に対しては異型接合であるが、交配すれば同型接 合ノックアウトマウスを産出する。 遺伝子標的産生遺伝子ノックアウト(gene targeting producing gene knocko ut)により、変化し、正常コピーを置換するために用いられた遺伝子の生体内評 価を行うことができる。変更には変異終止コドンの挿入、DNA配列の欠損やリ コンビナーゼなどの酵素によって認識される組み換え体(lox p部位)の挿入が 含まれている。Cre−lox系により、遺伝子を切除したり、または遺伝子配列のあ る一部を切除することができる。 遺伝子を失活させるためには、化学的にあるいはX線によりマウス配偶子を転 移させた後受精を行う方法を適用することができる。異型接合による子孫はサザ ンブロッテイングで同定し、薬剤投与により対立遺伝子1個が失われたことや、 RFLPマーカーを用いて親対立遺伝子1個を継承することができなかったこと を証明する。 遺伝子導入動物を造るには、卵細胞微量注射標準法またはトランスフェクショ ン標準法を用いて、興味あるヒト遺伝子の変化種をマウスの生殖系に挿入するか 、あるいは幹細胞に微量注射する。この代わりに、内因性遺伝子を失活するか、 あるいはこれを置換することを所望の場合は、胚幹細胞を用いる相同性組み換え 法を、上記と同様にして適用する。 卵細胞注射に際しては、正常なヒトRHAMM遺伝し配列または変化したヒト RHAMM遺伝子配列の一以上のコピーを、直前に授精させたマウス卵細胞の前 核に挿入することができる。その後、この卵細胞は偽妊娠している育ての親に再 移植される。この様にして出産したマウスは、尾部DNA中のヒトFHAMM遺 伝子配列の存在を分析することにより、組み込み体としてのスクリーニングを行 う。移植遺伝子は、cDNAが天然プロモーターまたは異種起源のプロモーター のいずれかを持ち、YACまたは染色体フラグメントとして注射される完全なゲ ノム配列であるか、あるいは最も適切な発現に必要なコード領域その他の構成体 すべてを含有するミニ遺伝子であるかのいずれかである。 変化させた遺伝子挿入のため、初期胚をレトロウイルスで感染させることがで きる。この方法では、変化させた遺伝子をレトロウイルス・ベクターに挿入し、 このレトロウイルス・ベクターを使って成長段階初期のうちにマウスの胚を感染 させて、キメラを発生させ、この一部が生殖腺に伝播する。 幹細胞を用いる同種組み換えのため、遺伝子接合伝達細胞をスクリーニングし て、希な同種組み換え事象を確認することができる。確認が完了すると、これら を使い、マウス胚盤胞を注射してキメラを発生させる。この場合、マウスの出生 比率は組み換え系からの生殖系の接合伝達を示している。この遺伝子標的法は、 遺伝子の失活を所望の場合に、特に有用である。例えば、選択し得るマーカー側 面に密着するエキソン由来の配列を含有するDNAフラグメントをデザインする ことにより遺伝子の失活が達成される。同種組み換え法では、マーカー配列をエ キソン中央部に挿入して、遺伝子を失活する。その上で、各クローンのDNA分 析を行って、同種組み換え法の事象を認識する。 興味がある突然変異を含有するオリゴヌクレオチドを注射し、その結果生ずる 細胞をPCRによってスクリーニングすることによっても、マウス生殖系に変異 を発生させることができる。 本発明のこの実施態様は、乳癌のマウス・モデルとして商業価値が最も顕著に 高い。マウスの成長発展段階で、悪性についての組織中の発現と効果を研究する ことによりRHAMMの役割を確認することができる。エキソン8が悪性の原因 であることが確認されたので、このエキソンを保持する遺伝子導入マウス、なら びにエキソン8を欠いているRHAMM遺伝子を持つ、またはこのエキソンの付 加的なコピーを有する遺伝子導入マウスを悪性腫瘍の研究用に製造し、薬剤によ る治療、遺伝子標的法、抗体療法を含む、可能性ある治療方法の検討に用いるモ デルとして使用することができる。アンチセンス(AS)療法 本発明は、細胞がトランスフォーメーションして悪性表現型となる原因である とされているエキソン8を含むヒトRHAMM遺伝子配列の発現により、トラン スフォーメーションされた表現型を逆にする方法を提供する。アンチセンス系戦 略を用いて、遺伝子機能を検討したり、あるいは遺伝子機能を抑制して、治療薬 デザインの土台とすることができる。これは、細胞内でmRNAと相補的アンチ センス種(antisense species)とがハイブリッドを形成すれば、配列に特異性 を持ちつつ遺伝子の発現を抑圧することができると言う仮定を原理としている。 高度の特異性によってRNAやDNAのセンス鎖と結合できるアンチセンス鎖ヌ クレオチドを合成することは可能である。ハイブリッド二重構造のRNAが形成 されれば、標的mRNAの加工/輸送/翻訳および/または安定性に干渉するこ とができる。 アンチセンス効果が出るためには、ハイブリッドが形成されなければならない 。アンチセンス効果はこれまで、ASオリゴヌクレオチドの使用、AS、RNS 、DNAの注射、およびAS RNA発現ベクターのトランスフェクションを含 む各種方法により説明してきた。 治療用アンチセンス・ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドまたは発現されて いるヌクレオチドとして製造することができる。オリゴヌクレオチドは短い一本 鎖DNAで、長さは通常核酸塩基15〜20個である。発現されているヌクレオ チドは、アデノウイルス、レトロウイルスやプラスミド・ベクターなどの発現ベ クターにより製造される。ベクターを培養中の細胞や、患者に投与すると、その 細胞がアンチセンス・ヌクレオチドを造る。発現しているベクターはアンチセン ス・RNAを産生するようにデザインすることができる。アンチセンスRNAの 長さは各種あって、塩基数が数ダースのものから、数千のものまである。 AS効果はコントロール(sense)配列によって誘発される場合もある。表現 型の変化の程度は各種あって、その差は極めて大きい。ASによって誘発される 表現型効果は、生物終末点、タンパク質濃度、タンパク質活性化測定や標的mR NA濃度など の尺度の変化によって計られる。 多剤耐性(multidrug resistance)は、MDR表現型がp-glycoprotein(a 17 0kDa membrane glycoprotein;ATP-dependent efflux pump) をコードする単遺伝子mdrl(MDR遺伝子)の発現によって確立するので、アン チセンス効果による表現型変化に関連する分子事象の研究に有用なモデルである 。 本発明では、RHAMM cDNAがトランスフェクションされ、悪性表現型 が発現されている哺乳動物の細胞を、アンチセンスRHAMM cDNAでさら にトランスフェクションして、遺伝子の転写を抑制し、悪性表現型を逆転または 還元することができる。その代わりに、RHAMM遺伝子の一部を、悪性表現型 の原因であるエキソン8に対して特異的なアンチセンスRHAMM配列の標的と しても良い。発現ベクターは、悪性細胞中で発現しているエキソン8を含むRH AMM遺伝子を標的とするアンチセンス療法のモデルとして使用することができ る。このようにして、悪性細胞と組織は標的とされる一方、健庫な細胞は生存を 続けることができる。これがRHAMMに起因する悪性疾患の効果的治療方法で あることが立証されている。タンパク質療法 翻訳されたタンパク質全体を、エキソン8タンパク質配列を含まないスプライ シングされたタンパク質と交換するか、あるいはタンパク質配列全体の機能を調 節することにより、エキソン8を含有するヒトRHAMM遺伝子の発現過多に起 因する悪性疾患を治療することができる。これまでにRHAMMタンパク質の生 物経路が完全に理解されているので、生理欠陥を矯正するためにタンパク質が関 与している病理生理経路(例えば、シグナル形質導入経路)を調節することが可 能である。 タンパク質を、スプライシングされているタンパク質あるいは慎重に平衡を保 っている突然変異を持つタンパク質と交換するためには、タンパク質を発現でき る培養細胞系から純粋なRHAMMタンパク質を大量に入手する必要がある。タ ンパク質を患部組織に輸送するには、適当なパッケージング系や投与系を使えば 良い。 実施例 例証を目的として実施例を説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定 することを意図していない。 本明細書においては、分子遺伝学、タンパク質とペプチドの生化学、および免 疫学の方法を参照するが、系統的な説明は遠慮したい。これらの方法の例はこれ までに科学誌に発表されていて、当業者に周知である。実施例1 クローニングおよびDNA配列決定 lambda qtll中の5'-stretchの正常乳房cDNAライブラリーをClontech(Palo Al to,CA)から入手し、ネズミRHAMM2 cDNAをプローブとして用いるスク リーニングを行った。正のクローン2個(クローン1&2、図1)は、λqtllベ クター由来の5'および3'挿入スクリーニングアンプリファイアを用いてPCR 増幅を行った。これによって得た1.4kbおよび1.7kbの挿入物を、PCRTMTAベ クター(Invitrogen,San Diego,CA)中にクローニングし、T7SequencingTMkit(Ph armacia Bikotech,Uppsal,Sweden)を用いてジデオキシ連鎖反応停止法により 配列決定した。これによって得たcDNA配列にはアミノ末端部が欠失していた 。 ヒトcDNAクローン1のコード付け部から形成したMarathonTMcDNA Amplifi cation Kit(Clontech)を用い、正常なヒト乳房上皮細胞系MCF−10A(AT CC,Rockville,MD.)のRNAから1.4kb5'RACEフラグメントを得た。この産物 はPCRTMTAクーニングベクター中にクローニングし、上記と同様にして配列 決定した。これら二つの供給源から得た配列は2.8kbのフラグメントで、2175nt. のORFを含有していた。このcDNAのクローニング戦略は図1に示してある。細胞系および培養条件 MCF-10Aと呼ぶ正常なヒト乳房上皮細胞系は、継代40のものをATCC(Rock ville,MD)から入手した。ダルベッコ最小必須培地(DMEM)/F−12 (1:1)培地)に、5%ウマ血清、0.1μg/mlコレラトキシン、10μg/mlイン シュリン(Gibco BRL,Burlington,ON)、0.5μg/mlハイドロコーチゾン(Sigm a Chemical Co.,St.Louis,MO)および、0.02μg/ml(Collaborative Resear ch,lnc.,Palo Alto,CA)を添加して、この細胞を37℃、空気中のCO25% の条件で増殖した。細胞からRNAの単離 Micro-Fast TrackTMkitをもちい、メーカーの指示書に従って、正常乳房上皮 細胞系MCF−10Aの90%周密培養物からmRNAを抽出した。簡単に説明 すると、細胞は先ずRnase/Protein Degraderを含有する界面活性剤系緩衝液中 に溶解し、45℃でインキュベートした後、オリゴ(dT)セルローズに直接塗 布して吸着させた。高塩分緩衝液(結合緩衝液)でDNA,分解タンパク質、細 胞残基から樹脂を洗い落とした。非ポリアデニル化RNAは低塩分緩衝液で洗い 流し、塩分の不在下でポリA*RNAを溶出させた。RNAの純度と数量は26 0および280nmで光学密度を観測することにより評価した。逆転写ポリメラーゼ運鎖反応(RT−PCR) ライブラリーから得たヒトRHAMM cDNAのORFが全長(full length)であ ることを確認するため、ヒト乳房上皮細胞系から単離したRNAを用いて、RT −PCR増幅を行い、続いてDNA配列決定を行った。また、メーカーの指示に したがって、正確にfirst-strand cCNA synthesis kit(Clontech)の記載通りに して、逆転写を行った。簡単に説明すると、上記と同様にして抽出した1μgメ ッセンジャーRNAを、16-merオリゴdTプライマーと1000U MMLV逆 転写酵素を用いて42℃で60分間にわたって、逆転写した。合計20μlの反 応物に無菌水80μlを加えて、100μlに希釈した。熱安定性のあるTaqお よびPwo DNAポリメラーゼ(Boehringer Mannheim ExpandTMLong Template PCR System)と、TaqStart抗体(Clontech)、ならびにヒトRHAMM cDNAの非 コード領域由来のプライマー 5'GGATATCTGCAGAATTCGGCTTACT(配列番号51)および 5'ACAGCAACATCAATAACAACAAGA(配列番号52)を用いて、PCR反応50μ1毎に 希釈cDNAテンプレート10μlを使った。PCR周期パラメーターは、94℃で1 分の変性、94℃で45秒の変性、60℃で45秒のアニーリング、68℃で2分の延 長(extension)であった。38サイクルを使い、最終延長時間は8分であった 。PCR産物はPCRTMTAクローニングベクター中にクローニングし、上記と 同様にして配列決定した。ウェスターン分析法 MCF−10A細胞を増殖培地で増殖して、採取24時間前に合成培地に移した 。氷冷PBSで洗った後、プロテアーゼ阻止剤ロイペプチン(1μg/ml)、フェ ニルメチルスフォニルフルオリド(PMSF,2mM)、ペプスタチンA(1μg /ml)、アプロチニン(0.2TIU/ml)および3,4−ジクロロイソクマリン( 200μM)を含有する氷冷修飾RIPA溶菌緩衝液(25mM TrisHCl, pH7.2、0.1%のSDS,1%のTriton−X100、1%のデオキシコー ル酸ナトリウム、0.15MのNaCl、1mMのEDTA)で、細胞を溶解した( 試薬は全てシグマ社)。溶解液は氷上で20分間インキュベートした後、13, 000rpmおよび4℃で20分問遠心分離した(Heraeus Biofuge 13,Baxter Dia gnostics Corporation,Mississauga,Ontario)。上澄み液のタンパク質濃度をDC Protein Assay(Bio-Rad Laroratories,Richmond,CA)で測定した。各細胞溶解液 由来の全タンパク質5μgをSDS還元サンプル緩衝液に溶解した溶液を、予め 染色してある分子量標準品(Sigma)と共に、10%SDS−PAGEゲルによ る電気泳動に装填して、この全タンパク質を単離した。25mMのTrisHC l、192mMのグリシン、20%のメタノールを含有し、pHが8.3である緩衝液 中のニトロセルローズ膜(Bio-Rad)上にこの全タンパク質を移動させた後、1 00Vで4℃の電気泳動の接合伝達細胞(transfer cells)を用いて、TBST(10 mM Tris塩基、150mM NaCl、pH7.4、0.1%Tween20、Sigma) に溶かした5%脱脂乳により、膜上の余分なタンパク質結合部位を塞いだ。その 後、初代RHAMMj抗体R3(1:100、脱脂乳+TBST中に1μg/ml)またはネズ ミ融合タンパク質と共に一晩予備インキュベートしたR3.6のいずれかと一緒に、 膜を旋回シェーカー上で4℃によりインキュベートした。膜をTBSTで3回洗 った後、セイヨウワサビペルオキシダーゼと複合しているヤギ抗ウサギlgG(1% 脱脂乳+TBST中で1:5000に希釈)と共に、膜を室温で1時間インキュベー トし、初めはTBST、その後TBSで洗った。こうして、ウェスターン法のブ ロットが,メーカーの指示により化学ルミネセンスで目に見えるようになった(Am ersham International Plc.,Amersham,UK)。実施例2 方法と材料 患者とサンプル 第一群は1979〜1982においてマサチューセッツ総合病院で400名の患者から外 科的に摘出した一次侵襲乳癌の記録からなる。これらの記録によって、RHAMMタ ンパク質の発現過度が、これまでに確定している病理要因とどのような関係があ るのか、また患者の生存とはどのような関係があるのかを検討した。これらの患 者は今でもマサチューセッツ総合病院の受診を続けていた。患者の臨床医学記録 から次の情報を得ることができた。診断時の年齢、一次腫瘍の位置、転移の時期 、転移の部位、治療の関与、全般的生存期間、およ死因。追跡調査期間は中間値 が10.6年、最小が1年、最大が16年で、患者の75%が10年以上の追跡調査を受 けていた。 第二群は98名の乳癌患者からなり、標本はNCIC−マニトバ乳癌バンクから受領 した。このバンクでは、全ての標本を、外科で摘出後−75℃で急速冷凍している 。さらに、このバンクは、各症例の凍結組織の一部を加工して、フォルマリンで 固定し、パラフィンに包埋してある組織塊を造っている。パラフィン包埋塊は凍 結組織と照合できるよう整理されている。このパラフィン包埋塊の組織から良質 の生物切片をとっ て、病理の解釈や、対応する凍結組織の検討を行うことができる。一方、このバ ンクには広範な病理グレード(Nottingham System,スコア4〜9、これに対応 する低いグレードから高いグレード(Elston,1991)、さらにはエストロゲン・レ セプターの状態(リガンド結合検定で測定する))を表すデータベースがあって、 これから腫瘍を選択した。さらに、各症例について、隣接組織領域を評価して凍 結組織塊を選択できる数種の基準がある。例えば、正常な小葉や管の上皮成分が 最少で、侵襲腫瘍細胞が細胞量の30%以上を占め、組織が良く保存されていて 、壊死がないなどである。腫瘍の大部分は、管の一次侵襲癌である。抗体 この研究で使用したポリクロナール抗体である、R3および抗融合タンパク質 抗体はウサキで産生した。R3は、ヒトRHAMM cDNA(表2)で保存されて いるネズミRHAMM cDNA(Hardwick,1992)によってコードされている特定の ペプチド(aa425-443)に対するものであり、抗融合タンパク質抗体はグルタチ オントランスフェラーゼ(GST)-RHAMM融合タンパク質(Yang et al.,199 3)に対するものである。ウサギlgGとR3はネズミRHAMM融合タンパク質と 共に予備インキュベートしてコントロールとして使用した。免疫組織化学 フォルマリンで固定し、パラフィンに包埋されている通常の組織を、4ミクロ ンの小片に切断し、リシンを塗布してあるRHAMM発現評価用のスライドに乗 せた。既報されているように、CD44染色に関連して説明されているアビジン −ビオチン−ペルオキシダーゼ複合法を使用したが、これは次のように変えた変 法であった。スライドは、0.01M Tris緩衝食塩水(TBS)に1.5%ヤギ血清を 入れた混液と共に1時間インキュベートして、非特異的結合を阻害した。一次抗 体であるR3は1.5%ヤギ血清/TBS(1:600)で希釈してスライドの上に乗せて 一晩4℃でインキュベートした。内因性ペルオキシダーゼ活性は、0.6%H22を メタノールに入れた混液と共にス ライドを室温で30分間インキュベートすることにより失活させることができた (Mallinckrodt)。抗体の希釈は、乳房縮小形成(reduction mammoplasties)に ついて染色が起こらない希釈を決定して選択した。さらに、上記のスライドを、 biotinylatedヤギ抗ウサギlgG(Vectastain ABC peroxidase kit,Vector Labs., Burlingame,CA、1:200の比率で0.01M TBS)と共に、室温で1時問インキュ ベートし、さらにアビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ複合体(Vectastain,V ector Labs.,Burlingame,CA、1:200の比率で0.01M TBS)とともにインキュ ベートして、結合抗体が目で見えるようにした。スライドは各ステップごとに0. 0IM TBSで3回づつ洗った。0.05%DAB(3,3'-ジアミノベンジジン(3,3'-d iaminobenzidine),Sigma)と0.1%H22と0.05M TBSとの溶液にペルオキシ ダーゼを入れた混液と共にインキュベートすると、ペルオキシダーゼ活性が生じ る。スライドにはメチルグリーンで対比染色をおこなった。非免疫血清と、RH AMM融合タンパク質(組み換え)に予め吸収させた抗体とを負のコントロール として使用した。 二名の独自の観察者に実験条件や臨床結果を何も教えないで、RHAMMに対する ヒト乳癌組織の反応性の範囲を対象とするブラインドテストを実施した。 任意のスケールで0〜4+(0=負、4+=強い正)からなる段階を選択して 、これに染色強さの実験成績を分類した。 四種類の染色強さを試験した。 実験前には、これらの種類のうちどれが意味の有るものになるのかは分からな かったし、どのcut-pointがどの種類に有用となるのかも分からなかった。これ ら四つの種類とは次のようなものである。1)一般的な全体の染色強さ、2)そ の中に最も強い染色点があって、「最大染色」と呼べる物を含む、病巣や単離さ れた複数の細胞固体のスコアリング、3)腫瘍周囲のストローマの染色、4)核 の染色である。「最大スコア」の評価を与えるのは、「最悪」あるいは最もひど く凶兆を示す部位のスライドを見て全般的な診断評価をする外科病理部門の慣習 である。RNAの抽出 Hiller et al(1996)の説明と同様にして、小規模RNA抽出プロトコルに従 い(Tri-Reagent、Molecular Research Center,Inc.,Cincinnati,OH)、実験試 料と組織学的に評価した細胞組成との間に直接の相関関係があるようにして、20 μmの凍結腫瘍切片1〜3個から全RNAを抽出した。産物を50μlマイクロキュ ベットにいれ、分光計で量を計った。20μm切片1個当たりの平均収量は4μg /cm2(細胞の変性(variation with cellularity)は+/−20%)であって、 これはconsistent OD260/280>1.8と相関していた。逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR) 分析: RHAMMの発現をRT−PCRによって評価し、続いてアガローズ電気泳動 とエチジウムブロミド染色を行ってPCR産物が目で見えるようにした。アクチ ンの増幅と、逆転写による増幅の信頼性制御とを平行して行った。その後、バン ドの存在と強さ(0、0.5、1.2)を主観的にスコアリングして、RHAMMイソ フォームバンドを評価した。 全RNA 100ngに、1mM dNTP、Rnase阻止剤1単位、2.5mMオリゴd(T)プ ライマー、MLV逆転写酵素50単位と1X MMLV緩衝液(Gibco BRL)を 加えて全量を10μlとして、37℃で60分問逆転写を行った。続いて5分問90℃で インキュベートし、反応物を40μlまで希釈し、cDNA 1μl(インプットされ たRNA2.5ngに等しい)でPCRを行った。 10mM Tris-HCl(pH8.3)、50mM HCl、1.5mM MgCl2、0.2mM dCTP、0.2mM dGTP、0.2mM dTTP、プライマー各々100ng、および2U Tac DNAポリメラー ゼの存在下、総量50μlの逆転写混液から1μlをとって増幅を行った。RHA MMに使用したプライマーは、前進プライマ−5'-GCAAACACTGGATGAGCTTGA-3'と 復帰プライマー5'-TGGTCTGCTGATCTAGAAGCA-3'であった。PCR回路(PCR cycling )パラメーターは、94℃で4分間の変性、94℃で45秒間の変性、60℃で45秒間の アニーリングおよび72℃ で2分間の伸長(exctension)であった。45サイクルを使い、最終伸長時間は8 分間であった。PCR産物は、エチジウムブロミド(200ng/ml)を添加した1%ア ガローズゲルで分析した。416bpバンド、時として266bpバンドがもう一つ観察さ れたこともあった。これらのバンドを切り離して配列決定を行った。前進プライ マー5'-ATCTGGCACCACACCTTCTACAATGAGCTGCG-3'と復帰プライマー5'- CGTCTACACCTAGTCGTTCGTCCTCATACTGC-3'を用いてRHAMM遺伝子の発現とヒト ・アクチンのそれと比較することにより、相対量の発現RHAMM遺伝情報の半 定量分析を行った。これにより838bpフラグメントを得た(Clontech)。DNA配列決定 メーカーの指示に従ってPrep-A-Gene DNA purification system(Bio-Rad)を用 い、エチジウムブロミドで染色してアガローズゲルからDNAを切り取って、P CRTMTAベクター(Invitrogen,San Diego,CA)中にクローニングした。これを 、T7 Sequencing TM kit(Pharmacia Bioteck,Uppsala,Sweden)を用いるジデオキ シ速鎖反応停止法により配列決定した。416bp挿入物はRHAMM4イソフォーム の一部に一致し、266bp挿入物はエキソン13を除いたRHAMM4と一致している 。統計方法 細胞移動とコラーゲンゲル侵襲データに対するRHAMM抗体の効果比較にはstude nt'st-testを用いた。免疫細胞化学の観察結果(scoring measures)各々につい てはKaplan-Meier生存曲線にプロットした(Abacus,1994)。観察結果を二分法(c ut-point以下ならば0、以上ならば1)で分類するcut-pointに起因する生存曲線 間の差異は、logrank(Mante1-Cox)test(Lee,1995)によって吟味した。生存予想 に複数の要因が有る場合には、Cox比例危険モデルを用いてその意味を決定した 。統計分析はSurvival Tools for StarviewTMを用いて行った(Abacus)。RHA MM mRNA発現の差異はGRAPHPAD PrismTMを使って試験した。ヒト乳癌におけるRHAMMの発現 ほとんどの細胞が負(−)である結果から、ほとんどの細胞が非常に高い正( 4+)である結果に跨る成績を示し(表4、図3)、ヒト乳癌サンプル400個の群では 、RHAMMタンパク質の全般的な発現は非常に変動が大きかった。この一次腫 瘍中で広く広がっている染色を一般染色と定義する(矢印先端、図3A〜C;図3 B〜Eとの差異の大きさを参照されたい)。ある腫瘍では、RHAMMは一次腫 瘍の小病巣または複数の細胞各々で発現過多であった。これらの細胞では、RH AMMは細胞質と核の両方で強く発現していた。この細胞染色を最大染色と定義 する。 一般的なパラメーターとして、RHAMMは腫瘍細胞内(図3A〜D)でも、 また例は少ないが、細胞外の環境、即ち腫瘍を囲むストローマでも観察されてい て、ネズミの細胞において細胞内と可溶の形態が存在することを報告した前報と 一致する。細胞内RHAMMは細胞質にも存在するし、或る場合には、核にも存 在すると思われる(図3D)。腫瘍400個のうち、80%が表4に見られるようにスト ローマ染色と核染色に対して反応性を持たない(即ち、観察0)。一般腫瘍染色が 高濃度であることと、病巣や遊離細胞の最大染色が効能であることとが相関関係 にあることに注目するのは興味深い(r=0.83)。この相関関係は有意である(P< 0.001)。これはRHAMM発現を高濃度で示す細胞の小さい群の出現(図3C)と 、RHAMM染色が増加することとは関連する事象であることを示している(即 ち、図3Aと図3Bを比較されたい)。ヒト乳癌において、小細胞群でのRHAMMの発現過多は予後に重要である 乳癌組織切片の一度量分析の結果、結節の状態(p<0.001>および腫瘍のサイ ズ(p=0.03)が第一患者群の転移がないことど全般的生存を予測する上(表5 )で統計的に有意であることを見出した。この患者群では、どのタイプのRHA MM染色も「標準」予後要因(腫瘍のサイズ、グレード、エストロゲン・レセプ ターの状態、リンパ結節の状態)(表5)とは相関関係がなかった。しかしなが ら、単細胞または小細胞群におけるRHAMMの発現過多(最大染色)は、予後 不良を示す予後要因であった(p=0.02)(表4)。 乳癌における、最大染色(Max)と一般染色(Gen)の二つと標準予後要因との 関係を評価するため、Cox比例危険モデル(Abacus,1994;Lee,1995)を用いて、 初めに表Bのすべての要因を採用し、一時に要因一つづつ捨ててゆき、最後にp <0.05の要因が一個だけ残るようにして、リンパ結節を持つ患者と持たない患者 を分析した。このモデルは、正のリンパ結節の数、腫瘍のサイズ(3グループに 分類、≦2、2−5および>5cm)、ならびにRHAMMの一般と最大染色と合併 した数値をふくむものであった。最大RHAMM染色は負の係数であるため、両 者を合併して新しい要因とし、最大一般(Max−Gen)と名付けた。リンパ結節のデ ータをモデルから除いた後で、Max−Genパラメーターによって生存曲線をp=0.0 08の有意性を持つ患者全体の生存と(図5)、p=0.016の有意性を持つ転移がない 患者群の生存(図6)の2群に分けることができた。これらの結果は表6に要約 している。この表におけるMax−Gen染色の確率は、いずれの群においても、Max −Gen染色の差異が≦1単位で有る場合、再発の可能性はこの差異が<1単位で ある場合の1.4倍であることを示している。同様に、図5と6に示すように、差 異が≧1の場合の死亡の可能性は、<1の場合の1.59倍であるヒト乳癌の予後インジケーターとしての、RHAMMメッセンジャーRNAのR T−PCR分析 保存用パラフィン包埋サンプルを用いて行ったRHAMMタンパク質発現の免 疫細胞化学分析の結果、RHAMM発現過多は生存と関係があるばかりでなく、 これまでに確立されているリンパ結節などの予後パラメーターとも有意であるが 複雑な関係があることが分かった。この関係をさらに検討するため、新鮮な凍結 組織が入手できる98名の患者からなる別の群から組織を得、組織切片からmRNAを 抽出した。このmRNAを用いてRHAMM発現をより感度が高い逆転写ポリメラー ゼ連鎖反応法(RT−PCR)によって分析した。対象患者は特にグレードとE R/PR状態が一定の範囲になるように選定した。 mRNAはヒト乳癌サンプルで検出されたが、これはネズミRHAMM4のヒト同 族体と一致する。常習的なRHAMM発現分析では、エキソン11とエキソン14由 来のプライマーを用いるRT−PCR産物(416bpのcDNA挿入物として表される 、方法を参照されたい)がすべての腫瘍から得ることができた(27、31)。エキソ ン13が欠失している第二のイソフォーム(266bpのcDNA挿入物として表される) が腫瘍の29%に存在した。これらの結果は、ヒト腫瘍においては、RHAMM は複数のイソフォームとして存在していることを示している。(エキソン13を欠 失しているRHAMM4)イソフォームから翻訳されたタンパク質は、免疫細胞 化学分析に用いられた抗体によっては認識されないと考えられる。これは、認識 がエキソン13にコードされているエキソン13のエピトープに向けられるからであ る。RHAMM4、RHAMM4(−9)イソフォームまたは両イソフォームの組 み合せによる高い発現は、腫瘍のより高いグレードと有意の関係があることが証 明された(p=0.0466、p=0.0163、p=0.0357)(表7)。予後不良を示す合併パラメ ーターをもつ小患者群(低いグレード/ER+ve/node−ve、n=15)をさらに 分析したところ、予後不良を示すRHAMM発現(p=0.0063、p=0.0085、p=0.02 13)(表8)と同様の有意の関係があることが証明された。実施例3 本発明者らはヒトRHAMM5 cDNAを用いて、ヒトpWE15コスミドライブラリ ー(Clontech)のスクリーニングを行った。クローンにより制限地図を作成し、 ヒトRHAMM5 cDNAの制限地図と重ねたところ、一致することが認められた。 エキソンの配列決定し、エキソン/イントロンの境界を観察した(表1)。 本発明は本明細書で説明した実施態様の特徴に限定されないし、また変法およ び変更はすべて請求の範囲に含めるものとする。 1 ≧対結節なしの確率 2 Max−Gen染色≧対≦1の確率 3 見出された腫瘍サイズ対2cm以下の腫瘍サイズの確率 *マンホイットニーテスト * 予後不良のパラメーター:グレードが高い/ER−ve/ノード+ve 予後良のパラメーター:グレードが低い/ER+ve/ノード−ve** フッシャー厳密的テスト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61K 48/00 C07K 14/705 C07K 14/705 16/28 16/28 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 5/10 G01N 33/53 D G01N 33/53 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G B,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG, US,UZ,VN (72)発明者 ターリー,エヴァ・エイ カナダ国、エム5ジー 1エックス8 オ ンタリオ、トロント、ユニヴァーシティ・ アヴェニュー 555、マクマスター・ビル ディング、ルーム 3014、ザ・ホスピタ ル・フォー・シック・チルドレン (72)発明者 エントウィスル,ジョイスリン カナダ国、アール3ピー 2エイチ1 マ ニトバ、ウィニペグ、リンデン・ウッド・ ドライヴ・イースト 380

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. ヒトRHAMM1,ヒトRHAMM2,ヒトRHAMM3,ヒトRHAMM 4およびヒトRHAMM5からなる群から選ばれるタンパク質をコードするヌク レオチド配列を含んでなる単離された核酸。 2. 配列番号4のアミノ酸配列をコードする請求項1に記載の単離された核酸。 3. 該ヌクレオチド配列が (イ)ヒトRHAMMのゲノム配列と、 (ロ)配列番号3のヌクレオチド配列と からなる群から選ばれる請求項2に記載の単離された核酸。 4.(イ)連続した配列として配列番号9〜25のヌクレオチド配列を含むヌクレオ チド配列と、 (ロ)連続した配列として配列番号9、10、11および13のヌクレオチド配列 を含むヌクレオチド配列と、 (ハ)連続した配列として配列番号9、10および12〜25のヌクレオチド配列 を含むヌクレオチド配列と からなる群から選ばれる請求項1に記載の単離された核酸。 5.(イ)配列番号3からの少なくとも10個の連続したヌクレオチドのヌクレオチ ド配列と、 (ロ)配列番号3からの少なくとも15個の速続したヌクレオチドのヌクレオ チド配列と、 (ロ)配列番号3からの少なくとも20個の速続したヌクレオチドのヌクレオ チド配列と からなる群から選ばれるヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸。 6. HA結合親和性を保持している、ヒトRHAMMタンパク質の結合ドメイン 少なくとも1個をコードするヌクレオチドまたはそのフラグメントまたは類似体 を含んで なる単離された核酸。 7.配列番号1または配列番号7のアミノ酸配列をコードする請求項6に記載の 単離された核酸。 8.配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15 、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21 、配列番号22、配列番号23、配列番号24、および配列番号25からなる群から選ば れるヌクレオチド配列からなる単離された核酸。 9. ヌクレオチド配列が配列番号16である請求項8に記載の単離核酸。 10.配列番号50のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離 された核酸。 11.配列番号26〜49からなる群から選ばれるヌクレオチド配列を含んでなる単離 された核酸 12.請求項1〜11のいずれかに記載の単離された核酸からなる組み替え発現ベク ター。 13.請求項12に記載の組み替え発現ベクターによってトランスフォーメーション された宿主細胞。 14.動物またはその祖先のゲノムに、 (イ)ヒトRHAMM遺伝子のエキソン少なくとも1個のヌクレオチド配列の 挿入と、 (ロ)ヒトRHAMMタンパク質を少なくとも1個コードするヌクレオチド配 列の挿入と、 (ハ)内因性RHAMM遺伝子の失活と からなる群から選ばれる変更を引き起こす組み替え構成体少なくとも1個が挿入 されることによって変更されている遺伝子導入動物。 15.ヒトHRAMM1,ヒトHRAMM2,ヒトHRAMM3,ヒトHRAMM 4およびヒト HRAMM5からなる群から選ばれる実質的に純粋なタンパク質。 16.ヒアルロナンに結合することができる配列番号4のアミノ酸配列またはその フラグメントまたは類似体を含んでなる請求項15に記載のタンパク質。 17.(イ)配列番号4のアミノ酸配列からの少なくとも5個の連続したアミノ酸 残基と、 (ロ)配列番号4のアミノ酸配列からの少なくとも10個の連続したアミノ酸 残基と、 (ハ)配列番号4のアミノ酸配列からの少なくとも15個の連続したアミノ酸 残基と からなる群から選ばれるアミノ酸配列を含んでなる実質的に純枠なペプチド。 18.ヒトRHAMMの結合ドメイン少なくとも1個からなる実質的に純粋なペプ チド。 19.配列番号1および配列番号17からなる群から選ばれる請求項18に記載のペ プチド。 20.配列番号50のアミノ酸配列を持つ実質的に純粋なペプチド。 21.ヒトRHAMMタンパク質の抗原決定基に選択的に結合する抗体。 22.請求項20のペプチドの抗原決定基に選択的に結合する抗体。 23.請求項21または22に記載の抗体を産生する細胞系。 24.ヒトRHAMMタンパク質少なくとも1個からなる調製物を用意するステッ プと、 該調製物を候補化合物と接触させるステップと、 RHAMMタンパク質が候補化合物と結合しているのを検出するステップと を含んでなるヒトRHAMMタンパク質と選択的に結合する化合物の同定方法。 25.RHAMMタンパク質の結合をアフィニテイクロマトグラフィ、イースト2 ハイブリッド系およびファージ・ディスプレー・ライブラリからなる群から選ば れる方法によって検出する請求項24に記載の方法。 26.哺乳動物の腫瘍サンプルを採取し、腫瘍サンプル中のRHAMMタンパク質 発現 濃度を測定し、RHAMMタンパク質発現濃度が高い場合を予後不良と判定する 、腫瘍を持つ哺乳動物の予後評価方法。 27.組織化学方法、生検サンプル中のRHAMM mRNA濃度測定を含んでな る方法、生検サンプル中のヒトRHAMMエキソン8の発現測定を含んでなる方 法からなる群から選ばれる方法によってRHAMM発現を測定する請求項26に記 載の方法。 28.哺乳動物がヒトであり、、腫瘍が乳房腫瘍である請求項26または27に記 載の方法。 29.RHAMM遺伝子の発現過多を特徴とするヒトの疾患を予防または治療する 医薬組成物において、 (イ)RHAMM遺伝子に対する優勢なサプレッサー変異体と、 (ロ)ヒトRHAMM cDNAに対するアンチセンス配列と、 (ハ)薬学的に許容できる担体に担持されている、ヒトRHAMM遺伝子のエ キソン8に対するアンチセンス配列と からなる群から選ばれるヌクレオチド配列の有効量を含んでなる医薬組成物。 30.RHAMM遺伝子の発現過多を特徴とするヒトの傷害を予防または治療する 方法において、 (イ)RHAMM遺伝子に対する優勢なサプレッサー変異体と、 (ロ)ヒトRHAMM cDNAに対するアンチセンス配列と、 (ハ)ヒトRHAMM遺伝子のエキソン8に対するアンチセンス配列と からなる群から選ばれるヌクレオチド配列の有効量を哺乳動物に投与することか らなる方法。 31.該疾患が癌である請求項30に記載の方法。 32.ヒトにおける細胞移動を抑制する方法であって、 (イ)ヒトRHAMMタンパク質またはそのフラグメントに特異的に結合する 抗体と、 (ロ)ヒトRHAMMのHA結合ドメインを含んでなるペプチドと からなる群から選ばれる薬剤をヒトに投与することからなる方法。
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