JP2000514076A - アクリル酸およびメタクリル酸の製造方法 - Google Patents
アクリル酸およびメタクリル酸の製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
以下の工程:(a)実質的にC3−/C4−アルカン、アルケン、アルカノールおよび/またはアルカナールおよび/またはこれらの前駆物質の、アクリル酸またはメタクリル酸への触媒気相酸化の反応混合物の組成を有する、アクリル酸またはメタクリル酸を含有する気体状の反応生成物の製造、(b)少なくとも1種の極性有機溶剤に溶解した少なくとも1種のラクタムからなる溶剤混合物での反応生成物の吸収、および(c)粗製アクリル酸または粗製メタクリル酸および溶剤混合物を得るための、反応生成物を含有する溶剤混合物の蒸留からなることを特徴とする、アクリル酸またはメタクリル酸の製造方法。
Description
【発明の詳細な説明】
アクリル酸およびメタクリル酸の製造方法
本発明は、アクリル酸およびメタクリル酸の製造方法に関する。
アクリル酸およびメタクリル酸は、重要な基本化学物質である。該酸の極めて
反応的な二重結合ならびに酸の機能に基づいて、該酸は特にポリマーを製造する
ためのモノマーとしての使用に適切である。製造されるアクリル酸モノマーのほ
とんどの量は、重合前にエステル化されて例えば接着剤、分散液または塗料にな
る。製造されるアクリル酸モノマーのわずかな部分のみが直接重合されて、例え
ば「高吸収体(superabsorber)」になる。一般にアクリル酸の直接重合のために
は純度の高いモノマーが要求される一方で、アクリル酸をエステル化する場合に
は該酸の純度に対する要求はそれほど高くない。
アクロレインを経由して2工程で200〜400℃の間の温度で固体の凝集状
態で存在する触媒上で分子酸素を用いてプロペンを不均一触媒作用により気相酸
化することによりアクリル酸を製造できることは周知である(例えば、DE−A
1962431、DE−A2943707、DE−C1205502、DE−A
19508558、EP−A0257565、EP−
A0253409、DE−A2251364、EP−A0117146、GB−
B1450986およびEP−A0293224を参照のこと)。この場合、多
成分の酸化触媒、例えば元素モリブデン、ビスマスおよび鉄の酸化物(第一工程
で)もしくはモリブデンおよびバナジウムの酸化物(第二工程で)をベースとす
るものをそれぞれ使用する。
DE−C2136396から、ジフェニルエーテル75重量%およびジフェニ
ル25重量%からなる混合物(このような市販の混合物は「ジフィール(Diphyl)
」と称する)での向流吸収によりプロペンまたはアクロレインを触媒酸化する際
に得られる反応ガスからアクリル酸を分離することが公知である。さらにDE−
A2449780から、向流吸収の前に、直接凝縮器(クエンチング装置)中で
溶剤を部分的に蒸発させることによる、高温の反応ガスの冷却方法が公知である
。その際ならびにその他のプロセス工程での問題は、装置内で固体が発生するこ
とであり、該固体はプラントの利用度を低下させる。DE−A4308087に
よれば、前記の固体の発生を、ジフェニルエーテルおよびジフェニル(ジフィー
ル)からなる比較的無極性の溶剤混合物に極性溶剤、例えばジメチルフタレート
を0.1〜25重量%の量で添加することにより減少することができる。その際
の欠点は、吸収工程で使用される溶剤の、酢酸およびアクリル酸に対する選択率
が比較的低いことにより、その後の精製工程で蒸留による複雑な分離、ひいては
高価な分離コストが必要であることである。これはアクリル酸への高い熱負荷と
結びついており、このことはオリゴマーおよびポリマーの形成による生成物の損
失につながる。
アクリル酸含有反応混合物の、高沸点溶剤混合物への前記の吸収とならんで、
その他の公知のプロセスは触媒酸化の間に形成される反応水およびアクリル酸の
完全な凝縮が考慮される。その際、アクリル酸水溶液が生じ、該溶液は共沸剤を
使用する蒸留工程を介して(DE−C3429391、JP−A1124766
、JP−A7118766、JP−A7118966−R、JP−A71189
68−R、JP−A−7241885)または抽出工程(DE2164767、
JP−A58140−039およびJP−A48091013)を介してさらに
後処理することができる。EP−A0551111では、触媒気相酸化により製
造されるアクリル酸および副生物の混合物を吸収塔で水と接触させ、かつ得られ
た水溶液を、極性の低沸点物質、例えば水または酢酸と共沸混合物を形成する溶
剤の存在下で蒸留している。DE−C2323328は、水性ブタノール−アク
リル酸−エステル化流出液から有機溶剤の特殊な混合物での抽出によるアクリル
酸の分離を記載している。
アクリル酸の前記の製造方法の種類とは無関係に、
こうして得られた生成物の品質は一般に、ここから販売可能な製品を重合できる
ためには十分ではない。さらにポリアクリル酸に加工する際に、特に(触媒作用
による気相酸化中に形成される)酢酸、プロピオン酸およびアルデヒドにより阻
害される。例えばAGHC(炭酸水素アミノグアニジン)またはNH2NH2での
化学的な前処理(例えばEP−A0270999、PT−A78759、PT−
A81876、US−A3725208−S)および蒸留によるその後の精製工
程により、アルデヒドを除去できることは公知である。同時に酢酸を分離する。
このようにして精製したアクリル酸は、例えば「高吸収体」の製造に適切である
。アクリル酸をエステル化すると、酢酸から相応する酢酸エステルが生じ、該エ
ステルを蒸留により除去しなくてはならない。強酸性のエステル化条件下でアル
デヒドはプラントを汚染する樹脂化生成物を生じる。
従って実質的にアクリル酸の全てのその後の加工プロセスは、同一の第二成分
、つまり酢酸、プロピオン酸およびアルデヒドにより妨げられる。アクリル酸の
蒸留は、高い熱負荷およびこのことに関連してアクリル酸がダイマー、オリゴマ
ーまたはポリマーを形成する強い傾向のために問題がある。さらにこの場合、類
似した沸点を有する第二成分、特にプロピオン酸を分離することができない(ア
クリル酸の沸点は141.6℃、プロピオン酸の沸点は140.9℃)。
EP−A0071293には、ラクタム、例えばN−メチル−2−ピロリドン
を使用する、カルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸の、ギ酸、酢酸、およびプ
ロピオン酸含有流からの選択的吸収が記載されている。BE694209は、例
えばプロペンまたはイソブテンの酸化により、水での洗浄後に直接得られるアク
リル酸またはメタクリル酸含有水溶液から、N原子のところで、C6〜C20原子
を有する特定の炭化水素基により置換されているラクタムでの抽出による、該酸
の分離に関する。前記のラクタム、例えばピロリドンに、エーテルまたはエステ
ルを添加することができる。欠点は、蒸留によるピロリドンからの(メタ)アク
リル酸の分離は、以下で例中にも示すように、工業的にほとんど不可能なことで
ある。
従って本発明の課題は、前記の望ましくない第二成分、特に酢酸およびプロピ
オン酸を最小限の分離コストで除去し、かつ粗製アクリル酸または粗製メタクリ
ル酸を、工業的により容易でかつより経済的な方法で提供し、かつ生成物を有害
な作用から保護する、アクリル酸またはメタクリル酸の改善された製造方法を提
供することである。
意外なことに、ラクタムと極性有機溶剤との溶剤混合物は、吸収の際に、従来
使用されている溶剤または溶剤混合物の場合よりも、アルカン酸、例えば酢酸、
プロピオン酸、およびアルケン酸、例えばアクリル酸
またはメタクリル酸に対して実質的により良好な選択性を有していることが判明
した。さらに新規の溶剤混合物のより低い沸点のために、アクリル酸またはメタ
クリル酸の蒸留の間の熱負荷がより低い。
従って本発明は、以下の工程:
(a)実質的にC3−/C4−アルカン、アルケン、アルカノールおよび/または
アルカナールおよび/またはこれらの前駆物質の、アクリル酸またはメタクリル
酸への触媒気相酸化の反応混合物の組成を有する、アクリル酸またはメタクリル
酸を含有する気体状の反応生成物の製造、
(b)少なくとも1種の極性有機溶剤に溶解した少なくとも1種のラクタムから
なる溶剤混合物での反応生成物の吸収、および
(c)粗製アクリル酸または粗製メタクリル酸および溶剤混合物を得るための、
反応生成物含有溶剤混合物の蒸留
を含む、アクリル酸および/またはメタクリル酸の製造方法に関する。
本発明の有利な実施態様は、関連する請求項2以降に定義されている。本発明
のその他の有利な特徴を以下の詳細な説明、請求項2以降、図および実施例で説
明する。
図面は以下の通りである:
図1は、本発明の有利な実施態様によるアクリル酸
の製造のためのフローチャートである。
図2は、例3〜8による種々の溶剤混合物に関する蒸留フラクションに対する
アクリル酸分離率の図である。工程(a)
工程(a)では、実質的にC3−およびC4−アルカン、−アルケン、−アルカ
ノールおよび/または−アルカナールおよび/またはこれらの前駆物質の、アク
リル酸またはメタクリル酸への触媒気相酸化の反応混合物の組成を有する気体状
の生成物混合物を製造する。生成物の気体混合物は特に有利には、プロペン、ア
クロレイン、t−ブタノール、イソブテン、イソブタン、イソブチルアルデヒド
、メタクロレイン、イソ酪酸またはメチル−t−ブチルエーテルの触媒作用によ
る気相酸化により製造される。出発化合物として、気相酸化の間に中間的に実際
のC3−/C4−出発化合物を形成する、前記の化合物の全ての前駆物質を使用し
てもよい。メチル−t−ブチルエーテルまたはイソ酪酸がメタクリル酸の製造の
ための例としてあげられる。
プロペンおよび/またはアクロレインのアクリル酸への触媒気相反応は、特に
有利には公知の方法により分子酸素を使用して、特に前記の刊行物に記載されて
いるように行う。この場合、有利には200〜450℃の間の温度で、および場
合により高めた圧力で実施
する。有利には不均一触媒として、第一工程(アクロレインへのプロペンの酸化
)でモリブデン、ビスマスおよび鉄の酸化物を、および第二工程(アクリル酸ヘ
のアクロレインの酸化)でモリブデンおよびバナジウムの酸化物をベースとする
多成分酸化触媒である。プロパンを出発材料として使用する場合、該物質を、例
えばCatalysis Today 24(1995)、307〜313頁またはUS−A551055
8に記載されているような触媒作用による酸化物の水和により、例えばCN−A
−1105352に記載されているような均質な酸化物水和により、または例え
ばEP−A0253409、EP−A0293224またはEP−A01171
46に記載されているような触媒作用による脱水によりプロペン/プロパン混合
物に変換してもよい。プロペン/プロパン混合物を使用する場合は、プロパンが
希釈ガスとして作用する。適切なプロペン/プロパン混合物はさらにリファイナ
リープロペン(プロペン70%およびプロパン30%)またはクラッカープロペ
ン(プロペン95%およびプロパン5%)である。基本的にプロペン/プロパン
混合物、例えば前記のものは、酸素または空気または任意の組成の窒素と酸素と
の混合物で酸化してアクロレインおよびアクリル酸を製造することができる。
プロペンのアクリル酸への変換は、強発熱性である。反応ガスは、出発物質お
よび生成物とならんで、有
利には希釈ガス、例えばリサイクルしたガス(以下を参照のこと)、空気窒素、
1種以上の飽和C1〜C6炭化水素、特にメタンおよび/またはプロパンおよび/
または水蒸気を含有しているので、わずかな反応熱を吸収できるのみである。使
用される反応器の種類は制限されないが、多くの場合、多管式熱交換機を使用し
、該反応器には酸化触媒が充填されている。というのはこのような熱交換器の場
合、反応の際に発生する熱のほとんどを、冷却される管表面での対流および輻射
により除去することができるからである。
触媒作用による気相酸化では、純粋なアクリル酸ではなく、アクリル酸以外に
、第二成分として実質的に未反応のアクロレインおよび/またはプロペン、水蒸
気、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、プロパン、酸素、酢酸、プロピオン酸、ホ
ルムアルデヒド、その他のアルデヒド、および無水マレイン酸を含有していても
よい気体混合物が得られる。通常、反応生成物混合物は、そのつど全反応混合物
に対して、アクリル酸1〜30重量%、プロペン0.05〜1重量%およびアク
ロレイン0.05〜1重量%、酸素0.05〜10重量%、酢酸0.05〜1重
量%、プロピオン酸0.01〜2重量%、ホルムアルデヒド0.05〜1重量%
、アルデヒド0.05〜2重量%、無水マレイン酸0.01〜0.5重量%およ
び不活性希釈ガス20〜98重量%、有利には50〜98重量%を含有している
。不活性希釈ガスとして、そのつど希釈ガス100重量%に対して、特に飽和C1
〜C6炭化水素、例えばメタンおよび/またはプロパン0〜90重量%、さらに
水蒸気1〜30重量%、炭素酸化物0.05〜15重量%および窒素0〜90重
量%が含有されている。
メタクリル酸は、アクリル酸と同様に、分子酸素を使用してC4出発化合物の
触媒気相反応により製造することができる。特に有利にはメタクリル酸は、例え
ばイソブテン、イソブタン、t−ブタノール、イソブチルアルデヒド、メタクロ
レインまたはメチル−t−ブチルエーテルの触媒作用による気相酸化により得ら
れる。触媒として遷移金属(例えばMo、V、Wおよび/またはFe)の混合酸
化物触媒を使用する。特に適切な方法は、特にメタクロレインをt−ブタノール
、イソブタンまたはイソブテンの気相中での触媒酸化により、あるいはEP−B
0092097またはEP−B0058927によるホルムアルデヒドとプロピ
オンアルデヒドとの反応により製造する場合には、メタクロレインから出発する
製造方法である。従って(1)プロピオンアルデヒドとホルムアルデヒドとの(
触媒として第二アミンの存在下での)縮合によるメタクロレインの形成、および
(2)引き続きメタクロレインの酸化によるメタクリル酸の形成により、メタク
リル酸を2工程で製造する可能性が生じる。
アクリル酸の製造の場合と同様に、純粋なメタクリ
ル酸ではなく、メタクリル酸とならんで、第二成分として実質的に未反応のメタ
クロレインおよび/または水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、酸素、酢酸
、プロピオン酸、その他のアルデヒドおよび無水マレイン酸を含有していてもよ
い気体混合物が得られる。本発明による方法は特に、反応混合物が全反応混合物
に対してメタクリル酸1〜30重量%、およびその他に実質的にアクリル酸の製
造においてと同様の相応する成分を含有している場合に使用される。
以下で工程(b)および(c)および図において使用する「アクリル酸」とい
う概念を使用する場合、その他の記載がなければ、相応してメタクリル酸にも該
当する。工程(b)
工程(b)では、アクリル酸および反応ガス(反応生成物)の第二成分の一部
を溶剤混合物での吸収により分離する。本発明によれば、溶剤混合物として、少
なくとも1種の極性有機溶剤に溶解した少なくとも1種のラクタムからなる高沸
点溶剤混合物が適切である。使用されるラクタムは有利には、最高で280℃の
沸点を有し、かつ有利には5〜7原子の環の大きさを有し、その際、ラクタムは
有利には最高で280℃の沸点を有するピロリドンおよびピリドンから選択され
る。これらは特に、窒素原子上でアルキル置換されたピロリドンおよびピペリド
ンであり、その際アルキル
基は有利には1〜4個の炭素原子を有し、例えばN−メチルピロリドンまたはN
−エチルピロリドンである。最も有利には、N−メチルピロリドンである。有利
には、製造条件下で吸収後に液相のみが存在する。極性有機溶剤として、最高で
280℃の沸点を有する全ての極性溶剤が適切である。これらは有利には、カル
ボン酸、有利にはC1〜C10カルボン酸、C1〜C10アルコール、C1〜C10アル
デヒド、C1〜C10ケトンおよびこれらの混合物から選択され、その際、前記の
化合物は置換されていてもよく、特にC1〜C8アルキル置換基により置換されて
いてもよい。極性有機溶剤として最も有利には、エチルヘキサン酸である。従っ
て有利には溶剤混合物として、エチルヘキサン酸とN−メチルピロリドンとの混
合物を使用する。溶剤混合物は有利には、ラクタム3〜90重量%、有利には5
〜25重量%、特に5〜15重量%および極性有機溶剤10〜97重量%、有利
には75〜95重量%、特に85〜95重量%を含有する。有利な実施態様では
(分離するべき、かつ酸を含有する)両方の物質流の反応ガス対溶剤混合物の比
は、0.1:1〜10:1、特に1:1〜5:1である。
本発明の記載では、高沸点物質、中沸点物質、低沸点物質という概念ならびに
形容詞として使用される相応する概念は、アクリル酸より高い沸点を有する化合
物(高沸点物質)またはアクリル酸とほぼ同じ沸点を
有する化合物(中沸点物質)またはアクリル酸よりも低い沸点を有する化合物(
低沸点物質)を表す。
工程(a)で得られる熱い反応ガスを、有利には吸収の前に、適切な装置、例
えば直接凝縮器またはクエンチング装置内で溶剤混合物を部分的に蒸発させるこ
とにより冷却する。このために、特にベンチュリースクラバー、泡鐘塔、または
スプレー凝縮器が適切である。その際に工程(a)からの反応ガスの高沸点の第
二成分は、蒸発させていない溶剤混合物に凝縮する。さらに溶剤混合物の部分的
な蒸発は、溶剤混合物のための精製工程である。本発明の有利な実施態様では、
蒸発させていない溶剤混合物の部分流、有利には吸収塔に供給される物質流の1
〜10%を留去し、かつ溶剤の精製に供する。この場合、溶剤混合物を過剰蒸留
し、かつ高沸点第二成分が残留し、これを必要に応じてその後さらに濃縮し、次
いで廃棄処理、例えば燃焼することができる。前記の溶剤の蒸留は、溶剤流中の
高沸点物質の高い濃度を回避するのに役立つ。
吸収は有利には向流吸収として行う。吸収塔は有利にはバルブトレイまたは二
系統流トレイを備えているか、もしくは充填体あるいは整列されたまたはランダ
ムな充填物が充填されており、かつ(蒸発していない)溶剤混合物を上方から流
す。気体状の反応生成物および場合により蒸発させた溶剤混合物を下方から上昇
させて塔に導入し、かつ引き続き吸収温度に冷却する
。冷却は有利には冷却サイクルにより行う、つまり加熱した溶剤混合物を塔から
留去し、熱交換器で冷却し、かつ塔の排出口より上方の箇所で塔に戻す。溶剤冷
却サイクル中で、アクリル酸とならんで、低沸点第二成分、高沸点第二成分およ
び中沸点第二成分ならびに蒸発した溶剤混合物も凝縮される。反応ガス流を吸収
温度に冷却すると、実際の吸収が行われる。その際に反応ガス中に残留している
残りのアクリル酸ならびに低沸点第二成分の一部が吸収される。
工程(a)の吸収されなかった残りの反応ガスをさらに冷却して、その中の低
沸点第二成分の凝縮可能な部分、特に水、ホルムアルデヒドおよび酢酸を凝縮に
より分離する。この凝縮液を以下では酸性水と呼ぶ。以下でリサイクルガスと称
する残りのガス流は、主として窒素、炭素酸化物および未反応の出発物質からな
る。これは有利には部分的に希釈ガスとして再度反応工程にリサイクルされる。
工程(b)で使用される塔の塔底部から、アクリル酸、高沸点および中沸点第
二成分ならびに少量の低沸点第二成分で負荷された溶剤流を回収し、かつ工程(
c)で蒸留する。工程(c)
プロセス工程(c)で、アクリル酸を中沸点成分ならびに低沸点第二成分の最
終残留物と一緒に、溶剤混合物から分離する。この分離は蒸留により行い、その
際、基本的にいずれの蒸留塔を使用してもよい。有利には篩トレイ、例えば二系
統流トレイまたは金属製の向流篩トレイを備えた塔を使用する。塔のブイの部分
(Auftriebsteile)で、アクリル酸が溶剤混合物および中沸点第二成分、例えば無
水マレイン酸不含になるよう蒸留する。前記の蒸留は有利には120〜200℃
の温度で、特に140〜170℃の温度で、20〜600ミリバール、特に50
〜200ミリバールの塔頂圧力で実施する。アクリル酸中の低沸点物質の割合を
減少するために、有利には塔のブイの部分の長さを増大し、かつアクリル酸を側
方排出物として塔から回収する。前記のアクリル酸は以下で、その純度に関わり
なく粗製アクリル酸と称する。
次いで部分的な凝縮に引き続き、塔頂で低沸点物質分の多い流れを回収する。
しかし前記の流れはまだ幾分かのアクリル酸を含有しているので、有利には廃棄
せずに、吸収工程(b)にリサイクルする。
低沸点物質を含有せず、かつアクリル酸をほとんど含有しない溶剤混合物を塔
の塔底部から回収し、かつ吸収工程(b)にリサイクルする。
工程(C)で得られた粗製アクリル酸は、アクリル酸98〜99.8重量%お
よび不純物、例えば酢酸、アルデヒドおよび無水マレイン酸0.2〜2重量%を
含有する。前記のアクリル酸はそのままでエステル化に使用するか、または結晶
化によりさらに精製するこ
とができる。
本発明による方法は、工程(b)で使用される溶剤混合物の、アルカン酸、例
えば酢酸およびプロピオン酸、およびアルケン酸、例えばアクリル酸およびメタ
クリル酸に対する極めて良好な選択率に基づいて、第二成分、特に酢酸およびプ
ロピオン酸からアクリル酸を吸収工程(a)で良好に分離することができる。さ
らに本発明により使用される溶剤混合物のより低い沸点(例えばジフィールの2
40℃、ジメチルフタレートの282℃に対して、N−メチルピロリドンの沸点
は204℃、エチルヘキサン酸は228℃)により、蒸留塔でのアクリル酸への
熱負荷は実質的により低くなる。このことにより高い熱負荷のマイナスの結果、
つまりダイマー、オリゴマーまたはポリマーの形成は、著しく減少する。さらに
本発明の方法は、プロピオン酸およびアクリル酸の吸収分離、引き続き蒸留によ
る分離を可能にする。
図1は、本発明の有利な実施態様によるアクリル酸の製造のフローチャートで
ある。図1で参照番号1〜12はプロセス校程を表し、参照番号20〜31は導
管を表し、かつK9、K10、K19、K20およびK30は装置もしくは装置
部分を表す。
図1に示されているように、実質的に窒素、炭素酸化物および未反応の出発物
質からなり、かつ導管20を介してリサイクルガスの圧縮1に供給されるリサイ
クルガスの圧縮(リサイクルガスの圧縮1)に引き続き、該ガスを導管21を介
して導管22からのプロペンおよび導管23からの空気と一緒に合成2に供給す
る。ここで不均一触媒による2工程の酸化を行いアクリル酸を形成する。
アクリル酸を含有する、得られた熱い気体状の反応生成物を導管24を介して
直接凝縮器K9に供給し、かつここで吸収の前に、ラクタム、例えばN−メチル
ピロリドンと有機極性溶剤、例えばエチルヘキサン酸との溶剤混合物を部分的に
蒸発させることにより冷却する。その際に反応生成物の高沸点の第二成分を、図
1に凝縮3として示されているように、蒸発していない溶剤混合物に凝縮する。
直接凝縮器K9からの部分流の溶剤を蒸留し(図示せず)、その際に溶剤混合物
を過剰蒸留し、かつ高沸点第二成分が残留する。後者を導管25を介して除去す
る。これらはさらに濃縮し、かつ廃棄処理、例えば燃焼する。
塔K10に(蒸発させていない)溶剤混合物を上流から流し、その一方で蒸発
させた溶剤混合物および気体状の反応生成物を下方から上流方向に塔K10に導
入し、かつ引き続き吸収温度に冷却する。冷却は、冷却サイクルを介して行う(
図示せず)。蒸発させた溶剤混合物およびアクリル酸の両方ならびに全ての高沸
点および中沸点第二成分を前記の冷却サイクルで凝縮する。全ての反応ガス流を
吸収温度に冷却した後で、
実際の吸収4を行う。その際に反応ガス中に残留している残りのアクリル酸なら
びに低沸点第二成分の一部を吸収する。引き続き吸収されなかった残りの反応ガ
スをさらに冷却して、酸性水クエンチング5として図1に示されているようにガ
ス流から低沸点第二成分の凝縮可能な部分を分離する。残りのガス流を導管26
を介して除去する。この一部を導管20を介してリサイクルガスの圧縮1に再度
供給し、かつ引き続き導管21を介して希釈ガスとして合成2に供給し、その一
方でその他の部分を導管27を介して排出する。
アクリル酸および第二成分を含有する溶剤混合物を塔K10の塔底部から除去
し、かつ導管28を介して蒸留塔K30に供給し、これは有利には多孔板塔であ
る。溶剤混合物の蒸留6、中沸点物質の蒸留7、低沸点物質の蒸留8ならびに部
分的な凝縮9を、塔K30で行う。高沸点溶剤混合物および中沸点第二成分、例
えば無水マレイン酸を塔K30の塔底部で凝縮させ、再度導管29を介して吸収
4に供給する。塔K30の頭頂部で除去されるアクリル酸がまだ評価できる量の
低沸点第二成分を含有しているので、前記の低沸点フラクションを有利には塔K
30のブイの部分の長さをさらに増大することにより減少させ、かつアクリル酸
を塔K30の側方の出口30により除去する。前記のアクリル酸は粗製アクリル
酸と称する。
蒸留塔K30の塔頂から除去された、低沸点物質分
の多い流れは、まだアクリル酸を含有しているので、有利には導管31を介して
凝縮工程3にリサイクルする。
点線で示される脱着塔K20中の低沸点物質のストリッピング10、スクラバ
ーK19中での低沸点物質の洗浄11ならびに酸性水抽出12のプロセス工程お
よび前記のプロセス工程に関わる導管は、有利にはプロセスとは反対に省略され
、その際に本発明により使用される溶剤/溶剤混合物とは異なるものを使用する
。
総じて、本発明による方法は以下の利点を有する:
脱着塔(K20、図1で点線で示される)中での低沸点物質の付加的な分離が
不要であることに基づく、低い工業的コスト。このことによりリサイクルガスの
洗浄(K19、図1で点線で示される)が不要になる。さらに(図1で点線によ
り示される)酸性水の抽出はもはや不要である;
溶剤混合物のより低い沸点に基づいた生成物の低い熱負荷。このことはプラン
トの増大された利用度およびオリゴマーおよびポリマーの形成の低い傾向(生成
物の損失の減少)と結びついている;および
プロピオン酸およびアクリル酸の分離が可能であることに基づいた、より高い
生成物の品質。
さらに本発明は、実質的にC3−/C4−アルカン、アルケン、アルカノール、
および/またはアルカナー
ルおよび/またはこれらの前駆物質の、アクリル酸またはメタクリル酸への触媒
気相酸化の反応混合物の組成を有する生成物混合物からのアクリル酸および/ま
たはメタクリル酸の吸収の際に溶剤としての、少なくとも1種の極性有機溶剤に
溶解した少なくとも1種のラクタムからなる溶剤混合物の使用にも関する。
本発明を、本発明の有利な実施態様である以下の例を参照にして以下で詳細に
説明する。吸収試験
アクリル酸含有率4.8容量%、酢酸含有率0.2容量%およびH2O含有率
7.6容量%を有する合成ガス750g/hを、20個の泡鐘トレイを備えた塔
に温度130℃で供給した。気体混合物を塔の塔頂から除去し、かつ温度15℃
を有する冷たい凝縮液でクエンチングした。その際に凝縮可能な成分、つまり主
としてH2Oおよび酢酸は、酸性水として生じる。例1および2に記載の溶剤混
合物(SM)500g/hを塔の塔頂に添加した。主としてアクリル酸を含有す
るSMを塔底生成物として塔底で除去する。塔底、トレイ1〜5を有する塔の部
分、トレイ6〜15を有する塔の部分、およびトレイ16〜20を有する塔の部
分の温度を、互いに無関係に適切に調整した。
例1(比較)
溶剤として、ジフィール(DIP)80重量%およびジメチルフタレート(D
MP)20重量%からなる
混合物を使用した。結果を吸収塔の種々の温度に関して以下の表に示す。前記の
結果によれば、吸収塔の塔頂で、最も好ましくは、酢酸(AA)1.14重量%
およびアクリル酸(ACA)0.10重量%を有する酸性水が生じる。従って選
択率を特徴付けるAA対ACAの質量比は、最大で11.4である。この場合、
吸収の後で塔底から排出した溶剤混合物に、ACAとならんでAA0.253重
量%および水0.10重量%が溶解していた。
例2
溶剤として、表により種々の温度で種々の割合のエチルヘキサン酸(EHA)
およびN−メチルピロリドン(NMP)からなる混合物(EHA75重量%およ
びNMP25重量%、EHA80重量%およびNMP20重量%、EHA85重
量%およびNMP15重量%、EHA90重量%およびNMP10重量%、EH
A95重量%およびNMP5重量%ならびにEHA100重量%)を吸収塔で使
用した。結果を以下の表に示す。これらの結果によれば、最も好ましい場合に吸
収塔の塔頂で、AA2.82重量%およびACAわずか0.056重量%を有す
る酸性水が生じた。この場合、選択率を特徴付けるAA対ACAの質量比は、5
0.35である。この値は、比較例1で達成された選択率よりも4倍以上高い選
択率を示す。この場合、吸収後に塔底から排出された溶剤混合物中に、ACAと
ならんで、AAわずか0.094重量%および水0.060重量%が溶解してい
る。
表 蒸留試験
アクリル酸9.6〜20重量%を含有するSMそれぞれ3000gもしくは3
600gを塔底に装入した。前記の塔底に5個の泡鐘トレイを有する塔(Jansen
head)を搭載した。塔頂での圧力を150ミリバールに調整した。引き続き装
入した溶液を60〜135℃の間の温度で濃縮した。塔を還流比5で操作した、
つまり凝縮された蒸気の5部をトップトレイに戻し、かつ1部を留出液として除
去した。生じた留出液を、相次いで4つのサンプルビンに取り出した。それぞれ
のサンプルビンの内容物は蒸留フラクションである。以下の例3〜8に記載の試
験の結果を図2に示す。
例3(比較)
アクリル酸388gならびにDMP20重量%およびDIP80重量%からな
る溶剤混合物2612gの溶液3000gを、上記の蒸留装置に装入した。再度
4つのフラクションを塔頂圧力150ミリバールで留去した。その際に塔底温度
は85℃から115℃に上昇した。合計でアクリル酸384gを有する留出液3
89gが総計で生じた。これは384g/388g=99%のアクリル酸分離率
に相当する。
例4(比較)
上記の蒸留装置に、アクリル酸245gおよび純粋なNMP2755gからな
る溶液3000gを装入した。塔頂圧力150ミリバールで、4つのフラクショ
ンを留去した。その際に塔底温度は60℃から135
℃に上昇した。合計でアクリル酸わずか0.7gを有する留出液165gが生じ
た。これはつまり、使用されたアクリル酸288gのうち、試験条件下でわずか
0.7gが留去できたのみであることを意味する。これは0.7g/245g=
0.3%のアクリル酸分離率に相当する。
例5(比較)
上記の蒸留装置に、アクリル酸518gならびにNMP50重量%およびDM
P50重量%からなる溶剤混合物3082gからなる溶液3600gを装入した
。塔頂圧力150ミリバールで再度4つのフラクションを留去した。その際に塔
底温度は65℃から115℃に上昇した。合計でアクリル酸138gを有する留
出液144gが総計で生じた。これは138g/518g=27%のアクリル酸
分離率に相当する。
例6(比較)
上記の蒸留装置に、アクリル酸582gならびにNMP50重量%およびDI
P50重量%からなる溶剤混合物3018gからなる溶液3600gを装入した
。塔頂圧力150ミリバールで再度4つのフラクションを留去した。その際に塔
底温度は75℃から115℃に上昇した。合計でアクリル酸218gを有する留
出液233gが総計で生じた。これは218g/582g=37%のアクリル酸
分離率に相当する。
例7
上記の蒸留装置に、アクリル酸384gならびにNMP50重量%およびEH
A50重量%からなる溶剤混合物2616gからなる溶液3000gを装入した
。塔頂圧力150ミリバールで再度4つのフラクションを留去した。その際に塔
底温度は65℃から115℃に上昇した。合計でアクリル酸281gを含有する
留出液296gが総計で生じた。これは281g/384g=73%のアクリル
酸分離率に相当する。
例8
上記の蒸留装置に、アクリル酸405gならびにNMP20重量%およびEH
A80重量%からなる溶剤混合物2595gからなる溶液3000gを装入した
。塔頂圧力150ミリバールで再度4つのフラクションを留去した。その際に塔
底温度は85℃から115℃に上昇した。合計でアクリル酸387gを有する留
出液401gが総計で生じた。これは387g/405g=96%のアクリル酸
分離率に相当する。
該例から、本発明によりラクタムおよび極性有機溶剤からなる混合物を使用す
ることによりACAを含有する合成ガスからのACAの吸収に対する高い選択率
および蒸留の際に負荷された溶剤からのアクリル酸の極めて良好な分離につなが
ることを示している。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.アクリル酸またはメタクリル酸の製造方法において、以下の工程: (a)実質的にC3−/C4−アルカン、アルケン、アルカノールおよび/または アルカナールおよび/またはこれらの前駆物質の、アクリル酸またはメタクリル 酸への触媒気相酸化の反応混合物の組成を有する、アクリル酸またはメタクリル 酸を含有する気体状の反応生成物の製造、 (b)少なくとも1種の極性有機溶剤に溶解した少なくとも1種のラクタムから なる溶剤混合物での反応生成物の吸収、その際、ラクタムは最高で280℃の沸 点を有し、かつ5〜7原子の環の大きさを有し、極性有機溶剤は最高で280℃ の沸点を有し、かつC1〜C10−カルボン酸、C1〜C10−アルコール、C1〜C1 0 −アルデヒド、C1〜C10−ケトンおよびこれらの混合物から選択され、その際 、前記の化合物は置換されていてもよく、かつ溶剤混合物は、溶剤混合物100 重量%に対してラクタム5〜25重量%および極性有機溶剤75〜95重量%を 含有し、および (c)粗製アクリル酸または粗製メタクリル酸および溶剤混合物を得るための、 反応生成物を含有する溶剤混合物の蒸留 を含むことを特徴とする、アクリル酸またはメタクリ ル酸の製造方法。 2.ラクタムが、最高で280℃の沸点を有するピロリドンおよびピリドンか ら選択される、請求項1記載の方法。 3.ラクタムとして、窒素原子のところでアルキル置換されたピロリドンまた はピペリドンを使用する、請求項1または2記載の方法。 4.ラクタムとしてのN−メチルピロリドンおよび極性有機溶剤としてのエチ ルヘキサン酸からなる溶剤混合物を使用する、請求項1から3までのいずれか1 項記載の方法。 5.工程(b)で反応生成物を吸収の前に、工程(b)で使用される溶剤混合 物を部分的に蒸発させることにより冷却する、請求項1から4までのいずれか1 項記載の方法。 6.工程(c)の蒸留を、温度120〜200℃で実施する、請求項1から5 までのいずれか1項記載の方法。 7.少なくとも1種の極性有機溶剤に溶解した少なくとも1種のラクタムから なる溶剤混合物の使用において、ラクタムが最高で280℃の沸点を有し、かつ 5〜7原子の環の大きさを有し、極性有機溶剤が最高で、280℃の沸点を有し 、かつC1〜C10−カルボン酸、C1〜C10−アルコール、C1〜C10−アルデヒ ド、C1〜C10−ケトンおよびこれらの混合物(その際 、該化合物は置換されていてもよい)から選択され、かつ溶剤混合物が、溶剤混 合物100重量%に対してラクタム5〜25重量%および極性有機溶剤75〜9 5重量%を含有し、実質的にC3−/C4−アルカン、アルケン、アルカノールお よび/またはアルカナールおよび/またはこれらの前駆物質の、アクリル酸また はメタクリル酸への触媒気相酸化の反応混合物の組成を有する生成物混合物から アクリル酸および/またはメタクリル酸を吸収する際の溶剤としての前記溶剤混 合物の使用。 8.溶剤混合物が、請求項2から4までのいずれか1項記載の溶剤である、請 求項7記載の使用。
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