JP2000514156A - ディーゼル型の2行程クロスヘッド・エンジン用のピストン - Google Patents

ディーゼル型の2行程クロスヘッド・エンジン用のピストン

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Abstract

(57)【要約】 2行程クロスヘッドエンジン用のピストン(1)は、ピストンリング用の多数のリング溝(2乃至4)を有している。これらリングの少なくとも幾つかにおいて、ピストンは、圧力逃がし通路を有しており、該通路の軸線は、出口開口部(20)を通る伸長部にてピストンリング(14)を打撃することを避ける。個々のピストンリングと関係した圧力逃がし通路をmm2単位で表わした、総断面積は、Dをmm単位で表わしたシリンダの直径としたとき、D2/68000乃至D2/10000の範囲内にある。

Description

【発明の詳細な説明】 ディーゼル型の2行程クロスヘッド・エンジン用のピストン 本発明は、ディーゼル型の2行程クロスヘッド・エンジン用のピストンであっ て、ピストンリング用の多数のリング溝を有し、該リングは、リングと関係した リング溝の高さよりも、ピストンの軸方向に低いリング高さを有し、少なくとも 幾つかのリングにて、ピストンは、ピストンの外面と、関係したシリンダライナ ーの内面との間でピストンリングの上方及び下方に配置された環状の空間の間に ガス流れ接続部を形成する圧力逃がし通路を有し、該圧力逃がし通路の少なくと も一部分が、ピストンに形成された、ピストンに関する。 英国特許第2 104 621号及び日本国特許公開第2-48737号には、ピストンリング 用のリング溝を有するピストンが記載されており、このピストンには、リング溝 の間にてピストン材料内に直線状の穴の形態をしたガス流路が形成され、この直 線状の穴は、リング溝内に配置されたリングの最内側の後方から開始して下方に 且つ斜め外方に伸長して、これらの穴は、下方のリング溝の上面の略中間にて開 放している。このことは、下方のリング溝内におけるピストンリングは、漏洩ガ スからの好ましくない熱の影響に露呈され、その結果、ピストン材料が損傷し、 また、リングの外面をライナーの内面と接触状態に保つリングの応力が失われる 虞れを伴うことを意味する。 独国特許第195 14 918号には、4行程のトランクピストンエンジン用のピスト ンが記載されている。この既知の発明は、ピストンリングがリング溝の上面に当 接する間に、クランクハウジングからの潤滑油がリング溝内に集められるという 問題点を軽減することを目的としている。その結果、その後、リングの位置が変 位してリング溝の下面に接触するとき、潤滑油は燃焼チャンバに供給される。前 記リング溝は、1つの軸方向部分と、2つの半径方向部分とを有する接続導管を 通じて相互に接続されている。独国特許公報の記載によれば、吸引行程中、接続 導管によって、ピストンリングは、リング溝の上面と接触するよりも先に動いて 、リング溝の下面と接触する。このことは、潤滑油がリング溝内に流れるのを遮 断し、潤滑油が燃焼チャンバ内に流れるのに抵抗する密封動作が向上する。クロ スヘッドエンジンにおいて、潤滑油の搬送に伴う上記の問題点は存在せず、更 に、2行程エンジンは、何ら吸引行程を有しない。更に、接続導管の軸方向部分 を製造することは難しい。 リングにおける圧力降下を軽減し、これにより、リングの磨耗を少なくするた め、ピストンリングを経てガスの漏洩を生じさせる凹所が形成された、種々の例 のピストンリングが公知である。例えば、国際出願第WO94/12815号には、シリ ンダ壁に対するリングの接触面における溝として形成された、すなわち、リング の上面から下面まで伸長した漏洩路が記載されている。 本発明の目的は、リングの磨耗を少なくするため、制限された量の漏洩ガスが 少なくとも1つのピストンリングを経て制御されて流れることを許容すると同時 に、ピストンリングを過剰な影響から保護するピストンを提供することである。 このことに鑑みて、本発明によるピストンは、ピストンリングの上方の環状の 空間から下方の環状の空間まで流れる高温のガスに対する圧力逃がし通路の出口 開口部が、該出口開口部を通る伸長部にて、通路の軸線がピストンリングを打撃 するのを回避するような位置及び方位を有し、Dがmm単位で表したシリンダの 直径、Atotがmm2単位で表した面積であるとき、これらの圧力逃がし通路の総 断面積AtotがD2/68000乃至D2/10000の範囲内にあることとを特徴とする。 高温の漏洩ガスが圧力逃がし通路から流れ出るとき、この漏洩ガスは、これら ガスが打撃する材料を極めて集中的に点加熱する高温ガスの集中ジェットの形態 にて流れる。それは、その打撃点にて、何ら有意義な厚さの、熱から保護する境 界層を全く維持することができないからである。この本発明による設計は、高負 荷が加わったピストンリングを出口ジェットの点加熱から保護し、燃焼チャンバ 内の高圧がピストンの下方に侵入するのを防止するというリングのその主たる機 能を一層良く果たすことができる。このことは、極めて高いシリンダ出力を有す る近代の2行程クロスヘッドエンジンにおいて、特に、有利なことである。 シリンダの燃料消費量を適宜に最小化し、またシリンダの構成要素を長寿命に するという相反する希望の双方を考慮したぎりぎりの範囲内にてリングの磨耗が 制御されることは、クロスヘッドエンジンの作動にとって、必須のものである。 面積がD2/68000以下となるとき、ピストンリングにおける差圧は、不利益な 程に大きくなり、これに伴ってリングが著しく磨耗する。D2/10000の面積の上 限値は、リングの磨耗を実質的に軽減することと、燃焼状態の劣化を防止し、従 って、特定の燃料消費となるようにすることとの適度な妥協点を示す。上述した 範囲は、エンジンの全体として良好な作動状態と組み合わさって、有利な程に長 いリング寿命を実現する。また、この面積の上限値は、排気弁を開放した後、ピ ストンリングの下方の圧力が極めて迅速に逃げるのを防止し、このため、ピスト ンリングは、リング溝内を上方に動くことはない。 側面に漏洩路が設けられた公知のピストンリングと比較すると、本発明による ピストンの場合、リングの外面の全体又は一部分に機械加工した漏洩路によって 物理的に弱体化しないピストンリングを使用することが可能である。リングにお ける応力レベルは、外面にて高であり、また、凹所を有する僅かな面積であって も、外面における材料内に不利な応力集中箇所を生じさせるから、このことは、 顕著な利点である。 1つの実施の形態において、圧力逃がし通路の開口部は、ピストンリングの後 面の内側にて、半径方向に配置されており、圧力逃がし通路は、ピストンの軸方 向に対して平行に伸長している。全てのリング溝に交差する一回の穿孔工程によ り、ピストンの下面から頂部リングの溝までの全距離に亙って、これらの圧力逃 がし通路を横列状に穿孔することができる。多数の穴部分を使用することを望ま ないならば、これらの穴部分には栓をすることができる。穿孔した通路はピスト ンリングの後方にてリング溝の底部に配置されるため、漏洩ガスの出口ジェット は、ピストンリング内を直接、打撃することが防止される。この実施の形態は、 ピストンを有利な程に簡単に製造することを可能にする。 1つの代替的な実施の形態において、圧力逃がし通路の開口部は、ピストンの 周面に配置されており、このため、漏洩ガスの出口ジェットは、シリンダライナ ーの内面を打撃する。ピストンは、ライナー内を動くため、出口ジェットは、常 時、新たな領域に作用し、このことは、過熱を防止する。ピストンリングと異な り、ライナーは、また、漏洩ガスにより運ばれた熱を除去する冷却液によっても 直接、冷却される。 リング溝及びピストンリングを完全に漏洩路が存在しない状態に保つことが望 まれるならば、圧力逃がし通路の各々は、少なくとも2つの通路部分を備えるこ とができる。これらの通路部分は、ピストンの円筒状の外面からピストンの内方 に伸長し、好ましくは、直線状の収束経路を備えて、交点である接続点にて交わ る部分を介してピストン内にて相互に流れ連通している。 圧力逃がし通路の少なくとも一部分が、リング溝の上面又は下面に対して実質 的に平行に、リング溝の凹所から伸長し、また、ピストンの周面にて開放するよ うにすることにより、通路の製造がより容易となる。その理由は、工具は、製造 時に、ピストンの半径方向に前進するからである。 1つの好適な実施の形態において、圧力逃がし通路は、リング溝の凹所内に取 り外し可能に挿入されたピストン部分内を伸長する。リング溝の各々には、取り 外し可能なピストン部分があるようにすることができる。該ピストン部分は、リ ング溝内に取り付けるとき、ピストンの全体部分に組み付けられる多数の部品部 分から形成することができる。別個のピストン部分は、ピストンの全体よりも実 質的に小さく、このため、圧力逃がし通路の製造時に取り扱うことがより容易で ある。更に、ピストン部分は、ピストンの他の部分から独立的に、置換すること ができ、このことは、圧力逃がし通路周囲の材料は、腐食する傾向があるため、 有利なことである。 リング溝の下面に、ピストンの基材料よりも硬い、クロムのような材料のコー ティングを付与することが好ましい。圧力逃がし通路は、リング溝の下面におい て、上方に開放した通路である。圧力逃がし通路は、より硬い材料のコーティン グの厚さよりもピストンの軸方向により高い高さを有している。上方に開放した 通路内の漏洩ガスからの圧力は、上方への力にてピストンリングの下面に作用す る。この上方への力は、ピストンが作用行程の終点にあるとき、ピストンリング がリング溝の下面から迅速に持ち上がることに寄与する。リング溝内にてピスト ンリングの上方及び下方への動きを伴う、この持ち上がりは、リング溝がコータ の形成物を含まない状態を保つために重要である。このため、通路は、より硬い 材料の厚さよりも深くすることが有利であり、それは、その下方の基材料よりも 熱に対してより影響を受け易いからである。通路がより硬い材料を通って全行程 に亙って進むことを許容されるとき、より硬い材料の極めて僅かな部分のみが漏 洩ガスによる熱の影響に露呈される。 圧力逃がし通路は、ピストンリングを貫通してその上面からその下面まで伸長 する幾つかの通路部分を備えるようにすることが可能である。ピストンリングの 下面における通路部分は、リング溝の下面に形成された少なくとも1つの上方に 開放した環状通路内に開放し、また、該通路部分は、半径方向外方に伸長する通 路部分を介してピストンリングの下方の環状の空間と連通している。この実施の 形態において、高温ガスの主要部分は、ピストンリングの後方のリング溝内のキ ャビティを通過することを回避し、ピストンリングの正面が背面から適当な距離 にてピストンリングを貫通して下方に伸長し、該通路部分から、ガスはピストン リングの下方を外方に流れる。環状の上方に開放した通路部分は、ピストンリン グの下面にてガスの力の作用を分配し、この結果、リングは有利な程、均一な作 用を受ける。 ピストンリングの各々に対して、少なくとも4個、好ましくは7個乃至16個 の作用可能な圧力逃がし通路が、ピストンの周面に沿って実質的に均一に配分さ れるようにすることが便宜である。この通路の数が多ければ多いほど、熱負荷は 圧力逃がし通路の周りの材料に一層均一に分配される。この熱分配を別にして、 最適な通路の数が決定されるとき、例えば、リング溝内にコークが沈着する虞れ といった、その他の状況も考慮に入れることができる。漏洩ガスは、ピストンに おける幾つかのピストンリングを経て下方に流動し、圧力逃がし通路が異なるリ ング溝の間にて周方向に相互に変位されるならば、ガスはピストンの周方向に向 けて流れ、リング溝の漏洩路から下方のピストンリングの漏洩路まで流れるよう にしなければならない。このガスは、オイルの残留物及び該ガスによる燃焼の残 留物を吸引する可能性があり、ガスの流路が長ければ長い程、詰まる虞れのある 残留材料が付着する危険性は一層大きくなる。ピストンリングの後方にある環状 の空間内にてコークの沈着を防止することを考慮すれば、ピストンリングはその 下面に8個乃至16個の漏洩路を有することが好ましい。 次に、概略図を参照しつつ、本発明の実施の形態に関して、以下に、更に、詳 細に説明する。添付図面において、 図1は、ピストンリング用のリング溝を有するピストンの側面図である。 図2a及び図2bは、ピストン内のリング溝における圧力逃がし通路の第1の 実施形態における長手方向断面図及び断面の外形図である。 図3a及び図3bは、圧力逃がし通路の第2の実施形態におけるリング溝に沿 った、それぞれ、側面図及び縦断面図である。 図4aは、第3の実施形態の断面図である。 図4b及び図4cは、第3の実施形態における2つの改変例の側面図である。 図5a及び図5bは、圧力逃がし通路の第4の実施形態におけるリング溝の断 面図及び側面図であり、図5bはより大きい縮尺で示した図である。 図6aは、第5の実施形態の断面図である。 図6b、図6c、図6d及び図6eは、第5の実施形態の別の異なる改変例の 側面図である。 図7a及び図7bは、圧力逃がし通路の第6の実施形態におけるリング溝のそ れぞれ、断面図及び側面図である。 図1には、ディーゼル型の大型2行程クロスヘッド・エンジン用のピストン1 が図示されている。図示しない、ピストンロッド、クロスヘッド及び接続ロッド によって、ピストンは、クランク軸に接続されている。エンジンの寸法に対応し て、ピストンは、例えば240乃至1000mmの範囲の直径とすることができる。ピ ストンは、軸方向に分離した多数のリング溝2乃至4を有し、ピストンリングを 該リング溝内に取り付けることができる。典型的に、4つのピストンリングがピ ストンに取り付けられているが、勿論、2乃至8つのピストンリングといったそ の他の数とすることも可能である。 次の説明において、異なる実施の形態にて使用した参照番号は、同一型式の要 素に対して同一である。 図1に図示したピストンは、頂部ピストンリング用としてのリング溝の上方に 配置された、いわゆる上方頂部ランド部5である、比較的長いピストン部分を有 している。このピストン部分は、頂部ピストンリングに対して所定の保護を提供 する。それは、高温の燃焼ガスが、ピストンリングに達する前に、最初に、シリ ンダの内面と上方頂部ランド部との間の環状の空間を通らなければならないから である。この上方頂部ランド部5は、例えば、次のような軸方向長さを有するこ とができる。すなわち、頂部ピストンリングが、該ピストンにおける最上方点の 下方にあるピストンリングの高さの5倍以上、好ましくは、10倍以上高い位置に 配置されるような長さとする。また、ピストンは、図2に図示するように形成す ることもでき、この場合、頂部ピストンリング用のリング溝2は、ピストンの最 上方点に近い位置にある。 より多数の圧力逃がし通路6がリング溝2の底部に配置されており、該リング 溝の底部をその下方のリング溝3に接続する。これに対応して、リング溝3は、 その下方のリング溝と接続される等して、底部のリング溝4に至る。圧力逃がし 通路6は、該通路をリング溝の底部に配置する半径にてピストンの中心軸線7に 対して平行に穿孔することができ、これにより、通路が図示しないピストンリン グの後面の内側にて半径方向に開放し、このため、流れ出す漏洩ガスがピストン リングを直接、打撃しないようにすることができる。底部リング溝4の下方に配 置された穴部分10は、栓8で栓をし、溶接、又はガスが部分10を通ってピス トンの下方に流れるのを防止する、任意の他の方法により充填し、閉じることが できる。ガスがその下方のリング溝まで下方に流れる前に、ガスがリング溝の周 方向に流れるようにすることが望ましいならば、逃がし通路の数よりも多数の穴 を穿孔することができる。そして、穴の幾つかを1つのリング溝にて閉じて、そ の他の穴は別のリング溝にて閉じるようにする。 第2の実施の形態において、圧力逃がし通路11の各々は、ピストンリング1 4がその内部に取り付けられる、関係したリング溝(2又は3)から完全に分離 した位置に配置された2つの通路部分12、13として製造される。ピストンリ ング14内の応力は、そのリング外面15をシリンダ壁又はシリンダライナー1 7の内面16と接触した状態に保つ。通路部分12は、リング溝の上方の領域内 にてピストンの円筒状外面18から斜め下方にピストン内に穿孔されており、通 路部分13は、リング溝の下方の領域内にて外面18から斜め上方にピストン内 に穿孔され、このため、通路部分12、13は、収束経路を通って、交点19で ある接続点にて互いに交差する。該交点19は、リング溝の内側にて半径方向に 配置されることが便宜である。 この実施の形態は、各通路に対して幾つかの通路部分を含むことにより改変す ることができる。ピストン1には、例えば、リング溝の内側に配置された内側の 環状キャビティを形成することができる。この環状キャビティは、各通路内の一 部分を構成し、これらの部分をピストンの外面から内側の環状キャビティ内に単 に穿孔することにより形成することが出来る。第一に、このことは、穴を交点で ある接続点に達するように穿孔しないため、穴をより低精度にて予め形成し得る ことを意味する。第二に、漏洩ガスを、環状キャビティを介して幾つかの通路間 にて分配することができることを意味する。かかる分配が望ましくないならば、 内側キャビティは、圧力逃がし通路の各々の間にて仕切ることができる。 ピストン上方の燃焼チャンバ内にて燃焼する間、高温の漏洩ガスがピストンリ ングの上方通路部分12内に流れ込み、ピストンリングの下方の通路部分13の 開口部20から外に出る。 この第3の実施の形態は、底部から第二のリング溝3と接続した状態で図4a に示してある。圧力逃がし通路21は、ピストンリングの背面22の後方にて環 状空の間3’の底部から伸長し、また、ピストンリング14の下方のピストンの 外面18から斜め下方に伸長する。作動行程の間、ピストンリング14は、下方 に押圧されて、リング溝の下面23と密封接触する。ピストンリングは、リング 溝の高さよりも低いリング高さを有するため、ピストンリングの上面とリング溝 の上面24との間には顕著な隙間が存在し、この隙間は、ピストンリングの後方 の環状の空間3’に対し、ピストンの外面にてピストンリングの上方における環 状の空間25と略等しい圧力が加わるようにする。 高温の漏洩ガスは、環状の空間3’から通路21を通り且つ開口部20から出 て、そこからガスジェットは、ピストンリングの下方の環状の空間26を横断し て進み、シリンダライナーの内面16を打撃すると同時に、漏洩ガスの流入のた め、環状の空間26内に圧力が蓄積する。出口開口部20は、ピストンの外面に 配置されており、このため、内面16に対して連続的に移動し、その結果、該内 面16が熱による損傷を受けることはない。環状の空間3’には、漏洩ガスの流 出量に対応した高温ガスが供給されるが、この供給は、リング上面と上面24と の間の隙間を通じて行われることは明らかである。この隙間の流動面積は、通路 21の断面積よりも何倍も大きく、従って、ガスの流れは、より遅く且つより静 かである。 通路21は、例えば、図4bに図示するような、簡単な円形の断面、又は図4 cに図示するような、細長い断面といった異なる断面形状を有することが可能で ある。細長い断面は、通路当たりの面積が大きく、その結果、特定の漏洩面積を 得るためのリング溝当たりの通路が少なくてよい。同一のリング溝と組み合わせ て、異なる断面形状の通路を使用することも可能である。 第4の実施の形態において、圧力逃がし通路30は、ピストンリングの後方の 環状の空間3’の底部からリング溝の下面23に対して平行に且つ外面18の開 口部20まで半径方向外方に伸長している。リング溝の下面及び上面には、クロ ムのような硬い材料のコーティング31が施されている。該圧力逃がし通路30 は、上方に開放した通路であり、コーティング31の厚さtよりも深い通路深さ dを有している。このことは、このコーティングが高温の漏洩ガスによって僅か な程度の影響しか受けないという有利な点をもたらす。当然、通路30は、通路 21に関して説明したものと異なる断面積にて形成することができる。 第5の実施の形態において、圧力逃がし通路32が別個のピストン部分33に 設けられ、ピストンリング14に対するリング溝の下方境界を構成する。該ピス トン部分は、リング溝の底部における凹所と係合するように配置されたフランジ 部分34を有しており、これにより、該ピストン部分は、ピストンの他の部分に 締結される。ピストン部分33は、温度に対してより敏感である、通常のピスト ン材料、すなわち鋳鉄よりも、通常、少なくとも450℃の実質的に高温度による 影響に長期間に亙って耐えることのできる鋳鋼にて製造することができる。更に 、別個で且つ交換可能なピストン部分33に、圧力逃がし通路を形成するという 実質的に有利な点がもたらされる。すなわち、そのピストンが取り付けられるエ ンジンについて選択された実際の動力の出力に従って、異なるピストン部分を同 一のピストン基部に取り付けることができる。例えば、リング溝における最適な 漏洩面積は、特に、特定のエンジンの最高圧力によって決まり、また、ピストン 部分を適当に選択することにより、ピストン基部をエンジンの実際の作動パラメ ータに対応し得るようにすることができる。 本明細書に記載した色々な実施の形態について、1つの共通の特徴は、個々の ピストンリングと関係した圧力逃がし通路の総断面積Atotが、D2/68000乃至 D2/10000の範囲内にあり、好ましくは、D2/30000乃至D2/20000の範囲内に あることである。典型的な2行程クロスヘッドエンジンの場合、ピストン直径D は、約600mmであり、Atotは、5.29乃至36mm2の範囲、好ましくは、12乃至1 8mm2の範囲内にある。ピストン直径Dが約1000mmの極めて大型のエンジンの 場合、面積Atotは、14.7乃至100mm2の範囲、好ましくは、33.3乃至50mm2の 範囲内にある。 図6b及び図6cから、圧力逃がし通路32は異なる断面形状及び寸法を有し 、また、図6dは、図5bに図示した実施の形態に対応するピストン部分33の 頂部における通路の位置を示すことが理解される。更に、図6eに図示するよう に、通路32は、ピストン部分33の下面に配置することができるが、このこと は好適な実施の形態ではない。 図7a、図7bに図示した第6の実施の形態において、圧力逃が通路は、通路 部分35を備えており、該通路部分は、環状の空間25から環状通路部分36( リング溝の上面23に上方に開放した凹所として形成された部分)迄、好ましく は斜め下方にピストンリング14を貫通して伸長する。通路部分36から、漏洩 ガスは、半径方向に伸長する通路部分37を介して出口開口部20まで流れ、該 出口開口部からガスはライナーの内面16を打撃し、速度が遅くなり且つ環状の 空間26内の圧力を上昇させる。 異なる実施の形態を組み合わせて新たな実施の形態とすることができ、また、 上記の実施の形態の細部を組み合わせることもできる。
【手続補正書】 【提出日】平成11年12月27日(1999.12.27) 【補正内容】 (1) 特許請求の範囲を別紙の通り補正する。 (2) 明細書第1頁第3行目に記載の「ディーゼル…ピストン」を「2行程ク ロスヘッド・ディーゼルエンジンのピストン」と補正する。 (3) 同第1頁第6行乃至第7行に記載の「ピストンの外面と、関係したシリ ンダライナーの内面との間で」を「ピストンの外面で」と補正する。 請求の範囲 1.2行程クロスヘッド・ディーゼルエンジン用のピストン(1)であって、 ピストンリング(14)用の多数のリング溝(2−4)を有し、該リングは、リ ングと関係したリング溝の高さよりも、ピストンの軸方向に低いリング高さを有 し、少なくとも幾つかのリングにて、ピストンは、ピストンの外面(18)で、 ピストンリングの上方及び下方に配置された環状の空間(25、26)の間にガ ス流れ接続部を形成する圧力逃がし通路(6、11、21、30、32、35− 37) を有し、該圧力逃がし通路の、少なくとも一部分が、ピストンに形成され た、ピストン(1)において、 ピストンリング(14)の上方の環状の空間(25)から下方の環状の空間( 26)まで流れる高温のガスに対する圧力逃がし通路(6、11、21、30、 32、35、36、37)の出口開口部(20)が、該出口開口部(20)を通 る伸長部にて、前記圧力逃がし通路の軸線がピストンリング(14)を打撃する のを回避するような位置及び方位を有し、Dがmm単位で表したシリンダの直径 で、またAtotがmm2単位で表した面積であるとき、これらの圧力逃がし通路の 総断面積Atotが、D2/68000乃至D2/10000の範囲内にあることとを特徴とす る、ピストン。 2.請求項1に記載のピストンにおいて、圧力逃がし通路(6)の開口部(2 0)が、ピストンリング(14)の後面の内側にて半径方向に配置され、圧力逃 がし通路(6)が、ピストンの軸方向に対して平行に伸長することとを特徴とす る、ピストン。 3.請求項1に記載のピストンにおいて、圧力逃がし通路(11、21、30 、32、37)の開口部(20)が、ピストンの周面(18)に配置されること を特徴とする、ピストン。 4.請求項3に記載のピストンにおいて、圧力逃がし通路(11)の各々が、 少なくとも2つの通路部分(12、13)を備え、これらの通路部分が、ピスト ン(1)の円筒状の外面(18)から内方に伸長し、好ましくは、直線状の収束 経路を備え、交点(19)である接続点にて交わる部分を介して、ピストン内に て相互に流れ連通することを特徴とする、ピストン。 5.請求項1に記載のピストンにおいて、圧力逃がし通路(30、32、36 、37)の少なくとも一部分が、リング溝の上面又は下面(23)に対して実質 的に平行に、リング溝の凹所から伸長すると共に、ピストンの周面にて開放する ことを特徴とする、ピストン。 6.請求項5に記載のピストンにおいて、圧力逃がし通路(32)が、リング 溝(2、3)の凹所内に取り外し可能に挿入されたピストン部分(33)内を伸 長することを特徴とする、ピストン。 7.請求項5に記載のピストンにおいて、リング溝の下面(23)には、ピス トン(1)の基材料よりも硬い、クロムのような材料のコーティング(31)が 付与され、圧力逃がし通路が、リング溝の下面における上方に開放した通路(3 0、37)であり、圧力逃がし通路が、より硬い材料のコーティングの厚さより もピストンの軸方向により高い高さを有することとを特徴とする、ピストン。 8.請求項1乃至7の何れかに記載のピストンにおいて、圧力逃がし通路が、 ピストンリング(14)を貫通してその上面からその下面まで伸長する通路部分 (35)を備え、ピストンリングにおける通路部分が、リング溝の下面に形成さ れて上方に開放する少なくとも1つの環状通路部分(36)内に開放し、該通路 部分が、半径方向外方に伸長する通路部分(37)を介してピストンリングの下 方の環状の空間(26)と連通することとを特徴とする、ピストン。 9.請求項1乃至8の何れかに記載のピストンにおいて、個々のピストンリン グ(14)に対して、少なくとも4つ、好ましくは、7つ乃至16個の作用可能 な圧力逃がし通路(6、11、21、30、32、35、36、37)が、ピス トンの周面に沿って実質的に均一に配分されることを特徴とする、ピストン。 10.請求項1乃至9の何れかに記載のピストンにおいて、前記圧力逃がし通路 の総断面積AtotがD2/30000乃至D2/20000の範囲内にあることを特徴とする 、ピストン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,CZ,DE,D E,DK,DK,EE,EE,ES,FI,FI,GB ,GE,GH,GM,GW,HU,ID,IL,IS, JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,L R,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN ,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU, SD,SE,SG,SI,SK,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU ,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ディーゼル型の2行程クロスヘッド・エンジン用のピストン(1)であっ て、ピストンリング用の多数のリング溝(2、3、4)を有し、該リングは、リ ングと関係したリング溝の高さよりも、ピストンの軸方向に低いリング高さを有 し、少なくとも幾つかのリングにて、ピストンは、ピストンの外面(18)と、 関係したシリンダライナーの内面(16)との間でピストンリングの上方及び下 方に配置された環状の空間の間にガス流れ接続部を形成する圧力逃がし通路を有 し、該圧力逃がし通路の、少なくとも一部分が、ピストンに形成された、ピスト ン(1)において、 ピストンリング(14)の上方の環状の空間(25)から下方の環状の空間( 26)まで流れる高温のガスに対する圧力逃がし通路(6、11、21、30、 32、35、36、37)の出口開口部(20)が、該出口開口部(20)を通 る伸長部にて、前記圧力逃がし通路の軸線がピストンリング(14)を打撃する のを回避するような位置及び方位を有し、Dがmm単位で表したシリンダの直径 で、またAtotがmm2単位で表した面積であるとき、これらの圧力逃がし通路の 総断面積Atotが、D2/68000乃至D2/10000の範囲内にあることとを特徴とす る、ピストン。 2.請求項1に記載のピストンにおいて、圧力逃がし通路(6)の開口部(2 0)が、ピストンリング(14)の後面の内側にて半径方向に配置され、圧力逃 がし通路(6)が、ピストンの軸方向に対して平行に伸長することとを特徴とす る、ピストン。 3.請求項1に記載のピストンにおいて、圧力逃がし通路(11、21、30 、32、37)の開口部(20)が、ピストンの周面(18)に配置されること を特徴とする、ピストン。 4.請求項3に記載のピストンにおいて、圧力逃がし通路(11)の各々が、 少なくとも2つの通路部分(12、13)を備え、これらの通路部分が、ピスト ン(1)の円筒状の外面(18)から内方に伸長し、好ましくは、直線状の収束 経路を備え、交点(19)である接続点にて交わる部分を介して、ピストン内に て相互に流れ連通することを特徴とする、ピストン。 5.請求項1に記載のピストンにおいて、圧力逃がし通路(30、32、36 、37)の少なくとも一部分が、リング溝の上面又は下面(23)に対して実質 的に平行に、リング溝の凹所から伸長すると共に、ピストンの周面にて開放する ことを特徴とする、ピストン。 6.請求項5に記載のピストンにおいて、圧力逃がし通路(32)が、リング 溝(2、3)の凹所内に取り外し可能に挿入されたピストン部分(33)内を伸 長することを特徴とする、ピストン。 7.請求項5に記載のピストンにおいて、リング溝の下面(23)には、ピス トン(1)の基材料よりも硬い、クロムのような材料のコーティング(31)が 付与され、圧力逃がし通路が、リング溝の下面における上方に開放した通路(3 0、37)であり、圧力逃がし通路が、より硬い材料のコーティングの厚さより もピストンの軸方向により高い高さを有することとを特徴とする、ピストン。 8.請求項1乃至7の何れかに記載のピストンにおいて、圧力逃がし通路が、 ピストンリング(14)を貫通してその上面からその下面まで伸長する通路部分 (35)を備え、ピストンリングにおける通路部分が、リング溝の下面に形成さ れて上方に開放する少なくとも1つの環状通路部分(36)内に開放し、該通路 部分が、半径方向外方に伸長する通路部分(37)を介してピストンリングの下 方の環状の空間(26)と連通することとを特徴とする、ピストン。 9.請求項1乃至8の何れかに記載のピストンにおいて、個々のピストンリン グ(14)に対して、少なくとも4つ、好ましくは、7つ乃至16個の作用可能 な圧力逃がし通路(6、11、21、30、32、35、36、37)が、ピス トンの周面に沿って実質的に均一に配分されることを特徴とする、ピストン。 10.請求項1乃至9の何れかに記載のピストンにおいて、前記圧力逃がし通路 の総断面積AtotがD2/30000乃至D2/20000の範囲内にあることを特徴とする 、ピストン。
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