JP2000514641A - 異種移植拒絶を低減するための方法および組成物 - Google Patents

異種移植拒絶を低減するための方法および組成物

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ザ マウント シナイ メディカル センター
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、異種移植拒絶を低減するための方法および組成物に関する。特に、本発明は、第一に、細胞表面の炭水化物エピトープを直接的または間接的に改変して、該炭水化物エピトープが天然のヒト抗体またはヒト細胞媒介免疫応答によってもはや認識されないようにし、それによって、そのような炭水化物エピトープの存在により惹起されるヒト免疫系の応答を低下させることができる酵素など(それらに限定されないが)の遺伝子産物の発現を指示するトランスジェニック核酸分子を含むトランスジェニック細胞、組織、器官および動物に関する。好ましい実施態様では、トランスジェニック細胞、組織、器官および動物が、炭水化物エピトープGalα(1,3)Galを改変する機能的組換えα−ガラクトシダーゼA(αGalA)酵素をコードする核酸分子を発現する。さらに好ましい実施態様では、機能的組換えαGalAを発現するトランスジェニック細胞、組織、器官および動物が、トランスジェニックブタの細胞、器官、組織および/または動物である。第二に、本発明は、トランスジェニック細胞、組織および/または器官をヒト受容者に導入し、その結果、そのヒト受容者において観察される激症拒絶(HAR)のレベルが、非トランスジェニック細胞、組織および/または器官を受容しているヒト受容者において観察されるHARのレベルと比較して低くなるようにすることを含んでなる異種移植法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 異種移植拒絶を低減するための方法および組成物 1.序論 本発明は、異種移植拒絶を低減するための方法および組成物に関する。特に、 本発明は、第一に、細胞表面の炭水化物エピトープを直接的または間接的に改変 して、炭水化物エピトープが天然のヒト抗体またはヒト細胞媒介免疫応答によっ てもはや認識できないようにし、それによって、そのような炭水化物エピトープ の存在により惹起されるヒト免疫系の応答を低下させることができる酵素(これ らに限定されない)などの遺伝子産物の発現を指示するトランスジェニック核酸 分子を含むトランスジェニック細胞、組織、器官および動物に関する。好ましい 実施態様では、トランスジェニック細胞、組織、器官および動物が、炭水化物エ ピトープGalα(1,3)Galを改変する機能的組換えα−ガラクトシダーゼA(αGal A)酵素をコードする核酸分子を発現する。より好ましい実施態様では、機能的 組換えαGalAを発現するトランスジェニック細胞、組織、器官および動物が、ト ランスジェニックブタの細胞、器官、組織および/または動物である。第二に、 本発明は、トランスジェニック細胞、組織および/または器官をヒト受容者に導 入し、その結果、そのヒト受容者において認められる激症拒絶(hyperacute reje ction)(HAR)のレベルが、非トランスジェニック細胞、組織および/または器 官が提供されたヒト受容者において認められるHARのレベルに対して低くなる ようにすることを含む異種移植法に関する。本発明は、下記の第6〜11節に示 す実施例によって説明する。下記実施例では、例えば、トランスジェニック細胞 での機能的組換えαGalAの発現および該発現がもたらす細胞表面Galα(1,3)Gal 炭水化物の対応する劇的な減少を記載し(第7および10節)、さらに、機能的 組換えαGalAを発現するトランスジェニック細胞が補体によって媒介される細胞 毒性レベルの有意な低下をもたらすことを例示し(第9節)、さらに、トランス ジェニックα−GalAがGalα(1,3.)Galのレベルをin vivoで劇的に低下させるこ とを ることを例示する。 2.発明の背景 移植目的に利用できるヒトの器官がかなり不足していることから、動物からヒ トへの器官移植、すなわち「異種移植」の使用における関心は高い。現在、その ような異種移植に関しては、多数の研究がある。例えば、ヒトに異種移植するた めのブタ器官の使用を含む研究を論じたSandrinら(Sandrin,M.S.ら、1994,Tra nsplant.Rev.8:134)を参照。 外来組織に対する体の最初の反応は激症拒絶(HAR)として知られ、急速か つ苦痛を伴う反応であり、異種移植技術の成功に対する最も大きな障害の一つで ある。HARは、その大部分が抗体および補体によって媒介され、そこには、血 管化移植片における異種移植細胞、特に内皮細胞上の多くの分子と反応する天然 のヒト抗体、主としてIgGおよびIgMサブクラスがある(Cooper,D.K.C.ら 、1994,Immunol.Rev.141:31;Sandrin,M.S.およびMcKenzie,I.F.C.,1994, Imnlunol.Rev.141:169)。現在は、HAR反応の全部またはほとんどが、炭水 化物エピトープGalα(1,3)Galに対して特異的なヒト抗体の存在によることが一 般的に認められている。これは、特にGal+トランスフェクト細胞による吸収の研 究により、また、Galα(1,3)Gal炭水化物がその反応をin vivoおよびin vitroで 阻害し得るという事実により示されている(Sanadrin,M.S.ら、1994,Xenotrans plantation 1:81)。 HARを根絶するための試みとしては、コブラ毒因子またはヒト補体調節分子 (例えば、CD46、CD55およびCD59)を発現するトランスジェニック動物を使用し た、種々の手法での補体の除去または中和が挙げられている。他の方法としては 、抗体の論理学的に異なる除去(Oriol,R.ら、1993,Transplantation 56:433) および抗原自体を変える試みが挙げられている。この後者の方法に関しては、Ga lα(1,3)Gal炭水化物の産生に必要なブタのα(1,3)ガラクトシルトランスフェラ ーゼをコードする遺伝子が、相同組換えによる遺伝子ノックアウト研究を行うこ とに より単離されている。不運なことに、そのような手法は、ブタでは行うことがで きない。Galα(1,3)Galの発現を防ぐための他の方法の総説に関しては、Sandrin ら(Sandrin,M.S.ら、1994,Transplant.Rev.8:134)を参照。該方法は、アン チセンス構築物の使用を含むが、これらの結果は不定であり、一般に思ったほど のものではない。 試みられている他の方法は、末端α−連結ガラクトシル残基を開裂する酵素で あるα−ガラクトシダーゼAを使用するものである(Oriol,R.ら、1993,Transp lantation 56:433)。赤血球、リンパ球および内皮細胞のα−ガラクトシダーゼ Aによる処理は、それらのヒト血清との反応を阻害し、Cairnsらは、in vivoで の同様の現象を明示した。ある会合の記録では、移植の前に組織に細菌性α−ガ ラクトシダーゼA酵素を灌流させると、HARの開始が遅れることを報告してい る(Cairns,T.ら、1994,Transplant.Proc.26:1279)。これらの酵素処理法は 、しかしながら、困難である。例えば、それらの酵素は高価であり、移植前の酵 素による灌流は、特にエピトープの根絶を確実にするように行うには、実際に困 難であろう。 従って、まとめると、異種移植は、現在存在するヒトの提供器官のかなりの不 足に対する解決策としての可能性はあるが、激症拒絶の問題は、異種移植の使用 の成功に対する大きな障害であり続ける。 3.発明の概要 本発明は、異種移植拒絶を減少させるための方法および組成物に関する。 特に、本発明は、第一に、限定するものではないが、Galα(1,3)Gal細胞表面 炭水化物エピトープなどの細胞表面炭水化物エピトープを直接的または間接的に 改変して、得られる改変エピトープによって引き起こされるヒト免疫系の応答を 、未改変Galα(1,3)Galエピトープによって引き起こされる応答に対して低下さ せる遺伝子産物の発現を指示する機能的炭水化物エピトープ−改変遺伝子である トランスジェニック核酸分 子を含む、トランスジェニック細胞、組織、器官および動物に関する。そのよう な遺伝子産物としては、限定するものではないが、細胞表面炭水化物エピトープ を改変して、炭水化物エピトープがもはや天然のヒト抗体またはヒト細胞−媒介 免疫系によって認識されないようにすることができ、その結果、該炭水化物エピ トープの存在によって引き起こされるヒト免疫系の応答を低下させる炭水化物エ ピトープ−改変酵素が挙げられる。 本発明の好ましい実施態様では、トランスジェニック細胞、組織、器官および 動物が、末端α−連結ガラクトースを異なる分子の細胞表面へ移動する前に炭水 化物エピトープから開裂することにより炭水化物エピトープGalα(1,3)Galを改 変し、こうして、表現型としてはGalα(1,3)Galである細胞を産生する、機能的 組換えα−ガラクトシダーゼA(αGalA)酵素をコードするトランスジェニック 核酸分子を発現する。より好ましい実施態様では、機能的組換えαGalAを発現す るトランスジェニック細胞、組織、器官および動物が、トランスジェニックブタ の細胞、器官、組織および/または動物である。本発明のさらに別の好ましい実 施態様では、αGalAおよびHトランスフェラーゼ遺伝子を、本発明のトランスジ ェニック細胞、組織、器官および動物で同時発現させる。 第二に、本発明は、トランスジェニック細胞、組織および/または器官をヒト 受容者に導入し、その結果、そのヒト受容者において認められる激症拒絶(HA R)のレベルが、非トランスジェニック細胞、組織および/または器官が提供さ れたヒト受容者において認められるHARのレベルに対して低くなるようにし、 こうして、異種移植拒絶レベルを低下させることを含む異種移植法に関する。 本発明は、下記第6〜11節に示す実施例によって説明する。下記実施例では 、例えば、トランスジェニック細胞での機能的組換えαGalAの発現および該発現 がもたらす細胞表面Galα(1,3)Gal炭水化物の対応する劇的な減少を記載し(第 7および10節)、さらに、機能的組換え αGalAを発現するトランスジェニック細胞が補体によって媒介される細胞毒性レ ベルの有意な低下をもたらすことを例示し(第9節)、さらに、トランスジェニ ックα−GalAがGalα(1,3)Galのレベルをinvivoで劇的に低下させることを例示 する。 本発明のトランスジェニック細胞、組織、器官および動物は、種々の機能を行 うことができる。例えば、本発明のトランスジェニック細胞、組織および器官は 、ヒト受容者に導入するための異種移植片として使用できる。本発明のトランス ジェニック動物は、ヒト受容者に導入することができる異種移植片材料の起源と して、あるいは、トランスジェニック細胞系の産生起源として使用できる。ある いは、本発明の特定のトランスジェニック細胞、すなわち骨髄細胞は、ABO表 現型の変化した赤血球を産生するために使用することもできる。すなわち、B血 液型の赤血球を全血液型の提供体(universal donor)であるO型の赤血球に変換 することができる。 本明細書で使用する「機能的炭水化物エピトープ−改変遺伝子」とは、Galα( 1,3)Gal細胞表面炭水化物エピトープ(これに限定されない)などの細胞表面炭 水化物エピトープを直接的または間接的に改変して、得られる改変エピトープに よって引き起こされるヒト免疫系の応答を、未改変Galα(1,3)Galエピトープに よって引き起こされる応答に対して低下させる遺伝子産物をコードし、その発現 を指示する核酸配列を意味する。 本明細書で使用する「機能的炭水化物エピトープ−改変酵素」とは、Galα(1, 3)Gal細胞表面炭水化物エピトープ(これに限定されない)などの細胞表面炭水 化物エピトープを改変し、得られる改変エピトープによって引き起こされるヒト 免疫系の応答を、未改変Galα(1,3)Galエピトープによって引き起こされる応答 に対して低下させる機能的炭水化物エピトープ−改変遺伝子によってコードされ る酵素を意味する。 本明細書で使用する「機能的αGalA」または「機能的組換えαGalA」とは、細 胞表面炭水化物エピトープGalα(1,3)Galを改変して、得られ る改変エピトープによって引き起こされるヒト免疫系の応答を、未改変Galα(1, 3)Galエピトープによって引き起こされる応答に対して低下させるαGalA酵素を 意味する。 4.図面の簡単な説明 図1は、α−ガラクトシダーゼA処理による赤血球の凝集反応を示す。赤血球 のα−ガラクトシダーゼAによる前処理の効果を示す直接赤血球凝集アッセイで あり、1μg/ml、0.5μg/ml、0.25μg/ml、125ng/ml、62.5ng/ml、31.25ng/m l、15.63ng/ml、7.81ng/ml、3.91ng/ml、1.95ng/ml、0.98ng/mlのIB4レクチ ンを、未処理の赤血球もしくは正常なヒト血清(NHS)で処理した赤血球また は600U、300Uもしくは150Uのヒトα−ガラクトシダーゼA(HG)で処理した赤 血球(図1A)または50U、25U、12.5Uもしくは6.25Uの大腸菌α−ガラクトシダ ーゼA(EG)で処理した赤血球(図1B)とともにインキュベートした。 図2は、α−ガラクトシダーゼAcDNAの滴定を示す。COS細胞を、α(1 ,3)ガラクトシルトランスフェラーゼcDNAの一定量(2.5μg)とα−ガラク トシダーゼAcDNAの量を増加させて(横軸、0〜12.5μg)一時的に同時ト ランスフェクトした。48時間後に細胞をIB4レクチンで染色した。縦軸は、α (1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼのみでトランスフェクトした細胞で認め られる染色強度を100%とする細胞染色強度を示す。トランスフェクション効率 は20〜40%であった。 図3は、一時的にトランスフェクトしたCOS細胞におけるα−ガラクトシダ ーゼA活性を示す。細胞溶解物を、プラスミドα−ガラクトシダーゼAおよびα (1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼ(量をμgで示す)またはα−ガラクト シダーゼAのみでトランスフェクトした、あるいは疑似(mock)トランスフェクト したCOS細胞から調製し、p−ニトロフェニル−α−D−ガラクトシドを基質 として使用してα−GalA 活性をアッセイした。 図4は、トランスフェクトしたCOS細胞の正常なヒト血清による溶菌を示す 。プールした正常なヒト血清を、51Cr放出溶菌アッセイにおいて、トランスフ ェクトした、およびトランスフェクトしていないCOS細胞の溶解に対して試験 した。(A)正常なヒト血清を、α(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼでト ランスフェクトした細胞(αGT)、α−ガラクトシダーゼAでトランスフェクト した細胞(αGdase)、Hトランスフェラーゼでトランスフェクトした細胞(HT )、α(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼ+Hトランスフェラーゼでトラン スフェクトした細胞(αGT+HT)、α(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼ+ α−ガラクトシダーゼA+Hトランスフェラーゼでトランスフェクトした細胞( αGT+αGdase+HT)、および疑似トランスフェクトした細胞(疑似)に対して1 :5の希釈度で使用した。(B)疑似トランスフェクト細胞およびα(1,3)ガラク トシルトランスフェラーゼトランスフェクト細胞(αGT)、α(1,3)ガラクトシ ルトランスフェラーゼ+α−ガラクトシダーゼAトランスフェクト細胞(αGT+ αGdase)、α(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼ+Hトランスフェラーゼト ランスフェクト細胞(αGT+HT)、α(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼ+ α−ガラクトシダーゼA+Hトランスフェラーゼトランスフェクト細胞(αGT+ αGdase+HT)に対する正常なヒト血清の滴定。縦軸は死細胞の%を示し、横軸 は血清の希釈度を示す。 図5は、抗−Galα(1,3)Gal抗体結合のフローサイトメトリー分析を示す。対 照、対照PIECおよびヒトαGalAでトランスフェクトしたPIEC細胞の相対 蛍光レベルを示し、天然のヒト抗−GalA(1,3)Gal抗体に対する細胞の相対結合能 を示す。 図6は、トランスジェニックマウスおよび非トランスジェニック同腹マウスの 血漿におけるα−ガラクトシダーゼ酵素レベルを示す。棒グラフは、ヒトαGalA を発現するトランスジェニックマウスおよび非トランスジェニック同腹マウスの 血漿αGalA酵素活性の相対量(単位/m l)を示す。 図7は、トランスジェニックマウスおよび非トランスジェニック同腹マウスの 血漿のGalα(1,3)Galレベルを示す。棒グラフは、フローサイトメトリー測定に よって得た、ヒトαGalAを発現するトランスジェニックマウスおよび非トランス ジェニック同腹マウスの末梢血リンパ球におけるGalα(1,3)Galの相対量(%I B4染色)を示す。レベルは、対照の非トランスジェニック同腹マウスのIB4 染色に対する%として表す。 5.発明の詳細な説明 本発明は、細胞表面の炭水化物エピトープを直接的または間接的に改変して、 炭水化物エピトープが天然のヒト抗体またはヒト細胞媒介免疫系によってもはや 認識できないようにし、それによって、そのような炭水化物エピトープの存在に より惹起されるヒト免疫系の応答を、未改変炭水化物エピトープの存在により惹 起される応答に対して低下させることができる酵素(それに限定されない)など の遺伝子産物の発現を指示する機能的炭水化物エピトープ−改変遺伝子を発現す るトランスジェニック細胞、組織、器官および動物の設計、構築および使用を含 む。 本発明の次の側面、すなわち、炭水化物エピトープ−改変遺伝子配列、ならび にキメラ導入遺伝子などの導入遺伝子の構築のために該配列と結合して使用でき るベクターおよびプロモーター;トランスジェニック細胞を産生する方法;トラ ンスジェニック動物を産生し、近交または異種交配によりトランスジェニック動 物コロニーを確立する方法;ならびに異種移植法を、下記の小節で説明するが、 これらは説明のためだけのものであり、本発明を限定するものではない。 さらに、下記第6〜11節に示す実施例で本発明を例示する。特に、実施例で は、トランスジェニック細胞での機能的組換えαGalAの発現および該発現が引き 起こす細胞表面Galα(1,3)Gal炭水化物の対応する劇的減少を記載し(第7およ び10節)、さらに、機能的組換えαGalA が補体−媒介細胞毒性のレベルの有意な低下を引き起こすことを例示し(第9節 )、さらに、トランスジェニックα−galAがGalα(1,3)Galのレベルをin vivoで 劇的に低下させることを例示する。 5.1.炭水化物エピトープ一改変遺伝子 本発明のトランスジェニック細胞、組織、器官および動物は、機能的炭水化物 エピトープ−改変遺伝子産物の発現を指示する1以上の機能的トランスジェニッ ク炭水化物エピトープ−改変遺伝子を含む。そのような炭水化物エピトープ−改 変遺伝子は、限定するものではないが、Galα(1,3)Gal細胞表面炭水化物エピト ープなどの細胞表面炭水化物エピトープを直接的または間接的に改変して、得ら れる改変エピトープによって引き起こされるヒト免疫系の応答を、未改変炭水化 物エピトープによって引き起こされる応答に対して低下させる遺伝子産物をコー ドする核酸配列を含む。核酸としては、限定するものではないが、cDNA配列 またはゲノム配列が挙げられる。 本発明の好ましい実施態様では、炭水化物エピトープ−改変遺伝子がαGalA遺 伝子である。本発明の別の好ましい実施態様では、対象の炭水化物エピトープ− 改変遺伝子を、本発明のトランスジェニック細胞、組織、器官および/または動 物において、その核酸配列が当業者には周知である機能的Hトランスフェラーゼ 遺伝子とともに同時発現させる。 炭水化物エピトープ−改変遺伝子としては、限定するものではないが、炭水化 物エピトープ−改変酵素をコードする遺伝子が挙げられる。本発明の好ましい態 様では、炭水化物エピトープ−改変酵素は機能的αGalA酵素である。αGalAの他 に、該酵素としては、例えば、細胞表面炭水化物エピトープを改変して、改変さ れたエピトープが未改変エピトープに対してヒト免疫系の応答の低下を惹起する 、機能的シアリダーゼ酵素およびラクトースアミニダーゼ酵素が挙げられる。 さらに、炭水化物エピトープ−改変遺伝子としては、例えば、その発現が、対 象の細胞表面炭水化物エピトープ、例えばGalα(1,3)Galエピ トープの産生に必要である遺伝子の転写を阻害するように作用するアンチセンス オリゴヌクレオチド分子をコードする核酸配列が挙げられる。例えば、そのよう な炭水化物エピトープ−改変遺伝子としては、α(Gal1,3)ガラクトシルトランス フェラーゼ酵素などのトランスフェラーゼ酵素をコードする遺伝子によって産生 される転写産物に相補的なアンチセンスオリドヌクレオチドをコードする核酸配 列が挙げられる。 そのような炭水化物エピトープ−改変遺伝子をコードする核酸配列は、当業者 には周知である。対象の炭水化物エピトープ−改変遺伝子産物をコードする核酸 配列が未知である場合、該核酸配列は、下記5.1.1.節で説明するように、一例と してαGalA核酸配列を使用することにより、当業者に周知の標準的技術を使用し て容易に得ることができる。 炭水化物エピトープ−改変遺伝子産物をコードする核酸配列は、コード配列の 発現を指示する調節因子と操作可能に結合させることができる。本明細書で使用 する調節因子としては、限定するものではないが、誘導プロモーターおよび非誘 導プロモーター、エンハンサー、オペレーターならびに適切な細胞および/また は細胞下の位置内でのコード配列の発現を操作し、調節する当業者に公知の他の 因子が挙げられる。本明細書での「適切な位置」とは、対象の細胞表面炭水化物 エピトープの改変を生じ、その結果、改変エピトープによって引き起こされるヒ ト免疫応答を未改変エピトープによって引き起こされる応答に対して低下させる 発現の細胞および/または細胞下の位置を意味する。 例えば、炭水化物エピトープ−改変遺伝子をコードする配列を調節するために 使用されるヌクレオチド調節配列としては、対象の炭水化物エピトープ−改変遺 伝子自体に内在する(すなわち、通常は結合した)調節配列が挙げられる。ある いは、炭水化物エピトープ−改変遺伝子をコードする配列に内在しないプロモー ターまたはプロモーター/エンハンサー複合体によって調節される、機能的炭水 化物エピトープ−改変遺伝子産物に対するヌクレオチドをコードする配列を含む キメラ炭水化物エピトープ−改変遺伝子構築物を、本発明のトランスジェニック 細胞、 組織、器官および動物の産生に使用するための導入遺伝子として遺伝子操作する こともできる。遺伝子またはキメラ遺伝子構築物の多重コピーをベクターに整列 させてもよく、また、遺伝子またはキメラ遺伝子構築物の多重コピーをトランス ジェニック細胞または創始(founder)動物に安定に導入することもできる。 本発明で使用する遺伝子またはキメラ遺伝子構築物を産生するために、当業者 に周知の組換えDNAおよびクローニング法を使用することができる(Sambrook ら、1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,第2版、Cold Spring Ha rbor Laboratory Press,NYを参照)。これに関して、適切な炭水化物エピトープ −改変遺伝子をコードする配列は、配列内の関係する位置に都合よく位置する制 限酵素部位を使用してcDNAまたはゲノムクローンから生成させることができ る。あるいは、または上記方法と組み合わせて、例えば、一本鎖環状DNA分子 を産生することができるM13またはファージミドなどのベクターを合成オリゴヌ クレオチドおよび大腸菌の特定菌株と結合させて使用するか(Kunkel,T.A.ら、1 987,Meth.Enzymol.154:367-382)、合成オリゴヌクレオチドおよびPCR(ポ リメラーゼ連鎖反応)を使用する(Hoら、1989,Gene 77:51-59;Kamman,M.ら、1 989,Nucl.Acids Res.17:5404)ことを含む部位特異的突然変異誘発技術を使用 して、必要な炭水化物エピトープ−改変ヌクレオチドをコードする配列を生成さ せることもできる。炭水化物エピトープ−改変ヌクレオチド調節配列は、同じ技 術を使用してゲノムクローンから得ることができる。次いで、適切な配列を単離 し、クローン化して、トランスジェニック細胞または動物の産生に直接使用する ことができる。また、その配列を使用して、炭水化物エピトープ−改変遺伝子に 内在するもの以外の調節配列を使用するキメラ遺伝子構築物を、やはり本明細書 に記載した方法の使用して、遺伝子操作することもできる。これらのキメラ遺伝 子構築物を、次いで、トランスジェニック細胞または動物の産生に使用すること もできる。 下記5.1.1に示す説明は、説明が容易であることから、特定の炭水 化物エピトープ−改変遺伝子であるαGalAを中心に行うが、本発明はこれに限定 されるものではない。理解されるように、この遺伝子に関する一般的開示は、他 の炭水化物エピトープ−改変遺伝子にもそのまま等しく適用させることができる 。 5.1.1.αGalA遺伝子 機能的αGalA遺伝子産物の発現を指示する核酸分子はいずれも、本発明のトラ ンスジェニック細胞、組織、器官および動物の産生における導入遺伝子として使 用することができる。上記第3節に記載したように、本明細書で使用する「機能 的αGalA」または「機能的組換えαGalA」は、細胞表面炭水化物エピトープGal α(1,3)Galを改変し、得られる改変エピトープによって引き起こされるヒト免疫 系の応答を、未改変Galα(1,3)Galエピトープによって引き起こされる応答に対 して低下させるαGa1A酵素を意味する。 そのようなαGa1A遺伝子としては、限定するものではないが、機能的αGa1Aを コードする、大腸菌などの原核生物種、および真核生物種、コーヒーなどの植物 、ならびにヒトおよびヒト以外の動物の配列に由来するαGa1A遺伝子配列が挙げ られる。例えば、ヒトαGalAアミノ酸配列が周知である。例えば、米国特許第5, 356,804号(その全体を参考として本明細書に組み入れる。)を参照。 ヒトαGalA遺伝子配列の相同体が他の種に存在することが知られている。配列 が周知でない場合は、当技術分野で周知の分子生物学的技術により、過度の実験 を行うことなく、同定し、単離することができる。例えば、単離したαGalA遺伝 子配列は、標識して、対象の生物に由来するαGalAを発現することが知られてい る、または発現することが予想される細胞型から得られるmRNAから構築した cDNAライブラリーのスクリーニングに使用することができる。ハイブリダイ ゼーション条件は、一般に、cDNAライブラリーを、標識配列を誘導した生物 の種類とは異なる生物から誘導した場合は、ストリンジェンシーが低いで あろう。あるいは、標識断片は、やはり適切なストリンジェンシー条件を使用し て、対象の生物から誘導したゲノムライブラリーのスクリーニングに使用するこ とができる。そのような低いストリンジェンシー条件は、当業者には周知であり 、ライブラリーおよび標識配列が誘導される特定の生物に依存して変わると予想 される。そのような条件に関する指針については、例えば、Sambrookら、1989, Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Press,N.Y.: およびAusubelら、1989,Current Protocols in Molecular Biology,(Green Pu blishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.)を参照。 さらに、今まで未知のαGalA遺伝子配列は、公知のαGalAアミノ酸配列に基づ いて設計された2個の縮重オリゴヌクレオチドプライマープールを使用してPC Rを行うことにより単離することができる。反応の鋳型は、αGalA遺伝子を発現 することが知られている、または予想される細胞系または組織から作製したmR NAの逆転写により得られるcDNAであってもよい。PCR産物は、サブクロ ーニングして配列決定することにより、増幅した配列が所望のαGalA配列である ことを保証することができる。PCR断片は次いで、種々の方法により、全長c DNAクローンの単離に使用することができる。例えば、増幅した断片は、バク テリオファージcDNAライブラリーのスクリーニングに使用することができる 。あるいは、標識断片をゲノムライブラリーのスクリーニングに使用することも できる。 PCR技術も、全長cDNA配列の単離に使用することができる。例えば、R NAは、標準的方法に従って、適切な細胞供給源または組織供給源、すなわち、 機能的αGalAを発現することが知られている、または予測されるものから単離す ることができる。そのRNA上で、最初の鎖合成の開始(priming)のために増幅 した断片の最も5’端に対して特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用し て逆転写反応を行うことができる。得られたRNA/DNAハイブリッドは、次 いで、標準的なターミナルトランスフェラーゼ反応を使用してグアニンで「テイ リング (tailing)」することができ、このハイブリッドは、RNアーゼHで消化するこ とができ、次いで第二の鎖合成をポリ−Cプライマーで開始させることができる 。こうして、増幅した断片の上流のcDNA配列を容易に単離することができる 。使用できるクローニング法の総説に関しては、例えば、Sambrookら、1989,Mo lecularCloning,A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Press,N.Y.;お よびAusubelら、1989,Current Protocols in Molecular Biology,(Green Publ ishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.)を参照。 なお、ヌクレオチドコード配列の縮重のために、上記したもの、または上記の 技術によって単離したものの他に、他のαGalADNA配列も機能的αGalA遺伝子 産物をコードすることができると理解すべきである。特に、機能的αGalA遺伝子 は、機能的αGalA遺伝子産物のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むことが できる。例えば、αGalA核酸配列は、高ストリンジェントな条件下(例えば、0. 5MのNaHPO4、7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mMのEDTA中、 65℃でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーション、および68℃、0.1 x SSC/0.1%SDSでの洗浄(Ausubel F.M.ら編、1989,Current Protocols in Mole cular Biology,Vol.I,Green Publishing Associates,Inc.,and John Wiley & Sons,Inc.,New York,p.2.10.3))で、例えば、米国特許第5,356,804号 に開示されたヒトαGalA遺伝子の配列などの既知のαGalA遺伝子のコード配列の 相補体にハイブリダイズし、かつ機能的αGalA遺伝子産物をコードする核酸配列 、および/または、あまりストリンジェントではない条件下、例えば中位のスト リンジェントな条件下(例えば、42℃、0.2 x SSC/0.1%SDSでの洗浄(Ausubel ら、1989,前出))でハイブリダイズするが、依然として機能的αGalA遺伝子産 物をコードする核酸配列を含むことができる。 5.2.トランスジェニック動物の作製 それらに限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、ミク ロピッグ(micro-pig)およびヒト以外の霊長類(例えばヒヒ、リスザルおよびチ ンパンジーなど)のどんな種の動物も、本発明のトランスジェニック動物の作製 に使用できるが、ブタおよびミクロピッグが好ましい。 トランスジェニック動物は、その遺伝物質中に少なくとも1つの導入遺伝子(t ransgene)と呼ばれる外来遺伝子を含む、ヒト以外の動物である。本例では、こ の導入遺伝子は、炭水化物エピトープ−改変遺伝子である。好ましくは、導入遺 伝子はその動物の生殖系統に含まれ、その結果、その動物の子孫に伝達すること ができるようになっている。そのような場合、その動物は、「創始(founder)動 物」と言う。 トランスジェニック動物は、導入遺伝子を、その全ての細胞または全てではな くいくつかの細胞に含むことができる(すなわち、トランスジェニック動物は、 遺伝的に寄せ集め(モザイク)である可能性がある。)。例えば、Jacobovits, 1994,Curr.Biol.,4:761-763に記載の方法を参照。しかし、異種移植のために は、ヒト受容者に導入すべき細胞、組織または器官は、考察の対照である炭水化 物エピトープ−改変遺伝子を含み、かつ発現しなければならない。 導入遺伝子は、1個の導入遺伝子として、またはコンカテマー(例えば頭−尾 タンデムもしくは頭−頭タンデム)中に組込むことができる。導入遺伝子はまた 、例えばLaskoら(Lasko,M.ら、1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232-6 236)の開示に従って、特定の細胞型に選択的に導入し、活性化することもできる 。そのような細胞型に特異的な活性化に必要な調節配列は、考察対照の特定の細 胞型に依存し、当業者には明らかであろう。 当技術分野で公知のどんな方法も、導入遺伝子を動物に導入してトランスジェ ニック動物の創始系統を作製するのに使用することができる。そのような方法と しては、それらに限定されないが、前核微量注入(Hoppe,P.C.およびWagner,T. E.,1989,米国特許第4,873,191号);生 殖系統へのレトロウイルス媒介遺伝子ターゲッティング(Van der Puttenら、198 5,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 82:6148-6152);胚幹細胞での遺伝子標的化(T hompsonら、1989,Cell 56:313-321;Wheeler,M.B.,1994,WO 94/26884、これ は、その全体を参照することによって本明細書に組み入れる);胚の電気穿孔法( Lo,1983,Mol Cell.Biol.3.:1803-1814);細胞gkun;トランスフェクション ;形質導入;レトロウイルス感染;アデノウイルス感染;アデノウイルス−随伴 感染;リポゾーム−媒介遺伝子転移;裸DNA転移:および精子−媒介遺伝子転 移(Lavitranoら、1989,Cell 57:717-723)などが挙げられる。そのような方法の 総説に関しては、Gordon, 1989,Transgenic Animals,Intl.Rev.Cytol.11 5 :171-229(その全体を参照することによって本明細書に組み入れる)を参照。 創始動物がいったん作製されると、それらは、特定の動物のコロニーを作るた めに、交配、同血統交配、異系交配または異種交配させることができる。そのよ うな交配法の例としては、それらに限定されないが、各種の系統を樹立するため の1より多い組込み部位を有する創始動物の異系交配;各導入遺伝子の付加的発 現効果のためにより高いレベルで導入遺伝子を発現する複合トランスジェニック を作製するための各種の系統の同血統交配;発現を増大させ、かつ、DNA分析 による動物のスクリーニングの必要性を除くために、所与の組込み部位に対して ホモ接合性の動物を作製するためのヘテロ接合トランスジェニック動物の交差; 複合ヘテロ接合またはホモ接合系統を作製するための各種のヘテロ接合系統の交 差;導入遺伝子の発現に対して対立遺伝子を改変する影響を調べることができる ようにするための、種々の同血統交配した遺伝的背景への動物の交配が挙げられ る。 中でも好ましいトランスジェニック動物はトランスジェニック有蹄類であり、 それに限定されないが、トランスジェニックブタが挙げられる。そのようなトラ ンスジェニック動物を構築するための方法は、当業者には周知である。例えば、 国際出願No.WO 94/26884およびWO 95/047 44(それらの全体を参照することにより本明細書に組み入れる)を参照。 5.3.トランスジェニック細胞、組織および器官 トランスジェニック細胞は、それらに限定されないが、トランスジェニックな 骨髄細胞、末梢血幹細胞、肝細胞、腎臓細胞、血島細胞など、いずれも本発明の 範囲内であると考えるべきである。さらに、組織または器官も、それらに限定さ れないが、肝臓、腎臓、筋肉、肺、膵臓、皮膚甲状腺、傍甲状腺、副腎皮質、副 腎髄質、胸腺、軟骨、骨など、いずれも本発明の範囲内であると考えるべきであ る。 本発明のトランスジェニック細胞、組織および器官は、当業者に周知の種々の 方法によって作製することができる。例えば、本発明のトランスジェニック細胞 、組織および器官は、上記5.2.節に記載したトランスジェニック動物から得るこ とができる。 トランスジェニック細胞に関しては、本発明のトランスジェニック動物から誘 導される細胞の初代培養を利用することができ、または、好ましくは、連続的継 代細胞系を得ることができる。そのような連続的継代細胞系は、当業者に周知の 方法、例えばSmallら、1985,Mol.Cell.Biol.5:642-648に記載の方法を使用 して得ることができる。 本発明のトランスジェニック動物から細胞を得ることの他に、考察対象の細胞 型の細胞を、その細胞内で機能的炭水化物エピトープ改変遺伝子産物を発現する ことができる炭水化物エピトープ改変配列でトランスフェクトし、こうして本発 明のトランスジェニック細胞を得ることもできる。細胞のトランスジェニック核 酸配列によるトランスフェクションは、標準的方法、例えば、上記5.2節に記載 した方法などを使用して行うことができる。さらには、例えば、Ausubel,1989 ,Current Protocols in Molecular Biology,(Green Publishing Associates a nd Wiley Interscience,N.Y.)を参照。トランスフェクトした細胞は、トラン スジェニック核酸配列の存在、トランスジェニック炭水化物エピトープ−改変遺 伝子産物の発現および蓄積について評価すべきである。 さらに、トランスジェニック細胞は、考察対象の改変された細胞表面炭水化物エ ピトープを示す能力について評価すべきである。 5.4.トランスジェニック細胞、組織、器官および動物の選択および特性決定 5.2および5.3節で詳述した方法に従って作製されるトランスジェニック細胞、 組織、器官および動物は、適切な異種移植材料または異種移植材料源として使用 できる細胞、組織、器官および動物を選択するために、スクリーニングおよび評 価を行うべきである。 最初のスクリーニングは、導入遺伝子の組込みが生じていることに従って、サ ザンブロット分析またはPCR法によって行うことができる。トランスジェニッ ク細胞、組織、器官および動物における炭水化物エピトープ−改変遺伝子mRN A発現のレベルも、それらに限定されないが、サンプルのノーザンブロット分析 、in situハイブリダイゼーション分析および逆転写酵素−PCR(rt−PC R)などの技術を使用して評価することができる。 mRNAまたはタンパク質(適切な抗体を使用して免疫細胞化学的に検出され る)を容易に検出可能なレベルで発現する炭水化物エピトープ−改変トランスジ ェニック細胞、組織、器官および/または動物は、次いで、改変された細胞表面 炭水化物エピトープを示す動物を同定するための評価をさらに行うべきである。 例えば、トランスジェニック材料の組織病理学的評価は、考察対象の細胞表面エ ピトープに対して特異的な抗体を使用し、当業者に周知の標準的技術と組み合わ せて行うことができる。 5.5.トランスジェニック細胞、組織、器官および動物の使用 本発明のトランスジェニック細胞、組織、器官および動物は、in vitroおよび in vivoの両方において多数の機能に役立ちうる。例えば、このトランスジェニ ック材料は、異種移植材料として、または異種移植 材料の供給源として役立ちうる。本発明のトランスジェニック材料の異種移植材 料としての使用は、ヒト受容者において認められる激症拒絶(HAR)のレベル を、非トランスジェニック細胞、組織および/または器官を受容しているヒト受 容者において認められるHARのレベルに対して低くし、それによって、異種移 植拒絶のレベルを低下させるのに役立つ。 あるいは、本発明の特定のトランスジェニック細胞、すなわち骨髄細胞は、A BO表現型の変化した赤血球の産生に使用できる。すなわち、血液型Bの赤血球 を全血液型の提供体群であるO型の赤血球に変換することができる。 本発明のトランスジェニック材料を使用した異種移植に関しては、提供材料を 受容者に移植するためのどんな技術も利用できる。そのような技術は当業者には 周知である。転移法としては、例えば、上記5.3節で挙げたような細胞(それら に限定されないが、血液細胞および骨髄細胞など)を導入する方法、ならびに上 記5.3節で挙げたような組織および器官(心臓、肝臓、肺および腎臓組織および /または器官など)を導入する方法が挙げられる。 6.実施例:α−ガラクトシダーゼA処理により赤血球凝集反応は減少する ここに示す実施例では、αGalAが赤血球凝集反応の減少をもたらすことを実証 する。 6.1.材料および方法 赤血球凝集アッセイ:ウサギの赤血球(Galα(1,3)Gal+)をPBS中で洗浄 し、2%(v/v)懸濁物に再懸濁した。細胞は、未処理とするか、あるいは37℃で 2時間、種々の濃度(図1の凡例を参照)のヒトα−ガラクトシダーゼAまたは 大腸菌由来のα−ガラクトシダーゼA(Boehringer Mannheim,ドイツ)で処理し た。細胞を洗浄し、赤血球凝 集アッセイを、IB4レクチン(Griffonia simplicifoliaから単離(Sigma,St .Louis,MO;Hayes,C.E.およびGoldstein,I.J.,1974,J.Biol.Chem.249: 1904))の50μlにおける希釈物をマイクロタイタープレートで50μlアリコー トのα−ガラクトシダーゼA処理した赤血球および未処理の赤血球と混合してイ ンキュベートすることにより行い、赤血球凝集の終点滴定量を2時間後に測定し た。 6.2.結果 α−ガラクトシダーゼAのGalα(1,3)Galから末端ガラクトース残基が開裂す る(cleave)する能力を、ウサギ赤血球を標的として使用することにより調べた。 赤血球表面のセラミドペンタヘキソシドが、ウサギ赤血球の糖脂質を有する主な Galα(1,3)Galである(Galil,U.ら、1988,J.Biol.Chem.263:17755)。Galα (1,3)Gal特異的レクチンであるGriffonia simplicifolia由来のIB4(Hayes, C.E.およびGoldstein,I.J.,1974,J.Biol.Chem.249:1904)の濃度を、α− ガラクトシダーゼA処理前後の抗原密度の指標として使用した。未処理の赤血球 は、0.98ng/mlのレクチンの使用により凝集した(図1A)。赤血球をヒトまた は大腸菌α−ガラクトシダーゼAで処理した後は、赤血球の凝集にかなり多くの レクチンを必要とし、赤血球を150Uのヒトα−ガラクトシダーゼAで処理した後 は7.81ng/mlのレクチンを必要とし、300Uでの処理後では15.63ng/mlを必要とし 、および600Uでの処理後では125ng/mlを必要とした(図1a)。同様の結果が、 赤血球を細菌性α−ガラクトシダーゼAで処理した後にも得られ、6.25Uでの処 理後では62.5ng/mlが必要であり、25Uの処理後では125ng/mlであり、50Uでの処 理後では250ng/mlであった(図1b)。すなわち、赤血球をα−ガラクトシダー ゼAで処理すると、細胞表面上のGalα(1,3)Galのレベルが255倍まで減少し、 赤血球上の抗原量の低下に適した方法であることを示す。 7.実施例:α−ガラクトシダーゼAcDNAの発現はGalα(1,3)Galの低下を もたらす ここに示す実施例は、αGalAcDNAでトランスフェクトした細胞が、細胞表 面Galα(1,3)Gal炭水化物エピトープのレベルを、トランスフェクトしていない 細胞と比較して低下させることを実証する。 7.1.材料および方法 cDNA、トランスフェクションおよび血清学:これらの研究で使用したプラ スミドは、哺乳類発現ベクターp91023(B)でヒトα−ガラクトシダーゼAcD NAをコードするp91-AGA(Ioannou,Y.A.ら、1992,J.Cell Biol.119:1137 );哺乳類発現ベクターpCDNA1でヒトα−ガラクトシダーゼAcDNAに対する cDNAをコードするphAGA(Invitrogen);ブタのα(1,3)ガラクトシルトラ ンスフェラーゼcDNAをコードするpPGT-3(ppGTと呼ぶ)(Sandrin,M.S.お よびMcKenzie,I.F.C.,1994,Immunol.Rev.141:169)およびヒトCD48を コードするpHuLy-m3.7(pCD48と呼ぶ)(Vaughan,H.A.ら、1991,Immunogenetic s 33:113)であり、これらは、標準的方法(Ausubel,F.M.ら、1994,Current Pr otocols in Molecular Biology,Wiley-Interscience,New York)を使用して調 製した。COS−7細胞は、ダルベッコの改良イーグル培地(DMEM)(Trace Biosciences Pty.Ltd.,Castle Hill,NSW,オーストラリア)で保持し、DE AE−デキストラン法(Vaughan,H.A.ら、1991,Immunogenetics 33:113)を使 用し、10%のNu−血清(Collaborative Research Inc.,Bedford,MA)を補充した DMEMを使用してトランスフェクトして(1〜20μgDNA/10cmの皿)、それ らの細胞を48時間後に細胞表面の発現について調べた。細胞表面炭水化物エピト ープGalα(1,3)Galの直接蛍光法を、FITC−結合IB4レクチンを使用して 行った。対照トランスフェクションでのCD48の細胞表面染色では、CD48 (ASH1360,Austin Research Institute)およびFITC−結合ヤギ抗−マウス IgGに 対して特異的なモクローナル抗体(mAb)を使用した。ヒトα−ガラクトシダ ーゼAの発現は、ホルムアルデヒド固定してTritonX-100透過した細胞を、アフ ィニティー精製したウサギ抗−α−ガラクトシダーゼA抗体(Ioannou,Y.A.ら、 1992,J.Cell Biol.119:1137)、次いでFITC−結合ヤギ抗−ウサギIgG で内部染色することにより評価した。蛍光は、顕微鏡検査により検出した。 α−ガラクトシダーゼAおよびタンパク質アッセイ:細胞をPBSで2回洗浄 し、氷上、1%のTritonX-100/リン酸ナトリウム(pH7.0)/150mMのNaCl /プロテアーゼ阻害剤を含む1mMのEDTA緩衝液中で20分間溶解した。溶解産 物を4℃、13000gで15分間遠心分離して上清を集め、α−ガラクトシダーゼA活 性について、p−ニトロフェニル−α−D−ガラクトシドを基質として使用する ことによりアッセイした(Kint,J.A.,1970,Science 270:1268)。タンパク質濃 度は、ウシ血清アルブミンを標準品として使用して、ブラッドフォードアッセイ により測定した(Bradford,M.M.,1976,Anal.Biochem.72:248)。 7.2.結果 ヒトα−ガラクトシダーゼAcDNAによる細胞のトランスフェクションが、 Galα(1,3)Galのレベルを低下させることができるかどうかを試験するために、 α−ガラクトシダーゼAを、α−ガラクトシルトランスフェラーゼを発現するC OS細胞で同時発現させた。2.5μgのα(1,3)ガラクトシルトランスフェラー ゼのcDnAのみでトランスフェクトし、IB4(Galα(1,3)Galに対して特異 的なレクチン)で染色したCOS細胞は、Galα(1,3)Galの約60%の細胞表面発 現を示し(図2)、一方、α−ガラクトシダーゼAcDNA(2.5μg)のみを 発現する細胞は、IB4による表面染色を示さながった(図2)。α(1,3)ガラ クトシルトランスフェラーゼcDNA+α−ガラクトシダーゼAcDNA(各2. 5μgのcDNA)の同時発現の結 果、IB4染色が有意に50%低下し(図2)、同時発現させるα−ガラクトシダ ーゼAcDNAの量を12.5μgに上げると、さらに25%の低下、すなわち75%の低 下が確認された。α(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼおよび対照のcDN A(ヒトCD48)で同時トランスフェクトしたIB4染色細胞は、α(1,3)ガ ラクトシルトランスフェラーゼのみを発現する細胞と同様であり(すなわち、60 %)、これは、α−ガラクトシダーゼAによるIB4染色において認められる低 下が、α−ガラクトシダーゼAによるGalα(1,3)Galの細胞表面レベルの変化を 正確に反映しており、単に同時トランスフェクション法の結果だけではないこと を示す。 α−ガラクトシダーゼAでトランスフェクトした細胞内で発現されるα−ガラ クトシダーゼAのレベルを測定するために、溶解産物を、p−ニトロフェニル− α−D−ガラクトシドをα−ガラクトシダーゼAに対する基質として使用するこ とによりアッセイした。擬似トランスフェクトした細胞由来の溶解産物における α−ガラクトシダーゼA活性は、15nmol/h/mgタンパク質であった(図3)。α −ガラクトシダーゼAcDNAのみでトランスフェクトした細胞由来の溶解産物 は、48nmol/h/mgタンパク質で酵素活性を示し、これは、α(1,3)ガラクトシル トランスフェラーゼおよびα−ガラクトシダーゼAで同時トランスフェクトした 細胞由来の溶解産物と同様であった(2.5、5および12.5mgのα−ガラクトシダー ゼAcDNAに対して、各々、38、35および56nmol/h/mgタンパク質)(図3) 。このように、α−ガラクトシダーゼAトランスフェクションの全ての場合にお いて、α−ガラクトシダーゼA活性は、バックグランドのレベルよりも少なくと も3倍高く、一時的にトランスフェクトされたCOS細胞においてα−ガラクト シダーゼAが発現され、かつ活性であることが確認された。これらの知見は、c DNAのトランスフェクション後のα−ガラクトシダーゼAの発現が、Galα(1 ,3)Galのレベルを有意に低下させ得ることを示している。 8.実施例:α−ガラクトシダーゼAおよびHトランスフェラーゼの同時発現は Galα(1,3)Galの累積的減少をもたらす ここに示す実施例では、αGalAおよびHトランスフェラーゼの同時発現が、細 胞表面炭水化物エピトープGalα(1,3)Galの発現を累積的に減少させることを実 証する。 8.1.材料および方法 ここで利用した方法は、上記7.1.節で記載した通りである。 8.2.結果 in vitroおよびin vivoの両方においてヒトHトランスフェラーゼを発現する 細胞でのGalα(1,3)Galエピトープの安定なダウンレギュレートは、先に報告し た。α−ガラクトシダーゼAによって認められる効果がHトランスフェラーゼに よってもたらされる発現における減少と無関係であるかどうかを調べるために、 一連の同時トランスフェクション実験を行った。COS細胞を、(i)α(1,3) ガラクトシルトランスフェラーゼ+HトランスフェラーゼcDNA;(ii)α(1 ,3)ガラクトシルトランスフェラーゼ+α−ガラクトシダーゼAcDNA;また は(iii)α(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼ+Hトランスフェラーゼ+α −ガラクトシダーゼAcDNAで一時的に同時トランスフェクトして細胞表面上 をIB4またはUEA1で染色し、透過した細胞をα−ガラクトシダーゼAに対 して染色した。 α(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼcDNA+α−ガラクトシダーゼA cDNAを発現する細胞では、α(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼcDN Aのみを発現する細胞と比較して、IB4染色における有意な減少が確認された 。IB4染色におけるその減少は、α(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼc DNA+Hトランスフェラーゼで同時トランスフェクトした細胞で見られる減少 よりも小さかった。α(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼ+Hトランスフェ ラーゼ+α −ガラクトシダーゼAcDNAで同時トランスフェクトした細胞は、本質的にI B4染色を示さなかった。すなわち、染色レベルは、擬似トランスフェクトした 細胞とほぼ同じであった。α−ガラクトシダーゼAまたはHトランスフェラーゼ cDNAのみによる対照のトランスフェクションは、抗−α−ガラクトシダーゼ A抗体またはUEA1によって強く染色されたが、IB4との交差反応はなかっ た。これらの結果は、Hトランスフェラーゼおよびα−ガラクトシダーゼAが、 細胞表面上でのGalα(1,3)Galの発現を減少させる能力において付加効果を有す ることを明示している。 同様の効果が、Galα(1,3)Galを構造的に発現する細胞において認められ得る かどうかという問題に取り組むために、ヒトα−ガラクトシダーゼAに対して安 定なトランスフェクション産物を、Galα(1,3)Gal+であるブタの内皮細胞系P IECを使用して生成させた。これらの細胞のGalα(1,3)Galのレベルは減少し ていた。これは、α−ガラクトシダーゼAの過剰発現がこのエピトープを減少さ せる有効な方法であることを示している。 9.実施例:α−ガラクトシダーゼAトランスジェニック発現は補体媒介細胞毒 性を減少させる ここに示す実施例では、αGalAの発現が、該発現の結果、補体媒介細胞毒性レ ベルの劇的な減少が認められるという点で、異種移植法における激症拒絶の問題 に対する有効な解決であることを実証する。 9.1.材料および方法 補体溶解アッセイ:α−ガラクトシダーゼA、α(1,3)ガラクトシルトランス フェラーゼおよびHトランスフェラーゼでトランスフェクトしたCOS−7細胞 の補体媒介溶菌を、以前の記載(Vaughan,H.A.ら、1994,Transplantation 58:8 79)に従って行い、細胞を96ウェルプレートで増殖させて集め(grown to conflu ence)、洗浄して、Calcein AM(Molecular ProbesInc.)(最終10μM)に30分間さらし、次いで、補体供給源 としてのヒト全血清の存在下、37℃で30分間インキュベートした。細胞から放出 される染料を、Millipore Cytofluor 2350蛍光プレート読み取り機(励起490nm 、放射530nm)を使用して測定し、細胞に結合した総染料を1% SDS細胞溶解産物 から測定し、特定の染料遊離を全体の割合(%)として計算した。 他の方法:他の方法は、上記7.1.節に記載した通りであった。 9.2.結果 COS細胞のブタα(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼcDNAクローン によるトランスフェクションは、IB4レクチンの結合によって検出されるよう に、一部の細胞(〜60%)の細胞表面上にGalα(1,3)Galの発現をもたらし、こ れらの細胞は、ヒト血清中の天然の抗体とも強く反応するようになった。α(1,3 )ガラクトシルトランスフェラーゼcDNAでトランスフェクトしたCOS細胞 のヒト血清による溶解の受けやすさを、標準的な51Cr放出アッセイを使用して 調べた。その結果、ヒト血清による処理の後、Galα(1,3)Gal+COS細胞は、こ れらの細胞のバックグランドの溶解が5%であるのに対して、62%に特異的溶解 が生じたことが分かった(図4)。トランスフェクトCOS細胞は、IB4結合 に対しても調べ、65%が陽性であることが分かった。すなわち、溶解レベルは、 Galα(1,3)Galエピトープを発現する細胞の数に比例した。α(1,3)ガラクトシル トランスフェラーゼ+α−ガラクトシダーゼAをコードするcDNAクローンで トランスフェクトしたCOS細胞では、17%の溶解が認められ、α(1,3)ガラク トシルトランスフェラーゼ+Hトランスフェラーゼの場合は、9%の溶解が認め られた。COS細胞を3個全てのcDNAクローンでトランスフェクトすると、 4%のバックグランド溶解が認められた。これに対して、ヒト血清は、トランス フェクトしていないCOS細胞、またはα−ガラクトシダーゼAのみ、Hトラン スフェラーゼのみ、もしくは疑似トランスフェクトしたC OS細胞の、バックグランドより高い有意な溶解は引き起こさなかった。ヒト血 清の>1/256の希釈度までの存在下で、Galα(1,3)Gal+COS細胞の特異的溶解 のみが認められ、1/64の希釈度まではα(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼ +α−ガラクトシダーゼAを発現するCOS細胞、1/8の希釈度まではα(1,3)ガ ラクトシルトランスフェラーゼ+Hトランスフェラーゼを発現する細胞の溶解が 認められた。 10.実施例:トランスジェニックαGalA発現によるブタ細胞におけ る Gal α(1,3)Galレベルの低下 この節で示す実施例では、ブタの細胞でのトランスジェニックαGalA発現を使 用して、Galα(1,3)Galの細胞表面レベルの低下に成功した例を示す。 10.1.材料および方法 下記10.2.節に示す研究で使用した技術は、上記6〜9節に記載した方法およ び標準的プロトコールに従った。 10.2.結果 ここに記載する結果では、トランスジェニック法におけるα−ガラクトシダー ゼの使用によるGalα(1,3)Galの除去に対する効力をさらに例示する。 特に、研究は、Galα(1,3)Gal+ブタ内皮細胞系PIECにおけるα−ガラクト シダーゼcDNAの発現がGalα(1,3)Galの細胞表面発現を変えるがどうかを調 べるために行った。 サイトメガロウイルスプロモーター下でヒトα−ガラクトシダーゼを発現する 安定な細胞系を生成した。該細胞系は、標準的なリン酸カルシウムトランスフェ クションおよびネオマイシン選択を使用して作製した。天然のヒト抗−Galα(1, 3)Gal抗体に対する細胞の結合能を、標準的な フローサイトメトリー分析によって試験すると、図5に示すように、対照のPI EC細胞よりも10倍小さい抗体結合が示され、これは、細胞表面Galα(1,3)Gal の有意な低下を示すものである。 その結果は、ヒトα−ガラクトシダーゼを発現するCOS細胞がGalα(1,3)Ga l細胞表面発現レベルを低下させることを示した、上記第7節で示した結果と一 致する。 11.実施例:α−ガラクトシダーゼによるin vivoでのGalα(1,3)G al の低下 この節に示す実施例では、トランスジェニックヒトα−ガラクトシダーゼの使 用して、Galα(1,3)Galのin vivoレベルの低下に成功した例を示す。 11.1.材料および方法 下記11.2.節に示す研究で使用した技術は、上記6〜9節に記載した方法およ び標準的プロトコールに従った。 11.2.結果 H2−Kbプロモーター下でヒトα−ガラクトシダーゼを発現するいくつがの トランスジェニックマウス系を、標準的技術を使用して作製した。ヒトα−ガラ クトシダーゼ遺伝子に対してヘテロ接合であるC57BL/6マウスからの結果 は、導入遺伝子がゲノムに挿入され、世代間で伝達されたことを示した。トラン スジェニックマウスの血漿におけるα−ガラクトシダーゼ酵素レベルは、非トラ ンスジェニック同腹マウスで測定されたレベルよりも少なくとも4倍高い値が測 定された(図6)。 各トランスジェニック系由来の末梢血リンパ球のGalα(1,3)Galのレベルを、 IB4(Galα(1,3)Galに対して特異的なレクチン)で細胞表面を染色し、標準 的なフローサイトメトリーによって測定することにより試験した。結果を図7に 示すが、レベルは、対照の非トランスジェニ ック同腹マウスのIB4染色に対する割合(%)として表す。 トランスジェニックマウスは、試験した系に応じて、そのGalα(1,3)Galレベ ルの34%〜50%の減少を示した。これは、すなわち、トランスジェニックαGalA の使用によるエピトープのin vivoでの低下の成功を明示している。 明らかなように、本明細書に記載した本発明に対する多くの改変および変形は 、本発明の精神および範囲を逸脱しない限り可能である。特定の実施態様を実施 例のみによって示しているが、本発明は、添付する請求範囲によってのみ限定さ れるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 21/02 A61K 45/00 // A61K 38/46 C12N 5/00 B 45/00 A61K 37/54 (72)発明者 イオンヌ,ヤニス アメリカ合衆国 10128 ニューヨーク州 ニューヨーク,イースト 96ティーエイ チ ストリート 306 (72)発明者 デスニック,ロバート.ジェイ. アメリカ合衆国 10012 ニューヨーク州 ニューヨーク,ウエスト 4 ティーエ イチ ストリート 329 (72)発明者 サンドリン,モロー,エス. オーストラリア国 3056 ヴィクトリア州 ブルンズウイック,バークリー ストリ ート,211 (72)発明者 マッケンジー,イアン,エフ,シー. オーストラリア国 3056 ヴィクトリア州 ブルンズウイック,ブルンズウイック ロード,359

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.細胞表面炭水化物エピトープを改変する機能的炭水化物エピトープ−改変遺 伝子産物の発現を指示するトランスジェニック炭水化物エピトープ−改変核酸配 列を含むトランスジェニック細胞。 2.前記トランスジェニック炭水化物エピトープ−改変核酸配列が、機能的αGa lA酵素の発現を指示するトランスジェニックαGalA核酸配列である、請求項1に 記載のトランスジェニック細胞。 3.さらに、機能的Hトランスフェラーゼ遺伝子産物の発現を指示するHトラン スフェラーゼ核酸配列を含む、請求項1に記載のトランスジェニック細胞。 4.前記細胞表面炭水化物エピトープがGalα(1,3)Galである、請求項1に記載 のトランスジェニック細胞。 5.請求項1、2、3または4に記載のトランスジェニック細胞を含むトランス ジェニック組織。 6.請求項1、2、3または4に記載のトランスジェニック細胞を含むトランス ジェニック器官。 7.請求項1、2、3または4に記載のトランスジェニック細胞を含むトランス ジェニック動物。 8.前記トランスジェニック細胞がブタの細胞である、請求項1、2、3または 4に記載のトランスジェニック細胞。 9.前記トランスジェニック組織がトランスジェニックブタの組織である、請求 項5に記載のトランスジェニック組織。 10.前記トランスジェニック器官がトランスジェニックブタの器官である、請求 項6に記載のトランスジェニック器官。 11.前記トランスジェニック動物がトランスジェニックブタである、請求項7に 記載のトランスジェニック動物。 12.請求項1、2、3または4に記載のトランスジェニック細胞をヒト受容者に 導入し、その結果、該ヒト受容者において観察される激症拒絶レベルが、前記ト ランスジェニック核酸配列を含まない細胞 を受容しているヒト受容者において観察される激症拒絶レベルと比較して低くな るようにすることを含んでなる、異種移植方法。 13.請求項5に記載のトランスジェニック組織をヒト受容者に導入し、その結果 、該ヒト受容者において観察される激症拒絶レベルが、前記トランスジェニック 核酸配列を含まない細胞を受容しているヒト受容者において観察される激症拒絶 レベルと比較して低くなるようにすることを含んでなる、異種移植方法。 14.請求項6に記載のトランスジェニック器官をヒト受容者に導入し、その結果 、該ヒト受容者において観察される激症拒絶レベルが、前記トランスジェニック 核酸配列を含まない細胞を受容しているヒト受容者において観察される激症拒絶 レベルと比較して低くなるようにすることを含んでなる、異種移植方法。 15.請求項7に記載のトランスジェニック動物をヒト受容者に導入し、その結果 、該ヒト受容者において観察される激症拒絶レベルが、前記トランスジェニック 核酸配列を含まない細胞を受容しているヒト受容者において観察される激症拒絶 レベルと比較して低くなるようにすることを含んでなる、異種移植方法。
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