【発明の詳細な説明】
形質転換関連組換えクローニング
発明の背景
発明の分野
本発明は、一般に、酵母人工染色体を効率的に産生する方法および核酸の混合
集団から酵母人工染色体を効率的かつ選択的にクローニングする方法に関する。
本発明はまた、特定の核酸を選択的にクローニングする方法に関する。本発明に
は、これらの方法において使用されるベクターおよびこれらの方法を使用して形
成される生成物もまた含まれる。
背景技術
大きなゲノム(ヒトのゲノムを含む)の特徴付けにおける重要なステップは、
大きな染色体フラグメントのクローニングである。これは酵母のSaccharomyces
cerevisiaeにおける人工染色体(YAC)の開発を介して実行され、そしていくつ
かのYACライブラリー由来のヒトゲノムの大規模な物理的地図につながった(Bur
keら、Science 236,806-812(1987)およびGuyerら、Proc.Natl.Acad.Sci.US
A 92,10841-10848(1995))。
それらの大きなサイズゆえに、YACは多くの生物のゲノムマッピングにおいて
欠くことの出来ないものであるこが分かっている。しかし、アーチファクト(例
えば、キメラおよび欠失)が、それらの使用を制限し得る(Kouprinaら、Genomi
cs 21,7-17(1994)、Greenら、Genomics 11,658-669(1991)、Wadaら、(1994)Nu
cleic Acids Res.22,1561-1554(1994)、およびSchlessingerら、Genomics 11
,783-794(1991))。これらのアーチファクトは、切断またはニックを生じたDNA
を生じるインビトロDNA操作から生じる得る。ライブラリーにおけるYACの50%ま
でがDNAの隣接していないフラグメントを含むキメラクローンによって代表され
る;キメラYACはインビトロDNA連結ならびに同時浸入(co-penetrating)DN
A分子間のインビボ組換えから生じ得る(Greenら、Genomics 11,658-669(1991)
,Wadaら、Nucleic Acids Res.22,1561-1554(1994)、およびLarionovら、Nucl
eic Acids Res.22,4154-4161(1994))。さらに、内部欠失が、いくつかのYAC
(Neilら、Nucleic Acids Res.18,1421-1428(1990)およびKouprinaら、Geno
mics 21,7-17(1994))の増殖の間に、恐らく反復配列間の組換え的な相互作用
から生じ得る。
クローン化したDNAの改善した正確さは、細菌における人工染色体(BACおよび
PAC)の生成を介して達成され得る(Shizuyaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
9,8794-8797(1992)およびShepherdら、Genetic Engineering,J.K.Setlow編
、16,213-228(1994))。しかし、これらの人工染色体の平均サイズは、YACで維
持され得るより非常に小さい(<150kb)。ここでメガベースYACがマッピングの
ために利用される。キメラの欠如および増殖の間のBACの安定性は、それらの利
用性、特にYACを用いて得られる物理的地図と併用して寄与する。それらは、特
に、大きなYACクローンを使用して作製したコンティグ間のギャップのいくつか
の閉合に有用である。
特定の染色体領域を単離する能力は、非常に、ポジショナルクローニングおよ
び種々のヒト疾患の研究のためになり、その上現存の地図のギャップを埋める。
ヒト染色体および亜染色体特異的ライブラリーが、流動識別染色体(flow-sorte
d chromosome)または単一のヒト染色体を含む体細胞ハイブリッド細胞株のゲノ
ムDNAのいずれかから調製され得る(McCormickら、Genomics 18,553-558(1993)
)。これらの利点にもかかわらず、流動識別染色体からのライブラリーの生成は
、十分な量の染色体の精製における困難性に起因して骨の折れるプロセスである
。このため、多くの染色体特異的ライブラリーがモノクロモソームハイブリッド
株から直接的にクローニングすることによって生成され、そのクローンはハイブ
リダイゼーションによってヒト挿入物についてスクリーニングされる(Gingrich
ら、Genomics 15,228-230(1993))。
本発明は、インビトロ連結工程を省略する、大きな線状YACとしてヒトDNAをク
ローニングするための別のアプローチを提供することによって当該分野における
問題を克服する。このアプローチは形質転換関連組換え(transformation-assoc
iated recombination)(TAR)に基づく。一つの実施態様において、TARは形質
転換されたDNAフラグメント内の反復(例えば、AluまたはLINE)と酵母セントロ
メアおよびテロメアもまた含む同時形質転換された線状プラスミド上の反復配列
との間で生じる。この新たなYAC構築技術を使用して、本発明者らは、DNAに対す
るインビトロ酵素処理を伴うことなくヒト染色体からヒトDNAを含むYACを首尾良
く作製した。本発明者らはまた、首尾良く、この技術を使用して、混合されたDN
Aのバックグランドから特定のDNAを選択的にクローン化した。従って、この技術
は、ハイブリッド細胞およびDNAが混合した起源由来である他の集団からDNAを選
択的に単離し得る大きな有用性を有する。
この新たなTARクローニング手順に基づいて、本発明者らは、特定の実施態様
において、大きな環状YACを生成するために両末端にヒトDNA反復を有する、TAR
クローニングセントロメアベクターの使用も開発した。この環状TARクローニン
グ系はモノクロモソーム/ハイブリッド細胞株からのヒトDNAの特異的単離に非
常に効果的であり、そしてそれはヒト染色体の小さなフラグメントのみを含む照
射ハイブリッドからのヒトDNAの迅速な単離に使用され得る。環状YACは、後続の
物理的単離およびクローン化材料の分析を非常に促進する。
さらに、本発明者らは、この新たなTARクローニング法を選択された核酸に特
異的かつ選択された核酸と組換える配列または領域をクローニングベクターに組
込むことによって核酸の混合集団から選択された核酸を特異的にクローン化し得
る酵母クローニング系に拡張した。核酸と組換える配列のこの特異性は、核酸の
混合集団から、核酸または核酸種(例えば、cDNA)を特異的に標的化し、そして
その個々に選択された核酸を特異的にクローン化し、従って単離することを可能
にする。これは、核酸(例えば、cDNA)(ここで、この核酸の配列の一部のみが
既知であった。)を選択にクローン化することを可能にする。増大する数の3'末
端のみが配列決定されたcDNAが生成されつつある。この技術はその情報に基づく
これらのcDNAの選択的なクローニングを可能にする。従って、これらの核酸から
の残りの配列情報は、迅速に同定され得る。この完全な配列情報は生物における
これらの分子の役割の決定を加速し、そして研究者らがその生物の生活環におけ
る特定の遺伝子の役割および相互作用をより効率的かち徹底的に決定することを
可能にする。さらに、本発明はまたTARクローニングのE.coliへの拡張を提供す
る。
発明の要旨
本明細書中で具体化されそして広く記載されるように、本発明の目的に従って
、本発明は、1つの局面において、核酸集団およびベクターを酵母細胞に導入す
る工程を包含する、酵母人工染色体を作製する方法に関する。ここで上記ベクタ
ーは酵母セントロメア、選択マーカー、酵母テロメア、上記の核酸集団内の核酸
領域と組換え得る配列を含み;それによってインビボ組換えが上記酵母人工染色
体を生じさせる。
本発明はまた、核酸集団ならびに1)酵母セントロメア、酵母テロメア、およ
び上記核酸集団内の核酸領域と組換え得る第1の配列を含む第1のベクター、な
らびに2)酵母テロメアおよび核酸集団内の核酸領域と組換え得る第2の配列を
含む第2のベクターを酵母細胞に導入する工程を包含する、酵母人工染色体を作
製する方法を提供し;ここで、上記のベクターの少なくとも1つは選択マーカー
をさらに含む;それによってインビボ組換えが酵母人工染色体を生じさせる。
別の局面において、本発明は核酸集団およびベクターを酵母細胞中へ導入する
工程を包含する、環状酵母人工染色体を作製する方法を提供する。ここで上記ベ
クターは酵母セントロメア、選択マーカー、および上記の核酸集団内の核酸領域
と組換え得る少なくとも2つの配列を含み;それによってインビボ組換えが環状
酵母人工染色体を生じさせる。
別の局面において、本発明は、核酸の混合集団およびベクターを酵母細胞へ導
入する工程を包含する、核酸の混合集団から選択された挿入核酸を有する酵母人
工染色体を作製する方法を提供する。ここで上記ベクターは、酵母セントロメア
、選択マーカー、酵母テロメア、および上記核酸の混合集団内の選択された挿入
核酸領域と組換え得る配列を含み;それによってインビボ組換えが選択された挿
入核酸配列を有する酵母人工染色体を生じさせる。
別の局面において、本発明は、核酸の混合集団ならびに1)酵母セントロメア
、酵母テロメア、および上記核酸の混合集団内の選択された挿入核酸領域と組換
え
得る第1の配列を含む第1のベクター、ならびに2)酵母テロメアおよび上記核
酸の混合集団内の上記選択された挿入核酸領域と組換え得る第2の配列を含む第
2のベクターを酵母細胞に導入する工程を包含する、上記核酸の混合集団内の選
択された挿入核酸を有する酵母人工染色体を作製する方法を提供する。ここで上
記ベクターの少なくとも1つが選択マーカーをさらに含み;それによってインビ
ボ組換えが選択された挿入核酸を有する酵母人工染色体を生じさせる。
別の局面において、本発明は、核酸の混合集団およびベクターを酵母細胞へ導
入する工程を包含する、核酸の混合集団由来の選択された挿入核酸を有する環状
酵母人工染色体を作製する方法を提供する。ここで上記ベクターは酵母セントロ
メア、選択マーカー、および上記核酸の混合集団内の選択された挿入核酸領域と
組換え得る少なくとも2つの配列を含み;それによってインビボ組換えは選択さ
れた核酸を有する環状酵母人工染色体を生じさせる。
別の局面において、本発明は、核酸集団およびベクターを導入する工程を包含
する、ベクターに核酸集団由来の選択された核酸をクローニングする方法を提供
する。ここで上記ベクターは核酸集団内の選択された核酸領域と組換え得る特異
的配列および核酸集団内の選択された核酸と組換え得る非特異的配列を含み;そ
れによってインビボ組換えがベクター内の選択された核酸のクローンを生じさせ
る。
別の局面において、本発明は、本発明の方法において使用されるベクターおよ
び本発明の方法によって作製される生成物を提供する。
本発明のさらなる利点は以下の説明において部分的に記載され、そしてその説
明から部分的に明らかであるか、または本発明の実施によって理解され得る。本
発明の利点は理解され、そして添付の請求の範囲で特に指摘された要素および組
合せによって達成される。上記の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が
、請求される本発明の単に例示かつ説明であり、そして本発明を限定するような
ものではないことが理解されるべきである。
添付する図面(これは、本明細書に援用され、そしてその一部を構成する)は
、説明と共に本発明のいくつかの実施態様を説明を示し、本発明の原理を説明す
るのに役立つ。
図面の簡単な説明
図1は、TARクローニング法を使用するYACとしてのヒトDNAの単離を示す。酵
母のスフェロプラストをM1およびM2遺伝子マーカーを含むベクターと共にヒトDN
Aを用いて形質転換する。ヒトDNAおよびベクターの黒塗り区画は反復Alu(また
はLINE)配列に一致する。同時浸入に続いて、YACはヒトDNAおよびベクターにお
ける反復配列間での組換えによって作製される。
図2はTARクローニング法によって作製したYACのAluプロフィールを示す。こ
のプロフィールは、18個の無作為に選択したクローン由来のTaqI消化DNAとのBLU
R13プローブのハイブリダイゼーションによって生成される。レーン7は宿主酵
母系統のDNAに対応する;レーン20は、λDNAラダー(lambda DNA ladder)に
対応する。
図3は、TARクローニングによって得たYACのサイズ分布を示す。2つのベクタ
ーとのヒトDNAの同時形質転換によって単離したYAC(33個のYAC;斜線付き棒)
は、HIS3およびTRP1マーカーを有する。ARSを欠失する単一のHIS3ベクターとの
同時形質転換によって得た82個のYAC(黒塗り棒)についての結果もまた示す。
図4は、単一染色体細胞株CY18からTARクローニングによって開発した20の無
作為に選択したヒトYACの物理的特徴付けを示す。図4Aにおいて、YACを含むクロ
ーンから単離した染色体サイズDNAを臭化エチジウムで染色した。YACの位置を矢
印で示す。図4Bにおいて、YACは標識ヒトDNAプローブで同定された。
図5は、ハイブリダイゼーションプローブとして全YAC DNAを使用するFISHマ
ッピングによって生成されるシグナルの分布を示す第16染色体のイデオグラムを
示す。一次シグナルを第16染色体上の一次シグナルとして定義するか、または二
次部位もまた第16染色体に見られる場合には細胞の最も高い比率で陽性である部
位を一次シグナルとして定義する。黒塗り円および白抜き円は、それぞれ一次部
位および二次部位に対応する。1つのYACが「複数」の位置でハイブリダイズし
た。
図6はTARクローニング法を使用する環状YACとしてのヒトDNAの単離を示す。
(A)TARクローニングベクター。Alu、LINE、またはMER配列を含むpVC39-AAH4
、-AAT3、-AAH2、-MAH8、-MAH10、および-LAH2ベクターを示す。CEN6=セントロ
メ
ア;AmpR=アンピシリン耐性遺伝子。(B)TARクローニングの概要。酵母スフェ
ロプラストをTARクローニングベクターとともにヒトDNAで形質転換する。ベクタ
ーおよびヒトDNAにおける反復間の組換えが環状YACの樹立を導く。ヒトDNAおよ
びベクターにおける黒塗り区画は反復Alu、LINE、またはMER配列である。
図7は、全ヒトDNAからTARクローニングによって開発した5つの無作為に選択
した環状ヒトYACの物理的特徴づけを示す。染色体サイズDNAを、TAFEゲル電気泳
動によって分離し、そしてヒトDNAプローブとブロットハイブリダイズさせた。
開始ウェルの位置に位置づけられる強いシグナルは環状YACに対応する(レーン
2、4、6、8、および10)。線状分子に対応するバンドもまた検出された。ヒ
トYACを有するプラグの照射によって、YACの線状形態に対応するバンドの出現を
生じた(レーン3、5、7、9、および11)。
図8は、TAFEによる染色体酵母DNAからの環状DNAの分離を示す。(A)染色体
サイズDNAを臭化エチジウムで染色している。レーン2は最初のTAFE泳動後ウェ
ルから単離し、NotIで処理し、そして再びTAFE電気泳動に供した550kb環状YACに
対応する。レーン1は、λ-DNAサイズマーカーを有する;レーン3および4は、
NotIで処理した酵母DNAに対応する。(B)線状化YACはヒトDNAと同一である。
図9は、第16染色体を含むヒトハイブリッド細胞株由来のTARベクターpVC39-A
AH2によって生成された環状YACのサイズ分布を示す。110個のYACについての結果
が示される。
図10は、5MbのヒトDNAフラグメントを含むハムスター放射線照射ハイブリッド
細胞株
由来のTARクローニング法によって作製したYACのAluプロフィールを示す。プロ
フィールを、形質転換体から単離したTaqI消化DNAとの82bp Aluプローブのハイ
ブリダイゼーションによって生成した。
図11は、単一のテロメア含有TARクローニングベクターによって生成されるYAC
の物理的分析を示す。(A)同一の形質転換体由来の3つのサブクローン由来の
染色体サイズDNAをTAFEに供し、そしてヒトDNAとブロットハイブリダイズさせた
。(B)同一のサブクローン由来のYACのAluプロフィール。(C)同一のサブク
ローン由来のDNAをClaI、EcoRV、NotI、またはSfiIのいずれかで消化し、電気泳
動
し、そしてベクターに独特であるプローブとハイブリダイゼズさせた。
図12は、酵母における高コピー増殖のために酵母2μ、酵母選択マーカー(M
)、E.coli起点(ori)、抗生物質選別(AB)、ならびに酵母CSM(対抗選択マ
ーカー)および消化後に平滑末端を生成する独特の制限酵素部位(RE)を含むス
タッファーフラグメント(SF)に隣接するTAR(5'HOMおよび3'HOM;目的のDNAに
5'上流および3'下流の相同性)を含むを含む環状TARクローニングベクター。
図13は、対抗選択マーカを含むTARクローニングベクターへのGALIプロモータ
ーを含むDNAおよびURA3遺伝子のTARクローニングの実験的な設計を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、本発明の好適な実施態様の以下の詳細な説明およびその中に含まれ
る実施例ならびに図面およびそれらの上記の説明および以下の説明への参照によ
ってより容易に理解され得る。
本発明の方法および組成物を開示し、そして記載する前に、本発明は特定の方
法、特定のベクター、または他の特定の試薬に限定されない(これらは、もちろ
ん、変え得るので)ことが理解されるべきである。本明細書中で使用される専門
用語は特定の実施態様のみを記載する目的のためのものであり、そして制限的あ
ることは意図されないことも理解されるべきである。
明細書および添付の請求の範囲で使用されるように、単数形態「a」、「an」
、および「the」は、文脈が他に支持しない限り、複数の対象を含むことが留意
されなければならない。従って、例えば、複数のコピーの核酸が、必然的に、請
求の範囲において使用されるように「核酸」を含む。
用語「核酸」は、当業者によく知られている用語であり、そして本明細書中で
任意の核酸を記載するために使用される。従って、この用語には、DNAおよびRNA
、ならびにDNAおよびRNAの混合物が含まれる。この用語には一本鎖DNAおよび一
本鎖RNA、ならびに二本鎖DNAおよび二本鎖RNAならびに二本鎖核酸分子の混合物
もまた含まれれる。異なる型の核酸のハイブリッドもまた含まれる。例えば、一
本鎖分子は同一の核酸鎖内のデオキシリボ核酸およびリボ核酸を含むか、または
ハイブリッド分子はDNAの鎖にハイブリダイズしたRNAの鎖を含み得る。例えば、
RN
A分子の逆転写によて合成される。
用語「選択マーカー」は、当業者によく知られている用語であり、そして発現
される場合、選択マーカーを含む細胞について選択するために使用され得る任意
の遺伝的部分を記述するために本明細書中で使用される。これは、代表的には、
発現される場合、その核酸を含む生物がその化合物を含む培地中で生存すること
を可能にする化合物に抵抗性を与える遺伝子をコードする核酸を含む。これらの
選択マーカーの例には、代表的には、抗生物質(例えば、テトラサイクリンまた
はアンピシリン)に抵抗性を与える遺伝子が挙げられる。
あるいは、用語「選択マーカー」はまた、選択マーカーを含む生物が特定の代
謝産物を含まない培地中で増殖および生存するのに必要な代謝産物の合成を少な
くとも部分的に担うタンパク質をコードする核酸の使用を意図する。例えば、酵
素イミダゾールグリセロリン酸デヒドラターゼをコードする選択マーカーHIS3は
、生物(特に、酵母)が、ヒスチジンを欠失する培地で増殖および生存すること
を可能にする。
用語「核酸集団」はまた、当業者によく知られている用語であり、そして核酸
の混合物を記述するために本明細書中で使用される。この核酸集団には複数のコ
ピーの単一の核酸(例えば、同一の核酸鋳型から複数コピーの同一の核酸が増幅
されるか、複製されるか、または転写される)を含み得る。本明細書中で使用さ
れる用語「核酸集団」は、核酸の均質な混合物および核酸の不均質な混合物を含
む。従って、この核酸集団は、異なる核酸の混合物(例えば、核酸集団が異なる
核酸を含む場合生物由来のDNAまたはRNAの調製物の調製物)を含み得る。生物由
来の核酸の混合物の集団は、その特定の生物内で代表的に見出される核酸、なら
びにその生物内で代表的は見出されない核酸、すなわちその生物にとって外来性
である核酸を含む。例えば、この核酸の混合集団はある種の細胞株が別の生物由
来の核酸を含み得るハイブリッド細胞株由来であり得る。この外来性核酸は、エ
ピソームまたは自律的に複製する核酸のように染色体外で見出され得るか、また
は外来核酸の宿主細胞核酸への組み込みのように生物のゲノム内に組み込まれ得
る。あるいは、外来核酸は、それ自身、生物内では通常見出されない染色体(例
えば、酵母人工染色体)を含み得る。
用語「核酸の混合集団」もまた、当業者によく知られた用語であり、そして核
酸の不均質な混合物を記述するために本明細書中で使用される。上記のように、
生物がその生物内で代表的に見出される核酸を含む場合、もしくは生物がその生
物内で代表的には見出されない核酸を含む場合、または両方の場合、この混合集
団は、生物由来の核酸の調製物から生じ得る。あるいは、当業者は、核酸の混合
集団がインビトロの方法(例えば、細胞由来のRNA集団のインビトロ転写または
異なる核酸の単なる組み合わせ)から生じ得ることを理解する。
用語「対抗選択マーカー」はまた、当業者によく知られた用語であり、そして
対抗選択マーカーを含まない細胞について選択するために使用され得る表現型マ
ーカーを記述するために本明細書中で使用され得る。例えば、対抗選択マーカー
は、細胞において含まれそして発現される場合、対抗選択マーカーを含まず、そ
して発現しない細胞よりゆっくりその細胞を増殖させ得る。このような対抗選択
の代表的な例は、サプレッサーtRNAをコードする核酸をコードするSUP11である
。この対抗選択マーカーをコードする核酸が細胞内で高プラスミドで発現される
場合、生じるtRNA、例えば、SUP11核酸を含み、そして発現する酵母細胞を不十
分に増殖させるか全く増殖させない。対抗選択マーカーの他の例には、LYS2およ
びURA3が挙げられる。LYS2マーカーの欠失は、α-アミノアジペート(adipate)
に対する抵抗性と関連し、そしてURA3マーカーの欠失は5flouro-オロト酸に対す
る耐性と関連する。
この対抗選択マーカーはまた、呈色選択手順を含み得る。これらの呈色選択系
は、当業者に明らかであり、そしてそのマーカーを含みそして発現する細胞のよ
り迅速な同定を可能にする。例えば、ade2-101ナンセンス変異を有する細胞での
低コピープラスミドでのSUP11の発現は、その細胞に白色の表現型を表させる。S
UP11対抗選択マーカーが発現されない場合(例えば、組換えによって)、それら
の細胞は赤色の表現型を表す。異なる対抗選択マーカーの組合せ(例えば、SUP1
1/ade2結合系)が同時に使用され得ることは当業者に明らかである。
本発明の目的に従って、本明細書中で具体化され、そして広く記載されるよう
に、本発明は、1つの局面において、核酸集団およびベクターを酵母の細胞に導
入する工程を包含する、酵母人工染色体を作製する方法に関する。ここで、ベク
ターは酵母セントロメア、選択マーカー、酵母テロメア、および核酸集団内の核
酸領域と組換え得る配列を含み;それによってインビボ組換えが酵母人工染色体
を生じさせる。
ベクターの成分(例えば、酵母セントロメアおよび酵母テロメア)は、当業者
に周知である。これらの核酸部分は、酵母人工染色体(YAC)の構築において以
前に使用されてきた。例えば、種々のYAC構築物の一般的な議論についてはSchle
ssinger,D.を参照のこと。(「Yeast artificial chromosomes:tools for mapp
ing and analysis of complex genomes」Trends in Genetics 6:248-264(1990)
)。さらに、ベクターは複製起点(ARS、自律複製配列)をさらに含み得る。ベ
クターが複製起点を含まない場合、このようなARS配列またはARS様配列は、ベク
ターと組換え、そしてYACの一部であり、それによって複製の能力をYACに与える
核酸から起こり得る。あるいは、ARS配列はベクターおよびベクターと組換え、
そしてYACの一部である核酸の両方内であり得る。
酵母人工染色体は、形質転換関連組換えについての酵母細胞能力を介して作製
され得る。ベクターおよび核酸が酵母細胞に導入される場合、組換えはベクター
上の配列と組換え得る核酸上の配列または領域との間で生じる。例えば、本明細
書に含まれる実施例に開示されるように、核酸集団内の核酸領域と組換え得るベ
クター上の配列は反復配列(例えば、Alu反復)を含み得る(Watsonら、「Recom
binant DNA」第2版W.H.FreemanおよびCo.,New York,1992によるDist.を参照
のこと)。従って、核酸の混合集団内の核酸領域と組換え得るベクターの配列は
、核酸集団内の核酸上の反復配列と組換える。
核酸集団内の核酸領域と組換え得るベクター上の配列が短い散在反復エレメン
ト(SINES)(例えば、Alu反復)を含む場合、ベクター上の配列と核酸上の類似
の配列との間の組換えは核酸上の複数の部位のいずれか1つであり得る。例えば
、特定の生物(例えば、ヒト)由来の核酸集団が複数のAlu反復を含み得、そし
てAlu反復を含むベクター上の配列と核酸集団内の核酸上のAlu反復またはAlu様
反復配列との間の組換えは、その核酸上の種々の部位で生じ得る。
核酸集団内の核酸領域と組換え得るベクター上の配列は、これが組換える配列
から分岐し得る。酵母における組換えが組換え配列間で完全な相同性を必要とし
ないことは周知である。例えば、Larionovら(組換え効率における5倍未満の低
減(ここで、形質転換関連組換えが完全に相同性の配列と比較して約15%配列分
岐を有する配列間で生じる)を証明する)を参照のこと。(「分岐DNA反復と相
同DNA反復間の形質転換関連組換えは、鎖切断により誘導される」Yeast 10:9301
04(1994))。Mezardら(ここで、27%分岐を有する同時形質転換分子間での組換
えが観察された)もまた参照のこと。(「酵母形質転換間の類似するが同一でな
いDNA配列間の組換えは、同一性の短い範囲内で生じる」Cell 70:656-670(1992)
)。
同じ細胞でさえ反復配列において分岐があることは周知である(Batzerら、「
物理的マッピングのための共通Alu反復プローブ」Genet.Anal.Tech.Appl.11:34-
38(1994))。個体のゲノムにおけるAlu反復は、互いに約80%の相同性(Watson
ら)を示し得る。従って、当業者は、核酸集団内の核酸領域と組換え得るベクタ
ー上の配列が、異なる供給源由来の核酸との組換え反応に使用され得ることを理
解する。これは、異なる供給源に由来する酵母人工染色体を、それらの供給源の
各々に由来する核酸と組換え得るベクターを用いて作製することを可能にする。
他の反復は、同様に本発明の方法において使用され得る。例えば、LINE配列は
、全てではないにしても、ほとんどの動物に存在する反復配列ファミリーを含む
。(Smithら「祖先伝来の哺乳動物に広範囲なLINE-1反復配列のサブファミリー
」J.Mol.Biol.246:401-417(1996))。この特定の反復ファミリーは、それらのサ
ブファミリーの各々の各メンバーに由来する酵母人工染色体の構築のための本発
明の方法に使用され得る、L1ファミリー内の少なくとも47の異なるサブファミリ
ーを含む。さらに、特定の生物とは異なる反復配列を使用して、その特定の生物
に由来する核酸を含む酵母人工染色体を作製し得る。例えば、げっ歯類B1反復は
、多くのB1反復に相同な配列または似ている配列を使用することによりげっ歯類
核酸を含む酵母人工染色体を構築するために使用され得る。(例えば、Zietkiew
iczら「げっ歯類B1エレメントのモザイク進化」J.Mol.Biol.42:66-72(1996)、Ju
rkaら、Nucl Acids Res.21:1273-1279(1993)(ヒトMER反復配列の議論について
)、およびCoxら、Genomics 10:375-384(1991)(マウスB2反復の議論について)を
参照のこと)。
核酸集団内の核酸領域と組換え得るベクター上の配列はまた、独特な核酸上の
領域と組換え得る。従って、核酸集団内の核酸上でハイブリダイズする配列は、
その核酸に独特であるか、または組換え領域の1つのみで独特であり得る。
核酸集団内の核酸領域と組換え得るベクター上の配列はまた、独特の配列とも
反復配列とも考えられない核酸上の領域と組換え得る。例えば、当業者は、遺伝
子の種々の領域が種々の程度の相同性の配列(例えば、プロモーター配列および
種々の調節配列)を含むことを容易に理解する。これらの配列はまた、核酸集団
内の核酸領域と組換え得るベクター上の配列として利用され得る。
同様に、核酸集団内の核酸領域と組換え得るベクター上の配列は、比較的ラン
ダムな配列を含む核酸上の領域と組換え得る。本発明の方法は、酵母人工染色体
構築の新規の方法を示し、そして核酸集団内の核酸領域と組換え得るベクター配
列により限定されない。
核酸集団内の核酸領域と組換え得るベクター上の配列は、核酸上のどの領域と
も組換え得る。例えば、ベクター配列は、その核酸の比較的内部の核酸領域、ま
たはその核酸の比較的末端の核酸領域と組換え得る。本明細書中に含まれる実施
例において議論されるように、組換えのためのベクターおよび核酸の両方に好ま
しい領域は末端領域であるが、ベクター上の配列がベクター内部の300塩基であ
った核酸の形質転換頻度は、この配列がベクターの末端にある場合とほぼ同じで
あった。
核酸集団内の核酸領域と組換え得るベクター上の配列のサイズは、本発明の方
法を用いて組換え得る任意の長さの配列であり得る。例えば、本明細書中に含ま
れる実施例において議論されるように、核酸集団内の核酸領域と効率的に組換え
たベクター上の配列は、Alu反復の45bpフラグメントからなった。本明細書中に
含まれる実施例もまた、32bpと697bpとの間の相同性の組換え領域を含むベクタ
ーを用いた核酸の効率的なTARクローニングを記載する。従って、当業者が本発
明の方法を実施し得るベクター上の組換え領域のサイズの範囲は広い。核酸と組
換え得るベクター上の配列の正確なサイズは、本明細書中に含まれる実施例に限
定されない。なぜなら、例のみであり、そして限定することが意図されないから
である。本明細書中に開示される情報および実施例で、当業者は、任意の数の異
なる核酸集団および任意の数のベクターを用いて任意の数の異なる系において本
発明の方法を実施し得る。
本発明により提供される方法のベクターは、酵母セントロメア、選択マーカー
、酵母テロメア、および核酸集団内の核酸領域と組換え得る配列を含む。さらに
、ベクターは酵母複製起点(例えば、ARS)を含み得、その結果、核酸集団内の
核酸は、それらの核酸がARSまたはARSとして機能し得る領域を含むか否かから独
立して酵母人工染色体構築のために標的化され得る。ベクターがさらに酵母複製
起点を含む場合、本発明の方法を用いて作製された酵母人工染色体は、酵母人工
染色体の残りを形成する核酸が複製起点を含んでも含まなくても、酵母細胞にお
いて複製し得る。
ベクター上のエレメントの順番は変化し得るが、酵母テロメアは遠位末端に配
置されるベきであり、そして核酸集団内の核酸領域と組換え得る配列は近位末端
にあるべきである。ベクター内の選択マーカーおよび酵母セントロメアの相対的
位置は、それらが除去されないか、または組換え事象により不活化されない限り
、変化し得る。
本発明により提供される方法のベクターは、さらに、対抗選択マーカーを含み
得る。上記で議論されるようなこの対抗選択マーカーは、ベクターと核酸集団内
の核酸との間の組換えが生じたか否かを、一般的に、組換えが生じなかった酵母
細胞内でのベクター増殖を制限することにより決定することを可能にする。従っ
て、対抗選択マーカーは、好ましくは、組換えの結果としてベクターから除去さ
れるか、または不活化される。この対抗選択マーカーは、好ましくは、核酸集団
内の核酸領域と組換え得るベクター上の配列に隣接する。しかし、この対抗選択
マーカーは、組換えの結果としてのその除去またはその不活化を可能にする任意
の位置でベクター上に配置され得る。
本発明は酵母人工染色体を作製する方法を提供し、ここで核酸集団および2つ
のベクターは、核酸集団およびベクターの酵母細胞への導入前に組み合せられ得
る。しかし、核酸集団およびベクターは核酸集団およびベクターの酵母細胞への
導入前に組み合せられ得るか、または核酸およびベクターは、酵母細胞に連続的
に添加され得る。本発明の特定の実施態様において、ベクターおよび核酸は、そ
れらの酵母細胞への導入前に組み合せられる。
本明細書中に含まれる実施例に記載されるように、少なくとも酵母テロメアを
含む1つのベクターを用いたこの組換え反応は、酵母人工染色体の1つの末端に
、このベクターの少なくとも一部、従って1つのテロメアを有する酵母人工染色
体の最初の形成をもたらす。この方法により形成される酵母人工染色体はそれぞ
れ、最初に酵母人工染色体の1つの末端にテロメアを含み、これらの酵母人工染
色体は、特定の酵母人工染色体に対する欠失体ファミリーを生成し、それにより
酵母人工染色体欠失変異体のライブラリーを作成するために使用され得る。
本発明はまた、酵母細胞に核酸集団ならびに1)酵母セントロメア、酵母テロ
メア、および核酸集団内の核酸領域と組換え得る第1の配列を含む第1のベクタ
ー、および2)酵母テロメアおよび核酸集団内の核酸領域を組換え得る第2の配
列を含む第2のベクターを導入する工程を含む酵母人工染色体を作製する方法を
提供する。;そしてここで、ベクターの少なくとも1つは選択マーカーを含み、
それによりインビボ組換えが酵母人工染色体を生じさせる。
本明細書中に含まれる実施例に記載されるように、2つのベクター(各々少な
くとも1つの酵母テロメアを含む)を用いたこの組換え反応は、酵母人工染色体
の1つの末端に1つのベクターの少なくとも一部、従って1つのテロメア、およ
び酵母人工染色体のもう1つの末端にもう1つのベクターの少なくとも一部、従
ってもう1つのテロメアを有する酵母人工染色体の形成をもたらす。この方法に
より形成される酵母人工染色体の各々は、酵母人工染色体の各末端にテロメアを
含むので、これらの酵母人工染色体は比較的安定であり、そして末端分解に耐性
である。
本方法は、酵母セントロメア、酵母テロメア、および核酸集団内の核酸領域と
組み合せ得る第1の配列を含む第1のベクター、ならびに酵母テロメアおよび核
酸集団の核酸領域と組換え得る第2の配列を含む第2のベクターを含む。
第1の配列および第2の配列は、反復配列(例えば、Alu反復、L1エレメント
、または任意の他の反復配列)を含み得、ここでこれらの第1および第2の配列
が核酸集団内の核酸上の反復配列と組換え得る。
単一のベクター上の配列について上記で議論されたように、第1のベクターの
第1の配列および第2のベクターの第2の配列は、これらの配列と核酸集団内の
核酸領域との間の組換えを可能にするベクター上のどこでも配置され得る。
核酸領域と組換え得る第1の配列および核酸領域と組換え得る第2の配列は同
じ配列を含み得るか、またはそれらの配列は異なり得る。例えば、第1の配列は
Alu反復を含み得、そして第2の配列はL1エレメントを含み得る。あるいは、第
1の配列はAlu反復を含み得、そして第2の配列もまたAlu反復を含み得るが、こ
れらの2つの反復は互いに分岐し得る。この分岐はまた、1つのベクター上の反
復および第2のベクター上の類似した反復のような配列を含み、ここでこれらの
反復のうちの1つはもう1つの反復のフラグメントを含む。例えば、1つの配列
は完全なAlu反復を含み、ここでもう1つの配列は同じ反復の一部のみを含む。
上記で議論されるように、Alu反復のような反復が同じ反復ファミリー内で分岐
を示すことは当該分野で広く公知であり、従って両方の配列はAlu反復であり得
るが、それらの配列は互いに分岐し得る。
第1の配列および第2の配列はまた反復配列以外の配列を含み得るか、または
2つの配列は、反復配列および非反復配列の組み合わせであり得る。当業者は、
本発明の方法を実施するための、第1の配列または第2の配列のいずれかに対し
て使用され得る配列の組み合せの数を容易に認識する。
第1の配列および第2の配列のサイズはまた変化し得る。本明細書中に含まれ
る方法および方法の説明を用いて、当業者は、それらの特定の系の効率を最大に
するために、容易に第1の配列および第2の配列のサイズを決定し得る。
本発明はまた、2つのベクターを用いた酵母人工染色体を形成する方法を含み
、ここで核酸領域と組換え得る第1の配列および核酸領域と組換え得る第2の領
域は、それらが組換える配列から分岐している。従って、ベクター上の配列は、
核酸集団内の核酸上の完全に相同な配列との組換えに限定されない。上記で議論
されるように、酵母における組換えが組換え配列間で完全な相同性を必要としな
いことは周知である。従って、本発明の方法は、ベクター上の配列と核酸領域と
の間の特定のパーセント相同性に限定されない。
本方法は、酵母セントロメア、酵母テロメア、および核酸集団内の核酸領域と
組換え得る第1の配列を含む第1のベクター、ならびに酵母テロメアおよび核酸
集団内の核酸領域と組換え得る第2の配列を含む第2のベクターを含み、ここで
ベクターの少なくとも1つは選択マーカーをさらに含む。従って、選択マーカー
は、第1のベクターまたは第2のベクターのいずれかに配置され得る。
特定の実施態様において、第1のベクターおよび第2のベクターの両方は選択
マーカーを含む。第1のベクター上の選択マーカーは、第2のベクターとは異な
るマーカーであり得るか、または両方のマーカーは同じであり得る。
本発明により提供されるような2つのベクターを用いた酵母人工染色体を作製
する方法は、酵母セントロメア、選択マーカー、酵母テロメア、および核酸集団
内の核酸領域と組換え得る配列を含む第1のベクター、ならびに酵母テロメアお
よび核酸集団内の核酸領域と組換え得る第2の配列を含む第2のベクターを含む
。1つの実施態様において、ベクターは、酵母複製起点(例えば、ARS)をさら
に含み、その結果核酸集団内の核酸は、それらの核酸がARSまたはARSとして機能
し得る領域を含むか否かから独立して酵母人工染色体構築のために標的化され得
る。ベクターがさらに酵母複製起点を含む場合、本発明の方法を用いて作製され
た酵母人工染色体は、酵母人工染色体の残りを形成する核酸が複製起点を含んで
も含まなくても、酵母細胞において複製し得る。
別の特定の実施態様において、第1のベクターまたは第2のベクターのいずれ
かは、対抗選択マーカーをさらに含む。従って、この対抗選択マーカーは、第1
のベクターまたは第2のベクターのいずれかに配置され得る。上記で議論される
ように、対抗選択マーカーは、好ましくは、組換えの結果としてベクターから除
去されるか、または不活化される。この対抗選択マーカーは、好ましくは、核酸
集団内の核酸領域と組換え得るベクター上の配列に隣接する。しかし、この対抗
選択マーカーは、組換えの結果としてのその除去またはその不活化を可能にする
任意の位置でベクター上に配置され得る。
本発明の方法は、酵母細胞への核酸集団ならびに第1のベクターおよび第2の
ベクターの導入を記載する。しかし、核酸集団およびベクターは、核酸集団およ
びベクターの酵母細胞への導入前に組み合わされ得るか、または核酸およびベク
ターは、酵母細胞に連続的に添加され得る。本発明の特定の実施態様において、
ベクターおよび核酸は、それらの酵母細胞への導入前に組み合わされる。
別の局面において、本発明は、核酸集団およびベクターを酵母細胞へ導入する
工程を含む環状酵母人工染色体を作製する方法を提供し、ここでベクターは、酵
母セントロメア、選択マーカー、および核酸集団内の核酸領域と組換え得る少な
くとも2つの配列を含み;これによりインビボ組換えは、環状酵母人工染色体を
作製する。
環状酵母人工染色体を作製する本方法は、酵母セントロメア、選択マーカー、
および核酸集団内の核酸領域と組換え得る少なくとも2つの配列を含むベクター
を利用する。組換えがベクターと核酸との間で生じる場合、核酸は核酸と組換え
得る少なくとも2つの配列間で効果的に組込んで、環状酵母人工染色体を形成す
る。
以前に議論されたように、核酸集団内の核酸領域と組換え得る配列は、同じ配
列を含み得るか、またはこれらの配列は異なり得る。配列が同じであるか、また
はそれらが異なる場合、2つ以上の同一または異なる配列は、単一反復の分裂に
より生成され得る。例えば、環状プラスミドは単一Alu反復のような配列を含み
得、これは制限酵素で消化された場合、各末端にその反復の一部を有する線状プ
ラスミドをもたらす。より大きなAlu反復に由来するAlu反復の1つを超える部分
を生成する本方法の例は、本明細書中に含まれる実施例に記載される。
核酸領域と組換え得るベクター上の配列は、反復配列(例えば、Alu反復、L1
エレメント、または任意の他の反復配列)を含み得、ここでこれらの配列は、核
酸集団内の核酸上の反復配列と組換え得る。
これらの配列は、核酸領域と組換え得る任意の配列を含み得る。従って、1つ
の配列は反復配列を含み得、そして残りの配列は非反復配列を含み得るか、また
は全ての配列は非反復配列もしくはその任意の他の組み合わせを含み得る。
以前に議論されたようなこれらの配列はまた任意のサイズであり得、そしてそ
れらは、環状酵母人工染色体を作製するために核酸領域と組換え得るベクター上
の任意の位置に配置され得る。さらに、これらの配列は、それらが組換える核酸
上の配列から分岐し得、そしてそれらは、核酸内の1または任意の数の配列と組
換え得る。
特定の実施態様において、本発明は、1つのベクターを用いて環状酵母人工染
色体を作製する方法を提供し、ここでベクターは、酵母複製起点(例えば、ARS
)をさらに含み、その結果核酸集団内の核酸は、それらの核酸がARSまたはARSと
して機能し得る領域を含むか否かから独立して環状酵母人工染色体構築のために
標的化され得る。ベクターがさらに酵母複製起点を含む場合、本発明の方法を用
いて作製された環状酵母人工染色体は、酵母人工染色体の残りを形成する核酸が
複製起点を含んでも含まなくても、酵母細胞において複製し得る。
別の特定の実施態様において、本発明は、対抗選択マーカーをさらに含むベク
ターを用いて環状酵母人工染色体を作製する方法を提供する。上記で議論される
ようなこの対抗選択マーカーは、ベクターと核酸集団内の核酸との間の組換えが
生じたか否かを、一般的に、組換えが生じなかった酵母細胞内でのベクター増殖
を制限することにより決定することを可能にする。従って、対抗選択マーカーは
、好ましくは、組換えの結果としてベクターから除去されるか、または不活化さ
れる。この対抗選択マーカーは、好ましくは、核酸集団内の核酸領域と組換え得
るベクター上の配列に隣接する。しかし、この対抗選択マーカーは、組換えの結
果としてのその除去またはその不活化を可能にする任意の位置でベクター上に配
置され得る。
本発明は、環状酵母人工染色体を作製する方法を提供し、ここで核酸集団およ
びベクターは、核酸集団およびベクターの酵母細胞への導入前に組み合せられ得
る。しかし、核酸集団およびベクターは核酸集団およびベクターの酵母細胞への
導入前に組み合せられ得るか、または核酸およびベクターは、酵母細胞に連続的
に添加され得る。本発明の特定の実施態様において、ベクターおよび核酸は、そ
れらの酵母細胞への導入前に組み合せられる。
別の実施態様において、本発明は、核酸の混合集団およびベクターを酵母細胞
に導入する工程を含む、核酸の混合集団から選択された挿入核酸を有する酵母人
工染色体を作製する方法を提供し、ここでベクターは、酵母セントロメア、選択
マーカー、酵母テロメア、および核酸の混合集団内の選択された挿入核酸領域と
組換え得る配列を含み;これによりインビボ組換えは、選択された挿入核酸を有
する酵母人工染色体を作成する。
この選択方法は、核酸の混合集団からの特定の型の核酸挿入物を有する酵母人
工染色体の構築に指向される。例えば、本明細書中に含まれる実施例に記載され
るように、本発明の方法は、特に、例えば1を超える型または種の核酸を含む核
酸集団に由来する、特定の型または種の核酸、ヒトを含む酵母人工染色体を作製
することを可能にする。この核酸の混合集団は、異なる供給源に由来する独立し
た核酸の混合物を含む(例えば、マウス核酸調製物とヒト核酸調製物との組み合
せ、または種々の型の生物に由来する染色体が自律したままであるハイブリッド
細胞に由来する核酸の単離)。
核酸の混合集団はまた、別の供給源に由来する核酸に隣接した1つの供給源に
由来する核酸自身である核酸を含む。この「ハイブリッド」核酸は、例えば、1
つの供給源に由来する核酸と別の供給源に由来する核酸とを組み合せて、2つの
異なる核酸のハイブリッドである核酸分子を形成することにより形成された核酸
を含み得る。これらのハイブリッドは、例えば、別の生物に由来する核酸と組み
合せた1つの生物に由来する核酸を含み得、ここで2つの供給源に由来する核酸
は今や同じ分子の一部である。ハイブリッド細胞株(例えば、ヒト-ハムスター
細胞株)から以前に形成された酵母人工染色体は、同じ核酸分子内にハムスター
に独特に核酸およびヒトに独特の核酸を含み得る;ハイブリッド酵母人工染色体
。当業者は、容易に、得られ得る異なるハイブリッド核酸の数を認識する。例え
ば、ハイブリッド染色体を含むハイブリッド細胞株、ゲノムライブラリー、cDNA
ライブラリー、ハイブリッド酵母人工染色体、ハイブリッドBAC、ハイブリッドP
AC、外来核酸を保持するゲノム核酸または染色体外核酸(例えば、ウイルスまた
はトランスポゾン)、および種々のインビトロ構築されたハイブリッド核酸は、
このようなハイブリッド核酸の代表的な例である。好ましい実施態様において、
1つのベクターを用いて酵母人工染色体を作製する方法は、ハイブリッド核酸を
含む核酸集団から選択された挿入核酸を有する酵母人工染色体を作製する工程を
含む。
本発明により提供される方法はまた、特定の染色体の特異的領域を標的化する
ことを可能にし得る。例えば、染色体領域が例えば「遺伝子パフ」を用いて増幅
される場合、その領域内の核酸は、代表的なコピー数より何倍ものコピーに増幅
される。従って、増幅される核酸領域は、以前にランダム配列またはゲノム内の
独特もしくは希ないずれかの配列のいずれかであり得た配列の多くのさらなるコ
ピーを含む。従って、これらの配列は本発明の方法により標的化されて、それら
の増幅領域を選択的にクローニングし得る。
本発明は、選択された核酸挿入物の領域と組換え得る配列を含む単一ベクター
を用いて選択された挿入核酸を有する酵母人工染色体を作製する方法を提供する
。選択の特異性は、選択された核酸挿入物の領域と組換え得るベクターの配列に
由来する。例えば、ベクター配列が特定の生物に独特の配列を含む場合、ベクタ
ーを用いて作製された酵母人工染色体は、ベクター配列と組換え得る配列を含む
生物に由来する核酸挿入物を選択的に含む。本明細書中に含まれる実施例に記載
されるように、この選択方法を使用して、核酸の混合集団から特定の型または種
の核酸を選択するか、または「富化」し得る。核酸の混合集団内の核酸領域と組
換え得るベクター上の配列は、反復配列(例えば、Alu配列)を含み得る。好ま
しい実施態様において、選択された挿入核酸領域と組換え得るベクター上の配列
は、核酸の混合集団内の選択された挿入核酸上の反復配列と組換える。他の種−
特異的反復配列(例えば、ヒト反復、げっ歯類反復、および植物反復)の任意の
数があり、当業者が容易に認識するものが、特定の型または種の核酸について選
択するために本明細書中に提供される方法において使用され得る。任意の反復ま
たは任意の他の種独特の配列は、選択された挿入核酸を含む酵母人工染色体を作
製するために本発明の方法において使用され得る。
核酸の混合集団内の核酸領域と組換え得るベクターの配列は、選択的な組換え
配列を含むために、その配列およびベクター上のその配列のためのその種のみに
独特である必要はない。例えば、組換え配列が1を超える種に存在する場合、当
業者は、選択された核酸種以外の混合物中の核酸がベクターの配列と組換え得る
実質数の同様の配列を含まない限り、選択された挿入核酸を含む酵母人工染色体
が核酸の混合集団から作製され得ることを容易に認識する。従って、特定の種の
核酸について選択する配列は、核酸の特異的混合集団において選択的であること
のみを必要とする。
特定の実施熊様において、本発明は、1つのベクターを用いて核酸の混合集団
から選択された挿入核酸を有する酵母人工染色体を作製する方法を提供し、ここ
で選択された核酸は選択された種型である。この種型は、任意の核酸種(例えば
、
植物核酸、げっ歯類核酸、ヒト核酸、または核酸配列が特定の核酸配列について
選択し得る任意の他の核酸)であり得る。本発明の好ましい実施態様において、
選択される種型はヒトである。
以前に議論されたように、ベクター配列はまた、組換え得る任意のサイズであ
り得、そして選択された挿入核酸を有する酵母人工染色体を作製するために、そ
れが核酸の領域と組換え得るベクター上の任意の位置に配置され得る。さらに、
配列は、それらが組換える核酸上の配列から分岐し得、そしてそれは、核酸内の
1つまたは任意の数の配列と組換え得る。
本発明はまた、選択された挿入核酸を有する酵母人工染色体を作製する方法を
提供し、ここで核酸の混合集団およびベクターは、核酸の混合集団およびベクタ
ーの酵母細胞への導入前に組み合わされ得る。しかし、核酸の混合集団およびベ
クターはまた、酵母細胞に連続的に添加され得る。本発明の特定の実施態様にお
いて、ベクターおよび核酸は、それらの酵母細胞への導入前に組み合わされる。
別の局面において、本発明は、核酸の混合集団から選択された挿入核酸を有す
る酵母人工染色体を作製する方法であって、この方法は、核酸の混合集団、なら
びに1)酵母セントロメア、酵母テロメア、および核酸の混合集団内の選択され
た挿入核酸の領域と組み合せ得る第1の配列を含む第1のベクター、ならびに2
)酵母テロメアおよび核酸の混合集団内の選択された挿入核酸の領域と組み合せ
得る第2の配列を含む第2のベクターを酵母細胞に導入する工程を含み、そして
ここで、少なくとも1つのベクターは、選択マーカーをさらに含み;これにより
インビボ組換えが、選択された挿入核酸を有する酵母人工染色体を作製する方法
を提供する。
本明細書中に含まれる実施例に記載されるように、2つのベクター(各々少な
くとも酵母テロメアを含む)を用いたこの選択的組換え反応は、酵母人工染色体
の1つの末端に1つのベクターの少なくとも一部、従って1つのテロメアおよび
酵母人工染色体のもう1つの末端にもう1つのベクターの少なくとも一部、従っ
てもう1つのテロメアを有する酵母人工染色体の形成をもたらす。この方法によ
り形成された選択された酵母人工染色体の各々は、酵母人工染色体の各末端にテ
ロメアを含むので、これらの酵母人工染色体は比較的安定であり、そして末端分
解に耐性である。
本方法は、酵母セントロメア、酵母テロメア、および核酸の混合集団内の選択
された挿入核酸の領域と組換え得る第1の配列を含む第1のベクター、ならびに
酵母テロメアおよび核酸の混合集団内の選択された挿入核酸の領域と組換え得る
第2の配列を含む第2のベクターを含む。
上記で議論されるように、選択の特異性は、選択された挿入核酸の領域と組換
え得るベクターの配列に由来する。例えば、ベクター配列が特定の生物に独特の
配列を含む場合、ベクターを用いて作製された酵母人工染色体は、ベクター配列
と組換え得る配列を含む生物に由来する核酸挿入物を選択的に含む。本明細書中
に含まれる実施例に記載されるように、この選択方法を使用して、核酸の混合集
団から特定の型または種の核酸を選択するか、または「富化」し得る。
特定の実施態様において、本発明は、2つのベクターを用いて、核酸の混合集
団から選択された挿入核酸を有する酵母人工染色体を作製する方法を提供し、こ
こで選択された核酸は選択された種型である。この種型は、任意の核酸種(例え
ば、植物核酸、げっ歯類核酸、ヒト核酸、または核酸配列が特定の核酸配列につ
いて選択し得る任意の他の核酸)であり得る。本発明の好ましい実施態様におい
て、選択された種型はヒトである。
また上記で議論されるように、選択された挿入核酸は、ハイブリッド核酸を含
む集団内に存在し得る。好ましい実施態様において、2つのベクターを用いて酵
母人工染色体を作製する方法は、ハイブリッド核酸を含む核酸の集団から選択さ
れた挿入核酸を有する酵母人工染色体を作製する工程を含む。
以前に議論されたように、ベクター配列はまた、組換え得る任意のサイズであ
り得、そして選択された挿入核酸を有する酵母人工染色体を作製するために、そ
れらが核酸の領域と組換え得るベクター上の任意の位置に配置され得る。さらに
、配列は、それらが組換える核酸上の配列から分岐し得、そしてそれらは、核酸
内の1つまたは任意の数の配列と組換え得る。
第1の配列および第2の配列は、反復配列(例えば、Alu反復、L1エレメント
、または任意の他の反復配列)を含み得、ここでこれらの第1および第2の配列
が核酸の混合集団内の核酸上の反復配列と組換え得る。1つの実施態様において
、
選択された核酸の領域と組換え得る第1の配列は、核酸の混合集団内の選択され
た挿入核酸上の反復配列と組換える。別の実施態様において、選択された核酸の
領域と組換え得る第2の配列は、核酸の混合集団内の選択された挿入核酸上の反
復配列と組換える。なお別の実施態様において、選択された核酸の領域と組換え
得る第1の配列および第2の配列の両方は、核酸の混合集団内の選択された挿入
核酸上の反復配列と組換える。
選択された挿入核酸の領域と組換え得る第1の配列および選択された挿入核酸
の領域と組換え得る第2の配列は同じ配列を含み得るか、またはそれらの配列は
異なり得る。例えば、第1の配列はAlu反復を含み得、そして第2の配列はL1エ
レメントを含み得る。あるいは、第1の配列はAlu反復を含み得、そして第2の
配列もまたAlu反復を含み得るが、これらの2つの反復は互いに分岐し得る。こ
の分岐はまた、1つのベクター上の反復および第2のベクター上の類似した反復
のような配列を含み、ここでこれらの反復のうちの1つはもう1つの反復のフラ
グメントを含む。例えば、1つの配列は完全なAlu反復を含み得、ここでもう1
つの配列は同じ反復の一部のみを含む。上記で議論されるように、Alu反復のよ
うな反復が同じ反復ファミリー内で分岐を示すことは当該分野で広く公知であり
、従って両方の配列はAlu反復であり得るが、それらの配列は互いに分岐し得る
。
本発明は、選択された挿入核酸を有する酵母人工染色体を作製する方法を提供
し、ここで核酸の混合集団およびベクターは、核酸の混合集団およびベクターの
酵母細胞への導入前に組み合わされ得る。しかし、核酸の混合集団およびベクタ
ーは、核酸の混合集団およびベクターの酵母細胞への導入前に組み合わされ得る
か、または核酸およびベクターは酵母細胞に連続的に添加され得る。本発明の特
定の実施態様において、ベクターおよび核酸の混合集団は、それらの酵母細胞へ
の導入前に組み合わされる。
本発明により提供されるような2つのベクターを用いた選択された挿入核酸を
含む酵母人工染色体を作製する方法は、酵母セントロメア、選択マーカー、酵母
テロメア、および核酸の混合集団内の選択された挿入核酸と組換え得る配列を含
む第1のベクター、ならびに酵母テロメアおよび核酸の混合集団内の選択された
挿入核酸と組換え得る第2の配列を含む第2のベクターを含む。1つの実施態様
において、ベクターは、酵母複製起点(例えば、ARS)をさらに含み、その結果
核酸集団内の核酸は、それらの核酸がARSまたはARSとして機能し得る領域を含む
か否かから独立して酵母人工染色体構築のために標的化され得る。ベクターがさ
らに酵母複製起点を含む場合、本発明の方法を用いて作製された特異的な挿入核
酸を含む酵母人工染色体は、酵母人工染色体の残りを形成する選択された核酸が
複製起点を含んでも含まなくても、酵母細胞において複製し得る。
本発明はまた、2つのベクターを用いた選択された挿入核酸を含む酵母人工染
色体を形成する方法を含み、ここで選択された挿入核酸の領域と組換え得る第1
の配列および選択された挿入核酸の領域と組換え得る第2の配列は、それらが組
換える配列から分岐している。従って、ベクター上の配列は、核酸集団内の核酸
上の完全に相同な配列との組み合わせに限定されない。上記で議論されるように
、酵母における組換えが組換え配列間で完全な相同性を必要としないことは当該
分野で周知である。従って、本発明の方法は、ベクター上の配列と核酸領域との
間の特定のパーセント相同性に限定されない。
選択された核酸の領域と組換え得る第1の配列および選択された核酸の領域と
組換え得る第2の配列は、同じ配列を含み得るか、またはそれらの配列は異なり
得る。例えば、第1の配列はAlu反復を含み得、そして第2の配列はL1エレメン
トを含み得る。あるいは、第1の配列はAlu反復を含み得、そして第2の配列も
またAlu反復を含み得るが、これらの2つの反復は互いに分岐し得る。この分岐
はまた、1つのベクター上の反復および第2のベクター上の類似した反復のよう
な配列を含み、ここでこれらの反復のうちの1つはもう1つの反復のフラグメン
トを含む。例えば、1つの配列は完全なAlu反復を含み、ここでもう1つの配列
は同じ反復の一部のみを含む。上記で議論されるように、Alu反復のような反復
が同じ反復ファミリー内で分岐を示すことは当該分野で広く公知であり、従って
両方の配列はAluであり得るが、それらの配列は互いに分岐し得る。
第1の配列および第2の配列はまた反復配列以外の配列を含み得るか、または
2つの配列は、反復配列および非反復配列の組み合わせであり得る。当業者は、
本発明の方法を実施するための、第1の配列または第2の配列のいずれかに対し
て使用され得る配列の組み合せの数を容易に認識する。
上記のように、第1の配列および第2の配列のサイズはまた変化し得る。本明
細書中に含まれる方法および方法の説明を用いて、当業者は、それらの特定の系
の効率を最大にするために、容易に第1の配列および第2の配列のサイズを決定
し得る。
別の特定の実施態様において、第1のベクターまたは第2のベクターのいずれ
かは、選択された核酸領域と組換え得る2つの配列の間に対抗選択マーカーをさ
らに含む。従って、この対抗選択マーカーは、第1のベクターまたは第2のベク
ターのいずれかに配置され得る。上記で議論されるように、対抗選択マーカーは
、好ましくは、組換えの結果としてベクターから除去されるか、または不活化さ
れる。この対抗選択マーカーは、好ましくは、核酸集団内の核酸領域と組換え得
るベクター上の配列に隣接する。しかし、組換えの結果としてのその除去または
その不活化を可能にするこの対抗選択マーカーは組換え得る2つの配列間の任意
の位置でベクター上に配置され得る。
別の局面において、本発明は、核酸の混合集団およびベクターを酵母細胞へ導
入する工程を含む、核酸の混合集団から選択された挿入核酸を有する環状酵母人
工染色体を作製する方法を提供し、ここでベクターは、酵母セントロメア、選択
マーカー、および核酸の混合集団内の選択された挿入核酸の領域と組み合せ得る
少なくとも2つの配列を含み;これによりインビボ組換えは、選択された挿入核
酸を有する環状酵母人工染色体を作製する。
本方法は、酵母セントロメア、選択マーカー、および核酸の混合集団内の選択
された挿入核酸の領域と組換え得る少なくとも2つの配列を含むベクターを含む
。
上記で議論されるように、選択の特異性は、選択された挿入核酸の領域と組換
え得るベクターの配列に由来する。例えば、ベクター配列が特定の生物に独特の
配列を含む場合、ベクターを用いて作製された酵母人工染色体は、ベクター配列
と組換え得る配列を含む生物に由来する核酸挿入物を選択的に含む。本明細書中
に含まれる実施例に記載されるように、この選択方法を使用して、核酸の混合集
団から特定の型または種の核酸を選択するか、または「富化」し得る。
特定の実施態様において、本発明は、核酸の混合集団から選択された挿入核酸
を有する環状酵母人工染色体を作製する方法を提供し、ここで選択された核酸は
選択された種型である。この種型は、任意の核酸種(例えば、植物核酸、げっ歯
類核酸、ヒト核酸、または核酸配列が特定の核酸配列について選択し得る任意の
他の核酸)であり得る。本発明の好ましい実施態様において、選択された種型は
ヒトである。
また上記で議論されるように、選択された挿入核酸は、ハイブリッド核酸を含
む集団内に存在し得る。好ましい実施態様において、選択された挿入核酸の領域
と組換え得る2つの配列を含むベクターを用いて環状酵母人工染色体を作製する
方法は、ハイブリッド核酸を含む核酸の集団から選択された挿入核酸を有する環
状酵母人工染色体を作製する工程を含む。
以前に議論されたように、核酸の混合集団内の選択された核酸の領域と組換え
得る配列は、同じ配列を含み得るか、またはこれらの配列は異なり得る。さらに
、配列が同じであるか、またはそれらが異なるかのいずれかの場合、2つ以上の
同一または異なる配列は、単一反復の分裂により生成され得る。例えば、環状プ
ラスミドは単一Alu反復のような配列を含み得、これは制限酵素で消化された場
合、各末端にその反復の一部を有する線状プラスミドをもたらす。より大きなAl
u反復に由来するAlu反復の1つを超える部分を生成する本方法の例は、本明細書
中に含まれる実施例に記載される。
選択された核酸の領域と組換え得るベクター上の配列は、反復配列(例えば、
Alu反復、L1エレメント、または任意の他の反復配列)を含み得、ここでこれら
の配列が核酸の混合集団内の選択された核酸上の反復配列と組換え得る。
これらの配列は、選択された核酸の領域と組換え得る任意の配列を含み得る。
従って、1つの配列は反復配列を含み得、そして残りの配列は非反復配列を含み
得るか、または全ての配列は非反復配列もしくはその任意の他の組み合わせを含
み得る。
以前に議論されたようにこれらの配列はまた組換え得る任意のサイズであり得
、そしてそれらは、選択された挿入核酸を有する環状酵母人工染色体を作製する
ために選択された核酸の領域と組換え得るベクター上の任意の位置に配置され得
る。さらに、これらの配列は、それらが組換える選択された核酸上の配列から分
岐し得、そしてそれらは、選択された核酸内の1または任意の数の配列と組換え
得る。
特定の実施態様において、本発明は、1つのベクターを用いて選択された挿入
核酸を有する環状酵母人工染色体を作製する方法を提供し、ここでベクターは、
酵母複製起点(例えば、ARS)をさらに含み、その結果核酸の混合集団内の選択
された核酸は、それらの選択された核酸がARSまたはARSとして機能し得る領域を
含むか否かから独立して環状酵母人工染色体構築のために標的化され得る。ベク
ターがさらに酵母複製起点を含む場合、本発明の方法を用いて作製された環状酵
母人工染色体は、酵母人工染色体の残りを形成する選択された核酸が複製起点を
含んでも含まなくても、酵母細胞において複製し得る。
別の特定の実施態様において、本発明は、対抗選択マーカーをさらに含むベク
ターを用いて選択された挿入核酸を有する環状酵母人工染色体を作製する方法を
提供する。上記で議論されるようなこの対抗選択マーカーは、ベクターと核酸の
混合集団内の選択された核酸との間の組換えが生じたか否かを、一般的に、組換
えが生じなかった酵母細胞内でのベクター増殖を制限することにより決定するこ
とを可能にする。従って、対抗選択マーカーは、好ましくは、組換えの結果とし
てベクターから除去されるか、または不活化される。この対抗選択マーカーは、
好ましくは、核酸の混合集団内の選択された核酸の領域と組換え得るベクター上
の配列に隣接する。しかし、この対抗選択マーカーは、組換えの結果としてのそ
の除去またはその不活化を可能にする任意の位置でベクター上に配置され得る。
本発明は、選択された挿入核酸を有する環状酵母人工染色体を作製する方法を
提供し、ここで核酸の混合集団およびベクターは、核酸の混合集団およびベクタ
ーの酵母細胞への導入前に組み合せれ得る。しかし、核酸の混合集団およびベク
ターは核酸の混合集団およびベクターの酵母細胞への導入前に組み合せられ得る
か、または核酸およびベクターは、酵母細胞に連続的に添加され得る。本発明の
特定の実施態様において、ベクターおよび核酸は、それらの酵母細胞への導入前
に組み合せられる。
別の局面において、本発明は、核酸集団およびベクターを酵母細胞に導入する
工程を含む、核酸集団に由来する選択された核酸をベクターにクローニングする
方法を提供し、ここでベクターは、核酸集団内の選択された核酸の領域と組換え
得る特異的配列および核酸集団内の選択された核酸の領域と組換え得る非特異的
配列を含み;これによりインビボ組換えは、ベクター内に選択された核酸のクロ
ーンを作製する。
本明細書中に含まれる実施例において証明されるように、本方法は、選択され
た核酸の領域と組換え得る特異的配列および選択された核酸の領域と組換え得る
非特異的配列を含むクローニングベクターを酵母に導入する工程を含む。
選択された核酸の領域と組換え得る特異的配列は、例えば、公知の配列を含み
得る。現在まで非常に多数のcDNAがクローニングされ、ここで配列情報は遺伝子
の3’領域に限定される。このような配列情報を用いて、当業者は、選択された
核酸に特異的な配列を容易に決定し得る。1つの実施態様において、この方法を
使用して、特異的cDNAをクローニングし得る。別の実施態様において、選択され
た核酸をクローニングする方法は、ベクターの特異的配列と選択された核酸の既
知の3’コード配列との組換えを含む。
選択された核酸の領域と組換え得る非特異的配列は、公知であり得るが、特定
の選択された核酸に特異的でないかもしれない配列を含み得る。例えば、5'共通
配列(例えば、コザック配列(Kozak,M.Cell 44:283(1986)およびNucl.Acids Re
s.15:8125-8148(1987)))は、組換え部位として使用され得る非特異的領域の例
である。あるいは、5'末端アダプターのような非特異的配列が、組換えのための
部位を提供するためにそれらの核酸の5'末端にまたはその近くに付加され得る。
次いで、3'末端配列での既知の配列同一性は、組換え反応のための特異性を提供
し、そして5'末端での組換えは、組換え産物の環状化を助ける。本明細書中で含
まれ得る実施例は、この一般的な手順を用いたベクターおよび核酸の組換えを証
明する。別の特定の実施態様において、選択された核酸をクローニングする方法
は、選択された核酸の5'共通配列を有するベクターの非特異的配列の組換えを含
む。
なお別の実施熊様において、核酸集団に由来する選択された核酸をベクターに
クローニングする方法は、ベクター上の特異的配列とベクター上の非特異的配列
との間の対抗選択マーカーをさらに含む。上記で議論されるようなこの対抗選択
マーカーは、組換え反応の結果として特異的配列と非特異的配列との間に核酸挿
入物を含むベクターの同定および単離を容易にする。なぜなら対抗選択マーカー
は、代表的に、組換え反応の間にベクターから除去されるか、または組換え反応
の結果として不活化されるからである。
選択された核酸を含む核酸集団はまた、ハイブリッド核酸分子を含み得る核酸
の混合集団を含む。特定の実施態様において、選択された核酸は、ハイブリッド
核酸を含む核酸集団から選択される。従って、本方法を使用して、混合核酸集団
およびハイブリッド核酸集団またはその両方から、特異的核酸または特異的核酸
種を選択的にクローニングし得る。
選択された核酸は、選択された核酸挿入物がベクター内のプロモーターに作動
可能に連結されるような様式でベクターにクローニングされ得る。従って、この
作動的プロモーターは、選択された核酸挿入物の発現を開始し、そして維持し得
る。選択された核酸挿入物がタンパク質またはポリペプチドをコードする場合、
そのタンパク質またはポリペプチドの発現は、選択された核酸挿入物に関する他
の試薬の生成を可能にする。例えば、タンパク質またはポリペプチドあるいはタ
ンパク質またはポリペプチドのフラグメントを使用して、タンパク質またはポリ
ペプチドに対する抗体を生成し得る。抗体自体は、代表的にそのタンパク質また
はポリペプチドを発現する細胞から同じタンパク質またはポリペプチドを単離す
るための技術において使用され得る。
選択された核酸に作動可能に連結される特異的プロモーターは、挿入核酸を発
現するために使用され得るプロモーターの任意の型を含む。例えば、プロモータ
ーは、真核生物プロモーター、原核生物プロモーター、またはウイルスプロモー
ターであり得る。特に、プロモーターは、ヒトプロモーター、酵母プロモーター
、E.coliプロモーター、または選択された核酸挿入物を発現系の特定の条件下で
発現する任意のプロモーターであり得る。
選択された核酸をクローニングするために使用されるベクターは、上記で議論
されるような複製起点をさらに含み得る。1つの実施態様において、特異的な複
製起点は、高コピー複製起点(例えば、セントロメアを有さない2μ複製起点)
を含む。あるいは、ベクターは、低コピー複製起点およびセントロメアを含み得
る。
別の実施態様において、選択された核酸は同じファミリーのメンバーである。
この「ファミリー」は、共通の祖先遺伝子に由来する重複および変異により得ら
れる遺伝子群を示し、これは同じ染色体または異なる染色体に位置する。遺伝子
ファミリーの例は、ヒストン遺伝子、免疫グロブリン遺伝子、およびヘモグロビ
ン遺伝子である。本明細書中に記載される方法は、それらの配列相同性に基づい
て特定の遺伝子ファミリーのメンバーをクローニングし、従って単離するために
使用され得る。
なお別の局面において、本発明は、本発明の方法に使用されるベクターを提供
する。例えば、本発明は、酵母人工染色体を形成するために、酵母セントロメア
、選択マーカー、酵母テロメア、および核酸集団内の非酵母核酸の領域と組換え
得る非酵母配列を含むベクターを提供する。ベクター上の非酵母配列の特定の配
列は、もちろん、上記で議論されるように変化し得る。この配列は、例えば、ヒ
ト配列から設計され得、ここでベクターは酵母人工染色体を構築する方法におい
て使用されるように設計され、挿入核酸は好ましくはヒト核酸である。あるいは
、ベクター上の非酵母配列は、例えば、ハイブリッド細胞に由来する核酸の特定
の種に特異的な酵母人工染色体の構築において、核酸の混合集団から特定の核酸
を選択するように設計され得る。当業者は、ベクター上の非酵母配列が、任意の
数の供給源に由来する任意の数の核酸から設計され得、そしてそれについて選択
され得ることを容易に認識する。
1つの実施態様において、ベクターは、反復配列で組換えられ得る非酵母配列
を含む。議論されたように、反復配列は、多数の反復配列のうちの任意であり得
る。この反復配列は、好ましくは、核酸の種に比較的独特であり、その結果ベク
ター非酵母反復と核酸集団内の核酸上の反復との間の組換えは、核酸の特異的な
種を含む酵母人工染色体を生じ得る。また、上記で議論されたように、特定の反
復は、特定の種に対して必ずしも独特である必要はないが、反復が特定集団(例
えば、核酸の混合集団)内の核酸の特定の種に対して比較的独特であるか、組換
え反応系内で比較的独特である場合に有利である。
別の実施態様において、ベクターは酵母複製起点をさらに含む。この複製起点
は、低コピー起点、高コピー起点、またはその両方を含み得る。別の実施態様に
おいて、ベクターは対抗選択マーカーをさらに含む。
本発明はまた、酵母セントロメア、選択マーカー、酵母テロメア、および核酸
の集団内の非酵母核酸の領域と組換え得る非酵母配列を含む第1のベクター、な
らびに酵母テロメアおよび核酸の集団内の非酵母核酸の領域と組換え得る非酵母
配列を含む第2のベクターを含むキットを提供する。これらの2つのベクターが
、酵母人工染色体を作製する形質転換関連組換えに基づく方法と共に使用される
場合、得られる染色体は、染色体の1つの末端に第1のベクターおよび染色体の
もう1つの末端に第2のベクターを含む。
第2のベクター上の非酵母配列は、上記に議論されるような、非酵母配列と組
換え得る配列をさらに含み得る。第2のベクターはまた、酵母複製起点、対抗選
択マーカー、および選択マーカーをさらに含み得る。
なお別の局面において、本発明は、酵母セントロメア、選択マーカー、および
少なくとも2つの非酵母核酸の領域と組換え得る非酵母配列を含むベクターを提
供する。また上記で議論されるように、2つの非酵母配列は、独特の配列、比較
的独特の配列、またはランダム配列を含み得る。2つの非酵母配列は、特定のサ
イズおよびベクター上の位置に限定されず、そしてこれらの配列は同じであるか
、または異なり得る。
本発明はまた、酵母セントロメア、選択マーカー、および少なくとも2つの非
酵母配列を含み、そして酵母複製起点をさらに含むベクターを提供する。本発明
はまた、酵母セントロメア、選択マーカー、および少なくとも2つの非酵母配列
を含み、そして対抗選択マーカーをさらに含むベクターを提供する。
なお別の局面において、本発明は、本発明の方法により作製された産物を提供
する。特に、非酵母核酸の末端に非酵母反復配列を有する非酵母核酸を含む酵母
人工染色体が本発明により提供される。この酵母人工染色体は、核酸集団内の核
酸配列と組換え得る非酵母配列を有する単一ベクターを利用する本発明の方法を
用いて作製され得る。
この酵母人工染色体は、核酸集団内の核酸と組換えるベクター上の非酵母配列
が反復配列である開示された技術により作製され得る。本明細書中に含まれる実
施例において証明されるように、この様式で作製された酵母人工染色体は、核酸
の混合集団から作製され得、そしてその混合集団内の選択された核酸種に由来す
る核酸を選択的に含み得る。
本発明はまた、本明細書中に開示される方法により構築される酵母人工染色体
を提供し、ここで酵母人工染色体は、染色体の両端に非酵母反復配列を含む。2
つのベクター(各々が、核酸集団または核酸の混合集団内の核酸領域または選択
された核酸領域と組換え得る反復配列を含む)を用いて酵母人工染色体を構築ま
たは選択する方法は、染色体の両端に隣接した非酵母反復配列を有する酵母人工
染色体を生成し得る。
本発明はまた、原核生物細胞に核酸集団およびベクターを導入する工程を含む
、核酸をベクターにクローニングする方法を提供し、ここでベクターは、選択マ
ーカー、対抗選択マーカー、および核酸集団内の核酸領域と組換え得る少なくと
も2つの配列を含み;これによりインビボ組換えはベクター内に核酸のクローン
を作製する。
1つの実施態様において、原核生物細胞はE.coli細胞である。
別の実施態様において、E.coli細胞は、E.coliのミスマッチ修復欠損株である
。
本願を通して、種々の刊行物が参照される。本発明が関係する当該技術の状態
をより十分に記載するために、これらの刊行物の開示はそれらの全体が、本明細
書により本願への参考として援用される。
実施例1
線状TARクローング
材料と方法TAR クローニングベクター
ベクターpVC1(Alu-CEN6-HIS3-TEL)、pVC3(LINE-CEN6-HIS3-TEL)、pVL3(Alu-AR
SH4-TRP1-TEL)、およびpVL27(Alu-URA3-TEL)を使用した。PVC1ベクターを構築す
るために、プラスミドpMACS4(P.Philippsenにより提供された)に由来するCEN6
配列を含む0.4kb Nrulフラグメントを、プラスミドpBP109(Pavanら、(1991)Gene
106,125-127)のNotI部位にクローニングした。SalIで切断した場合、プラスミ
ドpVC1は、一方の末端にAluI配列(BLUR13)を有し、そしてもう一方の末端にテ
ロメア配列を有する。XhoIでのpVC1の消化は、Aluの後に300bpテールの非相同DN
Aを有する線状分子を生じる;BamHIでの消化はAluを残さない。pVC3を開発する
ために、BamHI Alu含有フラグメントを、LINE ORF2の大部分を含むpBP111(Pavan
ら、(1991)Gene 106,125-127)に由来する2.9kb BamHI LINE1.1フラグメントと置
換した。SalIでの切断は、LINEおよびテロメア配列により結合された線状分子を
生じる。非中心ARSを含むベクターpVL13を、プラスミドpBP63A(Pavanら、(1990)P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 87,1300-1304)に由来する2コピーのAlu配列(BLUR8)
を含む0.8kb NotIフラグメントをpJS98(Sheroら、(1991)Genomics 10,505-508)
の独特のNotI部位にクローニングすることにより構築した。NruIで切断する場合
、プラスミドは、一方の末端でAlu配列およびもう一方の末端でテロメア配列を
有する。ベクターpVL27を、pBP109に由来する2.2kb PvuIフラグメントとpRS306(
Sikorskiら、(1989)Genetics 122,19-27)に由来する2.5kb PvuIフラグメントと
を連結することにより構築した。プラスミドをHindIIIで切断して、Aluおよびテ
ロメア配列により結合される分子を生じた。酵母株および哺乳動物細胞株
HIS3遺伝子が欠失されたSaccharomyces cerevisiae YPH857株(MATα、his3-
Δ200、trp1−Δ1、ura3-52、leu2−Δ1、lys2−801、ade2−101)を使用した(
Kouprinaら、(1994)Genomics 21,7-17)。ヒト(HL-60)、ハムスター(CHOK1)、
およびマウス(NIH3T3)細胞を、ノースカロライナ大学組織培養施設から得た。
ヒト16染色体を有するマウス/ヒト単一染色体(monochromosomal)体細胞ハイブ
リッドCY18は、L.Deaven,Los Alamos National Laboratoryにより提供された。
酵母細胞を、完全培地(YPD)または合成標準選択培地(Kouprinaら(1994)Genom
ics 21,7-17)上で増殖させた。酵母形質転換
効率的な形質転換をもたらす、スフェロプラスト(spheroplasting)細胞につ
いてのプロトコルを使用した(Larionovら、(1994)Nucleic Acids Res.22,4154-
4161)。約1μgの穏やかに調製したヒトまたはげっ歯類DNAを含むアガロース
プラグ(100μl)を形質転換のために使用した(Larinら、(1993)YAC Librarie
s,Nelson,D.L.&Brownstein B.H.編(NY),第3巻,43-56頁)。線状化ベクター
(1μg)をアガロースでの処理後にDNA含有プラグに添加し、そしてスフェロ
プ
ラストに提示した。YAC クローンの同定
コロニーハイブリダイゼーションを、記載されたような(Abidiら、(1990)Gen
omics 7,363-376)単一染色体体細胞ハイブリッドDNAから生成された酵母形質転
換体間でヒトYACを含むクローンを同定するために行った。ヒトおよびマウスプ
ローブを、ランダムプライミングにより標識した。ゲノムヒトDNAプローブを使
用した場合に、非標識BLUR13 Aluフラグメント(10μg/反応)および非標識マ
ウスCotI DNA(100μg/反応)を、反復配列のハイブリダイゼーションを抑制する
ためにハイブリダイゼーション溶液に添加した。マウスDNAプローブ(B2またはCo
tIマウスDNA)を使用した場合、非標識ヒトCotI DNA(100μg/反応)を、ハイブリ
ダイゼーション溶液に添加した。酵母からの染色体サイズのDNA調製
低融点アガロースプラグを、初代形質転換体またはサブクローンから調製した
(Larionovら、(1994)Nucleic Acids Res.22,4154-4161)。大きなDNAを、Trans
verse Alternating Field Electrophoresis(TAFE)(Carleら、(1984)Nucleic Aci
ds Res.12,5647-5664)を用いて分離した。YACを、コロニーハイブリダイゼーシ
ョンについて上記の条件を用いて、ランダムプライミングされたヒトまたはマウ
スDNAで同定した。有糸分裂増殖間のYAC増殖の分析
YACの消失を、初代形質転換体および由来するサブクローンにおいて以前に記
載されたように(Kouprinaら、(1994)Genomics 21,7−17)、セントロメア関連H
IS3マーカーの消失を測定することにより決定した。簡単には、コロニーを非選
択培地に画線培養し、そしてHis-コロニー頻度をレプリカプレート法により決定
した。Alu 内PCRおよびYACのAluプロフィール
Alu内PCRを、以前に記載されたように(Nelsonら、(1989)Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 86,6686-6690)、His+形質転換体から単離した計1μgの酵母DNAを含む50
μl最終容量において行った。Alu PCRプライマー配列は、5'GGTGGCTCACGCCTGTA
ATCCCAGCACTTTGGGAGGCCGA3'(配列番号1)または5'GGAGGCTGAGGCAGGAGAATCGCTTGA
ACC
CGGGAGGCGG3'(配列番号2)のいずれかであった。Alu配列(Aluプロフィール)を
含むフラグメントを同定するために、計1μgの酵母DNAを、TaqIで完全に消化
した。サンプルをゲル電気泳動により走らせ、ナイロン膜に移し、そしてBLUR13
Aluプローブにハイブリダイズした。PCR分析およびAluプロフィールのための総
酵母DNAを、標準的な方法を用いて5ml培養物から抽出した。FISH 分析
第16番染色体ハイブリッド細胞株に由来するヒトDNAを含むクローンを、BioNi
ck Kit(GIBCO BRL)を用いてビオチン-14-dATPの存在下でのニック翻訳によりビ
オチンン化した。蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を、以前に
記載されたように(Korenbergら、(1995)Cytogenet.&Cell Genetics 69,196-200
)行った。染色体サブバンド(sub-band)を正確に区別するために、逆結合技術
を、クロモマイシンA3およびジスタマイシンA二重染色を用いて使用した(Koren
bergら、(1995)Cytogenet.&Cell Genetics 69,196-200)。
結果2つのベクターを用いたヒトDNAのTARクローニング
YACとしてヒトDNAをクローニングするためのTAR法は、YACがヒトDNAとヒトDNA
反復(例えば、AluまたはLINE)を含むプラスミドとの間の組換えによりインビ
ボで生成され得るという本発明者らの考えに基づく(図1)。ヒトゲノムにおけ
る反復は分岐しているが、酵母における組換えは、形質転換の間に相同配列と分
岐配列との間で生じ得る(Mezardら、(1992)Cell 70,659-670およびPriebeら、(
1994)Mol.Cell.Biol.14,4802-4814)。TARクローニングを、ヒトDNAの混合物お
よび末端Alu配列を有する2つのプラスミド(1つは複製起点(ARS)を含み、そ
してもう1つは適切な分離を確実にするための酵母セントロメア配列を有した)
を用いて調べた。ヒトDNAおよび線状化プラスミドpVC1(Alu-HIS3-CEN6-TEL)およ
びpVL13(Alu-TRP1-ARSH4-TEL)を混合し、そしてスフェロプラストに提示した。8
00〜2,000His+形質転換体を、代表的に、1μgの各プラスミドおよび1μgの
細胞DNAを含む混合物を用いて得た。約60%の形質転換体はまた非選択TRPIマー
カーを含み、TRP1マーカーは全ての場合において(110調査した)HIS3に連結し
た(すなわち、それらは同時に消失した)。His+Trp+形質転換体のうち、1/3(33
/110)は、ヒトDNAにハイブリダイズした新たな染色体サイズ(70kbから600kbを
超える)の分子を含んだ。しかし、His+Trp+形質転換体のうち大部分はヒトDNA
を欠くが、ベクター間の直接的相互作用により恐らく生じた小さな環状または線
状分子を含んだ。
プラスミドしか含まないクローンの高いバックグラウンドを避けるために、YA
C複製がヒトDNAにおいて頻繁なARS関連配列で開始され得るので、ARSを欠くベク
ターを用いたTARクローニングを調べた(Stinchombら、(1980)Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 77,4559-4563およびAguinagaら、(1987)Biochem.Biophys.Res.Commun.14
4,1018-1024)。ヒトDNAならびにpVC1(Alu-HIS3-CEN6-TEL)およびpVL27(Alu-U
RA3-TEL)の線状化形態を混合し、そしてスフェロプラストに提示した。300〜1,0
00のHis+形質転換体を、代表的に、1μgの各プラスミドおよび1μgの細胞DN
Aを含む混合物を用いて得た(表1)。約50%のHis+形質転換体は、非選択URA3
プラスミドマーカーを含んだ。260のHis+Ura+形質転換体において、HIS3およびU
RA3マーカーは連結された。全てのHis+Ura+形質転換体(55/55)は、ヒトDNAと
ハイブリダイズしたDNAを含んだ。1つのベクターがARSを有する場合に得られる
YACに類似してm70kbから600kbを超えて変化する新たな染色体サイズの分子を同
定した。約65%のHis+Ura+形質転換体(26/40)は、複数のAlu内PCR産物を生成
した。TAR生成YACのAluプロフィール(図2)は、ヒトDNA挿入物を含むYACに代
表的である。従って、ARSを欠くベクターの使用は、ARSを含むベクターを用いた
TARクローニングと比較して、プラスミドバックグラウンドを排除し、そして2
重にマークされたYACの収量を増大させた。
約50%のHas+形質転換体は、非選択プラスミドpVL27マーカーURA3を含まなか
った;しかし、調査したほとんど全ての形質転換体(28/30)はまたヒトYACを含
んだ。これらの単一にマークされたYACは、ヒトゲノムに存在する内部酵母テロ
メア様配列を利用するテロメアを明らかに獲得した(以下を参照のこと)。1つのベクターを用いたTARクローニング
1つしかテロメアマーカーを含まないYACの高収量に基づいて、ARSを欠く1つ
しかベクターを使用しないヒトDNAのTARクローニングを調査した。Alu)pVC1)ま
たはLINE)pVC3)を含む線状化ベクター+等量のヒトDNAの混合物による酵母スフ
ェロプラストの形質転換は、高レベルの形質転換体を生じた(表1)。プラスミ
ドのみではほどんど形質転換体が得られず、そしてそれらは、プラスミドの酵母
染色体への希な組込みにより生じた(以下を参照のこと)。高頻度の形質転換は
、Aluがベクター末端にあることを必要としない。匹敵するレベルの形質転換が
、Aluが末端から300bpであった場合に観察された(pVC1プラスミドをSalIおよび
XhoIにより線状化した)。プラスミドがAluを欠く(BamHIで消化)場合、形質転
換は低く、そしてヒトDNAが含まれない場合の形質転換に匹敵した。形質転換は
、マウスまたはハムスターDNAがヒトDNAの代わりに使用した場合に約100倍低か
ったので、TARクローニングは特異的である(表1)。
ヒトDNA+pVC1またはpVC3のいずれかを用いて観察された高レベルの形質転換
は、主にYACの生成によるものであった。分析した100の形質転換体のうち、全て
が、ヒトDNAプローブとハイブリダイズする新たな染色体サイズのDNA分子を含ん
だ。ほぼ80%(82/100)の形質転換体は、強力なAlu-PCRバンドを示した。YACのサ
イズ分布は、2つのベクターを用いて単離したYACについてのものに匹敵した(
図3)。YACのうち4つは環状であり、そしてウェル内に保持された。
約35%の初代形質転換体コロニーは、1を超えるYACを含んだ。このようなコ
ロニーは、しばしば標準的な方法(Frankeら、(1994)Genomics 21,58-62)を用
いて開発されたYACライブラリーにおいて観察され、そして同時形質転換から生
じ得る。これらのコロニーのうち6つをサブクローニングした場合、ほとんどの
サブクローンは1つしか安定なバンドを含まなかった。
単一ベクターで得られたほとんどの初代形質転換体コロニーにおいて、YACは
不安定であったが(コロニーにおける>70%の細胞はYACマーカーを欠いた)、
2つのベクターで得られたほとんどの形質転換体において、YACは安定であった
(コロニーにおける<10%の細胞はYACマーカーを欠いた)。両方の型のYACは、
形質転換体のサブクローンにおいて安定であった。これらの結果は、遠位末端で
のテロメアのデノボ生成(すなわち、ベクターを欠く)に対する必要条件と一致
する。マウス/ヒト単一染色体細胞株に由来するヒトDNAの特異的TARクローニング
高レベルの形質転換を、ヒトDNAが存在した場合のみにAlu含有ベクターで達成
したので(表1)、本発明者らは、単一のヒト第16染色体を保持するマウス/ヒ
ト単一染色体細胞株CY18に由来するヒトDNAのクローニングを調べた。総ゲノムD
NAを上記のように調製し、そして線状化pVC1プラスミドと共に形質転換した。形
質転換効率は、いつもマウスDNAのみで観察されるものより大きかった(表1)
。形質転換体(5つの独立した形質転換体に由来する)を2つの方法(Alu内PCR
またはヒトおよびマウスプローブを用いたコロニーハイブリダイゼーションによ
る)で最初に分析した。Alu内PCR分析に基づいて、ほぼ20%(15/79)のHis+形
質転換体はヒトDNA挿入物を含んだ。これは、12%(42/350)がヒトプローブにハ
イブリダイズしたハイブリダイゼーションで観察されたものより高く、これはお
そらく方法の感受性における差異によるものである。4%のコロニーしかマウス
プローブにハイブリダイズせず、そして両方のプローブにハイブリダイズし得る
形質転換体(たとえあるにしても少ないキメラを示す)はなかった。約3/4のHis+
形質転換体は哺乳動物DNAを欠き、そして酵母染色体との非正統的な組換えによ
るものらしかった(議論を参照のこと)。ヒトDNAを含む全てのクローン(ヒトD
NAプローブでのハイブリダイゼーション、Aluプロフィール、およびAlu内PCRに
基づく)をTAFE分析を用いて調査し、そして70kbから600kbを超えるさらなる染
色体サイズのバンドを含むことが見出された(図4)。
試験した17のYAC DNAのうち15の細胞遺伝学的位置は、FISH分析により第16番
染色体に位置し、そして図5に示される。15のYACのうち4つは、第16染色体上
でさらなるシグナルを示した。これらのいくつかは、この染色体に由来するクロ
ーニングDNAについて以前に記載されたように(Stallingsら、Genomics 13,332-
338)、染色体特異的反復の存在により説明され得る。9つのYACについて、シグ
ナルはまた、端部動原体第13、14、15、および21染色体の短腕上に検出され、こ
れらの最も一般的なものは染色体21pであった。これらは、単純反復の詳しく説
明された位置である。多くのクローニングされたDNAが短腕における複数部位に
分布し、さらに他が長腕のセントロメア周辺領域におけるヘテロクロマチンおよ
び真正クロマチンの接合点にクラスター化することが興味深い。
従って、ヒトDNAは、効率的にハイブリッド細胞からクローニングされ得る。
ヒトDNAは全体の約3%しかなく、そしてヒト対マウスYACの最終比が少なくとも
3:1(コロニーハイブリダイゼーション結果に基づく)ので、TARクローニングの
間のヒトDNAの75倍を超えて富化が存在した。
考察
本発明者らは、インビトロでのDNAの酵素的処理を必要としないヒトDNAのクロ
ーニングのための新しい方法を記載する。YACの開発は、形質転換の間に酵母内
で相同性DNAと分岐DNAとの間の効率的な分子内組換えを介する細胞内の酵素的機
構を用いて達成され得る。このホモロジー駆動組換えは、2分子相互作用の特異
性により実証されたYAC生成についての機構である。多数のYACクローンは、Alu
に基づくプラスミドがヒトDNAと同時形質転換された場合に単離され、それゆえ
、ヒト反復を欠く場合、またはヒトDNAの代わりに齧歯類DNAが使用された場合、
YACクローンは存在しない(表1)。
YACの最大の収率(ほぼ100%)が、ARS配列を欠く1対のTARベクターが使用さ
れた場合に観察された。ARSを欠くベクターを使用するYACの効率的な生成は、酵
母細胞内でYACの複製を可能にする頻繁な内因性ARS様エレメントが存在すること
を示す(Stinchombら,(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77,4559-4563、およ
びAguinagaら,(1987)Biochem..Biophys.Res.Commun.144,1018-1024)。驚
くべきことに、ヒトDNAはまた、わずか1つのTARベクターを用いて効率的にクロ
ーン化され、このことは酵母テロメア様エレメント、ならびにARS様配列がヒト
ゲノム中に頻繁であることを示唆する。おそらく、ヒトゲノム中に頻繁な(CA)n
反復配列(約105コピー)でテロメアの新規の生成が存在する(Hamadaら,(1982
)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79,6465-6469)。
形質転換の間の組換えが、大きな分子をクローニングする方法を提供し得る一
方、本発明者らは、非ランダムな組換えを提案する。Aluの間の平均距離が2〜
3kbである場合、YACのほぼ半分が、200kbより大きかったことは驚くべきことで
ある。2本鎖分離を有する分子と相互作用する組換えが、分離された末端の近辺
の相同性配列で、好ましく生じることが可能である。これは、ヒトYACとAlu含有
テロメア性ベクターとの間のTARの頻度が、YACが崩壊された場合により増加する
という観察により支持される(Larionovら,(1994)Nucleic Acids Res.22,41
54-4161)。
ゲノムフラグメントのクローニングのためのTAR法が、多く利用されている。
アプローチは、頻繁に反復が存在する任意のDNAの単離に拡大され得る。例えば
、本発明者らは、マウスDNAが、150bpのマウス特異的B2反復を使用するTAR法に
よりクローン化され得る。本発明者らは、このアプローチの使用が、キメラの潜
在的な供給源として、インビトロ連結を除去することに注目する。さらに、キメ
ラが同時貫通分子間の組換えによって上昇し得るので(Wadaら,(1994)Nucleic A
cids Res.22,1561-1554、およびLarinovら,(1994)Nucleic Acids Res.22,4
154-4161)、TARクローニングの間のヒトDNAの非相同的DNAでの希釈によりキメラ
を減少させ得るべきである。
流体で選別された(flow-sorted)染色体(McCormickら,(1993)Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 90,1063-1067)を除いて、現在までの特定のヒト染色体DNAを単離
する機会は、限定されている。TARクローニングの常用な適用は、ヒト染色体お
よびハイブリッド細胞株由来の染色体フラグメントの特異的かつ直接的なクロー
ニングである。本発明者らは、TAR法が、YAC含有哺乳類DNAの内でマウス/ヒト
単一染色体(monochromosomal)16ハイブリッド細胞株由来のヒトDNAの単離におい
て75倍より大きい富化を導くことを実証している。マウス/ヒトキメラは存在し
ない。ヒト/ヒトキメラは、ハイブリッド細胞株(Greenら,(1991)Genomics 11
,658-669およびSchlessingerら(1991)Genomidcs 11,783-794)およびヒトDNA
の同時貫通の低い可能性を有する以前の報告に基づきそうではない。
BLUR13 Alu配列を含有する単一ベクターを用いてTARクローニングによって単
離されたDNAの分布を決定するために、YACをFISH分析を用いて検査した。YACの
多くは、動原体周囲の領域由来のDNAを含有するが、染色体16の他の領域のいく
つかが同定された。長腕において、クローン化されたDNAは、タンデム反復DNAの
動原体周囲ブロック(16q11.2)と真性染色質遺伝子含有領域との接合部でクラス
ター形成された。YACのいくつかは他の染色体(主に、13、14、15、21、および2
2の単腕)を同定した。第16染色体の動原体領域が、他の染色体の反復領域に関
連する単一の反復DNAを有するので、これは驚くことではない。第16染色体のい
くつかの領域がTARクローニングにより単離されたが、ランダムさの欠失は、染
色体中のBLUR13 AluまたはARS配列の分布により説明されるようである(Korenber
gら,(1988)Cell 53,391-400)。動原体周囲の異質染色質と長腕の真性染色体
との接合部でYACシグナルのクラスター形成を理解する必要がある。分散されて
いないAlu反復または異なる反復配列を含有する1組のベクターのいずれかの使
用は、単離されたDNAのよりランダムな分布をもたらすかもしれない。
ハイブリッド細胞由来のヒトDNAのクローニングの間、形質転換体の約4分の
3が哺乳動物DNAを欠いた。これらの形質転換体は、おそらくベクターと酵母染
色体との間の非正統的組換えをもたらし、これは、おそらく天然のテロメアを有
する酵母染色体フラグメントの生成をもたらした(公表されないデータ)。YAC
と比較した場合、これらの染色体フラグメントは、初期の形質転換体コロニーに
おいて非常に安定であった(コロニー中の5%未満の細胞がHIS3マーカーを欠い
ていた)。偽のポジティブクローンは、染色体の悪性分離(malsegregation)の検
出を容易にし得るTARクローニングベクター中の色素マーカーを含むことにより
容易に強力に区別され得る(Sandellら,(1993)Cell 75,729-739)。
TARクローニングはまた、環状YACを生成するために使用され得る。本発明者ら
は、ヒトDNAと共に同時形質転換された場合、それぞれの末端でヒト反復を含有
する線状プラスミド(すなわち、Alu-Maker-CEN-LINE)が、大きなヒトDNA挿入物
を含有する環状YACを効率的に生成することを見出している(実施例2を参照の
こと)。環状分子は、取り扱い、ならびに他の生物体の細胞への転移を容易にす
る。
さらに、本発明者らは、特定の染色体領域、遺伝子のファミリー、およびおそ
らく単一コピーの遺伝子の単離に適用され得る。Ketnerら(12)は、アデノウイル
スDNAのフラグメントが、哺乳動物ゲノム等価物あたり10コピーで存在する場合
、ウイルスDNAとマウスDNAの混合物から単離され得ることを実証した。これらの
研究において使用されるベクターは、本発明者らがクローニングの効率を減少さ
せることを見出したARSを含んだ。
本発明者らの結果は、TAR法が、大きなヒトDNAフラグメントのクローニングに
効率的であることを実証する。600kbより大きいYACが得られたが、本発明者らは
、この初期の発見に基づくより多くかつより大きいYACの産生を最適化し得る条
件を予測する。TARクローニング配列およびARSの配列(ARSを欠いているベクタ
ーが使用される場合)の分布に依存するTARクローニングの制限が存在し得る。(
BLUR13 AluおよびLINE1.1の代わりに)より代表的なAluおよびLINEの使用は、よ
り効率的なクローニングをもたらし得る。
細菌性人工染色体(BACまたはPAC)と比較して、ゲノムの特徴づけおよび操作
において望ましいYACのいくつかの特性が存在する。DNAの大きなフラグメントは
、容易にクローン化され得るか、または酵母内でのインビボでの組換えにより生
成され得る。YACは、酵母内で遺伝的に操作され得、そしてそれらはトランスジ
ェニック生物体の生成において利用され得る。上記で議論されたように、TARク
ローニング法は、相同性組換えを用いるDNAフラグメントの直接クローニングの
可能性を提供し、それゆえ、染色体特異的配列の単離および遺伝子ファミリーの
単離を単純化し得るYACの有用性を拡大する。
表1、種々のDNAが含まれる場合の、AluおよびLINE含有プラスミドにより形質転
換の効率。 *YPH857酵母スフェロプラストを、1μgのSal直線化pVC1プラスミドまたは直線
化Alu含有プラスミドの混合物を、等量のヒトまたは齧歯類DNAと共に形質転換し
た。pVC1=Alu-CEN6-HIS3-TEL;pVC3=LINE-CEN6-HIS3-TEL;pVL27=Alu-URA3-TEL**
5〜15の独立した形質転換を、それぞれの条件で実施した。
表2.種々のDNAが含まれる場合の、Alu含有TARベクターによる形質転換の効率
。 *酵母スフェロプラストを、1μgの直線化プラスミドを、5μgのヒトまたは
齧歯類DNAと共に形質転換した。**
3〜20の独立した形質転換を、それぞれの条件で実施した。
実施例2
環状TARクローニング
材料および方法TAR クローニングベクター
線状YACの作製のために使用される動原体性および無動体性のベクタ-pVC1(Alu
-CEN6-HIS3-TEL)、およびpVL27(Alu-URA3-TEL)は、以前に記載されている(Lario
novら,(1996)Proc.Natl.Acad.Sci USA93,491-496)。2つのAlu配列もしく
はAluと中間反復(MER)頻度ヒト反復配列または1つのLINE配列を含む新しいTAR
環状ベクターを構築した(図6A)。これらのベクターを、ベクターpVCXO(Alu-CE
N6-HIS3-TEL)から構築した。pCVXOを、BLUR13 Alu配列を含む297bp BamHIフラグ
メントのAlu共通配列を含む320bp BamHIフラグメントとの置換により、pCV1から
得た(Batzerら,(1994)Genet.Anal.Appl.11,34-38)。別の標的配列(Alu、
LINE、またはMER)を、0.4kb EcoRVテロメア含有フラグメント(TEL)の置換により
、pVCXO中に含ませた。3つの構築ベクター(pVC39-AAH2、pVC39-AAH4、およびp
VC39-AAT3)は、Alu標的化配列(すなわち、1つの末端でのAlu共通およびもう1
つ別の末端でのEco-BLUR13.R1 Alu配列)を含む。Eco-BLUR13.R1は、逆転された
2つのAlu半分の順序におけるBLUR13.R1とは異なる逆転している。逆転は、BamH
I-BLUR13.R1フラグメントのタンデム重複由来のEcoRIフラグメントとして、Alu
ファミリー反復を単離することにより生じた(Pavanら,(1990)Mol.Cell.Blol
.10,4163-4169)。pVC39-AAT3(Alu-CEN6-TRP1-Alu)およびpVC39-AAT2(Alu-CEN6
-HIS3-Alu)において、標的化配列を、逆位においてクローン化した。pVC39-AAT3
は、TRP1によりマークされ、そしてEco-BLUR13.R1のタンデム反復を含む。ベク
ターを、形質転換前にpstI(部位はポリリンカー中に配置される)で切断し、完
全なAlu配列により結合された分子を生じた。pVC39-AAH2HIS3によりマークされ
、そして1コピーのEco-BLUR13.R1を含む。pVC39-AAH2を、形質転換前にSmaIで
切断した。SmaI部位が両方の標的化配列中に存在するので、直線化された型のpV
C39-AA
H2は、1つの末端で320bpのAlu共通由来の207bp、および別の末端で297bpのBLUR
13.R1 Alu由来の52bpを含む。直線化されたベクターにおいて、52bpのBLUR13.R1
の外側の45bpは、Alu共通の末端領域と同一である。pVC39-AAH2中の両標的化配
列が、3’Alu反復の82bpフラグメントを欠くことは、何ら価値がない。このフラ
グメントを、pVC39-AAH2により作製されたヒトYACの検出のための特異的なプロ
ーブとして使用した。pNKBAC39は、pBeloBAC11を含むpVC39-AAH2の誘導体である
(Shizuyaら,(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,8794-8797)。プラスミ
ドを、形質転換前にSalIで切断した。pVC39-AAH4は、Alu共通および直接の配向
においてクローン化したBLUR13.R1配列を含む。形質転換前のSmaIでのpVC39-AAH
4の直線化を、Alu反復の部分欠失を伴わせた。直線化された型のベクターは、1
つの末端でAlu共通の207bp、および別の末端でEcoBLUR13.R1の246bpを含む。pVC
39-MAH8(MER8-CEN6-HIS3-Alu)およびpVC39-MAH10(MER10-CEN6-HIS3-Alu)は、標
的化配列として、MER8およびER10のヒト反復(Jurkaら,(1993)Nucl.Acids Re
s.21,1273-1279)、およびAlu共通を含む。pVC39-MAH8およびpVC39-MAH10を形
質転換前にEcoRI(部位はポリリンカー中に配置される)で切断し、完全なAlu配
列およびMER配列により結合された分子を生じた。pVC39-LH8(LINE1-CEN6-HIS3-A
lu)は、1つの末端でpVC3由来のヒト反復LINE1.1、および他の末端でAlu共通を
含む。プラスミドを形質転換前にSmaIで切断した。全てのプラスミドを、TARク
ローニング実験のために、CsCl-EtBr遠心分離により精製した。酵母株および哺乳動物細胞株
Saccharomyces Cerevisiae種VL6-48-2[MATa,his3-Δ200,trp1-Δ1,ura3-52
,met14,lys2,ade2]を使用した。この株を、株YPH857[Matα leu2-Δ1 ade2-1
01 trp1-Δ1 his3-Δ200 lys2-801 ura3-52](Sikorskiら,「A system of Shuttl
evectors and Yeast host strains designed efficient manipulation of DNA i
n Saccharomyces cerevisiae.」Genetics 122:19-27(1989))と株YCENGAL[MAT a a
del met ura3-52 his3 CEN3::GAL1 URA3;(Hillら,「Genetic manipulation of
centromere function」Mol.Cell.Blol.7:2397-405(1987)]との間で形成され
る2倍体の有糸分裂分離個体として単離した。8個のハイブリッドの有糸分裂
分離固体を、7kb CEN/ARS環状プラスミドによってスフェロプラスト形質転換[以
下に記載のように]の効率について調べた。2つの分離固体が、親のYPH857およ
びYCENGAL株についての約10倍より低い形質転換効率と比較して、1mgのプラスミ
ドあたり107と108との間の高い形質転換効率を示した。
核酸集団または混合した核酸集団のいずれかにおいて、所望のまたは選択され
た挿入核酸が比較的まれな核酸を示す場合、TARクローニング手順において特に
重要である形質転換の頻度を増大するために、本発明者らはまた、高形質転換効
率酵母スフェロプラストを産生するための新規の手順を開発した。この手順は、
1.0のOD660(水で1/10希釈の後、実測定値は0.1である)まで30℃で一晩、曝
気を良くするために勢いよく振盪し、50ml酵母培養物(500mlフラスコ中50ml)
を増殖することを必要とする。本発明者らが使用したVL648-2株について、凍結
スフェロプラストの高再現性形質転換効率のために、OD660は正確に1.0でなけれ
ばならない。本発明者らは、先行技術と反対に、各株は、凍結スフェロプラスト
の高再現性形質転換効率についてそれ自体の特定の最適OD660を有することを見
出した。次いで細胞を、3,100gで3分間、約5℃での遠心分離により回収し、20
〜50mlのH2Oでの洗浄、そして20〜50mlの1Mソルビトールでの洗浄を行った。
次いで、20mlのSPE(1Mソルビトール、0.01MNaPhosphate,PH7.h,10mMEDTA)を、
ボルテックスした細胞ペレット添加し;次いで20マイクロリットルのザイモリア
ーゼ(Zymolyase)(50%グリセロール中10mg/ml)および40マイクロリットルの
β-メルカプトエタノールを添加し、そして混合物をボルテックスした。続く処
置では、細胞を穏やかに扱うべきである。次いで細胞を穏やかに振盪しながら30
℃で約20分間インキュベートする。しかし、これは株または条件依存性手順であ
り;それゆえ、細胞は以下の溶解試験に従って初期または後期に回収されるべき
である。溶解試験
:
20分より前の種々の時間で、以下のOD660を検査する:
A.1Mソルビトール中で1/10希釈後のザイモリアーゼ処理された細胞
B.細胞がスフェロプラストである場合に細胞を溶解する2%SDS(ドデシ
ル硫酸ナトリウム)中で、1/10希釈後のザイモリアーゼ処理された細胞。
2つの測定値の間の差異が3〜7倍である場合、細胞は準備できている。ザイモ
リアーゼ中で細胞をあまり長く放置してはいけない。
細胞が準備できている場合、それらを25mlの1Mソルビトールで2〜3回洗浄
し、そして次いで600×gで10分間、約5℃で回転する。細胞ペレットを2mlのST
C(1Mソルビトール、10mM Tris、pH7.5,10mM CaCl2)中に穏やかに再懸濁する
。これらのスフェロプラストは、1時間室温で保存し得る。スフェロプラストを
より長期間貯蔵する場合、凍結スフェロプラストを調製することが必要であるだ
ろう。
スフェロプラストを凍結するために、DMSOを、10%の最終濃度までスフェロプ
ラスト(最初にSOS(1Mソルビトール、6.5mM CaCl2、0.25%酵母エキス、0.5
%バクトペプトン)に懸濁する)に添加し、そして試料を-70℃に配置する。こ
のような試料は、少なくとも6ヶ月まで、形質転換について高適格性である。
ヒト(HL-60)、マウス(NIH3T3)、ハムスター(CHOK1)、および第22染色体
含有ハムスター/ヒトハイブリッド(GM10888)細胞を、University of North C
arolina Tissue Culture Facilityから得た。ヒト第16染色体を有するマウス/
ヒト単一染色体の体細胞ハイブリッドCY18は、L.Deaven,Los Alamos National
Laboratoryにより提供された。ヒト第10染色体を有するマウス/ヒト単一染色体
の体細胞ハイブリッドGM109260は、M.Cancilla,The Murdoch Institute for R
esearch into Birth Defect,Melbourne,Australiaにより提供された。XRCC5(
Ku80)DNA修復遺伝子(Bluntら、(1995)Genomics 30,320-328)を有する第2
染色体由来の約5Mbフラグメントを含む照射ハイブリッドハムスター/ヒト細胞
株D2-X-38を、Penny Jeggoから得た。酵母細胞を完全培地(YPD)または合成標
準選択培地(Larionovら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci USA 93,491-496)上で
増殖した。酵母形質転換
効率的な形質転換を生じるスフェロプラストされた細胞のためのプロトコル(
Larionovら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci USA 93,491-496)を使用した。単
一染色体の細胞株由来の、穏やかに調製した約5μgのDNAを含むアガロースプラ
グ(100μl)を、形質転換のために使用した(Larionovら、(1996)Proc.Natl
.Acad.Sci USA93,491-496)。線状化ベクター(1μg)を、アガロースで処置
する前にDNA含有プラグに添加し、そしてスフェロプラストに提示した。YAC クローンの同定
形質転換体からの染色体サイズDNAを、Transverse Alternating Field Electr
ophoresis(TAFE)により分離し、ブロッティングし、そして以前に記載した(C
arleら、Nucleic Acids Res.12,5647-5664およびLarionovら、(1996)Proc.Nat
l.Acad.Sci USA 93,491-496)ように、ヒトおよび/または齧歯類DNAでハイブリ
ダイズした。ヒト、ハムスター、およびマウスプローブをランダムプライミング
により標識した。ゲノムのヒトDNAプローブを使用した場合、TARベクター(5μ
g)の非標識標的フラグメントおよび非標識マウスCotI DNA(100μg)を、反
復配列のハイブリダイゼーションを抑制するために、ハイブリダイゼーション溶
液に添加した。マウスまたはハムスターDNAプローブを使用した場合、非標識ヒ
トCotI DNA(100μg)をハイブリダイゼーション溶液に添加した。環状YACのサ
イズを測定するために、TAFE分析の前に、アガロースプラグDNAを低用量のγ-線
(30Krad)に曝した。
TAR環状ベクターpVC39-AAH2により生成したヒトYACの検出のための特異的なAl
uプローブを開発した。このプローブは、上記のように線状化pVC39-AAH2中で除
外される82bpフラグメントの3’Alu共通配列である。2つのプライマーを、Alu
共通配列を含むpPD39プラスミドからのこのフラグメントを増幅するために使用
した(Batzerら、(1994)Genet.Anal.Tech.Appl.11,34-38):5’CCCGGGAGGCGG
AGCTTGCAGTGA 3’(配列番号3)およびTTTGAGACGGAGTCTCGCTCTGTCGCCCAG 3’(
配列番号4)。Aluプローブを、PCR反応の間、32P-dCTPで標識した。有糸分裂増殖の間のYAC増殖の分析
YACの喪失を、以前に記載した(Larionovら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci US
A 93,491-496)ように、一次形質転換体および誘導サブクローンにおいて、セン
トロメア連結HIS3またはTRP1マーカーの喪失を測定することにより決定した。簡
潔には、コロニーを非選択培地に画線し、そしてHis-またはTrp-コロニーの頻度
を選択培地上にレプリカプレーティングすることにより決定した。YAC のAlu-プロフィール
Alu配列を含むフラグメント(Alu-プロフィール)を同定するために、1μg
の総酵母DNAをTaqIで完全に消化した。試料をゲル電気泳動により泳動し、ナイ
ロン膜に転写し、そして82bp Aluプローブでハイブリダイズした(上記を参照の
こと)。Alu-プロフィールのための総酵母DNAを、標準的な方法を用いて5ml培
養物から抽出した。
結果環状YAC生成の理論的説明
TARクローニング法は、酵母に形質転換されたヒトDNAフラグメントとヒトDNA
中に通常存在する反復を含む同時形質転換されたプラスミドとの組換えに基づく
。分岐DNAおよびその可能性のあるもの(DNAフラグメントの末端付近の反復は、
内部反復と比較してより組換えを行うようであり得る)との間での形質転換の間
の組換え効率に基づいて(Larionovら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci USA 93,49
1-496)、本発明者らは、TARがまた環状YACの生成に適合され得ることを理由づ
けた。提唱されたスキーム(図6B)において、各末端で通常存在する反復(例
えば、AluおよびLINE)、酵母選択マーカーおよびセントロメアを含む線状プラ
スミドを生成する。同時形質転換ヒトDNAにおけるプラスミドと相同性または分
岐反復の間の組換えは、環状YAC分枝を生じ得る。線状TARクローニングについて
提案される(Larionovら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci USA 93,491-496)よう
に、複製能力は、酵母における複製起点(ARS)として機能し得るヒトDNAに存在
する頻繁な配列の1つにより提供される。ヒト反復を含むTARベクターは環状YACを生成し得る
TARクローニングによる環状YACの生成は、ヒトDNAおよび末端Alu配列を有する
ベクターの混合物を使用して研究した。低融点アガロースにおいて細胞を溶解す
ることにより穏やかに単離した総ヒトDNAを、線状化Alu-TRP1-CEN6-Aluプラスミ
ドpVC39-AAT3と(アガロースを融解させた後)結合し、そして酵母スフェロプラ
ストに提示した。完全サイズのAluは、逆方向であった。300と1,000との間のTrp+
形質転換体を、1μgのプラスミドおよび5μgのヒトDNAを含む混合物を使用
して代表的に得た(表2)。プラスミドDNAのみがスフェロプラストに提示され
た場合、10未満の形質転換体が得られたので、高レベルの形質転換は、ヒトDNA
とプラスミド分子との間の相互作用に帰した。これらの頻度は、線状YACを生成
する単一のAlu含有TARベクターpVC1を使用して観察されるものに匹敵した(表2
)(Larionovら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci USA 93,491-496もまた参照のこ
と)。Alu配列の一部分を含むプラスミドpVC39-AAH2を使用した場合、高頻度の
形質転換もまた得られた。このTAR環状ベクターは、片方の末端に207bpの5'短縮
型Aluフラグメントおよび反対方向の他の末端に52bpのAlu内部配列を有した;Al
uは10%分岐され、そして45bpの共通領域を共有した(材料および方法を参照の
こと)。形質転換体の効率的な生成(表2)は、TARクローニングに必要とされ
る最小標的配列が60未満のヌクレオチドであることを示す。正方向においてAlu
反復を含むpVC39-AAH4ベクターでは、形質転換体は全くまたはほとんど得られな
かった(表2);おそらく、標的配列間のプラスミド内の組換えは、ヒトDNAと
の組換え性相互作用と競合する。
環状化ベクターにより生成したYACの存在および性質を決定した。pVC39-AAT3
またはpVC39-AAH2ベクターと共に得られたTrp+またはHis+形質転換体の染色体サ
イズDNAを、TAFEゲル電気泳動により分析した。大きい環状DNA分子は、使用され
るTAFE条件下で出発ウェルにおいて保持されることが予期される。分析した100
個の形質転換体(pVC39-AAH2と共に得られた60個およびpVC39-AAT3ベクターと共
に得られた40個)の間で、EtBr染色による新規の染色体バンドは検出されなかっ
た。しかし、ゲルを放射能標識されたヒトDNAでプローブした場合、100クローン
のうち93について、強いシグナルが出発ウェルの位置に位置し、これは環状DNA
と推定された(図7)。さらに、各々93個の形質転換体の特有の弱い単一なバン
ドが通常存在する。従って、第2のセットのプラグを、分子内で断片を生成する
ために低用量の放射線に曝した。YAC分子が環状である場合、放射線誘導断片は
、強いバンドを生じる単一の断片のみを有する分子と共に、ゲル中に出現する物
質を生じ得た(Gameら、(1989)Genetics 123,695-713を参照のこと)。複数の
断片がスメアを生じ得る。図7に示すように、プラグの照射は、ヒトプローブと
共にハイブリダイズされた物質の広いバンドを生じた。弱い単一のバンドの位置
に対応する上の位置の広いバンドは、照射されたDNAと共に見出された。本発明
者らは、YACのほとんど全てが環状であり、そして分解された分子に対応する非
照射DNAと共に得られた単一の弱いバンドがDNA単離の間に現れることを結論づけ
る。これらの結果はまた、各々の形質転換コロニーが1つのYACのみを代表的に
有することを示唆する(以下を参照のこと)。50%を超えるYACは、150kbより大
きかった。(第16染色体YACのためのサイズ分布の特定の分析を以下に示す。)Y
ACのサイズが、線状TARクローニングについて以前に報告された(Larionovら、
(1996)Proc.Natl.Acad.Sci USA 93,491-496)よりも小さい場合、本発明者ら
はこの系が大きな環状YACの開発に最適化されていないことを留意する。
大きい環状YAC DNAは、使用されたTAFE条件下でゲル中に移動しないので、本
発明者らは、酵母染色体DNAからそれらを特異的に分離し、続いてそれらを単離
および特徴付けるために、この性質を使用し得るかどうか研究した。環状YACを
含む形質転換体からの染色体サイズDNAを有するアガロースプラグを、最初に標
準TAFE手順に供した。図7の結果に基づいて、ウェル中のDNAはヒトDNAが非常に
多いべきである。これに続いて、プラグをウェルから除去し、NotIで処置し、次
いで再度TAFE分析に供した。線状化YACに対応するこの第2のTAFE泳動の後のバ
ンドを、細菌細胞から単離されたBAC(Shizuyaら、(1992)Proc.Natl.Acad Sci
.USA 89,8794-8797)と同様にEtBr染色により容易に検出した(図8A、B)。本発
明者らはまた、BACベクターからのE.coli F-因子に基づくカセットをpVC39-AAH
2に導入した後、TAR環状クローニングを研究した。表2に示すように、シャトル
pNKBAC39ベクターはまた、酵母において環状ヒトYACを生成する。これらのYACは
、続いてBACとしてE.coli中で増殖され得た。
ヒトDNAを含む大きい環状YACの安定性を研究した。なぜなら、i)線状ヒトYAC
は天然の酵母染色体よりも小さい安定性であり、そしてii)環状YACは、二動原体
染色体を誘導する娘染色分体交換を起こし得るからである。pVC39-AAH2およびpV
C39-AAT3の環状化ベクターと共に得られた最も主要な(110/120)形質転換コロ
ニーにおいて、YACは安定であった。YACの選択なしのコロニー殖において、10%
未満の細胞が、標準的連結方法または2つのテロメア含有ベクターによる線状TA
Rクローニングのいずれかにより生成したYACマーカーを欠失した(Kouprimaら、
(1994)Genomics 21,7-17およびLarionovら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci US
A 93,491-496)。YACはまた、サイズの変化が一般に見られないので、構造的に
安定である。例えば、ほとんどの形質転換体において、YACの線状形態に対応す
る1つの弱いバンドのみが、増殖の間種々のサイズのYACの形質転換または発生
におけるいくつかのYACの存在に対して議論される非照射DNAで観察された。5つ
の初期の形質転換コロニーからの環状YACの構造安定性をさらに試験した。細胞
をYEPD培地に播種し、そして20世代増殖した。細胞をプレートし、そして各形質
転換体の5つのサブクローンにおけるYACのサイズを、γ線に曝した後に決定し
た。4つの形質転換体のサブクローンについて、元の約150〜200kbのYACからの
サイズに変化が観察されなかった。1つの形質転換体について、分析した5つの
サブクローンのうち2つにおいて40kbおよび80kbの欠失が検出された。これらの
結果が環状YACにおいてクローン化されたヒトDNAが、有糸分裂増殖の間に再配列
し得ることを実証する場合、再配列の頻度は線状YACについて観察されたものと
匹敵する(Kouprimaら、(1994)Genomics 21,7-17およびLarionovら、(1994
)Nucleic Acids Res.22,4154-4161)。
本発明者らはまた、少なくともAluよりも10倍少ない頻度である反復エレメン
ト(LINEおよびMER緩和反復)の他のクラスの使用について研究した。MERまたは
LINEエレメントを含む環状TARベクターの片方末端および他の末端は、Alu共通を
有した。表2に示されるように、MER8およびMER10の両方ならびにLINE1は、コン
トロールと比較して、TAR由来形質転換の数の増加を誘導した。Alu含有ベクター
と比較した場合、より低い効率の形質転換は、ゲノムにおける減少したこれらの
反復の頻度を明白に示した。分析した60個の形質転換体(各ベクターについて20
個)の間で、それらは全てヒトDNAを環状YACとして含んだ。サイズは、予期され
得るようにAluのみを有するベクターと共に得られたサイズに匹敵した。これは
、Aluが、MERおよびLINE配列よりも非常により頻度が高いからである。本発明者
らは、TARクローニングが、ヒトゲノムDNAからの大きく、安定な環状YACの生成
に適用され得ることを結論づける。一旦生成すると、環状YACは酵母細胞から容
易に単離され得る。げっ歯類/ヒト単一染色体ハイブリッド細胞由来のTAR環状化ベクターを用いた ヒトDNAの選択的クローニング
本発明者らは、ヒトDNAの特異的な単離のための環状TARクローニングの使用を
研究した。ヒト第16染色体を含むハイブリッド株CY18由来の全ゲノムDNAを、直
線化したベクターpVC39-AAH2(Alu-CEN6-HIS3-Alu)と共に酵母スフェロプラス
トに提供した。形質転換の効率は、5μgのゲノムDNA当たり100〜200コロニー
であった(表3)。マウスDNA+ベクターを用いた形質転換は、いくつかの形質
転換体のみを生成した(表2)。200個のHis+形質転換体(3個の独立した形質
転換体由来)のうち、約80%(161/200)が、82bpのAluプローブとのTAFEゲル中の
染色体サイズDNAのハイブリダイゼーションに基づいて、ヒトDNAを含んだ。プロ
ーブは、直線化したpVC39-AAH2に対する相同性を有さなかったので(材料および
方法を参照のこと)、プローブはヒトDNAについて特徴的であった。ヒトDNAを欠
いた39個の形質転換体のうち、3個はマウスDNAを有した。100Mbである第16染色
体は全細胞DNAの1.5%のみを代表するので、環状TARクローニングは、ハイブリ
ッド細胞株からヒトDNAを単離するための非常に効率的な手段を提供し得る。マ
ウスDNAに対するヒトDNAの富化は、161個のヒトYACクローン対3個のマウスYAC
クローンの単離、およびハイブリッド中のヒトDNAの画分に基づいて3,000倍より
大きい。TAFEによって分析されたクローンのほとんど(154/161)は、ウェル中に
保持された環状YACを含んだ。YACのサイズ分布は、γ線の照射後に決定した。図
9に示されるように、YACのほとんどは、100〜200kbの間であり;18%は、200kb
より大きかった。40個のランダムに選択したYACのAluプロフィール(70〜300kb
のサイズ範囲)に基づいて、同一のクローンは存在しなかった。
本発明者らはまた、ヒト第10染色体または22を含む単一染色体げっ歯類/ヒト
ハイブリッド細胞株からヒトDNAを単離する環状TARベクターpVC39-AAH2の能力を
調べた。ヒトDNAを含むYACのかなりの形質転換効率性および頻度を、調べた3個
のハイブリッド細胞株について見出した(表3)。非照射および照射したDNAのT
AFE分析に基づいて、各ハイブリッド細胞株についての形質転換体の約80%(125/
158)は、70kb〜350kbのサイズを有する環状YACを含んだ。各ハイブリッド株から
生成した20個のYACのAluプロフィールを決定した。同一のパターンは観察されな
かった。分析したヒトDNAを欠いた33個の形質転換体のうち、どれもげっ歯類DNA
を有さなかった。これらの形質転換体は、明らかに、ベクターと酵母染色体との
間の非正統的組換えによって生じた。ヒトDNAの選択的クローニングをまた、F
因子に基づいたpNKBAC39ベクターを用いて観察した。本発明者らは、Alu配列を
含む環状TARクローニングベクターは、ハイブリッド細胞株からのヒトDNAの単離
について高度に選択的であると結論する。ヒトDNAの小画分を含む照射/ハイブリッド株からのヒトDNAの選択的TARクロー ニング
上記の結果に基づいて、TARクローニングアプローチを、染色体DNAの小画分か
らのDNAのポジショナルクローニングおよび単離に適用し得た。それゆえ、本発
明者らは、TARクローニングの、二本鎖切断およびVDJ組換えのために必要とされ
るKu80遺伝子(Bluntら(1995)Genomics 30,320-328)を含む第2染色体の5Mb
領域を含む照射ハイブリッドからヒトDNAを単離する能力を調べた。pVC39-AAH2
を用いて得られた113個の単離体のうち、ヒトDNAを含む20個およびハムスターDN
Aを有する5個が存在し、そして単離されたキメラYACは存在しなかった。20個の
ヒトYACのうち、15個は、70kb〜200kbの間のサイズを有する環状であった。残り
の5個の形質転換体において、YACは、小さく(約70kb)そして線状であった。YAC
のAluプロフィールは異なったため、クローン化した領域は、ヒト染色体フラグ
メントの異なる領域に対応するようである(図10)。これらの結果に基づいて、
環状TARクローニングによるヒトDNAの約5,000倍の富化が存在した。この富化の
程度は、線状TARクローニング手順より非常に改善される。ハイブリッド細胞株からのヒトDNAの選択的線状TARクローニング
本発明者らは、効率性およびクローン化材料の性質について線状および環状TA
Rクローニングを比較した。完全サイズのAluを含むベクタ−Alu-CEN6-HIS3-TEL(
pVC1)およびAlu-URA3-TEL(pVL27)の組合せは、ハムスター/ヒト第22染色体ハイ
ブリッド株からのヒトDNAの選択的クローニングを導いた(表3)。His+Ura+形
質転換体のうち、55%(55/100)は、線状ヒトYACを含んだ(ヒトDNAに関するハイ
ブリダイゼーションに基づいて)。YACのサイズは、70kb〜>600kbで変化した。
50%を超えるYACは>200kbであった。わずか3%の形質転換体がハムスターDNA
を有するため、ヒトDNAの約1,100倍の富化が存在した。したがって、Alu標的化
配列を含む2つのベクターを用いた線状TARクローニングはまた、ハイブリッド
細胞株から、YACのようなヒトDNAの選択的単離についての手段を提供する。これ
らの結果はまた、単一のベクターを用いる富化手順より予想以上に優れている。
本発明者らはまた、本発明の結果を以前に得られた結果(Larionovら(1996)Pro
c.Natl.Acad.Sci USA 93,491-496)と比較するために、単一のテロメア含有A
lu-CEN6-HIS3-TELベクターpVC1を用いた、ハイブリッド細胞株からのヒトDNAの
線状TARクローニングを調べた。代表的には、20〜100個のHis+形質転換体が、こ
のベクターを用いて得られた(表3)。約25%のヒトDNAを有する形質転換体お
よび4%のマウスDNAを有する形質転換体に基づいて、単離した哺乳動物DNAのう
ち、約400倍のヒトDNAの富化が存在した。
環状YACとは異なり、線状pVC1ベクターを用いて得られる一次形質転換体中の
線状YACは、高い頻度で損失された。しかし、それらは、形質転換体のサブクロ
ーン中で有糸分裂において安定であった(Larionovら(1996)Proc.Natl.Acad
.Sci.USA 93,491-496)。単一のテロメアベクターによる安定な線状YACの生成
を説明するために、本発明者らは、テロメアを含む末端と反対の末端がヒト染色
体において存在する酵母テロメア様配列のテロメアを発達させ得ることを提唱し
た。YAC安定化の機構を調べるため、5個の一次形質転換体コロニーをサブクロ
ーン化し、そして各形質転換体から得られた5個のサブクローン由来のDNAを分
析した。同じ形質転換体から得られたサブクローン中のYACは、類似または同一
のAluプロフィールを示したが、一方でYACのサイズにおいてかなりの差異が存在
した(図11A、B)。差異は、テロメアを含まない末端の分解に起因してサイズが減
少する前駆体YACの結果であった。この見解を試験するため、DNAをサブクローン
から単離し、ClaIもしくはEcoRV(これらの部位における切断は、pVC1からテロ
メア(TEL)配列を取り除く)またはNotIもしくはSfiI(これらの部位はベクター
中に存在しない)のいずれかで消化し、ゲル電気泳動によって泳動し、そしてベ
クターに特異的なプローブでハイブリダイズさせた。各形質転換体から得たすべ
てのサブクローンは、共通の一組のバンドを示した(図11C)。これらの結果は、
サブクローンにおいて観察された異なるサイズのYACが、初期の非テロメア末端
からのYACの分解後のテロメア形成の結果であったという仮説を支持する。した
がって、pVC1ベクターは、単に形質転換体のコロニーを再線状接種(restreak)す
ることによって単離され得る一組の末端欠損YACを生成する機会を提供する。こ
れらの欠損変異体は、より詳細に染色体の異なる領域を研究するための機会を提
供し、そして一連のより小さい重複クローンを生成することを可能にする。さら
に、この技術は、染色体の重複領域をより容易に配列決定することを可能にする
。ヒト-げっ歯類キメラは、TARクローニングの間に観察されない
以前に、本発明者らは、キメラヒト-マウスYACが単一のテロメアTARベクター
を用いたTARクローニングの間に生成されないことを実証した(Larionovら(1996)
Proc.Natl.Acad.Sci USA 93,491-496)。本発明者らは、第16染色体のハイブ
リッド細胞株から生成した80個の環状ヒトYACをマウスDNAの存在について調べた
。これらのクローンからの染色体サイズDNAをTAFEによって分離し、そしてマウ
スDNAプローブでハイブリダイズさせてヒト/マウスキメラを同定した。マウス
プローブにハイブリダイズしたYACは存在しなかった。同様に、第22染色体DNAを
含む38個の環状YACのうち、どれもハムスターDNAにハイブリダイズしなかった。
本発明者らはまた、線状ヒトYACを調べ、そして1個のテロメア含有ベクターで
生成した24個、および2個のテロメア含有ベクターで生成した55個のうち、キメ
ラを見出さなかった。したがって、本発明者らは、ハイブリッド細胞株からのヒ
トDNAの環状または線状TARクローニングの間に、発生されるキメラはたとえあっ
たにしてもほとんど存在しないと結論し、これは、2つのDNA間の組換えは相同
性の欠乏のために排除されることを示唆する。
考察
酵母S.cerevisiaeは、RAD52依存経路を介して切断した相同なDNA分子または
高度に分岐したDNA分子を組換えすることで高度に効率的である。高い効率性は
また、酵母形質転換間の分子内組換えまで拡長する(Ericksonら(1993)Geneti
cs 134,151−157,Ketnerら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci USA 91,6186-619
0,およびDegryseら(1995)Yeast 11,629-640)。本発明者らのTARクローニン
グアプローチにおいて、本発明者らは、大きなサイズのYACのようなヒトDNAを単
離するための効率的な組換えと共に、大きなおよび/または小さな分子の頻繁な
同時浸入(co-penetration)を利用した。ヒトDNAと共に各末端に一般に存在する
ヒト反復(すなわち、Alu-CEN-Marker-Alu)を含む環状化プラスミドを、酵母スフ
ェロプラスト中に形質転換する場合、高収量の大きな環状YACが存在し;約半分
は、150kbより大きかった。Alu配列間の平均距離は約3kbであるため、ヒトDNA
フラグメントのTARクローニングは、非ランダム組換えによって生じるようであ
る。これらの結果は、プラスミドの反復間の組換え相互作用は、ヒト同時形質転
換DNAの末端近くの反復と優先的に生じるという本発明者らの以前の提唱を支持
する(Larionovら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci USA 93,491-496)。驚くべき
ことに、クローニングベクターが52bpのAluフラグメントのみを含んだ場合、効
率的なクローニングが存在し、これはTARクローニングのために必要とされる相
同性の領域は小さいことを示唆する。
TARクローニングの環状YACの開発への適用は、ヒトDNAまたは酵母における任
意の組織体のDNAのクローニングにおけるいくつかの新しい有用性を提供した。
環状分子は開始ウェル中に捕捉されるため、パルスフィールドゲル電気泳動を用
いる全酵母DNAからのYACの単離の容易さは、最も顕著である。環状YACは、線状Y
ACより剪断に耐性であり、そしてクローン化材料のさらなる特徴づけのために、
容易に操作され得る。さらに、TARベクターにおけるF因子起点の存在は、YACの
E.coliへの移行のための機会を提供する。したがって、BAC型ベクターを用いるT
ARクローニングは、E.coliからの迅速な単離についての能力と共に、酵母の多く
の遺伝的有用性を提供する。
酵母における大きな環状分子のようなDNAのクローニングに関するいくつかの
報告が存在するが(Garzaら(1989)Science 246,641-646,Featherstoneら(19
93)Genomics 17,267-278,およびMcGonigalら(1995)Gene 155,267-271)、
それらの安定性はあまり特徴づけられていない。ヒトYACの姉妹染色分体交換の
高い発生率が存在し、そしてこのことは、YAC二量体または不安定である二動原
体の生成を導き得るということが報告されている(Larionovら(1994)Nucleic A
cids Res.22,4154-4161)。本発明者らは、TARクローン化環状YACが、線状YAC
について観察される安定性と匹敵する構造的および分離的安定性を示すことを証
明した。さらに、環状YACの構造的安定性は、線状YACについての安定性と類似し
た組換え-修復欠損rad52株においてさらに増強され得る。
TARクローニングの重要な有用性は、げっ歯類-ヒトハイブリッド細胞株からヒ
トDNAを特異的に単離するための機会である。以前のアプローチは、物理的に分
離した特定の染色体からのDNAのクローニング、またはハイブリッド細胞株から
のDNAのランダムなクローニングおよびヒトクローンの同定のいずれかを含んだ(
McCormickら(1993)Genomics 18,553-558,Gingrichら(1993)Genomics 15,
228-230,およびGingrichら(1996)Genomics 32,65-74)。両方法は非常に手間
がかかる。以前に、本発明者らは、単一のテロメア含有ベクターでのTARクロー
ニングが、単離された線状哺乳動物YACのうち、ヒトDNAの75倍の富化を導いたこ
とを示した(Larionovら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci USA 93,491-496)。各
末端にてAluを有するTAR環状化ベクターを用いた本発明の実験において、富化は
約3,000倍であった。本発明者らは、環状TARクローニングが照射ハイブリッドに
おける5MbフラグメントからのヒトDNAの単離のために使用された場合、匹敵す
るレベルの富化が存在したことを実証し得たため、選択性は、小さなヒト染色体
フラグメントにさえまで拡長した。したがって、環状TARクローニング系は、ポ
ジショナルクローニングのための効率的かつ迅速な方法を提供し得る。
マウス-ヒトハイブリッド細胞からのヒトDNAの選択的単離はまた、2つのテロ
メア含有ベクターに関して観察された。この場合において、55%に達する形質転
換体は
ヒトYACを含み、そしてYACのうちのマウスDNAに対するヒトDNAの富化は、約1,00
0倍であった。YACサイズは、70kb〜600kb以上で変化した。1つおよび2つのTAR
ベクター系を用いて観察されたヒトDNA富化のレベルにおける差異は、第2のテ
ロメアを確立する能力に起因するようである。2つのベクターを用いたTARクロ
ーニングの場合について、環状TARクローニングについてもまた見出されたよう
に、一次形質転換体におけるYACは安定であった。しかし、単一のベクターを用
いたTARクローニングについて、YACのサイズは、しばしば一次形質転換体のサブ
クローンにおいて異なった。サブクローンにおけるYACのAluプロフィールおよび
物理的分析に基づいて、本発明者らは、分解が初期にテロメアを欠いた末端から
生じることを提唱する。最終的に、YACは、おそらく種々の酵母テロメア様配列
でのテロメア形成によって安定化する。これらの結果は、一方のみ保護された末
端を有するヒトYAC DNAが、切断した酵母DNAに関する観察と同様に(Sandellら
(1993)Cell 75,729-739)、切断した末端の修復前にいくつかの世代を経過し
得ることを示唆する。配列を安定化する性質は確立されなかったが、各形質転換
体について観察される広範なYAC誘導体は、そのような配列がヒトDNAにおいて頻
繁であることを示唆する。本発明者らは、単一のTARベクターを用いてヒトDNAを
単離するというこの特色は、クローン化材料の物理的マッピングのための一組の
末端欠損線状YACを生成するための機会を提供し得るということを示唆する。
げっ歯類/ヒトキメラは、単一染色体ハイブリッド細胞株からのヒトDNAのTAR
クローニングの間に観察されなかった。ヒトおよびマウス(ハムスター)DNA間
の相同性の欠失は、組換え相互作用を防止するようである。キメラの欠失は、組
換えがキメラの重要な供給源であるという以前の結論と一致する(Greenら(1991
)Genomics 11,658−669,Wadaら(1994)Nucleic Acids Res.22,1561-1554
,およびLarionovら(1994)Nucleic Acids Res.22,4154-4161)。ヒト/ヒト
キメラは、ヒトDNAの濃度が低い形質転換混合物からの2個以上のヒトDNA分子の
同時浸入の低い可能性のため、単一染色体ハイブリッド細胞からのDNAのTARクロ
ーニングの間に存在しないようである。
本発明者らの結果は、TAR法が、環状または線状のいずれかのYACのように、ハ
イブリッド細胞株からのヒトDNAの選択的クローニングにおいて非常に効率的で
あることを実証する。現在、クローン化したYACのほとんどは、100〜200kbのサ
イズ範囲にある。形質転換前の分子のサイズ選択は、より大きなYACを得るとい
う可能性を増加させるはずである。TARクローン化YACのサイズ分布は、染色体DN
Aにおける反復の分布に依存し得る。例えば、環状化TARベクターまたはペアのテ
ロメア含有ベクターにおけるMER(Jurkaら(1993)Nucl.Acids Res.21,1273-1
279)のような中頻度反復配列の使用は、より大きなYACの単離を生じ得る。本発
明者らは、多くのMER配列がげっ歯類ゲノムにおいて存在しないことに注目する
。したがって、MERを含むTARベクターは、ヒト/げっ歯類ハイブリッド細胞株か
らのヒトDNAのクローニングにおける大きな選択性を提供し得る。
要するに、TARクローニングは、それが組換えを介するDNAフラグメントの直接
的なクローニングについての可能性を提供するという点において、YACの有用性
を非常に拡長する。それは、特異的な染色体配列の簡単な単離のための機会を提
供し、そして遺伝子ファミリー、およびおそらく単一コピー遺伝子の単離を導く
ようである。この最後に、本発明者らは、全ヒトDNAからリボソームDNA反復を選
択的に単離し得た。
表3.TARクローニングによるげっ歯類-ヒト単一染色体ハイブリッド細胞株から
のヒトDNAの特異的単離
*Alu-ulAは、反復が反対の配向にあることを示す。**
約半分のHis+形質転換体が選択不可能なURA3マーカーを含み、それはすべての
場合(調べた152)においてHIS3に連結した。
実施例3
特定の核酸のTARクローニング
cDNAのTARクローニング一般的な概念
本発明者らはまた、目的の任意のcDNAのクローニングのための系、または上記
のようなTARクローニングの原理を用いたcDNAライブラリーの生成を開発した。
酵母ARS様エレメント(酵母における複製および増殖のために必要とされる)を
含む生じる組換えゲノムフラグメントに依存するゲノムフラグメントの一般的な
TARクローニングと異なり、cDNAクローニングの本発明者らの方法は、ベクター
上に予め存在するARSエレメントと対抗選択マーカー(CSM)を利用する;すなわち
、CMSの後の損失を有する目的の組換え分子含有cDNAのみが、酵母において増殖
し得る。さらに、この新規な方法は、挿入物が選択可能であることを必要としな
い。この方法は、切断部位と隣接する目的のcDNAに対して相同な小さな領域を含
むCSMを有する直線化したベクターと混合したcDNAを含む標準的な酵母形質転換
反応を利用する。適切な遺伝子マーカーを含む酵母形質転換宿主を用いて、生じ
る酵母形質転換体は、ベクター中に組換えられた所望のcDNAを含み、したがって
クローニングの間に通常必要とされる連結工程を排除する。本発明者らの評価に
よって、本発明者らは、TARクローニング原理を利用して目的のcDNAのクローニ
ングについて最低250倍の富化を計算した。一般的な実験設計
標準的な高コピーシャトルベクターは、cDNAのTARクローニングのために改変
され得る。環状ベクターは、酵母における高コピー増殖のための酵母2μ、酵母
選択マーカー(M)、E.coli起点(ori)、抗生物質選択(AB)、および酵母CSMと隣接
するTARについてのcDNA相同性(5'HOMおよび3'HOM;目的のcDNAに対する5'上流
および3'下流相同性)の領域、および消化後に平滑末端を生成する特有の制限酵
素部位(RE)を含むスタッファーフラグメント(SF)を含む。ベクターの一般的な略
図は、図12において見られ得る。
cDNAのTARクローニングについて、cDNA上の相同性は、公知の配列(例えば、
発現配列タグ(EST)、または任意の他の公知の相同性あるいは同種性(homeologou
s)配列)の20〜150bpに対応し得る。この方法を利用する完全長cDNAライブラリ
ーの作製について、3'相同性は、オリゴ(dT)配列+アダプター配列のようなcDNA
合成のために使用されるオリゴプライマーに対応し得、そして5'相同性は、mRNA
の共通5'非翻訳領域に対応し得る。これの例は、Kozak配列または他の公知の上
流共通配列を含む。これらの上流共通配列がTARクローニングのために十分でな
いならば、より小さなアダプター配列は、5'完全長合成cDNAに結合され得、した
がって完全長cDNAの効率的なTARクローニングのための基質を提供する。5'配列
が利用可能でない特定の完全長cDNAのクローニングについて、3'相同性は、3'ES
Tに、そして5'相同性は5'非翻訳共通配列または共通配列+小さなアダプターに
対応し得る。
結果
cDNAクローンのTARクローニングの初期の試験として、本発明者らは、発現が
酵母GAL1プロモーターによって制御される酵母Saccharomyces cerevisiae URA3
遺伝子を含む実験的な挿入物のTARクローニングのための試験ベクター(YEpGALNE
OSUP)を構築した(図13)。本発明者らの試験シャトルベクターは、酵母2μ複製
起点(2μm)、LEU2遺伝子(M)、E.coli複製起点およびアンピシリン耐性(ori AB
)、酵母GALIプロモーター(5'HOM)、特有の平滑制限酵素部位NruI(RE)を含むネオ
マイシン耐性を与える遺伝子(SF)、酵母の対抗選択マーカーSUPII(CSM)、および
試験挿入物に対する3'相同性領域(3'HOM)を含む。SUPII対抗選択マーカーは、2
μベクターのような高コピープラスミド上に含まれる場合、酵母細胞に対して致
死性であるtRNAサプレッサーをコードする。さらに、SUPIIは呈色選択を提供す
る、すなわちade2-101ナンセンス変異を有する形質転換宿主酵母菌株(それは赤
色であり、そしてアデニンを欠いた培地上で成長しない)は、したがってSUPII
の単一コピーが提供される場合、変異を抑制(またはADE+および白色に)させ得る
。それゆえ、ベクターが形質転換の間に挿入物と組換えないならば、酵母菌株は
、高コピーっSUPIIの毒性に起因して死滅する(実際、これらの細胞は、形質転
換プレート上で非常に小さな白色ミクロコロニーとして見られ得る)。ベクター
が試験挿入物と組換えるならば、SUPIIマーカーは失われ、そして形質転換体は
、大きな赤色コロニーとして成長する(図13)。本発明の方法は、SUPII遺伝子
の使用に限定されない。他の対抗選択遺伝子は、それぞれα-アミノアジピン酸
および5フルオロ-オロチン酸(5 flouro-orotic acid)を含む培地上で対抗選択さ
れ得るLYS2およびURA3を含む。
本発明者らの実験のために、ベクターをNrulで消化し、そして150bpの3'相同
性、ならびに32,121,210,および697bpの相同性の5'相同性を含む試験挿入物
(GALURA3;ガラクトースを有する培地上で増殖される場合、URA3遺伝子は、GAL
Iプロモーターから発現され、したがってURA+表現型を与える)と形質転換した
。ade2-101酵母宿主へのすべての形質転換反応(標準的なLiCl調製コンピテント
酵母細胞を利用する)を、100ナノグラムの消化したベクター、10ナノグラムの
試験挿入物、および50マイクログラムの非特異的な超音波処理したウシ胸腺DNA
を用いて実施した。ウシ胸腺DNAを、試験挿入物のTARクローニングの特異性を試
験するために極度に過剰で添加した。
本発明者らの結果(表4)は、本発明者らの系の有効性を示す。5'および3'相
同性を含む挿入物が、消化したベクターと共に同時形質転換しない限り、大きな
赤色の形質転換体は観察されなかった。挿入物の非存在または2つの末端の相同
性の非存在は形質転換体を生じない。さらに、5'相同性が32bpのみであった場合
でさえ、より低い頻度ではあるが(より大きな領域の相同性でより約5倍少ない
)有意な数の大きな赤色の形質転換体は観察された。最終的な試験として、赤色
の形質転換体を採取し、そしてウラシルを欠いたガラクトース含有培地上で増殖
するそれらの能力について試験した。表4において見られ得るように、ほとんど
の形質転換体はGALURA3挿入物を有し、これは再度本発明の技術の能力を実証す
る。
表4.試験挿入物のTARクローニングの効率性 実施例4
E.coliにおけるTARクローニング
組換えDNA分子の生成のためのSaccharomyces cerevisiaeにおけるTARクローニ
ングの原理は、E.coliに適用され得る。Olinerらは、PCR生成物の末端への相同
なベクター配列の接着(これらの配列をPCRプライマーに付加することによる)
を介するPCR生成物のクローニングを実証した(Olinerら(NAR 21:5192-97(1993)
)。標準的なE.coliエレクトロポレーション形質転換反応へのPCR生成物およびベ
クターの添加の際、それらは、E.coli細胞において組換え分子を生成し得た。
これらの結果はTAR技術のE.coliへの適用性を実証するが、一方でこれらの技
術は、Olinerらが示したようなPCRによってか、またはこれらの配列をDNAに結合
することによってのいずれかで、相同性配列を、挿入されるべき各外来DNA分子
の末端へ添加することに依存する。さらに、それらの技術は、ベクターの自己連
結の高いバックグラウンドを有し、そして比較的小さなPCR生成物(600〜2000bp
のフラグメント)のクローニングのために試験のみ実施した。
酵母においてTARを用いたcDNAフラグメントのクローニングについて以前に考
察されるように、ベクター設計の同じ原理は、E.coli中でのTARクローニングに
ついて適用され得る。Olinerらの方法を改善するため、外来DNAに対する相同性
の領域に隣接するベクターへの対抗選択マーカーの添加を使用する。E.coliのた
めの対抗選択マーカーは、商業的または容易に入手可能かのいずれかである(例
えば、致死遺伝子ccdBに基づいたInvitrogen's pZEROプラスミド(Invitrogen,I
nc.)またはΦX174溶解遺伝子あるいはスクラーゼの過剰発現)。この対抗選択系
は、標準的なE.coliベクター(あるいはシャトルベクター)においてか、または
BAC(Shlzuaら,PNAS 89 8794-8497(1992))あるいはPAC(Sternberg,N.PNAS 87
103−107(1990))のような細菌中の大きなDNA分子をクローニングし、そして増殖
するように設計されたベクターにおいて構築され得る。関連するDNAをクローン
化するために、ミスマッチ修復系(例えば、mutSまたはmutL)における変異体が、
Oliner系の改変において使用される。
実施例5
インビボTARクローニング
TARクローニングはまた、形質転換関連組換えの、インビボにおいて線状化さ
れる確立した細胞TARベクタープラスミドとの組合せを介して達成され得る。単
一の二本鎖切断が特定の標的配列の細胞内において生成され得る系の多くの例が
ある。特に、HO-エンドヌクレアーゼは、酵母の接合型部位でのみ切断する。細
胞は、MATYZ標的配列が、プラスミドあるいはゲノム中の他の部位に、またはプ
ラスミドあるいは人工的染色体上に移動されるように操作され得る。酵素は、GA
LIのような誘導性プロモーターの制御下に置かれ得る。単にグルコースからガラ
クトースへ糖を転換することによって、酵素は誘導され、そして二本鎖切断はMA
TYZ部位にて生成される。さらなる酵素はSCEIである。その標的配列は、天然で
は核中に存在しない。したがって、単一の切断が核中のその部位にて生成される
ように、ゲノム中またはプラスミド上における種々の位置に置かれ得る。誘導し
た切断の存在は、末端、または相同あるいは分岐したDNAについて高度に組換え
的である末端近くの領域を生じる(Bennettら,Mol.Cell.Biol.,印刷中;Nelso
nら,Mol.Cell.Biol.16(1996)2951-2957およびその中の参考文献;Rudinら
,Mol.Cell.Blol.8(1988)3918-3928およびGenetics 122(1989)519-534)
。
切断部位がプラスミドまたは人工的染色体に存在し、そして修復のための機会が
存在しないならば、プラスミドは通常失われる。非正統的組換えは非一般的事象
であり(約103)(MooreおよびHaber,Mol.Cell.Biol.16(1996)3164-2173)、
そして一般的にこれは減少されるか、あるいは対抗選択系が下記のように使用さ
れ得る。インビボで切断したプラスミドを用いてTARクローニングを達成するた
めに、以下を実施する。動原体およびARSを有する本明細書中に記載されるよう
な環状TARクローニングベクターを、TARクローニングのために使用される配列間
の標的配列での二本鎖切断を含むように操作する。プラスミドは選択可能なマー
カーを有し、そしてプラスミド配列は、それが組換えを回避するように酵母細胞
中の他のDNAと相同性を共有しないようなものである。したがって、一旦二本鎖
切断が生成され、そして選択がプラスミドについて維持されると、環状プラスミ
ドを再度生成する外来物質との組換えが存在するならば、または再連結(再度対
抗選択され得る低い頻度の事象)が存在するならば、細胞は増殖のみし得る。誘
導される場合、遺伝子生成物が二本鎖切断標的配列にてプラスミドを切断するよ
うに、誘導性遺伝子を細胞中に含む。細胞を、目的の核酸によって形質転換する
。形質転換前または形質転換およびプレーティングの時点にて、二本鎖切断を生
じる酵素が誘導されるように、誘導剤または条件を使用する。例えば、細胞を、
ガラクトース培地中で形質転換し得る(Venema,J.ら,Yeast 11(1995)145−1
56)。通常、GALIプロモーターを、制御可能なプロモーターとして酵母において
使用する。切断したプラスミド中のDNAは、細胞に入る相同または分岐した核酸
との組換えを起こし得る。切断したプラスミドに対するマーカーについての選択
はそれが修復されることを保証し、そして対抗選択は、修復が外来核酸を用いて
達成される可能性を増加させる。本明細書中に記載されるような対抗選択マーカ
ーは、単なる非正統的再連結に起因する多くの偽陽性を排除する。形質転換、お
よび寒天中のスフェロプラストの吸収、そしていくつかの世代の増殖の後、5-フ
ルオロ-オロチン酸のような対抗選択剤を添加する。したがって、外来DNAとの組
換えを起こした形質転換体のみが増殖し得る。選択はなお、プラスミドに対する
マーカーについてである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C12R 1:19)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR
,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,
MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S
D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT
,UA,UG,US,UZ,VN
特許法第30条第1項適用申請有り
(72)発明者 ラリオノフ,ブラディミール エル.
アメリカ合衆国 ノースカロライナ
27514,チャペル ヒル,メアーズ ロー
ド 2128
(72)発明者 クープリナ,ナタリー ワイ.
アメリカ合衆国 ノースカロライナ
27514,チャペル ヒル,メアーズ ロー
ド 2128
(72)発明者 パーキンス,エドワード エル.
アメリカ合衆国 ノースカロライナ
27510,カールボロ,ボーリン クリーク
ロード 506
【要約の続き】
および試薬に関する。本発明はまた、E.coliにおけるT
ARクローニングの方法に関する。