JP2000515541A - 殺虫性細菌 - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
種ホトラブダス・ルミネッセンス(Photorhabdus lumin escens)に属する新規な細菌が提供されるが、この細菌は、線虫感染ベクターによって運ばれるこれらの細菌に依存しない殺虫活性を保持している。生または不活化P.ルミネッセンス細胞、ならびにそのような細胞の断片および殺虫性P.ルミネッセンス細菌の培養物の上澄液が、本発明によって、植物の昆虫侵襲を処置するための殺虫剤として使用される。
Description
【発明の詳細な説明】
殺虫性細菌
発明の分野
本発明は、一般に、殺虫剤の分野にあり、そして作物の昆虫による侵襲(in
festation)を防除するための調製物および方法に関する。より具体的
には、本発明は、有効成分が、殺虫性細菌、細菌の死細胞もしくはその成分であ
るような調製物および方法を提供する。さらに、本発明は、殺虫活性を保持する
新規な細菌に関する。
発明の背景
昆虫による作物の侵襲は、作物収量の低下の主要原因である。化学殺虫剤が、
そのような侵襲を防除するために、数十年間、使用されてきたけれども、今日で
は、そのような化学薬品の使用に関連する環境上の危険性のために、生物学的な
防除手段へと移行する傾向が増大しつつある。
種ホトラブダス(Photorhabdus)の細菌は、それらの昆虫宿主を殺傷する効果
をもつ感染を伴う、昆虫への感染能を有している。ホトラブダス細菌は、線虫類
によって保持され、そしてそれらの感染生活環は、感染ベクターとしての線虫類
の使用を必要とする。事実、ホトラブダス感染は、線虫宿主に依存することが、
当該技術分野で信じられてきた。したがって、殺虫剤としてホトラブダスを保持
する線虫類を使用することが示唆された(Bedding,R.A.and Miller,L.A.Env
.Entomol.10:449-453,1981)。
発明の概要
本発明によれば、驚くべきことに、従来信じられてきたこととは反対に、ある
種のホトラブダス・ルミネッセンス(Photorhabdus luminesce ns
)(P.ルミネッセンス;また、キセノラブダス・ルミネッセンス(Xenorhab dus luminescens
)として知られている)細菌は、感染ベクターとして線虫キャ
リヤーに依存することなく、昆虫に感染する能力をもっていることが見い出され
た。本発明によって、数種の新規P.ルミネッセンス菌株が単離され、純粋形態
で得られ、そして殺虫剤として著しく効果があることが分かった。そのような細
菌は、時々、本明細書で「殺虫性細菌」として言及されるが、それらは、農業ま
たは園芸において作物の昆虫侵襲を防除するために使用できるであろう。
さらに、本発明によって、殺虫活性は、また、少なくとも部分的には、不活化
された細菌細胞によっても保持される、すなわち、殺虫活性は、必ずしも、殺虫
性細菌の生存には依存しないことが見い出された。なお、さらに、少なくともあ
る一定の殺虫活性は、また、破壊された不活化殺虫性細菌によって、ならびに殺
虫性細菌の培養物から得られる上澄液によっても発現されることが見い出された
。上澄液中の有効成分は、プロテアーゼに曝露された後の活性の損失または部分
的損失によって証明されるように、タンパク質またはタンパク質性物質であろう
。
かくして、本発明は、その態様の1つでは、
i. 殺虫活性が感染ベクターとして線虫を必要とせずに発現される、種ホト
ラブダス・ルミネッセンスに属する殺虫活性をもつ細菌;
ii. 不活化されたP.ルミネッセンス細胞;
iii. 不活化されたP.ルミネッセンス細胞の断片;および
iv. P.ルミネッセンス細胞の培養物の上澄液、その殺虫活性を保持してい
る画分、または該細胞から得られる殺虫性のある活性物質
からなる群から選ばれる有効成分の殺虫性のある有効量を含んでなる、
殺虫性組成物を提供する。
本発明の文脈上、殺虫活性をもつ細菌は、昆虫に感染し、そしてその死、その
成長の阻害、その運動性への影響などを引き起こすことができる細菌を指すため
に使用される。そのような殺虫活性の最終結果は、植物または作物の昆虫による
侵襲という阻害に対する軽減である。本発明の殺虫性細菌は、殺虫活性が、また
、線虫ベクターなしにそれだけで適用されても発現されるという点で独特である
。
また、本発明によって、該有効成分の有効量を、植物、またはそれらの環境に
投与することを含む、植物の昆虫侵襲の処置のための方法が提供される。
本発明の文脈上、用語「処置(treatment)」は、急性の侵襲の処置
、ならびにそれが発生する前に昆虫侵襲を予防することを意図する処置の両方を
包含すると理解されねばならない。
細菌は、植物の地上部分ならびにその地面のいずれにも、また両方に投与する
ことができる。投与は、噴霧によって、灌水をとおしての組成物の送達によって
、ならびに乾燥粒子もしくは粉末形態における組成物の投与によって行われる。
組成物は、該有効成分だけでも、また他の殺虫性微生物または化学殺虫剤のよ
うな1種以上の付加的殺虫剤との組み合わせでも、両場合とも適切なキャリヤー
とともに含有することができる。そのようなキャリヤーは、技術上既知のどんな
ものでも、例えば、天然または再生無機物質、賦形剤、分散剤、湿潤剤、増粘剤
、結合剤もしくは肥料でもよい。
また、本発明は、さらなるその態様では、種P.ルミネッセンスの新規な殺虫
性細菌の純粋培養物を提供する。特に好適なものは、ここで「X
P01」と名付けられた、本発明により純化された新菌株に属する細菌である。
XP01菌株は、1996年7月23日、CNCM受理番号I−1761として
、the Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM),I
nstitut Pasteur,25,rue du Dr.Roux,Pa
保持するP.ルミネッセンスの他の菌株もまた、本発明により使用することがで
きると考えられるであろう。
処置のためには、該有効成分の有効量が、植物、植物の部分の上に適用される
か、または植物の環境中、特に土壌中に導入される。有効量は、大部分の昆虫の
死を惹起するのに十分な該有効成分の量、昆虫の活性レベルを低下するのに有効
な量、昆虫の平均体重を減退するのに有効な量、昆虫の全体量を減退するのに有
効な量などと理解されるべきである。該有効成分が、昆虫による侵襲の予防のた
めに使用される場合は、その有効量は、植物または植物作物に対して損害を与え
るであろう集団を形成する昆虫類の発生を阻止するのに有効である量であろう。
該有効成分は、多くの投与方式において急性または予防的処置のいずれにおい
て適用されてもよい。例えば、該有効成分は、灌水と混合され、かくして、灌水
をとおして植物の地上部分または土壌のいずれにも(灌水形式に応じて)適用で
きる。その他の例は、該有効成分を含有する液状製剤が、特に地上の植物部分に
、例えば慣用の噴霧器を用いて噴霧されてもよい。その他の例は、該有効成分が
、植え付け後の植物の昆虫の侵襲を予防する目的で、土壌、例えばポットの土壌
と混合されてもよい。さらなる例では、植物の部分、特に種子が、該有効成分を
含有する溶液で含浸される。また、有効成分は、作物の収穫後の保護のために使
用す
ることができるが、それは、収穫前でも後でも、有効成分により作物を噴霧する
か、または含浸することによって達成できる。
当業者によって評価されるように、該有効成分の処置法は、防除されるべき昆
虫の種類、処置されるべき植物の性質、細菌を含有する組成物の適用方法などに
応じて変わるであろう。ある場合には、単回処置で、十分であろうし、一方、他
の場合には、寄生された植物は、ある期間中、組成物の反復適用によって処置さ
れる必要があるであろう。また、処置中の投与される有効成分の用量は、上記お
よび他のファクターに応じて変わるであろう。
本発明の細菌は、殺虫性細菌を保持している線虫とともにインキュベートされ
た昆虫の幼虫の死骸から分離することによって得ることができる。幼虫の死骸か
ら得られた血リンパが、細菌コロニーが増殖する適切な培地で培養され、次いで
、単一細菌コロニーが、選択され、そして純化される。
殺虫性細菌は、種々な時間の間、適切な増殖培地における発酵によって大量に
得るために培養される。発酵後収穫され、大量の選択された細菌を含有している
発酵ブロスは、以後、「発酵物」と呼ばれるであろう。
該活性薬剤は、特に鱗翅類、例えばマメストラ・ブラッシカエ(Mamestra bra ssicae
)、スポドプテラ・リットラリス(Spodoptera littoralis)、ヘリコベ
ルパ・アルミゲラ(Helicoverpa armigera)、アグロチス・イプシロン(Agroti s ipsilon
)、スコチア・セゲタム(Scotia segetum)およびロベシア・ボトラ
ナ(Lobesia botrana)に対して効果的であることが分かった。
本発明は、さらに、次に示す実施例および付属の図面において記述さ
れる若干の特定の実施態様によって、具体的に説明されるであろう。
図面の説明
付加された図面において示される図は、P.ルミネッセンスXP01細菌の種
々の希釈液から得られた異なる調製物の殺虫活性が試験された、実験の結果のグ
ラフ表示である。試験された効果は、調製物の投与後5日目に、5日齢のマメス
トラ・ブラッシカエ幼虫の体重変化であった(最初の幼虫の体重は、平均6.3
3mg)。調製物が得られたP.ルミネッセンス発酵物は、19時間培養物であ
った。種々のサンプルが次のように試験された:
サンプルA19:塩基性リンゲル液(pH9)において3回洗浄されたXP0
1発酵物からの細胞;
サンプルB19:酸性リンゲル液(pH5)において3回洗浄されたXP01
発酵物からの細胞;
サンプルC19:中性リンゲル液(pH7)において3回洗浄されたXP01
発酵物からの細胞;
サンプルD19:22ミクロンのフィルターにより濾過されたXP01発酵物
の上澄液;
サンプルE19:無処理の全XP01培養物。
サンプルF19:25℃で19時間インキュベートされたXP01細胞を含ま
ないR5培地。
実施例
以下の一定の実施例では、種々の昆虫類に対する殺虫活性は、試験された調製
物とともにインキュベートされた新生幼虫の死滅率スコア(%)を測定すること
によって決定された。処理された幼虫のスコアされた死
滅率は、次のようなAbbottの式を用いて、無処置の対照幼虫の死滅率を考
慮して捕正された。
例1
ホトラブダス・ルミネッセンスXP01のXP01菌株を、次のようにガレリ
ア・メロネラ(Galleria mellonella)の幼虫から分離した:
i.G.メロネラの最終齢幼虫10匹を、湿った濾紙をおいたペトリ皿内に入
れ、ヘテロラブヂチス・ベクテリオホラ(Heterorhabditis bacteriophora)株
のDauer Juveniles約1500を添加した。次いで、幼虫と線虫
を含有しているペトリ皿を、25℃の暗所でインキュベートした。
ii.昆虫の死の直後(インキュベーション約2日後)、死骸を、70%メタノ
ールを入れたペトリ皿で、5分間洗浄し、次いで、滅菌脱塩水中で洗った。
iii.各昆虫の死骸を、鋏と針を用いて開いた。各死骸からの血リンパの1滴を
栄養寒天平板上に滅菌ループを用いて塗布した。
iv.栄養寒天平板を、暗所で25℃48時間培養した。増殖したコロニーの形
態学的観察の後、単一のP.ルミネッセンスのコロニーを選択し、NBTA、M
cConkeyおよび栄養寒天平板上に塗布した。
v.汚染菌を避け、そしてホトラブダスの単一コロニーの選択を確実に行うた
めに、上記段階ivに記されたようなコロニーの継代培養を、数回繰り返した。
P.ルミネッセンスの新規菌株の純粋培養物が得られた。「XP01」
と命名されたそのような培養物の1つを、1996年7月23日に、the Collec
tion Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に寄託し、受理
番号I−1760を得た。
例2
XP01発酵物の連続希釈液を、希釈剤としての脱塩水および全培養物を用い
て調製し、そして各希釈液を、マメストラ・ブラッシカエ新生幼虫とともにイン
キュベートした。幼虫の死滅率を、27℃でのインキュベーション4日後にスコ
アした。結果を、次の表1に示す:
表1
数段階の希釈度における、マメストラ・ブラッシカエの新生幼虫に対する生細
菌懸濁液の殺虫効果 上記表1に見られるように、XP01発酵物は、新生幼虫の%死滅率によって
測定されるようなM.ブラッシカエの新生幼虫に対する殺虫活性を示した。
例3
25℃においてR5培地で発酵されたXP01発酵物のサンプルを、
発酵開始後19,24および40時間に採取した。19時間目に採取されたサン
プルの一部を、15000rpmで5分間、卓上遠心器において遠心し、次いで
、上澄液を、細菌ペレットから分離した。
19時間発酵物からのペレットを、6サンプルに分けた:
サンプルA19:塩基性リンゲル液(pH9)で3回洗浄した;
サンプルB19:酸性リンゲル液(pH5)で3回洗浄した;
サンプルC19:中性リンゲル液(pH7)で3回洗浄した;
サンプルD19:上澄液を、0.22ミクロンフィルターを通して濾過して、
懸濁液から細菌細胞を除去した;
サンプルE19:元の発酵物(全細菌培養物);
サンプルF19:25℃で19時間インキュベートされたXP01培養物を含
まないR5培地。
サンプルを、例2と同様に、5日齢のマメストラ・ブラッシカエ幼虫に対して
バイオアッセイした。6日間インキュベートした後、死滅率をスコアし、そして
生存している幼虫の各用量群を、体重測定し、幼虫の平均体重を算出した。図に
見られるように、サンプルA19,B19,C19およびE19で処理した幼虫
の体重における減少が、測定されたが、それは、サンプルの希釈度に逆比例した
。サンプルD19およびF19を用いては、減少は観察されなかった。
19時間発酵物(サンプルE19)、24時間発酵物(サンプルE24)およ
び40時間発酵物(サンプルE40)を、上記のように新生マメストラ・ブラッ
シカエに対してバイオアッセイし、死滅率を6日後にスコアし、そして致死希釈
度(Lethal Dilution Rate)50%(LDR50)を、プ
ロビット解析(probit an
alysis)によって計算するか、またはグラフの補間法によって評価した。
下記表2〜4に見られるように、XP01全培養物の殺虫活性は、培養物の発酵
時間によって影響されず、そして19,24または40時間発酵された培養物間
には有意な差異はなかった。
表2
(新生幼虫−19時間)
数段階の希釈度における、マメストラ・ブラッシカエの新生幼虫に対する生細菌
懸濁液(培養19時間後に収穫)の殺虫効果
表3
(新生幼虫−24時間)
数段階の希釈度における、マメストラ・ブラッシカエの新生幼虫に対する生細菌
懸濁液(培養24時間後に収穫)の殺虫効果
表4
C−(新生幼虫−40時間)
数段階の希釈度における、マメストラ・ブラッシカエの新生幼虫に対する生細菌
懸濁液(培養19時間後に収穫)の殺虫効果
異なる調製物に対する近似LDR50は、次のとおりであった:
E19−約1:17.2希釈液
E24−約1:18.5希釈液
E40−約1:18.2希釈液
例4
XP01発酵物の殺虫活性を、4種の異なる鱗翅類の新生幼虫に対して試験し
た:(S.リットラリス、H.アルミゲラ、A.イプシロン、およびS.セゲタ
ム)。
各々、24時間XP01発酵物6mlを含有する数サンプルを調製した。希釈
および無希釈サンプルを、4種の鱗翅類の新生幼虫とともにインキュベートした
。
下記表5〜8に見られるように、XP01発酵物は、4種の鱗翅類に対して殺
虫活性を示した。
表5
(スポドプテラ・リットラリス新生幼虫)
4段階の希釈度における、スポドプテラ・リットラリスの新生幼虫に対する生細
菌懸濁液の殺虫効果
表6
(アグロチス・イプシロン新生幼虫)
4段階の希釈度における、アグロチス・イプシロンの新生幼虫に対する生細菌懸
濁液の殺虫効果 表7
(ヘリコベルパ・アルミゲラ新生幼虫)
4段階の希釈度における、ヘリコベルパ・アルミゲラの新生幼虫に対する生細菌
懸濁液の殺虫効果
表8
(セコチア・セゲタム新生幼虫)
4段階の希釈度における、セコチア・セゲタムの新生幼虫に対する生細菌懸濁液
の殺虫効果 例5
R5培地において25℃で24時間発酵されたXP01の発酵物を得て、次の
サンプルを調製した:
サンプルA:未処理の発酵物;
サンプルB:細菌を含有しないが、25℃で24時間インキュベートされたR
5培地;
サンプルC:22ミクロンフィルターを通して濾過された発酵物の上澄液;
サンプルD:等張液で3回洗浄され、次いで等張液に再懸濁された発酵物の細
菌ペレット;
サンプルE:pH4.5の培地に再懸濁されたDと同様の細菌ペレット;
サンプルF:脱塩水;
サンプルG:乳鉢において液体窒素中乳棒で粉砕された発酵物の細菌ペレット
;
サンプルH:乳鉢において液体窒素中乳棒で粉砕された全細菌培養物の再懸濁
ペレット(サンプルG)の、22ミクロンフィルターで濾過された上澄液。
すべての上記サンプルを、27℃で5日間、M.ブラッシカエの新生幼虫とと
もにインキュベートした。結果を、次の表9および下記表10のプロビット解析
に示す。
表9に見られるように、検出された最高殺虫活性は、全XP01培養物の活性
であった。22ミクロンフィルターで濾過された全細菌培養物の上澄液(サンプ
ルC)は、これらの新生幼虫に対する殺虫活性を示さなかった。これに対して液
体窒素処理によってやや損傷された細胞の細菌細胞ペレットから調製された上澄
液(サンプルH)は、殺虫活性を示した。このことは、細菌細胞が、細胞損傷に
よって上澄液中に漏出する殺虫成分を含有している可能性を支持する。表9
数段階の希釈度における、マメストラ・ブラッシカエの新生幼虫に対する生細
菌懸濁液およびいくつかの誘導物の殺虫効果
表10
表9の結果のプロビット解析
処理Hの評価LDR50=.89限界(limit):.7〜1.5例6
XP01細菌の全細菌培養物の殺虫活性を、H.アルミゲラの新生幼虫に対し
て試験した。XP01培養物は、R5培地において25℃で24時間発酵され、
そして発酵物から、次のサンプルを調製した:
サンプル1:細菌ペレットを調製し、そして脱塩水60mlに再懸濁して、2
時間、浸透圧ショックに曝した。
サンプル2:XP01発酵物のペレットを、50℃で9時間乾燥し、等張液に
再懸濁し、そして音波処理して細胞壁を破壊した。
サンプル3:発酵物のペレットを、サンプル3について記載のように処理した
が、再懸濁がpH4.5の酸性溶液である点が異なる。
サンプル4:元の発酵物を、H.アルミゲラの新生幼虫に対して、8用量バイ
オアッセイにおいて試験した。
サンプル1〜3からの結果を、次の表11に示し、そしてサンプル4の結果を
以下の表13に示した。プロビット解析を、それぞれ、表12と14に示した。
表11
8段階の希釈度における、マメストラ・ブラシッカエの新生幼虫に対する生細
菌懸濁液からの処理サンプルの殺虫活性 表12
表11の結果のプロビット解析 表13
8段階の希釈度における、ヘリコベルパ・アルミゲラの新生幼虫に対する生細
菌懸濁液の殺虫効果
表14
表13の結果のプロビット解析
表11に見られるように、XP01細胞培養物は、試験された組成物(サンプ
ル1,2,3)の希釈に相関して、M.ブラッシカエの新生幼虫に対する殺虫活
性を示す。
表13に見られるように、8−用量バイオアッセイに使用されたXP01全培
養物は、M.ブラッシカエの新生幼虫に対する同じ細菌の殺虫活性とは程度が異
なるけれども、H.アルミゲラの新生幼虫に対する殺虫活性を示した(サンプル
4)。
例7
ホルマリンによって不活化されたXP01細胞の、M.ブラッシカエの新生幼
虫に対する殺虫活性を試験した。
XP01を、R5培地において25℃で発酵させ、発酵物のサンプルを採取し
、次のように処理した:
サンプルA:未処理発酵物。
サンプルB:30%(v/v)ホルマリン3μl/mlにより処理された発酵
物。
サンプルC:30%(v/v)ホルマリン6μl/mlにより処理された発酵
物。
これらのサンプルの活性を、次のような対照調製物に比較して試験した。
対照A:脱イオン水。
対照B:30%(v/v)ホルマリン3μl/mlを含む脱イオン水。
対照C:30%(v/v)ホルマリン6μl/mlを含む脱イオン水。
ホルマリンの殺菌効力を調整するために、サンプルA,BおよびCからの細胞
を、3種の栄養寒天平板に塗布し、それを、25℃で2日間暗所で培養した。こ
の試験で、すべての細菌細胞がホルマリンによって死滅されたことが確認された
。
上記対照およびサンプルを、M.ブラッシカエの新生幼虫に対するバイオアッ
セイで試験した。
表15に総括された結果は、ホルマリンによって不活化されたXP01細胞が
、M.ブラッシカエの新生幼虫に対する殺虫活性を維持していることを示してい
る。
表15
例8
L.ボトラナの新生幼虫に対するXP01発酵物の殺虫活性を、次のように試
験した:
XP01培養物を、R5培地において25℃で24時間発酵させ、その後、発
酵物のサンプルを採取し、L.ボトラナ新生幼虫に対する1−用量バイオアッセ
イに使用した。
下記表16に見られるように、XP01の全培養物は、L.ボトラナの新生幼
虫に対する殺虫活性を示した。
表16 例9
M.ブラッシカエ、H.アルミゲラ、A.イプシロン、S.セゲタム、S.リ
ットラリス、L.ボトラナの新生幼虫に対するXP05およびXP98の全培養
物の殺虫活性を試験し、そして同じ種類の幼虫に対するXP01の全培養物の殺
虫活性と比較した。
「XP05」と命名された細菌菌株は、菌株XP01に関する例1の記述のよ
うに、スタイネルネマ・フェルチエ(Steinernema feltiae)株、UKのDau
er Juvenilesによって感染されたガレリア・メロネラ幼虫の血リン
パから分離された。また、細菌XP98は、同様に、スタイネルネマ種(Steine rnema
sp.)株98のDauer Juvenilesによって感染されたガレ
リア・メロネラ幼虫の血リ
ンパから分離された。
XP01,XP05、XP98は、R5培地において25℃で24時間発酵さ
せた。
発酵物を収穫し、そしてM.ブラッシカエ、H.アルミゲラ、A.イプシロン
、S.セゲタム、S.リットラリス、L.ボトラナの新生幼虫に対する1−用量
バイオアッセイにおいていかなる希釈もなしに使用した。結果を、次の表17〜
22に示した。表17
M.ブラッシカエの新生幼虫に対する1−用量バイオアッセイ
表18
H.アルミゲラの新生幼虫に対する1−用量バイオアッセイ
表19
L.ボトラナの新生幼虫に対する1−用量バイオアッセイ
表20
A.イプシロンの新生幼虫に対する1−用量バイオアッセイ 表21
S.セゲタムの新生幼虫に対する1−用量バイオアッセイ
表22
S.リットラリスの新生幼虫に対する1−用量バイオアッセイ
表17〜22に見られるように、6種の鱗翅類の種に対するXP01の殺虫活
性が明確であるのに対して、XP05およびXP98菌株は、6種の鱗翅類の種
に対して低い活性をもっている。
例10
R5培地において24時間25℃で発酵させたXP01の全培養物を、900
0rpmで20分間遠心して濃縮した。得られた濃縮物を凍結乾燥してXP01
発酵ブロスの工業的粉末(Technical Powder)を製造した。
次のサンプルを調製した:
サンプルA:R5培地において24時間25℃で発酵させたXP01の全培養
物。
サンプルB:脱塩水中、濃度0.0028g/mlで再懸濁されたTechn
ical Powderの懸濁液。
すべての上記サンプルを、27℃で5日間、M.ブラッシカエの新生幼虫とと
もにインキュベートした。結果を、次の表23に示す:
表23
数段階の希釈度における、M.ブラッシカエの新生幼虫に対する生細菌懸濁液
およびその工業的粉末の殺虫効果
上記表23に見られるように、XP01のTechnical Powder
は殺虫活性をもっている。このことは、細菌菌株XP01が、昆虫防除に使用で
きる殺虫成分を含有しているという説を支持する。
例11
XP01の工業的粉末の懸濁液からの上澄液の殺虫活性を、M.ブラッシカエ
(鱗翅類)の新生幼虫に対して試験した。
XP01の工業的粉末の懸濁液(0.0028g/脱塩水1ml)を、30分
間撹拌した。その上澄液を回収し、そして22ミクロンフィルターで濾過した。
次のサンプルを調製した:
サンプルA:R5培地において24時間25℃で発酵させたXP01の全培養
物。
サンプルB:22ミクロンフィルターで濾過された再懸濁Technical
Powderの上澄液。
すべての上記サンプルを、27℃で5日間、M.ブラッシカエの新生幼虫とと
もにインキュベートした。結果を、次の表24に示す:
表24
数段階の希釈度における、M.ブラッシカエの新生幼虫に対する生細菌懸濁液
およびXP01の工業的粉末からの上澄液の殺虫効果
上記表24に見られるように、XP01の工業的粉末の上澄液は殺虫活性をも
ち、それは、殺虫成分が22ミクロンより小さいことを示している。例12
XP01の全培養物の殺虫活性を、M.ブラッシカエ(鱗翅類)の新
生幼虫に対して、浸漬−葉アッセイにおいて試験した。
R5培地において25℃24時間発酵させたXP01の全培養物の数種の希釈
液を、プラスチックカップ内にいれた。キャベツ葉ディスクを、各希釈液に5秒
間浸漬し、次いで、それらを風乾した。0.02%の界面活性剤TritonC
S−7を各溶液に含有させた。
処理した葉のディスクを、20℃で5日間、M.ブラッシカエの新生幼虫とと
もにインキュベートした。結果を、下記表25に示す。
表25
数段階の希釈度における、M.ブラッシカエの新生幼虫に対する生細菌懸濁液
の葉−浸漬アッセイにおける殺虫効果
上記表25に見られるように、XP01の全培養物は、葉の表面に適用された
場合でも殺虫活性をもつ。
例13
XP01の工業的粉末の懸濁液の殺虫活性に及ぼす2種のプロテアーゼ消化の
影響を試験した。
100mMTRIS溶液pH7.5中XP01の工業的粉末懸濁液(濃度、0
.0028g/ml脱塩水)から、次のサンプルを調製した:
サンプルA:100mMTRISpH7.5中、ストレプトミセス・ケスピト
サス(Streptomyces caespitosus)からのプロテアーゼ1ml溶液を添加したX
P01懸濁液9ml(最終プロテアーゼ濃度、0.0028g/ml)。
サンプルB:100mMTRISpH7.5中、ウシ膵臓からのプロテアーゼ
1ml溶液を添加したXP01懸濁液9ml(最終プロテアーゼ濃度、0.00
28g/ml)。
サンプルC:100mMTRISpH7.5の1ml溶液を添加したXP01
懸濁液9ml。
全上記サンプルを、37℃で4時間インキュベートした。タンパク質分解消化
を調べるために、ゲルSDS−PAGEを、インキュベートされたサンプルおよ
び無処理XP01懸濁液を用いて行った。
全上記サンプルを、27℃で5日間、M.ブラッシカエの新生幼虫とともにイ
ンキュベートした。上記サンプルに対応する付加的な対照を次のように試験した
:
対照A:100mMTRISpH7.5中、ストレプトミセス・ケスピトサス
からのプロテアーゼ溶液(プロテアーゼ濃度、0.0028g/ml)。
対照B:100mMTRISpH7.5中、ウシ膵臓からのプロテアーゼ溶液
(プロテアーゼ濃度、0.0028g/ml)。
対照C:100mMTRISpH7.5溶液。
結果を、下記表26に示す:表26
数段階の希釈度における、M.ブラッシカエの新生幼虫に対するプロテアーゼ
処理されたXP01の工業的粉末懸濁液の殺虫効果 上記表26に見られるように、ウシ膵臓からのプロテアーゼは、XP01の殺
虫活性を劇的に低下した。このことは、XP01調製物中の有効成分が、ウシ膵
臓プロテアーゼによっては、甚だしく損傷されるが、
S.ケスピトサスのプロテアーゼによっては損傷が少ないタンパク質である可能
性を指摘している。
【手続補正書】特許法184条の8第1項
【提出日】平成10年9月10日(1998.9.10)
【補正内容】
請求の範囲
1. i.殺虫活性が感染ベクターとして線虫を必要とせずに発現される、種
P.ルミネッセンスに属する殺虫活性をもつ細菌;
ii.不活化されたP.ルミネッセンス細胞および;
iii.不活化されたP.ルミネッセンス細胞の断片、または該細胞から得られる
殺虫性のある活性物質:
からなる群から選ばれる有効成分の殺虫性のある有効量を含んでなる、殺虫性組
成物。
2. 生きている殺虫性細菌を含む、請求の範囲1記載の殺虫性組成物。
3. 不活化された細菌細胞、その断片、またはそれらから得られる物質を含
む、請求の範囲1記載の殺虫性組成物。
4. 該細胞から得られるタンパク質性物質を含む、請求の範囲3記載の殺虫
性組成物。
5. P.ルミネッセンス細菌が、菌株XP01、CNCMI−1760の特
性をもつ、請求の範囲1〜4のいずれか1つに記載の組成物。
6. i.殺虫活性が感染ベクターとして線虫を必要とせずに発現される、種
P.ルミネッセンスに属する殺虫活性をもつ細菌;
ii.不活化されたP.ルミネッセンス細胞および;
iii.不活化されたP.ルミネッセンス細胞の断片、または該細胞から得られる
殺虫性のある活性物質:
からなる群から選ばれる、有効成分の有効量を、植物またはそれらの環境に投与
することを含む、植物の昆虫侵襲の処置方法。
7. 該有効成分が、植物の地上部分に投与される、請求の範囲6記
載の方法。
8. 該有効成分が、土壌に投与される、請求の範囲6記載の方法。
9. 有効成分が、生細菌細胞を含む、請求の範囲6〜8のいずれか1つの方
法。
10.有効成分が、不活化された細菌細胞、そのような活性化された細胞の断
片、または該細胞から得られる物質を含む、請求の範囲6〜8のいずれか1つに
記載の方法。
11.細菌が、菌株XP01、CNCMI−1760の特性をもつ、請求の範
囲6〜10のいずれか1つに記載の方法。
12.種P.ルミネッセンスに属し、そして感染ベクターとして線虫を必要と
せずに、昆虫へ感染し、殺虫活性を及ぼすその能力によって発現される殺虫活性
をもつ、細菌の純粋培養物。
13.該細菌が、菌株XP01、CNCMI−1760の特性をもつ、請求の
範囲12に記載の純粋培養物。
14.菌株XP01、CNCMI−1760の細菌。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE
,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,
LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M
X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,
UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW
(72)発明者 フリドレンダー,ベルトルド
イスラエル・96428エルサレム・ジヨセフ
チヤクミイ ストリート27/4
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. i.殺虫活性が感染ベクターとして線虫を必要とせずに発現される、種 P.ルミネッセンスに属する殺虫活性をもつ細菌; ii.不活化されたP.ルミネッセンス細胞; iii.不活化されたP.ルミネッセンス細胞の断片;および iv.P.ルミネッセンス細胞の培養物の上澄液、その殺虫活性を保持している 画分、または該細胞から得られる殺虫性のある活性物質: からなる群から選ばれる有効成分の殺虫性のある有効量を含んでなる、殺虫性組 成物。 2. 生きている殺虫性細菌を含む、請求の範囲1記載の殺虫性組成物。 3. 不活化された細菌細胞、その断片、それらから得られる物質または殺虫 性細菌の培養物の上澄液を含む、請求の範囲1記載の殺虫性組成物。 4. 該細胞から得られるタンパク質性物質を含む、請求の範囲3記載の殺虫 性組成物。 5. P.ルミネッセンス細菌が、菌株XP01、CNCMI−1760の特 性をもつ、請求の範囲1〜4のいずれか1つに記載の組成物。 6. i.殺虫活性が感染ベクターとして線虫を必要とせずに発現される、種 P.ルミネッセンスに属する殺虫活性をもつ細菌; ii.不活化されたP.ルミネッセンス細胞; iii.不活化されたP.ルミネッセンス細胞の断片;および iv.P.ルミネッセンス細胞の培養物の上澄液、またはその殺虫活性を保持し ている画分、または該細胞から得られる殺虫性のある活性物質 ;からなる群から選ばれる、有効成分の有効量を、植物またはそれらの環境に投 与することを含む、植物の昆虫侵襲の処置方法。 7. 該有効成分が、植物の地上部分に投与される、請求の範囲6記載の方法 。 8. 該有効成分が、土壌に投与される、請求の範囲6記載の方法。 9. 有効成分が、生細菌細胞を含む、請求の範囲6〜8のいずれか1つの方 法。 10.有効成分が、不活化された細菌細胞、そのような活性化された細胞の断 片、該細胞から得られる物質、または殺虫性細菌が増殖した上澄液を含む、請求 の範囲6〜8のいずれか1つに記載の方法。 11.細菌が、菌株XP01、CNCMI−1760の特性をもつ、請求の範 囲6〜10のいずれか1つに記載の方法。 12.種P.ルミネッセンスに属し、そして感染ベクターとして線虫を必要と せずに、昆虫へ感染し、殺虫活性を及ぼすその能力によって発現される殺虫活性 をもつ、細菌の純粋培養物。 13.該細菌が、菌株XP01、CNCMI−1760の特性をもつ、請求の 範囲12に記載の純粋培養物。 14.菌株XP01、CNCMI−1760の細菌。
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