JP2000515725A - 転移関連抗原およびそれに対する抗体 - Google Patents
転移関連抗原およびそれに対する抗体Info
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Abstract
(57)【要約】
配列番号1および9に示された配列を有する膜結合ポリペプチドが提供される。上記ポリペプチドから誘導された免疫原決定基およびそれに対して産生される抗体も提供される。ポリペプチド、それらの誘導された抗原決定基および抗体は、腫瘍における転移潜在性の診断および処置に有用である。
Description
【発明の詳細な説明】
転移関連抗原およびそれに対する抗体
この発明は、インビトロおよびインビボでの腫瘍細胞の転移行動と密接な関連
がある新規抗原、並びに上記抗原を認識する抗体、および悪性疾患の診断および
処置におけるその用途に関するものである。
転移は、腫瘍細胞が原発腫瘍部位から剥離し、血液およびリンパ管中に入り、
離れた身体部位へ移動し、新たな腫瘍増大巣を形成するという多段階プロセスで
ある。転移の見かけ上複雑な性質と一致して、実験データは、一つの因子が転移
潜在性の決定に専ら関与するわけではないことを示唆している。逆に、各事象が
腫瘍のもつ転移傾向を増大的に助長する事象のカスケードにより、転移および腫
瘍拡散が誘発される。転移カスケード事象の各々が、各転移状況において同一の
重要性をもつ役割を演じるとは考えられていない。ある既知転移細胞の場合、あ
る程度転移特性の発現が低調でも、他の特性が非常に顕著であるため依然として
高い転移潜在性を有すると思われる。
この理由のため、転移潜在性に関して信頼できるマーカーは決定され難い。し
かしながら、細胞表面が転移カスケードの多くの態様と密接に関連していること
は示されている。腫瘍細胞が剥離し、組織中を移行し、最後に接着して新たな増
殖巣を形成するというのは、全て細胞表面行動を伴う事象である。
転移潜在性を示す腫瘍細胞により優先的に発現される抗原を指向する抗体を産
生させようという試みが知られている。例えば、ボルマーズおよびバーチマイヤ
ー、(1983)PNAS80、3739−3733および6863−6867
は、マウス黒色腫セルライン表面タンパク質に対して産生されるある種の抗体が
細胞接着を阻害し、転移を遮断し得ることを立証した。これらの抗体は、40お
よび50kDa間の抗原を標的にすると思われた。
膜結合タンパク質に対して抗血清を産生させ、形質転換細胞との交差反応性を
評価することにより、インビトロおよびインビボの両方で転移潜在性と非常に密
接に相関する新規150kDa細胞表面タンパク質を同定することができた。
発明の要約
この発明により、配列番号2および9にそれぞれ示されている配列を有する膜
結合ポリペプチドが提供される。また、上記ポリペプチドから誘導される免疫原
決定基およびそれに対して産生される抗体が提供される。上記ポリペプチド、そ
れらの誘導された抗原決定基および抗体は、腫瘍における転移潜在性の診断およ
び処置に有用である。
図面の簡単な記載
図1は、マウスから単離された転移関連抗原p150の推測的アミノ酸配列を
示す。アミノ酸ミクロシークエンシングにより誘導された配列データには下線が
施されている。
図2は、マウス由来のp150および関連配列間の配列相同性比較を示す。
発明の詳細な記載
ヒト胎盤から誘導された膜フラクションに対してモノクローナル抗体を産生さ
せ、それに続いて形質転換対非形質転換細胞において着色する細胞表面抗体をス
クリーニングすることにより、形質転換細胞で優先的に発現される抗原を同定す
る抗体が同定され得る。ここでマウス由来のp150と称されているこの抗原は
、SDS−PAGEでの見かけ上の分子量が約150kDaであり、この配列は
配列番号2に示されている。ヒト相同体は配列番号9に示されている。
上記抗原は、腫瘍、腫瘍セルラインおよび腫瘍から誘導された一次細胞で発現
され、正常ヒト組織では非常に低いレベルでしか現れない。抗原の発現レベルは
、腫瘍およびそこから誘導されたセルライン、例えば一次セルライン間では一致
しない。しかしながら、各独立系内において、抗原は転移潜在性と密接に相関し
ていることが決定された。抗原の発現レベルは、腫瘍細胞の分化状態により異な
ると思われる。すなわち、比較的未分化の腫瘍細胞は、高い転移潜在性を有して
いて、比較的高いレベルのp150を発現し、分化の進んだ細胞はそれより低量
でこれらの抗原を発現する。実際の転移から誘導された腫瘍組織は、最高レベル
のp150を発現すると思われる。
この発明は、マウスおよびヒトの両方からのp150タンパク質および腫瘍の
転移潜在性の診断に有用なその誘導体を全て包含する。好ましくは、他に指示ま
たは示唆しない場合、上記誘導体も「p150」の語に包含される。高い転移潜
在性は予後の悪さと相関することが知られているので、p150が転移潜在性と
高度に相関することから、これらの抗原は使用すべき正しい処置の決定に有用な
ものとなる。従って、この発明に含まれるp150の誘導体は、診断検定での同
定を可能なものにするp150の特性を保持するもの全てを包含する。この発明
のp150誘導体により保持される好ましい特徴は、p150と共有する共通抗
原決定基である。
「共通抗原決定基」は、問題の誘導体がp150の少なくとも一つの抗原機能
を有していることを意味する。抗原機能には、天然または変性p150ポリペプ
チドまたはそのフラグメントに対して生じた抗体と交差反応し得る抗原決定基ま
たは抗原性部位の所有がある。すなわち、この発明により提供されるp150は
、p150の生理学的および/または物理的特性を保持するp150の一次転写
物のオルターナティブ・スプライシングにより生成されるmRNAによりコード
化されるスプライス変異体、アミノ酸突然変異体、グリコシル化変異体および他
の共有結合変異体を包含する。具体例としての誘導体は、この発明のタンパク質
が天然アミノ酸以外の部分と置換、化学的、酵素的または他の適当な手段により
共有結合的に修飾された分子を包含する。上記部分は、検出可能な部分、例えば
酵素または放射性同位元素であり得る。さらに特定の種、好ましくは哺乳類によ
り見いだされるp150の天然に存在する変異体も含まれる。上記変異体は、同
じ遺伝子群の関連遺伝子、特定遺伝子の対立遺伝子変異体によりコードされるか
、またはp150遺伝子のオルターナティブ・スプライシング変異体を表し得る
。
共通抗原決定基を保持する誘導体は、p150のフラグメントであり得る。p
150のフラグメントは、その個々のドメイン並びにドメインから誘導された小
さいポリペプチドを含む。好ましくは、この発明によるp150から誘導された
小さいポリペプチドは、p150の特徴である単一抗原決定基を限定している。
フラグメントは理論的には、それらがp150の特徴を一つでも保持していれば
、ほぼいいかなるサイズでもあり得る。好ましくは、フラグメントは、5および
500間のアミノ酸長である。長いフラグメントは完全長p150の先端切除形
としてみなされ、一般に「p150」の語により包含される。
p150の誘導体はまた、p150に特有な少なくとも一つの特徴を維持する
ための必要条件に従った、アミノ酸欠失、付加または置換を含み得るその突然変
異体を含む。すなわち、同類アミノ酸置換は、実質的にp150の性質を改変せ
ずに行われ得、5'または3'末端からの先端切除の場合も同様である。欠失およ
び置換は、さらにこの発明に包含されるp150のフラグメントに対しても加え
られ得る。p150突然変異体は、結果的に例えば1個またはそれ以上のアミノ
酸の付加、交換および/または欠失をもたらすインビトロ突然変異誘発が行われ
たp150をコード化するDNAから製造され得る。例えば、p150の置換、
欠失または挿入変異体は、組換え方法により製造され、p150の天然形態との
免疫交差反応性についてスクリーニングされ得る。
p150のフラグメント、突然変異体および他の誘導体は、好ましくはp15
0との実質的相同性を保持している。ここで使用されている「相同性」の語は、
2つの独立体が起源および機能の点で類似していることを当業界の熟練者が決定
できるだけの十分な特徴をそれらが共有していることを意味する。好ましくは、
相同性は配列同一性を示すのに使用される。すなわち、p150の誘導体は、好
ましくは配列番号2および9の配列とそれぞれ実質的同一性を保持している。
「実質的相同性」は、相同性が配列同一性を示す場合、50%を越える配列同
一性、好ましくは75%を越える配列同一性および最も好ましくは90%または
それ以上の配列同一性を意味する。
好ましくは、この発明のタンパク質またはその誘導体は単離形態で提供される
。「単離(された)」は、各タンパク質またはその誘導体が同定されており、そ
の自然環境の1つまたはそれ以上の成分を含まないことを意味する。単離された
p150は、組換え細胞培養におけるp150を含む。組換えp150遺伝子を
発現する生物体に存在するp150であれば、p150タンパク質が「単離され
て」いる場合もされていない場合も、この発明の範囲内に含まれる。
この発明によるポリペプチドは、腫瘍細胞における転移プロセスと密接に関連
している。従って、この発明は、腫瘍の処置または診断における医薬として使用
されるこの発明によるポリペプチドまたはそれに対する拮抗物質を含む組成物を
提供する。
この発明のさらに別の態様によると、p150をコード化する核酸が提供され
る。組換えp150タンパク質の製造に有用であることに加えて、これらの核酸
はまた、プローブとして有用であるため、当技術分野に精通した者であればp1
50をコード化する核酸を容易に同定および/または単離することが可能となる
。核酸は、非標識または検出可能な部分により標識され得る。さらに、この発明
による核酸は、例えばp150−特異核酸の存在を決定する方法において有用で
あって、上記方法は、p150をコード化する(またはこれに相補的な)DNA
(またはRNA)と検査試料核酸をハイブリダイゼーションさせ、p150の存
在を決定することを含む。別の態様において、この発明は、p150をコード化
する核酸配列に相補的であるか、またはストリンジェントな条件下でそれとハイ
ブリダイゼーションする核酸配列を提供する。
この発明はまた、p150をコード化する(またはそれに相補的な)核酸(D
NAまたはRNA)との核酸ポリメラーゼ(連鎖)反応をプライムすることを含
む、核酸検査試料の増幅方法を提供する。
この発明のさらに別の態様おいて、核酸はDNAであり、さらにp150をコ
ード化する核酸を含む信頼できるベクターにより形質転換された宿主により認識
される制御配列に機能し得るように結合させた上記ベクターを含む。さらにこの
発明は、上記ベクターにより形質転換された宿主細胞およびp150をコード化
する核酸を用いてp150を製造させる方法であって、p150核酸を形質転換
宿主細胞の培養中で発現させ、所望ならば、宿主細胞培養物からp150を回収
することを含む方法を提供する。
さらに、この発明は、上記核酸によりコード化される単離p150タンパク質
およびその誘導体に関するものである。
単離p150核酸は、p150核酸の天然供給源または粗核酸製品、例えばD
NAライブラリーなどでそれにもともと伴っている少なくとも1つの汚染物核酸
を含まない核酸を含む。すなわち単離核酸は、実際に見いだされる形態または設
定以外で存在する。しかしながら、単離p150コード化核酸は普通にp150
を発現する細胞におけるp150核酸を含み、その場合、核酸は、天然細胞の場
合とは異なる染色体位置にあるかまたは実際に見いだされるものとは異なるDN
A配列が両端に隣接している。
この発明によると、p150、特に哺乳類p150、例えばヒトp150をコ
ード化する単離核酸、例えばDNAまたはRNA、またはそのフラグメントが提
供される。特に、この発明は、p150をコード化するDNA分子またはそのフ
ラグメントを提供する。定義によると、かかるDNAは、コーディング1本鎖D
NA、上記コーディングDNAおよびそれに相補的なDNAの2本鎖DNA、ま
たはこの相補的(1本鎖)DNAそのものを含む。p150をコード化する具体
例としての核酸は、配列番号1および8に示されている。
p150をコード化する好ましい配列は、配列番号1および8におけるコーデ
ィング配列と実質的に同じヌクレオチド配列を有するものであり、配列番号1お
よび8におけるコーディング配列と同じ配列を有する核酸が最も好ましい。ここ
で使用されている、実質的に同じヌクレオチド配列は、少なくとも約90%の同
一部分を共有している。しかしながら、例えば追加のエキソン配列を有するスプ
ライス変異体の場合、相同性はさらに低くなり得る。
この発明の核酸は、プローブとして使用される場合もそうでない場合も、好ま
しくは配列番号1および8に示されたp150の配列と実質的に相同的である。
「実質的に」および「相同的」の語は、p150ポリペプチド(複数も可)に関
して上記で定義されたのと同様に使用される。
好ましくは、この発明による核酸は、p150−コード化配列のフラグメント
、またはポリペプチドに関して上記で定義したその誘導体である。長さが短い、
好ましくは5〜150ヌクレオチド長の核酸配列のフラグメントが、プローブと
して特に有用である。
具体例としての核酸は、別法としてp150タンパク質をコード化し、配列番
号1および8にそれぞれ示されたDNA配列とハイブリダイゼーションするヌク
レオチド配列、または上記DNA配列の選択されたフラグメントとして特性確認
され得る。好ましいのは、それぞれ配列番号1および8の配列と高いストリンジ
ェンシー条件下でハイブリダイゼーションするp150をコード化する上記配列
である。
ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、ポリ核酸ハイブリッドが安
定している場合の条件を指す。それらの条件は、当技術分野における普通の熟練
者にとっては明白なものである。当業界の熟練者には周知のことであるが、ハイ
ブリッドの安定性はハイブリッドの融解温度(Tm)に反映され、1%配列相同
性が減少するごとに約1〜1.5℃下がる。一般に、ハイブリッドの安定性は、
ナトリウムイオン濃度および温度の関数である。典型的には、ハイブリダイゼー
ション反応は高いストリンジェンシー条件下で行われ、次いでストリンジェンシ
ーを変えながら洗浄が行われる。
ここで使用されている高いストリンジェンシーとは、65−68℃で1モルN
a+中において安定したハイブリッドを形成する核酸配列のみのハイブリダイゼ
ーションを可能にする条件を指す。高いストリンジェンシー条件は、例えば、6
×SSC、5×デンハート、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、0.1N
a+ピロホスフェートおよび0.1mg/ml変性さけ精液DNAを非特異的競合物質
として含む水溶液中におけるハイブリダイゼーションにより規定され得る。ハイ
ブリダイゼーション後、高いストリンジェンシー洗浄は数段階で実施され得、0
.2−0.1×SSC、0.1%SDS中ハイブリダイゼーション温度で最終洗浄
(約30分)が行われる。
緩和なストリンジェンシーは、上記溶液中ただし約60−62℃でのハイブリ
ダイゼーションに相当する条件を指す。その場合、最終洗浄は、1×SSC、0
.1%SDS中ハイブリダイゼーション温度で行われる。
低いストリンジェンシーは、約50−52℃で上記溶液中でのハイブリダイゼ
ーションに相当する条件を指す。その場合、最終洗浄は、2×SSC、0.1%
SDS中ハイブリダイゼーション温度で行われる。
これらの条件は、多様な緩衝液、例えばホルムアミド基剤の緩衝液および温度
を用いて適合化および繰り返され得ることは言うまでもない。デンハート溶液お
よびSSCは、他の適当なハイブリダイゼーション緩衝液と同様当業界の熟練者
にはよく知られている(例えばサムブルックら編(1989)モレキュラー・ク
ローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル、コールド・スプリング・ハーバー
・ラボラトリー・プレス、ニューヨークまたはアウスベルら編(1990)カレ
ント・プロトコルズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、ジョーン・ウィリー
・アンド・サンズ、インコーポレイテッド、参照)。プローブの長さおよびGC
含有率も一定の役割を演じるので、最適なハイブリダイゼーション条件は経験
に基づいて決定されなければならない。
ここに提供されたガイダンスの場合、この発明の核酸は当業界で熟知された方
法に従い入手され得る。例えば、この発明のDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(
PCR)を用いる化学合成、またはp150を有し、検出可能なレベルでそれを
発現すると考えられている供給源から製造されたゲノムライブラリーまたは適当
なcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより入手可能である。
興味の対象である核酸の化学合成方法は、当業界では公知であり、トリエステ
ル、ホスファイト、ホスホルアミダイトおよびH−ホスホネート方法、PCRお
よび他のオートプライマー方法並びに固体支持体におけるオリゴヌクレオチド合
成を含む。核酸の全核酸配列が既知の場合、またはコーディング鎖に相補的な核
酸の配列が利用可能である場合、これらの方法が使用され得る。別法として、標
的アミノ酸配列が公知の場合、各アミノ酸残基について好ましい既知コーディン
グ残基を用いて潜在的核酸配列が推論され得る。
p150をコード化する遺伝子を単離する別の手段は、例えばサムブルックら
(1989)の14項に記載されているPCR技術の使用である。この方法は、
p150核酸とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブの使用を必要と
する。オリゴヌクレオチドの選択方法は下記の通りである。
興味の対象である遺伝子またはそれによりコード化されるタンパク質を同定す
るように設計されたプローブまたは分析器具によりライブラリーをスクリーニン
グする。cDNA発現ライブラリーの場合、適当な手段には、p150、同じま
たは異なる種からの既知もしくは疑わしいp150cDNAをコード化する約2
0〜80塩基長のオリゴヌクレオチド、および/または同じもしくはハイブリッ
ド形成遺伝子をコード化する相補的もしくは相同的cDNAもしくはそのフラグ
メントを認識し、それに特異結合するモノクローナルまたはポリクローナル抗体
がある。ゲノムDNAライブラリーのスクリーニングに適したプローブには、同
じまたはハイブリッド形成DNAをコード化するオリゴヌクレオチド、cDNΛ
またはそのフラグメント、および/または相同性ゲノムDNAまたはそのフラグ
メントがあるが、それらに限定されるわけではない。
p150をコード化する核酸は、プローブ、すなわち配列番号1および8に示
された配列から誘導され得るオリゴヌクレオチドを含めここに開示されている核
酸で適当なハイブリダイゼーション条件下適当なcDNAまたはゲノムライブラ
リーをスクリーニングすることにより単離され得る。適当なライブラリーは市販
されているかまたは例えばセルライン、組織標本などから製造され得る。
ここで使用されているプローブは、例えば、配列番号1および8にそれぞれ示
されている均等またはそれより多い数の隣接塩基と同じ(またはその相補体)で
ある10および50間、好ましくは15および30間および最も好ましくは少な
くとも約20の隣接塩基を含むヌクレオチド配列を有する1本鎖DNAまたはR
NAである。プローブとして選択された核酸配列は、不正確な陽性結果を最小限
にとどめるべく十分な長さを有し、かつ十分に明白なものとすべきである。ヌク
レオチドは、通常p150の保存または高相同的ヌクレオチド配列または領域に
基づいている。プローブとして使用される核酸は、1つまたはそれ以上の位置が
同義性であり得る。ある種での優先的コドン使用法が未知である場合の前記種か
らライブラリーがスクリーニングされる場合、縮重オリゴヌクレオチドの使用は
特に重要であり得る。
プローブを構築するのに好ましい領域は、5'および/3'コーディング配列、
リガンド結合部位をコード化することが予測される配列などを含む。例えば、こ
こに開示されている完全長cDNAクローンまたはそのフラグメントはいずれも
プローブとして使用され得る。好ましくは、この発明の核酸プローブは、ハイブ
リダイゼーション時の迅速な検出に適した標識手段により標識される。例えば、
適当な標識手段は放射性標識である。DNAフラグメントを標識する好ましい方
法は、当業界でよく知られているように、ランダムプライム反応においてDNA
ポリメラーゼのクレノウ断片と共に32PdATPを組み込むことによる方法であ
る。オリゴヌクレオチドは、通常g32P標識ATPおよびポリヌクレオチドキナ
ーゼにより末端標識される。しかしながら、他の方法(例、非放射性)、例えば
酵素標識、適当な発蛍光団による蛍光性標識およびビオチニル化を用いても、フ
ラグメントまたはオリゴヌクレオチドを標識することができる。
例えば実質的に全p150コード化配列を含むDNAの一部分または上記DN
Aの一部分に基づいた適当なオリゴヌクレオチドによるライブラリーのスクリー
ニング後、ハイブリダイゼーションシグナルを検出することにより陽性クローン
が同定される。同定されたクローンは、制限酵素マッピングおよび/またはDN
A配列分析により特性検定され、次いで例えばここに示された配列との比較によ
って検査されることにより、それらが完全p150をコード化するDNAを含む
(すなわちそれらが翻訳開始および終止コドンを含む)か否かを確かめる。選択
されたクローンが不完全である場合、それらを用いて同じかまたは異なるライブ
ラリーを再スクリーニングすることによりオーバーラップクローンが得られる。
ライブラリーがゲノムである場合、オーバーラップクローンはエキソンおよびイ
ントロンを含み得る。ライブラリーがcDNAライブラリーである場合、オーバ
ーラップクローンは読み取り枠を含む。両場合とも、完全なクローンは、ここに
提供されたDNAおよび推定アミノ酸配列との比較により同定され得る。
内生p150の何らかの異常性を検出するため、遺伝子スクリーニングは、ハ
イブリダイゼーションプローブとしてこの発明のヌクレオチド配列を用いて行わ
れ得る。上記プローブは、例えば特異組織および体液、例えば血液、尿、髄液、
腹水および血清をスクリーニングするのに使用され得る。また、ここに提供され
ている核酸配列に基づき、アンチセンス型治療剤も設計され得る。
この発明の核酸が、ヌクレオチド置換、ヌクレオチド欠失、ヌクレオチド挿入
またはヌクレオチド伸長の逆位およびそれらの組み合わせにより容易に修飾され
得ることは予測される。上記突然変異体は、例えば実際に見いだされるp150
配列とは異なるアミノ酸配列を有するp150突然変異体を製造するのに使用さ
れ得る。突然変異誘発は、予め定められているか(部位特異的)またはランダム
であり得る。サイレント突然変異ではない突然変異は、読み取り枠外に配列を配
置してはならず、好ましくはハイブリダイゼーションにより2次mRNA構造、
例えばループまたはヘアピンを製造し得る相補的領域を作製しない。
天然または突然変異p150をコード化するcDNAまたはゲノムDNAは、
ベクター中に組み込まれ、さらに別の操作に使用され得る。ここで使用されてい
るベクター(またはプラスミド)は、異種DNAを細胞中へ導入してそれを発現
または複製させるのに使用される独立した成分を指す。上記ビークルの選択およ
び使用は当業界熟練者の技術の範囲内に十分含まれる。多くのベクターが利用可
能であり、適当なベクターの選択は、ベクターの目的用途、すなわちその使用目
的がDNA増幅なのかDNA発現なのかということ、ベクターへ挿入されるDN
Aのサイズ、およびベクターにより形質転換される宿主細胞により異なる。各ベ
クターは、その機能(DNAの増幅またはDNAの発現)およびそれが適合し得
る宿主細胞により異なる様々な成分を含む。ベクター成分は、一般に複製起点、
1種またはそれ以上のマーカー遺伝子、エンハンサー成分、プロモーター、転写
終結配列およびシグナル配列のうちの1種またはそれ以上を含むが、それらに限
定されるわけではない。
発現およびクローニングベクターは両方とも、一般に1種またはそれ以上の選
択された宿主細胞においてベクターに複製させ得る核酸配列を含む。典型的には
クローニングベクターにおいて、これらの配列は、主染色体DNAとは関係なく
ベクターに複製させ得るものであり、複製起点または自律複製配列を含む。上記
配列は、様々な細菌、酵母およびウイルスについてよく知られている。プラスミ
ドpBR322からの複製起点は、ほとんどのグラム陰性菌に適しており、2m
プラスミド起点は酵母に適し、様々なウイルス起点(例、SV40、ポリオーマ
、アデノウイルス)は、哺乳類細胞におけるクローニングベクターに有用である
。一般に、哺乳類発現ベクターが高レベルDNA複製に適格な哺乳類細胞、例え
ばCOS細胞において使用されるのでなければ、これらに複製起点成分は必要と
されない。
ほとんどの発現ベクターはシャトルベクターである、すなわちそれらは少なく
とも1種類の生物体では複製し得るが、発現を目的として別の生物体へトランス
フェクションされ得る。例えば、ベクターはエシェリヒア・コリでクローン化さ
れ、次いで同ベクターは、宿主細胞染色体とは独立して複製し得ない場合でも、
酵母または哺乳類細胞へトランスフェクションされる。DNAはまた、宿主ゲノ
ムへの挿入により複製され得る。しかしながら、制限酵素消化はp150 DN
Aの切除に必要とされるため、p150をコード化するゲノムDNAの回収は外
生複製ベクターの場合より複雑である。DNAは、PCRにより増幅され、複製
成分が全く無くても宿主細胞へ直接トランスフェクションされ得る。
有利には、発現およびクローニングベクターは、選択可能マーカーとも称され
る選択遺伝子を含み得る。この遺伝子は、選択培養培地において培養された形質
転換宿主細胞の生存または生長に必要なタンパク質をコード化する。選択遺伝子
を含むベクターにより形質転換されていない宿主細胞は、培養培地では生き残れ
ない。典型的な選択遺伝子は、抗生物質および他の毒素、例えばアンピシリン、
ネオマイシン、メトトレキセートまたはテトラサイクリンに対する耐性を与え、
栄養要求性欠失を補い、または複合培地からは入手できない重大栄養素を供給す
るタンパク質をコード化する。
酵母に適した選択的遺伝子マーカーについては、マーカー遺伝子の表現型発現
により形質転換体に関する選択を容易にするものであればいかなるマーカー遺伝
子でも使用され得る。酵母に適したマーカーは、例えば、抗生物質G418、ハ
イグロマイシンまたはブレオマイシンに対する耐性を付与するものであるか、ま
たは栄養要求性酵母突然変異体、例えばURA3、LEU2、LYS2、TRP
1またはHIS3遺伝子においてプロトトロフ性を供給する。
ベクターの複製は好都合にはエシェリヒア・コリで行われるため、エシェリヒ
ア・コリ遺伝子マーカーおよびエシェリヒア・コリ複製起点を含めるのが有利で
ある。これらはエシェリヒア・コリのプラスミド、例えばpBR322、Blues
cript(商標)ベクターまたはpUCプラスミド、例えばpUC18またはpU
C19から入手できるもので、エシェリヒア・コリ複製起点およびエシェリヒア
・コリ遺伝子マーカーを両方とも含み、抗生物質、例えばアンピシリン耐性が付
与される。
哺乳類細胞に適した選択可能マーカーは、p150核酸取り込みに適格な細胞
の同定を可能にするもの、例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR、メトト
レキセート耐性)、チミジンキナーゼ、またはG418またはハイグロマイシン
耐性を付与する遺伝子である。哺乳類細胞形質転換体は、既にマーカーを取り込
み発現している形質転換体のみが唯一生存に適合化される選択圧下に置かれる。
DHFRまたはグルタミンシンターゼ(GS)マーカーの場合、選択圧は、圧力
が漸進的に高められることにより、選択遺伝子およびp150をコード化する結
合されたDNAの両方の増幅(その染色体組込み部位で)が誘導される条件下で
形質転換体を培養することにより課され得る。増幅は、生長に重大なタンパク質
の製造に関する需要が多い遺伝子が、目的タンパク質をコード化し得る密接に関
連した遺伝子と一緒に、組換え細胞の染色体内で縦列反復される過程である。増
加量の目的タンパク質は、通常こうして増幅されたDNAから合成される。
発現およびクローニングベクターは、通常宿主生物体により認識され、p15
0核酸に機能し得るように結合されたプロモーターを含む。かかるプロモーター
は、誘導可能または構成的であり得る。プロモーターは、制限酵素消化により供
給源DNAからプロモーターを取り出し、分離されたプロモーター配列をベクタ
ーに挿入することによりp150をコード化するDNAに機能し得るように結合
される。天然p150プロモーター配列および多くの異種プロモーターは両方と
も、p150DNAの増幅および/または発現を指令するのに使用され得る。
原核生物宿主による使用に適したプロモーターには、例えばb−ラクタマーゼ
およびラクトースプロモーター系、アルカリ性ホスファターゼ、トリプトファン
(trp)プロモーター系およびハイブリッドプロモーター、例えばtacプロ
モーターがある。それらのヌクレオチド配列は既に公開されているため、熟練し
た研究者であれば、必要とされる制限部位があればそれを供給すべくリンカーま
たはアダプターを用いて、p150をコード化するDNAにそれらをライゲーシ
ョンすることができるはずである。細菌系で使用されるプロモーターはまた、一
般にp150をコード化するDNAに機能し得るように結合されたシャインダル
ガルノ-配列を含む。
さらに、この発明によるp150遺伝子は、好ましくは細菌宿主からの対応す
るポリペプチドの分泌を容易にするために分泌配列を含み、その結果封入体では
なく可溶性天然ペプチドとして製造される。このペプチドは、適度に細菌周辺腔
または培養培地から回収され得る。
酵母宿主による使用に適したプロモーター配列は、調節されているかまたは構
成的であり得、好ましくは高度発現酵母遺伝子、特にサッカロマイセス・セレヴ
ィシエ遺伝子から誘導される。すなわち、TRP1遺伝子、ADHIまたはAD
HII遺伝子、酸性ホスファターゼ(PH05)遺伝子のプロモーター、a-また
はa-因子をコードする酵母交配フェロモン遺伝子のプロモーターまたは解糖酵
素をコード化する遺伝子から誘導されたプロモーター、例えばエノラーゼ、グリ
セルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAP)、3−ホスホグリセリ
ン酸キナーゼ(PGK)、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホ
スホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリ
セリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホス
ホグルコースイソメラーゼまたはグルコキナーゼ遺伝子のプロモーター、または
TATA結合タンパク質(TBP)遺伝子からのプロモーターが使用され得る。
さらに、一酵母遺伝子の上流活性化配列(UAS)および別の酵母遺伝子の機能
的TATAボックスを含む下流プロモーター成分を含むハイブリッドプロモータ
ー、例えば酵母PH05遺伝子のUAS(複数も可)および酵母GAP遺伝子の
機能的TATAボックスを含む下流プロモーター成分を含むハイブリッドプロモ
ーター(PH05-GAPハイブリッドプロモーター)の使用が可能である。適
当な構成的PHO5プロモーターは、例えば上流調節成分(UAS)、例えばP
H05遺伝子のヌクレオチド-173から始まりヌクレオチド-9で終わるPH0
5(−173)プロモーター成分を欠く短縮酸性ホスファターゼPH05プロモ
ーターである。
哺乳類宿主におけるベクターからのp150遺伝子転写は、ウイルス、例えば
ポリオーマウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、ウシ乳頭腫ウイルス、ト
リ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、レトロウイルスおよびシミ
アンウイルス40(SV40)のゲノムから、異種哺乳類プロモーター、例えば
アクチンプロモーターまたは非常に強いプロモーター、例えばリボソームタンパ
ク質プロモーターから、およびp150配列と普通に会合したプロモーターから
誘導されたプロモーターにより制御され得るが、ただし上記プロモーターは宿主
細胞系と融和性であるものとする。
高級真核生物によるp150コード化DNAの転写は、ベクター中へエンハン
サー配列を挿入することにより増強され得る。エンハンサーは、比較的配向およ
び位置とは独立している。多くのエンハンサー配列が哺乳類遺伝子から知られて
いる(例、エラスターゼおよびグロビン)。しかしながら、典型的には真核生物
細胞ウイルスからのエンハンサーが使用される。例えば、複製起点の後側(bp
100-270)におけるSV40エンハンサーおよびCMV初期プロモーター
エンハンサーがある。エンハンサーは、p150DNAに対して5'または3'位
でベクターへスプライシングされ得るが、好ましくはプロモーターから5'部位
に位置する。
有利には、p150をコード化する真核生物発現ベクターは、遺伝子座制御領
域(LCR)を含み得る。LCRは、宿主細胞染色質に組み込まれた導入遺伝子
の高レベルな組み込み部位非依存的発現を指令することができ、ベクターの染色
体組み込みが行われた永続的トランスフェクションされた真核生物セルラインと
いう状況で、遺伝子療法適用を目的として設計されたベクターまたはトランスジ
ェニック動物においてp150遺伝子が発現される場合に特に重要である。
p150の発現に適した真核生物宿主細胞には酵母、真菌、昆虫、植物、動物
、ヒトがあり、または他の多細胞生物体からの有核細胞はまた転写の終結および
mRNAの安定化に必要な配列を含む。上記配列は真核生物またはウイルス性D
NAまたはcDNAの5'および3'非翻訳領域から一般に利用可能である。これ
らの領域は、p150をコード化するmRNAの非翻訳部分におけるポリアデニ
ル化フラグメントとして転写されたヌクレオチドセグメントを含む。
発現ベクターには、上記DNAを発現させ得る調節配列、例えばプロモーター
領域に機能し得るように結合したp150核酸を発現し得るベクターであれば全
て包含される。すなわち、発現ベクターとは、適当な宿主細胞へ導入されると、
クローン化DNAの発現をもたらす組換えDNAまたはRNA構築物、例えばプ
ラスミド、ファージ、組換えウイルスまたは他のベクターを指す。適当な発現ベ
クターは、当業界の通常熟練者にはよく知られており、真核生物および/または
原核生物細胞で複製可能なものおよび依然としてエピソーム性であるものまたは
宿主細胞ゲノムへ組み込むものを包含する。例えば、p150をコード化するD
NAは、哺乳類細胞におけるcDNAの発現に適したベクター、例えばCMVエ
ンハンサーに基づくベクター、例えばpEVRF(マッチアスら(1989)N
AR17、6418)に挿入され得る。
この発明を実践するのに特に有用なのは、哺乳類細胞においてp150をコー
ド化するDNAの一時的発現をもたらす発現ベクターである。一時的発現は、通
常宿主細胞において効率的に複製し得る発現ベクターの使用を必要とし、それに
よって宿主細胞は発現ベクターの多くのコピーを蓄積し、次に高レベルのp15
0を合成する。この発明の目的の場合、一時的発現系は、例えばp150突然変
異体を同定し、潜在的ホスホリル化部位を同定し、またはタンパク質の機能的ド
メインを特性確認するのに有用である。
この発明によるベクターの構築は、慣用的ライゲーション技術を用いる。分離
されたプラスミドまたはDNAフラグメントを開裂し、調整し、必要とされるプ
ラスミドの生成に望ましい形態でライゲーションする。所望ならば、構築された
プラスミドにおいて正確な配列を確認するための分析は公知方法で行われる。発
現ベクターを構築し、インビトロ転写物を製造し、DNAを宿主細胞へ導入し、
p150発現および機能を評価する分析を行うのに適当な方法は、当業界熟練者
には公知である。遺伝子の存在、増幅および/または発現は、試料において直接
的、例えば慣用的サザーン・ブロッティング、mRNAの転写を定量するノーザ
ン・ブロッティング、ドットブロッティング(DNAまたはRNA分析)または
in situハイブリダイゼーションにより、ここに提供された配列に基づいた適当
に標識されたプローブを用いて測定され得る。当業界の熟練者であれば、これら
の方法が所望ならばいかに修飾され得るかを容易に認識できるはずである。
この発明の別の具体例によると、上記核酸を含む細胞が提供される。上記宿主
細胞、例えば原核生物、酵母および高級真核生物細胞は、DNAの複製およびp
150の製造に使用され得る。適当な原核生物には、真正細菌、例えばグラム陰
性またはグラム陽性生物、例えばエシェリヒア・コリ、例えばエシェリヒア・コ
リK−12株、DH5aおよびHB101またはバチルスがある。p150コー
ド化ベクターに適したさらに別の宿主には、真核微生物、例えば糸状菌または酵
母、例えばサッカロマイシス・セレビシエがある。高級真核生物細胞には、昆虫
および脊椎動物細胞、特に哺乳類細胞がある。近年、培養(組織培養)中におけ
る脊椎動物細胞の増殖は常用的方法となっている。有用な哺乳類宿主セルライン
の例には、上皮または線維芽細胞セルライン、例えばチャイニーズハムスター卵
巣(CHO)細胞、NIH3T3細胞、ヒーラ細胞または293T細胞がある。
この明細書で示されている宿主細胞は、インビトロ培養中の細胞および宿主動物
内にある細胞を包含する。
DNAは、安定して細胞中へ組み込まれ得るか、または当業界公知の方法を用
いて一時的に発現され得る。安定してトランスフェクションされた哺乳類細胞は
、選択可能マーカー遺伝子を有する発現ベクターで細胞をトランスフェクション
し、マーカー遺伝子を発現する細胞に関して選択的な条件下でトランスフェクシ
ョン細胞を生長させることにより製造され得る。一時的トランスフェクション体
を製造するため、哺乳類細胞をリポーター遺伝子でトランスフェクションするこ
とにより、トランスフェクション効率をモニターする。
上記の安定的または一時的トランスフェクション細胞を製造するためには、p
150の形成に十分な量のp150コード化核酸により細胞をトランスフェクシ
ョンするべきである。p150をコード化するDNAの正確な量は、経験的に決
定され、特定細胞および検定法に関して最適化され得る。
宿主細胞は、この発明の上記で示された発現またはクローニングベクターによ
りトランスフェクションまたは好ましくは形質転換され、プロモーターの誘導、
形質転換体の選択または所望の配列をコード化する遺伝子の増幅に適するように
修飾された慣用的栄養培地において培養される。異種DNAは、当業界公知の方
法、例えばリン酸カルシウム共沈澱技術または電気穿孔による異種DNAをコー
ド化するベクターでのトランスフェクションにより宿主細胞中へ導入され得る。
多数のトランスフェクション方法が当技術分野の熟練した研究者には知られてい
る。宿主細胞においてこのベクターの機能を示す徴候が現れた場合、トランスフ
ェクションが成功したものと一般に認識される。形質転換は、使用される特定宿
主細胞に適した標準技術を用いて達成される。
適当な発現ベクターへのクローン化DNAの組み込み、プラスミドベクターも
しくは各々が1個またはそれ以上の異なる遺伝子をコード化するプラスミドベク
ターの組み合わせまたは線形DNAによる真核生物細胞のトランスフェクション
、およびトランスフェクションされた細胞の選択は、当業界では熟知されている
(例えば、サムブルックら(1989)モレキュラー・クローニング:ア・ラボ
ラトリー・マニュアル、第2版、コールドスプリング・ハーバー・ラボラトリー
・プレス、参照)。
トランスフェクションまたは形質転換された細胞は、当業界公知の培地および
培養方法を用いて、好ましくはDNAによりコード化されたp150が発現され
る条件下で培養される。適当な培地の組成は当業界では公知であるため、それら
は容易に製造され得る。適当な培養培地は市販されてもいる。
ここで提供されたDNAが、適当な宿主細胞、例えば上記で示されたもので発
現され得る場合、機能的p150をコード化するDNAの発現に好ましいのは、
真核生物発現系、例えばバキュロウイルス由来の系および、特に哺乳類発現系で
あり、市販されている系および当業界熟練者に知られている他の系が含まれる。
好ましい具体例において、p150コード化DNAは、ベクターへライゲーシ
ョンされ、適当な宿主細胞へ導入され、p150を発現する形質転換セルライン
が製造される。次いで、生成されたセルラインは、p150機能に影響を及ぼし
得る薬物の効果(複数も可)に関する再生可能な定性および/または定量分析用
に大量生産され得る。すなわちp150発現細胞は、化合物の同定に使用され得
、特にp150機能を妨げる小型拮抗性分子が有用である。拮抗的効果達成の別
法は、アンチセンスp150RNAの過剰発現に頼る方法である。すなわちp1
50を発現する宿主細胞は、薬物スクリーニングに有用であり、p150の活性
を変調および好ましくは低下させる化合物の同定方法であって、p150をコー
ド化する異種DNAを含む細胞(ただし、これらの細胞は機能的p150を製造
する)を、上記p150の活性を変調する能力の測定が要求される少なくとも1
種の化合物またはシグナルに暴露し、さらにその後上記変調により誘発された変
化について上記細胞をモニターすることを含む方法を提供することが、この発明
の別の目的である。かかる検定により、p150のアゴニスト、アンタゴニスト
およびアロステリックモジュレーターの同定が可能となる。
細胞に基づくスクリーニング検定法は、例えばリポータータンパク質、すなわ
ち容易に検定され得るタンパク質、例えばbガラクトシダーゼ、クロラムフェニ
コールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)またはルシフェラーゼの発現がp
150に依存的であるセルラインを構築することにより設計され得る。かかる検
定法により、p150機能を直接変調する化合物、例えばp150と拮抗する化
合物、またはp150の活性に要求される他の細胞機能を阻害する化合物の検出
が可能となる。p150に関するインビトロ検定法については、それが組換えD
NA方法を用いて機能的形態で大量に製造され得ることが要求される。次いで、
p150の機能特性を測定する検定法が計画される。
p150は転移潜在性が高い細胞において多くは発現されることが見いだされ
た。すなわちこの発明はまた、上記細胞で起こるp150依存的プロセスに外的
に影響を及ぼす方法を提供する。組換えp150生産性宿主細胞、例えば哺乳類
細胞を試験化合物を接触させ得、次いで、試験化合物の存在および非存在下にお
けるp150伝達応答を比較するか、または化合物の存在に対する試験細胞また
は対照細胞(すなわちp150を発現しない細胞)のp150伝達応答の関係を
調べることにより、その変調効果(複数も可)が評価され得る。
ここで使用されている、p150の活性を変調する化合物またはシグナルは、
p150の活性が化合物またはシグナルの存在下では(上記化合物またはシグナ
ルの非存在下の場合と比べて)異なるようにp150の活性を改変する化合物を
指す。
この発明はまた、内生p150の発現を変調するように修飾されたヒト以外の
トランスジェニック哺乳類を提供する。好ましくは、ヒト以外のトランスジェニ
ック哺乳類は、トランスジェニックマウスである。従って、例えば、p150生
産が大きく低減化または削除されたトランスジェニックマウスが設計される。別
法として、この発明のトランスジェニックマウスは、高レベルのp150を発現
し得るか、または発達的または組織特異的手法で、または外生薬剤による制御を
介してp150発現の調節にかけられ得る。かかる動物の試験により、インビボ
でのp150の重要性が洞察される。
さらに、この発明によるポリペプチドは腫瘍細胞における転移経過と密接に関
連しているため、この発明は、腫瘍の処置または診断における医薬として使用さ
れるこの発明によるポリペプチドまたはそれに対する拮抗物質をコード化する核
酸を含む組成物を提供する。
好ましい態様において、遺伝子療法技術による、腫瘍または他の病状、例えば
異常なp150遺伝子発現を伴う病状の処置方法で使用されるこの発明によるポ
リペプチドまたはそれに対する拮抗物質をコード化する転写単位が提供される。
本発明のこの態様により提供される転写単位は、1つまたはそれ以上のエンハン
サーおよび/またはLCRと一緒にプロモーターを含む調節可能な制御領域を含
む。転写単位は、ウイルス性ベクター、特にレトロウイルス性ベクター、アデノ
およびアデノ関連ウイルス性ベクター、非ウイルス性送達系、例えばリポソーム
および抗体標的化送達系、および裸のDNAの直接取り込みを含む適当な手段に
より対象に送達され得る。標的組織は有利には腫瘍組織である。
この発明のさらに別の態様によると、p150を特異認識し、それに結合する
抗体が提供される。例えば、上記抗体は、配列番号2および9にそれぞれ示され
たアミノ酸配列を有するp150に対して産生され得る。別法として、p150
またはp150フラグメント(インビトロ方法によっても合成され得る)は、免
疫原性ポリペプチドに(組換え発現またはインビトロペプチド結合により)融合
され、次にこの融合ポリペプチドを用いてp150に対する抗体が産生される。
抗p150抗体は、免疫化された動物の血清から採取される。別法として、モ
ノクローナル抗体は、インビトロの細胞またはインビボ免疫化動物から常法で製
造される。常用的スクリーニングにより同定された好ましい抗体は、転移潜在性
が高い腫瘍細胞におけるp150を特異的に同定する。
この発明の抗体は、p150組織局在性の試験、p150をコード化する核酸
または機能的ドメインの構造を同定するための発現ライブラリーのスクリーニン
グ、並びにp150の精製などに有用である。しかしながら、好ましくは、それ
らは腫瘍および特に腫瘍転移の診断および処置において有用である。
この発明による抗体は、自然分類に属する全抗体、例えばIgEおよびIgM
抗体であり得るが、好ましくはIgG抗体である。さらに、この発明は、抗体フ
ラ4グメント、例えばFab、F(ab')2、FvおよびScFvを包含する
。FvおよびScFvのような小さなフラグメントは、サイズが小さくて組織分
布性が優れているため診断および治療適用に有利な特性を有する。
この発明による抗体は、特に癌の診断および治療に必要である。従って、それ
らは、エフェクタータンパク質、例えば毒素または標識を含む改変された抗体で
あり得る。特に好ましいのは、インビボで腫瘍における抗体分布の造影を可能に
する標識である。上記標識は放射性標識または放射線不透過性標識、例えば金属
粒子であり得、これらは患者の体内で容易に視覚化され得る。さらに、それらは
、
患者から摘出された組織標本において視覚化され得る蛍光性標識または他の標識
であり得る。
組換えDNA技術を用いることにより、この発明の抗体は改善され得る。すな
わち、キメラ抗体を構築することにより、診断または治療適用におけるその免疫
原性が低減化され得る。さらに、免疫原性は、CDRグラフティング(移植)[
ヨーロッパ特許出願0239400(ウィンター)参照]によって抗体をヒト化
し、そして所望によりフレームワーク修飾[国際特許出願WO90/07861
(プロテイン・デザイン・ラブズ)参照]することにより最小にされ得る。
この発明による抗体は、動物血清から入手され得、またはモノクローナル抗体
またはそのフラグメントの場合、細胞培養で製造され得る。好ましくは、この発
明によるモノクローナル抗体は、抗体6G7(DSM2256)および抗体6G
10(DSM2257)である。組換えDNA技術を用いることにより、細菌ま
たは好ましくは哺乳類細胞培養において確立された方法に従い抗体が製造され得
る。選択された細胞培養系は、好ましくは抗体産物を分泌する。
従って、この発明は、この発明による抗体の製造方法であって、上記タンパク
質をコード化する第2DNA配列に正しい読み取り枠で結合されたシグナルペプ
チドをコード化する第1DNA配列に機能し得るように結合されたプロモーター
を含む発現カセットを含むハイブリッドベクターにより形質転換された宿主、例
えばエシェリヒア・コリまたは哺乳類細胞を培養し、上記タンパク質を分離する
ことを含む方法を含む。
インビトロでのハイブリドーマ細胞または哺乳類宿主細胞の増殖は、慣用的な
標準培養培地である適当な培養培地、例えばダルベッコの修飾イーグル培地(D
MEM)またはRPMI 1640培地で行われ、これらには所望により哺乳類
血清、例えば胎児牛血清、または微量元素および生長持続性補助物質、例えば支
持細胞、例えば正常マウス腹膜滲出物細胞、脾臓細胞、骨髄マクロファージ、2
−アミノエタノール、インスリン、トランスフェリン、低密度リポタンパク質、
オレイン酸などが補足されいてもよい。同様に、細菌細胞または酵母細胞である
宿主細胞の増殖は、当業界公知の適当な培養培地において行われ、例えば細菌の
場合はLB、NZCYM、NZYM、NZM、テリフィック・ブロス、SOB、
SOC、2×YT培地またはM9最小培地、および酵母の場合YPD、YEPD
培地、最小培地または完全最小ドロップアウト培地で行われる。
インビトロ製造により、比較的純粋な抗体製品が供給され、規模を大きくして
所望の抗体の大量生産することができる。細菌細胞、酵母または哺乳類細胞培養
技術は当業界では公知であり、例えばエアリフト反応器または連続スターラー反
応器における均一な懸濁培養、または例えば中空繊維、マイクロカプセル、アガ
ロースマイクロビーズまたはセラミックカートリッジにおいて固定化もしくは包
括された細胞培養が含まれる。
ま哺乳類細胞をインビボで増殖させることにより、大量の目的抗体が得られる
。この目的の場合、目的抗体を生産するハイブリドーマ細胞を、組織適合性哺乳
類に注射することにより、抗体生産性腫瘍の増大が誘発される。所望により、動
物に対し、注射前に炭化水素、特に鉱油、例えばプリスタン(テトラメチル−ペ
ンタデカン)により初回免疫する。1〜3週間後、抗体をそれらの哺乳類の体液
から分離する。例えば、Balb/cマウスからの抗体産生脾臓細胞と適当な骨
髄腫細胞の融合により得られたハイブリドーマ細胞、または目的抗体を産生する
ハイブリドーマセルラインSp2/0から誘導されたトランスフェクション細胞
を、所望によりプリスタンにより前処理されていてもよいBalb/cマウスへ
腹腔内注射し、1〜2週間後、腹水を動物から採取する。
細胞培養上清を、優先的にはp150を発現する細胞の免疫蛍光染色、免疫ブ
ロッティング、酵素免疫検定法、例えばサンドイッチ検定またはドット検定、ま
たは放射線免疫検定法により、所望の抗体についてスクリーニングする。
抗体を分離するため、培養上清または腹水中の免疫グロブリンは、例えば硫酸
アンモニウム沈澱、吸湿性材料、例えばポリエチレングリコールに対する透析、
選択膜による濾過などにより濃縮され得る。必要および/または所望ならば、慣
用的クロマトグラフィー方法、例えばゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー
、DEAEセルロースクロマトグラフィーおよび/または(免疫)−アフィニテ
ィー・クロマトグラフィー、例えばp150タンパク質またはプロテインAとの
アフィニティー・クロマトグラフィーにより抗体を精製する。
さらにこの発明は、この発明のモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ
細胞に関するものである。この発明の好ましいハイブリドーマ細胞は、遺伝子的
に安定しており、所望の特異性を有するこの発明のモノクローナル抗体を分泌し
、解凍および再クローニングにより急速冷凍培養物から活性化され得る。
この発明はまた、p150に対してモノクローナル抗体を分泌するハイブリド
ーマセルラインの製造方法であって、適当な哺乳類、例えばBalb/cマウス
を、精製p150タンパク質、精製p150含有抗原性担体またはp150を担
持する細胞で免疫化し、免疫化された哺乳類の抗体産生細胞を適当な骨髄腫セル
ラインの細胞と融合させ、融合で得られたハイブリッド細胞をクローン化し、所
望の抗体を分泌する細胞クローンを選択することを特徴とする方法に関するもの
である。例えばp150担持細胞により免疫化されたBalb/cマウスの脾臓
細胞を、骨髄腫セルラインPAIまたは骨髄腫セルラインSp2/0−Ag14
の細胞と融合し、得られたハイブリッド細胞を目的抗体分泌についてスクリーニ
ングし、陽性ハイブリドーマ細胞をクローン化する。
好ましいのは、数カ月、例えば2ないし4カ月間にわたって適当なアジュバン
トを含むp150を発現するヒト腫瘍起源の10および107および108間の細
胞を皮下および/または腹腔内注射することによりBalb/cマウスを免疫化
し、免疫化されたマウスからの脾臓細胞を最後の注射の2〜4日後に採取し、融
合プロモーター、好ましくはポリエチレンクリコールの存在下で骨髄腫セルライ
ンPAIの細胞と融合させることを特徴とする、ハイブリドーマセルラインの製
造方法である。好ましくは、分子量が4000前後の約30%〜約50%ポリエ
チレングリコールを含む溶液中免疫化マウスからの3〜20倍過剰の脾臓細胞と
骨髄腫細胞を融合する。融合後、細胞を、一定間隔で選択培地、例えばHAT培
地を補った上述の適当な培養培地において膨張させることにより、正常な骨髄腫
細胞が所望のハイブリドーマ細胞を異常増殖させるのを阻止する。
この発明はまた、上述されたp150の細胞外ドメインに向けられた抗体の重
鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードする挿入片を含む組換
えDNAに関するものである。定義によると、上記DNAは、コーディング1本
鎖DNA、上記のコーディングDNAおよびそれに相補的なDNAから成る2本
鎖DNA、またはこれらの相補的(1本鎖)DNA自体を含む。
さらに、p150指向抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメイ
ンをコード化するDNAは、重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメイン
をコードする真正DNA配列またはその突然変異体を有する酵素的または化学的
合成DNAであり得る。真正DNAの突然変異体は、上述の抗体の重鎖可変ドメ
インおよび/または軽鎖可変ドメインをコード化するDNAであり、その場合1
個またはそれ以上のアミノ酸が欠失または1個またはそれ以上の他のアミノ酸と
交換されている。好ましくは、上記修飾(複数も可)は、抗体の重鎖可変ドメイ
ンおよび/または軽鎖可変ドメインのCDRの外側である。かかる突然変異体は
また、1個またはそれ以上のヌクレオチドが、新規コドンが同じアミノ酸(複数
も可)をコードする他のヌクレオチドにより置換されているサイレント突然変異
体であるものとする。かかる突然変異体配列は縮重配列でもある。縮重配列は、
最初にコード化されたアミノ酸配列を変化させること無く無限数のヌクレオチド
が他のヌクレオチドにより置換されるという点で遺伝コードの意味の範囲内にお
いては同義性である。上記縮重配列は、特定宿主、特にエシェリヒア・コリによ
り好まれるそれらの制限部位および/または特定コドンの頻度が異なるため、重
鎖ネズミ可変ドメインおよび/または軽鎖ネズミ可変ドメインの最適発現を達成
するのに有用であり得る。
突然変異体の語は、当業界公知の方法に従い真正DNAのインビトロ突然変異
誘発により得られるDNA突然変異体を包含するものとする。
完全4量体免疫グロブリン分子を会合させ、キメラ抗体を発現させるため、重
および軽鎖可変ドメインをコードする組換えDNA挿入片を、重および軽鎖不変
ドメインをコードする対応するDNAと融合させ、次いで例えばハイブリッドベ
クターへ組み込んだ後、適当な宿主細胞へ移入する。
従って、この発明はまた、ヒト不変領域g、例えばg1、g2、g3またはg
4、好ましくはg1またはg4に融合されたp150指向抗体の重鎖ネズミ可変
ドメインをコードする挿入片を含む組換えDNAに関するものである。同様にこ
の発明は、ヒト不変ドメインkまたはl、好ましくはkに融合されたp150指
向抗体の軽鎖ネズミ可変ドメインをコードする挿入片を含む組換えDNAに関す
るものである。
別の態様において、この発明は、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインが
スペーサー基をコードするDNA挿入片により結合されており、所望により宿主
細胞における抗体のプロセシングを容易にするシグナル配列および/または抗体
精製を容易にするペプチドをコードするDNAおよび/または開裂部位をコード
するDNAおよび/またはペプチドスペーサーをコードするDNAおよび/また
はエフェクター分子をコードするDNAを含んでいてもよい、組換え抗体をコー
ドする組換えDNAに関するものである。
エフェクター分子をコードするDNAは、診断または治療適用に有用なエフェ
クター分子をコードするDNAであるものとする。すなわち、毒素または酵素、
特にプロドラッグの活性化を触媒し得る酵素であるエフェクター分子が特に適し
ている。かかるエフェクター分子をコード化するDNAは、天然酵素または毒素
コード化DNAまたはその突然変異体の配列を有し、当業界でよく知られた方法
により製造され得る。
この発明による抗体および抗体フラグメントは、腫瘍の診断および治療に有用
である。従って、この発明は、この発明による抗体を含む腫瘍の治療または診断
用組成物を提供する。
診断用組成物の場合、好ましくは上記抗体は、酵素性、蛍光性、放射性同位元
素または他の手段であり得る抗体検出手段と一緒に提供される。これらの手段は
、例えば特異組織および体液、例えば血液、血清、腹水、髄液および尿のスクリ
ーニングに使用され得る。抗体および検出手段は、腫瘍状態の診断を意図した診
断用キットにおいて同時、同時独立または逐次使用に対して提供され得る。
さらにこの発明は、腫瘍細胞の転移可能性の測定方法であって、上記細胞にお
けるp150発現レベルを評価することを含む方法であって、高いp150発現
レベルが低い分化状態、従って高い転移可能性の指標である方法を提供する。
さらに、この発明は、この発明による抗体、ポリペプチドまたは核酸の治療有
効量を患者に投与することを含む腫瘍治療方法を提供する。
以下、実施例において、この発明に関し説明のみを目的としてさらに記載する
。
実施例1
転移特異抗体
転移カスケードにおいてある役割を演じる分子成分が興味の対象であるため、
ヒト胎盤から誘導された膜タンパク質を含むフラクションに対してモノクローナ
ル抗体(Mabs)を産生させることにより、この複雑な事象に関与するかもし
れない上記分子を同定する。
膜結合タンパク質をヒト胎盤組織から分離する。胎盤組織の選択に関する根本
的理由は、栄養膜が周囲組織に侵入することから、侵入関連タンパク質はそこで
発現されると思われることである。
200gの新鮮なヒト胎盤を出発物質として使用する。胎盤を小片に切断し、
次に氷冷PBS中で数回洗浄することにより、血液を除去する。200mlの溶解
緩衝液(PBSに溶かした100ミリモルのオクチルーベータ−D−グルコシド
、1ミリモルのPMSF、5mg/mlのロイペプチンおよび1ミリモルのMn2+)
を含むビーカーに小片を移し入れ、ウォレン破砕器でホモジネートし、4℃で4
時間撹拌し、次いでもう1度ポリトロンでホモジネートする。次いで、固体物質
を25000gで60分間遠心分離により除去する。
ヘキサペプチドGRGDSPとコンジュゲートさせたセファロース(商標)を
充填し予め平衡させておいた10mlカラムに上清を適用する。次いで、カラムを
溶解緩衝液により十分に洗浄する。10ミリモルのEDTAを含む溶解緩衝液中
で結合物質を溶離する。1mlの溶出液フラクションを還元的条件下SDS−PA
GEにより分析する。
次いでBalb/cマウスを用いて、推定的RGD−結合タンパク質に対して
Mabsを産生させる。各動物に、セファロース(商標)−GRGDSPカラム
から誘導された部分精製膜タンパク質約50−100mg+0.5mlのフロイント
アジュバントを腹腔内注射する。ブースター適用として、動物に、3−4週間ご
とに50−100mgのタンパク質+0.5mlのフロイント不完全アジュバントを
2回与える。最後に、脾臓細胞と骨髄腫細胞(PAI細胞)の融合の2日前、さ
らに20−30mgのタンパク質を動物に静脈内投与する。
生成したMabsに対し、形質転換対非形質転換細胞における細胞表面染色お
よび新たに明確化された抗原の発現レベルについてスクリーニングする。非形質
転換状態での3T3細胞、およびsrcまたはrasにより形質転換された3T
3細胞、および許容または非許容温度で生長させたCEF68細胞間での比較を
行う。
細胞表面染色は次の要領で免疫蛍光により分析される。細胞をカバーグラスま
たは載物ガラス上で生長させ、PBSまたはDME中で洗浄し、室温(20℃)
でPBSまたはDME中3.7%ホルムアルデヒドに30分間固定する。次いで
細胞を、室温で1−3分間0.5%TX−100(PBSまたはDME中)にお
いて透過性にする。それに続いて、細胞を室温でPBSまたはDME中3−4回
洗浄する。液体を流出させ、DME/10%FCS中で希釈した膜結合タンパク
質フラクションに対して産生した第1抗体0.03mlを加える。細胞を、給湿イ
ンキュベーター中で37℃で60分間インキュベーションする。
インキュベーション後、細胞を室温でPBSまたはDME中3−4回洗浄する
。DME/10%FCS中で希釈したFITCまたはTRITCにより標識した
第2抗マウス抗体0.03mlを加え、細胞を給湿インキュベーター中37℃で6
0分間インキュベーションする。それに続いて、それらをPBSまたはDME中
で3−4回および水中で1回洗浄する。次いで、それらを適当な固定(マウンテ
ィング)培地に埋封し、暗所で貯蔵する。次に、適当な蛍光顕微鏡設備を用いて
埋封された細胞を調べることにより、蛍光が評価され得る。
興味深いMAb、H11VIIを選択し、B16F1/F10マウス黒色腫系に
おいてさらに試験する。この目的の場合、マウスへの尾部静脈注射前に黒色腫細
胞をMAbとインキュベーションする。3週間後、動物を殺し、肺コロニーを計
数する。肺コロニー化能力の80−85%阻害が観察され得る。
もとのMAb(H11VII)により得られた結果を再確認するため、マウスp
150に対する新たな一連のMabsを産生させる。新規抗p150Mabsに
より遂行されたインビボ肺コロニー化検定の結果を表1に示す。 インビボ系で抗体を使用することにより生じる一般的問題は、宿主免疫系が刺
激される可能性があることである。特に、抗体で標識された細胞に向けられた細
胞傷害性およびナチュラルキラー活性が影響され得る。周辺細胞血液成分が検出
可能な量のp150を発現することは無いという事実から、処置を変えることに
より宿主免疫系の影響を低減化することは可能である。注射前に癌細胞をMab
sとインキュベーションするのではなく、F1細胞を投与する24時間前に宿主
動物を前処置する。本来のMAb(H11VII)およびマウスp150に対して
産生した新規MAb(6G7)が使用されているこの実験の結果は、表2に概略
が
示されている。
B16細胞の注射前にマウスを24時間モノクローナル抗体により前処置する
。0.5mgの抗体を腹腔内注射する。28g/100ml(NH4)2SO4での沈澱
およびConAクロマトグラフィーにより、抗体を製造する。
実施例2
転移特異抗原
標準プロトコルによるウエスタン・ブロッティングを用いると、抗体H11VI
Iが約28、35、70および150kDaで移動しているSDS-PAGEのバ
ンドを認識するのがわかる。バンドはゲルから精製され、ウサギポリクローナル
抗血清がそれに対して産生する。28KDaバンドに対して産生した抗血清は、
ウエスタン・ブロットで150KDaバンドと交差反応する。
MAb H11VIIにより認識される抗原は、150kDa膜結合タンパク質
(p150)として同定され得る。P150は大量にB16F1細胞で発現され
る。従って、これらの細胞は、p150精製用出発物質として使用される。
粗膜フラクションを、100000gで遠心分離し、PMSFおよびアプロチ
ニンプロテアーゼ阻害剤を含む、1%NP4O、2ミリモルのトリス-HCl、
pH7.5に溶解することによりB16F1細胞から分離する。上清をセファロ
ース(商標)Qカラムに充填し、流出させ、セファロース(商標)Sカラムに移
し、再流出させ、0.5%ゲルでの還元的SDS-PAGEにより分離する。15
0KDaバンドを感電死させる。
実施例3
p150の分析およびcDNAクローニング
P150をトリプシン、V8およびLys−C消化によりミクロシークエンシ
ングした後、アプライド・バイオシステムズ配列決定装置におけるエドマン分解
を用いて配列決定する。この配列から誘導されたオリゴヌクレオチドを用いて、
マウス黒色腫B16F1ライブラリーをプローブする。
B16F1マウス黒色腫c−DNAライブラリーから選別されたクローンを配
列決定することにより、p150の142kDaカルボキシ末端部分をコード化
する3.6kbのORFが同定される。クロンテック製のキットを用いるレース
技術を適用することにより、失われた5'部分が得られる。配列情報を全て考え
合わせると、1343aaのポリペプチドをコード化する4.03kbのORF
が確立され得る。p150と称されるこのORFは、配列番号1に示されている
。推定されたタンパク質配列は、配列番号2および図1に示されている。タンパ
ク質ミクロシークエンシングから得られたペプチド配列は、図1において下線が
施されている。p150とも称されるヒト相同体のcDNAおよび誘導されたア
ミノ酸配列は、それぞれ配列番号8および9に示されている。
p150およびそれぞれセントロソミンA(配列番号3に示された配列からの
280アミノ酸)およびB(配列番号4に示された配列からの430アミノ酸)
と呼ばれる2種のマウスタンパク質間には、著しい相同性が見いだされる。これ
ら2種のタンパク質は、スプライス変異体であるとほぼ考えられる。それらは、
中心体と会合されることが見いだされている。不運なことにセントロソミンに関
して機能試験は全く行われていないが、細胞の局在化故に、それらは紡錘体器官
の機構に関与すると考えられているため、可能なチューブリン結合に関する候補
であり得る。
p150、セントロソミンAおよびセントロソミンB間の配列アラインメント
は、セントロソミンがそれらの全長にわたってp150と緊密な相同性を共有し
ているが、p150は両セントロソミンの両5'および3'を延長していることを
示す。配列比較は図2に示されている。
p150との顕著な相同性を示す別の3つのORFが、スイス・プロット・デ
ータバンクに存在する。すなわち、51%類似性および29%同一性を示す酵母
ORF(YBR079、配列番号5)、59%類似性および37%同一性を示す
タバコORF(NTPNL35、配列番号6)および56%類似性および36%
同一性を示す線虫C.エレガンスにおいて見いだされるORF(EGL−45、
配列番号7)。不運なことに、機能データはEGL−45についてのみ入手可能
である。他の2種のORFは未知の機能を有する。EGL−45に関して行われ
た突然変異試験は、両性個体特異的ニューロン分化の調節段階におけるこのタン
パク質の関与を示唆している。EGL−45の発現は、虫のほとんどの細胞から
見いだされる。ヌル突然変異体は、無菌または致死表現型さえも生じさせる。
4つの配列は全て、共通の全体的組織を示す。すなわち、30−45%間に顕
著な同一性をもつアミノ末端における300aaの伸長部、次いでほとんど相同
性を示さない約200aaの伸長部、次いで超らせんドメインを形成することが
推定される約400aaの高荷電伸長部(ルパスらによる、「サイエンス」25
2、1162、1991)。
上記6タンパク質(セントロソミンを含む)の配列アラインメントは図2に示
されている。
実施例4
p150の転移特異発現
B16F1/F10細胞におけるp150は、細胞表面で発現されなければな
らないと推論され、そうでない場合には、細胞表面にMabsを適用しても転移
カスケードに影響を及ぼすことは不可能と考えられる。p150の局在性を証明
するため、FACS分析を次の要領で行う。
B16F1またはF10細胞(DME培地中)による全面6cm組織培養皿か
ら出発し、抗体(希釈率1/10−1/100)を接着細胞または脱離細胞(E
DTA、PBS w/o Ca2+/Mg2+、PBS/1%BSA中で1回洗浄、スピ
ンダウンおよび抗体添加)に加える。
細胞を、組織培養プレート(20または37℃)またはエッペンドルフ管中で
1−2時間インキュベーションする。それに続いて、細胞をプレートでPBS/
1%BSAにより洗浄し、剥離させ、またはエッペンドルフ管中でスピンダウン
し、PBS/1%BSAを加えることにより洗浄する。洗浄段階を3−4回反復
する。
次いで、プレートで標識された細胞を1mlのPBS/1%BSA中にとる。
FITCまたはTRITCとコンジュゲートさせた第2抗体を、PBS/1%
BSA中細胞に加え、ゆっくり振とうしながら20℃で1時間インキュベーショ
ンする。細胞をPBS/1%BSAで2−3回洗浄する。次いで、標準的プロト
コルに従いFACスキャンが行われ得る。
FACS分析は、P150がB16F1マウス黒色腫細胞の細胞表面で明白に
発現されることを立証している。標識パターンおよび染色強度は、細胞が懸濁液
中で標識されたのかまたはそれらが組織培養皿に結合されたのかという事実とは
無関係である。
次の要領で、生存F1細胞における細胞表面ビオチニル化により結果が確認さ
れる。
B16F1またはヒーラ細胞の全面15cm皿を、冷PBSで3−4回洗浄す
る。0.05mlのビオチナミドカプロエート−N−ヒドロキシスクシンイミドエ
ステル(シグマB2643)を含む10mlのPBSを、100mg/mlでDMSO
に溶かしたものを、次いで加え、細胞を冷蔵室(4℃)で40−60分間インキ
ュベーションする。
次いで、細胞を冷PBSで2−3回洗浄し、氷上で30分間冷溶解緩衝液(p
150精製参照)に溶解する。未溶解物質を13000gで10分間スピンダウ
ンし、透明化細胞リゼイトを、冷蔵室で振盪器中30分間アビジン・アガロース
のビーズとインキュベーションする。
アビジン・アガロースビーズを溶解緩衝液で3−4回、冷ddH2Oで1回洗
浄し、SDS−PAGE試料緩衝液中で沸騰させる。これをSDS−PAGEに
かけ、ウェスタン・ブロッティングを標準プロトコルに従い行う。
上記細胞表面ビオチニル化方法により測定されたところによると、B16F1
細胞は細胞表面でp150を発現するのがわかる。しかしながら、細胞p150
全体のうち細胞表面が暴露されるのは非常に小さい比率に過ぎない。インビボコ
ロニー化実験から得られた結果により既に示されたところによると、これは細胞
-細胞および/または細胞−細胞外マトリックス相互作用に関与すると思われる
。B16細胞におけるこの発見とは反対に、ヒーラ細胞ではp150の細胞表面
ビ
オチニル化は全く観察され得なかった。
そのアミノ酸配列によると、p150は、70aa(1050−1120)の
疎水性伸長部を含み、そこは貫膜ドメインとして機能し得る。しかしながら、細
胞p150のほとんどは、内生膜に伴う細胞質区画から見いだされる。
ヒーラ細胞では、B16F1細胞とは反対に、ビオチニル化技術を用いても細
胞表面からp150は検出され得なかった。従って、p150の分布は細胞型お
よびその状態により異なる可能性があり得る。
B16細胞は強力な形質転換表現型を示すため、例えば細胞培養ではあまり拡
散しない。その結果、細胞骨格成分は、広く拡散した表現型を示す細胞の場合ほ
ど分離されてはいない。従って、局在性試験用にはヒーラ細胞が選択された。共
焦顕微鏡を用いると、強い核周囲染色が観察され、細胞質全体では小胞構造に染
色が観察される。有糸分裂が行われている細胞では、チューブリンの場合と類似
したパターンで、中央体が染色を伴っているのが観察される。
標準的方法に従うウェスタン・ブロッティングにより評価すると、p150は
通常幾つかのマウス器官で発現される。膵臓および肝臓で高発現レベルが見られ
るが、肝臓でのシグナルはその領域でのタンパク質濃度が高いためのアーチファ
クトであり得、脳、胸腺および精巣での発現は中程度である。p150の発現は
、肺、脾臓および腎臓では低い。精巣におけるp150発現は、未分化の増殖性
細胞が多く見られるという事実を反映し得る。精巣において、p150およびb
−チューブリンは、精子尾部と似た構造で共分布している。
形質転換およびp150発現間の関係を分析するため、ウェスタン・ブロッテ
ィングを用いて異なる形質転換状態での様々な細胞型を分析すると、形質転換状
態およびp150の発現レベル間の正の相関関係が観察され得ることがわかる。
すなわち、非形質転換細胞の場合よりもrasで形質転換された3T3細胞の方
で高いp150レベルが観察され、v−srcにより形質転換された3T3細胞
ではさらに高いレベルとなる。温度感受性形質転換性遺伝子産物、NY68によ
り形質転換されたCEF細胞は、非許容(41℃)温度よりも許容(37℃)温
度で高いp150発現レベルを示す。
ウェスタン・ブロッティングにより評価されるp150の発現が分化状態と相
関しているとき、分化程度およびp150発現レベル間の不可逆的関係が、標準
方法に従い分化させたES細胞、安定分化させたF9細胞およびレチン酸(0.
01および0.1モル)で処理したB16F1細胞を含め、調査した限りの全セ
ルラインにおいて観察される。
p150の発現は、様々なB16変異体における悪性度と不可逆的に相関関係
を示す。最悪性度の2種の変異体F10およびLS9は、F1細胞の場合よりも
低いレベルのp150発現性を有する。これは形質転換状態およびp150発現
レベル間の関係と矛盾しているように思われる。しかしながら、B16系では、
ほとんどの場合の転移能力は分化状態と直接相関関係を示すことが知られている
。すなわち、B16細胞では、分化した細胞が多いと、悪性度も高い。これは、
他のモデル系および悪性度が高く予後が悪いのと分化状態とが不可逆的に相関し
ている場合の臨床でみいだされることと対比している。
他の系におけるp150の発現を調べるため、幾つかのヒト腫瘍セルラインを
p150について試験する。数種の乳癌セルライン(HBL100、BT20、
T47D、SKBR3、MB231およびMB453)、肝癌セルライン(He
pG2)および卵巣癌セルライン(SKO V3)を調べる。p150レベルは
これらのラインでは異なるが、p150は普遍的に存在すると思われる。
実施例5
ヒト腫瘍におけるp150の発現
方法
腫瘍および正常組織標本
鮮度の良い22の乳房切除標本から、研究室へ運ぶための癌組織および非癌性
正常組織が、経験を積んだ病理学者により顕微鏡で選択される。組織は遅くとも
乳房切除の約5時間後に研究室には到着しており、冷凍され、−80℃で貯蔵さ
れる。対応する癌および正常組織を10%緩衝ホルマリンに固定し、パラフィン
に埋封する。5ミクロン断片をヘマトキシリン/エオシン染色用に切断する。免
疫組織化学検査用に5ミクロン片を、セメンタイト(メルツ・ウント・ベンテリ
SA、ニーデルバンゲン、スイス国)被覆急速冷凍スライド上に載せる。各場合
とも浸潤性癌および正常組織の存在を組織検査により確認する。
組織抽出物の製造
冷凍ヒト腫瘍および正常組織を小片に切断し、プロテアーゼ阻害剤アプロチニ
ン2μg/ml、ロイペプチン1μg/mlおよび1ミリモルのPMSFを含むST
E緩衝液(0.1モルのNaCl、001モルのトリス-HCl、pH7.6、1
ミリモルのEDTA)に懸濁し、ポリトロンホモジナイザーでホモジネートする
。ホモジネートを1000gで15分間遠心分離にかけ、この上清を、0.1モ
ルのトリス-HCl pH6.8、4%SDSおよび20%グリセリンから成る2
×試料緩衝液1容量と混合する。この混合物を56℃で30分間インキュベーシ
ョンし、15000gで10分間再遠心分離にかける。BCAタンパク質検定キ
ット(ピアス、ロックフォード、イリノイ)により上清のタンパク質濃度を測定
する。
セルラインのNP−40抽出物の製造
細胞をPBSにより2回洗浄し、4℃で30分間皿に入れた氷冷溶解緩衝液(
0.01ミリモルのトリス-HCl pH7.5、0.5%ノニデットP−40およ
び1ミリモルのPMSF)に溶解する。溶解した細胞を4℃で15000gでの
遠心分離にかける。上清を上記要領で試料緩衝液と混合する。試料を95℃で2
分間加熱し、タンパク質濃度を測定する。
免疫ブロッティング
20または40μgのタンパク質を含む細胞抽出物または外科的切片を、5%
SDS−PAGEミニゲル中の0.1%SDS存在下、電気泳動に付す。電気泳
動後、タンパク質を電気泳動的に1mA/cm2で、90分、PVDF膜に移す。
膜を遮断溶液(0.1モルのトリス−HCl、pH7.4、0.1モルのMgCl2
、0.5%トウイン20、1%トリトンX−100、1%BSA、5%FCS)で
30分、室温(RT)で遮断し、p150(ソフィエ1:2000)に対するトリAbまた
はMab 6Gl0(上清1:20)で一晩4℃で修飾し、遮断溶液で洗浄し、次いで1
時間、RTでヤギ抗トリペルオキシダーゼ結合第2抗体(1:2000、サザン・バイ
オテクノロジー・アッセイ・インコーポレイテッド、バーミンガム、AL)または
ウサギ抗マウスおよびブタ抗ウサギ(両方ともペルオキシダーゼ結合、ダコ・ダ
イアグノスティック・アクチエゲゼルシャフト、ツグ、スイス国)と共に、1:
2000の希釈でインキュベートする。次いで、膜を遮断溶液、PBSおよび水
で洗浄し、タンパク質−抗体複合体をECL(アメルシャム・インターナショナ
ル、イギリス)により、使用説明書に従って可視化する。ウエスタンブロットの
定量は、125ヨウ素標識第2抗体(アメルシャム・インターナショナル、イギリス
)を使用して行う。ブロットをホスホロイメージャー単位(モレキュラー・ダイナ
ミクス、サニーベイル、CA)でスキャンし、p150の相対的量を適当なバンド
に存在する放射活性を測定することにより決定する。
免疫組織化学
正常および癌組織の典型的組織片を免疫組織学的試験のために3例取る。5ミ
クロンパラフィン切片を脱パラフィン化し、再水和し、2回トリス−NaCl緩
衝液(30ミリモルのトリス(pH7.5)、0.9%NaCl)で洗浄する。内部ペルオ
キシダーゼを遮断溶液(トリス−NaCl緩衝液中の25ミリモルのβ−D−グ
ルコース、25ミリモルのナトリウムアジドおよび0.6単位/mlグルコースオ
キシダーゼ(シグマ、スイス国))で1時間、37℃で遮断する。トリス−NaC
l緩衝液で洗浄後、切片を500mlクエン酸緩衝液(0.1ミリモル、pH6.0)
中で、750ワット、10分電子レンジで加熱する。切片を冷却し、再びトリス
−NaCl緩衝液で洗浄して、トリス−NaCl緩衝液中の1%BSAで15分
遮断する。p150(ソフィエ1/1000)に対するトリ抗体を同じ緩衝液中で、60
分、RTで使用し、一方Mab 6G7であるモノ特異的ウサギ抗−NH2末端ペプチ
ド(225アミノ酸)抗体およびKi-67(MIBl、ディアノバ・ゲゼルシャフト・ミッ
ト・ベシュレンクテル・ハフツング、ドイツ国)に対するMabを切片と共に一
晩6℃でインキュベートする。続いて、切片を2回洗浄し、第2抗体(ヤギ抗ト
リ、ヤギ抗マウスまたはヤギ抗ウサギ;全てペルオキシダーゼ結合、1:200
0に希釈、サザン・バイオテクノロジー・アッセイ・インコーポレイテッド、バ
ーミンガム、AL)と共に半時間インキュベートし、トリス−NaCl緩衝液です
すぎ、50ミリモルのトリス、pH7.6中の2%ペルオキシダーゼ基質3',3
'−ジアミノベンジジン(シグマ、スイス国)と、5から10分、RTでインキュ
ベートする。パラフィン切片を安定化ヘマトキシリン(シャンドン、アストモー
ア、FG)で対比染色し、脱水し、デペックス(ビー・ディーエイチ、グール、イ
ギリス)にマウントし、写真に撮る。
A.22哺乳類癌のスクリーニング
ヒト乳癌でのp150発現
形質転換および脱分化が癌細胞の主要な特性であるという事実を基本にして、
初期ヒト腫瘍をこれらの実験の初期の段階で開発した抗体のパネルを使用して、
p150発現に関してスクリーニングする。
手術時の22名の初期乳癌患者の平均年齢は64歳(37−90歳の範囲)であ
り、平均腫瘍サイズは48mm(20−140mmの範囲)であった。55%の腫瘍は
不完全に分化(エルストンおよびエリス等級付システム(12)に従ってGIII)して
いたが、14%が十分に分化していた。優勢な組織学的タイプ(91%)は、管浸
潤性であり、他は小葉浸潤腫瘍であった。軸方向リンパ節への転移は59%で観
察され、27%でリンパ節は転移を示さず、他の全ての患者からリンパ節は得ら
れなかった。22名の患者の内21名で、ウエスタンブロッティングが同じ患者
の正常組織対照物よりも腫瘍で有意に高いp150発現を示している。患者#14
139で、我々はまたリンパ節転移を調べることができた;この状況でのp150
発現は、初期腫瘍よりも幾分高かった。一例(#10594)は、異常な結果であった
。この患者は、しかしながら、手術前化学療法を受けた唯一の患者であり、癌組
織でp150過発現を示さなかった。
免疫組織化学
p150発現の別のパターンが乳癌組織対対照組織で観察される。浸潤性およ
び原位置管癌は同様に陽性に反応する。壊死組織は、p150発現は陰性である
ことがわかった。
正常非増殖性組織は、筋上皮細胞のように、管腔の上皮細胞の微弱焦点性細胞
質顆粒着色を示す。増殖上皮細胞におけるいくつかの核はまた陽性染色を示す。
間質組織は全例でp150は陰性である。
上皮症、アポクリン変質形成および腺症のような胸部組織の増殖および前癌変
質は、p150の染色を示す。正常胸部組織でKi-67染色とp150発現の間の
相関関係は見られない。
B.更なる31乳癌のスクリーニング
手術時の31名の初期乳癌の患者の平均年齢は61歳(36−85歳の範囲)で
あり、平均腫瘍サイズは28mm(9−90mm)であった。55%の癌は不完全に分
化(エルストンおよびエリス等級付システム(12)に従ってGIII)し、32%が適
度に分化し、13%が良性であった。優勢な組織学的タイプ(67%)は、管浸潤
性であり、他は小葉浸潤腫瘍(16%)、繊維腺腫(10%)、一例の扁平上皮細胞
癌、一例のムチン癌および一例の乳頭腫であった。
リンパ節への転移は42%で観察され、29%でリンパ節は関与せず、29%
の患者からリンパ節は得られなかった。31名の患者の内30名で、ウエスタン
ブロッティングが正常組織対照物よりも腫瘍で有意に高いp150発現を示して
いる。
一名の患者(#18976)で、正常組織でも癌組織でもp150発現が見られなか
った。この癌の組織学により、胸部の稀な扁平上皮細胞癌であることがわかった
。興味深いことに、頸部の扁平上皮細胞癌は、腫瘍が浸潤を始めるとすぐにp1
50発現をほとんど損失する。従って、p150発現の行動は、具体的な腫瘍の
組織学的タイプおよび起源に非常に依存する。
際立ったことに、良性繊維腺腫および乳頭腫のp150発現は、悪性乳癌より
かなり低かった。
C.頸部癌のスクリーニング
頸部扁平上皮細胞癌で、更なる実験を行う。165名の患者の標本を免疫組織
化学的に実験する。組織学的等級付けに従って、77例の前癌領域、68例の浸
潤腫瘍および20例の健康対照を含む3群に分ける。前癌領域は、最も高いレベ
ルのp150発現を示すが、浸潤段階は対照と同程度の発現レベルを示す。更に
、120ヶ月生存が、p150の最高発現レベルを示した患者で有意に増加する
(p<0.01)。
乳癌と比較して、頸部扁平上皮細胞癌の悪性腫瘍は、p150発現レベルと逆
相関する。明らかに、p150発現の期間の新生物組織の行動は、組織学的起源
に強く依存する。従って、発現レベルが促進された増殖能力により増加するとい
うのはp150では一般的な討論ではない。従って、p150は脱分化および増
殖マーカーの両方として使用できる。
D.大腸癌のスクリーニング
9例の大腸癌をウエスタンブロット分析により実験する。p150は、全9例
で、対照組織と比較して明らかに上方制御されている。分解産物と考えられる約
120kDの付加的バンドが癌で排他的に出現する。この付加的バンドはp150
のNH2−末端バンドに対する抗体は認識しない。これは、大腸癌において、p
150のアミノ末端部分が高プロテアーゼ活性により特異的に分解されることを
意味する。
ウエスタンブロット分析で提示した9例を含む120例で行った免疫組織化学
は、明らかに我々の発見を再確認する。更に、結果は、p150が結腸直腸癌で
脱分化過程に役割を担うことを示す。
E.肺および甲状腺癌のスクリーニング
肺および甲状腺癌の数例を同様に実験する。データは、これらの悪性腫瘍でも
p150の上方制御を示す。
F.食道癌のスクリーニング
食道癌の数例を同様に実験する。70例のうち30例をウエスタンブロット分
析で、40例を免疫組織化学でスクリーニングする。いずれの方法でスクリーニ
ングした全てのサンプルとも、陽性結果を示す。
寄託データ:
本発明の抗体は、ブダペスト条約に従って、以下の受託番号でドイツ連邦共和
国、デー−3300ブラウンスヴェイク、マンシェンローダー・ヴェーク1ベー
番、ドイッチェ・サムルング・フォン・ミクロオルガニズメン・ウント・ゼルク
ルツレンに寄託した:
6G7 DSM2256 1996年4月11日
6G10DSM2257 1996年4月11日
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C07K 16/00 C12P 21/02 C
C12N 15/02 21/08
C12P 21/02 C12Q 1/68 A
21/08 G01N 33/53 D
C12Q 1/68 C12N 15/00 C
G01N 33/53 A61K 37/02
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
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,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
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LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N
O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG
,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,
US,UZ,VN,YU
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.配列番号2および9にそれぞれ示されたポリペプチドに対して産生した抗 体と交差反応する抗原決定基。 2.配列番号2および9にそれぞれ示されたポリペプチドのフラグメントとか なりの相同性を示す、請求項1記載の抗原決定基。 3.配列番号2または配列番号9に示されたポリペプチド、そのフラグメント または誘導体。 4.配列番号1および8にそれぞれ示された核酸と実質的に相同的な核酸。 5.請求項4記載の核酸のフラグメント。 6.請求項4または5記載の核酸またはフラグメントとハイブリダイゼーショ ンし得る核酸またはそのフラグメント。 7.請求項1または請求項2記載の抗原決定基のエピトープを特異的に認識し 得る抗体または抗体フラグメント。 8.請求項1または請求項2記載の抗原決定基または請求項4、5または6記 載の核酸を含む腫瘍の治療または診断用組成物。 9.請求項7記載の抗体または抗体フラグメントを含む腫瘍の治療または診断 用組成物。 10.腫瘍細胞の転移潜在性の測定方法であって、上記細胞におけるp150 発現レベルを評価することを含み、p150の高い発現レベルが低い分化状態、 従って高い転移潜在性の指標である方法。 11.腫瘍の診断または治療において同時、同時独立または逐次使用される請 求項7記載の抗体または抗体フラグメントおよび抗体または抗体フラグメントの 検出手段。
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