JP2001237494A - 半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体レーザ装置

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JP2001237494A
JP2001237494A JP2000048495A JP2000048495A JP2001237494A JP 2001237494 A JP2001237494 A JP 2001237494A JP 2000048495 A JP2000048495 A JP 2000048495A JP 2000048495 A JP2000048495 A JP 2000048495A JP 2001237494 A JP2001237494 A JP 2001237494A
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Mitsunobu Gotoda
光伸 後藤田
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザ発振スペクトル線幅が狭く、かつ光出
力を減少することなく高速応答できる任意な波長制御が
可能な単一波長で動作する高性能、高信頼度な半導体レ
ーザ装置を提供する。 【解決手段】 本発明による半導体レーザ装置は、レー
ザ発振波長の波長制御を行う光導波領域内に波長制御す
る際に注入されるキャリアの再結合を制御するキャリア
再結合制御層を設けたことにより、従来あったキャリア
の揺らぎ、発熱などによるスペクトル線幅の広がり、波
長制御の遅れなどをなくした。本発明により上記課題が
解決でき、高性能、高信頼度な半導体レーザ装置が実現
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長距離幹線系や大
都市近郊通信網などで利用される光ファイバ通信技術、
なかでも異なる波長の光を同時に信号伝送する波長多重
光通信技術で必要とされる波長可変半導体レーザ装置、
特に活性領域および位相調整領域の前後に半導体光導波
層から成る回折格子反射鏡すなわち分布ブラッグ反射鏡
(DBR;Distributed Bragg Ref
lector)を配置し、各領域に制御用電極を設けた
いわゆる多電極DBR構造波長可変半導体レーザ装置な
どのように、単一波長で高速かつ安定に動作する半導体
レーザ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】以下においては多電極DBR構造をとる
波長可変半導体レーザ装置、具体的には回折格子部分に
いわゆる超周期構造回折格子(SSG:Super−S
tructure−Grating)DBRを用いたS
SG−DBRレーザ装置を例にとって説明する。図5
は、雑誌ジャーナル・オブ・クアンタム・エレクトロニ
クス(H.Ishii et al. IEEE Jour
nal of Quantum Electronic
s, vol.32,No.3,1996,pp433
−441)に報告されているSSG−DBRレーザ装置
の構成を示した模式図であり、図5(a)はレーザ共振
器の側面図で、図5(b)のI−Iを含む面で切ったと
きの断面を表し、図5(b)は前方端面側から見た上記
レーザ装置の正面図を示している。上記図5(a)およ
び(b)において、1は前方光導波領域、2は後方光導
波領域、3は活性領域(「活性層」ともいう)、4は位相
制御領域、10はn型電極、11はn型InP下クラッ
ド層、12はp型InP上クラッド層、13はp型In
GaAsPコンタクト層、14および15は前方ミラー
および後方ミラーのピッチ変調周期、16はレーザ共振
器の前方端面から出射するレーザ光、17はレーザ共振
器の光導波層、18は上記光導波層17の側面に設けら
れた電流閉じ込め層、56はp型電極である。
【0003】上記前方光導波領域1および上記後方光導
波領域2は、それぞれレーザ共振器の前方端面側および
後方端面側のInGaAsP光導波層に回折格子を形成
してなるSSG−DBRミラーを有している。また、上
記活性領域3は例えば、上記前方光導波領域1および上
記後方光導波領域2を構成するInGaAsP光導波層
の禁制帯幅よりも平均的に小さい禁制帯幅のInGaA
sP歪量子井戸から構成され、位相制御領域4は上記前
方光導波領域1および上記後方光導波領域2と同じ組成
のInGaAsP光導波層からなる。図5(b)に示す
ように、レーザ共振器の光導波路は、上記光導波層17
とこれを上下に挟む上記光導波層17よりも禁制帯幅の
大きな上記下クラッド層11および上記上クラッド層1
2からなり、レーザ共振器の奥行き方向に繋がってレー
ザ共振器を構成する上記前方光導波領域1、上記後方光
導波領域2、上記活性領域3および上記位相制御領域4
の全体にわたって形成されている。
【0004】次に、図5に示す従来のSSG−DBRレ
ーザ装置の動作について説明する。図5(a)に示した
ように、p型電極56がそれぞれ分離されて形成された
活性領域3、前方光導波領域1、後方光導波領域2およ
び位相制御領域4は、合わせてひとつの光共振器を構成
している。上記活性領域3上に分離して設置した上記p
型電極56と上記n型電極10の間に順方向バイアスを
印加することにより活性層電流が上記活性領域3に注入
され、上記活性領域3において、広い波長範囲にわたる
光からなる自然放出光が発生する。この光は、上記光共
振器内に形成されている光導波路を伝播しながら、上記
前方光導波領域1に形成された前方SSG−DBRミラ
ーおよび上記後方光導波領域2に形成された後方SSG
−DBRミラーによって繰返し反射、増幅されるととも
に、上記前方光導波領域1あるいは上記後方光導波領域
2と、上記位相制御領域4への電流注入によって、最終
的に任意の一波長が選択、制御され、ある閾値において
単一波長でレーザ発振する。
【0005】次いでレーザの発振波長制御について詳細
に説明する。図6(a)は、前方および後方光導波領域
1、2に電流注入を行わない場合の前方および後方光導
波領域1、2の各領域内に形成した前方SSG−DBR
ミラーの反射率スペクトル19と後方SSG−DBRミ
ラーの反射率スペクトル20であり、図6(b)は、後
方光導波領域2に電流注入を行った場合の後方ミラーの
反射率スペクトル21を、電流注入していない前方SS
G−DBRミラーの反射率スペクトル19と比較して示
したものである。図において、横軸は波長、縦軸はパワ
ー反射率を示し、λ1は、前方および後方の光導波領域
1および2に電流注入を行わない場合に前後のミラーの
反射率ピークが一致する波長を、また、λ2は、後方光
導波領域2に電流注入を行った場合に前後のミラーの反
射率ピークが一致する波長をそれぞれ示している。これ
らの反射率スペクトルは、一般にSSG−DBRレーザ
装置の特徴である大きさの異なる複数の鋭い反射率ピー
クから成っているが、図では各反射率ピークの大きさを
同一に描いている。
【0006】前述したように、図6(a)は、前方ミラ
ー制御電流と後方ミラー制御電流が共にゼロである初期
状態の反射率スペクトルを表す。この場合、前方および
後方光導波領域1、2に形成した前方および後方ミラー
の反射率スペクトルが一致する波長はλ1となる。この
波長λ1における損失は、他の波長の光に比べて極めて
小さい、すなわち波長λ1における光の利得が相対的に
大きくなり、そのためレーザは波長λ1で発振すること
になる。ところで、レーザの発振波長を変えるには、図
6(b)に示したように、前方光導波領域1または後方
光導波領域2のどちらか一方あるいは両方に順方向バイ
アスをかけて上記領域に電流注入を行ない、この電流注
入によって上記光導波領域1および2の屈折率を等価的
に変化させる。屈折率を変化させることによって相対的
に利得の大きな波長が短波長側にシフトし、この光がレ
ーザ共振器内を伝播、増幅されて最終的に前方および後
方ミラーの反射率スペクトルが一致する波長λ2で発振
する。このようにしてミラーを形成した光導波領域に電
流注入し、電流注入レベルを制御し屈折率を変えること
によって、任意にレーザの発振波長を変えることが可能
となる。
【0007】図7は、上記前方光導波領域1および後方
光導波領域2のようなダブルへテロ構造を構成している
InGaAsP光導波層17に電流注入を行った場合、
すなわち上記前方光導波領域1のp型電極56あるいは
上記後方光導波領域2のp型電極56と、n型電極10
の間に順方向バイアスを印加して電流を流したときのエ
ネルギーバンド・ダイアグラムを示したものである。図
7において、24は伝導帯の下端、25は価電子帯の上
端、26はn型の導電性を有するInP第一クラッド
層、27はp型の導電性を有するInP第二クラッド
層、28は電子、29は正孔、30は電子と正孔の再結
合、31は自然放出光をそれぞれ示す。また、注入され
た上記電子28および上記正孔29が拡散により広がっ
ていく向きを各々矢印で表している。
【0008】順方向バイアスを印加すると、上記第一ク
ラッド層26から電子が、上記第二クラッド層27から
正孔がそれぞれ上記光導波層17に注入され、この領域
にキャリア(電子、正孔)が蓄積されると、フリーキャ
リア・プラズマ効果により光導波層17の屈折率が等価
的に低下する。このような電流注入に伴う屈折率の低下
によって、後方ミラーの反射率スペクトル21は全体的
に短波長側にブルーシフトし、前後のミラーの反射率ピ
ークが一致する波長はλ1からλ2に変わる。上記波長
λ2の利得は他の波長の利得よりも相対的に大きく、そ
れゆえレーザは波長λ2で発振する。このようにDBR
−ミラーを形成した上記前方光導波領域1あるいは上記
後方光導波領域2の電流注入レベルを適当に制御し、上
記前方あるいは上記後方光導波領域の屈折率を等価的に
変えることにより、レーザの発振波長を任意に選択し
て、制御できる。なお、上記位相制御領域4は、順方向
バイアスを印加し、上記領域4に電流を注入することに
よってレーザ光の位相の微調整を行い、レーザ発振を安
定化するために設置されている。
【0009】ところで、上記DBRレーザのような従来
型半導体レーザ装置では、波長変化のために上記前方光
導波領域1あるいは上記後方光導波領域2に相応の電流
を注入し、電流注入レベルを適当に制御して上記前方あ
るいは上記後方の光導波領域の屈折率を等価的に変える
ことにより、レーザの発振波長を任意に選択して、制御
できる。しかしながら、図7に示したように上記前方あ
るいは後方の光導波領域1あるいは2に注入された電子
と正孔は、同一の半導体層内、すなわち同一空間上に同
時に存在する状態になる。このような状態は、注入され
た電子と正孔が再結合するいわゆるキャリア再結合を引
き起こすこととなり、この再結合によってランダムに自
然放出光が発生する。その結果、上記前方あるいは後方
の光導波領域のキャリア密度が変化してキャリア密度の
揺らぎを生じる。この光導波領域におけるキャリア密度
の揺らぎは、波長制御したレーザ光のスペクトル線幅を
広げるなどレーザ光の性能を劣化させる問題を起こして
いた。
【0010】また、従来型レーザでは上記光導波領域に
相応の電流が注入されるため、それに伴う発熱が生じ
る。電流注入による発熱は、上記光導波領域を構成する
半導体層からなる光導波層の屈折率を等価的に高くす
る。この発熱に起因した屈折率の変化は、先のフリーキ
ャリア・プラズマ効果による屈折率変化に比べてかなり
時定数が大きく、そのため、レーザの発振波長を制御
し、安定に動作させるのに必要以上の時間がかかるとい
う問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の半導
体レーザ装置では、波長制御する場合に、上記光導波領
域においてキャリアの再結合が生じ、このキャリアの再
結合がレーザ発振スペクトル線幅を広げたり、実効的に
レーザ光の光出力を低下させたり、波長多重通信やコヒ
ーレント通信におけるチャネル干渉を引起こしたりする
などの原因となっていた。また、上記の発熱による波長
シフトは、レーザ発振波長のドリフトを引起こし、結果
的に波長制御に不要な時間がかかるなど上記光通信用光
源としての高速性、安定性などの性能に著しい問題を引
起こしていた。
【0012】この発明は、上記のような従来の半導体レ
ーザ装置が持つ問題点を解決するためになされたもので
あり、波長制御を行う光導波領域内に、電子と正孔を空
間的に分離してキャリアの再結合を抑制するキャリア再
結合制御層を設けることにより、発振スペクトル線幅が
十分狭く、かつ発熱に起因する発振波長のシフトを生じ
ない、安定かつ高速に動作できる高性能な単一波長半導
体レーザ装置を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明に係る第一の構
成による半導体レーザ装置は、同一基板上に、活性層か
らなる活性領域と、光導波層からなる波長制御を行う光
導波領域と、レーザ光の位相調整を行う位相制御領域と
を備えた半導体レーザ装置において、上記光導波領域内
にキャリアの再結合を制御するキャリア再結合制御層を
設けたものである。
【0014】この発明に係る第二の構成による半導体レ
ーザ装置は、上記キャリア再結合制御層は、上記光導波
領域を構成する光導波層よりも禁制帯幅の大きいバリア
層から成るようにしたものである。
【0015】この発明に係る第三の構成による半導体レ
ーザ装置は、上記バリア層はトンネルバリア構造を持つ
ものである。
【0016】この発明に係る第四の構成による半導体レ
ーザ装置は、同一基板上に、活性層からなる活性領域
と、光導波領域からなる波長制御を行う光導波領域と、
光導波層からなるレーザ光の位相を調整する位相制御領
域とを備えた半導体レーザ装置において、上記光導波領
域および上記位相制御領域の両領域内にわたって、上記
キャリア再結合制御層を設置したものである。
【0017】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1はこの発明の
実施の形態1における半導体レーザ装置を説明するため
の概略的な断面図であり、具体的には波長可変DBRレ
ーザ装置の構造を示したものである。図2は、図1に示
した上記半導体レーザ装置で波長制御を行った場合の前
方光導波領域1または後方光導波領域2のエネルギーバ
ンド・ダイアグラムを示した図である。図1および図2
において、1はレーザ共振器の前方端面側の領域に設置
された波長制御を行う前方光導波領域、2は上記前方光
導波領域1と反対側の後方端面側の領域に形成された波
長制御を行う後方光導波領域、3はInGaAsP歪量
子井戸活性層からなる活性領域、4は上記前方および後
方光導波領域1、2と同じ構成の半導体層からなるレー
ザ光の位相調整を行う位相制御領域、10はn型電極、
13はInGaAsPキャップ層、14および15は前
方ミラーおよび後方ミラーのピッチ変調周期、16はレ
ーザ共振器の前方端面側から出射するレーザ光、26は
n型InP半導体基板からなる第一クラッド層、27は
p型InP第二クラッド層、32は第一のInGaAs
P光導波層、33はInPバリア層、34は第二のIn
GaAsP光導波層、35はInPトンネルバリア層、
36は第三のInGaAsP光導波層、37は上記第三
の光導波層36に形成された電子の量子準位、56はp
型電極である。
【0018】図1に示したように、波長制御を行う上記
前方光導波領域1および後方光導波領域2には、上記両
領域を構成する光導波層32の表面にそれぞれ回折格子
が形成されており、いわゆるDBR−ミラーとして機能
する。また、上記第一、第二および第三の光導波層3
2,34、36は上記クラッド層26、27よりも禁制
帯幅の小さいInGaAsP層からなり、上記バリア層
33およびトンネルバリア層35は上記光導波層32、
34,36よりも禁制帯幅の大きいInP層からなる。
さらに、上記前方光導波領域1、後方光導波領域2、活
性領域3および位相制御領域4の各領域は、上記キャッ
プ層13をエッチオフして分離、独立させて形成した各
々独自のp型電極56を有した構造になっており、同一
基板上で、これらの各領域が共振器方向に相い連なって
ひとつのレーザ共振器を構成している。
【0019】なお、波長制御を行う上記前方光導波領域
1および後方光導波領域2の各領域内に設置するInP
トンネルバリア層35の厚みは、通常、電子が量子力学
的な共鳴トンネル効果によって透過し得る厚み1〜5n
mに設定され、上記InPバリア層33の厚さは、電子
および正孔の共鳴トンネリングによる透過がほとんど無
視できる範囲でなるべく薄く、通常30〜50nm厚に
形成される。また、光導波層32、34、36の厚みに
は自由度があり、例えば、上記InGaAsP層からな
る第三光導波層36は厚みを10〜20nmに、上記第
二光導波層34は、導波する光が単一モードを維持でき
るように0.1〜0.2ミクロンに、上記第一光導波層
32の厚さは、注入された正孔が上記バリア層33を越
えて溢れ出ることがない範囲でなるべく薄く、例えば
0.1ミクロン以下に形成される。これらの多層膜32
乃至36の平均的な屈折率は、上記第一および第二のク
ラッド層26、27よりも高くなるように設定され、か
つ上記多層膜の平均的な禁制帯幅は上記活性領域3の禁
制帯幅よりも大きくなるように各層が形成される。それ
ゆえ上記前方光導波領域1および上記後方光導波領域2
は波長制御を行う領域であると同時に、上記活性領域3
で発生した光を導波する光導波路として機能している。
【0020】続いて、本発明の実施の形態1における半
導体レーザ装置の動作について説明する。前述したよう
に上記活性領域3、上記前方および後方光導波領域1、
2、上記位相制御領域4の各領域は、合わせてひとつの
光共振器を構成している。図1に示すように、活性領域
3の上部に形成したp型電極56とn型電極10の間に
順方向バイアスを印加することにより電流が活性領域3
に注入され自然放出光が発生する。活性領域で発生した
上記の光は、レーザ共振器を構成する光導波路を伝播
し、共振器端面部に設置したDBR回折格子ミラーを形
成した上記前方光導波領域1および後方光導波領域2に
よって繰返し反射、増幅されて光強度が増大し、最終的
に一つの波長が選択されてある閾値においてレーザ発振
が生じる。
【0021】次に、上記実施の形態1における半導体レ
ーザ装置の波長制御動作について説明する。図2に示し
たように、n型InP第一クラッド層26およびp型I
nP第二クラッド層27の間に順方向バイアスを印加す
ると、電子28が上記第一クラッド層26から上記第一
クラッド層26よりも禁制帯幅の小さいInGaAsP
第三光導波層36に注入され、上記第二クラッド層27
からは正孔29が上記第二クラッド層27よりも禁制帯
幅が小さいInGaAsP第一光導波層32に注入され
る。印加する順方向バイアスを次第に増していくと、上
記第三光導波層36に注入された電子の密度が高くなっ
て上記第三光導波層36における電子の量子準位37が
満たされる。さらに、印加する順方向バイアスを上げて
いくと、矢印で示したように、電子は上記第二光導波層
34へのトンネル伝導を起こして上記トンネルバリア層
35を突き抜けて上記第二光導波層34へ注入される
が、図のように設置した上記光導波層よりも禁制帯幅の
大きなバリア層33によって上記第二光導波層34内に
留まる。一方、上記第一光導波層32に注入された正孔
29は、やはり上記光導波層32よりも禁制帯幅の大き
な上記InPバリア層33のために上記第二光導波層3
4に到達することはできない。そのため、上記光導波領
域内に注入された電子と正孔は互いに空間的に分離され
た状態で存在することになる。
【0022】上記のように注入されたキャリアが空間的
に分離されて存在する状態にある上記光導波領域1ある
いは上記光導波領域2には、キャリアすなわち電子と正
孔いずれかの存在によってフリーキャリア・プラズマ効
果が働く。このフリーキャリア・プラズマ効果によって
上記前方光導波領域1あるいは上記後方光導波領域2の
領域内の上記第一、第二、第三の光導波層32、34、
36の各層の屈折率は低下する。上記屈折率の低下によ
って上記前方光導波領域1あるいは上記後方光導波領域
2の反射率スペクトルが全体的に短波長側にシフトす
る。このとき、上記前方光導波領域1および後方光導波
領域2の反射率スペクトルが一致する波長λは短波長側
にシフトし、波長λの利得が相対的に高くなって、レー
ザは上記波長λで発振する。このようにして、上記前方
光導波領域1あるいは後方光導波領域2の屈折率を変化
させ、さらに、位相制御領域4に順方向バイアスを印加
してレーザ光の位相を微調整することにより、上記半導
体レーザ装置の発振波長を任意に制御して動作させるこ
とが可能となる。
【0023】上述したように、本発明の実施の形態1に
おける半導体レーザ装置では、波長制御を行う上記前方
光導波領域1および後方光導波領域2に、上記トンネル
バリア層、バリア層からなるキャリア再結合制御層を設
けたことにより、注入した電子と正孔が互いに空間的に
分離された状態で屈折率を変化させ、波長制御すること
ができる。そのため、波長制御を行う場合、上記前方光
導波領域1および後方光導波領域2の領域内でキャリア
再結合は起らず、従って、従来問題となっていたキャリ
ア再結合に伴う自然放出光の発生やそれに伴うキャリア
密度の変動も起こらない。それゆえ、レーザ装置の発振
波長を制御する場合に、レーザの発振スペクトル線幅が
広がったり、揺らいで波長や光出力が不安定になったり
することなく、レーザ装置の発振波長を任意に制御で
き、レーザ発振スペクトル線幅の極めて狭い、かつ安定
に動作する半導体レーザ装置を得ることができる。ま
た、上記半導体レーザ装置は、上記光導波領域に電流が
持続的に流れないため、電流に伴う発熱はなく、従っ
て、発熱による発振波長のシフトも起こらない。
【0024】また、上記実施の形態1における半導体レ
ーザ装置は、上記第二光導波層への電子の注入にトンネ
ルバリア層によるトンネル伝導を利用しているので、上
記第一クラッド層と上記第二クラッド層の間の印加電圧
を変えて上記トンネルバリア層のトンネル共鳴条件を変
化させることにより、高速にキャリアの注入と引き抜き
を行うことができ、高速にレーザの発振波長を制御でき
るという利点を持つ。なお、上述した例では、キャリア
再結合制御層にトンネルバリア層とバリア層を組み合せ
た最良の場合について述べたが、バリア層だけ、あるい
はトンネルバリア層だけを設置した場合においてもキャ
リア再結合を制御するという機能を十分達成できる。さ
らに、上述した例では、前方および後方の光導波領域
1、2の両領域だけに上記キャリア再結合制御層を設置
した場合について述べたが、上記光導波領域1、2に限
らず、上記前方および後方光導波領域1、2および上記
位相制御領域4の全領域にわたって、同様にキャリアの
再結合を制御するキャリア再結合制御層を設けた場合に
おいても同様の効果があり、高性能な半導体レーザ装置
が実現できる。
【0025】実施の形態2.図3は、この発明の実施の
形態2における半導体レーザ装置を説明するための断面
構造図で、キャリア再結合制御層としてバリア層とバリ
ア層を組み合せた状態を示している。図4は、図3に示
した半導体レーザ装置において、波長制御を行う場合の
前方光導波領域1あるいは後方光導波領域2のエネルギ
ーバンド・ダイアグラムを示した図である。図3および
図4において、1、2は前方および後方光導波領域、3
は活性領域、4は位相制御領域、10はn型電極、13
はキャップ層、16はレーザ光、24、25はそれぞれ
伝導帯、価電子帯、26はn型InP下クラッド層、2
7はp型InP上クラッド層、32、34、36は各々
第一、第二、第三のInGaAsP光導波層、33はI
nP第二バリア層、41はInP第一バリア層、42は
上記第二の光導波層34の中に埋め込まれた埋め込み回
折格子層である。この埋め込み回折格子層42は、禁制
帯幅が上記第二の光導波層34の禁制帯幅よりも大き
く、かつ上記クラッド層26、27の禁制帯幅よりも小
さい上記第二の光導波層34とは異なる組成のInGa
AsP半導体層から形成されている。
【0026】次に、上記半導体レーザ装置の波長制御動
作について説明する。図4に示したように、下クラッド
層26と上クラッド層27の間に順方向バイアスを印加
した場合、電子と正孔はそれぞれ第三の光導波層36お
よび第一の光導波層32に注入されて蓄積されるが、上
記光導波層32、36の間に形成した上記両光導波層よ
りも大きな禁制帯幅をもつ上記第三の光導波層36側に
設けたバリア層33および上記第一の光導波層32側に
設けたバリア層41によって、電子と正孔両者は互いに
空間的に分離されて存在する。従って、上述した実施の
形態1で示した場合と同様、上記埋め込み回折格子構造
を形成した場合においても、波長制御する際に、上記光
導波領域でキャリアの再結合に伴う自然放出光の発生や
キャリア密度の変動は起こらない。従って、発振スペク
トル線幅の狭い、高速かつ安定な性能を有する半導体レ
ーザ装置を得ることができる。
【0027】なお、上述した実施の形態1,2の例にお
いては、n型InP半導体基板上に形成するInGaA
sP半導体レーザ装置の場合について記述したが、これ
に限らずp型InP基板上に形成する場合、あるいはG
aAs/AlGaAs系半導体レーザ装置など他の組成
から成る半導体レーザ装置においても同様の効果が得ら
れることは明らかである。また、本発明の実施の形態で
はトンネルバリア層あるいはバリア層として、InP半
導体層を用いる場合について記述したが、代わりにIn
AlGaAsやInGaAsPなどを用いても本実施の
形態と同様なエネルギーバンド・ダイアグラムを有する
素子を構成することが可能である。さらに、上述した例
では半導体レーザ装置における位相制御領域と光導波領
域が同一組成の多層膜から成る場合について記述した
が、これらを各々異なった組成または異なった材料から
成る同様なエネルギーバンド・ダイアグラムを有する場
合においても同様な効果を持つものである。
【0028】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、同一
基板上に、活性領域と、光導波層からなる波長制御を行
う光導波領域と、レーザ光の位相調整を行う位相制御領
域とを備えた半導体レーザ装置において、波長制御を行
う光導波領域に、注入されるキャリアの再結合を制御す
るキャリア再結合制御層を設けたことにより、レーザの
発振波長を制御する場合、上記光導波領域において電子
と正孔が互いに空間的に分離されて蓄積され、上記光導
波領域でのキャリア再結合が起こらない。そのため、キ
ャリア再結合に伴う自然放出光の発生やキャリア密度の
変動も起こらず、発振スペクトル線幅の狭い半導体レー
ザ装置が得られる。さらに、電流注入に伴う発熱がない
ので、発熱による発振波長のシフトはなく、レーザ光の
基本特性を大幅に改善できる。従って、この発明によれ
ば、従来問題となっていた波長多重通信やコヒーレント
通信におけるチャネル干渉や波長ドリフトを引起こした
り、また、実効的にレーザ光の光出力を低下することな
くレーザの発振波長を任意に制御でき、それゆえ、安定
かつ高速動作可能な高性能、高信頼度の単一波長半導体
レーザ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における実施の形態1の半導体レーザ
装置を示す断面図である。
【図2】 本発明における実施の形態1の半導体レーザ
装置を説明するためのエネルギーバンド図である。
【図3】 本発明における実施の形態2の半導体レーザ
装置を示す断面図である。
【図4】 本発明における実施の形態2の半導体レーザ
装置を説明するためのエネルギーバンド図である。
【図5】 従来のSSG−DBR波長可変半導体レーザ
装置を示す構造図である。
【図6】 従来のSSG−DBR波長可変半導体レーザ
装置を説明するためのスペクトル反射率を示す図であ
る。
【図7】 従来のSSG−DBR波長可変半導体レーザ
装置を説明するためのエネルギーバンド図である。
【符号の説明】
1 前方光導波領域、 2 後方光導波領域、 3 活
性領域、 4 位相制御領域、 10 n型電極、 1
1 n型InP第一クラッド層、 12 p型InP第
二クラッド層、 13 p型InGaAsPキャップ
層、 14 前方ミラー回折格子ピッチ変調周期、 1
5 後方ミラー回折格子ピッチ変調周期、16 レーザ
光、 17 光導波層、 18 電流閉じ込め層、 1
9 前方ミラー反射率スペクトル、 20 後方ミラー
反射率スペクトル、 21 電流注入時の後方ミラー反
射率スペクトル、 24 伝導帯下端、 25 価電
子帯上端、 26 第一クラッド層、 27 第二クラ
ッド層、 28 電子、29 正孔、 30 電子と正
孔の再結合、 31 自然放出光、 32 第一光導波
層、 33 バリア層、 34 第二光導波層、 3
5 トンネルバリア層、 36 第三光導波層、 37
電子の量子準位、 41 バリア層、42 埋め込み
回折格子層、 56 p型電極

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一基板上に、活性層からなる活性領域
    と、光導波層からなる波長制御を行う光導波領域と、光
    導波層からなるレーザ光の位相を調整する位相制御領域
    とを備えた半導体レーザ装置において、上記光導波領域
    内にキャリアの再結合を制御するキャリア再結合制御層
    を設けたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 【請求項2】 上記キャリア再結合制御層は、上記光導
    波領域を構成する光導波層よりも禁制帯幅の大きいバリ
    ア層から成ることを特徴とする請求項1に記載の半導体
    レーザ装置。
  3. 【請求項3】 上記バリア層はトンネルバリア構造を持
    つことを特徴とする請求項2に記載の半導体レーザ装
    置。
  4. 【請求項4】 同一基板上に、活性層からなる活性領域
    と、光導波層からなる波長制御を行う光導波領域と、光
    導波層からなるレーザ光の位相を調整する位相制御領域
    とを備えた半導体レーザ装置において、上記光導波領域
    および上記位相制御領域の両領域内に上記キャリア再結
    合制御層を設けたことを特徴とする半導体レーザ装置。
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