JP2001299280A - カルボキシル基を含有する多糖類/カルシウム化合物複合体を含有するカルシウム補強剤 - Google Patents

カルボキシル基を含有する多糖類/カルシウム化合物複合体を含有するカルシウム補強剤

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JP2001299280A
JP2001299280A JP2000119045A JP2000119045A JP2001299280A JP 2001299280 A JP2001299280 A JP 2001299280A JP 2000119045 A JP2000119045 A JP 2000119045A JP 2000119045 A JP2000119045 A JP 2000119045A JP 2001299280 A JP2001299280 A JP 2001299280A
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calcium compound
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Toshihiko Takagi
斗志彦 高木
Masaru Tanabe
田邉  勝
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ナノメートルサイズの水に難溶なカルシウム
化合物微粒子が凝集あるいは分離・沈降等を起こさず安
定に分散し、食感や食味に影響を及ぼすことのないカル
ボキシル基を含有する多糖類/カルシウム化合物複合体
からなるカルシウム補強剤を提供することにある。 【解決手段】分子内にカルボキシル基を含有する多糖類
と、粒径500nm以下の水に難溶なカルシウム化合物
微粒子とを、重量比10:90〜99.9:0.1の範
囲で含有する多糖類/カルシウム化合物複合体を含有す
ることを特徴とするカルシウム補強剤。また、カルボキ
シル基を有する多糖類の存在下で水に難溶なカルシウム
化合物を合成するとカルシウム化合物の粒子形態が変化
し、分散安定性が大幅に改善される分散溶液が得られ
る。この分散溶液を含有するカルシウム補強剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は分子内にカルボキシ
ル基を含有する多糖類を用いることにより水への分散安
定性を改良した、水に難溶なカルシウム化合物を微粒子
状に分散したカルシウム補強剤およびその製造方法に関
する。さらには、クエン酸存在下に水に難溶なカルシウ
ム化合物を合成することを特徴とした、分散安定性に優
れたクエン酸/カルシウム化合物複合体からなるカルシ
ウム補強剤およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】日本人が1日に必要とされるカルシウム
量は600mgであるとされているが、厚生省が実施し
ている国民栄養調査によると、調査開始以来カルシウム
摂取量はその所要量を満たしたことがない。その理由に
は、日本の土壌中に含まれるカルシウムが少ない地域的
な背景や、食文化の違い、および食生活の変化などが指
摘されている。カルシウムを所要量摂取するにはカルシ
ウムに富む食品を意識的に摂取すれば問題ないのである
が、そこが出来ないところにこの問題の本質がある。
【0003】この問題を解決するために、通常カルシウ
ムをほとんど含まない食品にカルシウムを添加して不足
しがちなカルシウムを補給できるようにする方法があ
る。この方法では、天然物由来あるいは人工的に合成さ
れた各種のカルシウム剤が知られている。天然物素材と
しては卵殻や貝殻、動物の骨などがあるが、これらの天
然物素材は基本的に水に不溶であるため、飲料や液状食
品に添加する場合、舌触りに違和感ないように微細に粉
砕したスラリーとした状態で使用される。しかしなが
ら、粉砕可能な粒子の大きさは数ミクロンのレベルが限
界であり、食感に問題はないものの経時で沈降を起こす
ため、長期保存される食品には使用が困難であるし、短
期保存食品に対しても使用が制限される問題がある。こ
のような沈降の問題を解決する方法として、特開平9−
289877号公報に500nm以下のヒドロキシアパ
タイト(リン酸カルシウムの一種)を合成し、これをク
エン酸またはその塩の含有液、カゼインやアルブミンな
どの蛋白質、カゼインホスホペプチド等のペプチドを用
いて表面処理する方法が開示されている。この方法によ
ると沈降を抑制する効果は認められるものの、その効果
は十分だとは言い難く、また食品へ添加した際に食味を
変化させる可能性があるため、さらに分散性が改良され
て食味に影響を及ぼさないカルシウム補強剤が望まれて
いた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ナノ
メートルオーダーのカルシウム化合物微粒子が凝集ある
いは分離・沈降等を起こさず均一に分散し、食味に影響
を及ぼすことのないカルボキシル基を含有する多糖類/
カルシウム化合物複合体を含有するカルシウム補強剤を
提供することにある。さらには、分散安定性を改良した
クエン酸塩/カルシウム化合物複合体を含有するカルシ
ウム補強剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前述の課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、カルボキシル
基を含有する多糖類を用いることにより、水に難溶なカ
ルシウム化合物微粒子が安定に分散することを見出し本
発明に至った。また、この複合体を安定化する方法を検
討する中で、カルボキシル基を有する多糖類の存在下で
水に難溶なカルシウム化合物を合成するとカルシウム化
合物の粒子形態が変化し、分散性が大幅に改善されるこ
とを見出した。これを従来分散安定性に効果があると報
告されていたクエン酸塩に適用することにより、単に混
合して表面処理を行ったものに比べて飛躍的に分散安定
性が向上することを見出した。
【0006】すなわち本発明は、(1)分子内にカルボキ
シル基を含有する多糖類と、粒径500nm以下の水に
難溶なカルシウム化合物微粒子とを、重量比10:90
〜99.9:0.1の範囲で含有する多糖類/カルシウ
ム化合物複合体を含有することを特徴とするカルシウム
補強剤、(2)分子内にカルボキシル基を含有する多糖類
の水系媒体中に粒径500nm以下の水に難溶なカルシ
ウム化合物微粒子を分散してなる、分散安定性に優れる
多糖類/カルシウム化合物複合体分散溶液を含有するこ
とを特徴とする(1)に記載のカルシウム補強剤、(3)
水に難溶なカルシウム化合物が炭酸カルシウムまたはリ
ン酸カルシウムであることを特徴とする(1)または
(2)に記載のカルシウム補強剤、(4)リン酸カルシウ
ムが水酸化カルシウムとリン酸を反応して製造されるも
のであることを特徴とする(3)に記載のカルシウム補
強剤、(5)多糖類/カルシウム化合物複合体がカルボキ
シル基を含有する多糖類存在下にカルシウム化合物を製
造して得られるものであることを特徴とする、(1)〜
(4)のいずれかに記載のカルシウム補強剤、(6)カル
ボキシル基を含有する多糖類存在下に、カルシウム化合
物を製造することを特徴とする、(1)〜(4)のいず
れかに記載のカルシウム補強剤の製造方法、(7)クエン
酸塩の水系媒体中に粒径500nm以下の水に難溶なカ
ルシウム化合物微粒子を分散してなる、分散安定性に優
れるクエン酸塩/カルシウム化合物複合体分散溶液を含
有するものであって、該分散溶液がクエン酸塩存在下に
カルシウム化合物を製造して得られるものであることを
特徴とする、クエン酸塩/カルシウム化合物複合体を含
有するカルシウム補強剤、(8)クエン酸塩存在下にカル
シウム化合物を製造することを特徴とする、(7)に記
載のカルシウム補強剤の製造方法、である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のカルシウム補強剤は、分
子内にカルボキシル基を含有する多糖類またはクエン酸
塩と、粒径500nm以下の水に難溶なカルシウム化合
物微粒子とを、重量比10:90〜99.9:0.1の
範囲で含有する多糖類またはクエン酸塩/カルシウム化
合物複合体を含有することを特徴とするものである。
【0008】本発明で使用されるカルボキシル基を含有
する多糖類は、天然由来のものと天然高分子材料を変性
したもの(半合成高分子化合物)が含まれる。天然由来
のカルボキシル基を含有する多糖類はグルクロン酸、ガ
ラクツロン酸、マンヌロン酸などのウロン酸を分子内に
持つ化合物であり、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウ
ム、ペクチン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアル
ロン酸ナトリウム、ヘパリンなどが例示される。半合成
高分子化合物は、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム、カルボキシメチルキチンナトリウム、カルボキシメ
チルデンプンナトリウムなどの天然の多糖類を変性した
ものや、でんぷんやセルロース等の多糖類にアクリル酸
をグラフト共重合したものなどがあげられる。これらの
多糖類に含まれるカルボキシル基は通常ナトリウムやカ
リウムなどのアルカリ金属の塩となっていることが好ま
しい。カルボキシル基は完全に塩型になっている必要は
なく、塩酸、硫酸、リン酸のような無機酸、あるいは食
添用に使用可能なクエン酸、フマル酸、リンゴ酸、酢酸
などの有機酸を添加して水溶液のpHを調整することに
より、部分的に酸型として存在するものがあっても問題
ない。
【0009】また、本発明で使用されるクエン酸塩は、
クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン
酸三ナトリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリ
ウム、クエン酸三カリウムなどのアルカリ金属塩が好適
に使用されるが、前述の無機酸または有機酸、あるいは
水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリを
添加して水溶液のpHを調整することにより中和度を種
々変えたものを使っても良い。
【0010】本発明の水に難溶なカルシウム化合物微粒
子は、粒径500nm以下であれば制限はないが、食品
として体内に摂取されることを考慮すると、天然のカル
シウム源として利用されるリン酸カルシウムまたは炭酸
カルシウムが好ましい。
【0011】本発明において多糖類(またはクエン酸
塩)/カルシウム化合物複合体は、前記したカルボキシ
ル基を含有する多糖類(またはクエン酸塩)とカルシウ
ム化合物微粒子とが重量比10:90〜99.9:0.
1、好ましくは15:85〜99.5:0.5、さらに
好ましくは20:80〜99:1の範囲のものである。
カルシウム化合物の量が0.1%より少ないとカルシウ
ム化合物を添加する効果が乏しく、90%を越えると分
散安定性が不良で沈降、分離を起こしやすくなり、均一
な分散溶液を形成できなくなるため好ましくない。
【0012】カルシウム化合物微粒子の合成方法として
は、液相合成法が好ましい。いわゆる沈殿法と称される
方法であり、水に可溶あるいは難溶なカルシウム化合物
の水溶液あるいは懸濁液に、有機酸、無機酸およびそれ
らの塩類を反応することにより水難溶性のカルシウム化
合物微粒子が合成される。沈殿法と称せられるように、
通常は生成した水難溶性無機微粒子は沈澱し、濾過後乾
燥あるいは熱分解することにより粉末を得る方法であ
る。
【0013】本発明においては、前記したカルボキシル
基を含有する多糖類を沈殿法により製造された水難溶性
のカルシウム化合物懸濁液に混合し、機械的攪拌または
超音波照射などの物理的手法により、多糖類/カルシウ
ム化合物複合体および沈降・分離を抑えた分散溶液を製
造できる。しかしながら、この方法では沈殿法で製造す
る際にできやすい比較的大きな粒子や一次粒子の凝集体
を沈降なく均一に分散させることは困難を伴う場合があ
る。その場合には初期に沈降する成分を除去し、上層の
みを使えば良い。さらに分散安定性を向上させるには、
水難溶性のカルシウム化合物を合成する際にカルボキシ
ル基を含有する多糖類を存在させておくことによりカル
シウム化合物を合成する方法(in−situ法)を用
いる。この方法で生成する微粒子は沈澱することなく、
コロイド状に均一に分散した、極めて分散安定性に優れ
た多糖類/カルシウム化合物複合体分散溶液となるので
ある。なぜこのような分散安定性に優れた多糖類/カル
シウム化合物複合体分散溶液となるのか必ずしも完全に
解明された訳ではないが、以下の機構がもっとも確から
しいと推定している。
【0014】本発明者らは、カルシウム化合物のカルシ
ウムイオンと多糖類のカルボキシル基の間にはイオン的
な結合が存在することを、pHやイオン強度に対する分
散安定性の実験事実から示している。このような相互作
用はin−situ法による反応過程においても存在す
るものと考えられ、反応により生成するカルシウム化合
物はその成長過程においてカルボキシル基を含有する多
糖類を吸着することは十分に考えられる。そのようにし
てカルシウム化合物に吸着した多糖類はカルシウム化合
物の結晶成長を阻害し、粒子径は500nm以上になら
ないものと考えられる。この場合、吸着した多糖類によ
り成長方向が影響を受けると粒子の形態が変化し、より
分散性が向上する可能性もある。たとえば、通常ヒドロ
キシアパタイトの一次粒子は針状となるが、多糖類存在
下に合成すると偏平な粒子となることが透過型電子顕微
鏡観察から確かめられた。このように粒子形状の変化に
より凝集が抑えられる効果も分散性が向上する要因の1
つであろう。また、このようにして生成した500nm
以下の水難溶性カルシウム化合物微粒子は、カルシウム
化合物に結合した多糖類が保護コロイド的な作用を示す
ために微粒子間の凝集は抑制され、その結果長期間凝集
を起こさず分散状態が安定に保たれるものと考えられ
る。すなわち多糖類の効果は、カルシウム化合物の
(1)結晶成長抑制、(2)粒子形態変化、(3)粒子
間凝集抑制、これらの何れかあるいはすべての作用によ
りもたらされ、単純混合に比べてin−situ法で製
造したもののほうがより分散性が優れることを合理的に
説明できる。
【0015】また、本発明のクエン酸塩/カルシウム化
合物複合体を含有するカルシウム補強剤の場合は、カル
シウム化合物を合成する際にクエン酸塩を存在させてお
くことによりカルシウム化合物を合成する方法(in−
situ法)を用いる。この方法で生成する化合物は沈
澱することなく、コロイド状に均一に分散した、極めて
分散安定性に優れたクエン酸塩/カルシウム化合物複合
体分散溶液となるのである。この方法においても多糖類
と同様の機構で説明でき、クエン酸塩は単に粒子の表面
を修飾するだけではなく、粒子製造の際に存在させてお
くと粒子形態を変化させる効果があるため、安定性が改
良された複合体分散溶液が製造できるものと考えられ
る。
【0016】本発明のカルシウム化合物微粒子の合成に
使用されるカルシウム化合物の例としては、塩化カルシ
ウム、酢酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン
酸二水素カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシ
ウム、グルコン酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸
カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カ
ルシウム、チオ硫酸カルシウムなどから選ばれる1種以
上の化合物があげられる。
【0017】本発明のカルシウム化合物微粒子の合成に
使用される無機酸、有機酸およびそれらの塩類は、上記
カルシウム化合物と反応して水に難溶なカルシウム化合
物微粒子を生成するものであればよい。なかでも炭酸、
リン酸(オルトリン酸)、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、
酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ア
ジピン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、塩化水
素酸などや、それらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金
属塩が挙げられる。
【0018】カルシウム化合物微粒子がリン酸カルシウ
ムの場合について以下詳細に記述する。
【0019】本発明においてリン酸カルシウムは、リン
酸に由来する部分とカルシウム原子の合計が50重量%
以上含まれるものである。例としてはヒドロキシアパタ
イト、フッ素アパタイト、塩素アパタイト、炭酸含有ア
パタイト、マグネシウム含有アパタイト、鉄含有アパタ
イト等のアパタイト化合物、リン酸三カルシウム等が挙
げられる。
【0020】本発明のリン酸カルシウムに含まれるアパ
タイト化合物は、基本組成がMx(RO4yzで表され
る。Mサイトがカルシウムイオン(Ca2+)、RO4
イトがリン酸イオン(PO4 3-)、Xサイトが水酸化イ
オン(OH-)の場合には、x=10、y=6、z=2
となり、一般的にヒドロキシアパタイトと呼ばれる化合
物である。M、RO4、Xの各サイトは、種々のイオン
等と置換が可能であり、また、空孔ともなり得るもので
ある。置換量および空孔量は、そのイオン等の種類によ
り異なるが、リン酸に由来する部分とカルシウム原子の
合計が50重量%以上含まれていれば、他のイオン等と
置換されていても、空孔であっても差し支えない。
【0021】リン酸に由来する部分とカルシウム原子の
合計が50重量%を下回るとリン酸カルシウムとしての
特性が失われることがあるために好ましくない。Mサイ
トは基本的にCa2+であるが、種々の金属イオンで置換
できることが知られている。食品用途で置換可能なイオ
ン種の例としては、H+、Na+、K+、H3+、C
2 +、Zn2+、Mg2+、Fe2+、Mn2+、Ni2+、Cu
2+、Fe3+、Co2+等があげられる。このように、Ca
2+に生体必須の微量元素を必要量だけ置換・導入するこ
とも可能である。RO4サイトは基本的にPO4 3-である
が、置換可能なイオン種の例として、SO4 2-、C
3 2-、HPO4 2-、H44 4-等があげられる。Xサイト
に入るイオン種や分子の例として、OH-、Cl-
-、O2-、CO3 2-、H2O等があげられる。
【0022】本発明のカルシウム補強剤中に含まれるリ
ン酸カルシウムの粒径は500nm以下である。粒径が
500nmを越えると粒子が沈降分離しやすくなり、分
散溶液の安定性に欠けるため適当ではない。また、リン
酸カルシウム結晶構造についてはいかなるものでもよ
く、非晶質でもよい。さらに、リン酸カルシウムの形状
についても特に制限はなく、球形、針状、柱状、不定形
等いかなる形状でもかまわない。粒径分布についても、
粒径が500nm以下であれば特に制限はない。ここで
用いる粒径とは、粒子の長軸径を示す。
【0023】リン酸カルシウムはいかなる製造方法でも
かまわないが、所謂湿式法(液相法/沈殿法)が好まし
い。湿式法は、カルシウム化合物(懸濁)水溶液とリン
酸あるいはリン酸塩水溶液を混合することによりリン酸
カルシウムを合成する方法であり、一般的には両液を同
時滴下か、一方の溶液の中へ他方の溶液を滴下する方式
がとられる。滴下時間については特に制限はないが、概
ね5分〜24時間である。反応は滴下終了後、必要に応
じて熟成させる。
【0024】分散安定性の優れたカルボキシル基を含有
する多糖類/リン酸カルシウム複合体分散溶液を製造す
る方法には前述した機械的に混合分散する方法とカルボ
キシル基を含有する多糖類存在下にリン酸カルシウムを
製造する方法(in−situ法)があるが、後者の方
法が好ましい。
【0025】in−situ法において、カルボキシル
基を含有する多糖類はリン酸カルシウムが生成する反応
液中に存在させればよく、カルシウム化合物(懸濁)水
溶液、リン酸あるいはリン酸塩水溶液いずれかに混合し
ておいてもよいし、両方に混合しておいてもよい。ま
た、両者とは別に独立して反応器の中へ連続的あるいは
断続的に添加してもよい。
【0026】本発明のリン酸カルシウムの合成に使用さ
れるカルシウム化合物の例としては、前記したカルシウ
ム化合物の合成に使用される化合物があげられる。
【0027】本発明で使用されるリン酸あるいはリン酸
塩は、リン酸(オルトリン酸)、リン酸一水素カルシウ
ム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素アンモニウ
ム、リン酸水素二アンモニウム、およびアンモニウム塩
以外のこれらのナトリウム、カリウム塩等があげられ
る。目的とする化合物以外の、反応に伴ない副生する有
機あるいは無機塩は、用途によっては除去する必要があ
り、その際は透析など既知の方法で脱塩する。リン酸カ
ルシウムを目的化合物とする場合には、水酸化カルシウ
ムとリン酸または炭酸カルシウムとリン酸一水素カルシ
ウムを原料にすれば副生塩は発生しないため特に好まし
い。また、リン酸カルシウムの中でもアパタイト構造を
とるものはその構造の柔軟さから前述のように各種イオ
ンと置換できることが知られており、必要に応じてカル
シウムおよびリン酸以外のイオン種を含む化合物を併用
することもできる。
【0028】通常は反応溶液を所定温度に保つことによ
り反応を行う。反応中同一温度に保つ必要はなく、反応
の進行にともない適宜変えてよく、必要に応じて加熱あ
るいは冷却しながら行う。反応温度により生成するリン
酸カルシウム粒子の大きさが変化するため、反応温度を
変えることにより粒径を変えることができ、その結果分
散水溶液から作成されるフイルムの透明性を加減するこ
とも可能である。反応温度は概ね5〜95℃の範囲にあ
る。反応器内の雰囲気は特に限定はなく通常は空気中で
行われるが、リン酸カルシウムの組成をコントロールす
るには窒素ガスのような不活性ガスで置換した方がよ
い。合成時間は特に限定はないが、滴下、熟成時間を合
わせて概ね1〜120時間である。
【0029】攪拌方法については、均一に混合される方
法であれば特に制限はなく、例として回転による方法、
超音波による方法等があげられる。攪拌羽根を用いたバ
ッチ式の反応容器を用いる場合、攪拌羽根の形状や溶液
粘度等に影響されるため一概にはいえないが、攪拌速度
は概ね30〜10000rpmの範囲である。
【0030】反応溶媒としては水を用いるが、エタノー
ル、グリセリン等の食品用途で使用される有機溶剤を併
用してもよい。
【0031】合成する際の濃度は特に制限はないが、リ
ン酸カルシウムとカルボキシル基を含有する多糖類の固
形分を合わせて概ね0.5〜60重量%の範囲であり、
好ましくは1〜50重量%の範囲にある。50重量%を
越えると分散液の粘度が高くなり、取り扱いが困難とな
る場合がある。
【0032】リン酸カルシウムは、反応時のpHにより
生成するリン酸カルシウムの種類が異なるため、特定の
種を製造する場合にはpHを調整しながら行うこともあ
る。pH調整は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等に
より行うことができる。特に、目的化合物がpH変化
により溶解する場合、カルボキシル基の解離状態変化
により複合体が分離するような場合には厳密にpH調整
を行う必要がある。例えば、ヒドロキシアパタイト(リ
ン酸カルシウム)の場合には、反応後はの理由からp
H5以下にならないように適宜アルカリを添加して調整
する。
【0033】かくして得られる安定性に優れるカルボキ
シル基を含有する多糖類/リン酸カルシウム複合体分散
溶液は、均一なエマルション溶液であり、長時間静置し
ておいても沈降、分離を起こさない。ここで言う安定性
に優れるものとは、カルシウム化合物濃度が0.5%のと
きに沈降あるいは分離する容積が1週間経過した時点で
3vol%以下のものを言う。
【0034】水に難溶なカルシウム化合物微粒子が炭酸
カルシウムの場合にもリン酸カルシウムと同様の方法で
製造される。この場合には、カルシウム源としては、リ
ン酸カルシウムと同一の原料が使用でき、炭酸源には、
炭酸ガス、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸
カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウムなどが
適宜使用される。リン酸カルシウムの場合と同様に、副
生塩を発生させないためには、水酸化カルシウムと炭酸
(ガス)の組み合わせが好ましい。
【0035】本発明のカルシウム補強剤は上記の手法に
より、水に難溶なカルシウム化合物を水系の分散媒に分
散したエマルションの形態で製造される。このエマルシ
ョンはそのままの状態で食品に添加できるが、使用され
る用途に応じて予めショ糖脂肪酸エステルやソルビタン
脂肪酸エステル、レシチンなどの乳化剤、アスコルビン
酸やトコフェノール等の酸化防止剤、各種(多)糖類、
各種アミノ酸類、コラーゲンやゼラチン、カゼイン、ア
ルブミン等のタンパク質、各種ビタミン類、グルコン酸
やリンゴ酸、クエン酸などの食用酸、グリセリンなどの
多価アルコール、ソルビン酸カリウム等の防腐剤、保存
料などを添加しておいてもよい。
【0036】本発明のカルシウム補強剤は、このように
して得られる分散安定性に優れるカルボキシル基を含有
する多糖類/カルシウム化合物複合体またはクエン酸塩
/カルシウム化合物複合体から水を除去することにより
固形化することも可能である。複合体は用途に応じて、
公知の方法や機器を用いてフィルム状、シート状、粉末
状、発泡体状、糸状など任意の形状に加工することがで
きる。
【0037】また、温度変化により物理的に架橋構造を
つくる方法や、架橋剤を用いて化学的な結合(イオン結
合、共有結合)で架橋構造をつくる方法により、ゲル状
に加工することも可能である。
【0038】例えば、フィルムに加工する場合には、分
散水溶液をそのまま、あるいは濃縮処理やpH調整、必
要に応じてグリセリン等の可塑剤や、架橋剤、増粘剤、
着色剤、酸化防止剤等の添加剤を混合した後に、ガラ
ス、石英、金属、セラミックス、プラスチック、ゴム等
の基板、ロール、ベルト等の上に上記の安定な分散液を
塗布・製膜し、必要に応じて加熱、減圧、送気、赤外線
照射、極超短波照射等の処理を行って水および/または
水系の溶剤を蒸発させることにより製造することができ
る。塗布方法は特に制限はなく、流し塗り法、浸漬法、
スプレー法等があり、バーコーター、スピンコーター、
ナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコータ
ー、グラビアコーター、スプレーコーター等の公知の塗
工機を使用できる。塗布厚み(乾燥前の厚み)は概ね1
μm〜10mmで、塗布法の選択により任意に厚みを設
定できる。水および/または水系の溶剤を蒸発させる温
度は0〜150℃の温度範囲で行い、常圧あるいは減圧
下に行う。その際に乾燥空気あるいは乾燥窒素を流通さ
せて乾燥時間を短縮することができる。さらに、耐水性
を付与する等の目的で架橋反応を促進する場合には、4
0〜200℃で数秒〜数十分間熱処理を行う。このフィ
ルムを基材から剥がして使用する場合には、プラスチッ
ク製の基材を用いると離型性が良好であるが、その他の
基材を用いる場合にも必要に応じて各素材に公知の離型
剤を予め塗布するとよい。このようにして製造されるフ
ィルムは透明性に優れる特徴を有する。これは、リン酸
カルシウム微粒子のサイズが可視光の波長領域以下であ
り、個々の粒子が凝集を起こすことなくポリマーマトリ
ックス中に均一に分散していることを示す。
【0039】カルボキシル基を含有する多糖類/カルシ
ウム化合物複合体分散溶液から複合体を粉末化する方法
は、フィルム加工と同様に複合体の分散水溶液をそのま
ま、あるいは濃縮処理やpH調整、必要に応じてグリセ
リン等の可塑剤や、架橋剤、増粘剤、着色剤、酸化防止
剤等の添加剤を混合した後に、スプレードライ、凍結乾
燥のように溶媒を分散液から直接気化する方法や、ある
いは水と混和するが複合体を溶解しないメタノールのよ
うな有機溶剤または硫酸ナトリウムのような塩析効果の
高い化合物を用いることにより固体分離処理を行い、乾
燥後粉末化する方法も可能である。
【0040】その他の形状加工についても、フィルム加
工と同様に、複合体の分散溶液をそのまま、あるいは濃
縮処理やpH調整、必要に応じてグリセリン等の可塑剤
や、架橋剤、増粘剤、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤等
の添加剤を混合した後に、公知の方法により実施でき
る。
【0041】本発明のカルシウム補強剤は無味無臭であ
り、添加される食品の食味に全く影響を及ぼさないた
め、種々の食品に添加できる。なかでも水に対する分散
性に優れている点で液状の食品に添加される場合に最も
利用価値が高いが、フイルムや粉末などにも加工可能で
ある点を利用して、固形の食品に添加することも可能で
ある。
【0042】本発明のカルシウム補強剤が使用される液
状の食品の例としては、牛乳、加工乳、乳飲料、発酵
乳、乳酸菌飲料、果汁、野菜搾汁、コーヒー、紅茶、緑
茶、麦茶、ウーロン茶、野草茶、ココア、豆乳、しる
こ、清涼飲料、内服液、味噌汁、スープ、ドレッシン
グ、液体調味料などがあり、これらの例に限定されるも
のではなく広範囲に使用可能である。
【0043】本発明のカルシウム補強剤が使用される固
形の食品の例としては、チーズ、プリン、ゼリー、パ
ン、麺類、ハムやソーセージ等の加工肉類、漬物や乾燥
野菜等の加工野菜類、加工魚類、米飯類、餡子類、羊
羹、クリーム類、チョコレートやガム、キャラメル、ク
ッキー、せんべい、キャンディー、ポップコーン、ポテ
トチップス等の菓子類、粉ミルク、固体調味料などがあ
り、これらの例に限定されるものではなく一般の食品に
広範囲に使用可能である。
【0044】さらには、錠剤、顆粒剤、液剤などの医薬
品用途や、飼料添加物、配合飼料、ペットフードなどの
飼料にも使用可能である。
【0045】本発明のカルシウム補強剤は、食品に添加
されても食品の持つ本来の食感や食味に影響を及ぼすこ
となく摂取可能であり、また液状の飲食料に添加しても
長期にわたり沈降することなく安定に分散するため、食
品の風味などを損ねることがない。
【0046】
【実施例】以下、実施例で本発明を詳細に説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。ま
た、以下の例において用いる%は特記のない限り重量基
準を示す。X線回折による分析は、RINT X-ray D
iffractometer (理学電機社製)を用いて行った。FT
−IR測定は、日本分光社製のFT/IR−8300フ
ーリエ変換赤外分光光度計を用いて行った。透過型電子
顕微鏡(TEM)観察は、H−300型日立電子顕微鏡
(日立製作所社製)を用いて行った。
【0047】[製造例1]攪拌機、温度計、pHメータ
ーを備えた丸底セパラブルフラスコに水酸化カルシウム
(関東化学社製、高純度試薬、3N)18.44g、蒸留水58
1.56gを入れ、激しく攪拌して懸濁液とした。懸濁液の
温度を40℃に調整した後、75%リン酸(三井化学社製)
を10.6%に希釈した水溶液153.66g、蒸留水246.34gを混
合溶解した水溶液を、ミクロチューブポンプを用いて連
続的に2時間かけて添加した。添加後さらに40℃で2時
間反応を行ない、リン酸カルシウム微粒子分散溶液を得
た。この反応は同一の条件で2度行った。これらの反応
液は1夜放置でそれぞれ50vol%が沈降した。上澄液
を捨てて両液を混合し、さらに2日放置して分離した上
澄液を取り除き、未処理のリン酸カルシウム分散スラリ
ーを調整した。このスラリーの固形分濃度は6.24%であ
り、長期保存するとさらに分離が認められたが、以下の
試験では使用前に良く混合分散してから使った。
【0048】〔複合化実施例1〕攪拌機、温度計を備え
た丸底セパラブルフラスコにクエン酸一水和物(純正化
学社製、特級)5.089g に蒸留水133.40gを入れ均一に攪
拌溶解した後、40%水酸化ナトリウム水溶液6.90g、さ
らに10%水酸化ナトリウム水溶液1.84gを添加してpH
を8.30に調整した。水酸化カルシウム(関東化学製、高
純度試薬、3N)4.61gを攪拌しながら加えて懸濁液と
した。懸濁液の温度を40℃に調整し、攪拌速度300rpmで
攪拌しながら、10.5%リン酸水溶液34.57g 、蒸留水65.
43gを混合した水溶液をミクロチューブポンプで連続的
に2時間かけて添加した。添加後さらに40℃で2時間反
応を行ない、クエン酸ナトリウム/リン酸カルシウム複
合体(50:50)分散溶液(a−1)を得た。得られ
た分散溶液のpHは12.22であり、沈降物の生成はほと
んど認められなかった。複合化比較例1に比べると沈降
物の生成量は大幅に低減した。さらに数週間静置しても
分離、沈降等の変化を起こさずに安定であった。この分
散溶液の固形分濃度は5.50 %であった。
【0049】〔複合化実施例2〕製造例1で得られたリ
ン酸カルシウム分散スラリー20.03g、カルボキシメチル
セルロース(CMC:セロゲンF−5A;(株)第一工
業製薬社製)水溶液(9.98%)12.53g、蒸留水17.55gを
混合溶解後、室温にて90分間超音波照射処理を行った。
処理直後は良好な分散溶液(b−1)を与えたが、比較
的短期間で沈降する成分があり、1週間室温で放置する
と液量に対して2.5vol%程度の沈降物が認められた。し
かしながら、CMCを添加しないリン酸カルシウムスラ
リーは完全に分離・沈降して透明な上澄液を生じたが、
CMCで処理した分散液は全体的に白濁したエマルショ
ンであり、初期に生成する沈降物を除去するとそれ以上
の沈澱物の生成は認められず、安定な分散液として存在
した。なお、この沈降物は軽く攪拌するだけで容易に再
分散した。
【0050】〔複合化実施例3〕攪拌機、温度計を備え
た丸底セパラブルフラスコに予め蒸留水で溶解しておい
たカルボキシメチルセルロース(CMC:セロゲンF−
5A;(株)第一工業製薬社製)水溶液(4.90%)102.
04g 、蒸留水14.27gを入れ均一に混合した後、水酸化カ
ルシウム(入交産業製)3.688gを攪拌しながら加えて懸
濁液とした。懸濁液の温度を40℃に調整し、攪拌速度30
0rpmで攪拌しながら、10.5%リン酸水溶液27.82g 、蒸
留水52.18gを混合した水溶液をミクロチューブポンプで
連続的に2時間かけて添加した。添加後さらに40℃で2
時間反応を行ない、カルボキシメチルセルロース/リン
酸カルシウム複合体(50:50)分散溶液(c−1)
を得た。得られた分散溶液のpHは11.60であり、沈降
物の生成はほとんど認められなかった。複合化実施例2
に比較すると沈降物の生成量は大幅に減少した。さらに
数週間静置しても分離、沈降等の変化を起こさずに安定
であった。この複合体分散液をIR用の窓板(KRS−
5)に直接キャストしたフイルムのIRスペクトルを図
1に示す。分散溶液を凍結乾燥により粉末化した試料の
XRDスペクトルを図2に示す。図1、図2の結果よ
り、この分散溶液はCMCとヒドロキシアパタイトから
構成されていることが示される。また、この分散溶液を
希釈し、コロジオン膜張銅メッシュ上で乾燥して撮影し
た透過型電子顕微鏡写真を図3に示す。この図は粒径が
100nm程度のヒドロキシアパタイト粒子が凝集する
ことなく分散していることを示す。さらに、食品添加用
の試験に用いるため反応液を100.03gとり、室温攪拌下1
0.5%リン酸水溶液を滴下してpHを7.02に調整した。
所要リン酸量は1.336gであり、この時点でのCa/Pの
比率は1.52であった。pH調整後の分散水溶液(c−
2)の固形分濃度は5.0 %であった。
【0051】〔複合化比較例1〕製造例1で得られたリ
ン酸カルシウム分散スラリー20.0g、クエン酸三ナトリ
ウム二水和物(和光純薬社製、特級)1.42g、蒸留水28.
55gを混合溶解後、室温にて90分間超音波照射処理を行
った。処理直後でも一部沈降物が認められ、1週間室温
で放置すると液量に対して約10vol%の沈降物が認めら
れた。さらに室温で1ヶ月放置すると、透明な上澄液が
分離した。
【0052】〔牛乳への添加試験〕市販牛乳(明治北海
道牛乳ブリックLL、常温保存可能品)100.0g当たり添
加剤と蒸留水を合せて10.0g混合し、5時間室温で放置
後5℃の冷蔵庫中で保管し、経時変化を観察した。添加
剤に含まれるヒドロキシアパタイト量は250mg(Caと
して100mg)になるように設定した。 (1)ブランク試験:蒸留水10.0gのみ添加して変化を
追った。5時間後のpHは6.74であった。ほとんど変化
は認められず、10日後に液をひっくり返すと白い薄膜
が残る程度であった。 (2)未処理品:製造例1で得られたリン酸カルシウム
分散スラリー4.02gと蒸留水5.98gを添加して変化を追っ
た。5時間後のpHは6.67であった。5時間後で3.6vol
%程度の薄い沈澱物が認められ、その後次第に濃い白色
沈澱に変化し、10日後には4.8vol%程度の沈澱物が認
められた。 (3)CMC処理品:複合化実施例3で得られた分散溶
液(c−2)10.0gを添加して変化を追った。5時間後
のpHは6.70であった。ほとんど変化は認められず、1
日後に液をひっくり返すと白い薄膜が観察される程度で
あり、10日後でもその薄膜がごく僅かに濃くなった
が、ブランク試験との明瞭な差は区別できなかった。
【0053】〔炊飯試験〕精米(あきたこまち)2合を
泡立て器とザルを用いて数回繰り返しよく洗い、最後に
ザルで十分に水を切った後に水道水400mlを入れ、複
合化実施例3で得られた分散液(c−2)20.0gを添加
・混合し、家庭用炊飯器を用いてかためモードで炊飯し
た。これは精米1合当たりCa換算で100mg添加される
条件である。米飯は艶があり、食感、食味についても無
添加系に比べて差異が認められなかった。
【0054】
【発明の効果】本発明のカルシウム補強剤は水中で極め
て安定であり、しかも食感や食味にほとんど影響を及ぼ
さないことから、従来は使用が困難であった液状食品に
分離や沈降等の問題を起こすことなく好適に使用でき
る。また本発明のカルシウム補強剤は固形の食品にも問
題なく使用できるし、フイルムや粉末などにも加工でき
ることから、従来とは違った形態での使用が可能であ
り、用途範囲が大きく広がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる複合体分散溶液(c−1)のI
Rスペクトル図である。
【図2】本発明に係わる複合体分散溶液(c−1)を凍
結乾燥により粉末化した試料のXRDスペクトル図であ
る。
【図3】本発明に係わる複合分散溶液(c−1)を希釈
しコロジオン膜張銅メッシュ上で乾燥して撮影した透過
型電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/12 A61K 47/12 47/36 47/36 A61P 3/02 A61P 3/02 // B01F 17/38 B01F 17/38 17/56 17/56 Fターム(参考) 4B018 MD04 MD33 MD35 ME14 MF10 4C076 AA22 BB01 CC40 DD43F EE30F FF16 FF43 4C086 AA01 HA04 HA16 HA19 MA02 MA05 MA23 MA52 NA03 ZC21 4D077 AA02 AB08 AC05 BA07 CA02 CA12 DA02Y DC12Y DC26Y DC28Y DD65Y DE07Y DE10Y DE13Y

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内にカルボキシル基を含有する多糖
    類と、粒径500nm以下の水に難溶なカルシウム化合
    物微粒子とを、重量比10:90〜99.9:0.1の
    範囲で含有する多糖類/カルシウム化合物複合体を含有
    することを特徴とするカルシウム補強剤。
  2. 【請求項2】 分子内にカルボキシル基を含有する多糖
    類の水系媒体中に粒径500nm以下の水に難溶なカル
    シウム化合物微粒子を分散してなる、分散安定性に優れ
    る多糖類/カルシウム化合物複合体分散溶液を含有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のカルシウム補強剤。
  3. 【請求項3】 水に難溶なカルシウム化合物が炭酸カル
    シウムまたはリン酸カルシウムであることを特徴とする
    請求項1または2に記載のカルシウム補強剤。
  4. 【請求項4】 リン酸カルシウムが水酸化カルシウムと
    リン酸を反応して製造されるものであることを特徴とす
    る請求項3に記載のカルシウム補強剤。
  5. 【請求項5】 多糖類/カルシウム化合物複合体がカル
    ボキシル基を含有する多糖類存在下にカルシウム化合物
    を製造して得られるものであることを特徴とする、請求
    項1〜4のいずれかに記載のカルシウム補強剤。
  6. 【請求項6】 カルボキシル基を含有する多糖類存在下
    に、カルシウム化合物を製造することを特徴とする、請
    求項1〜4のいずれかに記載のカルシウム補強剤の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 クエン酸塩の水系媒体中に粒径500n
    m以下の水に難溶なカルシウム化合物微粒子を分散して
    なる、分散安定性に優れるクエン酸塩/カルシウム化合
    物複合体分散溶液を含有するものであって、該分散溶液
    がクエン酸塩存在下にカルシウム化合物を製造して得ら
    れるものであることを特徴とする、クエン酸塩/カルシ
    ウム化合物複合体を含有するカルシウム補強剤。
  8. 【請求項8】 クエン酸塩存在下にカルシウム化合物を
    製造することを特徴とする、請求項7に記載のカルシウ
    ム補強剤の製造方法。
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WO2021246373A1 (ja) * 2020-06-01 2021-12-09 株式会社トレスバイオ研究所 分散液

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