JP2002000259A - 微生物を用いた複素環硫黄化合物の分解方法 - Google Patents
微生物を用いた複素環硫黄化合物の分解方法Info
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- JP2002000259A JP2002000259A JP2000181942A JP2000181942A JP2002000259A JP 2002000259 A JP2002000259 A JP 2002000259A JP 2000181942 A JP2000181942 A JP 2000181942A JP 2000181942 A JP2000181942 A JP 2000181942A JP 2002000259 A JP2002000259 A JP 2002000259A
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- Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 ナフトチオフェンやベンゾナフトチオフェン
をはじめとした複素環硫黄化合物のC-S結合を特異的に
効率よく分解できる手段の提供。 【解決手段】 バチルス属に属し、ナフトチオフェン又
はベンゾナフトチオフェンのC‐S結合を切断する能力を
有する微生物又は該微生物が産生する酵素を、複素環硫
黄化合物を含む物質に接触させることを特徴とする複素
環硫黄化合物の分解方法。
をはじめとした複素環硫黄化合物のC-S結合を特異的に
効率よく分解できる手段の提供。 【解決手段】 バチルス属に属し、ナフトチオフェン又
はベンゾナフトチオフェンのC‐S結合を切断する能力を
有する微生物又は該微生物が産生する酵素を、複素環硫
黄化合物を含む物質に接触させることを特徴とする複素
環硫黄化合物の分解方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ナフトチオフェ
ン、ベンゾナフトチオフェンといった複素環硫黄化合物
を、バチルス属に属する微生物を用いて分解する方法に
関する。この複素環硫黄化合物の分解方法は、化石燃料
の脱硫などに利用することができる。
ン、ベンゾナフトチオフェンといった複素環硫黄化合物
を、バチルス属に属する微生物を用いて分解する方法に
関する。この複素環硫黄化合物の分解方法は、化石燃料
の脱硫などに利用することができる。
【0002】
【従来の技術】(1)従来の水素化脱硫方法 石油のような炭化水素燃料から硫黄を除去する脱硫のた
めの方法としては、アルカリ洗浄や溶剤脱硫などの方法
も知られているが、現在では水素化脱硫が主流となって
いる。水素化脱硫は、石油留分中の硫黄化合物を触媒の
存在下で水素と反応させ、硫化水素として除去して製品
の低硫黄化を図る方法である。触媒としては、アルミナ
を担体としたコバルト、モリブデン、ニッケル、タング
ステン、などの金属触媒が使用される。モリブデン担持
アルミナ触媒の場合には、触媒性能を向上させるため
に、通常コバルトやニッケルが助触媒として加えられ
る。金属触媒を用いた水素化脱硫は、現在世界中で広く
使用されているきわめて完成度の高いプロセスであるこ
とは疑いのないことである。しかし、より厳しい環境規
制に対応した石油製品を作るためのプロセスという観点
からは、いくつかの問題点がある。以下にその例を簡単
に記載する。
めの方法としては、アルカリ洗浄や溶剤脱硫などの方法
も知られているが、現在では水素化脱硫が主流となって
いる。水素化脱硫は、石油留分中の硫黄化合物を触媒の
存在下で水素と反応させ、硫化水素として除去して製品
の低硫黄化を図る方法である。触媒としては、アルミナ
を担体としたコバルト、モリブデン、ニッケル、タング
ステン、などの金属触媒が使用される。モリブデン担持
アルミナ触媒の場合には、触媒性能を向上させるため
に、通常コバルトやニッケルが助触媒として加えられ
る。金属触媒を用いた水素化脱硫は、現在世界中で広く
使用されているきわめて完成度の高いプロセスであるこ
とは疑いのないことである。しかし、より厳しい環境規
制に対応した石油製品を作るためのプロセスという観点
からは、いくつかの問題点がある。以下にその例を簡単
に記載する。
【0003】金属触媒は、一般にその基質特異性が低
く、このため多様な種類の硫黄化合物を分解し、化石燃
料全体の硫黄含量を低下させる目的には適しているが、
特定のグループの硫黄化合物に対してはその脱硫効果が
不十分となることがあると考えられる。たとえば、脱硫
後の軽油中にはなおも種々の複素環硫黄化合物が残存し
ている。このように金属触媒による脱硫効果が不十分と
なる原因の一つは、これらの硫黄化合物中の硫黄原子の
周囲に存在する置換基による立体障害が考えられる。こ
れらの置換基のうち、メチル置換基の存在が水素化脱硫
における金属触媒の反応性に及ぼす影響は、チオフェ
ン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェンなどについ
て検討されている。それらの結果によると、一般的には
置換基の数が増すほど脱硫反応性は減少するが、置換基
の位置が反応性に及ぼす影響もきわめて大きいことが明
らかである。メチルジベンゾチオフェン類の脱硫反応性
を比較し、置換基による立体障害が金属触媒の反応性に
及ぼす影響が非常に大きいことを示した報告は、たとえ
ば、Houalla,M., Broderick,D.H., Sapre,A.V., Nag,N.
K., de Beer,V.H.J., Gates,B.C., Kwart,H.J.Catalt.,
61, 523-527 (1980)に見られる。実際、これらのジベ
ンゾチオフェンの種々のアルキル化誘導体が軽油中にか
なりの量存在することが知られている(たとえば、Kab
e,T., Ishihara,A.and Tajima,H. Ind. Eng. Chem. Re
s., 31, 1577-1580 (1992))。また、本発明者らは、ベ
ンゾチオフェン類についても種々のアルキル化誘導体
が、ジベンゾチオフェンのアルキル化誘導体と同様に水
素化脱硫軽油中にかなりの量残存していることを確認し
ている。
く、このため多様な種類の硫黄化合物を分解し、化石燃
料全体の硫黄含量を低下させる目的には適しているが、
特定のグループの硫黄化合物に対してはその脱硫効果が
不十分となることがあると考えられる。たとえば、脱硫
後の軽油中にはなおも種々の複素環硫黄化合物が残存し
ている。このように金属触媒による脱硫効果が不十分と
なる原因の一つは、これらの硫黄化合物中の硫黄原子の
周囲に存在する置換基による立体障害が考えられる。こ
れらの置換基のうち、メチル置換基の存在が水素化脱硫
における金属触媒の反応性に及ぼす影響は、チオフェ
ン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェンなどについ
て検討されている。それらの結果によると、一般的には
置換基の数が増すほど脱硫反応性は減少するが、置換基
の位置が反応性に及ぼす影響もきわめて大きいことが明
らかである。メチルジベンゾチオフェン類の脱硫反応性
を比較し、置換基による立体障害が金属触媒の反応性に
及ぼす影響が非常に大きいことを示した報告は、たとえ
ば、Houalla,M., Broderick,D.H., Sapre,A.V., Nag,N.
K., de Beer,V.H.J., Gates,B.C., Kwart,H.J.Catalt.,
61, 523-527 (1980)に見られる。実際、これらのジベ
ンゾチオフェンの種々のアルキル化誘導体が軽油中にか
なりの量存在することが知られている(たとえば、Kab
e,T., Ishihara,A.and Tajima,H. Ind. Eng. Chem. Re
s., 31, 1577-1580 (1992))。また、本発明者らは、ベ
ンゾチオフェン類についても種々のアルキル化誘導体
が、ジベンゾチオフェンのアルキル化誘導体と同様に水
素化脱硫軽油中にかなりの量残存していることを確認し
ている。
【0004】上記のように水素化脱硫に抵抗性を示す硫
黄化合物を脱硫するためには、現在用いられているより
も高い反応温度や圧力が必要とされ、また、添加する水
素の量も非常に増大すると考えられている。このような
水素化脱硫プロセスの改良は、ばく大な設備投資と運転
コストを必要とすることが予想される。このような水素
化脱硫に抵抗性を示す硫黄化合物を主たる硫黄化合物種
として含むものとしては、たとえば、軽油があり、軽油
のより高度な脱硫(超深度脱硫)を行う場合には上記の
ような水素化脱硫プロセスの大幅な改良が要求される。
黄化合物を脱硫するためには、現在用いられているより
も高い反応温度や圧力が必要とされ、また、添加する水
素の量も非常に増大すると考えられている。このような
水素化脱硫プロセスの改良は、ばく大な設備投資と運転
コストを必要とすることが予想される。このような水素
化脱硫に抵抗性を示す硫黄化合物を主たる硫黄化合物種
として含むものとしては、たとえば、軽油があり、軽油
のより高度な脱硫(超深度脱硫)を行う場合には上記の
ような水素化脱硫プロセスの大幅な改良が要求される。
【0005】一方、生物が行う酵素反応は比較的穏和な
条件下で進行し、しかも酵素反応の速度自体は、化学触
媒を用いた反応の速度と遜色ないという特徴を有してい
る。さらに、生体内で起こる多種多様の生物反応に適切
に対応する必要があるため、非常に多くの種類の酵素が
存在し、それらの酵素は一般的に非常に高い基質特異性
を示すことが知られている。このような特徴は、微生物
を用いて化石燃料中に含まれる硫黄化合物中の硫黄の除
去を行ういわゆるバイオ脱硫反応においても生かされる
ものと期待されている(Monticello,D.J., Hydrocarbon
Processing 39-45 (1994))。
条件下で進行し、しかも酵素反応の速度自体は、化学触
媒を用いた反応の速度と遜色ないという特徴を有してい
る。さらに、生体内で起こる多種多様の生物反応に適切
に対応する必要があるため、非常に多くの種類の酵素が
存在し、それらの酵素は一般的に非常に高い基質特異性
を示すことが知られている。このような特徴は、微生物
を用いて化石燃料中に含まれる硫黄化合物中の硫黄の除
去を行ういわゆるバイオ脱硫反応においても生かされる
ものと期待されている(Monticello,D.J., Hydrocarbon
Processing 39-45 (1994))。
【0006】(2)従来のバイオ脱硫方法:細菌を用い
て石油から硫黄を除去する方法については、多数の報告
がある。Joachimらは、シュードモナス(Pseudomonas)
HECC 39株を用いて30℃で粘度の高い重油画分を連続的
な処理を行うことにより、2日で60−80%の脱硫率
を観察している(Bauch,J., Herbert,G., Hieke,W.,Eck
art,V., Koehler,M., Babenzin,H.D., Chemical Abstra
cts 82530y vol. 83 (1975))。Yudaは、シュードモナス
・ハコネンシス(Pseudomonas haconesis)を石油と接触
させ、水溶性の化合物へと変換させることを報告してい
る(Yuda, S.,日本特許公開番号 75,107,002 ;Chemical
Abstracts 46982j vol. 84 (1976))。また、Leeらは、
硫黄酸化細菌株のチオバチルス・チオオキシダンス(Thi
obacillus thiooxidans)と硫黄還元細菌株シュードモナ
ス spp. による原油、重質軽油、ケロシン、ナフサの脱
硫を報告している(Lee, M.J., Hah, Y.C., Lee, K.-W.
Chemcal Abstracts 145448s vol.85 (1976))。彼らは、
種々の硫黄酸化細菌および硫黄還元細菌の脱硫能を調
べ、チオバチルス・チオオキシダンスが最も効果的な硫
黄酸化能を有し、シュードモナス・プトレファシエンス
(Pseudomonas putrefaciens)とデスルフォビブリオ・デ
スルフリカンス(Desulfovibrio desulfuricans)が最も
効果的な硫黄還元能を有しているとしている(Lee, M.
J., Hah, Y.C., Lee, K.-W. Chemical Abstracts 15641
4d vol. 85 (1976))。硫黄還元性のシュードモナス株7
種の分離も同じグループにより報告されている。また、
Eckartらは、Romashkino原油や燃料油のシュードモナス
・デスモリティカム(Pseudomonas desmolyticum)による
酸化的脱硫を報告している(Eckart, V., Hieke, W., Ba
uch, J., Gentzsch, H. ChemicalAbstracts 142230q vo
l. 94 (1981) ; Eckart, V., Hieke, W., Bauch, J., G
entzsch, H. Chemical Abstracts 147259c vol. 97 (1
982))。シュードモナス属細菌により行われるこれらの
脱硫反応に関しては、その分解産物が同定されており、
脱硫反応機構が明らかにされた微生物では、すべて油中
の硫黄化合物分子中のC-C結合を切断する反応を利用し
ていることが分かっている。
て石油から硫黄を除去する方法については、多数の報告
がある。Joachimらは、シュードモナス(Pseudomonas)
HECC 39株を用いて30℃で粘度の高い重油画分を連続的
な処理を行うことにより、2日で60−80%の脱硫率
を観察している(Bauch,J., Herbert,G., Hieke,W.,Eck
art,V., Koehler,M., Babenzin,H.D., Chemical Abstra
cts 82530y vol. 83 (1975))。Yudaは、シュードモナス
・ハコネンシス(Pseudomonas haconesis)を石油と接触
させ、水溶性の化合物へと変換させることを報告してい
る(Yuda, S.,日本特許公開番号 75,107,002 ;Chemical
Abstracts 46982j vol. 84 (1976))。また、Leeらは、
硫黄酸化細菌株のチオバチルス・チオオキシダンス(Thi
obacillus thiooxidans)と硫黄還元細菌株シュードモナ
ス spp. による原油、重質軽油、ケロシン、ナフサの脱
硫を報告している(Lee, M.J., Hah, Y.C., Lee, K.-W.
Chemcal Abstracts 145448s vol.85 (1976))。彼らは、
種々の硫黄酸化細菌および硫黄還元細菌の脱硫能を調
べ、チオバチルス・チオオキシダンスが最も効果的な硫
黄酸化能を有し、シュードモナス・プトレファシエンス
(Pseudomonas putrefaciens)とデスルフォビブリオ・デ
スルフリカンス(Desulfovibrio desulfuricans)が最も
効果的な硫黄還元能を有しているとしている(Lee, M.
J., Hah, Y.C., Lee, K.-W. Chemical Abstracts 15641
4d vol. 85 (1976))。硫黄還元性のシュードモナス株7
種の分離も同じグループにより報告されている。また、
Eckartらは、Romashkino原油や燃料油のシュードモナス
・デスモリティカム(Pseudomonas desmolyticum)による
酸化的脱硫を報告している(Eckart, V., Hieke, W., Ba
uch, J., Gentzsch, H. ChemicalAbstracts 142230q vo
l. 94 (1981) ; Eckart, V., Hieke, W., Bauch, J., G
entzsch, H. Chemical Abstracts 147259c vol. 97 (1
982))。シュードモナス属細菌により行われるこれらの
脱硫反応に関しては、その分解産物が同定されており、
脱硫反応機構が明らかにされた微生物では、すべて油中
の硫黄化合物分子中のC-C結合を切断する反応を利用し
ていることが分かっている。
【0007】これらの場合、ジベンゾチオフェンのベン
ゼン環中のC-C結合が攻撃を受け、油から抽出可能な種
々の水溶性物質を生じる。しかし、この反応により、油
中の他の芳香族分子が攻撃を受け、その結果かなりの量
の炭化水素が液相に移動することになる(Hardegen, F.
J., Coburn, J.M. and Robert, R.L.,Chem. Eng. Progr
ess, 80, 63-67 (1984)) 。このようなことは石油の総
熱量単位の低下を招くことになり、工業的に受け入れら
れない反応である。また、このタイプのジベンゾチオフ
ェン酸化分解菌は、児玉等が報告しているように酸化産
物として水溶性のチオフェン化合物(主として3−ヒド
ロキシ−2−ホルミルベンゾチオフェン)を与えるが、
これは液相から除去するのが困難な物質である。酵素反
応がイオウ攻撃型でなくC-C結合攻撃型であるこれらの
微生物系は、原油中の高分子量画分から有機硫黄を除去
する際に機能的でないので、硫黄含量の高い化石燃料の
バイオプロセッシングにおいてはその実用性が限定され
ているが、その主な理由は以下の3点である。1)ジベ
ンゾチオフェンの炭素環の攻撃は、しばしばアルキル置
換基やアリル置換基を持つジベンゾチオフェンの2位及
び3位の位置で起こる。これらの位置で置換されたジベ
ンゾチオフェンはKodama経路の基質とはならない。2)
炭素骨格破壊経路は燃料のエネルギー含量を低下させ
る。3)炭素骨格破壊経路の主要な産物は3−ヒドロキ
シ−2−ホルミルベンゾチオフェンであり、分解されて
最終的に硫酸塩を生成するのは非常に少量のジベンゾチ
オフェンでしかないので、十分な脱硫は起こらないこと
になる。
ゼン環中のC-C結合が攻撃を受け、油から抽出可能な種
々の水溶性物質を生じる。しかし、この反応により、油
中の他の芳香族分子が攻撃を受け、その結果かなりの量
の炭化水素が液相に移動することになる(Hardegen, F.
J., Coburn, J.M. and Robert, R.L.,Chem. Eng. Progr
ess, 80, 63-67 (1984)) 。このようなことは石油の総
熱量単位の低下を招くことになり、工業的に受け入れら
れない反応である。また、このタイプのジベンゾチオフ
ェン酸化分解菌は、児玉等が報告しているように酸化産
物として水溶性のチオフェン化合物(主として3−ヒド
ロキシ−2−ホルミルベンゾチオフェン)を与えるが、
これは液相から除去するのが困難な物質である。酵素反
応がイオウ攻撃型でなくC-C結合攻撃型であるこれらの
微生物系は、原油中の高分子量画分から有機硫黄を除去
する際に機能的でないので、硫黄含量の高い化石燃料の
バイオプロセッシングにおいてはその実用性が限定され
ているが、その主な理由は以下の3点である。1)ジベ
ンゾチオフェンの炭素環の攻撃は、しばしばアルキル置
換基やアリル置換基を持つジベンゾチオフェンの2位及
び3位の位置で起こる。これらの位置で置換されたジベ
ンゾチオフェンはKodama経路の基質とはならない。2)
炭素骨格破壊経路は燃料のエネルギー含量を低下させ
る。3)炭素骨格破壊経路の主要な産物は3−ヒドロキ
シ−2−ホルミルベンゾチオフェンであり、分解されて
最終的に硫酸塩を生成するのは非常に少量のジベンゾチ
オフェンでしかないので、十分な脱硫は起こらないこと
になる。
【0008】原油や石炭のみならず硫黄を含んだモデル
化合物を分解し、へテロ原子である硫黄を選択的に除去
して、硫酸塩や水酸化化合物を産生する微生物類が報告
されている。このタイプの反応は、その代謝産物の構造
から考えて、硫黄化合物中のC-S結合を特異的に切断し
て、その結果硫黄を硫酸塩の形で遊離する反応であると
考えられる。このようなC-S結合切断型反応は、エネル
ギーロスにつながるC-C結合の攻撃はしないので、硫黄
原子のみを硫黄化合物から除去できるので、脱硫反応と
しては理想的である。IsbisterとKobylinskiは、好気性
で従属栄養性の非酸性土壌細菌シュードモナスCB1、
アシネトバクター(Acinetobacter)CB2がチオフェン
を硫酸塩に変換することを報告した(Isbister,J.D. and
Kobylinski,E.A. Microbial desulfurization of coa
l,in Coal Science and Technology,Ser.9,p.627(198
5))。ベンチスケールの連続バイオリアクターを使用し
た場合、Illinois #6の石炭の有機硫黄含量がCB1により
47%減少した。ジベンゾチオフェンの脱硫における中間
体としてはジベンゾチオフェンスルホキシド、ジベンゾ
チオフェンスルホン、2,2'-ジヒドロキシビフェニルが
同定されている。これとは別に、未同定の土壌分離菌が
4つの異なったタイプの石炭から硫酸塩として有機硫黄
分の35-45%を除去することが報告されている(Finnerty,
W.R.and Robinson,M.,Biotechnol.Bioengieer.Symp.#1
6, 205-221(1986))。また、ロドコッカス・ロドクロウ
ス(Rhodococcus rhodochrous) 分離株ATCC53968がジベ
ンゾチオフェンをヒドロキシビフェニルと硫酸塩に変換
する硫黄攻撃型経路を有することが示されているが、こ
の菌により原油や石炭中の有機硫黄の含量が70%減少す
るという(Kilbane,J.J.Resources,Conservation and Re
cycling,3,69-70(1990))。コリネバクテリウム(Coryne
bacterium) sp.の細菌についてもジベンゾチオフェン
分解経路が記述されており、同じくジベンゾチオフェン
を酸化してジベンゾチオフェンスルホキシド、ジベンゾ
チオフェンスルホンを経て2-ヒドロキシビフェニルと
硫酸塩を生成するものである(Ohmori, T., Monna, L.,
Saiki, Y.and Kodama, T. Appl. Environ. Microbiol.,
58, 911-915, 1992)。この場合、2-ヒドロキシビフェ
ニルはさらに硝酸塩となって2つの異なったヒドロキシ
ニトロビフェニルを生じる。さらに最近は、ブレビバク
テリウム(Brevibacterium) sp. DOによるジベンゾチオ
フェンの安息香酸や亜硝酸塩への酸化(van Afferden,
M., Schacht, S., Klein, J. and Trper, H.G. Arch. M
icrobiol., 153, 324-328, 1990)やシュードモナス sp.
OS1によるベンジルメチルスルフィドのベンズアルデヒ
ドへの酸化(van Afferden, M., Tappe, D., Beyer, M.,
Trper, H.G. andKlein, J. Fuel 72, 1635-1643, 199
3)も報告されている。アースロバクター(Arthrobacter)
K3bはブレビバクテリウムと類似の反応を行うことが報
告されており、ジベンゾチオフェンスルホンを基質とし
て用いた場合、亜硫酸塩と安息香酸が産生される(Dahlb
erg, M.D. (1992) Third International Symposium on
theBiological Processing of Coal, May 4-7, Clearwa
ter Beach, FL, pp.1-10. Electric Power Research In
stitute, Palo Alto, CA.)。一方、硫黄を含んだ芳香族
複素環化合物の硫化水素への変換を非水溶媒中で行う新
規な系も報告されている(Finnerty, W.R. Fuel 72, 163
1-1634, 1993)。未同定株FE-9は100%ジメチルホルムア
ミド中で水素雰囲気下にジベンゾチオフェンをビフェニ
ルと硫化水素に、また空気存在下でヒロドキシビフェニ
ルと硫酸塩にそれぞれ変換する。また、この株は、同じ
溶媒中で水素雰囲気下でチアントレンをベンゼンと硫化
水素に、空気存在下でベンゼンと硫酸塩に変換すると報
告されている。これらの好気的ジベンゾチオフェン分解
細菌とは別に、嫌気性の硫酸還元菌がジベンゾチオフェ
ンをビフェニルと硫化水素に変換し、また、石油有機硫
黄を硫化水素にバイオ変換することも示されている(Ki
m, H.Y., Kim, T.S. and Kim, B.H., Biotechnol.Lett.
12, 757-760,1990a ; Kim, T.S., Kim, H.Y. and Kim,
B.H. Biotechnol. Lett. 12, 761-764, 1990b) 。多く
の硫黄攻撃型のバイオ脱硫反応系の報告がある。しか
し、これらのC-S結合切断型の脱硫菌すべてについて、
ジベンゾチオフェンを分解する活性は知られているが、
ナフトチオフェン系化合物に対する分解活性は記載され
ていない。
化合物を分解し、へテロ原子である硫黄を選択的に除去
して、硫酸塩や水酸化化合物を産生する微生物類が報告
されている。このタイプの反応は、その代謝産物の構造
から考えて、硫黄化合物中のC-S結合を特異的に切断し
て、その結果硫黄を硫酸塩の形で遊離する反応であると
考えられる。このようなC-S結合切断型反応は、エネル
ギーロスにつながるC-C結合の攻撃はしないので、硫黄
原子のみを硫黄化合物から除去できるので、脱硫反応と
しては理想的である。IsbisterとKobylinskiは、好気性
で従属栄養性の非酸性土壌細菌シュードモナスCB1、
アシネトバクター(Acinetobacter)CB2がチオフェン
を硫酸塩に変換することを報告した(Isbister,J.D. and
Kobylinski,E.A. Microbial desulfurization of coa
l,in Coal Science and Technology,Ser.9,p.627(198
5))。ベンチスケールの連続バイオリアクターを使用し
た場合、Illinois #6の石炭の有機硫黄含量がCB1により
47%減少した。ジベンゾチオフェンの脱硫における中間
体としてはジベンゾチオフェンスルホキシド、ジベンゾ
チオフェンスルホン、2,2'-ジヒドロキシビフェニルが
同定されている。これとは別に、未同定の土壌分離菌が
4つの異なったタイプの石炭から硫酸塩として有機硫黄
分の35-45%を除去することが報告されている(Finnerty,
W.R.and Robinson,M.,Biotechnol.Bioengieer.Symp.#1
6, 205-221(1986))。また、ロドコッカス・ロドクロウ
ス(Rhodococcus rhodochrous) 分離株ATCC53968がジベ
ンゾチオフェンをヒドロキシビフェニルと硫酸塩に変換
する硫黄攻撃型経路を有することが示されているが、こ
の菌により原油や石炭中の有機硫黄の含量が70%減少す
るという(Kilbane,J.J.Resources,Conservation and Re
cycling,3,69-70(1990))。コリネバクテリウム(Coryne
bacterium) sp.の細菌についてもジベンゾチオフェン
分解経路が記述されており、同じくジベンゾチオフェン
を酸化してジベンゾチオフェンスルホキシド、ジベンゾ
チオフェンスルホンを経て2-ヒドロキシビフェニルと
硫酸塩を生成するものである(Ohmori, T., Monna, L.,
Saiki, Y.and Kodama, T. Appl. Environ. Microbiol.,
58, 911-915, 1992)。この場合、2-ヒドロキシビフェ
ニルはさらに硝酸塩となって2つの異なったヒドロキシ
ニトロビフェニルを生じる。さらに最近は、ブレビバク
テリウム(Brevibacterium) sp. DOによるジベンゾチオ
フェンの安息香酸や亜硝酸塩への酸化(van Afferden,
M., Schacht, S., Klein, J. and Trper, H.G. Arch. M
icrobiol., 153, 324-328, 1990)やシュードモナス sp.
OS1によるベンジルメチルスルフィドのベンズアルデヒ
ドへの酸化(van Afferden, M., Tappe, D., Beyer, M.,
Trper, H.G. andKlein, J. Fuel 72, 1635-1643, 199
3)も報告されている。アースロバクター(Arthrobacter)
K3bはブレビバクテリウムと類似の反応を行うことが報
告されており、ジベンゾチオフェンスルホンを基質とし
て用いた場合、亜硫酸塩と安息香酸が産生される(Dahlb
erg, M.D. (1992) Third International Symposium on
theBiological Processing of Coal, May 4-7, Clearwa
ter Beach, FL, pp.1-10. Electric Power Research In
stitute, Palo Alto, CA.)。一方、硫黄を含んだ芳香族
複素環化合物の硫化水素への変換を非水溶媒中で行う新
規な系も報告されている(Finnerty, W.R. Fuel 72, 163
1-1634, 1993)。未同定株FE-9は100%ジメチルホルムア
ミド中で水素雰囲気下にジベンゾチオフェンをビフェニ
ルと硫化水素に、また空気存在下でヒロドキシビフェニ
ルと硫酸塩にそれぞれ変換する。また、この株は、同じ
溶媒中で水素雰囲気下でチアントレンをベンゼンと硫化
水素に、空気存在下でベンゼンと硫酸塩に変換すると報
告されている。これらの好気的ジベンゾチオフェン分解
細菌とは別に、嫌気性の硫酸還元菌がジベンゾチオフェ
ンをビフェニルと硫化水素に変換し、また、石油有機硫
黄を硫化水素にバイオ変換することも示されている(Ki
m, H.Y., Kim, T.S. and Kim, B.H., Biotechnol.Lett.
12, 757-760,1990a ; Kim, T.S., Kim, H.Y. and Kim,
B.H. Biotechnol. Lett. 12, 761-764, 1990b) 。多く
の硫黄攻撃型のバイオ脱硫反応系の報告がある。しか
し、これらのC-S結合切断型の脱硫菌すべてについて、
ジベンゾチオフェンを分解する活性は知られているが、
ナフトチオフェン系化合物に対する分解活性は記載され
ていない。
【0009】ベンゾチオフェンに対する分解活性に関し
ては、Finnertyらが、シュードモナス・スタッツェリ(P
seudomonas stutzeri)、シュードモナス・アルカリゲネ
ス(Pseudomonas alcaaligenes)、シュードモナス・プチ
ダ(Pseudomonas putida)に属する株がジベンゾチオフェ
ン、ベンゾチオフェン、チオキサンテン、チアントレン
を分解して、水溶性の物質に変換することを報告してい
る(Finnerty, W.R., Shockley, K., Attaway, H. in Mi
crobial Enhanced Oil Recovery, Zajic, J.E.et al.
(eds.) Penwell, Tulsa, Okla., 83-91 (1983)。この場
合、酸化反応は55℃でも進むとしている。しかし、これ
らのシュードモナス菌株によるジベンゾチオフェンの分
解産物は、Kodamaらが報告している3-ヒドロキシ-2−
ホルミルベンゾチオフェンであった(Monticello, D.J.,
Bakker, D., Finnerty, W.R. Appl. Environ. Microbi
ol., 49, 756-760 (1985))。これらのシュードモナス菌
株によるジベンゾチオフェンの酸化活性は、硫黄を含ま
ない芳香族炭化水素であるナフタレンやサリチル酸によ
り誘導を受け、クロラムフェニコールにより阻止され
る。このことから、これらのシュードモナス菌株による
ジベンゾチオフェンの分解反応は、芳香環中のC-C結合
を切断することによる分解を基礎としていることが分か
る。ベンゾチオフェンの分解機構は明らかにされていな
いが、ジベンゾチオフェンがC-C結合切断反応による環
開裂により分解されることから、同様の分解機構により
ベンゾチオフェンも分解されるものと推測される。
ては、Finnertyらが、シュードモナス・スタッツェリ(P
seudomonas stutzeri)、シュードモナス・アルカリゲネ
ス(Pseudomonas alcaaligenes)、シュードモナス・プチ
ダ(Pseudomonas putida)に属する株がジベンゾチオフェ
ン、ベンゾチオフェン、チオキサンテン、チアントレン
を分解して、水溶性の物質に変換することを報告してい
る(Finnerty, W.R., Shockley, K., Attaway, H. in Mi
crobial Enhanced Oil Recovery, Zajic, J.E.et al.
(eds.) Penwell, Tulsa, Okla., 83-91 (1983)。この場
合、酸化反応は55℃でも進むとしている。しかし、これ
らのシュードモナス菌株によるジベンゾチオフェンの分
解産物は、Kodamaらが報告している3-ヒドロキシ-2−
ホルミルベンゾチオフェンであった(Monticello, D.J.,
Bakker, D., Finnerty, W.R. Appl. Environ. Microbi
ol., 49, 756-760 (1985))。これらのシュードモナス菌
株によるジベンゾチオフェンの酸化活性は、硫黄を含ま
ない芳香族炭化水素であるナフタレンやサリチル酸によ
り誘導を受け、クロラムフェニコールにより阻止され
る。このことから、これらのシュードモナス菌株による
ジベンゾチオフェンの分解反応は、芳香環中のC-C結合
を切断することによる分解を基礎としていることが分か
る。ベンゾチオフェンの分解機構は明らかにされていな
いが、ジベンゾチオフェンがC-C結合切断反応による環
開裂により分解されることから、同様の分解機構により
ベンゾチオフェンも分解されるものと推測される。
【0010】さらに、ベンゾチオフェンに対する硫黄攻
撃型の分解活性に関しては、Gilbertらがゴルドニア(G
ordonia)属213E株がベンゾチオフェンの硫黄原子を特
異的に酸化した後、硫酸の形で脱硫を行い、2−(2’
−ヒドロキシフェニル)エテン 1−オールを生成する
ことを報告している(SC Gilbert, J Morton, S Buchan
an, C Oldfield, and A McRoberts, Microbiology, 14
4: 2545-2553 (1998))。しかし、この菌株によるナフ
トチオフェンおよびベンゾナフトチオフェンの分解は報
告されていない。
撃型の分解活性に関しては、Gilbertらがゴルドニア(G
ordonia)属213E株がベンゾチオフェンの硫黄原子を特
異的に酸化した後、硫酸の形で脱硫を行い、2−(2’
−ヒドロキシフェニル)エテン 1−オールを生成する
ことを報告している(SC Gilbert, J Morton, S Buchan
an, C Oldfield, and A McRoberts, Microbiology, 14
4: 2545-2553 (1998))。しかし、この菌株によるナフ
トチオフェンおよびベンゾナフトチオフェンの分解は報
告されていない。
【0011】また、ナフトチオフェンに対する分解活性
については、Kroppらがシュードモナス属のW1株がナフ
トチオフェン類を分解出来ることを報告している(Krop
p, K.G., Anderson, J.T., Fedorak, P.M., Appl. Envi
ron. Microbiol., 63, 3463-3473 (1997))。この報告
によれば、W1株によるナフトチオフェンの酸化活性は、
硫黄を含まない芳香族炭化水素であるナフタレン中のC-
C結合を切断反応による環開裂により分解される。
については、Kroppらがシュードモナス属のW1株がナフ
トチオフェン類を分解出来ることを報告している(Krop
p, K.G., Anderson, J.T., Fedorak, P.M., Appl. Envi
ron. Microbiol., 63, 3463-3473 (1997))。この報告
によれば、W1株によるナフトチオフェンの酸化活性は、
硫黄を含まない芳香族炭化水素であるナフタレン中のC-
C結合を切断反応による環開裂により分解される。
【0012】上述のように、常温でベンゾチオフェンを
C-S結合特異的に分解する菌株の中で、ナフトチオフェ
ンやベンゾナフトチオフェンも分解可能な菌株は知られ
ていない。C-S結合を特異的に切断するが、C-C結合は切
断しないでそのまま残すタイプの有機硫黄化合物の分解
反応が実際の石油の脱硫方法として望ましいことは上記
(従来のバイオ脱硫方法)の通りである。油中には、複
素環硫黄化合物としてはジベンゾチオフェンの他にベン
ゾチオフェン、ナフトチオフェン、ベンゾナフトチオフ
ェンが存在することが知られている。これらの複素環硫
黄化合物をC-S結合特異的に分解し、脱硫することがで
きる菌を探索し、脱硫に用いれば、その効率が上昇する
ことが期待される。
C-S結合特異的に分解する菌株の中で、ナフトチオフェ
ンやベンゾナフトチオフェンも分解可能な菌株は知られ
ていない。C-S結合を特異的に切断するが、C-C結合は切
断しないでそのまま残すタイプの有機硫黄化合物の分解
反応が実際の石油の脱硫方法として望ましいことは上記
(従来のバイオ脱硫方法)の通りである。油中には、複
素環硫黄化合物としてはジベンゾチオフェンの他にベン
ゾチオフェン、ナフトチオフェン、ベンゾナフトチオフ
ェンが存在することが知られている。これらの複素環硫
黄化合物をC-S結合特異的に分解し、脱硫することがで
きる菌を探索し、脱硫に用いれば、その効率が上昇する
ことが期待される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ベン
ゾチオフェン、ナフトチオフェン、ベンゾナフトチオフ
ェン等の難分解性の複素環硫黄化合物のC-S結合を特異
的に切断し得る微生物を自然界から単離し、これを利用
した効率的なバイオ脱硫手段を提供することにある。
ゾチオフェン、ナフトチオフェン、ベンゾナフトチオフ
ェン等の難分解性の複素環硫黄化合物のC-S結合を特異
的に切断し得る微生物を自然界から単離し、これを利用
した効率的なバイオ脱硫手段を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討を重ねた結果、バチルス属に属す
る一菌株が、ベンゾチオフェン、ナフトチオフェン及び
ベンゾナフトチオフェンのC-S結合を特異的に切断する
性質を持つことを見出し、本発明を完成した。
解決するため鋭意検討を重ねた結果、バチルス属に属す
る一菌株が、ベンゾチオフェン、ナフトチオフェン及び
ベンゾナフトチオフェンのC-S結合を特異的に切断する
性質を持つことを見出し、本発明を完成した。
【0015】即ち、本発明は、バチルス属に属し、ナフ
トチオフェン又はベンゾナフトチオフェンのC‐S結合を
切断する能力を有する微生物又は該微生物が産生する酵
素を、複素環硫黄化合物を含む物質に接触させることを
特徴とする複素環硫黄化合物の分解方法である。また、
本発明は、バチルス属に属し、ナフトチオフェン又はベ
ンゾナフトチオフェンのC‐S結合を切断する能力を有す
る微生物又は該微生物が産生する酵素を、化石燃料に接
触させることを特徴とする化石燃料の脱硫方法である。
更に、本発明は、ナフトチオフェン又はベンゾナフトチ
オフェンのC‐S結合を切断する能力を有するバチルス・
リケニフォルミス WU-GOR1株である。
トチオフェン又はベンゾナフトチオフェンのC‐S結合を
切断する能力を有する微生物又は該微生物が産生する酵
素を、複素環硫黄化合物を含む物質に接触させることを
特徴とする複素環硫黄化合物の分解方法である。また、
本発明は、バチルス属に属し、ナフトチオフェン又はベ
ンゾナフトチオフェンのC‐S結合を切断する能力を有す
る微生物又は該微生物が産生する酵素を、化石燃料に接
触させることを特徴とする化石燃料の脱硫方法である。
更に、本発明は、ナフトチオフェン又はベンゾナフトチ
オフェンのC‐S結合を切断する能力を有するバチルス・
リケニフォルミス WU-GOR1株である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の複素環硫黄化合物の分解方法は、バチルス属に
属する微生物又は該微生物が産生する酵素を、複素環硫
黄化合物を含む物質に接触させることを特徴とするもの
である。
本発明の複素環硫黄化合物の分解方法は、バチルス属に
属する微生物又は該微生物が産生する酵素を、複素環硫
黄化合物を含む物質に接触させることを特徴とするもの
である。
【0017】使用する微生物は、バチルス属に属し、ナ
フトチオフェン又はベンゾナフトチオフェンのC-S結合
を切断する能力を有するものであれば限定されないが、
バチルス・リケニフォルミスに属する菌株が好ましく、
バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)
WU-GOR1株(この菌株については後述する)又はその変
異株が更に好ましい。WU-GOR1株の変異株とは、WU-GOR1
株を起源とする菌株であって、WU-GOR1株と同様にナフ
トチオフェン又はベンゾナフトチオフェンのC-S結合を
切断する能力を有するが、他の一以上の性質においてWU
-GOR1株と異なる菌株をいう。使用する微生物はどのよ
うな形態のものであってもよいが、休止菌体を用いるの
が好ましい。休止菌体は、例えば、以下のようにして調
製することができる。まず、新鮮な培地に対し適当量、
たとえば1〜2%容量の種菌を接種し、30℃で往復ある
いは回転振とう培養を行う。この際、種菌としては対数
増殖期後期のものが好適であるが、対数増殖期初期から
定常期のいずれの状態の菌でも構わない。また、接種量
も必要に応じて容量を増減できる。培地としては常温性
脱硫菌培地が好適であるが他の培地でも構わない。培地
の栄養源としては通常用いられているものが広く用いら
れる。炭素源としては利用可能な炭素化合物であればよ
く、例えば、グルコース、スクロース、ラクトース、フ
ルクトース、エタノールなどが使用される。窒素源とし
ては利用可能な窒素化合物であればよく、例えばペプト
ン、ポリペプトン、肉エキス、酵母エキス、大豆粉、カ
ゼイン加水分解物、などの有機栄養物質も使用できる。
脱硫反応に影響を与える可能性のある硫黄化合物を含ま
ない培地で培養するのが望ましい場合には、塩化アンモ
ニウムのような無機窒素化合物も使用できる。そのほ
か、リン酸塩、炭酸塩、マグネシウム、カルシウム、カ
リウム、ナトリウム、鉄、マンガン、亜鉛、モリブデ
ン、タングステン、銅、ビタミン類、などが必要に応じ
て用いられる。通常の培養は、約30℃で振盪または通気
条件下で好気的に2日ないし3日行う。ただし、培養温
度は30℃が好適であるが、25℃〜37℃近辺の温度範囲に
ある任意の温度でも構わない。培養して得られた菌体を
遠心分離等の手段により分離集菌することにより、休止
菌体を得ることができるが、一度集菌した菌体を洗浄後
再度集菌することが望ましい。この際、菌体は対数増殖
期中期から後期で集菌するのが好適であるが、対数増殖
期初期から定常期の菌体でも構わない。分離集菌のため
の手段としては、遠心分離の他、濾過や沈降分離などい
かなる方法を用いても構わない。菌体の洗浄には、生理
食塩水、リン酸緩衝液、トリス緩衝液等のいかなる緩衝
液も使用でき、また水を使用して菌体洗浄を行っても構
わない。
フトチオフェン又はベンゾナフトチオフェンのC-S結合
を切断する能力を有するものであれば限定されないが、
バチルス・リケニフォルミスに属する菌株が好ましく、
バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)
WU-GOR1株(この菌株については後述する)又はその変
異株が更に好ましい。WU-GOR1株の変異株とは、WU-GOR1
株を起源とする菌株であって、WU-GOR1株と同様にナフ
トチオフェン又はベンゾナフトチオフェンのC-S結合を
切断する能力を有するが、他の一以上の性質においてWU
-GOR1株と異なる菌株をいう。使用する微生物はどのよ
うな形態のものであってもよいが、休止菌体を用いるの
が好ましい。休止菌体は、例えば、以下のようにして調
製することができる。まず、新鮮な培地に対し適当量、
たとえば1〜2%容量の種菌を接種し、30℃で往復ある
いは回転振とう培養を行う。この際、種菌としては対数
増殖期後期のものが好適であるが、対数増殖期初期から
定常期のいずれの状態の菌でも構わない。また、接種量
も必要に応じて容量を増減できる。培地としては常温性
脱硫菌培地が好適であるが他の培地でも構わない。培地
の栄養源としては通常用いられているものが広く用いら
れる。炭素源としては利用可能な炭素化合物であればよ
く、例えば、グルコース、スクロース、ラクトース、フ
ルクトース、エタノールなどが使用される。窒素源とし
ては利用可能な窒素化合物であればよく、例えばペプト
ン、ポリペプトン、肉エキス、酵母エキス、大豆粉、カ
ゼイン加水分解物、などの有機栄養物質も使用できる。
脱硫反応に影響を与える可能性のある硫黄化合物を含ま
ない培地で培養するのが望ましい場合には、塩化アンモ
ニウムのような無機窒素化合物も使用できる。そのほ
か、リン酸塩、炭酸塩、マグネシウム、カルシウム、カ
リウム、ナトリウム、鉄、マンガン、亜鉛、モリブデ
ン、タングステン、銅、ビタミン類、などが必要に応じ
て用いられる。通常の培養は、約30℃で振盪または通気
条件下で好気的に2日ないし3日行う。ただし、培養温
度は30℃が好適であるが、25℃〜37℃近辺の温度範囲に
ある任意の温度でも構わない。培養して得られた菌体を
遠心分離等の手段により分離集菌することにより、休止
菌体を得ることができるが、一度集菌した菌体を洗浄後
再度集菌することが望ましい。この際、菌体は対数増殖
期中期から後期で集菌するのが好適であるが、対数増殖
期初期から定常期の菌体でも構わない。分離集菌のため
の手段としては、遠心分離の他、濾過や沈降分離などい
かなる方法を用いても構わない。菌体の洗浄には、生理
食塩水、リン酸緩衝液、トリス緩衝液等のいかなる緩衝
液も使用でき、また水を使用して菌体洗浄を行っても構
わない。
【0018】使用する酵素は、上記微生物が産生する酵
素であって、ナフトチオフェン又はベンゾナフトチオフ
ェンのC-S結合を切断する能力を有するものであれば限
定されない。このような酵素は、上記微生物の菌体を含
む培養産物から、その酵素活性を指標としてクロマトグ
ラフィー等を利用して単離精製することができる。複素
環硫黄化合物を含む物質は、微生物等が分解可能な複素
環硫黄化合物を含むものであれば特に限定されない。後
述するWU-GOR1株のように、ナフトチオフェン又はベン
ゾナフトチオフェンのC-S結合を切断する能力を有する
微生物は、通常はこれらの化合物以外のC-S結合を切断
することが可能なので、微生物等と接触させる物質は必
ずしもナフトチオフェン又はベンゾナフトチオフェンで
を含んでいる必要はない。複素環硫黄化合物を含む物質
としては、石油(原油及び精製された各種石油製品の両
者を含む)や石炭などの化石燃料を例示することができ
るが、人工的に調製された試料であってもよい。複素環
硫黄化合物を含む物質は、固形状物質であってもよい
が、液状物質の方が好ましい。
素であって、ナフトチオフェン又はベンゾナフトチオフ
ェンのC-S結合を切断する能力を有するものであれば限
定されない。このような酵素は、上記微生物の菌体を含
む培養産物から、その酵素活性を指標としてクロマトグ
ラフィー等を利用して単離精製することができる。複素
環硫黄化合物を含む物質は、微生物等が分解可能な複素
環硫黄化合物を含むものであれば特に限定されない。後
述するWU-GOR1株のように、ナフトチオフェン又はベン
ゾナフトチオフェンのC-S結合を切断する能力を有する
微生物は、通常はこれらの化合物以外のC-S結合を切断
することが可能なので、微生物等と接触させる物質は必
ずしもナフトチオフェン又はベンゾナフトチオフェンで
を含んでいる必要はない。複素環硫黄化合物を含む物質
としては、石油(原油及び精製された各種石油製品の両
者を含む)や石炭などの化石燃料を例示することができ
るが、人工的に調製された試料であってもよい。複素環
硫黄化合物を含む物質は、固形状物質であってもよい
が、液状物質の方が好ましい。
【0019】複素環硫黄化合物を含む物質との接触は、
微生物等のC-S結合切断能が発揮させ得る態様であれば
特に限定されない。具体的な接触方法としては、上記微
生物等を複素硫黄化合物を含む物質(液状物質)に添加
し、反応させる方法や上記微生物等を緩衝液等に懸濁
し、これに複素硫黄化合物を添加し、反応させる方法な
どを例示することができる。以下、後者の方法について
詳述する。微生物の菌体を懸濁させる緩衝液としては、
pH6〜7が好適であるが、他のpHでも構わない。また、
緩衝液の代わりに、水や培地等を使用しても構わない。
菌体懸濁液の濃度は、OD660が1〜50の間が好適であ
るが、必要に応じて増減できる。添加する複素硫黄化合
物としては、たとえば、ベンゾチオフェン、ナフトチオ
フェン、ベンゾナフトチオフェン、及びこれらの誘導体
などを例示することができる。濃度は50ppm〜5000ppmが
好適であるが、必要に応じて増減できる。また、複素環
有機硫黄化合物を添加する前に反応温度と同じ温度に反
応液を予備加熱してもよい。反応は30℃で行うのが好適
であるが、25℃〜37℃の任意の温度でもよく、また反応
時間は1〜2時間が好適であるが、必要に応じて増減で
きる。また、菌体と複素環硫黄化合物の反応は、テトラ
デカン等の有機溶媒を添加した油水2相系で行っても構
わない。この場合、用いる有機溶媒はテトラデカンの
他、C8〜C20のn-パラフィンやケロシン、軽油、重油
などでもよい。また、必要ならば反応液上方の気相を酸
素で置換封入しても構わない。
微生物等のC-S結合切断能が発揮させ得る態様であれば
特に限定されない。具体的な接触方法としては、上記微
生物等を複素硫黄化合物を含む物質(液状物質)に添加
し、反応させる方法や上記微生物等を緩衝液等に懸濁
し、これに複素硫黄化合物を添加し、反応させる方法な
どを例示することができる。以下、後者の方法について
詳述する。微生物の菌体を懸濁させる緩衝液としては、
pH6〜7が好適であるが、他のpHでも構わない。また、
緩衝液の代わりに、水や培地等を使用しても構わない。
菌体懸濁液の濃度は、OD660が1〜50の間が好適であ
るが、必要に応じて増減できる。添加する複素硫黄化合
物としては、たとえば、ベンゾチオフェン、ナフトチオ
フェン、ベンゾナフトチオフェン、及びこれらの誘導体
などを例示することができる。濃度は50ppm〜5000ppmが
好適であるが、必要に応じて増減できる。また、複素環
有機硫黄化合物を添加する前に反応温度と同じ温度に反
応液を予備加熱してもよい。反応は30℃で行うのが好適
であるが、25℃〜37℃の任意の温度でもよく、また反応
時間は1〜2時間が好適であるが、必要に応じて増減で
きる。また、菌体と複素環硫黄化合物の反応は、テトラ
デカン等の有機溶媒を添加した油水2相系で行っても構
わない。この場合、用いる有機溶媒はテトラデカンの
他、C8〜C20のn-パラフィンやケロシン、軽油、重油
などでもよい。また、必要ならば反応液上方の気相を酸
素で置換封入しても構わない。
【0020】反応生成物の抽出は以下のようにして行う
ことができる。反応液を6規定の塩酸を用いてpH2前後
に調整した後、酢酸エチルを用いて撹拌抽出する。しか
し、抽出に使用する溶媒は、酢酸エチルに限定されるも
のではなく、目的とする反応生成物が抽出できるもので
あればいずれの溶媒を用いても構わない。酢酸エチルの
量は反応液に対し等量が好適であるが、必要に応じて増
減できる。また、反応生成物の分離は、逆相C18カラム
あるいは順相シリカカラムを用いて行うことができる
が、必要に応じて他のカラムを用いても構わない。ま
た、分離に使用する方法はこれらの方法に限定されるも
のではなく、反応生成物が分離できる方法であればいか
なる方法を用いても構わない。反応生成物の分析は、液
体クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー/質量
スペクトル分析、ガスクロマトグラフィー、ガスクロマ
トグラフィー/質量スペクトル分析、ガスクロマトグラ
フィー/原子発光検出分析、ガスクロマトグラフィー/
フーリエ変換赤外分光分析、核磁気共鳴法、などを使用
して行うことができる。また、必要に応じて他の分析方
法を併せて利用しても構わない。さらに、分析に使用す
る方法はこれらの方法に限定されるものではなく、反応
生成物が分析できる方法であればいずれの方法を使用し
ても構わない。
ことができる。反応液を6規定の塩酸を用いてpH2前後
に調整した後、酢酸エチルを用いて撹拌抽出する。しか
し、抽出に使用する溶媒は、酢酸エチルに限定されるも
のではなく、目的とする反応生成物が抽出できるもので
あればいずれの溶媒を用いても構わない。酢酸エチルの
量は反応液に対し等量が好適であるが、必要に応じて増
減できる。また、反応生成物の分離は、逆相C18カラム
あるいは順相シリカカラムを用いて行うことができる
が、必要に応じて他のカラムを用いても構わない。ま
た、分離に使用する方法はこれらの方法に限定されるも
のではなく、反応生成物が分離できる方法であればいか
なる方法を用いても構わない。反応生成物の分析は、液
体クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー/質量
スペクトル分析、ガスクロマトグラフィー、ガスクロマ
トグラフィー/質量スペクトル分析、ガスクロマトグラ
フィー/原子発光検出分析、ガスクロマトグラフィー/
フーリエ変換赤外分光分析、核磁気共鳴法、などを使用
して行うことができる。また、必要に応じて他の分析方
法を併せて利用しても構わない。さらに、分析に使用す
る方法はこれらの方法に限定されるものではなく、反応
生成物が分析できる方法であればいずれの方法を使用し
ても構わない。
【0021】本発明の複素環硫黄化合物の分解方法を利
用し、化石燃料の脱硫を行うことができる。即ち、バチ
ルス属に属し、ナフトチオフェン又はベンゾナフトチオ
フェンのC‐S結合を切断する能力を有する微生物又は該
微生物が産生する酵素を化石燃料に接触させることによ
り、化石燃料中に含まれる複素環硫黄化合物のC-S結合
を切断し、硫黄原子を硫酸イオンの形で化石燃料から除
去することが可能になる。本発明において使用されるバ
チルス・リケニフォルミス WU-GOR1株は、以下の菌学的
性質を有する。
用し、化石燃料の脱硫を行うことができる。即ち、バチ
ルス属に属し、ナフトチオフェン又はベンゾナフトチオ
フェンのC‐S結合を切断する能力を有する微生物又は該
微生物が産生する酵素を化石燃料に接触させることによ
り、化石燃料中に含まれる複素環硫黄化合物のC-S結合
を切断し、硫黄原子を硫酸イオンの形で化石燃料から除
去することが可能になる。本発明において使用されるバ
チルス・リケニフォルミス WU-GOR1株は、以下の菌学的
性質を有する。
【0022】 細胞の形態 桿菌及び球菌 (色 ベージュ) (グラム染色 +) 胞子形成 + (運動性 −) (カタラーゼ試験 +) (オキシダーゼ −) 嫌気増殖 − VP反応(pH) +(5.43) 37℃での増殖 + 55℃での増殖 + 60℃での増殖 − pH 5.7における増殖 + NaCl 2%における増殖 + NaCl 10%における増殖 + 糖からの酸生成 D-グルコース + L-アラビノース + D-キシロース + D-マンニトール + D-フルクトース + グルコースからのガス生産 + 加水分解能 スターチ + ゼラチン + カゼイン + ツイーン80 + エスクリン + クエン酸の利用 + プロピオン酸の利用 + NO3の還元 + インドール生成 − フェニルアラニンデアミナーゼ − アルギニンジヒドロラーゼ + 16S rDNAの部分配列 バチルス・リケニフォ
ルミスの16S rDNA部分配列と99.6%の相同性を示す。
ルミスの16S rDNA部分配列と99.6%の相同性を示す。
【0023】この菌株は以下の理由からバチルス・リケ
ニフォルミスに属するものと同定した。 1)脂肪酸パターンがバチルス・リケニフォルミスのも
のと最も類似していた。 2)16S rRNAの部分配列がバチルス・リケニフォルミス
以外の株とは相同性が低かった。 3)55℃での増殖、プロピオン酸の利用といったバチ
ルス・リケニフォルミスの性質に合致している。 このバチルス・リケニフォルミスWU-GOR1株は、平成1
2年6月14日付けで工業技術院生命工学工業技術研究
所にFERM P-17899として寄託されている。
ニフォルミスに属するものと同定した。 1)脂肪酸パターンがバチルス・リケニフォルミスのも
のと最も類似していた。 2)16S rRNAの部分配列がバチルス・リケニフォルミス
以外の株とは相同性が低かった。 3)55℃での増殖、プロピオン酸の利用といったバチ
ルス・リケニフォルミスの性質に合致している。 このバチルス・リケニフォルミスWU-GOR1株は、平成1
2年6月14日付けで工業技術院生命工学工業技術研究
所にFERM P-17899として寄託されている。
【0024】この微生物の培養は微生物の通常の培養法
にしたがって行われる。培養の形態は液体培養が好まし
い。培地の栄養源としては通常用いられているものが広
く用いられる。炭素源としては利用可能な炭素化合物で
あればよく、例えば、グルコース、スクロース、ラクト
ース、フルクトース、エタノールなどが使用される。窒
素源としては利用可能な窒素化合物であればよく、例え
ばペプトン、ポリペプトン、肉エキス、酵母エキス、大
豆粉、カゼイン加水分解物、などの有機栄養物質も使用
できる。脱硫反応に影響を与える可能性のある硫黄化合
物を含まない培地で培養するのが望ましい場合には、塩
化アンモニウムのような無機窒素化合物も使用できる。
そのほか、リン酸塩、炭酸塩、マグネシウム、カルシウ
ム、カリウム、ナトリウム、鉄、マンガン、亜鉛、モリ
ブデン、タングステン、銅、ビタミン類、などが必要に
応じて用いられる。培養は、pH6〜8、温度30℃付近の温
度で振盪または通気条件下で好気的に4日ないし5日行
う。
にしたがって行われる。培養の形態は液体培養が好まし
い。培地の栄養源としては通常用いられているものが広
く用いられる。炭素源としては利用可能な炭素化合物で
あればよく、例えば、グルコース、スクロース、ラクト
ース、フルクトース、エタノールなどが使用される。窒
素源としては利用可能な窒素化合物であればよく、例え
ばペプトン、ポリペプトン、肉エキス、酵母エキス、大
豆粉、カゼイン加水分解物、などの有機栄養物質も使用
できる。脱硫反応に影響を与える可能性のある硫黄化合
物を含まない培地で培養するのが望ましい場合には、塩
化アンモニウムのような無機窒素化合物も使用できる。
そのほか、リン酸塩、炭酸塩、マグネシウム、カルシウ
ム、カリウム、ナトリウム、鉄、マンガン、亜鉛、モリ
ブデン、タングステン、銅、ビタミン類、などが必要に
応じて用いられる。培養は、pH6〜8、温度30℃付近の温
度で振盪または通気条件下で好気的に4日ないし5日行
う。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。ただし、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限
定されるものではない。 〔実施例1〕 ナフトチオフェンを常温で分解する菌の
分離 目的の微生物の分離には、表1のMG培地にナフトチオフ
ェンを添加した培地(ナフトチオフェンが唯一の硫黄
源)を使用した。まず、シリコン栓付試験管(容量27m
l、直径18mm×長さ180mm)に培地5ml、5g/lのナフトチ
オフェン/エタノール溶液を0.05ml、および日本各地よ
り採集した土壌1スパーテル(約0.5g)を加え、30℃で
一週間振盪培養(振盪速度240rpm)し、集積培養を行っ
た。培地に濁りの認められた試料については、その培養
液0.2mlを新鮮なナフトチオフェン添加MG培地に加え、
集積培養を3〜4回繰り返した。これらの集積培養により
菌体の増殖が認められた試料について、培養物を生理食
塩水にて希釈した。得られた希釈液を、LB培地(Bacto
Tryptone 10g/L, 酵母エキス 5g/L, NaCl 10g/L)に、
終濃度1.5%となるように寒天を加えて作製したプレー
ト上に塗布し、30℃で靜置培養してコロニーを形成させ
た。形成したコロニーの一部をナフトチオフェン添加MG
培地に植菌し、ナフトチオフェンの分解を調べた。ナフ
トチオフェンの分解が認められたコロニーを選択し、前
述の一連の操作を2回ないし3回くり返すことにより目
的の菌株を単離した。
る。ただし、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限
定されるものではない。 〔実施例1〕 ナフトチオフェンを常温で分解する菌の
分離 目的の微生物の分離には、表1のMG培地にナフトチオフ
ェンを添加した培地(ナフトチオフェンが唯一の硫黄
源)を使用した。まず、シリコン栓付試験管(容量27m
l、直径18mm×長さ180mm)に培地5ml、5g/lのナフトチ
オフェン/エタノール溶液を0.05ml、および日本各地よ
り採集した土壌1スパーテル(約0.5g)を加え、30℃で
一週間振盪培養(振盪速度240rpm)し、集積培養を行っ
た。培地に濁りの認められた試料については、その培養
液0.2mlを新鮮なナフトチオフェン添加MG培地に加え、
集積培養を3〜4回繰り返した。これらの集積培養により
菌体の増殖が認められた試料について、培養物を生理食
塩水にて希釈した。得られた希釈液を、LB培地(Bacto
Tryptone 10g/L, 酵母エキス 5g/L, NaCl 10g/L)に、
終濃度1.5%となるように寒天を加えて作製したプレー
ト上に塗布し、30℃で靜置培養してコロニーを形成させ
た。形成したコロニーの一部をナフトチオフェン添加MG
培地に植菌し、ナフトチオフェンの分解を調べた。ナフ
トチオフェンの分解が認められたコロニーを選択し、前
述の一連の操作を2回ないし3回くり返すことにより目
的の菌株を単離した。
【0026】生育の確認されたサンプルから1株、WU-G
OR1株を分離し、菌株の同定を行った結果、バチルス・
リケニフォルミスであると同定された。WU-GOR1株によ
るナフトチオフェンの分解代謝産物についてGC/MSによ
り分析した結果、代謝産物としてナフトチオフェンスル
ホンおよび2−ナフトールが検出された。これらの化合
物はナフトチオフェンを添加しない場合は検出されなか
った。また、WU-GOR1株はナフトチオフェンを唯一の炭
素源または唯一の炭素源かつ硫黄源として生育すること
は出来なかった。以上の結果は、WU-GOR1株が硫黄原子
を特異的に除去する経路でナフトチオフェンを分解する
ことを強く示している。
OR1株を分離し、菌株の同定を行った結果、バチルス・
リケニフォルミスであると同定された。WU-GOR1株によ
るナフトチオフェンの分解代謝産物についてGC/MSによ
り分析した結果、代謝産物としてナフトチオフェンスル
ホンおよび2−ナフトールが検出された。これらの化合
物はナフトチオフェンを添加しない場合は検出されなか
った。また、WU-GOR1株はナフトチオフェンを唯一の炭
素源または唯一の炭素源かつ硫黄源として生育すること
は出来なかった。以上の結果は、WU-GOR1株が硫黄原子
を特異的に除去する経路でナフトチオフェンを分解する
ことを強く示している。
【0027】
【表1】
【0028】〔実施例2〕 微生物による複素環硫黄化
合物の分解 WU-GOR1株を用いて複素環硫黄化合物類の分解率を測定
した。複素環硫黄化合物の分解にはMG培地に各種化合物
を唯一の硫黄源として添加した培地を使用した。まず、
シリコン栓付試験管(容量27ml、直径18mm×長さ180m
m)にMG培地5ml、終濃度が0.27mMとなるように複素環硫
黄化合物/エタノール溶液を50μlおよび前培養液を50
μl(1%)加え、30℃で5日間振とう培養(振とう速度
240rpm)を行った。培養後は培養液を酸性にした後、酢
酸エチルで抽出し、高速液体クロマトグラフィーで分解
率を測定した。複素環硫黄化合物の分解率を表2に示
す。
合物の分解 WU-GOR1株を用いて複素環硫黄化合物類の分解率を測定
した。複素環硫黄化合物の分解にはMG培地に各種化合物
を唯一の硫黄源として添加した培地を使用した。まず、
シリコン栓付試験管(容量27ml、直径18mm×長さ180m
m)にMG培地5ml、終濃度が0.27mMとなるように複素環硫
黄化合物/エタノール溶液を50μlおよび前培養液を50
μl(1%)加え、30℃で5日間振とう培養(振とう速度
240rpm)を行った。培養後は培養液を酸性にした後、酢
酸エチルで抽出し、高速液体クロマトグラフィーで分解
率を測定した。複素環硫黄化合物の分解率を表2に示
す。
【0029】
【表2】
【0030】このように、WU-GOR1株はナフトチオフェ
ンだけでなく、ベンゾチオフェン、ベンゾナフトチオフ
ェンも効率よく分解した。
ンだけでなく、ベンゾチオフェン、ベンゾナフトチオフ
ェンも効率よく分解した。
【0031】〔実施例3〕 休止菌体反応によるナフト
チオフェンの分解 WU-GOR1株を用いて休止菌体反応によるナフトチオフェ
ンの分解率を測定した。MG培地に0.004%(v/v)になるよ
うにジメチルスルホキシドを添加し、この培地200mlを5
00ml容肩付きフラスコに入れた。これに前記と同様の培
地で調製した前培養液を1%になるように添加し、30℃で
2日間振とう培養(120rpm)を行った。この培養液を遠
心分離(10000xg、15分)し、集めた菌体をpH7のリン酸
緩衝液にて2回洗浄を行い、同リン酸緩衝液にて懸濁し
て反応用菌体とした。この反応用菌体の濁度は、測定波
長660nmでは50であった。
チオフェンの分解 WU-GOR1株を用いて休止菌体反応によるナフトチオフェ
ンの分解率を測定した。MG培地に0.004%(v/v)になるよ
うにジメチルスルホキシドを添加し、この培地200mlを5
00ml容肩付きフラスコに入れた。これに前記と同様の培
地で調製した前培養液を1%になるように添加し、30℃で
2日間振とう培養(120rpm)を行った。この培養液を遠
心分離(10000xg、15分)し、集めた菌体をpH7のリン酸
緩衝液にて2回洗浄を行い、同リン酸緩衝液にて懸濁し
て反応用菌体とした。この反応用菌体の濁度は、測定波
長660nmでは50であった。
【0032】脱硫反応はシリコン栓付き試験管(容量27
ml、直径18mm×長さ180mm)に反応用菌体0.6ml、ナフト
チオフェンを溶解したエタノール溶液を9μl(反応液
中のナフトチオフェン濃度0.41mM)加え、30℃にて180r
pmで往復振とうすることにより行った。反応後は反応液
を酸性にした後酢酸エチルで抽出し、高速液体クロマト
グラフィーにより分解率を測定した。休止菌体反応によ
るナフトチオフェンの分解の経時変化を表3に示す。
ml、直径18mm×長さ180mm)に反応用菌体0.6ml、ナフト
チオフェンを溶解したエタノール溶液を9μl(反応液
中のナフトチオフェン濃度0.41mM)加え、30℃にて180r
pmで往復振とうすることにより行った。反応後は反応液
を酸性にした後酢酸エチルで抽出し、高速液体クロマト
グラフィーにより分解率を測定した。休止菌体反応によ
るナフトチオフェンの分解の経時変化を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】このように、WU-GOR1株は培養系だけでな
く休止菌体反応でもナフトチオフェンを効率よく分解し
た。
く休止菌体反応でもナフトチオフェンを効率よく分解し
た。
【0035】
【発明の効果】本発明により、ナフトチオフェンやベン
ゾナフトチオフェンをはじめとした複素環硫黄化合物の
C-S結合を特異的に効率よく分解することができるよう
になる。これにより、石油等の化石燃料の脱硫を効果的
に行うことが可能になる。
ゾナフトチオフェンをはじめとした複素環硫黄化合物の
C-S結合を特異的に効率よく分解することができるよう
になる。これにより、石油等の化石燃料の脱硫を効果的
に行うことが可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12N 1/00 (C12N 1/00 P C12R 1:10) C12R 1:10) (C12N 1/20 (C12N 1/20 A C12R 1:10) C12R 1:10) (C12N 1/20 (C12N 1/20 D C12R 1:10) C12R 1:10) (C12N 1/20 (C12N 1/20 F C12R 1:10) C12R 1:10) (72)発明者 石井 義孝 静岡県静岡市谷田23−73アートヒルII 305号 Fターム(参考) 4B065 AA15X AC20 BA22 BB13 CA27 CA56
Claims (9)
- 【請求項1】 バチルス属に属し、ナフトチオフェン又
はベンゾナフトチオフェンのC‐S結合を切断する能力を
有する微生物又は該微生物が産生する酵素を、複素環硫
黄化合物を含む物質に接触させることを特徴とする複素
環硫黄化合物の分解方法。 - 【請求項2】 複素環硫黄化合物を含む物質が、液状物
質であることを特徴とする請求項1記載の複素環硫黄化
合物の分解方法。 - 【請求項3】 微生物が、バチルス・リケニフォルミス
に属する菌株であることを特徴とする請求項1記載の複
素環硫黄化合物の分解方法。 - 【請求項4】 微生物が、バチルス・リケニフォルミス
WU-GOR1株又はその変異株であることを特徴とする請求
項1記載の複素環硫黄化合物の分解方法。 - 【請求項5】 バチルス属に属し、ナフトチオフェン又
はベンゾナフトチオフェンのC‐S結合を切断する能力を
有する微生物又は該微生物が産生する酵素を、化石燃料
に接触させることを特徴とする化石燃料の脱硫方法。 - 【請求項6】 化石燃料が、液状物質であることを特徴
とする請求項5記載の化石燃料の脱硫方法。 - 【請求項7】 微生物が、バチルス・リケニフォルミス
に属する菌株であることを特徴とする請求項5記載の化
石燃料の脱硫方法。 - 【請求項8】 微生物が、バチルス・リケニフォルミス
WU-GOR1株又はその変異株であることを特徴とする請求
項5記載の化石燃料の脱硫方法。 - 【請求項9】 ナフトチオフェン又はベンゾナフトチオ
フェンのC‐S結合を切断する能力を有するバチルス・リ
ケニフォルミス WU-GOR1株。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000181942A JP2002000259A (ja) | 2000-06-16 | 2000-06-16 | 微生物を用いた複素環硫黄化合物の分解方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000181942A JP2002000259A (ja) | 2000-06-16 | 2000-06-16 | 微生物を用いた複素環硫黄化合物の分解方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2002000259A true JP2002000259A (ja) | 2002-01-08 |
Family
ID=18682796
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2000181942A Pending JP2002000259A (ja) | 2000-06-16 | 2000-06-16 | 微生物を用いた複素環硫黄化合物の分解方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2002000259A (ja) |
-
2000
- 2000-06-16 JP JP2000181942A patent/JP2002000259A/ja active Pending
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