JP2002128679A - 赤血球変形能改善剤 - Google Patents

赤血球変形能改善剤

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JP2002128679A
JP2002128679A JP2000317077A JP2000317077A JP2002128679A JP 2002128679 A JP2002128679 A JP 2002128679A JP 2000317077 A JP2000317077 A JP 2000317077A JP 2000317077 A JP2000317077 A JP 2000317077A JP 2002128679 A JP2002128679 A JP 2002128679A
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lower alkyl
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sugar
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JP2000317077A
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Hironori Murase
博宣 村瀬
Tsutomu Kunieda
勉 国枝
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Original Assignee
CCI Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定性、経皮吸収性に優れ、安全かつ少用量
で効果的に作用して赤血球変形能を改善し、微小循環不
全等の血流障害を治療し得る新規な赤血球変形能改善剤
を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1) 【化1】 (ただし、式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は同一ま
たは異なる水素原子または低級アルキル基を表し、R5
は水素原子、低級アルキル基または低級アシル基を表
し、Xは糖残基中の水酸基の水素原子が低級アルキル基
または低級アシル基で置換されていてもよい単糖残基ま
たはオリゴ糖残基を表し、nは0〜6の整数であり、お
よびmは1〜6の整数である)で表されるクロマノール
配糖体を含有してなる赤血球変形能改善剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な赤血球変形
能改善剤に関する。詳しくは、水溶性のクロマノール配
糖体を有効成分とする赤血球変形能改善剤に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】赤血球は両凹円盤状の特徴的な形状をも
ち、その径はヒトの場合約8μmあり、毛細血管の平均
径5〜6mmより大きい。したがって、赤血球は変形し
て毛細血管を通過することになる。そのため、赤血球の
変形能が毛細血管での血流速度や血流量を左右する最も
重量な因子になると考えられる。さらに、酸素輸送の要
請から血液中に占める赤血球の割合は体積的に約半分に
も及ぶため、毛細血管ばかりでなく太い血管においても
血液の流動性は赤血球変形能に大きく依存するものであ
る。かかる赤血球変形能の低下による微小循環不全等の
血流障害は、粥状動脈硬化症、脳粥状硬化症、バージャ
ー病、ビュルガー病等の抹消血行障害、脳血栓・脳梗塞
・脳血管障害等の後遺症等や、高血圧症、臓器循環障害
等において重大な影響を及ぼすことが知られている。こ
れらの障害を治療する目的でいくつかの赤血球変形能改
善剤が開発されてきたが未だ満足するべきものはなく、
優れた赤血球変形能改善作用を有する薬剤の開発が望ま
れていた。
【0003】一方、本発明に用いられるクロマノール配
糖体は既知の化合物である(特開平7−118287号
公報、特開平9-249688号公報、特開平11−2
1291号公報)。該クロマノール配糖体は、代表的な
ビタミンEであるα−トコフェロールのクロマン環の2
位のフィチル基をアルコールで置換し、さらに糖を結合
させて得られるものであり、高い水溶性と優れた抗酸化
作用を有する。しかし、該クロマノール配糖体を上述の
赤血球変形能改善剤に利用することは知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の有する問題点に鑑みなされたものであり、その目的と
するところは、副作用を伴うことなく少用量で効果的に
作用して赤血球変形能を改善し、微小循環不全等の血流
障害を治療し得る新規な赤血球変形能改善剤を提供する
ことにある。
【0005】本発明の他の目的は、有効成分を高濃度で
含有する水性製剤とすることができ、安定性、経皮吸収
性に優れた新規な赤血球変形能改善剤を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、微小循環
不全等の血流障害について鋭意研究を重ねた結果、前記
クロマノール配糖体が、極めて効果的に赤血球変形能を
改善し前記障害を治療し得ることを見出し本発明を完成
した。
【0007】即ち、本発明は、下記一般式(1)
【0008】
【化2】
【0009】(ただし、式中、R1 、R2 、R3 および
4 は同一または異なる水素原子または低級アルキル基
を表し、R5 は水素原子、低級アルキル基または低級ア
シル基を表し、Xは糖残基中の水酸基の水素原子が低級
アルキル基または低級アシル基で置換されていてもよい
単糖残基またはオリゴ糖残基を表し、nは0〜6の整数
であり、およびmは1〜6の整数である)で表されるク
ロマノール配糖体を含有してなる赤血球変形能改善剤で
ある。
【0010】本発明はまた、前記クロマノール配糖体は
2−(α−D−グルコピラノシル)メチル−2,5,
7,8−テトラメチルクロマン−6−オールである前記
赤血球変形能改善剤である。
【0011】本発明はさらに、水性製剤である前記赤血
球変形能改善剤である。
【0012】本発明はまた、粥状動脈硬化症、脳粥状硬
化症、抹消血行障害、脳血栓後遺症、脳梗塞後遺症、脳
血管障害後遺症、臓器循環障害、高血圧症、歯周病、凍
傷、凍瘡、ヒビまたはアカギレの治療剤である前記赤血
球変形能改善剤である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の赤血球変形能改善剤は、
前記一般式(1)で表されるクロマノール配糖体を有効
成分とすることを特徴とするものである。
【0014】前記一般式(1)において、R1 、R2
3 、R4 およびR5 の低級アルキル基としては、炭素
原子数が1〜8、好ましくは1〜6の低級アルキル基が
よく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソ
プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イ
ソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等
が挙げられる。これらの中では、メチル基またはエチル
基が好ましい。また、R5 の低級アシル基としては、炭
素原子数が1〜8、好ましくは1〜6の低級アシル基が
よく、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル
基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバ
レリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイ
ル基、オクタノイル等が挙げられる。これらの中では、
アセチル基、プロピオニル基またはブチリル基が好まし
い。また、Xの単糖残基としては、グルコース、ガラク
トース、フコース、キシロース、マンノース、ラムノー
ス、フルクトース、アラビノース、リキソース、リボー
ス、アロース、アルトロース、イドース、タロース、デ
オキシリボース、2−デオキシリボース、キノボース、
アベクオース等の糖残基が挙げられる。Xのオリゴ糖残
基としては、上記単糖が2〜4個結合したもの、例えば
マルトース、ラクトース、セロビオース、ラフィノー
ス、キシロビオース、スクロースの糖残基等が挙げられ
る。これらの中ではグルコース、ガラクトース、フコー
ス、キシロース、ラムノース、マンノース、フルクトー
ス等の単糖残基が好ましい。また、Xの糖残基中の水酸
基の水素原子は低級アルキル基、好ましくは炭素原子数
が1〜8の低級アルキル基、または低級アシル基、好ま
しくは炭素原子数が1〜10の低級アシル基で置換され
ていてもよい。さらに、nは0〜6、好ましくは1〜4
の整数であり、mは1〜6、好ましくは1〜3の整数で
ある。一般式(1)で表されるクロマノール配糖体の好
ましい例としては、2−(α−D−グルコピラノシル)
メチル−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−6−
オール、2−(β−D−ガラクトピラノシル)メチル−
2,5,7,8−テトラメチルクロマン−6−オール、
2−(β−L−フコピラノシル)メチル−2,5,7,
8−テトラメチルクロマン−6−オール、2−(α−L
−ラムノピラノシル)メチル−2,5,7,8−テトラ
メチルクロマン−6−オール、2−(β−D−キシロピ
ラノシル)メチル−2,5,7,8−テトラメチルクロ
マン−6−オール、2−(β−D−グルコピラノシル)
メチル−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−6−
オール、2−(β−D−フルクトフラノシル)メチル−
2,5,7,8−テトラメチルクロマン−6−オール、
2−(α−D−マンノピラノシル)メチル−2,5,
7,8−テトラメチルクロマン−6−オール等が挙げら
れる。
【0015】本発明に用いられるクロマノール配糖体
は、例えば特開平7−118287号公報、特開平9-
249688号公報、特開平11-21291号公報に
記載の方法により、下記一般式(2):
【0016】
【化3】
【0017】(ただし、式中、R1 ,R2 ,R3
4 、R5 およびnは前記と同義である)で表される2
−置換アルコールおよびオリゴ糖類を相当する糖転位作
用を触媒する酵素の存在下に反応させ、2−置換アルコ
ールの2位の水酸基に対して特異的に糖の特定の水酸基
を結合させることからなる酵素反応によって製造される
(酵素法)。
【0018】上記反応において原料として用いられる一
般式(2)で表される2−置換アルコール(以下、単に
「2−置換アルコール」という)は公知の物質であり、
例えば、特公平1−43755号公報や特公平1−49
135号公報等に開示された方法により得ることができ
る。また、例えば、一般式(2)中、R1 、R2 、R 3
およびR4 がメチル基、R5 が水素原子であり、nが1
である2−置換アルコールは、α−トコフェロールのク
ロマン環の2位のフィチル基がカルボキシル基で置換さ
れた構造を有する6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テ
トラメチルクロマン−2−カルボン酸(商品名「トロロ
ックス(Trolox)」)を水素化リチウムアルミニ
ウムの存在下においてジエチルエーテル中で加熱還流処
理すること等により容易に得ることができる。
【0019】上記反応において使用される糖転位作用を
触媒する酵素は、当該反応に用いる糖の種類によって以
下のように使い分けることが好ましい。
【0020】(1)2−置換アルコールにα−結合でグ
ルコース残基を結合させる場合: (a)マルトースからマルトテトラオース位のマルトオ
リゴ糖に対してはα−グルコシダーゼ(α−gluco
sidase,EC3.2.1.20)を作用させるこ
とが望ましい。α−グルコシダーゼとしては、ほぼ全て
の起源由来のものを用いることができ、具体的には、東
洋紡績株式会社製のサッカロマイセス属(Saccha
romyces sp.)由来のα−グルコシダーゼ、
オリエンタル酵母工業株式会社製のサッカロマイセス
セロビイシエ(Saccharomyces cere
visiae)由来のα−グルコシダーゼ、天野製薬株
式会社製のアスペルギルス ニガー(Aspergil
lus niger)由来のα−グルコシダーゼ、和光
純薬工業株式会社製のサッカロマイセス属(Sacch
aromyses sp.)由来のα−グルコシダー
ゼ、シグマ(SIGMA)製のベーカー イースト(B
akers yeast)由来のα−グルコシダーゼ、
バチルス属(Bacillus)由来のα−グルコシダ
ーゼ等が挙げられる。
【0021】(b)可溶性澱粉または澱粉に対しては4
−α−グルカノトランスフェラーゼ(4−α−D−gl
ucanotransferase,EC2.4.1.
25)を作用させることが望ましい。
【0022】(2)2−置換アルコールにα−結合でグ
ルコース残基またはマルトオリゴ糖残基を結合させる場
合:マルトオリゴ糖、可溶性澱粉、澱粉またはシクロデ
キストリン(α、β、γ)などに対してはシクロデキス
トリングルカノトランスフェラーゼ(cyclodex
trin glucanotransferase,E
C2.4.1.19)を作用させることが望ましい。代
表的な例としては、天野製薬株式会社製のバチルス マ
セランス(Bacillus macerans)由来
のシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、株
式会社林原生物化学研究所製のバチルス ステアロサー
モフィラス(Bacillus stearother
mophilus)由来のシクロデキストリングルカノ
トランスフェラーゼ、その他にはバチルス メガテリウ
ム(Baccillus megaterium)、バ
チルス サーキュランス ATCC 9995(Bac
illus circulans ATCC 999
5)由来のシクロデキストリングルカノトランスフェラ
ーゼなどが挙げられる。
【0023】(3)2−置換アルコールにβ−結合でグ
ルコース残基を結合させる場合: (a)セロビオース、カードランまたはラミナランなど
のβ−結合よりなるオリゴ糖に対してはβ−グルコシダ
ーゼ(β−glucosidase,EC3.2.1.
21)を作用させることが望ましい。
【0024】(b)リン酸存在下のセロビオースに対し
てはセロビオース ホスホリラーゼ(cellobio
se phosphorylase,EC2.4.1.
20)を作用させることが望ましい。
【0025】(4)2−置換アルコールにα−結合でガ
ラクトース残基を結合させる場合:メリビオースまたは
ラフィノースなどに対してはα−ガラクトシダーゼ(α
−galactosidase,EC3.2.1.2
2)を作用させることが望ましい。
【0026】(5)2−置換アルコールにβ−結合でガ
ラクトース残基を結合させる場合: (a)ラクトースなどに対してはβ−ガラクトシダーゼ
(β−galactosidase,EC3.2.1.
23)を作用させることが望ましい。
【0027】(b)アラビノガラクタンなどに対しては
エンド−1,4−β−ガラクタナーゼ(Endo−1,
4−β−galactanase,EC3.2.1.8
9)を作用させることが望ましい。
【0028】(6)2−置換アルコールにβ−結合でフ
ラクトース残基を結合させる場合: (a)ショ糖、ラフィノースまたはメリビオースなどに
対してはレバンシュークラーゼ(levansucra
se,EC2.4.1.10)を作用させることが望ま
しい。
【0029】(b)ショ糖に対してはβ−フルクトフラ
ノシダーゼ(β−fructofuranosidas
e,EC3.2.1.26)を作用させることが望まし
い。
【0030】(c)イヌリンなどに対してはイヌリンフ
ルクトトランスフェラーゼ(inulin fruct
otransferase,EC2.4.1.93)を
作用させることが望ましい。
【0031】上記反応における反応条件は、使用するク
ロマノール配糖体や酵素の種類によって異なるが、例え
ば、一般式(1)中のmが1であるクロマノール配糖体
をα−グルコシダーゼを用いて合成する場合には、2−
置換アルコールを糖溶液に溶解させることが望ましい。
そのためには有機溶媒の添加が望ましく、例えば、ジメ
チルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、メ
タノール、エタノール、アセトン、およびアセトニトリ
ルなどが挙げられ、α−グルコシダーゼの転移活性を高
める点を考慮すると、ジメチルスルホキシドやN,N−
ジメチルホルムアミドが好ましく使用される。有機溶媒
の添加濃度は、1〜50(体積/体積)%であり、反応
効率を考えると5〜35(体積/体積)%であることが
好ましい。
【0032】2−置換アルコールの濃度は、反応液中に
おいて飽和濃度若しくはそれに近い濃度にすることが望
ましい。用いる糖の種類はマルトースからマルトテトラ
オース位の低分子のものが良く、好ましくはマルトース
である。糖の濃度は1〜70(質量/体積)%、好まし
くは30〜60(質量/体積)%である。pHは4.5
〜7.5、好ましくは5.0〜6.5である。反応温度
は10〜70℃、好ましくは30〜60℃である。反応
時間は1〜40時間、好ましくは2〜24時間である。
但し、これらの条件は使用する酵素量等により影響をう
けることはいうまでもない。反応終了後、反応液をXA
D(オルガノ株式会社)を担体として用いたカラムクロ
マトグラフィーで処理することにより、目的とするクロ
マノール配糖体が高純度で得られる。
【0033】また、例えば、一般式(1)中のmが1で
あるクロマノール配糖体をシクロデキストリングルカノ
トランスフェラーゼを用いて合成する場合の反応条件と
しては、2−置換アルコールを糖溶液に溶解させること
が望ましい。そのためには有機溶媒の添加が望ましく、
ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、メタノール、エタノール、アセトンおよびアセトニ
トリルなどが挙げられる。添加する有機溶媒の濃度は1
〜50(体積/体積)%、好ましくは反応効率を考える
と5〜35(体積/体積)%である。2−置換アルコー
ルの濃度は反応液中において、飽和濃度もしくはそれに
近い高い濃度にすることが望ましい。
【0034】上記反応において用いられる糖の種類とし
ては、マルトトリオース以上の重合度を持つマルトオリ
ゴ糖、可溶性澱粉、澱粉およびシクロデキストリン
(α、β、γ)などが好ましく挙げられる。糖の濃度は
1〜70(質量/体積)%、好ましくは5〜50(質量
/体積)%である。pHは4.5〜8.5、好ましくは
5.0〜7.5である。反応温度は10〜70℃、好ま
しくは30〜60℃である。反応時間は1〜60時間、
好ましくは2〜50時間である。但し、これらの条件は
使用する酵素量により影響を受ける。このような反応に
より得られたクロマノール配糖体はmの数が1から8位
の混合物となる。そこで、この混合物をグルコアミラー
ゼ(EC3.2.1.3)を用いて処理することによっ
て、一般式(1)中のmが1であるクロマノール配糖体
だけを得ることができる。この際の反応温度は20〜7
0℃、好ましくは30〜60℃であり、反応時間は0.
1〜40時間、好ましくは1〜24時間である。但し、
これらの条件は使用する酵素の量により影響を受ける。
次に、上記グルコアミラーゼ処理後の液を、XAD(オ
ルガノ株式会社)を担体として用いたカラムクロマトグ
ラフィー処理することにより、一般式(1)中のmが1
であるクロマノール配糖体が高純度で得られる。
【0035】一般式(1)中のmが2であるクロマノー
ル配糖体を得る場合には、上記と同様の条件下で、シク
ロデキストリングルカノトランスフェラーゼによって得
られる一般式(1)におけるmが1から8位の混合物の
形態を有するクロマノール配糖体にβ−アミラーゼ(E
C3.2.1.2)を作用させることにより、一般式
(1)におけるmが1または2であるクロマノール配糖
体のみが得られる。この時の反応温度は20〜70℃、
好ましくは30〜60℃であり、反応時間は0.1〜4
0時間、好ましくは1〜24時間である。但し、これら
の条件は使用する酵素量により影響を受ける。β−アミ
ラーゼ処理後の液は、XAD(オルガノ株式会社)を担
体として用いたカラムクロマトグラフィー処理により、
一般式(1)におけるmが2であるクロマノール配糖体
が高純度で得られると同時に、一般式(1)におけるm
が1であるクロマノール配糖体も得られる。
【0036】一般式(1)におけるmが3以上であるク
ロマノール配糖体を得る場合には、上記と同様の条件下
で、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼに
よって得られる一般式(1)におけるmが1から8位の
混合物の形態を有するクロマノール配糖体を、HPLC
を用いた分取クロマトグラフィーなどで処理することに
より、高純度のクロマノール配糖体を各m毎に得ること
ができる。
【0037】上記実施態様では2−置換アルコールにグ
ルコース残基やマルトオリゴ糖残基を糖残基として結合
させる場合の態様を記載したが、ガラクトース残基、マ
ンノース残基、フルクトース残基等を糖残基として2−
置換アルコールに結合させる場合は上記糖転位作用を触
媒する酵素の項において説明した適切な酵素をそれぞれ
使用する以外は上記実施態様と同様の操作を行うことに
よって、目的とするクロマノール配糖体が高純度で得ら
れる(特開平9−249688号公報、特開平11−2
1291号公報)。
【0038】一方、本発明に用いられるクロマノール配
糖体は、特願平10−75599号に記載の方法によ
り、前記2−置換アルコールの6位の水酸基を保護基で
保護したもの(以下「糖受容体」という)とアノマー位
に脱離基を導入し他の水酸基を保護基で保護した糖の誘
導体(以下、「糖供与体」という)とを縮合反応させる
ことによっても製造できる(有機合成法)。
【0039】上記反応において使用される糖受容体の6
位の水酸基を保護する保護基としては、アセチル基、ベ
ンゾイル基、ビバロイル基、クロロアセチル基、レブリ
ノイル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、アリ
ル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェ
ニルシリル基、トリメチルシリル基およびトリチル基等
が挙げられ、特にアセチル基およびベンゾイル基が好ま
しい。
【0040】上記反応において使用される糖供与体のア
ノマー位に導入される脱離基としては、塩素、臭素やフ
ッ素等のハロゲン原子、チオメチル基、チオエチル基や
チオフェニル基等の硫黄化合物およびトリクロロアセト
イミド基などが挙げられ、特に臭素、塩素、チオメチル
基、チオエチル基、チオフェニル基およびトリクロロア
セトイミド基が好ましい。また、アノマー位以外の水酸
基を保護する保護基としては、アセチル基、ベンゾイル
基、ピバロイル基、クロロアセチル基およびレブリノイ
ル基等のアシル系保護基、およびベンジル基、p−メト
キシベンジル基、アリル基、t−ブチルジメチルシリル
基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリメチルシリル
基およびトリチル基等のエーテル系保護基が挙げられ、
中でもアシル系保護基、特にアセチル基が好ましい。
【0041】これらの糖供与体は、周知の方法により糖
の全ての水酸基へ保護基を導入し、次いでアノマー位を
脱離基に置換することにより容易に調製することができ
る。
【0042】上記糖受容体と糖供与体の縮合反応につい
て示せば、まず、糖受容体と糖供与体を非極性溶媒に溶
解する。糖受容体と糖供与体の仕込量は、糖受容体に対
する糖供与体のモル比が1.0〜1.5、好ましくは
1.1〜1.3がよい。非極性溶媒としては、塩化メチ
レン、ベンゼン等が挙げられる。
【0043】次に、無水条件下で活性化剤の存在下で糖
供与体および糖受容体の縮合反応を行う。活性化剤とし
ては、三フッ化ホウ酸・エーテル錯体、過塩素酸銀、ト
リフルオロメタンスルホン酸銀、臭化水銀、シアン化水
銀、N−ヨードコハク酸イミド−トリフルオロメタンス
ルホン酸、ジメチルメチルチオスルホニウムトリフラー
ト、p−トルエンスルホン酸等が挙げられ、特に、臭素
を糖誘導体の脱離基として使用した場合には過塩素酸銀
等の重金属塩を使用することが好ましい。反応温度は5
〜30℃、好ましくは10〜25℃がよく、反応時間は
12〜48時間、好ましくは20〜30時間がよい。
【0044】次いで得られた反応物をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー等で精製し、保護基を水酸化ナトリ
ウムおよびメタノール性塩酸等で脱保護することによ
り、2−(β−L−フコピラノシル)メチル−2,5,
7,8−テトラメチルクロマン−6−オール、2−(α
−L−ラムノピラノシル)メチル−2,5,7,8−テ
トラメチルクロマン−6−オール、2−(β−D−キシ
ロピラノシル)メチル−2,5,7,8−テトラメチル
クロマン−6−オール等を得ることができる(特願平1
0−75599号)。
【0045】上記酵素法または有機合成法により得られ
たクロマノール配糖体は、一般的に、極めて高い水溶性
(約100g/100ml)を有し、かつ油溶性にも富
む(オクタノール/水系分配係数>3)両親媒性分子で
ある。いいかえると、本発明によるクロマノール配糖体
は、高い脂質親和性を備えた水溶性ビタミンEであると
いうことができる。したがって、本発明によるクロマノ
ール配糖体は、従来の水に不溶性あるいは貧溶性のビタ
ミンE誘導体とは異なり、水に溶解して使用しても高い
脂質親和性を保つので、細胞膜を透過しさらに細胞内に
も入ることができ、赤血球変形能を飛躍的に改善する。
また、上記反応により得られたクロマノール配糖体は、
熱安定性およびpH安定性に関してもトコフェロール、
トロロックスまたは2−置換アルコールに比べて著しく
向上するものである。
【0046】本発明の赤血球変形能改善剤は、前記クロ
マノール配糖体を製薬上許容される担体と配合したまた
は製薬上許容される溶剤に溶解もしくは懸濁した組成物
として、経口的または非経口的に患者に投与できる。
【0047】本剤を経口投与用とする場合には、前記ク
ロマノール配糖体を適当な添加剤、例えば、乳糖、ショ
糖、マンニット、トウモロコシデンプン、合成もしくは
天然ガム、結晶セルロース等の賦形剤、デンプン、セル
ロース誘導体、アラビアゴム、ゼラチン、ポリビニルピ
ロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロースカル
シウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デン
プン、コーンスターチ、アルギン酸ナトリウム等の崩壊
剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸
ナトリウム等の滑沢剤、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウ
ム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム等の充填剤ま
たは希釈剤等と適宜混合して、錠剤、散剤(粉末)、丸
剤、および顆粒剤等の固型製剤にすることができる。ま
た、硬質または軟質のゼラチンカプセル等を用いてカプ
セル剤としてもよい。これらの固型製剤には、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セル
ロースアセテートフタレート、メタアクリレートコポリ
マー等の被覆用基剤を用いて腸溶性被覆を施してもよ
い。さらに、前記クロマノール配糖体を、精製水等の一
般的に用いられる不活性希釈剤に溶解して、必要に応じ
て、この溶液に浸潤剤、乳化剤、分散助剤、界面活性
剤、甘味料、フレーバー、芳香物質等を適宜添加するこ
とにより、シロップ剤、エリキシル剤等の液状製剤とす
ることもできる。
【0048】また、本発明の赤血球変形能改善剤を非経
口投与用とする場合には、前記クロマノール配糖体を精
製水、リン酸緩衝液等の適当な緩衝液、生理的食塩水、
リンガー溶液、ロック溶液等の生理的塩類溶液、エタノ
ール、グリセリン及び慣用される界面活性剤等と適当に
組み合わせた滅菌された水溶液、非水溶液、懸濁液、リ
ポソームまたはエマルジョンとして、好ましくは注射用
滅菌水溶液として、静脈内、皮下、筋肉内等に投与され
る。この際、液状製剤は、生理学的なpH、好ましくは
6〜8の範囲内のpHを有することが好ましい。また、
本発明の赤血球変形能改善剤は、ローション剤、懸濁
剤、乳剤等の液状製剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏等の
半固形製剤、散剤、粉剤もしくは用時溶解して塗布する
ための顆粒剤等の固形製剤として、標的部位およびその
周辺部位に経皮的に投与してもよい。さらに、ペレット
による埋め込み、または坐薬用基剤を用いた坐薬として
投与されることも可能である。上述したうち、好ましい
製剤や投与形態等は、担当の医師によって選択される。
【0049】本発明の赤血球変形能改善剤に含まれるク
ロマノール配糖体の濃度は、投与形態、疾病の種類や重
篤度や目的とする投与量などによって様々であるが、一
般的には、原料の全質量に対して0.1〜100質量
%、好ましくは1〜90質量%である。特に、本発明の
製剤が経口投与される場合には、原料の全質量に対して
1〜100質量%、好ましくは5〜90質量%であり、
非経口投与される場合には、原料の全体積に対して0.
1〜90体積%、好ましくは1〜80体積%であること
が好ましい。この際、クロマノール配糖体の濃度が前記
上限値を超えると過剰な投与量に見合った改善効果が得
られず、前記下限値未満であると改善効果が十分に期待
できずいずれも好ましくない。
【0050】本発明の赤血球変形能改善剤の上記投与量
は、患者の年齢、体重及び症状、目的とする投与形態や
方法、治療効果、および処置期間等によって異なり、正
確な量は医師により決定されるものであるが、通常、本
剤が経口投与される場合には、クロマノール配糖体の投
与量換算で、0.1〜10000mg/kg体重/日の
投与量の範囲であり、1日1〜3回に分けて投与され
る。この際、1日当たりの経口投与量が多い場合には、
1回に複数個の錠剤等の製剤を投与してもよい。また、
本発明の赤血球変形能改善剤を非経口投与する場合に
は、クロマノール配糖体の投与量換算で、0.01〜1
000mg/kg体重/日の投与量になるように1日1
〜3回に分けて投与される。
【0051】
【実施例】本発明の赤血球変形能改善剤の赤血球変形能
の改善効果を、以下に述べる薬理試験により確認した。
【0052】クロマノール配糖体として、特開平7−1
18287号公報の実施例1に記載の方法で製造した下
記式(3)で示される2−(α−D−グルコピラノシ
ル)メチル−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−
6−オール(TMG)を用いた。
【0053】
【化4】
【0054】赤血球変形能改善効果確認試験 テルモ(株)社製のヘパリンナトリウムを含む真空採血
管(商標名:ベノジェクト)を用いヒトから血液を10
ml採取した。そして血液を遠心分離(3500rp
m、10分間、4℃)し、血漿およびバフィーコート
(buffy coat)を除去した。得られた赤血球
層にリン酸緩衝溶液(PBS)100mlを加え遠心分
離(3000rpm、10分間、4℃)し、バフィーコ
ートを含む上澄み液を廃棄した。この操作を計3回行っ
た。そして、生理食塩水を用いてヘマトクリット値を1
1%に調製した。
【0055】上記において調製した赤血球懸濁液360
μlに100μM TMGを40μl添加し、暗所下、
37℃において30分間インキュベーションした。この
ときのTMGの最終濃度は10μMであった。TMGの
代わりにPBSを40μl添加し、同様に処理したもの
をコントロールとした。
【0056】赤血球変形能は、菊地佑二他「細胞マイク
ロレオロジー測定装置MC−FAN」細胞第30巻第7
号第27〜30頁に記載された方法に従って、細胞マイ
クロレオロジー測定装置に幅7μm、長さ30μmの流
路系を持つマイクロチャンネルアレイBloody6−
7(共に日立原町電子工業株式会社製)を取り付け、2
0cm水柱差において上記調製液100μlの通過する
時間を測定することにより評価した。結果を表1に示
す。
【0057】
【表1】
【0058】表1の結果から、TMGを添加した場合、
コントロールに比べて有意に通過時間が短縮されたこと
から、TMGが赤血球変形能を有意に亢進したことがわ
かる。
【0059】急性毒性試験 本発明の赤血球変形能改善剤について急性毒性試験を行
い、その安全性を確認した。4〜5週令のICR系マウ
スを1群3匹として用い、クロマノール配糖体として上
記と同じTMGを5%アラビアゴム液に懸濁した後、T
MG換算で500mg/kgを経口投与して1週間観察
した。この際、対照群として5%アラビアゴム液を0.
3ml経口投与した。その結果、いずれの投与群におい
てもマウスの死亡例は認められなかった。
【0060】製剤例1 TMG100g、乳糖800gおよびトウモロコシデン
プン100gをブレンダーで混合して散剤を得た。
【0061】製剤例2 TMG100g、乳糖450gおよび低置換度ヒドロキ
シプロピルセルロース100gを混合した後、10%ヒ
ドロキシプロピルセルロース水溶液350gを加えて混
練した。これを押出し造粒機を用いて造粒、乾燥して顆
粒剤を得た。
【0062】製剤例3 TMG100g、乳糖550g、トウモロコシデンプン
215g、結晶セルロース130gおよびステアリン酸
マグネシウム5gをブレンダーで混合した後、錠剤機で
打錠して錠剤を得た。
【0063】製剤例4 TMG10g、乳糖110g、トウモロコシデンプン5
8gおよびステアリン酸マグネシウム2gをV型混合機
を用いて混合した後、3号カプセルに180mgずつ充
填してカプセル剤を得た。
【0064】製剤例5 TMG200mgおよびグルコース100mgを精製水
2mlに溶解した後濾過し、濾液を2mlアンプルに分
注、封入した後滅菌して注射剤を得た。
【0065】製剤例6 TMG1g、エタノール3g、ヒドロキシエチルセルロ
ース0.2gおよびパラオキシ安息香酸メチル0.1g
を精製水100mlに混合溶解してローション剤を得
た。
【0066】
【発明の効果】上述したように、本発明の赤血球変形能
改善剤は、水溶性のクロマノール配糖体を有効成分とす
るので、赤血球変形能を飛躍的に改善し、微小循環不全
等の血流障害を治療することができる。
【0067】本発明の本発明の赤血球変形能改善剤は、
高い水溶性を有するクロマノール配糖体を有効成分とす
るので、有効成分を高濃度で含有する水性製剤とするこ
とができ、保存安定性が高い。また、経皮吸収性に優
れ、外用剤として患部に経皮的に投与することも可能で
ある。水性製剤とすることにより、少用量で効果的に作
用し赤血球変形能を改善することができるとともに、副
作用を伴わないので極めて安全に使用することができ
る。
【0068】本発明の赤血球変形能改善剤は、微小循環
不全等の血流障害に起因する各種疾患、例えば、粥状動
脈硬化症、脳粥状硬化症、バージャー病、ビュルガー病
等の抹消血行障害、脳血栓・脳梗塞・脳血管障害等の後
遺症、肝疾患、膵炎、腎不全等の臓器循環障害、高血圧
症、歯周病、凍傷、凍瘡、ヒビ・アカギレ等の治療に用
いた場合特に有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/10 101 A61P 9/10 101 9/12 9/12 17/00 17/00 17/02 17/02 // C07H 15/26 C07H 15/26

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (ただし、式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は同一ま
    たは異なる水素原子または低級アルキル基を表し、R5
    は水素原子、低級アルキル基または低級アシル基を表
    し、Xは糖残基中の水酸基の水素原子が低級アルキル基
    または低級アシル基で置換されていてもよい単糖残基ま
    たはオリゴ糖残基を表し、nは0〜6の整数であり、お
    よびmは1〜6の整数である)で表されるクロマノール
    配糖体を含有してなる赤血球変形能改善剤。
  2. 【請求項2】 前記クロマノール配糖体は2−(α−D
    −グルコピラノシル)メチル−2,5,7,8−テトラ
    メチルクロマン−6−オールである請求項1記載の赤血
    球変形能改善剤。
  3. 【請求項3】 水性製剤である請求項1または2記載の
    赤血球変形能改善剤。
  4. 【請求項4】 粥状動脈硬化症、脳粥状硬化症、抹消血
    行障害、脳血栓後遺症、脳梗塞後遺症、脳血管障害後遺
    症、臓器循環障害、高血圧症、歯周病、凍傷、凍瘡、ヒ
    ビまたはアカギレの治療剤である請求項1〜3記載の赤
    血球変形能改善剤。
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