JP2002208499A - 加速器用ビームダクト - Google Patents

加速器用ビームダクト

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JP2002208499A
JP2002208499A JP2001002299A JP2001002299A JP2002208499A JP 2002208499 A JP2002208499 A JP 2002208499A JP 2001002299 A JP2001002299 A JP 2001002299A JP 2001002299 A JP2001002299 A JP 2001002299A JP 2002208499 A JP2002208499 A JP 2002208499A
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beam duct
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duct
magnetic
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JP2001002299A
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Hiroki Miyade
宏紀 宮出
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 主として、電子ビームの入射効率を向上させ
るとともに、セプタム電磁石の漏洩磁場の影響を電子ビ
ームにほとんど与えない加速器用ビームダクトを提供す
る。 【解決手段】 電子軌道B3を所望の偏向角で偏向する
偏向電磁石と、電子を周回軌道に入射させるセプタム電
磁石120とを備え、電子ビームを周回軌道B3内に所
望のエネルギーで蓄積するようにした電子蓄積リングに
おいて、セプタム電磁石120に隣接し、電子ビームを
入射させる位置に取り付けられるビームダクト10であ
って、その素材に磁性材料を用いることにより、セプタ
ム電磁石120の漏洩磁場が蓄積電子ビームに与える影
響を低減するように構成した。この場合、ビームダクト
10の素材として、純鉄を用いるようにすると、磁気飽
和が起こりにくく磁気シールドの効果が向上するととも
に、加工が容易で、製作コストを抑えることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子やイオン等の
荷電粒子を加速する加速器一般に用いられる加速器用ビ
ームダクト及びその加速器用ビームダクトを用いた磁気
シールド方法に係り、特に、電子蓄積リングの電子ビー
ム入射に用いられるセプタム電磁石に隣接する加速器用
ビームダクト及びこの加速器用ビームダクトを用いた磁
気シールド方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明は、電子やイオン等の荷電粒子を
加速する加速器(荷電粒子を所定の周回軌道内で加速す
る円形加速器、及び、荷電粒子を直線的に加速する線形
加速器の双方を含む。)一般に用いられる加速器用ビー
ムダクトに関するものであるが、特に、電子蓄積リング
用のビームダクトを想定している。従って、以下、本発
明の理解の便を図るために、電子蓄積リングと、電子蓄
積リングに電子ビームを入射させる方法と、その入射の
際に用いられるセプタム電磁石と、従来のセプタム電磁
石の磁気シールド構造について、図3乃至図7を用いて
順次説明する。
【0003】先ず、電子蓄積リング100については、
特願2000−083715号に比較的詳細に説明され
ているので、ここでは、図3を用いて簡単に説明するの
に留める。図3はこの電子蓄積リングの一例として、レ
ーストラック型の電子蓄積リング100の平面図であ
る。このタイプの電子蓄積リング100では、図3に示
すように180度偏向型の偏向電磁石110A、110
Bを対向配置し、高真空に保たれたビームダクト130
内の周回軌道に、入射器140からセプタム電磁石12
0を介して入射された電子ビームを、磁場の偏向作用に
より所望のエネルギーで、水平面内の設計された周回軌
道内に蓄積する。
【0004】また、電子蓄積リング100の他の主要構
成としては、電子ビームを周回軌道内に収束する四重極
電磁石150A、150B、蓄積した電子ビームにエネ
ルギーを供給する高周波加速空胴180、電子を入射す
る際の入射軌道を形成する入射用パルスマグネット16
0、ビームダクト130内の周回軌道内に電子ビームが
設計通り蓄積されているかどうかをモニタリングするビ
ームポジションモニタ170が挙げられる。
【0005】次に、電子蓄積リング100に電子ビーム
を入射させる方法について、図3を用いて説明する。電
子蓄積リング100では、電子ビームを安定して蓄積す
るために、図3に示す入射器140により電子を一定の
エネルギーにまで加速して、電子蓄積リング100に入
射させるようにしている。例えば、図3に示すタイプの
ものでは、マイクロトロンと呼ばれる入射器140によ
り電子のパルスビームを150MeVまで加速する。一
方、入射器140から入射させられる電子は、電子蓄積
リング100の周回軌道に対して一定の角度を有してい
るため、スムーズに電子を周回軌道にのせるために、電
子ビームの方向を転換するセプタム電磁石120を用
い、このセプタム電磁石120を介して、電子蓄積リン
グ100に入射させる。
【0006】次に、このセプタム電磁石120につい
て、図4を用いて説明する。図4は、このセプタム電磁
石120の概略を示す平面図である。図4には、90度
偏向型のセプタム電磁石120が図示されている。セプ
タム電磁石120は、上述したように、入射器140か
らの電子ビームの入射角度を小さくする装置であるが、
このため、パルス状の電子ビームがこのセプタム電磁石
120を通過するのに同期して瞬間的にパルス電流で励
磁し、磁場の偏向作用を利用して、電子ビームを周回軌
道(以下、「設計軌道」という場合がある。)B3から
少し外れた位置で、周回軌道B3と平行に、入射軌道B
1に入射させる。
【0007】ところで、電子蓄積リング100では、電
子ビームは、周回軌道B3を中心に、進行方向に垂直な
平面内で振動しながら周回する。この振動のことをベー
タトロン振動というが、このベータトロン振動のため
に、入射後、電子ビームに何の工夫も施さなければ、電
子ビームは周回軌道B3を複数回周回した後に、入射さ
れたセプタム電磁石120の入射軌道B1に戻り、ビー
ムダクト130の内壁と衝突して、安定な周回軌道B3
で蓄積される前に消滅してしまう。
【0008】そこで、図3に示す入射用パルスマグネッ
ト160にパルス電流を流し、瞬間的に励磁させて、パ
ルスの立ち下がりを使って電子ビームを偏向し、入射時
のみ変形された軌道を形成して電子ビームの入射を行
う。これにより、電子は入射後もビームダクト130の
内壁と衝突することなく、周回軌道B3にのって、安定
して周回するようになる。
【0009】しかし、電子ビームは入射時、ベータトロ
ン振動の振幅が大きく、励磁されているセプタム電磁石
120の近傍を通過し、セプタム電磁石120の漏洩磁
場の影響を受けて、進行方向が偏向されて軌道が不安定
になったり、電子ビームがビームダクト130と衝突し
て消滅する等の悪影響を受ける可能性がある。
【0010】このため、従来のセプタム電磁石120で
は、磁束の漏洩を低減するために、磁性材で構成された
磁気シールド部材で磁気シールドするようにしている。
この従来のセプタム電磁石120の磁気シールド構造に
ついて、図5乃至図7を用いて説明する。図5は、セプ
タム電磁石120及びこのセプタム電磁石120に隣接
するビームダクト130の構造を示す縦断側面図であ
る。
【0011】図5に示すように、従来のセプタム電磁石
120とビームダクト130の間には、磁性材で構成さ
れた磁気シールド部材134が取り付けられている。図
5において、122は、セプタム電磁石120の励磁用
コイルで、B1は、図4にも示されているが、セプタム
電磁石120から電子蓄積リング100に入射される電
子ビームの入射軌道、同じくB3は、安定蓄積時におけ
る蓄積電子ビームの軌道(周回軌道或いは設計軌道)、
B2は入射直後の蓄積電子ビームの軌道である。
【0012】図5にB2で示すように、入射直後の蓄積
電子ビームは、セプタム電磁石120の近傍を通過する
ために、セプタム電磁石120を励磁した場合の漏洩磁
場の悪影響を受けやすい。そこで、ビームダクト130
とセプタム電磁石120の間に磁気シールド部材134
を取り付け、この磁気シールド部材134により、セプ
タム電磁石120の漏洩磁場を低減するようにしてい
る。なお、従来のビームダクト130の素材は、真空材
として多用されるアルミニウム、ステンレス、銅等の非
磁性材料が用いられてる。
【0013】この磁気シールド部材134を用いること
により生じる効果について、図6及び図7を用いて説明
する。図6は、磁気シールド部材134を用いない場合
のセプタム電磁石120の磁束FLを示す上半面だけを
表示した側面図である。図7は、磁気シールド部材13
4を用いた場合のセプタム電磁石120の磁束FLを示
す上半面だけを表示した側面図である。なお、図6及び
図7では、磁束及び各構成部材は上下対称なので、上半
分のみを図示している。
【0014】図6及び図7を対比すれば明らかである
が、磁気シールド部材134を用いた図7の方が、セプ
タム電磁石120の近傍を通過する磁束FLの数が少な
くなり、磁気シールド部材134を用いることにより漏
洩磁場がある程度低減しているのが理解される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
セプタム電磁石120の磁気シールド構造では、次のよ
うな問題があった。図5において、磁気シールド部材1
34の厚みとビームダクト130の壁厚と励磁用コイル
122とを合わせた厚みを一般にセプタム厚t1と呼ん
でいる。従来のセプタム電磁石120の磁気シールド構
造では、磁気シールド部材134を用いるために当然で
あるが、このセプタム厚t1が大きくなるという問題を
備えている。
【0016】図5にB2で示すように、入射直後の蓄積
電子ビームは磁気シールド部材134に接するビームダ
クト130の内壁面130aの近傍を通過する。一般
に、入射軌道B1と入射直後の軌道B2との距離d1を
ターンセパレーションというが、ターンセパレーション
に対するセプタム厚t1の比が大きくなれば、図5に示
す入射用パルスマグネット160を速く消磁しなければ
ならず、入射用パルスマグネット160の電源の負担増
になるほか、1回の励磁で入射できる電子ビーム量が少
なくなり、入射効率が悪くなるという問題が発生する。
【0017】また、設計軌道B3と入射直後の軌道B2
との距離が大きい方がターンセパレーションを広い範囲
で設計できるので、セプタム厚t1が小さく、入射直後
の軌道B2は、ビームダクトの内壁面130aぎりぎり
近くまで設定できれば入射効率が向上する。従って、セ
プタム厚t1が厚くければ、入射効率が悪化するので、
電子蓄積リング100の設計では、このセプタム厚t1
をいかに小さくするかということが問題になる。
【0018】即ち、このセプタム厚t1を薄くするため
に、磁気シールド部材134の厚み、励磁用コイル12
2の厚みや、ビームダクト130の壁厚を薄くする必要
がある。しかし、ビームダクト130内は高真空に保た
れているために、大気圧に耐えうる厚みが必要であるこ
と、また、磁気シールド部材134の厚みを極端に薄く
すると磁気シールド部材134が磁気飽和を起こし、磁
気シールドの効果が低減するため一定の厚みが必要であ
る。更に、励磁用コイル122の厚みも電気抵抗の関係
上ある程度以下には設定できない。
【0019】そのため、従来のセプタム電磁石120の
磁気シールド構造では、一定のセプタム厚を確保せざる
をえず、入射効率を向上させることが難しくなってい
た。また、図7に示すように、磁気シールド部材134
を用いれば、ある程度セプタム電磁石120の漏洩磁束
を低減できるが、それでも完全には電子ビームへの影響
を無くすことは困難であった。
【0020】本発明は、上記課題(問題点)を解決し、
電子ビームの入射効率を向上させるとともに、セプタム
電磁石の漏洩磁場の影響を電子ビームにほとんど与えな
い加速器用ビームダクトを提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の加速器用ビーム
ダクトは、請求項1に記載のものでは、電子やイオン等
の荷電粒子を加速する加速器に用いられ、前記荷電粒子
の軌道を真空に保持するためのビームダクトにおいて、
前記ビームダクトの素材に磁性材料を用いるように構成
した。
【0022】このように構成すると、磁性材で構成され
たビームダクトにより、外部機器等からの漏洩磁場が磁
気シールドされ、荷電粒子に対する漏洩磁場の悪影響を
除去できるので、この加速器用ビームダクトを用いる加
速器の性能や信頼性を向上させることができる。
【0023】請求項2に記載の加速器用ビームダクト
は、電子を所望の周回軌道内で加速し、又は、蓄積する
電子シンクロトロン、或いは、電子蓄積リング等の電子
円形加速器に用いられ、前記電子の周回軌道を真空に保
持するためのビームダクトにおいて、前記ビームダクト
の素材に磁性材料を用いるように構成した。
【0024】このように構成すると、電荷に比べて質量
が小さく漏洩磁場の影響を受けやすい電子を加速する場
合、特に、有効である。また、電子円形加速器では、設
計軌道内を、ほぼ光速の電子が膨大な回数周回し、漏洩
磁場の影響を多数回受けることになるので、特に、効果
的である。
【0025】請求項3に記載の加速器用ビームダクト
は、電子軌道を所望の偏向角で偏向する偏向電磁石と、
電子を設計軌道に入射させるセプタム電磁石を備え、電
子(陽電子を含む)ビームを周回軌道内に所望のエネル
ギーで蓄積するようにした電子蓄積リングにおいて、前
記セプタム電磁石に隣接し、電子ビームを入射させる位
置に取り付けられるビームダクトであって、その素材に
磁性材料を用いることにより、セプタム電磁石の漏洩磁
場が蓄積電子ビームに与える影響を低減するように構成
した。
【0026】このように構成すると、ビームダクトとセ
プタム電磁石間に磁気シールド部材を取り付けなくても
セプタム電磁石の漏洩磁場をシールドできるのでセプタ
ム厚を小さくでき、この結果、電子蓄積リングへの入射
効率を向上させることができる。また、セプタム電磁石
の漏洩磁場は、この磁気シールド用ビームダクトに誘導
されるので、ビームダクト内に蓄積される電子ビームに
与える影響を大幅に低減することができる。
【0027】請求項4に記載の加速器用ビームダクト
は、上記ビームダクトの素材として、純鉄を用いるよう
に構成した。
【0028】このように構成すると、上記効果がある上
に、磁気飽和が起こりにくく磁気シールドの効果が向上
するとともに、加工が容易で、製作コストを抑え、好適
な素材を用いた加速器用ビームダクトとすることができ
る。
【0029】請求項5に記載の加速器用ビームダクト
は、上記ビームダクトの内面を、窒化チタン等のアウト
ガス防止用のコーティング材で被覆するように構成し
た。
【0030】このように構成すると、ビームダクト内壁
からのアウトガスを抑え、電子蓄積リング等の加速器の
ビームダクト内の真空度を向上させることができる。
【0031】請求項6に記載の加速器用ビームダクトに
よる磁気シールド方法では、請求項1乃至5のいずれか
に記載の加速器用ビームダクトを用いて、電子やイオン
等の荷電粒子に対する漏洩磁場の悪影響を除去するよう
にした。
【0032】このようにすると、この加速器用ビームダ
クトを用いる加速器の性能や信頼性を向上させることが
できる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の加速器用ビームダ
クト(以下簡単に「ビームダクト」とのみいう場合があ
る。)及び磁気シールド方法の一実施の形態について、
図1及び図2を用い、図3及び図5を参照して説明す
る。図1は、本発明のビームダクトの一実施の形態を示
す断面図である。図2は、本発明のビームダクトを用い
た場合におけるセプタム電磁石120の磁束FLを示す
上半面だけを表示した側面図である。
【0034】なお、図2では、図6及び図7同様、磁束
及び各構成部材は上下対称なので、上半分のみを図示し
ている。また、図2においては、簡易に磁場計算を行う
関係上、ビームダクトの断面形状を長方形型のもので示
し、図1に示したものと整合性が無いが、計算結果に関
してはほとんど影響がないことを付記しておく。
【0035】先ず、本発明の加速器用ビームダクトの構
成について図1を用いて説明する。図1に示すように、
本実施の形態のビームダクト10は、図5に示す従来の
ビームダクト130とほぼ同一の形状をしているが、そ
の構成素材に磁性材料である純鉄を用い、かつ、内壁面
10aには、窒化チタン(TiN)をイオンプレーティ
ング法等の方法でコーティングしている。
【0036】本発明の加速器用ビームダクトを以上のよ
うに構成すると、図2に示すように、セプタム電磁石1
20の漏洩磁場は、その総量は増大してしまうが、強磁
性材料で構成されたビームダクト10の壁内10bに誘
導される。この結果、図2と図6及び図7とを比較する
と一目瞭然であるが、電子ビームが蓄積されている軌道
B2、B3、特に、セプタム電磁石120近傍の入射直
後の軌道B2に磁束FLは見られなくなり、セプタム電
磁石120の漏洩磁場の影響が大幅に低減しているのが
理解される。
【0037】即ち、従来技術では、特に、磁場の影響を
考慮せずに、真空材としてよく用いられているという理
由だけで、従来のビームダクト130には非磁性材料が
用いられていた。一方、本発明のビームダクト10で
は、この従来技術に反して、セプタム電磁石120の構
成素材に磁性材料を用いる。この結果、セプタム電磁石
120の漏洩磁場の総量は増大するものの、このセプタ
ム電磁石120の漏洩磁場の磁束FLの流れをビームダ
クト10の壁内10bに誘導することにより、蓄積され
ている電子ビームに対するセプタム電磁石120の漏洩
磁場の影響を大幅に低減するというものである。
【0038】以上の理論的説明の他に、本実施の形態で
は、実際に磁場測定も行われている。例えば、セプタム
電磁石120にパルス状の励磁電流を流して励磁させた
場合、図7に示す磁気シールド部材132を用いたとき
の軌道B2における漏洩磁場のピーク強度は10Gであ
ったのに対し、本発明のビームダクト10を用いた場合
は、同じく0.6Gであり、磁気シールドの効果が格段
に向上していることが確かめられている。
【0039】従って、本発明のビームダクト10を用い
て磁気シールドするようにすると、従来のセプタム電磁
石120の磁気シールド構造とは異なり、磁気シールド
部材134を用いる必要がなくなる。この結果、ビーム
ダクト10の壁厚と磁気シールド部材134の厚みとコ
イル122との和となっていたセプタム厚t1(図5参
照)を、図1に示すように、ビームダクト10の壁厚と
コイル122との和だけのセプタム厚t2と小さくでき
るので、入射軌道B1と入射後の電子ビームの軌道B2
との間隔d2が小さくなる。
【0040】これにより、入射用パルスマグネット16
0(図3参照)の電源への負担が軽減できるとともに入
射効率も増大する。また、設計軌道B3と入射直後の周
回軌道B2との距離を大きく取れるので、入射後にビー
ムダクト10の壁と衝突して消滅してしまう電子の数を
大幅に低減でき、電子蓄積リング100への電子の入射
効率を増大することができる。
【0041】また、従来のビームダクト130では、セ
プタム厚t1の厚みを極力小さくするために、磁性シー
ルド部材134の厚みを薄くし、漏洩磁場のシールドが
不十分であったが、本実施の形態のビームダクト10で
は、ビームダクト10自体が磁気シールドの役割を備え
るため、厚みをそれほど小さくする必要はなく、磁気シ
ールドも十分に行える。
【0042】更に、上述したように、本実施の形態のビ
ームダクト10の磁性素材に純鉄を用いることにより、
磁気飽和が起こりにくく磁気シールドの効果が向上する
とともに、加工が容易で、製作コストを抑え、好適な素
材の磁気シールド用ビームダクトとすることができる。
【0043】ところで、純鉄はこのように優れた特性を
有するが、一方で、アウトガスが発生するという問題を
備えている。アウトガスが増加するとビームダクト内の
真空度が悪くなり、電子蓄積リング100に蓄積されて
いる電子ビームの寿命が短くなるという問題が発生す
る。そこで、本実施の形態のビームダクト10では、上
述したようにこの対策として、ビームダクトの内面10
aを、窒化チタンでコーティングし、このアウトガスの
発生を抑えるように構成している。
【0044】本発明の加速器用ビームダクトは、上記実
施の形態に限定されず種々の変更が可能である。先ず、
上記実施の形態では、電子蓄積リングにおいて、セプタ
ム電磁石に隣接するビームダクトの場合で説明したが、
これは、特に、漏洩磁場の影響が大きいケースであるか
らである。しかし、本発明の加速器用ビームダクトは、
直線タイプの加速器やイオン等の他の荷電粒子を加速す
るタイプの加速器にももちろん適用できるものである。
これらに用いれば、外部機器等からの漏洩磁場の悪影響
を削減できるので加速器の性能や信頼性を向上すること
ができる。
【0045】また、上記実施の形態では、ビームダクト
の磁性材料として純鉄を用いたが、他の磁性材料を用い
たビームダクトも本発明に含まれるのは勿論のことであ
る。更に、ビームダクトの内壁面をコーティングするコ
ーティング材として、窒化チタンを用いた例で説明した
が、これを他のアウトガス防止用のコーティング材に置
き換えても構わないのは、いうまでもないことである。
【0046】
【発明の効果】本発明の加速器用ビームダクト及び磁気
シールド方法は、上記のように構成したために、以下の
ような優れた効果を有する。 (1)加速器用ビームダクトは、請求項1に記載したよ
うに、電子やイオン等の荷電粒子を加速する加速器に用
いられ、荷電粒子の軌道を真空に保持するためのビーム
ダクトにおいて、ビームダクトの素材に磁性材料を用い
るようにしたために、磁性材で構成されたビームダクト
により、外部からの漏洩磁場が磁気シールドされ、荷電
粒子に対する漏洩磁場の悪影響を除去できるので、この
加速器用ビームダクトを用いる加速器の性能や信頼性を
向上させることができる。
【0047】(2)請求項2に記載の加速器用ビームダ
クトは、電子円形加速器に用いられ、電子の周回軌道を
真空に保持するためのビームダクトにおいて、ビームダ
クトの素材に磁性材料を用いるようにしたために、電荷
に比べて質量が小さく漏洩磁場の影響を受けやすい電子
を加速する場合、特に、磁気シールドの効果が有効であ
る。 (3)また、電子円形加速器では、設計軌道内をほぼ光
速の電子が膨大な回数周回し、漏洩磁場の影響を多数回
受けることになるので、特に、効果的である。
【0048】(4)請求項3に記載の加速器用ビームダ
クトは、電子蓄積リングにおいて、セプタム電磁石に隣
接し、電子ビームを入射させる位置に取り付けられるビ
ームダクトであって、その素材に磁性材料を用いること
により、セプタム電磁石の漏洩磁場が蓄積電子ビームに
与える影響を低減するようにしたために、ビームダクト
とセプタム電磁石間に磁気シールド部材を取り付けなく
てもセプタム電磁石の漏洩磁場をシールドできるのでセ
プタム厚を小さくでき、この結果、電子蓄積リングへの
入射効率を向上させることができる。 (5)また、セプタム電磁石の漏洩磁場は、この磁気シ
ールド用ビームダクトに誘導されるので、ビームダクト
内に蓄積される電子ビームに与える影響を大幅に低減す
ることができる。
【0049】(6)請求項4に記載の加速器用ビームダ
クトは、ビームダクトの素材として、純鉄を用いるよう
にしたために、磁気飽和が起こりにくく磁気シールドの
効果が向上するとともに、加工が容易で、製作コストを
抑え、好適な素材を用いた加速器用ビームダクトとする
ことができる。
【0050】(7)請求項5に記載の加速器用ビームダ
クトは、ビームダクトの内面を、窒化チタン等のアウト
ガス防止用のコーティング材で被覆するようにしたため
に、ビームダクト内壁からのアウトガスを抑え、電子蓄
積リング等の加速器のビームダクト内の真空度を向上さ
せることができる。
【0051】(8)請求項6に記載の加速器用ビームダ
クトによる磁気シールド方法では、本発明の加速器用ビ
ームダクトを用いて、電子やイオン等の荷電粒子に対す
る漏洩磁場の悪影響を除去するようにしたため、この加
速器用ビームダクトを用いる加速器の性能や信頼性を向
上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加速器用ビームダクトの一実施の形態
を示す縦断側面図である。
【図2】本発明の加速器用ビームダクトを用いた場合に
おけるセプタム電磁石の磁束を示す上半面だけを表示し
た側面図である。
【図3】レーストラック型の電子蓄積リングの平面図で
ある。
【図4】従来のセプタム電磁石の概略を示す平面図であ
る。
【図5】セプタム電磁石及びこのセプタム電磁石に隣接
するビームダクトの構造を示す縦断側面図である。
【図6】磁気シールド部材を用いない場合のセプタム電
磁石の磁束を示す上半面だけを表示した側面図である。
【図7】磁気シールド部材を用いた場合のセプタム電磁
石の磁束を示す上半面だけを表示した側面図である。
【符号の説明】
10:ビームダクト 10a:ビームダクトの内面 100:電子蓄積リング 110A、110B:偏向電磁石 120:セプタム電磁石 B2、B3:周回軌道

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子やイオン等の荷電粒子を加速する加
    速器に用いられ、前記荷電粒子の軌道を真空に保持する
    ためのビームダクトにおいて、 前記ビームダクトの素材に磁性材料を用いるようにした
    ことを特徴とする加速器用ビームダクト。
  2. 【請求項2】 電子を所望の周回軌道内で加速し、又
    は、蓄積する電子シンクロトロン、或いは、電子蓄積リ
    ング等の電子円形加速器に用いられ、前記電子の周回軌
    道を真空に保持するためのビームダクトにおいて、 前記ビームダクトの素材に磁性材料を用いるようにした
    ことを特徴とする加速器用ビームダクト。
  3. 【請求項3】 電子軌道を所望の偏向角で偏向する偏向
    電磁石と、電子を設計軌道に入射させるセプタム電磁石
    を備え、電子(陽電子を含む)ビームを周回軌道内に所
    望のエネルギーで蓄積するようにした電子蓄積リングに
    おいて、 前記セプタム電磁石に隣接し、電子ビームを入射させる
    位置に取り付けられるビームダクトであって、 その素材に磁性材料を用いることにより、セプタム電磁
    石の漏洩磁場が蓄積電子ビームに与える影響を低減する
    ようにしたことを特徴とする加速器用ビームダクト。
  4. 【請求項4】 上記ビームダクトの素材として、純鉄を
    用いるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれかに記載の加速器用ビームダクト。
  5. 【請求項5】 上記ビームダクトの内面を、例えば窒化
    チタン等のアウトガス防止用のコーティング材で被覆す
    るようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれ
    かに記載の加速器用ビームダクト。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の加速
    器用ビームダクトを用いて、電子やイオン等の荷電粒子
    に対する漏洩磁場の悪影響を除去するようにしたことを
    特徴とする加速器用ビームダクトによる磁気シールド方
    法。
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