JP2003013176A - プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた高延性冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた高延性冷延鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
に、比較的低い温度での熱処理によって引張強さが極め
て大きく上昇する歪時効硬化特性に優れた高延性冷延鋼
板およびその製造方法を提案する。 【解決手段】C:0.20%以下、Si:2.0 %以下、Mn:3.
0 %以下、Cu:0.5 〜3.0 %を含み、Si、P、S、Al、
Nを適正量に調整した鋼スラブを素材とし、熱延工程、
冷延工程を施し、Ac1 変態点〜Ac3 変態点の温度域で加
熱均熱処理を行い、引き続き300 〜500 ℃の温度域にて
30〜1200sの滞留処理を行う再結晶焼鈍工程を施し、主
相であるフェライト相と、体積率で1%以上の残留オー
ステナイト相を含む第2相との複合組織とする。優れた
プレス成形性とΔTS:80MPa 以上になる優れた歪時効
硬化特性を得る。Cuに代えて、Cr、Mo、Wの1種または
2種以上を合計で2.0 %以下含有してもよい。
Description
冷延鋼板に係り、とくに、曲げ加工性、伸びフランジ加
工性、絞り加工性等のプレス成形性が良好で、しかもプ
レス成形後の熱処理により引張強さが顕著に増加する、
極めて大きな歪時効硬化特性を有する高延性冷延鋼板お
よびその製造方法に関する。
S)と延性(El)のバランス(TS×El)が19000M
Pa%以上の引張特性を有する鋼板を意味する。また、本
発明でいう極めて大きな歪時効硬化特性、すなわち「歪
時効硬化特性に優れる」とは、ΔTS:80MPa 以上にな
る歪時効硬化特性を有することを意味する。本発明にお
いて、ΔTSとは、塑性歪量5%以上の予変形処理後、
150 〜 350℃の範囲の温度で保持時間:30s以上の熱処
理を施したときの、熱処理前後の引張強さ増加量{=
(熱処理後の引張強さ)−(予変形処理前の引張強
さ)}を意味する。
ス規制に関連して、自動車の車体重量の軽減が極めて重
要な課題となっている。最近、車体重量の軽減のため
に、自動車用鋼板を高強度化して鋼板板厚を低減するこ
とが検討されている。鋼板を素材とする自動車の車体用
部品の多くがプレス加工により成形されるため、使用さ
れる冷延鋼板には、優れたプレス成形性を有することが
要求される。優れたプレス成形性を有する鋼板となるた
めには、まず高い延性を有することが必要となる。ま
た、伸びフランジ成形が多用される場合もあり、高い穴
拡げ率を有することも必要となる。しかし、一般に、鋼
板を高強度化すると、延性が低下し、穴拡げ率が低下し
て、プレス成形性が低下する傾向にある。
め、自動車車体の安全性が重視され、そのために衝突時
における安全性の目安となる耐衝撃特性の向上が要求さ
れている。耐衝撃特性の向上には、完成車での強度が高
いほど有利になる。したがって、自動車部品の成形時に
は、強度が低く、高い延性を有してプレス成形性に優
れ、完成品となった時点では、強度が高くて耐衝撃特性
に優れる冷延鋼板が最も強く望まれていた。
強度化とを両立させた鋼板が開発された。この鋼板は、
プレス加工後に100 〜200 ℃の高温保持を含む塗装焼付
処理を施すと降伏応力が上昇する塗装焼付硬化型鋼板で
ある。この鋼板では、最終的に固溶状態で残存するC量
(固溶C量)を適正範囲に制御し、プレス成形時には軟
質で、形状凍結性、延性を確保し、プレス成形後に行わ
れる塗装焼付処理時に、残存する固溶Cがプレス成形時
に導入された転位に固着して、転位の移動を妨げ、降伏
応力を上昇させる。しかしながら、この塗装焼付硬化型
自動車用鋼板では、降伏応力は上昇させることができる
ものの、引張強さまでは上昇させることができなかっ
た。
08〜0.20%、Mn:1.5 〜3.5 %を含み残部Feおよび不可
避的不純物からなる成分組成を有し、組織がフェライト
量5%以下の均一なベイナイトもしくは一部マルテンサ
イトを含むベイナイトで構成された焼付硬化性高張力冷
延薄鋼板が開示されている。特公平5-24979 号公報に記
載された冷延鋼板は、連続焼鈍後の冷却過程で400 〜20
0 ℃の温度範囲を急冷し、その後を徐冷とすることによ
り、組織を従来のフェライト主体の組織からベイナイト
主体の組織として、従来になかった高い焼付硬化量を得
ようとするものである。
載された鋼板では、塗装焼付け後に降伏強さが上昇し、
従来になかった高い焼付け硬化量が得られるものの、依
然として引張強さまでは上昇させることが難しく、耐衝
撃特性の向上が期待できないという問題があった。プレ
ス成形後に熱処理を施し、降伏応力のみならず引張強さ
をも上昇させようとする鋼板が、熱延鋼板ではあるが、
いくつか提案されている。
0.02〜0.13%、Si:2.0 %以下、Mn:0.6 〜2.5 %、so
l.Al:0.10%以下、N:0.0080〜0.0250%を含む鋼を、
1100℃以上に再加熱し、850 〜950 ℃で仕上圧延を終了
する熱間圧延を施し、ついで15℃/s以上の冷却速度で
150 ℃未満の温度まで冷却し巻取り、フェライトとマル
テンサイトを主体とする複合組織とする、熱延鋼板の製
造方法が提案されている。しかしながら、特公平8-2304
8 号公報に記載された技術で製造された鋼板では、歪時
効硬化により降伏応力とともに引張強さが増加するもの
の、150 ℃未満という極めて低い巻取温度で巻き取るた
め、機械的特性の変動が大きいという問題があった。ま
た、プレス成形−塗装焼付処理後の降伏応力の増加量の
ばらつきが大きく、さらに、穴拡げ率(λ)が低く、伸
びフランジ加工性が低下しプレス成形性が不足するとい
う問題もあった。
をめっき原板とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提
案されている。この方法は、C:0.05%以下、Mn:0.05
〜0.5 %、Al:0.1 %以下、Cu:0.8 〜2.0 %を含む鋼
スラブを巻取温度:530 ℃以下の条件で熱間圧延を行
い、続いて530 ℃以下の温度に加熱し、鋼板表面を還元
したのち、溶融亜鉛めっきを施すことにより、成形後の
熱処理による著しい硬化が得られるとしている。しかし
ながら、この方法で製造された鋼板では、成形後熱処理
により著しい硬化を得るためには、熱処理温度を500 ℃
以上とする必要があり、熱処理温度が高く、実用上問題
を残していた。
板あるいは冷延板をめっき原板とし、成形後の熱処理に
より強度上昇が期待できる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法が提案されている。この方法は、C:0.01〜0.
08%を含み、Si、Mn、P、S、Al、Nを適正量としたう
えで、Cr、W、Moの1種または2種以上を合計で0.05〜
3.0 %含有する鋼を熱間圧延したのち、あるいはさらに
冷間圧延または、調質圧延し焼鈍したのち、溶融亜鉛め
っきを行い、その後加熱合金化処理を施すというもので
ある。この鋼板は、成形後、200 〜450 ℃の温度域で加
熱することにより引張強さ上昇が得られるとされる。し
かしながら、得られた鋼板は、ミクロ組織が、フェライ
ト単相、フェライト+パーライト、またはフェライト+
べイナイト組織であるため、高い延性が得られず、プレ
ス成形性が低下するという問題があった。
うに、極めて強い要求があるにもかかわらず、これらの
特性を満足する鋼板を工業的に安定して製造する技術が
これまでになかったことに鑑み成されたものであり、上
記した問題を有利に解決し、自動車用鋼板として好適
な、優れたプレス成形性を有し、かつプレス成形後に、
比較的低い温度での熱処理によって引張強さが極めて大
きく上昇する歪時効硬化特性に優れた高延性冷延鋼板お
よびこの高延性冷延鋼板を安定して生産できる製造方法
を提案することを目的とする。
課題を達成するために、歪時効硬化特性におよぼす合金
元素の影響について鋭意研究を重ねた。その結果、鋼板
組織をフェライトを主相とし第2相として残留オーステ
ナイトを含む相との複合組織とし、鋼板化学組成を、C
含有量が低〜中炭素域で、適正範囲内のCu量と、あるい
は適正含有量範囲内のMo、Cr、Wのうちから選ばれた1
種または2種以上とを含有する組成とすることにより、
予歪量:5%以上とした予変形処理と150 ℃以上350 ℃
以下の比較的低い温度の熱処理後に、降伏応力の増加に
加え、引張強さも顕著に増加する高い歪時効硬化が得ら
れることを見いだした。また、このような高い歪時効硬
化特性に加えて、良好な延性、高い穴拡げ率を有し、プ
レス成形性に優れた鋼板となることを見いだした。
果について説明する。質量%で、C:0.10%、Si:1.2
%、Mn:1.4 %、P:0.01%、S:0.005 %、Al:0.03
%、N:0.002 %を含有し、Cuを0.3 %、1.3%と変化
した組成を有するシートバーについて、1250℃に加熱−
均熱後、仕上圧延終了温度が900 ℃となるように3パス
圧延を行って板厚4.0 mmの熱延板とした。なお、仕上圧
延終了後、コイル巻取り処理として600 ℃×1 hの保温
相当処理を施した。引き続き、70%の冷間圧延を施して
板厚1.2 mmの冷延板とした。ついで、これらの冷延板
に、700 〜850 ℃の範囲の温度に加熱し60s間均熱する
加熱均熱処理を行った後、400 ℃まで冷却しその温度
(400 ℃)で 300s保持する滞留処理を含む再結晶焼鈍
を施した。この再結晶焼鈍により、組織が、フェライト
単相からフェライトを主相として残留オーステナイトを
含む相を第2相とする複合組織(以下フェライト+残留
オーステナイトの複合組織ともいう)まで変化した各種
鋼板が得られた。
し引張特性を調査した。さらに、これら冷延鋼板の歪時
効硬化特性について調査した。まず、これら冷延板から
試験片を採取し、これら試験片に引張予歪量5%の予変
形処理を施し、ついで50〜350 ℃×20min の熱処理を施
したのち、引張試験を実施し引張特性(YS、TS)を
求めた。歪時効硬化特性は、熱処理前後の引張強さ増加
量ΔTSで評価した。ΔTSは、熱処理を施した後の引
張強さTSHTと、熱処理を施さない場合の引張強さTS
との差(=(熱処理後の引張強さTSHT)−(予変形処
理前の引張強さTS))とした。なお、引張試験は、JI
S 5号引張試験片を用いて実施した。
およぼすCu含有量の影響を示す。なお、ΔTSは、得ら
れた冷延板から採取した試験片に、引張予歪量5%の予
変形処理を施し、ついで250 ℃×20min の熱処理を施し
たのち、引張試験を実施して求めた。図1から、Cu含有
量が1.3 質量%の場合には、再結晶焼鈍温度を750 ℃以
上として鋼板組織をフェライト+残留オーステナイト複
合組織とすることにより、ΔTS:80MPa 以上という高
い歪時効硬化特性が得られることがわかる。一方、Cu含
有量が0.3 質量%の場合には、いずれの再結晶焼鈍温度
でもΔTS:80MPa 未満であり、高い歪時効硬化特性は
得られない。図1からCu含有量を適正範囲とし、組織を
フェライト+残留オーステナイト複合組織とすることに
より、高い歪時効硬化特性を有する冷延鋼板を製造する
ことが可能であることがわかる。
度の関係におよぼすCu含有量の影響を示す。鋼板は、冷
延後、フェライト(α)+オーステナイト(γ)の2相
域である800 ℃で保持時間60sの焼鈍を施した後、保持
温度(800 ℃)から30℃/sの冷却速度で400 ℃まで冷
却し、400 ℃で300 sの滞留処理を施したものを用い
た。これら鋼板のミクロ組織は、フェライトと残留オー
ステナイト(第2相)との複合組織であり、残留オース
テナイトの組織分率は体積率で4%であった。
るとともに増加するが、その増加量はCu含有量に大きく
依存する。Cu含有量が1.3 質量%の場合には、熱処理温
度が150 ℃以上でΔTS:80MPa 以上という高い歪時効
硬化特性が得られることがわかる。Cu含有量が0.3 質量
%の場合には、いずれの熱処理温度でも、ΔTS:80MP
a 未満であり、高い歪時効硬化特性は得られない。
ライト+残留オーステナイトの複合組織とした、Cu含有
量が0.3 質量%と1.3 質量%の材料(鋼板)について、
穴拡げ試験を実施し穴拡げ率(λ)を求めた。穴拡げ試
験は、10mmφのポンチで打ち抜いて供試片にポンチ穴を
形成したのち、頂角60°の円錐ポンチを用い、ばりが外
側になるようにして、板厚を貫通する割れが発生するま
で穴拡げを行い、穴拡げ率λを求めた。穴拡げ率λは、
λ(%)={(d−d0 )/d0 }×100 で求めた。な
お、d0 :初期穴径、d:割れ発生時の内穴径である。
は 130%、Cu含有量が0.3 %の材料(鋼板)では、λは6
0%であった。Cu含有量が1.3 質量%の場合には、穴拡
げ率が高くなり、穴拡げ成形性が向上することが明らか
になった。Cu含有による穴拡げ成形性が高くなる詳細な
機構については、現在までに明確とはなっていないが、
Cu含有によりフェライトと残留オーステナイトおよび歪
誘起変態したマルテンサイトとの硬度差が小さくなった
ためではないかと考えられる。
の変形応力増加量測定時の予歪量である2%よりも多い
歪量での予変形と、150 ℃以上350 ℃以下といった比較
的低温域での熱処理により、鋼板中に極微細Cuが析出す
る。本発明者らの検討によれば、この極微細Cuの析出に
より、降伏応力の増加に加え、引張強さが顕著に増加す
る高い歪時効硬化特性が得られたと考えられる。このよ
うな低温域での熱処理による極微細Cuの析出は、これま
で報告されている極低炭素鋼あるいは低炭素鋼では全く
認められなかった。低温域での熱処理によって極微細Cu
が析出することについては、現在まで、その理由は明確
となっていないが、α+γの2相域での再結晶焼鈍中
に、γ相にCuが多量に分配され、それが冷却後も引き継
がれてマルテンサイト中にCuが過飽和に固溶した状態に
なり、5%以上の予歪の付加と低温熱処理により、極微
細に析出したものと考えられる。
は、さらに鋭意研究を重ねた結果、上記した現象はCuを
含まない鋼板においても起こることを知見した。Cuに代
えて、Mo、Cr、Wのうちの1種または2種以上を含有
し、組織をフェライト+残留オーステナイトの複合組織
とした鋼板に、予歪を付加し低温での熱処理を施すと、
歪誘起変態したマルテンサイト中に極微細な炭化物が歪
誘起析出し引張強さが上昇することを見いだした。この
低温加熱時の歪誘起微細析出は、Mo、Cr、Wのうちの1
種または2種以上に加えてNb、V、Tiのうちの1種また
は2種以上を含有することによりさらに顕著となること
も見いだした。
検討して完成されたものであり、本発明の要旨は下記の
とおりである。 (1)鋼板の組織が、主相であるフェライト相と、体積
率で1%以上の残留オーステナイト相を含む第2相との
複合組織であることを特徴とするプレス成形性に優れ、
かつΔTS:80MPa 以上になる歪時効硬化特性に優れた
高延性冷延鋼板。 (2)(1)において、前記鋼板の組成が、質量%で、
C:0.20%以下、Si:2.0 %以下、Mn:3.0 %以下、
P:0.1 %以下、S:0.02%以下、Al:0.3 %以下、
N:0.02%以下、Cu:0.5 〜3.0 %を含み、残部がFeお
よび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴と
するプレス成形性に優れ、かつΔTS:80MPa以上にな
る歪時効硬化特性に優れた高延性冷延鋼板。 (3)(2)において、前記組成に加えてさらに、質量
%で、次A群〜C群 A群:Ni:2.0 %以下 B群:Cr、Moのうちの1種または2種を合計で2.0 %以
下 C群:Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で
0.2 %以下 のうちの1群または2群以上を含有することを特徴とす
るプレス成形性に優れ、かつΔTS:80MPa 以上になる
歪時効硬化特性に優れた高延性冷延鋼板。 (4)(1)において、前記鋼板の組成が、質量%で、
C:0.20%以下、Si:2.0 %以下、Mn:3.0 %以下、
P:0.1 %以下、S:0.02%以下、Al:0.3 %以下、
N:0.02%以下を含み、さらに、Mo:0.05〜2.0 %、C
r:0.05〜2.0 %、W:0.05〜2.0 %のうちから選ばれ
た1種または2種以上を合計で2.0 %以下含有し、残部
がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有することを
特徴とするプレス成形性に優れ、かつΔTS:80MPa 以
上になる歪時効硬化特性に優れた高延性冷延鋼板。 (5)(4)において、前記組成に加えてさらに、質量
%で、Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で
2.0 %以下を含有することを特徴とするプレス成形性に
優れ、かつΔTS:80MPa 以上になる歪時効硬化特性に
優れた高延性冷延鋼板。 (6)質量%で、C:0.20%以下、Si:2.0 %以下、M
n:3.0 %以下、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:
0.3 %以下、N:0.02%以下、Cu:0.5 〜3.0 %を含む
組成の鋼スラブを素材とし、該素材に熱間圧延を施し熱
延板とする熱延工程と、該熱延板に冷間圧延を施し冷延
板とする冷延工程と、該冷延板に再結晶焼鈍を行い冷延
焼鈍板とする再結晶焼鈍工程とを順次施す冷延鋼板の製
造方法において、前記再結晶焼鈍を、Ac1 変態点〜Ac3
変態点の温度範囲のフェライト+オーステナイトの2相
域で加熱均熱処理を行った後、冷却し、引き続き300 〜
500℃の温度域にて30〜1200sの滞留処理を行う熱処理
とすることを特徴とするプレス成形性とΔTS:80MPa
以上になる歪時効硬化特性に優れた高延性冷延鋼板の製
造方法。なお、(6)において、前記組成に加えてさら
に、質量%で、次A群〜C群 A群:Ni:2.0 %以下 B群:Cr、Moのうちの1種または2種を合計で2.0 %以
下 C群:Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で
0.2 %以下 のうちの1群または2群以上を含有してもよい。 (7)(6)において、前記組成の鋼スラブに代えて、
質量%で、C:0.20%以下、Si:2.0 %以下、Mn:3.0
%以下、P:0.1 %以下、S:0.02%以下、Al:0.3 %
以下、N:0.02%以下を含み、さらに、Mo:0.05〜2.0
%、Cr:0.05〜2.0 %、W:0.05〜2.0 %のうちから選
ばれた1種または2種以上を合計で2.0 %以下含有する
組成の鋼スラブとすることを特徴とするプレス成形性に
優れ、かつΔTS:80MPa 以上になる歪時効硬化特性に
優れた高延性冷延鋼板の製造方法。なお、(7)におい
て、前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb、Ti、Vの
うちの1種または2種以上を合計で2.0 %以下を含有し
てもよい。
S:440MPa以上の高張力冷延鋼板であり、プレス成形性
に優れ、かつプレス成形後の比較的低い温度での熱処理
により引張強さが顕著に上昇し、ΔTS:80MPa 以上に
なる歪時効硬化特性に優れた高延性冷延鋼板である。
る。本発明の冷延鋼板は、組織が、フェライト相を主相
とし、主相と、体積率で1%以上の残留オーステナイト
相を含む第2相との複合組織を有する冷延鋼板である。
本発明では、高い延性(El)と、高い強度と延性のバ
ランス(TS×El)を有し、優れたプレス成形性を有
する冷延鋼板とするために、鋼板の組織を、主相である
フェライト相と、残留オーステナイト相を含む第2相と
の複合組織とする必要がある。主相であるフェライト相
は、体積率で50%以上とするのが好ましい。フェライト
相が、50%未満では、高い延性を確保することが困難と
なりプレス成形性が低下する。また、さらに良好な延性
が要求される場合にはフェライト相の体積率は80%以上
とするのが好ましい。なお、複合組織の利点を利用する
ために、フェライト相は98%以下とするのが好ましい。
ーステナイト相を、全組織に対する体積率で1%以上含
有する必要がある。残留オーステナイト相が1%未満で
は、高いElを得ることができない。なお、より高い延
性(El)を得るためには残留オーステナイト相は2%
以上含有することが好ましく, より好ましくは3%以上
である。
オーステナイト相単独としても、あるいは体積率で1%
以上の残留オーステナイト相と、副相としてそれ以外の
パーライト相、ベイナイト相、マルテンサイト相のいず
れかを混合した相としてもよく、とくに限定されない。
上記した組織を有する冷延鋼板は、高延性を有し、プレ
ス成形性に優れ、かつ歪時効硬化特性に優れた鋼板とな
る。
た」とは、上記したように、引張塑性歪量5%以上の予
変形処理後、150 〜 350℃の範囲の温度で保持時間:30
s以上の熱処理を施したとき、この熱処理前後の引張強
さ増加量ΔTS{=(熱処理後の引張強さ)−(予変形
処理前の引張強さ)}が80MPa 以上となることを意味す
る。なお、望ましくはΔTSは100 MPa 以上である。こ
の熱処理により降伏応力も上昇し、ΔYS{=(熱処理
後の降伏強さ)−(予変形処理前の降伏強さ)}: 80
MPa 以上が得られることはいうまでもない。
変形)量は重要な因子である。本発明者らは、自動車用
鋼板が適用される変形様式を想定して、予歪量がその後
の歪時効硬化特性に及ぼす影響について調査した。その
結果、極めて深い絞り加工以外はおおむね1軸相当歪
(引張歪)量で整理できること、また、実部品において
は、この1軸相当歪量がおおむね5%を上回っているこ
と、また、部品強度が予歪5%の歪時効処理後に得られ
る強度と良く対応すること、が明らかになった。これら
のことから、本発明では、熱処理の予歪(変形)を5%
以上の引張塑性歪とした。
n が標準として採用されているが、本発明におけるよう
に、極微細Cuの析出強化を利用する場合には、熱処理温
度は150 ℃以上が必要となる。一方、350 ℃を超える条
件では、その効果が飽和し、逆にやや軟化する傾向を示
す。また、350 ℃を超える温度に加熱すると、熱歪やテ
ンパーカラーの発生などが顕著となる。このようなこと
から、本発明では、歪時効硬化のための熱処理温度は15
0 〜350 ℃とした。なお、熱処理温度における保持時間
は30s以上とする。熱処理の保持時間については、150
〜350 ℃ではおおむね30s程度以上保持すれば、ほぼ十
分な歪時効硬化が達成される。よりおおきな安定した歪
時効硬化を得たい場合には保持時間は60s以上とするの
が望ましく、より好ましくは300 s以上である。
くに限定されないが、通常の塗装焼付処理におけるよう
に、炉による雰囲気加熱以外に、たとえば誘導加熱、無
酸化炎、レーザー、プラズマなどによる加熱などがいず
れも好適である。また、鋼板の温度を高めてプレスす
る、いわゆる温間プレスも、本発明においては極めて有
効な方法である。
ついて説明する。なお、質量%は単に%と記す。 C:0.20%以下 Cは、鋼板の強度を増加し、さらにフェライトと残留オ
ーステナイトの複合組織の形成を促進する元素であり、
本発明では残留オーステナイト形成の観点から0.01%以
上含有するのが好ましい。なお、より好ましくは0.05%
以上である。一方、0.20%を超える含有は、鋼中の炭化
物の分率が増加し、延性、さらにはプレス成形性を低下
させる。さらに、より重要な問題として、C含有量が0.
20%を超えると、スポット溶接性、アーク溶接性等が顕
著に低下する。このため、本発明では、Cは0.20%以下
に限定した。なお、成形性の観点からは0.18%以下とす
るのが好ましい。
高強度化させることができる有用な強化元素であり、ま
た残留オーステナイト相の形成を促進する元素であり、
0.1 %以上含有することが好ましい。しかし、その含有
量が2.0 %を超えると、プレス成形性の劣化を招くとと
もに、表面性状が悪化する。このため、Siは2.0 %以下
に限定した。
れを防止する有効な元素であり、含有するS量に応じて
含有するのが好ましい。このような効果は、0.5 %以上
の含有で顕著となる。一方、3.0 %を超える含有は、プ
レス成形性および溶接性を劣化させる。このため、本発
明ではMnは3.0 %以下に限定した。なお、より好ましく
は1.0 %以上である。
上、所望の強度に応じて、含有することができるが、過
剰に含有するとプレス成形性が劣化する。このため、P
は0.10%以下に限定した。なお、より優れたプレス成形
性が要求される場合には、0.08%以下とするのが好まし
い。
形性、とくに伸びフランジ成形性の劣化をもたらす元素
であり、できるだけ低減するのが好ましいが、0.02%以
下に低減すると、さほど悪影響をおよぼさなくなるた
め、本発明ではSは0.02%を上限とした。なお、優れた
伸びフランジ成形性を要求される場合には、Sは0.010
%以下とするのが好ましい。
させるのに有用な元素であり、また残留オーステナイト
相の形成に有効な元素であり、0.01%以上含有すること
が好ましい。しかし、0.30%を超えて含有してもより一
層の脱酸効果は得られず、逆にプレス成形性が劣化す
る。このため、Alは0.30%以下に限定した。なお、本発
明では、Al脱酸以外の脱酸方法による溶製方法を排除す
るものではなく、たとえばTi脱酸やSi脱酸を行ってもよ
く、これらの脱酸法による鋼板も本発明の範囲に含まれ
る。その際、CaやREM 等を溶鋼に添加しても、本発明鋼
板の特徴はなんら阻害されない。CaやREM 等を含む鋼板
も本発明範囲に含まれるのは、勿論である。
元素であり、0.001 %以上含有することが好ましいが、
0.02%を超えて含有すると、鋼板中に窒化物が増加し、
それにより鋼板の延性、さらにはプレス成形性が顕著に
劣化する。このため、Nは0.02%以下に限定した。な
お、よりプレス成形性の向上が要求される場合には0.01
%以下とするのが好適である。
加)を顕著に増加させる元素であり、本発明において最
も重要な元素の一つである。Cu含有量が0.5 %未満で
は、たとえ予変形−熱処理条件を変化させても、ΔT
S:80MPa 以上の引張強さの増加は得られない。このた
め、本発明では、Cuは0.5 %以上の含有を必要とする。
一方、3.0 %を超える含有は、効果が飽和し、含有量に
見合う効果が期待できず経済的に不利となるうえ、プレ
ス成形性の劣化を招き、さらに鋼板の表面性状が悪化す
る。このため、Cuは0.5 〜3.0 %に限定した。なお、よ
り大きいΔTSと優れたプレス成形性とを両立させるた
めには、Cuは1.0 〜2.5 %の範囲にするのが好ましい。
組成に加えてさらに、質量%で、次A群〜C群 A群:Ni:2.0 %以下 B群:Cr、Moのうちの1種または2種を合計で2.0 %以
下 C群:Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で
0.2 %以下 のうちの1群または2群以上を含有することが好まし
い。
防止に有効な元素であり、必要に応じ含有できる。含有
する場合には、その含有量は、Cu含有量に依存し、およ
そCu含有量の半分程度、具体的にはCu含有量の30〜80程
度とするのが好ましい。なお、2.0 %を超えて含有して
も、効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できず経済
的に不利となるうえ、逆にプレス成形性が劣化する。こ
のようなことから、Niは2.0 %以下に限定するのが好ま
しい。
計で2.0 %以下 B群:Cr、Moは、いずれもMnと同様に、鋼を強化する作
用を有し、好ましくは、Crは 0.1%以上、Moは 0.1%以
上必要に応じ選択して含有できる。一方、Cr、Moのうち
の1種または2種を合計で2.0 %を超えて含有すると、
プレス成形性が低下する。このため、B群:Cr、Moのう
ちの1種または2種を合計で2.0 %以下に限定するのが
好ましい。
以上を合計で0.2 %以下 C群:Nb、Ti、Vは、いずれも炭化物形成元素であり、
炭化物の微細分散により高強度化に有効に作用するた
め、好ましくはNbは0.01%以上、Tiは0.01%以上、Vは
0.01%以上、必要に応じ選択して含有できる。しかし、
Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で0.2 %
を超えて含有すると、プレス成形性が劣化する。このた
め、Nb、Ti、Vは合計で0.2 %以下に限定するのが好ま
しい。
えて、Mo:0.05〜2.0 %、Cr:0.05〜2.0 %、W:0.05
〜2.0 %のうちから選ばれた1種または2種以上を合計
で2.0 %以下含有してもよい。 Mo:0.05〜2.0 %、Cr:0.05〜2.0 %、W:0.05〜2.0
%のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で2.0
%以下 Mo、Cr、Wはいずれも、Cuと同様に、鋼板の歪時効硬化
を顕著に増加させる元素で、本発明において最も重要な
元素であり、選択して含有できる。フェライト相と残留
オーステナイト相の複合組織としたうえで、これらMo、
Cr、Wのうちの1種または2種以上を含有させることに
より、5%以上の予歪の付加(予変形)と低温熱処理に
より、残留オーステナイトが歪誘起変態してマルテンサ
イトとなり、このマルテンサイト中に、微細炭化物が歪
誘起微細析出し、ΔTS:80MPa以上の引張強さの増加
が得られる。これら元素の含有量がそれぞれ0.05%未満
では、予変形−熱処理条件を変化させても、ΔTS:80
MPa 以上の引張強さの増加は得られない。一方、これら
元素の含有量がそれぞれ2.0 %を超えて含有しても、上
記した効果は飽和し、含有量に見合う効果が期待できず
経済的に不利となるうえ、プレス成形性の劣化を招く。
このため、Mo、Cr、Wは、Mo:0.05〜2.0 %、Cr:0.05
〜2.0 %、W:0.05〜2.0 %の範囲に限定した。なお、
プレス成形性の観点から、Mo、Cr、Wの含有量の合計は
2.0 %以下に限定した。
選ばれた1種または2種以上を含有し、さらにNb、Ti、
Vのうちの1種または2種以上を合計で2.0 %以下含有
することが好ましい。 Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で2.0 %
以下 Nb、Ti、Vは、いずれも炭化物形成元素であり、Mo、C
r、Wのうちの1種または2種以上を含有する場合に、
必要に応じ選択して含有できる。Mo、Cr、Wのうちの1
種または2種以上を含有し、組織をフェライト相と残留
オーステナイト相の複合組織とし、さらにこれらNb、T
i、Vのうちの1種または2種以上を含有させることに
より、予変形−熱処理時に、残留オーステナイトが歪誘
起変態してマルテンサイトとなり、このマルテンサイト
中に微細炭化物が歪誘起微細析出し、ΔTS:80MPa 以
上の引張強さの増加が得られる。このような効果は、好
ましくはNb:0.01%以上、Ti:0.01%以上、V:0.01%
以上のうちの1種または2種以上の含有で顕著となる。
しかし、Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計
で2.0 %超えて含有すると、プレス成形性が劣化する。
このため、Nb、Ti、Vの含有量は、合計で2.0 %以下に
限定するのが好ましい。
てはいないが、B:0.1 %以下、Zr:0.1 %以下、Ca:
0.1 %以下、REM :0.1 %以下等を含有してもなんら問
題はない。上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的
不純物である。不可避的不純物としては、Sb:0.01%以
下、Sn:0.1 %以下、Zn:0.01%以下、Co:0.1 %以下
が許容できる。
いて説明する。本発明の冷延鋼板は、上記した範囲内の
組成を有する鋼スラブを素材とし、該素材に熱間圧延を
施し熱延板とする熱延工程と、該熱延板に冷間圧延を施
し冷延板とする冷延工程と、該冷延板に再結晶焼鈍を行
い冷延焼鈍板とする再結晶焼鈍工程とを順次施すことに
より製造される。
防止するために連続鋳造法で製造するのが好ましいが、
造塊法、薄スラブ連鋳法で製造してもよい。また、鋼ス
ラブを製造したのち、いったん室温まで冷却し、その後
再加熱する従来法に加え、冷却しないで、温片のままで
加熱炉に挿入する、あるいはわずかの保熱を行った後に
直ちに圧延する直送圧延・直接圧延などの省エネルギー
プロセスも問題なく適用できる。
し、熱間圧延を施し熱延板とする熱延工程を施す。熱延
工程は所望の板厚の熱延板が製造できる条件であれば通
常公知の条件でとくに問題はない。なお、好ましい熱延
条件は下記のとおりである。 スラブ加熱温度:900 ℃以上 スラブ加熱温度は、Cuを含有する組成の場合には、Cu起
因の表面欠陥を防止するために低いほうが望ましい。し
かし、加熱温度が900 ℃未満では、圧延荷重が増大し、
熱間圧延時のトラブル発生の危険が増大する。なお、酸
化重量の増加にともなうスケールロスの増大などから、
スラブ加熱温度は1300℃以下とすることが望ましい。
圧延時のトラブルを防止するといった観点から、シート
バーを加熱する、いわゆるシートバーヒーターを活用す
ることは、有効な方法であることはいうまでもない。 仕上圧延終了温度:700 ℃以上 仕上圧延終了温度FDTを700 ℃以上とすることによ
り、冷延および再結晶焼鈍後に優れた成形性が得られる
均一な熱延母板組織を得ることができる。一方、、仕上
圧延終了温度が700 ℃未満では、熱延母板組織が不均一
となるとともに、熱間圧延時の圧延負荷が高くなり、熱
間圧延時のトラブルが発生する危険性が増大する。この
ようなことから、熱延工程のFDTは700 ℃以上とする
のが好ましい。
しくは200 ℃以上である。巻取温度が800 ℃を超える
と、スケールが増加しスケールロスにより歩留りが低下
する傾向となる。なお、巻取温度が200 ℃未満となる
と、鋼板形状が顕著に乱れ、実際の使用にあたり不具合
を生じる危険性が増大する。
ブを900 ℃以上に加熱した後、仕上圧延終了温度:700
℃以上とする熱間圧延を施し、800 ℃以下好ましくは20
0 ℃以上の巻取温度で巻き取り熱延板とするのが好まし
い。なお、本発明における熱延工程では、熱間圧延時の
圧延荷重を低減するために仕上圧延の一部または全部を
潤滑圧延としてもよい。潤滑圧延を行うことは、鋼板形
状の均一化、材質の均一化の観点からも有効である。な
お、潤滑圧延の際の摩擦係数は0.25〜0.10の範囲とする
ことが好ましい。また、相前後するシートバー同士を接
合し、連続的に仕上圧延する連続圧延プロセスとするこ
とが好ましい。連続圧延プロセスを適用することは、熱
間圧延の操業安定性の観点からも望ましい。
工程では、熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする。冷間
圧延条件は、所望の寸法形状の冷延板とすることができ
ればよく、とくに限定されないが、冷間圧延時の圧下率
は40%以上とすることが好ましい。圧下率が40%未満で
は、後工程である再結晶焼鈍時に、再結晶が均一に起こ
りにくくなるからである。
鈍板とする再結晶焼鈍工程を施す。再結晶焼鈍は、連続
焼鈍ラインで行うのが好ましい。本発明では、再結晶焼
鈍は、Ac1 変態点〜Ac3 変態点の温度範囲のフェライト
+オーステナイトの2相域で加熱均熱処理を行った後、
冷却し、引き続き300 〜500 ℃の温度域にて30〜1200s
滞留させる滞留処理を行う熱処理とする。
態点〜Ac3 変態点の温度範囲のフェライト+オーステナ
イトの2相域で行うことが好ましい。加熱均熱処理温度
がAc 1 変態点未満では、フェライト単相となり、一方、
Ac3 変態点を超える高温では、結晶粒が粗大化するとと
もに、オーステナイト単相域となり、プレス成形性が著
しく劣化する。
均熱処理温度から冷却し、引き続き300 〜500 ℃の温度
域にて30〜1200sの滞留処理を行う。この加熱均熱処理
とその後の滞留処理により、1%以上の残留オーステナ
イトが形成される。滞留処理の温度が300 ℃未満では、
フェライト+マルテンサイトの複合組織となり、一方、
500 ℃を越える温度域では、フェライト+ベイナイトま
たはパーライト組織となり、いずれの場合も残留オース
テナイトが得難くなる。
時間が、30s未満では残留オーステナイトが得られず、
一方、1200sを超えると残留オーステナイトが得られず
フェライト+ベイナイト組織となる。このため、300 〜
500 ℃の温度域での滞留処理時間は30〜1200sとするこ
とが好ましい。このような再結晶焼鈍により、フェライ
ト+残留オーステナイトの複合組織が得られ、高延性特
性とともに、高いΔTSが得られる。
面粗度等の調整のために、10%以下の調質圧延工程を加
えてもよい。なお、本発明の冷延鋼板は、加工用鋼板と
してのみならず、加工用表面処理鋼板の原板としても適
用できる。表面処理としては、亜鉛めっき(合金系を含
む)、すずめっき、ほうろう等がある。
後、化成処理性、溶接性、プレス成形性および耐食性等
の改善のために特殊な処理を施してもよい。
溶製し、連続鋳造法でスラブとした。ついで、これらス
ラブを1250℃に加熱したのち、仕上圧延終了温度: 900
℃、巻取温度:600℃とする熱間圧延を施す熱延工程に
より、板厚4.0mm の熱延鋼帯(熱延板)とした。引き続
き、これら熱延鋼帯(熱延板)に酸洗、冷間圧延を施す
冷延工程により、板厚1.2mm の冷延鋼帯(冷延板)とし
た。ついで、これら冷延鋼帯(冷延板)に、連続焼鈍ラ
インで、表2に示す条件で加熱均熱処理およびそれに引
き続く滞留処理からなる再結晶焼鈍を行い、冷延焼鈍板
とする再結晶焼鈍工程を施した。得られた冷延鋼帯(冷
延焼鈍板)に、さらに伸び率:0.8 %の調質圧延を施し
た。
織、引張特性、歪時効硬化特性、穴拡げ性を調査した。
なお、プレス成形性は、伸びEl(延性)と強度ー延性
バランスTS×Elおよび穴拡げ率から評価した。 (1)微視組織 得られた鋼帯から試験片を採取し、圧延方向断面(L断
面)について、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を
用いて微視組織を観察した。鋼板中のフェライト、パー
ライト、ベイナイトおよびマルテンサイトの含有量 (組
織分率)については、倍率1000倍の断面組織写真を用い
て、画像解析により各組織の組織分率を求め、該当相の
体積率とした。また、残留オーステナイト量は、鋼板を
板厚方向の中心面まで研磨し、板厚中心面での回折X線
強度測定により求めた。入射X線にはMoK α線を使用
し、フェライト相の{110 }、{200 }、{211 }の各
面の回折X線強度に対する残留オーステナイト相の{20
0 }、{220 }、{311 }各面の回折X線強度比を求
め、これらの平均値を残留オーステナイトの体積率とし
た。
交する方向に採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張
試験を行い、降伏強さYS、引張強さTS、伸びElを
求めた。 (3)歪時効硬化特性 得られた鋼帯(冷延焼鈍板)からJIS 5号試験片を圧延
方向に直交する方向に採取し、予変形(引張予歪)とし
て5%の塑性変形を与えて、ついで250 ℃×20min の熱
処理を施したのち、引張試験を実施し、熱処理後の引張
特性(降伏応力YSHT、引張強さTSHT)を求め、ΔY
S=YSHT−YS、ΔTS=TSHT−TSを算出した。
なお、YSHT、TSHTは予変形−熱処理後の降伏応力、
引張強さであり、YS、TSは鋼帯(冷延焼鈍板)の降
伏強さ、引張強さである。
定JFS T 1001-1996 に準拠して、10mmφのポンチで打ち
抜いてポンチ穴を形成したのち、頂角60°の円錐ポンチ
を用い、ばりが外側になるようにして、板厚を貫通する
割れが発生するまで穴拡げを行い、穴拡げ率λを求め
た。穴拡げ率λは、 λ(%)={(d−d0 )/d0 }×100 で求めた。なお、d0 :初期穴径(ポンチ穴)、d:割
れ発生時の内穴径である。
高い強度ー延性バランスTS×Elを有し、さらに大き
な穴拡げ率λを示して、伸びフランジ成形性を含むプレ
ス成形性に優れるとともに、極めて大きなΔTSを示
し、歪時効硬化特性に優れた鋼板となっている。これに
対し、本発明の範囲を外れる比較例では、伸びElが低
いか、TS×Elが低いか、穴拡げ率λが小さいか、あ
るいはΔTSが小さく、プレス成形性、歪時効硬化特性
が低下した鋼板となっている。
で溶製し、連続鋳造法でスラブとした。ついで、これら
スラブを1250℃に加熱したのち、仕上圧延終了温度: 9
00℃、巻取温度:600℃とする熱間圧延を施す熱延工程
により、板厚4.0mm の熱延鋼帯(熱延板)とした。引き
続き、これら熱延鋼帯(熱延板)に酸洗、冷間圧延を施
す冷延工程により、板厚1.2mm の冷延鋼帯(冷延板)と
した。ついで、これら冷延鋼帯(冷延板)に、連続焼鈍
ラインで、表5に示す条件で、加熱均熱処理およびそれ
に引き続く滞留処理からなる再結晶焼鈍を施し、冷延焼
鈍板とする再結晶焼鈍工程を施した。得られた鋼帯(冷
延焼鈍板)に、さらに伸び率:0.8 %の調質圧延を施し
た。
1と同様に、微視組織、引張特性、歪時効硬化特性、穴
拡げ性を調査した。これらの結果を表6に示す。
高い強度ー延性バランスTS×Elを有し、さらに大き
な穴拡げ率λを示して、伸びフランジ成形性を含むプレ
ス成形性に優れるとともに、極めて大きなΔTSを示
し、歪時効硬化特性に優れた鋼板となっている。これに
対し、本発明の範囲を外れる比較例では、伸びElが低
いか、TS×El低いか、穴拡げ率λが小さいか、ある
いはΔTSが小さく、プレス成形性、歪時効硬化特性が
低下した鋼板となっている。
維持しつつ、プレス成形後の熱処理により引張強さが顕
著に上昇する冷延鋼板を、安定して製造することが可能
となり、産業上格段の効果を奏する。本発明の冷延鋼板
を自動車部品用に適用した場合、プレス成形が容易で、
かつ完成後の部品特性を安定して高くでき、自動車車体
の軽量化に十分に寄与できるという効果もある。
関係におよぼすCu含有量の影響を示すグラフである。
におよぼすCu含有量の影響を示すグラフである。
Claims (7)
- 【請求項1】 鋼板の組織が、主相であるフェライト相
と、体積率で1%以上の残留オーステナイト相を含む第
2相との複合組織であることを特徴とするプレス成形性
に優れ、かつΔTS:80MPa 以上になる歪時効硬化特性
に優れた高延性冷延鋼板。 - 【請求項2】 前記鋼板の組成が、質量%で、 C:0.20%以下、 Si:2.0 %以下、 Mn:3.0 %以下、 P:0.1 %以下、 S:0.02%以下、 Al:0.3 %以下、 N:0.02%以下、 Cu:0.5 〜3.0 % を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を
有することを特徴とする請求項1に記載の高延性冷延鋼
板。 - 【請求項3】 前記組成に加えてさらに、質量%で、下
記A群〜C群のうちの1群または2群以上を含有するこ
とを特徴とする請求項2に記載の高延性冷延鋼板。 記 A群:Ni:2.0 %以下 B群:Cr、Moのうちの1種または2種を合計で2.0 %以
下 C群:Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で
0.2 %以下 - 【請求項4】 前記鋼板の組成が、質量%で、 C:0.20%以下、 Si:2.0 %以下、 Mn:3.0 %以下、 P:0.1 %以下、 S:0.02%以下、 Al:0.3 %以下、 N:0.02%以下 を含み、さらに、 Mo:0.05〜2.0 %、Cr:0.05〜2.0 %、W:0.05〜2.0
%のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で2.0
%以下含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる
組成を有することを特徴とする請求項1に記載の高延性
冷延鋼板。 - 【請求項5】 前記組成に加えてさらに、質量%で、N
b、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で2.0 %
以下を含有することを特徴とする請求項4に記載の高延
性冷延鋼板。 - 【請求項6】 質量%で、 C:0.20%以下、 Si:2.0 %以下、 Mn:3.0 %以下、 P:0.1 %以下、 S:0.02%以下、 Al:0.3 %以下、 N:0.02%以下、 Cu:0.5 〜3.0 % を含む組成の鋼スラブを素材とし、該素材に熱間圧延を
施し熱延板とする熱延工程と、該熱延板に冷間圧延を施
し冷延板とする冷延工程と、該冷延板に再結晶焼鈍を行
い冷延焼鈍板とする再結晶焼鈍工程とを順次施す冷延鋼
板の製造方法において、前記再結晶焼鈍を、Ac1 変態点
〜Ac3 変態点の温度範囲のフェライト+オーステナイト
の2相域で加熱均熱処理を行った後、冷却し、引き続き
300 〜500℃の温度域にて30〜1200sの滞留処理を行う
熱処理とすることを特徴とするプレス成形性とΔTS:
80MPa 以上になる歪時効硬化特性に優れた高延性冷延鋼
板の製造方法。 - 【請求項7】 前記組成の鋼スラブに代えて、質量%
で、 C:0.20%以下、 Si:2.0 %以下、 Mn:3.0 %以下、 P:0.1 %以下、 S:0.02%以下、 Al:0.3 %以下、 N:0.02%以下 を含み、さらに、 Mo:0.05〜2.0 %、Cr:0.05〜2.0 %、W:0.05〜2.0
%のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で2.0
%以上含有する組成の鋼スラブとすることを特徴とする
請求項6に記載の高延性冷延鋼板の製造方法。
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