JP2003014049A - フライホイール - Google Patents

フライホイール

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JP2003014049A
JP2003014049A JP2001202523A JP2001202523A JP2003014049A JP 2003014049 A JP2003014049 A JP 2003014049A JP 2001202523 A JP2001202523 A JP 2001202523A JP 2001202523 A JP2001202523 A JP 2001202523A JP 2003014049 A JP2003014049 A JP 2003014049A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クランク系の軸方向振動を抑制し、コンコン
音を防止すると共に振動騒音の低減を図る。 【解決手段】 エンジン後部に突出されたクランクシャ
フトに取り付けられるフライホイール1において、複数
のスポーク5を有するスポーク形状とすると共に、スポ
ーク間の根元の又部にスポークの前後厚tより薄い水掻
き状の板部16を設ける。フライホイール1の振動特性
に影響を与えることなく所定のフレックスプレート当た
り面14を形成でき、フレックスプレートの疲労損傷を
防止できる。スポーク5の数が奇数であるのが好まし
く、その数は7本であってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエンジン用フライホ
イールに関する。
【0002】
【従来の技術】エンジン用フライホイールはエンジンの
クランクシャフトに取り付けられ、エンジンの回転変動
を減少させるための慣性マスとして機能する。従来、こ
の種のフライホイールとしては単なる円板状のもの、即
ちプレーンタイプが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者らが
V6エンジンにプレーンタイプのフライホイールとAT
用トルクコンバータ(トルコン)とを組み付け、アイド
リングで実機試験を行ったところ、所謂コンコン音が発
生するという問題が生じた。
【0004】即ち、図12に示すように、エンジンが運
転されると、クランクシャフト51、フライホイール5
2、フレックスプレート53及びトルクコンバータ54
からなるクランク系55が回転し、曲げ振動Bとこれに
起因した軸方向振動Lとが生じる。このとき、クランク
アーム56等が軸方向(スラスト方向)に振動し、クラ
ンクジャーナル57を支持するシリンダブロック側の軸
受部58と衝突する。この衝突の度にコンコンと音がし
て不快な騒音となってしまう。
【0005】より詳しくは、図13に示すように、シリ
ンダブロック側の軸受部58に軸受メタル59とスラス
トメタル60とが一体に固着される。クランクジャーナ
ル57は軸受メタル59により回転自在に支持され、ク
ランクアーム56はスラストメタル60によりスラスト
方向に支持される。クランクアーム56とスラストメタ
ル60との間に僅かな隙間が存在し、クランク系の軸方
向振動に伴ってクランクアーム56が隙間の範囲内で振
動し、スラストメタル60を叩いてコンコン音を発生さ
せる。
【0006】このコンコン音を防止するためには曲げ振
動Bを抑え、これに起因した軸方向振動Lを抑える必要
がある。そこで、フライホイールをスポーク形状とし、
フライホイールを軽量化することが創案された。
【0007】しかし、スポーク形状といっても様々な形
態があり、単にスポーク形状とするだけでは最大限の効
果が得られないばかりでなく、逆にコンコン音の悪化も
引き起こす可能性がある。
【0008】そこで、以上の問題に鑑みて本発明は創案
され、その目的は、クランク系の軸方向振動を抑制し、
コンコン音及び振動騒音の低減を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、エンジン後部
に突出されたクランクシャフトに取り付けられるフライ
ホイールにおいて、複数のスポークを有するスポーク形
状とすると共に、スポーク間の根元の又部にスポークの
前後厚より薄い水掻き状の板部を設けたものである。
【0010】上記板部の後面がフレックスプレート当た
り面の一部とされてもよく、上記フレックスプレート当
たり面が全体として円形とされ、全てのスポーク間に上
記板部が設けられるのが好ましい。
【0011】上記スポークの数が奇数であるのが好まし
く、その数は7本であってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】まず、本発明の好適実施形態を説
明する前に、本実施形態に係るフライホイールの開発経
緯を説明する。
【0013】本実施形態に係るフライホイールは、V6
ディーゼルエンジン及びAT用トルクコンバータと組み
合わされるべく開発された。そして軽量化のためスポー
ク形状とするものである。ここで、スポーク数が偶数だ
と半分の位置から対称に折れ曲がるような変形モードと
なってしまい、片側の変形(振動)が反対側の変形(振
動)を助長してしまって良くない。そこで、スポーク数
は奇数とし、スポーク毎に独立した変形を許容してモー
ドの分散化を図ることとした。この点については後述す
る。
【0014】次に、フライホイールを実際に製作する前
に行った事前検討の結果を図7に示す。このグラフは固
有振動数(周波数)と評価との関係を表している。評価
とは官能評価の結果をいい、10点満点で値が大きいほ
ど良い評価である。一応7点を合格基準点とした。この
グラフは全て解析結果に基づいて作成されている。
【0015】○はフライホイール単体の固有振動数のデ
ータ、△及び□はクランク系実稼動状態での固有振動数
のデータである。特に△はクランク軸系の後端曲げ、□
はクランク軸の曲げ捩りの連成の固有振動数である。一
点鎖線a上の○は1次モードの固有振動数であり、二点
鎖線b上の○は5次モードの固有振動数である。つまり
振動モードが1次から5次へと上がるにつれ、フライホ
イール単体の固有振動数は一点鎖線aから二点鎖線bへ
と変化していく。
【0016】最も右下の○(添字p1)は、従来のプレ
ーンタイプのデータで、固有振動数は高く、評価も低
い。最も左下の○(添字p2)は、プレーンタイプであ
りながら薄肉にして軽量化したものである。固有振動数
が低くなり、評価も上がったが、まだ十分ではない。左
から二番目の○(添字7s1)は、7本のスポーク形状
として軽量化したものであり、薄肉プレーンタイプより
固有振動数が若干高くなりさらに評価が良くなった。最
も上にある○(添字7s2)は、さらに改良した7本の
スポーク形状であり、さらに固有振動数が高くなり評価
が向上した。その右下の○(添字6s)は、スポーク数
を6本としたスポーク形状で、7本スポークタイプより
固有振動数が上がり、評価は大いに悪化した。
【0017】このように各種フライホイールの評価が分
かれた原因を調べてみたところ、クランク系実稼動時の
固有振動数と大きな関係があることが分かった。即ち、
フライホイールの1次から5次までの固有振動数の範囲
ないし幅が、クランク軸系の後端曲げの低い方の固有振
動数エリアcと、クランク軸の曲げ捩りの連成の固有振
動数エリアdとに引っ掛からないときが評価が良いとい
うのが分かった。これを数値的に表現すると、フライホ
イールの1次から5次までの固有振動数が、白抜き矢印
eで示す最適振動数範囲480〜650Hzに入れば良いこと
になる。こうすれば、互いの固有振動数が合致せず、共
振及びクランク系の連成振動が防止され、車載時のコン
コン音が防止される。
【0018】グラフに示されるように、薄肉プレーンタ
イプp2と初期形7本スポークタイプ7s1とは1次が
低い方のエリアcに引っ掛かっており、6本スポークタ
イプ6sは5次が高い方のエリアdに引っ掛かってお
り、いずれも好結果とはいえない。これに対し、改良形
7本スポークタイプ7s2は、1次から5次までが最適
振動数範囲480〜650Hzに入っており、好結果を得てい
る。
【0019】以上の検討結果から、7本スポークタイプ
として開発を進め、本実施形態のフライホイールを製作
するに至った。
【0020】図1に本実施形態のフライホイールを示
し、図2に図1(a)の下半分を拡大して示す。ここでは
フライホイール1の外周にリングギヤ2が取り付けられ
たフライホイールアッセンブリの形で示されている。フ
ライホイール1は鋳造の一体品で、所々機械切削加工が
施されている。図1及び図2の散点模様と図2の細かい
ギザギザ模様とは機械切削加工を行ってない鋳肌面を現
す。このフライホイールは、エンジンの後端部から突出
されたクランクシャフトに取り付けられるものであり、
Ftはエンジン側となる前、Rrは後である。エンジン
はV6ディーゼルエンジンである。
【0021】図3に示すように、エンジンEの後端部か
らクランクシャフトが突出され、そのクランクシャフト
の外周部にフランジ20が取り付けられる。フランジ2
0の後面部には、前方から順にフライホイールアッセン
ブリとフレックスプレート15とがワッシャ21を介し
て複数のボルト22により合わせ止めされる。そしてこ
れらの後方にはトルクコンバータ(図示せず)が軸方向
に相対移動可能に取り付けられる。
【0022】図1及び図2に戻って、フライホイール1
は、その中心部に形成された中心ボス部3と、最も径方
向外側に位置される外輪部4と、中心ボス部3及び外輪
部4を連結する複数(7本)のスポーク5とを一体に備
えて主に構成される。中心ボス部3はクランクシャフト
への取付部となるもので、クランクシャフトを挿通させ
るための段付の中心穴6を有すると共に、上記締結ボル
ト22を挿通させるための複数(8個)のボルト穴7を
周方向等間隔で有している。
【0023】外輪部4には、周方向等間隔で複数(6
個)のトルコン取付工具穴8が設けられ、トルコン取付
工具穴8はフレックスプレート15にトルクコンバータ
を取り付けるボルトを挿通させるものである。外輪部4
の前面部4a全体が、機械切削加工により平面に仕上げ
られると共に、スポーク5の前面部に対し寸法Bだけ前
方に突出される。外輪部4の後面部4bは、径方向外側
の一部4cのみが機械切削加工により平面に仕上げら
れ、且つその部分4cが他の部分より後方に突出され、
当該他の部分はスポーク5の後面部と面一の鋳肌面とさ
れる。外輪部4の最外周部にはリングギヤ2を圧入され
るための圧入面9と、リングギヤ2を軸方向に位置決め
するためのバックプレート10とが形成される。圧入面
9とバックプレート10の前面即ち当たり面とが機械切
削加工により平滑に仕上げられる。なお外輪部4の周方
向一ヶ所に回転バランス調整穴11が前面部4aから所
定深さドリル加工される。
【0024】スポーク5の本数は奇数、本実施形態では
7本である。これらスポーク5は中心ボス部3から放射
状に径方向外側に延出され、周方向等角度間隔で配置さ
れると共に、断面が周方向に長い長方形とされる。各ス
ポーク5の長手方向中間部には雌ねじを有したアダプタ
取付穴12が設けられる。これは、生産ラインでエンジ
ン単体の性能試験を行うときにアダプタを取り付けるの
に使用される。アダプタが後方から取り付けられるの
で、アダプタ取付穴12の後端周囲は僅かに隆起され、
機械切削加工による取付座13が形成されている。
【0025】ここで、中心ボス部3の後面部3bは前面
部3aより大径とされ、後面部3bの全体に円形のフレ
ックスプレート当たり面14が形成される。フレックス
プレート当たり面14はフレックスプレート15(図3
参照)を当接ないし着座させるためのもので、当然機械
切削加工により平滑に仕上げられる。なお前面部3aも
クランクシャフト側のフランジ20(図3参照)が当た
るため機械切削加工により平面に仕上げられる。フレッ
クスプレート15は、フライホイール1とトルクコンバ
ータT/Cとの間に介在され、トルクコンバータT/C
が軸方向に振動したときにフライホイール1への直接衝
突を防止し、衝撃を吸収するものである。フレックスプ
レート当たり面14の外周部が寸法rを有するアール面
とされ、これに沿ってフレックスプレート15が湾曲・
復元することにより所定のバネ効果とダンピング効果と
が得られる。またアール面とすることでフレックスプレ
ート15のきつい曲がりが防止され、フレックスプレー
ト15の亀裂、損傷等が防止できる。フレックスプレー
ト当たり面14の外径はDである。
【0026】このようなフレックスプレート当たり面1
4を形成するため、全てのスポーク5間の根元の又部に
は水掻き状の板部16が設けられる。板部16は、両隣
のスポーク5と中心ボス部3の外周部とに連続され、後
面16aがフレックスプレート当たり面14の一部をな
している。そして中心ボス部3の約半分の前後厚を有
し、中心ボス部3の後半部に位置付けられる。スポーク
5から見れば、スポーク5のほぼ前後中心の位置から後
にのみ板部16が存在し、スポーク5の前後厚t全てに
亘っては存在しない。
【0027】さて、このフライホイール1の特徴を述べ
ると、まずスポーク5の数が奇数なので振動モードを理
想的に分割ないし分散できる点が挙げられる。即ち、図
8はフライホイール1の各次数における変形モードを示
す。normalが変形無しの様子、Mode1,Mode2・・・がそ
れぞれ1次モード、2次モード・・・の変形の様子であ
る。付記した値は各次モードの固有振動数で、これに示
されるように1次〜5次モードの固有振動数は507.3〜6
28.2Hzで前述の最適振動数範囲480〜650Hzに入ってい
る。
【0028】例えば、3次モードにおいて、s1のスポ
ークとs2のスポークとで変形の仕方が異なる。このよ
うにスポーク毎に、或いは異なる周方向位置で異なる変
形をさせ、振動をスポーク毎に別個独立とするのが振動
モードの分割の意味である。これに対し、偶数のスポー
クだと半分の位置から対称に折れ曲がるような変形とな
り、一方の変形が他方の変形をも招いて互いの振動が助
長されてしまう。この結果フライホイール全体としても
振幅が大きくなり、クランクシャフトの軸方向振動を増
大させてしまう。なお、図9に示すように、従来のプレ
ーンタイプだとフライホイール中心に対称な御椀形の変
形となり、益々悪化方向である。こういった意味で奇数
本のスポークを備えたフライホイールが望ましい訳であ
る。
【0029】本実施形態では7本の例であるが、スポー
ク本数はこれに限定されるわけではない。
【0030】次に、フライホイール1の取付方法を説明
する。図4において、下段はV6エンジンEに取り付け
られたフライホイール1を示し、エンジンEを後方から
見たときの図である。上段は各気筒#1,#2・・・#
6のクランクピンの位置とエンジン回転方向とを示す。
図5はエンジンを上方から見たときの模式図で、各気筒
#1,#2・・・#6の配列が示される。エンジンのバ
ンク角2θ=66°である。
【0031】フライホイール1を取り付けるにあたり、
開発初期のうちは、一旦取り付けて試験を行い再度脱着
して試験を行うと、良好だった結果が悪化するという事
態が生じた。そこでこの原因を調べたところ、フライホ
イール1を取り付ける最適位相があることが判明した。
これはエンジンの燃焼(爆発)周期と同期してクランク
系の振動が発生していることにも関連する。試行錯誤の
結果、図4のように取り付けるのが最適だということが
分かった。
【0032】即ち、エンジンEの#5及び#6気筒のピ
ストンが膨張(燃焼)行程開始時期の上死点TDCにあ
るときに、クランク中心Cを境とする#5及び#6気筒
の反対側に、いずれか一本のスポーク5が位置されるこ
とである。図4(a)は#5気筒の例、図4(b)は#6気筒
の例である。
【0033】図4(a)においては、#5気筒のピストン
が膨張(燃焼)行程開始時期の上死点TDCにある。こ
れは上段の図において#5気筒のクランクピンCP5が
右バンク中心線上にあることで理解される。そしてこの
とき、下段の図に示されるように、クランク中心Cを境
とする#5気筒の反対側に一本のスポーク5aが位置さ
れている。スポーク5aは右バンクないし#5気筒の中
心線上にほぼ沿っており、#5気筒のピストンの燃焼な
いし爆発ストローク方向(白抜き矢印で示す)にほぼ沿
っている。同様のことが図4(b)に示す#6気筒に対し
てもいえる。このように、最後方の左右の2気筒を基準
として上記のような取り付け方をすることで、振動騒音
の低減及びコンコン音の防止に効果があることが確認さ
れた。
【0034】本実施形態のフライホイールはスポーク形
状なので、ある曲げ方向の入力振動に対するフライホイ
ールの応答振動はフライホイールの取付位相により違い
が生じる。上記のような取り付け方をすることで、実際
のエンジンにおいて発生する曲げ振動に対しフライホイ
ールの応答振動が最適となり、フライホイールの振動振
幅の最小化を図れ、クランク軸方向の振動の低減を図れ
る。
【0035】次に、板部16について説明する。本実施
形態のフライホイール1では、後部にフレックスプレー
ト当たり面14が形成される。相手方のフレックスプレ
ート15が決まっているため、フレックスプレート当た
り面14の形状及び諸寸法(外径Dやアール寸法r等)
を変更することができない。一方、スポーク5の諸寸法
(長さ、前後厚及び幅等)は、振動特性をメインに決め
られているため変更できない。
【0036】本実施形態のフライホイール1では、フレ
ックスプレート当たり面14の外径Dに対し、スポーク
5の根元径即ち中心ボス部3の外径D0が小さい。この
場合、スポーク5の根元形状を優先して板部16を完全
に除いてしまうと、フレックスプレート当たり面14が
一様な円形とならず切欠き形状となってしまい、フレッ
クスプレート15の当たり具合が悪化し、フレックスプ
レート15の疲労強度低下を招いてしまう。一方、フレ
ックスプレート当たり面14を優先して全前後幅に板部
16を設けてしまうと、スポーク5の長さが実質的に短
くなり振動特性に影響を及ぼしてしまう。即ち、剛性が
上がってしまうため固有振動数も上がり、図7の最適振
動数範囲に入らなくなる。そして剛性を下げるためにス
ポーク5の厚さtを薄くするとバースト強度が確保でき
なくなってしまう。なおバースト強度とは、フライホイ
ールが何回転の高回転まで破壊せず耐え得るかという強
度上の尺度で、本実施形態では10000rpmである。
【0037】そこで、折衷案として上記のような板部1
6を設けた。板部16により理想的なフレックスプレー
ト当たり面14が確保できると共に、板部16がスポー
ク5の前後厚tより薄いので、スポーク5の根元部に追
加しても大きく振動特性を損なうことがない。なお、板
部16を設けたフライホイールで解析を行ってみたが好
適な結果を得ることができた。
【0038】板部は、フライホイールの振動特性に影響
を与えず且つスポーク根元部の補強部材ともなるもので
あるから、あらゆるスポーク形状のフライホイールに好
適である。
【0039】次に、外輪部4について説明する。本実施
形態のフライホイール1は基本的に鋳造で、スポーク5
の部分は鋳造のまま残され、その表面が鋳肌面である。
この場合、スポーク5の前後厚tに±1mm程度の製造上
のバラツキが生じ、このバラツキによりフライホイール
1の1次〜5次モードの固有振動数範囲がバラつくのが
分かった。調査の結果では、前後厚1mmの変動に対する
振動数範囲の変動は約40Hzであった。振動数範囲があま
りに大きく変動し、図7の最適振動数範囲に入らなくな
ると製品として出荷できない。一方、これを見分けるた
め管理を厳しくすると管理コストが上昇し、工法を変え
て寸法バラツキを抑えようとすると部品コストが上昇す
る。
【0040】そこで、前後厚tのバラツキに対する固有
振動数範囲の変動の幅(範囲)を小さくする、言い換え
ればスポークの前後厚バラツキに対する固有振動数のバ
ラツキ感度を鈍くする、というテーマが生じ、試行錯誤
を繰り返すこととなった。
【0041】ここで、外輪部4の諸寸法を変えて解析を
行ってみたところ、前面部4aの突出量Bが固有振動数
のバラツキ感度に大きく影響するのが分かった。即ち、
図6に示すように、前面部4aの突出量Bと、後面部4
bの機械加工部分4cの径方向の幅Cと、その機械加工
面からバックプレート10の前面までの幅Dとをいろい
ろ変化させて解析を行ってみたところ、C寸法及びD寸
法はバラツキ感度にあまり影響はなく、これに対してB
寸法はバラツキ感度に大きく影響を及ぼすのが分かっ
た。従って、前面部4aの切削量を変え、B寸法を変え
ることにより、スポーク前後厚tのバラツキに対する固
有振動数範囲の変動幅を変更することができる。
【0042】そして、変動幅を小さくするにはB寸法を
できるだけ小さくした方がよいことも分かった。例え
ば、スポーク5の前後厚tが±1mmバラついた場合に、
B寸法=2.0mmのときは、フライホイール1の1次〜5
次モードの固有振動数範囲は470〜643Hzでその変動幅が
173Hzであるのに対し、B寸法=0mmのときは、フライホ
イール1の1次〜5次モードの固有振動数範囲は475.8
〜629.7Hzでその変動幅が153.9Hzと、B寸法=3.6mmの
ときに比べて減少される。従って、B寸法=0mm、即ち
前面部4aの突出量Bはゼロとするのが最良である。
【0043】もっとも、本実施形態ではそのようになっ
ていない。図1及び図2に示すように本実施形態ではB
=2mmである。これをゼロにすればさらなる改良が図れ
ることになる。ちなみに本実施形態では図6のD寸法が
3.6mmで、C寸法が6.5mmである。
【0044】次に、実際の騒音試験の結果を図10及び
図11に示す。この試験ではエンジンにフライホイール
とトルクコンバータとを実際に組み付け、エンジンを運
転させて騒音を測定したものである。図中の黒い模様が
音圧レベルを表し、この模様が大きくなるほど、音圧レ
ベル大である。
【0045】図10は本実施形態のフライホイール1
((a)図)と従来のプレーンタイプ((b)図)とを比較し
たものである。(b)図に囲い線Jで示されるように、芋
のような模様が周期的に表れており、これがコンコン音
である。一方、(a)図に示されるように、本実施形態の
フライホイール1ではコンコン音は発生していない。こ
れによって本実施形態のフライホイール1が優れたもの
であることが分かる。
【0046】図11は、本実施形態のフライホイール1
をエンジンEに、図4の如く最適位相で取り付けた場合
((a)図)と、位相違いで取り付けた場合((b)図)とを
比較したものである。これから分かるように、(b)図に
比べ(a)図の方が黒模様が少なく、全体として音圧レベ
ルが下がっているのが分かる。これによって、本実施形
態のフライホイール取付方法が優れたものであることが
分かる。
【0047】なお、本発明の実施の形態は上述のものに
限られず、他にも様々なものが考えられる。例えばエン
ジンはV6ディーゼルに限らずどのような型式のもので
も構わない(L4、V8、ガソリン等)。これに合わせ
てスポーク数を変更することも可能である。例えばV8
エンジンに9本スポークの如きである。上記V6エンジ
ンでは#5,#6気筒を基準にしてフライホイール取付
位相を決定したが、他の気筒を基準にした方が良い場合
はそのようにしても構わない。
【0048】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次の如き
優れた効果が発揮される。
【0049】(1)フライホイールの最適なスポーク形
状化が図れる。
【0050】(2)クランク系の軸方向振動を抑制し、
コンコン音を防止すると共に、振動騒音の低減を図れ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のフライホイールを示し、(a)が縦
断側面図、(b)が背面図である。
【図2】図1(a)の下半分を示す拡大図である。
【図3】フライホイールの取付状態を示す側面図であ
る。
【図4】同背面図である。
【図5】気筒の配列を示す概略平面図である。
【図6】外輪部の各寸法を示す概略側面図である。
【図7】各フライホイール形状の事前検討結果である。
【図8】本実施形態のフライホイールの各次変形モード
を示す斜視図である。
【図9】従来のプレーンタイプの変形モードを示す斜視
図である。
【図10】本実施形態と従来のプレーンタイプとを比較
した騒音試験結果である。
【図11】本実施形態の取付方法と位相違いの取付方法
とを比較した騒音試験結果である。
【図12】クランク系の変形モードを示す図である。
【図13】クランクシャフト支持部の断面図である。
【符号の説明】
1 フライホイール 5 スポーク 14 フレックスプレート当たり面 16 板部 16a 後面 51 クランクシャフト E エンジン t スポークの前後厚
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 治世 神奈川県藤沢市土棚8番地 いすゞ自動車 株式会社藤沢工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン後部に突出されたクランクシャ
    フトに取り付けられるフライホイールにおいて、複数の
    スポークを有するスポーク形状とすると共に、スポーク
    間の根元の又部にスポークの前後厚より薄い水掻き状の
    板部を設けたことを特徴とするフライホイール。
  2. 【請求項2】 上記板部の後面がフレックスプレート当
    たり面の一部とされる請求項1記載のフライホイール。
  3. 【請求項3】 上記フレックスプレート当たり面が全体
    として円形とされ、全てのスポーク間に上記板部が設け
    られる請求項2記載のフライホイール。
  4. 【請求項4】 上記スポークの数が奇数である請求項1
    乃至3いずれかに記載のフライホイール。
  5. 【請求項5】 上記スポークの数が7本である請求項4
    記載のフライホイール。
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