JP2003014700A - 湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉及びその製造法 - Google Patents

湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉及びその製造法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湿式磁粉探傷試験方法における磁粉液の調製
に際し、秤量作業が簡略化できると共に蛍光磁粉が充分
に分散している磁粉液が容易に調製でき、しかも、優れ
た保存安定性を具備している湿式磁粉探傷試験用発泡性
蛍光磁粉を提供する。 【解決手段】 導磁性粒子粉末の各粒子表面に蛍光顔料
又は蛍光染料を付着させた磁粉探傷試験用蛍光磁粉10
0重量部とHLB値8〜14の液状ノニオン系界面活性
剤20〜30重量部とからなる泥状物に、トリポリ燐酸
ソーダ粉末170〜220重量部と炭酸塩粉末又は炭酸
水素塩粉末15〜25重量部と有機酸塩粉末25〜35
重量部とを混合し、前記泥状物を粉末化してなる湿式磁
粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉及びその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、湿式磁粉探傷試験用発
泡性蛍光磁粉に関するものであり、当該蛍光磁粉は、鉄
鋼工場や自動車工場において実施されている湿式磁粉探
傷試験方法に用いられる。
【0002】
【従来の技術】周知のとおり、鉄鋼工場においては角ビ
レットや丸ビレットなどの鋼材を被検査物として、自動
車工場においてはナックルアームやシャフトなどの鋼製
部品を被検査物として、それぞれJIS−G−0565
−1992(鉄鋼材料の磁粉探傷試験方法及び磁粉模様
の分類)に規定されている湿式磁粉探傷試験方法が実施
されている。
【0003】前記湿式磁粉探傷試験方法は、通常、水1
l当り蛍光磁粉0.2〜15gを分散させた磁粉液(当
業界では「検査液」とも呼ばれている)を、磁化されて
いる被検査物表面に接触させて当該蛍光磁粉を傷(欠陥
部)に吸着させることによって探傷する試験方法であ
る。
【0004】一般に、前記磁粉液の調製に当っては、市
販の磁粉探傷試験用蛍光磁粉と市販の湿式磁粉探傷試験
用磁粉分散剤とが使用されている。
【0005】前記市販磁粉探傷試験用蛍光磁粉は導磁性
粒子粉末(純鉄粒子粉末、酸化鉄粒子粉末、ステンレス
スチール粒子粉末など)の各粒子表面に蛍光顔料又は蛍
光染料を付着させた平均粒子径1〜25μm の粉末であ
り、その代表的な市販品としては「スーパーマグナ(登
録商標)蛍光磁粉LY−10(商品名・マークテック株
式会社製)」が挙げられる。
【0006】前記市販湿式磁粉探傷試験用磁粉分散剤に
は、液体タイプと粉末タイプとがあり、前者は水にHL
B値8〜14のノニオン系界面活性剤1〜20重量%及
びシリコン消泡剤0.1〜10重量%を溶解乃至分散さ
せたものであり、その代表的な市販品としては「スーパ
ーマグナ(前出)磁粉分散剤BC−700(商品名・マ
ークテック株式会社製)」が挙げられ、後者は水溶性粒
子粉末(例えば、トリポリリン酸ソーダ、亜硝酸ソーダ
など)70〜99.4重量%にHLB値8〜14の液状
ノニオン系界面活性剤0.5〜20重量%及びシリコン
消泡剤0.1〜10重量%を吸着させたものであり、そ
の代表的な市販品としては「スーパーマグナ(前出)磁
粉分散剤BC−1(商品名・マークテック株式会社製)
・水溶性粒子粉末としてトリポリリン酸ソーダ粒子粉末
が使用されている。」が挙げられる。
【0007】なお、液体タイプの湿式磁粉探傷試験用磁
粉分散剤に関し、特公平2−59426号公報には水、
ノニオン系界面活性剤、シリコン消泡剤、防錆剤及びジ
メチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体
からなるものが、特公平2−594267号公報には
水、ノニオン系界面活性剤、シリコン消泡剤及びセッケ
ンからなるものがそれぞれ開示されており、粉体タイプ
の湿式磁粉探傷試験用磁粉分散剤に関し、特開平7−1
20437号公報(特許第2813948号)には5メ
ッシュのフルイを通過する水溶性粒子粉末70〜99.
4重量%、HLB値8〜14の液状ノニオン系界面活性
剤0.5〜20重量%及びシリコン消泡剤0.1〜10
重量%からなるものが、特開平8−304347号公報
には16メッシュのフルイを通過する水溶性粒子粉末7
0〜99.4重量%、HLB値8〜14の液状ノニオン
系界面活性剤0.5〜20重量%及びシリコン消泡剤
0.1〜10重量%からなる粉末状配合物100重量部
に対して200メッシュのフルイを通過する水不溶性非
磁性体粒子粉末2〜30重量部を混合してなるものが、
それぞれ開示されている。
【0008】水1l当り蛍光磁粉0.2〜15gを分散
させた磁粉液の調製に当り、液体タイプの前記市販湿式
磁粉探傷試験用磁粉分散剤並びに前掲各公報に開示され
ている各湿式磁粉探傷試験用磁粉分散剤を使用する場合
には、水1l当り分散剤濃度が1〜3%となるように添
加されており、粉体タイプの前記市販湿式磁粉探傷試験
用磁粉分散剤並びに前掲各公報に開示されている各湿式
磁粉探傷試験用磁粉分散剤を使用する場合には、水1l
当りの有効成分(水溶性粒子粉末及び/又は水不溶性粒
子粉末以外の成分:界面活性剤、シリコン消泡剤など)
濃度が1〜3%となる量が添加されている。
【0009】湿式磁粉探傷試験方法の実施現場において
は、前記市販磁粉探傷試験用蛍光磁粉と前記市販湿式磁
粉探傷試験用磁粉分散剤とを使用して磁粉液が調製され
ているが、調製に当っては、蛍光磁粉と分散剤とを、そ
れぞれ所定量秤取する秤量作業が必須である。
【0010】ところで、鉄鋼工場や自動車工場において
は、分・秒・刻みの作業効率の向上がはかられており、
前記秤量作業の簡略化が強く要望されている。
【0011】磁粉探傷試験用磁粉・湿式磁粉探傷試験用
磁粉分散剤のメーカー側においては、前記要望に応える
べく、永年にわたる研究開発が続けられており、特公昭
50−469号公報や特開昭57−141547号公報
には、界面活性剤をあらかじめ磁粉に付着させてなる磁
粉探傷試験用磁粉が開示されており、特公昭56−49
311号公報や特公平3−42427号公報には界面活
性剤をバインダーとして磁粉を成型してなる磁粉探傷試
験用磁粉成型物が開示されている。
【0012】前掲各公報に見られる通り、磁粉(蛍光磁
粉又は非蛍光磁粉)に界面活性剤をあらかじめ付着させ
て置くことにより、磁粉探傷試験用磁粉自体に分散性を
付与するという技術的手段は古くから提案されている。
【0013】しかし、磁粉探傷試験用蛍光磁粉を水に分
散させるためには、HLB値8〜14の液状ノニオン系
界面活性剤を用いる必要があり(因みに、米国軍隊規格
MIL−STD−1949A:4,9,4項にはノニオ
ン系界面活性剤を用いることとされている。)、当該界
面活性剤は不揮発性の粘性液体であるため、これを付着
させた蛍光磁粉は貯蔵中に凝集してしまうので、磁粉液
調製時に充分な分散状態が得られないという問題点があ
り、また、当該界面活性剤は滲透性が強いので、これを
付着させた蛍光磁粉は貯蔵中に顔料や染料の一部が剥離
し、探傷時に剥離した蛍光顔料や蛍光染料がノイズとな
って現れる(当業界では「バックグランド現象」と呼ば
れている)ため、探傷精度が低下してしまうという問題
点がある。事実、本発明者が知る限り、蛍光磁粉にHL
B値8〜14の液状ノニオン系界面活性剤をあらかじめ
付着させてなる磁粉探傷試験用磁粉が実用されている例
はない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、H
LB値8〜14の液状ノニオン系界面活性剤を用いてい
るにもかかわらず、前記諸問題点が解決でき、前記秤量
作業の簡略化という要望に応えることができると共に、
磁粉液調製時により優れた水分散性を発揮できる湿式磁
粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉の提供を技術的課題とする
ものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記本発明の技術的課題
は、次のとおりの本発明によって達成できる。
【0016】即ち、本発明は、導磁性粒子粉末の各粒子
表面に蛍光顔料又は蛍光染料を付着させた磁粉探傷試験
用蛍光磁粉100重量部とHLB値8〜14の液状ノニ
オン系界面活性剤20〜30重量部とからなる泥状物
に、トリポリ燐酸ソーダ粉末170〜220重量部と炭
酸塩粉末又は炭酸水素塩粉末15〜25重量部と有機酸
塩粉末25〜35重量部とを混合し、前記泥状物を粉末
化してなる湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉である。
【0017】また、本発明は、導磁性粒子粉末の各粒子
表面に蛍光顔料又は蛍光染料を付着させた磁粉探傷試験
用蛍光磁粉100重量部とHLB値8〜14の液状ノニ
オン系界面活性剤20〜30重量部とからなる泥状物
に、トリポリ燐酸ソーダ粉末170〜220重量部と炭
酸塩粉末又は炭酸水素塩粉末15〜25重量部と有機酸
塩粉末25〜35重量部とシリコン系消泡剤0.3〜1
0重量部及び/又は防錆剤0.3〜10重量部とを混合
し、前記泥状物を粉末化してなる湿式磁粉探傷試験用発
泡性蛍光磁粉である。
【0018】さらに、本発明は、導磁性粒子粉末の各粒
子表面に蛍光顔料又は蛍光染料を付着させた磁粉探傷試
験用蛍光磁粉100重量部をHLB値8〜14の液状ノ
ニオン系界面活性剤20〜30重量部に分散させて泥状
物とし、次いで当該泥状物にトリポリ燐酸ソーダ粉末1
70〜220重量部と炭酸塩粉末又は炭酸水素酸塩粉末
15〜25重量部と有機酸粉末25〜35重量部とを添
加して攪拌して、前記泥状物を粉末化することを特徴と
する湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉の製造法であ
る。
【0019】本発明の構成をより詳しく説明すれば次の
とおりである。
【0020】先ず、本発明における磁粉探傷試験用蛍光
磁粉としては、前記の市販磁粉探傷用蛍光磁粉を用いれ
ばよく、例えば、スーパーマグナ(前出)蛍光磁粉LY
−10(前出)が好適である。
【0021】また、本発明におけるHLB値8〜14の
液状ノニオン系界面活性剤としては、市販品を用いれば
よく、例えば、ニューコール864(商品名:日本乳化
剤株式会社製:HLB13.8)やオクタポール50
(商品名:三洋化成株式会社製:HLB10.3)が好
適である。
【0022】次に、本発明におけるトリポリ燐酸ソーダ
粉末としては、使用時における溶解速度の面から16メ
ッシュのフルイ(目開き1000μm ・JIS−Z−8
801)を通過する粉末が好適であり、市販品から所要
の粒子径のものを選定・入手して用いればよい。
【0023】また、本発明における炭酸塩粉末又は炭酸
水素塩粉末としては、水中において有機酸と反応して炭
酸ガスを発生するものであればよく、具体的には、市販
の炭酸ナトリウム粉末、炭酸カリウム粉末、炭酸マグネ
シウム粉末、セスキ炭酸ナトリウム粉末、炭酸水素ナト
リウム粉末等が挙げられ、これらの単独又は混合物を用
いればよい。なお、目的物の使用時における溶解速度の
面から16メッシュのフルイ(前出)を通過する粒子粉
末を選定・入手して用いることが好適である。
【0024】また、本発明における有機酸粉末として
は、市販のコハク酸粉末、リンゴ酸粉末、洒石酸粉末、
フマル酸粉末等が挙げられ、これらの単独又は混合物を
用いればよい。なお、目的物の使用時における溶解速度
の面から16メッシュのフルイ(前出)を通過する粒子
粉末を選定・入手して用いることが好適である。
【0025】本発明における前記磁粉探傷試験用蛍光磁
粉、前記HLB値8〜14の液状ノニオン系界面活性
剤、前記トリポリ燐酸ソーダ粉末、前記炭酸塩粉末又は
炭酸水素塩粉末及び前記有機酸粉末の各配合量は重要で
ある。
【0026】前記磁粉探傷試験用蛍光磁粉100重量部
の場合、前記HLB値8〜14の液状ノニオン系界面活
性剤は20重量部以上を必要とし、20重量部未満では
磁粉液調製時に蛍光磁粉を充分に分散させることが困難
となり、調製した磁粉液の濡れ効果が不充分となる。3
0重量部を越えて配合しても蛍光磁粉の分散性及び濡れ
効果はさほど向上せず、目的物の粉体流動性に悪影響を
及ぼすことになるので30重量部以内に止めるべきであ
る。
【0027】前記トリポリ燐酸ソーダ粉末は少なくとも
170重量部以上を必要とし、170重量部未満では、
前記磁粉探傷試験用蛍光磁粉100重量部と前記HLB
値8〜14の液状ノニオン系界面活性剤20〜30重量
部とからなる泥状物を粉末化して充分な粉体流動性を付
与することが困難となる。配合量の上限は、その他配合
成分の各配合量割合から定まるが、170〜220重量
部の範囲内であれば充分な粉体流動性を付与することが
できる。
【0028】なお、HLB8〜14の液状ノニオン系界
面活性剤を付着させた蛍光磁粉をそのままの状態にて放
置した場合には、前述のとおり、貯蔵中に該界面活性剤
が蛍光磁粉粒子同志を結びつけるため該蛍光磁粉が塊状
に凝集してしまい、また、当該界面活性剤が蛍光磁粉粒
子表面の蛍光顔料層又は蛍光染料層に滲過するため蛍光
顔料又は蛍光染料の一部が剥離してしまうが、前記トリ
ポリ燐酸塩粉末が混在している場合には、該トリポリ燐
酸塩粉末は吸油量が大きいので、蛍光磁粉粒子に付着し
ている当該界面活性剤を吸収し担持するから、当該凝集
を抑制でき、また、当該剥離も抑制できる。
【0029】前記炭酸塩又は炭酸水素塩粉末と前記有機
酸粉末との使用割合は、特に重要であり、前者:後者=
1:1〜3の比率にて使用する必要があり、前者:後者
=1:1未満の場合には、前記トリポリ燐酸ソーダ粉末
が溶解している磁粉液のpH値がアルカリ性を呈するた
めに前者と後者との間で反応が起こらないので目的物に
自己発泡性を付与することができず、また、前者:後者
=1:3以上の場合には、前記トリポリ燐酸ソーダ粉末
が溶解している磁粉液のpH値が酸性を呈するために被
検査物である鋼材や鋼製部品に錆を発生させる危険があ
る。
【0030】従って、前記炭酸塩粉末又は炭酸水素塩粉
末を15〜25重量部配合すると共に前記有機酸粉末を
25〜35重量部配合する。なお、両者の配合量の各上
限はその他の配合成分量から定まる。
【0031】前記炭酸塩粉末又は炭酸水素塩粉末と有機
酸粉末との各配合量の範囲内において調節することによ
って前記トリポリ燐酸塩粉末が溶解している磁粉液のp
H値を中性〜弱アルカリ性にすることができる。
【0032】前記各配合成分を前記配合量にて配合して
なる本発明に係る湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉
は、磁粉液調製時において水中に投入すれば自己発泡し
て速やかに溶解し、溶解後には殆んど泡立ちは認められ
ないが、蛍光磁粉を分散させた後の泡立ちを充分に抑制
する必要がある場合には、前記の市販磁粉液用分散剤と
同様にシリコン系消泡剤を配合することができる。
【0033】本発明におけるシリコン系消泡剤として
は、市販品を用いればよく、例えば、シリコン消泡剤K
M508(商品名:信越化学株式会社製)やシリコン消
泡剤KM531(商品名:信越化学株式会社製)が好適
である。
【0034】前記シリコン系消泡剤は0.3重量部以上
を必要とし、0.3重量部未満では、消泡効果が得られ
難く、通常、1〜5重量部程度を配合すれば充分であ
り、10重量部を越えて配合する必要はない。
【0035】また、前記トリポリ燐酸ソーダ粉末が防錆
力を有しているので、通常は防錆剤を配合する必要はな
いが、被検査物の材質に応じて強い防錆力が要求される
場合には、防錆剤を配合することもできる。
【0036】本発明における防錆剤としては、市販の亜
硝酸ソーダ粉末やグルコン酸ソーダ粉末が好適であり、
通常、0.3〜10重量部程度を配合すれば充分であ
り、10重量部を越えて配合する必要はない。
【0037】本発明に係る湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍
光磁粉の製造法は、次のとおりである。
【0038】先ず、第1工程として、前記磁粉探傷試験
用蛍光磁粉及び前記HLB値8〜14の液状ノニオン系
界面活性剤を、それぞれ所定量秤取して容器(例えば、
ステンレス製タンク)に投入し、攪拌器(例えば、電動
ミキサー)を用いて充分に混合・攪拌して泥状物とす
る。
【0039】次いで、第2工程として、当該タンクに前
記トリポリ燐酸ソーダ粉末、前記炭酸塩粉末又は前記炭
酸水素塩粉末、前記有機酸塩粉末及び必要に応じて配合
される前記シリコン消泡剤及び/又は前記防錆剤を、そ
れぞれ所定量秤取して追加投入し、さらに充分に混合・
攪拌して粉末化すれば目的物が得られる。なお、粉末化
状態は目視及び指触によって行なえばよい。
【0040】なお、前記工程順序は重要であり、第1工
程と第2工程とを同時に実施する場合、換言すれば、各
配合成分を同時に混合する場合には、前記トリポリ燐酸
ソーダ粉末に吸収・担持されている前記HLB値8〜1
4の液状ノニオン系界面活性剤に前記磁粉探傷試験用蛍
光磁粉の粒子が付着してしまうので該蛍光磁粉の各粒子
を該界面活性剤で被覆できず、当該蛍光磁粉の粒子同志
が接触している部分が生じるため、後出比較例1に見ら
れるとおり、目的物に充分な探傷能力を付与できず(調
製した磁粉液の分散性及び濡れ性が悪い)、また、目的
物に充分な保存安定性を付与できない(貯蔵中に蛍光磁
粉の粒子同志が直接接触している部分が凝集する)。一
方、第1工程において当該蛍光磁粉と当該界面活性剤と
を混合・攪拌して泥状物とした後に第2工程に移行する
場合には、当該蛍光磁粉の各粒子を当該界面活性剤で被
覆できるので、当該蛍光磁粉の粒子同志が直接接触しな
いから、後出発明の実施の形態並びに各実施例に見られ
るとおり、目的物に充分な探傷能力及び充分な保存安定
性を付与できる。
【0041】本発明に係る湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍
光磁粉の使用方法は極めて簡易であり、所要量を水に投
入して混合・攪拌すれば、当該発泡性蛍光磁粉が水中で
自己発泡するので、配合成分中の前記トリポリ燐酸ソー
ダ粉末、前記炭酸塩粉末又は前記炭酸水素塩粉末及び前
記有機酸塩粉末は速やかに溶解し、配合成分中の前記H
LB値8〜14の液状ノニオン系界面活性剤は速やかに
溶解乃至分散し、配合成分中の前記磁粉探傷試験用蛍光
磁粉は速やかに分散して、前記した市販磁粉探傷試験用
蛍光磁粉と市販湿式磁粉探傷試験用磁粉分散剤とを用い
る場合と変らない磁粉液が調製できる。
【0042】なお、本発明に係る湿式磁粉探傷試験用発
泡性蛍光磁粉を構成する配合成分の各配合量が前記のと
おりであるから、当該発泡性蛍光磁粉は約3〜4g当り
前記磁粉探傷試験用蛍光磁粉1gを含んでいる。
【0043】
【発明の実施の形態】湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光磁
粉の製造:スーパーマグナ(登録商標)蛍光磁粉LY−
10(商品名・マークテック株式会社製・四三酸化鉄粒
子粉末の各粒子表面に合成樹脂バインダーを用いて蛍光
顔料を付着させたもの)100重量部及びニューコール
864(商品名・日本乳化株式会社製・HLB13.8
の液状ノニオン系界面活性剤)20重量部をステンレス
製タンクに投入し、電動ミキサーを用いて充分に混合・
攪拌して泥状物とする。
【0044】次いで、16メッシュのフルイ(目開き1
000μm ・JIS−Z−8801)を通過するトリポ
リ燐酸ソーダ粉末(住友化学工業株式会社製)170重
量部、炭酸水素ナトリウム粉末(旭硝子株式会社製)1
5重量部及び洒石酸粉末(扶桑化学株式会社製)25重
量部を当該タンクに追加投入し、充分に混合・攪拌して
前記泥状物を粉末化して湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光
磁粉約330重量部を得た。
【0045】粉末化状態評価試験:ここに得た発泡性蛍
光磁粉をガラス容器に入れ、当該ガラス容器を水平位置
から徐々に傾斜させて容器内の粉末状分散剤に流動が生
じた時の角度を測定し、55度未満の角度で流動が生じ
たものを「○(良好)」、55度以上の角度で流動が生
じたものを「×(悪い)」と評価した。その結果「○」
であった。
【0046】発泡性評価試験:ここに得た発泡性蛍光磁
粉3.3gを水1lが入っているガラスビーカーに投入
し、攪拌しない状態下において目視にて観察し、泡が生
じたものを「○(良い)」、泡が生じなかったものを
「×(悪い)」と評価した。その結果は「○」であっ
た。
【0047】分散性評価試験:ここに得た発泡性蛍光磁
粉3.3g(蛍光磁粉含有量:1g)を水1lが入って
いるガラスビーカーに投入し、マドラーを用いて攪拌し
て磁粉液を調製した。
【0048】一方、スーパーマグナ(前出)蛍光磁粉L
Y−100(前出)1gとスーパーマグナ(登録商標)
磁粉分散剤BC−1(商品名・マークテック株式会社製
・トリポリ燐酸ソーダー粉末にHLB8〜14の液状ノ
ニオン系界面活性剤を吸着・担持させたもの)2gとを
混合し、該混合物を水1lが入っているガラスビーカー
に投入し、マドラーを用いて攪拌して比較用磁粉液を調
製した。
【0049】前記両磁粉液の分散状態を、暗所における
紫外線灯の照射下において目視にて観察し、充分に分散
している比較用磁粉液の分散状態と同等の分散状態を視
認した場合には「○(良い)」、比較用磁粉液の分難状
態より劣る分散状態を視認した場合には「×(悪い)」
と評価した。その結果は「○」であった。
【0050】探傷能力評価試験:ここに得た発泡性蛍光
磁粉3.3g(蛍光磁粉含有量:1g)を水1lが入っ
ているガラスビーカーに投入し、マドラーを用いて攪拌
して磁粉液を調製した。
【0051】一方、スーパーマグナ(前出)蛍光磁粉L
Y−100(前出)1gとスーパーマグナ(前出)磁粉
分散剤BC−1(前出)2gとを混合し、該混合物を水
1lが入っているガラスビーカーに投入し、マドラーを
用いて攪拌して比較用磁粉液を調製した。
【0052】前記両磁粉液を使用して次のとおりの湿式
磁粉探傷試験方法を実施した。
【0053】JIS−0565−1992規格のA型試
験片(円型・AI−15/100、AI−30/10
0)を被検査物とし、該試験片を鋼製角型ビレットに貼
り付け、該角型ビレットを磁器通電法によって磁化して
当該試験片に磁粉液を散布し、暗所において紫外線灯下
で試験面を目視にて観察した。その結果、明瞭な欠陥指
示模様が観察できた比較用磁粉液と同等の明瞭な欠陥指
示模様が観察できた場合には「○(良い)」、比較用磁
粉液を使用した欠陥指示模様に比較して不明瞭な欠陥指
示模様を視認した場合には「×(悪い)」と評価した。
その結果は「○」であった。
【0054】保存安定性評価試験:ここに得た発泡性蛍
光磁粉を室内・常温(約25℃)にて1ケ月間放置した
後、当該発泡性蛍光磁粉3.3gを水1lが入っている
ガラスビーカーに投入し、マドラーを用いて攪拌して磁
粉液を調製した後、攪拌しない状態にて、暗所における
紫外線灯の照射下において目視にて観察し、凝集が発生
していない場合には「○(良い)」、凝集が発生してい
る場合には「×(悪い)」と評価した。その結果は
「○」であった。
【0055】
【作用】本発明に係る湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光磁
粉は、その配合成分中に前記HLB値8〜14の液状ノ
ニオン系界面活性剤を含んでいるから、磁粉液調製時に
水に投入して混合・攪拌するだけで磁粉液が調製でき、
また、当該界面活性剤が配合成分中の前記トリポリ燐酸
塩粉末に吸着・担持されているから保存安定性に優れて
いる。
【0056】さらに、その配合成分中に前記炭酸塩粉末
又は前記炭酸水素塩粉末と前記有機酸粉末とを含んでい
るから、水に投入されると水中で該炭酸塩粉末又は該炭
酸水素塩粉末と該有機酸とが反応して炭酸ガスを発生す
るので発泡する。この発泡現象によって各配合成分の溶
解・分散が促進されるから、強力な攪拌を行わなくて
も、蛍光磁粉が充分に分散している磁粉液が調製でき
る。
【0057】なお、水中における前記炭酸塩粉末又は前
記炭酸水素塩粉末と前記有機酸粉末との反応は吸熱反応
であるため前記トリポリ燐酸ソーダ粉末と水との反応に
よる発熱が抑制できるから、調製中における磁粉液の昇
温が抑制される。
【0058】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げる。
【0059】実施例1
【0060】湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉の製
造:スーパーマグナ(登録商標)蛍光磁粉LY−10
(商品名・マークテック株式会社製・四三酸化鉄粒子粉
末の各粒子表面に合成樹脂バインダーを用いて蛍光顔料
を付着させたもの)100重量部及びニューコール86
4(商品名・日本乳化株式会社製・HLB13.8の液
状ノニオン系界面活性剤)30重量部をステンレス製タ
ンクに投入し、電動ミキサーを用いて充分に混合・攪拌
して泥状物とする。
【0061】次いで、16メッシュのフルイ(目開き1
000μm ・JIS−Z−8801)を通過するトリポ
リ燐酸ソーダ粉末(住友化学工業株式会社製)220重
量部、炭酸マグネシウム粉末(株式会社トクヤマ製)2
5重量部、コハク酸粉末(扶桑化学株式会社製)35重
量部及びシリコン消泡剤KM508(商品名・信越化学
株式会社製)5重量部を当該タンクに追加投入し、充分
に混合・攪拌して前記泥状物を粉末化して湿式磁粉探傷
試験用発泡性蛍光磁粉約415重量部を得た。なお、当
該発泡性蛍光磁粉は4.15g当り磁粉探傷用蛍光磁粉
(前記スーパーマグナ蛍光磁粉LY−10)1gを含ん
でいる。
【0062】ここに得た発泡性蛍光磁粉について、前出
発明実施の形態における各評価試験と同じ評価試験を行
った結果は、次のとおりであった。
【0063】粉末化状態評価試験:「○」、発泡性評価
試験:「○」、分散性評価試験:「○」、探傷能力評価
試験:「○」、保存安定性評価試験:「○」。
【0064】実施例2
【0065】湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉の製
造:スーパーマグナ(登録商標)蛍光磁粉LY−10
(商品名・マークテック株式会社製・四三酸化鉄粒子粉
末の各粒子表面に合成樹脂バインダーを用いて蛍光顔料
を付着させたもの)100重量部及びニューコール86
4(商品名・日本乳化株式会社製・HLB13.8の液
状ノニオン系界面活性剤)25重量部をステンレス製タ
ンクに投入し、電動ミキサーを用いて充分に混合・攪拌
して泥状物とする。
【0066】次いで、16メッシュのフルイ(目開き1
000μm ・JIS−Z−8801)を通過するトリポ
リ燐酸ソーダ粉末(住友化学工業株式会社製)220重
量部、炭酸水素ナトリウム粉末(旭硝子株式会社製)2
5重量部、フマル酸粉末(扶桑化学株式会社製)25重
量部、シリコン消泡剤KM508(商品名・信越化学株
式会社製)5重量部及び亜硝酸粉末5重量部を当該タン
クに追加投入し、充分に混合・攪拌して前記泥状物を粉
末化して湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉約385重
量部を得た。なお、当該発泡性蛍光磁粉は3.85g当
り磁粉探傷用蛍光磁粉(前記スーパーマグナ蛍光磁粉L
Y−10)1gを含んでいる。
【0067】ここに得た発泡性蛍光磁粉について、前出
発明実施の形態における各評価試験と同じ評価試験を行
った結果は、次のとおりであった。
【0068】粉末化状態評価試験:「○」、発泡性評価
試験:「○」、分散性評価試験:「○」、探傷能力評価
試験:「○」、保存安定性評価試験:「○」。
【0069】比較例1
【0070】湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉の製
造:スーパーマグナ(登録商標)蛍光磁粉LY−10
(商品名・マークテック株式会社製・四三酸化鉄粒子粉
末の各粒子表面に合成樹脂バインダーを用いて蛍光顔料
を付着させたもの)100重量部、ニューコール864
(商品名・日本乳化株式会社製・HLB13.8の液状
ノニオン系界面活性剤)20重量部、16メッシュのフ
ルイ(目開き1000μm・JIS−Z−8801)を
通過するトリポリ燐酸ソーダ粉末(住友化学工業株式会
社製)170重量部、炭酸ナトリウム粉末(旭硝子株式
会社製)15重量部及び洒石酸粉末(扶桑化学株式会社
製)25重量部をステンレスタンクに投入し、電動ミキ
サーを用いて充分に混合・攪拌して比較用発泡性蛍光磁
粉約330重量部を得た。なお、この比較用発泡性蛍光
磁粉は3.3g当り磁粉探傷用蛍光磁粉(前記スーパー
マグナ蛍光磁粉LY−10)1gを含んでいる。
【0071】ここに得た比較用発泡性蛍光磁粉につい
て、前出発明実施の形態における各評価試験と同じ評価
試験を行った結果は、次のとおりであった。
【0072】粉末化状態評価試験:「○」、発泡性評価
試験:「○」、分散性評価試験:「○」、探傷能力評価
試験:「×」、保存安定性評価試験:「×」。
【0073】比較例2
【0074】湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉の製
造:スーパーマグナ(登録商標)蛍光磁粉LY−10
(商品名・マークテック株式会社製・四三酸化鉄粒子粉
末の各粒子表面に合成樹脂バインダーを用いて蛍光顔料
を付着させたもの)100重量部及びニューコール86
4(商品名・日本乳化株式会社製・HLB13.8の液
状ノニオン系界面活性剤)25重量部をステンレス製タ
ンクに投入し、電動ミキサーを用いて充分に混合・攪拌
して泥状物とする。
【0075】次いで、16メッシュのフルイ(目開き1
000μm ・JIS−Z−8801)を通過するトリポ
リ燐酸ソーダ粉末(住友化学工業株式会社製)170重
量部及びシリコン消泡剤KM508(商品名・信越化学
株式会社製)5重量部を当該タンクに追加投入し、充分
に混合・攪拌して前記泥状物を粉末化して比較用発泡性
蛍光磁粉約385重量部を得た。なお、比較用蛍光磁粉
は3g当り磁粉探傷蛍光磁粉(前記スーパーマグナ蛍光
磁粉LY−10)1gを含んでいる。
【0076】ここに得た比較用発泡性蛍光磁粉につい
て、前出発明実施の形態における各評価試験と同じ評価
試験を行った結果は、次のとおりであった。
【0077】粉末化状態評価試験:「○」、発泡性評価
試験:「×」、分散性評価試験:「×」、探傷能力評価
試験:「○」、保存安定性評価試験:「○」。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、磁粉液調製時における
秤量作業が簡略化できると共に、水中投入時に自己発泡
によって優れた水分散性を発揮し、強力な攪拌を行わな
くても、蛍光磁粉が充分に分散している磁粉液が容易に
調製でき(因みに、鉄鋼工場においては、一時に数千リ
ットルの磁粉液が調製される場合もあり、かゝる場合に
は強力な攪拌が必要とされているので、磁粉液調製時に
強力な攪拌を必要としない点は、特筆すべき効果といえ
る)、しかも、貯蔵時においては優れた保存安定性を具
備している湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉が提供で
きる。
【0079】また、本発明に係る湿式磁粉探傷試験用発
泡性蛍光磁粉は、その各配合成分材料が市販品から容易
に入手できると共に、特別な技術・装置を必要とせずに
簡易に製造できる。
【0080】従って、本発明は鉄鋼工場や自動車工場に
おける湿式磁粉探傷試験方法の作業効率の向上に大きく
貢献できるものであり、その産業利用性は非常に大き
い。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導磁性粒子粉末の各粒子表面に蛍光顔料
    又は蛍光染料を付着させた磁粉探傷試験用蛍光磁粉10
    0重量部とHLB値8〜14の液状ノニオン系界面活性
    剤20〜30重量部とからなる泥状物に、トリポリ燐酸
    ソーダ粉末170〜220重量部と炭酸塩粉末又は炭酸
    水素塩粉末15〜25重量部と有機酸塩粉末25〜35
    重量部とを混合し、前記泥状物を粉末化してなる湿式磁
    粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉。
  2. 【請求項2】 導磁性粒子粉末の各粒子表面に蛍光顔料
    又は蛍光染料を付着させた磁粉探傷試験用蛍光磁粉10
    0重量部とHLB値8〜14の液状ノニオン系界面活性
    剤20〜30重量部とからなる泥状物に、トリポリ燐酸
    ソーダ粉末170〜220重量部と炭酸塩粉末又は炭酸
    水素塩粉末15〜25重量部と有機酸塩粉末25〜35
    重量部とシリコン系消泡剤0.3〜10重量部及び/又
    は防錆剤0.3〜10重量部とを混合し、前記泥状物を
    粉末化してなる湿式磁粉探傷試験用発泡性蛍光磁粉。
  3. 【請求項3】 導磁性粒子粉末の各粒子表面に蛍光顔料
    又は蛍光染料を付着させた磁粉探傷試験用蛍光磁粉10
    0重量部をHLB値8〜14の液状ノニオン系界面活性
    剤20〜30重量部に分散させて泥状物とし、次いで当
    該泥状物にトリポリ燐酸ソーダ粉末170〜220重量
    部と炭酸塩粉末又は炭酸水素酸塩粉末15〜25重量部
    と有機酸粉末25〜35重量部とを添加して攪拌して、
    前記泥状物を粉末化することを特徴とする湿式磁粉探傷
    試験用発泡性蛍光磁粉の製造法。
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