JP2003100557A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ及びその製造方法

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JP2003100557A JP2001298279A JP2001298279A JP2003100557A JP 2003100557 A JP2003100557 A JP 2003100557A JP 2001298279 A JP2001298279 A JP 2001298279A JP 2001298279 A JP2001298279 A JP 2001298279A JP 2003100557 A JP2003100557 A JP 2003100557A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を
防止することができ、高耐電圧品を製造する場合の歩留
まりを向上させることができる固体電解コンデンサの製
造方法を提供する。 【解決手段】 表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と
陰極箔を、ビニル基を有する化合物を含有するセパレー
タを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコン
デンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ
素子にホウ酸化合物の溶液を含浸して、ビニル基を有す
る化合物とホウ酸化合物とからなる結合体を生成し、そ
の後に、このコンデンサ素子を重合性モノマーと酸化剤
とを所定の溶媒と共に混合して調製した混合液に浸漬
し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発
生させ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデ
ンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを
装着して、加締め加工によって封止した後、エージング
を行い、固体電解コンデンサを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解コンデン
サ及びその製造方法に係り、特に、高耐電圧が要求され
る固体電解コンデンサの歩留まりを向上させることがで
きる固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】タンタルあるいはアルミニウム等のよう
な弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽
極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッ
チング箔等の形状にして誘電体を拡面化することによ
り、小型で大きな容量を得ることができることから、広
く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を
用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直
列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実
装に適している等の特質を備えていることから、電子機
器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものと
なっている。
【0003】この種の固体電解コンデンサにおいて、小
型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁
作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在さ
せて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ
素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製
ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納
し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料として
は、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタ
ン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属
が用いられる。
【0004】また、固体電解コンデンサに用いられる固
体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−
テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られて
いるが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸
化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオ
フェン(以下、PEDTと記す)等の導電性ポリマーに
着目した技術(特開平2−15611号公報)が存在し
ている。
【0005】このような巻回型のコンデンサ素子にPE
DT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成す
るタイプの固体電解コンデンサは、図4に示すようにし
て作製される。まず、アルミニウム等の弁作用金属から
なる陽極箔の表面を塩化物水溶液中での電気化学的なエ
ッチング処理により粗面化して、多数のエッチングピッ
トを形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電
圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成する(化
成)。陽極箔と同様に、陰極箔もアルミニウム等の弁作
用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施す
のみである。
【0006】このようにして表面に酸化皮膜層が形成さ
れた陽極箔とエッチングピットのみが形成された陰極箔
とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形
成する。続いて、修復化成を施したコンデンサ素子に、
3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと
記す)等の重合性モノマーと酸化剤溶液をそれぞれ吐出
し、あるいは両者の混合液に浸漬して、コンデンサ素子
内で重合反応を促進し、PEDT等の導電性ポリマーか
らなる固体電解質層を生成する。その後、このコンデン
サ素子を有底筒状の外装ケースに収納して固体電解コン
デンサを作成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、上述
したような固体電解コンデンサが車載用として用いられ
るようになってきている。通常、車載用回路の駆動電圧
は12Vであり、固体電解コンデンサには25Vの高耐
電圧が要求される。しかしながら、上述したような従来
の製造方法によりこのような高耐電圧品を製造した場
合、エージング工程でショートが発生する割合が高く、
歩留まりが低いという欠点があった。
【0008】また、近年、環境問題から高融点の鉛フリ
ー半田が用いられるようになり、半田リフロー温度が2
00〜220℃から230〜270℃へとさらに高温化
している。しかしながら、このような高温下におかれる
半田リフローを行うと耐電圧が低下するという欠点があ
り、そのため、高温リフロー半田付けを行った場合で
も、耐電圧特性が劣化しない固体電解コンデンサの開発
が切望されていた。なお、このような問題点は、重合性
モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオ
フェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも
同様に生じていた。
【0009】本発明は、上述したような従来技術の問題
点を解決するために提案されたものであり、その目的
は、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止す
ることができ、高耐電圧品を製造する場合の歩留まりを
向上させることができる固体電解コンデンサ及びその製
造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく、高耐電圧品を製造する場合に、エージン
グ工程でショートが発生する割合が高くなる原因につい
て種々検討を重ねた結果、以下の結論に達したものであ
る。すなわち、通常、導電性ポリマーを形成した後のコ
ンデンサ素子内には、導電性ポリマーの他に、重合反応
に関与しなかったモノマーや酸化剤及びその他の反応残
余物が存在している。そして、これらの導電性ポリマー
以外の物質の耐電圧は導電性ポリマーの耐電圧より低い
ため、これらの物質が固体電解コンデンサの耐電圧を低
下させていると考えられる。
【0011】そこで、本発明者等は、これらの反応残余
物が存在していても、固体電解コンデンサの耐電圧を向
上させると共に、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の
劣化を防止すべく検討を重ねた結果、ビニル基を有する
化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子を
形成し、このコンデンサ素子内にホウ酸化合物を含有さ
せることによって、固体電解コンデンサの耐電圧を向上
させることができることが判明したものである。
【0012】(固体電解コンデンサの製造方法)本発明
に係る固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りであ
る。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と
陰極箔を、ビニル基を有する化合物を含有するセパレー
タを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコン
デンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ
素子にホウ酸化合物の溶液を含浸して、ビニル基を有す
る化合物とホウ酸化合物とからなる結合体を生成し、そ
の後に、このコンデンサ素子を重合性モノマーと酸化剤
とを所定の溶媒と共に混合して調製した混合液に浸漬
し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発
生させ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデ
ンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを
装着して、加締め加工によって封止した後、エージング
を行い、固体電解コンデンサを形成する。
【0013】(セパレータ)通常、合成繊維を主体とす
る固体電解コンデンサ用セパレータは、合成繊維とこれ
らを接合するバインダーから構成されている。このバイ
ンダーとしては、合成樹脂そのものを用いたり、合成樹
脂を繊維状にして、セパレータの作成工程で溶融させて
主体繊維を接合させている。本発明においては、このよ
うなセパレータの主体繊維又はバインダーに、ビニル基
を有する化合物を用いたセパレータを用いることによ
り、良好な結果が得られたものである。
【0014】なお、セパレータの主体繊維又はバインダ
ーに含有させるビニル基を有する化合物の必要量は微量
で良いが、多くても効果が減ずることはない。その理由
は、セパレータに含有されたビニル基を有する化合物が
溶出して酸化皮膜に付着することによって本発明の効果
が得られるからである。従って、ビニロンセパレータの
ように、100%ビニロン繊維で形成されていても良
い。この場合、製造工程中にビニル基を有する化合物が
溶出しすぎてセパレータの強度が低下することがないよ
うに、溶出量を管理すれば良い。なお、本発明の典型的
な例は、PVAバインダーを用いたセパレータである
が、この場合、所定の強度を得るために、含有量は15
〜40wt%が好ましい。
【0015】ここで、ビニル基を有する化合物として
は、ポリビニルアルコール(以下、PVAと記す)、ポ
リ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルア
ミド等を用いることができるが、なかでもPVAがより
好ましい。具体的には、セパレータの主体繊維にPVA
繊維(ビニロン)や未延伸のビニロンを用いても良い
し、バインダーにPVAポリマーや未延伸のビニロンを
用いても良い。例えば、繊維径が3.0〜12.0μm
のビニロン繊維を所定のカット長の短繊維とし、所定の
バインダーを用いて、任意の手段により不織布としたも
のを用いることができる。
【0016】なお、セパレータにビニル基を有する化合
物を含有させる方法としては、上述したような主体繊維
やバインダーをビニル基を有する化合物から構成する方
法(言い換えれば、ビニル基を有する化合物をセパレー
タの構成成分として含有させる方法)の他に、セパレー
タをビニル基を有する化合物の溶液に浸漬する方法や、
ビニル基を有する化合物を塗布する方法を用いることも
できる。
【0017】(ホウ酸化合物)ホウ酸化合物としては、
ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸のアンモニウム塩、金属塩等の
ホウ酸塩、ホウ酸トリエチル等のホウ酸エステル等を用
いることができるが、なかでも、ホウ酸を用いることが
望ましい。また、これらホウ酸化合物の溶媒としては、
これらの化合物が溶解するものであれば良く、主として
水、グリセリン等を用いることができる。また、ホウ酸
化合物溶液の濃度は、0.1wt%〜10wt%が好ま
しく、より好ましくは3wt%〜7wt%である。ホウ
酸化合物溶液の濃度がこの範囲外の場合、効果が低下し
た。その理由は、ホウ酸化合物溶液の濃度が0.1wt
%未満では、溶液中のホウ酸化合物が少ないため、形成
される結合体の量が十分ではなく、一方、10wt%を
越えると、理由は定かではないが、結合体を形成した後
の余剰のホウ酸が悪影響を及ぼして、ESRが上昇する
からである。
【0018】(ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有
させる方法)上記ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含
有させる方法としては、コンデンサ素子をホウ酸化合物
の溶液に浸漬する方法、または、ホウ酸化合物の溶液を
コンデンサ素子に吐出する方法を用いることができる。
また、ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させた
後、加熱処理すると初期特性が向上することが分かっ
た。その理由は、セパレータに含まれるビニル基を有す
る化合物がコンデンサ素子内に溶出し、その末端基の疎
水性が増すことにより、酸化皮膜と固体電解質の密着性
が向上するためと考えられる。また、この加熱温度は1
20〜250℃が好ましく、より好ましくは150〜2
00℃である。加熱温度がこの範囲外の場合、効果が低
下した。その理由は、加熱温度が120℃未満では、ビ
ニル基を有する化合物の末端基の疎水化等の反応が十分
に進行せず、一方、250℃を越えると、ビニル基を有
する化合物の熱劣化が起こって効果が低減するためであ
ると考えられる。
【0019】(ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有
させる時期)さらに、本発明者等は、上記ホウ酸化合物
をコンデンサ素子内に含有させる時期について種々検討
した。その結果、導電性ポリマーを形成する工程の前の
段階であれば、どの段階でも良いことが判明した。すな
わち、その時期は、上述したように、修復化成前であっ
ても良いし、コンデンサ素子を形成する前に電極箔に付
着させても良く、例えば、以下の(1)〜(3)の方法
が考えられる。
【0020】なお、(1)の方法は上述した製造方法に
相当する。また、下記の(1)〜(3)の方法の中で、
陽極箔と陰極箔を、ビニル基を有する化合物を含有する
セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、
このコンデンサ素子に修復化成を施した後、このコンデ
ンサ素子にホウ酸化合物の溶液を含浸して、ビニル基を
有する化合物とホウ酸化合物とからなる結合体を生成
し、その後に、このコンデンサ素子内で導電性ポリマー
の重合反応を発生させ、固体電解質層を形成することが
できる(1)の方法が最も好適である。なお、下記の方
法で樹脂封止を行わなくても、本発明の効果に変わりは
ない。
【0021】(1)修復化成後…図1参照 化成→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを
用いてコンデンサ素子形成→修復化成→ホウ酸化合物溶
液に浸漬→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装
ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
【0022】(2)コンデンサ素子形成後〜修復化成前
…図2参照 化成→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを
用いてコンデンサ素子形成→ホウ酸化合物溶液に浸漬→
修復化成→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装
ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
【0023】(3)コンデンサ素子形成前…図3参照 化成→両極電極箔の少なくともいずれか一方をホウ酸化
合物溶液に浸漬(又は塗布後、乾燥処理)→ビニル基を
有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ
素子形成→修復化成→重合性モノマーと酸化剤の含浸→
重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージングな
お、これらの方法におけるホウ酸化合物溶液の濃度、温
度、含浸時間、乾燥温度、乾燥時間等は、上述した条件
と同様である。
【0024】(EDT及び酸化剤)重合性モノマーとし
てEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するED
Tとしては、EDTモノマーを用いることができるが、
EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合
したモノマー溶液を用いることもできる。前記揮発性溶
媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフ
ラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセ
トン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセ
トニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、
なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ま
しい。
【0025】また、酸化剤としては、エタノールに溶解
したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしく
はヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒
に対する濃度は40〜57wt%が好ましく、45〜5
7wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が
高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒として
は、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いること
ができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶
媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いた
め蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考え
られる。
【0026】(減圧)重合工程で減圧すると、さらに好
適である。その理由は、加熱重合時に減圧すると、重合
と共に残存物を蒸散させることができるからである。な
お、減圧の程度は、10〜360mmHg程度の減圧状
態とすることが望ましい。
【0027】(浸漬工程)コンデンサ素子を混合液に浸
漬する時間は、コンデンサ素子の大きさによって決まる
が、φ5×3L程度のコンデンサ素子では5秒以上、φ
9×5L程度のコンデンサ素子では10秒以上が望まし
く、最低でも5秒間は浸漬することが必要である。な
お、長時間浸漬しても特性上の弊害はない。また、この
ように浸漬した後、減圧状態で保持すると好適である。
その理由は、揮発性溶媒の残留量が少なくなるためであ
ると考えられる。減圧の条件は上述した重合工程での減
圧条件と同様である。
【0028】(修復化成の化成液)修復化成の化成液と
しては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アン
モニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等
のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジ
ピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、
リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。ま
た、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
【0029】(他の重合性モノマー)本発明に用いられ
る重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT
以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラ
ン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の
酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成する
ものであれば適用することができる。なお、チオフェン
誘導体としては、下記の構造式のものを用いることがで
きる。
【化1】
【0030】(作用・効果)上記のように、ビニル基を
有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ
素子を形成すると共に、所定の時期に、コンデンサ素子
にホウ酸化合物を含有させることにより、鉛フリーリフ
ローによる耐電圧特性の劣化を防止することができると
共に、エージング工程でショートが発生する割合を大幅
に低減することができる。
【0031】このような効果が得られる理由は、セパレ
ータに含まれるビニル基を有する化合物が製造工程中に
溶出して、コンデンサ素子内でホウ酸化合物と水素結合
等により結合体を形成し、この結合体が電極箔の酸化皮
膜上に付着して層を形成することにより、固体電解質と
酸化皮膜の密着性が向上し、さらにこの層の耐電圧が高
いので、コンデンサの耐電圧が向上するものと考えられ
る。
【0032】また、コンデンサ素子形成後にビニル基を
有する化合物を素子内に含有させるよりも、本発明のよ
うにセパレータに含有させたビニル基を有する化合物が
溶出する方が、ホウ酸化合物との結合体が酸化皮膜に均
一に付着するという利点もある。特に、PVAとホウ酸
を用いた場合には、エステル化合物からなる結合体を形
成し、このエステル化合物は誘電体皮膜中に浸透せず
に、皮膜表面に付着して良好な層を形成するため、良好
な特性が得られるものと考えられる。
【0033】そして、上述したように、ホウ酸化合物を
含有させた後、加熱処理を行うと、セパレータから溶出
したビニル基を有する化合物の末端基と誘電体酸化皮膜
乃至導電性ポリマーとの接合性が向上して、初期特性、
特に静電容量とESR特性が向上すると考えられる。
【0034】
【実施例】続いて、以下のようにして製造した実施例、
比較例及び従来例に基づいて本発明をさらに詳細に説明
する。 (実施例)主体繊維にPET繊維を49wt%含み、P
VAポリマーをバインダーとして用いたセパレータを用
い、以下のようにして固体電解コンデンサを作成した。
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引
き出し手段を接続し、両電極箔を上記のセパレータを介
して巻回して、素子形状が5φ×2.8Lのコンデンサ
素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸
二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して修復化成
を行った。修復化成後、このコンデンサ素子を5wt%
のホウ酸水溶液に浸漬し、175℃で加熱処理した。一
方、所定の容器に、EDTと45%のパラトルエンスル
ホン酸第二鉄のエタノール溶液を混合し、コンデンサ素
子を上記混合液に10秒間浸漬し、250mmHg程度
の減圧状態で保持し、次いで同じ条件下で120℃、6
0分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応
を発生させ、固体電解質層を形成した。そして、このコ
ンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端
部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止し
た。その後に、150℃、120分、33Vの電圧印加
によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成
した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25
WV、定格容量は15μFである。
【0035】(比較例1)修復化成後、ホウ酸水溶液に
浸漬せずに、導電性ポリマーを形成した。その他の条件
及び工程は、実施例と同様である。 (比較例2)主体繊維にPET繊維を49wt%含み、
PETポリマーをバインダーとして用いたセパレータを
用いた。その他の条件及び工程は、実施例と同様であ
る。 (比較例3)修復化成後、コンデンサ素子を5wt%の
ホウ酸水溶液に浸漬し、加熱処理を行わなかった。その
他の条件及び工程は、実施例と同様である。
【0036】[比較結果]上記の方法により得られた実
施例及び比較例の固体電解コンデンサ各50個のそれぞ
れについて、初期特性及びエージング時のショートの数
を調べたところ、表1に示したような結果が得られた。
また、ショートの発生しなかった良品について、ピーク
温度250℃、230℃以上30秒保持の鉛フリーリフ
ローを行った後、32.5Vの充放電を125℃の下で
1000回行うサージ試験を行い、ショート電圧を測定
したところ、表1に示したような結果が得られた。
【表1】
【0037】表1から明らかなように、PVAポリマー
を含有するセパレータを用い、コンデンサ素子にホウ酸
水溶液を含有させた実施例においては、初期特性、エー
ジング後のショート数、サージ後のショート電圧は、い
ずれも比較例1〜3に比べて良好であった。これに対し
て、ホウ酸処理を行わない比較例1、ビニル基を有する
化合物を含まないセパレータを用いた比較例2の特性
は、実施例に比べて悪かった。また、加熱処理を行わな
かった比較例3は、比較例1あるいは比較例2よりは良
好な結果が得られたが、実施例に比べてその効果は低い
ものであった。
【0038】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、鉛
フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止すること
ができ、高耐電圧品を製造する場合の歩留まりを向上さ
せることができ、さらに初期特性も良好な固体電解コン
デンサ及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の
一例を示すフローチャート
【図2】本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の
一例を示すフローチャート
【図3】本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の
一例を示すフローチャート
【図4】従来技術による固体電解コンデンサの製造工程
の一例を示すフローチャート

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して
    巻回したコンデンサ素子に、重合性モノマーと酸化剤と
    を含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成
    してなる固体電解コンデンサにおいて、 前記セパレータにビニル基を有する化合物を含有させ、
    前記コンデンサ素子内に、ビニル基を有する化合物とホ
    ウ酸化合物とからなる結合体を含有させたことを特徴と
    する固体電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 前記ビニル基を有する化合物が、ポリビ
    ニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載
    の固体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 前記ホウ酸化合物が、ホウ酸又はホウ砂
    であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    固体電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】 前記重合性モノマーが、チオフェン誘導
    体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいず
    れか一に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 【請求項5】 前記チオフェン誘導体が、3,4−エチ
    レンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項
    4に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 【請求項6】 陽極箔と陰極箔とをビニル基を有する化
    合物を含有するセパレータを介して巻回してコンデンサ
    素子を形成し、このコンデンサ素子にホウ酸化合物の溶
    液を含浸して、ビニル基を有する化合物とホウ酸化合物
    とからなる結合体を生成し、その後に導電性ポリマーか
    らなる固体電解質層を形成することを特徴とする固体電
    解コンデンサの製造方法。
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