JP2003105123A - ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法

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JP2003105123A JP2001300398A JP2001300398A JP2003105123A JP 2003105123 A JP2003105123 A JP 2003105123A JP 2001300398 A JP2001300398 A JP 2001300398A JP 2001300398 A JP2001300398 A JP 2001300398A JP 2003105123 A JP2003105123 A JP 2003105123A
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Tonen Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜厚が10μm程度の薄膜においても突刺強度
が高く、熱収縮率が低く、かつ透過性が良好なポリエチ
レン微多孔膜を提供する。 【解決手段】 本発明のポリオレフィン微多孔膜は、重
量平均分子量が5×10 5以上のポリエチレンを必須成分
とするポリオレフィン微多孔膜であって、突刺強度が98
00mN/25μm以上、透気度が20〜1000秒/100mlであり、
かつ前記ポリオレフィン微多孔膜の平均孔径が膜厚方向
に変化していることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は突刺強度、熱収縮率
及び透過性に優れたポリオレフィン微多孔膜、その製造
方法、並びにポリオレフィン微多孔膜を用いた電池用セ
パレーター及び電池に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン微多孔膜は、リチウム二
次電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電
池、ポリマー電池等の電池用セパレーターをはじめ、電
解コンデンサー用セパレーター、限外濾過膜、精密濾過
膜等の各種フィルター、衣料材料、医療用材料等に幅広
く使用されている。
【0003】かかるポリオレフィン微多孔膜の高強度化
を図るために、超高分子量ポリエチレンを用いて微多孔
膜を製造することが検討されている。例えば、超高分子
量ポリエチレンと各種可塑剤、溶剤等を混練した後これ
ら可塑剤、溶剤等を除去し、必要に応じて延伸する方法
が、特開昭60-242035号、特開昭60-255107号、特開昭63
-273651号等に開示されている。
【0004】しかし、これらの方法は各種可塑剤、溶剤
等を大量に使用しなければならず、可塑剤、溶剤等の除
去に時間がかかり過ぎるのみならず、得られる微多孔膜
の強度も十分ではなかった。これを改良するため、超高
分子量ポリエチレンに重量平均分子量が1×104以上の
他のポリエチレンを添加し、分子量分布を制御すること
により優れた強度と透水性を兼ね備え、かつ溶剤の使用
量を少なくすることができる発明が特開平3-64334号に
開示されている。
【0005】しかしながら、リチウム電池をはじめとす
る電池特性に対する要求レベルが日増しに高くなり、突
刺強度、透過性及び熱収縮性の向上が一層求められてい
る。ところが透過性を高くすると一般に空孔率が高くな
り、その結果微多孔膜の突刺強度は低下傾向になる。ま
た突刺強度を高めるために延伸倍率を高くすると、熱収
縮率は著しく高くなる。このため、これら3物性を同時
に満たすものはまだ知られていない。特に電池容量を向
上させる観点から、微多孔膜の膜厚は従前の20〜30μm
から10μm程度に薄膜化が要求されており、これにより
従前以上の突刺強度が求められている。具体的には膜厚
が25μmの膜で許容される突刺強度3920mN(400gf)を膜
厚が10μmの膜に要求すると、25μm換算で9800mN(1000
gf)程度の突刺強度が必要となる。
【0006】特開平7-188440号に記載の微多孔膜は、超
高分子量ポリエチレン又はこれを含む組成物と溶剤とか
らなる溶液を溶融混練し、次いで混練物を押出し、冷却
して得られたゲル状成形物を膜厚方向に温度分布を設け
て延伸し、脱溶剤処理して得られる。この微多孔膜は、
突刺強度及び破断強度が良好であり、透気度は電池用セ
パレーターとして使用できるレベル(520〜700秒/100m
l)である。しかし、突刺強度はそれでも5880mN/25μm
(600gf/25μm)程度である。単純に延伸倍率を高めれ
ば強度は向上するが、逆に熱収縮率が低下して結局リチ
ウム電池用セパレーターとして求められている厳しい要
求を十分に満たすことができない。
【0007】また、特開2000-248094号には、超高分子
量ポリエチレンと流動パラフィンとを混練して得られた
ゲル状成形物を0℃まで冷却し、次いで120℃で圧延、さ
らに延伸し、脱溶媒後に熱処理を行う方法が記載されて
いる。この場合、突刺強度が9800mN/25μm(1000g/25
μm)と高いが、熱収縮率も9.8〜13.4%と高値になって
いる。このため、延伸前に圧延を行うことにより透過性
と強度を同時に向上させるという利点を有しているもの
の、リチウム電池用セパレーターとして用いた場合に
は、発熱に伴いセパレーター収縮による短絡が起こりや
すくなり、リチウム電池等の二次電池における長期サイ
クル特性が悪くなる。
【0008】さらに特開2001-081221号には、横方向(T
D)の収縮力の緩和、突刺強度の向上、及び引張強度の
向上したポリオレフィン微多孔膜が開示されているが、
熱収縮率については全方向について改良されたものでは
ない。また透過性については800秒/100ml程度であり、
さらに屈曲性が2.5〜7.0と高いため、イオン透過性の面
ではさらなる改良が求められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、膜厚が10μm程度の薄膜においても突刺強度が高
く、熱収縮率が低く、かつ透過性が良好なポリオレフィ
ン微多孔膜及びその製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決する手段】上記目的に鑑み鋭意研究の結
果、重量平均分子量が5×105以上のポリエチレンを必
須成分とするポリオレフィンと溶剤とから得られた溶融
混練物をダイより押し出し、冷却して得られたゲル状シ
ートから残存する溶剤を除去し、次いで少なくとも一軸
方向に延伸した後、ポリオレフィンの結晶分散温度以上
融点未満の温度で熱処理することにより得られた微多孔
膜(A)と、上記ゲル状シートをポリオレフィンの結晶分
散温度未満の温度で少なくとも一軸方向に延伸し、次い
でポリオレフィンの結晶分散温度以上融点未満の温度で
少なくとも一軸方向に延伸し、さらに得られた延伸物か
ら溶剤を除去して得られた微多孔膜(B)とを積層するこ
とにより、一方の面の平均孔径が内部又は他方の面の平
均孔径よりも大きいポリオレフィン微多孔膜が得られ、
かかる微多孔膜はイオン透過性に優れるとともに、突刺
強度、熱収縮率等の物性においても優れていることを発
見し、本発明に想到した。
【0011】すなわち、本発明のポリオレフィン微多孔
膜は、重量平均分子量が5×105以上のポリエチレンを
必須成分とするポリオレフィン微多孔膜であって、突刺
強度が9800mN/25μm以上、透気度が20〜1000秒/100ml
であり、かつ前記ポリオレフィン微多孔膜の平均孔径が
膜厚方向に変化していることを特徴とする。
【0012】前記ポリオレフィン微多孔膜は、少なくと
も一方の面の平均孔径が内部の平均孔径よりも大きい
か、或いは一方の面の平均孔径が他方の面の平均孔径よ
りも大きいことが好ましい。
【0013】本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方
法は、重量平均分子量が5×105以上のポリエチレンを
必須成分とするポリオレフィンと溶剤とを溶融混練し、
得られた溶融混練物をダイより押出し、冷却してゲル状
シートを形成した後、前記ゲル状シートを膜厚方向に温
度分布を設けて二軸延伸し、得られた延伸物から25℃に
おける表面張力が24mN/m以下の洗浄溶媒(A)を用いて溶
剤を除去し、次いで少なくとも一軸方向に延伸した後、
さらに前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上融点未満
の温度で熱処理して得られた微多孔膜(A)と、前記ゲル
状シートを前記ポリオレフィンの結晶分散温度未満の温
度で少なくとも一軸方向に延伸し、次いで前記ポリオレ
フィンの結晶分散温度以上融点未満の温度で二軸延伸
し、さらに得られた延伸物から溶剤を除去して得られた
微多孔膜(B)とを積層することを特徴とする。
【0014】本発明のポリオレフィン微多孔膜は、電池
用セパレーター及び電池として好適に用いることができ
る。
【0015】ポリオレフィン微多孔膜が一層優れた特性
を得るために、ポリオレフィンは下記条件(1)〜(11)を
満たすのが好ましい。 (1) 上記ポリオレフィンに含まれる重量平均分子量5×1
05以上のポリエチレンは超高分子量ポリエチレンであ
る。 (2) 上記(1)に記載の超高分子量ポリエチレンの重量平
均分子量は1×106〜15×106である。 (3) 上記(1)又は(2)に記載の超高分子量ポリエチレンの
重量平均分子量は1×10 6〜5×106である。 (4) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の超高分子量ポリエ
チレンが多段重合により製造されたものである。 (5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の超高分子量ポリエ
チレンのMw/Mnが5〜300である。 (6) 上記ポリオレフィンが、重量平均分子量5×105以上
の超高分子量ポリエチレンと重量平均分子量1×104
上5×105未満のポリオレフィンとの組成物である。 (7) 上記(6)に記載のポリオレフィン組成物中の重量平
均分子量1×104以上5×105未満のポリオレフィンが高
密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエ
チレン及び線状低密度ポリエチレンからなる群から選ば
れた少なくとも一種である。 (8) 上記(6)又は(7)に記載のポリオレフィン組成物が重
量平均分子量5×105以上の超高分子量ポリエチレンと
重量平均分子量1×104以上5×105未満の高密度ポリエ
チレンからなる。 (9) 上記(6)〜(8)のいずれかに記載のポリオレフィン組
成物のMw/Mnが5〜300である。 (10) 上記ポリオレフィンが、上記(1)〜(5)のいずれか
に記載の超高分子量ポリエチレン、又は上記(6)〜(9)の
いずれかに記載のポリオレフィン組成物に、シャットダ
ウン機能(電池内部の温度上昇時に、発火等の事故を防
止するため、微多孔膜が溶融して微多孔を目詰りさせて
電流を遮断する機能)を付与するポリオレフィンとして
分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレ
ン、シングルサイト触媒を用いて製造されたエチレン-
α-オレフィン共重合体、及び分子量1×103〜4×103
の低分子量ポリエチレンからなる群から選ばれた少なく
とも一種を添加したポリオレフィン組成物である。 (11) 上記ポリオレフィンが、上記(1)〜(5)のいずれか
に記載の超高分子量ポリエチレン、又は上記(6)〜(10)
のいずれかに記載のポリオレフィン組成物に、メルトダ
ウン温度(熱可塑性微多孔膜の破膜温度)を向上させる
ためのポリプロピレンを添加したポリオレフィン組成物
である。
【0016】ポリオレフィン微多孔膜が一層優れた特性
を得るために、上記第1〜第3の製造方法は下記条件(1
2)〜(20)を満たすのが好ましい。 (12) 重量平均分子量が5×105以上のポリエチレンを必
須成分とするポリオレフィンと溶剤との溶融混練は、当
該ポリオレフィンの融点+10℃〜+100℃で行う。 (13) 押出成形により得られたゲル状シートの延伸(一
次延伸)は、ポリオレフィンの結晶分散温度以上融点以
下の温度で行う。 (14) 溶剤の除去を行う洗浄工程は二段階以上の工程に
より行う。 (15) 少なくとも最終段階の洗浄工程で25℃における表
面張力が24mN以下の洗浄溶媒(A)を用いる。 (16) 洗浄溶媒(A)は、フッ素系炭化水素、炭素数5〜10
のノルマルパラフィン、炭素数6〜12のイソパラフィ
ン、炭素数6以下の脂肪族エーテル、シクロペンタン等
のシクロパラフィン、シクロパラフィン、脂肪族ケト
ン、脂肪族アルコール、脂肪酸エステルからなる群から
選ばれた少なくとも一種である。 (17) 洗浄溶媒(A)以外に洗浄溶媒(B)を用いる段階を入
れてもよい。洗浄溶媒(B)は、易揮発性溶媒(炭化水
素、塩素化炭化水素、フッ化炭化水素、エーテル、エチ
ルメチルケトン等)、又は沸点100℃以上且つ引火点0℃
以上の非水系溶媒である。 (18) 熱固定処理の前後に、必要に応じて熱緩和処理を
行う。熱緩和処理はポリオレフィンの結晶分散温度以上
融点以下の温度で行う。 (19) 熱緩和処理は機械方向(MD)及び横方向(TD)と
もに、緩和直前の長さの60%以上維持するようにし、一
方向のみ緩和してもよい。 (20) 微多孔膜の積層は、ロール、エンボス等の方法を
用いて融着させることにより行う。
【0017】
【発明の実施の形態】[1] ポリオレフィン微多孔膜 (A) ポリオレフィン 本発明に使用するポリオレフィンは、重量平均分子量が
5×105以上のポリエチレンを必須成分とする。このよ
うなポリエチレンとしては超高分子量ポリエチレンが挙
げられ、好ましくは重量平均分子量が1×106〜15×1
06、より好ましくは1×106〜5×106である。
【0018】使用するポリオレフィンは、重量平均分子
量が5×105以上のポリエチレンを必須成分とするもの
であれば、任意成分として他のポリオレフィンを含む組
成物となるものでも構わない。このような他のポリオレ
フィンとして、ポリエチレン(重量平均分子量1×104
以上5×105未満)、ポリプロピレン(重量平均分子量
1×104〜4×106)、ポリブテン-1(重量平均分子量
1×104〜4×106)、ポリエチレンワックス(重量平均
分子量1×103以上1×104未満)、エチレン・α-オレ
フィン共重合体(重量平均分子量1×104〜4×106)等
を使用することができる。
【0019】これらの任意成分としてのポリオレフィン
は、使用する材料全体の80重量%まで使用することがで
きる。
【0020】ポリオレフィン組成物としては、用途によ
り分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)を容易
に制御することができるため、超高分子量ポリエチレン
とポリエチレン(重量平均分子量1×104以上5×105
満)とからなる組成物を好ましく用いることができる。
係るポリオレフィン組成物の分子量分布は5〜300であ
るのが好ましく、5〜100であるのがより好ましい。
【0021】ポリエチレン(重量平均分子量1×104
上5×105未満)の種類は、高密度ポリエチレン、中密
度ポリエチレン、低密度ポリエチレンのいずれでも使用
することができ、エチレン単独重合体のほか、プロピレ
ン、ブテン、ヘキセン等の他のオレフィンとの共重合体
であってもよい。中でも超高分子量ポリエチレン(重量
平均分子量5×105以上)と高密度ポリエチレン(重量
平均分子量1×104以上5×105未満)とからなる組成物
を特に好適に用いることができるが、これに限定される
ものではない。
【0022】(B) 構造及び物性 本発明のポリオレフィン微多孔膜は、熱収縮率(105
℃、8時間)は特に限定さないが、機械方向(MD)及び
横方向(TD)ともに8%以下が好ましく、5%以下がよ
り好ましく、3%以下が最も好ましい。8%を超えると
リチウム電池用セパレーターとして使用した場合に、発
熱時に破膜が起こり短絡の原因となりやすい。突刺強度
は9800mN/25μm(1000gf/25μm)以上であり、好まし
くは11760mN/25μm(1200gf/25μm)以上、より好ま
しくは14700mN/25μm(1500gf/25μm)以上である。
突刺強度が9800mN/25μmよりも低いとリチウム電池と
して電極に組み込む際にピンホールが発生しやすい。平
均曲路率は特に限定されないが、好ましくは1.2〜2.5で
あり、より好ましくは1.2〜2.2である。曲路率が高すぎ
るとイオン透過性が大幅に低下し、低すぎるとイオン透
過性は向上するものの、リチウム電池セパレーターに使
用した場合に短絡が起こりやすい。透気度は20〜1000秒
/100mlであり、好ましくは20〜500秒/100ml、最も好
ましくは20〜300秒/100mlである。1000秒/100mlを超
えると、リチウム電池に使用した場合に電池容量の低下
につながり、20秒/100ml未満では発熱時におけるシャ
ットダウンが十分に行われない。平均孔径は膜厚方向に
変化しており、少なくとも一方の面の平均孔径が内部の
平均孔径よりも大きいか、又は一方の面の平均孔径が他
方の面の平均孔径よりも大きいのが好ましい。具体的に
は、一方の面の平均孔径が好ましくは0.005〜0.1μm、
より好ましくは0.01〜0.08μmであり、内部又は他方の
面の平均孔径が好ましくは0.01〜0.2μm、より好ましく
は0.02〜0.15μmである。また一方の面の平均孔径/内
部の平均孔径(又は他方の面の平均孔径)の比が、好ま
しくは1.1〜5、より好ましくは1.5〜3である。このよ
うな構造にすることによりイオン透過性を向上させるこ
とができる。
【0023】[2] 微多孔膜の製造方法 本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、重量平
均分子量が5×105以上のポリエチレンを必須成分とす
るポリオレフィンと溶剤とを溶融混練し、得られた溶融
混練物をダイより押出し、冷却してゲル状シートを形成
した後、前記ゲル状シートを膜厚方向に温度分布を設け
て二軸延伸し、得られた延伸物から25℃における表面張
力が24mN/m以下の洗浄溶媒(A)を用いて溶剤を除去し、
次いで少なくとも一軸方向に延伸した後、さらに前記ポ
リオレフィンの結晶分散温度以上融点未満の温度で熱固
定処理して得られた微多孔膜(A)と、前記ゲル状シート
を前記ポリオレフィンの結晶分散温度未満の温度で少な
くとも一軸方向に延伸し、次いで前記ポリオレフィンの
結晶分散温度以上融点未満の温度で少なくとも一軸方向
に延伸し、さらに得られた延伸物から溶剤を除去して得
られた微多孔膜(B)とを積層することにより行う。
【0024】(A) 微多孔膜(A)の製造方法+ (a) ポリオレフィン溶液の調製工程 上記溶剤は、溶融混練状態でポリオレフィンと混和状態
になるものが好ましい。好ましい溶剤としてはノナン、
デカン、デカリン、パラキシレン、ウンデカン、ドデカ
ン、流動パラフィン等の脂肪族又は環式の炭化水素、沸
点がこれらに対応する鉱油留分の他、ジオクチルフタレ
ート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)等、常温で液
状のフタル酸エステル等を挙げることができる。溶剤含
有量が安定なゲル状成形物を得るためには、流動パラフ
ィンのような不揮発性の溶剤が特に好ましい。溶融混練
状態でポリオレフィンと混和状態になる溶剤であって常
温で固体のものも、液体の溶剤に混合させて使用するこ
とができる。このような固体として、ステアリルアルコ
ール、セリルアルコール、パラフィンワックス、ジシク
ロヘキシルフタレート(DCHP)等が挙げられ、特にジシク
ロヘキシルフタレート(DCHP)が孔径の制御が容易になる
ため好ましい。
【0025】ポリオレフィンと溶剤の配合割合は、両者
の合計を100重量%として、ポリオレフィンが1〜50重
量%、好ましくは20〜40重量%である。ポリオレフィン
が1重量%未満ではゲル状成形物を形成する際にダイス
出口でスウェルやネックインが大きくなり、ゲル状成形
物の成形性及び自己支持性が低下する。一方50重量%を
超えるとゲル状成形物の成形性が低下する。
【0026】上記溶融混練物には必要に応じて酸化防止
剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、顔料、染
料、無機充填剤等の各種添加剤を本発明の目的を損なわ
ない範囲で添加することができる。
【0027】溶融混練の方法は特に限定されないが、通
常二軸押出機によりポリオレフィンと溶剤を均一に混練
することにより行う。溶融温度は、ポリオレフィンの融
点+10℃〜+100℃が好ましい。具体的には、160〜250
℃が好ましく、170〜230℃がより好ましい。ここで融点
とは、JIS K 7121により、示差走査熱量測定(DSC)に
より求められる値をいう。溶融混練はポリオレフィンと
溶剤からなる加熱溶液を予め押出機に投入してもよい
し、ポリオレフィンを最初に投入し、途中から溶剤を投
入してもよい。
【0028】(b) ゲル状シートの成形工程 溶融混練して得られた混練物を直接又は別の押出機を介
して、或いは一旦冷却してペレット化した後再度押出機
を介して押出成形する。押出成形はTダイ法、インフレ
法等の公知の方法により行うことができる。得られた成
形物を冷却してゲル状シートにする。冷却速度は50℃/
分以上の急冷にて行い、温度25℃以下にするのが好まし
い。このようにしてポリオレフィン相が溶剤によってミ
クロ相分離された相分離構造を固定化することができ
る。一般に冷却速度が遅いと得られるゲル状成形物の高
次構造が粗くなり、それを形成する擬似細胞単位も大き
なものとなるが、冷却速度が速いと密な細胞単位とな
る。冷却速度が50℃/分未満では結晶化度が上昇し、延
伸に適したゲル状成形物となりにくい。冷却方法として
は冷風、冷却水、その他の冷却媒体に直接接触させる方
法、冷媒で冷却したロールに接触させる方法等を用いる
ことができる。
【0029】(c) 二軸延伸工程 次にゲル状シートを膜厚方向に温度分布を設けて二軸延
伸(一次延伸)する。延伸はテンター法、ロール法、圧
延法、又はこれらを組み合わせた方法により行い、同時
二軸延伸及び逐次二軸延伸のいずれも利用できる。延伸
温度はポリオレフィンの結晶分散温度(通常約90℃)以
上融点以下で行うことが好ましい。ここで、結晶分散温
度とはASDM D 4065による動的粘弾性の温度特性測定に
より求められる値をいう。
【0030】膜厚方向に温度分布を設けて二軸延伸する
方法は、特開平7-188440号に記載の方法を採用するのが
好ましい。すなわち、ゲル状シートを予備加熱を行っ
て比較的低温(好ましくはポリオレフィンの融点−40℃
〜ポリオレフィンの融点−10℃、より好ましくはポリオ
レフィンの融点−30℃〜ポリオレフィンの融点−10℃)
でかつ均一な温度にした後、比較的高温(好ましくはポ
リオレフィンの融点−20℃〜ポリオレフィンの融点+10
℃、より好ましくはポリオレフィンの融点−15℃〜ポリ
オレフィンの融点+10℃)に表面を加熱して延伸する方
法、ゲル状シートを予備加熱して比較的高温(好まし
くはポリオレフィンの融点−20℃〜ポリオレフィンの融
点+10℃、より好ましくはポリオレフィンの融点−15℃
〜ポリオレフィンの融点+10℃)で、かつ均一な温度に
加熱した後、比較的低温(好ましくはポリオレフィンの
融点−40℃〜ポリオレフィンの融点−10℃、より好まし
くはポリオレフィンの融点−30℃〜ポリオレフィンの融
点−10℃)に表面を冷却して延伸する方法、ゲル状シ
ートを予備加熱し、次いでゲル状シートの上下のいずれ
か一方から加熱エア(好ましくはポリオレフィンの融点
−20℃〜ポリオレフィンの融点+10℃、より好ましくは
ポリオレフィンの融点−15℃〜ポリオレフィンの融点+
10℃)によって加熱しながら延伸する方法(予備加熱温
度が加熱エアの温度よりも高い場合は、加熱エアの温度
は好ましくはポリオレフィンの融点−40℃〜ポリオレフ
ィンの融点−10℃、より好ましくはポリオレフィンの融
点−30℃〜ポリオレフィンの融点−10℃、予備加熱の温
度が加熱エアの温度よりも低い場合は、加熱エアの温度
は好ましくはポリオレフィンの融点−20℃〜ポリオレフ
ィンの融点+10℃、より好ましくはポリエチレンの融点
−15℃〜ポリオレフィンの融点+10℃とする。)のいず
れかを採用する。
【0031】延伸倍率は特に限定されないが、機械方向
(MD)に3倍以上、横方向(TD)に3倍以上でかつ面積
倍率20倍以上とするのが好ましい。このようにすること
で突刺強度を向上させることができる。
【0032】(d) 洗浄工程 一次延伸により得られた膜から溶剤を除去(洗浄)す
る。ポリオレフィン相は溶剤によりミクロ相分離されて
いるので、溶剤を除去すると多孔質の膜が得られる。溶
剤の除去には、25℃における表面張力が24mN/m以下、好
ましくは20mN/m以下になる洗浄溶媒(A)を用いる。24mN/
mを超える溶剤で処理すると、微多孔膜の構造が緻密化
し過ぎ、透過性が不十分となるため好ましくない。洗浄
溶媒(A)はポリオレフィンとは相溶しないものが好まし
い。このような洗浄溶媒(A)を用いることにより、洗浄
後の乾燥時に微多孔内部で生じる気―液界面の表面張力
によって起る網状組織の収縮緻密化を抑制することがで
きる。その結果、微多孔膜の空孔率及び透気度を向上さ
せることができる。なお洗浄溶媒(A)の表面張力は、そ
の使用温度を上げるに従い低くすることができるが、使
用できる温度範囲は沸点以下に限られる。ここで、「表
面張力」とは気体と液体との界面に生じる張力をいい、
JIS K 3362に基づいて測定した値である。
【0033】洗浄溶媒(A)としてはハイドロフルオロカ
ーボン、ハイドロフルオロエーテル、環状ハイドロフル
オロカーボン、パーフルオロカーボン、パーフルオロエ
ーテル等のフッ素系化合物、炭素数5〜10のノルマルパ
ラフィン、炭素数6〜12のイソパラフィン、炭素数6以
下の脂肪族エーテル、シクロペンタン等のシクロパラフ
ィン、2-ペンタノン等の脂肪族ケトン、メタノール、エ
タノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ターシャ
リーブタノール、イソブタノール、2-ペンタノール等の
脂肪族アルコール、酢酸プロピル、酢酸ターシャリーブ
チル、酢酸セカンダリーブチル、酢酸エチル、酢酸イソ
プロピル、酢酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、
ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、プロピオン酸エチ
ルの脂肪族エステル等を挙げることができる。
【0034】フッ素系化合物としては、C5H2F10の組成
式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、C4F9OCH3
及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエ
ーテル、C5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフルオ
ロカーボン、C6F14及びC7F16の組成式で示されるパーフ
ルオロカーボン、並びにC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成
式で示されるパーフルオロエーテルからなる群から選ば
れた少なくとも一種が好ましい。これらフッ素系化合物
は20℃において表面張力が24mN/m以下であるため、表面
張力による網状組織の収縮緻密化を抑制する効果が高
い。また沸点が100℃以下であるため乾燥が容易であ
る。更にオゾン破壊性が無いため環境への負荷が低減で
き、且つ引火点が40℃以上である(一部の化合物は引火
点が無い)ため乾燥工程中の引火爆発の危険性が低い。
【0035】炭素数5〜10のノルマルパラフィンとして
はノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプ
タン、ノルマルオクタン、ノルマルノナン及びノルマル
デカンが好ましい。これらは表面張力が20℃において24
mN/m以下である。この中では、沸点が100℃以下であ
り、乾燥が容易であるノルマルペンタン、ノルマルヘキ
サン、ノルマルヘプタンがより好ましい。
【0036】炭素数6〜12のイソパラフィンとしては2-
メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジブチルブタ
ン、2,3-ジブチルブタン、2-メチルヘキサン、3-メチル
ヘキサン、3-エチルペンタン、2,2-ジメチルペンタン、
2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、3,3-ジ
メチルペンタン、2,2,3-トリメチルブタン、2-メチルヘ
プタン、3-メチルヘプタン、2,2-ジメチルヘキサン、2,
3-ジメチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、3,4-ジメ
チルヘキサン、2,2,3-トリメチルペンタン、2,2,4-トリ
メチルペンタン、2,3,3-トリメチルペンタン、2,3,4-ト
リメチルペンタン、2-メチルオクタン、2,2,5-トリメチ
ルヘキサン、2,3,5-トリメチルヘキサン、2-メチルノナ
ン及び2,3,5-トリメチルヘプタンが好ましい。この中で
は表面張力が20℃において24mN/m以下であり、かつ沸点
が100℃以下である2-メチルペンタン、3-メチルペンタ
ン、2,2-ジブチルブタン、2,3-ジブチルブタン、2-メチ
ルヘキサン、3-メチルヘキサン、3-エチルペンタン、2,
2-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメ
チルペンタン及び3,3-ジメチルペンタンがより好まし
い。
【0037】炭素数6以下のエーテルとしてはジエチル
エーテル、ブチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル
及びジイソプロピルエーテルが好ましい。これらはその
表面張力が20℃において24mN/m以下であり、かつ沸点が
100℃以下である。
【0038】シクロパラフィンとしてはシクロペンタン
が、脂肪族アルコールとしてはメタノール、エタノー
ル、1-プロパノール及び2-プロパノールが、ともに表面
張力が20℃において24mN/m以下であり、かつ沸点が100
℃以下であるため好ましい。
【0039】脂肪族エステルとしては、表面張力が20℃
において24mN/m以下である酢酸ターシャリーブチル、酢
酸セカンダリーブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブ
チル、ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル及びギ酸イソブチ
ルが好ましい。更に沸点が100℃以下である酢酸ターシ
ャリーブチル、ギ酸エチル及びギ酸イソプロピルがより
好ましい。
【0040】洗浄溶媒(A)としては、25℃において表面
張力が24mN/m以下になるように配合した炭素数3以下の
脂肪族アルコールと水との混合物を用いることもでき
る。
【0041】洗浄溶媒(A)は、他の溶媒との混合物とし
て使用することができる。この場合、その混合比率は25
℃において表面張力が24mN/m以下になるようにする。例
えばC5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロ
カーボン、C4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示される
ハイドロフルオロエーテル、C5H3F7の組成式で示される
環状ハイドロフルオロカーボン、C6F14及びC7F16の組成
式で示されるパーフルオロカーボン、並びにC4F9OCF3
びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテル
からなる群から選ばれた少なくとも一種の溶媒とパラフ
ィン等の炭化水素系溶媒との混合物を使用することがで
きる。
【0042】洗浄は二段階以上の洗浄工程で行うのが好
ましく、洗浄溶媒(A)以外の洗浄溶媒(洗浄溶媒(B))を
用いる段階が入ってもよい。この場合は少なくとも一つ
の段階において洗浄溶媒(A)を用いればよい。洗浄溶媒
(B)としては、ポリオレフィンとは相溶性を有しないも
のが好ましく、例えば公知のペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素等の塩素
化炭化水素、三フッ化エタン等のフッ化炭化水素、ジエ
チルエーテル、ジオキサン等のエーテル、メチルエチル
ケトン等の易揮発性溶媒が使用できる。また沸点100℃
以上かつ引火点0℃以上の非水系溶媒を用いることもで
きる。洗浄溶媒(B)は、ポリオレフィン組成物の溶解に
用いた溶剤に応じて適宜選択し、単独もしくは混合して
用いる。
【0043】このような二段階以上の洗浄工程により、
洗浄溶媒の表面張力によって起る網状組織の収縮緻密化
を抑制しつつ、十分な洗浄を行うことができる。好まし
くは、少なくとも最終段階の洗浄工程において洗浄溶媒
(A)で処理する。これにより洗浄溶媒(B)を用いた場合に
該洗浄溶媒(B)を除去でき(以下「リンス処理」とい
う)、洗浄後の乾燥時に起る網状組織の収縮緻密化を防
ぐことができる。その結果、ポリオレフィン微多孔膜の
空孔率及び透気度が向上する。
【0044】最終段階の洗浄工程において洗浄溶媒(A)
で処理する際、特に沸点100℃以下の洗浄溶媒(A)で処理
すれば乾燥工程の効率が向上する。更に上述のC5H2F10
の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、C4
F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフル
オロエーテル、C5H3F7の組成式で示される環状ハイドロ
フルオロカーボン、C6F14及びC7F16の組成式で示される
パーフルオロカーボン、並びにC4F9OCF3及びC4F9OC2F5
の組成式で示されるパーフルオロエーテル等のフッ素系
化合物を用いると、前述のように製造工程における環境
への負荷をより低くできる効果もある。特に洗浄溶媒
(B)として沸点150℃以上の溶媒を用いる場合は単に熱風
で乾燥するだけでは乾燥に時間が掛かり、その影響で後
の熱処理において空孔率及び透気度が低下する恐れがあ
るが、沸点100℃以下の洗浄溶媒(A)を用いることにより
その問題を解消することができる。
【0045】洗浄溶媒(B)として用いることができる沸
点100℃以上かつ引火点0℃以上の非水系溶媒は難揮発
性であり、環境への負荷が低く、乾燥工程において引火
爆発する危険性が低いため使用上安全である。また高沸
点であるため凝縮しやすく、回収が容易となり、リサイ
クル利用し易い。なお「沸点」とは、1.01×105Paにお
ける沸点をいい、「引火点」とは、JIS K 2265に基づい
て測定した温度をいう。
【0046】上記非水系溶媒として、例えば沸点100℃
以上かつ引火点0℃以上のパラフィン系化合物、芳香
族、アルコール、エステル、エーテル、ケトン等が挙げ
られる。またその引火点は、好ましくは5℃以上であ
り、より好ましくは40℃以上である。しかし非水系溶媒
を水溶液化するのは、溶剤の除去を十分に行うことがで
きないため好ましくない。
【0047】非水系溶媒としては、炭素数8以上のノル
マルパラフィン、水素原子の少なくとも一部がハロゲン
原子で置換された炭素数5以上のノルマルパラフィン、
炭素数8以上のイソパラフィン、炭素数7以上のシクロ
パラフィン、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子
で置換された炭素数5以上のシクロパラフィン、炭素数
7以上の芳香族炭化水素、水素原子の少なくとも一部が
ハロゲン原子で置換された炭素数6以上の芳香族炭化水
素、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることの
ある炭素数5〜10のアルコール、水素原子の一部がハロ
ゲン原子で置換されることのある炭素数7〜14のエステ
ル及びエーテル、並びに炭素数5〜10のケトンからなる
群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
【0048】炭素数8以上のノルマルパラフィンとして
は、ノルマルオクタン、ノルマルノナン、ノルマルデカ
ン、ノルマルウンデカン及びノルマルドデカンが好まし
く、ノルマルオクタン、ノルマルノナン及びノルマルデ
カンがより好ましい。
【0049】水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子
で置換された炭素数5以上のノルマルパラフィンとして
は、1-クロロペンタン、1-クロロヘキサン、1-クロロヘ
プタン、1-クロロオクタン、1-ブロモペンタン、1-ブロ
モヘキサン、1-ブロモヘプタン、1-ブロモオクタン、1,
5-ジクロロペンタン、1,6-ジクロロヘキサン及び1,7-ジ
クロロヘプタンが好ましく、1-クロロペンタン、1-クロ
ロヘキサン、1-ブロモペンタン及び1-ブロモヘキサンが
より好ましい。
【0050】炭素数8以上のイソパラフィンとしては2,
3,4-トリメチルペンタン、2,2,3-トリメチルペンタン、
2,2,5-トリメチルヘキサン、2,3,5-トリメチルヘキサ
ン、2,3,5-トリメチルヘプタン及び2,5,6-トリメチルオ
クタンが好ましく、2,3,4-トリメチルペンタン、2,2,3-
トリメチルペンタン、2,2,5-トリメチルヘキサン及び2,
3,5-トリメチルヘキサンがより好ましい。
【0051】炭素数7以上のシクロパラフィンとして
は、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘ
キサン、シス−及びトランス-1,2-ジメチルシクロヘキ
サン、シス−及びトランス-1,3-ジメチルシクロヘキサ
ン及びシス-及びトランス-1,4-ジメチルシクロヘキサン
が好ましく、シクロヘプタンがより好ましい。
【0052】水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子
で置換された炭素数5以上のシクロパラフィンとして
は、クロロシクロペンタン及びクロロシクロヘキサンが
好ましく、クロロシクロペンタンがより好ましい。
【0053】炭素数7以上の芳香族炭化水素としては、
トルエン、オルトキシレン、メタキシレン及びパラキシ
レンが好ましく、トルエンがより好ましい。
【0054】水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子
で置換された炭素数6以上の芳香族炭化水素としてはク
ロロベンゼン、2-クロロトルエン、3-クロロトルエン、
4-クロロトルエン、3-クロロオルトキシレン、4-クロロ
オルトキシレン、2-クロロメタキシレン、4-クロロメタ
キシレン、5-クロロメタキシレン及び2-クロロパラキシ
レンが好ましく、クロロベンゼン、2-クロロトルエン、
3-クロロトルエン及び4-クロロトルエンがより好まし
い。
【0055】水素原子の一部がハロゲン原子で置換され
ることのある炭素数5〜10のアルコールとしては、イソ
ペンチルアルコール、ターシャリーペンチルアルコー
ル、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、3-メト
キシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノー
ル、プロピレングリコールノルマルブチルエーテル及び
5-クロロ-1-ペンタノールが好ましく、3-メトキシ-1-ブ
タノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、プロピ
レングリコールノルマルブチルエーテル及び5-クロロ-1
-ペンタノールがより好ましい。
【0056】水素原子の一部がハロゲン原子で置換され
ることのある炭素数7〜14のエステルとしては炭酸ジエ
チル、マレイン酸ジエチル、酢酸ノルマルプロピル、酢
酸ノルマルブチル、酢酸イソペンチル、酢酸3-メトキシ
ブチル、酢酸3-メトキシ-3-メチルブチル、ノルマル酪
酸エチル、ノルマル吉草酸エチル及び酢酸2-クロロエチ
ルが好ましく、酢酸イソペンチル、酢酸3-メトキシブチ
ル、酢酸3-メトキシ-3-メチルブチル、ノルマル酪酸エ
チル及び酢酸2-クロロエチルがより好ましい。
【0057】水素原子の一部がハロゲン原子で置換され
ることのある炭素数7〜14のエーテルとしてはジプロピ
レングリコールジメチルエーテル、ノルマルブチルエー
テル、ジイソブチルエーテル及びビスクロロエチルエー
テルが好ましく、ジプロピレングリコールジメチルエー
テル及びビスクロロエチルエーテルがより好ましい。
【0058】炭素数5〜10のケトンとしては2-ぺンタノ
ン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、シク
ロペンタノン及びシクロヘキサノンが好ましく、2-ペン
タノン及び3-ペンタノンがより好ましい。
【0059】上述のような洗浄溶媒(B)は混合物として
用いてもよいが、洗浄溶媒(B)に、任意成分(C)として、
例えば洗浄溶媒(A)として挙げたC5H2F10の組成式で示さ
れる鎖状ハイドロフルオロカーボン、C4F9OCH3及びC4F9
OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエーテル、C
5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフルオロカーボ
ン、C6F14及びC7F16の組成式で示されるパーフルオロカ
ーボン、C4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパ
ーフルオロエーテルからなる群から選ばれた少なくとも
一種の溶媒を混合したものを使用してもよい。この場
合、洗浄溶媒(B)と任意成分(C)は、表面張力が20〜80℃
の温度において24mN/m以下になる割合で混合するのが好
ましい。具体的には、混合溶媒100重量部中において任
意成分(C)を好ましくは2〜98重量部、より好ましくは
5〜50重量部にする。任意成分(C)を2〜98重量部含む
ことにより、洗浄溶媒の表面張力によって起る網状組織
の収縮緻密化を抑制しつつ、十分な洗浄を行うことがで
きる。
【0060】洗浄溶媒(B)は、その表面張力が20〜80℃
の温度において24mN/m以下になるものを用いるのが好ま
しい。例えば、ノルマルペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、三フッ化エタン、ジエチルエーテル、2−メチルペ
ンタン、3−メチルペンタン、シクロヘキサン、シクロ
ペンタン、アセトン、メチルエチルケトン等である。
【0061】ここで洗浄の第一段階で使用する洗浄溶媒
(B)と第二段階で使用する洗浄溶媒(A)との組合せとして
好ましいものを示す。但し後述するように洗浄溶媒(A)
及び洗浄溶媒(B)を用いる洗浄は三段階以上で行うこと
も可能であるため、これらは二段階で行うことに限定す
る趣旨ではない。例えば、洗浄溶媒(B)/洗浄溶媒(A)=
塩化メチレン/C4F9OCH3、塩化メチレン/C6F14、塩化
メチレン/C7F16、塩化メチレン/ノルマルヘプタン、
塩化メチレン/ノルマルヘキサン、塩化メチレン/ジエ
チルエーテル、エーテル/ハイドロフルオロエーテル、
エーテル/環状ハイドロフルオロカーボン、エーテル/
アルコール、エーテル/アルコールと水との混合物、ノ
ルマルパラフィン/ハイドロフルオロエーテル、ノルマ
ルパラフィン/環状ハイドロフルオロカーボン、ノルマ
ルパラフィン/アルコール、ノルマルパラフィン/アル
コールと水との混合物、イソパラフィン/ハイドロフル
オロエーテル、イソパラフィン/環状ハイドロフルオロ
カーボン、イソパラフィン/アルコール、イソパラフィ
ン/アルコールと水との混合物、シクロパラフィン/ハ
イドロフルオロエーテル、シクロパラフィン/環状ハイ
ドロフルオロカーボン、シクロパラフィン/アルコー
ル、シクロパラフィン/アルコールと水との混合物、ケ
トン/ハイドロフルオロエーテル、ケトン/環状ハイド
ロフルオロカーボン、ケトン/アルコール、及びケトン
/アルコールと水との混合物が挙げられる。より好まし
くは、洗浄溶媒(B)/洗浄溶媒(A)=塩化メチレン/C4F9
OCH3、塩化メチレン/C6F14、塩化メチレン/C7F16、塩
化メチレン/ノルマルヘプタン、塩化メチレン/ノルマ
ルヘキサン、塩化メチレン/ジエチルエーテル、ノルマ
ルヘプタン/C4F9OCF3、及びノルマルヘプタン/C6F14
である。このような組合せのものを用いることにより、
液体溶剤の除去を効果的に行いつつ、微多孔膜の空孔率
及び透気度を向上させることができる。
【0062】洗浄溶媒(A)単独又は洗浄溶媒(A)及び洗浄
溶媒(B)による洗浄は三段階以上の洗浄工程で行っても
よい。一段階又は二段階の処理では液体溶剤を十分除去
することができずに、得られるポリオレフィン微多孔膜
の物性が低下する場合等に有効である。この場合少なく
とも最終洗浄工程において洗浄溶媒(A)を用いて処理す
ればよく、特に洗浄回数は制限されないが、通常三段〜
五段階であり、好ましくは三〜四段階である。また各々
の段階において同じ洗浄溶媒で処理しても単に製造工程
が長くなるため、ポリオレフィン微多孔膜製造設備のス
ペースが拡大し、また溶剤除去の効率性が低下する。こ
のため、各段階では互いに異なる洗浄溶媒を用いるのが
好ましいが、これに限定されるものではない。従って、
例えば三段階の処理の場合、第一段階及び第二段階にお
いて同一の洗浄溶媒を用い、第三段階で第一及び第二段
階とは異なる洗浄溶媒を用いることもできる。
【0063】洗浄方法は、洗浄溶媒(A)及び/又は洗浄
溶媒(B)に浸漬し抽出する方法、洗浄溶媒(A) 及び/又
は洗浄溶媒(B)をシャワーする方法、又はこれらの組合
せによる方法等により行うことができる。また洗浄溶媒
(A)及び洗浄溶媒(B)は、ゲル状成形物100重量部に対し
それぞれ300〜30000重量部使用するのが好ましい。また
洗浄溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)を用いて二段階以上の工程
により洗浄を行う場合は、洗浄溶媒(A)の使用量は、洗
浄溶媒(B)の使用量を100重量部として50〜200重量部に
なるようにするのが好ましい。洗浄溶媒(A)単独又は洗
浄溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)による洗浄は、残留した溶剤
がその添加量に対して1重量%未満になるまで行うのが
好ましい。
【0064】洗浄溶媒(B)による洗浄温度は洗浄溶媒(B)
の沸点に依存する。洗浄溶媒(B)の沸点が150℃以下の場
合は室温での洗浄が可能であり、必要に応じて加熱洗浄
すればよく、一般に20〜80℃で洗浄するのが好ましい。
洗浄溶媒(B)の沸点が150℃以上の場合は、室温では膜内
部への浸透性が悪いので、加熱洗浄するのが好ましい。
【0065】洗浄溶媒(A)による洗浄温度及び/又はリ
ンス温度は、洗浄溶媒(A)の表面張力に依存する。具体
的には、洗浄溶媒(A)の表面張力が24mN/m 以下になる温
度以上で洗浄及び/又はリンス処理を行うのが好まし
い。周囲の気温が、洗浄溶媒(A)の表面張力が24mN/m以
下になる温度に満たない場合は、必要に応じてその表面
張力が24mN/m以下になる温度まで加熱する。洗浄溶媒
(A)は、高くとも25℃においてその表面張力が24mN/m 以
下になるので、殆どの場合は加熱を必要とせず、通常の
室温において洗浄及び/又はリンス処理を行うことがで
きる。
【0066】(e) 乾燥、再延伸及び熱処理工程 このようにして得られた微多孔膜を乾燥して溶剤を実質
的に完全に除去する。乾燥方法は加熱乾燥法、風乾法等
により行う。乾燥温度は、ポリオレフィンの結晶分散温
度以下の温度で行うのが好ましく、特に結晶分散温度よ
り5℃以上低い温度が好ましい。
【0067】乾燥処理により、ポリオレフィン微多孔膜
中に残存する洗浄溶媒(B)の含有量を5重量%以下にす
るのが好ましく(乾燥後の膜重量を100重量%とす
る)、3重量%以下にするのがより好ましい。乾燥が不
十分で膜中に洗浄溶媒(B)が多量に残存する場合、後の
熱処理で空孔率が低下し、透気度が悪化するので好まし
くない。
【0068】乾燥後の微多孔膜を再度延伸(二次延伸)
する。再度延伸する場合の温度は特に限定されないが、
ポリオレフィンの結晶分散温度以上融点未満が好まし
い。具体的には90〜130℃が好ましく、95〜125℃がより
好ましい。二次延伸は、少なくとも一軸方向に延伸し、
二軸延伸も適用できる。二軸延伸の場合には同時二軸延
伸及び逐次二軸延伸のいずれも適用できる。延伸倍率
は、一軸方向に1〜3倍とするのが好ましく、面積倍率
で1.01倍〜9倍とするのが好ましい。面積倍率で9倍を
超えると破膜が起こりやすいため好ましくない。また延
伸方法は、テンター法、ロール法、圧延法及びこれらの
組み合わせのいずれも使用できる。
【0069】再度の延伸後に得られた膜を熱処理する。
熱処理には熱固定処理と熱緩和処理があり、どちらか一
方のみの処理を行ってもよいし、両方の処理を行っても
よい。熱固定処理の温度はポリオレフィンの結晶分散温
度以上融点未満、好ましくは90〜130℃、より好ましく
は95〜125℃である。熱固定処理は、機械方向(MD)及
び横方向(TD)の両方向を固定し、両方向ともに寸法変
化がないように行う熱処理である。これにより歪が緩和
され、熱収縮率を低下させることができる。熱固定処理
は、テンター方式、ロール方式又は圧延方式のいずれか
により行う。
【0070】熱緩和処理は、機械方向(MD)及び/又は
横方向(TD)に収縮させながら行う熱処理である。熱緩
和処理の温度はポリオレフィンの結晶分散温度以上融点
未満、好ましくは90〜130℃、より好ましくは95〜125℃
である。熱緩和処理により、熱収縮率を大幅に緩和する
ことができる。熱緩和処理はテンター方式、ロール方
式、圧延方式等の固定方式で行うか、又はベルトコンベ
ア方式、メッシュドラム(回転ドラム)方式、フローテ
ィング方式等を利用したフリー方式で行ってもよい。幅
方向の物性均一化及び巻長の長尺化の観点からフリー方
式が好ましい。
【0071】熱固定処理又は熱緩和処理は、処理直前の
膜の寸法と比較して機械方向(MD)及び横方向(TD)と
もに好ましくは80〜100%、より好ましくは90〜100%を
維持するように処理する(MD及びTDともに100%の場合
は、熱固定処理を意味する)。以上の工程により微多孔
膜(A)を得る。
【0072】(B) 微多孔膜(B)の製造方法 微多孔膜(B)の製造方法は、(a) 重量平均分子量が5×1
05以上のポリエチレンを必須成分とするポリオレフィン
と溶剤とを溶融混練し、得られた溶融混練物をダイより
押し出す工程、(b) 冷却して得られたゲル状シートを成
形する工程、については上記微多孔膜(A)の製造方法と
同じである。そこで、(c) ポリオレフィンの結晶分散温
度未満の温度で少なくとも一軸方向に延伸し、(d) 次い
で当該ポリオレフィンの結晶分散温度以上融点未満の温
度で少なくとも一軸方向に延伸し、(e) さらに得られた
延伸物から溶剤を除去して微多孔膜(B)を得る工程につ
いて説明する。
【0073】これら(c)〜(e)の工程は、例えば特開平6-
240036号に記載の方法を採用することができる。すなわ
ち、先ずポリオレフィンの結晶分散温度未満の温度で少
なくとも一軸方向に延伸する。延伸温度は結晶分散温度
−20℃以上であるのが好ましく、延伸倍率は少なくとも
一軸方向に1.2〜10倍とするのが好ましく、1.5〜8倍と
するのがより好ましい。二軸延伸する場合には、面積倍
率で1.5倍以上とするのが好ましい。なお、孔径分布を
狭くする場合は、面積倍率を15倍以下とするのが好まし
いが、特にこれに限定されない。延伸方法は、テンター
法、ロール法、圧延法又はこれらの組み合わせによって
行うことができる。
【0074】次にポリオレフィンの結晶分散温度以上融
点未満の温度で少なくとも一軸方向に延伸する。延伸温
度は90〜130℃が好ましく、90〜125℃がより好ましい。
延伸倍率は少なくとも一軸方向に2倍以上とするのが好
ましく、面積倍率は4倍以上とするのが好ましい。延伸
方法は上記結晶分散温度未満で行う方法と同様である。
【0075】さらに得られた延伸物に残存する溶剤を抽
出する。抽出に使用する洗浄溶媒は、表面張力(25℃)
が24mN/m以下の溶媒が好ましいが、塩化メチレン、四塩
化炭素等の塩素化炭化水素であってもよい。表面張力
(25℃)が24mN/m以下の洗浄溶媒は、微多孔膜(A)の製
造方法で使用する洗浄溶媒(A)を使用することができ
る。また洗浄工程は、微多孔膜(A)における洗浄工程と
同様の工程によることができる。このように溶剤を除去
した膜を乾燥して微多孔膜(B)を得る。なお、必要に応
じて乾燥後に延伸、熱固定、熱緩和等の処理を行うこと
ができる。延伸処理、熱固定処理及び熱緩和処理の温度
は、ポリエチレンの結晶分散温度以上融点未満であるの
が好ましい。これら延伸処理、熱固定処理及び熱緩和処
理の方法は微多孔膜(A)の製造方法で用いる方法と同様
である。
【0076】(C) 積層方法 上記製造方法により作製した微多孔膜(A)と微多孔膜(B)
とを積層する。積層は、通常熱圧着により行うのが好ま
しく、具体的にはカレンダー法、エンボス加工等により
行うのが好ましい。加工装置は、ヒートシール、高周波
シール、超音波シール等の装置を使用することができ、
加工温度は70〜140℃程度が好ましい。このように微多
孔膜(A)と微多孔膜(B)とを積層することにより本発明の
微多孔膜を得る。積層はA/Bのような2段構造としても
よいし、B/A/Bのような3段構造としてもよく、積層
する段数は特に問わない。
【0077】(D) その他の処理 上述の製造方法により得られたポリオレフィン微多孔膜
は、突刺強度が9800mN/25μm以上、透気度が20〜1000
秒/100mlであり、かつ前記ポリオレフィン微多孔膜の
平均孔径が膜厚方向に変化しているため、本発明のポリ
オレフィン微多孔膜の物性を満たす。得られた微多孔膜
は、その後に以下の架橋処理、親水処理、含浸処理等の
種々の処理を行うことにより、さらに機能性を付与する
ことができる。
【0078】(a) 架橋処理 得られた微多孔膜に対して電離放射により架橋処理を施
すのが好ましい。電離放射線としてはα線、β線、γ
線、電子線が用いられ、電子線量0.1〜100Mrad、加速電
圧100〜300kVにて行うことができる。これによりメルト
ダウン温度を向上させることができる。なお架橋処理は
熱処理の前に行うのが好ましい。
【0079】(b) 親水化処理 得られた微多孔膜は親水化処理して用いることもでき
る。親水化処理としては、モノマーグラフト、界面活性
剤処理、コロナ放電処理等を用いる。なお親水化処理は
電離放射後に行うのが好ましい。
【0080】界面活性剤を使用する場合、ノニオン系界
面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性
剤及び両イオン系界面活性剤のいずれも使用することが
できるが、ノニオン系界面活性剤が好ましい。この場
合、界面活性剤を水溶液又はメタノール、エタノール又
はイソプロピルアルコール等の低級アルコールの溶液に
して、ディッピング及びドクターブレード等の方法によ
り親水化される。
【0081】得られた親水化微多孔膜を乾燥する。この
時、透気度を向上させるため、ポリオレフィン微多孔膜
の融点以下の温度で収縮を防止又は延伸しながら熱処理
するのが好ましい。
【0082】(c) 含浸処理 得られた微多孔膜に電解液を含浸させることにより微多
孔膜にイオン透過性を付与することができる。電解液は
有機溶剤に電解質を溶解して作製する。有機溶剤として
は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、
γ-ブチロラクトン等の高沸点及び高誘電率の有機溶剤
や、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラ
ン、ジメトキシエタン、ジオキソラン、ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート等の低沸点及び低粘度の
有機溶剤を好ましく用いる。高誘電率の有機溶剤は粘度
が高く、低粘度の有機溶剤は誘電率が低いため、両者を
混合して用いることが多い。電解質としては、LiPF6、L
iClO4、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3S
O2)3等を好ましく用いる。含浸処理は通常、微多孔膜を
常温で電解液に浸漬して行う。
【0083】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
なお、実施例における試験方法は以下の通りである。
【0084】(1)膜厚:接触厚み計により測定した。 (2)空孔率:重量法により測定した。 (3)透気度:JIS P 8117に準拠して測定した(膜厚20μm
換算)。 (4)突刺強度:25μm厚の微多孔膜を直径1mm(0.5mmR)
の針を用いて速度2mm/秒で突刺したときの最大荷重を
測定した。 (5)熱収縮率:微多孔膜を105℃で8時間暴露したときの
MD及びTD収縮率をそれぞれ測定した。 (6)平均曲路率:繊維の3次元配向モデルを導入した下
記近似式(Kozeny−Carman 式)により求めた。 k≒〔45ε/(3π2δ0 2Sp 2)〕×(L0/L)2 ここで、kはKozeny定数(通常5.0)、εは空孔率、δ
0 はフィブリル径、Spは多孔体の固体のみの単位体積当
たりの表面積(比表面積)、Lは見掛けの透過距離(膜
厚)、L0は真の透過距離(貫通経路の長さ)、及びL0
Lは曲路率を表す。 (7)平均孔径:オムニソープ360(コールター社製)によ
り測定した。
【0085】実施例1 (1) 微多孔膜(A)の作製 30重量部の超高分子量ポリエチレン(重量平均分子量2
×106)と70重量部の高密度ポリエチレン(重量平均分
子量3.5×105)の合計100重量部に、0.25重量部の酸化
防止剤(テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4
-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン)を添
加した組成物(Mw/Mn=16、融点135.0℃、結晶分散温
度90℃)をドライブレンドし、二軸押出機に投入した。
二軸押出機に設けられているサイドフィーダーから流動
パラフィン(35cSt/40℃)を、先に投入した組成物20重
量部に対し80重量部となるように投入し、200℃で溶融
混練した。これをTダイより押出し、冷却ロールにより0
℃まで50℃/分の速度で冷却してゲル状シートを形成し
た後、予備加熱を90℃で行い、次いで105℃の延伸炉に
導入し、テンター延伸機を用いて膜厚方向に温度分布を
設けて機械方向(MD)に7倍、及び横方向(TD)に7倍
に二軸延伸した。得られた延伸物をC4F9OC2H 5/n-ヘプ
タン[90/10(重量比)、表面張力(25℃)13.6mN/m/1
9.7mN/m]の洗浄溶媒(A)により25℃で洗浄した後、C4F9O
C2H5[表面張力(25℃)13.6mN/m]のみで洗浄して流動パ
ラフィンを除去し、70℃の熱風により乾燥した。次いで
得られた膜をテンター保持し、115℃で機械方向(MD)
に1.4倍、横方向(TD)に2倍に延伸した。次いで機械
方向(MD)及び横方向(TD)にそれぞれ直前の寸法と比
較して0.95倍及び0.95倍となるように、テンターにより
115℃で10秒間熱緩和処理を行い、その後テンターによ
り120℃で10分間熱固定処理を行って微多孔膜(A)を得
た。
【0086】(2) 微多孔膜(B)の作製 微多孔膜(A)と同様にしてゲル状シートを形成した
後、テンターに膜を保持し、80℃で機械方向(MD)に3
倍、及び横方向(TD)に3倍に二軸延伸した。次いで11
8℃で機械方向(MD)に2倍、及び横方向(TD)に2倍
に二軸延伸した。得られた延伸膜を塩化メチレンで洗浄
して残留する流動パラフィンを除去した後、70℃の熱風
により乾燥して微多孔膜(B)を得た。
【0087】上記微多孔膜(A)と微多孔膜(B)とを1枚ず
つカレンダー処理により115℃で融着して積層した。そ
の後120℃で30秒間熱固定処理した。得られた微多孔膜
の物性は、膜厚25μm、空孔率45%、透気度330秒/100m
l、突刺強度11760mN/25μm(1200gf/25μm)、熱収縮
率3.8%(MD)及び4.3%(TD)、並びに平均曲路率2.1
であった。また、得られた微多孔膜は微多孔膜(A)側の
平均孔径が0.05μm、微多孔膜(B)側の平均孔径が0.09μ
mであり、微多孔膜(B)側の平均孔径は微多孔膜(A)側の
平均孔径より大きくなっていた。
【0088】電池用セパレーターとしての性能を評価し
た。電解液としてプロピレンカーボネートとジエチレン
カーボネートの1:1(重量比)の混合溶媒に過塩素酸
リチウム1Mを添加し、負極に炭素電極、正極にLiCoO2
を用い、電池用セパレーターとして上記積層した微多孔
膜を用いた。4.2Vの充放電を700サイクル繰り返した結
果、容量低下は見られなかった。
【0089】実施例2 実施例1と同様にして微多孔膜(A)及び微多孔膜(B)を作
製した。微多孔膜(B)、微多孔膜(A)及び微多孔膜(B)を
この順番にカレンダー処理により115℃で融着して積層
した。その後120℃で30秒間熱固定処理した。得られた
微多孔膜の物性は、膜厚35μm、空孔率51%、透気度210
秒/100ml、突刺強度10780mN/25μm(1100gf/25μ
m)、熱収縮率2.6%(MD)及び4.1%(TD)、並びに平
均曲路率2.1であった。表面側(微多孔膜(B))の平均孔
径は0.09μm、内部(微多孔膜(A))の平均孔径は0.05μ
mであった。
【0090】実施例1と同様にして、電池用セパレータ
ーとしての性能評価を行った結果、700サイクルを超え
ても容量の低下は見られなかった。
【0091】実施例3 実施例1と同様にして微多孔膜(A)を作製した。微多孔
膜(B)は、実施例1と同様にして微多孔膜を作製した
後、これをテンターに保持し、115℃で機械方向(MD)
に1.2倍、横方向(TD)に1.4倍となるように延伸し、さ
らに機械方向(MD)に0.95倍、横方向(TD)に0.90倍と
なるようにテンターにより115℃で10秒間熱緩和処理を
行って微多孔膜(B)を得た。得られた微多孔膜(A)と微多
孔膜(B)とをカレンダー処理により115℃で融着して積層
した。さらに120℃で30秒間熱固定処理して得られた微
多孔膜の物性は、膜厚25μm、空孔率49%、透気度250秒
/100ml、突刺強度14210mN/25μm(1490gf/25μm)、
熱収縮率2.2%(MD)及び2.4%(TD)、並びに平均曲路
率2.1であった。また得られた微多孔膜は微多孔膜(A)側
の平均孔径が0.05μm、微多孔膜(B)側の平均孔径が0.09
μmであり、微多孔膜(B)側の平均孔径は、微多孔膜(A)
側の平均孔径より大きくなっていた。
【0092】実施例1と同様にして、電池用セパレータ
ーとしての性能評価を行った結果、700サイクルを超え
ても容量の低下は見られなかった。
【0093】実施例4 微多孔膜(B)の製造工程において、塩化メチレンによる
抽出処理の代わりにC4F 9OC2H5/n-ヘプタン[90/10(重
量比)、表面張力(25℃)13.6mN/m/19.7mN/m]の洗浄
溶媒(A)で25℃で洗浄した後、C4F9OC2H5[表面張力(25
℃)13.6mN/m]のみで処理することにより流動パラフィ
ンを除去した以外は、実施例1と同様にして微多孔膜
(微多孔膜(A)と微多孔膜(B)の積層体)を作製した。得
られた微多孔膜の物性は、膜厚25μm、空孔率54%、透
気度190秒/100ml、突刺強度14210mN/(1490gf/25μ
m)、熱収縮率2.0%(MD)及び1.8%(TD)、並びに平
均曲路率2.1であった。また得られた微多孔膜は微多孔
膜(A)側の平均孔径が0.05μm、微多孔膜(B)側の平均孔
径は0.09μmであり、微多孔膜(B)側の平均孔径は微多孔
膜(A)側の平均孔径より大きくなっていた。
【0094】実施例1と同様にして電池用セパレーター
としての性能評価を行った結果、700サイクルを超えて
も容量の低下は見られなかった。
【0095】実施例5 微多孔膜(B)の製造に使用するポリオレフィンを、60重
量部の超高分子量ポリエチレン(重量平均分子量1×10
6)と40重量部の高密度ポリエチレン(重量平均分子量
5×105)の組成物(Mw/Mn=10、融点135.0℃、結晶分
散温度90℃)とした以外は、実施例1と同様にして微多
孔膜(微多孔膜(A)と微多孔膜(B)の積層体)を作製し
た。得られた微多孔膜の物性は、膜厚27μm、空孔率46
%、透気度250秒/100ml、突刺強度11760mN/25μm(12
00gf/25μm)、熱収縮率4.5%(MD)及び4.7%(T
D)、並びに平均曲路率2.1であった。また得られた微多
孔膜は微多孔膜(A)側の平均孔径が0.05μm、微多孔膜
(B)側の平均孔径が0.09μmであり、微多孔膜(B)側の平
均孔径は、微多孔膜(A)側の平均孔径より大きくなって
いた。
【0096】実施例1と同様にして電池用セパレーター
としての性能評価を行った結果、700サイクルを超えて
も容量の低下は見られなかった。
【0097】実施例6 微多孔膜(B)の製造に使用するポリオレフィンを、重量
平均分子量8×105の超高分子量ポリエチレン単独(Mw
/Mn=7、融点135.0℃、結晶分散温度90℃)とした以
外は、実施例1と同様にして微多孔膜(微多孔膜(A)と
微多孔膜(B)の積層体)を得た。得られた微多孔膜の物
性は、膜厚27μm、空孔率46%、透気度200秒/100ml、
突刺強度10780mN/25μm(1100gf/25μm)、熱収縮率
4.8%(MD)及び4.5%(TD)、並びに平均曲路率2.1で
あった。また得られた微多孔膜は微多孔膜(A)側の平均
孔径が0.05μm、微多孔膜(B)側の平均孔径が0.09μmで
あり、微多孔膜(B)側の平均孔径は、微多孔膜(A)側の平
均孔径より大きくなっていた。
【0098】実施例1と同様にして電池用セパレーター
としての性能評価を行った結果、700サイクルを超えて
も容量の低下は見られなかった。
【0099】比較例1 実施例1と同様にしてゲル状シートを形成した後、110
℃でテンター延伸機を用いて膜厚方向に温度分布を設け
て機械方向(MD)に7倍、及び横方向(TD)に7倍に二
軸延伸した。得られた延伸物を25℃で塩化メチレン(25
℃での表面張力27mN/m)で洗浄して流動パラフィンを除
去し、風乾により乾燥した。次いで得られた膜を110℃
でテンターにより機械方向(MD)に1.5倍及び横方向(T
D)に2倍になるように同時二軸延伸を行い、次いで直
前の寸法と比較して機械方向(MD)に95%、横方向(T
D)に90%となるように、テンターにより115℃で10秒間
熱緩和処理を行い、さらにテンターにより120℃で15分
間熱固定処理を行った。得られた微多孔膜の物性は、膜
厚10μm、空孔率40%、突刺強度8330mN/25μm(850gf
/25μm)、透気度600秒/100ml、熱収縮率2.4%(MD)
及び2.5%(TD)、並びに平均曲路率1.7であった。また
平均孔径は表面・内部ともに0.03μmであった。
【0100】実施例1と同様にして電池用セパレーター
としての性能評価を行った結果、700サイクルまで使用
可能であったが、電圧が2.7Vまでしか充電できなくな
り、容量低下が明らかであった。
【0101】比較例2 微多孔膜(A)の製造において、120℃で15分間の熱固定処
理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして微多孔
膜を作製した。得られた微多孔膜の物性は、膜厚25μ
m、空孔率60%、透気度250秒/100ml、突刺強度9800mN
/25μm(1000gf/25μm)、熱収縮率9.1%(MD)及び
9.9%(TD)、並びに平均曲路率2.1であった。また得ら
れた微多孔膜は微多孔膜(A)側の平均孔径が0.07μm、微
多孔膜(B)側の平均孔径が0.09μmであった。
【0102】実施例1と同様にして電池用セパレーター
としての性能評価を行った結果、450サイクルで充電が
できなくなった。電池を分解したところ破膜が認められ
た。
【0103】
【表1】
【0104】
【発明の効果】上記の通り、本発明のポリオレフィン微
多孔膜は、重量平均分子量が5×105以上の超高分子量
ポリエチレンと溶剤とを溶融混練し、押出し成形して得
られたゲル状シートから延伸、洗浄、熱処理等の条件を
変えて得た微多孔膜(A)及び微多孔膜(B)を積層すること
により作製するので、平均孔径が膜厚方向に変化し、イ
オン透過性に優れるとともに、突刺強度、熱収縮率等の
物性においても優れている。そのため、電池セパレータ
ーとして優れた物性を有する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23:00 C08L 23:00 Fターム(参考) 4F074 AA16 AA17 AB01 AD01 AD11 CB34 CB43 CC02X CC02Z CC04X CC05X CC22X CC27Y CC29Y CC32X CC32Y CC32Z DA08 DA10 DA49 4F212 AA03 AA04 AG01 AG03 AG20 UA15 UN29 5H021 BB01 BB02 BB05 BB13 CC04 CC05 EE01 EE04 HH00 HH03 HH06 HH07 HH09 5H029 AJ02 AJ05 AJ12 AK03 AL06 AM03 AM05 AM07 CJ02 CJ08 CJ12 DJ04 EJ11 EJ12 HJ00 HJ06 HJ14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量が5×105以上のポリエ
    チレンを必須成分とするポリオレフィン微多孔膜であっ
    て、突刺強度が9800mN/25μm以上、透気度が20〜1000
    秒/100mlであり、かつ前記ポリオレフィン微多孔膜の
    平均孔径が膜厚方向に変化していることを特徴とするポ
    リオレフィン微多孔膜。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のポリオレフィン微多孔
    膜において、前記ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも
    一方の面の平均孔径が内部の平均孔径よりも大きいこと
    を特徴とするポリオレフィン微多孔膜。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のポリオレフィン微多孔
    膜において、前記ポリオレフィン微多孔膜の一方の面の
    平均孔径が他方の面の平均孔径よりも大きいことを特徴
    とするポリオレフィン微多孔膜。
  4. 【請求項4】 重量平均分子量が5×105以上のポリエ
    チレンを必須成分とするポリオレフィンと溶剤とを溶融
    混練し、得られた溶融混練物をダイより押出し、冷却し
    てゲル状シートを形成した後、前記ゲル状シートを膜厚
    方向に温度分布を設けて二軸延伸し、得られた延伸物か
    ら25℃における表面張力が24mN/m以下の洗浄溶媒(A)を
    用いて溶剤を除去し、次いで少なくとも一軸方向に延伸
    した後、さらに前記ポリオレフィンの結晶分散温度以上
    融点未満の温度で熱処理して得られた微多孔膜(A)と、
    前記ゲル状シートを前記ポリオレフィンの結晶分散温度
    未満の温度で少なくとも一軸方向に延伸し、次いで前記
    ポリオレフィンの結晶分散温度以上融点未満の温度で少
    なくとも一軸方向に延伸し、さらに得られた延伸物から
    溶剤を除去して得られた微多孔膜(B)とを積層すること
    を特徴とするポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のポリオレフィン微多孔
    膜を用いた電池用セパレーター。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のポリオレフィン微多孔
    膜を電池用セパレーターとして用いた電池。
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