JP2003105403A - 軟磁性扁平状粉末 - Google Patents

軟磁性扁平状粉末

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治雄 小山
Kiyoshi Suzuki
喜代志 鈴木
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慎一郎 矢萩
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 扁平度が高く、電磁気特性に優れた軟磁性扁
平状粉末を提供する。 【解決手段】 軟磁性粉末を扁平化処理することにより
得られた扁平状粉末であって、前記扁平状粉末を所定容
量の容器に充填し、所定回数の振動を与えたときの嵩密
度(タップ密度:TD)と比重(D)との比(TD/D)が0.1
〜0.25で、かつ、酸素含有量が0.15質量%以下としたも
の。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟磁性扁平状粉末
に関し、さらに詳しくは、電磁シールド材、電波吸収体
などに好適に使用される軟磁性扁平状粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エレクトロニクスの急速な進歩に
伴い、各種の電子機器から発生する電磁波ノイズの問題
が顕在化してきた。そのため、電磁波を吸収して熱に変
換する機能を有する電波吸収体に対する要望が高まって
いる。一般に、電波吸収体としては、フェライト焼結体
またはカーボンをバインダーに含有させたものなどが知
られているが、とくに電磁波ノイズの高周波成分を除去
するためには、軟磁性金属粉末を扁平化し、その扁平状
粉末をバインダーに含有させたものが効果的であること
が実証されている。
【0003】そして、このような扁平状粉末は、通常、
鋳造したインゴットを機械粉砕した粉砕粉、あるいは、
水アトマイズ法により得られた粉末を出発原料とし、こ
れらの原料粉末に扁平化処理を施すことにより製造され
るのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、原料粉
末として粉砕粉を使用した場合、とくに出発物質である
インゴットが脆性材料でない限り、粉砕に時間がかかる
ため製造コストが上昇する。また、粉砕時に摩擦熱など
により高温にさらされるため、粉末の酸化が進行して電
磁気特性が劣化するという問題がある。さらには、この
温度上昇により表面に形成された酸化膜の影響で表面が
凹凸であるため、例えばアトライター処理により扁平化
した場合に、扁平化よりも粉砕が優先的に進行し、扁平
な粉末を得ることが困難であるという問題もある。
【0005】一方、水アトマイズ法により得られた粉末
を原料粉末とした場合には、上記のような粉砕工程が省
略できるためコストは低減できるものの、形状が粉砕粉
よりも不規則であるため、やはり続く扁平化工程で、粉
砕が優先的に進行してしまうという問題がある。さら
に、水による噴霧によって、粉末が酸化するために上記
の粉砕粉と同様電磁気特性が劣化してしまう。
【0006】本発明は、上述した電磁波吸収体に使用さ
れる軟磁性扁平状粉末の問題点を解消し、電磁気特性と
くに高い透磁率を有する軟磁性扁平状粉末を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明によれば、軟磁性粉末を扁平化処理するこ
とにより得られた扁平状粉末であって、前記扁平状粉末
を所定容量の容器に充填し、所定回数の振動を与えたと
きの嵩密度(タップ密度:TD)と比重(D)との比(TD/
D)が0.1〜0.25で、かつ、酸素含有量が0.15質量%以下
であるものが提供される(請求項1)。
【0008】上記の構成において、前記扁平化処理前の
前記軟磁性粉末のタップ密度(TD)と比重(D)との比
(TD/D)が0.6以上であることが好ましい。さらに、前
記扁平化処理前の前記軟磁性粉末の酸素含有量が0.10質
量%以下であり(請求項3)、前記扁平化処理前の前記
軟磁性粉末の平均粒径(D50)が40μm以上であり(請
求項4)、前記扁平化処理前の前記軟磁性粉末がガス噴
霧法により製造されたものである(請求項5)ことが好
ましい。
【0009】そして、次式で表される前記軟磁性扁平状
粉末の扁平度F: F=(L+S)/(dmax+dmin) (ただし、式中、Lは前記扁平状粉末の面方向の長軸
長、Sは同じく面方向の短軸長を示し、dmaxは前記扁
平状粉末の最大厚み、dminは同じく最小厚みを示す)
が、20以上であることが好適である(請求項6)。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の軟磁性扁平状粉末
について詳述する。まず、本発明の軟磁性扁平状粉末
は、軟磁性粉末を扁平化処理して得られたものである。
軟磁性材料としては、とくに限定されるものではなく、
例えば、磁性を有し、高周波の電磁波の吸収能が高いF
e、Ni、Coなどの金属、または、これらの金属を含
む合金粉末を用いることができる。
【0011】とくに、電磁波吸収特性、コストおよび加
工性の点からFe−Cr系合金やFe−Si系合金にA
lなどを複合添加した合金が好適である。これらの軟磁
性粉末を扁平化処理して得られる本発明の軟磁性扁平状
粉末は、そのタップ密度(TD)と比重(D)との比(TD/
D)が0.1〜0.25であることが必要である。
【0012】すなわち、流動性のない粉末は自然落下の
ような緩充填状態では、見掛け密度の再現性が悪い。と
ころが、たたき(tapping)により振動を与える
と比較的統一した嵩密度が得られる。これをタップ密度
と称する。本発明においては、粉末を容積18mLのメ
スシリンダーに充填し、タップ(たたき)回数1000
回のときの充填密度をタップ密度と定義した。
【0013】そして、このTD/Dは本来粉末の充填度合を
示す数値であるが、それに加えて、扁平化処理時に発生
する粉砕の度合、表面性状を知るパラメータともなりう
る。つまり、扁平化処理時に粉砕が進行すれば充填性が
阻害されるため、TD/Dが小さくなる。また、酸化膜など
の存在で表面性状が凹凸であれば、粒子間に摩擦が生
じ、振動を加えても充填が進行しないので、同様にTD/D
は小さくなる。
【0014】したがって、TD/Dが0.1未満である場合
には、表面酸化膜の生成により扁平化処理時に粉砕が進
行してしまい、逆に、TD/Dが0.25を超えると粉末の
形状は扁平化処理前の球状に近い形状となってしまう。
とくに好ましいTD/Dの値は0.15〜0.20である。
そして、本発明の扁平状粉末においては、上記のTD/Dの
数値限定に加えて、この軟磁性扁平状粉末の酸素含有量
が0.15質量%以下であることが必要である。一般に、粉
末の酸素含有量が多いということは換言すれば磁性に寄
与する合金成分が非磁性体である酸化物として存在する
ことを意味するため、酸素含有量はできるだけ低いこと
が望まれる。好ましくは0.1質量%以下である。この扁
平状粉末の酸素含有量は、扁平化処理工程の処理時間な
どにより制御することができる。
【0015】上記の扁平化処理前の軟磁性粉末のTD/D
は、0.6以上であることが好ましい。一般に粉末形状が
球状などのように単純であるとTD/Dは大きくなる。扁平
化処理後に高い扁平度を得るためには、扁平化処理工程
において粉砕が優先的に進行することを防止することが
必要であることから、処理前の段階で粉末ができる限り
球状であることが好ましい。したがって、TD/Dを0.6以
上とすることが好ましい。
【0016】また、上記の出発材料である軟磁性粉末
は、例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、機械
的粉砕法などにより得られたものが使用できるが、上記
のようなTD/Dが0.6以上の球状粉を得ることができると
いう点で、ガスアトマイズ法を使用したものが好まし
い。ちなみに、水アトマイズ法ではTD/Dは0.3程度であ
り、機械粉砕法ではTD/Dは0.4程度である。また、ガス
アトマイズ法を使用することによって、粉末の酸化を抑
制することができ、高い電磁気特性を確保することが可
能となる。
【0017】さらに、扁平化処理前の粉末の酸素含有量
を0.10質量%にすることが好ましい。すなわち、扁平化
処理後の粉末の酸素含有量を上述したように0.15好まし
くは0.10質量%以下にするためには、扁平化処理過程で
の酸化の進行を考慮すると0.10質量%以下とすることが
好ましく、さらに好ましくは、0.05質量%以下である。
この扁平化処理前の粉末の酸素含有量は、例えば、ガス
アトマイズ工程における処理時間などの諸条件により制
御することができる。
【0018】そして、扁平化処理前の粉末の平均粒径D5
0は40μm以上にすることが好ましい。ここで、平均粒
径D50とは、全粒子質量に対する累積質量が50%とな
る粒子径をいう。扁平度の高い粉末を得るためには、面
方向の長軸および短軸の長さをそれぞれできるだけ長く
することが好ましい。そのためには、処理前の粉末の粒
径をできるだけ大きくすることが望まれる。
【0019】そして、扁平化処理後に得られる軟磁性扁
平状粉末の扁平度Fを20以上とすることが好ましく、
それにより、最終製品の高い透磁率ひいては従来材より
も良好な電磁シールド特性および電波吸収特性を実現す
ることができる。この扁平度Fは次式: F=(L+S)/(dmax+dmin) (ただし、式中、Lは前記扁平状粉末の面方向の長軸
長、Sは同じく面方向の短軸長を示し、dmaxは前記扁
平状粉末の最大厚み、dminは同じく最小厚みを示す)
で表される。
【0020】図1は扁平状粉末を模式的に示した斜視図
である。すなわち、図において、扁平状粒子の面方向を
SEM観察し、長軸長Lと短軸長Sをそれぞれ測定し、
その平均値(L+S)/2を求める。次に、粉末を樹脂
に埋め込んだ後、研磨し、光学顕微鏡により観察したと
きの扁平状粉末の最大厚みdmaxと最小厚みdminを測定
する。そして、その平均値(dmax+dmin)/2をその
扁平状粉末の平均厚みとする。
【0021】そして、上記の平均径と平均厚みとの比: [(L+S)/2]/[(dmax+dmin)/2]=(L+
S)/(dmax+dmin) を扁平度Fとして定義する。以下、本発明の軟磁性扁平
状粉末の製造工程を説明する。すなわち、まず、前述し
たTD/D、および酸素含有量、および平均粒径の軟磁性合
金粉末を、例えば、ガスアトマイズ法により製造する。
つづいて、得られた粉末に対して扁平化処理を行う。こ
の扁平化処理工程はとくに限定されるものではないが、
例えば、アトライターなどを使用して実施することが好
ましい。
【0022】具体的には、粉末に分散媒、潤滑剤を混入
し、所定の処理条件で扁平化する。このときに使用され
る分散媒としては、キシレン、トルエンなどの非水溶性
溶剤、エタノール、アセトンなどの水溶性溶剤をあげる
ことができるが、処理中の粉末表面の酸化を抑制する上
で、非水溶性溶剤を用いることが好ましい。上記の扁平
化処理後、例えば真空中、100〜150℃において、
乾燥させ、さらに、例えば不活性ガス雰囲気中で、60
0〜800℃において、1〜3時間歪み除去を目的とす
る熱処理を行い、本発明の軟磁性扁平状粉末を得る。
【0023】そして、上記により得られた軟磁性扁平状
粉末に、バインダーとして例えば塩素化ポリエチレン、
安定剤、可塑剤などをそれぞれ所定量添加し、ニーダー
などにより混練した後、シート化して電磁波吸収体、電
磁シールド材など様々な用途に供することができる。
【0024】
【実施例】実施例1〜4,比較例1〜5 (1)軟磁性扁平状粉末の調製 機械粉砕法を使用した比較例1を除き、ガスアトマイズ
法を使用して表1に示したTD/D、酸素含有量およびD50
を有するFe-Si-Al合金粉末(原料粉末)を調製した。な
お、以下に示す粉末のTD/D、および扁平度はいずれも前
述した方法により測定し、数値を算出した。また、各粉
末の平均粒径D50は、レーザー回折式粒度分布計を使用
して測定した。
【0025】つづいて、アトライターを使用して各粉末
の扁平化処理を行った。すなわち、ボール重量18k
g、粉末充填量1.8kg、分散媒(非水溶性有機溶剤
または水溶性有機溶剤)1.8L、潤滑剤(ステアリン
酸)を粉末質量に対して1質量%をアトライターに投入
して、回転数250rpmで10〜20時間の扁平化処
理を行い、処理時間を変化させることにより得られた扁
平状粉末のTD/Dおよび扁平度を制御した。
【0026】得られた扁平状粉末のTD/D、酸素含有量お
よび扁平度を表1に示した。 (2)特性評価試験 上記により得られた各軟磁性扁平状粉末を真空中、13
0℃において乾燥した後、不活性ガス雰囲気中、800
℃で1時間熱処理した。次に、扁平化粉末1250質量
部に対して、塩素化ポリエチレン100質量部、安定剤
および可塑剤を合計で40質量部添加し、ニーダーで混
練し、厚さ1.0mmのゴムシートを作製した。
【0027】各ゴムシートを外径7mm、内径3mmに
打抜き加工し、それに12ターンの巻線を施し、インピ
ーダンスアナライザーで100MHzまでのインダクタ
ンスと抵抗を測定し、それらの値から透磁率の実数分
μ'と虚数分μ''を算出して結果を表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】一般に高い電磁波シールド効果を実現する
ためには、透磁率の実数分μ'が高いことが要求され、
一方、高い電磁吸収効果を実現するためには、透磁率の
実数分μ'と虚数分μ''が共に高いことが要求される。
表1の結果からも明らかなように、本発明の軟磁性扁平
状粉末を使用したものは、透磁率の実数分、虚数分のい
ずれをも高い値にすることが可能となる。とくに、実施
例3では原料粉末の酸素含有量を0.03質量%と非常に低
く抑えることにより、扁平状粉末の酸素含有量も低い値
に維持することができ、TD/Dの値を高くすることができ
る。さらに、実施例4では原料粉末のD50を45と高い値
にすることにより、扁平化処理工程において扁平化が優
先して進行し、電磁気特性を向上させることができるこ
とが確認された。
【0030】それに対し、機械粉砕法により得られた原
料粉末を使用した場合(比較例1)は当初のTD/Dが0.42
と低く、酸素含有量が0.15と高いため、扁平化工程にお
いても粉砕が進行し、TD/Dを上げることができず、扁平
度は15と低い値になっている。また酸素含有量も0.25
と大きく、表面酸化が進むことによって、電磁気特性が
低下していることが確認された。
【0031】比較例2は、ガスアトマイズ法を使用し
て、原料粉末を酸化させたもので原料粉末の酸素含有量
が多く、表面酸化膜の影響で扁平化処理時に粉砕が進
み、得られた扁平状粉末のTD/Dが低くなっている。比較
例3は同じくガスアトマイズ法で得られた原料粉末を使
用しているが、扁平化の処理時間を短くして得られた扁
平状粉末のTD/Dを0.35を高くしたものである。当然のこ
とながら扁平化が十分に行われず、扁平度が14と低
く、電磁気特性も低い。
【0032】比較例4は、扁平化処理時に分散媒として
水溶性溶剤を使用したものである。そのため、扁平状粉
末が処理中に酸化して酸素量が0.20質量%まで増大し、
その結果電磁気特性が低くなった。さらに、比較例5は
扁平化処理時に処理時間を長くしたものである。その結
果粉砕が進みTD/Dが小さい。また酸素含有量も高く、電
磁気特性が低い。
【0033】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の軟磁性扁平状粉末は酸素含有量が低くしかも高い扁平
度を有するため、電磁シールド材、電波吸収体として使
用した際の電磁気特性に優れており、その工業的価値は
極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における扁平状粉末の扁平度の算出方法
を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 扁平状粉末 S 短軸長 L 長軸長 dmax 最大厚み dmin 最小厚み
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢萩 慎一郎 愛知県名古屋市港区竜宮町10番地 大同特 殊鋼株式会社築地工場内 Fターム(参考) 4K017 AA03 AA04 BA03 BA06 CA01 CA03 DA02 EB00 EK01 FA14 4K018 BA04 BA13 BB01 BC08 BD01 BD05 KA42 5E041 AA11 AA14 AA17 HB17 NN01 NN06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟磁性粉末を扁平化処理することにより
    得られた扁平状粉末であって、前記扁平状粉末を所定容
    量の容器に充填し、所定回数の振動を与えたときの嵩密
    度(タップ密度:TD)と比重(D)との比(TD/D)が0.1
    〜0.25で、かつ、酸素含有量が0.15質量%以下であるこ
    とを特徴とする軟磁性扁平状粉末。
  2. 【請求項2】 前記扁平化処理前の前記軟磁性粉末のタ
    ップ密度(TD)と比重(D)との比(TD/D)が0.6以上で
    ある請求項1記載の軟磁性扁平状粉末。
  3. 【請求項3】 前記扁平化処理前の前記軟磁性粉末の酸
    素含有量が0.10質量%以下である請求項1または2記載
    の軟磁性扁平状粉末。
  4. 【請求項4】 前記扁平化処理前の前記軟磁性粉末の平
    均粒径(D50)が40μm以上である請求項1〜3いずれ
    かに記載の軟磁性扁平状粉末。
  5. 【請求項5】 前記扁平化処理前の前記軟磁性粉末がガ
    ス噴霧法により製造されたものである請求項1〜4いず
    れかに記載の軟磁性扁平状粉末。
  6. 【請求項6】 次式で表される前記軟磁性扁平状粉末の
    扁平度F: F=(L+S)/(dmax+dmin) (ただし、式中、Lは前記扁平状粉末の面方向の長軸
    長、Sは同じく面方向の短軸長を示し、dmaxは前記扁
    平状粉末の最大厚み、dminは同じく最小厚みを示す)
    が、20以上である請求項1〜5いずれかに記載の軟磁
    性扁平状粉末。
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