JP2003105507A - 電気絶縁膜を有する複合磁性部材及びその製造方法、並びに電気絶縁膜を有する複合磁性部材を用いて成るモータ - Google Patents

電気絶縁膜を有する複合磁性部材及びその製造方法、並びに電気絶縁膜を有する複合磁性部材を用いて成るモータ

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JP2003105507A JP2001296531A JP2001296531A JP2003105507A JP 2003105507 A JP2003105507 A JP 2003105507A JP 2001296531 A JP2001296531 A JP 2001296531A JP 2001296531 A JP2001296531 A JP 2001296531A JP 2003105507 A JP2003105507 A JP 2003105507A
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Shinichiro Yokoyama
紳一郎 横山
Kazu Sasaki
計 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気絶縁膜を有する複合磁性部材及びその製
造方法、並びに該電気絶縁膜を有する複合磁性部材を回
転子として用いて成るモータを提供する。 【解決手段】 少なくとも一方の表面に電気絶縁膜が形
成された複合磁性部材であって、該複合磁性部材はFe基
合金板で成り、強磁性部と弱磁性部を具備する電気絶縁
膜を有する複合磁性部材。好ましくは、上述の複合磁性
部材は、Fe-Cr-C系合金板でなる電気絶縁膜を有する複
合磁性部材であり、複合磁性部材の好ましい組成は、質
量%でC:0.30〜1.20%、Si:0.10〜4.0%、Mn:0.10〜4.0%、
Ni:4.0%以下(0を含む。)、Cr:10.0〜25.0%、Al:5.0%以
下(0を含む。)、N:0.01〜0.10%、残部が実質的にFeの組
成でなる電気絶縁膜を有する複合磁性部材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、例えばモータ回転
子等に適用される、単一組成の金属材料で強磁性と弱磁
性を実現できる複合磁性部材の内、電気絶縁膜を有する
複合磁性部材及びその製造方法、並びに該電気絶縁膜を
有する複合磁性部材を回転子として用いて成るモータに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】モータの回転子やアクチュエータ等、磁
気抵抗効果や磁気回路を利用する部品においては、強磁
性体(一般には軟質磁性材料)の一部に弱磁性部(ある
いは非磁性部)を設けた構造が用いられている。強磁性
体の一部に弱磁性部分(あるいは非磁性部分)を設ける方
法としては、強磁性部品と弱磁性部品をロウ付けやレー
ザ溶接によって固着、あるいは接合するか、強磁性体の
一部をプレスで打ち抜き、プレスで出来た空隙を非磁性
部とする等の手法が行われてきた。
【0003】これらの異種材を接合する手法やプレス打
ち抜きによる手法に対し、本発明者は単一材を使用し
て、この単一材に冷間加工または熱処理によって強磁性
部と弱磁性部(あるいは非磁性部)を設けた複合磁性部
材を提案している。このような単一材から成る複合磁性
部材を利用すると、気密性の確保、振動等による破損防
止等、信頼性の確保、機械的強度という点で、強磁性体
と弱磁性体を接合した部品や強磁性体の一部をプレスで
打ち抜いた部品よりも優れたものとなる。
【0004】例えば本発明者は、特開2000-36409号や特
開2000-104142号において、Fe-Cr-C系を基本成分系とす
る複合磁性部材で、材料の組成範囲や組織形態を制御す
ることによって、比最大透磁率400以上の強磁性部と比
最大透磁率2以下の弱磁性部が得られることを開示して
いる。これらの技術は、単一組成で成る合金で強磁性と
弱磁性の両特性を実現できる複合磁性部材の材料技術で
ある。また特開平9-93885号には、複合磁性部材をリラ
クタンスモータの回転子として使用することにより、高
速回転に耐え得る堅牢なモータ回転子を得る提案がなさ
れている。この提案は複合磁性部材の応用技術であり、
珪素鋼鈑をプレスで打ち抜いて作製した回転子を用いた
従来のリラクタンスモータと同等以上のモータ効率を得
た上で、更にプレス打ち抜き品の欠点である機械的強度
を大きく改善した点で優れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】例えばリラクタンスモ
ータ回転子のように、交流磁場下で使用する用途では、
交流電力の損失が生じる。また複合磁性部材の様な金属
系材料を使用する場合には、特に渦電流損失が問題とな
る。渦電流損失は板厚の2乗に比例するので、渦電流損
失を低減するためには、回転子は薄板状の部材を、必要
枚数だけ積層した構成とすることが望ましい。但し、薄
板状の部材を積層しても、部材の金属肌同士が接触して
いては渦電流を抑制する効果は無いので、各々の部材同
士は、電気的に絶縁しておくことが必要であり、薄板部
材の少なくとも一方の表面に電気絶縁膜を有しているこ
とが必要となる。本発明の目的は、上述の観点から、電
気絶縁膜を有する複合磁性部材及びその製造方法、並び
に電気絶縁膜を有する複合磁性部材を回転子として用い
て成るモータを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、電気絶縁膜
を有する複合磁性部材と、その製造方法を検討した結
果、強磁性部と弱磁性部を具備する複合磁性部材の少な
くとも一方の表面に電気絶縁膜を形成することで、電気
絶縁膜を有する複合磁性部材を得ることができることを
見いだし、本発明に到達した。
【0007】即ち本発明は、少なくとも一方の表面に電
気絶縁膜が形成された複合磁性部材であって、該複合磁
性部材はFe基合金板で成り、強磁性部と弱磁性部を具備
する電気絶縁膜を有する複合磁性部材である。好ましく
は、上述の複合磁性部材は、Fe-Cr-C系合金板でなる電
気絶縁膜を有する複合磁性部材であり、複合磁性部材の
好ましい組成は、質量%でC:0.30〜1.20%、Si:0.10〜4.0
%、Mn:0.10〜4.0%、Ni:4.0%以下(0を含む。)、Cr:10.0
〜25.0%、Al:5.0%以下(0を含む。)、N:0.01〜0.10%、残
部が実質的にFeの組成でなる電気絶縁膜を有する複合磁
性部材である。
【0008】また本発明は、上述の電気絶縁膜を有する
複合磁性部材の製造方法であって、加熱冷却処理によっ
て局部的に弱磁性化可能な強磁性のFe基合金板に、局部
的な加熱冷却処理を行って弱磁性部を形成した複合磁性
部材に対し、該複合磁性部材の少なくとも一方の表面に
電気絶縁膜を形成するする電気絶縁膜を有する複合磁性
部材の製造方法である。
【0009】また本発明は、上述の電気絶縁膜を有する
複合磁性部材を回転子として用いて成るモータである。
【0010】
【発明の実施の形態】上述したように、本発明の重要な
特徴は、強磁性部と弱磁性部を具備する複合磁性部材の
表面に電気絶縁膜を有する構成を採用したことにある。
以下、本発明における規定理由を述べる。
【0011】電気絶縁膜を有する複合磁性部材の構成を
規定した理由を述べる。まず電気絶縁膜が複合磁性部材
の少なくとも一方の表面に形成されることとしたのは、
板形状の複合磁性部材を所定の形状に加工後、積層した
際に各部材同士を電気的に絶縁するためである。好まし
くは複合磁性部材の両面に絶縁膜が形成されていると、
例えばリラクタンスモータのように、複数枚の複合磁性
部材が積層されるような用途への適用が特に好適とな
る。また、複合磁性部材の表面に形成された電気絶縁膜
は、素材の搬送中や保管時の素材の擦れや発錆も抑制す
る効果も得られる。
【0012】次に複合磁性部材の素材である合金板をFe
基合金板としたのは、Fe基の金属材料はオーステナイト
化温度以下の温度で焼鈍すると強磁性(軟磁性)のフェラ
イト組織となり、またオーステナイト化温度域から急冷
すると上述のフェライト組織よりも軟磁性が弱い弱磁性
のマルテンサイト組織となるか、または更に弱磁性(非
磁性)のオーステナイト組織となるからである。ここで
本発明のFe基合金とは、Fe-C系、Fe-Si系、Fe-Ni系、Fe
-Mn系、Fe-Cr系、Fe-Mo系等の二元系合金、Fe-Ni-C、Fe
-Cr-C、Fe-Cr-Ni等の三元系合金、更なるFe基多元系合
金等、上述の強磁性と弱磁性(あるいは非磁性)が両立可
能ないかなるFe基合金であっても良い。なお、本発明で
述べる合金板とは、特に長さを規定するものではなく、
適当な長さに切断した平板であってもよいし、長尺の板
を帯状に巻いたコイルであってもよい。
【0013】次に複合磁性部材を構成するFe基合金板の
好ましい合金系として、Fe-Cr-C系を選択した理由を述
べる。Fe-Cr-C系合金は、A3変態点以下で焼鈍すると(フ
ェライト+炭化物)組織となって強磁性(軟磁性)を示す。
またA3変態点の直上から急冷(焼入れ)すると、マルテン
サイト組織主体となって焼鈍状態よりも軟磁性の弱い弱
磁性を示す。更にA3変態点よりも高温で溶体化処理して
炭化物を完全に固溶させると、オーステナイト組織主体
となって更に弱磁性(非磁性)となる。
【0014】複合磁性部材として弱磁性部で磁路を遮断
するためには、弱磁性部の組織はオーステナイト主体と
なっていることが望ましいが、このFe-Cr-C系で形成さ
れるオーステナイト組織は、他のFe基合金系で形成され
るオーステナイト組織よりも安定であり、環境温度の変
化や経時変化によるマルテンサイト化が少ない。このこ
とは、Fe-Cr-C系合金に局部的な加熱冷却処理を施して
形成される複合磁性部材の弱磁性部の磁気特性が安定と
なることを示唆している。以上の理由から、本発明の複
合磁性部材の好ましい合金系はFe-Cr-C系とした。
【0015】次に好ましい範囲として、複合磁性部材を
構成するFe基合金板の化学組成を規定した理由を述べ
る。 C:0.30〜1.20% Cはオーステナイト形成元素として、弱磁性部の形成に
必要な本発明の複合磁性部材に必須の元素である。Cが
0.30%未満ではオーステナイト形成の効果が小さいため
に十分な弱磁性を得ることが難しく、また1.20%を超え
る範囲では強磁性部の軟磁気特性が劣化するので、Cの
好ましい範囲は0.30〜1.20%に規定した。Cのより望まし
い範囲は、0.40〜0.80%である。
【0016】Si:0.10〜4.0% Siは0.50%以下では脱酸元素として、溶鋼中の酸素を低
減する効果がある。また0.50%以上では複合磁性部材の
強磁性部の軟磁気特性を改善する効果があるので、必要
に応じて添加量を制御すると良い。Siが0.10%未満の範
囲では脱酸材としての効果も小さく、逆に4.0%を超える
範囲では該素材の冷間加工性が著しく悪くなるので、Si
の好ましい範囲は0.10〜4.0%に規定した。
【0017】Mn:0.10〜4.0% Mnは脱酸元素として、Siと同様の効果があるとともに、
オーステナイト形成元素として弱磁性部の形成、及び弱
磁性部の特性安定化に効果がある元素である。0.1%未満
では脱酸材としての効果も小さく、逆に4.0%を超える範
囲では強磁性部の軟磁気特性が劣化するので、Mnの好ま
しい範囲は0.10〜4.0%に規定した。
【0018】Ni:4.0%以下(0を含む。) Niはオーステナイト形成元素として、弱磁性部の形成、
及び弱磁性部の特性安定化に有効な元素である。但し、
Niを添加すると強磁性部の軟磁気特性が劣化するので、
添加の有無は用途、必要に応じて選択すると良く、無添
加(0%)でも良い。また4.0%を超える範囲では強磁性部の
軟磁気特性が著しく劣化するので、Niの好ましい範囲は
4.0%以下(0を含む。)に規定した。
【0019】Cr:10.0〜25.0% Crは複合磁性部材の耐食性を確保するとともに、局部的
な弱磁性化熱処理によって形成したオーステナイト組織
の安定化に寄与する。具体的には、弱磁性部のオーステ
ナイト組織が環境温度の変化によってマルテンサイト化
し、強磁性化するのを防ぐ為に、オーステナイトのMs点
を下げる効果がある。但し、10.0%未満ではMs点を下げ
る効果が小さく、逆に25.0%を超える範囲では、弱磁性
部は安定化するものの、複合磁性部材の強磁性部の飽和
磁束密度が低下するので、Crの好ましい範囲は10.0〜2
5.0%に規定した。より望ましい範囲は12.0〜20.0%であ
る。
【0020】Al:5.0%以下(0を含む。) AlはSiやMnと同様に、脱酸材として溶鋼中の酸素を除去
する効果がある他、強磁性部の結晶粒径、炭化物形態、
結晶方位等を制御し、複合磁性部材の強磁性部の軟磁気
特性を改善する効果がある。またAlは電気抵抗を高める
効果があるので、交流磁場下での渦電流損失を低減する
効果もある。但し、フェライト形成元素であるAlを多量
に添加すると、弱磁性部の磁気特性が劣化し、弱磁性部
の飽和磁束密度と比透磁率を上昇させるので、添加の有
無は用途、必要特性に応じて判断すると良い。Alを添加
する場合の好ましい組成範囲を5.0%以下としたのは、5.
0%を超える範囲では、弱磁性部の磁気特性が著しく劣化
するためである。
【0021】N:0.01〜0.10% Nは、CやMnと同様にオーステナイト形成元素として、複
合磁性部材の弱磁性部の形成に有効な元素である。但
し、0.01%未満では効果が小さく、逆に0.10%を超える範
囲では強磁性部の軟磁気特性が劣化するので、Nの好ま
しい範囲は0.01〜0.10%に規定した。なお、本発明の複
合磁性部材は、不可避不純物としてP,S,Oを、複合磁性
部材の強磁性部、弱磁性部の各磁気特性を特に劣化させ
ない範囲として、各々0.1%以下ずつ含有しても良い。
【0022】次に、電気絶縁膜を有する複合磁性部材の
製造方法を規定した理由を述べる。まず複合磁性部材の
製造方法を、加熱冷却処理によって局部的に弱磁性化可
能な強磁性のFe基合金板に、局部的な加熱冷却処理を行
って弱磁性部を形成することとしたのは、通常、複合磁
性部材において強磁性部が占める割合は、弱磁性部が占
める割合よりも大きく、強磁性の合金板中に局部的な弱
磁性部を設けた方が、弱磁性の合金板中に局部的な強磁
性部を設けるよりも、製造し易いからである。また弱磁
性部を形成するための局部的な加熱冷却処理の方法とし
ては、例えば所望の局部的な個所に、レーザによる溶融
・凝固処理を行うとよく、強磁性のFe基合金板に局部的
な非磁性部が形成された複合磁性部材を得ることができ
る。
【0023】次に複合磁性部材の表面に電気絶縁膜を形
成する方法としては、浸漬、塗布、噴霧の何れかの方法
か、或いはこれらを組合せた方法を用いるとよい。これ
らの方法は、工業的な量産プロセスとして、再現性良
く、均一な膜厚の絶縁膜を形成するのに適している。こ
の電気絶縁膜の形成は、用いられる用途に応じて、片面
或いは両方の表面に電気絶縁膜を適宜形成すれば良く、
またその形成方法は複合磁性部材の長さや大きさによっ
て適宜選択すれば良く、例えば、長さの長い帯状部材に
はフィルムをラミネートする方法や、浸漬や噴霧が適し
ている。勿論、浸漬、噴霧や塗布を組合せても良い。本
発明の製造方法で作製した複合磁性部材の表面におい
て、強磁性部、弱磁性部の何れの表面にも電気絶縁膜が
形成すれば、該部材を積層して交流磁場下で使用する際
に、渦電流による短絡の問題をなくすことができる。
【0024】また本発明で用いる絶縁膜の種類は、有機
系絶縁膜、無機系絶縁膜、有機・無機混合系絶縁膜のい
ずれであってもよい。但し、本発明の複合磁性部材を所
定の形状に加工する工程でプレス打ち抜き工程が入る場
合には打ち抜き性の良い有機系絶縁膜を有していること
が望ましく、また複合磁性部材が高温で使用される際に
絶縁膜を維持するためには耐熱性の良い無機系絶縁膜を
有していることが望ましい。
【0025】本発明で用いる複合磁性部材の絶縁膜に
は、打ち抜き性が要求される場合が多く、また耐熱性が
要求されることもあるので、耐熱性と打ち抜き性の両方
を満足できる絶縁膜として、有機・無機混合系の絶縁膜
が最も適している。本発明の電気絶縁膜を有する複合磁
性部材は、表面に絶縁膜を有しているので、積層品とし
て使用する用途に適している。
【0026】上述に記載の電気絶縁膜を有する複合磁性
部材から、例えばモータ回転子を製造する方法として
は、該部材にプレス打ち抜き加工を行って、モータ回転
子の形状とするとよい。この時のプレス工程は、例えば
モータ用途の場合では、モータ回転子の中空円板に打抜
く工程等の所望の形状に打抜く工程を言う。以上、説明
する本発明の電気絶縁膜を有する複合磁性部材は、積層
品として使用する用途、特にモータ回転子に適してい
る。
【0027】
【実施例】質量%で表1に示す組成の5tonの合金鋼を真
空溶解炉により溶製した。表1の組成は、本発明で好ま
しいとする複合磁性部材の組成であり、複合磁性部材の
素材としてFe基合金鋼塊を作製した。このFe基合金鋼塊
を1220℃×20h炉冷の条件で鋼塊ソーキングを行った
後、1100℃に加熱して熱間加工を行い、板厚50mm、幅15
0mmのスラブを得た。このスラブを熱間圧延し、板厚2.5
mm、幅150mmの帯形状のFe基合金板を得た。この帯形状
のFe基合金板を780℃×4h→20℃h-1→650℃→炉冷の条
件でバッチ炉焼鈍を行った後、酸洗とグラインダ処理に
より、熱間加工時の酸化スケールを連続的に除去した。
次に、この帯形状のFe基合金板を連続的に冷間圧延し、
板厚1mm、幅150mmの冷延コイルを得た。この冷延コイル
を700℃に設定した連続炉に通し、軟化した。合金板が7
00℃に保持されている時間は約3分間である。軟化した
コイルに再度、冷間圧延と700℃での連続焼鈍を施し、
板厚0.35mm、幅150mmの帯形状のFe基合金板を得た。
【0028】
【表1】
【0029】このFe基合金板に対して、図1の(a)〜(h)
部の8箇所にYAGレーザを照射し、局部的な溶融・凝固処
理を行った。この溶融・凝固処理は、Fe基合金板の長手
方向に連続的に行った。この局部的な溶融・凝固処理に
より図1の(a)〜(h)部は弱磁性部(1)となり、残部は強
磁性部(2)であり、図1のFe基合金板は強磁性部と弱磁
性部を具備する複合磁性部材(3)となる。次に、レーザ
処理の影響を受けていない複合磁性部材の強磁性部から
外径45mm、内径33mmのJISリングを採取し、4000Am
-1の直流磁場を印加して、B-H特性を測定した。測定し
たB-H曲線を図2に示す。
【0030】図2に示すように、作製した複合磁性部材
の強磁性部においては、比最大透磁率μm=760、4000Am
-1での磁束密度B4000=1.24(T)、保磁力Hc=620( Am-1)の
磁気特性を示すことが分かる。また、YAGレーザ照射に
よる溶融・凝固部の比透磁率μrを測定したところ、μr
=1.02の弱磁性が得られた。以上の工程から、Fe基合金
板で成り、強磁性部と弱磁性部を具備する複合磁性部材
が得られたことが分かる。
【0031】このFe基合金板で成る複合磁性部材に連続
的な浸漬処理を施し、合金板の両面に電気絶縁膜を形成
した。形成した絶縁膜は有機・無機混合系絶縁膜であ
る。この絶縁処理により、複合磁性部材は、本発明の電
気絶縁膜を有する複合磁性部材となる。上述の電気絶縁
膜を有する複合磁性部材から、プレス打ち抜き加工によ
り、図3に示す直径100mm、内径20mmの中空円板(4)
を作製した。プレス打ち抜き時の打ち抜き性は良好であ
った。また電気絶縁膜と複合磁性部材の密着性も良好で
あり、プレス打ち抜き加工後も絶縁膜が剥れることは無
かった。
【0032】図3の部材は、(a)〜(h)部を弱磁性化する
ことにより磁路を形成しているので、該部材をリラクタ
ンスモータの回転子として使用した場合、回転子の磁気
抵抗効果(リラクタンス)を高めることができる。また
弱磁性部をプレスで打ち抜いた回転子と比較して、回転
子としての強度も高い。更に図3の部材は、表面に電気
絶縁膜を有しているので、積層品として使用することが
でき、リラクタンスモータの回転子として、高リラクタ
ンス、高強度特性に優れた部材となる。また該部材を用
いて成るモータは、モータの大型化、高速回転化が可能
である。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、少なくとも一方の表面
に電気絶縁膜が形成された複合磁性部材を提供し、更に
該部材の製造方法を提供することによって、板状の複合
磁性部材を積層して使用する用途、特にモータ回転子に
実用化するに当たって欠くことのできない技術となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複合磁性部材の局部弱磁性化過程を示す図であ
る。
【図2】本発明の複合磁性部材の強磁性部の磁気特性を
示すB-H曲線の図である。
【図3】本発明の複合磁性部材でなる中空円板を示す模
式図である。
【符号の説明】
1.弱磁性部、2.強磁性部、3.複合磁性部材、4.
中空円板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方の表面に電気絶縁膜が形
    成された複合磁性部材であって、該複合磁性部材はFe基
    合金板で成り、且つ強磁性部と弱磁性部を具備すること
    を特徴とする電気絶縁膜を有する複合磁性部材。
  2. 【請求項2】 複合磁性部材は、Fe-Cr-C系合金板でな
    ることを特徴とする請求項1に記載の電気絶縁膜を有す
    る複合磁性部材。
  3. 【請求項3】 複合磁性部材は、質量%でC:0.30〜1.20
    %、Si:0.10〜4.0%、Mn:0.10〜4.0%、Ni:4.0%以下(0を含
    む。)、Cr:10.0〜25.0%、Al:5.0%以下(0を含む。)、N:
    0.01〜0.10%、残部が実質的にFeの組成でなることを特
    徴とする請求項1または2に記載の電気絶縁膜を有する
    複合磁性部材。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れかに記載の電気絶
    縁膜を有する複合磁性部材の製造方法であって、加熱冷
    却処理によって局部的に弱磁性化可能な強磁性のFe基合
    金板に、局部的な加熱冷却処理を行って弱磁性部を形成
    した複合磁性部材に対し、該複合磁性部材の少なくとも
    一方の表面に電気絶縁膜を形成することを特徴とする電
    気絶縁膜を有する複合磁性部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3の何れかに記載の電気絶
    縁膜を有する複合磁性部材を回転子として用いて成るこ
    とを特徴とするモータ。
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