JP2003116385A - 日本脳炎ワクチンをコードする遺伝子を含むトランスジェニック植物 - Google Patents

日本脳炎ワクチンをコードする遺伝子を含むトランスジェニック植物

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JP2003116385A
JP2003116385A JP2001316859A JP2001316859A JP2003116385A JP 2003116385 A JP2003116385 A JP 2003116385A JP 2001316859 A JP2001316859 A JP 2001316859A JP 2001316859 A JP2001316859 A JP 2001316859A JP 2003116385 A JP2003116385 A JP 2003116385A
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protein
gene
ctb
japanese encephalitis
plant
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JP2001316859A
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Takeshi Shinkawa
武 新川
Masayuki Tadano
昌之 只野
Yasuki Matsumoto
安喜 松本
Naotoshi Tsuji
尚利 辻
Yoshinari Sato
良也 佐藤
Toshihiko Fukunaga
利彦 福永
Shigetoshi Sato
茂俊 佐藤
Masaru Nagamine
勝 長嶺
Ichiro Kurane
一郎 倉根
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University of the Ryukyus NUC
Original Assignee
University of the Ryukyus NUC
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 日本脳炎ワクチンをコードする遺伝子を含む
トランスジェニック植物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、前記植物によって発現された日本脳
炎ワクチンを提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、粘膜免疫運搬体と日本脳炎ウ
イルス外郭タンパク質(E glycoprotei
n)の融合タンパク質をコードする遺伝子が導入された
トランスジェニック植物を提供する。特に、前記粘膜免
疫運搬体がコレラトキシンB鎖タンパク質(CTB)で
あるトランスジェニック植物、および前記植物がタバコ
であるトランスジェニック植物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘膜免疫運搬体と
日本脳炎ウイルス外郭タンパク質(E glycopr
otein)の融合タンパク質をコードする遺伝子が導
入されたトランスジェニック植物に関する。
【0002】
【従来の技術】発明の背景 日本脳炎ワクチンを含む従来のワクチンは、不活化ワク
チンが主流であり、その接種法に関しては注射器を用い
た接種が最も広く用いられている。現行の日本脳炎ワク
チンは、マウスの脳内にウイルスを接種し、ウイルスが
増殖した頃に脳を取り出してウイルスを分離、精製、不
活化の処理を行う。このようなワクチンは、多くの動物
を犠牲にするという倫理的問題もあるが、コスト的な問
題がさらに深刻である。従来型のワクチンの普及は、先
進諸国においては何ら問題がないが、マラリア、デング
熱、日本脳炎など、多くの感染症の蔓延に悩まされてい
るのは、アジア、アフリカ、中南米諸国の経済途上国が
ほとんどである。
【0003】その普及に費用がかかりすぎるという理由
から、経済途上国での集団接種に関して、東南アジアや
アフリカ地域で従来型ワクチンの接種を普及させること
はきわめて困難であり、世界規模での感染症対策が円滑
に行えないというのが現状である。
【0004】遺伝子組換え技術によって作り出された組
換えタンパク質ワクチンの経口および経鼻などの経粘膜
免疫法は、注射器を必要としない易接種型ワクチンであ
り、コスト的にも従来型ワクチンより優れている。また
免疫学的にも同等な効果を得ることが可能である。その
中でも特に、組換え植物を使用した「食べるワクチン」
は、経粘膜ワクチンの究極的な接種法であり、コスト面
できわめて優れている。経済的な問題からワクチンの普
及がきわめて困難であるという世界的な状況を考慮する
と、これからのワクチン開発は、食べるワクチンなどの
植物由来組換えワクチンを含む、様々な経粘膜ワクチン
を重点的に行う必要がある。また、先進諸国には新規産
業としても、国際貢献的立場からも魅力ある分野であ
る。
【0005】従来技術 日本脳炎ウイルスワクチンとして機能する物質はタンパ
ク質である。日本脳炎ワクチンは感染マウス脳乳剤から
精製された不活化ワクチンであり、皮下注射によって接
種される。感染経路がポリオやインフルエンザのように
腸管や呼吸器の粘膜ではなく、媒介蚊の吸血によって伝
播する日本脳炎では、ワクチンを粘膜から接種するとい
う発想はなかった。しかし鼻腔等から粘膜免疫が可能で
あれば、注射器が不溶となり接種経費を大幅に下げるこ
とが期待される。そこで、日本脳炎ワクチンを鼻腔粘膜
から接種することが試みられた。その結果、鼻腔内接種
法は、従来の接種法と同様のウイルス感染防御効果を誘
導することが可能であった。粘膜投与による日本脳炎ウ
イルス粒子に対して特異的に抗体を誘導するために、経
粘膜免疫組織に特異的親和性を持つコレラトキシンB鎖
(CTB)と日本脳炎ウイルス外郭タンパク質(E g
lycoprotein)(JE)との融合遺伝子を作
製し、その遺伝子を各生物種(細菌、酵母)に導入する
ことにより、融合タンパク質(CTB−JE E gl
ycoprotein)の産生を可能とした。上記日本
脳炎ウイルスワクチンとして利用可能な、CTB−JE
Eglycoproteinの融合タンパク質は、細
菌や酵母、昆虫細胞、等の各種遺伝子発現系において産
生される。それらの発現系から融合タンパク質を抽出
し、経口、経鼻粘膜から投与することによって全身系の
感染防御的免疫を誘導することが可能であった。
【0006】また、従来、皮下注射によって接種される
場合、夾雑物が含まれているとその夾雑物に対する免疫
応答が誘導される可能性があったが、経口投与によって
経粘膜投与される場合、夾雑物による免疫応答は誘導さ
れずに、粘膜を介して吸収結合されるタンパク質のみに
免疫応答が誘導可能であった。
【0007】特に、植物ワクチンの場合、食用の植物に
遺伝子発現させることにより、直接腸管粘膜を介して免
疫することが可能である。上記の構成およびその粘膜免
疫投与法は、ヒト、家畜動物を含む脊椎動物全般に応用
できるものであり、「食べるワクチン」としての利用が
期待されている。そこで、経粘膜日本脳炎ワクチンとし
て、上記遺伝子の導入されたトランスジェニック植物の
作製が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
するために、本発明は、日本脳炎ワクチン(粘膜免疫運
搬体と日本脳炎ウイルス外郭タンパク質(E glyc
oprotein)の融合タンパク質)をコードする遺
伝子が導入されたトランスジェニック植物を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を行った結果、粘膜免疫運搬体
(コレラトキシンB鎖タンパク質(CTB))と日本脳
炎ウイルス外郭タンパク質(E glycoprote
in)との融合タンパク質が、日本脳炎ワクチンとして
機能することを見出し、かつ前記タンパク質を発現する
トランスジェニック植物を作製することに成功し、本発
明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、粘膜免疫運搬体と日
本脳炎ウイルス外郭タンパク質(Eglycoprot
ein)の融合タンパク質をコードする遺伝子を含むト
ランスジェニック植物を提供する。
【0011】本発明は、さらに前記粘膜免疫運搬体がコ
レラトキシンB鎖タンパク質(CTB)である、前記ト
ランスジェニック植物、および前記日本脳炎ウイルス外
郭タンパク質が、Eglycoproteinである、
請求項1または2に記載のトランスジェニック植物を提
供する。
【0012】より好ましくは、本発明は、pBI121
−CTB−JEが導入されたトランスジェニック植物を
提供する。
【0013】また、本発明は前記植物がタバコである、
前記トランスジェニック植物を提供する。
【0014】さらに、本発明は、日本脳炎ワクチンとし
て使用するための、前記トランスジェニック植物を提供
する。.以下本発明を詳細に説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のトランスジェニック植物
には、粘膜免疫運搬体と日本脳炎ウイルス外郭タンパク
質(JEV)との融合タンパク質をコードする遺伝子が
導入される。前記融合タンパク質は、粘膜免疫運搬体と
日本脳炎ウイルス外郭タンパク質が、インフレームとな
るように連結されたタンパク質である。
【0016】ここで、「粘膜免疫運搬体」とは、粘膜組
織に特異的親和性を有するタンパク質をいう。前記粘膜
免疫運搬体は、たとえばコレラトキシンB鎖タンパク
質、毒素原性大腸菌(LTB)、サルモネラ菌もしくは
乳酸菌等の細菌、ウイルス、病原体、またはその他に由
来する、粘膜細胞表面に親和性を有するタンパク質を使
用することができる。本発明の一つの態様において、前
記粘膜免疫運搬体は、好ましくはコレラトキシンB鎖タ
ンパク質(CTB)である。
【0017】本発明の一つの態様において、前記日本脳
炎ウイルス外郭タンパク質は、日本脳炎ウイルスのタン
パク質であって、好ましくは、外郭に含まれるEgly
coproteinである。
【0018】前記融合タンパク質をコードする遺伝子の
取得方法は特に限定されないが、前記DNAは、たとえ
ば以下のように作製することができる。
【0019】CTB、および日本脳炎ウイルス外郭タン
パク質JEV(Eglycoprotein)をコード
するcDNA配列は既知であるので、その配列を基にし
てプライマーを設計し、通常のPCR法を使用して、又
は化学合成によって、あるいは該塩基配列を有するDN
A断片をプローブとしてハイブリダイズさせることによ
り、本発明の遺伝子を得ることができる。
【0020】前記プライマーは、C’末端側にEタンパ
ク遺伝子を融合可能な配列を含んでいてもよい。また、
N’端側には真核生物での発現効率を高めるためのKo
zac配列、C’端側のBamHIまたはSpeIサイ
トにインフレームで外来遺伝子を融合可能にする配列を
含むプライマーを設計してもよい。
【0021】具体的には、前記融合タンパク質のうち、
コレラトキシンB鎖由来タンパク質をコードするDNA
の取得法としては、たとえば、以下の反応条件、テンプ
レート、およびプライマーを使用してPCRを行うこと
によって増幅できる; テンプレート:プラスミドpM2、 N−terminal primer: 5’−GCGCCATGGTTAAATTAAAATT
TGGTGTT−3’(配列番号1) C−terminal primer: 5’−CGCGAGCTCTTAAAGTTCATCC
TTTTCGGATCCTGGACTAGTAGGGG
TACCGGGCCCGGGTCCATTTGCCAT
ACTAATTGCGGCAATCGC−3’(配列番
号2) PCR条件:94℃において3分の後、94℃において
45秒、55℃において1分、72℃において1分を3
0サイクル、次に72℃において10分。
【0022】また、日本脳炎ウイルスのRNAゲノムを
テンプレートとしたRT−PCR法によって、日本脳炎
ウイルス外郭タンパク質(Eglycoprotei
n)を増幅すればよい。設計したプライマーは、その塩
基配列に従って化学合成することができる。PCRは常
法に従って行うことができる。たとえば、以下の反応条
件、テンプレート、およびプライマーを使用してPCR
を行うことによって増幅できる; N−terminal primer: 5’−GCGGGATCCACCTATGGCATGT
GCACA−3’(配列番号3) C−terminal primer: (C1) 5’−GCGACTAGTTCCGAAGGGGGGT
TCCAT−3’(配列番号4) (C2) 5’−GCGACTAGTAGCTTTATGCCAA
TGGTG−3’(配列番号5) (C3)5’−GCGACTAGTCCCTTGTGT
GATCCAAGA−3’(配列番号6) 94℃において3分の後、94℃において1分、55℃
において1分、72℃において1分を30サイクル、次
に72℃において10分。
【0023】増幅された配列は、たとえば制限酵素で切
断した後に、市販のプラスミドにクローニングすること
ができる。このプラスミドを公知の方法(例えば、J.
sambrook et al., Molecula
r Cloning, 2nd Ed., Cold
Spring Harbour Laboratory
Press, pp.1.21−1.52)に従って
単離精製する。そして、サンガー法やマクサム・ギルバ
ート法等の公知の方法、および自動塩基配列決定装置
(ABI DNA sequencer 310)用い
て塩基配列を決定できる。
【0024】前記融合タンパク質は、免疫誘導活性を有
する限り、当該アミノ酸配列において少なくとも1個の
アミノ酸に欠失、置換、付加等の変異が生じてもよい。
上記のような変異は、例えば、融合タンパク質のアミノ
酸配列の少なくとも1個、好ましくは1〜50個程度、
さらに好ましくは1〜20個のアミノ酸が欠失してもよ
く、又は、融合タンパク質のアミノ酸配列に少なくとも
1個、好ましくは1〜50個程度、さらに好ましくは1
〜20個のアミノ酸が付加してもよく、あるいは、融合
タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも1個、好ましく
は1〜50個程度、さらに好ましくは1〜20個のアミ
ノ酸が他のアミノ酸に置換してもよい。免疫誘導活性を
有している限り、より短い、またはより長いペプチド配
列をコードしてもよい。遺伝子に変異を導入するには、
Kunkel法や Gappedduplex法等の公
知の手法又はこれに準ずる方法により、例えば部位特異
的突然変異誘発法を利用した変異導入用キットなどを用
いて行うことができる。
【0025】なお、免疫誘導活性とは、前記融合ンパク
質を投与された動物が、前記融合タンパク質を異物とし
て認識し、前記融合タンパク質に対する抗体を体内に生
産し、かつ該抗体が前記融合タンパク質の活性部分に作
用して日本脳炎ウイルスの活性を阻害する活性である。
【0026】次に、粘膜免疫運搬体と日本脳炎ウイルス
外郭タンパク質(E glycoprotein)との
融合タンパク質をコードする遺伝子を含むベクターを作
製する方法について説明する。
【0027】植物導入用組換えベクターの作製及びアグ
ロバクテリウムの形質転換植物導入用組換えベクター
は、上述のように得られたDNAを、そのまま、または
所望により適当な制限酵素で消化し、あるいは、適切な
リンカーを連結して構築することができる。DNAを挿
入するためのベクターとして、pBI101、pBI1
21、pGA482等のバイナリーベクターやpLGV
23Neo、pNCAT、pMON200などの中間ベ
クターが挙げられるが、これらのベクターに限定されな
い。
【0028】前記融合タンパク質をコードする遺伝子
は、その遺伝子の機能が発揮されるようにベクターに組
み込まれることが必要である特に植物体内で、外来遺伝
子などを発現させるためには、構造遺伝子の前後に、そ
れぞれ植物用のプロモーターとターミネーターを配置さ
せる必要がある。本発明で利用可能なプロモーターとし
ては、例えばカリフラワーモザイクウイルス(CaM
V)由来の35S転写物[Jefferson, R.
A. et al.: The EMBO J 6:3
901−3907(1987)]、トウモロコシのユビ
キチン[Christensen, A.H. et
al.:Plant Mol. Biol.18:67
5−689(1992)]、ノパリン合成酵素(NO
S)遺伝子、オクトピン(OCT)合成酵素遺伝子、イ
ネのアクチン(Act1)遺伝子等のプロモーターが挙
げられ、ターミネーター配列としては、例えばカリフラ
ワーモザイクウイルス由来やノパリン合成酵素遺伝子由
来のターミネーター等が挙げられる。但し、植物体内で
機能することが知られているプロモーターやターミネー
ターであれば、これらのものに限定されない。
【0029】また、必要に応じてプロモーター配列と前
記DNAとの間に、遺伝子の発現を増強させる機能を持
つイントロン配列、例えばトウモロコシのアルコールデ
ヒドロゲナーゼ(Adh1)のイントロン[Genes
& Development1:1183−1200
(1987)]を導入することができる。さらに、効率
的に目的の形質転換細胞を選択するために、有効な選択
マーカー遺伝子を併用してもよい。その際に使用する選
択マーカーとしては、抗生物質ハイグロマイシンに対す
る抵抗性を植物に付与するハイグロマイシンホスホトラ
ンスフェラーゼ(htp)遺伝子、ビアラホス(bia
laphos)に対する抵抗性を付与するホスフィノス
リシンアセチルトランスフェラーゼ(bar)遺伝子、
ブラストサイジンSに対する抵抗性を付与するブラスト
サイジンSデアミナーゼ(BSD)遺伝子などが挙げら
れる。
【0030】また、CTBと融合遺伝子の分子間摩擦を
最小限にとどめるため、CTBと融合遺伝子の間にはヒ
ンジ領域を挿入してもよい。ヒンジ領域は、たとえば、
GPGPを1単位としてシングル、ダブル、トリプルと
タンデムに3種構築することができる。その際、ヒンジ
領域のコドンは植物種では比較的使用頻度の低いものを
使用し、タンパク翻訳の際リボゾームが一時停止あるい
は減速するようにすればよい。
【0031】さらに、植物細胞の小胞体内で組換えタン
パク質が効率よく蓄積し、融合タンパク質が5量体を形
成しやすくするために、小胞体残留シグナル(SEKD
EL)を融合タンパク質のC’端側に挿入してもよい。
その際、SEKDELはコドン頻度の最も高いものを使
用し、その後ろにストップコドンTGAを挿入すればよ
い。
【0032】所望により、さらにエンハンサーなどのシ
スエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シ
グナル、リボソーム結合配列(SD配列)などを含有す
るものを連結することができる。
【0033】融合タンパク質をコードする遺伝子をバイ
ナリーベクターに挿入するには、まず、精製されたDN
Aを適当な制限酵素で切断し、適当なベクター DNA
の制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入し
てベクターにライゲーションする方法などが採用され
る。
【0034】前記組換えベクターの例として、たとえ
ば、前記融合タンパク質をコードする遺伝子をpBI1
21ベクターに挿入すればよい。
【0035】まず、pBI系植物発現ベクターの下流
に、CTB領域をコードする遺伝子を含む発現ベクター
を構築する(図3、4)。このようなベクターに、JE
V cDNAのEタンパク質領域を挿入し、JEV/C
TB融合タンパク質を発現可能なベクターを構築する
(図5)。
【0036】たとえば、前記のように構築されたCTB
遺伝子を含む融合遺伝子をCTBh 1−3SEKDEL
として、プラスミドベクターpIBT210.1内のカ
リフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの下流
に挿入して、pIBT210.1−CTBh1−3SE
KDELを作製する(図3)。
【0037】次にこのプラスミドベクターからCTBh
1−3SEKDEL発現カセットを持つT−DNA領域
全体をHindIII−EcoRIで切り出し、植物発
現ベクターpBI121のHindIII−EcoRI
フラグメントと入れ換えてpBI121−CTBh
1−3SEKDELを作製する(図4)。この植物発現
ベクターは、CTBの下流にBamHIおよびSpeI
サイトを有し、これらの制限酵素サイトに外来遺伝子を
挿入するとCTBとインフレームになり、CTB融合タ
ンパク質を産生できる。
【0038】上記pBI121−CTBh1−3SEK
DELのBamHI−SpeIサイトにJEVEgly
coproteinの全長を挿入して、CTB−JEV
E融合遺伝子を構築する(pBI121−CTB−J
E)(図5)。上記のようにDNA sequence
rを使用して、融合遺伝子の前塩基配列を確認し、CT
BとJEVE遺伝子がインフレームであることを確認す
る。
【0039】次に、前記融合タンパク質をコードする遺
伝子を導入したトランスジェニック植物を作製する方法
について説明する。
【0040】本発明において、植物とは、植物培養細
胞、栽培植物の植物体、植物の器官(例えば葉、花弁、
茎、根、根茎、種子等)、または組織(例えば表皮、師
部、柔組織、木部、維管束等)のいずれをも意味するも
のである。ここで使用する植物種としては、特に制限は
ないが、イネ、ムギ、タバコ、トマト、シロイヌナズナ
など様々な植物が挙げられる。好ましくは、トマト、ナ
ス、ピーマン、タバコ等のナス科植物である。さらに好
ましくはタバコがあげられる。
【0041】本発明において遺伝子が導入される植物の
形態としては、植物体に再生可能なあらゆる種類の形態
の植物細胞が含まれる。例えば、培養細胞、プロトプラ
スト、苗条原基、多芽体、毛状根、カルスが挙げられる
が、これらに制限されない。本発明における植物細胞に
は、植物体中の細胞も含まれる。
【0042】前記融合タンパク質をコードする遺伝子に
よる植物の形質転換は、当技術分野における技術者に公
知の種々の方法を用いて導入することが可能である。前
記遺伝子を含むベクターをアグロバクテリウムのバイナ
リーベクター法、パーティクルガン法、またはポリエチ
レングリコール法などで植物宿主に導入することにより
行うことができる。あるいはプロトプラストにエレクト
ロポレーション法で導入して形質転換することもでき
る。
【0043】パーティクルガン法による直接遺伝子導入
は、選択マーカー遺伝子を含むベクターと前記遺伝子を
含むベクターとを混合して、同時に植物の細胞に撃ち込
むコトランスフォーメーション(co−transfo
rmation)法により行うことができる。形質転換
の結果得られるシュート、毛状根などは、細胞培養、組
織培養または器官培養に用いることが可能であり、また
従来知られている植物組織培養法を用い、適当な濃度の
植物ホルモンの投与などにより植物体に再生させること
ができる。
【0044】アグロバクテリウムのバイナリーベクター
法を用いる場合、上記のバイナリーベクターの境界配列
(LB,RB)間に、目的遺伝子を挿入し、この組換え
ベクターを大腸菌中で増幅する。次いで、増幅した組換
えベクターをアグロバクテリウム・チュメファシエンス
LBA4404、EHA101、C58C1RifR等
に導入し、これを植物への形質導入用に用いる。
【0045】たとえば、タバコに導入する場合、以下の
ようにして形質導入を行えばよい。無菌培養した非組換
えたばこ(N.tabacum)の葉を切り出し、1.
5−2cm四方の大きさに切る。切り取った葉は感染が
起こりやすいように、ナイフで所々に傷を付け、上記の
ように組換えたアグロバクテリウムの培養液(O.D
600=1×10)に3分間浸す。その後、葉についた
アグロバクテリウム液をできるだけ取り除きMS寒天培
地の上に必ず裏返して(気孔側を上にして)隙間なく敷
き詰める。
【0046】シャーレをパラフィルムで閉じて、2カ所
ほど空気孔をあけ、暗室で3日間室温においてインキュ
ベートして感染を促す。
【0047】3日後、暗室に入れておいた葉を抗生物質
(カナマイシン)(50μg/ml)と植物ホルモン
(オーキシンおよびサイトキニン)を含むMS sho
otgrowth mediumに移し替え、カルスの
誘導を行う。2〜3週間でカルスから芽が出始めるの
で、出てきた芽をカルスから切り取り抗生物質(カナマ
イシン)(50μg/ml)のみを含むMS root
growth medium入りのMagneta
Boxに移し替え、植物の無菌培養を作製し、組換えタ
バコを得ることができる。
【0048】本発明の遺伝子が導入された植物は、選択
マーカーによるスクリーニング、または遺伝子もしくは
その発現産物の解析により、遺伝子を保持する形質転換
細胞を選択することが可能である。たとえば、得られた
トランスジェニック植物及びその次世代に目的とする遺
伝子が組み込まれていることの確認は、これらの細胞及
び組織から常法に従ってDNAを抽出し、公知のPCR
法またはサザンブロット法などを用いて、導入した遺伝
子を検出することにより行うことができる。得られたト
ランスジェニック植物は、土壌またはバーミキュライト
を詰めたポットで栽培し、株分けする。このようにして
得られた遺伝子導入植物も、本発明の範囲に含まれる。
また、本発明の遺伝子の植物組織内での発現部位は、例
えば各組織におけるmRNAの発現またはタンパク質の
発現を解析することにより確認することができる。具体
的には、本発明トランスジェニック植物による発現の確
認方法として、RT−PCR法、ノーザンブロット法等
が挙げられ、抗体を用いたウエスタン解析法等が挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範
囲が限定されるものではない。
【0050】1.アグロバクテリウムによるCTB−J
Eの発現。
【0051】方法 CTB−JEV Eタンパク質融合遺伝子の構築 以下のようにしてコレラトキシンB鎖タンパク質と日本
脳炎ウイルス外郭タンパク質(Eglycoprote
in)との融合タンパク質を含む発現ベクターを作製し
た(図3)。
【0052】粘膜免疫アジュバントとしてコレラトキシ
ンB鎖遺伝子をプラスミドpM2からPCR増幅し、そ
のC’末端側にEタンパク遺伝子を融合可能なようにし
た。CTB遺伝子を増幅する際、N’端側は、真核生物
での発現効率を高めるためのKozac配列(GCCA
TGG:ATGは開始コドンである)を導入し、C’端
側のBamHIまたはSpeIサイトにインフレームで
外来遺伝子を融合できるようにした。PCRは、以下の
反応条件、テンプレート、およびプライマーを使用して
行った。
【0053】テンプレート:プラスミドpM2、 N−terminal primer: 5’−GCGCCATGGTTAAATTAAAATT
TGGTGTT−3’(配列番号7) C−terminal primer: 5’−CGCGAGCTCTTAAAGTTCATCC
TTTTCGGATCCTGGACTAGTAGGGG
TACCGGGCCCGGGTCCATTTGCCAT
ACTAATTGCGGCAATCGC−3’(配列番
号8) PCR条件:94℃において3分の後、94℃において
45秒、55℃において1分、72℃において1分を3
0サイクル、次に72℃において10分。
【0054】CTBと融合遺伝子の分子間摩擦を最小限
にとどめるため、CTBと融合遺伝子の間にヒンジ領域
(GPGP)を挿入した。ヒンジ領域は、GPGPを1
単位としてシングル、ダブル、トリプルとタンデムに3
種構築した。その際、ヒンジ領域のコドンは植物種では
比較的使用頻度の低いものを使用し、タンパク翻訳の際
リボゾームが一時停止あるいは減速するようにした。ま
た、植物細胞の小胞体内で組換えタンパク質が効率よく
蓄積し、融合タンパク質が5量体を形成しやすくするた
めに、小胞体残留シグナル(SEKDEL)を融合タン
パク質のC’端側に挿入した。具体的には、SEKDE
Lはコドン頻度の最も高いものを使用し、その後ろにス
トップコドンTAAを挿入した(TCC GAA AA
G GAT GAA CTT TAA :それぞれS
E K E D E L ストップコドン、に対応す
る)。
【0055】このように構築された融合遺伝子をCTB
1−3SEKDELとして、プラスミドベクターpI
BT210.1内のカリフラワーモザイクウイルス35
Sプロモーターの下流に挿入して、pIBT210.1
−CTBh1−3SEKDELを作製した(図3)。
【0056】pIBT210.1への挿入は、SacI
で消化した後(前記C末端プライマーには、SacI認
識部位(GAGCTC)を組み込んである)、通常の方
法でライゲーションを行った。
【0057】CTBh1−3SEKDELの全長は、自
動塩基配列決定装置(ABI DNA sequenc
er 310)で確認した。次にこのプラスミドベクタ
ーからCTBh1−3SEKDEL発現カセットを持つ
T−DNA領域全体をHindIII−EcoRIで切
り出し、植物発現ベクターpBI121のHindII
I−EcoRIフラグメントと入れ換えてpBI121
−CTBh1−3SEKDELを作製した(図4)。こ
の植物発現ベクターは、CTBの下流にBamHIおよ
びSpeIサイトを有し、これらの制限酵素サイトに外
来遺伝子を挿入するとCTBとインフレームになり、C
TB融合タンパク質を産生できる。
【0058】次に日本脳炎ウイルスE glycopr
otein遺伝子の全長をウイルスのRNAゲノムから
RT−PCR法によって増幅した。そのcDNAを基に
して、遺伝子の3’側の約30%(E glycopr
oteinのアミノ酸残基300番から、アミノ酸残基
377番まで(C1)、アミノ酸残基399番まで(C
2)、アミノ酸残基426番まで(C3))をBamH
I−SpeIサイトに挿入して、CTB−JEVE融合
遺伝子を構築し(pBI121−CTB−JE)(図
5)、上記のようにDNA sequencerを使用
して、融合遺伝子の前塩基配列を確認し、CTBとJE
VE遺伝子がインフレームであることを確認した。
【0059】ここで、図3〜5を参照して、作製したp
BI121−CTB−JEについて説明する。pBI1
21−CTB−JEのT−DNA領域は、RBとLBに
挟まれた領域で以下の遺伝子を含む(RBとLBは、ア
グロバクテリウムによって認識され、植物核内にT−D
NAのコピーを挿入する際に不可欠な塩基配列領域であ
る)。
【0060】1. トランスジェニック植物に抗生物質
カナマイシン耐性を賦与するフォスフォトランスフェラ
ーゼ遺伝子(NPT−II)発現カセット(NOSプロ
モーター及びNOSターミネーター領域を含む)を含
む。これは、組換え体選抜に必要な遺伝子である。
【0061】2. CTB−JE発現カセット(eCa
MV35Sプロモーター*、TEV5’翻訳エンハンサ
ー領域**、及びVSP3’ターミネーター)を含む。
ヒンジ領域の後方、SEKDEL小胞体残留シグナルの
前方に日本脳炎ウイルスE−glycoprotein
をCTB−ヒンジ領域とin frameになるように
挿入したことにより、CTBタンパクとEタンパクはヒ
ンジ部位によって隔たれている。また、植物の小胞体に
組換えタンパクが蓄積されるように、E−glycop
roteinの直ぐ後方にSEKDEL小胞体残留シグ
ナルを結合した。CTBのN’末端にあるリーダーペプ
チドは、CTB遺伝子本来のものであり、グラム陰性菌
のペリプラズム内へ移行する際に機能するが、植物発現
用の構築物においては、植物細胞内の小胞体に移行する
機能を果たす。
【0062】*eCaMV35Sプロモーター:プロモ
ーターの5’側が2重(タンデム)になっており、本来
のCaMV35Sよりも数倍転写効率が高い。
【0063】**TEV5’翻訳エンハンサー:タバコ
に感染するウイルス由来の配列で、翻訳効率を向上させ
る塩基配列である。
【0064】アグロバクテリウムへのpBI121−C
TB−JE遺伝子の導入 CTB−JEVE融合遺伝子を有するバイナリーベクタ
ー(pBI121−CTB−JE)をAgrobact
erium tumefaciens LBA4404
にエレクトロポレーション法で導入した。遺伝子導入の
際、Bio Radのジーンパルサーを使用して、大腸
菌への遺伝子導入と同一のプロトコルで行った。具体的
には、2.5kV、25μF、200Ωにおいて、約3
0ng/μlのDNAを1μl(約30ngのDNA)
を使用して行った。
【0065】遺伝子導入されたアグロバクテリウムをカ
ナマイシン(50μg/ml)によって選択し、プラス
ミドミニプレップ法によって導入されたバイナリーベク
ターをアグロバクテリウムから取りだした。挿入前と比
較してそのサイズに変化がないかどうかをいくつかの制
限酵素で切断することによって確認した。
【0066】形質転換アグロバクテリウムに由来する融
合タンパク質の検出 アグロバクテリウムをYEB溶液(リファンピシン50
μg/ml)、ストレプトマイシン100μg/ml、
カナマイシン50μg/ml)で培養し、バクテリアタ
ンパク抽出液(50mM Tris−Cl、1mM E
DTA、100mM NaCl)を使用して以下のよう
に全水溶性タンパク質を抽出した。
【0067】1. 形質転換アグロバクテリウム1グラ
ムにつき8μlのphenylmethylsulfo
nylfluoride(PMSF)および80μlの
lysozyme(10mg/ml)を添加して、20
分間室温でインキュベート。
【0068】2. アグロバクテリウム1グラムにつき
4mgのdeoxychoic acidを添加して、
37℃でインキュベート。
【0069】3. ライセートがどろどろになったとこ
ろで、アグロバクテリウム1グラムにつきDNaceI
(1mg/ml)を添加して、約30分間室温でインキ
ュベート。
【0070】4. 高速(40000g程度)の遠心
(30分間遠心)でライセートを沈殿させ、上清を分
離。
【0071】次に形質転換アグロバクテリウム由来のC
TB−JE融合タンパク質がCTBの受容体であるGM
1ガングリオシドに対する特異的親和性を保っているこ
とを確認するために、GM1−ELISAを以下の要領
で行った。
【0072】1. マイクロタイタープレートをmon
osialoganglioside−GM1(Sig
ma G−7641)、100μl/ウェル(3.0μ
g/ml 重炭酸バッファー(15mM Na2CO
3、35mM NaHCO3)、PH9.6)により4
℃において一晩コーティング。
【0073】2. プレートをPBST[phosph
ate buffered saline(PBS)、
0.05% Tween−20]で洗浄し、1%ウシ血
清アルブミン(BSA)で37℃において2時間ブロッ
キングして、再度洗浄。
【0074】3. 形質転換アグロバクテリウム抽出液
を数段階にPBSで希釈し、100μl/ウェルで一晩
4℃においてインキュベート。続いて洗浄。
【0075】4. CTBまたはJEVのEタンパク質
を認識する一次抗体(1000から5000倍希釈)を
添加して37℃において2時間インキュベート。続いて
洗浄。
【0076】5. アルカリホスファターゼ・コンジュ
ゲートの二次抗体(100μl/ウェル)を添加して、
37℃において1時間インキュベート。続いて洗浄。
【0077】6. アルカリホスファターゼ基質(10
0μl/ウェル)を添加して、室温において20分間発
色させた後、O.D.415nmで測定。
【0078】7. コントロールとしてCTBタンパク
質(Sigma)を使用して、植物由来のCTB融合タ
ンパク質を測定。
【0079】結果 形質転換アグロバクテリウムは、カリフラワーモザイク
ウイルス35Sプロモーターにより、その下流に存在す
るCTB−JEVE融合タンパク質を産生していること
が確認された。
【0080】2.アグロバクテリウム由来の融合タンパ
ク質を使用したマウス粘膜免疫実験。
【0081】方法 菌体の粗抽出液を用いてマウスの免疫実験を行った。免
疫ルートとして、経口、経鼻、腹腔の3ルートから行
い、週1回の計4回免疫した。最終免疫から1週間後に
尻尾から採決した血清を用いて抗体価の測定を行った。
中和試験では、日本脳炎ウイルスの北京株を用いて、日
本脳炎ワクチン試験で行われているように、血清希釈度
10倍以上でプラック数が半減する場合を中和抗体陽性
とした。
【0082】結果 経口および経鼻によるルートのみ菌体成分に対する抗体
が上昇せず、発現タンパク質のみを特異的に認識する抗
体の誘導が確認された。また、経口投与群では5匹中4
匹がウイルス中和抗体を産生していることがわかった。
【0083】融合タンパク質は粘膜投与によって、従来
の日本脳炎ワクチン投与法は、注射接種により抗体誘導
を行うが、同等な効果を得ることができる。すなわち、
コレラトキシンB鎖タンパク質との融合タンパク質を作
製することによって、ウイルス外郭タンパク質を効率よ
く腸管粘膜組織に運搬し、全身性の免疫応答を誘導する
ことが可能である(表1)。
【0084】
【表1】 3.日本脳炎ワクチンの経鼻接種によるウイルス中和抗
体の誘導実験。
【0085】方法 現行の日本脳炎ウイルスワクチンの粘膜免疫による抗体
誘導能を調べるため、マウスを使用して経鼻免疫実験を
行った。週一回、計4回接種し、最終免疫から1週間後
に抗体価の測定を行った。中和試験に関しては、上記の
CTB−JE融合タンパク質摂取の場合と同様に行っ
た。
【0086】粘膜免疫ルートの効率を調べるために、現
行日本脳炎ワクチンを希釈し、経鼻免疫した後、ELI
SAによって抗体価と中和抗体価を調べた。
【0087】結果 結果は表2の通りである。免疫開始3週間後から抗体価
の上昇が認められた。ワクチン単独でも、アジュバント
との混合でも、抗体価の上昇が認められたが、アジュバ
ントの混合によりELISA抗体価と中和抗体価に著し
い上昇が確認された(表2)。
【0088】
【表2】
【0089】粘膜免疫ルートの効率は、腹腔投与に使わ
れるワクチン量(134ng)と比較すると、混合ワク
チンの場合でも約3倍量のワクチンが必要であることが
明らかとなった。アジュバントを使用しない場合は、そ
の10倍量を投与しても抗体価の上昇が確認されなかっ
た(表3)。
【0090】
【表3】 4.トランスジェニックタバコによる融合タンパク質の
発現。
【0091】方法 アグロバクテリウム感染によるタバコの形質転換 構築したバイナリーベクターpBI121−CTB−J
Eを植物核染色体内に導入する能力を持つ土壌細菌の一
種であるアグロバクテリウム(Agrobacteri
um tumefaciens)へ挿入する。pBI1
21−CTBh 1−3SEKDELを菌体内に持つアグ
ロバクテリウムをリファンピシン(50ng/ml)、
ストレプトマイシン(100μg/ml)、カナマイシ
ン(50μg/ml)を含むYEB培地(1lあたり:
Beef Extract 5g、Bacto yea
st extract 1g、Sucrose 5g、
Bacto Ager 9g、pH7.3)で3日間培
養し、アセトシリンゴン(370μM)を含む滅菌した
MSO培養液(1pack/l MS salts、
3.0% sucrose、1×B5 vitamin
s、pH5.8)に109−1010bacteria
/ml程度になるように懸濁した。滅菌したタバコの趣
旨をMS培地で発芽させ、葉が7−8枚出るくらいまで
培養した後、葉を取り、メスで格子状(2cm四方くら
い)に切り出した。これら切り取ったリーフディスクは
感染が起こりやすいように、ナイフで所々に傷を付け、
形質転換アグロバクテリウムの懸濁液に1〜2分間浸
し、取りだした後に余分な液体を取り除いて、MS寒天
培地の上に、必ず裏側が上になるように(気孔側を上に
して)隙間なく敷き詰めた。シャーレをパラフィルムで
閉じて、2カ所ほど空気孔をあけ、暗室で3日間室温に
おいてインキュベートして感染を促した。3日後に、リ
ーフディスクを取りだし、カナマイシン(50μg/m
l)、NAA(100μg/ml)、クラフォラン(3
00μg/ml)を含むMS選択培地に移し替えた。か
ら2週間程度でカルス化が進行した後、シュートが形成
され、葉が2〜3枚程度になった時点でカルスから切り
出し、MS選択培地で個別に培養を続けた。シュートか
ら根が形成されて、植物体が成長し始めた後、土に移植
し、さらに成長させた。
【0092】形質転換タバコの解析 カナマイシン耐性を示すタバコからゲノムDNAを抽出
し、CTB領域を特異的に増幅するプライマーセット、
配列を使用してPCR増幅(最初に94℃で3分、次に
94℃で45秒、55℃で1分、72℃で1分を30サ
イクル、最後に72℃で10分)を行い、タバコが形質
転換されていることを確認した。形質転換されているタ
バコは、以下の要領で植物タンパク抽出バッファー(2
00mM Tris−Cl、pH8.0、100mM
NaCl、400mM Sucrose、10mM E
DTA、14mM 2−mercaptoethano
l、1mM phenylmethylsulfony
l fluoride、0.05% Tween−2
0)を用いて、水溶性の全タンパク質を抽出した。
【0093】1. 1gの植物組織(タバコのは、ジャ
ガイモの根茎等)につき1mlの抽出バッファーを使用
して氷上のすり鉢でする。
【0094】2. ホモジェネートを17000×g、
4℃で15分間遠心。
【0095】3. 上清を回収して、もう一度遠心。
【0096】4. 上清をタンパク質アッセイに使用す
る。この時タンパク質は10〜20μlにつき約50〜
100μgになる。
【0097】タンパク抽出液を使用して、CTB−JE
融合タンパク質がCTBの受容体であるGM1ガングリ
オシドに対する特異的親和性を保っていることを確認す
るために、GM1−ELISAを以下の要領で行った。
【0098】1. マイクロタイタープレートをmon
osialoganglioside−GM1(Sig
ma G−7641)、100μl/ウェル(3.0μ
g/ml 重炭酸バッファー(15mM Na2CO
3、35mM NaHCO3)、PH9.6)により、
4℃において一晩コーティング。
【0099】2. プレートをPBST[phosph
ate buffered saline(PBS)、
0.05% Tween−20]で洗浄し、1%ウシ血
清アルブミン(BSA)で37℃において2時間ブロッ
キングして、再度洗浄。
【0100】3. 形質転換アグロバクテリウム抽出液
を数段階にPBSで希釈し、100μl/ウェルで一晩
4℃においてインキュベート。続いて洗浄。
【0101】4. CTBまたはJEVのEタンパク質
を認識する一次抗体(1000から5000倍希釈)を
添加して37℃において2時間インキュベート。続いて
洗浄。
【0102】5. アルカリホスファターゼ・コンジュ
ゲートの二次抗体(100μl/ウェル)を添加して、
37℃において1時間インキュベート。続いて洗浄。
【0103】6. アルカリホスファターゼ基質(10
0μl/ウェル)を添加して、室温において20分間発
色させた後、O.D.415nmで測定。
【0104】7. コントロールとしてCTBタンパク
質(Sigma)を使用して、植物由来のCTB融合タ
ンパク質を測定。
【0105】結果 トランスジェニックタバコを数固体解析した結果、タバ
コの葉に由来する全水溶性タンパク質1gにつき、2〜
12μgの組換えCTB−JE融合タンパク質が産生さ
れていることが確認された(図6)。
【0106】
【発明の効果】従来の日本脳炎ワクチン投与法は、注射
接種により抗体誘導を行うが、本発明では、融合タンパ
ク質の粘膜投与により、それと同等な効果を得ることが
できる。すなわち、コレラトキシンB鎖タンパク質との
融合タンパク質を作製することにより、ウイルス外郭タ
ンパク質を効率よく腸管粘膜組織に運搬し、全身系の免
疫応答を誘導することが可能である。この融合タンパク
質が導入されたトランスジェニック植物の作成が可能で
あるため。食用の植物に遺伝子発現させることにより、
直接腸管粘膜を介して免疫することが可能である。上記
の構成およびその粘膜免疫投与法は、ヒト、家畜動物を
含む脊椎動物全般に応用できるものであり、「食べるワ
クチン」としての利用が期待されている
【0107】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> The transgenic plant that contain the gene coding a japanese ence phalitis virus vaccines. <120> The president of Uneversity of Ryukyu <130> A0001001463 <160> 8 <170> PatentIn version 3.1 <210> 1 <211> 29 <212> DNA <213> Primer <400> 1 gcgccatggt taaattaaaa tttggtgtt 29 <210> 2 <211> 90 <212> DNA <213> Primer <400> 2 cgcgagctct taaagttcat ccttttcgga tcctggacta gtaggggtac cgggcccggg 60 tccatttgcc atactaattg cggcaatcgc 90 <210> 3 <211> 27 <212> DNA <213> Primer <400> 3 gcgggatcca cctatggcat gtgcaca 27 <210> 4 <211> 27 <212> DNA <213> Primer <400> 4 gcgactagtt ccgaaggggg gttccat 27 <210> 5 <211> 27 <212> DNA <213> Primer <400> 5 gcgactagta gctttatgcc aatggtg 27 <210> 6 <211> 27 <212> DNA <213> Primer <400> 6 gcgactagtc ccttgtgtga tccaaga 27 <210> 7 <211> 29 <212> DNA <213> Primer <400> 7 gcgccatggt taaattaaaa tttggtgtt 29 <210> 8 <211> 90 <212> DNA <213> Primer <400> 8 cgcgagctct taaagttcat ccttttcgga tcctggacta gtaggggtac cgggcccggg 60 tccatttgcc atactaattg cggcaatcgc 90
【図面の簡単な説明】
【図1】CTB−JE融合タンパク質の応用例を示す
図。
【図2】日本脳炎ウイルスEglycoprotein
の増幅部位を示す模式図。
【図3】コレラトキシンB鎖タンパク質(CTB)との
融合タンパク質を含む発現ベクター、pIBT210.
1−CTBh1−3SEKDELを示す模式図。
【図4】コレラトキシンB鎖タンパク質(CTB)日本
脳炎ウイルス外郭タンパク質(E glycoprot
ein)(JEV)との融合タンパク質を含む植物発現
ベクター、pBI121−CTBh1−3SEKDEL
を示す模式図。
【図5】コレラトキシンB鎖タンパク質(CTB)日本
脳炎ウイルス外郭タンパク質(E glycoprot
ein)(JEV)との融合タンパク質を含むバイナリ
ーベクター、pBI121−CTB−JEを示す模式
図。
【図6】タバコにおけるCTB−JE融合タンパク質の
発現量を示す図。
フロントページの続き (72)発明者 辻 尚利 茨城県つくば市松代4−415−1 (72)発明者 佐藤 良也 沖縄県北中城村安谷屋693−1 (72)発明者 福永 利彦 沖縄県那覇市首里石嶺町4−58 (72)発明者 佐藤 茂俊 沖縄県中頭郡西原町字千原1番地 琉球大 学農学部内 (72)発明者 長嶺 勝 沖縄県那覇市首里末吉町1−180−9 (72)発明者 倉根 一郎 東京都千代田区一番町17−7−601 Fターム(参考) 2B030 CA15 CA17 CA19 4B024 AA01 AA07 BA32 BA38 CA04 CA07 DA01 EA02 EA04 GA11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘膜免疫運搬体と日本脳炎ウイルス外郭
    タンパク質の融合タンパク質をコードする遺伝子が導入
    されたトランスジェニック植物。
  2. 【請求項2】 前記粘膜免疫運搬体がコレラトキシンB
    鎖タンパク質(CTB)である、請求項1に記載のトラ
    ンスジェニック植物。
  3. 【請求項3】 前記日本脳炎ウイルス外郭タンパク質
    が、Eglycoproteinである、請求項1また
    は2に記載のトランスジェニック植物。
  4. 【請求項4】 pBI121−CTB−JEが導入され
    たトランスジェニック植物。
  5. 【請求項5】 前記植物がタバコである、請求項1〜4
    の何れか一項に記載のトランスジェニック植物。
  6. 【請求項6】 日本脳炎ウイルスワクチンとしての使用
    するための、請求項1〜5のいずれか一項に記載のトラ
    ンスジェニック植物。.
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