JP2003116578A - 紫外線によるdna損傷を可視光線を利用して修復する酵素遺伝子 - Google Patents

紫外線によるdna損傷を可視光線を利用して修復する酵素遺伝子

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JP2003116578A
JP2003116578A JP2001320138A JP2001320138A JP2003116578A JP 2003116578 A JP2003116578 A JP 2003116578A JP 2001320138 A JP2001320138 A JP 2001320138A JP 2001320138 A JP2001320138 A JP 2001320138A JP 2003116578 A JP2003116578 A JP 2003116578A
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rice
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dna
protein
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Kazuo Yamamoto
和生 山本
Tadashi Kumagai
忠 熊谷
Jun Hidema
純 日出間
Atsuhisa Hirouchi
篤久 廣内
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】紫外線耐性のイネから光回復酵素を単離し、未
解明の部分が多い植物の光回復機構について、情報を得
ると共に、クローニングした遺伝子を用いて、紫外線耐
性の植物を作りオゾン層の破壊によってもたらされる環
境問題及び21世紀の大問題である食料問題解決の一助と
することを目的とするものである。 【解決手段】イネ由来の光回復酵素をコードする遺伝
子、特に、以下の(a)又は(b)のタンパク質をコー
ドする遺伝子:(a)特定なアミノ酸配列から成るタン
パク質、(b)アミノ酸配列(a)において1若しくは
数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ
酸配列からなり、光回復酵素活性を有するタンパク質。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線によるDN
A損傷を可視光線を利用して修復する、光回復酵素をコ
ードする遺伝子、及び該遺伝子を利用する紫外線耐性の
付与・増強方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】最近注目されている環境問題の一つとし
て、オゾン層の破壊が挙げられる。これは、我々の生活
にどのような影響をもたらすのであろうか。地球上の生
物の営みは、太陽の光によってささえられ、同時にその
中に含まれる有害な紫外線によって常に脅威にさらされ
ている。紫外線は、太陽光の波長100-400nm をなす部分
で、主に三つの部分にわけられる。100-290nmがUV-C、2
90-320nmがUV-B、320-400nmがUV-Aで、このうち、320nm
以下の波長はオゾン層で吸収され、残りの部分、UV-Bの
一部とUV-Aが地上にふりそそぐ。このうち、DNAの吸収
波長260nmに近い成分、UV-BはDNAの塩基部分に構造の変
化を生じさせる。この変化はCPDと6-4付加体という2つ
の種類があり、どちらも2つの隣り合うピリミジン(Py)
の間に共役結合の架橋が入ることによって生じるダイマ
ーである。紫外線によってDNAに生じた変化を100%とし
て、70-80%がCPD 、20-30%が6-4付加体である。この
2つの構造は、DNAの複製、転写を阻害し細胞死・突然
変異を起こす。強い太陽光を浴びると皮膚癌になるの
も、紫外線によって生じたこれらの損傷が原因であると
考えられている。
【0003】このような損傷に対し、生物は、様々な修
復の機構を持っている。このため、地上の生物は太陽の
光を浴びても簡単には癌にならない。その機構の一つと
して、光回復が挙げられる。この修復系は、紫外線によ
って生じたCPD・6-4付加体を、光回復酵素がそれに続い
て照射された近紫外光・青色光のエネルギーを利用し、
紫外線によって起こったPy+Py → CPD・6-4付加体とい
う反応の逆の反応を行ない元どおりにする(1; 図
1)。この修復を行なう光回復酵素は、二種類存在し、
ひとつはCPDを特異的に修復し、もう一つは6-4付加体を
特異的に修復する(2,3)。CPD光回復酵素は原核生物か
ら高等真核生物まで幅広く存在が確認されている。しか
し、もし、オゾン層が破壊されれば、地上に到達する紫
外線量は増大し、今以上にDNA上に大量の損傷が生じ、
修復の限界に達し、結果として生物に大きな影響を与え
ると予想される。
【0004】それは植物においても例外ではない。太陽
光を直接必要としない生物であれば、紫外線量が増大し
ても、太陽光をさけて生存することができるが、エネル
ギーの多くを光合成によって得ている植物にはそれがで
きない。その結果、オゾン層の破壊によって受ける影響
は、太陽光を直接必要としない生物よりも大きいものと
なると予想される。
【0005】最近、実際に紫外線の線量を現在の基準値
から、将来のオゾン層の減少によって予想されるレベル
にまで増加させた環境で、シロイヌナズナとタバコを生
長させた実験が報告された(4)。つまり、オゾン層の
破壊によって予測される状況を想定して、実際に植物に
与える影響を観察しているのだが、その結果は、次のよ
うになった。まず、線量の増加によって、細胞中のCPD
・6-4付加体は現在のレベルより増加し、生長は抑制さ
れ、さらに、遺伝子の組み換えが増えてゲノムの不安定
性が増し、しかも、その不安定性は代を経るによって、
増加する。つまり、増加した紫外線によって、その代だ
けではなく、何代か後にまで渡って影響が及ぼされたわ
けである。さらに、その照射される線量が維持されるこ
とによって、後の代ほど変異が蓄積され、前の代よりも
紫外線に対し感受性になってしまうということになる。
これは、シロイヌナズナとタバコの花粉、生殖器官の葯
が裂開してから受粉するまでの間、外界にさらされるこ
とによって、紫外線の影響を受けやすくなるためである
と考えられる。このことは、大半の他の地球上の植物に
おいても同様で、シロイヌナズナ・タバコと同じことが
オゾン層の破壊、それによる紫外線の増加によって引き
起こされると考えてもよい。それはつまり、オゾン層が
破壊された何年か後には、生態系に大きな変化が起きて
いる可能性を示している。
【0006】このように、太陽光に含まれる紫外線の影
響を回避しがたい植物にとって、紫外線と同様に太陽か
ら供給される可視光のエネルギーを利用し、その影響を
軽減できる光回復はかなり有効な紫外線に対する防御系
であると言える。そして、それを裏付けるように、高等
植物での光回復の存在を示す報告がなされている。
【0007】我々日本人にとって特に身近な高等植物 "
イネ" に関しても、CPD光回復活性の存在を示唆する報
告がなされている。この実験では、イネの葉(第3葉)
に紫外線を適量照射し、続いて可視光(青色光)を照射
する。すると、可視光照射時間に比例して細胞中のCPD
の量が減少(修復)する。また、発芽後に照射される可視
光のレベルによって、その個体のCPDの修復効率も上昇
した(5)。つまり、同量の可視光によってより多くのC
PDを修復できるようになる。このCPD光回復活性は、イ
ネの全ての品種で同様に起こるわけではなく、紫外線に
弱い品種(農林1号)では、紫外線に耐性の品種(ササ
ニシキ)に比べ、修復の速度が遅い(6)。これは、紫
外線に弱い品種(農林1号)の光回復酵素自体に、もし
くはその発現の制御系になんらかの変異が起きているこ
と等が原因と考えられるが、未だその解明はなされてい
ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明では、先
に述べたように光回復酵素の存在が示唆されている紫外
線耐性のイネ(ササニシキ)から光回復酵素を単離し、
未解明の部分が多い植物の光回復機構について、情報を
得ると共に、クローニングした遺伝子を用いて、紫外線
耐性の植物を作りオゾン層の破壊によってもたらされる
環境問題及び21世紀の大問題である食料問題解決の一助
とすることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、以下
の各態様に係る。 1.イネ由来の光回復酵素をコードする遺伝子。 2.ピリミジン二量体光回復酵素をコードする、上記1
記載の遺伝子。 3.紫外線耐性の品種由来の上記1又は2記載の遺伝
子。 4.イネがササニシキである、上記1、2又は3に記載
の遺伝子。 5.イネがGulfmontである、上記1に記載の遺
伝子。 6.以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする
塩基配列を含有する遺伝子: (a)配列番号1において、N末端から第174番目〜
第506番目に示されるアミノ酸配列から成るタンパク
質、(b)アミノ酸配列(a)において1若しくは数個
のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配
列からなり、光回復酵素活性を有するタンパク質。 7.以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子: (a)配列番号2に示される塩基配列において第520
〜1521番目の塩基対からなるDNA、(b)塩基配
列(a)からなるDNAとストリンジェントな条件下で
ハイブリダイズし、且つ、光回復酵素活性を有するタン
パク質をコードするDNA。 8.以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする
遺伝子: (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列から成るタン
パク質、(b)アミノ酸配列(a)において1若しくは
数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ
酸配列からなり、光回復酵素活性を有するタンパク質。 9. 以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子: (a)配列番号2に示される塩基配列からなるDNA、
(b)塩基配列(a)からなるDNAとストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズし、且つ、光回復酵素活性
を有するタンパク質をコードするDNA。 10.希釈PCR法を繰り返すことによりイネ遺伝子ラ
イブラリーをスクリーニングすることを含む、上記1な
いし9のいずれか一項に記載の遺伝子の調製方法。 11.イネ遺伝子ライブラリーがcDNAライブラリー
である、上記10記載の方法。 12.イネがササニシキ又は、Gulfmontであ
る、上記11記載の方法。 13.上記1ないし9のいずれか一項に記載された遺伝
子を含有する組換え発現ビークル。 14.ラムダファージである上記13に記載の組換え発
現ビークル。 15.プラスミドベクターである上記13に記載の組換
え発現ビークル。 16.上記13、14又は15に記載の発現ビークルに
よって形質転換された形質転換体。 17.形質転換体が植物である上記16に記載の形質転
換体。 18.植物がイネである上記17に記載の形質転換体。 19.形質転換体が大腸菌である上記16に記載の形質
転換体。 20.上記1ないし9のいずれか一項に記載された遺伝
子により、宿主を形質転換することから成る、該宿主に
おいて紫外線耐性を付与又は増強する方法。 21.宿主が植物である、上記20に記載の方法。 22.植物がイネである、上記21に記載の方法。 23.イネが紫外線感受性の品種であることを特徴とす
る、上記22に記載の方法。 24.イネが紫外線感受性の品種が農林1号であること
を特徴とする、上記23に記載の方法。 25.上記1ないし9のいずれか一項に記載された遺伝
子、又はそれらのDNA断片を用いることを特徴とす
る、イネにおける光回復酵素遺伝子の発現量をスクリー
ニングする方法。 26.上記1ないし9のいずれか一項に記載された遺伝
子、又はそれらのDNA断片をプローブとして使用した
ノーザンハイブリダイゼーション法により、イネにおけ
る光回復酵素遺伝子のmRNAへの転写量を測定する方
法。 27.イネが紫外線耐性及び/又は紫外線感受性の品種
であることを特徴とする、上記25又は26に記載の方
法。 28.上記1ないし9のいずれか一項に記載された遺伝
子によりコードされるポリペプチド又はタンパク質。 29.光回復酵素活性を有する上記28記載のポリペプ
チド又はタンパク質。 30.少なくとも2種類の既知の光回復酵素のアミノ酸
配列における相同性の高い部分に基づき第一のプライマ
ーを作成し植物ゲノムを鋳型として、該第一のプライマ
ーを使用するPCR法により第一のDNA断片をクロー
ニングし、第一のDNA断片とシロイヌナズナの光回復
酵素のアミノ酸配列における相同性の高い部分に基づき
第二のプライマーを作成し、該植物遺伝子ライブラリー
を鋳型として、該第二のプライマーを使用するPCR法
により第二のDNA断片をクローニングし、第二のDN
A断片をプローブとして使用して核酸ハイブリダイゼー
ション法により目的の遺伝子をクローニングすることか
ら成る、植物由来の光回復酵素をコードする遺伝子の調
製方法。 31.既知の光回復酵素がシロイヌナズナ及び緑藻の光
回復酵素であることを特徴とする、上記30記載の方
法。 32.植物遺伝子ライブラリーがcDNAライブラリー
であることを特徴とする、上記30又は31記載の方
法。 33.核酸ハイブリダイゼーション法がプラークハイブ
リダイゼーション法である、上記30、31又は32記
載の方法。 34.植物がイネである、上記30ないし33のいずれ
か一項に記載の方法。 35.遺伝子が請求項1ないし9のいずれかに記載の遺
伝子である、上記30記載の方法。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のイネ由来の光回復酵素を
コードする各遺伝子は、以下の実施例に示すように、例
えば、本明細書に開示されたイネの紫外線耐性品種であ
る「ササニシキ」及び「Gulfmont」由来のcD
NAライブラリーを用いて、本発明で調製される適当な
プライマー、特に、シロイヌナズナと緑藻のピリミジン
二量体(CPD)光回復酵素間で高度に保存されている
アミノ酸配列に基づき作成したプライマーを使用するP
CR法によって調製することが出来たものである。特
に、希釈PCR法を繰り返すことによりイネのcDNA
ライブラリー等の遺伝子ライブラリーをスクリーニング
することによって、効率的に本発明の遺伝子を取得する
ことが出来る。
【0011】本発明は、配列番号1におけるN末端から
第174番目〜第506番目に示されるアミノ酸配列を
有するタンパク質をコードする塩基配列を含有する遺伝
子、特に、その5’側に更に任意の塩基配列を有する遺
伝子に係るが、該配列は、好ましくは、イネ、例えば、
「ササニシキ」由来のものである。その一例として、配
列番号1に示されるアミノ酸配列から成るタンパク質を
コードする遺伝子を挙げることが出来る。
【0012】当業者であれば、本明細書で開示された配
列情報に基づいて、当該技術分野における周知手段を用
いた化学合成等によっても調製することが可能である。
更に、当業者であれば、光回復酵素活性が実質的に保持
されるように、配列番号1における特定のアミノ酸配列
における1若しくは数個のアミノ酸を欠失、置換若しく
は付加することも、当該技術分野における周知手段を用
いて容易に実施することができる。
【0013】上記遺伝子の具体例として配列番号2に示
される塩基配列において第520〜1521番目の塩基
対からなるDNAを含む遺伝子、特に、配列番号2に示
される塩基配列からなるDNAを含む遺伝子を挙げるこ
とが出来る。
【0014】本発明において、特定の遺伝子又はDNA
は、当業者に周知の緩衝液中で、適当な温度及び塩濃度
等の諸条件下のストリンジェントな条件でハイブリダイ
ズさせることができる。このようなストリンジェントな
条件下で本発明の遺伝子又はDNAとハイブリダイズ
し、且つ、光回復酵素活性と実質的に同等の活性を有す
る蛋白質をコードするDNAの例として、例えば、それ
ぞれの対応する遺伝子と相同性が、90%以上、好まし
くは95%以上、より好ましくは98%以上、更に好ま
しくは99.5%より高いようなDNAを挙げることが
できる。
【0015】更に、本発明は別な態様として、上記の本
発明遺伝子の少なくとも一つの遺伝子を含有する組換え
発現ビークルに係る。組換え発現ビークルには各種ベク
ター等の当業者に公知の任意のものが含まれるが、特
に、アグロバクテリウム属細菌に含まれるTiプラスミド
のような各種プラスミドベクター及びラムダファージ等
のファージベクターが好適である。該組換え発現ビーク
ルには、遺伝子組換え操作において当業者に公知である
様々な配列、例えば、原核細胞である大腸菌等が有する
転写因子である各種σサブユニットに対する結合ドメイ
ンである各種プロモーター、及びエンハンサーなどの各
種転写調節要素、制限酵素部位、並びにカナマイシン耐
性マーカー等の選択マーカー(マーカー酵素等)遺伝子
を任意に含むことが出来、当業者に公知の方法によって
容易に調製することが出来る。
【0016】本発明は更に、上記発現ビークルによって
形質転換された宿主、特に、イネ等の植物に係る。
【0017】本発明の遺伝子により、宿主を形質転換す
ることによって、該宿主において紫外線耐性を付与又は
増強することが出来る。宿主としては、例えば、イネ等
の植物、特に、「農林1号」のような紫外線感受性の品
種のイネであることが好ましい。
【0018】更に、本発明の遺伝子又はそのDNA断片
を、例えばプローブとして用いて、イネ等の植物におけ
る光回復酵素遺伝子の発現量をスクリーニングすること
も出来る。これは、例えば、本発明遺伝子、又はそれら
のDNA断片をプローブとして使用したノーザンハイブ
リダイゼーション法により、イネにおける光回復酵素遺
伝子のmRNAへの転写量を測定することにより行うこ
とが出来る。
【0019】更に、本発明は、光回復酵素活性を有す
る、上記遺伝子によりコードされるポリペプチド又はタ
ンパク質に係る。これらのポリペプチド又はタンパク質
は、上記の形質転換体を培養し、その培養上清又は菌体
等から製造することができる。培養条件、及び培養上清
からの分離・精製等は本明細書の実施例を参照して、当
業者が任意に選択することが出来る。
【0020】本発明は又、少なくとも2種類の既知の光
回復酵素のアミノ酸配列における相同性の高い部分に基
づき第一のプライマーを作成し植物ゲノムを鋳型とし
て、該第一のプライマーを使用するPCR法により第一
のDNA断片をクローニングし、第一のDNA断片とシ
ロイヌナズナの光回復酵素のアミノ酸配列における相同
性の高い部分に基づき第二のプライマーを作成し、該植
物遺伝子ライブラリーを鋳型として、該第二のプライマ
ーを使用するPCR法により第二のDNA断片をクロー
ニングし、第二のDNA断片をプローブとして使用して
核酸ハイブリダイゼーション法により目的の遺伝子をク
ローニングすることから成る、植物由来の光回復酵素を
コードする遺伝子の調製方法に係るものである。ここ
で、既知の光回復酵素としては、例えば、シロイヌナズ
ナ及び緑藻の光回復酵素を挙げることが出来る。使用す
る植物遺伝子ライブラリーを作成する元になった試料の
取得源に特に制限はないが、cDNAライブラリーが好
ましい。又、核酸ハイブリダイゼーション法としては、
例えば、プラークハイブリダイゼーション法及びサザー
ンハイブリダイゼーション法等の当業者に公知の任意の
方法を挙げることが出来る。更に、植物としては、例え
ば、イネ、コムギ、及びオオムギ等を挙げることが出来
る。このような方法によって、本発明の遺伝子を調製す
ることが出来る。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定される
ものではない。
【0022】材料と方法1. 大腸菌、プラスミド 使用した大腸菌はXL1-Blue(Δ(lac), endA1, gyrA96,
hsdR17 (rk−,mk+),recA1, relA1, supE44, thi-1,
[F',lac1q, lacZΔM15, proAB, Tn 10 (tetr)] )NKJ3
002(Δ(lac-proAB), endA1, gyrA96, hsdR17 (rk−,mk
+), relA1, supE44, thi-1, phr20::Kan uvrA::Kan Δ
recA, [F',lac1q, lacZΔM15, proAB])である。pGEM-
T、pGEM-T easy vector(Promega)をPCR産物のクロー
ニングに使用した。また、クローニングしたササニシキ
CPD光回復酵素遺伝子の光回復能力を検証するために、p
TZ18R vector(PHARMACIA)に同遺伝子を組み込み、大腸
菌に導入した。
【0023】2.イネ ササニシキ cDNA ライブラリの
作成 イネの種子が発芽してから、第3葉〜第6葉が開くまで
可視光を照射した環境で生育させた個体の葉のmRNA を
抽出し、これを鋳型としてcDNAを合成した。このcDNAの
両端にアダプターをライゲーションし、これをLamda ZA
P II (STRATAGENE) にパッケージングし、ライブラリを
作成した。
【0024】3. ミックスプライマーの作成と配列の
決定 シロイヌナズナ(7)と緑藻 (8) のCPD光回復酵素間で
高度に保存されている5箇所(図2:AC 1〜AC 5)のア
ミノ酸配列をもとにミックスプライマーを作成した。イ
ネのゲノム約1 μgを鋳型として、PCRを行なった([Mg
2+] = 2.0 mM、93 ℃ 1 min、《93 ℃ 1 min、53
℃ 1 min、72 ℃ 1.5 min》X 40 サイクル、72 ℃ 1
0 min: Gene Amp 480/9600 System by Perkin Elme
r)。PCR産物をpGEM-T もしくはpGEM-T easy vector(P
romega)にクローニングし、ABI PRISM BigDye Termina
tor Cycle Sequencing Ready Reaction Kits もしくはD
YEnamic ETterminator Cycle Sequencing pre-mix kit
を用いて 310 Genetic Analyzer もしくは373 Genetic
Analyzer(Perkin Elmer)で蛍光標識によって塩基配列
を決定した。
【0025】4. Plaque HybridizationによるLamda Z
AP II / rice cDNA ライブラリのスクリーニング Lamda phage (Lamda ZAP II / rice cDNA ライブラリ )
を培地に約15,000〜20,000 プラーク形成させ、これを
滅菌したGene Screen plus (NEN Life ScienceProducts
)で覆いtransferさせた。TransferさせたGene Screen
plus を5分間denature solution(0.5 N Na OH,1.5 M N
aCl)に浸し、続けてnautring solution(0.5 M Tris-HC
l,1.5 M NaCl)に5分間、2×SSC solutionに5分浸し、3
0〜60分の自然乾燥の後に乾熱滅菌器で80 ℃で2時間bak
ingした。これを3×SSC(65 ℃)で30分、pre-hybridiz
ation solution(5×SSC, 1% SDS, 1×Denhart:65 ℃)
で2時間処理した後に、32Pでラベルしたプローブ約2
5 ng をhybridization solution(0.75 M NaCl, 20 mM
Tris-HCl pH 8.0, 2.5 mM EDTA pH 8.0, 1% SDS,1×Den
hart,10 μg /ml sermon sperm DNA)中で混合し65 ℃
で一晩保温した (hybridization)。一晩hybridization
したGene Screen plusを取り出し、2×SSC0.1% SDS so
lutionで5分、0.2×SSC 0.1% SDS solution (65 ℃)で
30分×2回洗浄したものをFUJI MEDICAL X-ray FILM(FU
JI FILM)で覆いexposeさせ、現像した。シグナルの出
たプラークを培地から回収し、新しい培地にプラークを
形成させ確認のために、同じ操作で再びPlaque hybridi
zationをおこなった。このプラークをpBlueScript SK
(-)に変換し、インサートの塩基配列を決定した。
【0026】5. Genome Walking イネから抽出したゲノム約5μgを制限酵素4種類(Dra
I、EcoR V、Stu I、Pvu II)で処理しアダプターをライ
ゲーションした(Universal Genome Walker Kit Manual
: CLONTECH参照)。これを鋳型としてアダプターのプ
ライマーと既に決定したイネのcDNA配列から作成したプ
ライマーでPCRを行なった([Mg2+]=2.0 mM、93 ℃ 1
min、《93 ℃ 1 min、50-55 ℃ 1 min、72 ℃ 1.5
min》X 40 サイクル、72 ℃ 10 min: Gene Amp 480/96
00 System by Perkin Elmer)。得られたPCR産物を電気
泳動で展開し、Gene Screen plusにtransferさせSouthe
rn Hybridizationを行い目的のバンドを絞り込み、再び
Low Melting Agar (LMA)の電気泳動でPCR産物を展開
し、シグナルの出たバンドを抽出しpGEM-T もしくはpGE
M-T easy vector(Promega)にクローニングし、配列を
決定した。
【0027】6. イネGulfmont cDNA / pSPORT-T ライ
ブラリもしくはササニシキ cDNA/pBS SK(-)/lamda ZAP I
I ライブラリの スクリーニング GIBCO BRL社のSUPERSCRIPT Rice (cv. Gulfmont) Leaf
cDNA ライブラリ、それと、先に使用したLamda ZAP II
/ rice cDNA ライブラリをpBS SK(-)プラスミドに変換
したササニシキ cDNA/pBS SK(-)ライブラリのスクリー
ニングを、希釈PCR法を用いて行なった([Mg2+]= 1.0
mM、93 ℃ 1 min、《93 ℃ 1 min、60℃ 1 min、72
℃ 1.5 min》X 40 サイクル、72 ℃ 10 min: Gene A
mp 480/9600 System by Perkin Elmer)。原液(5×10
9 大腸菌/ml)の状態でのターゲットのプラスミド(CP
D光回復酵素のcDNA)の含有率を調べるために、10−2,
10 −3,10−4,10−5,10−6,10−7と10−1ごとに希
釈し、それぞれをstationary phaseまで培養し増幅させ
てプラスミドを抽出しPCRをした。シグナルの出るもっ
とも希釈された濃度の培養液を再びつくり、それを10分
割しそれぞれをstationary phaseまで培養し増幅させて
プラスミドを抽出しPCRをした (図3)。シグナルの出た
培養液について、原液で行なったのと同じ操作をし、こ
れをくり返し1つのcolonyにまで絞り込んだ。
【0028】結果と考察(1)ミックス プライマーの作成 現在、CPD光回復酵素は様々な生物で単離されている。
それらは植物の青色受容体、ヒトのサーカディアンリズ
ムをつかさどる遺伝子と相同性を持ち一つのファミリー
を形成しており(図4)、アミノ酸配列の違いから大き
く2つのグループにわけることができる。一部例外もあ
るが、大腸菌などの微生物が属するclass I と高等真核
生物が属するclass IIである。植物で既にCPD光回復酵
素が単離されているシロイヌナズナと緑藻はclass IIに
属する。今回の実験の対照となるイネは高等真核生物な
のでその光回復酵素のアミノ酸配列はシロイヌナズナ・
緑藻に近いclass IIであることが予想される。そこで、
シロイヌナズナと緑藻のアミノ酸配列を比較し、相同性
の高い部分5箇所をもとにプライマーを合成した(図
2)。一つのアミノ酸を決定するのに数種類のコドンが
対応しているため、このプライマーは、各箇所のアミノ
酸配列に対応する塩基配列全てが含まれるミックスプラ
イマーとなっている。この5つのプライマーから考えら
れうる全ての組み合わせのPCRで、今回使用するイネの
光回復酵素の一次構造にプライマーの元となったアミノ
酸配列と同じ配列があれば、ゲノムDNAにはそれに対応
した塩基配列が存在するので、その間の塩基配列をPCR
で増幅し、決定することが理論上可能となる。
【0029】(2)イネゲノムDNAを鋳型としたPCR 図5は、実際に上で述べたプライマーを使ってイネのゲ
ノムDNAを鋳型にしてPCRを行なったものである。その結
果、AC 2とAC4の組み合わせで約1.1 kbp、AC 3とAC 4の
組み合わせで約600 bpのDNA断片が得られた。図から分
かるように、600bpの断片は1.1 kbpの断片程増幅されて
いない。AC 2-4間はシロイヌナズナで245アミノ酸(735
bp)、緑藻で244アミノ酸(732 bp)、AC 3-4間はシロ
イヌナズナで127アミノ酸(381 bp)、同じく緑藻で127
アミノ酸(381 bp)であり、ゲノムDNA配列では間にイ
ントロンが入るのでこれ以上の長さになることが予想で
きるので、この1.1 kbp、600 bpは目的の断片である可
能性があった。また、その他のプライマーでは温度条
件、Mg2+濃度を変えても、PCR産物が全く得られなか
った。このPCR産物をpGEM-T vector(CLONTECH)にクロ
ーニングし、AC 2-4の1.1 kbp、AC 3-4の600 bpの配列
を決定してアミノ酸に変換、シロイヌナズナのCPD光回
復酵素のアミノ酸との比較を行なったところ、1.1 kbp
のDNA配列から得られたアミノ酸配列に高い相同性が見
られた(図6)。600 bpの断片は、先に述べたようにPC
Rをした際にあまり増幅されていなかったので、おそら
くプライマーが、元になったアミノ酸配列に似た配列に
annealしたために増幅されたバックグランドであったと
思われる。
【0030】(3)イネ cDNA ライブラリのスクリーニ
ング イントロンの無いcDNA断片を得るために、先に述べた1.
1 kbpの配列のシロイヌナズナのCPD光回復酵素と高い相
同性を示した部分(図6下線部)からプライマーを作成
した。このプライマーを使用してイネcDNAを鋳型にして
PCRを行なった(93 ℃ 1 min、《93 ℃ 1 min、55 ℃
1 min、72 ℃ 1.5 min》X 40 サイクル、72℃ 10mi
n: Gene Amp System by Perkin Elmer)ところ、600 bp
の断片が得られた。ゲノムDNAの場合と同様に配列を決
定しアミノ酸に変換し、シロイヌナズナのCPD光回復酵
素と比較するとゲノムDNAの1.1 kbpと同じ場所での高い
相同性を確認できた。さらに、このcDNA断片をプローブ
にして600 bpの鋳型の元になったLamdaZAP II / Rice c
DNA ライブラリでプラークを形成させSouthernhybridiz
ationでスクリーニングを数回行なった。約20万個のプ
ラークを絞り込んだ結果、2つの候補が得られた。この2
つのプラークのパッケージされたDNAの塩基配列を決定
すると、両方とも同じ配列で、プローブの600 bpの5’
側の配列を一部欠損した3’末端(C末端)までのcDNA断
片1.1 kbpであることが分かった(図7)。この5’側の
欠損は、cDNAを作る際にその鋳型となるmRNAが逆転写さ
れcDNAになる前に5’側から器具などに付着しているRNa
seによって分解されてしまうのが原因であると考えられ
る。また、その分解は不均一なため、cDNA ライブラリ
の中には完全な長さの断片の他に5’側の配列を欠いた
様々な長さの断片が含まれる。Plaque Hybridizationで
得られた1.1 kbpはこれにあたるわけだが、再度同様の
実験を行なうことによって、より完全な長さに近い断片
を得られる可能性がある。しかし、このライブラリを用
いたこの後幾度か行なった実験では得ることができなか
った。
【0031】(4)イネゲノムDNAのGenome Walking法 cDNA ライブラリからのアプローチが上記のように困難
になったので、cDNAのように容易に分解がおきないゲノ
ムDNAでGenome Walking法を行なった。「材料と方法」
で述べたように、イネゲノムDNAを4種類の制限酵素(Dr
a I、EcoR V、Stu I、Pvu II)で処理し、アダプターを
ライゲーションした(Genome Walker ライブラリ:CLON
TECH)。これを鋳型として、ライゲーションしたアダプ
ターのプライマーと作成したパーフェクトマッチプライ
マーでPCRを行なった。その結果、Pvu IIで処理したラ
イブラリを鋳型とし、GSP 4とアダプターのプライマー
でのPCRで複数のDNA断片が得られた。そして、Southern
Hybridizationによって目的の断片をその複数のPCR産
物の中の500bp付近に絞り込み、それをクローニングし
配列を決定した。その結果、5’側に100bpだけではある
が未知であった部分を読めた(アミノ酸に変換しても他
のCPD光回復酵素との相同性は見られなかった)。Pvu I
I ライブラリ以外のライブラリではSouthern Hybridiza
tionによる絞り込みがうまくいかずこれ以上の成果をあ
げることができなかった。
【0032】(5)異なるイネ cDNA ライブラリのスク
リーニング 先に述べたように、イネ(ササニシキ)のLamdaZAP II
/ cDNA ライブラリでは5’側の欠損した断片しかえられ
なかった。そこで、本発明者は、別の経路で作成された
pSPORT-T / rice (Gulfmont) cDNA libratyのスクリー
ニングを行なった。このGulfmontという品種は、アメリ
カ産の品種で、光回復の活性は調べられていない。スク
リーニングは、希釈PCR法によって既知の断片が増幅さ
れることを指標に行なった(図3) 。まず、ライブラリ
の原液を10−1ごとに希釈したものを培養しプラスミド
を抽出しPCRをする。ポジティブバンドが出るもっとも
薄い濃度の培養液を同じように作りその希釈液全量を10
等分し培養する。これによって10本の試験管に目的のプ
ラスミドを含むものと含まないものができる。この10分
割した培養液をさらに10倍に希釈したものではポジティ
ブバンドがでないので全ての試験管がポジティブになる
ことは理論上無い。10本の試験管のプラスミドを各々抽
出しPCRを行なう。ポジティブバンドが出たチューブは
他の含まない部分を除いているので原液よりもターゲッ
トの遺伝子を多く含むものとなる。これをくり返しター
ゲットを濃縮して、一つのプラスミドにまで絞り込みを
かけることができる。これによって、約1.8 kbpのイン
サートを含むプラスミドを得られた。この断片の塩基配
列を決定し、ここまでに決定しているササニシキのcDNA
配列と比較した結果、99.5%の相同性を示した。しか
し、これをアミノ酸配列に変換するとある位置にササニ
シキに4bpの塩基が挿入された形の配列を持っており、
この部分でフレームシフトを起こしていることが分かっ
た。しかし、この部分を除いてアミノ酸配列に変換する
と、シロイヌナズナのCPD光回復酵素のアミノ酸配列と
高い相同性を示した(図8)。
【0033】更に、先述のLamda ZAP II / rice cDNA
ライブラリから作成したササニシキcDNA/pBS SK(-)ライ
ブラリを鋳型にして、上記希釈PCR法によるスクリーニ
ングを行い、光回復野生型であるササニシキから光回復
酵素をコードする遺伝子をクローニングした。得られた
塩基配列を配列番号2(1521塩基対)、該塩基対が
コードするタンパク質のアミノ酸配列を配列番号1(ア
ミノ酸残基数:506個)で示す。
【0034】(6)CPD光回復酵素遺伝子の光回復能力
の実証 また、更に、本発明によって得られた、ササニシキのCP
D光回復酵素遺伝子の光回復能力を証明するために、次
のような実験を行った。まず、大腸菌の有するDNA修復
能力をすべて欠損した株、NKJ3002を準備し、これに紫
外線を照射した。NKJ3002は、紫外線照射によって生じ
たCPD・6-4付加体といったDNA損傷を修復できないの
で、線量の増加とともに生存率が減少してゆく。さらに
この株は大腸菌の光回復遺伝子も欠損しているので、紫
外線を照射した後に可視光を照射しても、可視光を照射
しない場合に比べ、何の変化も見られない。この株に、
ササニシキのCPD光回復酵素遺伝子を発現できるように
調整したプラスミドを導入し、同様の実験を行った。そ
の結果、紫外線照射後の可視光の照射によって大きく生
存率が回復することが観察された。ササニシキのCPD光
回復酵素遺伝子は、光回復遺伝子欠損大腸菌の紫外線感
受性を補うことができた。即ち、ササニシキのCPD光回
復酵素遺伝子産物(本発明の光回復酵素)は、光回復能
力を間違い無く持つ事が証明された。
【0035】
【発明の効果】既に述べたように、イネには紫外線耐性
の品種(ササニシキ)と感受性の品種(農林1号)が存
在する (6)。系統的にかなり近いこの2つの品種のCPD
光回復活性の差はいまだ解明されていない。しかし、本
発明で得られた新規な遺伝子及びそのcDNA断片を用いた
Northern Hybridizationによって、2品種のCPD光回復
酵素のmRNAの転写量(酵素の発現量)を比較することが
できる。また、イネの光回復活性は、発芽(出葉)後に照
射される可視光によって促進され、葉が完全に展開する
時点で最大値を示す。光回復活性の光環境による誘導は
植物によって異なり、イネでは先に述べたように可視光
によって上昇するが、シロイヌナズナは紫外線によって
も誘導される。このように、植物の光回復活性の光環境
による誘導はまだ不明な部分が多い。しかし、今回得ら
れた遺伝子及びそのcDNA断片を用いた色々な光環境、様
々な生長段階でのNorthern Hybridizationによって、イ
ネが異なる光環境によって各段階でどう影響を受けるの
かを知る手掛かりを提供することができるものと期待さ
れる。
【0036】更に、本発明で得られた遺伝子を利用し
て、光回復酵素欠損型の大腸菌の相補性試験や酵素の結
晶化、抗体の作成が可能となる。また、この抗体を用い
たin situ hybridizationによって植物細胞中でのCPD光
回復酵素の分布を観察し、核以外のDNA(ミトコンドリ
ア、葉緑体)への関与も知ることができる。また、遺伝
子導入の技術によって、紫外線感受性の品種(例えば、
「農林1号」)に紫外線耐性を付与したり、その相補性
試験を行ったり、又は、紫外線耐性株でのCPD光回復酵
素をさらに強く発現させた品種を生み出すことも可能に
なる(図10)。このCPD光回復酵素を強発現させた品
種は、将来予想されるオゾン層の破壊による大量の紫外
線が降り注ぐ環境で、安定した生産を行なえる可能性を
秘めている。
【0037】引用文献 (1)Aziz Sancar. (1994) "Structure and Function
of DNA photolyase" Biochemistry 33:2-9. (2) Takeshi Todo , Hiroshi Takemori , Haruko Ry
o , Makoto Ihara , Tsukasa Matsunaga , Osamu Nikai
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oreactivation enzyme that specifically repairs ult
raviolet light-induced (6-4) photoproduct " Nature
361:371-374. (3)Aziz Sancar (1996) "No "End of History" for
Photolyases " Science272:48-49 (4) Gerhard Ries,Werner Heller,Holger Puchta,He
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" Jounal of Molecular Medicine 78:B23.
【0038】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Japan Science and Technology Corporation <120> Rice gene encoding photolyase that repairs ultraviolet DNA lesions using visible light <130> PA908829 <160> 2 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 506 <212> PRT <213> Oryza Sativa <400> 2 Met Pro Pro Thr Ser Val Ser Pro Pro Arg Thr Ala Pro Gly Pro Ala 1 5 10 15 Asn Pro Ser Pro Ala His Pro Ser Arg Val Arg Val Ile His Pro Gly 20 25 30 Gly Gly Lys Pro Gly Gly Pro Val Val Tyr Trp Met Leu Arg Asp Gln 35 40 45 Arg Leu Ala Asp Asn Trp Ala Leu Leu His Ala Ala Gly Leu Ala Ala 50 55 60 Ala Ser Ala Ser Pro Leu Ala Val Ala Phe Ala Leu Phe Pro Arg Pro 65 70 75 80 Phe Leu Leu Ser Ala Arg Arg Arg Gln Leu Gly Phe Leu Leu Arg Gly 85 90 95 Leu Arg Arg Leu Ala Ala Asp Ala Ala Ala Arg His Leu Pro Phe Phe 100 105 110 Leu Phe Thr Gly Gly Pro Ala Glu Ile Pro Ala Leu Val Gln Arg Leu 115 120 125 Gly Ala Ser Thr Leu Val Ala Asp Phe Ser Pro Leu Arg Pro Val Arg 130 135 140 Glu Ala Leu Asp Ala Val Val Gly Asp Leu Arg Arg Glu Ala Pro Gly 145 150 155 160 Val Ala Val His Gln Val Asp Ala His Asn Val Val Pro Val Trp Thr 165 170 175 Ala Ser Ala Lys Met Glu Tyr Ser Ala Lys Thr Phe Arg Gly Lys Val 180 185 190 Ser Lys Val Met Asp Glu Tyr Leu Val Glu Phe Pro Glu Leu Pro Ala 195 200 205 Val Val Pro Trp Asp Arg Glu Gln Pro Glu Gly Val Asp Trp Asp Ala 210 215 220 Leu Ile Ala Arg Val Cys Ser Glu Ala Glu Asn Val Pro Glu Ile Asp 225 230 235 240 Trp Cys Glu Pro Gly Glu Glu Ala Ala Ile Glu Ala Leu Leu Gly Ser 245 250 255 Lys Asp Gly Phe Leu Thr Lys Arg Ile Lys Ser Tyr Glu Thr Asp Arg 260 265 270 Asn Asp Pro Thr Lys Pro Arg Ala Leu Ser Gly Leu Ser Pro Tyr Leu 275 280 285 His Phe Gly His Ile Ser Ala Gln Arg Cys Ala Leu Glu Ala Lys Lys 290 295 300 Cys Arg His Leu Ser Pro Lys Ser Val Asp Ala Phe Leu Glu Glu Leu 305 310 315 320 Val Val Arg Arg Glu Leu Ala Asp Asn Phe Cys Tyr Tyr Gln Pro Gln 325 330 335 Tyr Asp Ser Leu Ser Gly Ala Trp Glu Trp Ala Arg Lys Thr Leu Met 340 345 350 Asp His Ala Ala Asp Lys Arg Glu His Ile Tyr Thr Arg Glu Gln Leu 355 360 365 Glu Asn Ala Lys Thr His Asp Pro Leu Trp Asn Ala Ser Gln Leu Glu 370 375 380 Met Val His His Gly Glu Met His Gly Phe Met Arg Met Tyr Trp Ala 385 390 395 400 Lys Lys Ile Leu Glu Trp Thr Ser Gly Pro Glu Glu Ala Leu Ser Thr 405 410 415 Ala Ile Tyr Leu Asn Asp Lys Tyr Glu Ile Asp Gly Arg Asp Pro Ser 420 425 430 Gly Tyr Val Gly Cys Met Trp Ser Ile Cys Gly Leu His Asp Gln Gly 435 440 445 Trp Lys Glu Arg Pro Val Phe Gly Lys Ile Arg Tyr Met Asn Tyr Ala 450 455 460 Gly Cys Lys Arg Lys Phe Asp Val Asp Ala Tyr Ile Ser Tyr Val Lys 465 470 475 480 Arg Leu Ala Gly Gln Ser Lys Lys Arg Asn Ala Glu Glu Ser Pro Asn 485 490 495 Pro Val Val Lys Leu Ser Lys Ser Gln His 500 505 <210> 2 <211> 1521 <212> DNA <213> Oryza Sativa <400> 1 atgccgccga cctcagtgag cccaccaaga acagcgccgg ggccggcgaa cccgagcccg 60 gcacacccgt cccgcgtgcg ggtgatccac ccgggcggcg ggaagcccgg tgggccggtg 120 gtgtactgga tgctgcggga ccagcggctc gccgacaact gggcgctcct ccacgccgcc 180 ggcctcgccg ccgcctccgc gtccccgctc gccgtcgcgt tcgcgctgtt cccgaggccc 240 ttcctcctct ccgcccgccg ccgccagctc gggttcctcc tccgcggcct ccgccgcctc 300 gccgccgacg ccgccgcccg ccacctcccc ttcttcctct tcaccggtgg gcccgcggag 360 atcccggcgc tggtgcagcg ccttggtgcg tcgacgctgg tcgccgactt ctcgccgctg 420 cggccggtga gggaggcgct cgacgcggtg gtcggcgacc tgcggcggga ggcgcccggt 480 gtggccgtgc accaggtgga cgcgcacaac gtggtgcctg tgtggacggc gtcggcgaag 540 atggagtatt cagccaagac cttcagaggc aaggtgagca aggtgatgga tgagtacctt 600 gtggagttcc ctgaattgcc ggcggtggtg ccatgggaca gggagcagcc ggagggggtc 660 gactgggacg cactcatcgc cagggtttgc agtgaggcgg agaatgtgcc ggagattgac 720 tggtgtgagc ctggagagga agcagccata gaggcgcttc tcggcagcaa ggatggattc 780 ctgacgaaga ggatcaagag ctatgaaact gaccggaatg atcccacgaa accacgggca 840 ttgtctgggc tttcaccata ccttcatttt gggcacattt cggcacagcg gtgtgcgctc 900 gaggcaaaga aatgccgaca tcttagtccc aagtccgtcg atgctttctt ggaggaattg 960 gttgtaagga gggaattagc tgacaacttc tgctattacc aacctcaata tgattcgctg 1020 tctggtgcat gggaatgggc aaggaagaca ctgatggatc atgctgctga taaaagagag 1080 catatctata cgagggaaca gcttgagaat gccaaaacac atgatccttt gtggaatgca 1140 tcgcagttgg agatggttca ccatggagaa atgcatggat tcatgagaat gtactgggcc 1200 aaaaagattc tagaatggac tagtggacca gaagaagcac tttcaactgc aatttattta 1260 aatgacaagt atgagataga tggcagggac cccagtggtt acgtcggatg tatgtggtcc 1320 atatgtggcc tccatgatca gggttggaag gagcgtccag tatttggaaa gatacgttac 1380 atgaattacg ctggctgcaa gagaaaattc gatgttgacg cttacatttc ttatgtcaag 1440 agattagctg gtcaatccaa gaagaggaac gctgaggagt ctccaaatcc tgtagtcaag 1500 ctttccaagt ctcagcacta a 1521
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、光回復の機構を示す。
【図2】図2は、シロイヌナズナと緑藻の光回復酵素の
アミノ酸配列の比較を示す。
【図3】図3は、イネ Gulfmont cDNA / pSPORT-T ライ
ブラリとササニシキcDNA/pBS SK(-)ライブラリの スク
リーニングの概念図を示す。
【図4】図4は、光回復酵素、青色受容体、サーカディ
アンリズム受容体ファミリーの進化系統樹を示す。
【図5】図5は、ミックスプライマーによるイネゲノム
CPD光回復酵素コード領域の増幅を示す。
【図6】図6は、イネゲノムAC1.1kbpから予想
されるアミノ酸配列とシロイヌナズナのCPD光回復酵
素のアミノ酸配列の比較を示す。ここで、二重下線部は
パーフェクトマッチプライマーの位置を示す。
【図7】図7は、イネゲノムCPD光回復酵素断片とシ
ロイヌナズナのCPD光回復酵素のアミノ酸配列の比較
を示す。ここで、二重下線部はパーフェクトマッチプラ
イマーの位置を示す。
【図8】図8は、イネ(Gulfmont)CPD光回復酵素断
片とシロイヌナズナのCPD光回復酵素のアミノ酸配列
の比較を示す。
【図9】図9は、大腸菌修復欠損株を使用した、本発明
の光回復酵素が光回復能力を持つことを証明する相補性
試験の結果を示す。
【図10】図10は、本発明遺伝子導入によって、紫外
線感受性の品種に紫外線耐性を付与したり、紫外線耐性
株でのCPD光回復酵素をさらに強く発現させた品種を生
み出す手順を示した概念図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/00 C12Q 1/68 A C12Q 1/26 G01N 33/53 M 1/68 33/566 G01N 33/53 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 C (72)発明者 廣内 篤久 宮城県仙台市太白区八木山本町1−24−8 −102 Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD20 CA06 CA17 CA19 CB03 CD03 CD07 CD09 4B024 AA08 AA11 BA07 CA04 DA01 DA06 EA03 FA05 GA11 HA12 4B050 CC03 DD13 LL03 LL10 4B063 QA01 QA18 QQ04 QQ21 QQ42 QR32 QR40 QR55 QR62 QS25 QS34 4B065 AA26X AA88X AA88Y AB01 AC14 AC20 CA27 CA53

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イネ由来の光回復酵素をコードする遺伝
    子。
  2. 【請求項2】 ピリミジン二量体光回復酵素をコードす
    る、請求項1記載の遺伝子。
  3. 【請求項3】 紫外線耐性の品種由来の請求項1又は2
    記載の遺伝子。
  4. 【請求項4】 イネがササニシキである、請求項1、2
    又は3に記載の遺伝子。
  5. 【請求項5】 イネがGulfmontである、請求項
    1に記載の遺伝子。
  6. 【請求項6】 以下の(a)又は(b)のタンパク質を
    コードする塩基配列を含有する遺伝子: (a)配列番号1において、N末端から第174番目〜
    第506番目に示されるアミノ酸配列から成るタンパク
    質、(b)アミノ酸配列(a)において1若しくは数個
    のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配
    列からなり、光回復酵素活性を有するタンパク質。
  7. 【請求項7】 以下の(a)又は(b)のDNAを含む
    遺伝子: (a)配列番号2に示される塩基配列において第520
    〜1521番目の塩基対からなるDNA、(b)塩基配
    列(a)からなるDNAとストリンジェントな条件下で
    ハイブリダイズし、且つ、光回復酵素活性を有するタン
    パク質をコードするDNA。
  8. 【請求項8】 以下の(a)又は(b)のタンパク質を
    コードする遺伝子:(a)配列番号1に示されるアミノ
    酸配列から成るタンパク質、(b)アミノ酸配列(a)
    において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しく
    は付加されたアミノ酸配列からなり、光回復酵素活性を
    有するタンパク質。
  9. 【請求項9】 以下の(a)又は(b)のDNAを含む
    遺伝子: (a)配列番号2に示される塩基配列からなるDNA、
    (b)塩基配列(a)からなるDNAとストリンジェン
    トな条件下でハイブリダイズし、且つ、光回復酵素活性
    を有するタンパク質をコードするDNA。
  10. 【請求項10】 希釈PCR法を繰り返すことによりイ
    ネ遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることを含
    む、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の遺伝子の
    調製方法。
  11. 【請求項11】 イネ遺伝子ライブラリーがcDNAラ
    イブラリーである、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 イネがササニシキ又は、Gulfmo
    ntである、請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし9のいずれか一項に記
    載された遺伝子を含有する組換え発現ビークル。
  14. 【請求項14】 ラムダファージである請求項13に記
    載の組換え発現ビークル。
  15. 【請求項15】 プラスミドベクターである請求項13
    に記載の組換え発現ビークル。
  16. 【請求項16】 請求項13、14又は15に記載の発
    現ビークルによって形質転換された形質転換体。
  17. 【請求項17】 形質転換体が植物である請求項16に
    記載の形質転換体。
  18. 【請求項18】 形質転換体がイネである請求項17に
    記載の形質転換体。
  19. 【請求項19】 形質転換体が大腸菌である請求項16
    に記載の形質転換体。
  20. 【請求項20】 請求項1ないし9のいずれか一項に記
    載された遺伝子により、宿主を形質転換することから成
    る、該宿主において紫外線耐性を付与又は増強する方
    法。
  21. 【請求項21】 宿主が植物である、請求項20に記載
    の方法。
  22. 【請求項22】 植物がイネである、請求項21に記載
    の方法。
  23. 【請求項23】 イネが紫外線感受性の品種であること
    を特徴とする、請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 イネが紫外線感受性の品種が農林1号
    であることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 請求項1ないし9のいずれか一項に記
    載された遺伝子、又はそれらのDNA断片を用いること
    を特徴とする、イネにおける光回復酵素遺伝子の発現量
    をスクリーニングする方法。
  26. 【請求項26】 請求項1ないし9のいずれか一項に記
    載された遺伝子、又はそれらのDNA断片をプローブと
    して使用したノーザンハイブリダイゼーション法によ
    り、イネにおける光回復酵素遺伝子のmRNAへの転写
    量を測定する方法。
  27. 【請求項27】 イネが紫外線耐性及び/又は紫外線感
    受性の品種であることを特徴とする、請求項25又は2
    6に記載の方法。
  28. 【請求項28】 請求項1ないし9のいずれか一項に記
    載された遺伝子によりコードされるポリペプチド又はタ
    ンパク質。
  29. 【請求項29】 光回復酵素活性を有する請求項28記
    載のポリペプチド又はタンパク質。
  30. 【請求項30】 少なくとも2種類の既知の光回復酵素
    のアミノ酸配列における相同性の高い部分に基づき第一
    のプライマーを作成し植物ゲノムを鋳型として、該第一
    のプライマーを使用するPCR法により第一のDNA断
    片をクローニングし、第一のDNA断片とシロイヌナズ
    ナの光回復酵素のアミノ酸配列における相同性の高い部
    分に基づき第二のプライマーを作成し、該植物遺伝子ラ
    イブラリーを鋳型として、該第二のプライマーを使用す
    るPCR法により第二のDNA断片をクローニングし、
    第二のDNA断片をプローブとして使用して核酸ハイブ
    リダイゼーション法により目的の遺伝子をクローニング
    することから成る、植物由来の光回復酵素をコードする
    遺伝子の調製方法。
  31. 【請求項31】 既知の光回復酵素がシロイヌナズナ及
    び緑藻の光回復酵素であることを特徴とする、請求項3
    0記載の方法。
  32. 【請求項32】 植物遺伝子ライブラリーがcDNAラ
    イブラリーであることを特徴とする、請求項30又は3
    1記載の方法。
  33. 【請求項33】 核酸ハイブリダイゼーション法がプラ
    ークハイブリダイゼーション法である、請求項30ない
    し32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 【請求項34】 植物がイネである、請求項30ないし
    33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 【請求項35】 遺伝子が請求項1ないし9のいずれか
    に記載の遺伝子である、請求項30記載の方法。
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