JP2003123620A - 直熱型酸化物陰極及びそれを用いた蛍光表示管 - Google Patents

直熱型酸化物陰極及びそれを用いた蛍光表示管

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JP2003123620A JP2001317360A JP2001317360A JP2003123620A JP 2003123620 A JP2003123620 A JP 2003123620A JP 2001317360 A JP2001317360 A JP 2001317360A JP 2001317360 A JP2001317360 A JP 2001317360A JP 2003123620 A JP2003123620 A JP 2003123620A
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雅弘 加藤
Tomohiro Yamada
智宏 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】直熱型酸化物陰極及び該直熱型酸化物陰極を使
用した蛍光表示管の消費電力を低減する。 【解決手段】 平均粒子系0.1μm〜2.0μmのア
ルカリ土類酸化物を0.5μm〜4.0μmと薄く金属
芯線表面に被着した、フィラメント状カソードとするこ
とで、フィラメント状カソードの消費電力を低減する。
更に該フィラメント状カソードを蛍光表示管に実装し
て、該蛍光表示管の消費電力を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、蛍光表示管及び蛍
光表示管の原理を応用した大画面表示用の光源ユニッ
ト、プリンター用光源、バックライト等の自発光デバイ
ス等に使用される直熱形酸化物陰極、特にエミッション
特性に優れ、且つ、消費電力の少ない直熱形酸化物陰極
及び該直熱形酸化物陰極を用いた蛍光表示管に関する。
【0002】
【従来の技術】図22は蛍光表示管1の全体斜視図、図
23は図22に示す蛍光表示管の断面図である。蛍光表
示管1は、絶縁性ガラス基板2とフロントガラス3と枠
状のスペーサガラス31とで構成される真空容器の中
に、絶縁性基板上面の配線層20の上面に積層された絶
縁層21に設けられたスルホール22中に導電材23を
配設し、該導電材を介して前記絶縁層上面に積層された
アノード電極24と、グリッド電極4、及び直熱形酸化
物陰極としてのフィラメント状カソード5が配設された
3極管構造である。また、熱電子を放出するフィラメン
ト状カソード5がフィラメントアンカーにより配設支持
され、アノード電極、グリッド電極、フィラメント状カ
ソードにリードピン6を介して外部から電気信号が与え
られる。
【0003】 フィラメント状カソード5は、直径5〜
41μmと極めて細いタングステン、レニウムタングス
テン等の金属芯線51の表面に、バリウム(Ba)、ス
トロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)等の、アル
カリ土類金属の混合炭酸塩の粉末52を、数μの厚さに
被着させて蛍光表示管の容器内に配設した後、容器内を
真空に排気しながらフィラメントを通電加熱して酸化物
に変化させた電子放出源を形成する直熱型酸化物陰極で
ある。
【0004】 この様な、蛍光表示管1において、フィ
ラメント状カソード5から放出された電子は、グリッド
電極4で加速されアノード電極24上に形成された蛍光
体層25に射突する、このとき加速電子が蛍光体を励起
し、蛍光体が発光することになる。
【0005】 蛍光体を効率よく発光させるために、フ
ィラメント状カソード5には、エミッション能力の向
上、および消費電力の低減などが要求される。
【0006】 ここで、一般に酸化物陰極を加熱した場
合、単位時間に酸化物陰極表面から放出される熱電子流
(飽和電流)は、以下に示すリチャードソン・ダッシュ
マンの式で表される。
【0007】
【化1】 ここで、Is:飽和電流(その物体からその温度で取り
出すことの出来る最大電流(A)S:陰極の熱電子放出
面積(cm) A:熱電子の放出定数(A/cm) T:陰極の温度(K) e:電子の電荷 φ:仕事関数(eV) k:ボルツマン定数
【0008】 この式から明らかなように、飽和電流密
度Isを大きくするためには、陰極温度が高いこと、
熱電子放出面積が大きいこと、仕事関数が小さいこ
と、の3条件が必要である。
【0009】 ここで、仕事関数φは電子放出物質の材
料及び製造方法により決定される固有の値で、(Ba,
Sr,Ca)Oの三元酸化物の場合凡そ0.9eVで各
蛍光表示管について一定と仮定した場合、三元酸化物を
用いる酸化物陰極の場合、陰極の熱電子放出面積Sを増
加させ、また陰極の温度Tを上げることにより、エミッ
ション能力を向上できることがわかる。一方、熱電子
放出面積Sは、酸化物の被着量すなわち被着厚みを厚く
することにより増加させることが出来るが、酸化物の
被覆量を増大させることにより同時に酸化物陰極表面か
らの輻射熱が増大するため、上記したエミション能力に
影響を与える温度が低下する虞がある。
【0010】 以上のことを考慮して、電子放出面積は
三元酸化物が被着されたフィラメント状カソードの三元
酸化物表面の面積であるものとして、バリウム、ストロ
ンチウム、カルシウムからなる三元酸化物の厚みを6.
5〜7.5μmの範囲が一定の消費電力でエミッション
能力に優れたバランスの良い状態になることが開示され
ている。(例えば、特開平9―148066号)
【0011】 一方、バリウム(Ba)、ストロンチウ
ム(Sr)、カルシウム(Ca)等の、アルカリ土類金
属の硝酸塩の水溶液に、炭酸アンモニウム水溶液を高速
回転で攪拌反応させつつアルカリ土類金属の炭酸塩の微
粒子を作る工程と、前記アルカリ金属の炭酸塩と結合剤
と有機溶剤とを混合分散させて電着液を形成し、この電
着液を使用して、前記炭酸塩を表面に電着したタングス
テン(W)芯線からなるフィラメント状カソードを容器
内に配設して容器内を真空排気しながらアルカリ土類金
属からなる三元炭酸塩を加熱分解させることにより粒子
径を小さくした純粋でエミッション特性のよい酸化物陰
極の製造方法が開示されている。(例えば、特開昭60
−63484号)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本願発明の課題は、近
年の省エネルギーに対する要望から、蛍光表示管に対す
る低消費電力化の要望に対応するために、蛍光表示管の
消費電力の50〜70%を占めるフィラメント状カソー
ドの消費電力を低減すること。及び、該フィラメント状
カソードを使用した蛍光表示管の消費電力を低減するこ
とにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで、本願発明者ら
は、蛍光表示管の低消費電力化の対策を鋭意検討した結
果、微細な三元炭酸塩粒子を金属芯線表面に均一に付着
させることにより得られるフィラメント状カソードが消
費電力を低減させることが出来ることを見出した。更
に、蛍光表示管の消費電力の50〜70%を占めるフィ
ラメントカソードの消費電力を低減するために、本願発
明のフィラメント状カソードを使用することにより、蛍
光表示管の消費電力を低減させることが出来ることを見
出した。請求項1の発明は、金属芯線の表面に電子放出
物質層の層みの平均が0.5μm〜4.0μm被着され
た直熱型酸化物陰極であることを特徴とする。
【0014】請求項2の発明は、金属芯線の表面に平均
粒径0.1μm〜2.0μmの粒子からなる電子放出物
質の固溶体が被着された直熱型酸化物陰極から構成され
ることを特徴とする。
【0015】請求項3の発明は、金属芯線の表面に電子
放出物質が被着された直熱型酸化物陰極において、前記
電子放出物質が少なくとも平均粒径0.1μm〜2.0
μmの粒子からなる固溶体から構成され、前記電子放出
物質層の厚みの平均が0.5〜4.0μmであることを
特徴とする。
【0016】請求項4の発明は、金属芯線の表面に電子
放出物質が被着された直熱型酸化物陰極において、平均
粒径が0.1μm〜2.0μmである炭酸塩粒子使用し
て、前記電子放出物質である酸化物結晶粒子が形成され
たことを特徴とする。
【0017】請求項5の発明は前記金属芯線が、タング
ステン芯線またはレニウムタングステン芯線であること
を特徴とする。
【0018】請求項6の発明は、電子放出物質が少なく
とも、バリウム、ストロンチウム及びカルシウムからな
る三元酸化物であることを特徴とする。
【0019】請求項7の発明は前記電子放出物質が少な
くとも、バリウム、ストロンチウム及びカルシウムの重
量比が、Ca:Sr:Ba=(5〜25):(26〜6
0):(30〜60)からなる三元酸化物であることを
特徴とする
【0020】請求項8の発明は、本願発明の直熱型酸化
物陰極を熱電子源として用いる蛍光表示管であることを
特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】フィラメントは、直径5〜41μ
mのタングステン芯線上に、アルカリ土類金属の炭酸塩
(Ba,Sr,Ca)COを、アクリル系有機バイン
ダーとともに電着塗布する。該炭酸塩(Ba,Sr,C
a)COは、よく精製されたBa(NO,Sr
(NOおよびCa(NO,の混合溶液にN
COあるいは(NHCOの溶液を加える
と、例えば、
【化2】 の反応により、(Ba,Sr,Ca)COの白色沈殿
を生じる。この沈殿を温湯で十分洗浄して炭酸塩を得
る。該炭酸塩は、蛍光表示管実装の際の排気工程終了段
階で真空中約1000℃に通電加熱することで、有機バ
インダーの分解気化とともに、
【化3】 の反応により、酸化物に熱分解される。この際、一部の
BaOは基体の金属であるタングステン芯線により還元
されて、
【化4】 の反応が生じて遊離Baが生成され、これが電子放出源
となる。
【0022】 金属芯線とBaOの界面で上記(化4)
の反応が起こることによりBaOが還元されて遊離Ba
が生成される。本願発明者等は、該Baが電子放出源に
なることから、三元炭酸塩を、タングステン細線の表面
に緻密に被着にすることで、電子放出能力は被覆量が少
なく場合でも、十分な電子放出が得られ、さらに、三元
炭酸塩の厚さにより生ずるフィラメント状カソードの無
効な消費電力を低減することが出来るものと推慮した。
【0023】 そこで、本願発明者等は、三元炭酸塩を
金属芯線に緻密に付着させることにより、三元炭酸塩コ
ート量を少なくしても、上述した十分なエミション能力
が得られ、且つ、酸化物の被覆量の増大による酸化物陰
極表面からの輻射熱を減少させることで消費電力を低減
できるフィラメント状カソードを作成できるものと推慮
して以下に示す確認を行った。
【0024】 本願発明者等は、前記フィラメント状カ
ソードに使用する三元炭酸塩として、3.0μm粒子
(D90=8.22、D50=3.00、D10=1.
15)、2.0μm粒子(D90=5.62、D50=
2.00、D10=0.20)、0.5μm粒子(D9
0=2.32、D50=0.50、D10=0.04)
の(Ba,Sr,Ca)と、アクリル系樹脂の結合剤
と、ケトン系及びアルコール系溶剤を混合し電着液を作
成する。ここで、3.0μm粒子(D90=8.22、
D50=3.00、D10=1.15)は、粒子径1.
15μm迄の粒子数が全体の10%、粒子径3.00μ
m迄の粒子数が全体の50%数粒子径8.22μm迄の
粒子数が全体の90%、平均粒径3.00μmを示し、
(3.0μm粒子の粒度分布を図3に示す。) 2.0μm粒子(D90=5.62、D50=2.0
0、D10=0.20)は、粒子径0.2μm迄の粒子
数が全体の10%、粒子径2.0μm迄の粒子数が全体
の50%、粒子径5.62μm迄の粒子数が全体の90
%、平均粒径2.0μmを示し、(2.0μm粒子の粒
度分布を図4に示す。) 0.5μm粒子(D90=2.32、D50=0.5
0、D10=0.04)は粒子径0.04μm迄の粒子
数が全体の10%、粒子径0.50μm迄の粒子数が全
体の50%、粒子径2.32μm迄の粒子数が全体の9
0%、平均粒径0.5μmを示す(0.5μm粒子の粒
度分布を図5に示す。)。前記3.0μm粒子、2.0
μm粒子、0.5μm粒子を使用した電解液を用いて直
径24.5μmのタングステン芯線に電気泳導法によ
り、三元炭酸塩を1、2、3、4、5、6、7、8μm
の厚さに被覆したフィラメント状カソードを作成した。
該フィラメント状カソードを蛍光表示管内に配設して、
真空排気しながら約1000℃に通電加熱して炭酸塩を
分解し直熱型酸化物陰極を装着した蛍光表示管を作成し
た。
【0025】次に本発明の実施例を挙げさらに具体的に
説明する。 (炭酸塩の製造工程)炭酸塩の製造工程は、原料のCa
(NO・4HOとSr(NOとBa(N
をCaCO、SrCO、BaCOに変化
させたときに、重量比で、CaCO:SrCO:B
aCO=(5〜25):(25〜60):(30〜6
0)の割合になるように秤量する。その硝酸塩を水に攪
拌溶解させた後、濾過して固形物を取り除き水溶液だけ
にする。またもう一方の原料の(NH)2CO・H
Oも水に攪拌溶解させた後、濾過して水溶液にする。
アルカリ土類金属の硝酸水溶液と炭酸アンモニウム水溶
液を毎分1000回以上の高速回転で攪拌混合させなが
ら反応させてアルカリ土類金属の炭酸塩(三元炭酸塩)
が形成される。このような高速回転で反応させること
で、結晶の成長が阻害されて結晶の小さいものが出来
る。この三元炭酸塩を洗浄、脱水、乾燥することにより
純度の高い三元炭酸塩の微粒子が形成される。
【0026】(結合剤製造工程)結合剤は三元炭酸塩の
電着後の三元炭酸塩の付着強度を高める作用をするので
ある。この結合剤は、アクリル樹脂やセルロースエステ
ルが用いられている。この実施例では、アクリル樹脂を
用い、その例としてアクリペットVH(三菱レーヨン
製)とアクリペットVHK(三菱レーヨン製)を混合乾
燥した後アセトンに溶解して結合剤とした。
【0027】(電着液の製造工程)前記炭酸塩と結合剤
とアセトンとイソプロピルアルコールを混合して濃縮液
を作り保存する。使用するときはこの濃縮液に結合剤と
アセトンとメチルイソプロピルケトンとイソプロピルア
ルコール等の溶剤を加えて混合して電着液を作成する。
このようにして作った電着液の比重を0.8〜0.9に
なるように各電着液成分を混合する。
【0028】(電着工程)前記電着液71を第2図に示
す電着槽70にいれて、この電着液71に直流電圧の
(+)を印加し、さらにタングステン細線51に(−)
を印加して、連続的に電着液71を通過させて電気泳動
法の原理により、タングステン芯線51の表面に三元炭
酸塩粒子52と結合剤を電着させることができるのであ
る。8はヒーターであり、9はスプールである。また電
着槽70中の電着液71は、電着液をポンプで循環させ
ることにより分散させタングステン芯線51に均一に電
着される。
【0029】(実装工程)三元炭酸塩52と結合剤を電
着させたタングステン芯線51は、陰極として蛍光表示
管のフィラメントアンカーとフィラメントサポートに固
着することにより張架・配設される。その後容器内を真
空に排気する。この排気工程の最終段階で排気しながら
前記陰極に陰極電圧を印加してタングステン細線を加熱
する。その結果、タングステン芯線の表面に被着された
三元炭酸塩が加熱分解し、(化3)で示す反応により酸
化物と炭酸ガスが生成され炭酸ガスは排気され、Ba,
Sr,Caの酸化物がタングステン細線の表面に被着さ
せるのである。また結合剤は熱分解によりCOとなり
排気されてしまう。
【0030】(評価)前記3.0μm粒子、2.0μm
粒子、0.5μm粒子、各々についての三元炭酸塩を使
用した前記電着液を用いてのタングステン芯線に電気泳
動法により、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8
μmの厚さに被着したフィラメント状カソードを作成し
た。尚、該3.0μm粒子中には、1.15μm迄の粒
子が全体の10パーセントを占めていることから電子放
出物質層の厚みは1.15μm迄可能であり、該2.0
μm粒子中には、0.2μm迄の粒子が全体の10パー
セントを占めていることから電子放出物質層の厚みは
0.2μm迄可能であり、該0.5μm粒子中には、
0.04μm迄の粒子が全体の10パーセントを占めて
いることから電子放出物質層の厚みは0.04μm迄可
能であった。該フィラメント状カソードを配設した蛍光
表示管を製造して、以下の評価を行った。フィラメント
状カソード以外は全て同一条件である。蛍光体層に使用
する蛍光体は低速電子線用蛍光体ZnO:Znであり、
パターンは直径4.0mmの丸型パターンを複数個配設
したものを用いた。
【0031】(フィラメントカソードの消費電力の測
定)平均粒径が0.5μm粒子の炭酸塩微粒子からなる
フィラメント状カソードの表面温度を645℃で一定に
なるようにフィラメントの両端に電圧を印加したとき
に、フィラメントに流れる電流値を測定して、フィラメ
ント消費電力と炭酸塩膜厚の関係を求めた結果を図6に
示す。図6から、タングステン細線に被覆される三元炭
酸塩の膜厚に略比例して消費電力も大きくなる。従っ
て、炭酸塩の被着膜厚は薄いほど消費電力を低減できる
ことが確認できた。前記3.0μm粒子の三元炭酸塩を
使用した前記電着液を用いてのタングステン芯線に電気
泳動法により、0.5、1、2、3、4、5、6、7、
8μmの厚さに被着したフィラメント状カソードを作成
したが、1.15μm迄は被着出来たが、3μm以下に
なると均一に被着出来なかった。フィラメント状カソー
ドの表面温度を645℃で一定になるようにフィラメン
トの両端に電圧を印加したときに、フィラメントに流れ
る電流値を測定して、フィラメント消費電力を求めた結
果は、3μm迄は前記0.5μm粒子のフィラメント状
カソードを使用した蛍光表示管のフィラメント消費電力
を示すグラフである図6と同様であった。前記2.0μ
m粒子の三元炭酸塩を使用した前記電着液を用いてのタ
ングステン芯線に電気泳動法により、0.5、1、2、
3、4、5、6、7、8μmの厚さに被着したフィラメ
ント状カソードを作成したが、2μm以下になると均一
に被着で着なかった。フィラメント状カソードの表面温
度を645℃で一定になるようにフィラメントの両端に
電圧を印加したときに、フィラメントに流れる電流値を
測定して、フィラメント消費電力を求めた結果は、2μ
m迄は前記0.5μm粒子のフィラメント状カソードを
使用した蛍光表示管のフィラメント消費電力を示すグラ
フである図6と同様であった。
【0032】(フィラメント飽和電流の測定)次に、同
じサンプルについて、フィラメント状カソードの表面温
度を377℃一定になるようにして、フィラメント電流
を一定に保ってグリッド及びアノード電圧をDC100
V、パルス幅100μS、Du=1/300としたとき
のフィラメント飽和電流を測定した結果を図7に示す。
図7から三元酸化物粒子が3.0μm粒子(A)のとき
のフィラメント飽和電流は、三元酸化物膜厚が4μmで
膜厚6.5〜7.5μmのフィラメント飽和電流に対して
約85%以下になり、膜厚が3μmで77%以下にな
り、膜厚が2μmで50%以下になってしまうことから
膜厚が4.0μm以下では実用化できないこととなる。
一方、炭酸塩微粒子が2.0μm粒子(B)のときのフ
ィラメント飽和電流は、三元酸化物膜厚層が層厚の平均
で3μmの場合で層厚の平均が6.5〜7.5μmのフィ
ラメント飽和電流に対して約100%あり、膜厚が2μ
mで77%以下となってしまうことから、層厚の平均が
2μm以下では実用化は難しいが、層厚の平均が3μm
以上では実用化できることとなる。炭酸塩微粒子が0.
5μm粒子(C)のときのフィラメント飽和電流は、三
元酸化物膜厚が4μmで膜厚6.5〜7.5μmのフィラ
メント飽和電流に対して約100%あり、膜厚が2μm
で100%であり、膜厚が1μmで92%であるが、飽
和電流残存率特性を示す図9から膜厚が1.0μm迄従
来の蛍光表示管以上のフィラメント飽和電流残存率特性
が期待できる。以上から、炭酸塩微粒子が小さいほど緻
密にタングステン芯線に炭酸塩微粒子を付着できフィラ
メント飽和電流も十分確保できる。したがって、三元酸
化物の塗布厚を薄くできることが確認できる。
【0033】平均粒径0.5μm、平均粒径2.0μ
m、平均粒径3.0μm、炭酸塩をそれぞれ、炭酸塩層
の厚みを0.5μm、1.0μm、2.0μm、3.0
μm、4.0μmに被着したフィラメント状カソードを
実装した蛍光表示管について、フィラメント状カソード
の表面温度を377℃一定になるようにして、フィラメ
ント電流を一定に保ってグリッド及びアノード電圧をD
C100V、パルス幅100μS、Du=1/300と
したときのフィラメント飽和電流を測定し、炭酸塩層の
厚みを8.0μmに被着したフィラメント状カソードを
実装した蛍光表示管と比較したグラフを図8に示す。以
上から、炭酸塩微粒子の平均粒刑が小さいほど緻密にタ
ングステン芯線に炭酸塩微粒子を付着でき、フィラメン
ト飽和電流も十分確保でき、蛍光表示管の寿命は初期輝
度に対する輝度の残存率により決まるが、前記蛍光表示
管のフィラメント状カソードの飽和電流残存率に大きく
依存していることから、従来以上の寿命が期待できる従
って、三元酸化物の塗布厚を薄くでき、平均粒径3.0
μmを超えると炭酸塩層は薄く出来ないことが確認でき
る。
【0034】 (飽和電流残存率の測定)更に、同じサ
ンプルについて、フィラメント状カソードの表面温度を
645℃で一定になるようにフィラメントの両端に電圧
を印加して、蛍光体層に使用する蛍光体は低速電子専用
蛍光体ZnO:Znであり、パターンは直径4.0mm
の丸型パターンを1000(cd/m)で発光させる
条件で1000時間点燈し続けたときの飽和電流残存率
の変化を図9に示す。従来のフィラメント状カソード
(使用粒子3.0μm粒子を8μm被着)を使用した蛍
光表示管を1000時間点燈し続けた場合の初期飽和電
流に対する時間毎の飽和電流の比率を示したグラフ
(A)、本願発明のフィラメント状カソード(使用粒子
2.0μm粒子を3μm被着)を使用した蛍光表示管を
1000時間点燈し続けた場合の初期飽和電流に対する
時間毎の飽和電流の比率を示したグラフ(B)、本願発
明のフィラメント状カソード(使用粒子0.5μm粒子
を1μm被着)を使用した蛍光表示管を1000時間点
燈し続けた場合の初期飽和電流に対する時間毎の飽和電
流の比率を示したグラフ(C)、これらのグラフから、
フィラメント状カソードの被着する電子放出物質は、本
願発明のように緻密に被着さえしていれば層厚は薄い程
飽和電流残存率は良いことを示している。蛍光表示管の
寿命は初期輝度に対する輝度の残存率により決まり、前
記蛍光表示管のフィラメント状カソードの飽和電流残存
率も一員である。従って、従来以上の寿命が期待でき
る。
【0035】 (電子顕微鏡写真:0.5μm粒子)本
願発明のフィラメント状カソードにおける、三元炭酸塩
のタングステン芯線表面の被着状態を電子顕微鏡により
観察した。0.5μm粒子の電子放出物質層を24.5
μmのタングステン芯線に平均層厚2.5μm被着した
1000倍の電子顕微鏡写真であるSEM像の図面代用
写真を図10に示し、0.5μm粒子の電子放出物質層
を24.5μmのタングステン芯線に平均層厚2.5μ
m被着した3000倍の電子顕微鏡写真であるSEM像
の図面代用写真を図12に示す。これから電子放出物質
が均一に被着されていることがわかる。前記の状態の概
念図を図18に示す。微細な三元炭酸塩をタングステン
芯線に被着することにより接触面積が大きくなり効率的
に電子が放出されることが推慮出来る。図18は単層状
態を示しているが、三元炭酸塩が積層されることにより
更に効率的に電子が放出されることが推慮出来る。
【0036】 (電子顕微鏡写真:0.5μm粒子)
0.5μm粒子の電子放出物質層を24.5μmのタン
グステン芯線に平均層厚4.0μm被着した1000倍
の電子顕微鏡写真であるSEM像の図面代用写真を図1
2に、0.5μm粒子の電子放出物質層を24.5μm
のタングステン細線に平均層厚4.0μm被着した30
00倍の電子顕微鏡写真であるSEM像の図面代用写真
を図13示す。これから電子放出物質が均一に被着され
ていることがわかる。前記の状態の概念図は記載してい
ないが、図18に示す微細な三元炭酸塩をタングステン
芯線に被着することにより接触面積が大きくなり効率的
に電子が放出されることがすい慮出来る。
【0037】 (電子顕微鏡写真:2.0μm粒子)
2.0μm粒子の電子放出物質層を24.5μmのタン
グステン芯線に平均層厚4μm被着した1000倍の電
子顕微鏡写真であるSEM像の図面代用写真を図14
に、2.0μm粒子の電子放出物質層を24.5μmの
タングステン芯線に平均層厚4μm被着した3000倍
の電子顕微鏡写真であるSEM像の図面代用写真を図1
5に示す。1000倍の電子顕微鏡写真であるSEM像
の図面代用写真では、電子放出物質の被着状態は凹凸が
目立つが、3000倍の電子顕微鏡写真であるSEM像
の図面代用写真から凸部は大きい粒子であり、凹部にも
微細な電子放出物質が被着していることがわかる。前記
の状態の概念図を図19に示す。0.5μm粒子を示す
図18に比べて、三元炭酸塩は粗くなるが、タングステ
ン芯線に被着することにより接触面積が大きくなり効率
的に電子が放出されることが推慮出来る。
【0038】 (電子顕微鏡写真:3.0μm粒子)従
来の3.0μm粒子の電子放出物質層を24.5μmの
タングステン芯線に平均層厚8μm被着した1000倍
の電子顕微鏡写真であるSEM像の図面代用写真を図1
6に、3.0μm粒子の電子放出物質層を24.5μm
のタングステン芯線に平均層厚8μm被着した3000
倍の電子顕微鏡写真であるSEM像の図面代用写真を図
17に示す。概念図20に示すように3.0μm粒子を
単層に被着したときは三元炭酸塩とタングステン芯線の
接触面積が小さくなるが、概念図21に示すよう3.0
μm三元炭酸塩であっても複数層積層することによっ
て、均一に被着されていることがわかる。
【0039】以上から、三元炭酸塩の平均粒径が小さい
ほど均一にタングステン芯線に被着でき消費電力の少な
いフィラメント状カソードが得られる。更に、当該フィ
ラメント状カソードを使用した蛍光表示管の消費電力も
低減できることがわかる。
【0040】
【発明の効果】従来の炭酸塩コート径6.5〜7.5μm
と比較した場合、電子放出物質層の層厚が3μmで従来
比70%、2μmで従来比60%、1μmで従来比50
%のとなるようにカソード消費電力を低減することが出
来る。上記の様に、当該フィラメント状カソードを使用
した蛍光表示管の消費電力を低減できたことは、最近の
省エネルギー化の動向に沿った効果は大きなものがあ
る。
【0041】更に、炭酸塩コート径を小さくすることに
よる副次的効果として炭酸塩分解時の発生ガス(CO2
等)を少なく出来るために、蛍光表示管内の真空度を高
く出来信頼性の向上にも大いに貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィラメント状カソードを実装した蛍
光表示管の拡大側断面図。
【図2】本発明のフィラメント状カソードを製造するた
めの電着装置略図。
【図3】従来の3.0μm粒子炭酸塩の粒度分布を示す
グラフ。
【図4】本発明に使用した2.0μm粒子炭酸塩の粒度
分布を示すグラフ。
【図5】本発明に使用した0.5μm粒子炭酸塩の粒度
分布を示すグラフ。
【図6】本発明のフィラメント状カソードを使用した蛍
光表示管のフィラメント消費電力を示すグラフ。
【図7】本発明のフィラメント状カソードを使用した蛍
光表示管のフィラメント飽和電流を示すグラフ。
【図8】本発明のフィラメント状カソードを使用した蛍
光表示管の飽和電流残存率を示すグラフ。
【図9】本発明のフィラメント状カソードを使用した蛍
光表示管の飽和電流残存率を示すグラフ。
【図10】本発明の0.5μm粒子を2.5μm塗布し
たフィラメント状カソードの1000倍拡大図面代用写
真。
【図11】本発明の0.5μm粒子を2.5μm塗布し
たフィラメント状カソードの3000倍拡大図面代用写
真。
【図12】本発明の2.0μm粒子を4μm塗布したフ
ィラメント状カソードの1000倍拡大図面代用写真。
【図13】本発明の2.0μm粒子を4μm塗布したフ
ィラメント状カソードの3000倍拡大図面代用写真。
【図14】3.0μm粒子を4μm塗布したフィラメン
ト状カソードの1000倍拡大図面代用写真。
【図15】3.0μm粒子を6.5μm塗布したフィラ
メント状カソードの3000倍拡大図面代用写真。
【図16】3.0μm粒子を6.5μm塗布したフィラ
メント状カソードの1000倍拡大図面代用写真。
【図17】3.0μm粒子を6.5μm塗布したフィラ
メント状カソードの3000倍拡大図面代用写真。
【図18】本発明の0.5μm炭酸塩を金属芯線表面に
単層に塗布した断面略図。
【図19】本発明の2.0μm炭酸塩を金属芯線表面に
複数層に塗布した断面略図。
【図20】3.0μm炭酸塩を金属芯線表面に単層に塗
布した断面略図。
【図21】3.0μm炭酸塩を金属芯線表面に複数層に
塗布した断面略図。
【図22】従来のフィラメント状カソードを実装した蛍
光表示管の側断面図。
【図23】従来のフィラメント状カソードを実装した蛍
光表示管の拡大側断面図。
【符号の説明】
1、……蛍光表示管 2、……絶縁性基板 20、………配線層 21………絶縁層 22、…
…スルホール 23、…スルホール中の導電材 24、…アノード電
極 25、…蛍光体層 30、……フロントガラス 31、……枠状のスペー
サガラス 4、 ……グリッド電極 5、…フィラメント状カソー
ド 6、…リードピン 51、……金属芯線 52……三元炭酸塩 70、……電着装置の電着槽 71、……電着装置の
電着液 8、……電着装置のヒーター 9……電着装置のフィ
ラメント用スプール

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属芯線の表面に電子放出物質層が形成
    された直熱型酸化物陰極において、前記電子放出物質層
    の厚みが0.5μm〜4.0μmであることを特徴とす
    る直熱型酸化物陰極。
  2. 【請求項2】 金属芯線の表面に電子放出物質が被着さ
    れた直熱型酸化物陰極において、前記電子放出物質が少
    なくとも平均粒径0.1μm〜2.0μmの酸化物結晶
    粒子からなる固溶体から構成されることを特徴とする直
    熱型酸化物陰極。
  3. 【請求項3】 金属芯線の表面に電子放出物質が被着さ
    れた直熱型酸化物陰極において、前記電子放出物質が少
    なくとも平均粒径0.1μm〜2.0μmの酸化物結晶
    粒子からなる固溶体から構成され、前記電子放出物質層
    の厚みの平均が0.5〜4.0μmであることを特徴と
    する直熱型酸化物陰極。
  4. 【請求項4】 金属芯線の表面に電子放出物質が被着さ
    れた直熱型酸化物陰極において、平均粒径が0.1μm
    〜2.0μmである炭酸塩粒子使用して、前記電子放出
    物質である酸化物結晶粒子が形成されたことを特徴とす
    る直熱形酸化物陰極。
  5. 【請求項5】 前記金属芯線が、タングステン芯線また
    はレニウムタングステン芯線であることを特徴とする、
    請求項1〜4に記載の直熱型酸化物陰極。
  6. 【請求項6】 前記電子放出物質が少なくとも、バリウ
    ム、ストロンチウム及びカルシウムからなる三元酸化物
    であることを特徴とする、請求項1〜5に記載の直熱型
    酸化物陰極。
  7. 【請求項7】 前記電子放出物質が少なくとも、バリウ
    ム(Ba)、ストロンチウム(Sr)及びカルシウム
    (Ca)の重量比が、Ca:Sr:Ba=(5〜2
    5):(25〜60):(30〜60)からなる三元酸
    化物であることを特徴とする、請求項1〜6に記載の直
    熱型酸化物陰極。
  8. 【請求項8】 前記請求項1〜7に記載の直熱型酸化物
    陰極を熱電子源として用いることを特徴とする蛍光表示
    管。
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