JP2003136256A - 摩擦攪拌用回転工具及びそれを用いた処理方法 - Google Patents
摩擦攪拌用回転工具及びそれを用いた処理方法Info
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- JP2003136256A JP2003136256A JP2001334752A JP2001334752A JP2003136256A JP 2003136256 A JP2003136256 A JP 2003136256A JP 2001334752 A JP2001334752 A JP 2001334752A JP 2001334752 A JP2001334752 A JP 2001334752A JP 2003136256 A JP2003136256 A JP 2003136256A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 所要の処理深さを確保した上で、比較的狭い
範囲を摩擦攪拌することができる摩擦攪拌用回転工具を
提供し、また、かかる回転工具を用いた摩擦攪拌処理法
を提供する。 【解決手段】 略柱状の工具本体部21と、該工具本体
部の先端側に同軸に設けられ先細り状の円錐テーパ部2
4を有する工具先端部22と、該工具先端部の円錐テー
パ部表面に螺旋状に設けられ工具本体部の軸線Lbを含
む縦断面における周縁形状が略V字状に設定された溝部
25とを備え、該溝部は反挿入側斜面の面積が挿入側斜
面の面積以上となるように設定されており、工具先端部
を螺旋状に設けられた上記略V字状溝部のねじ込み方向
と逆方向に回転させて使用されることを特徴とする。
範囲を摩擦攪拌することができる摩擦攪拌用回転工具を
提供し、また、かかる回転工具を用いた摩擦攪拌処理法
を提供する。 【解決手段】 略柱状の工具本体部21と、該工具本体
部の先端側に同軸に設けられ先細り状の円錐テーパ部2
4を有する工具先端部22と、該工具先端部の円錐テー
パ部表面に螺旋状に設けられ工具本体部の軸線Lbを含
む縦断面における周縁形状が略V字状に設定された溝部
25とを備え、該溝部は反挿入側斜面の面積が挿入側斜
面の面積以上となるように設定されており、工具先端部
を螺旋状に設けられた上記略V字状溝部のねじ込み方向
と逆方向に回転させて使用されることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、所謂、摩擦攪拌
処理に用いられる摩擦攪拌用回転工具、並びに、かかる
工具を用いて例えばアルミニウム合金等の軽金属製の部
材に摩擦攪拌処理を施す処理方法に関する。
処理に用いられる摩擦攪拌用回転工具、並びに、かかる
工具を用いて例えばアルミニウム合金等の軽金属製の部
材に摩擦攪拌処理を施す処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、例えば自動車用等の車両
用のエンジンのシリンダヘッドは、例えばアルミニウム
(Al)若しくはその合金等の軽合金材料を用いた鋳造
品を素材とするものが一般的で、かかるシリンダヘッド
をシリンダブロックに組み付けて使用される。
用のエンジンのシリンダヘッドは、例えばアルミニウム
(Al)若しくはその合金等の軽合金材料を用いた鋳造
品を素材とするものが一般的で、かかるシリンダヘッド
をシリンダブロックに組み付けて使用される。
【0003】このようなシリンダヘッドでは、所謂、
「バルブブリッジ部」或いは「弁間部」と称せられる、
吸排気ポートのポート穴間の領域は、エンジン駆動時の
気筒での燃焼による体積膨張と停止時の冷却による体積
収縮とを繰り返すことから、一般に、熱疲労によるクラ
ックが発生し易い。この問題に対して、従来では、弁間
部に所謂リメルト処理を施して熱疲労強度の向上を図る
ことが、一般的な方法として知られている。
「バルブブリッジ部」或いは「弁間部」と称せられる、
吸排気ポートのポート穴間の領域は、エンジン駆動時の
気筒での燃焼による体積膨張と停止時の冷却による体積
収縮とを繰り返すことから、一般に、熱疲労によるクラ
ックが発生し易い。この問題に対して、従来では、弁間
部に所謂リメルト処理を施して熱疲労強度の向上を図る
ことが、一般的な方法として知られている。
【0004】しかしながら、このリメルト処理は、あく
までも処理対象部として限られた領域の母材を溶融(再
溶融)し凝固させるものであり、所要の処理深さや金属
組織の微細化効果を安定して得ることが実際には難し
く、また、リメルト処理に伴う高温酸化の問題が避け難
く、更には、ピンホール等の未充填欠陥やクラック等の
欠陥が発生し易いという問題もあり、これらを回避する
ためには、シールドガスの適用や予熱及び/又は後熱処
理等を要しコスト高になるなど、実際には品質及び生産
性確保の面で種々の問題を内包している。
までも処理対象部として限られた領域の母材を溶融(再
溶融)し凝固させるものであり、所要の処理深さや金属
組織の微細化効果を安定して得ることが実際には難し
く、また、リメルト処理に伴う高温酸化の問題が避け難
く、更には、ピンホール等の未充填欠陥やクラック等の
欠陥が発生し易いという問題もあり、これらを回避する
ためには、シールドガスの適用や予熱及び/又は後熱処
理等を要しコスト高になるなど、実際には品質及び生産
性確保の面で種々の問題を内包している。
【0005】そこで、近年では、アルミニウム(Al)
やマグネシウム(Mg)或いはそれらの合金等の軽金属
製部材の表面改質処理に、所謂、摩擦攪拌処理を適用す
ることが考えられている。例えば、本願出願人は、特願
2000−393328号において、かかる摩擦撹拌処
理法を4気筒ディーゼルエンジンのAl合金製シリンダ
ヘッドの弁間部の表面改質処理に適用することを提案し
た。また、弁間部の表面改質を行うものではないが、例
えば、特開2000−15426号公報には、エンジン
のAl合金製シリンダヘッドのシリンダブロックに対す
るシール面(合わせ面)の表面処理に、かかる摩擦撹拌
処理法を適用することが開示されている。
やマグネシウム(Mg)或いはそれらの合金等の軽金属
製部材の表面改質処理に、所謂、摩擦攪拌処理を適用す
ることが考えられている。例えば、本願出願人は、特願
2000−393328号において、かかる摩擦撹拌処
理法を4気筒ディーゼルエンジンのAl合金製シリンダ
ヘッドの弁間部の表面改質処理に適用することを提案し
た。また、弁間部の表面改質を行うものではないが、例
えば、特開2000−15426号公報には、エンジン
のAl合金製シリンダヘッドのシリンダブロックに対す
るシール面(合わせ面)の表面処理に、かかる摩擦撹拌
処理法を適用することが開示されている。
【0006】この摩擦攪拌処理法では、高速で回転する
回転工具を部材表面に当接させ押圧することで、その際
に生じる摩擦熱と回転体の撹拌作用により、部材表面の
回転工具当接部分及びその近傍領域を軟化させて塑性流
動を生じせしめる。そして、この塑性状態の材料部分
(塑性流動層)が非溶融状態で撹拌され、その後に塑性
流動部分が凝固することにより、当該部材の表面及びそ
の近傍領域が改質される。
回転工具を部材表面に当接させ押圧することで、その際
に生じる摩擦熱と回転体の撹拌作用により、部材表面の
回転工具当接部分及びその近傍領域を軟化させて塑性流
動を生じせしめる。そして、この塑性状態の材料部分
(塑性流動層)が非溶融状態で撹拌され、その後に塑性
流動部分が凝固することにより、当該部材の表面及びそ
の近傍領域が改質される。
【0007】Al合金等の軽金属製鋳造部材の表面に、
この摩擦撹拌処理による表面改質処理を施すことによ
り、表面部分を溶融させて改質を図る所謂リメルト処理
等による場合に比べて、鋳造部材の表面部分の金属組織
をより緻密なものとし、また、鋳巣等による内部未充填
欠陥を大幅に低減することができ、伸び及び靱性等の機
械的特性並びに疲れ強さ(熱疲労強度)を向上させるこ
とができる。この場合において、リメルト処理等により
表面部分を溶融させて改質を図る場合のように、鋳造部
材内部のガス等によるブローホール或いはピンホールが
形成される惧れもない。
この摩擦撹拌処理による表面改質処理を施すことによ
り、表面部分を溶融させて改質を図る所謂リメルト処理
等による場合に比べて、鋳造部材の表面部分の金属組織
をより緻密なものとし、また、鋳巣等による内部未充填
欠陥を大幅に低減することができ、伸び及び靱性等の機
械的特性並びに疲れ強さ(熱疲労強度)を向上させるこ
とができる。この場合において、リメルト処理等により
表面部分を溶融させて改質を図る場合のように、鋳造部
材内部のガス等によるブローホール或いはピンホールが
形成される惧れもない。
【0008】尚、かかる摩擦攪拌法は、軽金属部材の表
面改質だけではなく、例えば比較的薄肉の軽金属製板材
どうしを衝合させてこの衝合部で両板材を接合する場合
(例えば、特許第2712838号公報参照)など、軽
金属部材どうしを接合する場合において、従来の溶接法
に代えて、接合部の母材を溶融させることなく軽金属部
材どうしを接合し得る接合法としても有用である。
面改質だけではなく、例えば比較的薄肉の軽金属製板材
どうしを衝合させてこの衝合部で両板材を接合する場合
(例えば、特許第2712838号公報参照)など、軽
金属部材どうしを接合する場合において、従来の溶接法
に代えて、接合部の母材を溶融させることなく軽金属部
材どうしを接合し得る接合法としても有用である。
【0009】ところで、上記摩擦撹拌法で用いられる回
転工具は、例えば図20及び図21に示すように、所定
直径の円柱体で成る工具本体部61と、その先端の中央
部に一体的に固着された所定長さで比較的(上記工具本
体部61よりも)小径の円柱体で成るプローブ部62と
で構成されたものが、従来、一般的である。
転工具は、例えば図20及び図21に示すように、所定
直径の円柱体で成る工具本体部61と、その先端の中央
部に一体的に固着された所定長さで比較的(上記工具本
体部61よりも)小径の円柱体で成るプローブ部62と
で構成されたものが、従来、一般的である。
【0010】この従来の回転工具60では、上記工具本
体部61の端面におけるプローブ部62を除く領域が、
所謂、ショルダ部63を構成しており、摩擦攪拌処理中
においては、このショルダ部63が処理対象部材51の
摩擦攪拌部分を表面側から押さえ込み、当該部分の塑性
流動層が表面側に盛り上がることを規制することによ
り、当該処理対象部材51の表面51f側に変形が生じ
ることが抑制されるようになっている。
体部61の端面におけるプローブ部62を除く領域が、
所謂、ショルダ部63を構成しており、摩擦攪拌処理中
においては、このショルダ部63が処理対象部材51の
摩擦攪拌部分を表面側から押さえ込み、当該部分の塑性
流動層が表面側に盛り上がることを規制することによ
り、当該処理対象部材51の表面51f側に変形が生じ
ることが抑制されるようになっている。
【0011】上記工具本体部61は、図示しないホルダ
によって軸線回りに回転自在に支持されており、このホ
ルダ(不図示)を工具駆動手段65によって回転駆動す
ることにより、当該回転工具60がその軸線回りに回転
させられる。上記工具駆動手段65は、具体的には図示
しなかったが、ホルダ(不図示)を介して回転工具60
を高速で回転させるための駆動モータを備えるととも
に、上記回転工具60を処理対象部材51の表面51f
と略直角方向に(つまり、図20及び図21における上
下方向に)駆動し、また、部材表面51fに略沿って移
動させるための、駆動機構を備えている。そして、該駆
動手段65を駆動することにより、高速回転状態にある
回転工具60のプローブ部62及びショルダ部63を処
理対象部材51に対し、その表面51fと略直角方向に
(つまり、部材51の深さ方向に)進入させ、また、部
材表面51fに略沿って移動させることができるように
なっている。
によって軸線回りに回転自在に支持されており、このホ
ルダ(不図示)を工具駆動手段65によって回転駆動す
ることにより、当該回転工具60がその軸線回りに回転
させられる。上記工具駆動手段65は、具体的には図示
しなかったが、ホルダ(不図示)を介して回転工具60
を高速で回転させるための駆動モータを備えるととも
に、上記回転工具60を処理対象部材51の表面51f
と略直角方向に(つまり、図20及び図21における上
下方向に)駆動し、また、部材表面51fに略沿って移
動させるための、駆動機構を備えている。そして、該駆
動手段65を駆動することにより、高速回転状態にある
回転工具60のプローブ部62及びショルダ部63を処
理対象部材51に対し、その表面51fと略直角方向に
(つまり、部材51の深さ方向に)進入させ、また、部
材表面51fに略沿って移動させることができるように
なっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
回転工具60では、プローブ部62の基端側がショルダ
部63を構成し、摩擦攪拌処理時には、プローブ部62
だけでなく上記ショルダ部63も、処理対象部材51の
表面部51fに対して当接し押圧させられた状態で回転
させられるので、このショルダ部63の摩擦攪拌作用に
より付随的な(つまり、不要な)塑性流動層53が生
じ、処理幅が必要以上に広くなるという問題があった。
回転工具60では、プローブ部62の基端側がショルダ
部63を構成し、摩擦攪拌処理時には、プローブ部62
だけでなく上記ショルダ部63も、処理対象部材51の
表面部51fに対して当接し押圧させられた状態で回転
させられるので、このショルダ部63の摩擦攪拌作用に
より付随的な(つまり、不要な)塑性流動層53が生
じ、処理幅が必要以上に広くなるという問題があった。
【0013】従って、例えば、前述のシリンダヘッド弁
間部のように(図21参照)、処理幅が限られた部分に
表面改質処理を施すような場合、従来の回転工具60を
用いたのでは、ショルダ部63の摩擦回転作用により付
随的な(不要な)塑性流動層53が生じることに起因し
て、処理部分に肩ダレが生じて変形したり、場合によっ
ては未充填欠陥を招来するなどの問題が生じる惧れがあ
る。
間部のように(図21参照)、処理幅が限られた部分に
表面改質処理を施すような場合、従来の回転工具60を
用いたのでは、ショルダ部63の摩擦回転作用により付
随的な(不要な)塑性流動層53が生じることに起因し
て、処理部分に肩ダレが生じて変形したり、場合によっ
ては未充填欠陥を招来するなどの問題が生じる惧れがあ
る。
【0014】また、処理幅が広くなり過ぎるため、表面
改質処理後に機械加工による仕上加工を行う場合にあっ
ては、この仕上加工での加工取代ΔMw(図21参照)
が大きくなり、生産効率が低下するという問題もあっ
た。尚、図21において、処理対象部材51の実線表示
は摩擦攪拌処理時の母材状態を示し、2点鎖線表示は、
処理後の機械加工による仕上状態を示している。更に、
かかる摩擦攪拌法で軽金属部材どうしの接合を行う場合
にあっても、従来の回転工具60では、接合幅が必要以
上に広くなるという難点があった。
改質処理後に機械加工による仕上加工を行う場合にあっ
ては、この仕上加工での加工取代ΔMw(図21参照)
が大きくなり、生産効率が低下するという問題もあっ
た。尚、図21において、処理対象部材51の実線表示
は摩擦攪拌処理時の母材状態を示し、2点鎖線表示は、
処理後の機械加工による仕上状態を示している。更に、
かかる摩擦攪拌法で軽金属部材どうしの接合を行う場合
にあっても、従来の回転工具60では、接合幅が必要以
上に広くなるという難点があった。
【0015】尚、特開平11−128083号公報に
は、摩擦攪拌効果の向上を図るべく、プローブ部の外周
面にネジを形成し、工具本体をネジの螺旋方向とは逆の
方向に回転駆動するようにしたタイプの摩擦攪拌用工具
が開示されているが、この場合でも、プローブ部の基端
側(工具本体部の先端側)には、図20及び図21に示
したものと同様のショルダ部が設けられ、このショルダ
部によって処理対象部材の摩擦攪拌部分を表面側から押
さえ込み、当該部分の塑性流動層が表面側に盛り上がる
ことを規制するようになっている。
は、摩擦攪拌効果の向上を図るべく、プローブ部の外周
面にネジを形成し、工具本体をネジの螺旋方向とは逆の
方向に回転駆動するようにしたタイプの摩擦攪拌用工具
が開示されているが、この場合でも、プローブ部の基端
側(工具本体部の先端側)には、図20及び図21に示
したものと同様のショルダ部が設けられ、このショルダ
部によって処理対象部材の摩擦攪拌部分を表面側から押
さえ込み、当該部分の塑性流動層が表面側に盛り上がる
ことを規制するようになっている。
【0016】この発明は、上記諸問題に鑑みてなされた
もので、所要の処理深さを確保した上で、比較的狭い範
囲を摩擦攪拌することができる摩擦攪拌用回転工具を提
供し、また、かかる回転工具を用いた摩擦攪拌処理法を
提供することを、基本的な目的とする。
もので、所要の処理深さを確保した上で、比較的狭い範
囲を摩擦攪拌することができる摩擦攪拌用回転工具を提
供し、また、かかる回転工具を用いた摩擦攪拌処理法を
提供することを、基本的な目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、上記目的
を達成するために種々研究開発を重ねる中で、プローブ
部の外周面にネジを形成して工具をネジの螺旋方向とは
逆の方向に回転駆動するようにしたタイプの摩擦攪拌用
工具において、ネジの断面形状を種々検討し、ネジの反
挿入側斜面の面積が挿入側斜面の面積以上となるよう
に、より好ましくは、反挿入側斜面の面積が挿入側斜面
の面積よりも大きくなるように設定した場合、工具を回
転させて摩擦攪拌を行う際に、処理対象部材の摩擦攪拌
部分をショルダ部で押さえ込まなくても、その塑性流動
層が表面側に盛り上がることが有効に抑制されることを
見出した。
を達成するために種々研究開発を重ねる中で、プローブ
部の外周面にネジを形成して工具をネジの螺旋方向とは
逆の方向に回転駆動するようにしたタイプの摩擦攪拌用
工具において、ネジの断面形状を種々検討し、ネジの反
挿入側斜面の面積が挿入側斜面の面積以上となるよう
に、より好ましくは、反挿入側斜面の面積が挿入側斜面
の面積よりも大きくなるように設定した場合、工具を回
転させて摩擦攪拌を行う際に、処理対象部材の摩擦攪拌
部分をショルダ部で押さえ込まなくても、その塑性流動
層が表面側に盛り上がることが有効に抑制されることを
見出した。
【0018】これは、摩擦攪拌によりネジ溝内及びその
近辺に生じた塑性流動層は、工具がネジの螺旋方向(つ
まり、ねじ込み方向)とは逆の方向に回転させられるこ
とにより、ネジ溝の反挿入側斜面によって工具の反挿入
側(つまり、処理対象部材の表面側)への流動が抑制さ
れることが考えられるが、このネジ溝の反挿入側斜面の
面積を少なくとも挿入側斜面の面積と等しく、より好ま
しくは、挿入側斜面の面積よりも大きく設定したことに
より、塑性流動層の反挿入側への流動抑制効果がより大
きくなるためであると考えられる。
近辺に生じた塑性流動層は、工具がネジの螺旋方向(つ
まり、ねじ込み方向)とは逆の方向に回転させられるこ
とにより、ネジ溝の反挿入側斜面によって工具の反挿入
側(つまり、処理対象部材の表面側)への流動が抑制さ
れることが考えられるが、このネジ溝の反挿入側斜面の
面積を少なくとも挿入側斜面の面積と等しく、より好ま
しくは、挿入側斜面の面積よりも大きく設定したことに
より、塑性流動層の反挿入側への流動抑制効果がより大
きくなるためであると考えられる。
【0019】特に、プローブ部に先細り状の円錐テーパ
部を設け、その外周面に上記のような形状のネジ(螺旋
状のV字溝)を設けることにより、処理幅をより狭く、
且つ、処理深さをより深くでき、しかも、塑性流動層の
表面側への盛り上がりをより有効に抑制できることを見
出した。
部を設け、その外周面に上記のような形状のネジ(螺旋
状のV字溝)を設けることにより、処理幅をより狭く、
且つ、処理深さをより深くでき、しかも、塑性流動層の
表面側への盛り上がりをより有効に抑制できることを見
出した。
【0020】そこで、本願請求項1の発明に係る摩擦攪
拌用回転工具は、略柱状の工具本体部と、該工具本体部
の先端側に同軸に設けられ先細り状の円錐テーパ部を有
する工具先端部と、該工具先端部の円錐テーパ部表面に
螺旋状に設けられ工具本体部の軸線を含む縦断面におけ
る周縁形状が略V字状に設定された溝部とを備え、該溝
部は反挿入側斜面の面積が挿入側斜面の面積以上となる
ように設定されており、上記工具先端部を上記螺旋状に
設けられた略V字状溝部のねじ込み方向と逆方向に回転
させて使用されることを特徴としたものである。尚、こ
の場合において、上記溝部は、反挿入側斜面の面積が挿
入側斜面の面積よりも大きくなるように設定されること
が、より好ましい。
拌用回転工具は、略柱状の工具本体部と、該工具本体部
の先端側に同軸に設けられ先細り状の円錐テーパ部を有
する工具先端部と、該工具先端部の円錐テーパ部表面に
螺旋状に設けられ工具本体部の軸線を含む縦断面におけ
る周縁形状が略V字状に設定された溝部とを備え、該溝
部は反挿入側斜面の面積が挿入側斜面の面積以上となる
ように設定されており、上記工具先端部を上記螺旋状に
設けられた略V字状溝部のねじ込み方向と逆方向に回転
させて使用されることを特徴としたものである。尚、こ
の場合において、上記溝部は、反挿入側斜面の面積が挿
入側斜面の面積よりも大きくなるように設定されること
が、より好ましい。
【0021】また、本願請求項2の発明は、略柱状の工
具本体部と、該工具本体部の先端側に同軸に設けられ先
細り状の円錐テーパ部を有する工具先端部と、該工具先
端部の円錐テーパ部表面に螺旋状に設けられ工具本体部
の軸線を含む縦断面における周縁形状が略V字状に設定
された溝部とを備え、上記縦断面内において、上記溝部
の底部を通る溝底部中心線と工具本体部軸線に直交する
軸直交線とのなす角度が上記円錐テーパ部の工具本体部
軸線に対する傾斜角度以下に設定されており、上記工具
先端部を上記螺旋状に設けられた略V字状溝部のねじ込
み方向と逆方向に回転させて使用されることを特徴とし
たものである。尚、この場合において、上記溝底部中心
線と上記軸直交線とのなす角度が上記円錐テーパ部の工
具本体部軸線に対する傾斜角度未満に設定されること
が、より好ましい。
具本体部と、該工具本体部の先端側に同軸に設けられ先
細り状の円錐テーパ部を有する工具先端部と、該工具先
端部の円錐テーパ部表面に螺旋状に設けられ工具本体部
の軸線を含む縦断面における周縁形状が略V字状に設定
された溝部とを備え、上記縦断面内において、上記溝部
の底部を通る溝底部中心線と工具本体部軸線に直交する
軸直交線とのなす角度が上記円錐テーパ部の工具本体部
軸線に対する傾斜角度以下に設定されており、上記工具
先端部を上記螺旋状に設けられた略V字状溝部のねじ込
み方向と逆方向に回転させて使用されることを特徴とし
たものである。尚、この場合において、上記溝底部中心
線と上記軸直交線とのなす角度が上記円錐テーパ部の工
具本体部軸線に対する傾斜角度未満に設定されること
が、より好ましい。
【0022】更に、本願請求項3の発明は、上記請求項
2の発明において、上記工具本体部の軸線を含む縦断面
内において、上記溝部の底部を通る溝底部中心線と工具
本体部軸線に直交する軸直交線とのなす角度が、実質的
に零度に設定されていることを特徴としたものである。
2の発明において、上記工具本体部の軸線を含む縦断面
内において、上記溝部の底部を通る溝底部中心線と工具
本体部軸線に直交する軸直交線とのなす角度が、実質的
に零度に設定されていることを特徴としたものである。
【0023】また更に、本願請求項4の発明は、軽金属
部材どうしを摩擦攪拌法にて接合するに際し、請求項1
〜3の何れか一に記載された回転工具を用いて上記軽金
属部材どうしの接合部を摩擦攪拌処理することを特徴と
したものである。
部材どうしを摩擦攪拌法にて接合するに際し、請求項1
〜3の何れか一に記載された回転工具を用いて上記軽金
属部材どうしの接合部を摩擦攪拌処理することを特徴と
したものである。
【0024】また更に、本願請求項5の発明は、軽金属
部材の所定の表面部に摩擦攪拌法にて表面改質処理を施
すに際し、請求項1〜3の何れか一に記載された回転工
具を用いて上記軽金属部材の所定の表面部を摩擦攪拌処
理することを特徴としたものである。
部材の所定の表面部に摩擦攪拌法にて表面改質処理を施
すに際し、請求項1〜3の何れか一に記載された回転工
具を用いて上記軽金属部材の所定の表面部を摩擦攪拌処
理することを特徴としたものである。
【0025】また更に、本願請求項6の発明は、上記請
求項5の発明において、上記軽金属部材がアルミニウム
合金鋳物製のエンジンシリンダヘッドであり、上記所定
の表面部が吸排気ポート間の表面部であることを特徴と
したものである。
求項5の発明において、上記軽金属部材がアルミニウム
合金鋳物製のエンジンシリンダヘッドであり、上記所定
の表面部が吸排気ポート間の表面部であることを特徴と
したものである。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1及び
図2は、本実施の形態に係る摩擦攪拌用回転工具の正面
図および底面図である。これらの図に示すように、上記
回転工具10は、同軸の多段円柱で構成され全体として
略円柱状の工具本体部11と、該本体部11の先端側に
設けられた工具先端部12とを備えており、該工具先端
部12の中心軸は上記工具本体部11の中心軸(軸線)
Lbと一致するように構成されている。
て、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1及び
図2は、本実施の形態に係る摩擦攪拌用回転工具の正面
図および底面図である。これらの図に示すように、上記
回転工具10は、同軸の多段円柱で構成され全体として
略円柱状の工具本体部11と、該本体部11の先端側に
設けられた工具先端部12とを備えており、該工具先端
部12の中心軸は上記工具本体部11の中心軸(軸線)
Lbと一致するように構成されている。
【0027】図3に詳しく示すように、上記工具先端部
12は、その最先端部分13が、所定曲率半径Rsの球
面の一部で構成され、底面視で直径Dsの円形を成す曲
面状に形成されている。また、工具先端部12の側面部
分は、先端に向かうに連れて小径となる、所謂、先細り
状に形成された円錐テーパ部14で構成されている。
12は、その最先端部分13が、所定曲率半径Rsの球
面の一部で構成され、底面視で直径Dsの円形を成す曲
面状に形成されている。また、工具先端部12の側面部
分は、先端に向かうに連れて小径となる、所謂、先細り
状に形成された円錐テーパ部14で構成されている。
【0028】そして、この円錐テーパ部14の表面部に
は、ネジ状の溝部15が設けられている。この溝部15
は、図6に詳しく示すように、工具本体11の軸線Lb
を含む縦断面における周縁形状が略V字状に設定され、
上記円錐テーパ部14の表面に所定のピッチpで螺旋状
に設けられている。
は、ネジ状の溝部15が設けられている。この溝部15
は、図6に詳しく示すように、工具本体11の軸線Lb
を含む縦断面における周縁形状が略V字状に設定され、
上記円錐テーパ部14の表面に所定のピッチpで螺旋状
に設けられている。
【0029】上記ネジ状の溝部15が設けられた円錐テ
ーパ部14は、工具先端部12の先端から長さHgにわ
たって設けられ、この円錐テーパ部14の基端部と工具
本体部11の端部とは、円錐テーパ部14よりも傾斜角
度の大きいテーパ面で接続されている。すなわち、この
回転工具10では、従来のように工具本体の下端側に平
坦なショルダ部は設けられていない。
ーパ部14は、工具先端部12の先端から長さHgにわ
たって設けられ、この円錐テーパ部14の基端部と工具
本体部11の端部とは、円錐テーパ部14よりも傾斜角
度の大きいテーパ面で接続されている。すなわち、この
回転工具10では、従来のように工具本体の下端側に平
坦なショルダ部は設けられていない。
【0030】また、本実施の形態では、上記工具本体部
11の軸線L1を含む縦断面内において、溝部15の底
部を通る溝底部中心線Lvと工具本体部11の軸線Lb
に直交する軸直交線Lyとのなす角度αが、上記円錐テ
ーパ部14の工具本体部軸線Lbに対する傾斜角度β以
下となるように、上記V字状溝部15の断面形状が設定
されている。
11の軸線L1を含む縦断面内において、溝部15の底
部を通る溝底部中心線Lvと工具本体部11の軸線Lb
に直交する軸直交線Lyとのなす角度αが、上記円錐テ
ーパ部14の工具本体部軸線Lbに対する傾斜角度β以
下となるように、上記V字状溝部15の断面形状が設定
されている。
【0031】すなわち、図4において実線で示すよう
に、上記溝底部中心線Lvと軸直交線Lyとのなす角度
α1が円錐テーパ部14の傾斜角度β1と等しい(α1
=β1)場合には、溝底部中心線Lvが円錐テーパ部1
4の表面に対して垂直となり、溝部15の上側(反挿入
側)斜面15aの面積は下側(挿入側)斜面15bの面
積とが等しくなる。しかし、上記溝底部中心線Lvと軸
直交線Lyとのなす角度αが円錐テーパ部14の傾斜角
度βよりも大きい(α>β)場合には、溝部15の上側
(反挿入側)斜面の面積は下側(挿入側)斜面の面積よ
りも小さくなる。
に、上記溝底部中心線Lvと軸直交線Lyとのなす角度
α1が円錐テーパ部14の傾斜角度β1と等しい(α1
=β1)場合には、溝底部中心線Lvが円錐テーパ部1
4の表面に対して垂直となり、溝部15の上側(反挿入
側)斜面15aの面積は下側(挿入側)斜面15bの面
積とが等しくなる。しかし、上記溝底部中心線Lvと軸
直交線Lyとのなす角度αが円錐テーパ部14の傾斜角
度βよりも大きい(α>β)場合には、溝部15の上側
(反挿入側)斜面の面積は下側(挿入側)斜面の面積よ
りも小さくなる。
【0032】これに対して、図4において破線で示すよ
うに、上記溝底部中心線Lvと軸直交線Lyとのなす角
度α2が円錐テーパ部14の傾斜角度β1未満(α2<
β1)場合には、溝底部中心線Lvが円錐テーパ部14
の表面に対して傾斜し、溝部15の上側斜面15aと下
側斜面15bの成す角度γ(溝角度)は一定であるが、
上側斜面15aの面積は下側斜面15bの面積よりも大
きくなる。
うに、上記溝底部中心線Lvと軸直交線Lyとのなす角
度α2が円錐テーパ部14の傾斜角度β1未満(α2<
β1)場合には、溝底部中心線Lvが円錐テーパ部14
の表面に対して傾斜し、溝部15の上側斜面15aと下
側斜面15bの成す角度γ(溝角度)は一定であるが、
上側斜面15aの面積は下側斜面15bの面積よりも大
きくなる。
【0033】従って、この場合、上記工具先端部12を
螺旋状に設けられた略V字状溝部15のねじ込み方向
(つまり、螺旋方向)と逆方向に回転させて摩擦攪拌を
おこなわせることにより、高速回転状態の工具先端部1
2を処理対象部材の表面部に対して押圧し進入させて行
く際、摩擦攪拌によって溝部15内及びその近辺に生じ
た塑性流動層の反挿入側(図3及び図4における上側)
への流動抑制効果がより大きくなり、従来のように処理
対象部材の摩擦攪拌部分をショルダ部で押さえ込まなく
ても、その塑性流動層が表面側に盛り上がることを有効
に抑制できるのである。
螺旋状に設けられた略V字状溝部15のねじ込み方向
(つまり、螺旋方向)と逆方向に回転させて摩擦攪拌を
おこなわせることにより、高速回転状態の工具先端部1
2を処理対象部材の表面部に対して押圧し進入させて行
く際、摩擦攪拌によって溝部15内及びその近辺に生じ
た塑性流動層の反挿入側(図3及び図4における上側)
への流動抑制効果がより大きくなり、従来のように処理
対象部材の摩擦攪拌部分をショルダ部で押さえ込まなく
ても、その塑性流動層が表面側に盛り上がることを有効
に抑制できるのである。
【0034】すなわち、工具本体部の下端側に設けられ
たショルダ部による不要な摩擦攪拌を伴う従来の回転工
具を用いる場合に生じ得る前述の不具合を解消でき、所
要の処理深さを確保した上で比較的狭い範囲を摩擦攪拌
することができるようになる。しかも、工具先端部12
は先細り状の円錐テーパ部14を有し、略V字状の溝部
15はこの円錐テーパ部14の表面に螺旋状に設けられ
ているので、摩擦攪拌時の処理幅をより狭く、且つ、処
理深さをより深くでき、しかも、塑性流動層の表面側へ
の盛り上がりをより有効に抑制することができる。尚、
この実施の形態に係る回転工具10を駆動する工具駆動
手段としては、例えば、前述の図20に示された工具駆
動手段65と同様のものを用いることができる。
たショルダ部による不要な摩擦攪拌を伴う従来の回転工
具を用いる場合に生じ得る前述の不具合を解消でき、所
要の処理深さを確保した上で比較的狭い範囲を摩擦攪拌
することができるようになる。しかも、工具先端部12
は先細り状の円錐テーパ部14を有し、略V字状の溝部
15はこの円錐テーパ部14の表面に螺旋状に設けられ
ているので、摩擦攪拌時の処理幅をより狭く、且つ、処
理深さをより深くでき、しかも、塑性流動層の表面側へ
の盛り上がりをより有効に抑制することができる。尚、
この実施の形態に係る回転工具10を駆動する工具駆動
手段としては、例えば、前述の図20に示された工具駆
動手段65と同様のものを用いることができる。
【0035】次に、本発明の第2の実施の形態に係る摩
擦攪拌用回転工具について、図5を参照しながら説明す
る。尚、以下の説明において、上述の第1の実施の形態
に係る回転工具10(以下、これを、適宜、「タイプ
I」の回転工具と称する。)における場合と同様の構成
を備え同様の作用をなすものについては同一の符号を付
し、それ以上の説明は省略する。
擦攪拌用回転工具について、図5を参照しながら説明す
る。尚、以下の説明において、上述の第1の実施の形態
に係る回転工具10(以下、これを、適宜、「タイプ
I」の回転工具と称する。)における場合と同様の構成
を備え同様の作用をなすものについては同一の符号を付
し、それ以上の説明は省略する。
【0036】この第2の実施の形態に係る回転工具20
(以下、これを、適宜、「タイプII」の回転工具と称
する。)は、工具本体部21並びに工具先端部22(最
先端部分23及び側面の円錐テーパ部24を含む)の形
状については、第1の実施の形態におけるものと同様で
あるが、下記のように、円錐テーパ部24の表面部に形
成されたV字状溝部25の溝部中心線Lvと上記軸直交
線Lyとのなす角度αが、異なった設定となっている。
(以下、これを、適宜、「タイプII」の回転工具と称
する。)は、工具本体部21並びに工具先端部22(最
先端部分23及び側面の円錐テーパ部24を含む)の形
状については、第1の実施の形態におけるものと同様で
あるが、下記のように、円錐テーパ部24の表面部に形
成されたV字状溝部25の溝部中心線Lvと上記軸直交
線Lyとのなす角度αが、異なった設定となっている。
【0037】すなわち、上記図3に示されるように、上
記略V字状溝部15の溝底部中心線Lvと軸直交線Ly
とのなす角度αを円錐テーパ部14の傾斜角度β未満
(α<β)に設定して、上側(反挿入側)斜面15aの
面積が下側(挿入側)斜面15bの面積よりも大きくな
るように設定する場合、図5に示す回転工具20のよう
に、溝底部中心線Lvと軸直交線Lyとのなす角度αを
実質的に零度に設定することにより、同一方向に螺設さ
れた略V字状溝部25について、その反挿入側斜面の面
積を実質的に最大化することができ、より一層高い効果
を奏することが可能になる。
記略V字状溝部15の溝底部中心線Lvと軸直交線Ly
とのなす角度αを円錐テーパ部14の傾斜角度β未満
(α<β)に設定して、上側(反挿入側)斜面15aの
面積が下側(挿入側)斜面15bの面積よりも大きくな
るように設定する場合、図5に示す回転工具20のよう
に、溝底部中心線Lvと軸直交線Lyとのなす角度αを
実質的に零度に設定することにより、同一方向に螺設さ
れた略V字状溝部25について、その反挿入側斜面の面
積を実質的に最大化することができ、より一層高い効果
を奏することが可能になる。
【0038】本発明の効果を確かめるために、本発明実
施例の回転工具と比較例の回転工具をそれぞれ用いて、
処理対象サンプル部材の表面部に摩擦攪拌による表面改
質処理を施し、その処理部の態様を調べる比較試験(試
験1)を行った。図6は、本試験1で用いた比較例に係
る回転工具40の正面説明図である。この比較例の回転
工具40では、円柱状の工具本体部41(直径=25m
m)の先端中央部分に円柱状の工具先端部42(直径=
7.0mm;長さ=6.0mm)が突設され、工具本体
部41の端面の工具先端部42を除く領域がショルダ部
43を構成している。
施例の回転工具と比較例の回転工具をそれぞれ用いて、
処理対象サンプル部材の表面部に摩擦攪拌による表面改
質処理を施し、その処理部の態様を調べる比較試験(試
験1)を行った。図6は、本試験1で用いた比較例に係
る回転工具40の正面説明図である。この比較例の回転
工具40では、円柱状の工具本体部41(直径=25m
m)の先端中央部分に円柱状の工具先端部42(直径=
7.0mm;長さ=6.0mm)が突設され、工具本体
部41の端面の工具先端部42を除く領域がショルダ部
43を構成している。
【0039】また、上記工具先端部42の側面には断面
略V字状の溝部(溝角度=60度;ピッチ=1mm)が
ネジ状(螺旋状)に設けられている。そして、この螺旋
方向とは逆方向に工具40を回転させて摩擦攪拌処理が
行われるようになっている。
略V字状の溝部(溝角度=60度;ピッチ=1mm)が
ネジ状(螺旋状)に設けられている。そして、この螺旋
方向とは逆方向に工具40を回転させて摩擦攪拌処理が
行われるようになっている。
【0040】これに対して、本発明実施例に係る回転工
具としては、第2の実施の形態に係るタイプ(タイプI
I:図5参照)の回転工具20を用いた。図5に示した
各部の具体的な寸法値等は以下の通りとした。 ・工具先端部22の最先端部23の直径:Ds=7mm ・円錐テーパ部24の長さ:Hg=5.8mm ・最先端部23の曲率半径:Rs=6mm ・溝部25のピッチ:p=1mm ・溝底中心線Lvの軸直交線Lyに対する角度:α=0
度 ・円錐テーパ部24の傾斜角度:β=15度 ・溝部25の溝角度:γ=60度
具としては、第2の実施の形態に係るタイプ(タイプI
I:図5参照)の回転工具20を用いた。図5に示した
各部の具体的な寸法値等は以下の通りとした。 ・工具先端部22の最先端部23の直径:Ds=7mm ・円錐テーパ部24の長さ:Hg=5.8mm ・最先端部23の曲率半径:Rs=6mm ・溝部25のピッチ:p=1mm ・溝底中心線Lvの軸直交線Lyに対する角度:α=0
度 ・円錐テーパ部24の傾斜角度:β=15度 ・溝部25の溝角度:γ=60度
【0041】尚、上記両回転工具20,40は、共に、
JISに規定された所謂工具鋼を材料とし、所要の機械
加工および熱処理等を施して製作されたものである。ま
た、本試験での処理対象部材はJIS規格に規定された
アルミニウム合金製の鋳造部材とし、例えば、エンジン
のシリンダヘッド等によく用いられるAl合金AC4D
を材料に用いた。以上の二種類の回転工具20,40を
使用してそれぞれ摩擦攪拌処理を行い、その処理結果を
比較した。各回転工具についての摩擦攪拌処理条件は、
それぞれ以下の通りとした。
JISに規定された所謂工具鋼を材料とし、所要の機械
加工および熱処理等を施して製作されたものである。ま
た、本試験での処理対象部材はJIS規格に規定された
アルミニウム合金製の鋳造部材とし、例えば、エンジン
のシリンダヘッド等によく用いられるAl合金AC4D
を材料に用いた。以上の二種類の回転工具20,40を
使用してそれぞれ摩擦攪拌処理を行い、その処理結果を
比較した。各回転工具についての摩擦攪拌処理条件は、
それぞれ以下の通りとした。
【0042】
・比較例:工具回転数=1200rpm
:工具移動速度=32mm/min.
・本発明実施例(タイプII):工具回転数=1080rpm
:工具移動速度=75mm/min.
【0043】摩擦攪拌処理終了後の各供試材について、
摩擦攪拌処理部(改質層)の深さや処理幅などを調べて
比較した。すなわち、摩擦攪拌処理を終了した各供試材
の処理部を切断し、その切断面を研磨した後に、投影機
を用いて約5倍の倍率で改質層の深さ及び幅等を観察し
た。観察結果を、図8(本発明実施例)及び図9(比較
例)に示す。
摩擦攪拌処理部(改質層)の深さや処理幅などを調べて
比較した。すなわち、摩擦攪拌処理を終了した各供試材
の処理部を切断し、その切断面を研磨した後に、投影機
を用いて約5倍の倍率で改質層の深さ及び幅等を観察し
た。観察結果を、図8(本発明実施例)及び図9(比較
例)に示す。
【0044】図8と図9とを比較して良く分かるよう
に、略同等の処理深さに対して、比較例の場合には摩擦
攪拌処理部Sfの幅が非常に広くなっている。また、比
較例の場合、上述のように工具移動速度が本発明実施例
の半分以下であるにも拘わらず、処理部Sfの表面に欠
落部分Bが多く生じており、摩擦攪拌中に表面側へ流動
しバリとして流失した塑性流動部分の量が多いことを物
語っている。尚、上記図8及び9、並びに、後述する図
10〜18においては、摩擦攪拌処理部Sfに生じた上
記のような欠落部分Bは黒色表示された領域として示さ
れている。
に、略同等の処理深さに対して、比較例の場合には摩擦
攪拌処理部Sfの幅が非常に広くなっている。また、比
較例の場合、上述のように工具移動速度が本発明実施例
の半分以下であるにも拘わらず、処理部Sfの表面に欠
落部分Bが多く生じており、摩擦攪拌中に表面側へ流動
しバリとして流失した塑性流動部分の量が多いことを物
語っている。尚、上記図8及び9、並びに、後述する図
10〜18においては、摩擦攪拌処理部Sfに生じた上
記のような欠落部分Bは黒色表示された領域として示さ
れている。
【0045】換言すれば、本発明実施例の回転工具20
(タイプII)を用いることにより、比較例の回転工具
40を用いた場合に比して、摩擦攪拌処理の処理幅を
(同等の処理深さに対して)より狭く、また、処理深さ
を(同等の処理幅に対して)より深くでき、しかも、塑
性流動層の表面側への流動による盛り上がり変形や多量
のバリ発生をより有効に抑制できることが確認された。
(タイプII)を用いることにより、比較例の回転工具
40を用いた場合に比して、摩擦攪拌処理の処理幅を
(同等の処理深さに対して)より狭く、また、処理深さ
を(同等の処理幅に対して)より深くでき、しかも、塑
性流動層の表面側への流動による盛り上がり変形や多量
のバリ発生をより有効に抑制できることが確認された。
【0046】次に、上記第1の実施の形態に係る回転工
具10(タイプI)と第2の実施の形態に係る回転工具
20(タイプII)とについて、処理対象サンプル部材
の表面部に摩擦攪拌による表面改質処理を施し、その処
理部の態様を調べる比較試験(試験2)を行った。上記
両回転工具10,20では、溝底中心線Lvの軸直交線
Lyに対する角度αの値が異なるのみで、それ以外の各
部の寸法値は同じである。上記角度αは、以下の通りで
ある。 ・タイプI:角度α=15度 ・タイプII:角度α=0度
具10(タイプI)と第2の実施の形態に係る回転工具
20(タイプII)とについて、処理対象サンプル部材
の表面部に摩擦攪拌による表面改質処理を施し、その処
理部の態様を調べる比較試験(試験2)を行った。上記
両回転工具10,20では、溝底中心線Lvの軸直交線
Lyに対する角度αの値が異なるのみで、それ以外の各
部の寸法値は同じである。上記角度αは、以下の通りで
ある。 ・タイプI:角度α=15度 ・タイプII:角度α=0度
【0047】また、図4及び図5に示した各部の具体的
な寸法値等は以下の通りとした。 ・工具先端部12,22の最先端部13,23の直径:
Ds=7mm ・円錐テーパ部14,24の長さ:Hg=5.8mm ・最先端部13,23の曲率半径:Rs=6mm ・溝部15,25のピッチ:p=1mm ・円錐テーパ部14,24の傾斜角度:β=15度 ・溝部15,25の溝角度:γ=60度
な寸法値等は以下の通りとした。 ・工具先端部12,22の最先端部13,23の直径:
Ds=7mm ・円錐テーパ部14,24の長さ:Hg=5.8mm ・最先端部13,23の曲率半径:Rs=6mm ・溝部15,25のピッチ:p=1mm ・円錐テーパ部14,24の傾斜角度:β=15度 ・溝部15,25の溝角度:γ=60度
【0048】この試験2では、両回転工具10,20に
ついて、工具回転速度および処理対象部材に対する押し
込み量の条件を下記の値で一定とし、工具の移動速度を
種々変更して摩擦攪拌処理を行なった。尚、処理対象部
材には上記試験1の場合と同様の軽合金部材を用いた。 ・工具回転速度(一定):1080rpm ・押し込み量(一定):5.5mm ・工具移動速度(処理速度:一定):22.5,70,150,320,470 , 750[mm/min.]
ついて、工具回転速度および処理対象部材に対する押し
込み量の条件を下記の値で一定とし、工具の移動速度を
種々変更して摩擦攪拌処理を行なった。尚、処理対象部
材には上記試験1の場合と同様の軽合金部材を用いた。 ・工具回転速度(一定):1080rpm ・押し込み量(一定):5.5mm ・工具移動速度(処理速度:一定):22.5,70,150,320,470 , 750[mm/min.]
【0049】摩擦攪拌処理終了後の各供試材について、
試験1の場合と同様の手法で、摩擦攪拌処理部(改質
層)の深さや処理幅などを調べて比較検討した。この試
験2の試験結果を表1及び図10〜図18に示す。
試験1の場合と同様の手法で、摩擦攪拌処理部(改質
層)の深さや処理幅などを調べて比較検討した。この試
験2の試験結果を表1及び図10〜図18に示す。
【0050】
【表1】
【0051】表1に示すように、この試験2の試験結果
の比較検討において、塑性流動層Sfの処理表面側への
流動・流出により処理部の表面層に多量の欠落部Bがあ
り、後工程の仕上げ加工で十分に除去し切れないものに
ついては、不合格(×印)とし、かかる処理部表面層の
欠落部Bが僅かであり後工程の仕上げ加工で確実に除去
し得る程度のものについては合格(○印)とした。表1
及び図10〜図12から良く分かるように、タイプIの
回転工具10の場合には、処理速度が22.5mm/m
in.の場合(図10参照)だけが合格で、それを越え
る処理速度(70,150mm/min.:図11,図
12参照)では不合格であった。尚、このタイプIの回
転工具10の場合、320mm/min.以上の処理速
度については、結果が明白であるので敢えて試験は行わ
なかった。
の比較検討において、塑性流動層Sfの処理表面側への
流動・流出により処理部の表面層に多量の欠落部Bがあ
り、後工程の仕上げ加工で十分に除去し切れないものに
ついては、不合格(×印)とし、かかる処理部表面層の
欠落部Bが僅かであり後工程の仕上げ加工で確実に除去
し得る程度のものについては合格(○印)とした。表1
及び図10〜図12から良く分かるように、タイプIの
回転工具10の場合には、処理速度が22.5mm/m
in.の場合(図10参照)だけが合格で、それを越え
る処理速度(70,150mm/min.:図11,図
12参照)では不合格であった。尚、このタイプIの回
転工具10の場合、320mm/min.以上の処理速
度については、結果が明白であるので敢えて試験は行わ
なかった。
【0052】これに対して、タイプIIの回転工具20
の場合には、処理速度が320mm/min.以下の場
合(図13,14,15及び16参照)には全て合格
で、それを越える処理速度(470及び750mm/m
in.:図17及び18参照)では不合格であった。
の場合には、処理速度が320mm/min.以下の場
合(図13,14,15及び16参照)には全て合格
で、それを越える処理速度(470及び750mm/m
in.:図17及び18参照)では不合格であった。
【0053】上記両回転工具10,20は、共に、工具
先端部12,22に円錐テーパ部14,24を設け、そ
の外周部に略V字状の溝部15,25を螺旋状に形成
し、円錐テーパ部14,24の工具本体部軸線Lbに対
する傾斜角度βを15度としたものである。しかし、溝
底中心線Lvと軸直交線Lyとのなす角度αについて
は、回転工具10(タイプI)の場合、円錐テーパ部1
4の傾斜角度βと等しく(α=β=15度)、従って、
溝部15の反挿入側斜面の面積と挿入側斜面の面積とが
等しくなっている。
先端部12,22に円錐テーパ部14,24を設け、そ
の外周部に略V字状の溝部15,25を螺旋状に形成
し、円錐テーパ部14,24の工具本体部軸線Lbに対
する傾斜角度βを15度としたものである。しかし、溝
底中心線Lvと軸直交線Lyとのなす角度αについて
は、回転工具10(タイプI)の場合、円錐テーパ部1
4の傾斜角度βと等しく(α=β=15度)、従って、
溝部15の反挿入側斜面の面積と挿入側斜面の面積とが
等しくなっている。
【0054】このため、このタイプIの回転工具10で
は、高速回転状態の工具先端部12を処理対象部材の表
面部に対して押圧し進入させて行く際、摩擦攪拌によっ
て溝部15内及びその近辺に生じた塑性流動層の反挿入
側(つまり、処理表面側)への流動を、溝部15の反挿
入側斜面によって十分に抑制することが難しく、しか
も、元々ショルダ部は設けられていないので、処理速度
が70mm/min.程度以上となると、塑性流動層の
処理表面側への流動・流出を十分に規制することは難し
い。表1及び図10〜図12の試験結果は、このことを
物語るものである。
は、高速回転状態の工具先端部12を処理対象部材の表
面部に対して押圧し進入させて行く際、摩擦攪拌によっ
て溝部15内及びその近辺に生じた塑性流動層の反挿入
側(つまり、処理表面側)への流動を、溝部15の反挿
入側斜面によって十分に抑制することが難しく、しか
も、元々ショルダ部は設けられていないので、処理速度
が70mm/min.程度以上となると、塑性流動層の
処理表面側への流動・流出を十分に規制することは難し
い。表1及び図10〜図12の試験結果は、このことを
物語るものである。
【0055】尚、このタイプIの回転工具10を用いた
場合でも、図9と図10とを比較して良く分かるよう
に、比較例の回転工具40を用いて摩擦攪拌処理を行う
場合に比して、摩擦攪拌処理の処理幅を(同等の処理深
さに対して)より狭くでき、また、処理深さを(同等の
処理幅に対して)より深くすることができる。更に、塑
性流動層の表面側への流動による盛り上がり変形や多量
のバリ発生をより有効に抑制することも可能である。
場合でも、図9と図10とを比較して良く分かるよう
に、比較例の回転工具40を用いて摩擦攪拌処理を行う
場合に比して、摩擦攪拌処理の処理幅を(同等の処理深
さに対して)より狭くでき、また、処理深さを(同等の
処理幅に対して)より深くすることができる。更に、塑
性流動層の表面側への流動による盛り上がり変形や多量
のバリ発生をより有効に抑制することも可能である。
【0056】上記タイプIの回転工具10に対して、回
転工具20(タイプII)の場合、溝底中心線Lvと軸
直交線Lyとのなす角度αは円錐テーパ部24の傾斜角
度βよりも小さく(α<β)、しかも、この角度α=0
度に設定されているので、溝部25の反挿入側斜面の面
積は挿入側斜面の面積よりも大きく、しかも、最大化さ
れている。
転工具20(タイプII)の場合、溝底中心線Lvと軸
直交線Lyとのなす角度αは円錐テーパ部24の傾斜角
度βよりも小さく(α<β)、しかも、この角度α=0
度に設定されているので、溝部25の反挿入側斜面の面
積は挿入側斜面の面積よりも大きく、しかも、最大化さ
れている。
【0057】従って、このタイプIIの回転工具20の
場合、上記工具先端部22を螺旋状に設けられた略V字
状溝部25のねじ込み方向(つまり、螺旋方向)と逆方
向に回転させて摩擦攪拌をおこなわせることにより、高
速回転状態の工具先端部22を処理対象部材の表面部に
対して押圧し進入させて行く際、摩擦攪拌によって溝部
25内及びその近辺に生じた塑性流動層の反挿入側(つ
まり、処理表面側)への流動抑制効果がより大きくな
り、従来のように処理対象部材の摩擦攪拌部分をショル
ダ部で押さえ込まなくても、塑性流動層の反挿入側への
流動を、溝部25の反挿入側斜面によって十分に抑制す
ることができ、処理速度が比較的高速(320mm/m
in.程度)の場合でも、塑性流動層の処理表面側への
流動・流出を十分に規制することができる。表1及び図
13〜図18の試験結果は、このことを物語るものであ
る。
場合、上記工具先端部22を螺旋状に設けられた略V字
状溝部25のねじ込み方向(つまり、螺旋方向)と逆方
向に回転させて摩擦攪拌をおこなわせることにより、高
速回転状態の工具先端部22を処理対象部材の表面部に
対して押圧し進入させて行く際、摩擦攪拌によって溝部
25内及びその近辺に生じた塑性流動層の反挿入側(つ
まり、処理表面側)への流動抑制効果がより大きくな
り、従来のように処理対象部材の摩擦攪拌部分をショル
ダ部で押さえ込まなくても、塑性流動層の反挿入側への
流動を、溝部25の反挿入側斜面によって十分に抑制す
ることができ、処理速度が比較的高速(320mm/m
in.程度)の場合でも、塑性流動層の処理表面側への
流動・流出を十分に規制することができる。表1及び図
13〜図18の試験結果は、このことを物語るものであ
る。
【0058】次に、本発明の実施の形態に係る回転工具
20(タイプII)を用いて摩擦攪拌処理を行う具体例
について、例えば、エンジンのシリンダヘッドにおける
弁間部の表面部の改質処理を行う場合を例にとって説明
する。図19は、上記第1の実施の形態に係るシリンダ
ヘッド鋳造素材のシリンダブロック(不図示)との合せ
面を概略的に示す平面説明図である。この図に示すよう
に、上記シリンダヘッドCHは、直列4気筒タイプとさ
れた直噴ディーゼルエンジン用のもので、長手方向に沿
って一列に配置された各気筒毎に、一対の吸気ポートK
cと一対の排気ポートEcとが設けられている。そし
て、各気筒毎にポート間の部材領域(つまり、弁間部)
は略十字形を形成している。
20(タイプII)を用いて摩擦攪拌処理を行う具体例
について、例えば、エンジンのシリンダヘッドにおける
弁間部の表面部の改質処理を行う場合を例にとって説明
する。図19は、上記第1の実施の形態に係るシリンダ
ヘッド鋳造素材のシリンダブロック(不図示)との合せ
面を概略的に示す平面説明図である。この図に示すよう
に、上記シリンダヘッドCHは、直列4気筒タイプとさ
れた直噴ディーゼルエンジン用のもので、長手方向に沿
って一列に配置された各気筒毎に、一対の吸気ポートK
cと一対の排気ポートEcとが設けられている。そし
て、各気筒毎にポート間の部材領域(つまり、弁間部)
は略十字形を形成している。
【0059】このシリンダヘッドCHは、例えばアルミ
ニウム(Al)合金を材料として鋳造プロセスにより製
造され、シリンダブロック(不図示)との合せ面の特に
弁間部に上述の摩擦攪拌処理法による表面処理が施され
る。尚、上記シリンダヘッドCHの軽合金材料として
は、例えば、JIS規格に規定されたAl合金AC4D
を用いた。この代わりに、AC4B又はAC2B更には
AC8A等も用いることができる。
ニウム(Al)合金を材料として鋳造プロセスにより製
造され、シリンダブロック(不図示)との合せ面の特に
弁間部に上述の摩擦攪拌処理法による表面処理が施され
る。尚、上記シリンダヘッドCHの軽合金材料として
は、例えば、JIS規格に規定されたAl合金AC4D
を用いた。この代わりに、AC4B又はAC2B更には
AC8A等も用いることができる。
【0060】上記表面処理を施すに際しては、その前工
程でシリンダブロックとの合せ面がフライス加工により
荒加工される。図19は、この合せ面の荒加工状態を示
すものである。従って、図19において実線で表示され
た上述の各吸気ポートKc及び各排気ポートEcは、全
て鋳抜き穴の状態を示しており、実際には、図19にお
いて破線表示で示すように、弁間部の表面処理後にドリ
ル加工等の機械加工によって仕上げられ、所定の形状・
寸法及び表面粗さを有する吸気ポート及び排気ポートが
得られる。
程でシリンダブロックとの合せ面がフライス加工により
荒加工される。図19は、この合せ面の荒加工状態を示
すものである。従って、図19において実線で表示され
た上述の各吸気ポートKc及び各排気ポートEcは、全
て鋳抜き穴の状態を示しており、実際には、図19にお
いて破線表示で示すように、弁間部の表面処理後にドリ
ル加工等の機械加工によって仕上げられ、所定の形状・
寸法及び表面粗さを有する吸気ポート及び排気ポートが
得られる。
【0061】また、上記シリンダヘッドCHには、表面
処理後に、長手方向に沿って配列される複数のテンショ
ンボルト孔Htが、ドリル加工によって穿設される。こ
れらテンションボルト孔Htは、仕上げ加工を終えた後
のシリンダヘッドCHをシリンダブロックに組み付けて
締結固定する際に、この締結固定用のテンションボルト
を挿通させるもので、長手方向に配列された4つの気筒
部分を挟むようにして、平行な一対の直線に沿って設け
られる。これらテンションボルト孔Htは、各列毎に5
箇所設けられ、長手方向における両端部の近傍および各
気筒部分の間に位置設定されている。
処理後に、長手方向に沿って配列される複数のテンショ
ンボルト孔Htが、ドリル加工によって穿設される。こ
れらテンションボルト孔Htは、仕上げ加工を終えた後
のシリンダヘッドCHをシリンダブロックに組み付けて
締結固定する際に、この締結固定用のテンションボルト
を挿通させるもので、長手方向に配列された4つの気筒
部分を挟むようにして、平行な一対の直線に沿って設け
られる。これらテンションボルト孔Htは、各列毎に5
箇所設けられ、長手方向における両端部の近傍および各
気筒部分の間に位置設定されている。
【0062】尚、上記図19において、実線曲線で示さ
れた穴部は全て鋳造プロセスで形成された、所謂、鋳抜
き穴を示している。一方、同図において破線曲線で示さ
れた穴部は、全て、鋳物状態では穴部ではないが、弁間
部等に対する表面処理を施した後に、ドリル加工等の機
械加工により、所定形状及びサイズ更には表面粗さに仕
上げられた穴部として形成されるものを示している。
れた穴部は全て鋳造プロセスで形成された、所謂、鋳抜
き穴を示している。一方、同図において破線曲線で示さ
れた穴部は、全て、鋳物状態では穴部ではないが、弁間
部等に対する表面処理を施した後に、ドリル加工等の機
械加工により、所定形状及びサイズ更には表面粗さに仕
上げられた穴部として形成されるものを示している。
【0063】本実施の形態に係るシリンダヘッドCHで
は、摩擦攪拌処理による弁間部の表面処理経路が、各気
筒毎に設けられシリンダヘッドCHの略幅方向に延びる
比較的短い処理経路R1〜R4に加えて、全気筒を縦断
してシリンダヘッドCHの長手方向に延びる長い処理経
路Lとが設けられ、計5つの処理経路で構成されてい
る。そして、例えば、処理経路L,処理経路R1,R
2,R3,R4の順で、これら各処理経路に沿って、4
つの気筒の吸排気ポート弁間部に対する表面改質処理を
一連の工程で行うようにしている。
は、摩擦攪拌処理による弁間部の表面処理経路が、各気
筒毎に設けられシリンダヘッドCHの略幅方向に延びる
比較的短い処理経路R1〜R4に加えて、全気筒を縦断
してシリンダヘッドCHの長手方向に延びる長い処理経
路Lとが設けられ、計5つの処理経路で構成されてい
る。そして、例えば、処理経路L,処理経路R1,R
2,R3,R4の順で、これら各処理経路に沿って、4
つの気筒の吸排気ポート弁間部に対する表面改質処理を
一連の工程で行うようにしている。
【0064】まず、シリンダヘッドCHの長手方向に延
びる長い処理経路Lに沿って全気筒を縦断した摩擦攪拌
処理を行うに際して、回転工具20は、まず最初に処理
の開始部分Lsに位置設定され、処理の開始に伴い実線
の折線に沿って進行し、シリンダヘッドCHの長手方向
における一端側(図19における左端側)の気筒から反
対側端部(同図における右端側)の気筒に向かって、各
気筒における吸気ポートKcどうしの弁間部および排気
ポートEcどうしの弁間部の表面処理を終えた後、終端
穴処理として、回転工具20を処理経路Lのパターンに
おける処理の終了部分Leに至るまで移動させ、この終
了部分Leで工具20の回転を停止して上方へ引き上げ
られる。
びる長い処理経路Lに沿って全気筒を縦断した摩擦攪拌
処理を行うに際して、回転工具20は、まず最初に処理
の開始部分Lsに位置設定され、処理の開始に伴い実線
の折線に沿って進行し、シリンダヘッドCHの長手方向
における一端側(図19における左端側)の気筒から反
対側端部(同図における右端側)の気筒に向かって、各
気筒における吸気ポートKcどうしの弁間部および排気
ポートEcどうしの弁間部の表面処理を終えた後、終端
穴処理として、回転工具20を処理経路Lのパターンに
おける処理の終了部分Leに至るまで移動させ、この終
了部分Leで工具20の回転を停止して上方へ引き上げ
られる。
【0065】この表面処理の終了部分Leは、端部の気
筒部分の近傍に位置設定されたテンションボルト孔Ht
の穿設部の略中心に一致するように設定されている。こ
の部分は、上述のように弁間部の表面処理後に機械加工
で孔加工されて除去されるので、摩擦攪拌処理の終端穴
処理を行っても、その終端穴が最終製品に残ることはな
い。
筒部分の近傍に位置設定されたテンションボルト孔Ht
の穿設部の略中心に一致するように設定されている。こ
の部分は、上述のように弁間部の表面処理後に機械加工
で孔加工されて除去されるので、摩擦攪拌処理の終端穴
処理を行っても、その終端穴が最終製品に残ることはな
い。
【0066】また、処理経路R1〜R4に沿って各気筒
毎の弁間部の摩擦攪拌処理を行う際には、回転工具20
は、まず最初に当該処理経路R1〜R4の処理パターン
における処理の開始部分Rsに位置設定され、処理の開
始に伴い実線の折線に沿って進行し、当該気筒における
吸気ポートKcと排気ポートEcとの間の弁間部の表面
処理を終えた後、終端穴処理として、回転工具20を当
該処理経路R1〜R4のパターンにおける処理の終了部
分Reに至るまで移動させ、この終了部分Reで終端穴
処理が行われる。この表面処理の終了部分Reは、当該
気筒部分の近傍に位置設定されたテンションボルト孔H
tの穿設部の略中心に一致するように設定されている。
毎の弁間部の摩擦攪拌処理を行う際には、回転工具20
は、まず最初に当該処理経路R1〜R4の処理パターン
における処理の開始部分Rsに位置設定され、処理の開
始に伴い実線の折線に沿って進行し、当該気筒における
吸気ポートKcと排気ポートEcとの間の弁間部の表面
処理を終えた後、終端穴処理として、回転工具20を当
該処理経路R1〜R4のパターンにおける処理の終了部
分Reに至るまで移動させ、この終了部分Reで終端穴
処理が行われる。この表面処理の終了部分Reは、当該
気筒部分の近傍に位置設定されたテンションボルト孔H
tの穿設部の略中心に一致するように設定されている。
【0067】用いる回転工具は、上述のように図5に示
したタイプIIのものとし、螺旋状の溝部25の螺旋方
向と逆方向に回転工具20を回転させて処理を行った。
尚、具体的には図示しなかったが、回転工具20の工具
駆動手段は、より好ましくは、例えばマイクロコンピュ
ータを主要部として構成された制御部を有する制御盤に
対して信号授受可能に接続されており、所定の制御プロ
グラムに基づいた制御盤からの命令信号に応じて、ワー
ク(処理対象部材)表面部に対する処理深さの設定およ
びワーク表面上での移動軌跡等が、自動的に設定される
ようになっている。
したタイプIIのものとし、螺旋状の溝部25の螺旋方
向と逆方向に回転工具20を回転させて処理を行った。
尚、具体的には図示しなかったが、回転工具20の工具
駆動手段は、より好ましくは、例えばマイクロコンピュ
ータを主要部として構成された制御部を有する制御盤に
対して信号授受可能に接続されており、所定の制御プロ
グラムに基づいた制御盤からの命令信号に応じて、ワー
ク(処理対象部材)表面部に対する処理深さの設定およ
びワーク表面上での移動軌跡等が、自動的に設定される
ようになっている。
【0068】本発明の実施の形態では、以上のようなシ
リンダヘッドCHの各気筒弁間部に回転工具20(タイ
プII)を用いて摩擦攪拌処理を行うに際して、素材の
弁間幅及び弁間部の必要処理幅が設定された下で、弁間
部に変形を来すことなく摩擦攪拌処理を行うためには、
回転工具20の工具先端部22における円錐テーパ部2
4の(工具本体部21の中心軸Lbに対する)傾斜角度
βを如何に設定すれば良いかを調べる試験(試験3)を
行った。
リンダヘッドCHの各気筒弁間部に回転工具20(タイ
プII)を用いて摩擦攪拌処理を行うに際して、素材の
弁間幅及び弁間部の必要処理幅が設定された下で、弁間
部に変形を来すことなく摩擦攪拌処理を行うためには、
回転工具20の工具先端部22における円錐テーパ部2
4の(工具本体部21の中心軸Lbに対する)傾斜角度
βを如何に設定すれば良いかを調べる試験(試験3)を
行った。
【0069】この試験3では、図7に示すように、素材
の弁間幅Wc及び弁間部の必要処理幅Wrを、以下に示
す3つのケース(ケース1〜ケース3)に変更して設定
し、それぞれのケースについて上記傾斜角度βの好適な
範囲を調べた。尚、図7において、処理対象弁間部の実
線表示は摩擦攪拌処理時の母材状態を示し、2点鎖線表
示は処理後の機械加工による仕上状態(加工取代ΔM
w)を示している。
の弁間幅Wc及び弁間部の必要処理幅Wrを、以下に示
す3つのケース(ケース1〜ケース3)に変更して設定
し、それぞれのケースについて上記傾斜角度βの好適な
範囲を調べた。尚、図7において、処理対象弁間部の実
線表示は摩擦攪拌処理時の母材状態を示し、2点鎖線表
示は処理後の機械加工による仕上状態(加工取代ΔM
w)を示している。
【0070】この場合、上記回転工具20の関係寸法と
して、工具先端部22の最先端部分の直径寸法Dsを必
要処理幅Wrと等しく設定し(Ds=Wr)、また、工
具先端部22の押し込み量を一定値(6.0mm)に設
定した。そして、工具本体部21の直径Db(つまり、
工具先端部22の上端部の直径)及び円錐テーパ部24
の工具本体部中心軸Lbに対する傾斜角度βを種々変更
した回転工具20を製作し、これら回転工具20を用い
て摩擦攪拌による弁間部の表面改質処理をそれぞれ行っ
た。
して、工具先端部22の最先端部分の直径寸法Dsを必
要処理幅Wrと等しく設定し(Ds=Wr)、また、工
具先端部22の押し込み量を一定値(6.0mm)に設
定した。そして、工具本体部21の直径Db(つまり、
工具先端部22の上端部の直径)及び円錐テーパ部24
の工具本体部中心軸Lbに対する傾斜角度βを種々変更
した回転工具20を製作し、これら回転工具20を用い
て摩擦攪拌による弁間部の表面改質処理をそれぞれ行っ
た。
【0071】ケース1,2及び3における素材の弁間幅
Wc及び弁間部の必要処理幅Wrは、次の通りとした。 ・ケース1:素材弁間幅Wc=15mm;必要処理幅W
r=7mm ・ケース2:素材弁間幅Wc=20mm;必要処理幅W
r=7mm ・ケース3:素材弁間幅Wc=25mm;必要処理幅W
r=10mm 以上のケース1,2及び3に対する試験結果を、表2,
3及び4にそれぞれ示す。
Wc及び弁間部の必要処理幅Wrは、次の通りとした。 ・ケース1:素材弁間幅Wc=15mm;必要処理幅W
r=7mm ・ケース2:素材弁間幅Wc=20mm;必要処理幅W
r=7mm ・ケース3:素材弁間幅Wc=25mm;必要処理幅W
r=10mm 以上のケース1,2及び3に対する試験結果を、表2,
3及び4にそれぞれ示す。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】上記表2,3及び4の「弁間部変形の有
無」の欄において、×印は不合格で、摩擦攪拌処理によ
って弁間部に著しい変形が生じ、後工程の機械加工(加
工取代ΔMw)による仕上工程においてもその変形を除
去できない場合を示している。また、△印は、弁間部の
変形が比較的大きく、後工程の機械加工による仕上工程
でその変形を除去できるか否かが微妙な場合を示してい
る。更に、○印は合格で、弁間部の変形が軽微であり、
後工程の機械加工による仕上工程にて支障無くその変形
を除去できる場合を示している。
無」の欄において、×印は不合格で、摩擦攪拌処理によ
って弁間部に著しい変形が生じ、後工程の機械加工(加
工取代ΔMw)による仕上工程においてもその変形を除
去できない場合を示している。また、△印は、弁間部の
変形が比較的大きく、後工程の機械加工による仕上工程
でその変形を除去できるか否かが微妙な場合を示してい
る。更に、○印は合格で、弁間部の変形が軽微であり、
後工程の機械加工による仕上工程にて支障無くその変形
を除去できる場合を示している。
【0076】上記表2,3及び4の試験結果から良く分
かるように、ケース1の場合には、円錐テーパ部24の
工具本体部中心軸Lbに対する傾斜角度βを15度以下
に設定すれば良く、また、ケース2の場合には、上記傾
斜角度βを37度以下に設定すれば良い。更に、ケース
3の場合には、上記傾斜角度βを43度以下に設定すれ
ば良い。
かるように、ケース1の場合には、円錐テーパ部24の
工具本体部中心軸Lbに対する傾斜角度βを15度以下
に設定すれば良く、また、ケース2の場合には、上記傾
斜角度βを37度以下に設定すれば良い。更に、ケース
3の場合には、上記傾斜角度βを43度以下に設定すれ
ば良い。
【0077】尚、上記試験3では、Al合金を材料に用
いたシリンダヘッドについてのものであったが、本発明
は、例えばマグネシウム又はその合金など、他の軽金属
を材料に用いた場合でも、有効に適用することが可能で
ある。また、シリンダヘッドは、直噴ディーゼルエンジ
ン用のものに限らず、他の種類のエンジンに用いられる
ものでも良く、更に、直列4気筒タイプ用、或いは多気
筒タイプ用のものに限られるものでもない。
いたシリンダヘッドについてのものであったが、本発明
は、例えばマグネシウム又はその合金など、他の軽金属
を材料に用いた場合でも、有効に適用することが可能で
ある。また、シリンダヘッドは、直噴ディーゼルエンジ
ン用のものに限らず、他の種類のエンジンに用いられる
ものでも良く、更に、直列4気筒タイプ用、或いは多気
筒タイプ用のものに限られるものでもない。
【0078】このように、本発明は、以上の実施態様に
限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲に
おいて、種々の改良あるいは設計上の変更が可能である
ことは言うまでもない。
限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲に
おいて、種々の改良あるいは設計上の変更が可能である
ことは言うまでもない。
【0079】
【発明の効果】本願請求項1の発明に係る摩擦攪拌用回
転工具によれば、工具本体部の軸線を含む縦断面におけ
る周縁形状が略V字状に設定された溝部が、工具先端部
の先細り状の円錐テーパ部表面に螺旋状に設けられ、該
溝部は反挿入側斜面の面積が挿入側斜面の面積以上とな
るように設定されているので、摩擦攪拌時、高速回転状
態の工具先端部を処理対象部材の表面部に対して押圧し
進入させて行く際、工具先端部を螺旋状に設けられた溝
部のねじ込み方向と逆方向に回転させることにより、摩
擦攪拌によって溝部内及びその近辺に生じた塑性流動層
の反挿入側への流動抑制効果がより大きくなり、処理対
象部材の摩擦攪拌部分をショルダ部で押さえ込まなくて
も、その塑性流動層が表面側に盛り上がることを有効に
抑制できる。従って、工具本体部の下端側に設けられた
ショルダ部による不要な摩擦攪拌を伴う従来の回転工具
を用いる場合に生じ得る前述の不具合を解消でき、所要
の処理深さを確保した上で比較的狭い範囲を摩擦攪拌す
ることができるようになる。特に、工具先端部は先細り
状の円錐テーパ部を有し、略V字状の溝部はこの円錐テ
ーパ部表面に螺旋状に設けられているので、摩擦攪拌時
の処理幅をより狭く、且つ、処理深さをより深くでき、
しかも、塑性流動層の表面側への盛り上がりをより有効
に抑制できるようになる。
転工具によれば、工具本体部の軸線を含む縦断面におけ
る周縁形状が略V字状に設定された溝部が、工具先端部
の先細り状の円錐テーパ部表面に螺旋状に設けられ、該
溝部は反挿入側斜面の面積が挿入側斜面の面積以上とな
るように設定されているので、摩擦攪拌時、高速回転状
態の工具先端部を処理対象部材の表面部に対して押圧し
進入させて行く際、工具先端部を螺旋状に設けられた溝
部のねじ込み方向と逆方向に回転させることにより、摩
擦攪拌によって溝部内及びその近辺に生じた塑性流動層
の反挿入側への流動抑制効果がより大きくなり、処理対
象部材の摩擦攪拌部分をショルダ部で押さえ込まなくて
も、その塑性流動層が表面側に盛り上がることを有効に
抑制できる。従って、工具本体部の下端側に設けられた
ショルダ部による不要な摩擦攪拌を伴う従来の回転工具
を用いる場合に生じ得る前述の不具合を解消でき、所要
の処理深さを確保した上で比較的狭い範囲を摩擦攪拌す
ることができるようになる。特に、工具先端部は先細り
状の円錐テーパ部を有し、略V字状の溝部はこの円錐テ
ーパ部表面に螺旋状に設けられているので、摩擦攪拌時
の処理幅をより狭く、且つ、処理深さをより深くでき、
しかも、塑性流動層の表面側への盛り上がりをより有効
に抑制できるようになる。
【0080】また、本願請求項2の発明に係る摩擦攪拌
用回転工具によれば、工具本体部の軸線を含む縦断面に
おける周縁形状が略V字状に設定された溝部が、工具先
端部の先細り状の円錐テーパ部表面に螺旋状に設けら
れ、上記縦断面内において、上記溝部の底部を通る溝底
部中心線と工具本体部軸線に直交する軸直交線とのなす
角度が、上記円錐テーパ部の工具本体部軸線に対する傾
斜角度以下に設定されていることにより、上記溝部の反
挿入側斜面の面積を挿入側斜面の面積以上に設定するこ
とができる。その結果、摩擦攪拌時、高速回転状態の工
具先端部を処理対象部材の表面部に対して押圧し進入さ
せて行く際、工具先端部を螺旋状に設けられた溝部のね
じ込み方向と逆方向に回転させることにより、摩擦攪拌
によって溝部内及びその近辺に生じた塑性流動層の反挿
入側への流動抑制効果がより大きくなり、処理対象部材
の摩擦攪拌部分をショルダ部で押さえ込まなくても、そ
の塑性流動層が表面側に盛り上がることを有効に抑制で
きる。従って、工具本体部の下端側に設けられたショル
ダ部による不要な摩擦攪拌を伴う従来の回転工具を用い
る場合に生じ得る前述の不具合を解消でき、所要の処理
深さを確保した上で比較的狭い範囲を摩擦攪拌すること
ができるようになる。特に、工具先端部は先細り状の円
錐テーパ部を有し、略V字状の溝部はこの円錐テーパ部
表面に螺旋状に設けられているので、摩擦攪拌時の処理
幅をより狭く、且つ、処理深さをより深くでき、しか
も、塑性流動層の表面側への盛り上がりをより有効に抑
制できるようになる。
用回転工具によれば、工具本体部の軸線を含む縦断面に
おける周縁形状が略V字状に設定された溝部が、工具先
端部の先細り状の円錐テーパ部表面に螺旋状に設けら
れ、上記縦断面内において、上記溝部の底部を通る溝底
部中心線と工具本体部軸線に直交する軸直交線とのなす
角度が、上記円錐テーパ部の工具本体部軸線に対する傾
斜角度以下に設定されていることにより、上記溝部の反
挿入側斜面の面積を挿入側斜面の面積以上に設定するこ
とができる。その結果、摩擦攪拌時、高速回転状態の工
具先端部を処理対象部材の表面部に対して押圧し進入さ
せて行く際、工具先端部を螺旋状に設けられた溝部のね
じ込み方向と逆方向に回転させることにより、摩擦攪拌
によって溝部内及びその近辺に生じた塑性流動層の反挿
入側への流動抑制効果がより大きくなり、処理対象部材
の摩擦攪拌部分をショルダ部で押さえ込まなくても、そ
の塑性流動層が表面側に盛り上がることを有効に抑制で
きる。従って、工具本体部の下端側に設けられたショル
ダ部による不要な摩擦攪拌を伴う従来の回転工具を用い
る場合に生じ得る前述の不具合を解消でき、所要の処理
深さを確保した上で比較的狭い範囲を摩擦攪拌すること
ができるようになる。特に、工具先端部は先細り状の円
錐テーパ部を有し、略V字状の溝部はこの円錐テーパ部
表面に螺旋状に設けられているので、摩擦攪拌時の処理
幅をより狭く、且つ、処理深さをより深くでき、しか
も、塑性流動層の表面側への盛り上がりをより有効に抑
制できるようになる。
【0081】更に、本願請求項3の発明によれば、基本
的には、上記請求項2の発明と同様の効果を奏すること
ができる。特に、上記工具本体部の軸線を含む縦断面内
において、上記溝部の底部を通る溝底部中心線と工具本
体部軸線に直交する軸直交線とのなす角度が、実質的に
零度に設定されていることにより、同一方向に螺設され
た上記略V字状溝部について、その反挿入側斜面の面積
を実質的に最大化することができ、より一層高い効果を
奏することが可能になる。
的には、上記請求項2の発明と同様の効果を奏すること
ができる。特に、上記工具本体部の軸線を含む縦断面内
において、上記溝部の底部を通る溝底部中心線と工具本
体部軸線に直交する軸直交線とのなす角度が、実質的に
零度に設定されていることにより、同一方向に螺設され
た上記略V字状溝部について、その反挿入側斜面の面積
を実質的に最大化することができ、より一層高い効果を
奏することが可能になる。
【0082】また更に、本願請求項4の発明に係る処理
方法によれば、軽金属部材どうしを摩擦攪拌法にて接合
するに際して、上記請求項1〜3の何れか一の発明と同
様の効果を奏することができる。
方法によれば、軽金属部材どうしを摩擦攪拌法にて接合
するに際して、上記請求項1〜3の何れか一の発明と同
様の効果を奏することができる。
【0083】また更に、本願請求項5の発明に係る処理
方法によれば、軽金属部材の所定の表面部に摩擦攪拌法
にて表面改質処理を施すに際して、上記請求項1〜3の
何れか一の発明と同様の効果を奏することができる。
方法によれば、軽金属部材の所定の表面部に摩擦攪拌法
にて表面改質処理を施すに際して、上記請求項1〜3の
何れか一の発明と同様の効果を奏することができる。
【0084】また更に、本願請求項6の発明によれば、
基本的には、上記請求項5の発明と同様の効果を奏する
ことができる。特に、アルミニウム合金鋳物製のエンジ
ンシリンダヘッドの吸排気ポート間の表面部に対し(所
謂、弁間部に対し)、摩擦攪拌処理法によってより効果
的な表面改質処理を効率良く施すことが可能になる。
基本的には、上記請求項5の発明と同様の効果を奏する
ことができる。特に、アルミニウム合金鋳物製のエンジ
ンシリンダヘッドの吸排気ポート間の表面部に対し(所
謂、弁間部に対し)、摩擦攪拌処理法によってより効果
的な表面改質処理を効率良く施すことが可能になる。
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る摩擦攪拌用
回転工具(タイプI)の正面説明図である。
回転工具(タイプI)の正面説明図である。
【図2】 上記回転工具の底面説明図である。
【図3】 上記回転工具の工具先端部を拡大して示す正
面説明図である。
面説明図である。
【図4】 上記工具先端部のネジ状溝部の一部を拡大し
て示す断面説明図である。
て示す断面説明図である。
【図5】 本発明の第2の実施の形態に係る摩擦攪拌用
回転工具(タイプII)の工具先端部を拡大して示す正
面説明図である。
回転工具(タイプII)の工具先端部を拡大して示す正
面説明図である。
【図6】 試験1に用いた比較例に係る回転工具の本体
部下端側及び工具先端部を示す正面説明図である。
部下端側及び工具先端部を示す正面説明図である。
【図7】 上記タイプIIの回転工具のシリンダヘッド
弁間部の表面部への押し込み状態を模式的に示す説明図
である。
弁間部の表面部への押し込み状態を模式的に示す説明図
である。
【図8】 試験1においてタイプIIの回転工具により
摩擦攪拌処理を施した表面処理部の断面状態を拡大して
示す断面説明図である。
摩擦攪拌処理を施した表面処理部の断面状態を拡大して
示す断面説明図である。
【図9】 試験1において比較例の回転工具により摩擦
攪拌処理を施した表面処理部の断面状態を拡大して示す
断面説明図である。
攪拌処理を施した表面処理部の断面状態を拡大して示す
断面説明図である。
【図10】 試験2においてタイプIの回転工具により
22.5mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表
面処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
22.5mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表
面処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
【図11】 試験2においてタイプIの回転工具により
70mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表面処
理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
70mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表面処
理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
【図12】 試験2においてタイプIの回転工具により
150mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表面
処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
150mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表面
処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
【図13】 試験2においてタイプIIの回転工具によ
り22.5mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した
表面処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図であ
る。
り22.5mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した
表面処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図であ
る。
【図14】 試験2においてタイプIIの回転工具によ
り70mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表面
処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
り70mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表面
処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
【図15】 試験2においてタイプIIの回転工具によ
り150mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表
面処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
り150mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表
面処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
【図16】 試験2においてタイプIIの回転工具によ
り320mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表
面処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
り320mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表
面処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
【図17】 試験2においてタイプIIの回転工具によ
り470mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表
面処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
り470mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表
面処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
【図18】 試験2においてタイプIIの回転工具によ
り750mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表
面処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
り750mm/分の処理速度で摩擦攪拌処理を施した表
面処理部の断面状態を拡大して示す断面説明図である。
【図19】 本発明の実施の形態に係るシリンダヘッド
の鋳造素材のシリンダブロックとの合せ面を概略的に示
す平面説明図である。
の鋳造素材のシリンダブロックとの合せ面を概略的に示
す平面説明図である。
【図20】 従来例に係る回転工具による摩擦攪拌処理
法を説明するための斜視図である。
法を説明するための斜視図である。
【図21】 上記従来例に係る回転工具のシリンダヘッ
ド弁間部の表面部への押し込み状態を模式的に示す説明
図である。
ド弁間部の表面部への押し込み状態を模式的に示す説明
図である。
10,20…回転工具
11,21…工具本体部
12,22…工具先端部
14,24…円錐テーパ部
15,25…溝部
15a…溝部の反挿入側斜面
15b…溝部の挿入側斜面
CH…シリンダヘッド鋳造部材
Ec…排気ポート(鋳抜き穴)
Kc…吸気ポート(鋳抜き穴)
Lb…工具本体部の軸線
Lv…溝底部中心線
Ly…軸直交線
α,α1…溝底部中心線の軸直交線に対する角度
β,β1…円錐テーパ部の工具本体部軸線に対する傾斜
角度
角度
Claims (6)
- 【請求項1】 略柱状の工具本体部と、 該工具本体部の先端側に同軸に設けられ、先細り状の円
錐テーパ部を有する工具先端部と、 該工具先端部の円錐テーパ部表面に螺旋状に設けられ、
工具本体部の軸線を含む縦断面における周縁形状が略V
字状に設定された溝部と、を備え、 該溝部は、反挿入側斜面の面積が挿入側斜面の面積以上
となるように設定されており、 上記工具先端部を、上記螺旋状に設けられた略V字状溝
部のねじ込み方向と逆方向に回転させて使用される、こ
とを特徴とする摩擦攪拌用回転工具。 - 【請求項2】 略柱状の工具本体部と、 該工具本体部の先端側に同軸に設けられ、先細り状の円
錐テーパ部を有する工具先端部と、 該工具先端部の円錐テーパ部表面に螺旋状に設けられ、
工具本体部の軸線を含む縦断面における周縁形状が略V
字状に設定された溝部と、を備え、 上記縦断面内において、上記溝部の底部を通る溝底部中
心線と工具本体部軸線に直交する軸直交線とのなす角度
が、上記円錐テーパ部の工具本体部軸線に対する傾斜角
度以下に設定されており、 上記工具先端部を、上記螺旋状に設けられた略V字状溝
部のねじ込み方向と逆方向に回転させて使用される、こ
とを特徴とする摩擦攪拌用回転工具。 - 【請求項3】 上記工具本体部の軸線を含む縦断面内に
おいて、上記溝部の底部を通る溝底部中心線と工具本体
部軸線に直交する軸直交線とのなす角度が、実質的に零
度に設定されていることを特徴とする請求項2記載の摩
擦攪拌用回転工具。 - 【請求項4】 軽金属部材どうしを摩擦攪拌法にて接合
するに際し、請求項1〜3の何れか一に記載された回転
工具を用いて上記軽金属部材どうしの接合部を摩擦攪拌
処理することを特徴とする処理方法。 - 【請求項5】 軽金属部材の所定の表面部に摩擦攪拌法
にて表面改質処理を施すに際し、請求項1〜3の何れか
一に記載された回転工具を用いて上記軽金属部材の所定
の表面部を摩擦攪拌処理することを特徴とする処理方
法。 - 【請求項6】 上記軽金属部材がアルミニウム合金鋳物
製のエンジンシリンダヘッドであり、上記所定の表面部
が吸排気ポート間の表面部であることを特徴とする請求
項5記載の処理方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001334752A JP2003136256A (ja) | 2001-10-31 | 2001-10-31 | 摩擦攪拌用回転工具及びそれを用いた処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001334752A JP2003136256A (ja) | 2001-10-31 | 2001-10-31 | 摩擦攪拌用回転工具及びそれを用いた処理方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003136256A true JP2003136256A (ja) | 2003-05-14 |
Family
ID=19149838
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001334752A Pending JP2003136256A (ja) | 2001-10-31 | 2001-10-31 | 摩擦攪拌用回転工具及びそれを用いた処理方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2003136256A (ja) |
Cited By (14)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2001
- 2001-10-31 JP JP2001334752A patent/JP2003136256A/ja active Pending
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