JP2003138410A - 耐切創性に優れた防水手袋 - Google Patents

耐切創性に優れた防水手袋

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JP2003138410A
JP2003138410A JP2002010744A JP2002010744A JP2003138410A JP 2003138410 A JP2003138410 A JP 2003138410A JP 2002010744 A JP2002010744 A JP 2002010744A JP 2002010744 A JP2002010744 A JP 2002010744A JP 2003138410 A JP2003138410 A JP 2003138410A
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fiber
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core
resin
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Hideo Nakamura
英夫 中村
Takeshi Hatano
武 波多野
Tsutomu Yamamoto
勉 山本
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Du Pont Toray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐切創性に優れ、風合いがよく、ピンホール
が実質的にない防水手袋を汎用的に提供すること。 【解決手段】 高強力有機繊維の短繊維束を含み、その
表面における3mm以上の毛羽数が0本/10m、1m
m以上3mm未満の毛羽数が100本/10m以下であ
る糸から構成されている手袋であって、その表面が樹脂
で被覆されていることを特徴とする耐切創性に優れ、ピ
ンホールが実質的にない防水手袋。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐切創性に優れ、
風合いがよく、ピンホールが実質的にない防水手袋に関
する。
【0002】
【従来の技術】短繊維束(以下、スパン糸ともいう)を
用いて作製された編み手袋または縫製手袋等の手袋に防
水性を付与するため、天然または合成ラテックスを手袋
表面に被覆するディップ加工が一般的に行われている。
しかし、スパン糸表面には通常、毛羽があり、その毛羽
立ちが原因で樹脂被膜にピンホールと呼ばれる微小な孔
が発生することがある。使用される繊維が通常の合成繊
維や天然繊維の場合、前記ピンホールはほとんど問題に
ならないが、剛性の高い高強力有機繊維を用いた場合、
ピンホールの発生が顕著になる。そこで、このピンホー
ルを回避するために、表面が平滑である長繊維束(以
下、フィラメント糸という)を用いて手袋を作製し、樹
脂被膜を形成することが考えられる。しかしながら、高
強力有機繊維のフィラメント糸は太繊度の製品が主流で
あり、これらのフィラメント糸で構成された手袋は、風
合いがわるく、長時間の装着には適していない。そこ
で、細繊度の糸が求められるのであるが、高強力有機繊
維の細繊度フィラメント糸は、その工業的にはほとんど
製造されておらず、製品が極めて高価となるため、それ
を用いて構成される手袋を汎用的なコストで提供するこ
とができない。そのため、やはり防水性手袋においては
細繊度の糸が生産性よく安価に得られるスパン糸を使用
することが好ましい。しかるに、高強力有機繊維のスパ
ン糸を使用する際には、前述したピンホールの問題があ
るため、耐切創性と防水機能を兼ね備え、着用感にも優
れた汎用手袋を実現することは極めて困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐切創性に
優れ、風合いがよく、ピンホールが実質的にない防水手
袋を汎用的に提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく、種々の糸について試行錯誤の検討を行っ
た結果、芯成分に高強力有機繊維を含む短繊維束を使用
し、鞘成分がフィラメント糸または毛焼きが可能な短繊
維束からなる芯鞘型複合糸で作製される手袋であり、そ
の表面が樹脂で被覆されている手袋の創製に成功すると
共に、当該手袋が上記問題を一挙に解決することを見出
した。さらに本発明者らは検討を重ね、手袋を構成する
糸として、3mm以上の毛羽数が0本/10m、1mm
以上3mm未満の毛羽数が約100本/10m以下であ
る高強力有機繊維を含むスパン糸を用いれば、風合いが
よく、その結果、長時間の装着にも適していて、さらに
樹脂被膜にピンホールが実質的になく、耐切創性に優れ
た手袋を得ることができることも知見した。さらに検討
を重ね、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、(1)高強力有機繊
維の短繊維束を含み、その表面における3mm以上の毛
羽数が0本/10m、1mm以上3mm未満の毛羽数が
100本/10m以下である糸から構成されている手袋
であって、その表面が樹脂で被覆されていることを特徴
とする耐切創性に優れ、ピンホールが実質的にない防水
手袋、(2)手袋を構成する糸が、高強力有機繊維の短
繊維束のみからなることを特徴とする前記(1)に記載
の防水手袋、(3)手袋を構成する糸が、その最外層部
表面が毛焼きされている高強力有機繊維の短繊維束であ
ることを特徴とする前記(2)に記載の防水手袋、
(4)手袋を構成する糸が、紡績時にその表面の毛羽を
軽減する処理がなされている高強力有機繊維の短繊維束
であることを特徴とする前記(2)に記載の防水手袋、
(5)手袋を構成する糸が、樹脂でサイジングされてい
る高強力有機繊維の短繊維束であることを特徴とする前
記(2)に記載の防水手袋、に関する。
【0006】また、本発明は、(6)手袋を構成する糸
が、高強力有機繊維を含む短繊維束からなる芯成分と、
フィラメント糸からなる鞘成分とからなる芯鞘型複合糸
であることを特徴とする前記(1)に記載の防水手袋、
(7)手袋を構成する糸が、高強力有機繊維を含む短繊
維束からなる芯成分と、毛焼き可能な短繊維束からなる
鞘成分とからなる芯鞘型複合糸であり、かつ、鞘成分が
毛焼きされていることを特徴とする前記(1)に記載の
防水手袋、(8)毛焼き可能な短繊維束が、コットン、
ポリエチレンテレフタレート繊維および高強力ポリビニ
ルアルコール繊維からなる群から選ばれる少なくとも1
以上の繊維からなることを特徴とする前記(7)に記載
の手袋、(9)芯成分/鞘成分重量比が、100/0を
超えて、0/100未満であることを特徴とする前記
(6)〜(8)に記載の手袋、に関する。
【0007】また、本発明は、(10)高強力有機繊維
が、芳香族ポリアミド繊維またはポリパラフェニレンベ
ンゾビスオキサゾール繊維であることを特徴とする前記
(1)〜(9)に記載の手袋、(11)芳香族ポリアミ
ド繊維が、メタ系アラミド繊維またはパラ系アラミド繊
維であることを特徴とする前記(10)に記載の手袋、
(12)芳香族ポリアミド繊維が、ポリパラフェニレン
テレフタルアミド繊維であることを特徴とする前記(1
0)に記載の手袋、(13)樹脂が、アクリロニトリル
−ブタジエンゴムであることを特徴とする前記(1)に
記載の手袋、(14)手袋が、編み手袋または縫製手袋
であることを特徴とする前記(1)に記載の手袋、に関
する。
【0008】さらに、本発明は、(15)芯成分が高強
力有機繊維を含む短繊維束であり、鞘成分がフィラメン
ト糸または毛焼き可能な短繊維束からなる芯鞘型複合糸
から構成されている手袋であって、さらにその表面が樹
脂で被覆されていることを特徴とする耐切創性に優れ、
ピンホールが実質的にない防水手袋、(16)高強力有
機繊維が、芳香族ポリアミド繊維またはポリパラフェニ
レンベンゾビスオキサゾール繊維であることを特徴とす
る(15)に記載の手袋、(17)芳香族ポリアミド繊
維が、メタ系アラミド繊維またはパラ系アラミド繊維で
あることを特徴とする(16)に記載の手袋、(18)
芳香族ポリアミド繊維が、ポリパラフェニレンテレフタ
ルアミド繊維であることを特徴とする(16)に記載の
手袋、(19)毛焼き可能な短繊維束が、コットン、ポ
リエチレンテレフタレート繊維または高強力ポリビニル
アルコール繊維からなることを特徴とする(15)に記
載の手袋、に関する。
【0009】また、本発明は、(20)樹脂が、アクリ
ロニトリル−ブタジエンゴムであることを特徴とする
(15)に記載の手袋、(21)芯成分/鞘成分重量比
が、100/0を超えて、0/100未満であることを
特徴とする(15)に記載の手袋、(22)手袋が、編
み手袋または縫製手袋であることを特徴とする(15)
に記載の手袋、に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係る手袋は、高強力有機
繊維の短繊維束を含み、その表面における3mm以上の
毛羽数が0本/10m、1mm以上3mm未満の毛羽数
が約100本/10m以下である糸から構成されている
手袋であって、さらに手袋表面を樹脂で被覆されている
ことを特徴とする。本発明にかかる手袋は、上記の構成
要件を満たしていれば、どのような手袋であってもかま
わない。また、本明細書中、短繊維束とは、短繊維を収
束させて束状としたものの意味であって、紡績糸はもち
ろん、紡績糸を製造する途中段階で得られるスライバー
や粗糸をも含んでいる。
【0011】本発明で用いられる高強力有機繊維として
は、パラ系アラミド繊維またはメタ系アラミド繊維等の
芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポ
リパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊
維(以下PBO繊維と略す)、ポリベンズイミダゾール
繊維等のヘテロ環高性能繊維および高強力ポリビニルア
ルコール系繊維などが、好適な例として挙げられる。中
でも、芳香族ポリアミド繊維またはPBO繊維が好まし
く用いられる。
【0012】上記芳香族ポリアミド繊維は、別名アラミ
ド繊維とも呼ばれており、パラ系アラミド繊維またはメ
タ系アラミド繊維に大別できる。これらアラミド繊維
は、公知またはそれに準ずる方法で製造できる。また、
パラ系アラミド繊維としては、例えばポリパラフェニレ
ンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、
商品名ケブラー)およびコポリパラフェニレン−3,
4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人
株式会社製、商品名テクノーラ)等の市販品を用いても
よく、メタ系アラミド繊維としては、例えばポリメタフ
ェニレンテレフタルアミド繊維(デュポン株式会社製、
商品名ノーメックス)等の市販品を用いてもよい。中で
も、本発明においては、高強力有機繊維として、パラ系
アラミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミ
ド繊維を用いるのがより好ましい。
【0013】上記ヘテロ環高性能繊維としては、例え
ば、ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾール(PBZ
T)繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール
(PBO)繊維またはポリベンズイミダゾール繊維等が
挙げられる。ヘテロ環高性能繊維は、公知またはそれに
準ずる方法で製造でき、また、例えば市販の繊維(例え
ば、東洋紡株式会社製、商品名ザイロンなどのPBO繊
維)等を用いることもできる。
【0014】上記全芳香族ポリエステル繊維としては、
例えばパラヒドロキシ安息香酸の自己縮合ポリエステ
ル、テレフタル酸とハイドロキノンからなるポリエステ
ル、またはパラヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸からなるポリエステルからなる繊維など
が挙げられる。全芳香族ポリエステル繊維は、公知また
はそれに準ずる方法で製造でき、また、例えばベクトラ
ン(商品名、株式会社クラレ製)などの市販品を用いる
こともできる。
【0015】上記高強力ポリビニルアルコール系繊維
は、下記のようなポリビニルアルコール(以下「PV
A」と略す)から構成される。PVAとしては、例え
ば、ポリ酢酸ビニル(ポリビニルアセテート)をアルコ
ールに溶かし、アルカリ(例えば、水酸化ナトリウムま
たは水酸化カリウムなど)を加えて鹸化するなど、自体
公知の方法により製造されたものを用いてもよい。ま
た、本発明で用いるPVAとして、自体公知の方法によ
り変性させた変性PVAを用いてもよく、また、本発明
の目的を損なわない限りにおいて、PVAを主成分とす
る共重合体であっても構わない。
【0016】本発明にかかる手袋を構成する糸は、上記
した高強力有機繊維を含む短繊維束であれば、残りの成
分として、どのような成分を含んでいても良い。しか
し、耐切創性を確保できる程度に、高強力有機繊維を含
むことが好ましく、そのような範囲としては、手袋を構
成する糸の全重量に対し、約20〜90重量%程度であ
ることが望ましい。また、残りの成分としては、高強力
有機繊維と混紡可能な繊維である公知の繊維を用いるこ
とができ、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維
等の合成繊維が挙げられる。
【0017】本発明にかかる手袋を構成する糸(以下、
単に構成糸という)は、上述のような高強力有機繊維の
短繊維束を含み、その表面における3mm以上の毛羽数
が0本/10m、1mm以上3mm未満の毛羽数が約1
00本/10m以下であることを特長とする。より好ま
しくは、表面に毛羽が実質的にない糸を用いる。ここ
で、糸表面の毛羽は、JIS L 1095,7.2
2.2 B法に従い、毛羽カウンター「フライカウンタ
ー モデルDT−104」(東レエンジニアリンク株式
会社製)を用いて、糸速度25m/分で、1,3,5,
7mmの毛羽本数を測定し、糸10mあたりのそれぞれ
の本数として得られる。かかる特長を有する構成糸の具
体的態様としては、(a)芯鞘型複合糸または(b)高
強力有機繊維のみからなる短繊維束が挙げられる。以下
に、それぞれの態様について詳述する。
【0018】まず、構成糸の一態様である芯鞘型複合糸
について説明する。芯鞘型複合糸の芯成分は、高強力有
機繊維を含む短繊維束であることが好ましく、該高強力
有機繊維としては、前記した繊維が好ましく使用され
る。
【0019】芯鞘型複合糸の鞘成分は、フィラメント糸
でも短繊維束でもかまわず、公知の方法に従って作るこ
とが可能である。鞘成分になるフィラメント糸として
は、どのような繊維を用いてもかまわないが、本発明の
目的である耐切創性に積極的に寄与しうるような繊維で
あることが好ましい。このような繊維としては、例えば
高強力PVA繊維等が挙げられる。
【0020】鞘成分になる短繊維束としては、その毛羽
を焼却除去する毛焼きおよび/または毛羽を寝かせた状
態で固定する熱セットが可能である繊維であれば、どの
ようなものでもかまわない。例えば、コットン、麻また
は羊毛等の天然繊維、ナイロン、高強力PVAまたはポ
リエステル等の合成繊維、またはこれらの組み合わせか
らなる繊維等が挙げられる。中でも、コットン、ポリエ
チレンテレフタレート繊維または高強力PVA繊維が、
鞘成分として好適に用いられる。
【0021】本発明に係る芯鞘型複合糸の芯成分または
鞘成分を構成する短繊維束は、糸の原料となる短繊維を
通常の短繊維紡績工程である打綿、梳綿、練条、粗紡、
精紡の各工程を通すことにより作成されるスライバーや
粗糸、さらには紡績糸であってよい。また、繊維長を長
くして(約76〜160mm程度)、一般のソ毛紡績を
通して得られるスライバーや粗糸、さらには紡績糸を用
いてもよい。紡績糸の場合、撚り方向はS、Zいずれで
も良いが、撚り係数は一般の紡績糸よりやや低めである
ことが耐切創性、耐摩耗性の点で望ましい。また、芯成
分、鞘成分ともに単繊維繊度は、特に限定されない。
【0022】本発明で用いられる鞘成分を形成するフィ
ラメント糸は、公知またはそれに準ずる方法で製造でき
る。例えば、ゲル紡糸、液晶紡糸、溶融紡糸、湿式紡糸
または乾式紡糸等の方法が挙げられる。
【0023】本発明で用いられる芯成分または鞘成分を
形成する短繊維束の製造方法は、公知またはそれに準ず
る方法で製造できる。短繊維束は、紡績工程を経ること
によって作製され、例えば綿糸紡績法、ソ毛紡績法また
はトウ紡績法等が挙げられる。
【0024】該短繊維束を製造する好ましい方法として
は、例えば原料となるフィラメント糸をカットして短繊
維(ステープル)にする。ここでステープル化は、公知
の手段により行われてよく、例えば平均繊維長±約13
mm程度のバリアブルカットによっても行われてもよ
く、長繊維を把持した一対以上のローラ間の速度差によ
ってカットする牽切方式によりステープル化する方法に
よってもよい。原料となる短繊維を打綿して繊維塊をほ
ぐした後、短繊維を櫛でけずり、繊維長をそろえて平行
にならべる。ローラ間でドラフトをかけて細くし、均等
な太さのスライバー(繊維束)を作る練条を行う。次い
で、ドラフトをかけて細い粗糸をつくる粗紡を行い、ド
ラフトをかけて所望の太さの糸を作る精紡を行うこと
で、短繊維束を作製することができる。
【0025】該短繊維束を製造するさらに好ましい方法
としては、以下に示すような方法が挙げられる。例えば
パラ系アラミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタ
ルアミドと濃硫酸から紡糸用ドープをつくり、該ドープ
を紡糸口金の細孔を通して一旦空気中に紡出し、直ちに
水中に導き凝固させ、フィラメントを形成する。得られ
たパラ系アラミド繊維フィラメントをクリンパーにかけ
て、捲縮を与え、紡績に適した長さ、例えば通常スクエ
アカットにより、例えば約38〜152mm程度にカッ
トして、パラ系アラミド繊維ステープルを得る。得られ
たステープルを梳綿機に通し、スライバーを形成し、該
スライバーを平行にならべるために練条機に通す。練条
機に通されたスライバーを粗紡機にかけて、粗糸を得た
後、最後に精紡機にかけて、短繊維束を得る。
【0026】本発明に係る芯鞘型複合糸を得る方法とし
ては、(a)芯成分と短繊維束である鞘成分からなる二
層構造糸を紡績する方法、(b)芯成分にフィラメント
糸である鞘成分を巻きつけてカバリングする方法、
(c)芯成分の周りを、フィラメント糸である鞘成分で
製紐する方法、または(d)芯成分をスパン糸である鞘
成分で製紐する方法が考えられる。
【0027】本発明に係る芯鞘型複合糸の製造方法は、
公知の方法に従ってよく、特に限定されるものではない
が、好ましくは次のような方法によって製造するとよ
い。
【0028】前記(a)の方法である芯成分と鞘成分を
紡績によって複合する方法は、公知の手段に従ってよ
い。例えば、芯および鞘成分がスライバーや粗糸の場合
には、例えば一対のテーパーローラーからなるフロント
トップローラーおよびフロントボトムローラーを有する
リング精紡機により、ガイドを介してフロントローラー
の送り出し量の高い側へ通したエプロンドラフト後の鞘
成分と、送り出し量の低い側へ通したエプロンドラフト
後の芯成分を同時に精紡し、芯成分を中心に鞘成分を実
撚付与時に順次巻回させることにより、芯成分をこより
状に包み込む状態に糸形成させるようにすればよい。
【0029】前記(b)の方法である芯成分にフィラメ
ント糸である鞘成分を巻きつけてカバリングする方法
は、公知の手段に従ってよい。例えば、芯成分の周りに
こより状にフィラメント糸を巻きつけていく方法等が挙
げられる。かかる場合、鞘成分のフィラメント糸は、1
本でも、2本以上の複数本使用してもかまわない。
【0030】前記(c)および(d)の方法である芯成
分を鞘成分で製紐する方法は、公知の方法に従ってよ
く、特に限定されないが、通常は組紐機(製紐機)を用
いて行われる。例えば4本の鞘糸を準備し、右側または
左側の糸を交互に真中に配置させて芯糸の周りに組み上
げていく。製紐に用いる糸条の数は、4本に限らず、8
本、12本または16本の場合など目的に応じて変える
ことができる。
【0031】本発明に係る芯鞘型複合糸を作製するより
好ましい方法を、図面を用いて説明する。図1は、本発
明の芯鞘型複合糸を製造する精紡機において、ドラフ
ト、加撚する概要を示すものである。
【0032】精紡機にセットされた芯成分と鞘成分と
は、それぞれトランペット1,2を経てバックローラー
3に供給され、エプロンドラフト4を経た後、一対のフ
ロントテーパーローラー5a,5bに把持される。この
一対のフロントテーパーローラー5a,5bでは、それ
ぞれ送り出し量の高い側(径の大きい側)へはトランペ
ット1を介して鞘成分を供給し、送出し量の低い側(径
の小さい側)へはトランペット2を介して芯成分を供給
する。次いでフロントテーパーローラー5a,5bに把
持されながら出てきた芯成分、鞘成分を間隔約3〜15
mm程度の範囲にとって合体させ、芯成分に鞘成分を被
覆させながら、芯鞘型複合糸6を形成し、これにリン
グ、トラベラで実撚を付与しながら糸管7に巻き取る。
【0033】本発明に係る芯鞘型複合糸を作製するさら
に好ましい方法を、図面を用いて説明する。図2は芯成
分が紡績糸である場合の本発明にかかる芯鞘型複合糸を
製造する精紡機の概略図である。
【0034】上記と同様に、一対のフロントテーパーロ
ーラー5a,5bを有するリング精紡機において、その
フロントテーパーローラー5a,5bの送り出し量の低
い側(径の小さい側)に、フロントテーパートップロー
ラー5aとドラフトエプロン4との間からガイド8を介
して短繊維束の芯成分を送り込んで把持させるようにし
ている。一方、鞘成分は、粗糸Bをトランペット1から
バックローラ3に送り込み、通常のブレーキドラフト、
エプロンドラフトを行わせて、フリースに形成した後、
フロントテーパーローラー5a,5bの送り出し量の高
い側(径の大きい側)に把持させ、芯成分、鞘成分の間
隔を約3〜13mm程度の範囲にとって合体させ、芯成
分(紡績糸)に鞘成分のフリースを実撚付与時に順次巻
回させながら、芯成分をこより状に包み込む状態にして
芯鞘型複合糸6を形成させるようにする。合体時のヨリ
方向はS、Zいずれでも良いが、芯成分(紡績糸)と同
方向のヨリの場合には、芯鞘型複合糸はバルキー性が少
なくなる反面、耐切創性、耐摩耗性が向上するようにな
る。
【0035】本発明に係る芯鞘型複合糸の撚り方向とし
ては、S、Zのいずれでもよい。また、該芯鞘型複合糸
の単糸繊度(綿紡番手)は、特に限定されないが、例え
ば約110〜3340dtex(26.6〜11.8
番)程度、好ましくは約220〜450dtex(53
〜1.75番)程度の繊度である細い糸を用いるほう
が、手袋の柔軟性を向上することができる。
【0036】本発明において、芯鞘型複合糸に与える撚
り数は特に限定しないが、撚り数(t/25.4mm)
=K×(綿番手)1/2 の式で定められる撚り係数Kが、
約2.8〜4.5程度の範囲である撚り数にするのがよ
い。
【0037】本発明に係る芯鞘型複合糸は、芯成分/鞘
成分重量比が、100/0を超えて、0/100未満で
あることが好ましく、より好ましくは、20/80〜9
0/10、さらに好ましくは50/50〜90/10で
ある。本発明の目的である耐切創性が優れ、風合いのよ
い手袋を得るためには、上記範囲が好ましい。
【0038】以上述べてきた本発明で用いる芯鞘型複合
糸に対して、公知の後処理が行われてよい。特に、鞘成
分が毛焼きおよび/または熱セット可能な短繊維束から
なる場合は、その表面における3mm以上の毛羽数が0
本/10m、1mm以上3mm未満の毛羽数が約100
本/10m以下となるように、好ましくは表面の毛羽が
実質的になくなるように、毛焼きや熱セット処理を行う
ことが好ましい。前記毛焼き処理としては、例えば熱
板、ガス炎などによって毛羽を焼き取り除く手段(例え
ば特開昭49−25290)、耐火煉瓦のスリット内で
ガスを燃焼させ発生した高温ガスで毛羽を焼く手段(例
えば特公昭47−21635または特公昭51−388
39)、毛焼き後に裏面を水冷ロールで冷却する手段
(特開昭48−45687)等を便宜に採用することが
できる。また、毛焼き処理を行う機械としては、例えば
スイスSSM社製のヤーンシンジングマシン(SSMG
SX Yarn singeing machine)
等が挙げられ、これはガスバーナー方式での糸の直接毛
焼きを行う。この毛焼き処理は、糸の段階で行わず、手
袋を作製した後に該手袋に対し行ってもよい。例えば、
編成した手袋を手型に装着して毛焼釜を通過させる等し
てもよい。さらに縫製手袋の場合は、本発明の糸で織ら
れた布地を毛焼き処理することも可能である。また、熱
セットによる毛羽寝かせ固定は、加熱されたサンドが流
動するセットゾーンに糸を連続走行させる方式の連続式
糸セット機を用いるなどの公知の方法で行われる。
【0039】次に、構成糸の他の態様である高強力有機
繊維のみからなる短繊維束(スパン糸)について述べ
る。前記スパン糸は、1種類の高強力有機繊維からなっ
ていてもよいし、2種以上の高強力有機繊維からなって
いてもよい。かかるスパン糸は、例えばコンパクトスピ
ンと呼ばれる紡績技術によって作製することができる。
コンパクトスピン紡績技術としては、例えば特開平10
−025629等に開示されており、コンパクトスピン
紡績機としては、例えばドイツ・シュエッセン(Suesse
n)社の登録商標であるEliTeシステムをドラフト
ゾーンに適用して改造された従来から公知である各種の
精紡機、あるいはスイス・リーター(Rieter)社の登録
商標であるCOM4システムを備えた同社製K44型リ
ング精紡機などが挙げられる。
【0040】上記スパン糸は、高強力有機繊維を用いて
常法によりスパン糸を作製し、かかるスパン糸の表面を
平滑にすることによっても得られる。前記スパン糸の表
面を平滑にする方法としては、(x)糸を毛焼き処理に
付す方法、または(y)糸を樹脂でサイジングする方法
等が挙げられる。これらの処理は、通常の方法によって
作製されたスパン糸はもちろん、上述した芯鞘型複合糸
およびコンパクトスピン紡績技術によって作製されたス
パン糸等に施してもよい。
【0041】糸を毛焼き処理に付す方法(x)として
は、上述したような公知の方法に従ってよい。また、毛
焼き処理は、手袋を作製した後に該手袋に対して行って
もよいことは、上述の通りである。
【0042】糸に樹脂でサイジングする方法(y)は、
手袋を構成する糸表面に存在する毛羽を寝かせる程度に
糊剤を塗布すればよい。すなわち、樹脂によるサイジン
グは、高強力有機繊維の短繊維束全体を被覆または含浸
している必要はなく、前記短繊維束の表面の毛羽を寝か
せて接着できる必要最低限であることが望ましい。サイ
ジング方法は、公知の方法に従ってよく、サイジングす
るために使用される樹脂は、手袋表面に形成される樹脂
被膜と相性の良い樹脂、好ましくは非水溶性の樹脂を用
いることが好ましい。より具体的には、手袋表面に形成
される樹脂被膜が、アクリロニトリル−ブタジエンゴム
である場合、サイジング樹脂として、アクリロニトリル
−ブタジエン系ラテックス、例えば日本ゼオン製のニポ
ールSX1503を用いることが好ましい。
【0043】以上述べてきた構成糸を用いて手袋を作製
する。本発明の手袋は、編み手袋でも縫製手袋でもよ
い。また、5本指の手袋に限らず、ミトン型など目的に
より自由に選択することができる。
【0044】本発明の手袋は、手袋の内側(皮膚に接す
る面)と手袋の外側とに配置される糸条の単繊維繊度が
異なっていてもよい。特に、手袋の内側は細い単繊維、
具体的には約3.3dtex以下の単繊維からなる糸条
が配置され、手袋の外側は太い単繊維、具体的には約
3.3dtex以上の単繊維からなる糸条が配置されて
いる手袋が好ましい。かかる構造の手袋は、外側が太い
単繊維からなる糸条で構成されているので切創抵抗が向
上し、一方で内側が細い単繊維からなる糸条で構成され
ているのでチクチク感が低減する。
【0045】本発明の手袋は、公知の方法に従って製造
することができる。本発明にかかる編み手袋の好ましい
製造方法の具体的態様を、図面を用いて以下に示す。本
発明において用いる手袋11は、図示は省略したが編針
を摺動可能に収納したニードルベッドを前後に少なくと
も一対備えた横編機を用いて以下に示すようにして編成
される。まず、図3に示すように、前後のニードルベッ
ドの所定の編針に編糸をジグザグに供給して人指し指用
指袋13、中指用指袋14、薬指用指袋15、小指用指
袋16がそれぞれの先端部分から編み出され、人指し指
用指袋13、中指用指袋14、薬指用指袋15、小指用
指袋16の四本胴部分18、親指用指袋12および親指
用指袋12を加えた五本胴部分19を順次編成した後、
ゴム編みの挿入口20が編成され、この編地が横編機か
ら払い落とされる。しかして横編機から払い落とされた
編地の挿入口20の端部はオーバーロックミシンにより
解れ止め21が施されると手袋が形成される。
【0046】本発明の手袋は、上記のようにして作製さ
れた手袋の表面全体に樹脂を被覆することを特長として
いる。樹脂で被覆することにより、手袋に防水性が付与
される。さらに、滑りにくくなるという利点がある。ま
た、例えば、油や溶剤などの液状物、または埃や砂等の
粉粒物が手袋の編目から入り込むことが実質的になくな
るという利点も生じてくる。その結果、装着者が前記液
状物や粉粒物が入り込むことによる不快感を感じること
がなくなり、手袋や手を汚したりすることもなくなる。
さらに、加工樹脂を適宜選択すれば、耐水性、耐油性、
耐溶剤性または耐紫外線性など種々の性質を本発明に係
る手袋に与えることができる。
【0047】本発明にかかる手袋において、外側の樹脂
層の厚さは特に限定されない。通常は、約300μm程
度以下、より好ましくは約200μm程度以下である
が、被膜強度が許す限り薄くすることが望ましい。
【0048】本発明で用いられる樹脂被膜用の樹脂は、
特に限定されず、公知の樹脂、好ましくは可撓性樹脂、
より好ましくは熱可塑性樹脂を用いてよい。具体的に
は、例えば、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、好ま
しくは軟質塩化ビニル樹脂、ポリアクリロニトリル樹
脂、塩化ビニリデン樹脂、シリコーン樹脂、アクリロニ
トリル−ブタジエンゴム(以下NBRと略す)、アクリ
ルゴム、フッソゴム、クロロプレンゴム、合成ゴム、天
然ゴム、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂等が挙げ
られる。中でも、耐油性、低温特性、突刺抵抗等に優れ
たNBRが好ましく用いられる。また、塩化ビニル、塩
化ビニリデン等の塩素系の樹脂を樹脂被膜に使用する
と、樹脂中の可塑剤(例えば、フタル酸ジ−2−エチル
エキシル等)などが溶出する可能性あるので、食品分野
での使用には塩素系以外の樹脂、例えばNBRや天然ゴ
ム等の樹脂が好ましい。
【0049】例えば、樹脂で被覆する手袋の表地を構成
する糸の鞘成分として短繊維束が使用される場合には、
上述したように樹脂で被覆を行う前に糸の表面の毛羽を
焼く、いわゆる毛焼き処理が、この段階で行われてもよ
い。毛焼き後は、好ましくは水洗、乾燥する。また、構
成糸が高強力有機繊維のみからなるスパン糸であって、
表面の毛羽を少なくするために毛焼き処理を必要とする
場合も同様である。
【0050】本発明において、手袋表面に樹脂で被膜を
形成する方法は、公知方法に従って容易に行うことがで
きる。本発明に係る手袋は、例えば、手袋製造用の陶器
製または金属製の手型に、手袋を被せ、この手袋を被せ
た手型を樹脂の溶液または分散液(以下、「樹脂液」と
総称する。)に指先から手首部分まで浸漬し、その後引
き上げ、所望によりさらにこの操作を繰り返し、さらに
所望により脱溶剤用の水中に浸漬して、乾燥および脱型
することによって製造することができる。なお、樹脂液
における樹脂濃度または樹脂を浸漬する回数などによ
り、外側の樹脂の厚さを任意に調整することができる。
【0051】ここで、樹脂液において用いる溶媒または
分散媒は、樹脂の種類によって適宜選択することができ
る。具体的には、例えば、樹脂としてポリウレタン樹脂
を用いる場合、ジメチルホルムアミドまたはメチルエチ
ルケトンなどが挙げられる。また、樹脂液における樹脂
の濃度は、当技術分野の公知技術に基づき適宜選択する
ことができる。また、上記樹脂液に着色剤、酸化防止
剤、可塑剤、老化防止剤その他従来公知の各種添加剤を
所望により含有させることは何ら差支えない。
【0052】手袋に上記樹脂液を含浸させる方法として
は、樹脂液を満たした浴に手袋を被せた手型を浸漬させ
る方法を記載したが、本発明においてはこれに限定され
るものでなく、公知の方法を用いてよい。例えば、スプ
レー等用いて、手袋を被せた手型に上記樹脂液を吹き付
けるという方法が他の例として挙げられる。
【0053】上記乾燥工程は特に限定されず、乾燥時の
温度も、用いている繊維や樹脂液の種類などにより異な
るので一概には言えない。例えば、熱風や加熱炉などを
用いた比較的高温下での乾燥でもよいし、約30〜50
℃程度の保温室を用いる乾燥であってもよいし、室温で
の乾燥であっても良い。
【0054】上記方法において、手袋の内部に含浸する
樹脂の量を少なくするために、手袋を樹脂液に含浸させ
る工程の前に、公知の前処理を行ってもよい。上記前処
理としては、例えば、フッ素樹脂やシリコーン樹脂等で
撥油処理を行うこと等が例示される。
【0055】本発明に係る手袋をNBRラテックスで被
覆する際には、上記浸漬加工法が好適に用いられるが、
かかる方法の具体的態様としては、以下に示すような態
様が挙げられる。編み手袋をかぶせた手型を、所望によ
り例えば30重量%硝酸カルシウムのメタノール溶液等
の凝固液に浸漬してもよい。手型を凝固液から引き上げ
た後、または編み手袋を手型にかぶせた直後に、該手型
をNBRラテックスコンパウンド分散液に浸漬し、手型
表面にNBRラテックスの凝固膜を形成する。次いで、
手型をNBRラテックスコンパウンド分散液から引き上
げて加熱を行い、凝固膜をNBR成形被膜とする。最後
に、NBR成形被膜が形成された手袋を手型から脱離す
る。
【0056】本発明にかかる手袋は、耐切創性に優れ、
風合いがよく、防水性があるので、さまざまな分野で用
いることが可能である。例えば、食品分野、医療分野、
工業分野等、幅広く利用されることが可能である。
【0057】
【実施例】以下、実施例をあげて、本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれに限るものではない。な
お、実施例における耐切創性の値は、ISO 1399
7法に記載の試験方法により測定された値である。測定
において、刃はAmerican Safety Razor Co., 品番No.88
-0121を使用する。また、本実施例中のNBRラテック
スコンパウンドの原料および組成等は、以下に示すとお
りである。 (a)NBRラテックスコンパウンドの原料; NBRラテックス:Nippol LX551(日本ゼ
オン株式会社製) nBA−AN−AA共重合ラテックス:n−ブチルアク
リレートを94モル%、アクリロニトリルを5モル%、
アクリル酸を1モル%含む、数平均分子量約25万の共
重合体ラテックス (b)NBRラテックスコンパウンド分散液の組成;N
BRラテックスを80重量部、nBA−AN−AA共重
合ラテックスを20重量部、酸化亜鉛を2重量部、硫黄
を1重量部、加硫促進剤としてテトラエチルアンモニウ
ムクロライドを0.5重量部、老化防止剤としてN−
(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニ
レンジアミンを1重量部および顔料を適量混合した分散
【0058】〔実施例1〕芯成分として、東レ・デュポ
ン社製ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(商品
名 KEVLAR29)の単糸繊度1.67dtex、
捲縮数8山/25mm、捲縮度9%、繊維長51mmの
ステープルからなる短繊維束を、鞘成分として、特公平
6−33523に記載された方法で製造された高強力P
VA繊維の2.8dtex、51mmステープルからな
る短繊維束を用い、一対のフロントテーパーローラーを
有する2インチリング精紡機に仕掛け、鞘成分をトラン
ペットに通してフロントローラーの送り出し量の高い側
へバックローラーから供給し、フロントローラーの送り
出し量の低い供給側へ、芯成分をガイドに通して供給し
た。精紡トータルドラフトを16.2〜31.1倍に設
定し、得られる芯鞘型複合糸の番手を292dtex
(綿番手20s/1)、撚り係数はK=3.5(19.
2t/25.4mm)、撚り方はZ撚りとした。両糸条
の間隔を5mmになるように、トランペットとガイドの
間隔およびコレクターで調整した後、ドラフトし、合体
させ通常の方法で管糸に巻き取り、鞘成分が芯鞘型複合
糸に占める割合が30重量%で、芯成分が芯鞘型複合糸
に占める割合が70重量%であった。
【0059】得られた芯鞘型複合糸を、2本より合わせ
て、双糸292dtex×2(20/2)とした。この
双糸をシェーラー・シュヴァイター・メットラー社製の
「SSM−GSX ヤーンシンジングマシン」を用い、
糸速度1000m/分でガスバーナー部分を通過させて
毛羽焼きをした。毛焼き後の双糸表面の毛羽を、JIS
L 1095,7.22.2 B法に従い、毛羽カウ
ンター“フライカウンター モデルDT−104”(東
レエンジニアリング株式会社製)を用いて、糸速度25
m/分で毛羽本数を測定したところ、3mm以上の毛羽
は皆無であり、1mm以上3mm未満の毛羽も検知され
ない結果であった。ついで、毛焼き後の双糸を3本引き
そろえて、SFG−10ゲージタイプの手袋編機(株式
会社島精機製作所製)に供給して、10ゲージの手袋を
編みたてた。該手袋を陶器製手型に装着して、30重量
%の硝酸カルシウムを含むメタノール溶液に浸漬した
後、NBRラテックスコンパウンド分散液に30秒間浸
漬した。その後、該樹脂被膜手袋を水洗して、余分なN
BRラテックスコンパウンド分散液を落とし、130℃
で1時間加熱乾燥し、手型から外して、本発明の手袋を
得た。
【0060】得られた手袋を、装着してみると、肌ざわ
りがよく、細かい作業も容易にでき、長時間装着しても
疲労を感じなかった。さらに、耐切創性を確認するた
め、先に示したISO 13997に記載の方法で試験
を行ったところ、値は8.50Nを示し、耐切創性が高
いことがわかった。さらに、ピンホールの有無を確認す
るために、10%エタノール水溶液に0.5重量%のメ
チレンブルーを溶かした液を手袋内部に満たし棒にぶら
下げ、ぶら下げられた手袋を水で湿らせたろ紙にくる
み、30時間放置したが、ろ紙には青色斑点は全く生じ
ていなかった。このことから、得られた手袋には、ピン
ホールがないことが確認された。
【0061】〔実施例2〕実施例1と同様の紡績方法
で、芯成分に実施例1で用いたポリパラフェニレンテレ
フタルアミド繊維、鞘成分に木綿を用い、芯成分が60
重量%、鞘成分が40重量%の芯鞘型複合紡績糸双糸
(292dtex×2)と単糸(292dtex)を得
た。これら得られた芯鞘型複合紡績糸の双糸(292d
tex×2)1本と単糸(292dtex)1本を引き
揃えて、SFG−13ゲージタイプの手袋編機(株式会
社島精機製作所製)に供給して、13ゲージの手袋を編
みたてた。得られた手袋を陶器製手型に装着して炉内温
度800℃の毛焼き釜内を素早く通過させて毛焼きを行
った。手袋を作製する前に、手袋を構成する芯鞘型複合
紡績糸の表面の毛羽を、実施例1と同様にして測定した
ところ、7mm以上の毛羽0本/10m、5mm以上7
mm未満の毛羽 82本/10m、3mm以上5mm未
満の毛羽 645本/10m、1mm以上3mm未満の
毛羽 3115本/10mであった。しかし、上記のよ
うに毛焼きを行った手袋の表面をルーペで観察したとこ
ろ、目立った毛羽は見られなかった。
【0062】次いで実施例1と全く同じ方法で樹脂被膜
手袋を作製した。得られた手袋は、実施例1の手袋より
も薄手で、これを装着してみると柔らかくさらに細かい
作業が容易にできることがわかった。また、耐切創性と
ピンホールの有無を実施例1と同じ方法で確認した。切
創抵抗は、4.77Nで薄手の手袋としては耐切創性が
高い。またピンホールの有無を確認する試験でピンホー
ルがないことが確認された。
【0063】〔実施例3〕東レ・デュポン社製ポリパラ
フェニレンテレフタルアミド繊維(商品名 KEVLA
R29)の単糸繊度1.67dtex、捲縮数8山/2
5mm、捲縮度9%、繊維長51mmのステープルを用
い、通常の紡績工程を通してポリパラフェニレンテレフ
タルアミド繊維100%からなる295dtex(綿番
手 20s/1)のスパン糸を得た。得られた糸を常法
により2本撚り合わせて双糸とした。この双糸をシェー
ラー・シュヴァイター・メットラー社製の「SSM−G
SXヤーンシンジングマシン」を用い、糸速度600m
/分でガスバーナー部分を通過させて毛羽焼きした。得
られた糸は平滑な外観を有し、表面の毛羽をJISL
1095,7.22.2 B法に従い、毛羽カウンター
「フライカウンター モデルDT−104」(東レエン
ジニアリンク株式会社製)を用いて、糸速度25m/分
で毛羽本数を測定したところ、3mm以上の毛羽は皆
無、1mm以上3mm未満の毛羽は30本/10m以下
という結果であった。
【0064】この毛焼き処理した双糸を3本引きそろえ
て、SFG−10ゲージタイプの手袋編機(株式会社島
精機製作所製)に供給して、10ゲージの手袋を編みた
てた。該手袋を実施例1と全く同様にして樹脂被覆し、
本発明の手袋を得た。
【0065】得られた手袋を、装着してみると、肌ざわ
りがよく、細かい作業も容易にでき、長時間装着しても
疲労を感じなかった。また、耐切創性とピンホールの有
無を実施例1と同じ方法で確認した。その結果、耐切創
性の値は8.83Nを示し、耐切創性が高いことがわか
った。また、得られた手袋にはピンホールがないことが
確認された。
【0066】
【発明の効果】本発明の手袋は、高強力有機繊維を含ん
でいるので、耐切創性に優れており、スパン糸で構成さ
れているため、風合いがよい。さらに手袋表面が、ピン
ホールが実質的にない樹脂被膜で被覆されているので、
防水性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる芯鞘型複合糸を製造する精紡機
の一例を示す概略図である。
【図2】本発明にかかる芯鞘型複合糸を製造する精紡機
の他の一例を示す概略図である。
【図3】本発明にかかる手袋に用いる樹脂被膜形成前の
手袋の一例を示す。
【符号の説明】
A 芯成分 B 鞘成分 1 トランペット 2 トランペット 3 バックローラー 4 エプロンドラフト 5 フロントテーパーローラー 6 芯鞘型複合糸 7 糸管 11 手袋 12 親指用指袋 13 人指し指用指袋 14 中指用指袋 15 薬指用指袋 16 小指用指袋 18 各指袋の四本胴部分 19 各指袋の五本胴部分 20 挿入口 21 解れ止め
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A41D 31/00 A41D 31/00 501G 502 502C 502Q 503 503C 503F 503G 503H D02G 3/02 D02G 3/02 3/04 3/04 D04B 1/28 D04B 1/28 (72)発明者 山本 勉 東京都中央区日本橋本町1丁目5番6号 東レ・デュポン株式会社内 Fターム(参考) 3B033 AA27 AB06 AB20 AC01 AC04 AC05 AC09 4L002 AA02 AA05 AA07 AB00 AB01 AB05 DA03 EA00 FA04 4L036 MA04 MA05 MA09 MA35 MA39 PA31 PA33 PA46 RA15 UA06

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高強力有機繊維の短繊維束を含み、その
    表面における3mm以上の毛羽数が0本/10m、1m
    m以上3mm未満の毛羽数が100本/10m以下であ
    る糸から構成されている手袋であって、その表面が樹脂
    で被覆されていることを特徴とする耐切創性に優れ、ピ
    ンホールが実質的にない防水手袋。
  2. 【請求項2】 手袋を構成する糸が、高強力有機繊維の
    短繊維束のみからなることを特徴とする請求項1に記載
    の防水手袋。
  3. 【請求項3】 手袋を構成する糸が、高強力有機繊維を
    含む短繊維束からなる芯成分と、フィラメント糸からな
    る鞘成分とからなる芯鞘型複合糸であることを特徴とす
    る請求項1に記載の防水手袋。
  4. 【請求項4】 手袋を構成する糸が、高強力有機繊維を
    含む短繊維束からなる芯成分と、毛焼き可能な短繊維束
    からなる鞘成分とからなる芯鞘型複合糸であり、かつ、
    鞘成分が毛焼きされていることを特徴とする請求項1に
    記載の防水手袋。
  5. 【請求項5】 毛焼き可能な短繊維束が、コットン、ポ
    リエチレンテレフタレート繊維および高強力ポリビニル
    アルコール繊維からなる群から選ばれる少なくとも1以
    上の繊維からなることを特徴とする請求項4に記載の手
    袋。
  6. 【請求項6】 芯成分/鞘成分重量比が、100/0を
    超えて、0/100未満であることを特徴とする請求項
    3〜5に記載の手袋。
  7. 【請求項7】 高強力有機繊維が、芳香族ポリアミド繊
    維またはポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊
    維であることを特徴とする請求項1〜6に記載の手袋。
  8. 【請求項8】 芳香族ポリアミド繊維が、メタ系アラミ
    ド繊維またはパラ系アラミド繊維であることを特徴とす
    る請求項7に記載の手袋。
  9. 【請求項9】 芳香族ポリアミド繊維が、ポリパラフェ
    ニレンテレフタルアミド繊維であることを特徴とする請
    求項7に記載の手袋。
  10. 【請求項10】 樹脂が、アクリロニトリル−ブタジエ
    ンゴムであることを特徴とする請求項1に記載の手袋。
  11. 【請求項11】 手袋が、編み手袋または縫製手袋であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の手袋。
  12. 【請求項12】 芯成分が高強力有機繊維を含む短繊維
    束からなり、鞘成分がフィラメント糸または毛焼き可能
    な短繊維束からなる芯鞘型複合糸から構成されている手
    袋であって、さらにその表面が樹脂で被覆されているこ
    とを特徴とする耐切創性に優れ、ピンホールが実質的に
    ない防水手袋。
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