JP2003141949A - ワイヤーハーネス設計方法及びプログラム - Google Patents

ワイヤーハーネス設計方法及びプログラム

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JP2003141949A JP2001341614A JP2001341614A JP2003141949A JP 2003141949 A JP2003141949 A JP 2003141949A JP 2001341614 A JP2001341614 A JP 2001341614A JP 2001341614 A JP2001341614 A JP 2001341614A JP 2003141949 A JP2003141949 A JP 2003141949A
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仁 川辺
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有紀 川北
Koji Ouchi
孝司 大内
Masaru Kosho
勝 古庄
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車等の適用対象のワイヤーハーネスの配
策設計期間を短縮化する。 【解決手段】 各電線の径及び個数を入力し、経験的に
導き出された所定の演算式で電線束をモデル化した仮想
電線の径を演算し、これに基づいて仮想電線の屈曲寿命
予測を行う。容易に屈曲寿命予測でき、適用対象及びそ
の配策ワイヤーハーネスの設計構想後、即座に屈曲寿命
予測して結果を得ることができるので、開発期間を短縮
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、所望の適用対象
に配策するためのワイヤーハーネスを設計するワイヤー
ハーネス設計方法及びそれに関連する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば自動車のワイヤーハーネス
は、自動車の製造メーカー(以下「製造局」と称す)側
で自動車の成立性等を考慮し、配策検討した上での試作
品での性能評価を行い、製品化してきた。
【0003】この場合、初期設計の段階から、ワイヤー
ハーネスの屈曲性能を完全に考慮することは困難であ
る。したがって、従来では、初期設計を行った段階で、
試作品を制作し、この試作品に対する評価試験で問題が
発覚した時点で、設計変更を繰り返しながら作り込みを
行っている。
【0004】具体的に、図23は従来のワイヤーハーネ
スに関する設計手順を示している。
【0005】まずステップT1において、車両ボディの
全体的な設計構想を行う。
【0006】次のステップT2において、車両ボディに
適合するように、ワイヤーハーネス(図23では「W/
H」と表記している)の設計構想を行う。
【0007】そして、ステップT3において、ステップ
T2で構想されたワイヤーハーネスの設計に基づいて、
ワイヤーハーネスを試作してみる。
【0008】続いて、ステップT4で、試作されたワイ
ヤーハーネスを実際に繰り返し屈曲させ、屈曲評価試験
を実施する。そして、その屈曲評価試験結果を検討し
(ステップT5)、要求される屈曲耐性が得られない場
合には、ステップT3の試作を再度行い、屈曲評価試験
(ステップT4)及びその結果検討(ステップT5)
を、要求される屈曲耐性が得られるまで繰り返し行っ
て、最終的に肯定的な検討結果が得られた段階で、量産
を開始する(ステップT6)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】近年、自動車業界全体
において、開発期間の短縮や、試作品制作を省略したい
という要請があり、従来のような試作品の制作(ステッ
プT3)及び屈曲評価試験(ステップT4,T5)を行
う仕事の進め方を改善したいという要望がある。
【0010】そこで、この発明の課題は、自動車のワイ
ヤーハーネスの設計に関して、試作品の制作及び屈曲評
価試験を行わずに済むことで、自動車の開発期間を短縮
化し得るワイヤーハーネス設計方法及びそれに関連する
技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
請求項1に記載の発明は、導体線を絶縁層にて被覆して
なる電線を単数または複数本束ねて、所望の適用対象に
配策するワイヤーハーネスを設計するワイヤーハーネス
設計方法であって、前記適用対象の全体的な設計構想を
行う適用対象設計構想工程と、前記適用対象に適合する
ように前記ワイヤーハーネスの設計構想を行うワイヤー
ハーネス設計構想工程と、前記ワイヤーハーネス設計構
想工程で構想された前記ワイヤーハーネスが、所定の保
護管内を貫通し、且つ前記保護管とは異なる外部構造体
に固定される場合に、前記外部構造体の動作に起因した
前記ワイヤーハーネスの屈曲による断線に至るまでの屈
曲寿命を有限要素法に従って予測する屈曲寿命予測工程
とを備え、前記屈曲寿命予測工程は、前記ワイヤーハー
ネス、前記保護管及び前記外部構造体のそれぞれの初期
形状を決定する初期形状決定工程と、前記外部構造体の
動作を仮想して前記ワイヤーハーネス及び前記保護管の
伸屈変形を解析し、前記ワイヤーハーネスの曲率変化を
計算する伸屈動作解析工程と、前記伸屈動作解析工程で
得られた曲率変化に基づいて、予測対象となる前記ワイ
ヤーハーネスの歪み変化量を算出する歪み変化量算出工
程と、前記歪み変化量算出工程で算出された前記歪み変
化量により予め設定された寿命予測曲線に照合して、前
記ワイヤーハーネスの屈曲寿命を予測する照合工程とを
備え、前記初期形状決定工程では、前記ワイヤーハーネ
スの初期形状を、前記ワイヤーハーネスの中心線の初期
形状に代替させ、前記保護管の初期形状を、前記保護管
の前記ワイヤーハーネスに対する余裕空間の余裕寸法の
みを内径とする仮想パイプの初期形状に代替させ、当該
仮想パイプの両端部において前記ワイヤーハーネスの中
心線が拘束されないように前記ワイヤーハーネスの中心
線の初期形状を決定する。
【0012】請求項2に記載の発明は、導体線を絶縁層
にて被覆してなる電線を単数または複数本束ねて、所望
の適用対象に配策するワイヤーハーネスを設計するワイ
ヤーハーネス設計方法であって、前記適用対象の全体的
な設計構想を行う適用対象設計構想工程と、前記適用対
象に適合するように前記ワイヤーハーネスの設計構想を
行うワイヤーハーネス設計構想工程と、前記ワイヤーハ
ーネス設計構想工程で構想された前記ワイヤーハーネス
の屈曲による断線に至るまでの屈曲寿命を有限要素法に
従って予測する屈曲寿命予測工程とを備え、前記屈曲寿
命予測工程は、前記ワイヤーハーネスの初期形状を決定
する初期形状決定工程と、前記ワイヤーハーネスの伸屈
変形を解析し、前記ワイヤーハーネスの曲率変化を計算
する伸屈動作解析工程と、前記伸屈動作解析工程で得ら
れた曲率変化に基づいて、予測対象となる前記ワイヤー
ハーネスの歪み変化量を算出する歪み変化量算出工程
と、前記歪み変化量算出工程で算出された前記歪み変化
量により予め設定された寿命予測曲線に照合して、前記
ワイヤーハーネスの屈曲寿命を予測する照合工程とを備
える。
【0013】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
のワイヤーハーネス設計方法であって、前記適用対象設
計構想工程及び前記ワイヤーハーネス設計構想工程を、
前記適用対象を設計構想する適用対象設計局が実行し、
前記屈曲寿命予測工程を、前記ワイヤーハーネスを製造
する電線製造局または前記適用対象設計局が実行する。
【0014】請求項4に記載の発明は、請求項1または
請求項3に記載のワイヤーハーネス設計方法であって、
前記屈曲寿命予測工程の前記伸屈動作解析工程におい
て、前記電線束の曲率変化を、前記電線束の中心線の曲
率変化に代替させる。
【0015】請求項5に記載の発明は、請求項1ないし
請求項4のいずれかに記載のワイヤーハーネス設計方法
であって、前記屈曲寿命予測工程において、前記寿命予
測曲線が、1本の単線について、複数の歪み変化量につ
いて前記単線を繰り返し曲げを施して、当該単線の断線
に至るまでの屈曲回数を実際に測定することにより歪み
変化量と前記屈曲回数との相関関係を求めたものであ
り、前記屈曲寿命予測工程の前記歪み変化量算出工程に
おいて、前記導体線と前記絶縁層の各曲げ弾性係数を断
面積比率によって重み付け平均した1本の仮想的線部材
を想定し、当該仮想的線部材を1本の前記電線として、
前記仮想的線部材の屈曲を受ける領域内で最も大きく屈
曲変化する位置において最も屈曲した状態のいずれか単
一の電線の曲げ半径をR1とし、最も伸長した状態の前
記単一の電線の曲げ半径をR2とし、前記R1と前記R2
の差が最も大きいいずれか単一の電線の半径をrとし
て、次式により前記歪み変化量(Δε)を算出する。
【0016】請求項6に記載の発明は、請求項1ないし
請求項5のいずれかに記載のワイヤーハーネス設計方法
であって、前記屈曲寿命予測工程の前記初期形状決定工
程において、前記ワイヤーハーネスの初期形状が、少な
くとも当該ワイヤーハーネスの径に基づいて決定され、
前記ワイヤーハーネスの径が、当該ワイヤーハーネスを
構成する複数種類の電線の径及び個数に基づいて所定の
演算式により演算される。
【0017】請求項7に記載の発明は、請求項1に記載
のワイヤーハーネス設計方法であって、前記屈曲寿命予
測工程の前記初期形状決定工程において、前記余裕寸法
が、前記保護管の内径から前記ワイヤーハーネスの径を
減算して求められ、前記ワイヤーハーネスの径が、当該
ワイヤーハーネスを構成する複数種類の電線の径及び個
数に基づいて所定の演算式により演算される。
【0018】請求項8に記載の発明は、請求項7に記載
のワイヤーハーネス設計方法であって、前記ワイヤーハ
ーネスを構成する各電線の径をdv、当該径dvの各電線
のそれぞれの個数をNv、所定の係数をaiとした場合
に、前記ワイヤーハーネスの径Dxが、次式によって演
算される。
【0019】
【数3】
【0020】請求項9に記載の発明は、請求項1ないし
請求項8のいずれかに記載のワイヤーハーネス設計方法
中の前記屈曲寿命予測工程をコンピュータ上で実現する
ために、当該屈曲寿命予測工程内の各工程をコンピュー
タに実行させるためのプログラムである。
【0021】
【発明の実施の形態】{一の実施の形態}図1は、この
発明の一の実施の形態に係る電線束(ワイヤーハーネ
ス)の設計方法を示している。このワイヤーハーネス設
計方法は、ワイヤーハーネスを配策適用する対象(適用
対象)に配策するための電線束の開発設計の初期段階に
おいて、コンピュータに予め格納されたソフトウェアプ
ログラムで定義された手順に従って、設計された電線束
の屈曲寿命予測を素早く実行する。尚、以下の説明で
は、電線束の適用対象として車両ボディを例に挙げて説
明する。
【0022】まずステップU1において電線束の適用対
象としての車両ボディの全体的な設計構想を行う(適用
対象設計構想工程)。
【0023】次のステップU2において、車両ボディ
(適用対象)に適合するように、電線束(ワイヤーハー
ネス:図1では「W/H」と表記している)の設計構想
を行う(ワイヤーハーネス設計構想工程)。
【0024】そして、ステップU3において、ステップ
U2で構想された電線束の設計に基づいて、CAE(コ
ンピュータ・エイディッド・エンジニアリング)の手法
を用いて電線束の屈曲寿命予測をシミュレーションし、
そのシミュレーション結果を即座にステップU1(車両
ボディ設計構想)及びステップU2(電線束設計構想)
にフィードバックする。
【0025】かかるステップU1〜U3の工程を、要求
される電線束の屈曲耐性が得られるまで繰り返し行っ
て、最終的に肯定的な検討結果が得られた段階で、量産
を開始する(ステップU4)。
【0026】これにより、従来のように電線束(ワイヤ
ーハーネス)についての試作品の制作(図23中のステ
ップT3)及び屈曲評価試験(図23中のステップT
4)といった多大な時間を要していた工程を省略するこ
とができる。また、コンピュータを用いて容易に屈曲寿
命予測を行うことができるので、従来では、電線束の製
造メーカー(電線製造局)のみが当該電線束のステップ
U3である屈曲寿命予測を行い得たのに対して、この実
施の形態の場合だと、ステップU3について、その電線
束を応用して使用する適用対象の設計製造メーカー(適
用対象設計局)内だけでも、コンピュータを用いて容易
に電線束の屈曲寿命予測を行うことができる。したがっ
て、設計早期の段階で信頼性を十分に確保しながら開発
期間の短縮を図ることが可能となる。
【0027】ここで、ステップU3のCAEでの電線束
の屈曲寿命予測方法について詳述する。
【0028】図2は、一例として、設計対象となる電線
束(ワイヤーハーネス)1及びグロメット(保護管)2
を示す側面図である。そして、上記のステップU3の例
として、自動車等のドア3(図2中の符号Aの領域)の
所定位置(ドアパネル)4とボディ5(図2中の符号C
の領域)の所定位置(ボディパネル)6との間Bのヒン
ジ部付近に設置されるグロメット2内を電線束1が貫通
する場合に、ドア3の開閉動作に伴って電線束1が伸屈
変化する際の電線束1の屈曲寿命を予測する場合を説明
する。尚、この明細書では、ドア3、ドアパネル4、ボ
ディ5及びボディパネル6を外部構造体と総称する。
【0029】本発明者等は、電線束1の屈曲寿命を支配
する因子について鋭意検討を行った。その結果、特に低
温下においては、各電線の絶縁層の疲労破壊によりクラ
ックが生じると、そのクラックが生じた部分の導体部に
局部的な応力がかかりやすくなることから、電線束1の
各電線中の断線は導体部を被覆する絶縁層の疲労破壊に
主として支配されるものであり、絶縁層の疲労破壊はそ
の表面歪みの変化量と強い相関を有することを究明し
た。すなわち、電線束1の屈曲寿命と曲げ変化時の絶縁
層表面の歪み変化量との間に強い相関関係が存在すると
いう知見を得たのである。ただし、電線束1が実際に自
動車のドア3等に設置される場合には、S字形やU字形
等の様々な形状で設置される。そして、その形状によっ
て、電線束1への応力のかかり方も変化する。しかしな
がら、電線束1が様々な形状で設置されるにも拘わら
ず、電線束1の屈曲寿命と歪み変化量との間の相関関係
は電線束1の形状には依存せず、幅広い屈曲形状におい
て一定であるとの知見も得た。
【0030】したがって、電線束1の屈曲寿命と歪み変
化量との間の相関関係を予め実験的に求めておけば、様
々な製品条件下の電線束1についてその歪み変化量を解
析するだけで電線束等の屈曲寿命を予測することができ
ることとなる。
【0031】そして、電線束1についてその歪み変化量
を解析する場合に、有限要素法によりコンピュータを用
いることが効率的であるが、電線束1が複数の電線を含
んでおり、またグロメット2の形状が複雑であるため、
これらの形状及び物性(曲げ剛性)を厳密にモデリング
して有限要素法で解析を行うと、コンピュータの計算処
理負荷が多大なものとなってしまう。そこで、この発明
は、各構造体の有限要素モデルを単純化してコンピュー
タの計算処理負荷を低減しながらも、且つ屈曲寿命の予
測精度を高く保持し得る屈曲寿命予測方法を提供するも
のである。
【0032】具体的に、この屈曲寿命の予測方法は、有
限要素法を用いた電線束1の曲率値を求める曲率値計算
工程(図3)と、得られた電線束1の曲率値に基づいて
電線束1の予想寿命を得る予想寿命出力工程とを備え
る。以下、各工程について詳述する。
【0033】<1.曲率値計算工程>曲率値計算工程
は、有限要素法を用いたコンピュータでの計算処理によ
り、電線束1を模した仮想単線11(図16参照)のド
ア開状態とドア閉状態でのそれぞれの曲率半径Rを求め
る工程であり、図3の如く、コンピュータにパラメータ
を入力するパラメータ入力工程(ステップS01)と、
有限要素法の計算に必要な各構造体の初期形状を決定す
る初期形状決定工程(ステップS02,S04)と、ド
ア3の開閉動作に伴ってグロメット2内の電線束1が伸
屈変化する際の動作解析を行う伸屈動作解析工程(ステ
ップS03,S05〜S08)とを備える。
【0034】1−1 パラメータ入力工程 パラメータ入力工程では、まずステップS01におい
て、後工程での解析処理に必要なパラメータを入力す
る。
【0035】具体的なパラメータの項目としては、電線
束1を固定する固定点の取付座標と、電線束1の属性情
報と、グロメット2の属性情報と、ドア3の開閉角度
と、温度条件とがある。
【0036】入力パラメータとして入力すべき電線束1
の固定点の取付座標としては、例えば図4または図5の
如く、自動車のドア3のドアパネル4及びボディ5のボ
ディパネル6の各座標位置を特定するとともに、このド
ア3及びボディ5のそれぞれにクランプT等により電線
束1が固定される座標位置を特定してそれぞれ入力を行
う。この場合の入力値としては、例えば図4のようにド
ア3の閉状態での取付座標を入力しておけば、図5に示
したドア開状態での電線束1の形状は、ドア3の開状態
への変化に伴って計算により求めることができるため、
ステップS01において入力する必要がない。
【0037】入力パラメータとして入力すべき電線束1
の属性情報としては、電線束1を構成する電線の種類
(製品番号)、当該電線内の導体線の径、当該導体線の
本数及び各導体線及び各絶縁層のそれぞれの曲げ剛性の
値等を特定して入力を行う。
【0038】グロメット2の属性情報としては、管状の
グロメット2の貫通孔の内径及びグロメット2の長さ等
を特定して入力を行う。ここで、グロメット2の剛性に
ついては入力の必要がない。この理由は次の通りであ
る。
【0039】この一例におけるCAEでの電線束1の屈
曲寿命予測方法は、文字通りに当該電線束1の屈曲寿命
を予測するだけでよいため、グロメット2の屈曲寿命は
問題にする必要がない。また、この一の実施の形態で
は、自動車の低温下での使用における予測値を求めるこ
とが目的となっているが、常温や低温といった温度変化
に伴うグロメット2の曲げ剛性の変化は、使用される材
質の違いに起因して、電線束1の温度変化に伴う曲げ剛
性の変化に比べると無視できることを実験により明らか
にした。したがって、電線束1が低温下において硬化し
たときには、グロメット2の形状によって電線束1の形
状が束縛されることはほとんどなく、むしろ電線束1の
形状によってグロメット2の形状が束縛されることにな
る。このことから、グロメット2の形状を把握しさえす
れば、グロメット2の温度変化に伴う曲げ剛性のパラメ
ータは要求されず、故に、グロメット2の剛性を無視し
ても、電線束1の屈曲寿命を十分に予測することができ
ることから、グロメット2の曲げ剛性等の物性パラメー
タをこのステップS01で省略しても、電線束1の屈曲
寿命の予測値の精度が低下することはない。
【0040】ドア3の開閉角度は、ドア3が閉状態のと
きの当該ドア3のボディ5に対する相対角度と、ドア3
が開状態のときの当該ドア3のボディ5に対する相対角
度とを特定して入力する。
【0041】また、電線束1については、常温や低温
(冬季での冷温に相当する温度を含む)等の温度の変化
に応じて曲げ剛性の値が変化するため、温度のパラメー
タをも入力しておく。
【0042】ここで入力された各パラメータは、プロシ
ージャファイルと呼ばれるデータファイルとしてハード
ディスクドライブ等の所定の記憶装置内に格納される。
【0043】かかるパラメータ入力工程の後の工程は、
コンピュータのハードディスク内に予め格納されたソフ
トウェアプログラムに規律された手順で、CPUが動作
することにより実行される。
【0044】1−2 仮想単線径計算工程 この実施の形態では、後述のように、複数の電線から構
成される電線束を1本の仮想単線11(図16参照)に
モデリング化して屈曲寿命予測を行うことになる。そこ
で、ステップS01Aにおいて、そのモデリングすべき
仮想単線11の径を、パラメータ入力工程(ステップS
01)で入力された電線の種類(製品番号)、当該電線
内の導体線の径及び当該電線の本数の情報に基づいて決
定する。
【0045】具体的には、コンピュータのハードディス
ク内に、各電線の被覆部をも含めた外径(仕上げ外径)
のリストが予め格納されており、パラメータ入力工程
(ステップS01)で入力された電線の種類(製品番
号)に応じて、それぞれの仕上げ外径を読み出す。ここ
で、個々電線の種類を変数v(=1〜m)で表すことと
し、その種類vの電線の仕上げ外径をdvで表すことと
する。また、パラメータ入力工程(ステップS01)で
入力された各電線vの使用本数をNvとする。このと
き、電線束を単純モデル化するための仮想単線の径Dx
は、次の多次元近似式である(1)式により求める。
【0046】
【数4】
【0047】ここで、(1)式中のai(ただしi=
0,1,2,…,n)は、経験則によって導き出される
固有の係数であり、かかる(1)式はコンピュータのハ
ードディスク内に予め格納されるソフトウェアプログラ
ムによって定義付けられている。
【0048】このように、電線束をモデリング化する
際、操作者は、パラメータ入力工程(ステップS01)
において、電線の種類及び本数を入力するだけで、仮想
単線の径をコンピュータに自動的に計算させることがで
きるため、ステップU3について、その電線束を応用し
て使用する適用対象の設計製造メーカー(適用対象設計
局)内だけでも、コンピュータを用いて容易に電線束の
屈曲寿命予測を行うことができる。
【0049】また、かかる仮想単線径計算工程と併せ
て、予めハードディスクに格納された電線束1内の各構
造体としての個々の電線v(導体線及び絶縁層)の曲げ
剛性のパラメータを読み出しておく。この曲げ剛性のパ
ラメータは、初期形状、ドア3の開状態及び閉状態のそ
れぞれにおいて、電線束1の形状を正確にモデリングす
るために使用するものである。尚、この実施の形態で
は、後述の通り、電線束1については単純な1本の仮想
単線11(図16参照)を想定してその形状をモデリン
グし、そのモデリング形状に基づいて、各電線(被覆部
となる絶縁層を含む)の表面の屈曲寿命を予測するよう
になっているが、例えば繰り返し屈曲寿命予測を行う場
合などにおいて、前回の屈曲寿命予測より仮想単線11
の径及び曲げ剛性(曲げ弾性)が予め解っている場合
は、当該仮想単線11の径及び曲げ剛性等のパラメータ
を直接に入力するようにしてもよい。
【0050】1−3 初期形状決定工程 次段の初期形状決定工程では、仮想パイプ9と、電線束
1を単純モデル化した仮想単線11(図16参照)との
初期形状を決定して有限要素モデルを作成する。
【0051】まずステップS02において、仮想パイプ
9と仮想単線11とを仮想空間上で直線状に配置してこ
れらの有限要素モデルを作成する。
【0052】この場合、まず図6に示したように、グロ
メット2の内径寸法D1の貫通孔7内に、外径D2の太
さを有する電線束1が貫通している現実的なモデル(以
下「現実モデル」と称す)を作成しておく。この場合、
電線束1に対するグロメット2の余裕空間の余裕寸法
は、グロメット2の内径寸法D1から電線束1の外径D
2を減算した(D1−D2)となる。
【0053】ここで、電線束1の初期形状を決定する段
階では、その太さ(外径D2)を考慮すると形状決定の
作業が複雑になるため、上記の現実モデル以外に、図7
のように電線束1の中心軸としての太さを持たない中心
線8のみを考慮した仮想モデルを決定しておく。
【0054】この仮想モデルの場合、電線束1の外表面
とグロメット2の内周面との離間距離は現実の寸法に近
い寸法を適用することが望ましいことはいうまでもな
い。そこで、上述のステップS01Aで求めたDx
((1)式参照)を近似的に電線束の径D2として採用
し、図7のように、太さを持たない中心線8から現実の
離間距離{(D1−D2)/2}と同じ寸法だけ離間し
た仮想パイプ9を想定しておく。仮想パイプ9の内径は
(D1−D2)である。この値は、上記した余裕空間の
余裕寸法に一致している。尚、このステップS02での
現実モデル及び仮想モデルでは、電線束1の中心線8が
仮想パイプ9の中心線と一致するように配置しておく。
ここで決定された直線状の仮想パイプ9の形状を図8に
示す。図8中の符号L1はこの屈曲寿命予測方法の解析
計算処理において使用する電線束1(及びその中心線
8)の長さ寸法を示しており、少なくともドアの開閉動
作によって変形する可能性のある部分の長さ以上に設定
される任意の値が適用される。また、符号L2は実際の
グロメット2の長さ寸法であり、ここでは仮想パイプ9
の長さ寸法として図示される。
【0055】そして、現実モデル及び仮想モデルのそれ
ぞれについて、所定の細かさの有限要素網目を設定して
要素分割を行っておく。尚、仮想パイプ9の内部での電
線束1の中心線8の形状は、電線束1の中心線8の屈曲
寿命の予測を行う上で極めて重要である。このため、要
素分割を行う際には、仮想パイプ9の外部で設定する電
線束1の中心線8の有限要素網目よりも仮想パイプ9内
部の電線束1の中心線8の有限要素網目を細かく設定し
ておく。
【0056】尚、かかるステップS02での作業は、ス
テップS01で入力されたパラメータに基づいてコンピ
ュータのCPUにおいて自動的に計算処理される。
【0057】次に、ステップS03において、図9に示
したように、ドア3のドアパネル4及びボディ5のボデ
ィパネル6の実状に対応した座標位置から、これらの有
限要素モデルを作成する。ここでは、ドアパネル4及び
ボディパネル6の初期形状として、例えばドア閉状態で
の形状を適用しておく。また、ドア3及びボディ5のそ
れぞれにおける電線束1のクランプTの位置を特定して
おく。ここで決定したドアパネル4及びボディパネル6
の座標位置は、グロメット2及び仮想パイプ9の取付位
置(グロメット位置)を決定付けるものである。このス
テップS03での作業は、ステップS01で入力された
パラメータに基づいてコンピュータのCPUにおいて自
動的に計算処理される。
【0058】続くステップS04では、仮想パイプ9及
び電線束1の中心線8のモデルでの初期形状を計算す
る。具体的には、上記ステップS02で作成した仮想パ
イプ9及び電線束1を、上記ステップS03で作成した
ドアパネル4及びボディパネル6の座標位置に対応する
よう変形し、図10に示したように仮想パイプ9及び電
線束1の中心線8の初期形状を決定する。
【0059】ここで、電線束1の中心線8の初期形状の
決定方法についてさらに詳しく説明する。
【0060】例えば、図11及び図12のように、グロ
メット2の内周形状に対応する仮想パイプ9の内部を、
電線束1の形状に対応するその中心線8が貫通する場合
に、仮想パイプ9の両端部の中心点9a,9bを電線束
1の中心線8が通過するようにして中心線8の形状を決
定する方法も考えられる。しかしながら、仮想パイプ9
の内部空間内で電線束1の中心線8が寸法的に余裕を持
って配される(このことは、グロメット2の内部空間に
おいて電線束1が余裕をもって配置されることに対応し
ている)ことから、電線束1の中心線8が仮想パイプ9
の両端部の内周の中心点9a,9bを通過するとは限ら
ない。むしろ、ドア3が開状態になることによって、仮
想パイプ9及び電線束1の中心線8が図11のように湾
曲すると、電線束1の中心線8がそのクランプTの位置
に制約を受けることで仮想パイプ9の両端部の内周の中
心点9a,9bからずれた状態になることがほとんどで
ある。このように、電線束1の中心線8を現実のものと
異なる形状でモデリングして屈曲寿命の予測を行うと、
実際の電線束1の屈曲寿命とは大幅に異なった予測値が
計算されることになってしまう。
【0061】これらのことから、この実施の形態では、
仮想パイプ9の存在をほとんど無視して電線束1の中心
線8のモデリングを行う(以下「完全フリーモデル」と
称する)。すなわち、電線束1の中心線8(電線束1の
形状に対応)及び仮想パイプ9(グロメット2の形状)
が一直線状に配置される場合は、図12のように、電線
束1の中心線8が仮想パイプ9の両端部の中心点9a,
9bを通過するように配置するものの、仮想パイプ9が
湾曲した場合は、図13及び図14のように、その仮想
パイプ9の両端部の中心点9a,9bの座標位置に拘泥
せずに、電線束1を固定するドア3及びボディ5のクラ
ンプTの位置にのみ電線束1の中心線8が拘束されるよ
うに形状を決定する。
【0062】ただし、上述のように、仮想パイプ9がド
ア3の開状態によって湾曲する場合に、これに対応する
現実のグロメット2の内周部分の中間位置において電線
束1の表面が当接して形状制約を受けることが予想さ
れ、この場合にのみ電線束1の形状がグロメット2の形
状によって制約を受けることになる。このことを考慮
し、この実施の形態では、後述するステップS06にお
いて現実モデルを使用し、仮想単線11(図16参照)
とグロメット2について、ドア開閉を考慮した形状の規
制を行うことになる。ただし、かかる補正は。このステ
ップS04においては実行されず、後述のステップS0
6において実行される。
【0063】このように、仮想パイプ9の内部に電線束
1の中心線8を貫通させる場合に、仮想パイプ9の存在
を無視して完全フリーモデル(すなわち、電線束1の中
心線8の形状が仮想パイプ9によって影響を受けないモ
デル)として有限要素法により計算を行っているので、
電線束1の中心線8としてワイヤーハーネスを適用した
場合に、従来のように仮想パイプ9の端末中心に固定さ
れていると仮定して計算をした場合に比べて、屈曲寿命
の計算値(予測値)を現実の屈曲寿命の値に近似させる
ことができる。
【0064】しかも、仮想パイプ9自体の有限要素法に
よるコンピュータ解析処理を省略できるため、コンピュ
ータでの計算処理負荷を大幅に低減することができる。
さらに仮想パイプ9を有限要素網目によって分割する工
程が必要なくなるため、大幅に労力を低減できる。
【0065】1−4 伸屈動作解析工程 ステップS05において、上記ステップS03で作成し
たドアパネル4及びボディパネル6の初期形状のモデル
と、上記ステップS04で作成した仮想パイプ9及び電
線束1の中心線8の初期形状のモデルとを図15のよう
に合併して、ドア開閉計算の有限要素モデルを作成す
る。具体的には、ステップS01で入力した固定点の取
付座標を、ステップS03で作成したドアパネル4及び
ボディパネル6にプロットし、この固定点の取付座標に
ステップS04で作成した電線束1の中心線8のモデル
を重ね合わせる。
【0066】次に、ステップS06において、ドア開閉
モデルに接触要素を追加する。ここでは現実モデルを用
いる。ただし、電線束1の複数の電線について全てをそ
れぞれの構造体とすると、後段の解析計算が煩雑となる
ため、電線束1の総合的な物性に基づいて想定された図
16のような仮想単線(仮想的線部材)11を適用す
る。仮想単線11は、電線束1の複数の電線における導
体部の金属材料の曲げ弾性係数と、被覆層の絶縁材料の
曲げ弾性係数を、その断面積比率によって重み付け平均
し、導体部の金属材料と被覆層の絶縁材料とを平均化し
た仮想的な材料を想定し、かかる仮想的な材料からなる
1本の仮想単線11とする。そして、この仮想単線11
がグロメット2により束縛された状態で接触することか
ら、グロメット2内の仮想単線11の径Dx(ステップ
S01A参照)を考慮し、その空間占有率を考慮しなが
ら、接触要素を定義して、仮想単線11の形状の補正を
行う。尚、接触要素の具体的な定義方法については、一
般的な有限要素モデルにおける接触要素の定義方法と変
わりないため、説明の簡便のためここでは詳説しない。
【0067】続いて、ステップS07では、ステップS
01で入力されたドア3の開閉角度に基づいて、仮想モ
デルにおける電線束1の中心線8を基準に、ドア3の開
状態及び閉状態のそれぞれの場合についての電線束1の
中心線8の曲率半径Rを計算する。
【0068】そして、ステップS08において、電線束
1の中心線8の長手方向において、最も伸長した場合と
最も屈曲した状態での曲率変化量をステップS07で計
算した曲率を基に計算する。この曲率変化量の計算結果
は、曲率値ファイルと呼ばれるデータファイルのデータ
としてハードディスクドライブ等の所定の記憶装置に記
憶する。
【0069】<2.予想寿命出力工程>図17は、予想
寿命出力工程の処理手順を示すフローチャートである。
ただし、この図17に示した処理手順に先駆けた事前段
階として、電線束1の屈曲寿命と歪み変化量との相関関
係を示すマスターカーブ(寿命予測曲線)を予め取得す
る必要がある。
【0070】2−1 マスターカーブ(寿命予測曲線)
の取得工程(事前段階) マスターカーブ(寿命予測曲線)の取得工程において
は、単一の単線について、上記の有限要素法による曲率
値計算工程での曲率半径の値に基づいて、その単線の歪
み変化量を求め、この歪み変化量の値と、実験の結果得
られた当該単線の屈曲寿命とを、所定のグラフ座標上で
プロットし、図18のような近似的に相関曲線を求め、
これをマスターカーブ(寿命予測曲線)とする。同図の
横軸は絶縁層表面の歪み変化量を示し、縦軸は屈曲寿命
を示している。
【0071】ここで、単線の歪み変化量について説明す
る。導体線を絶縁層にて被覆してなる単線の半径をrと
する。単線は曲げ変形を受けており、その曲げ半径をR
とすると、曲率KはK=1/Rで表される。このときに
単線の絶縁層の表面に生じている歪みεは次の(2)式
のように表される。
【0072】
【数5】
【0073】ここで、ドア3等の屈曲を受ける位置に配
置される単線において、その屈曲を受ける位置で最も屈
曲した状態の単線の曲げ半径をR1とし、最も伸長した
状態の単線の曲げ半径をR2として、この最も屈曲した
状態と最も伸長した状態との間で単線に繰り返し曲げを
施したときの絶縁層表面の歪み変化量をΔεとすると、
Δεは次の(3)式にて表される。
【0074】
【数6】
【0075】なお、(3)式においてΔKは単線に繰り
返し曲げを施したときの曲率の変化量であり、上述した
有限要素法による曲率値計算工程によって算出すること
ができる。その算出されたΔKを、単線の各部位につい
てリストアップし、最も値の大きいΔKを採用して、
(3)式から絶縁層表面の歪み変化量Δεを求める。
【0076】一方、屈曲寿命については、単線に繰り返
し曲げを施して、断線に至るまでの屈曲回数を実際に測
定することによって求める。上述の如く、低温下におけ
る電線束等の断線は導体部を被覆する絶縁層の疲労破壊
に主として支配されているものであり、屈曲寿命には温
度依存性がある。従って、屈曲寿命の測定については図
19のように必要な温度ごとに行っておく。同図の横軸
は絶縁層表面の歪み変化量を示し、縦軸は屈曲寿命を示
している。図19に示すように、温度が低下するほど屈
曲性能が低下、すなわち同じ歪み変化量における屈曲寿
命が短くなっている。
【0077】2−2 電線を選択して歪み変化量を算出
する工程 次に、予測対象となる電線束1内において、最も歪み変
化量Δεが大きいと推測される単一の電線について、そ
の歪み変化量Δεを算出する。
【0078】ここでは、まず図17中のステップS11
において、電線束1を単純モデル化した仮想単線11a
としてではなく、図21のように、その仮想単線11a
内に実際に配置される各電線12についての形状を、上
記した仮想単線11の形状に対応するように決定する。
即ち、ステップS08によって出力された仮想単線11
の最も屈曲した状態と最も伸長した状態の両方の形状に
基づいて、仮想単線11の径Dx(ステップS01A参
照)及び個々の電線12の径((1)式中のd v)の寸
法をも考慮して、その内部で最も歪み変化量Δεの大き
な電線12の最も屈曲した状態と最も伸長した状態の両
方の形状を決定する。この場合、図21のように、仮想
単線11の外周に接して電線12が配置されているもの
とし、そのなかで、最も歪み変化量Δεの大きな電線1
2が、電線束1の曲げ半径において最も内周側に位置す
る電線12として選ばれる。ただし、電線束1において
複数の電線12同士がよじれて配置される場合があり、
この場合は、どの電線12の歪み変化量Δεが最も大き
くなるかを予測することが困難になる場合があるため、
歪み変化量Δεが最も大きな電線12が複数ある場合に
は、そのいずれについても歪み変化量Δεを算出し、こ
れに基づいて最大の歪み変化量Δεを示す電線12を比
較し、事後的に選択すればよい。
【0079】そして、ステップS11の後、最大の歪み
変化量Δεを有すると推定される電線12において、最
も伸長した状態での曲率半径RをR1とし、電線が最も
屈曲した状態での曲率半径RをR2とし、電線12の上
記の有限要素法による曲率値計算工程に従って、曲率変
化量ΔKを曲率値ファイルから読み込む。
【0080】次に、ステップS12において、電線12
の径をrとして、選択された電線12の曲率値(曲率半
径の値)に基づいて、その歪み変化量Δεを上記した
(3)式に従って計算する。
【0081】続いて、ステップS13において、ステッ
プS12で求めた歪み変化量Δεが最大となる選択され
た電線12の点を選ぶ。
【0082】2−3 マスターカーブ(寿命予測曲線)
への照合工程 そして、ステップS14において、ステップS13で選
択した最大の歪み変化量Δεを、図19に示したマスタ
ーカーブ(寿命予測曲線)に当てはめ、そのときの縦軸
の値を屈曲寿命の予測値とする。ここで、選択された電
線12の屈曲寿命と歪み変化量との間の相関関係自体は
電線12の径に依存しない。したがって、選択された電
線12の歪み変化量を、上述した有限要素法による曲率
値計算工程で算出することができれば、選択された電線
12の製品条件によらず、その屈曲寿命を正確に予測す
ることができる。なお、このことは本発明にかかる選択
された電線12の屈曲寿命予測方法が選択された電線1
2の製品条件を全く考慮していないことを意味している
のではなく、予測対象としている選択された電線12の
歪み変化量を(3)式に従って算出する段階において、
その径rを考慮している。このようにすれば、選択され
た電線12の製品条件によらず、その屈曲寿命を正確に
予測することができるため、ワイヤーハーネスの設計等
にその予測結果を反映することによって事前に机上検討
が可能となり、最適設計、開発期間の短縮を図ることが
できる。また、屈曲寿命測定のために実際に行う試験を
削減することができる。
【0083】ところで、複数の電線が束になった電線束
1の応力を有限要素法で解析する場合は、本来的には個
々の電線をそれぞれ別個の有限要素として三次元的に解
析を行うのが原則であるが、この実施の形態では個々の
電線を別個の構造体として三次元的にそれぞれモデリン
グするのではなく、上述の曲率値計算工程において、擬
似的に仮想的な単線(仮想単線11)に単純化して一本
の有限要素として取り扱い、これによりその形状が決定
された後に、その内部のうちの最も歪み変化量Δεの大
きくなる位置にある単一の電線12を選択し、この選択
された電線12についてのみ、マスターカーブに照らし
て屈曲寿命予測を行ってっている。このように、初期形
状と最終形状を計算するために、電線束1の実際の構造
に基づく物性ではなく仮想単線11の相当直径Dx(ス
テップS01A参照)及び曲げ剛性をモデリングして演
算することで、電線束1の物性を大幅に単純化して演算
することができる。そして、その結果として現実の屈曲
寿命に極めて近似した屈曲寿命の予測値を得ることがで
きる。したがって、コンピュータを用いた有限要素法
(マトリックス応力解析法)で屈曲寿命の予測値を演算
する際に、コンピュータの負荷を低減でき、素早く予測
値を収束させることが可能となる。
【0084】また、上述の曲率値計算工程において、仮
想パイプ9の内部を貫通する電線束1の中心線8の形状
を決定する場合に、仮想パイプ9の存在を無視して完全
フリーモデル(すなわち、電線束1の中心線8の形状が
仮想パイプ9によって影響を受けないモデル)として有
限要素法により計算を行っているので、電線束1の中心
線8としてワイヤーハーネスを適用した場合に、従来の
ように仮想パイプ9の端末中心に固定されていると仮定
して計算をした場合に比べて、屈曲寿命の計算値(予測
値)を現実の屈曲寿命の値に近似させることができる。
【0085】具体的に、図20は所定の単線を用いてマ
スターカーブ(寿命予測曲線)MCを設定しておき、上
記した屈曲寿命予測方法で電線束1の屈曲寿命予測を行
った例である。
【0086】完全フリーモデルを用いずに、仮想パイプ
9の端末中心を電線束1の中心線8が固定的に通過する
と仮定して歪み変化量Δεを計算をし、且つ実際の屈曲
寿命実験を行って断線に至るまでの伸屈運動の回数をプ
ロットした場合、点P1の結果を得た。しかしながら、
この点P1は、マスターカーブMCから大きくずれた点
にプロットされていることが解る。
【0087】これに対して、上述のような完全フリーモ
デルを適用して歪み変化量Δεを計算をし、且つ実際の
屈曲寿命実験を行って断線に至るまでの伸屈運動の回数
をプロットした場合、点P2の結果を得た。この点P2
は、マスターカーブMCに合致しており、この実施の形
態の屈曲寿命予測方法の予測精度が極めて高いことを証
明している。
【0088】しかも、仮想パイプ9を用いることで、コ
ンピュータ解析処理を簡略化できるため、コンピュータ
での計算処理負荷を大幅に低減することができる。さら
に仮想パイプ9を有限要素網目によって分割する工程が
必要なくなるため、大幅に労力を低減できる。
【0089】尚、上記実施の形態では、ステップS11
〜S15において、電線束1(仮想単線11a)中で最
も歪み変化量Δεの大きな単一の電線12について寿命
予測を行っていたが、これに代えて、単純に仮想単線1
1(図16参照)の表面の屈曲寿命予測を行い、これを
電線12の屈曲寿命予測としてもよい。この場合、
(3)式中の径rは、仮想単線11の径Dx(即ち、電
線束1の径:ステップS01A参照)を適用して計算す
ればよい。
【0090】{他の実施の形態}上記一の実施の形態で
は、低温下において、内部の導体部が破断するよりも先
に、被覆部としての絶縁層にクラックが生じ、このクラ
ックが原因となって応力が局部的にかかり、その結果内
部の導体部が断線する場合の屈曲寿命予測方法について
説明していた。
【0091】しかしながら、常温である場合において
は、被覆材となる絶縁層として温度依存性の少ないハロ
ゲンフリーの樹脂材やPE等を使用する場合や、温度依
存性のあるPVC等の絶縁層を有していても、これらの
電線等を繰り返し屈曲していくと、絶縁層の疲労破壊に
よりクラックが生じる以前に、内部の芯線となる導体部
が断線することがある。このことから、常温下において
は、電線等の断線は必ずしも導体部を被覆する絶縁層の
疲労破壊に起因する場合ばかりでなく、むしろ、電線等
の屈曲寿命は、内部の各素線の屈曲寿命に等しいと考え
ることができる。
【0092】この場合には、マスターカーブとして導体
部(例えば銅)及び被覆材と同一材料の電線について予
めマスターカーブを求めておき、電線束1のうちの最も
歪み変化量Δεの大きな電線12中の導体部について、
その歪み変化量Δεを有限要素法により求め、その結果
をマスターカーブに照合して導体部の屈曲寿命予測を行
えばよい。
【0093】この場合においても、電線束1を単線モデ
ル化した仮想単線11を想定し、上記の一の実施の形態
のステップS01〜S08と同様にして仮想単線11の
形状を決定した後、歪み変化量Δεが最大となるいずれ
かの電線12を選択し、その内部の導体部の形状を、仮
想単線11の形状に応じて決定した後、当該導体部のみ
の屈曲寿命予測を行えばよい。この場合における(3)
式中の径rは、導体部の径を適用する。
【0094】このようにすれば、上記の一の実施の形態
の低温環境下における電線束1の屈曲寿命だけでなく、
常温環境下における電線束1の屈曲寿命をも容易に予測
することができる。
【0095】{さらに他の実施の形態}上記した一の実
施の形態では、ヒンジ部付近に設置されるグロメット2
内を電線束1が貫通する場合に、ドア3の開閉動作に伴
って電線束1が伸屈変化する際の電線束1の屈曲寿命を
予測する場合を説明したが、上記の基本的な手法は、グ
ロメット等の外装品を考慮しない場合にも適用できる。
【0096】この場合、図22のステップS21(図3
中のステップS01に相当)のように、まずワイヤーハ
ーネスの取り付け位置(クランプ位置)と、ワイヤーハ
ーネスの寸法(電線束の直径及び長さ)と、電線束の端
点の運動方向及び運動量といった各種パラメータを入力
する。これらのパラメータを入力することで、解析モデ
ルを作成するためのプロシージャファイルが作成され
る。このプロシージャファイルは、パラメータだけでな
く、三次元形状を作成するためのプログラム上の各種コ
マンドラインが全て含められる。このプロシージャファ
イルに、ワイヤーハーネスの材料物性を含めておくこと
で、各パラメータの値がプロシージャファイルに全て含
まれることになる。
【0097】次に、ステップS22において、ステップ
S21で作成されたプロシージャファイルを実行させ
る。このように所定の三次元形状作成アプリケーション
プログラムにおいてプロシージャファイルを実行するこ
とで、当該三次元形状作成アプリケーションプログラム
において電線束の初期形状モデル(三次元形状モデル)
が自動的に作成される。しかる後、ステップS23にお
いて、電線束の初期形状について、取り付け位置及び取
り付け形状を計算する。
【0098】次のステップS24において、計算が正常
に終了したか否かを判断する。正常終了しない場合は、
正常終了しない原因を調べ、エディタや専用ソフトウェ
アプログラムとを用いて、計算すべきモデルのプロシー
ジャファイル(パラメータやコマンドライン)の修正を
行って、ステップS21〜ステップS24の作業を繰り
返し実行する。
【0099】しかる後、ステップS25に進み、初期形
状の計算結果を読み込みんで、曲率計算の計算用ファイ
ルを作成する(ステップS26)。
【0100】このステップS26で作成された計算用フ
ァイル(ドア開閉モデル及び接触定義)を用いて、ステ
ップS27でドア開閉に伴う曲率計算を行う。このとき
に出力される数値としては、電線束の中央位置での各節
点の曲率が採用される。かかる数値(曲率)を一旦ファ
イルに保存し、後処理で歪み変化量(前述参照)を計算
する。ここで計算が正常終了しない場合は、計算の条件
(例えばステップ数等)を変更して再計算さんを繰り返
す(ステップS28)。
【0101】そして、ステップS29において、ステッ
プS27で計算された各節点の曲率及び各ステップの曲
率の値を曲率ファイルとして保存する。これらの曲率の
値は、電線束の中央位置での値が採用される。この曲率
ファイルに基づいて、上記の実施の形態と同様にして電
線束の寿命を予測するための歪み変化量を計算する。
【0102】曲率の値に基づいて寿命を予測する方法と
しては、図17で説明した手順と同手順で行えばよい。
こで得られた寿命の値のうち、最も寿命が短い値を検索
すれば、その値がワイヤーハーネスの予想屈曲寿命とな
る。
【0103】このように、外装品を考慮しない場合であ
っても、ワイヤーハーネス(電線束)を屈曲したときの
形状をCAEで計算し、得られた電線束の歪み値に基づ
いて歪み変化量を計算し、これに基づいてワイヤーハー
ネスの屈曲寿命を容易に計算できる。したがって、ワイ
ヤーハーネスが断線に至るまでの屈曲回数をCAEで計
算することができ、机上でワイヤーハーネスの寿命を容
易に予測できる。したがって、評価試験の削減を期待で
きる。
【0104】また、この実施の形態のように、プロシー
ジャファイルを用いて各種パラメータとコマンドライン
を予め様々なモデルについて定義しておけば、その途中
でのパラメータの修正が容易である。さらに予め多くの
プロシージャファイルを作成し、これに基づいて寿命予
測を行うことで、多くの寿命予測を行う際に便利であ
る。
【0105】以上この発明の各実施例について説明した
が、この発明の範囲は上記実施例に限られるものではな
く、添付された請求の範囲によって規定される。
【0106】
【発明の効果】請求項1、請求項2または請求項4及び
請求項9に記載の発明によれば、屈曲寿命予測工程にお
いて、個々の電線を別個の構造体として三次元的にそれ
ぞれモデリングするのではなく、擬似的に仮想的な単線
に単純化して全体的な形状を決定するようにしているの
で、初期形状と最終形状を計算するために、電線束の実
際の構造に基づく物性ではなく仮想単線の相当直径及び
曲げ弾性をモデリングして演算することで、電線束の物
性を大幅に単純化して演算することができる。そして、
その結果として現実の屈曲寿命に極めて近似した屈曲寿
命の予測値を得ることができる。したがって、コンピュ
ータを用いた有限要素法(マトリックス応力解析法)で
屈曲寿命の予測値を演算する際に、コンピュータの負荷
を低減でき、素早く予測値を収束させることが可能とな
る。
【0107】そして、適用対象の全体的な設計構想を行
い(適用対象設計構想工程)、適用対象に適合するよう
にワイヤーハーネスの設計構想を行って(ワイヤーハー
ネス設計構想工程)、その後に、屈曲寿命予測工程を即
座に実行して屈曲寿命予測を行うことができるので、従
来のようにワイヤーハーネスについての試作品の制作及
び屈曲評価試験を経て評価結果を得るのに例えば2〜3
ケ月という多大な時間を要していた工程を、本発明を実
施することにより例えば2〜3日あるいはそれ以下で評
価結果が得られるというように大幅に省略することがで
きる。また、請求項3のように、適用対象設計局または
電線製造局において、屈曲寿命予測工程をコンピュータ
を用いて容易に屈曲寿命予測を行うことができるので、
ワイヤーハーネスの設計開発期間、ひいては適用対象全
体の設計開発期間の短縮を図ることが可能となる。
【0108】また、請求項1及び請求項9に記載の発明
によれば、電線束、保護管及び外部構造体のそれぞれの
初期形状を決定する際に、まず電線束の初期形状を、電
線束の中心線の初期形状に代替させ、さらに保護管の初
期形状を、保護管の電線束に対する余裕空間の余裕寸法
のみを内径とする仮想パイプの初期形状に代替させ、当
該仮想パイプ9の両端部において電線束の中心線が拘束
されないように電線束の中心線の初期形状を決定してい
るので、仮想パイプの両端部の例えば中心点を電線束の
中心線が通るように電線束の形状を拘束する場合に比べ
て、現実の電線束の形状を反映した曲率変化を導くこと
が可能となり、屈曲寿命の予測精度が向上する。
【0109】請求項5及び請求項9に記載の発明によれ
ば、1本の単線に繰り返し曲げを施して、予めその歪み
変化量と屈曲寿命の実測値との相関関係を得た上で、予
測対象となる電線束のうち最も歪み変化量の大きな電
線、または電線束を単線モデル化した仮想単線につい
て、その歪み変化量を有限要素法によって算出し、その
算出された予測対象電線束の歪み変化量を上記相関関係
に照合することによって予測対象電線束の屈曲寿命を予
測しているため、電線束の製品条件によらずその屈曲寿
命を正確に予測することができる。
【0110】請求項6及び請求項9に記載の発明によれ
ば、ワイヤーハーネスを構成する複数種類の電線の径及
び個数に基づいて所定の演算式(請求項8)によりワイ
ヤーハーネスの径を演算し、このワイヤーハーネスの径
に基づいてワイヤーハーネスの初期形状を決定するの
で、操作者は電線の径及び個数をコンピュータに入力す
るだけでワイヤーハーネスの初期形状を得ることができ
る。したがって、適用対象設計局または電線製造局にお
いて、屈曲寿命予測工程をコンピュータを用いて容易に
屈曲寿命予測を行うことができるので、ワイヤーハーネ
スの設計開発期間、ひいては適用対象全体の設計開発期
間の短縮を図ることが可能となる。
【0111】請求項7及び請求項9に記載の発明によれ
ば、ワイヤーハーネスを構成する複数種類の電線の径及
び個数に基づいて所定の演算式(請求項8)によりワイ
ヤーハーネスの径を演算し、保護管の内径から上記のワ
イヤーハーネスの径を減算して余裕寸法を求めるように
しているので、操作者は電線の径及び個数をコンピュー
タに入力するだけで余裕寸法を得ることができる。した
がって、適用対象設計局または電線製造局において、屈
曲寿命予測工程をコンピュータを用いて容易に屈曲寿命
予測を行うことができるので、ワイヤーハーネスの設計
開発期間、ひいては適用対象全体の設計開発期間の短縮
を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一の実施の形態に係るワイヤーハー
ネス設計方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図2】自動車のドア部分に使用されているワイヤーハ
ーネスを示す図である。
【図3】この発明の一の実施の形態に係る屈曲寿命予測
工程における曲率値計算工程を示すフローチャートであ
る。
【図4】ドア閉状態である自動車のドアパネル及びボデ
ィパネルと電線束の中心線の各座標位置を特定した状態
を示す図である。
【図5】ドア開状態である自動車のドアパネル及びボデ
ィパネルと電線束の中心線の各座標位置を特定した状態
を示す図である。
【図6】電線束及びグロメットを示す断面図である。
【図7】電線束の中心線及び仮想パイプを示す断面図で
ある。
【図8】電線束の中心線及び仮想パイプを仮想空間上に
表示した様子を示す図である。
【図9】ドア及びボディを仮想空間上に表示した様子を
示す図である。
【図10】電線束の中心線及び仮想パイプの形状をドア
及びボディに適合させた状態を示す図である。
【図11】提案例における仮想パイプと電線束の中心線
との位置関係を示す図である。
【図12】提案例における仮想パイプと電線束の中心線
との位置関係を示す図である。
【図13】この発明の一の実施の形態における仮想パイ
プと電線束の中心線との位置関係を示す図である。
【図14】この発明の一の実施の形態における仮想パイ
プと電線束の中心線との位置関係を示す図である。
【図15】電線束の中心線及び仮想パイプをドア及びボ
ディに併合した状態を示す図である。
【図16】電線の歪み変化量について説明するための図
である。
【図17】この発明の一の実施の形態に係る電線束の屈
曲寿命予測方法における予想寿命出力工程を示すフロー
チャートである。
【図18】マスターカーブを示す図である。
【図19】マスターカーブを温度毎に取得した状態を示
す図である。
【図20】曲率値計算工程で算出した曲率半径に基づき
導かれた歪み変化量を、予想寿命出力工程においてマス
ターカーブに当てはめた様子を示す図である。
【図21】一の実施の形態において、電線束を分割して
歪み変化量を解析する様子を示す図である。
【図22】さらに他の実施の形態に係る屈曲寿命予測工
程における曲率値計算工程を示すフローチャートであ
る。
【図23】従来のワイヤーハーネス設計方法を示すフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
11,11a 仮想単線 2 グロメット 3 ドア 4 ドアパネル 5 ボディ 6 ボディパネル 8 中心線 9 仮想パイプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川辺 仁 三重県四日市市西末広町1番14号 住友電 装株式会社内 (72)発明者 川北 有紀 三重県四日市市西末広町1番14号 住友電 装株式会社内 (72)発明者 大内 孝司 大阪市此花区島屋1丁目1番3号 住友電 気工業株式会社内 (72)発明者 古庄 勝 大阪市此花区島屋1丁目1番3号 住友電 気工業株式会社内 Fターム(参考) 5B046 AA04 BA04 JA07

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体線を絶縁層にて被覆してなる電線を
    単数または複数本束ねて、所望の適用対象に配策するワ
    イヤーハーネスを設計するワイヤーハーネス設計方法で
    あって、 前記適用対象の全体的な設計構想を行う適用対象設計構
    想工程と、 前記適用対象に適合するように前記ワイヤーハーネスの
    設計構想を行うワイヤーハーネス設計構想工程と、 前記ワイヤーハーネス設計構想工程で構想された前記ワ
    イヤーハーネスが、所定の保護管内を貫通し、且つ前記
    保護管とは異なる外部構造体に固定される場合に、前記
    外部構造体の動作に起因した前記ワイヤーハーネスの屈
    曲による断線に至るまでの屈曲寿命を有限要素法に従っ
    て予測する屈曲寿命予測工程とを備え、 前記屈曲寿命予測工程は、 前記ワイヤーハーネス、前記保護管及び前記外部構造体
    のそれぞれの初期形状を決定する初期形状決定工程と、 前記外部構造体の動作を仮想して前記ワイヤーハーネス
    及び前記保護管の伸屈変形を解析し、前記ワイヤーハー
    ネスの曲率変化を計算する伸屈動作解析工程と、 前記伸屈動作解析工程で得られた曲率変化に基づいて、
    予測対象となる前記ワイヤーハーネスの歪み変化量を算
    出する歪み変化量算出工程と、 前記歪み変化量算出工程で算出された前記歪み変化量に
    より予め設定された寿命予測曲線に照合して、前記ワイ
    ヤーハーネスの屈曲寿命を予測する照合工程とを備え、 前記初期形状決定工程では、前記ワイヤーハーネスの初
    期形状を、前記ワイヤーハーネスの中心線の初期形状に
    代替させ、前記保護管の初期形状を、前記保護管の前記
    ワイヤーハーネスに対する余裕空間の余裕寸法のみを内
    径とする仮想パイプの初期形状に代替させ、当該仮想パ
    イプの両端部において前記ワイヤーハーネスの中心線が
    拘束されないように前記ワイヤーハーネスの中心線の初
    期形状を決定することを特徴とするワイヤーハーネス設
    計方法。
  2. 【請求項2】 導体線を絶縁層にて被覆してなる電線を
    単数または複数本束ねて、所望の適用対象に配策するワ
    イヤーハーネスを設計するワイヤーハーネス設計方法で
    あって、 前記適用対象の全体的な設計構想を行う適用対象設計構
    想工程と、 前記適用対象に適合するように前記ワイヤーハーネスの
    設計構想を行うワイヤーハーネス設計構想工程と、 前記ワイヤーハーネス設計構想工程で構想された前記ワ
    イヤーハーネスの屈曲による断線に至るまでの屈曲寿命
    を有限要素法に従って予測する屈曲寿命予測工程とを備
    え、 前記屈曲寿命予測工程は、 前記ワイヤーハーネスの初期形状を決定する初期形状決
    定工程と、 前記ワイヤーハーネスの伸屈変形を解析し、前記ワイヤ
    ーハーネスの曲率変化を計算する伸屈動作解析工程と、 前記伸屈動作解析工程で得られた曲率変化に基づいて、
    予測対象となる前記ワイヤーハーネスの歪み変化量を算
    出する歪み変化量算出工程と、 前記歪み変化量算出工程で算出された前記歪み変化量に
    より予め設定された寿命予測曲線に照合して、前記ワイ
    ヤーハーネスの屈曲寿命を予測する照合工程とを備える
    ワイヤーハーネス設計方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のワイヤ
    ーハーネス設計方法であって、 前記適用対象設計構想工程及び前記ワイヤーハーネス設
    計構想工程を、前記適用対象を設計構想する適用対象設
    計局が実行し、 前記屈曲寿命予測工程を、前記ワイヤーハーネスを製造
    する電線製造局または前記適用対象設計局が実行するこ
    とを特徴とするワイヤーハーネス設計方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載のワイヤーハーネス設計方法であって、 前記屈曲寿命予測工程の前記伸屈動作解析工程におい
    て、前記電線束の曲率変化を、前記電線束の中心線の曲
    率変化に代替させることを特徴とするワイヤーハーネス
    設計方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載のワイヤーハーネス設計方法であって、 前記屈曲寿命予測工程において、前記寿命予測曲線が、
    1本の単線について、複数の歪み変化量について前記単
    線を繰り返し曲げを施して、当該単線の断線に至るまで
    の屈曲回数を実際に測定することにより歪み変化量と前
    記屈曲回数との相関関係を求めたものであり、 前記屈曲寿命予測工程の前記歪み変化量算出工程におい
    て、前記導体線と前記絶縁層の各曲げ弾性係数を断面積
    比率によって重み付け平均した1本の仮想的線部材を想
    定し、当該仮想的線部材を1本の前記電線として、前記
    仮想的線部材の屈曲を受ける領域内で最も大きく屈曲変
    化する位置において最も屈曲した状態のいずれか単一の
    電線の曲げ半径をR1とし、最も伸長した状態の前記単
    一の電線の曲げ半径をR2とし、前記R1と前記R2の差
    が最も大きいいずれか単一の電線の半径をrとして、次
    式により前記歪み変化量(Δε)を算出することを特徴
    とするワイヤーハーネス設計方法。 【数1】
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記
    載のワイヤーハーネス設計方法であって、 前記屈曲寿命予測工程の前記初期形状決定工程におい
    て、前記ワイヤーハーネスの初期形状が、少なくとも当
    該ワイヤーハーネスの径に基づいて決定され、 前記ワイヤーハーネスの径が、当該ワイヤーハーネスを
    構成する複数種類の電線の径及び個数に基づいて所定の
    演算式により演算されるワイヤーハーネス設計方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のワイヤーハーネス設計
    方法であって、 前記屈曲寿命予測工程の前記初期形状決定工程におい
    て、前記余裕寸法が、前記保護管の内径から前記ワイヤ
    ーハーネスの径を減算して求められ、 前記ワイヤーハーネスの径が、当該ワイヤーハーネスを
    構成する複数種類の電線の径及び個数に基づいて所定の
    演算式により演算されるワイヤーハーネス設計方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のワイヤーハーネス設計
    方法であって、 前記ワイヤーハーネスを構成する各電線の径をdv、当
    該径dvの各電線のそれぞれの個数をNv、所定の係数を
    iとした場合に、前記ワイヤーハーネスの径Dxが、
    次式によって演算されることを特徴とするワイヤーハー
    ネス設計方法。 【数2】
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項8のいずれかに記
    載のワイヤーハーネス設計方法中の前記屈曲寿命予測工
    程をコンピュータ上で実現するために、当該屈曲寿命予
    測工程内の各工程をコンピュータに実行させるためのプ
    ログラム。
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