JP2003143390A - 電子透かしの埋め込みおよび抽出 - Google Patents

電子透かしの埋め込みおよび抽出

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JP2003143390A
JP2003143390A JP2001337959A JP2001337959A JP2003143390A JP 2003143390 A JP2003143390 A JP 2003143390A JP 2001337959 A JP2001337959 A JP 2001337959A JP 2001337959 A JP2001337959 A JP 2001337959A JP 2003143390 A JP2003143390 A JP 2003143390A
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JP2001337959A
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Kineo Matsui
甲子雄 松井
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Kowa Co Ltd
Original Assignee
Kowa Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い秘匿性を実現でき、且つ、高能率圧縮符
号化やJitter攻撃などに対して十分な耐性を有す
る電子透かしを提供する。 【解決手段】 帯域分割部42が原音声データを低周波
帯域成分と複数の中間周波帯域成分とに帯域分割する
(S104)。拡散部44が低周波帯域成分にPN系列
を乗じて拡散信号を生成する(S106)。MDCT変
換部46が拡散信号にMDCT変換を施してMDCT係
数を導き出す(S108)。埋め込み部48がMDCT
係数に透かしビットを埋め込む(S110)。IMDC
T変換部50が透かしビットの埋め込まれたMDCT係
数にIMDCT変換を施して埋め込み済み拡散信号を生
成する(ステップS112)。帯域成分復元部52が埋
め込み済み拡散信号にPN系列を乗じて埋め込み済み低
周波帯域成分を生成する(S114)。帯域合成部54
が埋め込み済み低周波帯域成分と複数の中間周波帯域成
分とを合成して、埋め込み済み音声データを生成する
(S116)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音声データや画像
データなどのデジタルデータに電子透かしの埋め込みを
行う電子透かしの技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インターネットなどのコンピュータネッ
トワークの発展に伴って、情報のデジタル化が進み、多
くのユーザが簡単に必要とする情報にアクセスできるよ
うになっている。その反面、そのデジタル情報に著作権
が発生しているデジタルコンテンツについて、その著者
に断わりなく容易にデータが複製できるような環境にな
りつつあり、不正コピーにともなう著作権侵害の問題が
注目されてきている。そこで、デジタルコンテンツの主
たる情報である音声や画像に関しての著作権侵害を防止
すること等を目的として、著作権情報などの透かし情報
を音声データや画像データに埋め込む電子透かし技術が
注目されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような電子透かし
技術においては、第三者によって電子透かしの存在を不
正に特定されないような高い秘匿性を有すると共に、高
能率圧縮符号化やJitter攻撃などに対して十分な
耐性を有することが望ましい。
【0004】そこで、本発明の目的は、上記した課題を
解決し、高い秘匿性を実現でき、且つ、高能率圧縮符号
化やJitter攻撃などに対して十分な耐性を有し得
る電子透かし技術を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明
の電子透かし埋め込み方法は、デジタルデータに透かし
情報の埋め込みを行う電子透かし埋め込み方法であっ
て、(a)前記透かし情報の埋め込みの対象となる対象
データと、前記透かし情報の埋め込みのために用いる広
帯域信号と、を準備する工程と、(b)前記対象データ
を複数の帯域成分に帯域分割する工程と、(c)前記複
数の帯域成分のうち、少なくとも1つの対象帯域成分に
前記広帯域信号を乗じて拡散信号を生成する工程と、
(d)前記拡散信号に所定の直交変換を施すことによっ
て、変換係数を導き出す工程と、(e)前記変換係数に
前記透かし情報の埋め込みを行う工程と、(f)前記透
かし情報の埋め込みの行われた前記変換係数に、前記直
交変換とは逆の変換を施すことによって、埋め込み済み
拡散信号を生成する工程と、(g)前記埋め込み済み拡
散信号に前記広帯域信号を乗じて、埋め込み済み対象帯
域成分を生成する工程と、(h)前記複数の帯域成分の
うち、前記対象帯域成分以外の帯域成分と、前記埋め込
み済み対象帯域成分と、を合成して、埋め込み済み対象
データを生成する工程と、を備えることを要旨とする。
【0006】このように、本発明の電子透かし埋め込み
方法では、対象データを複数の帯域成分に帯域分割し、
それら複数の帯域成分のうち、少なくとも1つの対象帯
域成分に、予め準備した広帯域信号を乗じて拡散信号を
生成する。そして、その拡散信号に所定の直交変換を施
すことによって、変換係数を導き出し、その変換係数に
透かし情報の埋め込みを行う。その後、その透かし情報
の埋め込みの行われた変換係数に、先程の直交変換とは
逆の変換を施すことによって、埋め込み済み拡散信号を
生成する。そして、その埋め込み済み拡散信号に先程と
同じ広帯域信号を乗じて、埋め込み済み対象帯域成分を
生成し、前述の複数の帯域成分のうち、対象帯域成分以
外の帯域成分と、生成した埋め込み済み対象帯域成分
と、を合成して、埋め込み済み対象データを生成するよ
うにしている。
【0007】本発明の電子透かし埋め込み方法によれ
ば、透かし情報の埋め込みの対象となる対象データを帯
域分割して、透かし情報を埋め込むべき帯域を所望の対
象帯域に予め制限することにより、拡散帯域幅に対する
計算処理量を削減することができる。また、広帯域信号
と同じ広帯域信号を用いない限り、スペクトル拡散の原
理により、埋め込まれた透かし情報を正しく抽出するこ
とはできないので、高い秘匿性を実現することができ
る。さらにまた、埋め込まれた透かし情報は、高能率圧
縮符号化やJitter攻撃などに対して十分な耐性を
有し得る。
【0008】本発明の電子透かし埋め込み方法におい
て、前記工程(b)では、前記対象データを、低周波帯
域成分と、1つ以上の中間周波帯域成分と、に帯域分割
することが好ましい。さらに、前記対象帯域成分は、前
記低周波帯域成分であることが好ましい。
【0009】このように、対象帯域成分を低周波帯域成
分とすることにより、埋め込まれた透かし情報のスペク
トルは、広帯域の低周波帯域成分へ拡散されるため、対
象データの品質をほとんど劣化させることなく、高い強
度での透かし情報の埋め込みが可能となる。
【0010】本発明の電子透かし埋め込み方法におい
て、前記広帯域信号は、擬似乱数系列から成ることが好
ましい。また、前記擬似乱数系列は、自乗すると1にな
る乱数系列であることが好ましい。
【0011】このような擬似乱数系列を用いることによ
って、拡散信号から帯域成分を生成する際の処理が複雑
にならなくて済む。
【0012】本発明の電子透かし埋め込み方法におい
て、前記直交変換は、変形離散コサイン変換であること
が好ましい。
【0013】このように直交変換として、変形離散コサ
イン変換を用いることにより、例えば、対象データを複
数のフレームに分割して直交変換を施した場合でも、フ
レーム間に生じやすいスパイク雑音や歪を低減すること
ができる。
【0014】本発明の電子透かし埋め込み方法におい
て、前記工程(a)では、さらに、前記透かし情報の埋
め込みのために用いる鍵乱数列を準備すると共に、前記
工程(d)は、(d−1)前記拡散信号を時間軸上で複
数のフレームに分割する工程と、(d−2)前記フレー
ムに前記直交変換を施すことによって、複数の変換係数
を求める工程と、を備え、前記工程(e)は、(e−
1)前記フレーム毎に、前記鍵乱数列から順次抽出され
る乱数値に応じて、そのフレームから求めた前記複数の
変換係数の中から、対象変換係数と、該対象変換係数と
周波数が近接する近接変換係数と、をそれぞれ導出する
工程と、(e−2)前記対象変換係数と前記近接変換係
数とを演算し、その演算結果が、埋め込むべき前記透か
し情報に応じた所定の条件を満たさない場合に、その条
件を満たすように、前記対象変換係数および前記近接変
換係数のうち、少なくとも一方の値を変更する工程と、
を備え、前記工程(f)は、(f−1)前記対象変換係
数および前記近接変換係数を含む前記複数の変換係数
に、前記直交変換とは逆の変換を施すことによって、埋
め込み済みフレームを生成する工程と、(f−2)複数
の前記埋め込み済みフレームを合成して、前記埋め込み
済み拡散信号を生成する工程と、を備えることが好まし
い。
【0015】このように、透かし情報の埋め込みに、こ
のような対象変換係数と近接変換係数とを演算し、その
演算結果を利用した手法を用いることにより、増幅や減
数の処理にも十分耐えることができる。
【0016】本発明の電子透かし抽出方法は、透かし情
報の埋め込まれたデジタルデータから前記透かし情報を
抽出する電子透かし抽出方法であって、(a)前記透か
し情報の抽出の対象となる対象データと、前記透かし情
報の抽出のために用いる広帯域信号と、を準備する工程
と、(b)前記対象データを帯域成分に帯域分割して、
前記透かし情報の抽出の対象となる対象帯域成分を導き
出す工程と、(c)前記対象帯域成分に前記広帯域信号
を乗じて拡散信号を生成する工程と、(d)前記拡散信
号に所定の直交変換を施すことによって、変換係数を導
き出す工程と、(e)前記変換係数から、埋め込まれて
いる前記透かし情報の抽出を行う工程と、を備えること
を要旨とする。
【0017】このように、本発明の電子透かし抽出方法
では、対象データを帯域成分に帯域分割して、透かし情
報の抽出の対象となる対象帯域成分を導き出し、その対
象帯域成分に広帯域信号を乗じて拡散信号を生成する。
そして、その拡散信号に所定の直交変換を施すことによ
って、変換係数を導き出し、その変換係数から、埋め込
まれている透かし情報の抽出を行うようにしている。
【0018】本発明の電子透かし抽出方法によれば、透
かし情報の埋め込みに用いた広帯域信号と同じ広帯域信
号を準備すれば、前述した本発明の電子透かし埋め込み
方法によって埋め込まれた電子透かしを、容易に検出す
ることができる。
【0019】本発明のの電子透かし抽出方法において、
前記工程(b)では、前記対象データを、低周波帯域成
分と、1つ以上の中間周波帯域成分と、に帯域分割する
ことが好ましい。また、前記対象帯域成分は、前記低周
波帯域成分であることが好ましい。
【0020】本発明のの電子透かし抽出方法において、
前記広帯域信号は、擬似乱数系列から成ることが好まし
い。さらに、前記擬似乱数系列は、自乗すると1になる
乱数系列であることが好ましい。
【0021】本発明の電子透かし抽出方法において、前
記直交変換は、変形離散コサイン変換であることが好ま
しい。
【0022】透かし情報を埋め込んだ際に用いた対象帯
域成分や、広帯域信号や、直交変換などに対応させるた
めである。
【0023】本発明の電子透かし抽出方法において、前
記工程(a)では、さらに、前記透かし情報の抽出のた
めに用いる鍵乱数列を準備すると共に、前記工程(d)
は、(d−1)前記拡散信号を時間軸上で複数のフレー
ムに分割する工程と、(d−2)前記フレームに前記直
交変換を施すことによって、複数の変換係数を求める工
程と、を備え、前記工程(e)は、(e−1)前記フレ
ーム毎に、前記鍵乱数列から順次抽出される乱数値に応
じて、そのフレームから求めた前記複数の変換係数の中
から、対象変換係数と、該対象変換係数と周波数が近接
する近接変換係数と、をそれぞれ導出する工程と、(e
−2)前記対象変換係数と前記近接変換係数との大小関
係を比較し、その比較結果から、埋め込まれている前記
透かし情報を抽出する工程と、を備えることが好まし
い。
【0024】透かし情報の埋め込みに、対象変換係数と
近接変換係数とを演算し、その演算結果を利用した手法
を用いた場合には、透かし情報の抽出に、それに対応す
る手法を用いる必要があるからである。
【0025】なお、本発明は、上記した電子透かし埋め
込み方法や電子透かし検出方法などの方法発明の態様に
限ることなく、電子透かし装置などの装置の発明として
の態様や、それら方法や装置を構築するためのコンピュ
ータプログラムとしての態様や、そのようなコンピュー
タプログラムを記録した記録媒体としての態様で実現す
ることも可能である。また、さらには、上記コンピュー
タプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号
など、種々の態様で実現することも可能である。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて以下の順序で説明する。 A.電子透かし埋め込み処理: B.電子透かし検出処理: C.具体例: C−1.音質への影響: C−2.レベル変調に対する耐性: C−3.帯域通過フィルタに対する耐性: C−4.高能率圧縮符号化に対する影響: C−5.Jitter攻撃に対する耐性: C−6.まとめ: D.装置全体の構成及び処理手順: F.変形例: F−1.変形例1: F−2.変形例2: F−3.変形例3: F−4.変形例4: F−5.変形例5:
【0027】A.電子透かし埋め込み処理:図1は本発
明の一実施例としての電子透かし埋め込み処理の概要を
示す説明図である。本実施例では、電子透かしの秘匿性
を確実にするためと、高能率圧縮符号化やJitter
攻撃など対して十分耐え得るようにするために、スペク
トル拡散法の1方式である直接拡散(DS:Direct Seq
uence)方式を用いると共に、サブバンド化による帯域
分割の技術を応用する。なお、埋め込み対象として、音
声データを用いる場合について説明する。
【0028】まず、透かし情報の埋め込みの対象となる
原音声データSと、透かし情報の埋め込みのために用い
る広帯域信号(後述する擬似乱数系列g(tj))およ
び鍵乱数列Rと、埋め込まれる透かし情報である透かし
ビットbiと、を準備する。
【0029】次に、その原音声データSを、低周波帯域
成分Ljと、複数の中間周波帯域成分H1,H2,H3
…,Hjと、に帯域分割する。
【0030】具体的には、まず、原音声データSをL0
とおき、サンプリング時刻t0における時系列データを
0(t0)(t0=0,1,2,…)とする。そして、
そのデータL0について、低周波帯域成分L1のサンプリ
ング時刻t1における時系列データl1(t1)(t1
0,1,2,…)、および、中間周波帯域成分H1のサ
ンプリング時刻t0における時系列データh1(t0
(t0=0,1,2,…)を、それぞれ式(1),
(2)によって求める。
【0031】
【数1】
【0032】
【数2】
【0033】この処理によって、データL0は、L0の半
分の帯域を持つ低周波帯域成分L1と、L0と同帯域を持
つ中間周波帯域成分H1と、に帯域分離される。
【0034】図2は図1の帯域分割処理における基本的
な処理を示す説明図である。そこで、図2に示す基本的
な処理を、式(3)に示すように、j回、再帰的に実行
することよって、段階的に高周波帯域成分(中間周波帯
域成分)H1,H2,H3,…,Hjが得られると共に、最
終的に低周波帯域成分Ljが得られる。
【0035】
【数3】
【0036】以上のようにして、原音声データSを低周
波帯域成分Ljと、複数の中間周波帯域成分H1,H2
3,…,Hjと、に帯域分割する。
【0037】次に、DS方式によるスペクトル拡散を行
う。即ち、得られた低周波帯域成分Ljに、先に準備し
た広帯域信号を乗じて、拡散信号を生成する。
【0038】具体的には、式(4)に従って、低周波帯
域成分Ljのサンプリング時刻tjにおける時系列データ
j(tj)に、広帯域信号である擬似乱数(PN:Pseu
do-random Number)系列g(tj)を乗じることによ
り、広帯域に拡散された拡散信号x(tj)を生成す
る。ここで、PN系列g(tj)は、±1の値をランダ
ムにとる2値の乱数系列である。
【0039】
【数4】
【0040】次に、生成された拡散信号x(tj)に直
交変換である変形離散コサイン変換(MDCT)を施
す。
【0041】具体的には、拡散信号x(tj)を時間軸
上で複数の一定長のフレームに分割し、各フレームに対
して変形離散コサイン変換(MDCT)を施して、それ
ぞれ、M個の周波数係数(変換係数)であるMDCT係
数Xiを得る。
【0042】MDCTは、図3に示すように、M個のM
DCT係数を得るために、1つのフレームとして、2M
個の時系列サンプルを用いる。これは、周波数分離度を
高くし、且つ、隣接するフレームを互いに重複させるこ
とで、フレーム間歪を抑制できる手法である。
【0043】拡散信号x(t)におけるi番目のフレー
ムについて、各MDCT係数Xi(k)は、式(5)に
よって求めることができる。
【0044】
【数5】
【0045】なお、ここで、窓関数w(n)およびMD
CT基底c(k,n)は、それぞれ、式(6),(7)
に示す如くである。
【0046】
【数6】
【0047】
【数7】
【0048】次に、フレームi毎に、得られたMDCT
係数Xi(k)に先に準備した透かし情報である透かし
ビットbiを埋め込んでいく。ここで、透かしビットbi
は、0または1から成り、例えば、予め用意された著作
権データを暗号化し、その暗号化データからフレーム毎
にビットを抽出することによって得ることができる。
【0049】そこで、具体的には、まず、フレームi毎
に、先に準備した鍵乱数列Rから乱数値riを抽出し、
その乱数値riに応じて、そのフレームiから求めたM
個のMDCT係数Xi(k)の中から、対象となるMD
CT係数Xi(ri)と、それに隣接するMDCT係数X
i(ri+1)と、を導き出す。ここで、鍵乱数列Rを構
成する各乱数値riは、それぞれ、(0,1,…,M−
2)の何れかの値をとる。
【0050】この処理によって、フレームi毎に、透か
しビットbiを埋め込むべき周波数係数がランダムに選
び出される。
【0051】続いて、導き出した2つのMDCT係数X
i(ri),Xi(ri+1)について、それらの絶対値
(即ち、周波数係数の強さ)の差を求め、その結果が、
埋め込むべき透かしビットbiに応じた所定の条件を満
たすか否かを判定し、その条件を満たす場合はそのまま
とするが、満たさない場合には、2つのMDCT係数の
何れかの値を変更する。なお、上記条件には、埋め込み
強度を制御するための基準値p(>0)を用いる。
【0052】概念的には、図4に示す如く、これらMD
CT係数の値を変更する。即ち、透かしビットbiがbi
=0のときには、式(8)に示す条件を満たすか否かを
判定する。
【0053】
【数8】
【0054】そして、判定の結果、上記条件を満たす場
合には、2つのMDCT係数Xi(ri),Xi(ri
1)の値はそのままとし、上記条件を満たさない場合に
は、図4(a)に示すように、Xi(ri+1)の絶対値
を式(9)に従って置き換えた上で、その絶対値に元の
i(ri+1)の正負符号と同じ符号を付すことによ
り、Xi(ri+1)の値を変更する。
【0055】
【数9】
【0056】一方、透かしビットbiがbi=0のときに
は、式(10)に示す条件を満たすか否かを判定する。
【0057】
【数10】
【0058】そして、判定の結果、上記条件を満たす場
合には、2つのMDCT係数Xi(ri),Xi(ri
1)の値はそのままとし、上記条件を満たさない場合に
は、図4(b)に示すように、Xi(ri)の絶対値を式
(11)に従って置き換えた上で、その絶対値に元のX
i(ri)の正負符号と同じ符号を付すことにより、X i
(ri)の値を変更する。
【0059】
【数11】
【0060】以上のようにして、フレームi毎に、MD
CT係数Xi(k)に透かしビットbiを埋め込んでい
く。このようにして、透かしビットbiの埋め込まれた
MDCT係数をX’i(k)(k=0,…,M−1)と
する。
【0061】次に、この透かしビットbiの埋め込まれ
たMDCT係数X’i(k)に、逆変形離散コサイン変
換(IMDCT)を施して、埋め込み済み拡散信号を生
成する。
【0062】具体的には、各フレームi毎に、式(1
2)に従って、MDCT係数X’i(k)にIMDCT
を行い、拡散信号の、各フレーム毎の波形要素x’
i(n)を得る。
【0063】
【数12】
【0064】そして、これら得られたx’i(n)を隣
接するフレーム毎に式(13)に示す如くして干渉さ
せ、埋め込み済み拡散信号x’(tj)を生成する。
【0065】
【数13】
【0066】次に、DS方式による逆スペクトル拡散を
行う。即ち、埋め込み済み拡散信号x’(tj)に、先
に用いた広帯域信号であるPN系列g(tj)を乗じ
て、埋め込み済み低周波帯域成分L’jを生成する。
【0067】具体的には、PN系列g(tj)は、前述
したとおり±1の値をランダムにとる2値の乱数系列で
あるため、自乗すると、必ずg2(tj)=1となる。従
って、埋め込み済み拡散信号x’(tj)にPN系列g
(tj)を乗じると、式(4)の関係を用いて、式(1
4)に示す如く変形されて、結果として、埋め込み済み
低周波帯域成分L’jの時系列データl’j(tj)を得
ることができる。
【0068】
【数14】
【0069】次に、こうして生成された埋め込み済み低
周波帯域成分L’jと、前述の帯域分割により得られた
複数の中間周波帯域成分H1,H2,H3,…,Hjと、を
合成して、埋め込み済み音声データS’を生成する。
【0070】具体的には、例えば、帯域分割された帯域
成分L1とH1を用いて、元の帯域L 0を復元するには、
式(2)から明らかなように、式(15)を用いて、時
系列データl0(t0)(t0=0,1,2,…)を求め
ればよい。
【0071】
【数15】
【0072】また、さらに低い周波帯域から元の帯域を
復元するには、上記した処理を段階的に繰り返し実行す
ればよい。
【0073】そこで、埋め込み済み低周波帯域成分L’
jから、埋め込み済み音声データS’であるL’0を生成
するには、中間周波帯域成分H1,H2,H3,…,Hj
用いて、図2に示した基本的な処理とは逆方向の処理
を、式(16)に示す如く、j回、段階的に繰り返し実
行するようにすればよい。
【0074】
【数16】
【0075】以上のように、本実施例の電子透かし埋め
込み方法では、透かし情報の埋め込みの対象となる音声
データを帯域分割して、透かし情報を埋め込む帯域を低
周波帯域に予め制限することにより、拡散帯域幅に対す
る計算処理量を削減することができる。
【0076】そこで、透かしビットの埋め込みビットレ
ートを一定した場合の、jに対する処理時間(1.4
[bit/s])を図5に示す。但し、計算処理量の削
減効果は、埋め込みアルゴリズムによって異なることに
注意する必要がある。
【0077】なお、この方法では、広帯域信号であるP
N系列g(tj)および鍵乱数列Rを、透かし情報を抽
出するための秘密鍵として用いることができる。
【0078】B.電子透かし検出処理:図6は本発明の
一実施例としての電子透かし抽出処理の概要を示す説明
図である。まず、図1の電子透かし埋め込み処理によっ
て生成した埋め込み済み音声データS’と、図1の電子
透かし埋め込み処理で用いた秘密鍵である広帯域信号
(即ち、PN系列g(tj))および鍵乱数列Rと、を
準備する。
【0079】次に、その埋め込み済み音声データS’を
帯域成分に帯域分割して、埋め込み済み低周波帯域成分
L’jを導き出す。帯域分割の処理手順は、埋め込み時
と同様の処理手順で行う。
【0080】続いて、埋め込み時と同様に、DS方式に
よるスペクトル拡散を行う。即ち、導き出された埋め込
み済み低周波帯域成分L’jに、先に準備した埋め込み
処理で用いた広帯域信号、即ち、PN系列g(tj)を
乗じて、埋め込み済み拡散信号x’(tj)を生成す
る。
【0081】次に、生成された埋め込み済み拡散信号
x’(tj)にMDCTを施し、フレームi毎に、埋め
込み済みMDCT係数X’i(k)を導き出す。MDC
Tを施す処理手順は、埋め込み時と同様の処理手順で行
う。
【0082】こうして、フレームi毎に得られた埋め込
み済みMDCT係数X’i(k)から、埋め込まれてい
る透かし情報である透かしビットbiを順次抽出する。
【0083】具体的には、まず、フレームi毎に、先に
準備した埋め込み処理で用いた鍵乱数列Rから乱数値r
iを抽出し、その乱数値riに応じて、そのフレームiか
ら求めたM個のMDCT係数Xi(k)の中から、対象
となるMDCT係数X’i(r i)と、それに隣接するM
DCT係数X’i(ri+1)と、を導き出す。
【0084】次に、導き出した2つのMDCT係数X’
i(ri),X’i(ri+1)について、それらの絶対値
を求めた上で、両者の大小関係を比較する。そして、式
(17)に示すように、MDCT係数X’i(ri)の絶
対値がMDCT係数X’i(ri+1)の絶対値より大き
いか否かによって、透かしビットbiを決定する。
【0085】
【数17】 即ち、MDCT係数X’i(ri)の絶対値がMDCT係
数X’i(ri+1)の絶対値より小さい場合には、透か
しビットbi=0と決定し、MDCT係数X’i(ri
の絶対値がMDCT係数X’i(ri+1)の絶対値より
大きい場合には、透かしビットbi=1と決定する。
【0086】以上のようにして、フレームi毎に、埋め
込み済みMDCT係数X’i(k)から、埋め込まれて
いる透かしビットbiを順次抽出する。
【0087】従って、電子透かし埋め込み処理において
スペクトル拡散を行う際に用いた広帯域信号(即ち、P
N系列g(tj))と同じ広帯域信号を用い、透かし情
報を埋め込むべき周波数係数を選ぶ際に用いた鍵乱数列
Rと同じ鍵乱数列を用いない限り、スペクトル拡散の原
理により、埋め込まれた透かし情報を正しく抽出するこ
とはできない。従って、本実施例の電子透かし技術を用
いれば、高い秘匿性を実現することができる。
【0088】C.具体例:音声データとしてCDなどの
高音質の音楽データに透かし情報を埋め込む場合、音質
の劣化が少なく、さらに、その音楽データを高能率圧縮
しても、埋め込まれた透かし情報が消失しにくいことが
望まれる。そこで、以下に述べる具体例では、高品質な
音楽データに透かし情報を埋め込んだ場合に、音質に与
える影響や、高能率圧縮などのデジタル信号処理を施し
た場合に、透かし情報の受ける影響などについて検討す
る。
【0089】この具体例では、対象となる音声データ
は、図7に示すように、音楽データ(Classic,
Jazz,Danceの3種類)の再生音を44,1k
Hz,16ビットでデジタル化して得られるデータを用
いた。なお、通常、音楽データはステレオ音であるが、
議論を簡単にするために、この具体例では片側成分のみ
を用いた。
【0090】また、音質の評価方法としては、音質の客
観的な評価尺度して最も基本的な信号対量子化雑音比S
NR(Signal to quantization Noise Ratio)が知られ
ているが、この具体例では、SNRを改良して主観評価
との対応関係を向上したSNRseg(Segmental SNR)を
用いた。
【0091】さらにまた、以下に出てくる検出率DR
(Detection Rate)とは、埋め込んだ透かしビットと、
抽出した透かしビットと、が一致した割合を意味する。
例えば、音声データに透かしビットとして15ビット埋
め込み、その埋め込み済み音声データから、正しい透か
しビットが14ビットしか抽出できず、1ビットは誤検
出したような場合には、検出率DRは、14/15=
0.93となる。
【0092】C−1.音質への影響:対象となる音声デ
ータに透かし情報を埋め込んだ場合の音質を調べると、
次のような結果が得られた。
【0093】まず、埋め込みのビットレート、および埋
め込み強度を制御するための基準値pをそれぞれ一定と
して(p=15,1.4[bit/s])、帯域分割を
行う際のjを変化させた場合、音質は図8に示すように
変化した。この結果から、jが大きくなるにつれて、よ
り低周波な帯域成分へ、透かし情報の埋め込みがなされ
るため、音質が向上することがわかる。
【0094】次に、j=10,M=32として(1.4
[bit/s])、基準値pを変化させた場合、音質は
図9に示すように変化した。この結果から、埋め込み強
度を制御するための基準値pが大きいほど、音質が劣化
することがわかる。また、この具体例で用いた音声デー
タ(音楽データ)の場合、p=20としても、45dB
以上の高い音質を維持できることがわかった。また、実
際に人が聴取しても、透かし情報の埋め込まれた再生音
声からは、不自然な雑音や、原音声との差異を感じられ
なかった。
【0095】なお、本実施例の電子透かし埋め込み方法
を用いる場合、ここで示した埋め込みの特性を考慮した
上で、埋め込みパラメータであるjやpやMの各値を適
切に選択することが望ましい。
【0096】C−2.レベル変調に対する耐性:本実施
例の電子透かし埋め込み方法では、透かし情報の埋め込
みを、周波数係数(MDCT係数)の相対的な大小関係
を利用して行っているため、音声のダイナミックレンジ
を変化させる増幅や減衰などの処理に耐性を持つと考え
られる。
【0097】そこで、対象となる音声データとして、C
lassicを用い、j=10,p=10,M=32と
して透かし情報の埋め込みを行い、その音声データの波
形スペクトルを定数0.5〜1.5で、増幅または減衰
して、透かし情報が消失しないかどうか調べた。
【0098】その結果、何れの処理でも、ほぼ1.0の
高い検出率DRが得られた。よって、本実施例の電子透
かし埋め込み方法では、音声波形の波形振幅レベルの変
調による影響を受けにくいことが確認できた。
【0099】C−3.帯域通過フィルタに対する耐性:
本実施例のDS方式を原理とした電子透かし埋め込み方
法では、広い周波数帯域へ透かし情報のスペクトルがフ
ラットで弱い状態に拡散するため、帯域通過フィルタの
影響を受けやすいと考えられる。そこで、本実施例の電
子透かし埋め込み方法が、帯域通過フィルタ攻撃に耐え
られるかどうか検討する。
【0100】まず、対象となる音声データに、j=1
0,p=10,M=32として透かし情報の埋め込みを
行い、その埋め込んだ音声データを、離散フーリエ変換
による帯域通過フィルタで処理し、その後、その音声デ
ータから透かし情報を抽出した結果を図10に示す。
【0101】この結果から、本実施例の電子透かし埋め
込み方法では、埋め込んだ透かし情報の成分は低周波帯
域に集中していることがわかる。よって、透かし情報の
埋め込まれた音声データから、低周波帯域成分がフィル
タによってカットされると、透かし情報を正しく検出す
ることができなくなると考えられる。この対策として
は、透かし情報のより高い周波数帯域への埋め込みが考
えられる。
【0102】C−4.高能率圧縮符号化に対する影響:
次に、周波数変換やサブバンド符号化などを原理とした
高能率圧縮符号化方式であるMP3(MPEG Audio Layer
III)のアルゴリズムを用いて、高度なデジタル信号処
理への耐性を調べた。MP3による符号圧縮は、インタ
ーネットを利用した高音質な音楽の配信ツールとして普
及している。
【0103】そこで、j=10,M=32として、pを
変化させながら、対象となる音声データに透かし情報の
埋め込みを行い(埋め込み量:1.4[bit/
s])、その音声データをMP3で圧縮伸張し、その再
生音声から透かし情報を抽出した場合、図11に示すよ
うな結果が得られた。なお、MP3としては、インター
ネットで標準的に利用されている圧縮率が約1/10の
ビットレートのMP3を用いた。
【0104】この結果から、MP3の圧縮符号化による
冗長成分の除去によって、透かしのビット列に誤りが発
生するものの、p=8以上において、透かし検出率eは
やや低下するものの、90%以上の高い検出率DRを示
した。
【0105】C−5.Jitter攻撃に対する耐性:
次に、音声データに埋め込まれた透かし情報を破壊する
攻撃として知られるJitter攻撃によって、本実施
例の電子透かし埋め込み方法による透かし情報が消失し
ないかどうか調べた。Jitter攻撃は、音楽の周波
数帯域を不特定に0.1%程度増減する攻撃法であっ
て、人間の聴覚が微少なピッチの変動を知覚できない特
徴を利用したものである。
【0106】そこで、j=10,M=32として、pを
変化させながら、対象となる音声データに透かし情報の
埋め込みを行い(埋め込み量:1.4[bit/
s])、その音声データにJitter攻撃を施した
後、その音声データから透かし情報を抽出した場合、図
12に示すような結果が得られた。この結果から、pを
大きな値にするほど、Jitter攻撃に対する耐性が
向上することがわかる。具体的には、p≧9の条件で9
0%以上の高い検出率DRが得られた。
【0107】C−6.まとめ:以上説明した結果から、
本実施例の電子透かし埋め込み方法によれば、約50d
B(図9参照)の高音質を維持しつつ、高能率圧縮符号
化やJitter攻撃に対して高い耐性を持つ電子透か
しを実現できることがわかる。また、更なる改善策とし
て、多数決判定などの誤り訂正技術の導入は容易であ
る。
【0108】D.装置全体の構成及び処理手順:上述し
た電子透かし埋め込み処理及び電子透かし検出処理を実
行する電子透かし装置10の構成について図13を用い
て説明する。図13は本発明の一実施例としての電子透
かし装置10の構成を示すブロック図である。この電子
透かし装置10は、CPU22と、RAM24と、RO
M26と、キーボード30と、マウス32と、CRTな
どから成る表示装置34と、ハードディスク装置36
と、ネットワークカードやモデムなどから成る通信装置
38と、これらの各要素を接続するバス40と、を備え
るコンピュータである。なお、図13では各種のインタ
ーフェイス回路は省略されている。通信装置38は、図
示しない通信回線を介してコンピュータネットワークに
接続されている。コンピュータネットワークの図示しな
いサーバは、通信回線を介してコンピュータプログラム
を電子透かし装置10に供給するプログラム供給装置と
しての機能を有する。
【0109】RAM24には、帯域分割部42と、拡散
部44と、MDCT変換部46と、埋め込み部48と、
IMDCT変換部50と、帯域成分復元部52と、帯域
合成部54と、抽出部56の、各機能を実現するための
コンピュータプログラムが格納されている。これらの各
部42〜56の機能については後ほど詳しく説明する。
【0110】このような各部42〜56の機能を実現す
るコンピュータプログラムは、フレキシブルディスクや
CD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒
体に記録された形態で提供される。コンピュータは、そ
の記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内
部記憶装置または外部記憶装置に転送する。あるいは、
通信経路を介してコンピュータにコンピュータプログラ
ムを供給するようにしてもよい。コンピュータプログラ
ムの機能を実現する時には、内部記憶装置に格納された
コンピュータプログラムがコンピュータのマイクロプロ
セッサによって実行される。また、記録媒体に記録され
たコンピュータプログラムをコンピュータが読み取って
直接実行するようにしてもよい。
【0111】この明細書において、コンピュータとは、
ハードウェア装置とオペレーションシステムとを含む概
念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作す
るハードウェア装置を意味している。また、オペレーシ
ョンシステムが不要でアプリケーションプログラム単独
またはファームウェア単独でハードウェア装置を動作さ
せるような場合には、そのハードウェア装置自体がコン
ピュータに相当する。ハードウェア装置は、CPU等の
マイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュ
ータプログラムを読み取るための手段とを少なくとも備
えている。例えば、CD−RAMドライブやDVD−R
AMドライブなどの電子機器に、CPUやROMなどが
組み込まれていて、これら電子機器がコンピュータとし
ての機能を有する場合も、これら電子機器はコンピュー
タの概念に当然に含まれる。コンピュータプログラム
は、このようなコンピュータに、上述の各手段の機能を
実現させるプログラムコードを含んでいる。なお、上述
の機能の一部は、アプリケーションプログラムでなく、
オペレーションシステムによって実現されていても良
い。更に、透かし情報の埋め込み処理や検出処理を行う
プログラムは、音声処理を行うプログラムに対して、プ
ラグインの形式で付加されるものとしてもよい。
【0112】なお、この発明における「記録媒体」とし
ては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気デ
ィスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカー
ド、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピ
ュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)
および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な
種々の媒体を利用することができる。
【0113】図14は帯域分割部42、拡散部44、M
DCT変換部46、埋め込み部48、IMDCT変換部
50、帯域成分復元部52、および帯域合成部54が行
う電子透かし埋め込み処理の手順を示すフローチャート
である。
【0114】ステップS102では、帯域分割部42
が、透かし情報の埋め込み対象となる原音声データと、
透かし情報の埋め込みのために用いる広帯域信号である
PN系列と、埋め込まれる透かし情報である透かしビッ
トを準備する。ステップS104では、帯域分割部42
が、原音声データを、低周波帯域成分と、複数の中間周
波帯域成分と、に帯域分割する。ステップS106で
は、拡散部44が、それら帯域成分のうち、低周波帯域
成分に広帯域信号であるPN系列を乗じて拡散信号を生
成する。ステップS108では、MDCT変換部46
が、拡散信号にMDCT変換を施して、MDCT係数を
導き出す。ステップS110では、埋め込み部48が、
MDCT係数に透かし情報である透かしビットを埋め込
む。ステップS112では、IMDCT変換部50が、
透かしビットの埋め込まれたMDCT係数に、IMDC
T変換を施して、埋め込み済み拡散信号を生成する。ス
テップS114では、帯域成分復元部52が、埋め込み
済み拡散信号に、前述の広帯域信号であるPN系列を乗
じて、埋め込み済み低周波帯域成分を生成する。ステッ
プS116では、帯域合成部54が、生成された埋め込
み済み低周波帯域成分と、前述の帯域分割により得られ
た複数の中間周波帯域成分と、を合成して、埋め込み済
み音声データを生成する。
【0115】図15は帯域分割部42、拡散部44、M
DCT変換部46、抽出部56が行う電子透かし検出処
理の手順を示すフローチャートである。
【0116】ステップS202では、帯域分割部42
が、透かし情報の抽出の対象となる埋め込み済み音声デ
ータと、透かし情報の抽出のために用いる埋め込み時と
同じ広帯域信号であるPN系列を準備する。ステップS
204では、帯域分割部42が、埋め込み済み音声デー
タを、帯域成分に帯域分割して、埋め込み済み低周波帯
域成分を導き出す。ステップS206では、拡散部44
が、埋め込み済み低周波帯域成分に広帯域信号であるP
N系列を乗じて埋め込み済み拡散信号を生成する。ステ
ップS208では、MDCT変換部46が、埋め込み済
み拡散信号にMDCT変換を施して、埋め込み済みMD
CT係数を導き出す。ステップS210では、抽出部5
6が、埋め込み済みMDCT係数から、埋め込まれてい
る透かし情報である透かしビットを抽出する。
【0117】F.変形例:なお、この発明は上記の実施
例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱
しない範囲において種々の態様において実施することが
可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0118】F−1.変形例1:上記した実施例では、
直交変換として、MDCT変換を用いたが、DCT、F
FTやウェーブレット変換などの他の種類の直交変換を
採用することが可能である。
【0119】F−2.変形例2:上記した実施例では、
透かし情報を埋め込むべき対象帯域成分として、低周波
帯域成分を用いたが、本発明はこれに限定されるもので
はなく、他の中間周波帯域成分(高周波帯域成分を含
む)を、対象帯域成分として用いるようにしても良い。
【0120】F−3.変形例3:上記した実施例では、
MDCT係数に透かし情報を埋め込む際、対象となるM
DCT係数Xi(ri)と、それに隣接するMDCT係数
i(ri+1)と、を用いたが、例え隣接していなくて
も、近接するMDCT係数同士を用いるようにしても良
い。また、3つ以上のMDCT係数を用いるようにして
も良い。
【0121】F−4.変形例4:上記した実施例では、
MDCT係数に透かし情報を埋め込む際、隣接する2つ
のMDCT係数の絶対値の大小関係を利用するようにし
ていたが、絶対値に限らず、種々の演算値を利用するよ
うにしても良い。
【0122】F−5.変形例5:上記した実施例では、
音声データに対して透かし情報を埋め込んでいたが、本
発明は、これに限るものではなく、画像データに透かし
情報を埋め込む場合にも適用可能である。即ち、本発明
は、一般に、デジタルデータに透かし情報を埋め込む場
合に適用可能である。なお、透かし情報が埋め込まれる
原音声データや原画像データを、単に「対象データ」と
呼ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての電子透かし埋め込み
処理の概要を示す説明図である。
【図2】図1の帯域分割処理における基本的な処理を示
す説明図である。
【図3】MDCTにおける窓関数を示す説明図である。
【図4】透かしビットに応じてMDCT係数の値の変更
する仕方を説明するための説明図である。
【図5】透かしビットの埋め込みビットレートを一定し
た場合の、jに対する処理時間を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施例としての電子透かし抽出処理
の概要を示す説明図である。
【図7】対象となる音声データの例を示す説明図であ
る。
【図8】帯域分割を行う際のjに対する音質の変化を示
すグラフである。
【図9】埋め込み強度を制御するための基準値pに対す
る音質の変化を示すグラフである。
【図10】帯域通過フィルタで処理した場合における透
かし情報に対する影響を示す説明図である。。
【図11】MP3で圧縮伸張した場合における透かし情
報に対する影響を示す説明図である。
【図12】Jitter攻撃を施した場合における透か
し情報に対する影響を示す説明図である。
【図13】本発明の一実施例としての電子透かし装置1
0の構成を示すブロック図である。
【図14】帯域分割部42、拡散部44、MDCT変換
部46、埋め込み部48、IMDCT変換部50、帯域
成分復元部52、および帯域合成部54が行う電子透か
し埋め込み処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】帯域分割部42、拡散部44、MDCT変換
部46、抽出部56が行う電子透かし検出処理の手順を
示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…電子透かし装置 22…CPU 24…RAM 26…ROM 30…キーボード 32…マウス 34…表示装置 36…ハードディスク装置 38…通信装置 40…バス 42…帯域分割部 44…拡散部 46…MDCT変換部 48…埋め込み部 50…IMDCT変換部 52…帯域成分復元部 54…帯域合成部 56…抽出部

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 デジタルデータに透かし情報の埋め込み
    を行う電子透かし埋め込み方法であって、 (a)前記透かし情報の埋め込みの対象となる対象デー
    タと、前記透かし情報の埋め込みのために用いる広帯域
    信号と、を準備する工程と、 (b)前記対象データを複数の帯域成分に帯域分割する
    工程と、 (c)前記複数の帯域成分のうち、少なくとも1つの対
    象帯域成分に前記広帯域信号を乗じて拡散信号を生成す
    る工程と、 (d)前記拡散信号に所定の直交変換を施すことによっ
    て、変換係数を導き出す工程と、 (e)前記変換係数に前記透かし情報の埋め込みを行う
    工程と、 (f)前記透かし情報の埋め込みの行われた前記変換係
    数に、前記直交変換とは逆の変換を施すことによって、
    埋め込み済み拡散信号を生成する工程と、 (g)前記埋め込み済み拡散信号に前記広帯域信号を乗
    じて、埋め込み済み対象帯域成分を生成する工程と、 (h)前記複数の帯域成分のうち、前記対象帯域成分以
    外の帯域成分と、前記埋め込み済み対象帯域成分と、を
    合成して、埋め込み済み対象データを生成する工程と、 を備えることを特徴とする電子透かし埋め込み方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電子透かし埋め込み方
    法において、 前記工程(b)では、前記対象データを、低周波帯域成
    分と、1つ以上の中間周波帯域成分と、に帯域分割する
    ことを特徴とする電子透かし埋め込み方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の電子透かし埋め込み方
    法において、 前記対象帯域成分は、前記低周波帯域成分であることを
    特徴とする電子透かし埋め込み方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の電子透かし埋め込み方
    法において、 前記広帯域信号は、擬似乱数系列から成ることを特徴と
    する電子透かし埋め込み方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の電子透かし埋め込み方
    法において、 前記擬似乱数系列は、自乗すると1になる乱数系列であ
    ることを特徴とする電子透かし埋め込み方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の電子透かし埋め込み方
    法において、 前記直交変換は、変形離散コサイン変換であることを特
    徴とする電子透かし埋め込み方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の電子透かし埋め込み方
    法において、 前記工程(a)では、さらに、前記透かし情報の埋め込
    みのために用いる鍵乱数列を準備すると共に、 前記工程(d)は、 (d−1)前記拡散信号を時間軸上で複数のフレームに
    分割する工程と、 (d−2)前記フレームに前記直交変換を施すことによ
    って、複数の変換係数を求める工程と、 を備え、 前記工程(e)は、 (e−1)前記フレーム毎に、前記鍵乱数列から順次抽
    出される乱数値に応じて、そのフレームから求めた前記
    複数の変換係数の中から、対象変換係数と、該対象変換
    係数と周波数が近接する近接変換係数と、をそれぞれ導
    出する工程と、 (e−2)前記対象変換係数と前記近接変換係数とを演
    算し、その演算結果が、埋め込むべき前記透かし情報に
    応じた所定の条件を満たさない場合に、その条件を満た
    すように、前記対象変換係数および前記近接変換係数の
    うち、少なくとも一方の値を変更する工程と、 を備え、 前記工程(f)は、 (f−1)前記対象変換係数および前記近接変換係数を
    含む前記複数の変換係数に、前記直交変換とは逆の変換
    を施すことによって、埋め込み済みフレームを生成する
    工程と、 (f−2)複数の前記埋め込み済みフレームを合成し
    て、前記埋め込み済み拡散信号を生成する工程と、 を備えることを特徴とする電子透かし埋め込み方法。
  8. 【請求項8】 透かし情報の埋め込まれたデジタルデー
    タから前記透かし情報を抽出する電子透かし抽出方法で
    あって、 (a)前記透かし情報の抽出の対象となる対象データ
    と、前記透かし情報の抽出のために用いる広帯域信号
    と、を準備する工程と、 (b)前記対象データを帯域成分に帯域分割して、前記
    透かし情報の抽出の対象となる対象帯域成分を導き出す
    工程と、 (c)前記対象帯域成分に前記広帯域信号を乗じて拡散
    信号を生成する工程と、 (d)前記拡散信号に所定の直交変換を施すことによっ
    て、変換係数を導き出す工程と、 (e)前記変換係数から、埋め込まれている前記透かし
    情報の抽出を行う工程と、 を備えることを特徴とする電子透かし抽出方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の電子透かし抽出方法に
    おいて、 前記工程(b)では、前記対象データを、低周波帯域成
    分と、1つ以上の中間周波帯域成分と、に帯域分割する
    ことを特徴とする電子透かし抽出方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の電子透かし抽出方法
    において、 前記対象帯域成分は、前記低周波帯域成分であることを
    特徴とする電子透かし抽出方法。
  11. 【請求項11】 請求項8に記載の電子透かし抽出方法
    において、 前記広帯域信号は、擬似乱数系列から成ることを特徴と
    する電子透かし抽出方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の電子透かし抽出方
    法において、 前記擬似乱数系列は、自乗すると1になる乱数系列であ
    ることを特徴とする電子透かし抽出方法。
  13. 【請求項13】 請求項8に記載の電子透かし抽出方法
    において、 前記直交変換は、変形離散コサイン変換であることを特
    徴とする電子透かし抽出方法。
  14. 【請求項14】 請求項8に記載の電子透かし抽出方法
    において、 前記工程(a)では、さらに、前記透かし情報の抽出の
    ために用いる鍵乱数列を準備すると共に、 前記工程(d)は、 (d−1)前記拡散信号を時間軸上で複数のフレームに
    分割する工程と、 (d−2)前記フレームに前記直交変換を施すことによ
    って、複数の変換係数を求める工程と、 を備え、 前記工程(e)は、 (e−1)前記フレーム毎に、前記鍵乱数列から順次抽
    出される乱数値に応じて、そのフレームから求めた前記
    複数の変換係数の中から、対象変換係数と、該対象変換
    係数と周波数が近接する近接変換係数と、をそれぞれ導
    出する工程と、 (e−2)前記対象変換係数と前記近接変換係数との大
    小関係を比較し、その比較結果から、埋め込まれている
    前記透かし情報を抽出する工程と、 を備えることを特徴とする電子透かし抽出方法。
  15. 【請求項15】 デジタルデータに透かし情報の埋め込
    みを行う電子透かし装置であって、 前記透かし情報の埋め込みの対象となる対象データを複
    数の帯域成分に帯域分割する帯域分割部と、 前記複数の帯域成分のうち、少なくとも1つの対象帯域
    成分に、前記透かし情報の埋め込みのために用いる広帯
    域信号を乗じて拡散信号を生成する拡散部と、 前記拡散信号に所定の直交変換を施すことによって、変
    換係数を導き出す直交変換部と、 前記変換係数に前記透かし情報の埋め込みを行う埋め込
    み部と、 前記透かし情報の埋め込みの行われた前記変換係数に、
    前記直交変換とは逆の変換を施すことによって、埋め込
    み済み拡散信号を生成する逆直交変換部と、 前記埋め込み済み拡散信号に前記広帯域信号を乗じて、
    埋め込み済み対象帯域成分を生成する帯域成分復元部
    と、 前記複数の帯域成分のうち、前記対象帯域成分以外の帯
    域成分と、前記埋め込み済み対象帯域成分と、を合成し
    て、埋め込み済み対象データを生成する帯域合成部と、 を備えることを特徴とする電子透かし装置。
  16. 【請求項16】 透かし情報の埋め込まれたデジタルデ
    ータから前記透かし情報を抽出する電子透かし装置であ
    って、 前記透かし情報の抽出の対象となる対象データを複数の
    帯域成分に帯域分割する帯域分割部と、 前記複数の帯域成分のうち、少なくとも1つの対象帯域
    成分に、前記透かし情報の抽出のために用いる広帯域信
    号を乗じて拡散信号を生成する拡散部と、 前記拡散信号に所定の直交変換を施すことによって、変
    換係数を導き出す直交変換部と、 前記変換係数から、埋め込まれている前記透かし情報の
    抽出を行う抽出部と、 を備えることを特徴とする電子透かし装置。
  17. 【請求項17】 デジタルデータに透かし情報の埋め込
    みを行うためのコンピュータプログラムであって、 前記透かし情報の埋め込みの対象となる対象データを複
    数の帯域成分に帯域分割する機能と、 前記複数の帯域成分のうち、少なくとも1つの対象帯域
    成分に、前記透かし情報の埋め込みのために用いる広帯
    域信号を乗じて拡散信号を生成する機能と、 前記拡散信号に所定の直交変換を施すことによって、変
    換係数を導き出す機能と、 前記変換係数に前記透かし情報の埋め込みを行う機能
    と、 前記透かし情報の埋め込みの行われた前記変換係数に、
    前記直交変換とは逆の変換を施すことによって、埋め込
    み済み拡散信号を生成する機能と、 前記埋め込み済み拡散信号に前記広帯域信号を乗じて、
    埋め込み済み対象帯域成分を生成する機能と、 前記複数の帯域成分のうち、前記対象帯域成分以外の帯
    域成分と、前記埋め込み済み対象帯域成分と、を合成し
    て、埋め込み済み対象データを生成する機能と、 をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログ
    ラム。
  18. 【請求項18】 透かし情報の埋め込まれたデジタルデ
    ータから前記透かし情報を抽出するためのコンピュータ
    プログラムであって、 前記透かし情報の抽出の対象となる対象データを複数の
    帯域成分に帯域分割する機能と、 前記複数の帯域成分のうち、少なくとも1つの対象帯域
    成分に、前記透かし情報の抽出のために用いる広帯域信
    号を乗じて拡散信号を生成する機能と、 前記拡散信号に所定の直交変換を施すことによって、変
    換係数を導き出す機能と、 前記変換係数から、埋め込まれている前記透かし情報の
    抽出を行う機能と、 をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログ
    ラム。
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