JP2003148103A - タービンおよびその製造方法 - Google Patents

タービンおよびその製造方法

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JP2003148103A JP2001344904A JP2001344904A JP2003148103A JP 2003148103 A JP2003148103 A JP 2003148103A JP 2001344904 A JP2001344904 A JP 2001344904A JP 2001344904 A JP2001344904 A JP 2001344904A JP 2003148103 A JP2003148103 A JP 2003148103A
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Minoru Ohara
稔 大原
Nobuhiro Kunitake
信広 國武
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 運転期間中、動翼とシュラウドとの間に常に
適切なクリアランスを維持し、しかも高温下にも耐用期
間が長く、補修・再生も容易なタービンを得る。 【解決手段】 回転運動する動翼の先端部が被研削面1
4とされ、動翼の外套となるシュラウド20の内壁が研
削面23とされ、被研削面14から摩耗性粒子13の粒
体の一部が突出し、回転する前記動翼の先端部がシュラ
ウド20の内壁と接触するとき、前記摩耗性粒子の突出
部13aが研削面23と摺動し摩耗するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、運転期間中、動翼
とシュラウドとの間に常に適切なクリアランスが確保で
きるようにしたタービンに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、ガスタービンやジェットエンジ
ンなどとして用いられるタービンの一例を図4に示す。
このタービン100は、回転軸X−Xに沿って間欠的に
配列された複数の動翼本体111…を有するロータ11
0と、動翼本体111…の外套となるコーン形のシュラ
ウド120とからなっている。符号111はシュラウド
120の内壁から、動翼本体111…の間隙に入れ子と
なるように延びた静翼である。例えばシュラウド120
の小径側から高圧流体をタービン100に導入すると、
動翼本体111…の捻れによってロータ110が回転
し、流体の運動エネルギーを回転運動に変換することが
できる。このタービン100において、動翼本体111
の先端部と、当該先端部に対向するシュラウド120の
内壁との間には、運転中に両者が接触しないようにクリ
アランス(間隙)が設けられている。このクリアランス
が大きすぎると動翼本体111の高圧側から低圧側へ流
体が漏洩し、圧力損失が生じることにより運転効率が低
下する。従って、高圧流体の漏洩を抑制しタービンの効
率を向上させるにはこのクリアランスを必要最小に調整
する技術が求められる。この点に関しては回転運動を流
体圧力に変換するタービンについても同様である。
【0003】一方、前記のクリアランスが小さすぎる
と、タービンの運転初期において、動翼本体111の熱
膨張、ロータ110の偏心、タービン100全体に発生
する振動などにより動翼本体111の先端部とシュラウ
ド120の内壁とが接触し、動翼の回転によって互いに
摺動してしまう場合がある。この現象は一般に「初期摺
動」と呼ばれている。またタービンを長時間運転する
と、高温高圧の流体に曝された動翼本体111やシュラ
ウド120が徐々に熱変形を起こし、ここでも動翼本体
111の先端部とシュラウド120とが接触し摺動する
場合がある。この現象は一般に「二次的摺動」と呼ばれ
ている。
【0004】一般にシュラウドや動翼には、遮熱や酸化
防止の目的で表面に保護皮膜が設けられている。例えば
遮熱の目的ではジルコニア系のセラミック素材などから
なるTBC(Thermal Barrier Coating)が、また酸化
防止の目的ではMCrAlY(MはFe,Ni,Coの
うちの何れか1以上)の皮膜が設けられることがある。
しかし、最外層のTBCは硬度が高いので、動翼本体1
11の先端部とシュラウド120とが接触し摺動する
と、摩擦熱と摺動応力によって特に動翼が大きな損傷を
蒙ることになる。この問題を解決するために特開平4−
218698号公報および特表平9−504340号公
報、並びに米国特許第5702574号明細書は、図5
(a)に示すように、動翼本体111の先端部に、前記
MCrAlYからなるマトリクス中に研削粒子として例
えばCBN(立方晶窒化硼素)砥粒113を分散させた
研削層112を形成し、前記CBN砥粒113を研削層
112から目出ししたガスタービンが開示されている。
【0005】動翼本体111が先端部に研削層112を
備えていると、CBN砥粒113はシュラウド120の
保護皮膜122(例えばジルコニア系セラミック素材)
より硬度が高いので、動翼本体111を回転させたとき
動翼本体111の先端部とシュラウド120の内壁12
3とが摺動しても、図5(b)に示すように、研削性皮
膜112から突出したCBN砥粒113の先端がシュラ
ウドの内壁123を削って溝124を形成し、これによ
って適度なクリアランスが確保されるようになる。また
特開2000−345809号公報は、シュラウドの内
壁にCBNなどの砥粒を埋め込んで目出ししたアブレー
シブコーティングを形成し、一方動翼の先端面には、前
記砥粒により研削されるアブレーダブルコーティングを
形成したガスタービンエンジンを提案している。この場
合は動翼が回転するとシュラウド内壁の砥粒が動翼先端
面のアブレーダブルコーティングを削り、クリアランス
が確保される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、動翼の
回転を利用した研削によってクリアランスを確保しよう
とする従来の提案では、動翼の先端部またはシュラウド
内壁の何れか一方にCBNなどの硬質砥粒を埋め込んだ
研削面(abrasive surface)を形成し、他方に被研削
面(abradable surface)を形成し、この被研削面を研
削面の砥粒で削り込むことによってクリアランスを確保
していた。しかしこの技術では、タービンの運転中に前
記の初期摺動や二次的摺動によって被研削面が深く削ら
れるため、タービン点検時に取り外した場合、被研削面
を補修または再生する必要があった。この補修には一般
にブラスト、溶射装置、高温加熱炉などの大規模な設備
を要するので、タービンが設置された現場で補修・再生
することは困難な場合が多く、この観点から補修・再生
の容易なタービンが求められていた。
【0007】また、研削面にCBN砥粒を用いたガスタ
ービンを実際に運転してみると、900℃を越える高温
下でCBN砥粒の酸化等の劣化により研削力が急速に低
下し、更に運転を続けるとCBN砥粒が全て消失し、研
削面と被研削面とが直接摺動し合うようになることがわ
かった。この場合、セラミック素材からなる被研削面
は、MCrAlYからなる研削面のマトリクス層より硬
いので、被研削面が逆に研削面を削ることも確認されて
おり、場合によっては動翼本体が露出して被研削面側に
凝着する可能性も指摘された。高温下でCBN砥粒の研
削力が急速に低下する理由については、CBNが高温下
で酸化および昇華を繰り返すことによると考えられる。
このことから、ガスタービンやジェットエンジンのよう
に高温雰囲気下に長時間運転する場合、クリアランス形
成技術としてCBN砥粒を用いる従来のタービンは、耐
久性に問題があるため、初期摺動時にのみの役割しか有
しないと考えられている。
【0008】また図5(b)に示したように、被研削面
123側に一旦溝124が形成されると、タービンの運
転を停止した後に再運転する際には、運転の初期にクリ
アランスが過大となって流体漏洩による圧力損失が無視
できなくなる可能性がある。また溝124を埋めて補修
または再生する場合も、例えば被研削面である保護皮膜
122がジルコニア系セラミックからなる場合は、基材
の上に溶射法により中間層を形成しこの上にジルコニア
系セラミック層を均一な厚みで形成するなど、大規模な
設備と高度な補修技術とを必要とし、タービンの設置現
場で簡単に補修できるというものではなかった。
【0009】本発明は前記の課題を解決するためになさ
れたものであって、従ってその目的は、運転期間中、動
翼とシュラウドとの間に常に適切なクリアランスを維持
し、しかも高温下にも耐用期間が長いタービン、並びに
製造・補修・再生が容易で大規模設備を要しないタービ
ンの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに本発明は、回転運動する動翼の先端部または前記動
翼の外套となるシュラウドの内壁、のいずれか一方が研
削面とされ他方が被研削面とされたタービンであって、
前記被研削面から摩耗性粒子の粒体の一部が突出し、回
転する前記動翼の先端部が前記シュラウドの内壁と接触
するとき、前記摩耗性粒子の突出部が前記研削面と摺動
し摩耗するようにしたことを特徴とするタービンを提供
する。本発明のタービンは、従来のクリアランス確保技
術のように研削面から突出した砥粒により被研削面を研
削するものとは異なり、被研削面から突出した摩耗性粒
子の突出部が研削面と摺動するとき摩耗することによっ
てクリアランスを確保しようとするものである。本発明
のタービンは、研削面から突出した砥砥粒によって被研
削面を削るものではないので、被研削面に溝などの欠損
は生じない。従って本発明のタービンは運転期間中常に
必要最小のクリアランスを確保しながら、しかも耐用期
間が長くかつ補修・再生も、摩耗性粒子の粒体の一部が
突出した被研削面を再生するだけでよいので容易であ
る。
【0011】前記摩耗性粒子は、アルミナ(Al2O3)粒
子またはシリコンカーバイド(SiC)粒子であることが
好ましい。アルミナ粒子またはシリコンカーバイド粒子
は一般に、対向面となるTBC(Thermal Barrier Coat
ing)のジルコニア系セラミックや酸化防止膜となるM
CrAlYよりもビッカース硬度は高い。それにも拘わ
らず、アルミナ粒子またはシリコンカーバイド粒子は、
これらの対向面と摺動するとき意外にも摩耗することが
わかった。この理由は必ずしも明確でないが、これらの
粒子は脆性が比較的高いことによると考えられる。すな
わち対向面と摺動する際に生じる強いズリ応力によって
摩耗性粒子の先端部が磨滅される。そして欠け残った摩
耗性粒子の突出部が動翼先端部とシュラウド内壁とのク
リアランスを形成する。なお、摩耗性粒子の摩滅作用に
より、通常のCBN粒子を用いたアブレッシブコーティ
ングでの切削時の摺動抵抗より小さくすることができ、
切り屑の凝着、堆積、かみ込み等もないなどメリットは
多い。
【0012】前記摩耗性粒子の粒径は、500μm〜1
500μmの範囲内であることが好ましい。対向面と摺
動することによって先端部がある程度摩耗し、残った摩
耗性粒子の突出部が動翼先端部とシュラウド内壁との間
に必要最小のクリアランスを形成するためには、摩耗性
粒子の粒径が500μm〜1500μmの範囲内であるこ
とが好ましい。摩耗性粒子の粒径が500μm未満で
は、特に二次的摺動の際、初期摺動で摩耗し残った突出
部が必要最小のクリアランス形成に充分な高さを確保で
きなくなる可能性があり好ましくない。1500μmを
越えると、摺動による摩耗後もなお突出部の高さが過剰
のクリアランスを形成し、しかも必然的に被研削面にお
ける摩耗性粒子の分布密度が小さくなるので、クリアラ
ンスを通過する流体の流動抵抗が低下し、流体漏洩によ
る圧力損失が大きくなり運転効率が低下するので好まし
くない。この観点から摩耗性粒子の粒径は、800μm
〜1000μmの範囲内であることが更に好ましい。
【0013】前記摩耗性粒子の突出部は、被研削面から
の高さが当該摩耗性粒子の粒径の30%〜70%の範囲
内であることが好ましい。摩耗性粒子は粒体の一部を被
研削面に埋め込むことによってこの被研削面に固定され
ている。従って研削面との摺動時に摩耗性粒子を強固に
保持して脱落を防ぐには、ある程度深く被研削面内に埋
め込むことが必要になる。この観点から、突出部の被研
削面からの高さを粒径の30%〜70%、更に好ましく
は40%〜50%の範囲内とし、残部は被研削面内に埋
め込むようにすることが好ましい。
【0014】本発明はまた、前記において、研削面と摺
動することにより摩耗した前記突出部の残部が、前記動
翼の先端部と前記シュラウド内壁との間のクリアランス
を形成したことを特徴とするタービンを提供する。すな
わち本発明のタービンにあっては、被研削面から突出し
た摩耗性粒子の先端部が研削面と摺動した際にある程度
摩耗し、摩耗性粒子の突出部の残部がこのときのクリア
ランスを形成することになる。このように摩耗性粒子の
先端部が摩耗し突出部の残部がクリアランスを形成した
状態のタービンもまた本発明に含まれるものである。摩
耗性粒子の突出部は初期摺動の際にも二次的摺動の際に
も摩耗する可能性があり、それぞれの段階でクリアラン
スは変化する。しかし摩耗性粒子の突出部が完全に消滅
しない限り、必要最小のクリアランスは常に維持される
ことになる。
【0015】本発明は更に、回転運動する動翼の先端部
または前記動翼の外套となるシュラウドの内壁、のいず
れか一方が研削面とされ他方が被研削面とされ、かつ前
記被研削面から摩耗性粒子の粒体の一部が突出したター
ビンを製造するに際して、前記被研削面を形成する基体
の表面に前記摩耗性粒子とこの摩耗性粒子を固定するマ
トリクス材とを含む被研削層を形成し、次いで前記被研
削層にブラスト処理を施して前記摩耗性粒子の粒体の一
部が突出した被研削面を形成することを特徴とするター
ビンの製造方法を提供する。
【0016】本発明の製造方法によれば、被研削面から
の摩耗性粒子の突出、いわゆる「目出し」をブラスト処
理によって行うので、他の方法、例えばケミカルエッチ
ングなどによるよりも小規模の設備ですみ、タービンが
設置されている現場でも比較的容易に被研削面の補修・
再生ができるようになる。摩耗性粒子は被研削層中に乱
食い状(サメの歯状)に配置されているので、運転後
に、その上から追加目出しをするだけで、粒子の露出が
可能で再生が容易である。
【0017】また、ケミカルエッチングなどの場合のよ
うに摩耗性粒子とマトリクス材との界面結合力を損なう
こともないので、摩耗性粒子の脱落、いわゆる「目こぼ
れ」も防止される。前記摩耗性粒子は、アルミナ(Al2O
3)粒子またはシリコンカーバイド(SiC)粒子であり、
また前記摩耗性粒子の粒径は、500μm〜1500μm
の範囲内であることが好ましい。
【0018】前記被研削層を形成するに際しては、ろう
材を主成分とするろう材層、および少なくとも一部が前
記ろう材と共融するマトリクス材粒子と前記摩耗性粒子
と揮発性バインダとを含むマトリクス層、からなる積層
膜を前記基体の表面に施し、次いで前記基体上で加熱し
て前記積層膜から前記揮発性バインダを揮発させると共
に前記ろう材を溶融し前記マトリクス層に浸透させて被
研削層を形成することが好ましい。基体の表面にろう材
層とマトリクス層の2層からなる積層膜を形成し加熱す
ると、揮発性バインダは揮発し、ろう材層は溶融し、溶
融したろう材がマトリクス層に浸透してマトリクス材粒
子と共融し、冷却すると基体並びに摩耗性粒子と強力に
結合する被研削層を形成する。前記の揮発性バインダ
は、加熱により溶融したろう材がマトリクス層に浸透し
てくるまで摩耗性粒子とマトリクス材粒子とを一時的に
固定しておくためのものであり、この加熱によって揮散
し消滅する。この方法は、基体の表面に前記積層膜を貼
着し加熱するだけで被研削層が形成できる。また、摩耗
性粒子をメッキで固定した上からMCrAlYを主とし
た皮膜を溶射法などにより形成することも可能である。
【0019】前記ブラスト処理は、ブラスト材としてジ
ルコニア(ZrO2 )粒子を用いることが好ましい。ブ
ラスト材としては、摩耗性粒子に損傷を与えずかつマト
リクス材を効率よく研削する素材が求められる。アルミ
ナ粒子やガラスビーズやNiCr粒子を含む各種ブラス
ト材を試験した結果、ジルコニア粒子が好適であること
がわかったが、条件によってはこれら粒子によりブラス
トすることもあり得る。なお、ジルコニア粒子の粒径は
40μm〜60μmの範囲内が特に好適であった。
【0020】前記ブラスト処理は、前記摩耗性粒子の粒
径の30〜70%の範囲内を前記被研削面から突出させ
るように行うことが好ましい。これによって摩耗性粒子
とマトリクス層との結合が強固に維持され、しかもブラ
スト処理中やタービン運転中における摩耗性粒子の脱落
が防止できる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を説明す
るがここに掲げる具体例は本発明を何ら限定するもので
はない。また図示した形状・寸法は本発明の思想を説明
するためのものであって具体物を示すものではない。図
1は本発明の一実施形態であるタービンの部分を示す断
面図である。図1においてこのタービン1はロータ10
とシュラウド20とを有している。ロータ10は、回転
軸X−Xに沿って延びるシャフト15と、このシャフト
から放射方向に延びる動翼本体11と、この動翼本体1
1の先端部に形成された被研削層12とを有している。
被研削層12には多数の摩耗性粒子13…が固着され、
これら摩耗性粒子13…の粒体の一部は、被研削層12
の表面である被研削面14から突出し、突出部13aを
形成している。動翼本体11は、図示しないが回転軸X
−X方向に沿って捻れている。シュラウド20はシャフ
ト15と同軸的にロータ10を包囲する外殻であって、
その内壁には中間層21を介して遮熱皮膜(TCB,Th
ermal Barrier Coating)22が形成され、この遮熱皮
膜22の表面が研削面23とされている。そして、この
研削面23と動翼の被研削面14との間にクリアランス
C-0が形成されている。
【0022】摩耗性粒子13…はアルミナ(Al2O3)粒
子からなり、その粒径Dは800μm〜1000μm の
範囲内にある。またこの摩耗性粒子13…の突出部13
aの高さHは、大部分がそれぞれの粒径Dの30〜70
%の範囲内とされている。被研削層12は、後に詳しく
説明するが、MCrAlY合金を主体とする耐酸化性皮
膜であり、動翼本体11および摩耗性粒子13…と強固
に結合している。シュラウド20に形成された遮熱皮膜
22は、ZrO2 にMgOやY23等の安定化材を加え
て安定化させたセラミックからなり、膜厚は300〜1
000μm程度である。中間層21はMCrAlY(M
はCoおよび/またはNi)合金をシュラウド本体にプ
ラズマ溶射して形成されている。
【0023】このタービン1は、シュラウド20の一方
の開口から高温高圧の流体を噴入すると、動翼本体11
に捻れが形成されているのでロータ10がX−Xを回転
軸として一方向に回転し始める。回転を始めると、動翼
本体11の熱膨張、ロータ10の偏心、タービン1全体
に発生する振動などにより研削面23と被研削面14と
の間のクリアランスは変動する。例えば熱膨張によって
動翼本体11の長さが増すと、クリアランスは初期値C
-0より狭くなり、摩耗性粒子の突出部13aの高さHよ
り小さくなる。回転初期にこの状態に至ると、突出部1
3aの頂部は研削面23と摺動し、図2に示すように摺
動抵抗がほとんどゼロになるまで研磨される。この結果
クリアランスは初期値C-0より狭いC-1に変化する。こ
のクリアランスC-1は、温度が更に上昇するなどの状態
変化が起こらない限り、摩耗性粒子13の残余の突出部
13bにより確保されているので、動翼とシュラウドと
が直接接触することはなく、従って動翼の先端もシュラ
ウドの内壁も削られたり凝着を起こしたりすることはな
い。
【0024】タービン1を例えば1000時間を超える
ような長時間運転すると、高温高圧の流体に曝された動
翼本体11やシュラウド20が徐々に熱変形を起こし、
部分的にクリアランスC-1を更に狭くする方向の応力が
発生する場合がある。このとき摩耗性粒子13の残余の
突出部13bの頂部はシュラウドの研削面23と二次的
に摺動し、再び研磨され、この結果クリアランスはC-1
より更に狭くなる。しかし摩耗性粒子13の突出部がゼ
ロにならないようにセッティングすることで動翼とシュ
ラウドとが直接接触することはなく、従って動翼の先端
もシュラウドの内壁も削られたり凝着を起こしたりする
ことはない。また、仮に突出部がゼロになった場合も、
接触面の摩耗性粒子の占める割合が多いため、凝着は生
じにくいことを確認した。
【0025】摩耗性粒子13の粒径Dは800μm 〜
1000μm の範囲内とされ、その粒径Dの30%〜
70%が突出部13aとされているので、当初のクリア
ランスC-0は充分に大きく、従って前記の初期摺動およ
び二次的摺動による摩耗をカバーし、残余の突出部がク
リアランスを確保することができる。また当初のクリア
ランスC-0が大きくても、このクリアランスは大径の摩
耗性粒子13…の突出によって流体の流通が妨げられて
いるので、流体漏洩による圧力損失が少なく運転効率が
低下することはない。
【0026】本実施形態の動翼は、以下に示す方法によ
り製造することができる。図3は動翼の製造工程の概略
を示すフローシートである。図3(a)のフローシート
に従えば、先ず予備的な作業として(1)被研削層シー
トを作成する。次にこの被研削層シートを(2)動翼本
体に貼着し、(3)動翼本体と共に加熱して動翼本体上
に被研削層を形成し、次いで(4)この被研削層にブラ
スト処理を施して摩耗性粒子の目出しを行い動翼を完成
させる。
【0027】また、これ以外に図3(b)のフローによ
り、まず(1)摩耗性粒子のニッケルメッキによる固着
を行ったのち、(2)この上にMCrAlYを主成分と
する溶射皮膜を形成し、(3)これを加熱処理し、
(4)ブラスト処理する溶射法により動翼を作製する方
法がある。
【0028】図1においてシュラウド20の内壁を構成
する遮熱皮膜22は、ZrO2 にMgOやY23等の安
定化材を加えて安定化させたセラミックからなり、この
安定化セラミックの素材を、中間層21としてMCrA
lY(MはCoおよび/またはNi)合金をプラズマ溶
射したシュラウド本体内壁に膜厚が300〜1000μ
mとなるようにプラズマ溶射して形成する。
【0029】本実施形態ではシュラウド内壁を研削面2
3とし、動翼先端部に被研削面14を形成したが、必要
に応じてはシュラウド内壁を被研削面とし動翼先端部を
研削面としてもよいことはいうまでもない。また本実施
形態のタービンはガスタービンとして説明したが、動翼
とシュラウドとを有し、その間のクリアランスの変動が
問題となるタービン機構であればいかなるものにも本発
明は適用できるものである。
【0030】
【発明の効果】本発明のタービンは、動翼先端部または
シュラウド内壁のいずれか一方が研削面、他方が被研削
面とされ、この被研削面から、前記研削面により研削さ
れる摩耗性粒子の粒体の一部が突出しているので、動翼
が回転してその先端がシュラウド内壁と摺動すると、摩
耗性粒子の突出部が摩耗することでクリアランスが確保
される。このためシュラウド内壁や動翼本体を損傷する
ことなく初期摺動においても二次的摺動においても絶え
ず必要最小のクリアランスが維持できて高温下にも耐用
期間が長く、しかも補修・再生が容易なタービンが得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態であるタービンの一部分
を示す断面図である。
【図2】 前記タービンの運転中の状態を示す断面図で
ある。
【図3】 前記タービンの動翼の製造工程を示すフロー
シートである。
【図4】 一般的なタービンの一部分を示す断面図であ
る。
【図5】 (a)は従来のタービンの一部分を示す断面
図、(b)はその運転中の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…タービン。 10…ロータ、11…動翼本体、12…被研削層、13
…摩耗性粒子、14…被研削面、15…シャフト。 20…シュラウド、21…中間層、22…遮熱皮膜、2
3…研削面。 C-0,C-1…クリアランス。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転運動する動翼の先端部または前記動
    翼の外套となるシュラウドの内壁、のいずれか一方が研
    削面とされ他方が被研削面とされたタービンであって、 前記被研削面から摩耗性粒子の一部が突出し、回転する
    前記動翼の先端部が前記シュラウドの内壁と接触すると
    き、前記摩耗性粒子の突出部が前記研削面と摺動し摩耗
    するようにしたことを特徴とするタービン。
  2. 【請求項2】 前記摩耗性粒子は、アルミナ(Al2O3
    粒子またはシリコンカーバイド(SiC)粒子であること
    を特徴とする請求項1に記載のタービン。
  3. 【請求項3】 前記摩耗性粒子の粒径は、500μm〜
    1500μmの範囲内であることを特徴とする請求項1
    または請求項2に記載のタービン。
  4. 【請求項4】 前記摩耗性粒子の突出部は、前記被研削
    面からの高さが当該摩耗性粒子の粒径の30%〜70%
    の範囲内であることを特徴とする請求項1ないし請求項
    3の何れかに記載のタービン。
  5. 【請求項5】 前記研削面と摺動することにより摩耗し
    た前記突出部の残部が、前記動翼の先端部と前記シュラ
    ウド内壁との間のクリアランスを形成したことを特徴と
    する請求項1ないし請求項4の何れかに記載のタービ
    ン。
  6. 【請求項6】 回転運動する動翼の先端部または前記動
    翼の外套となるシュラウドの内壁、のいずれか一方が研
    削面とされ他方が被研削面とされ、かつ前記被研削面か
    ら摩耗性粒子の粒体の一部が突出したタービンを製造す
    るに際して、前記被研削面を形成する基体の表面に前記
    摩耗性粒子とこの摩耗性粒子を固定するマトリクス材と
    を含む被研削層を形成し、次いで前記被研削層にブラス
    ト処理を施して前記摩耗性粒子の粒体の一部が突出した
    被研削面を形成することを特徴とするタービンの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記被研削層を形成するに際して、ろう
    材を主成分とするろう材層、および少なくとも一部が前
    記ろう材と共融するマトリクス材粒子と前記摩耗性粒子
    と揮発性バインダとを含むマトリクス層、からなる積層
    膜を前記基体の表面に施し、次いで前記基体上で加熱し
    て前記積層膜から前記揮発性バインダを揮発させると共
    に前記ろう材を溶融し前記マトリクス層に浸透させて被
    研削層を形成することを特徴とする請求項6に記載のタ
    ービンの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記被研削層を形成するに際して、前記
    基体の表面に前記摩耗性粒子をニッケルメッキにて固定
    し、その上からMCrAlY(Mは、Fe,Ni,Co
    のうちの何れか1以上である。)を主成分とした溶射皮
    膜を成膜して被研削層を形成することを特徴とする請求
    項6に記載のタービンの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ブラスト処理は、ブラスト材として
    ジルコニア(ZrO 2 )粒子等を用いることを特徴とす
    る請求項6ないし請求項8の何れかに記載のタービンの
    製造方法。
  10. 【請求項10】 前記ブラスト処理は、前記摩耗性粒子
    の粒径の30〜70%の範囲内を前記被研削面から突出
    させるように行うことを特徴とする請求項6ないし請求
    項8の何れかに記載のタービンの製造方法。
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