JP2003164521A - 白血球選択除去フィルター材 - Google Patents

白血球選択除去フィルター材

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JP2003164521A JP2001368403A JP2001368403A JP2003164521A JP 2003164521 A JP2003164521 A JP 2003164521A JP 2001368403 A JP2001368403 A JP 2001368403A JP 2001368403 A JP2001368403 A JP 2001368403A JP 2003164521 A JP2003164521 A JP 2003164521A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血液中への溶出を抑制し、かつ、ヒト全血か
ら、血小板の損失を極めて少なく抑えつつ、白血球を選
択的に効率よく除去することができる白血球選択除去フ
ィルター材を提供すること。 【解決手段】 フィルター基材表面に、強疎水性モノマ
ー単位と繰返し単位数が2〜4のエチレンオキサイド鎖
を有するモノマー単位とを含み、エチレンオキサイド鎖
の含量が31wt%以上43wt%以下のポリマーを、
単位表面積当たり90mg/m2以上300mg/m2
下導入することによって、課題が解決できた。該ポリマ
ーは、さらに、塩基性含窒素官能基を有するモノマー単
位を含んでいてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、全血から血小板を
通過させ、白血球を選択的に除去する白血球選択除去フ
ィルター材に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、輸血の分野では、患者に必要な成
分のみを輸血する成分輸血が行われるようになってきて
いる。その際、輸血後の副作用を防ぐため、各種血液成
分製剤は十分に低い水準まで白血球除去されていること
が必要である。白血球を除去する方法としては、白血球
除去能に優れていること、操作が簡便であることおよび
コストが低いことなどの利点を有することからフィルタ
ー法が広く用いられている。血液を各成分に分離して、
各種血液成分製剤を調製した後、フィルターを用いて白
血球を除去する方式では、血液成分製剤毎に白血球除去
操作が必要である。一方、全血から白血球のみを除去し
た後、各血液成分製剤を調製する方式は白血球除去操作
が1回で済むため、操作性、コストの観点から非常に有
用である。しかしながら、現在市販されている全血製剤
用のフィルターは血小板も除去してしまうため、ろ過後
の全血製剤から血小板製剤を調製することができない問
題がある。そこで、全血から血小板、赤血球を通過さ
せ、白血球のみを選択的に除去する高機能なフィルター
材が要求されている。
【0003】これまで、血液から血小板を通過させ、白
血球を除去することを目的としたフィルター材に関して
はいくつかの報告がある。特開平5−262656号公
報には、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノ
マーを主成分としたポリマーをフィルター表面に保持さ
せた白血球除去フィルターが開示されている。該フィル
ターはアルコキシアルキル(メタ)アクリレートを用い
ることで血小板の粘着を抑制し、白血球を選択的に除去
することを目的としたものであるが、その低い親水性の
ためにプライミングに時間を要し、目詰まりをおこす可
能性も高く、全血を用いた実施例はない。実際、本発明
者らが、全血に用いた場合、血液の流れ性が悪いばかり
ではなく、血小板回収率も不十分であった。
【0004】本出願人は、フィルター表面の親水性を向
上させ、血小板回収率を向上させるための白血球除去フ
ィルター材として、特開平5−194243号公報に、
繰返し単位数2〜15のエチレンオキサイド鎖を含有す
るフィルター材、特開2000−245833号公報
に、繰返し単位数2のエチレンオキサイド鎖を含有する
フィルター材を開示した。しかし、本発明者らは、エチ
レンオキサイド鎖の含量が多くなったり、あるいはエチ
レンオキサイド鎖が長くなったりすると、血液への溶出
が懸念されることを見出した。
【0005】さらに、本出願人は、特開平7−2577
6号公報において、疎水性部分と繰返し単位数2〜10
0のエチレンオキサイド鎖の両方を有するポリマーを表
面にコーティングした白血球選択除去フィルター材を開
示している。該フィルター材では、疎水性部分を含有す
るが、ポリマー中のエチレンオキサイド鎖が長くなる
と、親水性がより高くなり、やはり、血液へのポリマー
の溶出が懸念される。また、エチレンオキサイド鎖を含
むポリマーでは高温よりも低温の方が溶出しやすい傾向
にあるが、この従来技術においては通常の血液処理温度
(室温)での溶出については全く考慮されていない。こ
の度、実際に、本発明者らがメチルメタクリレートとエ
チレンオキサイド鎖の繰返し単位数が9のメトキシノナ
エチレングリコールメタクリレートからなるポリマーに
ついて試験したところ、20%以上のポリマーが室温で
溶出されることを知見した。さらに、この従来技術に
は、濃厚血小板液を用いた時の白血球除去能および血小
板回収率については例示されているが、全血を用いた時
の血液性能については記述がない。全血は濃厚血小板液
と比較して、白血球濃度が約5倍と非常に高く、逆に、
血小板濃度は約1/5倍と非常に低い。従って、全血か
ら高い白血球除去能と高い血小板回収率を同時に得るの
は極めて困難である。
【0006】以上のように、白血球選択除去フィルター
材として、高い安全性と優れた血液性能を共に有する高
機能なフィルター材は、未だ得られていないのが現状で
ある。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の白
血球選択除去フィルター材が、室温において溶出しやす
いという問題点を有するのを克服し、かつ、ヒト全血か
ら、血小板の損失を極めて少なく抑えつつ、白血球を選
択的に効率よく除去することができる白血球選択除去フ
ィルター材を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討した結果、疎水性モノマー単
位とエチレンオキサイド鎖を有するモノマー単位を含む
ポリマーをフィルター基材表面に導入したフィルター材
にあって、疎水性モノマー単位を強い疎水性を示すもの
にし、エチレンオキサイド鎖を有するモノマー単位を繰
返し単位数が2〜4の範囲のものにし、且つ、これらの
モノマー単位の含量を適切に制御したポリマーを設計す
ることによって前記課題が解決できることを見出した。
さらに、該ポリマーのフィルター基材表面への導入量を
ある一定量に制御した結果、驚くべきことに、溶出性が
著しく低く、かつ、ヒト全血に対し、優れた白血球除去
能と血小板回収率を兼ね備えたフィルター材が得られる
ことを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】すなわち、本発明は、ヒト全血から血小板
を通過させ、白血球を選択的に除去するフィルター材で
あって、少なくとも強疎水性モノマー単位と繰返し単位
数2〜4のエチレンオキサイド鎖を有するモノマー単位
とを含有するポリマーがフィルター材表面に存在し、該
ポリマー中のエチレンオキサイド鎖の含量が31wt%
以上43wt%以下、該ポリマーのフィルター基材表面
への導入量が単位表面積当たり90mg/m2以上30
0mg/m2以下であることを特徴とする白血球選択除
去フィルター材に関するものである。
【0010】本発明においては、ポリマーが強疎水性モ
ノマー単位を含有することによって、溶出を制御し、白
血球除去能を向上させることができる。また、ポリマー
のエチレンオキサイド鎖の繰返し単位数を2〜4にし、
かつ、その含量を31wt%以上43wt%以下にする
ことによって、適度な血小板粘着抑制効果をもたらし、
白血球除去能と血小板回収率を向上させ、かつ溶出を抑
制することができる。さらにまた、ポリマーの導入量を
90mg/m2以上300mg/m2以下に制御すること
で、全血を用いた場合でも優れた白血球除去能と血小板
回収率とを得ることができる。
【0011】フィルター基材表面に導入するポリマー
は、さらに塩基性含窒素官能基を有するモノマー単位を
含有することがより好ましい。塩基性含窒素官能基を含
有させることで、より安定した高い白血球除去能を付与
することができる。
【0012】
【発明の実態の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明でいうポリマーとは、少なくとも強疎水
性モノマー単位と繰返し単位数2〜4のエチレンオキサ
イド鎖を有するモノマー単位とを含有するポリマーのこ
とである。ポリマーは公知の重合法によって得ることが
できる。例えば、連鎖反応である付加重合、環化重合、
異性化重合、開環重合、逐次反応である脱離反応、重付
加、重縮合や付加重縮合等が挙げられる。その中でモノ
マーの入手が容易であること、取り扱いやすいことや合
成しやすい等の理由により、重合性部分がビニル基であ
るモノマーを付加重合(ビニル重合)することにより得
られるポリマーが好ましく、ランダム共重合体、ブロッ
ク共重合体どちらでも良い。また、本発明でいうモノマ
ー単位とは、ポリマー中の一部分であり、モノマーの重
合等により構成される最小繰り返し単位を意味する。
【0013】ポリマー中の強疎水性モノマー単位は、フ
ィルター基材とポリマーの接着性を高め、溶出を抑制す
る効果があると同時に、高い白血球除去能を発揮させる
効果がある。本発明でいう強疎水性モノマー単位とは、
温度20℃の水に対する溶解度が0〜7wt%である疎
水性モノマーにより得られる繰返し単位であり、本発明
にはこの定義を満たすものであれば全て含まれる。
【0014】ここで、溶解度の測定は、モノマーが固体
の場合は、露点法、熱分析法、溶液の起電力や電導度を
測定する電気的方法、ガスクロマトグラフィー分析法、
トレーサー法等の公知の測定方法で測定でき、モノマー
が液体の場合には、固体の時と同じ測定法でも測定でき
るが、更に容量法、光散乱法、蒸気圧法等の公知の方法
によって測定することができる。また、より簡便な方法
として、モノマーが水より充分に沸点が高い場合には、
モノマーの飽和水溶液から水を蒸発させ、残量の重さを
測定する方法により求めることもできる。
【0015】前記強疎水性モノマーとしては、例えば、
スチレン、メチルスチレン、ブチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アク
リレート、フェニル(メタ)アクリレート、エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、トリクロロエチル(メタ)
アクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ビニ
ルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソ
ブチルエーテル、酢酸ビニルなどが挙げられる。好まし
くは、アクリル酸誘導体またはメタクリル酸誘導体であ
るが上記物質に限定されるものではない。なお、本発明
で(メタ)アクリレートというときには、アクリレート
及び/またはメタクリレートのことをいう。
【0016】ポリマー中のエチレンオキサイド鎖を有す
るモノマー単位は、エチレンオキサイド鎖のもつ優れた
血液適合性により、高い血小板粘着抑制効果を示す。本
発明に用いられるエチレンオキサイド鎖を有するモノマ
ー単位としては、エチレンオキサイド鎖の繰返し単位数
を2〜4にする必要がある。繰返し単位数が2未満で
は、十分な血小板粘着抑制効果を得られにくく、繰返し
単位数が4を超えると、フィルター基材との接着性が低
くなり、血液に接触した時に溶出しやすくなる傾向があ
るためである。また、溶出性の観点から、非プロトン性
であることがより好ましい。
【0017】エチレンオキサイド鎖のポリマー中におけ
る含量は、31wt%以上43wt%以下であることが
必要である。なぜなら、この範囲において、溶出を低く
抑えつつ、高い白血球除去能および高い血小板回収率を
得ることができるためである。エチレンオキサイド鎖の
含量が31wt%未満では、フィルター材表面の疎水性
が強まり、血小板の非特異的吸着が増加したり、血液と
の接触が十分になされず高い白血球除去能が得られなか
ったりする場合がある。一方、43wt%を超える場合
では、ポリマーの親水性が高まると同時にポリマーとフ
ィルター基材との接着性が低くなり、血液に接触したと
きに溶出しやすくなる。また、その結果として、高い白
血球除去能および高い血小板回収率が得られない恐れが
ある。さらに、エチレンオキサイド鎖の含量は、34w
t%以上40wt%以下の範囲であることがより好まし
い。前記エチレンオキサイド鎖を有するモノマー単位
は、以下に例示するモノマーにより得ることができる。
例えば、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アク
リレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)
アクリレート、メトキシジエチレングリコールビニルエ
ーテルなどが挙げられる。好ましくは、アクリル酸誘導
体またはメタクリル酸誘導体であるが上記物質に限定さ
れるものではない。その中で、入手が容易であること、
取り扱いやすいことや合成しやすい等の理由により、メ
トキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートがよ
り好ましい。
【0018】強疎水性モノマー単位の含量およびエチレ
ンオキサイド鎖を有するモノマー単位の含量は、例え
ば、多重全反射赤外線分光計を用いる赤外線吸光光度法
(ATR−IR)、核磁気共鳴スペクトル法(NM
R)、元素分析などの公知の方法で測定することができ
る。
【0019】ポリマーのフィルター基材表面への導入量
は単位表面積あたり、90mg/m 2以上300mg/
2以下であることが必要である。より好ましい範囲は
120mg/m2以上250mg/m2以下である。90
mg/m2未満の場合では、フィルター材表面をポリマ
ーで完全に被覆できない恐れがあり、ポリマーの機能が
効果的に発揮されず、ヒト全血を用いた時に、十分な血
小板回収率を得られない場合がある。逆に、300mg
/m2より多い場合は、フィルター材の比表面積が小さ
くなり、十分な白血球除去能を得られない場合がある。
ここで、単位表面積当たりの導入量とは、フィルター基
材1m2当たりに導入されたポリマーの重量を指す。本
発明におけるフィルター基材の表面積は、吸着温度を液
体窒素温度とし、吸着ガスにクリプトンガスを用いたB
ET吸着法により測定された比表面積から算出できる。
【0020】また、本発明におけるフィルター基材表面
へのポリマーの導入量は、導入前後の重量変化から簡易
的に求めることができる。また、導入前の重量が未知の
場合でも、ポリマーのみを溶解する良溶媒が存在する場
合には、良溶媒にポリマーを溶解させ、溶解前後の重量
差からポリマー重量を算出することも可能である。ま
た、フィルター材そのものを溶媒により全溶解させて核
磁気共鳴分光法(NMR)により算出する方法や、ポリ
マー中にアミノ基などの荷電性官能基が含まれていて、
その共重合組成が既知の場合には、その荷電性官能基に
イオン的に吸着する色素を用いる色素吸着法による算出
も可能である。
【0021】またポリマーが該白血球選択除去フィルタ
ー材表面上に存在するのを確認する方法としてはX線光
電子分光法(XPS)、2次イオン質量分光法(SIM
S)など公知の解析方法で解析する事が可能である。
【0022】フィルター基材表面にポリマーを導入する
方法としては、ポリマーのフィルター基材表面へのコー
ティングなどの一般的な表面修飾方法を用いることがで
きる。また、導入の前処理として、本発明のポリマーと
フィルター基材との接着性をより高めるなどの効果のた
め、フィルター基材の表面を酸、アルカリなどの適当な
薬品で処理をしたり、プラズマや電子線を照射したりす
ることもできる。更に、ポリマーを表面に導入した後に
熱処理や、γ線、電子線などの放射線を照射する後加工
を施し、フィルター基材と該ポリマーとの接着性を更に
強化することもできる。
【0023】塩基性含窒素官能基を有する材料は、血液
に代表される細胞浮遊液中で材料表面が正電荷を有する
ようになり、負電荷を有する白血球を粘着させるという
のが一般的な現象であった。より安定した高い白血球除
去能を付与するためには、塩基性含窒素官能基を有する
モノマー単位がポリマー中に含まれることが好ましい。
【0024】塩基性含窒素官能基としては、第1級アミ
ノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、4級アンモニ
ウム基、ピリジル基、イミダゾイル基などが挙げられ、
その塩基性含窒素官能基を有するモノマーとしては、ビ
ニルアミン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジ
ン、2−メチル−5−ビニルピリジン、4−ビニルイミ
ダゾール、N−ビニルー2−エチルイミダゾール、N−
ビニル−2−メチルイミダゾール等の含窒素芳香環化合
物のビニル誘導体、ジメチルアミノエチルアクリレー
ト、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルア
ミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタク
リレート、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピ
ルアクリレート、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ
プロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリ
ルアミド、 ジメチルアミノエチルメタアクリルアミ
ド、ジエチルアミノエチルアクリルアミド、 ジエチル
アミノエチルメタアクリルアミド、p−ジメチルアミノ
メチルスチレン、p−ジエチルアミノエチルスチレン、
及び前記体をハロゲン化アルキル基によって4級アンモ
ニウム塩とした誘導体などが挙げられるが、上記物質に
限定されるものではない。好ましくは、入手のし易さ、
取り扱い性の点から、アクリル酸誘導体またはメタクリ
ル酸誘導体であり、特に3級アミノ基を含む、ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエ
チル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0025】塩基性含窒素官能基を有するモノマー単位
は、ポリマー中に0.2mol%以上5mol%以下含
まれることが望ましい。なぜなら、この範囲内の少量の
塩基性含窒素官能基を含有することにより、血小板の粘
着を最小限に抑えつつ、白血球の捕捉効率をさらに高め
られるためである。より好ましい範囲は、0.5mol
%以上3mol%以下である。
【0026】本発明に用いられるポリマーの重量平均分
子量は10万以上100万以下が好ましい。重量平均分
子量が10万未満であると血液と接触した時にポリマー
の血液への溶出がおこりやすく、重量平均分子量が10
0万を超えると疎水性が強まることによる血液の流れ性
の悪化やフィルター材の比表面積の減少によるフィルタ
ー材表面の有効利用率の低下がおこり、白血球選択除去
フィルターとしての性能を十分に発揮できない恐れがあ
る。
【0027】また、溶出性の観点から重量平均分子量が
1万以下の割合は10wt%未満であることが好まし
い。より好ましくは、重量平均分子量は10万以上50
万以下、重量平均分子量が1万以下の割合は5wt%未
満であることが望ましい。なお分子量は種々の公知の方
法により求められるが本発明ではポリメチルメタクリレ
ートを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(以下GPCと略す)測定による値を採用してい
る。
【0028】本発明のフィルター材の平均気孔径は1μ
m以上30μm以下、好ましくは1μm以上20μm以
下、より好ましくは2μm以上10μm以下である。平
均気孔径が1μm未満では全血などを濾過する際の圧力
損失が高すぎて実用的でない恐れがあり、30μmより
大きい場合ではフィルター材と白血球との接触確率が低
下し、十分な白血球除去能を示さない可能性がある。
尚、ここでいう平均気孔径とは、ASTM F316−
86に記載されているエアーフロー法に準じてPORO
FIL(COULTER ELECTRONICS L
TD.製)液中にて測定した平均気孔径を指す。
【0029】また、本発明のフィルター材の嵩密度は
0.10g/cm3以上0.50g/cm3以下、好まし
くは0.10g/cm3以上0.35g/cm3以下、よ
り好ましくは0.15g/cm3以上0.30g/cm3
以下の性状を有するものである。嵩密度が0.10g/
cm3未満である場合には機械的強度が不足し血液ろ過
の際にフィルター材が変形する恐れがある。また、嵩密
度が0.50g/cm 3より高い場合には血液の通液抵
抗が高くなり、ろ過時間の延長などの不具合を起こす可
能性がある。なお、ここでいう嵩密度とは、フィルター
材の重量をその寸法から算出される厚みと面積を乗じて
求めた体積で除した値のことであり、厚みは任意の3箇
所以上の測定値を平均した値を用いる。
【0030】本発明の白血球除去用フィルター材の基材
とは、血液をろ過し得る細孔を有するもので血球にダメ
ージを与えにくいものであれば特に限定はなく、何れの
形態を有するものも含まれる。具体的には天然繊維、ガ
ラス繊維、編布、織布、不織布などの繊維状媒体や多孔
膜、三次元網目状連続孔を有するスポンジ状構造物であ
る。本発明のフィルター基材を成形する素材として、有
機高分子材料は切断等の加工性に優れるためより好まし
い素材である。具体的には、ポリエチレンやポリプロピ
レン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタ
ン、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合
体、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスル
ホン、セルロース、セルロースアセテート、ポリフッ化
ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホ
ン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リテトラエチレンテレフタレート、あるいはそれらの混
合物などが挙げられるが、本発明のフィルター基材の素
材は上記例示に限定されるものではない。
【0031】また、本発明でいう全血とは、ACD(a
cid−citrate−dextrose)やCPD
(citrate−phosphate−dextro
se)などの抗凝固剤を含む、採血後3日以内、好まし
くは1日以内、更に好ましくは8時間以内の全血製剤の
ことである。また、採血後からフィルターろ過するまで
の間の保存温度は、4℃以上30℃以下が好ましい。よ
り好ましくは15℃以上25℃以下の温度で保存された
全血製剤であることが望ましい。採血後3日を超えて保
存された全血製剤や、4℃未満の温度で保存された全血
製剤は、含まれる血小板の機能が低下する恐れがあるた
めに望ましくない。また30℃を超える温度で保存した
全血製剤は、血漿タンパク質の変性などが起こりやす
く、血小板回収率の向上が見られない可能性があるため
好ましくない。
【0032】以下に本発明の実施例を示すが、本発明は
これに限定されるものではない。
【実施例1】(ポリマーの合成)フィルター基材の表面
をコーティングする場合に用いるポリマーの合成方法の
一例を示す。エタノール(277g)を還流装置を設置
した反応容器に入れ、74℃で1時間窒素でバブリング
・溶液の攪拌を行った後に窒素雰囲気を維持したまま、
モノマーを120分かけて系中に滴下し、並行して開始
剤溶液を420分かけて系中に滴下し、開始剤溶液滴下
完了後2時間さらに重合を行った。モノマーとしては強
疎水性モノマーに該当するメチルメタクリレート(以下
MMAと略す)を9.18g(92mmol)、および
繰返し単位数2のエチレンオキサイド鎖を有するモノマ
ーに該当するメトキシジエチレングリコールメタクリレ
ート(以下DEGと略す)を97.7g(0.52mo
l)含む液体である。つまり各モノマーの仕込み量は、
MMAが15.0mol%、DEGが85.0mol%
である。開始剤溶液は、アゾビスジメチルバレロニトリ
ル(V−65)を0.56g含むエタノール溶液であ
る。重合溶液を純水に滴下しポリマーを析出させ回収
し、析出したポリマーを細断したものを再度純水に投入
して1時間攪拌することでポリマーの洗浄を行った。次
に洗浄を完了したポリマーを60℃で真空乾燥させて目
的のポリマーを得た(以下DA15と略す)。得られた
ポリマーの組成分析をNMR測定の積分値から算出した
ところほぼ仕込み比どおりであることを確認した。よっ
て、DA15中のエチレンオキサイド鎖の含量は42.
4wt%であった。また、GPC測定による重量平均分
子量は2.3×105であり、重量平均分子量が1万以
下の割合は2wt%であった。
【0033】(フィルター材の作製方法)フィルター材
の作製方法の例を次に示す。得られたポリマー(DA1
5)10gをイソプロパノールと純水の混合溶媒100
gに溶解させ、その溶液に、ポリエチレンテレフタレー
ト製不織布(平均孔径7μm目付け40g/m2)を浸
漬させ、余分な液を除去した後に室温で16時間乾燥さ
せて目的のフィルター材を得た。フィルター材の嵩密度
は、0.27g/cm3であった。次にフィルター基材
の表面積測定を行った。測定方法はBET吸着法で、測
定装置は、島津アキュソープ2100E、吸着ガスはク
リプトンガス、吸着温度は液体窒素温度である。測定の
結果、フィルター基材の比表面積は、1.47m2/g
であり、フィルター基材の単位表面積あたりのポリマー
導入量は212mg/m2であった。
【0034】(溶出物試験)次に溶出物試験方法を記述
する。作製したフィルター材5cm×5cmを50ml
の純水中に、25℃で16時間浸漬させた後にフィルタ
ー材を真空乾燥させ、(1)式により浸漬前後のポリマ
ーの重量変化率を算出した。 重量変化率(%)=(1−[フィルター材中のポリマー重量(浸漬後)] /[フィルター材中のポリマー重量(浸漬前)])×100 (1) 溶出物試験の結果、重量変化率は2.9%であった。な
お、ポリマー重量は、各ポリマーの良溶媒に完全溶解さ
せ、溶解前後の重量差から算出した。また、溶解後のフ
ィルター材にポリマーが残っていないことは、NMR測
定により確認している。
【0035】(性能評価)次に白血球除去能および血小
板回収率を評価する試験方法を記述する。血液評価に用
いる血液は全血であり、採血直後の血液100mlに対
してろ過済みCPD溶液(クエン酸三ナトリウム・二水
和物2.630gとクエン酸一水和物0.327gとリ
ン酸二水素ナトリウム・二水和物0.251gとグルコ
ース2.320gを注射用蒸留水100mlに溶解させ
た溶液を0.2μmフィルターでろ過したもの)を14
ml加え混和し2時間静置したものである(以後、ろ過
前血という)。フィルター材16枚を有効ろ過面積1.
3cm2のカラムに充填し、全血を流速0.9ml/m
inでカラム内に流し、8mlを回収した(以後、ろ過
後血という)。白血球除去能はフローサイトメトリー法
(装置:BECTONDICKINSON社製 FAC
SCalibur)を用い、次の(2)式に従い計算し
た。 白血球除去能=−log([白血球数(ろ過後血)] /[白血球数(ろ過前血)]) (2) なお、各試料の調製は、血液100μLサンプリング
し、ビーズ入りLeucocountキット(日本ベク
トン・ディッキンソン社)を用いて行った。血小板回収
率は、自動血球数測定装置(東亜医用電子株式会社Sy
smex K4500)にて測定を行い、次の(3)式
に従い計算した。 血小板回収率=[血小板濃度(ろ過後血)] /[血小板濃度(ろ過前血)]×100 (3) 結果は、白血球除去能は3.4、血小板回収率は88%
であった。なお、実施例1の結果も含めてこれ以降に記
述される溶出物試験結果ならびに血液評価結果について
は表1にすべてまとめてある。
【0036】
【実施例2】各モノマーの仕込み量をMMA25.0m
ol%、DEG75.0mol%とし、実施例1と同様
の方法で合成した。このようにして得られたポリマー
(以下DA25と略す)中のエチレンオキサイド鎖の含
量は39.4wt%であった。また、GPC測定の結
果、重量平均分子量は2.1×105であり、重量平均
分子量が1万以下の割合は2wt%であった。実施例1
と同様の方法でフィルター材作製、溶出物試験および血
液評価を行ったところ、ポリマーの単位表面積あたりの
導入量は201mg/m2であり、重量変化率は1.4
%であり、白血球除去能は3.7、血小板回収率は86
%であった。
【0037】
【実施例3】各モノマーの仕込み量をMMA35.0m
ol%、DEG65.0mol%とし、実施例1と同様
の方法で合成した。このようにして得られたポリマー
(以下DA35と略す)中のエチレンオキサイド鎖の含
量は36.2wt%であった。また、GPC測定の結
果、重量平均分子量は1.9×105であり、重量平均
分子量が1万以下の割合は2wt%であった。実施例1
と同様の方法でフィルター材作製、溶出物試験および血
液評価を行ったところ、ポリマーの単位表面積あたりの
導入量は203mg/m2であり、重量変化率は1.0
%であり、白血球除去能は3.7、血小板回収率は85
%であった。
【0038】
【実施例4】各モノマーの仕込み量をMMA45.0m
ol%、DEG55.0mol%とし、実施例1と同様
の方法で合成した。このようにして得られたポリマー
(以下DA45と略す)中のエチレンオキサイド鎖の含
量は32.7wt%であった。また、GPC測定の結
果、重量平均分子量は2.0×105であり、重量平均
分子量が1万以下の割合は2wt%であった。実施例1
と同様の方法でフィルター材作製、溶出物試験および血
液評価を行ったところ、ポリマーの単位表面積あたりの
導入量は197mg/m2であり、重量変化率は0.7
%であり、白血球除去能は3.5、血小板回収率は82
%であった。
【0039】
【実施例5】各モノマーの仕込み量をMMA65.0m
ol%、エチレンオキサイド鎖の繰返し単位数が4であ
るメトキシテトラエチレングリコールメタクリレート
(以下TEGと略す)35.0mol%とし、実施例1
と同様の方法で合成した。このようにして得られたポリ
マー(以下TA65と略す)中のエチレンオキサイド鎖
の含量は38.3wt%であった。また、GPC測定の
結果、重量平均分子量は2.2×105であり、重量平
均分子量が1万以下の割合は2wt%であった。実施例
1と同様の方法でフィルター材作製、溶出物試験および
血液評価を行ったところ、ポリマーの単位表面積あたり
の導入量は204mg/m2であり、重量変化率は2.
2%であり、白血球除去能は3.5、血小板回収率は8
6%であった。
【0040】
【実施例6】各モノマーの仕込み量を強疎水性モノマー
に該当するn−ブチルメタクリレート(以下BMAと略
す)25.0mol%、DEG75.0mol%とし、
実施例1と同様の方法で合成した。このようにして得ら
れたポリマー(以下DB25と略す)中のエチレンオキ
サイド鎖の含量は37.2wt%であった。また、GP
C測定の結果、重量平均分子量は1.9×105であ
り、重量平均分子量が1万以下の割合は2wt%であっ
た。実施例1と同様の方法でフィルター材作製、溶出物
試験および血液評価を行ったところ、ポリマーの単位表
面積あたりの導入量は203mg/m2であり、重量変
化率は0.9%であり、白血球除去能は3.8、血小板
回収率は84%であった。
【0041】
【実施例7】各モノマーの仕込み量をBMA60.0m
ol%、TEG40.0mol%とし、実施例1と同様
の方法で合成した。このようにして得られたポリマー
(以下TB60と略す)中のエチレンオキサイド鎖の含
量は36.1wt%であった。また、GPC測定の結
果、重量平均分子量は2.1×105であり、重量平均
分子量が1万以下の割合は2wt%であった。実施例1
と同様の方法でフィルター材作製、溶出物試験および血
液評価を行ったところ、ポリマーの単位表面積あたりの
導入量は210mg/m2であり、重量変化率は1.2
%であり、白血球除去能は3.6、血小板回収率は85
%であった。
【0042】
【実施例8】各モノマーの仕込み量をMMA30.0m
ol%、DEG69.0mol%、塩基性含窒素官能基
を有するモノマーに該当するジメチルアミノエチルメタ
クリレート(以下DMと略す)1.0mol%とし、実
施例1と同様の方法で合成した。このようにして得られ
たポリマー(以下DAM301と略す)中のエチレンオ
キサイド鎖の含量は37.5wt%、DM単位の含量は
1mol%であった。また、GPC測定の結果、重量平
均分子量は1.8×105であり、重量平均分子量が1
万以下の割合は2wt%であった。実施例1と同様の方
法でフィルター材作製、溶出物試験および血液評価を行
ったところ、ポリマーの単位表面積あたりの導入量は1
90mg/m2であり、重量変化率は1.3%であり、白
血球除去能は4.0、血小板回収率は84%であった。
【0043】
【実施例9】各モノマーの仕込み量をMMA35.0m
ol%、DEG62.0mol%、DM3.0mol%
とし、実施例1と同様の方法で合成した。このようにし
て得られたポリマー(以下DAM353と略す)中のエ
チレンオキサイド鎖の含量は35.1wt%、DM単位
の含量は3mol%であった。また、GPC測定の結
果、重量平均分子量は1.8×105であり、重量平均
分子量が1万以下の割合は2wt%であった。実施例1
と同様の方法でフィルター材作製、溶出物試験および血
液評価を行ったところ、ポリマーの単位表面積あたりの
導入量は204mg/m2であり、重量変化率は1.2
%であり、白血球除去能は4.1、血小板回収率は83
%であった。
【0044】
【比較例1】各モノマーの仕込み量をMMA10.0m
ol%、DEG90.0mol%とし、実施例1と同様
の方法で合成した。このようにして得られたポリマー
(以下DA10と略す)中のエチレンオキサイド鎖の含
量は44.5wt%であった。また、GPC測定の結
果、重量平均分子量は2.2×105であり、重量平均
分子量が1万以下の割合は2wt%であった。実施例1
と同様の方法でフィルター材作製、溶出物試験および血
液評価を行ったところ、ポリマーの単位表面積あたりの
導入量は196mg/m2であり、重量変化率は14.
8%であり、白血球除去能は1.9、血小板回収率は8
0%であった。この比較例は、エチレンオキサイド鎖の
含量が高いと溶出量が増加し、白血球除去能も低下する
ことを示している。
【0045】
【比較例2】各モノマーの仕込み量をMMA55.0m
ol%、DEG45.0mol%とし、実施例1と同様
の方法で合成した。このようにして得られたポリマー
(以下DA55と略す)中のエチレンオキサイド鎖の含
量は28.4wt%であった。また、GPC測定の結
果、重量平均分子量は1.8×105であり、重量平均
分子量が1万以下の割合は2wt%であった。実施例1
と同様の方法でフィルター材作製、溶出物試験および血
液評価を行ったところ、ポリマーの単位表面積あたりの
導入量は197mg/m2であり、重量変化率は0.3
%であり、白血球除去能は2.8、血小板回収率は51
%であった。エチレンオキサイド鎖の含量が低すぎる場
合、溶出抑制効果はあるものの、白血球除去能も血小板
回収率も低下してしまうことを示す。
【0046】
【比較例3】各モノマーの仕込み量をBMA5.0mo
l%、DEG95.0mol%とし、実施例1と同様の
方法で合成した。このようにして得られたポリマー(以
下DB05と略す)中のエチレンオキサイド鎖の含量は
45.1wt%であった。また、GPC測定の結果、重
量平均分子量は2.3×105であり、重量平均分子量
が1万以下の割合は2wt%であった。実施例1と同様
の方法でフィルター材作製、溶出物試験および血液評価
を行ったところ、ポリマーの単位表面積あたりの導入量
は205mg/m2であり、重量変化率は16.2%で
あり、白血球除去能は2.0、血小板回収率は79%で
あった。比較例1と同様、エチレンオキサイド鎖の含量
が高いと溶出量が増加し、白血球除去能も低下すること
を示している。
【0047】
【比較例4】各モノマーの仕込み量をBMA45.0m
ol%、DEG55.0mol%とし、実施例1と同様
の方法で合成した。このようにして得られたポリマー
(以下DB45と略す)中のエチレンオキサイド鎖の含
量は28.8wt%であった。また、GPC測定の結
果、重量平均分子量は2.0×105であり、重量平均
分子量が1万以下の割合は2wt%であった。実施例1
と同様の方法でフィルター材作製、溶出物試験および血
液評価を行ったところ、ポリマーの単位表面積あたりの
導入量は207mg/m2であり、重量変化率は0.3
%であり、白血球除去能は2.7、血小板回収率は52
%であった。比較例2と同様に、エチレンオキサイド鎖
の含量が低すぎると溶出抑制効果はあるものの、白血球
除去能も血小板回収率も低下してしまうことを示してい
る。
【0048】
【比較例5】各モノマーの仕込み量をMMA25.0m
ol%、エチレンオキサイド鎖の繰返し単数が1である
メトキシエチレングリコールメタクリレート(MEGと
略す)75.0mol%とし、実施例1と同様の方法で
合成した。このようにして得られたポリマー(以下MA
25と略す)中のエチレンオキサイド鎖の含量は25.
0wt%であった。また、GPC測定の結果、重量平均
分子量は1.7×10 5であり、重量平均分子量が1万
以下の割合は2wt%であった。実施例1と同様の方法
でフィルター材作製、溶出物試験および血液評価を行っ
たところ、ポリマーの単位表面積あたりの導入量は19
9mg/m2であり、重量変化率は0.2%であり、白
血球除去能は2.7、血小板回収率は44%であった。
エチレンオキサイド鎖の繰返し単位数が1と低い場合に
は、溶出は抑制できるが、白血球除去能も血小板回収率
も低下してくることが分かる。
【0049】
【比較例6】各モノマーの仕込み量をMMA85.0m
ol%、エチレンオキサイド鎖の繰返し単数が9である
メトキシノナエチレングリコールメタクリレート(NE
Gと略す)15.0mol%とし、実施例1と同様の方
法で合成した。このようにして得られたポリマー(以下
NA85と略す)中のエチレンオキサイド鎖の含量は3
7.3wt%であった。また、GPC測定の結果、重量
平均分子量は2.0×105であり、重量平均分子量が
1万以下の割合は2wt%であった。実施例1と同様の
方法でフィルター材作製、溶出物試験および血液評価を
行ったところ、ポリマーの単位表面積あたりの導入量は
213mg/m2であり、重量変化率は24.6%であ
り、白血球除去能は1.8、血小板回収率は80%であ
った。エチレンオキサイド鎖の繰返し単位数が高すぎる
と、溶出が多くなり、白血球除去能も低下することが分
かる。
【0050】
【比較例7】実施例2で合成したポリマーDA25を用
い、以下のように低導入量フィルター材を作製した。
3.5gのDA25をイソプロパノールと純水の混合溶
媒100gに溶解させ、その溶液に、ポリエチレンテレ
フタレート製不織布を浸漬させ、余分な液を除去した後
に室温で16時間乾燥させて目的のフィルター材を得
た。ポリマーの単位表面積あたりの導入量は70mg/
2であった。実施例1と同様の方法で溶出物試験およ
び血液評価を行ったところ、重量変化率は3.4%であ
り、白血球除去能は3.8、血小板回収率は58%であ
った。この比較例は、エチレンオキサイド鎖の繰返し単
位数も含量も適切なポリマーであったとしても、その導
入量が低すぎると血小板回収率が低下することを示して
いる。
【0051】
【比較例8】実施例2で合成したポリマーDA25を用
い、以下のように高導入量フィルター材を作製した。1
5gのDA25をイソプロパノールと純水の混合溶媒1
00gに溶解させ、その溶液に、ポリエチレンテレフタ
レート製不織布を浸漬させ、余分な液を除去した後に室
温で16時間乾燥させて目的のフィルター材を得た。ポ
リマーの単位表面積あたりの導入量は314mg/m2
であった。実施例1と同様の方法で溶出物試験および血
液評価を行ったところ、重量変化率は1.2%であり、
白血球除去能は2.2、血小板回収率は88%であっ
た。この比較例は、エチレンオキサイド鎖の繰返し単位
数も含量も適切なポリマーであったとしても、その導入
量が多すぎると白血球除去能が低下することを示してい
る。
【0052】
【比較例9】実施例6で合成したポリマーDB25を用
い、以下のように低導入量フィルター材を作製した。
3.5gのDB25をイソプロパノールと純水の混合溶
媒100gに溶解させ、その溶液に、ポリエチレンテレ
フタレート製不織布を浸漬させ、余分な液を除去した後
に室温で16時間乾燥させて目的のフィルター材を得
た。ポリマーの単位表面積あたりの導入量は75mg/
2であった。実施例1と同様の方法で溶出物試験およ
び血液評価を行ったところ、重量変化率は3.0%であ
り、白血球除去能は3.8、血小板回収率は55%であ
った。比較例7と同様、エチレンオキサイド鎖の繰返し
単位数も含量も適切なポリマーであったとしても、その
導入量が低すぎると血小板回収率が低下することを示し
ている。
【0053】
【比較例10】実施例6で合成したポリマーDB25を
用い、以下のように高導入量フィルター材を作製した。
15gのDB25をイソプロパノールと純水の混合溶媒
100gに溶解させ、その溶液に、ポリエチレンテレフ
タレート製不織布を浸漬させ、余分な液を除去した後に
室温で16時間乾燥させて目的のフィルター材を得た。
ポリマーの単位表面積あたりの導入量は331mg/m
2であった。実施例1と同様の方法で溶出物試験および
血液評価を行ったところ、重量変化率は0.6%であ
り、白血球除去能は2.1、血小板回収率は86%であ
った。比較例8と同様、エチレンオキサイド鎖の繰返し
単位数も含量も適切なポリマーであったとしても、その
導入量が多すぎると白血球除去能が低下することを示し
ている。
【0054】
【比較例11】各モノマーの仕込み量をMMA35.0
mol%、NEG65.0mol%とし、実施例1と同
様の方法で合成した。このようにして得られたポリマー
(以下NA35と略す)中のエチレンオキサイド鎖の含
量は72.0wt%であった。また、GPC測定の結
果、重量平均分子量は2.2×105であり、重量平均
分子量が1万以下の割合は2wt%であった。このポリ
マーNA35を用い、以下のように低導入量フィルター
材を作製した。1.0gのNA35をイソプロパノール
と純水の混合溶媒100gに溶解させ、その溶液に、ポ
リエチレンテレフタレート製不織布を浸漬させ、余分な
液を除去した後に室温で16時間乾燥させて目的のフィ
ルター材を得た。ポリマーの単位表面積あたりの導入量
は21mg/m2であった。実施例1と同様の方法で溶
出物試験および血液評価を行ったところ、重量変化率は
40.4%であり、白血球除去能は2.3、血小板回収
率は52%であった。この比較例から、エチレンオキサ
イド鎖の繰返し単位数および含量が高すぎ、ポリマー導
入量が低すぎると、溶出量が多くなり、白血球除去能が
低下するという問題点に加え、血小板回収率も低下して
しまうことがわかる。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明の白血球選択除去フィルター材
は、溶出物が極めて少なく、かつ、ヒト全血使用時に血
小板の粘着が非常に少なく、白血球を選択的に高収率で
捕捉除去するという高い安全性と優れた血液性能を有す
る。従って、ヒト全血に用いる白血球選択除去フィルタ
ー材、あるいは、血小板輸血や血液の体外循環白血球除
去療法に用いることのできるフィルター材として極めて
有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C077 AA12 BB02 BB03 KK11 LL02 LL13 LL16 LL17 LL23 MM02 MM07 MM09 NN02 PP03 PP08 PP10 PP12 PP13 PP14 PP15

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト全血から血小板を通過させ、白血球
    を選択的に除去するフィルター材であって、少なくとも
    強疎水性モノマー単位と繰返し単位数2〜4のエチレン
    オキサイド鎖を有するモノマー単位とを含有するポリマ
    ーがフィルター材表面に存在し、該ポリマー中のエチレ
    ンオキサイド鎖の含量が31wt%以上43wt%以
    下、該ポリマーのフィルター基材表面への導入量が単位
    表面積当たり90mg/m2以上300mg/m2以下で
    あることを特徴とする白血球選択除去フィルター材。
  2. 【請求項2】 ポリマーがビニル系ポリマーであること
    を特徴とする請求項1記載の白血球選択除去フィルター
    材。
  3. 【請求項3】 強疎水性モノマー単位がアルキル部分の
    炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレート由来で
    ある請求項1または2に記載の白血球選択除去フィルタ
    ー材。
  4. 【請求項4】 繰返し単位数2〜4のエチレンオキサイ
    ド鎖を有するモノマー単位がメトキシポリエチレングリ
    コール(メタ)アクリレート由来である請求項1〜3の
    いずれかに記載の白血球選択除去フィルター材。
  5. 【請求項5】 ポリマーがさらに塩基性含窒素官能基を
    有するモノマー単位を含有し、ポリマー中の塩基性含窒
    素官能基を有するモノマー単位の組成が0.2mol%
    以上5mol%以下である請求項1〜4のいずれかに記
    載の白血球選択除去フィルター材。
  6. 【請求項6】 ポリマーの重量平均分子量が10万以上
    100万以下であって、重量平均分子量が1万以下のポ
    リマーの割合が10wt%未満である請求項1〜5のい
    ずれかに記載の白血球選択除去フィルター材。
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