JP2003166138A - 積層糸 - Google Patents

積層糸

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JP2003166138A
JP2003166138A JP2000183342A JP2000183342A JP2003166138A JP 2003166138 A JP2003166138 A JP 2003166138A JP 2000183342 A JP2000183342 A JP 2000183342A JP 2000183342 A JP2000183342 A JP 2000183342A JP 2003166138 A JP2003166138 A JP 2003166138A
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synthetic resin
laminated yarn
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Michiko Oomori
美千子 大森
Sataro Shimazaki
佐太郎 嶌崎
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TORITEC KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 洗濯を繰り返しても抗菌力が低下せず、帯熱
防止性、熱遮断性、帯電防止性、電磁波遮断性に優れ、
美観も優れた積層糸を提供する。 【構成】 積層糸は、合成樹脂フィルム11に抗菌性金
属を蒸着させて蒸着被膜12を成膜し、成膜した合成樹
脂フィルム同士を蒸着被膜が内側になるように接着し、
接着されてサンドイッチ状構造となった積層体を縦方向
に細長く切断して形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、積層構造を有する積
層糸、特に、審美性、抗菌性、耐洗濯性、帯熱防止性、
熱遮断性、帯電防止性、柔軟性、電磁波遮断性等の各種
特性に優れた積層糸に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、衛生観念の発達から抗菌性を備え
た商品が求められるようになってきており、医療用のガ
ーゼや包帯はもちろんのこと、衣服や布巾にさえも抗菌
性を備えたものが求められるようになってきている。こ
れら抗菌性を備えたガーゼ等は、その材料として抗菌性
を備えた抗菌糸から作られている。
【0003】このような抗菌糸としては、従来から、銀
や銅を細長く伸ばしてなる極細金属糸や、合成繊維など
の糸の表面に銀や銅をメッキしてなるメッキ糸、抗菌剤
を練りこみ又は塗布してなる抗菌剤含有糸等が使用され
ている。
【0004】一方、静電気による着衣者の不快感の低減
や、静電気による電子製品の静電破壊防止の観点から、
各種帯電防止繊維製品が使用されており、このような帯
電防止繊維製品としては、従来から、炭素繊維糸を含む
ものが使用されている。
【0005】また、医療の現場においては、手術を行う
際に、体内の縫合部にガーゼを巻いて患部を閉じ、当該
ガーゼを一定期間後に取り出して縫合部からの出血量を
測定し、手術後の経過を調べることが行われている。こ
のようなガーゼとしては、その配置場所を見つけやすく
するため、X線を遮断する塩化ビニール糸や極細金属糸
を含むものが使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら従来か
らある極細金属糸や炭素繊維等を繊維製品に使用し、繊
維製品に抗菌性等の各種特性を付与しようとする場合に
は、次に掲げるような問題点があった。
【0007】まず、極細金属糸やメッキ糸には、その表
面が経時変化や漂白剤などにより酸化して黒化するた
め、これらを繊維製品に使用すると当該繊維製品の見栄
えが悪くなったり、抗菌性が低下するとの問題点があっ
た。加えて、これら極細金属糸やメッキ糸の金属部分が
赤外線等によって容易に熱せられるため、これらを材料
として含む繊維製品を着用し、例えば赤外線温熱治療を
行うと低温やけどを生じるとの問題点もあった。
【0008】つぎに、抗菌剤含有糸には、洗濯により抗
菌剤が溶出するため、洗濯を繰り返すと抗菌性が低下
し、抗菌性を短期間で喪失するとの問題点があった。
【0009】また、帯電防止繊維である炭素繊維糸は黒
色糸であるため、商品の見栄えの点から使用可能な商品
が限定されるとの問題点があった。
【0010】さらに、塩化ビニール糸や極細金属糸から
なるガーゼは、X線を遮断するものの、手触りや柔軟性
に欠け繊維製品であるガーゼ本来の機能に問題点があっ
た。
【0011】加えて、これら複数の糸を組合せても、抗
菌性、帯電防止性、帯熱防止性、柔軟性、電磁波遮断
性、商品の美観等複数の特性を備えた繊維製品を作り出
すのは困難であった。
【0012】そこで、この発明は、洗濯を繰り返しても
抗菌力が低下せず、帯熱防止性,熱遮断性、帯電防止
性、柔軟性、電磁波遮断性等に優れ、美観も優れた積層
糸を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明にか
かる積層糸は、合成樹脂フィルムに抗菌性金属を蒸着さ
せて蒸着被膜を成膜し、成膜した合成樹脂フィルム同士
を蒸着被膜が内側になるように接着し、接着されてサン
ドイッチ状構造となった積層体を縦方向に細長く切断し
て形成されたことを特徴とする。
【0014】また、合成樹脂フィルムの蒸着被膜が成膜
されている面とは反対側の面に、コート層が設けられて
いてもよく、合成樹脂フィルムと蒸着皮膜の間、又は蒸
着皮膜の上に、コート層が設けられてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて、図面に基づいて説明する。
【0016】図1は、この発明にかかる積層糸1の構造
を模式的に示す図であり、この図に示すように、積層糸
1は、合成樹脂フィルム11によって、抗菌性金属から
なる蒸着被膜12を挟み込んだサンドイッチ状構造の糸
であり、次に示すような手順によって形成される。
【0017】まず、合成樹脂フィルム11に抗菌性金属
を真空蒸着法やイオン蒸着法等により蒸着し、蒸着被膜
12を成膜する。蒸着被膜12の厚さは、約50〜1,
000nm程度であり、製品コストの点からは50nm
程度が好ましいが、700nm以上にするとコート層を
設けることなく、赤外線からX線までの幅広い範囲の電
磁波を遮断することができる。つぎに、蒸着被膜12が
成膜された合成樹脂フィルム11同士を、蒸着被膜が内
側になるように接着剤によって接着して、抗菌性金属を
合成樹脂フィルムで挟んだサンドイッチ状構造の積層体
を製造する。最後に、積層体を縦方向に幅0.1〜1.
0ミリに切断して積層糸1が完成する。
【0018】ここで、合成樹脂フィルムとは、ポリエス
テル、ポリエチレン、ポリプロピレン等から作られた厚
さ約10〜100ミクロンのフィルムである。また、抗
菌性金属とは、銀、銅、亜鉛等のイオン交換可能な抗菌
性を有する金属である。この中でも、錆が発生しにく
い、抗菌性能の高さから、銀の使用が最適である。さら
に、上記接着剤としては、ポリウレタン系やポリエステ
ル系接着剤など種々の接着剤を使用することができる。
【0019】このように、積層糸1は、抗菌性金属から
なる蒸着被膜12が合成樹脂フィルム11によって挟ま
れたサンドイッチ状構造の糸であり、抗菌性金属の色を
備えた糸である。
【0020】ここで、蒸着被膜12の側面は外部に露出
しているため、酸化・塩化するものの、隣接する繊維と
互いにこすれあって、当該酸化部分は取れてしまう。ま
た、蒸着被膜12の側面以外の部分は、合成樹脂フィル
ム11によって保護されているため、酸化・塩化しな
い。そのため、繰り返し洗濯を行ったり漂白剤を使用し
ても、抗菌力が低下したり、蒸着被膜12の黒化して、
繊維製品の外観が悪化することはない。
【0021】また、外部から熱を加えても、金属の蒸着
被膜12の大部分が合成樹脂フィルムに覆われているた
め、積層糸1の温度が急上昇して低温やけどを起こすこ
ともなく、積層糸1が織り込まれた衣服等に静電気が生
じても蒸着被膜12を通じて静電気が外部に移動するた
め、静電気を帯電させない。
【0022】さらに、蒸着皮膜に含まれる抗菌性金属に
よって、赤外線からX線に至る幅広い電磁波を遮断する
ことができるとともに、合成樹脂フィルムを基盤とする
ため、高い柔軟性を備えている。
【0023】
【実施例】次に、この発明に係る積層糸を製造して各種
試験を行い、この発明をさらに詳細に説明する。
【0024】(1)積層糸の製造 厚さ12ミクロンのポリエステルフィルム(東洋紡績株
式会社製)に銀イオンをイオン蒸着法により蒸着して、
厚さ50nmの蒸着被膜を成膜する。つぎに、ポリエス
テル系接着剤によって、前記蒸着皮膜を持つポリエステ
ルフィルム同士をその蒸着被膜が内側になるように接着
して、サンドイッチ状構造の積層体を製造する。最後
に、前記積層体を縦方向に幅226ミクロンに切断して
積層糸とし、以下の各種試験に供した。
【0025】(2)抗菌性試験 地糸に積層糸を6mm間隔で織り込んだタオル地を使用
して、シェークフラスコ法により抗菌性試験を行った。
なお、供試菌として肺炎桿菌を使用し、無加工布(ナイ
ロン製)を実験対照として使用した。その結果を表1に
示す。
【0026】
【表1】
【0027】つぎに、積層糸を5mm間隔で織り込んだ
靴下のつま先部分を使用して、シェークフラスコ法によ
り抗菌性試験を行った。なお、供試菌として肺炎桿菌を
使用し、無加工布(ナイロン製)を実験対照として使用
した。その結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】さらに、積層糸を2mm間隔で織り込んだ
パンティストッキングを使用して、SEK菌数測定法に
より抗菌性試験を行った。なお、供試菌として白癬菌を
使用し、実験対照として無加工布(ナイロン製)を使用
した。その結果を表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】表1,表2および表3からも明らかなよう
に、同数の供試菌を接種し、一定時間後の残存菌数を比
較すると、試料と実験対照との間には抗菌力において充
分な違いがあり、積層糸には十分な抗菌効果があること
が認められた。また、上記積層糸の抗菌スペクトルは、
細菌(原核生物)である肺炎桿菌から真菌(真核生物)
である白癬菌にいたる幅広いものであることが認められ
た。
【0032】(3)耐洗濯性試験 地糸に積層糸を4mm間隔で織り込んだタオル地を規定
回数洗濯したあと、シェークフラスコ法により抗菌性試
験を行ない、洗濯による抗菌力の変化を調べた。なお、
供試菌として肺炎桿菌を使用した。その結果を表4に示
す。
【0033】
【表4】
【0034】つぎに、積層糸を5mm間隔で織り込んだ
食品ラップ布を規定回数洗濯したあと、シェークフラス
コ法により抗菌性試験を行ない、洗濯による抗菌力の変
化を調べた。なお、供試菌として大腸菌を使用した。そ
の結果を表5に示す。
【0035】
【表5】
【0036】さらに、積層糸を5mm間隔で織り込んだ
食品ラップ布を規定回数洗濯したあと、SEK統一試験
法により抗菌性試験を行ない、洗濯による抗菌力の変化
を調べた。なお、供試菌として大腸菌O−157を使用
し、実験対照として綿ガーゼを使用した。その結果を表
6に示す。
【0037】
【表6】
【0038】表4,表5および表6からも明らかなよう
に、積層糸の抗菌力は、洗濯を繰り返しても低下するこ
となく、むしろ洗濯を繰り返すほど抗菌力が向上するこ
とが分かった。
【0039】(4)耐塩素漂白剤性試験 約10グラムの積層糸を束ね、規定回数漂白したあとの
色変化を観察した。なお、漂白液は蒸留水300mlに
台所用漂白剤12mlを加えたものを使用し、温度によ
る違いを見るために温度を変えて実験した。その結果を
表7に示す。
【0040】
【表7】
【0041】表7からも明らかなように、束ねた積層糸
を漂白しても、特に、50℃30分という過酷な条件下
で漂白しても、積層糸が黒化しないことが確認された。
【0042】(5)帯熱防止性試験 積層糸を5mm間隔で編みこんだ天竺でTシャツをつく
り、当該Tシャツ上約20cmから赤外線ランプで加熱
し、その表面及び生地内の温度変化を調べた。その結果
を図2のグラフに示す。なお、実験対照として積層糸を
含まないTシャツを使用した。
【0043】図2からも明らかなように、積層糸を織り
込んでも、帯熱防止性は低下せず、実験対照と同程度に
しか温度が上昇しないことが分かった。
【0044】(6)熱遮断性試験 積層糸を芯糸とし、綿短繊維を周囲に巻きつけ綿番手で
30番単糸のコアヤーンを製糸し、当該コアヤーンを縦
糸又は横糸として1インチあたりそれぞれ、20本
(A)、12本(B)、7本(C)づつ含むコート生地を
製造した。そして、コート生地(A),(B)、(C)及び
積層糸を含まないコート生地(ブランク)の前側から、
ライトを照射し生地前後の温度差を測定した。生地前後
の温度差の経時変化を表8に示すとともに、5分照射後
の各生地の測定温度を表9に示す。
【0045】
【表8】
【0046】
【表9】
【0047】表8及び表9において、ライト照射5分後
の生地前後の温度差を比較すると、コアヤーンを1イン
チあたり20本含む(A)の温度差は、ブランクと比べ
て2〜3度程度大きいことがわかる。このことから、積
層糸を含むコアヤーンを織り込むことにより、熱遮断性
が向上していることがわかった。
【0048】(7)帯電防止性試験 (5)で製造したTシャツを使用して、JIS 109
4−5に記載の方法に沿って帯電防止機能試験を行っ
た。測定条件は、20℃、20%RHである。その結果
を表10に示す。なお、実験対照として積層糸を含まな
いTシャツを使用した。
【0049】
【表10】
【0050】表10に示すように、Tシャツに蓄積する
静電気の容量や電圧が低下しており、積層糸を織り込む
ことにより、帯電防止機能が向上していることが分かっ
た。
【0051】このように、積層糸1は、優れた抗菌性、
耐洗濯性、耐熱防止性、熱遮断性、帯電防止性等を備え
ているとともに、優れた審美性を備えている。
【0052】なお、この発明は、上記実施の形態及び実
施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載
された技術的事項の範囲内において種々の変更が可能で
ある。
【0053】例えば、ように、積層糸2を構成する合成
樹脂フィルム21の外側にコート層23を設けてもよ
い。コート層23の材料としては、例えば、酸化バリウ
ム、光触媒機能を持つ酸化チタン、ケイ素化合物、など
が挙げられる。
【0054】酸化バリウムをコート層23に使用した場
合には、積層糸2のX線遮断性を高めることができる。
例えば、蒸着皮膜22を銀で200nm厚で構成し、合
成樹脂フィルム21の上に酸化バリウムからなる5〜2
00ミクロン厚コート層を設けた積層糸2を織り込んだ
布地はX線で造影されるし、この積層糸2を縦糸、横糸
にそれぞれ1インチ間に20〜30本打ちこんだ織物
は、約60dbレベルの電磁波を遮断することができ
る。
【0055】酸化チタンをコート層23に使用した場合
には、蒸着被膜22の抗菌性金属による死菌を光触媒
(酸化チタン)によって発生した活性酸素により分解・
無毒化することができ、ケイ素化合物をコート層23に
使用した場合には、積層糸2の保温機能を高めることが
できる。
【0056】また、図4に示すように、蒸着被膜32と
合成樹脂フィルム31の間に酸化チタン等の顔料からな
るコート層33を設けてもよい。これにより、抗菌性金
属の金属色を消し、白衣のような金属色の糸が使用でき
ないような繊維製品に対しても使用できるようになる。
【0057】そして、図5に示すように、蒸着皮膜42
の上に酸化バリウム等からなるコート層43を設けても
よい。これにより、蒸着皮膜42を構成する抗菌性金属
の使用量を減らしても、同等の電磁波遮断性をうること
ができ、抗菌性金属が銀の場合には、生産コストを下げ
ることができる。
【0058】さらに、積層糸をナイロンウーリィ等と撚
り合せて撚糸としたり、積層糸の周囲に綿等の天然繊維
やポリエステルなどの合成繊維からなる短繊維を巻きつ
けて、コアヤーンとしてもよい。これにより、積層糸の
膚触りをよくすることができるとともに、染色性を高
め、積層糸の利用範囲を拡張することこともできる。
【0059】加えて、積層糸は布製品のほかにも、合成
樹脂フィルムの厚さを厚くすることによって、トイレ用
等のたわし製品の材料として使うこともできる。
【0060】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、この発
明にかかる積層糸は、抗菌性金属からなる蒸着被膜の両
側面を合成樹脂フィルムによって挟んだサンドイッチ状
構造の糸であるため、外観が美しく、高い抗菌性を備
え、洗濯を繰り返しても抗菌力が低下せず、高い帯熱防
止性、熱遮断性、帯電防止性、電磁波遮断性、柔軟性を
示した。
【0061】また、合成樹脂フィルムの外側にコート層
を設けることによって、光触媒による分解機能、保温機
能や電磁波遮断性を付与することもできた。
【0062】また、蒸着被膜と合成樹脂フィルムの間に
酸化チタン等の顔料からなるのコート層を設けることに
よって、抗菌性金属の金属色を消して、様々な色を着色
することができた。
【0063】さらに、蒸着被膜の上にコート層を設ける
ことによって、蒸着皮膜として使用する銀などの抗菌性
金属の使用量を低減することができ、より安価に積層氏
を製造することもできた。
【0064】加えて、積層糸の周囲に綿短繊維などを巻
きつけたコアヤーンとすることによって,積層糸の膚触
りをよくすることができるとともに、染色性を高め、積
層糸の利用範囲を拡張することこともできた。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層糸の構造を模式的に示した図である。
【図2】帯熱防止機能試験の結果を示すグラフである。
【図3】他の積層糸の構造を模式的に示した図である。
【図4】他の積層糸の構造を模式的に示した図である。
【図5】他の積層糸の構造を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1 積層糸 11 合成樹脂フィルム 12 蒸着被膜
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年9月13日(2002.9.1
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 積層糸
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、積層構造を有する積
層糸、特に、熱遮断性、柔軟性、電磁波遮断性等の各種
特性に優れた積層糸に関する。
【0002】
【従来の技術】医療の現場においては、手術を行う際
に、体内の縫合部にガーゼを巻いて患部を閉じ、当該ガ
ーゼを一定期間後に取り出して縫合部からの出血量を測
定し、手術後の経過を調べることが行われている。この
ようなガーゼとしては、その配置場所を見つけやすくす
るため、X線を遮断する塩化ビニール糸や極細金属糸を
含むものが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら従来か
らある塩化ビニール糸や極細金属糸は、X線を遮断する
ものの、手触りや柔軟性に欠けるとのガーゼ本来の機能
に問題があった。また、極細金属糸は熱を吸収しやす
く、手術中に無影灯の光によって熱を帯び、縫合部に悪
影響を及ぼすこともあった。
【0004】そこで、この発明は、電磁波遮断性、柔軟
性、熱遮断性等に優れた積層糸を提供することを課題と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明に係
る積層糸は、第1の合成樹脂フィルムと、第一の合成樹
脂フィルムの上に成膜された第1の蒸着皮膜と、第1の
蒸着皮膜に塗布された接着剤層と、接着剤層と接着した
第2の蒸着皮膜と、第2の蒸着皮膜が成膜されている第
2の合成樹脂フィルムとを備えていることを特徴とす
る。
【0006】また、第1及び(又は)第2の合成樹脂フ
ィルムの蒸着被膜が成膜されている面とは反対側の面
に、コート層を備えていてもよい。
【0007】さらに、第1の合成樹脂フィルムと第1の
蒸着皮膜の間、第2の合成樹脂フィルムと第2の蒸着皮
膜の間、又は第1及び(又は)第2蒸着皮膜上に、コー
ト層を備えていてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて、図面に基づいて説明する。
【0009】図1は、この発明にかかる積層糸1の構造
を模式的に示す図であり、この図に示すように、積層糸
1は、第1又は第2の合成樹脂フィルム11によって、
イオン交換可能な金属からなる蒸着被膜12を挟み込ん
だサンドイッチ状構造の糸であり、次に示すような手順
によって形成される。
【0010】まず、合第1又は第2の成樹脂フィルム1
1にイオン交換可能な金属を真空蒸着法やイオン蒸着法
等により蒸着し、第1又は第2の蒸着被膜12を成膜す
る。第1又は第2の蒸着被膜12の厚さは、約50〜
1,000nm程度であり、製品コストの点からは50
nm程度が好ましいが、700nm以上にするとコート
層を設けることなく、赤外線からX線までの幅広い範囲
の電磁波を遮断することができる。つぎに、蒸着被膜1
2が成膜された合成樹脂フィルム11同士を、蒸着被膜
が内側になるように接着剤層によって接着して、イオン
交換可能な金属を合成樹脂フィルムで挟んだサンドイッ
チ状構造の積層体を製造する。最後に、積層体を縦方向
に幅0.1〜1.0ミリに切断して積層糸1が完成す
る。
【0011】ここで、合成樹脂フィルムとは、ポリエス
テル、ポリエチレン、ポリプロピレン等から作られた厚
さ約10〜100ミクロンのフィルムである。また、イ
オン交換可能な金属とは、銀、銅、亜鉛等の金属であ
る。この中でも、錆が発生しにくい、抗菌性能の高さか
ら、銀の使用が最適である。さらに、上記接着剤層を構
成する接着剤としては、ポリウレタン系やポリエステル
系接着剤など種々の接着剤を使用することができる。
【0012】このように、積層糸1は、イオン交換可能
な金属からなる蒸着被膜12が合成樹脂フィルム11に
よって挟まれたサンドイッチ状構造の糸であり、蒸着皮
膜に含まれるイオン交換可能な金属によって、赤外線か
らX線に至る幅広い電磁波を遮断することができるとと
もに、合成樹脂フィルムを基盤とするため、高い柔軟性
を備えている。
【0013】
【実施例】次に、この発明に係る積層糸を製造して各種
試験を行い、この発明をさらに詳細に説明する。
【0014】(1)積層糸の製造 厚さ12ミクロンのポリエステルフィルム(東洋紡績株
式会社製)に銀イオンをイオン蒸着法により蒸着して、
厚さ50nmの蒸着被膜を成膜する。つぎに、ポリエス
テル系接着剤によって、前記蒸着皮膜を持つポリエステ
ルフィルム同士をその蒸着被膜が内側になるように接着
して、サンドイッチ状構造の積層体を製造する。最後
に、前記積層体を縦方向に幅226ミクロンに切断して
積層糸とし、以下の各種試験に供した。
【0015】(2)熱遮断性試験 積層糸を芯糸とし、綿短繊維を周囲に巻きつけ綿番手で
30番単糸のコアヤーンを製糸し、当該コアヤーンを縦
糸又は横糸として1インチあたりそれぞれ、20本
(A)、12本(B)、7本(C)づつ含むコート生地
を製造した。そして、コート生地(A),(B)、
(C)及び積層糸を含まないコート生地(ブランク)の
前側から、ライトを照射し生地前後の温度差を測定し
た。生地前後の温度差の経時変化を表1に示すととも
に、5分照射後の各生地の測定温度を表2に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】表1及び表2において、ライト照射5分後
の生地前後の温度差を比較すると、コアヤーンを1イン
チあたり20本含む(A)の温度差は、ブランクと比べ
て2〜3度程度大きいことがわかる。このことから、積
層糸を含むコアヤーンを織り込むことにより、熱遮断性
が向上していることがわかった。
【0019】なお、この発明は、上記実施の形態及び実
施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載
された技術的事項の範囲内において種々の変更が可能で
ある。
【0020】例えば、図2に示すように、積層糸2を構
成する合成樹脂フィルム21の外側にコート層23を設
けてもよい。コート層23の材料としては、例えば、酸
化バリウム、光触媒機能を持つ酸化チタン、ケイ素化合
物、などが挙げられる。
【0021】酸化バリウムをコート層23に使用した場
合には、積層糸2のX線遮断性を高めることができる。
例えば、蒸着皮膜22を銀で200nm厚で構成し、合
成樹脂フィルム21の上に酸化バリウムからなる5〜2
00ミクロン厚コート層を設けた積層糸2を織り込んだ
布地はX線で造影されるし、この積層糸2を縦糸、横糸
にそれぞれ1インチ間に20〜30本打ちこんだ織物
は、約60dbレベルの電磁波を遮断することができ
る。
【0022】酸化チタンをコート層23に使用した場合
には、蒸着被膜22のイオン交換可能な金属による死菌
を光触媒(酸化チタン)によって発生した活性酸素によ
り分解・無毒化することができ、ケイ素化合物をコート
層23に使用した場合には、積層糸2の保温機能を高め
ることができる。
【0023】また、図3に示すように、蒸着被膜32と
合成樹脂フィルム31の間に酸化チタン等の顔料からな
るコート層33を設けてもよい。これにより、イオン交
換可能な金属の金属色を消し、白衣のような金属色の糸
が使用できないような繊維製品に対しても使用できるよ
うになる。
【0024】そして、図4に示すように、蒸着皮膜42
の上に酸化バリウム等からなるコート層43を設けても
よい。これにより、蒸着皮膜42を構成するイオン交換
可能な金属の使用量を減らしても、同等の電磁波遮断性
をうることができ、イオン交換可能な金属が銀の場合に
は、生産コストを下げることができる。
【0025】さらに、積層糸をナイロンウーリィ等と撚
り合せて撚糸としたり、積層糸の周囲に綿等の天然繊維
やポリエステルなどの合成繊維からなる短繊維を巻きつ
けて、コアヤーンとしてもよい。これにより、積層糸の
膚触りをよくすることができるとともに、染色性を高
め、積層糸の利用範囲を拡張することこともできる。
【0026】加えて、積層糸は布製品のほかにも、合成
樹脂フィルムの厚さを厚くすることによって、トイレ用
等のたわし製品の材料として使うこともできる。
【0027】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、この発
明にかかる積層糸は、イオン交換可能な金属からなる蒸
着被膜の両側面を合成樹脂フィルムによって挟んだサン
ドイッチ状構造の糸であるため、熱遮断性、電磁波遮断
性、柔軟性を示した。
【0028】また、合成樹脂フィルムの外側にコート層
を設けることによって、光触媒による分解機能、保温機
能や電磁波遮断性を付与することもできた。
【0029】また、蒸着被膜と合成樹脂フィルムの間に
酸化チタン等の顔料からなるのコート層を設けることに
よって、イオン交換可能な金属の金属色を消して、様々
な色を着色することができた。
【0030】さらに、蒸着被膜の上にコート層を設ける
ことによって、蒸着皮膜として使用する銀などのイオン
交換可能な金属の使用量を低減することができ、より安
価に積層糸を製造することもできた。
【0031】加えて、積層糸の周囲に綿短繊維などを巻
きつけたコアヤーンとすることによって,積層糸の膚触
りをよくすることができるとともに、染色性を高め、積
層糸の利用範囲を拡張することこともできた。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層糸の構造を模式的に示した図である。
【図2】他の積層糸の構造を模式的に示した図である。
【図3】他の積層糸の構造を模式的に示した図である。
【図4】他の積層糸の構造を模式的に示した図である。
【符号の説明】 1 積層糸 11 合成樹脂フィルム 12 蒸着被膜
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 嶌崎 佐太郎 大阪府大阪市生野区巽南3丁目11番16− 307号 Fターム(参考) 4L036 MA04 UA26

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂フィルムに抗菌性金属を蒸着さ
    せて蒸着被膜を成膜し、成膜した合成樹脂フィルム同士
    を蒸着被膜が内側になるように接着し、接着されてサン
    ドイッチ状構造となった積層体を縦方向に細長く切断し
    て形成されたことを特徴とする積層糸。
  2. 【請求項2】 合成樹脂フィルムの蒸着被膜が成膜され
    ている面とは反対側の面に、コート層が設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の積層糸。
  3. 【請求項3】 合成樹脂フィルムと蒸着皮膜の間、又は
    蒸着皮膜上に、コート層が設けられていることを特徴と
    する請求項1に記載の積層糸。
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